コネティカット州 - Consulate General of Japan in New York

CONNECTICUT
コネチカット州
I.
II.
III.
IV.
I.
保護命令
離婚
親権・面接交流権
養育費
.......
.......
.......
.......
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保護命令
保護命令とは?
保護命令とは、DV 行為や犯罪行為の被害者が、加害者から、身体的、又は、精
神的な危害を受け続ける恐れのあるとき、裁判所が発行する法的保護措置のこと
を指します。コネチカット州では、保護命令は、Restraining Order や Relief from
Abuse Order と呼ばれています。
*C.G.S.A.§46b-15
家庭裁判所と刑事裁判所の違いについて
法律制度は、大きく民事法と刑事法の 2 つに分けられます。それぞれ、どの裁判
所が管轄を持つか決められています。DV のケースでは、家庭裁判所(民事法)
と刑事裁判所(刑事法)という 2 つの性質の違う裁判所から、同じ DV 行為に対
しての法的保護措置を同時に求めることも可能です。DV の危険から最大限に身
の安全を守るため、状況によっては、両方の裁判所から、保護命令の発行を求め
ることが最善策というケースもあるでしょう。民事法と刑事法の一番大きな違い
は、各法的措置の申立人の違いにあります。
➣ 民事裁判所 Superior Court(民事法)のシステム
民事法のシステムでは、申立人は、被害者、又は、先に申し立てを行った申請者
です。よって、民事法上の保護命令取得のためには、被害者が直接裁判所へ出向
き、法的保護を求める保護命令陳述書の申し立てを行う必要があります。保護命
令発令後、加害者が命令内容に違反した場合には、加害者が逮捕されることもあ
りますが、基本的に、民事法制度では、申立人は、DV の行為に及んだ加害者の
逮捕、又は、懲役などの刑罰を与えることを裁判所に求めるわけではありません。
➣ 刑事裁判所 Criminal Court(刑事法)のシステム
一方、刑事法のシステムでは、検察局 (District Attorney’s Office) が申立人となり
ます。刑事法制度では、ハラスメント、暴行、殺人、強盗等の刑法に違反する犯
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罪行為が扱われます。刑事告訴の中では、加害者の処罰も求められます。刑事法
制度では、検察官“Prosecutor”(地方検事“District Attorney”とも呼ばれる)
がケースの主導権・決定権を持ち、刑事裁判を続けるかどうかの判断権も持ちま
す。刑事裁判では、州・地方自治体が、加害者に対する刑事裁判の申し立てを行
います。もし、被害者が、加害者の告発 (press charges) を希望しない場合、検察
官は、刑事告訴を取り下げる判断をする可能性もありますが、必ずしもそうとは
限りません。検察官は、被害者が希望しない場合でも、加害者に対する刑事告訴
を取り下げず、裁判を続行することもあります。また、その際、被害者に対して
召喚状 (Summons = 特定の人に対し、裁判所へ出頭し、証言することを命じる裁
判所の命令書)を発し、証言人として出廷させる可能性もあります。
民事裁判所 Superior Court のシステムを利用して保護命令を申請する場合
加害者(abuser)が、あなたと下記の関係にある場合、民事裁判所 Superior Court
にて、保護命令 Restraining Order を求めることが可能です。




血縁・婚姻関係にあたる家族や親戚
子供の父(母)親、またはこれから生まれる子供の父(母)親
現在交際をしている、又は、以前交際していた相手“current or former dating
partner”。この場合、同性のパートナーも含む
60 歳以上の高齢者を住み込みで介護している介護者 A live-in caretaker
*C.G.S.A. §1-1d.
