危機迫る「CDS市場」、信用不安!

KOBAKANニュース
2008 年 10 月 10 日
小林不動産鑑定株式会社
大阪市北区西天満3-7-27
TEL;06-6315-5111
FAX;06-6315-5125
VOL.14
文
書:小林
穂積
このKOBAKANニュースは、小林穂積及び小林不動産鑑定(株)、(株)イーマックスとお名刺交換、ご縁をい
ただいた方にお送りしております。
1. 危機迫る「CDS市場」、信用不安!
サブプライムローン問題で米証券大手、リーマン・ブラザーズの経営破綻、米保険大手アメリカン・インターナシ
ョナル・グループ(AIG)の経営悪化(FRBに 4 兆円超のつなぎ融資を仰ぐ)などで、世界の金融マーケットはまさ
に大混乱です。
「今、起こっていることは序章にすぎない。アメリカ発の金融危機は 2009 年に入っても継続し、10 年まで続く
可能性が高い。アメリカの金融機関は最低でも 2000 億ドル(約 20 兆円)を超える追加融資を受けるはずだ」(ニ
ューヨーク連銀幹部、夕刊フジ 2008.9.20)といいます。
「世界の金融マーケットはまさにクラッシュ寸前の状況です。・・・もし、CDSマーケットが火を噴いたら・・・日本
の金融機関も無傷ではいられない」(同上)。「筆者(須田慎一郎氏)の見るところ、将来的に-極めて近い将来、この
CDS市場はクラッシュすることになる。」(同上)し、「AIGが実質的な政府管掌下に置かれたのも、CDS市場
で多額の資金を運用していたからです。もしAIGが経営破綻していたなら、CDS市場は確実にクラッシュして
いたでしょう。そうした事態を回避するためにFRBはAIGに公的資金を供与せざるを得なかった」(同上)よう
です。「このCDSの最終的な引き受け手は、ヘッジファンド。・・・ヘッジファンドに火の手が上がれば、ヘッジフ
ァンドに資金供与している金融機関に影響が及ぶのは必須です。」(同上)
「CDS」とはクレジット・デフォルト・スワップの意味です。今でさえ、リーマンショックで日本の経済・株式・
不動産等に打撃を与え、建設業や地方金融機関などに波及しつつありますが、
「CDS市場」(07 年末時点 62 兆ド
ル(6200 兆円)が大きく揺らぐと崩壊連鎖は避けられず、日本の金融機関への直撃で不動産も大打撃という構図も
ありうると思います。
2.不動産流動化事業が収縮!!
ここ数年順調に拡大していた不動産流動化事業が、厳しい局面を迎えているようです。
「不動産流動化事業」とは、
無収益・低収益の不動産を利用形態を変更したり、テナントの入替やリニューアル又はリフォーム工事、建物管理
等を行って高付加価値不動産に仕上げ、投資家や不動産オーナー等に売却を業とすることをいいます。
不動産流動化事業は不動産の金融商品化と相まって急成長しましたが、サブプライムローン問題が発生し、資金回
収・新規融資がストップ。市場が一気に冷え込み、不動産への投資環境が一段と厳しくなりました。又、国内の金
融機関が不動産融資規制を強めたため、破綻する企業が相次ぎました。不動産流動化事業を行う法人も同様で外資
や国内の不動産ファンドも投資を手控えるようになり、それが響いて倒産に追い込まれているようです。
「不動産流動化事業がストップした場合、まず差し迫るのは資金繰りです。慌てて資金圧縮をしようとすれば、買
いたたかれて破綻を早める可能性があります。・・・売るに売れず、返すに返せない状態が今の流動化ビジネスを主
力とする新興デベロッパーが置かれている環境です。」(2008.10.4
週刊東洋経済)
よって、新興デベロッパーは、「急に資金繰りに詰まって突然死してしまう『資金繰り倒産』のケースが目立つ」
(2008.10.4 週刊ダイヤモンド)と言います。
「原因として大きかったのは、金融機関に対する金融庁の姿勢です。指導や金融検査を通じ、反社会勢力の排除や
過熱する不動産融資の抑制を金融機関に迫った。・・・『不動産という名がつく企業に金は貸せない』と言うところ
