0.6MB - WAKWAK

サービス仕様書サマリ
第1.2版
2002年 3月 26日
光サービスアーキテクチャコンソーシアム
サービス委員会
Copyright (C) 2001-2002 HIKARI Service Architecture Consortium. All rights reserved.
改版履歴
版
改版日
第1.0版
2002/1/31
第1.1版
2002/2/12
第1.2版
2002/3/26
修正個所
―
・図4.1.1、図4.2.1、図4.3.1
・付属資料追加
・誤植訂正
・一部記述の見直し
修正理由等
初版
図4.1.1、図4.2.1、図4.3.1をその他の図
の体裁に合わせた
―
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執筆者一覧(五十音順)
間 智子
市森 峰樹
伊藤 日出男
上田 繁
上野 元治
宇敷 辰男
枝 茂弘
小菅 三奈子
田嶋 知一
田中 美苗
中野 恵一
橋本 研一郎
松永 統行
三嶋 信太郎
元橋 圭哉
森脇 鉄郎
山口 典男
渡辺 仁哲
大日本印刷株式会社
日本電信電話株式会社
独立法人 産業技術総合研究所
シャープ株式会社
株式会社東芝
NTT アドバンステクノロジ株式会社
日立ネットビジネス株式会社
NTT アドバンステクノロジ株式会社
ソニー株式会社
大日本印刷株式会社
オリンパス光学工業株式会社
株式会社電通
日本電気株式会社
株式会社ユーズコミュニケーションズ
日本放送協会
シャープ株式会社
日本ヒューレット・パッカード株式会社
富士通株式会社
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-i-
目次
1.まえがき ..................................................................................................................................... 1
2.HSAC が Focus するサービス ........................................................................................................ 2
3.サービス仕様 .............................................................................................................................. 3
3.1 デジタルオンデマンド(D-オンデマンド) ..................................................................................... 3
3.2 BB Vision .............................................................................................................................. 5
3.3 パーソナルキャスト・サポートサービス ......................................................................................... 7
3.4 ネットライブサービス ................................................................................................................ 9
3.5 遠隔協調ワーク(遠隔教育).................................................................................................... 11
4. 発展(事業)シナリオ ................................................................................................................. 14
4.1 各サービスの加速要因と課題 .................................................................................................. 14
4.2 サービス要求条件 ................................................................................................................. 15
4.3 事業シナリオ ........................................................................................................................ 16
付属資料 ..................................................................................................................................... 17
1.「先端事例調査」 ......................................................................................................................... 17
2.電子情報通信学会 ワークショップ .............................................................................................. 17
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サービス仕様書サマリ - 1 -
1.まえがき
ブロードバンド(通信)サービスは、これまで通信で提供することが困難であった映像伝送を可能にする画期的な
サービスである。これまで、広帯域を必要とする動画・映像サービスは、放送波による一方向伝送サービスか、その
代替手段である CATV、および、ビデオテープ、デジタルビデオ(DV)などの記録媒体によるものであった。
ブロードバンド(通信)サービスは、初めて動画・映像コンテンツを、双方向に伝送可能な新規サービスであり、
2001 年を「ブロードバンド元年」とする、正に 21 世紀に登場する偉大な通信インフラである。
