障がいを理由とする差別を解消するための職員対応要領 [903KB pdf

障がいのある人への対応マニュアル
障がいを理由とする差別を解消するための職員対応要領
平成 28 年 5 月
1
「障がい」の表記について
「 障 害 」の「 害 」の 字 は 、「 有 害 」「 公 害 」な ど マ イ ナ ス の イ メ ー ジ が 強 く 、
表記を改めるべきとの意見があります。表記を改める必要はないとの意見も
あるのですが、不快と感じる人がいるのであれば、人権尊重の観点から、法
令や条例等を除き、本要領においては「障がい」と表記しています。
2
障がいのある人への対応マニュアル
障がいを理由とする差別を解消するための職員対応要領
目
第1
次
趣旨
1
職 員 .............................................................. 1
2
法 が 定 め る 障 が い を 理 由 と す る 差 別 の 禁 止 ............................ 1
第2
障がいを理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮
1
法 が 対 象 と す る 障 が い の あ る 人 .................................. .... 2
2
不 当 な 差 別 的 取 扱 い の 基 本 的 な 考 え 方 ................................ 2
3
合 理 的 配 慮 の 基 本 的 な 考 え 方 ........................................ 3
4
環 境 の 整 備 .............................................. .......... 7
5
委 託 や 指 定 管 理 事 業 者 へ の 対 応 ...................................... 7
第3
理 解 の 促 進 の た め の 研 修 .......................................... 7
第4
障がいの特性とコミュニケーションの留意点
1
視 覚 障 が い ........................................................ 8
2
聴 覚 障 が い .......................................... .............. 9
3
肢 体 不 自 由 ......................................... .............. 10
4
内 部 障 が い ....................................................... 11
5
知 的 障 が い ....................................................... 12
6
精 神 障 が い ....................................................... 14
7
発 達 障 が い ....................................................... 14
8
難 病 を 原 因 と す る 障 が い ........................................... 15
3
第5
場面ごとの合理的配慮の例
1
庁 内 で の 案 内 ..................................................... 16
2
来 客 ・ 窓 口 対 応 ................................................... 17
3
一 般 町 民 を 対 象 と し た 講 演 会 や イ ベ ン ト 等 の 開 催 ..................... 19
第6
理 解 の 促 進 の た め の 研 修 ......................................... 21
第7
障 が い を 理 由 と す る 差 別 に 関 す る 相 談 体 制 の 整 備 ................... 21
第8
対 応 要 領 の 見 直 し ............................................... 21
4
第1
趣旨
こ の 職 員 対 応 要 領( 以 下「 対 応 要 領 」と い う 。)は 、障 害 を 理 由 と す る 差 別 の 解
消 の 推 進 に 関 す る 法 律 ( 平 成 25 年 法 律 第 65 号 。 以 下 「 法 」 と い う 。) 第 10 条 第
1項の規定に基づき、南部町が事務又は事業を行うに当たり、法第7条に規定す
る 事 項 に 関 し 、南 部 町 職 員( 臨 時 職 員 を 含 む 。以 下「 職 員 」と い う 。)が 適 切 に 対
応するために必要な事項を定めるものとする。
1
職員
職員とは、次の各号の組織に所属する職員及び南部町会計管理者をいう。
2
(1 )
南部町課設置条例第1条に規定する課
(2 )
南部町出納室
(3 )
南 部 町 行 政 組 織 規 則 第 18 条 に 規 定 す る 出 先 機 関
(4 )
南部町教育委員会の事務局の組織に関する規則第3条に規定する課
(5 )
南部町立学校給食センター
(6 )
南部町公民館条例第2条に規定する公民館
(7 )
南部町名川B&G海洋センター
(8 )
南部町民体育館
(9 )
南部町議会事務局
(10)
南部町選挙管理委員会事務局
(11)
南部町監査委員(書記に限る)
(12)
南部町固定資産評価審査委員会(書記に限る)
(13)
南部町農業委員会事務局
法が定める障がいを理由とする差別の禁止
■障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)
第7条
行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者
でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害しては
ならない。
2
行 政 機 関 等 は 、そ の 事 務 又 は 事 業 を 行 う に 当 た り 、障 害 者 か ら 現 に 社 会 的 障 壁 ※ 1
の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負
担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障
害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要
かつ合理的な配慮をしなければならない。
1
(地方公共団体等職員対応要領)
第10条
地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第7条
に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適
切 に 対 応 す る た め に 必 要 な 要 領 ( 中 略 ) を 定 め る よ う 努 め る も の と す る 。( 以 下 略 )
≪留意事項≫
障 が い を 理 由 と す る 差 別 に は 、第 7 条 第 1 項「 不 当 な 差 別 的 取 扱 い 」
(作為に
よ る も の )と 同 条 第 2 項「 必 要 か つ 合 理 的 な 配 慮( 以 下「 合 理 的 配 慮 」と い う 。)
