地図情報の公開方針(案)

資料5
地図情報の公開方針(案)
平成26年10月
印西市統合型 GIS 推進部会
目次
1.背景 ········································· 1
1-1.当市の状況 ·············································
1-2.社会状況の変化 ·········································
1-3.オープンデータの推進 ···································
1-4.市民ニーズ ·············································
1-5.民間地図情報サービス ···································
1
2
2
3
3
2.統合型 GIS の現状と地図情報公開の効果 ········· 4
2-1.市の保有する地図情報 ··································· 4
2-2.公開における効果 ······································· 4
3.地図情報公開の手法 ··························· 5
3-1.利用者のニーズに応じた媒体での公開 ····················· 5
3-2.インターネットによる公開 ······························· 5
3-3.公開型GISの概算経費 ································· 6
4.地図情報公開の基本方針 ······················· 7
5.地図情報公開の整備方針 ······················· 8
別紙 共用・個別地図データ一覧 ··················· 9
1.背景
1-1.当市の状況
印西市では、行政における情報共有の推進、地図等の重複整備の削減による行政事
務の効率化及び高度化を図り、住民サービスの向上に寄与することを目的として、平
成17年度に「印西市統合型 GIS 運用計画書」
(以下、
「第1次計画」)を策定し、統合
型 GIS の導入から、整備、運用までを推進してきた。第1次計画では、共用地図デー
タ(都市計画基本図、地番図、航空写真、住宅地図)を整備し、平成18年度から本
格的な庁内運用を開始したところである。また、平成19年度以降は計画されていた
個別地図データの整備を進めている。
しかしながら、第1次計画での最終目標としていた(統合型 GIS で整備した地図デ
ータによる)市民公開サービス(公開型 GIS ※注1)の導入には至っていない。
第1次計画が終了したこと及び1市2村による合併が実現したことにより策定され
た「第2次印西市統合型 GIS 運用計画」(以下、「第2次計画」)においても、公開型
GIS 実現を目標としており、本年度が最終年度となっている。
なお、当市では統合型 GIS とは別に、
「いんざいマップ(※注2)
」及び「防災マッ
プ(※注3)
」を導入、公開している。
※注 1:公開型 GIS
インターネット上で Web ブラウザを通じて GIS を利用可能にする仕組み のことをいう。
※注 2:いんざいマップ
印西市ホームページ上
で、Google マップを利
用し、公共施設、福祉
施設、文化財等の情報
を提供。
(右図)
※注 3:防災マップ
印西市防災ホームペー
ジ上で、Google マップ
を利用し、各種ハザー
ドマップ(洪水・土砂
災害、内水、液状化等)
及び避難所の位置、ま
た、災害時には災害情
報システムと連携した
災 害 情報 を提 供。(右
図)
1
1-2.社会状況の変化
近年、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の進歩もあり、インターネッ
ト上で地図情報を無償で提供するサービスが増加しており、情報化が進む中で、地図
情報の重要性はますます高まっている。
東日本大震災においては、避難所等の震災関連情報を公開する際、データ形式の不
一致から情報の集約に手間と時間がかかったものの、インターネット上の地図情報を
活用して、さまざまな分析結果の提供や支援サービスが展開されたことから、地図情
報の活用に大きなインパクトを与えた。
また、本年8月に発生した広島県での土砂災害以降、都市開発による地形変更の履