かつて、印刷機の発明によって、新聞や書籍等の印刷・出版事業が出現し、今や産業の一大分野を形成している。
同様に 20 世紀には、放送電波の出現により、ラジオ・TV 放送が出現し、また、映写機の発明により、映画が出現し
た。いずれもメディア産業として確固たる地位を築くに至っている。
通信ブロードバンドは、これまで経済的に不利・不可能とされていた双方向広帯域メディアの切り札として、エンタ
テインメント、コミュニケーション、ビジネス分野を始めとして、生活環境を変化させる大きな産業基盤を形成していく
ものと予想される。
これまでの歴史の教訓から、新しいインフラストラクチャ(社会基盤)は新しいメディア産業を誘起して来た。我々には、
この 21 世紀初頭に誕生する通信インフラを、どう利用し、どういう産業を誘起するかの創造的活動が期待されてい
る。
「光サービスアーキテクチャコンソーシアム(HSAC)」、とりわけ、その中の「サービス委員会」は、その模索をするこ
とを主な目的としている。しかし、新規ビジネス、新規産業の勃興は、熾烈なビジネス競争(ビジネス戦争)の結果で
あり、結論は 5 年先、10 年先でなければ判定されないであろう。
本書は、「サービス委員会」の検討推移を可視化するためのドキュメントであり、現在から近未来にかけて、ブロー
ドバンドサービスを企画・検討されておられるメンバ企業の方々のご参考になれば幸いである。
この「サービス仕様書」は、必ずしも結論が導き出された訳ではない。また、その内容に判定が下されるのも現時点
ではないことを予めお断りしておきたい。
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サービス仕様書サマリ - 2 -
2.HSAC が Focus するサービス
検討に当たっては、先ず最初に、ブロードバンドサービスとしての期待と、可能性の大なるサービス例を募り、そ
れらをいくつかのカテゴリに分類しつつ、新たなサービス例の発掘と、特長的サービスが抜けることのないよう取組
みを進めた。
これらのサービス例を分類するために、図 2.1 に示すサービス MAP を使用することにした。図の横軸は、通信・伝
送の方向性を示し、縦軸は、ワンタイム利用か、繰り返し利用かを区別することとした。この他にも分類指標としては、
利用目的・伝送形態から、BtoB、CtoC、BtoC(B:Business、C:Consumer)や、業務別・用途別分類も考えられたが、
汎用性と、業界横断的サービスを重視し、このサービス MAP を指針に、有望サービスの発掘と Mapping を行った。
検討対象とした 20 種余りのサービスを参照しながら、これまで実現が困難であったが、ブロードバンドサービスとし
ての実現性、新規性、事業性等の観点から有望と考えられる、次の5つのサービスを Focus することにした。
①デジタル−オンデマンド(D-On Demand)
②ブロードバンド−ビジョン(Broadband−Vision)
③パーソナル・キャスト・サポート(Personal Cast Support)
④ネットライブ(Net-Live)
⑤遠隔協調ワーク(Co-operation Work)
第3章は、その詳細を記述したものである。
また、これら5つのサービスは、技術的には「1:n 型通信」と、「n:m 型通信」に2大別され、技術的なインタフェース条
件を、HSAC「技術委員会」が担当した。
活動成果:HSACがFocusする5つのサービス
ノンリアルタイム
繰り返し利用
パッケージ系
映画VoD
ソフト配信
D‐オンデマンド
双方向映像系
映像局間伝送
アーカイブ配給
P‐Cast
双方向映像伝送
TV番組VoD
片方向(配信)
BB Vision
ニュースoD
BBS
監視システム
素材配信
双方向(通信)
代行配信(電子配信)
遠隔授業
ニュース番組
動画HP
遠隔医療
ライブ中継
オークション TV電話・会議 ネットセッション
番組配信
ネットライブ
遠隔協調ワーク
リアルタイム
1回利用
放送類似系
公衆用 =B2C
英会話
コミュニケーション系
自家用
=C2C/B2B
図 2.1 検討に使用したサービス MAP と、Focus した5つのサービス
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サービス仕様書サマリ - 3 -
3.サービス仕様
3.1 デジタルオンデマンド(D-オンデマンド)
1)サービスの概要
このサービスは、端的に言えば「レンタルビデオ、レンタル DVD をオンラインで実現する」というものである。映画作
品だけでなく、見逃した TV 番組、繰り返し視聴が効果的な教材・講座、暮らしのアクセントとしての環境映像、その
他各種の販促用ビデオなど、アーカイブ化された高画質の映像コンテンツを、高速のネットワークを通じて、気軽か
つ安価に利用できれば、暮らしが豊かになる。また、従来、パッケージ(ビデオ/DVD)化が困難だった、需要見こ
みが少数に留まるソフトや鮮度に価値がある映像コンテンツも市場に出る可能性も広がる。オンライン化により、「借
りる、返す」という手間が不要になり、需要があっても店舗スペースなどの関係で人気ソフトのパッケージが払底する
「貸出中」「欠品」等という不便や利益機会の逸失も解消できる。また、映像コンテンツ分野以外の応用例として、例
えば、下記のようなデジタルコンテンツでも同様の利用が考えられる。
・ ゲームソフト
・ 百科事典、新聞記事のデータベース
・ 家庭用、ビジネス用のアプリケーションソフト、など
「D−オンデマンド」サービス
ブロードキャスト(TV)の変革・補完
●個人嗜好視聴の実現
インパクト ●より多彩なコンテンツ、多彩なプレイヤ参加、流通サイクルの加速
●陳列までの時間短縮、座買いの便、「欠品」の解消
コンテンツ
音楽・映画・ニュース・TV番組・電子書籍・絵画・
ゲーム・カラオケ・学習教材・地図情報・ソフト
コンテンツホルダ
コンテンツ提供事業者
視聴者
コンテンツ流通事業者
ス トリーミング型
配信プロバイダ
著作権保護
課金管理
ダウンロード型
図 3.1.1
2)サービスの要件
このようなサービスが実現するためには、まず、光ファイバ等による高速で安定的なネットワークが整備、普及され、
安全な課金・認証などの「流通基盤」が成立していることが不可欠となる。また、それに加えて、ユーザから見て、「現
在 レンタルビデオ で実現出来ていること+α」が満たされることが、必要条件となる。具体的には、
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サービス仕様書サマリ - 4 -
① 現行 VHS や DVD 以上の品質を実現する映像品質…
(1) これまでのインターネットサービスの主流である「ベストエフォート」型ネットワークではなく、一定の回線
速度を保証する「ミニマム・ギャランティ」型のサービス
(2) ディスプレイのフル画面で、24〜30 フレーム/秒で表示できること(映画=24 フレーム、テレビ=25〜
30 フレーム)。また、 揺らぎ や 遅延 のない映像伝送