*C.G.S.A. §46b-38a.(2)
民事裁判所 Superior Court で Restraining Order の発行時に適用される DV 行為の定
義:
コネチカット州の民事裁判所 Superior Court で定義付けされている DV 行為は、
下記の通りです。
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


身体的な痛みを伴う行為
身体な傷を負わせる行為
暴行行為
身体的危害をほのめかす脅し
言葉の暴力-被害者の身体に危険を及ぼしかねない脅しを伴う言葉の暴力に
限る
*C.G.S.A. § 46b-38a
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保護命令の種類と有効期間について
コネチカット州で発行される保護命令の種類と有効期限は、下記の通りです。裁
判官が、被害者の状況を吟味する中で、どの保護命令の発令が適当か裁断を下し
ます。
➣ 暫定的保護命令 Temporary Restraining Order (TRO)
加害者に対し、被害者への暴力行為を直ちにやめるよう、裁判所が暫定的に発行
する命令書です。暫定的保護命令は、"ex parte" と呼ばれていますが、"ex parte"
とは、裁判官が申請者(被害者)の証言だけを基に、保護命令の発行を判断する
ことを指します。通常、裁判は、相対する当事者間の間で行われるものであり、
当事者双方の話を聞いてから裁判官の判決が下されますが、暫定的保護命令の場
合、被害者の証言のみを聴取し、裁判官が保護命令発行の有無を決めます。裁判
官が暫定的保護命令(TRO)の発行を認めた場合、裁判官は、保護命令の裁判の
出廷日を TRO の発行日から 14 日以内に設定します。TRO は、次の出廷日まで
有効です。TRO は、裁判官が命令書に署名をした時点で有効となります。保護
命令に加害者として明記されている人物が、TRO を受け取った後、命令書に明
記されている内容に加害者が従わなかった場合、被害者が警察に通報すれば、加
害者の逮捕に至る可能性があります。
☞豆知識:申請者が加害者と離婚の係争中である場合、裁判官が、保護命令を
発行する前に、双方から話を聞くことを求める場合があります。
➣ 最終保護命令 Permanent Restraining Order
最終保護命令の発行は、担当の裁判官が、被害者と加害者双方からの証言や目撃
者の証言を聞き、各証拠を吟味した後に行われます。最終保護命令は、申請者と
申請者の家族を、加害者からの身体的暴力・ハラスメント行為から法的に保護す
るために発行されます。有効期限は、6ヶ月までですが、その後の延長も可能で
す。
☞豆知識:コネチカット州では、Protective Order と呼ばれる保護命令もあり
ます。これは、刑事裁判所から発行される保護命令を指し、ハラスメント、
暴行、殺人、強盗等の刑法に違反する犯罪行為により逮捕された加害者か
ら、被害者を保護するために発行されます。ここで説明した、民事裁判所で
申請し、民事法の下発行される Restraining Order については、加害者が逮捕さ
れている必要はありません。
* C.G.S.A.§46b-15
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Restraining Order の申請はどこの民事裁判所 Superior Court へ行けば良いですか?
陳述書は、被害者、又は、加害者の居住地のいずれかの郡を管轄に持つ裁判所で
申請できます。申請時のサポートが必要な際は、コネチカット州の無料弁護相談
団体へのご相談をお勧め致します。
* C.G.S.A.§51-345
II. 離婚
離婚、結婚の解消、法的別居、結婚の取り消しの違いについて
➣ 結婚の解消“a dissolution of marriage” とは、コネチカット州の法律用語で離
婚のことを指し、結婚している夫婦、又は、どちらか一方が、裁判所での法的プ
ロセスを踏み、結婚生活にピリオドを打つことを指します。離婚の法的プロセス
の中で、財産分与、離婚手当(離婚後に一方の配偶者から他方に支払われる扶養
料)、財産分与、苗字の変更、子供がいる場合には、親権、面会交流権、養育費
についても取り決められます。
➣ 法的別居“legal separation”は、裁判所で、金銭的な取り決めや、親権・面会
交流権の取り決めを行い、法的に別居命令を裁判所から発行してもらう法的プロ