の 不 提 供 」( 不 作 為 に よ る も の ) の 2 種 類 が あ る 。 ※ 1
第2
障 が い を 理 由と す る 不 当 な 差 別 的取 扱 い 及 び 合 理 的 配慮
職 員 は 、 そ の 事 務 又 は 事 業 を 行 う に 当 た っ て は 、 以 下 の 基 本 的 な 考 え 方 を 踏ま
えて、障がいを理由とした不当な差別的取扱いにより、障がいのある人の権利利
益を侵害することのないようにするとともに、社会的障壁の除去について合理的
配慮を適切に行うものとする。
1
法が対象とする障がいのある人
身 体 障 が い 、 知 的 障 が い 、 精 神 障 が い ( 発 達 障 が い を 含 む ) そ の 他 の 心 身 の機
能 の 障 が い( 以 下「 障 が い 」と い う 。)の あ る 人 で あ っ て 、障 が い 及 び 社 会 的 障 壁
により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人。
≪留意事項≫
対 象 と な る 障 が い の あ る 人 は 、 障 害 者 手 帳 の 所 持 者 に 限 ら れ な い 。 ま た 、特
に 障 が い の あ る 女 性 は 、 障 が い に 加 え て 女 性 で あ る こ と に よ り 、 更 に 複 合 的に
困 難 な 状 況 に 置 か れ て い る 場 合 が あ る こ と 、 ま た 、 障 が い の あ る 児 童 に は 、障
がいのある成人とは異なる支援の必要性があることに留意する。
※1
「社会的障壁」とは、障がいのある人にとって、日常生活又は社会生活を営む上で障
壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
・事物(通行や利用しにくい施設・設備や、音声案内・点字・手話通訳の欠如など)
・制度(利用しにくい制度など)
・慣行(障がいのある人の存在を考慮しない習慣や文化など)
・観念(障がいのある人に対する偏見、誤解、差別的な意識など)
2
2
不当な差別的取扱いの基本的な考え方
障 が い の あ る 人 に 対 し て 、正 当 な 理 由 な く 、障 が い を 理 由 と し て ※ 2 、財・サ ー
ビスや各種機会の提供を拒否、場所・時間帯などを制限、障がいのない人に対し
ては付さない条件を付けることなどによる、障がいのある人の権利利益を侵害す
ることを禁止する。
≪留意事項≫
(1 )
不 当 な 差 別 的 取 扱 い と は 、 正 当 な 理 由 な く 、 事 務 又 は 事 業 に つ い て 諸事
情が同じ障がいのない人と比較して、障がいのある人を不利に扱うこと。
したがって、障がいのある人の事実上の平等を促進し、又は達成するため
に必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。
(2 )
ア
「正当な理由」の判断の視点
当 該 取 扱 い が 、 客 観 的 に 見 て 正 当 な 目 的 の 下 に 行 わ れ 、 そ の 目 的 に 照ら
してやむを得ないと言える場合は正当な理由に相当する。
正当な理由があると判断した場合には、障がいのある人にその理由を説
明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
イ
正 当 な 理 由 に 相 当 す る か 否 か に つ い て は 、 具 体 的 な 検 討 を せ ず に 正 当な
理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごと
に、障がいのある人、第三者の権利利益(安全の確保、財産の保全、損害
発生の防止など)及び町の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観
点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必
要である。
■不当な差別的取扱いの例(例示であり、記載した具体例に限られるものでない)
※2
①
視覚障がいのある人が施設を利用する時に、盲導犬の同伴を断る。
②
イベント会場で、電動車いすを使用していることを理由に入場を拒否する。
③
障がいを理由に窓口対応を拒否する。
④
障がいを理由に対応の順序を後回しにする。
⑤
障がいを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。
⑥
障がいを理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。
⑦
事務又は事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障がいがあること
「障がいを理由として」とは、障がいを直接の理由とする場合と、障がいそのもので
はないが、車いす等の福祉用具の利用や盲導犬・介助犬・聴導犬の同行等のような障が
いに関連する事由を理由とする場合も含まれる。
3
を理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支
障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。
■不当な差別的取扱いには当たらない例
①
障がいのある人を優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)
②
合理的配慮の提供による障がいのない人との異なる取扱い
③
合理的配慮の提供等に必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がいのある
人に障がいの状況等を確認すること。
3
合理的配慮の基本的な考え方
事 務 又 は 事 業 を 行 う に 当 た り 、 個 々 の 場 面 に お い て 、 障 が い の あ る 人 か ら 現に
社 会 的 障 壁 の 除 去 を 必 要 と し て い る 旨 の 意 思 の 表 明 ※ 3 が あ っ た 場 合 に お い て 、そ
の実施に伴う負担が過重でないときに、障がいのある人の権利利益を侵害するこ
ととならないよう、社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組である。
合 理 的 配 慮 は 、 障 が い の あ る 人 が 受 け る 生 活 の し づ ら さ は 心 身 の 機 能 の 障 がい
のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって
生ずるものとする「社会モデル」の考え方を踏まえたものである。
≪留意事項≫
(1 )
事 務 又 は 事 業 の 目 的 ・ 内 容 ・ 機 能 に 照 ら し 、 必 要 と さ れ る 範 囲 で 本 来の
業務に付随するものに限られる。
(2 )
障 が い の な い 人 と の 比 較 に お い て 同 等 の 機 会 の 提 供 を 受 け る た め の もの
である。
(3 )
事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばない。
(4 )
障 が い の 特 性 や 具 体 的 場 面 ・ 状 況 に 応 じ て 異 な り 、 必 要 か つ 合 理 的 な範
囲で、柔軟に対応がなされるものである。
(5 )
提 供 す る 合 理 的 配 慮 の 内 容 に つ い て は 、 相 手 方 と 代 替 措 置 も 含 め 十 分な
コミュニケーションを図り、合理的配慮の提供義務を果たせるようにする