② 高画質作品を快適・簡単に視聴できる端末、ソフトウェア、インタフェース…
(1) 現在の家庭用 DVD/VTR 並み以上の迅速・簡単な操作性<早送り/巻き戻し/一時停止/スロー再
生が可能であること>
(2) 視聴希望が集中する人気コンテンツでも、待ち時間なく視聴できること
③ ラインナップ・料金…
(1) 提供ジャンル・作品数で、現行のレンタルビデオを超えること
(2) 希望するコンテンツが容易に見つけられる商品構成になっていること
(3) 「コンテンツ視聴料」と「回線使用料」の和が、現在のレンタルビデオ料金よりも低廉であること
④ 権利処理・権利保護・公共性…
(1) インターネット再送信、リムーバブルメディアへのコピーなどを抑止する効果的対策(コンテンツ保護の
仕組み)
(2) 映像コンテンツのマルチ利用を前提とした、権利処理ルール、利益分配の仕組みの確立
(3) 利用者の個人情報の保護、安全確実な課金の仕組み、年齢限定等の視聴制限の仕組み
オンデマンドサービス 多様なアプリケーションの想定と普及の要件
D-オンデマンドサービス
アプリケーション例
●映画作品のオンデマンド視聴〔レンタルの代替〕 ●ビジネス用、家庭用コンピュータソフト配信
●“見逃し”テレビ番組のオンデマンド再視聴
●映像ソフト制作産業の素材交換・配給
●ゲーム、カラオケ
●設計図等、各種高精細度画像の配信
●百科事典、新聞記事データベース
●地図情報配信
●教育・講座コンテンツ配信(学校向け、生涯学習他)
など
魅力ポイント
■高速・「保証型」ネットワークによる安定品質の映像コンテンツ流通
■パッケージより「少需要」「短時間」でリリース可能→より多彩なコンテンツの流通
■オンライン化による“欠品”の解消。<借りる・返す>手間の解消
主な普及の要件
コンテンツ提供事業者
利用者
▲簡単で便利な操作性・機能
▲個人情報の保護・秘匿
▲安全確実な課金
▲安定的な通信品質
(高画質、高音質…)
ダウンロード型
コピープロテクト機能
*違法コピー、再送信の抑止
▲コンテンツ保護の仕組み
▲2次的流通を前提とした権利者の契約
コンテンツ流通事業者
▲速度“保証”型のネットワーク
▲レンタルビデオ以上の魅力的ラインナップ
▲低廉な(レンタル以下の)料金体系
ストリーミング型
コピーコントロールは比較的容易
トランザクションのたび毎に、回線トラフィック
図 3.1.2
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サービス仕様書サマリ - 5 -
3.2 BB Vision
1)BB Vision のねらい
本サービスは、主に商業コンテンツを消費者に配信する枠組みです。BB Vision のミッションは、光サービスという
双方向性・インタラクティブ性に優れた環境を用いて、著作権利者に対してはその権利が守られつつ、ユーザに対
しては優れたコンテンツ消費環境を提供することです。例えば、BB Vision が無線網と統合された場合、帰りの電車
でモバイル端末で見た動画コンテンツの続きを家庭の端末で見たり、大人気の封切りビデオコンテンツを帯域やネ
ットワークの混雑を気にせず自宅の居間でゆっくり鑑賞する、ということも出来るわけです。それがもしスポンサーつ
きの提供であれば視聴は無料かもしれません。
2)BB Vision の構成概要
BB Vision を提供するシステム全体構成想定図を「図 3.2.1 BB Vision can control How contents are consumed.」
に示します。BB Vision は単純なストリーミングを行うものではなく、ユーザ宅内の記憶媒体に対して能動的に予備配
信を行うなどの仕掛けを伴う統合的なコンテンツ配信の基盤を目指します。BB Vision では配信されたコンテンツに
対して幾つかの属性(著作権関連、コンテンツ ID などメタデータ)を与えることができます。ユーザ側端末はこの属
性に従って配信されたコンテンツを扱います。予備配信機能を使うことにより、高品質の動画コンテンツを時間さえ
かければ狭帯域(CATV、ADSL の一部など)の回線を通しても送れ、コンテンツ配信のサービスとしてロバストです。
例えばHGW(視聴者側)
事業者側
配信サーバ
キャッシュ
サーバ
(無くてもいい)
クライアント
キャッシュ
部分
クライアント
視聴可能
領域
VOD
コンテンツ
視聴者
リアルタイム
コンテンツ
課金管理
視聴管理
コンテンツID
著作権管理
demand
コンテンツ
視聴部分
の制御に
特徴があ
る。
BB Vision Passive
demand
BB Vision Active
通常のCDNが対象とする領域
BB Visionが対象とする領域 -> 視聴される形まで管理する。
図 3.2.1 BB Vision can control How contents are consumed.
BB Vision をビジネスの側面から見た場合、「図 3.2.2 Participants of BB Vision business model.」で示すように、
様々なビジネス参加者が応分の利益を確保できるようなモデルであることが言えます。また、従来のテレビ放送のよ
うな広告モデルとは異なり、BB Vision は視聴状況等の情報を収集できることから、広告対象を中小規模のコミュニテ
ィとして認識し、広告内容を細かく変化させることが可能です。(図 3.2.3 Advertising in the BB Vision can understand
small-middle communities.参照)当然 Broad Band ネットワークによりインターネットと直結した環境を利用して、タイミ
ングを逸することなく適切なマーケットプレースより消費活動にアフィリエートすることが可能です。これは BB Vision
という放送的サービスと通信が融合したコンテンツデリバリ方式の特徴といえましょう。
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サービス仕様書サマリ - 6 -
配信
プロバイダ等
コンテンツホルダ等
コンテンツ
製作者
コンテンツ
配信
プロバイダ
配信料
コンテンツ
著作権者
著作権管理
プロバイダ
コンテンツ
出資者
視聴者
接続料
VOD視聴料
コンテンツ
消費 者
課金
管理
VOD視聴料
購買 者
ネットワーク
インフラ
プロバイダ
連携
連携
コンテンツ・広告コンテンツ制作費
連携
コンテンツID
著作権管理機関
連携
広告
代理店
広告主
製品購入代金
(企業イメージ向上)
図 3.2.2 Participants of BB Vision business model.
◆スケジュール配信機能を使用して、コンテンツ消費をコントロールする点から
広告消費を保証
(21世紀の広告スキーム構築は大きなポイント)
◆現在の、一斉同時多数配信(放送)から、多様な配信手段を活用した中数配信へ
TVチャネル 10CH
コンテンツ
CM
CMスポット単価?
