経営の志を高め倫理を推進する国民会議 報告書 ~尊敬される企業経営

経営の志を高め倫理を推進する国民会議
報告書
~尊敬される企業経営を目指して~
2008 年 5 月
財団法人社会経済生産性本部
はじめに
経営の志を高め倫理を推進する国民会議のねらい
経済界、労働界、学識者など各界で構成する財団法人 社会経済生産性本部(理
事長 谷口 恒明)は、平成 18 年 7 月 10 日、高度な企業経営の実現と組織倫
理の向上を推進するため、
「経営の志を高め倫理を推進する国民会議(志・倫理
推進会議)」を設立した。我々の狙いは、次の3点である。
第 1 は、日本企業が激変する内外の諸環境の下で、社会が求める高次の価値
を実現する経営に挑む志と意欲を企業経営者に対し、鼓舞することである。I
T革命が進展し、グローバル競争が展開され、同時に価値観が多様化し、人間
重視の傾向が高まる今日、経営者にとって、絶えず経営戦略を革新することが
時代の要請である。
第 2 は、企業倫理の確立を促すことである。この数年、毎日のように企業不
祥事が新聞紙上を賑わせ、社会に深い不信感が広がっている。倫理に反した企
業行動が、一夜にして組織そのものを存亡の機に立たせることすらある。企業
倫理の確立と実践は企業経営の原点であり、市場経済の基礎である。そのため
には法令を遵守しているだけではなく、そのレベルよりも高い倫理行動を目指
すべきである。
第 3 は、企業内の「信頼」を再構築することである。かつて、
「信頼」は、日
本の社会や企業の強さを特色付ける強みであった。最近拡がりつつある「信頼」
の揺らぎは、「倫理観」と「意欲」、そして「誇り」の喪失につながる懸念さえ
ある。信頼の絆は、経営力を高め、現場力を培う礎石である。
上記 3 点の狙いを達成していくためには、経営者の高い志が必要である。と
りわけ、社会の期待に応える経営を行なうためには、企業倫理の確立が必須の
条件である。企業倫理を確立することこそ、従業員に働く意欲とその企業の一
員であることに誇りを持たせ、企業の発展につながる。
「経営の志を高め倫理を推進する国民会議」は、このような観点に立って社
会経済生産性本部の会員企業や上場企業を対象に実態を調査するとともに、尊
敬される企業経営に実現に向けて、企業が経営の志を高め倫理を推進する道筋
を8項目に取りまとめて提案する。あわせて自社の状況を把握するための自己
チェックリストを作成した。
1
【目
次】
1.企業経営に革新が迫られている・・・・・・・・・・・・・・3
2.社会から倫理が問われている・・・・・・・・・・・・・・・6
3.企業経営が目指すべきもの・・・・・・・・・・・・・・・・8
4.企業経営と企業倫理に関する調査結果・・・・・・・・・・13
5.経営の志を高め、倫理を推進するための8つの提案・・・・16
6.自己チェックリスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
参考資料
1.「経営者の志と倫理」実態調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・31
2.企業倫理に反する事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
3.ジョンソン・エンド・ジョンソンの取り組み・・・・・・・・・・・・54
4.企業経営に関する先人の教訓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
5.国際行動に関する最近の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
6.「経営者の志と倫理」実態調査 調査票・・・・・・・・・・・・・・・60
7.経営を高め倫理を推進する国民会議
2
メンバー・・・・・・・・・・・71
1.企業経営に革新が迫られている
(1)企業に対する社会の評価軸の変化
企業を取り巻く環境は激変している。その変化に先んじて価値創造に向けて
いかに行動を起こしていくかが、企業に問われている今日の最大の課題である。
日本企業の多くは、これまで、日本的経営の特色とされてきた終身雇用や年
功序列賃金体系から有期契約雇用の導入、成果主義賃金への転換などを進めて
きた。社外役員制度の導入や委員会設置会社へ移行するなど、コーポレート・
ガバナンスの改革に努力している企業もある。
しかし、最近は市場構造、技術条件などがこれまでに経験したことのない速
さで変化している。これに伴って企業に対する社会の評価軸が変化し、企業を
見る目が厳しくなっている。
日本の経済システムは、規制改革によって行政による事前調整型から企業の
自己責任と司法による事後監視型へと移行しつつある。それだけに公正な市場
を実現するには、企業など市場の当事者の倫理性の高い行動と新しい価値への
挑戦が不可欠となる。
市場は自由競争を基盤とする。競争は、効率的な資源配分を促進し、成長を
促す。同時に市場の公正を確保するためには一定のルールが必要となる。社会
は、企業に対して、その誠実な履行を求めるとともに、社会の価値観と調和す
る倫理的な行動を期待している。
市場が有効かつ適正に機能するには、企業は必要な情報を市場関係者に公開
し、市場とのコミュニケーションを保ち、適正な説明責任を果たすことが必要
となる。
また、市場や技術条件の変化に応じて適時適切にルールを設定し、変更する
必要が生じることがある。その際、企業を含む市場関係者の適切な提言が有効
であることはいうまでもない。
企業の社会における役割が拡大するにつれ、企業は、自己の活動に対して社
会との調和を積極的に図っていく責任が求められる。とりわけ、企業倫理に対
する社会の評価が厳しくなっている。規制緩和の進展により、市場原理至上主
義の影響下で拝金主義や収益優先の気運が広がって、投機的取引に走る企業が
現れたり、安全基準に違反したり、事実を隠蔽して社会の批判を浴びるケース
が頻発している。
先進的な企業は、収益などの経済的側面ばかりでなく、安全性や地球環境な
どの社会的側面についての情報公開も進めている。こうした傾向は企業に対す
る社会の評価軸の変化に応えるものといえる。最近、NGO、シンクタンクやフ
ァ ンド の一部などが 企業 の社会的 責任や社会的責任投資 (SRI※Socially
responsible investment)について評価格付けを行っているのも同様である。
しかしながら、数多くの企業不祥事が発生している現状をみると、日本の経
営者にとって、企業の社会的責任の感覚が血となり肉となっているとはいい難
3
い状況にある。
(2)市場の質の高度化
これまでも高度成長を背景に、生活の質の向上へのニーズは高まってきたが、
最近の技術条件の進歩と世界的な交流の展開を通じて、需要者がより高次の価
値を求めるようになっている。市場では、技術革新によって高機能で優れたデ
ザインの商品や、多様な効用に応えるサービスが提供されている。
情報通信手段の進歩により新商品や新サービスの情報が世界中に広がり、消
費者のニーズを一層刺激するようになっている。加えてグローバリゼーション
の進展が、人々の多様な交流を生み、異文化への関心を高めるに違いない。
一方供給サイドにおいても、IT 革命を基軸とした技術革新は、企業に対して
新しい価値を創造するツールを提供している。IT 革命により、人間の知的活動
領域が飛躍的に拡大し、新しい価値を創り出す知識創造産業が続々と誕生しつ
つある。企業にとって、市場の質の高度化に応えることこそが競争に生き残る
途である。
(3)グローバルに展開される知的競争
世界市場は、グローバリゼーションによって、一つのプレイングフィールド
となり、国も、企業も、個人も、それぞれの個性を競い合うことによって成長
を促すことになる。
IT革命は、企業や人々を他の主体と直結させ、
「時間」と「距離」を超えた
活動を可能にし、企業は最も有利な場所で、最適生産、最適販売、最適分業、
最適開発を展開することになる。日本の企業は、その中にあってグローバル競
争に打ち勝つために、情報力、知的創造力、技術力を駆使して知的価値創造に
挑戦していかなければならない。最近、企業価値を高めるため国境を越えてM
&Aが増加しており、欧米のグローバル企業は、その点で優位性を発揮してい
る。
とりわけ、アジア地域は世界の成長エンジンとして国際企業が積極的に事業
展開を進めている。アジア経済は既にかつての雁行型の発展パターンからウェ
ブ型の発展パターンに変化し、垂直、水平の分業体制を基礎に域内の相互依存
を高め、やがて EU(※European Union 欧州連合)や NAFTA(※North
American Free Trade Agreement 北米自由貿易協定)と並ぶ経済圏に成長す
ると考える。
日本企業は、成長著しい中国やインドなど東アジア諸国とのネットワークを
強化するとともに、アジア諸国の工業化による攻勢に対して、他の追随を許さ
ない独自の技術力と文化力に裏付けられた魅力ある商品づくり、サービスづく
りによって効果を上げていく必要に迫られている。
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(4)地球環境の深刻化
異常気象、地球温暖化や自然破壊が象徴するように、地球環境の悪化は、ま
すます深刻になっている。2007 年 11 月に発表された気候変動に関する政府間
パネル(IPCC※Intergovernmental Panel On Climate Change)第 4 次報告書
によれば、2100 年までに地球の平均気温が最大で 6.4 度上昇すると予測してい
る。
最近の地球環境の劣化をみると、地球温暖化、酸性雨、生物多様性の破壊、
砂漠化、土壌汚染、水不足などが複合的に進行しており、人類の健康維持や食
糧供給にも不安を生じさせている。
人類は、これまで生活の豊かさと便益の向上を求めて技術を開発し、産業を
発展させてきたが、そうした人類の行動が、今や地球の循環機能を超えるとこ
ろまで来てしまった。大量生産、大量消費、大量廃棄に依存したこれまでの産
業システムは、根本から見直しが迫られている。低炭素社会への構造改革は、
日本はもとより先進国、発展途上国を問わず緊急の課題である。
1997 年の第 3 回気候変動枠組条約締結国会議で締結された京都議定書で定め
られた温暖化ガスの削減目標の達成に向けて、日本企業は、自主行動計画の実
施、省エネルギー及び二酸化炭素の排出削減への努力、省エネルギー商品の開
発などに懸命の努力を続けている。更に経営面でも環境報告書の作成、環境会
計の導入、そしてグリーン調達の実施などを進めている。地球環境への対応は、
企業の社会的責任の重要な分野を担うものである。
企業経営においても、市場のグリーン化、技術パラダイムの変革に向けて、
その重点を地球環境への負荷の低減に指向することを迫っている。公共財であ
る地球環境との共生は、企業経営の優先課題である。
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2.社会から倫理が問われている
(1)多発する企業の不祥事
この数年、毎日のように報道される企業不祥事をみると、
「なぜ、こんなこと
が生じるのか」と首をかしげざるを得ないものがある。食品の賞味期限の付け
替え、産地表示の偽装、耐震偽装設計、リコール隠し、データ改ざん、談合、
インサイダー取引、株式の偽計取引などさまざまな事件が起こっている。高品
質は日本産業の強みであるにもかかわらず、この点にも問題が生じており、企
業に強く反省を求めるものである。しかも、最近の事例は、生活者の生命や健
康・安全に関わる事件も多く、一夜にして組織そのものを危機に陥らせること
すらある。
一方、企業の社会的責任についての認識を深め、法令遵守はもとより企業倫
理の向上を図ろうとする機運が生じている。企業収益を社会に還元しようとい
うメセナ活動を展開する企業も出てきてはいる。しかし、こうした動きが全体
に広がっている状況とはいい難い。
見つからなければ“頬かむり”というやり方は、もはや通用しない。消費者
をはじめ、社会全体の監視の目が厳しくなっている。また内部告発者を保護す
る法律として、公益通報者保護法も制定されている。
(2)企業倫理に反する事件の背景と態様
まず、企業倫理に反する事件発生の背景について分析してみよう。
意図的に企業の業績を誇張し、または企業の不利な事実を隠蔽しようとする
ことや、企業の事業規模の拡大、利益増大を図るべく、法的規制を無視したり、
賄賂を贈ったり、脱税するものも現れている。競争相手に対して取引を有利に
運ぼうとするために情報を操作するものもあれば、政治家や取引先などの特定
のものに利益を供与するものもある。自己利益をめざして横領など違法行為を
行なうものもある。また、社会の変化により今まで許容されてきた商習慣が許
容されなくなったことにより明るみに出たものもある。
最近の企業不祥事の態様をみると、特定部門により行われるものもあるが、
トップの意図も含めて企業ぐるみで行うものもある。
いずれにしても、一般的に企業の中に倫理を軽視する風土の存在、トップの
倫理観についてのリーダーシップが欠けている場合に、企業倫理に反する事件
が発生するケースが多い。
次に、最近生じている企業倫理に反する事件から態様を整理してみよう。
第 1 に、企業組織運営に関するものがある。株主総会、取締役会の運営上の
手続き違反がこれに当たる。
第 2 に、行為規制の違反に関するものがある。規制改革により行為規制は減
少しつつあるが、それでも談合、官製談合、不正入札、過剰広告、不正競争、
不正な政治献金、贈収賄などが発生している。インサイダー取引、偽計取引、
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相場操作などの有価証券取引違反も最近注目を集めている。訪問販売、連鎖販
売取引、特定継続的役務提供などの特定商取引も批判を浴びている。
第 3 に、安全基準の違反に関するものがある。暖房器具などの安全基準違反、
食品安全及び表示違反、自動車のリコール隠し、原子力発電の事故隠し、耐震
偽装設計などが安全をおびやかすものとして社会の厳しい非難を浴びた。
第 4 に、競争条件違反に関するものがある。独占禁止法において定める独占
的地位の乱用や闇カルテル、再販価格の指示、不適切な下請取引などが問題に
なっている。
第 5 に、地域や地球の環境に関するものがある。かつて企業は高度成長期に
公害を発生させ、社会や周辺住民の強い非難を浴びた。最近では、廃棄物処理
方法、リサイクルのあり方、温室効果ガス排出削減などに関心が集まっている。
第 6 に、情報保護違反に関するものがある。個人情報の流出、企業秘密の漏
洩などがこれに当たる。特許権、商標権、実用新案権、著作権などの知的財産
の侵害も今後ますます関心を呼ぶであろう。
第 7 に、労働関係の違反に関するものがある。過労死、不払い残業、安全衛
生の違反など労働基準法に定める基本的ワークルール違反や、セクハラ、男女
の不平等な取扱い、いじめなどが指摘されている。景気回復の過程で企業は雇
用のかなりの部分を非正規雇用に切り替え、今や非正規雇用は約 1750 万人に達
しており、その中には、偽装請負や不正派遣といった事例も発生している。
第 8 に、国際関係取引に関するものがある。国際会計基準の履行、知的財産
の保護、国際カルテルの排除、ダンピングの禁止などがこれに当たる。
(3)グローバリゼーションと国際企業倫理
これまでも、日本企業が海外事業を展開する際に、雇用条件、企業行動、知
的財産権などをめぐって批判を浴びたことがあった。グローバリゼーションの
進展に伴い、日本企業も、国際的視点から企業倫理の遵守を求められている。
しかし、国際的なルールが国内のルールと異なっていたり、現地の文化や社会
背景のもとで倫理的対応もそれぞれに特性があることから、日本の企業はこの
点を十分に研究し、的確に対応していく必要がある。