歴を知りたいと、過去の地形図、居住地域の土砂災害情報、急傾斜地情報についての
問い合わせが増加傾向にある。
1-3.オープンデータの推進
国は、行政が保有する情報を2次利用可能な形でホームページ等に公開し、国民の
政策決定への参加の促進や新事業の創出を促進するとしており、平成24年7月には
公共データの活用促進を図るため「電子行政オープンデータ戦略」が策定された。ま
た、平成25年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」の中には、行
政が保有する地理情報や統計情報等の民間開放「オープンデータ」の推進が掲げられ
ている。
先進地である福井県鯖江市では、統計データ(気象、住基人口、国勢調査)、施設情
報(トイレ、避難所、AED、市の施設、市営駐車場、バス停)
、地図(古地図、さばえ
街なかぶらりマップ)等を、様々なデータ形式(JPG、CSV、XML、RDF 等)で公開
している。さらに、これらの情報を使用した市民向けスマートフォンアプリも公開し、
データの利活用を図っている。
2
1-4.市民ニーズ
平成24年度に実施した情報化に関する市民意識調査の結果では、回答者の44%
以上がインターネットサービスにおける地図を使った行政情報を「重要」と考えてお
り、
「どちらかといえば重要」の37%と併せて81%以上の回答者が、地図を使った
行政情報の提供を求めている。
現在、市では「いんざいマップ」及び「防災マップ」を公開しているが、アンケー
ト結果で要望の多かった「医療機関情報」や「防犯情報」といった安心安全情報や、
都市計画や市道等の情報については公開していない。また、未公開の情報を保有する
担当課からも、窓口サービスの高度化、効率化の観点から市民への公開要望がある。
表1:平成 24 年度「情報化に関する市民意識調査」より市に求める情報のトップ5の状況
順
市に求める情報
位
地図情報の公開状況
1
防災・防犯・災害情報
(避難所や災害時の対応方法等)
防災マップで防災・災害情報を提供済み
(ただし急傾斜地の情報は提供していない。
)
2
保健・福祉・医療情報
(福祉制度や介護保険、健康管理、医療機関
案内等)
いんざいマップで、保健・福祉施設の位置情
報を提供済み。
医療機関情報は、ちば医療ナビにリンク。
3
行政手続き情報
なし
4
Google マップのような地図を使った情報
上記1及び2等
5
道路・交通情報(通行止め等)
なし
1-5.民間地図情報サービス
現在、インターネット上では複数の民間事業者による無償の地図サービスが提供さ
れており、行政地図情報を追加して市民への情報提供を行えるサービス及び環境が整
備されている。これらのサービスは民間事業者のフォーマット(例えば Google マップ
のデータ規格等)に準拠しており、地図上の情報量の多さや表示メニューの充実等、
公共施設の位置等の公開に関しては十分な性能を有するものである。
しかし、民間事業者によるインターネット地図サービスで、特に無償で提供される
ものについては、事業者側のサービス方針転換等に伴う地図情報配信方式の変更や、
サービスの有料化や終了等が発生する可能性があり、常に一定のサービスが行政側の
要望通り継続して提供される保証はない。
また、システムの機能面においては、民間事業者のフォーマットとも関係が深く、
「行
政側が提供したい情報の公開」
「市民が行政に期待する情報の閲覧」それぞれの機能は
すべて民間事業者に依存する形となり、当市の意向が反映されにくい。
行政地図情報をインターネットで公開していく上で、当市の事情にマッチした提供
サービスが実現できるかは重要な問題であり、民間の無償地図サービスを活用するか、
または市独自の公開型 GIS を構築するかは、その情報の特性等を考慮し、適宜選択す
る必要がある。
3
2.統合型 GIS の現状と地図情報公開の効果
2-1.市の保有する地図情報
当市の統合型 GIS では、共用地図データ4件、各課で所管する個別地図データ49
件を整備している(別紙:
「共用・個別地図データ一覧」参照)。
統合型 GIS で管理している地図データは公開型 GIS を導入することにより、市民に
対し公開することが可能である。(経費については3-3を参照)
2-2.公開における効果
「1-2.社会状況の変化」で説明したとおり、地図情報の果たす役割は増大して
おり、行政機関しか保有していない地図情報の公開により、市民サービスの向上が期
