第二言語語用論を意識化するためのプロジェクト・ベース 英語指導の試み

上智大学言語学会会報第27号
Proceedings of Sophia University Linguistic Society 27
第二言語語用論を意識化するためのプロジェクト・ベース
英語指導の試み
吉冨 朝子
東京外国語大学大学院総合国際学研究院
Abstract
The present study reports an attempt to investigate the effect of
adopting project-based learning to enhance language learners’
noticing of the importance of pragmatics in second language
communication. Participants were 70 intermediate and advanced
English majors learning English as a foreign language at a national
university in Japan. The learners experienced a 15-week semester
course in which they were instructed to conduct research on
particular language functions in groups. The positive outcomes
together with the limitations of the current approach are discussed
based on findings from questionnaires and students’ reflective essays.
1. は じ め に
本 稿 で は 、外 国 語 と し て の 英 語 教 育 に お い て 、第 二 言 語( 以 下
L2 ) 語 用 論 を い か に 指 導 す る べ き か を 探 求 す る た め の 授 業 研 究
の試みについて報告する。
近 年 中 間 言 語 語 用 論 の 研 究 が 盛 ん に な り 、外 国 語 指 導 に お い て
も L2 の 語 用 論 的 な 側 面 を 明 示 的 に 指 導 す る こ と の 効 果 が 実 証 さ
れ て い る 。同 時 に 、実 践 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 育 成 す る 指
導 の 一 旦 と し て 、コ ン テ ン ト・ベ ー ス 指 導 、プ ロ ジ ェ ク ト・ベ ー
ス 学 習 、あ る い は プ ロ セ ス・シ ラ バ ス な ど 、何 か 明 確 な 到 達 目 標
の た め に 外 国 語 を 用 い る こ と で 外 国 語 能 力 を 伸 ば し 、学 習 の プ ロ
セ ス を 重 ん じ た 外 国 語 指 導 の 効 果 も 示 さ れ て い る 。そ こ で 、本 研
究 で は 、 L2 語 用 論 が 外 国 語 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お い て 果 た
す 重 要 な 役 割 へ の 気 づ き を 促 す こ と を 目 的 と し て 、 L2 の 言 語 機
能 に つ い て プ ロ ジ ェ ク ト・ベ ー ス で 学 習 す る 授 業 を 行 っ た 成 果 を
検証する。
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2. 先 行 研 究 の 概 観
2.1 中 間 言 語 語 用 論 と L2 語 用 論 の 明 示 的 指 導 の 効 果
中 学 校・高 等 学 校 の 新 指 導 要 領 で 唱 わ れ て い る 英 語 教 育 の 目 標
は「 積 極 的 に コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 ろ う と す る 態 度 の 育 成 を 図
り 、情 報 や 相 手 の 意 向 な ど を 理 解 し た り 自 分 の 考 え な ど を 表 現 し
た り す る 実 践 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 養 う 」こ と で あ る 。ま
た 、グ ロ ー バ ル 化 が 進 む 日 本 社 会 に お い て 英 語 の 実 践 的 な コ ミ ュ
ニケーション能力の需要は益々高まっている。その結果として、
大 学 の 英 語 教 育 に お い て も 、今 ま で 以 上 に コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能
力の育成が求められている。
し か し な が ら 、「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 」 の 重 要 な 構 成 要 素
で あ る と さ れ る 語 用 論 的 能 力 の 指 導 は 、日 本 の 英 語 教 育 現 場 で は
そ れ ほ ど 一 般 的 で は い な い 。コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 モ デ ル と し
て 頻 繁 に 言 及 さ れ る Canale & Swain (1980)の 定 義 に よ れ ば 、コ ミ
ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 (Communicative Competence)と は 、 文 法 能 力
(grammatical competence)、 談 話 能 力 (discourse competence)、 社 会
言 語 的 能 力 (sociolinguistic competence) 、 お よ び 戦 略 的 能 力
(strategic competence)か ら 成 り 、 社 会 言 語 的 能 力 の 一 部 と し て 、
特 定 の 社 会 的 文 脈・場 面 に お い て 言 語 表 現 の も つ 意 味 機 能 を 適 切
に 理 解・産 出 で き る 語 用 論 的 能 力 (pragmatic competence)が 含 ま れ
て い る 。 ま た Bachman (1990) で も 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力