国際的なルールの代表的なものに ILO 条約がある。これは、労働者の基本的
人権を保護するために、強制労働並びに児童労働の禁止など「使用者が遵守す
べき労働条件」を定めている。また OECD は、2005 年 6 月に「多国籍企業行
動指針」を設定し、同様の企業行動を求めている。日本経団連も企業行動憲章
実行の手引の 2007 年改定の際、同旨の指針を追加した。企業は、国際展開する
場合、それらを尊重しなければならない。
また、地球環境問題は、ますます深刻になっており、海外諸国ともそれぞれ
の事情に応じて対策を強化しつつある。企業は海外展開を図るにあたって、そ
れらを尊重し、最善の行動を取らなければならない。
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3.企業経営が目指すべきもの
(1)日本企業への期待
日本企業は 21 世紀に入って、とりわけ製造業の分野で、持ち前の“モノづく
り”に最近の先端技術を融合させ、数々の新商品を生み出し、いざなぎ景気越
えを実現した。しかし、今後は国際経済環境の不安定化が進み、日本での少子
高齢化が加速するなど、かつての成長を支えた諸条件が失われつつある。
加えて、日本産業は、中国、韓国、東南アジア諸国に製造業の分野で激しく
追い上げられている。欧米諸国は先端技術や情報システムの新しいフロンティ
アの開拓で先行し、企業価値を高めるために、国境を越えた提携合併や企業投
資を積極的に実施している。激しい国際競争の中で、他国のグローバル企業と
対比すると、日本企業の価値創造力は必ずしも優位性を保っているとはいい難
い。
日本の企業経営者は、最近生起しつつある企業に対する社会の評価軸の変化、
市場構造の変革、技術条件や社会意識の変質などを的確に捉え、将来を展望す
る高い志を持って企業理念を確立し、現実の市場を的確に評価する鋭い目線を
もってコーポレートガバナンスを展開していくことが必要である。
企業組織は生き物である。それ故に企業の構成員全員に意欲を持たせ、倫理
観を徹底し、協働を促すことこそ、経営の原点である。
(2)高い志に支えられた企業理念
日本社会の中で、企業は大きな役割を担っている。企業は、資本と技術と労
働を結合させて、商品やサービスを市場に提供する機能を有している。また、
労働力人口のうち企業雇用者は 82%に達しており、国民の生活基盤を担ってい
る存在でもある。ワークライフバランスを持ち出すまでもなく、企業は人生の
大半を企業とともに過ごす従業員に対し、仕事を通じた充実感、生きがいを与
える存在でなければならない。事実、それを基盤に地域・社会に貢献している
企業も多い。
言うまでもなく、企業は、単独で成り立っているのではない。118 年間で年率
11.6%の成長を上げるジョンソン・エンド・ジョンソン社は、そのクレド(参考
資料 3 参照)において、顧客、従業員、地域社会、及び株主の満足を重視し、
良好な相互信頼関係を確立することを求めている。企業はステークホルダーの
潜在的なニーズを捉え、社会と共生し、時代の変化に先んじて能動的に行動し
ていくことが求められる。企業は、より良い社会を形成し、時代をリードする
役割を担っている。
経営者は、こうした観点に立って、自社の成長だけではなく、社会に対する
責任を認識し、理想とする社会を実現していく高い志と強い情熱のもとに経営
に当たらなければならない。
歴史を振り返ってみると企業の社会的責任の参考となる先人の教えがある。
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論語では「君子は義に喩り、小人は利に喩る」と説いた。江戸時代の思想家で
ある石田梅岩は、
「二重の利を取り、甘き毒を喰ひ、自死するやうなこと多かる
べし」
「実の商人は、先も立、我も立つことを思うなり」と、企業だけの利益を
追求するのではなく、社会の利益とのバランスを取ることを説いている。近江
商人の思想である、買い手よし、売り手よし、社会よしという「三方よし」も、
ステークホルダーとの協調が企業の持続的発展につながると説いている。また、
二宮尊徳は「経済と道徳の一致」を主張し、信頼を基盤とした経済活動の必要
性を指摘した上で、自然との共生についても説いている。豊田佐吉は「上下一
致、至誠業務ニ服ス」ことを説き、
「研究ト創造ニ心ヲ致シ常ニ時流ニ先ンズベ
シ」と教えている。
現在失われつつある日本企業の「信頼」を取り戻すためには、この先人の教
えから学ぶべき点が多い。経営者は、このような教えから求められる高い志を
見出すことができるだろう。企業の成長と社会との調和を両立させることによ
ってこそ、信頼に満ちた企業社会が構築できるに違いない。経営者及び企業の
役割は極めて重要なのである。
(3)企業が追求すべき価値
企業は、社会が希求する価値を創出し、提供する組織体である。ここで問題
となるのは、社会が希求する価値とは何かという点である。企業が追求すべき
価値は、顧客価値、従業員価値、社会価値及び経済価値の 4 つの価値から成り
立つ。これらの価値をバランスよくスパイラルに高めていくことが企業の社会
的責任の実践である。
①顧客価値
顧客価値とは、顧客が求める価値を充足することである。顧客に感動を与え
ることこそ成功の基盤である。
顧客価値は、社会意識、社会環境、技術条件などによって絶えず変化する。
企業は顧客が求めるものを提供するに留まることなく、顧客が潜在的に期待し
ているより優れた価値を開発していく努力を払わなければならない。
最近の市場動向をみると、低価格志向と高価値志向の二極分化の現象がみら
れる。低価格志向は、製品の差別性の低い身の回り品などで多く見られる現象
である。顧客はインターネットなどを駆使して、最も安いものを買い求める。
高価値志向は、自らの感性に合致し、その価値を認める場合には、高い対価
を払うことを厭わない傾向を指す。企業がそのいずれを狙うかは、まさに企業
の戦略なのである。
高価値志向は、まず文化価値を尊重することに表れる。人々が家具、家電製
品、自動車、ファッションなどを選択する際には機能のみならず、感性に沿う
デザインを重視し、美的なセンスを大切にし、精神的充足をもたらす芸術を愛
好するという消費行動になる。
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同時に、IT の活用などにより時間の効率化を図り、時間節約型のサービスを
求めるとともに、旅行、芸術鑑賞などのエンターテイメントを楽しむなど、時
間価値も大切になってきている。
そして、自らの資質や能力を高め、趣味を拡げたいという教養価値やスポー
ツ、レクリエーションを通じて心身の健全性を保つ健康価値にも関心が高い。
最近の食品表示問題などが象徴するように身体、生活、財産の安全を守りた
いという安全、安心価値なども高価値志向の表われである。
企業としては、顧客価値を把握し、これを充足するとともに、顧客がもつ潜
在的な価値を引き出していく必要がある。それには、情報ネットワークを最大
限に活用したマーケティングや顧客との絶えざるコミュニケーションが決め手
になる。顧客基点の商品開発、技術開発も重要である。
②従業員価値
従業員価値とは、雇用を最大限維持し、従業員の能力を高めるとともに、充
実し安定した生活を送ることができるような企業ということであり、従業員の
満足度と言い換えても良い。
企業としては、従業員の人間性を常に尊重し、従業員が仕事の中で自己実現
できるよう配慮すべきである。そのためには、のびのびと仕事をする雰囲気を
保ち、倫理観に支えられた風土を醸成し、従業員が安心して仕事に従事できる
環境を整備した上で、公正で、能力に応じた処遇を用意しなければならない。
同時に、企業は、従業員の生活や人生が豊かなものとなるよう配慮すべきで
ある。最近、ワークライフバランスへの関心が高まっている。従業員の人間性
が尊重され、充実した企業生活はもちろん、自己の能力を高める機会を持ち、
社会に参画し貢献していく環境が整えられることが大切である。
ワークライフバランスを尊重することは、従業員のモチベーションや倫理観
を高め、ひいては企業の活力向上につながるのである。
③社会価値
社会価値とは、社会の安定性と持続性を維持する上で、社会と共生する企業
であるか否かということである。最近、市民や消費者との対話、地域社会への
貢献に努める企業が増えているのは、こうした価値への認識が高まっているか
らである。
企業は、社会の構成員として、責任を果たしていくことが重要である。コン
プライアンスの重要性がしばしば指摘されるが、法令遵守は最低限の責任であ
り、企業にはより高次の倫理が期待されている。
また、企業としては、企業をめぐるステークホルダーとの安定した関係を保
つとともに、市場に対する情報公開、説明責任を果たすことも重視しなければ
ならない。
さらに、消費者は、企業に対して、商品やサービスの安全を確保することを
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強く求めている。生活上の安全の確保や金融取引において安心を提供するサー
ビスにも期待する。
最近は、企業も消費者も、地球温暖化の防止、省エネルギー、リサイクルな
どへの関心を高めている。環境負荷の軽減と良好な環境醸成を図る環境価値の
維持は、いまや社会の強い要請である。
さらには、企業が市民としての社会貢献、地域協力、メセナ活動などを行な
う市民価値も社会価値を構成する。
企業は、その存在と活動において、たえず社会と深い係り合いを持つ。企業
のステークホルダーと良好な関係を維持しなければ、長期にわたる企業の発展
は望めない。
④経済価値
経済価値とは、企業の収益力と成長力を指す。これは、市場経済が企業に求
める価値である。これにより株価を上昇させ、株式時価総額を高める努力が求
められる。その手段として、企業は、各般の生産性向上策を講ずるとともに、
設備投資の展開、人材の強化、技術開発力の充実、新商品の開発、非効率部門
のアウトソーシング、コーポレートガバナンスの改善などを進める必要がある。
日本は、これまで、モノづくりに優れた成果をあげてきた。さらに、今後は、
知識社会の進展に合わせ、持続的なイノベーション力を養い、知的な付加価値
の向上に努める必要がある。そのためには IT の戦略的な活用が不可欠である。
企業の収益は、企業の将来に向けての戦略、活力ある企業風土、現場の効率
的運営など企業の全機能に依存する。そのためには、最適の成長路線を追求す
るとともに、社員の意欲を鼓舞する経営の指針が不可欠である。
現場においても、マニュアルや自動生産システムに依存した流れ生産より、
セル生産方式などが効率を高める場合がある。働く人にスポットをあて、現場
からの改善提案や意欲を引き出す仕組みをビルトインする必要がある。
企業として経済価値を高める要諦は、他の追随を許さない独自性をある商
品・サービスを開発することにある。
⑤企業価値の極大化を図る経営戦略
企業としては、顧客価値、従業員価値、社会価値及び経済価値に表象される
企業価値のいずれをも最大にする戦略をとるべきである。
企業が、経済価値を追求するあまり、顧客価値を軽視すれば、やがて市場か
ら見放され、競争から脱落することになる。従業員価値を軽視すれば、従業員
は働く意欲を喪失し、優秀な従業員は他社へ転職し、結果的に経済価値は下落
する。社会価値を軽視すれば、社会の非難を浴び、市場から追放されることに
なる。
従って、企業としては、四つの価値それぞれの向上を追求するとともに、そ
れぞれが相互に背反する場合にはその最適な組み合わせを図り、スパイラル的
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にそれらの価値の高揚を図る努力を続けなければならない。明確かつ最適な経
営目標の設定、これを実践する効率的な経営システムの構築、それに構成員の
努力と意欲を集約する経営管理が総合的に実行されてこそ、それが達成できる
のである。
そこで最も重要なことは、経営者のリーダーとしての志である。リーダーの
器がその組織の器を規定する。リーダーに求められる資質は、歴史観に裏付け
られ、広い視野と知識に基づく先見的な構想力と判断力、経営方針を着実に展
開する説得力と実行力、それに人をひきつける信用力と包容力である。
そこで忘れてはならないことは、企業の経済上の価値は、企業活動の結果で
あるということである。近年、株式時価総額重視の風潮が強まったことから、
手段と目的を混同し、株式時価総額の向上が企業活動の目的としている企業が
見られるが、企業の存在意義は、前述したように、社会との共生の中で高めら
れるのである。
社会は、経営者に対して、企業の成長と社会の進化という課題の同時解決を
図るという高い志を求めている。経営者がこれに応えることこそが、市場で、
そして広く社会での共感を呼び、ブランド力の向上を勝ち取ることができるの
である。
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4.企業経営と企業倫理に関する調査結果
(1)企業経営の考え方
我々は、2007 年 5 月に全上場・公開企業、社会経済生産性本部賛助会員を対
象に「経営の志と倫理」実態調査(以下、実態調査)を実施した。有効回答数
は 256 件である。
その結果、企業経営の強さとして、第 1 に経営者が前述の顧客価値、従業員
価値、社会価値、経済価値それぞれを重視していること、第 2 に経営者が企業
理念浸透のために直接的、間接的にさまざまな努力をしていること、第 3 にス
テークホルダーの意見を経営に反映させようとしていることの 3 点が明らかに
なった。一方、弱さとして、ステークホルダーの意見の取捨選択が困難である
こと、CSR、SRI の評価に関する意識が低いことなどの課題が浮かび上がって
きた。
(2)コーポレートガバナンスの実態
①企業経営の重点について
企業経営で最も重点を置いているものを 3 点以内の選択で調査したところ、
「顧客価値の充足、顧客へのサービス」「収益の向上」「従業員の満足、資質の
向上」が上位を占め、顧客価値、従業員価値、社会価値、経済価値に重点を置
いていることが明らかになった。
経営者の企業理念の浸透方法については、
「行動基準」
「社長談話」
「研修」が
上位を占めた。このなかで「社長談話」
「従業員との直接対話」のように経営者
がメッセージを発することにより徹底を図っている企業が、全体の 74.6%に達
した。
②関係者の意見の反映
社外取締役や第3者機関からの意見の経営に対する反映度をみると、
「すべて
反映している」が 17.1%であるのに対し、
「反映しているが、必要ないものは反
映していない」が 38.5%、
「反映しているが、諸事情により反映できないものも
ある」が 33.1%であった。
また消費者からの意見への対応については、「全面的に優先して対応してい
る」が 40.8%、「対応しているが、諸事情により対応できないものもある」が
38.8%、
「対応しているが、必要ないものは対応していない」が 11.9%で、意見
の選択に苦心のあとがみられる。
(3)企業倫理への取り組みと現状
①企業経営者の企業倫理に対する意識
経営者の 7 割以上が企業倫理に関して高いレベルの取り組みを目指しており、
かつ直接対話の重要性を認識している実態が明らかになった。
「法令の範囲より
レベルの高い倫理行動」をとるとするものが 47.5%、
「法令の範囲よりレベルの
13
高い倫理行動を基盤の上に実施する社会貢献行動」を実践するものが 24.7%で
両方の回答で全体の 7 割を超えている。
②倫理委員会
倫理委員会を設置している企業は全体の 50%であった。設置している企業の
うち、構成メンバーに経営トップが含まれている企業が 68%、経営トップか担
当役員が含まれている企業は 96%であった。
開催頻度は定期的に開催している企業が 64.7%に及び、不定期に開催してい
る企業が 25.3%であった。開催時間は年 8 時間以上が 30.5%と最も多く、年 4