ことが必要である。
(6 )
※3
「過重な負担」の判断の視点
「意思の表明」とは、言語(手話を含む)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提
示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達などの必要な手段(通訳を介する
ものを含む)により伝えられるもの(障がいのある人の家族、支援者・介助者、法定代
理 人 等 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 支 援 す る 者 が 本 人 を 補 佐 し て 行 う 意 思 の 表 明 も 含 む )。
4
過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈す
るなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等
を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必
要である。過重な負担に当たると判断した場合は、障がいのある人にその
理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
ア
事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的・内容・機能を損な
うか否か)
イ
実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
ウ
費用・負担の程度
■社会モデルとは
障がいのある人が日常生活又は社会生活において受ける制限(生活のしづらさ)
は、心身の機能の障がいだけでなく、むしろ障がいがあることが考慮されずに作ら
れた社会の仕組みや社会的な障壁に原因があるとする考え方。
従来、障がいのある人が日常生活又は社会生活において受ける制限は、個人の病
気 や 外 傷 等( 機 能 障 害 )に 原 因 が あ る と 考 え ら れ た( 医 学 モ デ ル )。こ の た め 、障 が
いのある人への対応は、この制限の原因となる機能障害を治療やリハビリ等によっ
て軽減させることが必要であるとし、専門の福祉施設などに保護して必要な治療や
リハビリ等を受けさせることに重点が置かれてきた。
一方で、このような施策は、障がいのある人を地域社会から排除する社会環境の
形成につながり、その結果、様々な社会の仕組みが障がいのある人の存在を考慮し
ないで作られるようになったとの指摘がある。
今 日 で は 、障 が い の あ る 人 を 地 域 社 会 か ら 排 除 せ ず 、共 生 す る 社 会(「 ソ ー シ ャ ル・
イ ン ク ル ー ジ ョ ン ( 誰 を も 排 除 し な い 社 会 )」) を 目 指 す こ と が 社 会 福 祉 の 基 本 理 念
になっており、国連総会における「障害者権利条約」の採択によって社会モデルの
考え方が国際ルールとなり、障害者基本法にもこの考え方が取り入れられた。
■合理的配慮(代替措置を含む)の例
(物理的環境への配慮の具体例)
①
建物に入るに当たり車いすを使用する人から配慮を求められた場合、スロープ
の設置場所まで案内する。又は、建物入口の段差を解消する携帯スロープを設置
する。
代替措置の例:携帯スロープを用意できない場合、人力で持ち上げる。
②
配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位
5
置を分かりやすく伝える。
③
目的の場所までの案内の際に、障がいのある人の歩行速度に合わせた速度で歩
いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障がいのある人の希望を聞いた
りする。
④
障がいの特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付
近にする。
⑤
疲労を感じやすい障がいのある人から別室での休憩の申し出があった際、別室
の確保が困難であったことから、障がいのある人に事情を説明し、対応窓口の近
くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。
⑥
不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障がいのある人に対し、職
員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。
(意思疎通の配慮の具体例)
①
筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使
って説明をする等の意思疎通に配慮する。
代替措置の例:手話通訳が実施できない場合に、筆 談や身振りでの応対、図や表
示物を使用しての説明が可能か検討する。
②
会 議 資 料 等 に つ い て 、点 字 、拡 大 文 字 な ど の 形 式 が 異 な る 資 料 を 使 用 す る 際 は 、
ページ番号等の違いに配慮した説明を行う。
③
視覚障がいのある委員に会議資料等を事前送付する際は、読み上げソフトに対
応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。
④
意思疎通が不得意な障がいのある人に対し、絵カードやメモを活用して意思を
確認する。
⑤
書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記
述で伝達したりする。
⑥
比喩表現等が苦手な障がいのある人に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを
用いずに説明する。
⑦
知的障がいのある人から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説
明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。なじみのない外来語は避
け る 、漢 数 字 は 用 い な い 、時 刻 は 24 時 間 表 記 で は な く 午 前・午 後 で 表 記 す る な ど
により理解を求める。
⑧
町民を対象とする町主催行事に、希望に応じて手話通訳者及び要約筆記者を配
置する。
(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)
①
順番を待つことが苦手な障がいのある人に対し、周囲の者の理解を得た上で、
手続き順を入れ替える。
②
立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該
6
障がいのある人の順番が来るまで別室や席を用意する。
③
スクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。
④
車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。
⑤
庁舎の敷地内の駐車場等において、障がいのある人の来庁が多数見込まれる場
合、通常、障がいのある人専用とされていない区画を専用の区画に変更する。
⑥
他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等があ
る場合、障がいのある人に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備する。
⑦
非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られる