待できる。また、特に問い合わせが多い、都市計画、道路、上下水道については、窓
口業務の減少による業務の効率化を図ることができる。
平成25年度に行われた窓口業務量の調査では、都市計画情報への問い合わせが一
日平均15件、1件当たりの対応時間が平均7分かかっており、年間延べ420時間
の9割を、公開型 GIS 導入により代替することが可能としている。市道の情報提供に
おいては、1日平均25件、1件当たりの対応時間が平均11分、年間延べ1100
時間の9割を代替可能としている。
表2:窓口業務における業務量の調査(平成25年度中間報告より)
調査項目
都市計画決定
市道の情報提供
市道の情報提供
(特 殊 車 両 関 係 路 線 名 の み )
都市計画課
土木管理課
土木管理課
4人
7人
1人
都市計画
道路台帳平面図
路線網図又は
道路台帳平面図
完了
完了
完了
窓口及び電話
窓口及び電話
電話
頻度(1 日あたり件数)
15 件
25 件
2件
平均対応時間
7分
11 分
8分
420 時間
1100 時間
64 時間
公開型 GIS により代替する
ことが出来る割合
90%
90%
90%
経費換算(1 時間当たり 2000
円で計算)
756,000 円
1,980,000 円
115,200 円
事業・業務名
担当部署名
担当(従事)者数
地図情報
GIS 化
種別
問
合
せ
年間のべ対応時間
改
善
調査結果・検討結果
4
3.地図情報公開の手法
3-1.利用者のニーズに応じた媒体での公開
地図情報の公開については、地図情報を利用する利用者層についても考慮が必要で
ある。インターネットによる地図情報の公開は、パソコン等情報端末の利用を前提と
しているが、情報端末の利用が得意ではない、あるいは所持していない利用者も存在
する。
こうした利用者のニーズに応えるために、公開する地図情報の特性により、誰でも
利用できる紙媒体等による公開も同時に行わなければならない。
3-2. インターネットによる公開
インターネットによる地図情報の公開については、民間の地図情報サービス、市独
自の公開型 GIS、オープンライセンスデータ(※注4)等、複数の公開方法が存在す
る。更新頻度の低い情報や、既存資料イメージを公開する場合等については、オープ
ンライセンスデータの使用も考慮に入れる必要がある。
※注4:オープンライセンスデータ
PDF 等の、パソコン等での読取り方法が公開されている情報をいう。
項
番
公開方法
①
民間の地図情報サービス
②
独自の公開型GIS
③
オープンライセンスデータ
適する地図情報
・公共施設の位置情報等、簡易な地図情報
・庁内の統合型GISで作成された地図データ
・地図精度が求められる地図情報
・オープンデータの推進として、2次利用を促
進するための地図情報
公開型 GIS のイメージ
(画像は先進団体のもの)
5
3-3.公開型GISの概算経費
庁内の統合型GISで作成された地図データの有効活用を図るためには、公開に際
し新たな地図データを作成する費用をかけずに実現が可能な、公開型GISの導入が
効率的である。
また、事務の効率化が期待できる、都市計画基本図、道路台帳などの公開には、公
開型GISが必要となる。
平成25年度に当推進部会により公開型GISを検討した中間報告では、以下のと
おり公開型GISを機能別に概算費用を算出した。
なお、費用対効果の観点から、ルート検索や随時データ連携更新機能が必要のない
パターン1を導入することにより充分な効果が得られるとしている。
表3:当市の統合型GISと連携可能な公開型GISの費用(平成25年度中間報告より)
導入
一時経費
機能概要
経常経費
月額
統合型GISの地図データを公開
(データ更新は年2回程度)
パターン1
パターン
2
パターン3
◎地形図・航空写真・案内図・地番(検索用データ:
位置のみ)
◎施設情報(市の施設、国・県の施設等)
◎道路台帳(市道路線)
◎都市計画情報(用途地域・都市施設・都市計画道
路・・・等)
◎ふれあいバスルート及び時刻表(検索機能は含ま
ない)
◎その他(担当課作成の各種マップ)
パターン1+ルート検索機能
徒歩、自家用車、公共交通機関を使用した場合の
経路を検索(時刻表情報とは連携しない)
パターン2+随時データ連携更新機能
道路・水道・下水道等の工事情報、災害情報、迂
回ルート検索など
6
150 万円
月額 15 万円
200 万円
月額 18 万円
350 万円
月額 23 万円