時間から 8 時間が 23.4%であった。
③調査または監査
倫理に関する実態(意識)調査を定期的に実施している企業が 25.3%、実施
したことがある(定期・不定期を含む)企業が 44.9%に達した。そして実施し
ていない企業が 47.5%であった。
倫理監査については実施している企業が 29.3%、実施していない企業が
54.7%で、実施予定である企業が 9.8%であった。
倫理調査や倫理監査で浮かび上がった課題がマネジメントに反映されること
が必要であるが、反映されているとするものが 66.9%であった。
④倫理教育
企業倫理に関する研修の対象と実施状況をみると、毎年教育を受けている割
合が役員層では 36.1%、管理職層では 45.1%、一般職層では 41.3%、非正規社
員では 27.2%であった。すべての階層で最も多い頻度は「随時」であった。
倫理的課題が研修プログラムに反映されているかについては、反映されてい
るとする回答が 70.4%であった。
⑤ヘルプライン
社内ヘルプラインについては、社内の部署で組織化している企業が 40.2%、
第 3 者機関に委託している企業が 7.0%、両方で組織化している企業が 32.0%だ
ったのに対し、設置していない企業は 19.5%であった。設置していない企業の
割合について規模別にみると、資本金 5 億円以上の企業の 12.8%に対し、資本
金 5 億円未満の中堅・中小企業では 38.6%で、企業規模によって取り組みに差
がみられる。
社内ヘルプライン等で発見した課題がマネジメントに反映されているかにつ
いては、反映されているとする回答が 76.2%であった。
(4)地球環境問題への対応
地球環境への対応については積極的であった。取り組み状況については重点
課題かつ方針や数値目標を立てている企業が最も多かった。次いで他社と同程
度として方針や数値目標を立てていない企業が約3割に達している。
取り組みの具体的テーマについては省エネ・省資源が 87.9%と最も多く、次
いでリサイクルが 79.3%、廃棄物対策が 71.1%であった。
14
また、グリーン調達については実施している企業の割合が 53.8%と高かった。
(5)改善すべき課題
調査結果から見た改善すべき課題をみると、第 1 に倫理委員会、チェック機
能の取り組みが不十分であること、第 2 に倫理教育の頻度が少ないこと、第 3
にヘルプラインの未設置企業が存在すること、第 4 に地球環境の取り組みにバ
ラつきがみられることである。その主なる点は次の通りである。
①倫理委員会などによるチェック機能が不十分
前述の通り、倫理委員会の設置状況の設問では「設けている」50.0%、「設け
ていない」48.8%と拮抗している。従業員に対する意識調査の実施状況の設問
でも「実施している」25.0%、「実施したことがある」19.9%に対して「実施し
ていない」47.7%となり大きく分かれている。
倫理監査の実施状況についての設問では「実施している」29.4%、「実施して
いない」54.5%となり、これらの結果から、倫理委員会、チェック機能の取り
組みが不十分であることが浮かび上がった。
②倫理教育の充実が必要
毎年倫理教育を実施している階層をみると、年間で最も多いものが管理職層
で 45.1%、最も少ない対象が非正規社員で 27.2%である。最も効果を上げる教
育方法は「継続」であり、現状の教育頻度では十分ではない。繰り返し実施す
ることが重要で、それにより社員の倫理的価値観や意思決定の基軸を確固たる
ものとし、倫理的風土の醸成を図ることが可能となる。
③ヘルプラインの設置が遅れている
ヘルプライン未設置企業が全体で 19.5%であり、特に資本金 5 億円未満の企
業になると 38.6%に及ぶ不十分な取り組み状況にある。以前は企業での違法行
為や倫理的の問題がある行為を従業員は見て見ぬ振りをするものが多かったが、
最近は意識が変化し、悪いことは悪いと従業員が声を上げるようになった。近
年の不祥事発覚の発端は内部告発によることが多い。企業側は違法ないしは倫
理的問題を大きくしないためにも、ヘルプラインは必須の制度である。公益通
報者保護制度も制定されている。ヘルプラインの未設置企業は、早急にこの種
の制度を導入することが望ましい。
④地球環境の取り組みに温度差がある
地球環境の取り組みについては、多くの企業が重点課題として取り組んでい
るが、その対応が他社と同程度であったり、方針や数値目標を立てていない企
業が少なからず存在する。このように企業間でこの問題に対する取り組みに温
度差がある。地球温暖化対策は企業経営の中で大きな課題になっている。企業
として一層の意識の向上と積極的な取り組みが求められる。
15
5.経営の志を高め、倫理を推進するための8つの提案
我々は、企業経営者が経営の志を高め、倫理を推進し、現在直面している経
営課題を解決し、より質の高い経営を実現するために、以下の 8 つの課題を提
案する。
第1.経営者は高い倫理観のもとに企業価値を高めることが経営の究極の目的
であるとの認識を有し、その実現に向けた経営理念を確立し、従業員に
浸透させること。
①企業価値は、ただ単に収益をあげることのみにあるのではない。経営者
は絶えず顧客や消費者が何を求めているか、そして広く社会が企業に何
を期待しているかに応えなければならない。その上で、企業が顧客価値、
従業員価値、社会価値および経済価値の全てを向上させることが重要で
ある。
②経営者はこうした認識のもとに、自らの思想と倫理観を経営理念に集約
し、具体的に明文化するとともに、社内全員がこれを十分に理解し実践
するよう、経営者自らが絶えず社内で対話し、その趣旨を徹底する努力
を続けなければならない。
第2.地球環境の保全が人類の生存のために緊要な課題となっていることから、
そのための対策を企業経営の重要課題として企業内に定着させること。
①地球環境の保全は今や重要な社会価値になっている。地球環境を保全し
回復するため、国際的に設定されたルールを遵守し、目標を達成しなけ
ればならない。同時にあらゆる英知を結集して、地球環境保全のために
最善の行動をとる必要がある。
②経営者はあらゆる経営資源を結集して、地球環境保全と資源エネルギー
の効率利用につながる技術開発、商品開発、生産手段の改善に取り組む
とともに、環境重視を経営管理の最重点課題とする必要がある。
③全企業が地球環境の保全を地球上の共通課題として取り組めるよう、国
際合意の形成に努力するとともに、柔軟でかつ効果的な国際ルールの設
定に協力する必要がある。同時に課題解決のために海外企業との協力を
展開すべきである。
④経営者は地球環境についての認識を深めるとともに、企業の取り組みに
関する情報公開に努めるべきである。
16
第3.経営者はその経営理念を実現するため、最適かつ効率的な経営システム
を確立し、柔軟な経営管理を実践すること。
①経営者は、社会が期待する企業価値を実現するために、国内外の他の企業
が採用しているからということではなく、真に自社にふさわしいかどうか
を判断し、柔軟かつダイナミックな経営システムを確立し、その効果的な
展開を図るべきである。
②経営者は、変化する社会のニーズを的確に捉えるよう社外の意見を吸収す
るメカニズムを活用する必要がある。
③労使関係を通じて切磋琢磨する緊張感を持つことが経営を革新する上で
有効であり、そのための仕組みの効果的運用を図ることが好ましい。
④経営者は、その経営理念が企業内に浸透し、実現しているかを定期的にチ
ェックする仕組みを導入し、経営の反省と改革に活かさなければならない。
⑤経営システムを円滑に運用するには、情報の共有が不可欠である。トップ
とミドル、トップと現場、ミドルと現場の間の意思疎通や一体化を図るコ
ミュニケーションが重要である。
第4.情報公開や社会との対話を通じて企業経営の透明性を高めるとともに、
広く社会貢献に協力すること。
①社会が企業を公正に評価するために、企業は経済的側面および社会的側面
にわたる他社との比較可能な情報提供に努めなければならない。CSR報
告書や環境報告書の充実を図ることは、企業経営を可視化する上で有効で
ある。
②社外との対話、社外からの情報収集を担当する専門部門や担当責任者を置
く企業が増加している。そのようなチャネルは、企業経営の透明性を高め、
経営を革新する上で有効である。
③経営者は、社会が企業に求める倫理観を鋭敏に感得することが必要である。
世論の動向や社会意識を絶えず把握し、企業倫理向上に結びつけることが
必要である。
④ボランティア活動やメセナ活動を通じて、企業活動で得た利益を社会のニ
ーズに応えて還元し、社会の進化に貢献することは、企業の社会価値を高
める有効な手段である。
17
第5.企業内に倫理上の自浄作用を高める仕組みをビルトインすること。
①倫理綱領の設定、倫理委員会の設置と活動、ヘルプラインの整備など、社
内倫理意識の高揚を図る仕組みを導入することは、企業倫理の自浄作用を
高める上で有効である。
②法令遵守はもとより、広く企業倫理に係る行動については、適格に内部統
制を実施し、その評価を人事制度にも反映することが必要である。
③不祥事発生に備えて、危機管理のための対応を準備しておくとともに、こ
うした事態が発生した場合には、トップが率先して対応すべきである。
第6.倫理教育の充実はもとより、人間性の充実を図る能力開発を強化し、人
材育成に力を入れること。
①組織の盛衰はリーダーの器によって決まる。経営者は、リーダーシップを
発揮するために、絶えず自己の資質と能力を磨き、国際的視野を拡げ、人
格を高めなければならない。
②企業倫理の向上は、人材の資質に係っている。経営者は、各自の資質向上
を促すとともに、倫理教育を社内で徹底しなければならない。
③トップ、中間管理層、現場の各部門に応じて人材育成のための教育システ
ムを企業内に定着させるとともに、能力と経験に即した人事配置、成果に
対する適正な評価、仕事を効率よく展開する経営システムが不可欠である。
④中間管理層の能力は企業の活力の高揚に不可欠である。中間管理層に期待
されるものは、社会や市場への知的なアンテナ機能や、内外との信頼醸成
能力であり、価値創造のチャレンジ力である。
第7.海外事業を展開するに当り、国際上の企業倫理ルールを尊重し行動する
とともに、国際的な企業行動の改善に貢献すること。
①国際的なルール、例えば WTO や ILO の規定、あるいは OECD の国際企
業行動基準や各種の国際標準などを尊重して行動しなければならない。
②日本企業が海外事業を展開する場合、現地のルールや文化、慣習を尊重し、
現地化に努めなければならない。
③特に発展途上国においては、現地における企業倫理上の模範となる行動を
取るべきである。
④地球環境を解決する見地から国際的なルール、現地の政策に適合するのみ
ならず、省エネルギーや温暖化ガス排出削減に向けて、行動することが肝
要である。
18
第8.経営の志を高めるコーポレートガバナンスや企業倫理の実践について、
評価基準や評価方法を改善して、その効果的運用を図ること。
①企業の経営の質を高め、社会の期待に応えていくために、社会の意識や市
場の評価を把握し、修正すべき点を経営に反映させていく必要がある。
②研究機関や評価機関が企業のパフォーマンスや企業の社会的責任、社会的
責任投資などについて評価を行い、場合によってはランキングを付してい
るものがある。その評価手法などを十分検証した上で、それを反省の材料
として活用することが望ましい。
③本会議はアンケート調査をもとに、
「経営の志と企業倫理」についてのチェ
ックリストを作成した。これらを経営改革の参考とすることを期待してい
る。
19
6.自己チェックリスト
自社の状況はどのようになっているのか、各設問をチェックしてみてください。
各設問の当てはまる項目部分の「我が社」欄に○をつけてください。評価欄に
ABC が記載されている設問は自社のレベルを把握する「ものさし」となります。
ABC それぞれが何個ついたのか集計してみてください。この結果から今後取り
組むべき事柄や改善すべき点の参考としてください。
※一部のチェックリストはアンケートの設問を参照して作成しています。アン
ケート集計結果と比較してみてください。
<コーポレートガバナンス>
【チェック 01】 企業理念の明確化
選択肢
我が社
評価
①作成しかつ明確化している
A
②作成し、ある程度浸透している
B
③必要の都度トップから伝える
B
④作成していない
C
【チェック 02】 企業理念の徹底方法
選択肢
我が社
評価
①社訓
―
②社長談話
―
③行動基準(コンプライアンスガイドラインなど)倫理綱領
―
④研修
―
⑤従業員との直接対話
―
⑥朝礼・会議時での唱和
―
⑦意思決定時に理念に照らして活用
―
⑧必要に応じ伝達している
―
【チェック 03】 企業経営の目標設定
選択肢
我が社
評価
①中長期・年次の経営計画を策定
A
②年次計画を策定
B
③策定していない
C
20
【チェック 04】 企業経営計画における重点
選択肢
我が社
評価
①売上の拡大、シェアの拡大
―
②収益の拡大
―
③株式評価額の増加、株主への利益還元
―
④顧客価値の充実、顧客満足
―
⑤従業員満足
―
⑥企業倫理の向上
―
⑦技術力の向上
―
⑧商品安全、品質向上
―
⑨環境保全
―
⑩メセナ活動
―
※ 他社の回答については P32をご参照下さい。
【チェック 05】 社外からの経営上の意見の反映
選択肢
我が社
①社外からの取締役、監査役、顧問をおき、積極的に意見を聞
評価
A
く
②社外からの取締役、監査役、顧問をおき、適宜意見を聞く
B
③社外からの取締役等はおかないが、適宜意見を聞くことがあ
B
る
④特に社外の意見を聞いていない
C
【チェック 06】 社内からの提案や意見の提出
選択肢
我が社
評価
①社内の仕組みを活用して、提案や意見が積極的に提出される
A
②求めれば社内から適宜提案や意見が提出させる
B
③特に提案や意見を求めない
C
【チェック 07】 労働組合とのコーポレートガバナンスについての意見交換
選択肢
我が社
①労働組合とは定期的にコーポレートガバナンスについて意
評価
A
見交換を行う
②労働組合と必要が生じたときに意見交換の機会を持つ
B
③特に労働組合と意見交換を行っていない
C
21
【チェック 08】 情報公開の統制
選択肢
我が社
評価
①専門の担当責任者、部門を設けている
A
②専門部署は設けていないが、ルールを決めて関係部門が適宜
B
行なっている。
③特に統制も基準も設けていない
C
【チェック 09】 情報公開の態様
選択肢
我が社
①CSR報告書、環境報告書を発行するなど、法令の範囲以上
評価
A
に積極的に情報公開を進める
②法令で求められている範囲で情報公開を行っている
B
③情報公開はできるだけ控えている
C
【チェック 10】 外部からの苦情、不満の吸収
選択肢
我が社
評価
①専門の部門を設けて、外部の苦情、不満、意見を吸収する
A
②外部からの苦情などがあった時に検討し対処する
B
③外部からの苦情などにはさして配慮していない
C
【チェック 11】 個人情報保護
選択肢
我が社
評価
①専門の部門を設けて個人情報保護に留意する
A
②とくに専門の部門を設けていないが法令の範囲で留意する
B
③とくに留意していない
C
【チェック 12】 企業収益と企業倫理観が相反する場合の選択
選択肢
我が社
評価
①企業収益を損なっても企業倫理を優先する
A
②法令違反にならなければ企業収益を優先する
B
③企業収益が損なわれる場合、多少企業倫理を損なってもやむ
C
をえない
22
<顧客価値>
【チェック 13】 顧客価値の把握と充足
選択肢
我が社
①通常の営業情報に加えて、特別の調査を実施するなど顧客価
評価
A
値の把握・充足している
②通常の営業情報を処理し顧客価値を把握・充足している
B
③特別なことはしていない
C
【チェック 14】 国内で提供しているサービスや商品の安全基準
選択肢
我が社
評価
①安全基準は世界最高の基準で設けている