ことを前提に、障がいのある委員の理解を援助する者の同席を認める。
4
環境の整備
合 理 的 配 慮 を 必 要 と す る 障 が い の あ る 人 が 多 数 見 込 ま れ る 場 合 、 障 が い の ある
人 と の 関 係 性 が 長 期 に わ た る 場 合 等 に は 、そ の 都 度 の 合 理 的 配 慮 の 提 供 で は な く 、
事前の環境整備に努める。
■事前の環境整備の例
①
建物出入口へのスロープの設置工事
②
一定規模以上の町主催行事における手話通訳者及び要約筆記者の配置
③
車いすを使用する人の窓口手続等のため、書類を書きやすい高さのテーブル等
を 用 意 す る 。 望 ま し い 高 さ は 70~ 75 セ ン チ メ ー ト ル 。
5
委託や指定管理事業者への対応
委 託 や 指 定 管 理 等 に よ り 事 務 事 業 を 行 う と き は 、 提 供 さ れ る 合 理 的 配 慮 の 内容
に町との大きな差異が生ずることにより障がいのある人が不利益を受けることの
ないよう、事業者が当該分野において主務大臣が示す対応指針(ガイドライン)
に 則 っ て 適 切 に 対 応 す る と と も に 、そ の 業 務 に 従 事 す る 従 業 員 が 、適 切 な 対 応( 不
当な差別的取扱いの禁止、合理的配慮の提供)を行うよう必要な措置を講ずるも
のとする。
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第4
障 が い の 特 性 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン の 留 意 点
障 が い の 種 類 は 同 じ で も 程 度 や 症 状 は 一 人 ひ と り 様 々 で 、 ま た 、 複 数 の 障 がい
を併せ持つ場合もあります。したがって、そのニーズも多様であるため、画一的
ではなく、柔軟に対応することが重要です。
1.視覚障がい
視 覚 障 が い は 、 視 力 、 視 野 ( 見 え る 範 囲 )、 色 覚 ( 色 の 判 別 ) な ど の 障 が い で 、
文字の読み取りや慣れない場所で移動することが困難であるなど、様々な生活の
しづらさを抱えています。
視 覚 障 が い の あ る 人 の 中 に は 、 全 く 見 え な い 人 と 見 え づ ら い 人 と が い ま す 。見
えづらい人の中には、細部がよく分からない、光がまぶしい、暗いところで見え
にくい、見える範囲が狭い(視野の一部が欠けていたり、望遠鏡でのぞいている
ような見え方)などの人がいます。また、特定の色が分かりにくい人もいます。
■主な特徴
①一人で移動することが困難
慣 れ な い 場 所 で は 、一 人 で 移 動 す る こ と が 困 難 で す 。ま た 、外 出 時 に 白 杖 ※ 4
を 使 用 す る 人 は 、 杖 を 左 右 に 振 っ て そ の 先 が 物 や 壁 に 当 た る こ と で 、 足 下 の状
況を確認しています。
②音声を中心に情報を得ている
目 か ら の 情 報 を 得 に く い た め 、音 声 や 手 で 触 る こ と で 情 報 を 入 手 し て い ま す 。
③文字の読み書きが困難
文書を読むことや書類に文字を記入することが難しい人が多いです。
④聴覚障がいをあわせ持つ「盲ろう」の人もいる
■コミュニケーションの留意点
①こちらから声をかける
周 り の 状 況 が 分 か ら な い た め 、 相 手 か ら 声 を か け ら れ な け れ ば 会 話 が 始 めら
れ な い こ と が あ り ま す 。 ま た 、 知 っ て い る 相 手 で も 声 だ け で は 分 か ら な い こと
があります。
②指示語は使わない
※4
視覚障がいのある人が歩行するときに使う道具。地面に杖の先を触れさせながら歩く
こ と で 、障 害 物 や 段 差 、路 面 の 変 化 を 知 ら せ て く れ る だ け で な く 、車 の 運 転 手 、自 転 車 、
歩行者などに視覚障がいのある人であることを知らせ、注意喚起を行う。
8
「 こ ち ら 」「 あ ち ら 」「 こ れ 」「 そ れ 」 な ど の 指 示 語 で は 「 ど こ か 」「 何 か 」 分
か り ま せ ん 。 場 所 は 「 30 セ ン チ 右 」「 2 歩 前 」 な ど 、 物 は 「 ○ ○ の 申 請 書 」な
ど具体的に説明します。場合によっては相手の了解を得た上で、手を添え、物に
触れてもらい説明します。
③点字と音声
点 字 は 、 指 先 で 触 っ て 読 む 文 字 で す 。 視 覚 障 が い の あ る 人 が 必 ず し も 点 字を
読 め る わ け で は な く 、 点 字 を 使 用 さ れ る の は 1 割 で 、 残 り の 9 割 の 人 は 、 主に
音声や拡大文字により情報を得ています。
文 字 情 報 を 音 声 に す る 方 法 と し て は 、 補 助 者 に よ る 代 読 ( 代 筆 ) や パ ソ コン
の 音 声 読 み 上 げ ソ フ ト を 用 い る ほ か 、 文 書 内 容 を コ ー ド 情 報 に 変 換 し て 印 刷し
たものを活字文書読み上げ装置を使って音声化する方法もあります。
2.聴覚障がい
音 を 聞 い た り 、感 じ る 経 路 に 何 ら か の 障 が い が あ り 、話 し 言 葉 を 聞 き 取 っ た り 、
周囲の音から状況を判断することが困難であるなど、様々な生活のしづらさを抱
えています。
聴 覚 障 が い の あ る 人 の 中 に は 、全 く 聞 こ え な い 人 と 聞 こ え に く い 人 と が い ま す 。
さらに、言語障がいを伴う人とほとんど伴わない人とがいます。
■主な特徴
①外見から分かりにくい
外 見 か ら は 聞 こ え な い こ と が 分 か り に く い た め 、 あ い さ つ し た の に 返 事 をし
ないなどと誤解されることがあります。
②視覚を中心に情報を得ている
音 や 声 に よ る 情 報 が 得 に く く 、 文 字 や 図 な ど の 視 覚 に よ り 情 報 を 入 手 し てい
ます。
③声に出して話せても聞こえているとは限らない
聴 覚 障 が い の あ る 人 の 中 に は 声 を 出 し て 話 せ る 人 も い ま す が 、 相 手 の 話 は聞
こえていない場合があります。
④補聴器をつけても会話が通ずるとは限らない
補 聴 器 を つ け て い る 人 も い ま す が 、 補 聴 器 で 音 を 大 き く し て も 、 明 瞭 に 聞こ
え て い る と は 限 ら ず 、 相 手 の 口 の 形 を 読 み 取 る な ど 、 視 覚 に よ る 情 報 で 話 の内
容を補っている人もいます。
■コミュニケーションの留意点
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①コミュニケーション方法を確認する
こ う わ
聴 覚 障 が い の あ る 人 と の 会 話 に は 、手 話 、指 文 字 、筆 談 ※ 5 、口 話 ( 声 を 出 し
どく わ
て 話 を す る こ と )、読 話( 相 手 の 口 の 動 き を 見 て 話 を 読 み 取 る こ と )な ど の 方 法
が あ り ま す 。 人 に よ っ て コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 方 法 は 異 な る の で 、 ど の よ うな
方法によれば良いか、本人の意向を確認します。