コンテンツ
CM
1000万世帯
視聴率100%
(TS活用)
コンテンツシンジゲート
X視聴率(10%)
マーケット
DB
マーケット
=100万
コンテンツ チューニング
ペ
ペ
ッ
ッ
ト
ト
コミュニティサイズ
10万人
サッカー
サッカー
コミュニティ
音
音
楽
楽
1000個
地域
→10万人X1000円X12月=12億円
図 3.2.3 Advertising in the BB Vision can understand small-middle communities.
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サービス仕様書サマリ - 7 -
3.3 パーソナルキャスト・サポートサービス
1)サービスのねらい
「パーソナルキャスティング・サポートサービス事業者(仮称)」とは、「撮影録画した、又はライブで撮影している映
像コンテンツを、一般ユーザが、手軽にインターネットを通じて特定・不特定多数に発信および配信することを可能
にする、『パーソナルキャスティング・サポートサービス』を行う事業者」と定義する。
本サービスの提供により、これまで一部の企業/団体にのみ限定されていた「放送」サービスを、遍く万人が提供す
ることが出来、従来の「撮る」ことに限定されていたユーザの娯楽分野を「キャスティング」にまで拡大することが可能
となる。また、同サービスは万人向けの放送番組から、一部のユーザ向けの放送番組へと、より個人向けの放送コン
テンツの創造、流通を可能にする契機と期待される。またコンテンツ制作に積極的なアマチュア、セミプロユーザに、
自作コンテンツの発表の場とそれに対する対価獲得の仕組みを提供することで、クリエータの育成、ボトムアップに
貢献することが出来る。
本サービスはライブ映像等のアップリンクを視聴者のアクセス系と同様に超高速化する初めての試みである。イン
ターネットを利用した個人ベースで楽しめるキャスティングサービスとしての新メディア市場を形成することが見込ま
れる新規性に富んだサービスである。
2)サービスの概要・構成
パーソナルキャスティングサポートサービスの基本サービスは、ユーザ(発信者)が 20 人から 100 人程度の視聴者
(受信者)を対象に映像コンテンツを放送(発信/配信)する際のサポートである。このサービスにより一般ユーザは
録画済の映像コンテンツの放送、及びライブ映像コンテンツの同期放送が実現される。
事業者は放送サポートに対し発信・配信料という形の対価を得る。また事業者は、発信者が受信者に対し有料で
コンテンツを放送する際の受信料課金代行、あるいは番組に対するスポンサー(パトロン)仲介も行い、手数料を得
る。
事業者の派生サービスには、TV 放送サービスと同様のサービスを発信者が提供するため、同時通訳、副音声、
同時文字放送を組み込み配信する事業者と提携し、発信者の希望に応じて各種コンテンツ加工サービスを提供し
対価をうる。
3)サービス仕様
(1)システム・ネットワークの仕様
(a)動画ストリーミング発信者
(b)パーソナルキャスティング・サポートサービス事業者
(c)動画ストリーミング受信者
(2)端末の仕様
(a)発信側
映像コンテンツ製作機器
① デジタルビデオカメラ
② パソコン
③ 映像コンテンツ専用機
映像コンテンツ発信機器
① 発信ソフト
② 通信機能
(b)受信側
映像コンテンツ受信機器
① ウェブブラウザ
② ストリーミング受信ソフト(派生サービス受信のためには第2音声適応型が必要)
③ モニタ
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サービス仕様書サマリ - 8 -
視 聴 者 の ピラ ミッド
ク リエ ー タ の ピラ ミッ ド
ブ ロー ド
キャステ ィング
プ ロ コンテ ン ツ
マ ス市 場
セ ミプ ロ コン テ ンツ
ミデ ィア ム 市 場
パ ー ソナル
キ ャス テ ィン グ
ボ トム ア ップ
アマコンテンツ
パ ーソナ ル 市 場
ビデ オカメラ 普 及 :35%(約 1600万世 帯 ) *1 ・PC普 及 :50.5% *2
パ ー ソナ ルコンテ ンツ 年間 延 べ 時 間 数:26.4億分 (4400万 巻 × 約 60分 ) *3
楽 しむ
創る
出 典:
*1. 総 理府 統計 局 (2000年 )
*2. 総 務省 情報 通信 政策 局総 合政 策課 統計 企画 課 (2000年 10月 )
*3. 社 団法 人日 本記 録メデ ィア工 業会 、ソ ニー株式 会社 (2000年)
図 3.3.1 パーソナルキャスティングサポートサービスの特長
広告材提供
基本
サービス
広告スポンサー
スポンサー料
スポンサー料
動画
ス トリー ミン グ
発信者
発信
配信
P-キ ャ ス ト
発 信 /配 信 料
コンテンツ加工料
サポートサービス
事業者
受信料
受信料
コンテンツ受信
動画
ス トリー ミン グ
受信者
加工コンテンツ
発信
コンテンツ加工料
派生サービス
同時通訳・副音声
同時文字情報提供者
図 3.3.2 パーソナルキャスティングサポートサービスの構成
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サービス仕様書サマリ - 9 -
3.4 ネットライブサービス
1)サービスのねらい
本サービスは、高速・大容量の光ネットワークを介して、スポーツ・コンサート等をスポーツや音楽の愛好者が
集まる会場、或いは将来的には個人の端末へと臨場感のあるライブ映像・オーディオを配信するサービスであ
る。
また、地上波、CSデジタルTV放送など他の放送メディアと同等以上のaudio/video品質のライブを提供するサ
ービスである。
2)サービスの概要・構成
全国の商業施設(シネコンや映画館等)、公共施設(公民館等)、カラオケBOX、マンションなど、中規模から小
規模な自分の最寄りのライブ会場に光ネットワーク接続によりライブサービスを提供する会場へのサービス(会場
配信型)と、個人へライブサービスを提供する各家庭(個人)へのサービス(家庭配送型)の2つがある。