A
②安全基準は同業他社を上回るレベルで設けている
A
③安全基準は同業他社程度の基準で設けている
B
④安全基準は法令レベルで設けている
C
※他社の回答については P35 をご参照下さい。
【チェック 15】 海外で提供しているサービスや商品の安全基準
選択肢
我が社
評価
①世界最高のレベル
A
②進出国や地域の基準を上回るレベル
B
③進出国の法令のレベル
C
【チェック 16】 顧客からのクレームの社内処理
選択肢
我が社
評価
①すべて経営陣に報告されて、的確な指示をする
A
②担当部門で処理
B
③担当者の判断に任されている
C
④経営陣に報告されていない
C
【チェック 17】 不都合な情報開示後の行動
選択肢
我が社
評価
①経営陣が率先して原因追究と対応を行なう
A
②担当部署に原因追究と対応を検討させる
B
③担当部門に任せる
C
④考えていない
C
23
【チェック 18】 不都合な情報開示後のマスコミ対応
選択肢
我が社
評価
①経営陣が中心となって対応する
A
②担当部署が中心となって対応する
B
③状況に応じて対応する
C
<従業員価値>
【チェック 19】 残業の取り扱い
選択肢
我が社
評価
①従業員の残業は全て申請されている
A
②従業員の残業はおおむね申請されている
B
③現場に任せており把握していない
C
④残業代を考慮しないシステムなので残業申請がない
―
【チェック 20】 ハラスメント(パワハラ、セクハラ等)への仕組み
選択肢
我が社
評価
A
①周知や解決プロセスの仕組みがあり、十分に効果が上がって
いる
B
②周知や解決プロセスの仕組みがあるが、必ずしも十分に解決
できていない
C
③周知や解決プロセスの仕組みがない
※他社の回答については P38 をご参照下さい。
【チェック 21】 メンタルヘルスに対する仕組み
選択肢
我が社
評価
①仕組みがあり十分に機能している
A
②仕組みがあり、ある程度機能している
B
③仕組みがない
C
④機能しているかどうか把握していない
C
※他社の回答については P38 をご参照下さい。
【チェック 22】 ワークライフバランスに対する取り組み
選択肢
我が社
評価
①トップがコミットメントしている
A
②人事や総務部門がコミットメントしている
B
③コミットメントしていない
C
24
<社会価値>
【チェック 23】 企業倫理の基本的な考え方
選択肢
我が社
評価
A
①法令の範囲よりレベルの高い倫理行動を基盤の上に実施す
る社会貢献
②法令の範囲よりレベルの高い倫理行動
B
③法令を守れば良いというレベル
C
※他社の回答については P32 をご参照下さい。
【チェック 24】 コンプライアンスの確保または企業倫理向上のための仕組み
選択肢
我が社
評価
①専門部門や倫理委員会を設置して積極的に活用している
A
②専門部門または倫理委員会を設置おり、ある程度活用してい
B
る
③専門部門や倫理委員会を設置していない
C
【チェック 25】 専門部門または倫理委員会で決められた内容等の活用
選択肢
我が社
評価
①企業経営において優先的に反映する
A
②必要に応じて企業経営に反映する
B
③企業経営にほとんど反映しない
C
【チェック 26】 従業員及び関係会社を対象とした倫理実態調査
選択肢
我が社
評価
①定期的に実施する
A
②必要に応じて実施する
B
③実施していない
C
【チェック 27】 倫理調査や倫理監査の結果の経営への反映
選択肢
我が社
評価
①合理性がある限り企業経営にすべて反映する
A
②経営方針に沿うものだけを選択して反映する
B
③殆ど反映しない
C
25
【チェック 28】 社内ヘルプライン
選択肢
我が社
評価
①制度が整備され従業員に定着している
A
②制度が整備されているが従業員に十分に定着していない
B
③設置していない
C
【チェック 29】 社内ヘルプライン等で発見した課題の経営への反映
選択肢
我が社
評価
①合理性がある限り全て反映する
A
②経営の方針に沿うものを選択して反映する
B
③殆ど反映しない
C
【チェック 30】 役員クラスに対する倫理研修の実施
選択肢
我が社
評価
①(定期的)1年に1~2回程度
A
②(定期的)2~3年に1回程度
B
③(不定期)必要があったとき
C
④実施していない
C
※他社の回答については P35 をご参照下さい
【チェック 31】 管理職層に対する倫理研修の実施
選択肢
我が社
評価
①(定期的)1年に1~2回程度
A
②(定期的)2~3年に1回程度
B
③(不定期)必要があったとき
C
④実施していない
C
※他社の回答については P35 をご参照下さい
【チェック 32】 一般社員層に対する倫理研修の実施
選択肢
我が社
評価
①(定期的)年に1~2回程度
A
②(定期的)2~3年に1回程度
B
③(不定期)必要があったとき
C
④実施していない
C
※他社の回答については P35 をご参照下さい
26
【チェック 33】 非正規社員に対する倫理研修の実施
選択肢
我が社
評価
①(定期的)年に1~2回程度
A
②(定期的)2~3年に1回程度
B
③(不定期)必要があったとき
C
④実施していない
C
※他社の回答については P35 をご参照下さい
【チェック 34】 環境問題に対する取り組み姿勢
選択肢
我が社
評価
①重点課題として取り組んでいる
A
②他社と同程度に取り組んでいる
B
③他社と同程度以下の取り組みである
C
※他社の回答については P39 をご参照下さい
【チェック 35】 環境問題に対する取り組み方法
選択肢
我が社
評価
①方針と数値目標を立てている
A
②方針か数値目標を立てている
B
③方針や数値目標は立てていない
C
※他社の回答については P39 をご参照下さい
【チェック 36】 贈答や接待に対する取り組み
選択肢
我が社
評価
①一切禁止している
A
②法令や社会常識の範囲内で一定の基準を設けている
B
③特に決まりはなく、現場の判断に任せている
C
【チェック 37】 メセナやボランティアなどの社会貢献活動
選択肢
我が社
評価
①業績に関係なく取り組む
A
②業績の変動を考慮しながら取り組む
B
③業績に関係なく取り組まない
C
※ 他社の回答は P40 をご参照下さい
27
【チェック 38】 地域社会に対する貢献
選択肢
我が社
評価
①地域社会のために積極的に貢献する
A
②地域社会の要請があれば誠実に対応する
B
③地域社会の要請があっても当社の収益にメリットがないのであれ
C
ば協力しない
C
④確立した計画はない
<経済価値>
【チェック 39】 企業の経営目標設定
選択肢
我が社
評価
①過去のトレンドや将来のあるべき姿から目標を設定
―
②自社の経営資源の最大活用を図り、目標を設定
―
③同業他社の経営目標を参考に目標を設定
―
【チェック 40】 経営システムの効率化
選択肢
我が社
評価
①部門間のシナジー効果を発揮するように努めている
―
②各部門を競わせつつ独自性を尊重するようにしている
―
③意思及び情報の流通を効率化するためフラット化している
―
④トップ、ミドル、現場の情報共有と一体化を図っている
―
⑤非能率部門はアウトソーシングを活用する
―
⑥各部門の努力に任せている
―
【チェック 41】 企業力の拡大
選択肢
我が社
評価
①社内の生産性および生産力、販売力の向上を優先する
―
②新規の商品、技術開発を優先する
―
③グローバル経営を展開する
―
④企業買収などを行う
―
【チェック 42】 技術力の充実
選択肢
我が社
評価
①自社内の研究開発機能を充実する
―
②産官学の協力体制を強化する
―
③技術力のある他社との連携を積極的に活用する
―
④M&Aを活用して技術力を充実する
―
28
【チェック 43】 知的財産の侵害防止
選択肢
我が社
評価
①仕組みがあり十分に機能している
A
②仕組みがあるが十分に機能していない
B
③仕組みがない
C
【チェック 44】 知的財産戦略
選択肢
我が社
評価
①積極的に行なっている
A
②他社と同程度に行なっている
B
③行なっていない
C
【チェック 45】 談合や優越的地位の乱用についてのチェック機能
選択肢
我が社
評価
①仕組みがあり十分に機能している
A
②仕組みがあるが十分に機能していない
B
③仕組みがない
C
Aはいくつありましたか
個
Bはいくつありましたか
個
Cはいくつありましたか
個
【ご参考】
どのレベルが多かったでしょうか。
Aは理想的な経営の姿です。
Bは一般的な経営の姿です。
Cは不十分な部分が多く残る経営の姿です。
29
〈参
考
資
30
料〉
1.「経営の志と倫理」実態調査
調査結果
【集計結果】
≪フェースの結果≫
①業種
回答数:256件
回答数
①業種
比率(%)
(1)水産・農林
0
0
(2)鉱業
1
0.4
(3)建設
14
(4)食品
比率(%)
18
7
(16)輸送用機器
7
2.7
5.5
(17)精密機器
7
2.7
13
5.1
(18)その他製造
15
5.9
(5)繊維
4
1.6
(19)商業
37
14.5
(6)パルプ・紙
2
0.8
(20)金融・保険
11
4.3
19
7.4
(21)不動産
9
3.5
(8)石油・石炭製品
3
1.2
(22)陸運
4
1.6
(9)ゴム製品
1
0.4
(23)海運
0
0
(10)窯業
2
0.8
(24)空運
1
0.4
(11)鉄鋼
2
0.8
(25)倉庫・運輸関連
6
2.3
(12)非鉄金属
0
0
(26)情報・通信
21
8.2
(13)金属製品
4
1.6
(27)電力・ガス
8
3.1
11
4.3
(28)サービス
39
15.2
(7)化学
(14)機械
②株式上場
(1)上場
回答数
③資本金
比率(%)
144
56.3
5
2
(3)ジャスダック等
28
10.9
(4)非上場
73
28.5
6
2.3
(2)店頭公開
未回答
④従業員規模(単体)
(15)電気機器
回答数
回答数
比率(%)
(1)1億円以下
29
11.3
(2)1億円超5億円未満
41
16
180
70.3
6
2.3
(3)5億円以上
未回答
連結(回答数 48)
回答数
比率(%)
(1)300 人未満
91
35.5
500 人以下
7
10.1
(2)300~600 人
44
17.2
500 人~1000 人
7
10.1
(3)601 人~1000 人
23
9
1001~3000 人
9
13
(4)1001 人~2000 人
26
10.2
3001 人~5000 人
12
17.4
(5)2001 人~3000 人
17
6.6
5001 人~7000 人
9
13
(6)3001 人以上
49
19.1
7001 人~10000 人
5
7.2
6
2.3
10001 人~30000 人
12
17.4
8
11.6
未回答
30000 人以上
31
回答数
比率(%)
≪設問に対する集計結果≫
(1)貴社が企業経営で最も重点をおいていることを3つ以内でお答え下さい。
回答数
比率(%)
①売上の拡大
38
14.8
②収益の向上
179
69.9
37
14.5
④顧客価値の充足、顧客へのサービス
193
75.4
⑤従業員の満足、資質の向上
141
55.1
⑥企業倫理の向上
39
15.2
⑦技術開発力の向上
37
14.5
⑧品質の向上
59
23
⑨環境保全
6
2.3
⑩メセナ活動
1
0.4
⑪その他
6
2.3
③株主への利益還元
(2)貴社の企業倫理の基本的な考え方に最も近いものをお答え下さい。
①法令遵守のレベル
回答数
比率(%)
70
27.3
121
47.3
64
25
④その他
0
0
未回答
1
0.4
②法令の範囲よりレベルの高い倫理行動
③②を基盤の上に実施する社会貢献
(3)貴社の企業理念の徹底方法について全てお答え下さい。(複数回答可) 回答数
比率(%)
①社訓
114
44.5
②社長談話
154
60.2
③行動基準(コンプライアンスガイドラインなど)
199
77.7
④研修
130
50.8
⑤従業員との直接対話
114
44.5
17
6.6
⑥その他
(4)社外取締役機能について、最も近いものをお答え下さい。(複数回答1件
あり)
①社外取締役を取り入れるべきである。
回答数
比率(%)
113
44
32
12.5
③社内の取締役が有効かつ十分に機能するので社外取締役は必要ない。
87
33.9
④その他
24
9.3
1
0.4
②社外取締役や社外監査役以外の第3者機関(例えばアドバイザリーボー
ド)を設けるほうが有効である。
未回答
32
(5)貴社のコーポレートガバナンス原則についてお答え下さい。
①作成し、開示している。
回答数
比率(%)
159
62.1
②作成しているが、開示していない。
33
12.9
③作成していないが、暗黙の了解となっている。
32
12.5
④作成していない。
30
11.7
2
0.8
未回答
(6)貴社の社外取締役(社外監査役)や第3者機関の意見を経営にどのよう
に反映しているかお答え下さい。(複数回答1件あり)
回答数
比率(%)
①全てを反映している。
44
17.1
②反映しているが、諸事情により反映できないものもある。
85
33.1
③反映しているが、必要ないものは反映していない。
99
38.5
4
1.6
24
9.3
1
0.4
④反映していない。
⑤当社では社外取締役(社外監査役)や第 3 者機関をおいていない。
未回答
(7)貴社は倫理委員会を設置についてお答え下さい。
回答数
比率(%)
①設けている。
128
50
②設けていない→(11)へ
125
48.8
3
1.2
未回答
(8)貴社の倫理委員会の構成メンバーについて全てお答え下さい。
(複数回答可)※問7で①と回答した方のみ対象
回答数
比率(%)
①経営トップ
87
68
②担当役員
112
87.5
③企業倫理担当部署
90
70.3
④外部の有識者
20
15.6
⑤その他
20
15.6
(9)貴社の倫理委員会開催頻度についてお答え下さい。(複数回答5件あり)
※問7で①と回答した方のみ対象
回答数
比率(%)
①定期的に開催している。
86
64.7
②問題が生じた時に開催している。
22
16.5
③随時開催している。
24
18
④開催していない
0
0
未回答
1
0.8
33
(10)倫理委員会の開催時間についてお答え下さい。
※問7で①と回答した方のみ対象
回答数
比率(%)
①年8時間以上
39
30.5
②年4時間以上8時間未満
30
23.4
③年2時間以上4時間未満
21
16.4
④年1時間以上2時間未満
28
21.9
⑤年1時間未満
9
7
未回答
1
0.8
(11)従業員及び関係会社を対象とした倫理に関する実態(意識)調査の開催
についてお答え下さい。(複数回答1件あり)
回答数
比率(%)
①定期的に実施している。
65
25.3
②実施したことがある。
51
19.8
122
47.5
8
3.1
11
4.3
③実施していない。
④その他
未回答
(12)倫理監査の実施についてお答え下さい。
①実施している。
回答数
比率(%)
75
29.3
②実施していない。
140
54.7
③実施予定である。
25
9.8
④その他
7
2.7
未回答
9
3.5
(13)社内ヘルプラインの組織体制についてお答え下さい。
①社内の部署で組織化している。
回答数
比率(%)
103
40.2
②法律事務所や専門機関など第3者機関に委託している。
18
7
③社内部署と第3者機関で組織化している。
82
32
④ヘルプラインを設置していない。
50
19.5
3
1.2
未回答
(14)貴社の社内ヘルプラインの現状についてお答え下さい。(複数回答可)
①従業員に定着している。
回答数
比率(%)
44
17.2
②従業員に定着しつつある。
105
41
③従業員に定着していない。
30
11.7
④従業員へ活用を奨励している。
71
27.7
⑤従業員へ特に活用を奨励していない
22
8.6
34
(15)企業倫理に関する研修の対象と頻度について、当てはまる欄に○をお付け下さい