②聞き取りにくい場合は確認する。
言 語 障 が い の あ る 人 へ の 応 対 は 、 言 葉 の 一 つ ひ と つ を 聞 き 分 け る こ と が 必要
で す 。 聞 き 取 れ な い と き は 、 分 か っ た ふ り を せ ず 、 聞 き 返 し た り 、 紙 な ど に書
いてもらったりして内容を確認します。
3.肢体不自由
手 足 や 体 幹 の 運 動 や 動 作 の 障 が い の た め 、 起 立 や 歩 行 、 物 の 持 ち 運 び が 困 難で
あるなど、様々な生活のしづらさを抱えています。
肢 体 不 自 由 の あ る 人 の 中 に は 、 上 肢 や 下 肢 に 切 断 や 機 能 障 が い の あ る 人 、 座っ
たり立ったりする姿勢保持が困難な人、脳性麻痺の人などがいます。これらの人
の中には、書類の記入などの細かい作業が困難な人、立ったり歩行したりするこ
とが困難な人、身体に麻痺がある人、自分の意思と関係なく身体が動く不随意運
動を伴う人などがいます。移動については、杖や松葉杖を使用する人、義足を使
用する人、電動の車椅子を使用する人などがいます。また、病気や事故で脳が損
傷を受けた人の中には、身体の麻痺や機能障がいに加えて、言葉の不自由さや記
※5
筆談のコツ
①要旨だけを簡単にまとめる
一字一句ていねいに書くより、必要なことだけを簡単にまとめて書くようにした方
が、スムーズにコミュニケーションできます。
○ <良い書き方の例>
調 べ る の に 、 約 10 分 か か り ま す 。
× <悪い書き方の例>
只 今 込 み 合 っ て お り ま す の で 、 お 調 べ す る の に 、 約 10 分 程 か か り ま す 。
②抽象的な言葉や二重否定は使わない
抽象的な言葉や二重否定を使うと、誤解を招くことがあります。遠まわしな言い方
は避け、簡潔にまとめると言いたいことが伝わります。
○ <良い書き方の例>
資 料 を お 渡 し す る の に 、 約 30 分 か か り ま す 。
× <悪い書き方の例>
資 料 を お 渡 し で き な い わ け で は な い の で す が 、用 意 す る の に 時 間 が か か り ま す 。
10
憶力の低下、感情の不安定さなどを伴う人もいます。
■主な特徴
①移動に制約がある人もいる
下 肢 に 障 が い の あ る 人 で は 、 段 差 や 階 段 、 手 動 ド ア な ど が あ る と 、 一 人 では
進めない人がいます。また、歩行が不安定で転倒しやすい人もいます。
車 椅 子 を 使 用 し て い る 人 は 、 高 い 所 に は 手 が 届 き に く く 、 床 の 物 は 拾 い にく
いです。
②文字の記入などが困難な人もいる
手 に 麻 痺 の あ る 人 や 脳 性 麻 痺 で 不 随 意 運 動 を 伴 う 人 な ど は 、 文 字 を 記 入 でき
なかったり、狭いスペースに記入したりすることが困難です。
③体温調節が困難な人もいる。
脊 髄 を 損 傷 さ れ た 人 は 、 手 足 が 動 か な い だ け で な く 、 感 覚 も な く な り 、 周囲
の温度に応じた体温調節が困難です。
④話すことが困難な人もいる
脳 性 麻 痺 の 人 の 中 に は 、 発 語 の 障 が い に 加 え 、 顔 や 手 足 な ど が 自 分 の 思 いと
は関係なく動いてしまうため、自分の意思を伝えにくい人もいます。
■コミュニケーションの留意点
①車いすを使用している人の視線に合わせる
車 椅 子 を 使 用 さ れ て い る 場 合 、 立 っ た 姿 勢 で 話 さ れ る と 上 か ら 見 下 ろ さ れる
感 じ が し て 、 身 体 的 ・ 心 理 的 に 負 担 に な る の で 、 少 し か が ん で 同 じ 目 線 で 話す
ようにします。
②聴き取りにくい場合は確認する
聴 き 取 り に く い と き は 、 分 か っ た ふ り を せ ず 、 一 語 一 語 確 認 す る よ う に しま
す。
③子ども扱いしない
言 葉 を う ま く 話 せ な い 人 に 対 し て 、 子 ど も に 対 す る よ う な 接 し 方 を し な いよ
うにします。
4.内部障がい
内 臓 の 機 能 の 異 常 や 喪 失 の た め 、 継 続 的 な 医 療 ケ ア が 必 要 な ど 、 様 々 な 生 活の
しづらさを抱えています。
内 部 障 が い と は 、 内 臓 機 能 の 障 が い で あ り 、 身 体 障 害 者 福 祉 法 で は 心 臓 機 能、
じん臓機能、呼吸器機能、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、ヒト免疫不全ウイル
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ス(HIV)による免疫機能、肝臓機能の7種類の機能障がいが定められていま
す。
■主な特徴
①外見から分かりにくい
外 見 か ら は 分 か ら な い た め 、 電 車 や バ ス の 優 先 席 に 座 っ て も 周 囲 の 理 解 が得
られないなど、心理的なストレスを受けやすい状況にあります。
②疲れやすい
障 が い の あ る 臓 器 だ け で な く 、全 身 の 状 態 が 低 下 し て い る た め 、体 力 が な く 、
疲 れ や す い 状 況 に あ り 、 重 い 荷 物 を 持 っ た り 、 長 時 間 立 っ た り し て い る な どの
身体的負担を伴う行動が制限されます。
③携帯電話の影響が懸念される人もいる
心 臓 機 能 障 が い で 心 臓 ペ ー ス メ ー カ ー を 埋 め 込 ん で い る 人 は 、 携 帯 電 話 から
発 せ ら れ る 電 磁 波 等 の 影 響 を 受 け る と 誤 作 動 す る お そ れ が あ る の で 、 配 慮 が必
要です。
④タバコの煙が苦しい人もいる
呼吸器機能障がいのある人では、タバコの煙などが苦しい人もいます。
⑤トイレが不自由な人もいる
ぼ う こ う ・ 直 腸 機 能 障 が い で 人 工 肛 門 や 人 工 ぼ う こ う を 使 用 し て い る 人 (オ
ストメイト)は、排泄物を処理できるオストメイト用のトイレが必要です。
■コミュニケーションの留意点
①負担をかけない対応を心がける
症 状 や 体 調 に 応 じ て 、 対 応 し て ほ し い 内 容 を 本 人 に 確 認 し な が ら 、 で き るだ
け負担をかけない応対を心がけます。
②風邪をひいているときはうつさないようにする
体 力 の 低 下 に よ り 感 染 し や す く な る の で 、 応 対 す る 職 員 が 風 邪 を ひ い て いる
ときは、気をつける必要があります。
5.知的障がい
先 天 的 又 は 発 達 期 に 病 気 や け が な ど が 元 で 脳 に 障 が い を 受 け た こ と に よ り知
的 な 機 能 に 影 響 を 受 け 、 複 雑 な 事 柄 や 抽 象 的 な 概 念 を 理 解 す る こ と が 困 難 であ
るなど、様々な生活のしづらさを抱えています。
知 的 障 が い の あ る 人 は 、発 達 時 期 に お い て 脳 に 何 ら か の 障 が い が 生 じ た た め 、
知 的 な 遅 れ と 社 会 生 活 へ の 適 応 の し に く さ の あ る 人 で す 。 重 度 の 障 が い の ため
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常 に 同 伴 者 を 必 要 と す る 人 も い ま す が 、 障 が い が 軽 度 の 場 合 に は 会 社 で 働 いて