以下に、会場配信型サービスと家庭配送型サービスの特徴(図3.4.1)とプレイヤ機能(図3.4.2)を示す。
(1)会場配信型サービスでは、光ネットワークの高速性・大容量性を活かした高品質な Video/Audio を伝送可
能な CDN 基盤網とメトロコア網が必須になる。また、会場特性を活かし放送メディアとの差別化を図ることの
できる高品質な Video/Audio が伝送可能なメトロアクセス網とディストリビューションが重要となる。
(2)家庭配送型サービスの配信規模は MPEG-2 6Mクラス、100万世帯とする。
(3)プレイヤ
(a)視聴者・鑑賞者
(b)興行主
ライブ会場と機材を保有し、ライブを視聴者に提供する。
(c)家庭(個人)
(d)サービスポータル
家庭へ配送されたコンテンツの視聴料の徴収を代行する。
(e)コンテンツ配送機能(BtoC)
コンテンツ配信機能から配信されたライブコンテンツを各家庭へ提供する。
(f)コンテンツ配信機能(BtoB)
編成されたライブコンテンツを興行主やコンテンツ配送機能へ提供する。
(g)コンテンツ編成機能
制作されたコンテンツを編成し、コンテンツ配信機能へ提供する。
(h)コンテンツ制作機能
ネットライブサービス向けのコンテンツを制作し、コンテンツ配信機能に対してコンテンツを配信する。
(i)広告主
自社が提供する商品やサービスの販売促進の為、広告料と共に広告コンテンツを提供する。
(j)コンテンツホルダ
オリジナルコンテンツの権利を保有する。また、コンテンツの使用を許諾する。
3)サービス仕様
本サービスでは、臨場感あるライブ映像や音響をリアルタイム配信することを基本サービスとし、タイムシフト機
能やリプレイ機能等のサービスは付加サービスとする。
また、会場へ集まり大人数で視聴しながら盛り上がる興奮型と静かに視聴する鑑賞型とにコンテンツは分けられ
る。そこで、本仕様書では、興奮型の中でもサッカーのようなスポーツを例にとって記述するが、他に以下のような
コンテンツが考えられる。
(1)興奮型
例えば、サッカーの他に野球・プロレス・格闘技・ラグビー・バレーボール・バスケットボール・テニス・オリン
ピックなど応援や歓声のあるスポーツ、国内外有名アーティストのライブやコンサート、芸能人イベントといっ
た会場の人たちと一緒になって盛り上がるコンテンツが考えられる。
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サービス仕様書サマリ - 10 -
(2)鑑賞型
例えば、ミュージカル・バレエ・宝塚・寄席・舞台などの演劇、クラシック・ジャズ・オペラなどのコンサートとい
った会場であまり騒ぐことなく静かに視聴するコンテンツが考えられる。
「ネットライブ(生中継)」サービス
インパクト
ブ ロ ー ド キ ャ ス ト(T V )の 補 完
● 2つ の 新 た な 場 の 価 値 創 出
● 新 た な 臨 場 感 の 配 信 (新 価 値 )、 「ラ イ ブ 」商 品 化 の 促 進 ・多 用 化
ライブ会場
会場
① 1 00 Mクラ ス 以 上 の
臨 場 感 ある会 場型 映 像配 信
会 場 型 配 送 プ ラ ットホ ー ム
配 信 プ ラ ットホ ー ム
配 信 (C D N )網
家 庭 型 配 送 プ ラ ットホ ー ム
家庭
素 材 エンコー ド
著作権保護
暗号化
コンテンツ蓄 積
サ ー ビスポ ー タル
認証
配信管理
広告エンコード
著作権保護
暗号化
キャッシ ュ
② 6 M M PEG -2ク ラ ス 、
100万 世 帯 家 庭 型 映 像 配 信
図 3.4.1 サービスの特徴
広告主
ライブコンテンツ
視聴者
鑑賞者
ライブコンテンツ
広告コンテンツ
広告料
興行主
配信料
入場料
ライブコンテンツ
コンテンツ
編成機能
コンテンツ
配信機能
コンテンツ料
コンテンツ
制作
コンテンツ料
ライブコンテンツ
配信料
ライブコンテンツ
家庭
(個人)
サービス
ポータル
コンテンツ
制作機能
コンテンツ
ホルダ
コンテンツ使用料
コンテンツ料
コンテンツ使用料
配信料
コンテンツ
配送機能
視聴料
コンテンツ料
使用許諾
(コンテンツ)
※ サ ー ビ ス ポ ータル か らの 料 金 の 支 払 は 、そ れ ぞ
れのビジネスモデルにより異なる
配送料
お金の流れ
コンテンツの流れ
図 3.4.2 サービスの構成
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3.5 遠隔協調ワーク(遠隔教育)
1)サービスの目的・ポイント
「遠隔協調ワーク」とは、光ネットワークの高速・大容量性を活用し、限りなくリアリティを追求することによって、
従来とは一線を画する遠隔教育と遠隔地にいる複数の作業者同士による共同作業を可能にするサービスであ
る。
本サービスの提供により、リアルタイムでのコミュニケーションを重視した遠隔教育や共同作業が実現する。こ
れまでの遠隔教育は、まず教材配布し、それを個別に学習し、質問やテストは E メールで送付するといった形態
が多かった。学習はあくまでも個人個人が一人で行うもので、学習者は学習意欲を維持するのに努力を要したり、
すぐ回答や説明を得られないというフラストレーションがある。遠隔地での共同作業についても同様なことが言え
る。その点遠隔協調ワークにおいては、バーチャルでありながら限りなくリアルに近い環境を実現することにより、
集団学習の雰囲気の中で仲間と共に楽しく学習したり、リアルタイムの映像で質問やテストを行ったりすることが
可能になる。体感的な臨場感が高まることで教育を受ける側、作業を行う側の参加意識や学習作業意欲が高まり、
学習作業効率の向上が期待される。病院に入院中の子供やハンディキャップのある子供も健常者と同じように参
加できることも魅力である。また、学習者はインターネットを利用した情報の収集や選択などを通じて、高度情報
化社会に適応した情報処理能力を身につけることができる。
講師も同じバーチャル空
間で講義や解説を行な
う。
病院に入院している子
供も、3D ゴーグルで行
きたい方向をコントロー
ルしながら、バーチャル
空間を体験。
Macintosh II
Hello!