半年に1
1年に1
2~3年に
回程度
回程度
1回程度
役員層(複数回答1件あり)
28(10.9%)
67(26.1%)
管理職層(複数回答1件あり)
42(16.3%)
一般社員層(複数回答1件あり)
非正規社員(複数回答1件あり)
随時
未実施
12(4.7%)
98(38.1%)
39(15.2%)
13(5.1%)
74(28.8%)
15(5.8%)
82(31.9%)
33(12.8%)
11(4.3%)
39(15.2%)
67(26.1%)
12(4.7%)
87(33.9%)
41(16%)
11(4.3%)
19(7.4%)
51(19.8%)
7(2.7%)
75(29.2%)
79(30.7%)
26(10.1%)
(16)国内のグループ企業の企業倫理の取り組みについてお答え下さい。
回答数
未回答
比率(%)
①全てのグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
114
44.4
②一部のグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
42
16.3
③グループ企業がそれぞれ独自の活動を実施している。
28
10.9
④行っていない。
26
10.1
⑤その他
29
11.3
未回答
18
7
(17)海外のグループ企業の企業倫理の取り組みについてお答え下さい。
回答数
比率(%)
①全てのグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
37
14.5
②一部のグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
33
12.9
③グループ企業がそれぞれ独自の活動を実施している。
38
14.8
④行っていない。
29
11.3
⑤その他
60
23.4
未回答
59
23
(18)貴社が国内で提供しているサービスや商品の安全基準についてお答え
下さい。(複数回答4件あり)
回答数
比率(%)
①法令のレベルで設けている。
74
28.5
②同業他社程度の基準で設けている。
64
24.6
100
38.5
④世界最高の基準で設けている。
7
2.7
⑤その他
9
3.5
未回答
6
2.3
③同業他社を上回るレベルで設けている。
35
(19)貴社が海外で提供しているサービスや商品の安全基準についてお答え
下さい。(複数回答1件あり)
回答数
比率(%)
①進出国の法令のレベルで設けている。
40
15.6
②進出国の同業他社程度の基準で設けている。
34
13.2
③提供している国や地域の基準を上回るレベルで設けている。
42
16.3
④日本国内最高レベルの基準で設けている。
18
7
3
1.2
⑥その他
58
22.6
未回答
62
24.1
⑤世界最高の基準で設けている。
(20)贈答・接待の供与・収受に関する貴社の取り組みについてお答え下さい。
(対公務員は除く)
回答数
①一切禁止している。
比率(%)
25
9.8
137
53.5
③特に決まりは無く、現場の判断に任せている。
77
30.1
④その他
15
5.9
2
0.8
②倫理綱領で規定されている範囲内で行っている。
未回答
(21)消費者(エンドユーザー)からの意見への対応についてお答え下さい。
(複数回答4件あり)
回答数
比率(%)
①全面的に優先して対応している。
106
40.8
②対応しているが、諸事情により対応できないものもある。
101
38.8
31
11.9
1
0.4
13
5
8
3.1
③対応しているが、必要ないものは対応していない。
④対応していない。
⑤当社では消費者(エンドユーザー)から意見をもらう仕組みがない。
未回答
(22)発注者として優越的地位の乱用を防止する貴社の取り組みと現状について、当てはまる欄に○
をお付け下さい
過去 5 年間問題が 過去 5 年間問題が 把 握 し て い な
発生していない。 発生した。
い。
合計
防止する仕組みがある。
130(91.5%)
11(7.7%)
1(0.7%)
142
防止する仕組みがない。
91(86.7%)
5(4.8%)
9(8.6%)
105
未回答
9
36
(23)知的財産権の侵害を防止する貴社の取り組みと現状について、当てはまる欄に○をお付け下
さい。
過去 5 年間問題が 過去 5 年間問題 把握していな
発生していない。 が発生した。
合計
い。
防止する仕組みがある。
104(70.3%)
40(27%)
4(2.7%)
148
防止する仕組みがない。
79(82.3%)
4(4.2%)
13(13.5%)
96
未回答
12
(24)・(25)業界平均給与と比較した給与水準別の従業員間の給与水準格差の現状と今後について
①平均より高い。
今後格差拡大。
今後格差縮小。
今後格差維持。
合計
現在の給与水準格差は大きい。
6(19.4%)
6(19.4%)
19(61.3%)
31
現在の給与水準格差は小さい。
25(61%)
1(2.4%)
15(36.6%)
41
②平均と同水準である。
今後格差拡大。
今後格差縮小。
今後格差維持。
合計
現在の給与水準格差は大きい。
4(11.1%)
6(16.7%)
26(72.2%)
36
現在の給与水準格差は小さい。
49(50%)
6(6.1%)
43(43.9%)
98
③平均より低い。
今後格差拡大。
今後格差縮小。
今後格差維持。
合計
現在の給与水準格差は大きい。
1(10%)
5(50%)
4(40%)
10
現在の給与水準格差は小さい。
15(71.4%)
4(19%)
2(9.5%)
21
(26)貴社の残業申請状況と取り組みについて、当てはまる欄に○をお
付け下さい。(複数回答3件あり)
①全て申請されている。
②申請されていないかもしれない。
③現場に任せており把握していない。
④残業代を考慮しないシステムなので残業申請がない。
未回答
(27)障害者を含む社会的弱者の雇用の割合についてお答え下さい。(%)
0
回答数
比率(%)
179
69.1
55
21.2
8
3.1
12
4.6
5
1.9
回答数
比率(%)
43
19.7
8
3.7
~1
29
13.3
~1.25
12
5.5
~1.5
28
12.8
~1.75
20
9.2
~2
52
23.9
~2.5
23
10.6
2.5~
3
1.4
~0.5
37
(28)ハラスメント(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等)の仕組みと現状について、当てはまる欄
に○をお付け下さい。
仕組みが機能して 必ずしも対応できて 把握してい
対応できている。 いない事例がある。
153(71.2%)
周知や解決プロセスの仕組みがある。
ない。
合計
54(25.1%)
8(3.7%)
215
16(43.2%)
21(56.8%)
37
周知や解決プロセスの仕組みがない。
(2件複数回答あり)
未回答
6
(29)メンタルヘルスの仕組みと現状について当てはまる欄に○をお付け下さい。
仕組みが機能して
必ず しも対応 できて い
把握してい
対応できている。
ない事例がある。
ない。
合計
予防や解決プロセスの仕組みが
ある。
105(55.3%)
81(42.6%)
4(2.1%)
190
33(55%)
27(45%)
60
予防や解決プロセスの仕組みが
ない。(1件複数回答あり)
未回答
7
(30)人材育成に対するお考えについてお答え下さい。
①業績に関係なく取り組んでいく。
回答数
比率(%)
193
75.4
49
19.1
③従業員の自己啓発が基本であり、企業側は資金負担をしない。
4
1.6
④その他
3
1.2
未回答
7
2.7
②業績の変動を考慮しながら取り組んでいく。
(31)貴社の労使協議制についてお答え下さい。
①労使協議制は良い制度であり、活用している。
回答数
比率(%)
144
56.3
②労使協議制は良い制度だが、活用していない。
5
2
③労使協議制は役に立たない。
3
1.2
92
35.9
⑤その他
5
2
未回答
7
2.7
④組合がない。
38
(32)インサイダー取引防止の対策について当てはまる欄に○をお付け下さい。
過去 5 年間問題が発 過去 5 年間問題が 把握してい
生していない。
発生した。
ない。
合計
規制や研修実施など防止する仕組みがある。
193(98.5%)
2(1%)
1(0.5%)
196
規制や研修実施など防止する仕組みがない。
38(82.6%)
0(0%)
8(17.4%)
46
14
未回答
(33)貴社の環境問題に関する取り組みについて当てはまる欄に○をお付け下さい。
(複数回答4件あり)
環 境 問 題 に 関 す る 環境問題に関する 環境問題に関する
方 針 と 数 値 目 標 を 方針か数値目標を 方針や数値目標は
立てている。
立てている。
合計
立てていない。
115(83.3%)
17(12.3%)
6(4.3%)
138
他社と同程度以上に取り組んでいる
16(41%)
9(23.1%)
14(35.9%)
39
他社と同程度に取り組んでいる
8(10.4%)
19(24.7%)
50(64.9%)
77
重点課題として取り組んでいる
6
未回答
(34)環境問題について貴社が具体的に取り組んでいるものを全てお答え下さ
い。(複数回答可)
回答数
比率(%)
①省エネ・省資源
225
87.9
②リサイクル
203
79.3
③温暖化ガス排出規制
99
38.7
④排出権取引
13
5.1
⑤技術開発による環境対策
81
31.6
⑥モーダルシフト
31
12.1
107
41.8
⑧緑化事業
64
25
⑨クリーン開発メカニズムの活用
21
8.2
115
44.9
18
7
182
71.1
19
7.4
⑦グリーン購入
⑩有害物質除去
⑪生物多様性保全
⑫廃棄物対策
⑬その他
39
(35)メセナやボランティア活動など本業と直接関係の無い社会貢献活動の
回答数
比率(%)
①業績に関係なく取り組んでいく。
113
44
②業績の変動を考慮しながら取り組んでいく。
104
40.5
③業績に関係なく取り組まない。
21
8.2
④その他
15
5.8
4
1.6
回答数
比率(%)
52
20.1
0
0
4
1.5
④ルール化はしていないが、海外の商慣習に応じて容認している。
27
10.4
⑤先進企業の対応に倣っている。
10
3.9
⑥この問題を考えたことがない。
132
51
⑦その他
22
8.5
未回答
12
4.6
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
35
13.7
6
81
31.6
5
52
20.3
4
16
6.3
3
10
3.9
2
9
3.5
1(全くしていない)
8
3.1
45
17.6
お考えについてお答え下さい。(複数回答1件あり)
未回答
(36)ファシリテーションペイメンツについて貴社の取り組みをお答え下さい。
(複数回答3件あり)
①すべて禁止している
②生命・身体・財産を守るためなどの必要最小限については基準を設け、容
認している。
③海外の商慣習に応じた基準を設け、容認している。
(37)倫理委員会で決められた内容や倫理綱領の改訂内容は実際のマネジ
メントに反映されていますか。
未回答
40
(38)倫理調査や倫理監査で浮かび上がった課題は実際のマネジメントに
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
47
18.4
6
80
31.3
5
44
17.2
4
21
8.2
3
9
3.5
2
5
2
1(全くしていない)
8
3.1
42
16.4
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
53
20.7
6
97
37.9
5
45
17.6
4
24
9.4
3
4
1.6
2
6
2.3
1(全くしていない)
5
2
22
8.6
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
34
13.3
6
77
30.1
5
69
27
4
39
15.2
3
10
3.9
2
10
3.9
6
2.3
11
4.3
反映されていますか。
未回答
(39)社内ヘルプライン等で発見した課題は実際のマネジメントに反映され
ていますか。
未回答
(40)研修プログラムは貴社の倫理的課題に応じて改善されていますか。
1(全くしていない)
未回答
41
(41)経営トップが企業倫理について従業員(組合員)と直接対話すること
回答数
比率(%)
124
48.4
6
89
34.8
5
27
10.5
4
9
3.5
3
4
1.6
2
1
0.4
1(全くしていない)
0
0
未回答
2
0.8
回答数
比率(%)
134
52.3
6
81
31.6
5
19
7.4
4
10
3.9
3
2
0.8
2
1
0.4
1(全くしていない)
2
0.8
未回答
7
2.7
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
25
9.8
6
45
17.6
5
49
19.1
4
51
19.9
3
21
8.2
2
15
5.9
1(全くしていない)
25
9.8
未回答
25
9.8
は、倫理的問題点の解決にとって有効だと思いますか。
7(非常にしている)
(42)貴社では監査内容について、経営トップが実質的に把握しています
か。
7(非常にしている)
(43)貴社に対するCSRランキングの評価を意識されていますか。
42
(44)貴社に対するSRI(社会的責任投資)の評価を意識されていますか。
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
22
8.6
6
37
14.5
5
53
20.7
4
51
19.9
3
24
9.4
2
19
7.4
1(全くしていない)
29
11.3
未回答
21
8.2
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
31
12.1
6
99
38.7
5
68
26.6
4
28
10.9
3
13
5.1
2
6
2.3
1(全くしていない)
3
1.2
未回答
8
3.1
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
57
22.3
6
96
37.5
5
48
18.8
4
34
13.3
3
12
4.7
2
1
0.4
1(全くしていない)
1
0.4
未回答
7
2.7
(45)貴社ではリスクマネジメント・ハラスメント・コンプライアンス・企業倫理・
CSRなどをガバナンスに反映・統合していますか。
(46)貴社にとって不都合な情報であっても積極的に外部に開示しています
か。
43
(47)貴社では、資材などの調達企業を決定する際に、グリーン調達を行って
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
28
10.9
6
58
22.7
5
44
17.2
4
37
14.5
3
17
6.6
2
20
7.8
1(全くしていない)
38
14.8
未回答
14
5.5
回答数
比率(%)
7(非常にしている)
35
13.7
6
57
22.3
5
37
14.5
4
30
11.7
3
4
1.6
2
5
2
1(全くしていない)
15
5.9
未回答
73
28.5
いますか。
(48)海外などに進出した際、本社同様社会的責任を果たすよう指導していま
すか。
(49)不祥事が起きる主な原因は何だと思いますか。3つ以内でお答え下さい。(自由記述)
(設問49)の自由記述内容を事務局で以下のように分類した
回答数
社内の倫理観の欠如・社内風土
139
内部統制不備
103
経営トップの態度、方針の不明確
100