いる人もいます。
■主な特徴
①複雑な話や抽象的な表現は理解しにくい
②人にたずねたり、自分の意見を言ったりすることが苦手な人もいる
初 対 面 の 人 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン や 、 急 激 な 状 況 変 化 に 対 応 す る こ と が難
しい場合があります。
③漢字の読み書きや計算が苦手な人もいる
④特定の行動に執着することがある
一 つ の 行 動 に 執 着 し た り 、 同 じ 質 問 を 繰 り 返 し た り す る 人 も い ま す 。 ま た、
質問に対してはオウム返しになる人もいます。
■コミュニケーションの留意点
① 短 い 文 章 で 「 ゆ っ く り 」「 て い ね い に 」「 く り 返 し 」 説 明
一 度 に た く さ ん の こ と を 言 わ れ る と 混 乱 す る こ と が あ る の で 、短 い 文 章 で「 ゆ
っ く り 」「 て い ね い に 」「 く り 返 し 」 説 明 し 、 内 容 が 理 解 さ れ た こ と を 確 認 しな
がら応対します。
②具体的に分かりやすく
案 内 板 や 説 明 資 料 に は 、 漢 字 に ふ り が な を つ け る と と も に 、 抽 象 的 な 言 葉は
避 け 、 絵 や 図 を 使 っ て 具 体 的 に 分 か り や す く 説 明 し ま す 。 例 え ば 大 き さ を 伝え
る と き も 、「 リ ン ゴ の 大 き さ 」 な ど 具 体 的 に 表 現 し ま す 。
③子ども扱いしない
成人の人には、子どもに対するような接し方をしないようにします。
④穏やかな口調で声をかける
社 会 的 な ル ー ル を 理 解 し に く い た め 、時 に 奇 異 な 行 動 を 起 こ す 人 も い ま す が 、
い き な り 強 い 調 子 で 声 を か け た り せ ず 、「 ど う し ま し た か 」「 何 か お 手 伝 い し ま
しょうか」と穏やかな口調で声をかけます。
⑤本人の意思確認が必要
支 援 者 等 同 伴 者 と 行 動 す る こ と が 多 い で す が 、 同 伴 者 の 意 見 だ け で な く 本人
に対する意思確認も必要です。
⑥一人ひとりの状況が異なることを理解することが必要
障 が い の 程 度 ・ 状 況 に よ っ て 、 一 人 ひ と り の 状 態 像 、 行 動 が 異 な る こ と を理
解 し ま し ょ う 。例 え ば 、「 読 め る 」=「 理 解 し て い る 」と は 限 り ま せ ん 。ま た 、
「 は い 」 と 返 事 さ れ た こ と が 、 「 了 解 し た 、 わ か っ た 」 と は 限 ら な い こ と があ
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ります。
6.精神障がい
そう
精 神 障 が い の あ る 人 は 、統 合 失 調 症 、う つ 病 、双 極 性 障 が い( 躁 う つ 病 )、て ん
かん、アルコール依存症等による様々な精神症状により、日常生活や社会生活の
しづらさを抱えています。
精 神 障 が い は 、 適 切 な 治 療 ・ 服 薬 と 周 囲 の 配 慮 に よ り 、 あ る 程 度 の 症 状 を コン
トロールすることが可能となります。また、地域で安定した生活をするために、
周囲の支援は不可欠です。
■主な特徴
①ストレスに弱く、疲れやすく、対人関係やコミュニケーションの苦手な人が多
い
②外見からは分かりにくく、障がいについて理解されず孤立している人もいる
③精神障がいに対する社会の無理解から、病気のことを他人に知られたくないと
思っている人も多い
④周囲の言動を被害的に受け止め、恐怖感を持ってしまう人もいる
⑤若年期の発病や長期入院のために、社会生活に慣れていない人もいる
⑥気が動転して声の大きさの調整が適切にできない場合もある
⑦何度も同じ質問を繰り返したり、つじつまの合わないことを一方的に話したり
する人もいる
■コミュニケーションの留意点
① 「 ゆ っ く り 」「 て い ね い に 」「 く り 返 し 」 説 明
一度にたくさんのことを言われると混乱することがあるので、
「ゆっくり」
「て
いねいに」
「 く り 返 し 」説 明 し 、内 容 が 理 解 さ れ た こ と を 確 認 し な が ら 対 応 し ま
す。
②不安を感じさせないような穏やかな応対
い き な り 強 い 調 子 で 声 を か け た り せ ず 、 穏 や か な 口 調 で 応 対 し ま す 。 相 手に
考えてもらう余裕や安心感を与える応対を心がけます。
7.発達障がい
主 に 脳 機 能 の 障 が い が あ り 、 他 人 と 社 会 的 関 係 を 形 成 す る こ と や 読 み 書 き 計算
の 習 得 を す る こ と が 困 難 で あ っ た り 、注 意 散 漫 で じ っ と し て い ら れ な い な ど 、様 々
な生活のしづらさを抱えています。
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発 達 障 が い は 、自 閉 症 等 の 広 汎 性 発 達 障 が い 、学 習 障 が い( L D )、注 意 欠 陥 ・
多動性障がい(ADHD)等、脳機能の障がいであって、通常低年齢において症
状が発現するものです。自閉症には、知的障がいを伴う場合と伴わない場合(高
機能自閉症)とがあります。
■主な特徴
①外見からは分かりにくい
②話す言葉は流ちょうでも、言われたことを理解しにくい人もいる
③遠回しの言い方や曖昧な表現は理解しにくい
④相手の言ったことを繰り返すときは、相手が言っていることを理解できていな
いことが多い。
⑤遠回しの言い方や曖昧な表現は理解しにくい。
⑥相手の表情・態度や、その場の雰囲気を読み取ることが苦手な人もいる
⑦順序立てて論理的に話すことが苦手な人もいる
⑧関心があることばかり一方的に話す人もいる
⑨言いたいことを、ふさわしい言葉や表情、態度で表現できない人もいる
⑩一度に複数の説明や指示を出すと混乱する人もいる
⑪運動、手先の作業など、極端に不器用な人もいる
⑫文字や文章を読むことはできても、書くことが極端に苦手な人もいる
⑬聞いて理解することはできても、読むことが極端に苦手な人もいる
⑭落ち着きがないように見えたり、視線が合いにくかったりする
■コミュニケーションの留意点
① 短 い 文 章 で 「 ゆ っ く り 」「 て い ね い に 」「 繰 り 返 し 」 説 明
抽 象 的 な 表 現 は 避 け 、 絵 や 写 真 を 活 用 す る な ど 具 体 的 に 説 明 し ま す 。 待 って
も ら う 必 要 が あ る 場 合 や 時 間 に 余 裕 が な い と き な ど は 、 お お よ そ の 待 ち 時 間や
対応できる時間などをあらかじめ伝えておきます。
②安心できる落ち着いた静かな環境を整える
当 事 者 が 言 い た い こ と を 話 せ る よ う 、 落 ち 着 い た 静 か な 環 境 づ く り や 十 分な
時間を確保するようにします。
8.難病を原因とする障がい
体 調 の 変 動 が 激 し く 、 座 っ た り 横 に な っ た り す る こ と が 多 い 、 ス ト レ ス や 疲労
により症状が悪化しやすい、定期的な通院が必要であるといった疾患管理上の条
件などから、様々な生活のしづらさを抱えています。