Hi!
大画面スクリーン等によるバーチャル空間
コントローラで画面を制
御しながら、プレイヤで3
D映像を再生。
様々な地域の学校や病
院等から同じバーチャル
空間を体験している子供
達とリアルタイムで会話
できる。
図 3.5.1 リアルタイムコミュニケーションで実現する遠隔教育イメージ
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サービス仕様書サマリ - 12 -
2)遠隔教育におけるサービスシーケンス
受講前、受講中、受講後において常にn:mのコミュニケーションが可能で、臨場感溢れるバーチャル空間にお
ける学習環境が実現する。
(1)受講コース選択:コース名、概要、講師プロフィール等を参考に受講コースを選択
(2)受講:受講者は選択したコースを受講する。講師による講義は対面環境と同等のリアルタイム動画で、動画、
高精細なイラスト、図表、写真等の解説資料も豊富に使用、板書等も高精細に再現されるため見やすくなる。
受講者自身の様子もリアルタイムの動画で表示されるため、受講の様子や習熟度合いが講師に理解されや
すい。
また、講師−受講者間ネットワークにより、受講者からの質問に講師がリアルタイムに回答したり、講師が受講
者を指名し受講者が回答することができる。
(3)受講前、受講中、受講後の受講者間ネットワーク:受講前のひとときや受講後の共同作業時、あるいは受講
中でも、複数の受講者同士でリアルタイムに表情を見ながら会話できる。会話したい受講者表示画面をクリッ
クすると通信できるようにし、一緒に学習する仲間、作業する仲間とのコミュニケーションが自由に行えるよう
にする。
(4)教材利用:受講コースで使用する教材や課題をサーバを利用して配布。音声・静止画・動画・大容量のテ
キストもストレスなく伝送できる。
(5)拡張学習:インタフェースとなる教材から、インターネットを介して関連情報を検索・収集したり、自主的に受
講内容に関連する情報を収集、分析したりすることで、高度情報化時代に適応した情報処理能力を会得して
いく。講師による閲覧ログのチェックも場合によっては必要であろう。
(6)共同作業:コミュニケーションサーバを利用し、複数受講者による共同作業を行う。共同での問題解決や作
業分担による課題制作もよりリアルなn:mのコミュニケーションの実現で、効率的、意欲的に進めることが出
来る。
(7)討論:複数受講者による討論。各受講者が収集した情報を元に討論し、意見を深める
3)要求条件
(1)ネットワーク空間を利用者に意識させない表現・伝達等コミュニケーションが可能なこと
<プロバイダへの要求条件>
(2)集合教育等と同等の臨場表現<プロバイダ・コンテンツホルダへの要求条件>
(3)授業形式に応じて、高精細映像の伝送が可能なこと
<プロバイダ・コンテンツホルダへの要求条件>
(4)利用者同士の多地点間相互コミュニケーション<プロバイダへの要求条件>
(5)多地点での利用者が発言時、発言者フューチャー画像・音声表現<プロバイダへの要求条件>
(6)コミュニケーショングループ毎に伝送が確立していること<プロバイダ・ユーザへの要求条件>
(7)講師及び利用者の表情が対面と同等の品質で理解が可能なこと<プロバイダへの要求条件>
(8)移動体からの参加も可能なこと<プロバイダ・コンテンツホルダへの要求条件>
4)応用・派生サービス
本サービスの基盤は将来的に様々なサービスへの応用範囲も広い。遠隔操作で遠く離れた場所での作業(例え
ば牧場での搾乳や宇宙船操縦など)を体験する遠隔地作業体験、講演や発表の予行演習を本番さながらの環境で
行うバーチャル講演会(プラクティス)、遠隔医療、健康相談、自分の好きなシチュエーション、好きな姿(アバダ)で
カウンセリングを受けられるバーチャルカウンセリング、複数のカメラを遠隔操作して観光地情報や道路情報などをリ
アルタイムで得られる遠隔操作・監視システム、製造装置・検査装置等のリモートメンテナンス、よりリアルで臨場感
溢れるオークション、テレビ電話サービス、ネットセッション等が考えられる。
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サービス仕様書サマリ - 13 -
5)まとめ
本サービスは、n:mのコミュニケーションを取り入れることで、教育や作業現場の臨場感を高め、参加意欲を高める
ことで、教育効果や作業効率の向上を図った点に新規性がある。また、学習や作業を通じて、高度情報化社会に適
応した情報リタラシの習得をポイントとしている。日本各地の小中学生をはじめとする学生、研究者、生涯学習、文化
サークル等、過疎地域や都心の小規模校など、1ヶ所では少人数であるが、全国的にはある程度の参加者が見込ま
れる場合や、地域的、物理的制限を越えてコミュニケーションや共同作業を行うことで、教育効果や作業効率が向上
するような状況にある場合をターゲットとしており、その社会的意義は高い。ビジネスモデルとしては、遠隔教育や共
同作業を利用する個人または、学校や研究室、サークルなどの団体が、運営企業に受講料等提供サービスへの対
価や、コミュニケーションサーバ等作業環境の利用料を支払うものである。
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4. 発展(事業)シナリオ
以下では、フォーカスされた5つのサービスを基に、これらのサービスがどのように発展していき、結果として光サ