過大な目標・利益重視
68
社員の資質・倫理観欠如
64
倫理観欠如
17
情報公開ができていない
11
社内の価値基準が古い
10
その他
49
44
(50)企業倫理を推進する上であなたがトップとして大切に考えていることは何ですか。3つ以内で
お答え下さい。(自由記述)
(設問50)の自由記述内容を事務局で以下のように分類した
回答数
トップの明確な意思表示・姿勢
131
倫理重視の企業風土
117
理念・倫理観の共有、教育
89
内部監査の強化
63
行動基準の設定
45
社員の資質と自覚
38
情報公開
11
その他
48
今回、(51)~(53)の設問(記述式)に関しては分類が困難なためここでは結果を省略しました。
45
2.企業倫理に反する事例
(1)企業組織運営に関するもの
2001 年 10 月、農水省が BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の全頭検査開始
以前に解体した牛肉の買い取り制度の要領をまとめるが、業界団体など
雪印食品による牛肉偽装事件
の要請で在庫証明書だけで買い上げ可能に要領変更。その変更をうけ、
(2002 年)
雪印食品の関西ミートセンター社員が輸入肉を国産用の箱に詰め替えて
偽装し、約 1 億 9600 万円を騙し取った。2002 年 1 月、内部告発により
偽装発覚。後に、国産牛肉の産地も偽装していたことが発覚した。4 月
30 日、雪印食品は解散した。
全農チキンフーズによる食品
BSE の影響で急激に増えた鶏肉需要に追いつけず、欠品を恐れてタイ産
表示偽装事件(2002 年)
と中国産の鶏肉を国産と偽装した事件。さらにその後の調査で、
「通常飼
育」の鶏肉を「無薬飼料飼育」の鶏肉と偽って販売していたことも明ら
かになった。
日本食品による牛肉偽装事件
日本食品の監査役らが BSE の買い取り制度を悪用し、買い取り対象外の
(2002 年)
輸入アキレス腱約 122 トンを国産牛と偽装し、約1億 3600 万円を騙し
取った事件。
日本ハムの子会社「日本フード」が輸入牛肉 520 キロを国産と偽って業
日本ハムグループによる牛肉
界団体に買い取らせた事件。日本ハムはこの輸入牛肉を含む 1.3 トンを
偽装事件(2002 年)
農水省の全箱検査前に業界団体から引き取り、焼却処分していた。この
一連の問題で、会長、副会長2人が辞任、社長は専務に降格した。
日本信販による総会屋利益供
日本信販が、
株主総会の対策費として3年間にわたり約 2800 万円を総会
与事件(2002 年)
屋に提供していた事件。
瑞穂監査法人所属の公認会計士らが、運送業大手フットワーク・エクス
瑞穂監査法人による粉飾決算
事件(2002 年)
プレスの経営陣と共謀して、3年間にわたり決算を粉飾した事件。
その後、金融庁は瑞穂監査法人に対し、業務停止 1 年(2002 年 10 月 21
日から 03 年 10 月 20 日まで)の懲戒処分を行った。監査法人が業務停止
処分を受けた初めての事件である。
北海道西友元町店が、米国産やカナダ産の豚肉を、約 1 年間にわたって
西友による豚肉偽装事件
国産と偽って販売し続けていた事件。偽装した豚肉を買った顧客に現金
(2002 年)
による返金を行ったが、レシートを持たない顧客の自己申告もよしとし
たため、元町店には 1500 人もの請求者が殺到し、請求額は偽装販売した
額の 3 倍に相当する 5000 万円にのぼった。
名古屋鉄道バスの取締役が、同社の運転手による 1 年 4 カ月間にもわた
名古屋鉄道バス運転手の無免
る無免許乗務の事実の隠蔽を黙認し、また企画管理部長が報告書の改ざ
許運転隠蔽事件(2003 年)
んを指示していた事件。副社長は「コンプライアンスに対する意識が希
薄だった」と弁明した。
日本ハムによる新たな補助金
日本ハムがBSE対策事業に関連して、新たに補助金約 1700 万円の不正
不正受給事件(2003 年)
受給をしていたことが発覚。
46
ダスキン会長の特別背任事件
ダスキン会長が、デザイン会社「スパイス」から資金提供を求められた
(2003 年)
ため、ミスタードーナツの店頭で配布される販売促進用景品の企画を委
託したように偽装し、スパイスに2年間で 1 億 8000 万円を支払い、ダ
スキンに損害を与えた事件。
総会屋に利益供与の疑いで警視庁が同社専務ほか役員ら計6人と総会屋
西武鉄道による総会屋への利
の秘書ら3人の合計9人を逮捕。株主総会を円滑に進めるため安価で土
益供与事件(2004 年)
地を提供し、約 9000 億円の売買益を上げさせていたことが分かった。そ
の後、子会社の西武不動産販売の幹部2人が商法違反容疑で新たに逮捕
された。
コクドなどが保有する西武鉄道株の比率を有価証券報告書に虚偽記載。
西武鉄道グループによる有価
証券虚偽記載事件とインサイ
ダー事件(2004 年)
当時の会長は、コクド会長やプリンスホテル会長など西武鉄道グループ
の全役職を辞任。その後、東京証券取引所は西武鉄道株の上場廃止を決
めた。また、西武鉄道による有価証券報告書への保有株数虚偽記載が公
表される前に同株を大量売却したインサイダー事件で、コクドは、売却
先企業は 70 社弱、総額約 650 億円にのぼると発表した。
BSE対策の国産牛肉買い上げを巡って、同社グループが輸入肉を国産
フジチクによる助成金不正受
と偽って申請し不当に助成金約 9 億円を得ていたとして、同グループ会
給事件(2004 年)
長で業界団体代表理事の容疑者と系列会社幹部ら計7人が助成金適正化
法違反容疑で逮捕された。
生命保険では明治安田生命保険、損害保険では富士火災海上保険による
生保・損保各社による保険金
不払い事件(2005 年)
保険金の不当な不払いが発覚したことが発端となり、以降、生保損保各
社で保険金の不当不払い事案が次々と発覚した。保険金の支払いに関す
る金融庁の行政処分は、生損保合わせて 7 回・28 社にわたり発出された
(2007 年 3 月時点)。
カネボウが債務超過を隠すため、仮想取引、利益水増しなど有価証券報
カネボウ粉飾決算事件(2005
告書への虚偽記載をおこなった事件。東京証券取引所はカネボウの上場
年)
廃止を決め、主要事業のカネボウ化粧品は花王に売却された。また、粉
飾決算を指南した中央青山監査法人の公認会計士 4 名が逮捕された。
ライブドア社長ほか役員4名とライブドアファイナンス社長が偽計およ
ライブドア証券取引法違反事
び風説の流布、有価証券報告書への虚偽記載により、証券取引法違反容
件(2006 年)
疑で逮捕される。その後、ライブドアとライブドアファイナンスは上場
廃止となった。
通称・村上ファンドの代表がインサイダー取引による証券取引法違反容
村上ファンドによるインサイ
疑で東京地検特捜部に逮捕された。
ダー取引事件(2006 年)
村上代表はライブドアからの情報をもとにニッポン放送株計 193 万 3100
株を売買し、インサイダー取引に該当するとされた。
日本経済新聞社社員によるイ
ンサイダー取引事件
(2006 年)
日本経済新聞東京本社広告局の社員によるインサイダー取引事件で、社
員は証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された。インサイダー
取引による売却益は5銘柄で計約3000万円に上った。
47
日興コーディアルグループが傘下の投資会社の決算上の数字の扱いにつ
いて不適切な処理を行い、およそ 180 億円の利益を水増しした事件。証
日興コーディアルグループ粉
券取引等監視委員会は、日興コーディアルグループがこの決算に基づい
飾決算事件(2006 年)
て 500 億円の社債を発行していたため、5 億円の追徴金を課すよう勧告
した。その後、会長と社長(日興コーディアル証券社長を兼任)が引責
辞任した。
製紙各社再生紙偽装事件
(2008 年)
年賀再生紙はがきやコピー用紙、ノートなどの再生紙について、古紙の
配合率が受注時の取り決めを下回っていた古紙が多いと不純物が増え要
求される品質を満たせないとして、偽装を行なっていた事件。
(2)安全基準に関するもの
ダスキンの運営会社「ミスタードーナツ」が無許可添加物入りの肉まん
ミスタードーナツの無認
可添加物入り肉まん事件
(2002 年)
を販売していたことが表面化した。
2000 年 10 月から 12 月にかけて製造
された同肉まん約 1314 万個には、食品衛生法で認可されていない酸化
防止剤が使われており、同社は関係者を処分したが、処分後もこの問題
については公表しなかった。発覚から1年以上たった 2002 年 5 月に、
大阪府の立ち入り検査が入ったのを受けて、ようやく公表に踏み切った。
協和香料科学による無認
食品添加物製造会社である協和香料化学がアセトアルデヒドなどを使っ
可添加物使用事件(2002
て香料を製造・出荷していた事件。なお、アセトアルデヒドは 1970 年
年)
から 2001 年 12 月まで 30 年以上も使われ続けていた。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の運営会社「ユー・エス・
USJ による賞味期限切れ
食材使用事件(2002 年)
ジェイ」が、園内のレストランで冷凍牛肉や冷凍ボイルエビなど賞味期
限が切れた 44 品目を食材として使っていた事件。また、その他にも、水
飲み器に工業用水の配管がつながっていたり、冷水器から水質基準を超
える雑菌が検出されるなど、不祥事が相次いだ。
プリマハムによる食品衛
プリマハムが、アレルギー原因物質の卵を製品の原材料として使いなが
生法違反事件(2003 年)
ら表示せずに販売した事件。
森ビルによる自動回転ド
ア死亡事故(2004 年)
「六本木ヒルズ森タワー」で男児が自動回転ドアに頭を挟まれ死亡した
事故。六本木ヒルズでは 2003 年4月の開業後、回転ドアで 32 件の事故
が起きていた。
JR西日本が運行する福知山線において、運転士のブレーキ操作ミスに
JR西日本による福知山
よる脱線事故が発生。死者 107 名(運転士含む)、負傷者 562 名を出す
線脱線事故(2005 年)
大事故となった。JR西日本の安全対策が問題視され、相談役、会長、
社長が退任した。
一級建築士によるコストダウンのための耐震強度構造計算書の偽造につ
耐震強度偽装事件(2005
年)
いて、行政および民間の指定確認検査機関が見抜けず承認したことから、
建築基準法に定められた耐震基準を満たさないマンションやホテルなど
が建設された事件。事件に関与した一級建築士、マンション販売会社社
長、建設会社社長らが逮捕され、大きな社会問題となった。
48
松下電器の石油温風器に
よる一酸化炭素中毒事故
(2005 年)
松下電器が 1985 年から 92 年に製造したFF式石油温風器による一酸化
炭素中毒の死亡事故が発覚。無償修理の発表後も事故が発生したことか
ら、松下電器はTV・ラジオのコマーシャルを対象機種に関するリコー
ル告知に変更するなど対策を強化した。
パロマ工業が 1980 年から 89 年に製造したガス瞬間湯沸かし器による一
パロマ工業のガス瞬間湯
酸化炭素中毒の死亡事故が発覚。事故総数 27 件、死者数計 20 名となっ
沸かし器による一酸化炭
た。パロマ工業は当初、事故をごく一部しか把握していないとしたが、
素中毒事故(2006 年)
その後、遅くとも 92 年には社長が把握していたにもかかわらず、消費者
への告知がなされなかった事実が明らかとなった。
シンドラー社のエレベー
ターによる死亡事故(2006
年)
東京都港区のマンションにおけるシンドラー社製エレベーター事故で、
高校生が死亡した事故。発生直後、シンドラー社は「他社の不適切な保
守点検もしくは乗客の危険行為が事故の主因である」との声明を発表。
また、個人情報保護を理由に国土交通省への顧客リスト提供を拒否した。
不二家埼玉工場でシュークリームを製造する際、消費期限が切れた牛乳
を使用していたことが、内部告発を受けた報道機関により発覚。社内プ
不二家による消費期限切
ロジェクトチームの調査によって判明していたが、不二家は隠蔽を指示
れ原材料使用事件(2007
する内部文書を配布し、公表を見送っていた。不二家は「原因は現場の
年)
一作業者の判断にあった」と釈明、製造販売を一時休止する措置を取っ
た。しかし、その後も衛生基準を国の定める規範より緩くしていた事実
が判明、ずさんな衛生管理の事例が次々に明らかとなった。
牛肉ミンチ品質表示偽装
事件(2007 年)
北海道加ト吉が製造した「COOP 牛肉コロッケ」から豚肉が検出され、
原料を納入していたミートホープ社が豚肉混入以外にも、数々の不正行
為を長年にわたって行っていたことが発覚した事件。
石屋製菓による不適正表
石屋製菓が製造した「白い恋人」で賞味期限を1カ月長く改ざんして販
示事件(2007 年)
売していた事件。改ざん指示は元取締役によるものだった。
赤福が、一度包装したが出荷しなかった赤福餅を冷凍した上で、注文
赤福による不適正表示事
に応じて解凍、再包装し、この再包装した日を新たな製造年月日とし
件(2007 年)
て、製造年月日と消費期限を表示するという不適正な表示を日常的に
行っていたこと、原材料の重量順に記載していなかった事件。
料亭「船場吉兆」が福岡市の百貨店「岩田屋」に出店する「吉兆天神フ
船場吉兆による不適正表
ードパーク」で、プリンやケーキなどの消費期限を改ざんし販売してい
示事件(2007 年)
た。また本店では牛肉や鶏肉について産地などの偽装表示が行われてい
たこと事件。
49
(3)行政規制に関するもの
東京電力が原発の炉心隔壁(シュラウド)のひび割れ隠蔽、修理・補修
記録の改ざん、監督当局への虚偽報告などを行ったことが明らかになっ
東京電力・東北電力・中部電
力による原発トラブルの隠蔽
事件(2002 年)
た。同社は、福島県と新潟県にある原子力発電所計 13 基で、80 年代後
半から 90 年代前半にかけての自主点検記録をごまかし、ひび割れなど
29 件のトラブルを隠していた。また、中部電力でも浜岡原発でひび割れ
の兆候が見つかりながら、国に報告せずに修理するなどしていたことが
明らかとなり、東北電力女川原発でも、ひび割れの兆候を国に報告して
いなかったことがわかった。
日本製粉による無許可農場産
廃棄委託事件(2003 年)
日本製粉が、産業廃棄物処理の許可のない「富士福祉農場」に小麦粉の
不良品などを引き取らせた事件(元来は、家畜飼料としての再利用が目
的であったが、処理費用を渡したことから産業廃棄物と認定された)
。
タイヤと車軸をつなぐハブが破損しタイヤが脱落する事故でリコールを
届け出。対象は 11 万 2000 台、総経費は約 65 億円。その後、後輪にも欠
三菱ふそうトラック・バスの
陥があったとして2万 1769 台を追加。また、クラッチ系統部品の欠陥問
タ イ ヤ 脱 落等 リ コ ール 事 件
題で、社内の対策会議で欠陥が判明していたにもかかわらずリコールを
(2004 年)
怠り、8年間隠ぺいしていたことが判明。92 年から 90 件を超える車両
不具合を国土交通省に報告しなかったうち 43 件が、リコールが必要にも
関わらず実施しなかったと発表。
パジェロなど 17 車種 17 万台についてリコールを回避するため 26 件の部
三菱自動車工業による新たな
品欠陥を隠ぺいしていたことを発表。パジェロイオなど 10 車種に不具合
リコール隠蔽事件(2004 年)
があったとして 11 万 6352 台、次いでランサーなど 10 車種約1万 2500
台をリコール。
コムスンが介護報酬の不正請求により東京都から業務改善勧告を受けた
コムスンによる介護報酬不正
事件。その後、事業所指定の不正取得を理由とする指定取消処分に対す
請求事件と厚生労働省からの
る悪質な処分逃れが全国各地で発覚、厚生労働省は 2007 年 6 月にコムス
処分問題(2007 年)
ンの介護施設について事業所の新規指定・更新の受付停止という処分を
発表。
(4)競争条件に関するもの