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難 病 と は 、 原 因 不 明 で 治 療 方 法 が 未 確 立 で あ り 、 か つ 後 遺 症 を 残 す 恐 れ が 少な
くない疾病で、慢性的経過をたどり、本人や家族の経済的・身体的・精神的負担
が大きい疾病です。中には、難病を原因とする障がいのある人もいます。
■主な特徴
①外見からは分かりにくい
外 見 か ら は 分 か ら な い た め 、 電 車 や バ ス の 優 先 席 に 座 っ て も 周 囲 の 理 解 が得
られないなど、心理的ストレスを受けやすい状況にあります。
②体調の変動が激しい
午 前 中 は 体 調 が 悪 く て も 、 夕 方 に な る と 良 く な る な ど 、 一 日 の 中 で の 体 調の
変 動 が あ る こ と が あ り ま す 。 特 に 、 ス ト レ ス や 疲 労 に よ り 、 症 状 が 悪 化 す るこ
とがあります。
■コミュニケーションの留意点
①負担をかけない応対を心がける
症 状 や 体 調 に 応 じ て 、 対 応 し て ほ し い 内 容 を 本 人 に 確 認 し な が ら 、 で き るだ
け負担をかけない応対を心がけます。
第5
場 面 ご と の 合理 的 配 慮 の 例
1.庁内での案内
来 庁 す る 人 の 障 が い の 有 無 や 種 類 は 明 確 で は な い た め 、 来 庁 者 の 中 に は 障が
いのある人も含まれていることを念頭において応対します。
■共通の配慮
・入口や受付付近で困っていそうな人を見かけたら「何かお手伝いすることはあ
りますか」と声をかけます。
・声かけは、介助の人ではなく直接本人に対して行います。
・誘導が必要かどうか、直接本人にたずねます。
・廊下等の歩行空間には、通行に支障をきたすような物を置かないようにします。
・目的の場所までの案内の際に、障がいのある人の歩行速度に合わせた速度で歩
い た り 、前 後・左 右・距 離 の 位 置 取 り に つ い て 、本 人 の 希 望 を 聞 い た り し ま す 。
・こちらからの説明に対する理解が困難な人には、せかしたりせずに「明確に」
「 ゆ っ く り 」「 て い ね い に 」「 く り 返 し 」 説 明 し ま す 。
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・ドアの開閉が困難な人には開閉を手伝います。
・案内板は、必要に応じて漢字にふりがなをつけます。
・会議等で来庁されるとき、障がいのある人の座席は出入口に近い場所に設置し
ます。
■障がい種別の配慮
①視覚障がいのある人
・ 職 員 で あ る こ と 及 び 名 前 を 名 乗 っ た 上 で 、 周 り の 状 況 を 分 か り や す く 伝 えま
す 。待 つ 必 要 が あ る 場 合 は 、お お よ そ の 待 ち 時 間 を 伝 え て 、い す 等 に 案 内 し 、
順番がきたら声をかけて知らせます。
・ 移 動 を 介 助 す る 場 合 は 、 肘 や 肩 又 は 手 首 を 握 っ て も ら い 、 誘 導 す る 側 が 半歩
先 に 立 っ て 歩 き ま す 。階 段 や 段 差 の 手 前 で は「 上 り で す 」
「 下 り で す 」と 声 を
かけます。
②聴覚障がいのある人
・お互いが可能なコミュニケーションの方法を確認し、用件を伺います。
・ 呼 び 出 し の 音 声 が 聞 こ え な い 人 に は 、 ど の よ う な 方 法 で 知 ら せ る か あ ら かじ
め説明して、不安のないようにします。
・筆談で応対できるよう、メモ用紙を用意しておきます。
③車いす使用の人
・ 段 差 が あ る 場 合 に 、 携 帯 ス ロ ー プ の 設 置 や 本 人 の 意 向 を 確 認 し て キ ャ ス ター
上げの補助をするなどします。
・少しかがんで目線が合う高さで話します。
・ 窓 口 に は 、 低 く て 車 い す の 入 る ス ペ ー ス の あ る カ ウ ン タ ー を 設 置 す る な ど、
車いす使用の人が利用しやすい工夫をします。
・車いす使用の人にとって、車いすは身体の一部のように感じているので、勝
手 に 車 い す を 押 し た り せ ず 、 誘 導 の 介 助 を 希 望 さ れ る か ど う か 、 必 ず 本 人の
意向を確認してから誘導介助をします。
④立っているのがつらそうな人
・いすのあるところに案内し、職員がそこに出向いて用件を聞きます。
⑤知的障がいのある人
・絵や図、写真などを使用して分かりやすく説明します。
2.来客・窓口対応
来 庁 者 に 気 づ い た ら 、 仕 事 の 手 を 止 め 、 い す か ら 立 ち 上 が っ て 用 件 を た ずね
ます。
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■差別的取扱いの禁止
・障がいがあることを理由に窓口対応を拒否することをしてはいけません。
・障がいがあることを理由に対応の順序を後回しにしてはいけません。
・障がいがあることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供など
を拒んではいけません。
・障がいがあることを理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件
を 付 け た り 、 特 に 支 障 が な い に も か か わ ら ず 、 付 き 添 い 者 の 同 行 を 拒 ん だ りし
てはいけません。
■共通的な配慮
・相 手 の 話 を よ く 聞 き 、訪 問 目 的 を 的 確 に 把 握 し 、
「 た ら い 回 し 」に し な い よ う に
します。
・ 話 が 的 確 に 伝 わ る よ う に 「 明 確 に 」「 ゆ っ く り 」「 て い ね い に 」 話 し ま す 。
・障がいの種別に関わりなく、相手の話をよく聴き、安心して話ができる信頼関
係をつくります。
・必要に応じて、絵・図・写真を使って説明します。
・相談内容が的確に把握できない場合には、必要に応じて複数の職員で対応しま
す。
・ポイントを明確に、文章は短く、専門的な用語でなく一般的な分かりやすい言
葉で説明します。
・書類の記入方法については、記入例も含めて文書で大きくわかりやすく表示し
ておきます。
・書類の記入をする際、戸惑いを見せていたら「お手伝いしましょうか」などと
声をかけます。
・ 入 口 や 受 付 付 近 で 困 っ て い そ う な 人 を 見 か け た ら 、「 ど う さ れ ま し た か 」「 何 か
お手伝いすることはありますか」と声がけします。
・視覚障がいのある人や肢体不自由などで自筆が困難な場合は、本人の意思を確
認して、可能な限り代筆を行います。
・順番を長時間待つとパニックを起こすような場合は、周囲の理解を得て手続順
を入れ替えます。
・他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等があ
る場合は、本人に説明の上、施設の状況により別室を準備します。
■障がい種別の配慮
①視覚障がいのある人
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・自分の名前を名乗った上で、伝えたい内容を分かりやすく説明します。
・ 一 時 的 に 席 を 離 れ る 際 や 新 た に 応 対 す る 職 員 が 加 わ る よ う な 場 合 に は 、 その
旨を伝えます。