セスを指します。法的別居の命令書が裁判所から発令された後も、法的には、夫
婦は結婚関係にあるとみなされます。夫婦関係の修復が不可能な場合で、宗教上
の理由から、離婚をすることにためらう夫婦が、この法的措置を選択するケース
が多くみられます。また、一般的に、夫婦が法的別居を希望する場合、法的に別
居手続きをし、住まいを別にしてみてから、離婚をするどうか決めて行きたい、
というケースも多く見られます。このようなケースの場合は、別居の法的プロセ
スを行ってから離婚の解消を申請するよりも、始めから、離婚の解消を申請され
る方が得策かもしれません。または、結婚の解消と法的別居の同時申請を行い、
裁判を通して、どちらを最終判決とするか取り決めていく、という方法をとるこ
とも可能です。夫婦の片方が、法的別居を望み、もう一方が離婚を望んでいる場
合、裁判所は、結婚の解消を最終判決として取り決めます。
➣ 結婚の取り消し“annulment” とは、結婚の存在そのものを取り消す法的手段
です。一般的に、結婚期間が短期間であれば、結婚の取り消しができる、という
間違った認識があるようですが、そうではありません。結婚の取り消しは、そも
そも、結婚自体が法的な結婚ではなかった場合にのみ、認可される法的手段です。
例えば、夫婦の片方が、法的に結婚できる年齢に達していなかった場合や、すで
に、他の相手と結婚をしている場合などです。教会などで、宗教上のプロセスを
踏み、結婚の取り消し“annulment”の認可が行われることもあります。これら宗
教上の結婚の取り消し“annulment”は、州法や法的プロセスとは関係なく取り行
なわれるものなので、法的効力はありません。
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III. 親権
親権とは?
親権とは、未成年の子(19 歳以下)を養育し、子を監護する、親の法的権利義
務と法的責任のことです。
➣ 法的親権“legal custody” の要素も含み、教育、医療手段や信仰する宗教の
決定等、子供の養育に関して必要なことを決定する権利のことも指します。
➣ 監護権“physical custody”は、子供と一緒に暮らす権利のことで、日々の生
活のなかで、子供(19 歳以下)がだれと一緒に住むか、法的に定めたものを指
します。
* C.G.S.A.§46b-115a
共同親権とは?
➣共同親権“joint custody”とは、裁判所が子供の両親へ親権を与える判決のこ
とを指します。共同親権判決の中では、教育、医療手段や信仰する宗教の決定等、
子供の養育に関して必要なことの決定を両親が共同で話し合い決めていくこと、
また、監護権についても、両親が、子供の日々の生活に共同でかかわり続けてい
けるような内容が取り決められます。裁判官は、監護権を一方の親へ与え、法的
親権を共同親権、と取り決めることもあります。両親が共同親権に同意している
場合、裁判官は、両親が子供の養育にかかわり続けることは適当である、と判断
し、共同親権を認可することが一般的です。
*C.G.S.A.§46b-56a
裁判官は、どのようにどちらの親に親権を与えるのか裁断を下すのですか?
裁判官は、子供にとって最良の環境 (Best Interest of the Child) を基準にして親権
の取り決めをします。
子供にとって最良の環境 (Best Interest of the Child) とはどのようなことですか?


今まで、主たる養育者として養育してきた親と住み続けること。
子供の養育にふさわしい養育者であること(下記の点等が考慮されます)。
*安定した生活様式と家庭を提供できる。
*適切な判断力を持っている。
*安定した仕事に就いている。
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*薬物乱用がない。
*アルコール乱用がない。
*身体的・精神的に健全である。

子供の生活に関心を持っている。
面会交流 Visitation とは何ですか?
なぜ、離婚した後も子供を相手親に会わせないといけないのですか?
アメリカで認識されている、子供にとっての最良の環境(Best Interest of the Child)
という法的概念の中には、両親が離婚後も子供の養育・監護に関わる、という考
え方も含まれます。そのため、片方の親に単独親権が命じられた場合、非親権者
も、子供と定期的に会い、子供の人生に関わっていけるよう、面会権
(Visitation)が与えられます。
面会交流監督プログラム(Supervised Visitation)とは?