三井物産による ODA 利益供与
三井物産がモンゴルにディーゼル発電設備を建設するという政府開発援
事件(2002 年)
助(ODA)事業を巡り、同国政府高官に不正な利益を提供していた事件。
日 本テ レビ 視聴 率操 作事件
日本テレビのプロデューサーが、視聴率調査会社ビデオリサーチのモニ
(2003 年)
ター世帯に自分が制作した番組を見るよう依頼し、承諾した世帯に謝礼
を支払った事件。
武富士によるジャーナリスト
武富士の総務課長らが、同社に批判的なジャーナリストの自宅を盗聴し
宅盗聴事件(2003 年)
た事件。その後、会長も逮捕された。
50
国と日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁工事の談合事件で、国土交通省
鋼鉄橋梁工事談合事件(2005
は公正取引委員会の排除勧告を受けた 45 社のうち佐世保重工業など 15
年)
社に、建設業法に基づき 22 日間の営業停止命令を出した。
アメリカ軍横田基地などの受変電設備や電機設置工事の競争入札を巡
防衛施設庁談合事件
(2006 年) り、防衛施設庁OBである財団法人「防衛施設技術協会」理事長、同庁
の官僚 2 名と談合に参加した鹿島、大成建設ほか建設会社役員が競売入
札妨害罪で起訴された。
(5)情報保護に関するもの
NTT ドコモ関西の男性社員が契約者の住所や金融機関の口座番号などの
NTTドコモ関西による顧客
情報漏えい事件(2002 年)
個人情報を不正に閲覧。また、これ以前にも、携帯電話の顧客の通話記
録を持ち出したとして、NTT ドコモの関連会社「ドコモ・システムズ」
社員が電気通信事業法違反を犯すなど、顧客情報の管理に関する不祥事
が続いていた。
NTTドコモ関西による個人
情報流出事件(2003 年)
NTTドコモ関西が 2001 年 7 月~03 年8月にかけて携帯電話契約を解
約した約2万 4000 人の個人情報を本人の同意なしに調査会社・日経リサ
ーチに渡した事件。
ヤフーBB・ソフトバンクBBインターネット接続サービスの顧客 460
ヤフーBBによる個人情報流
出事件(2004 年)
万人分の情報が流失していたことが、恐喝未遂事件で発覚。その後、流
失した情報は加入者約 660 万人全員分だったことが判明。IP電話「B
Bフォン」の通話記録も約 140 万件流失した可能性があることも明らか
となった。
(6)公的義務に関するもの
インドネシア保健省は化学調味料「味の素」の現地工場における製造過
程で、イスラム教で禁じられている豚肉から抽出された成分が使用され
味の素インドネシア事件
ていたことを発表し、インドネシア味の素に対し回収を命じた。その後
(2001 年)
イスラム教徒を中心にインドネシア国内の批判が拡大したため、調味料
のみならず全製品回収へと事態が深刻化し、同社社長、副社長の逮捕・
拘束に進展した。
アイレディースによる宿泊拒
アイレディース宮殿黒川温泉ホテルが、ハンセン病の元患者らの宿泊を
否事件(2003 年)
拒否した事件。
トヨタ自動車による整備士試
トヨタ自動車の技術人材開発室長を通じ、11 月に実施した1級小型自動
験問題の漏えい事件
(2003 年) 車整備士技能検定の筆記試験の一部が系列販売会社に漏れた事件。
51
(7)労働条件に関するもの(セクハラ、パワハラ、正規雇用と非正規雇用等)
米雇用機会均等委員会(EEOC)が三菱自動車製造に対し、数百人の女性
従業員に対し、セクシャルハラスメントと性別を理由に不平等な扱いを
アメリカ三菱自動車製造によ
おこなっていたとして、被害者 1 人当たり最大 30 万ドルの補償を求める
るセクハラ訴訟事件
(1996 年) 訴えを起こした。この事件を契機に抗議キャンペーンや不買運動が起こ
り、最終的に女性従業員 289 人に対し総額 3,400 万ドルの損害賠償を支
払うことで和解した。
キヤノンによる偽装請負事件
(2005 年)
トヨタ車体精工による偽装請
負・労災隠し事件(2006 年)
キヤノンの宇都宮工場や子会社の大分キヤノンなどの偽装請負が発覚
し、2005 年に労働局から文書指導を受けた事件。キヤノングループの請
負労働者は約 15,000 人とされる。
トヨタ車体精工が偽装請負の発覚を恐れて請負労働者の労災報告をおこ
なわなかった事件。労災隠しの疑いありとして労働基準監督署の捜査を
受けた。
トヨタ車体精工による偽装請
負・労災隠し事件(2006 年)
自動車部品工業が偽装請負の発覚を恐れて請負労働者の労災報告をおこ
なわなかった事件。労働基準監督署の認定により同社幹部が書類送検さ
れた。
松下プラズマディスプレイに
よる偽装請負事件(2006 年)
松下プラズマディスプレイが茨木工場で勤務する社員を請負業者側に出
向させ、請負労働者に直接業務の指揮をした事件。労働者派遣法に抵触
する恐れがあるとして、大阪労働局が実態調査を受けた。
トヨタ自動車米国現地法人の女性従業員がセクハラ行為を受けたとして
北米トヨタによるセクハラ訴
訟事件(2006 年)
同社社長とトヨタ自動車、北米トヨタ自動車に対し、総額 1 億 9000 万ド
ルの損害賠償を求める訴訟を起こした。トヨタ側は提訴から 6 日後に提
訴された社長の辞任等の迅速な対応策を発表、3 ヵ月後には原告との和解
に達した。
(8)国際ルールに関するもの(会計規制、マネーロンダリング、知財、国際
カルテル、国際労働ルール等)
大和銀行ニューヨーク支店で米国債の売買・管理を統括していた行員が、
1984 年から 11 年間米国債を簿外で無断売買して約 11 億ドルの損失を生
大和銀行巨額損失事件(1995
じさせ、これを隠蔽するために同行保有の投資有価証券を売却した事件。
年)
米連邦準備理事会(FRB) など米銀行監督当局は、同行に対し 90 日以内
に米国のすべての拠点の業務を停止するよう求める処分を発表した。
住友商事による銅不正取引巨
住友商事の非鉄金属部長が、銅地金の簿外取引で発生した米国銀行への
額損失事件(1996 年)
債務を返済するため、1985 年から無許可で会社名義の不正取引を続け、
住友商事に計 2850 億円の損害を与えた事件。
注1)2002~03 年までの企業不祥事データは合力知工・福岡大学商学部教授が作成した「日本における企
業の社会的責任に関する系譜」から転載した。
注2)2004 年以降の企業不祥事データは事務局が下記を参考に作成。
・フジサンケイグループ・エフシージー総合研究所「今週の企業事件」
52
http://www.fcg-r.co.jp/forum/incident/index.html
・厚生労働省 HP
http://www.maff.go.jp/
注3)事件の態様については事務局が分類。
53
3.ジョンソン・エンド・ジョンソンの取り組み
(1)ジョンソン・エンド・ジョンソン 我が信条「Our Credo」
我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護
師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであ
ると確信する。顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の行なうすべて
の活動は質的に高い水準のものでなければならない。適正な価格を維持するた
め、我々は常に製品原価を引き下げる努力をしなければならない。顧客からの
注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。我々の取引先には、適正
な利益を上げる機会を提供しなければならない。
我々の第二の責任は全社員-世界中で共に働く男性も女性も-に対するもの
である。社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなけ
ればならない。社員は安心して仕事に従事できなければならない。待遇は公正
かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、整理整頓され、かつ安全でな
ければならない。社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう、配
慮しなければならない。社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければなら
ない。能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の機会が平等に与えられ
なければならない。我々は有能な管理者を任命しなければならない。そして、
その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。
我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の
共同社会に対するものである。我々は良き市民として、有益な社会事業および
福祉に貢献し、適切な租税を負担しなければならない。我々は社会の発展、健
康の増進、教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。我々が使用
する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。
我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。事業
は健全な利益を生まなければならない。我々は新しい考えを試みなければなら
ない。研究・開発は継続され、革新的な企画は開発され、失敗は償わなければ
ならない。新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導
入しなければならない。逆境の時に備えて蓄積をおこなわなければならない。
これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受すること
ができるものと確信する。
(2)ジョンソン・エンド・ジョンソンの倫理マネジメント
①クレドサーベイ
年 1 回、全世界の従業員に対して無記名による調査「クレドサーベイ」
を実施。回答率は毎年 99%以上である。その結果は全社員にフィードバ
ックされ、改善点を把握。従業員は改善するグループに入り、アクショ
ンプランを策定して次年度のサーベイでチェックする展開を行なってい
る。この調査結果は経営陣に対する「通信簿」として位置づけられてい
54
る。
②クレドチャレンジミーティング
通常毎年、全従業員を対象に各層・各部門に 1 日研修を実施。内容は
我々の日々の行動がクレドに従っているか、更に良くする為には何をす
べきかを議論する。
55
4.企業経営に関する先人の教訓
(1)石田梅岩
①二重の利を取り、甘き毒を喰ひ、自死するやうなこと多かるべし。
自分の利益だけではなく、相手が取るべき利益も自分のものとし、
本当は毒であるが目先の甘さに引かれて食べてしまい、自分の命を
捨ててしまうようなことが多いのではないでしょうか。
②実の商人は、先も立つ、後も立つことと思ふなり。
真の商人は、商売相手のことも考えて商売をすることである。
(2)近江商人
三方よし=売り手よし、買い手よし、世間よしと取り引きに関わる
皆が満足することが商売の基本であり、利益はその結果である。
(3)二宮尊徳
経済と道徳の一致
(4)渋沢栄一
①道理と事実と利益とは必ず一致するものである。
②経済と道徳との一致に勉むるためには、常に論語と算盤との調和が肝
要である。
(5)山田方谷
①総じて善く天下の事を制する者は、事の外(大局)に立って、事の内
に屈しない。
②至誠惻怛
まごころ(至誠)と、いたみ悲しむ心(惻怛)があれば、物事をう
まく運ぶことができる。
③義を明らかにして利を計らず
正しい理念で経営に当たれば利潤はついてくる。
56
(6)論語
①不義にして富み、且つ貴きは、我に於いて、浮雲の如し。
②その身正しければ、令せずして行わる。その身正しからざれば、令す
といえども従わず。
③君子は義に喩り、小人は利に喩る。
④君子は諸れを己に求め、小人は諸れを人に求む。
(7)司馬遼太郎
志ほど、世に溶けやすく、壊れやすく、くだけやすいものはない。
(8)荻生徂徠
己が好みに合う者のみを用うる勿れ。
(9)ゲーテ
人生は己を見出す自分探しの旅である。
(10)サントリーの例(鳥井信治郎)
ビジネスであげた収益は、事業の拡大、顧客へのサービス、社会奉仕
の三つに使うべし。
(11)資生堂の例(福原信三)
①資生堂五大主義
「品質本位主義」「共存共栄主義」「消費者主義」
「堅実主義」「徳義尊重主義」
②現在の企業理念
私たちは、多くの人々との出会いを通じて、新しく深みのある価値を
発見し美しい生活文化を創造します。
(12)キッコーマンの例(家訓)
①第 17 条
大事は独断すべからず。必ず衆と共に論ずべし。衆意を容るるは、衆
として進んでことに当らんの道なり。
②第 7 条
事業の根本は人にあり 任免は私情を雑へず
適材を適所に置くべし 業に従うものを敬愛し
その心を安んずることを以って念とせよ
57
(13)豊田綱領(豊田佐吉の教え)
①上下一致、至誠業務ニ服シ産業報國ノ實ヲ擧グベシ
②研究ト創造ニ心ヲ致シ常ニ時流ニ先ンズベシ
③華美ヲ戒メ質實剛健タルベシ
④温情友愛のノ精神ヲ發揮シ家庭的美風ヲ作興スベシ
⑤神佛ヲ尊崇シ報恩感謝ノ生活ヲ爲スベシ
(14)ピータードラッカー
①リーダーとは物事を決めて実行すべき立場にある人である。
②そもそも自分をマネジメントできない者が部下や同僚をマネジメント
できる筈がない。他の人間をマネジメントすることは、主として自分
が模範となることによって行なうことができる。
58
5.国際行動に関する最近の動向
(1)多国籍企業行動指針
OECD は 2005 年 6 月に「多国籍企業行動指針」を指示した。そこでは一般
方針として経済面、社会面、環境面の発展への貢献、人権の尊重、現地能力の
開発の奨励、良きコーポレートガバナンス原則の保護などを設定している。
情報開示として定期的な信頼性のある妥当な情報の開示、会計および監査に
質の高い基準の適用などを、そして雇用および労使関係としては、労働組合な
どとの建設的な交渉の実施、児童労働の実効的な廃止、強制労働の撤廃、人種、
性、宗教、出身などによる差別の廃止などを定めている。環境については環境
管理制度の維持、環境・健康・安全に関する情報の提供、企業の事業について
の環境、健康および安全への影響評価などを行うことを定めている。贈賄につ
いては、直接または間接に贈賄または不当な利益の申し出、約束、供与、また
は要求を行うべきであるとしている。
さらに消費者利益を保護するため、公正な事業の行動、安全性と品質の保護、
消費者のプライバシーの尊重、個人情報の保護を求めている。そして、科学お
よび技術については進出する国の関連政策などへの合致と、技術革新能力の発
展への貢献、そして現地の人材の雇用と訓練の奨励を求めている。また、適正
な競争の実施と納税義務の履行を求めている。
(2)日本経団連の企業行動憲章における地球環境に関する事項
日本経団連が 2007 年 4 月に改定した「企業行動憲章」実行の手引の中で海外
活動について、次のような事項が盛り込まれている。
・地球温暖化対策や循環型経済社会の構築などに取り組む。
・省エネルギー・環境保全技術の移転のために、諸外国との協力に努める。
・事業活動における環境影響を評価し、環境負荷と環境リスクの低減に努める。
・環境問題の解決に資する革新的な技術、製品・サービス、ビジネスモデルの
開発に努める。
・生物の多様性の保全を含めた自然保護活動に取り組む。
・環境に関する取り組みについて、広く社会に発信する。
企業はとりわけ発展途上国に対して、日本の先進的な経験の供与や技術上の
支援などに務めるとともに、投資する場合には日本と同じように或いはそれ以
上の環境保全の設置を講ずる必要がある。
59
6.