ービスが普及していくか、2つのシナリオを検討する。この検討を通して、光サービスが発展するための5つのサービ
スが持つ固有の加速要因、外部要因としての課題、そして、サービスが具備すべきサービス要求条件を明らかにす
る注。
注:サービスの発展シナリオとサービス要求条件の因果関係は全く逆であるとも考えられる。すなわち、あるサービス
要求条件を前提としたとき、発展シナリオはどのようになるかということも成立するが、以下では前者の立場を基本的
にはとる。
4.1 各サービスの加速要因と課題
図 4.1.1 は発展シナリオを検討する際の基本的なフレームワークを示している。各サービスに対する検討の視点は
次の4つとし、それぞれに対していくつかのポイントが指摘できる。
①社会性:サービスとして社会的な価値を持ち社会にアクセプトされるか。P-Cast や遠隔協調ワークは、コミュニ
ティにおけるモラルの醸成や個人コンテンツの保護などに課題がある。一方、個人、コミュニティ、また産業に
対して社会的価値が大きく、社会的な要請(結果としての受容性)が大きく、発展のための大きな要因を持
つ。
②事業性:事業として成立する要件は何か。D-オンデマンドやBB Vision が対象とするマーケットは TV やレンタ
ルビデオが既に存在し、これらのサービスにとっては「リニューアル市場」である。リニューアル市場における
事業の立上げには、新しい広告主などに代表される多彩なプレイヤ(その参加インセンティブは顧客情報の
活用による囲い込みなどにある)の参加が不可欠であり、これらのサービスでは多彩なプレイヤ参加を促進
する仕組みを提案されており、事業成立の大きな加速要因となる。
一方、ネットライブの持つ臨場感/高い参加度や P-Cast が提供する個人キャスティング、遠隔協調ワークの
教育や医療などへの利用は新市場を創り出し、事業性を高める。
③権利保護・法制度:これらは光サービスの発展の視点からは、課題として捉えられる。しかし、これらの課題も
現在進みつつある関係の各機関・コンソーシアム(例えば cIDf=content ID forum など)での検討結果により、
暫時解決されると考えられる。
④インフラ・技術:HSAC が目指すインフラ・技術は(当然ではあるが)サービスの発展を加速する。特に、1:nの
大規模なマルチキャストはD−オンデマンドやBB Vision に対して、また、n:mのリアルタイム環境は遠隔協
調ワークに対して、その普及・発展の技術的なポイントとなる(詳細は 4.2 で述べる)。
評価項目
D-オンデマンド BB Vision
P-Cast
ネットライブ
遠隔 協調
協調
ワーク
社会 的 価 値 (個 人 /コ ミ ュ ニ テ ィ /地域 /産 業 )
社
会性
社会
性
モ ラ ル の 醸 成 /個 人 コ ン テ ン ツ 保 護
事
業性
事業
性
多彩 な プレ イヤの 参 加
「インター ネ ット動 画 」感 の一 新
競 争 環 境 で の事 業 性
権利
保護
権 利保
法
制度
法制
度
知的権利保護
→ cIDfなどの検討に 準拠
インフラ
技
術
技術
新規市場の創出
参 加 す る・キ ャス ティングす るの 楽 しさ
商 慣 行 / 法 制度
H S ACが 目 指 す イ ンフラ
タイムシ フト
1:nの 大 規 模 マ ル チキ ャス ト
加速要因
マ ル チア ングル
n:m の リア ル タイム環境
課題
図 4.1.1 発展シナリオを検討する際の基本的なフレームワーク
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4.2 サービス要求条件
以上の議論を「サービス要求条件」として整理しなおしたものを図 4.2.1 に示す。また、同図には、技術に対する要求
条件(技術ポイント)とサービス要求条件との関連についても示した。
5つのサービスの持つ基本的サービスは次の3つである。
①コンテンツの持つ価値=D-オンデマンド/ネットライブ:これにより臨場感(映像・音響)や盛上感を(会場などに居
ないユーザに対して)提供できること。
②個人キャスティングの価値=P-Cast/遠隔協調ワーク:個人がキャスティングするという新しい世界を実現するこ
と。
③参加/インタラクティブの価値=P-Cast/遠隔協調ワーク:サービスを通してリアルタイムでの遠隔協調が可能で
あること。
また、最も重要な事業性の視点からは、発信者・受信者の認証やプロモーション・CRM(Customer Relation
Management)のサービスが必須である。特に、D-オンデマンドやBB Vision のようにリニューアル市場における顧客
の囲い込みなどを実現するためには、重要なサービス要件となる。
最後に、これらのサービス要件を技術への要求条件として投影することにより、技術要件(ポイント技術)として以下
の4つの要求条件が抽出される。
①配送と視聴の分離ができること(タイムシフト機能)
②マルチアングル(マルチコンテンツ)よりユーザにより選択可能なこと
③1:nの大規模なマルチキャストが可能なこと
④n:mのリアルタイム(映像と音響(音声)の同期などを含む)の環境を実現すること
評価項目 D B P ネット 遠
基本
サービス
事業性
社会性
サービス要求条件
× × ・臨場感(映像・音響)・盛上感を実現
× ・「個人キャスティング」の楽しみの提供
×
× × × × × ・高い参加度(インタラクティブ性)の実現
