図書館だより オススメ本紹介号 その3

図書館だより
オススメ本紹介号
その3
平成24年4月23日発行 堅田高校図書館
1年生のみなさん、ご入学おめでとうございます。図書館では、
「堅田高校生のみなさんにできるだけ本
を読んでもらいたい」という思いから、先生方のオススメ本紹介号というのを発行しています。その1の
発行以来、
「オススメ本を読みたい!」と言って図書館に来てくれる人がたくさんいます。1年生のみなさ
ん、そしてもちろん2、3年生のみなさん、今年も紹介号を楽しみにしていてくださいね!今回は1年生
担任の飯田先生と、
堅田高校をいつもピカピカにしてくださっている業務員の小出さんのオススメ本です。
4月23日は・・・
カタールニャ地方の伝統的な祝祭日で、守護聖人である騎士サン・ジョルディの伝説に由来すると言わ
れており、大切な人に1本のバラと1冊の本を贈って、この日を祝います。4月23日は偉大な文学者セ
ルバンテスやシェイクスピアの命日にもあたり、ユネスコによって「世界本の日」に指定されています。
昔々、カタルーニャと呼ばれる国がありました。 その国には、地を駆け、空を飛び、海を泳ぎ、一息で
森や作物を焼き尽くすことのできる獰猛な恐ろしいドラゴンがおり、
住民たちは怪物の怒りを鎮める為に、
毎日 1 人ずつ生け贄を捧げておりました。
ある日、王様の娘が生け贄になる順番がまわってきました。大勢の人がお姫様のことを思い、身代わり
になることを申し出たのですが、王様はその申し出を受け入れません。悲しみに心を引き裂かれそうにな
りながらも、可愛い娘に残酷な運命を全うさせる他なかったのです。
ところが、お姫様が餌食になろうとするその時、真っ白い駿馬に跨がり、黄金に輝く甲冑をまとった 1
人の若い騎士が姿を現しました。彼こそが、お姫様を救いにやって来た騎士サン・ジョルディだったので
す。
サン・ジョルディとドラゴンは激しく戦います。ドラゴンの強さは圧倒的で、厳しい戦況が続きました。
しかし、善は常に勝利を収めるもので、サン・ジョルディの手にした槍がドラゴンの心臓を貫き、見事お
姫様を救い出すことができたのです。
溢れ出したドラゴンの血からは、見たこともないほど美しい薔薇が咲き、サン・ジョルディは、その中
でも最も美しい薔薇を手折り、永遠の愛のシンボルとしてお姫様に贈ったのです。
それ以来カタルーニャの人々は、毎年 4 月 23 日をサン・ジョルディの日とし、愛する人たちに美と教
養、愛と知性のシンボルとして、1 本の薔薇と 1 冊の本を贈ってこの日を祝っているのです。
(http://home.att.ne.jp/banana/cck/que-sanjordi.html より)
『アルテミス・ファウル シリーズ』 オーゥエン・コルファー 著
キリスト教的な世界観ではなくアイルランドの妖精譚がベースになっているの
で 日本人の感性にも馴染みやすく、勧善懲悪のお決まりパターンなファンタジー
は好きじゃないと言う人にもオススメです。
超科学力を持ち地下世界で繁栄を続ける妖精たちとそれに全く気付いていない
人間世界、そして唯一その存在に気付いた人間が天才的少年犯罪王アルテミスとい
う設定の秀逸さもさることながら、個性豊かなキャラクター達が織り成す人間(?)
模様も素晴らしい出来の作品です。大人が読んでも読み応え十分なストーリーに加
え、シリーズを通して変化していくアルテミスの心情にも要注目。これだけ隙の無
いエンターテイメントファンタジーはなかなかありません。ぜひ、読んで欲しい作
品です。
(小出)
『博士の愛した数式』
小川 洋子 著
一人暮らしの「博士」の身体には、<僕の記憶は80分しかもたない>と
書かれた古いメモが錆びついたクリップで留められています。家政婦として
やってきた「私」の10歳の息子は、「博士」から「√(ルート)」と名づけ
られます。記憶の障害のために、毎日「初対面」を繰り返す3人は、数字を
めぐる不思議な関係を築いていきます。例えば、「私」の誕生日である2月
20日=220と、「博士」の腕時計の番号284は、「友愛の数」なので
す。これは、滅多に存在しない組み合わせです。試しに両方の数の、それ自
身を除いた約数を足してみてください。2つの数字の絆が見えてきます。そ
して、これはやがて「私」と「博士」の心の絆と感じられるようになってい
きます。また、「√」と「博士」は、算数の宿題はもちろん、二人が大好き
な阪神タイガースの試合のスコアや、選手の背番号、打率などさまざまな数
字の不思議さを絡ませながら、人間関係を深めていきます。でも、翌日にな
るとまた、「私」と「√」は2人のことを全く知らない「博士」に会うので
す。こうして日常のさまざまなできごとを、数字で結ばれた3人はなんとか
克服していきます。読み手は、常に心暖まる気持ちと、どこか切ない気持ち
を交錯させながら、やがて3人の生活が終わる日がやってきて、物語を読み
終えます。同時に、私たちの日常生活には、数字が大きく関わっているのだ
ということを改めて認識させられるのです。ちなみに、私もつい先日発見し
ました。「37」という数字は、1と37でしか割り切れない煮ても焼いて
も食べられないような数ですが、かけてみると楽しい姿に変身します。37
×3=?37×6=?37×9=?37×12=?37×15=?さて、
どうですか?(飯田)