4.地図情報公開の基本方針
地図情報の公開は、以下の基本方針に基づき実施するものとする。
●市民ニーズへの対応
情報化に関する意識調査では、地図を使った行政情報の提供が強く求められており、
1-4で述べた市民ニーズを満たす地図情報を公開する。
●事務の効率化及び、正確性の向上
窓口対応や電話対応事務の効率化及び、正確性の向上を図れる地図情報を公開する。
●市のイメージ向上
シティセールスの一環としても、地図情報の公開は有効である。現在、当市は3年
連続で「住みよさランキング」
(東洋経済新報社)日本一となっており、市外からの注
目が集まっていることから、情報公開に関して先進的な自治体であるというイメージ
の向上を図れる地図情報を公開する。
7
5.地図情報公開の整備方針
地図情報の公開については、市民ニーズへの対応や地図情報に関する事務の効率化等
を図るため、既に作成されている統合型GISの地図データの有効活用及び費用対効果
を考慮し、公開型 GIS を導入する。
また、現在民間の地図サービスを利用して公開している「いんざいマップ」
「防災マッ
プ」については、無理に公開型 GIS に統合しない。
ただし、現状のホームページにおいては、地図に関する情報へのリンクが散在してい
るため、地図に関する情報へのリンクを集約したポータルページを作成する等、市民の
利便性を考慮した対策を講じる。
第1段階:公開型 GIS の導入と整備
第1段階では、公開型 GIS を導入し、公開の際に新たな地図データを作成する費用
がかからず、現在公開可能な情報、特に、業務改善を図れるものを選択した上で公開
する。
また、統合型 GIS においては、公開型 GIS での公開を視野に入れた地図データの整
備を行う。
第2段階:オープンデータの推進
第2段階では、オープンライセンスデータでの公開が有効な情報を選択し、オープ
ンデータ戦略の推進を図る。
第3段階:公開する地図情報の拡充
第3段階では、社会状況、市民ニーズ、ICT(情報通信技術)の動向を的確に捉え、
公開する地図情報の拡充を図る。
8
別紙 共用・個別地図データ一覧
(1)共用地図データ
1
地形図
都市計画課計画班
2
固定資産情報
資産税課土地班
3
航空写真
情報管理課情報管理班
4
住宅地図
情報管理課情報管理班
(2)個別地図データ
1
広域マップ
情報管理課情報管理班
2
字界図
総務課総務法規班
3
行政界確認図
総務課総務法規班
4
選挙情報
選挙管理委員会事務局
5
ふれあいバス
企画政策課交通政策室
6
ガイドマップいんざい
秘書広報課広報広聴班
7
観光名所
経済政策課地域資源振興班
8
町内会
市民活動推進課市民活動支援班
9
農業
農政課農政班
10
農振農用地
農政課振興班
11
農地転用許可
農業委員会事務局
12
防犯灯管理
市民安全課
13
防災情報
防災課防災班
14
交通安全施設
市民安全課
15
浄化槽
環境保全課
16
環境マップ
環境保全課
17
ゴミ集積所
クリーン推進課クリーン推進班
18
水質検査
環境保全課環境指導班
19
安全マップ
学校教育課指導室
20
市道路線網図
土木管理課管理班
21
法定外公共物
土木管理課管理班
22
用地交渉
建設課用地対策室
23
官民境界確認
土木管理課管理班
24
仮称:コスモス通り
建設課用地対策室
25
水洗化世帯位置図
環境保全課環境指導班
9
26
受益者負担金管理
下水道課業務班
27
配水管網図
水道課水道事業班
28
公園施設
都市整備課
29
民生委員担当区域図
社会福祉課厚生班
30
医療機関
健康増進課総務班
31
埋蔵文化財
生涯学習課文化班
32
納税課
納税課
33
学校
学校教育課学務班
34
市掲示板
市民活動推進課
35
統計情報
情報管理課文書統計班
36
土砂災害危険区域
防災課防災班
37
自営光網マップ
情報管理課情報管理班
38
建築確認
建築指導課審査指導班
39
登記情報
資産税課土地班
40
都市計画情報
都市計画課計画班
41
都市計画基本図(1/2500)
都市計画課計画班
42
構造化 DM
都市計画化計画班
43
道路台帳画像
土木管理課管理班
44
公有財産
管財課管財契約班
45
航空写真(過去)
建築指導課
46
防災アセスメント
防災課防災班
47
開発許可
開発指導課開発指導班
48
連たん図
開発指導課開発指導班
49
道路コミュニティーH25
土木管理課
※各地図データの公開については、所管課との協議を要する。
10