× ×
×
×
×
×
× × ・複数コンテンツのマルチ配送/配信
× × × × ・発信者・受信者の認証・履歴管理
×
×
・プロモーション・CRM機能
×
× ・個人情報の秘匿/プライバシ保護
× × × ・個人・地域コミュニティでの利便性
× × × ・社会的(産業的)価値を創る機能
ポイント技術
・配送と視聴の分離(タイムシフト)
・マルチアングル
・1:nの大規模なマルチキャスト
・n:mのリアルタイム環境
図 4.2 「サービス要求条件」と技術に対する要求条件(技術ポイント)
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4.3 事業シナリオ
5つのサービスが持つ社会性、事業性、また知的財産権の視点からの固有の加速要因、課題、そして、HSAC が
目指す(4.2 にて述べた技術要件を満たす)技術を前提として、2つの発展(事業)シナリオを検討する。
シナリオ#1:D-オンデマンドやBB Visionにより、娯楽性が高く、かつ社会的な認知度が高いリニューアル市場より
立ち上がり、ネットライブのようなコンテンツの付加価値の高い市場へ発展する。
シナリオ#2: P-Castなどの持つ新規性・社会性の高いサービスにより新規市場が立ち上がり、遠隔協調ワークな
どのより社会的(産業的)価値の強い分野へと発展する。
図 4.3.1 はこれらのシナリオとそれぞれの持つ加速要因/課題(サービス要求条件に反映されている)と HSAC によ
り実現される技術との関係を示している。
#1:
リニューアル市場より立上げ
D-オンデマンド
加速要因
ポイント技術
ポイント技術
解決される
解決される
課題
→
BB Vision
ネットライブ
???
「インターネット動画」感の一新
「インターネット動画」感の一新
「臨場感」などのコンテンツの価値
「臨場感」などのコンテンツの価値
多彩なプレイヤの参加
多彩なプレイヤの参加
大規模マルチキャスト
大規模マルチキャスト
マルチアングル
マルチアングル
市場での競争戦略
市場での競争戦略
知的財産権の保護
知的財産権の保護
#2: 新規市場の立上げ
P-Cast
→ 社会的(産業的)価値化
???
遠隔協調
加速要因
新規性/社会的要請
新規性/社会的要請
技術
n:mリアルタイム環境
n:mリアルタイム環境
解決される
解決される
新規市場の立上げ戦略
新規市場の立上げ戦略
個人コンテンツ保護/モラル醸成
個人コンテンツ保護/モラル醸成
課題
クローズ化価値
B2Bへのビジネス拡大
B2Bへのビジネス拡大
商法・教育法などの法制度
商法・教育法などの法制度
図 4.3.1 2つの発展(事業)シナリオ
両シナリオの大きな相違点は:
①立上げ市場:リニューアル市場か新規の市場か
②発展方向:娯楽性などを高めることにより顧客の囲い込み/会員化をはかるクローズ化価値を高めるか、サービス
基盤を社会活動(コミュニティ活動)や産業(B2B ビジネス)へ拡大していく社会的(産業的)価値を高めるかにあ
る。
今後、サービスはこの両シナリオのミックスされた、また互いにシナジー効果を以って発展=事業化していくと思わ
れる。その際、以上検討した5つのサービスは(基本型は様々に変化するとしても)、それらの持つ社会的、事業的、
また知的財産権・法制度の視点から特徴により、多様な事業形態に対応していくことができると確信している。
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付属資料
1.「先端事例調査」
実施概要
実施項目
実施回数
参加者数
実施先
システム調査
7回
延 233 名
・知多メディアスネットワーク
・NTT「HIKARI World」(2 回)
・有線ブロードネットワークス(2 班)
・松下 eHII ハウス(3 班)
セミナ調査
2回
担当者 2 名
・Content Management Forum 2001
・Streaming Media Japan 2001
委員会併催
・「インターネット広告と広告効果指標」
・「大和証券グループがめざす放送サービス」
・「企業向け専用番組配信」
外部講師依頼
4件
2.電子情報通信学会 ワークショップ
実施概要(2001.11.15 長崎ハウステンボス)
実施項目
主催:電子情報通信学会「第 14 回情報伝送と信号処理」
パネルディスカッション
モデレータ:
安田 浩(東京大)
コメンテータ:
福井 省三(TBS)
足立 國功(熊本ソフトウェア)
黒田 英夫(長崎大)
テーマ「ブロードバンド IT サービスの幕あけ
〜光コンソーシアム(HSAC)の全て」
●「光コンソーシアムの目標と成果」 渡部 直也(NTT)
●「メディア市場性向による光ブロードバンドサービスの検討」
枝 茂弘(日立ネットビジネス)
●「光時代のブロードバンドサービス 〜映画・TV の次なるメディアは?〜」
上田 繁(シャープ)
●「 光 は情報の新幹線になるか?
〜ブロードバンド情報流通・その可能性と課題〜」
元橋 圭哉(NHK)
●「BB Vision サービス 〜パーソナルリッチコミュニケーション〜」
山口 典男(日本 HP)
●「パーソナルキャスト・サポート・サービス」 田嶋 知一(ソニー)
●「光サービス基盤アーキテクチャ」
長谷川 聡(NEC)
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