もし、夫婦のどちらかが子供の養育に怠慢であったり、虐待的な態度で子供と接
しているため、子供との面会が心配される場合、裁判官は、面会交流監督プログ
ラムを提供している団体を通しての面会(Supervised Visitation)を命令する可能
性があります。すでに、親権や面会交流権の法廷が進行中の場合、Supervised
Visitation を裁判官に求めるという方法もオプションの一つです。しかし、もし
親権や面会交流権の法廷が進行中でない場合は、親権を専門に扱っている弁護相
談機関や弁護士にご相談後、裁判所へご申請されることをお勧めします。裁判官
が Supervised Visitation を命令するためには、何を証明する必要があるのか、あ
なたの状況だと、Supervised Visitation を通しての面会期間の長さはどれくらいに
設定されるか等、弁護士にご相談下さい。大抵の場合、Supervised Visitation は、
一時的な設定で、期間付の命令となります。法的専門機関の面会プログラムを通
しての面会を数ヶ月、または、親戚が監督・モニタリングをしながらの面会を数
ヶ月続け、その間特に問題が見られない場合は、監督なしの面会が認められる場
合がほとんどです。もし、お子さんが面会交流中に虐待を受けた、という場合は、
直ちに児童福祉局にご相談下さい。
配偶者が子供を連れてコネチカット州、あるいは、アメリカを出て行くと言って
おり、心配です。なにか対処方法はありますか?
配偶者の同意なしに、夫婦のどちらかが子供を連れて、コネチカット州またはア
メリカを出て行く可能性がある場合、裁判官に緊急親権命令“Emergency
Custody Order”の発行を求めることができます。この際、子供を州外に連れ出さ
ないという項目を付け加えて貰ったり、一時的に、面会交流監督プログラムを通
してのみの子供との面会を相手に求めることができます。
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子供がすでにパスポートを所持している場合、親権の係争期間中、子供のパスポ
ートを裁判所で保管してもらうように求めることも可能です。
子供のパスポートがまだ発行されていない場合で、配偶者がパスポートを取得し、
国外へ子供を連れ去ってしまう可能性がある場合、米国国務省の子供のパスポー
ト発行通知プログラム “The Children's Passport Issuance Alert Program (CPIAP)” の
利用が可能です。
アメリカ市民権を有する 18 歳未満の子供を CPIAP に登録するためには、指定登
録書を記入する必要があります。登録後、相手親が子供のパスポートを取得する
ための書類を提出した際、CPIAP が通知してくれます。登録書は下記のウェブ
サイト(英文資料)をご覧下さい。
http://travel.state.gov/abduction/prevention/passportissuance/passportissuance_554.html
☎ U.S. Department of State
Passport Services, Charleston Passport Center
Attn: Children's Passport Issuance Alert
Program
1269 Holland Street, Building D
Charleston, SC 29405
E-mail: [email protected]
Phone: 843-202-3863
Fax: 843-746-1827
IV. 養育費
養育費とは?
養育費は子供を監護・教育するために必要な費用のことを指し、一般的に、監護
権を持たない親の、子供の監護権を持つ親に対する、支払い義務を指します。コ
ネチカット州では、一般的に、子供が 18 歳になるまで、子供の養育や教育の費
用をサポートする義務があります。子供が 18 歳に達していても、高校を卒業し
ていない場合には、19 歳まで養育費支払い義務が延長される可能性もあります。
養育費はどのように決めるのでしょうか?
原則的に、養育費の金額は、子供の人数と夫婦の収入により金額が変化します。
コネチカット州では、州の養育費の計算ガイドラインに沿って、金額が計算され
ます。 養育費の計算ガイドラインの詳細については、下記のウェブサイト内の
計算表(英文資料)をご参照ください。
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* C.G.S.A.§46b-215a
http://www.jud.state.ct.us/Publications/ChildSupport/2005CSguidelines.pdf
<おことわり>
ここに記載されている各法的措置の資料内容は、下記のウェブサイトに記載されている
法律情報の概要をまとめ、日本語に翻訳されたものであり、法律のアドバイスではあり
ません。また、将来、法の改正により、法的オプションやシステムが変化する可能性も
予想されますので、それぞれのケースは専門の弁護士にご相談下さい。
参考ウェブサイト:
http://www.womenslaw.org
http://www.divorcesupport.com/
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