・ 拡 大 文 字 の 文 書 を 希 望 さ れ る 人 に は 、 説 明 資 料 等 を 拡 大 コ ピ ー し た も の を渡
して説明します。
・ 必 要 に 応 じ て 必 要 な 箇 所 や 、 希 望 箇 所 を 読 み 上 げ ま す 。 読 み 方 と し て は 、ま
ず 目 次 や 全 体 の 構 成 を 説 明 し 、 そ の 後 に 必 要 な 箇 所 を 読 み ま す 。 そ の 際 は、
要点をまとめるのではなく、原文をそのまま読み上げます。
・代筆した場合には、その内容を読み上げ、内容を確認してもらいます。
②聴覚障がいのある人
・お互いが可能なコミュニケーションの方法を確認し、用件を伺います。
・筆談を求められた場合には、速やかに応対します。
・問い合わせは電話、ファックス、電子メールなどでもできるようにします。
・できるだけ静かな環境で対応できるよう配慮します。
・ 話 す と き に は 、 本 人 の 正 面 を 向 い て 、 口 を 見 せ 、 ゆ っ く り 、 は っ き り と 話し
かけます。
③車いす使用の人
・配架棚の高いところに置かれたパンフレット等を取って渡します。
・ 窓 口 対 応 の 机 に 車 い す が 入 ら な い 場 合 は 、 車 い す が 入 る 高 さ の 机 で 対 応 する
など、不便にならないよう配慮します。
④口頭での説明では理解が難しい人
・ 説 明 の ポ イ ン ト を メ モ 書 き し て 渡 し ま す 。 そ の 際 、 必 要 に 応 じ て 、 漢 字 にふ
りがなをふります。
⑤同じ話を何度も繰り返す人、つじつまの合わない話をする人
・ 話 を 途 中 で 遮 ら ず に 、 タ イ ミ ン グ を 見 計 ら っ て 用 件 を 確 認 し 、 訪 問 目 的 に沿
って対応するようにします。
・ 相 手 が 声 の 調 整 が で き ず 大 き い 声 で 話 し て も 、 落 ち 着 い た 雰 囲 気 で 対 応 する
ことを心がけます。
・ 相 談 内 容 を 箇 条 書 き に し 、 内 容 を 相 互 で 確 認 し た う え で 相 手 に 渡 し ま す 。次
回 ま で に 準 備 し て ほ し い こ と が あ れ ば ア ン ダ ー ラ イ ン を 引 く な ど し て 、 課題
を明確にします。
3.一般町民を対象とした講演会やイベント等の開催
一 般 町 民 を 広 く 対 象 と す る 講 演 会 や イ ベ ン ト 等 を 開 催 す る 場 合 は 、 障 が いの
ある人の参加を念頭においた対応が必要となります。
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■開催会場の確認
・障がいのある人の利用が可能かどうか、エレベーター、多目的トイレ、身障者
駐車場等の有無を確認します。
・会場までの通路や廊下は、車いすで通行可能かどうか確認します。
・会議机について、車いす使用の人が足を入れることのできる高さのものかどう
か確認します。
・体温調整が困難な人がいる場合には、空調設備の整っている会議室かどうか確
認します。
■事前の情報提供
講 演 会 や イ ベ ン ト に 関 す る 事 前 情 報 は 、 広 報 紙 、 ポ ス タ ー 、 チ ラ シ 、 新 聞 だけ
でなく、テレビ、ラジオ、ホームページなど、できる限り複数の情報伝達手段を
利用します。
■参加申込み
・障がいがあることを理由に、説明会、シンポジウム等への出席を拒んではいけ
ません。
・事 前 に 参 加 申 込 み を 受 け る 場 合 は 、電 話 、郵 送 、フ ァ ッ ク ス 、電 子 メ ー ル な ど 、
できる限り複数の手段で受けるようにします。
・申込書の様式に備考欄を設けるなどして、障がいのある人が希望するサービス
( 介 助 の 要 否 、 手 話 通 訳 、 要 約 筆 記 、 拡 大 文 字 資 料 、 点 字 資 料 、 ふ り が な 付き
資 料 、 車 い す 使 用 者 、 身 体 障 が い 者 駐 車 ス ペ ー ス な ど ) を 事 前 に 把 握 で き るよ
うにしておくと、各種ニーズへの対応を準備することができます。
■会場内設営
・会場出入口までスムーズに行くことができる敷地内通路かどうか確認します。
・ 通 路 幅 ( 120 ㎝ 以 上 ) の 確 保 、 視 覚 障 が い 者 誘 導 用 ブ ロ ッ ク の 有 無 等 を 確 認 し
ます。
・階段や段差がある場合、板などによる簡易スロープを設置するなどの応急措置
や 、 係 員 が 車 い す を 持 ち 上 げ た り 杖 を 使 っ た り し て い る 人 の 歩 行 介 助 を す るな
どの人的支援を検討します。
・講演会や会議において、手話通訳者等を配置する場合は、聴覚障がいのある人
の 座 席 を 前 方 に 指 定 し ま す 。 な お 、 説 明 者 は 、 手 話 通 訳 や 要 約 筆 記 に 配 慮 し、
ゆっくりとした説明を心がけます。
・車いす使用の人の座席については、出入口や通路に近い場所を広めに確保しま
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す。
第6
理 解 の 促 進 のた め の 研 修
職 員 が 障 が い の あ る 人 に 対 し て 適 切 に 対 応 し 、 ま た 、 障 が い の あ る 人 及 び その
家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するためには、法の趣旨、社会的
障壁の除去の必要性、障がいやその状態に応じた配慮等に関する理解を深めるこ
とが必要である。
こ の た め 町 で は 、 障 が い を 理 由 と す る 差 別 の 解 消 の 推 進 を 図 る た め の 研 修 ・啓
発を行うものとする。また、各所属においては、職員に障がいの特性を理解させ
る と と も に 、障 が い の あ る 人 に 適 切 に 対 応 す る よ う 意 識 の 啓 発 を 図 る も の と す る 。
第7
障 が い を 理 由と す る 差 別 に 関 す る相 談 体 制 の 整 備
職員による、障がいを理由とする差別に関する障がいのある人及びその家族そ
の 他 の 関 係 者 か ら の 相 談 等 に 的 確 に 対 応 す る た め 、健 康 福 祉 課 に 相 談 窓 口 を 置 く 。
相 談 等 を 受 け る 場 合 は 、性 別 、年 齢 、状 態 等 に 配 慮 す る と と も に 、対 面 の ほ か 、
電話、ファックス、電子メールに加え、障がいのある人が他人とコミュニケーシ
ョンを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとす
る。
第8
対 応 要 領 の 見直 し
こ の 対 応 要 領 は 、 国 が 法 に 基 づ き 策 定 す る 差 別 解 消 の 推 進 に 関 す る 基 本 方 針や
障がいを理由とした差別に関する相談事例等を踏まえ、必要があると認めるとき
は、所要の見直しを行うこととする。
対 応 要 領 を 変 更 す る と き は 、 策 定 す る と き の 手 続 に 準 じ て 、 あ ら か じ め 障 がい
のある人その他関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、
変 更 後 は 遅 滞 な く 公 表 す る も の と さ れ て い る も の 。( 法 第 10 条 第 5 項 )
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