まで現れ・・・信用収縮が広がり始めた」(同上)というのが実体のようです。この話はよくよく考えれば、今から5
~6年前までの日本の状況とまったく同じです。でも一つ違うのは、あの当時に比べて、処理のスピードがとても
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速いということだと思います。
3.12 年前のフッ素、除去責任あり!!(東京高裁)
土地取引で土壌汚染の有無及びその状況によっては土地価格に大きな影響を与えますが、「土地の売買契約時には
無害とされていた土地のフッ素が 12 年後に有害として法規制されたため、買主が売主に汚染除去費を請求した訴
訟の控訴審判決が 9 月 25 日東京高裁であった。」(2008.9.26 日本経済新聞)
土壌汚染は不動産価格に重大な影響を及ぼす原因であり、価格への影響も大きくかつまた除去費用も高額になるケ
ースがあります。この度の東京高裁の記事は、注目に値するのでその内容を下記に転記しました。
「東京高裁の渡辺等裁判長は『後から有害物質として法規制された場合も売主は除去費を負担すべきだ』と判断し、
売主側に汚染除去費用の支払いを命じました」(同上)
「裁判では売買契約後に有害物質として規制されたフッ素を含む土壌が、民法の定める土地などの売買で売主が賠
償責任を負う『隠れた瑕疵』に当たるかどうかが争点となりました。判決理由で『契約時には有害性が知られてお
らず、契約後に有害として法規制された場合でも隠れた瑕疵とみなすことができる。買主は売主に賠償請求できる』
と述べました。・・・一審判決では『売買契約の締結時、フッ素の制限する法令はなかった』として売主側の賠償責
任を認めませんでした。」(同上)
土地の売却や鑑定においても土地の履歴や土壌汚染の調査をしますが、この判決は、不動産の取引に及ぼす影響が
大きいと判断しました。当然と言えば当然かもしれませんが、工場等の売買にあたっては、よく注意を払う必要が
あります。
4.京阪「中之島線」開通!!
10 月 19 日、京阪電鉄「中之島線」(天満橋~中之島)が開通します。京阪「天満橋」駅から「なにわ橋」「大江橋」「渡辺
橋」「中之島」駅まで5駅です。「中之島」駅周辺は、「周辺の居住人口が千人に満たない」ですが、京阪中之島線が開
通することにより「住友病院は、枚方市や守口市など京阪沿線の住民の医療の受け皿にしたいと考え」(2008.9.20
日経新聞)ています。又、「大阪の老舗高級ホテルとして高い知名度を誇るリーガロイヤルホテルでさえ、新規顧客
の獲得に向けて京都方向特に京阪沿線の利用者の取り込みを期待しています」(同上)
今年 5 月には、朝日放送新社屋や多目的ホールを中心としたスーパーマーケット、飲食店舗が建ち並ぶ「ほたるま
ち」が、街開きし、新線需要を見込んだ動きが活発になってきました。
5.建設業者向け融資創設!!
国土交通省は建設業者向け融資を創設します。建物完成後に受け取る予定の建築代金を担保に、金融機関から融資
を受け取ることが出来る制度を 11 月から創設します。公共工事の受注業者は工事代金の 4 割を前払い、残る 6 割
を完成後に受け取るのが一般的ですが、新制度では前払いも含め、受注額の約 9 割の現金を工事中に建設業者が受
け取る事ができるようにし、資金繰りを支援します。その際には、金融機関が融資しやすくするように国交省所管
の財団法人建設業振興基金と民間の保証会社が債務保証することで、金融機関のリスクを軽減させるようです。不
動産、建設業等向け融資が厳格化していますが、少しでも新しい動きに目をやり、リスクヘッジ対策を立てていく
時機に来ていると思います。
小林不動産鑑定㈱は、資産の評価・運用・コンサル業務のご相談にお答えします。
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http://www.erea-office.com
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