「経営の志と倫理」実態調査 調査票
<フェース>御社のプロフィールについて伺います。該当のものに○印をお願いします。
①業種
(1) 水産・農林(2)鉱業(3)建設(4)食品(5)繊維(6)パルプ・紙(7)化学
(8)石油・石炭製品(9)ゴム製品(10)窯業(11)鉄鋼(12)非鉄金属(13)金属製品
(14)機械(15)電気機器(16)輸送用機器(17)精密機器(18)その他製造(19)商業
(20)金融・保険(21)不動産(22)陸運(23)海運(24)空運 (25)倉庫・運輸関連
(26)情報・通信
(27)電力・ガス(28)サービス
②株式上場
(1)上場
(2)店頭公開 (3)ジャスダック等 (4)非上場
③資本金
(1)1億円以下 (2)1億円超5億円未満 (3)5億円以上
④従業員規模
(1)300 人未満(2)300~600 人(3)601 人~1000 人(4)1001 人~2000 人
(単体)
(5)2001 人~3000 人(6)3001 人以上
(連結:
人)
<回答に当たっての注意>
1. 該当する項目の数字に○印をつけてください。(選択数に指定がない場合は、原
則として1つだけ選択して下さい)
2. 7スケールの基準については以下を目安としてください。
100%
99~75%
7
75~51%
50%
5
4
6
49~25%
3
24~1%
2
0%
1
3. 本件は経営者の志を調査するものです。可能な限り経営者自らお答え下さい。
(1)貴社が企業経営で最も重点をおいていることを3つ以内でお答え下さい。
①売上の拡大
②収益の向上
③株主への利益還元
④顧客価値の充足、顧客へのサービス
⑤従業員の満足、資質の向上
⑥企業倫理の向上
⑦技術開発力の向上
⑧品質の向上
⑨環境保全
⑩メセナ活動
⑪その他(
)
60
(2)貴社の企業倫理の基本的な考え方に最も近いものをお答え下さい。
①法令遵守のレベル
②法令の範囲よりレベルの高い倫理行動
③②を基盤の上に実施する社会貢献
④その他(
)
(3)貴社の企業理念の徹底方法について全てお答え下さい。
(複数回答可)
①社訓
②社長談話
③行動基準(コンプライアンスガイドラインなど)
④研修
⑤従業員との直接対話
⑥その他(
)
(4)社外取締役機能について、最も近いものをお答え下さい。
①社外取締役を取り入れるべきである。
②社外取締役や社外監査役以外の第3者機関(例えばアドバイザリーボード)
を設けるほうが有効である。
③社内の取締役が有効かつ十分に機能するので社外取締役は必要ない。
④その他(
)
(5)貴社のコーポレートガバナンス原則についてお答え下さい。
①作成し、開示している。
②作成しているが、開示していない。
③作成していないが、暗黙の了解となっている。
④作成していない。
(6)貴社の社外取締役(社外監査役)や第3者機関の意見を経営にどのように反映して
いるかお答え下さい。
①全てを反映している。
②反映しているが、諸事情により反映できないものもある。
③反映しているが、必要ないものは反映していない。
④反映していない。
⑤当社では社外取締役(社外監査役)や第 3 者機関をおいていない。
61
(7)貴社は倫理委員会を設置についてお答え下さい。
①設けている。
②設けていない。
※①と回答した方は(8)にお答え下さい。②と回答した方は(11)へお進
み下さい。
(8)貴社の倫理委員会の構成メンバーについて全てお答え下さい。(複数回答可)
①経営トップ
②担当役員
③企業倫理担当部署
④外部の有識者
⑤その他(
)
(9)貴社の倫理委員会開催頻度についてお答え下さい。
①定期的に開催している。
②問題が生じた時に開催している。
③随時開催している。
④開催していない。
※④と回答された方は(11)にお進み下さい。
(10)倫理委員会の開催時間についてお答え下さい。
①年8時間以上
②年4時間以上8時間未満
③年2時間以上4時間未満
④年1時間以上2時間未満
⑤年1時間未満
(11)従業員及び関係会社を対象とした倫理に関する実態(意識)調査の開催について
お答え下さい。
①定期的に実施している。
②実施したことがある。
③実施していない。
④その他(
)
(12)倫理監査の実施についてお答え下さい。
①実施している。
②実施していない。
③実施予定である。
④その他(
)
62
(13)社内ヘルプラインの組織体制についてお答え下さい。
①社内の部署で組織化している。
②法律事務所や専門機関など第3者機関に委託している。
③社内部署と第3者機関で組織化している。
④ヘルプラインを設置していない。
(14)貴社の社内ヘルプラインの現状についてお答え下さい。
(複数回答可)
①従業員に定着している。
②従業員に定着しつつある。
③従業員に定着していない。
④従業員へ活用を奨励している。
⑤従業員へ特に活用を奨励していない。
(15)企業倫理に関する研修の対象と頻度について、当てはまる欄に○をお付け下さい。
半年に1回程度
1年に1回程度
2~3年に1回程度
随時
未実施
役員層
管理職層
一般社員層
非正規社員
(16)国内のグループ企業の企業倫理の取り組みについてお答え下さい。
①全てのグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
②一部のグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
③グループ企業がそれぞれ独自の活動を実施している。
④行っていない。
⑤その他(
)
(17)海外のグループ企業の企業倫理の取り組みについてお答え下さい。
①全てのグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
②一部のグループ企業が貴社と同様の趣旨の活動を実施している。
③グループ企業がそれぞれ独自の活動を実施している。
④行っていない。
⑤その他(
)
63
(18)貴社が国内で提供しているサービスや商品の安全基準についてお答え下さい。
①法令のレベルで設けている。
②同業他社程度の基準で設けている。
③同業他社を上回るレベルで設けている。
④世界最高の基準で設けている。
⑤その他(
)
(19)貴社が海外で提供しているサービスや商品の安全基準についてお答え下さい。
①進出国の法令のレベルで設けている。
②進出国の同業他社程度の基準で設けている。
③提供している国や地域の基準を上回るレベルで設けている。
④日本国内最高レベルの基準で設けている。
⑤世界最高の基準で設けている。
⑥その他(
)
(20)贈答・接待の供与・収受に関する貴社の取り組みについてお答え下さい。
(対公務
員は除く)
①一切禁止している。
②倫理綱領で規定されている範囲内で行っている。
③特に決まりは無く、現場の判断に任せている。
④その他(
)
(21)消費者(エンドユーザー)からの意見への対応についてお答え下さい。
①全面的に優先して対応している。
②対応しているが、諸事情により対応できないものもある。
③対応しているが、必要ないものは対応していない。
④対応していない。
⑤当社では消費者(エンドユーザー)から意見をもらう仕組みがない。
(22)発注者として優越的地位の乱用を防止する貴社の取り組みと現状について、当て
はまる欄に○をお付け下さい。
過去 5 年間問題が発生
過去 5 年間問題が発生し
していない。
た。
防止する仕組みがある。
防止する仕組みがない。
64
把握していない。
(23)知的財産権の侵害を防止する貴社の取り組みと現状について、当てはまる欄に○
をお付け下さい。
過去 5 年間問題が発生
過去 5 年間問題が発生し
していない。
た。
把握していない。
防止する仕組みがある。
防止する仕組みがない。
(24)業界平均給与と比較した貴社の給与水準についてお答え下さい。
①平均より高い。
②平均と同水準である。
③平均より低い。
(25)貴社の従業員間の給与水準格差の現状と今後について、当てはまる欄に○をお付
け下さい。
今後格差を拡大していき
今後格差を縮小していきた
今後格差を維持していき
たい。
い。
たい。
現在の給与水準格
差は大きい。
現在の給与水準格
差は小さい。
(26)貴社の残業申請状況と取り組みについて、当てはまる欄に○をお付け下さい。
①全て申請されている。
②申請されていないかもしれない。
③現場に任せており把握していない。
④残業代を考慮しないシステムなので残業申請がない。
(27)障害者を含む社会的弱者の雇用の割合についてお答え下さい。
(
)%
【計算式】
雇用する身体障害者・知的障害者数+※1雇用する精神障害者数
雇用率算定=
※2
雇用する常用労働者数
※1 短時間労働(20 時間以上 30 時間未満)の精神障害者についても 0.5
人分とカウントし、雇用率として参入可。
※2 常用労働者とは以下のいづれかの条件に当てはまる労働者。
①期間の定めなく、雇用されている労働者。
②過去 1 年を超える期間について引き続き雇用される労働者。
③採用時から 1 年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者。
65
(28)ハラスメント(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等)の仕組みと現
状について、当てはまる欄に○をお付け下さい。
仕組みが機能して
必ずしも対応できていない
対応できている。
事例がある。
把握していない。
周知や解決プロセス
の仕組みがある。
周知や解決プロセス
の仕組みがない。
(29)メンタルヘルスの仕組みと現状について当てはまる欄に○をお付け下さい。
仕組みが機能して
必ずしも対応できていない
対応できている。
事例がある。
把握していない。
予防や解決プロセス
の仕組みがある。
予防や解決プロセス
の仕組みがない。
(30)人材育成に対するお考えについてお答え下さい。
①業績に関係なく取り組んでいく。
②業績の変動を考慮しながら取り組んでいく。
③従業員の自己啓発が基本であり、企業側は資金負担をしない。
④その他(
)
(31)貴社の労使協議制についてお答え下さい。
①労使協議制は良い制度であり、活用している。
②労使協議制は良い制度だが、活用していない。
③労使協議制は役に立たない。
④組合がない。
⑤その他(
)
(32)インサイダー取引防止の対策について当てはまる欄に○をお付け下さい。
過去 5 年間問題が発生
過去 5 年間問題が発生し
していない。
た。
規制や研修実施など防止
する仕組みがある。
規制や研修実施など防止
する仕組みがない。
66
把握していない。
(33)貴社の環境問題に関する取り組みについて当てはまる欄に○をお付け下さい。
環境問題に関する方針と数
環境問題に関する方針か数
環境問題に関する方針や数
値目標を立てている。
値目標を立てている。
値目標は立てていない。
重点課題として取
り組んでいる
他社と同程度以上
に取り組んでいる
他社と同程度に取
り組んでいる
(34)環境問題について貴社が具体的に取り組んでいるものを全てお答え下さい。
①省エネ・省資源
②リサイクル
③温暖化ガス排出規制
④排出権取引
⑤技術開発による環境対策
⑥モーダルシフト
⑦グリーン購入
⑧緑化事業
⑨クリーン開発メカニズムの活用
⑩有害物質除去
⑪生物多様性保全
⑫廃棄物対策
⑬その他(
)
(35)メセナやボランティア活動など本業と直接関係の無い社会貢献活動のお考えに
ついてお答え下さい。
①業績に関係なく取り組んでいく。
②業績の変動を考慮しながら取り組んでいく。
③業績に関係なく取り組まない。
④その他(
)
67
(36)ファシリテーションペイメンツについて貴社の取り組みをお答え下さい。
※ファシリテーションペイメンツとはビザ、通関、税金還付などの手続きを
円滑に進めるために少額の金銭を支払うことを意味します。
①すべて禁止している
②生命・身体・財産を守るためなどの必要最小限については基準を設け、容
認している。
③海外の商慣習に応じた基準を設け、容認している。
④ルール化はしていないが、海外の商慣習に応じて容認している。
⑤先進企業の対応に倣っている。
⑥この問題を考えたことがない。
⑦その他(
)
(37)倫理委員会で決められた内容や倫理綱領の改訂内容は実際のマネジメントに反
映されていますか。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
(38)倫理調査や倫理監査で浮かび上がった課題は実際のマネジメントに反映されて
いますか。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
(39)社内ヘルプライン等で発見した課題は実際のマネジメントに反映されています
か。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
(40)研修プログラムは貴社の倫理的課題に応じて改善されていますか。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
68
3
2
1
(41)経営トップが企業倫理について従業員(組合員)と直接対話することは、倫理
的問題点の解決にとって有効だと思いますか。
大いにそう思う
7
全く思わない
6
5
4
3
2
1
(42)貴社では監査内容について、経営トップが実質的に把握していますか。
全てしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
(43)貴社に対するCSRランキングの評価を意識されていますか。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
(44)貴社に対するSRI(社会的責任投資)の評価を意識されていますか。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
(45)貴社ではリスクマネジメント・ハラスメント・コンプライアンス・企業倫理・
CSRなどをガバナンスに反
映・統合していますか。
非常にできている
7
全くできていない
6
5
4
3
2
1
(46)貴社にとって不都合な情報であっても積極的に外部に開示していますか。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
(47)貴社では、資材などの調達企業を決定する際に、グリーン調達を行っています
か。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
69
3
2
1
(48)海外などに進出した際、本社同様社会的責任を果たすよう指導していますか。
非常にしている
7
全くしていない
6
5
4
3
2
1
≪経営者の志≫
(49)不祥事が起きる主な原因は何だと思いますか。3つ以内でお答え下さい。
(例:過大な目標設定、トップの態度の不明確、社内の業績競争、社内の倫
理観の欠如、社員の資質、内部統制が不十分など)
1.
2.
3.
(50)企業倫理を推進する上であなたがトップとして大切に考えていることは何ですか。
3つ以内でお答え下さい。
(例:トップの明確な意思表示,社員の資質と自覚、倫理重視の企業風土、内
部監査の強化、行動基準の設定など)
1.
2.
3.
(51)企業は誰のために存在するとお考えですか。
(例:株主、従業員、ステークホルダーなど。理由もお書き下さい。)
(52)経営者の志と倫理についてあなたはどのようにお考えですか。
(53)その他ご意見がございましたらご記入下さい。
以上
70
7.経営を高め倫理を推進する国民会議メンバー
(氏名 50 音順・敬称略)
共同議長
大橋 洋治 (全日本空輸株式会社 会長)
高木
剛 (連合 会長)
福川 伸次 (財団法人機械産業記念事業財団 会長)
会議委員
秋山
落合
加藤
國廣
西條
中村
中村
野坂
花房
原
菱山
松本
安井
山折
渡邊
谷口
をね
清四
裕治
正
都夫
秀明
正武
雅一
正義
良也
隆二
晃
孝之
哲雄
美樹
恒明
(株式会社インテグレックス 社長)
(UIゼンセン同盟 会長)
(自動車総連 会長)
(弁護士・国広総合法律事務所)
(株式会社日本経済新聞社 論説委員兼編集委員)
(株式会社毎日新聞社 経済部)
(電機連合 中央執行委員長)
(株式会社読売新聞東京本社 論説委員)
(日立キャピタル株式会社 特別顧問)
(株式会社大和證券グループ本社 会長)
(企業行動研究センター所長・元三菱石油アメリカ社長)
(ジョンソン エンド ジョンソン株式会社 最高顧問)
(株式会社朝日新聞社 編集委員)
(国際日本文化研究センター 名誉教授)
(ワタミ株式会社 社長)
(財団法人社会経済生産性本部 理事長)
幹事
小池 伴緒(財団法人社会経済生産性本部 常務理事)
以
71
上
経営の志を高め倫理を推進する国民会議
報告書
~尊敬される企業経営を目指して~
2008 年 5 月 2 日 第1刷発行
編集・発行
財団法人社会経済生産性本部
発行所
財団法人社会経済生産性本部
〒150-8307 東京都渋谷区渋谷 3-1-1
電話
03-3409-1118 FAX
印刷・製本
03-5485-7750
株式会社 千葉印刷
* 本書の全部または一部の複写・転訳載及び磁気または光記録媒体への入力等を禁じます。
財団法人社会経済生産性本部のホームページ http://www.jpc-sed.or.jp
72