(Communicative Language Ability) を 構 成 す る 言 語 能 力 (Language
Competence)と し て 、構 造 的 能 力 (organizational competence)と 語 用
論 的 能 力 (pragmatic competence)を 挙 げ て い る 。Bachman の モ デ ル
における語用論的能力には、発話内行為に関する能力
(illocutionary competence) と 社 会 言 語 的 能 力 (sociolinguistic
competence) が 包 含 さ れ て い る 。 前 者 は 文 脈 に 応 じ た 適 切 な 言 語
機 能 を 理 解・産 出 す る 能 力 で あ る の に 対 し 、後 者 は 、社 会 言 語 的
規範に準じて言語表現を使い分けられる能力を指す。
第 二 言 語 習 得 研 究 に よ れ ば 、語 用 論 は 言 語 間 影 響 が で や す い 言
語側面であり、さまざまな言語機能の社会語用論的転移
(sociopragmatic transfer) や 語 用 言 語 的 転 移 (pragmalinguistic
transfer)に よ る 誤 り が 、L2 理 解 面 で も 産 出 面 で も 報 告 さ れ て い る
(Jarvis & Pavlenko 2007)。 社 会 語 用 論 的 転 移 と は 、 特 定 の 社 会 的
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場 面 に お い て 適 切 な 発 話 行 為 と は 何 で あ る か 、に つ い て の 判 断 を
母 語 の 規 範 に 依 存 す る こ と を 指 し 、語 用 言 語 的 転 移 と は 、選 択 し
た 発 話 行 為 は 適 切 だ が 、そ れ を 実 現 す る た め の 言 語 形 式 の 選 択 に
お い て 母 語 の 影 響 を 受 け る こ と を 指 す (Ellis 2008)。日 本 語 を 母 語
と す る 英 語 学 習 者 の 実 証 研 究 と し て は 、 Takahashi (1996) や
Takahashi & Beebe (1993)な ど が 挙 げ ら れ る 。 Takahashi で は 、 上
級学習者であっても外国語としての英語の間接的依頼ストラテ
ジーの適切性を判断する際に、日本語の語用論的規範に則って、
日本語と形式が類似している英語表現を選択する傾向があるこ
と が 示 さ れ た 。 同 じ く 社 会 語 用 論 的 転 移 を 報 告 し た Olstain
(1983)で は 、ヘ ブ ラ イ 語 学 習 者 が 母 語 話 者 に 比 べ て 謝 罪 を 多 く す
る 傾 向 が 観 察 さ れ た 。 ま た 、 Takahashi & Beebe で は 、 学 習 者 が
上 下 関 係 の あ る 相 手 と 対 話 す る 際 に 、日 本 語 の 社 会 的 規 範 に 基 づ
い て L2 表 現 を 使 用 す る こ と が 示 さ れ た 。 同 様 に 、 Eisenstein &
Bodman (1993)で も 、 日 本 語 を 母 語 と す る 英 語 学 習 者 が 、 感 謝 を
表 現 す る の に 謝 罪 表 現 を 使 う 、と い っ た 語 用 言 語 的 転 移 が 報 告 さ
れている。
学 習 者 の 構 造 的 能 力 が 不 足 し て い る た め に 生 じ る 誤 り は 、目 標
言 語 話 者 か ら も 、 学 習 者 の L2 能 力 に 問 題 が あ る の が 原 因 だ と 判
断 さ れ る の に 対 し て 、語 用 論 的 能 力 が 不 足 し て い る た め に 生 じ る
誤 り は 、し ば し ば 礼 儀 や 性 格 な ど 、学 習 者 の 人 格 に 問 題 が あ る と
誤 解 さ れ や す く 、特 に 異 文 化 間 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 支 障 を き た
す 原 因 と な り か ね な い (Kasper & Rose 2002)。 そ れ に も 関 わ ら ず 、
中 学 ・ 高 等 学 校 の 検 定 教 科 書 に お い て も L2 語 用 論 が 体 系 的 に 取
り上げられることはほとんどない。
第 二 言 語 習 得 研 究 に よ れ ば 、 L2 語 用 論 は 上 級 英 語 学 習 者 で も
習 得 さ れ に く く 、文 法 能 力 の 発 達 と は 併 行 し な い こ と が 指 摘 さ れ
て い る (Kasper & Rose 2002)。 L2 習 得 環 境 に お い て は 外 国 語 学 習
環 境 よ り も 語 用 論 の 重 要 性 は 認 識 さ れ や す く 、よ り 身 に つ く も の
の 、 母 語 話 者 並 み の 習 得 は 難 し い と さ れ て い る (ibid)。 日 本 に お
け る 英 語 イ マ ー ジ ョ ン ・ プ ロ グ ラ ム で も 、 L2 語 用 論 的 知 識 は 習
得 が 遅 い と い う 事 例 が 報 告 さ れ て い る (Taguchi 2011)。
日 本 の よ う に 外 国 語 と し て 英 語 を 学 習 す る 環 境 に お い て は 、世
界の共通語としての役割が強い英語の達成目標を母語話者並み
に 設 定 す る 必 要 は な い も の の 、語 用 論 的 誤 り が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ
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ン に 及 ぼ す 影 響 を 認 識 す る こ と や 、外 国 語 学 習 に お い て 語 用 論 的
能力が果たす役割への気づきを促すことは重要であろう。
Schmidt (1990, 2001)は L2 習 得 に は 気 づ き (noticing)が 前 提 と な る
と い う 仮 説 (Noticing Hypothesis)を 提 唱 し て い る が 、 語 用 論 や 談
話 レ ベ ル に お け る 母 語 と L2 と の 違 い は 、 音 韻 ・ 形 態 統 語 論 ・ 語
彙 に 比 べ て 意 識 し に く い こ と か ら 、気 づ き を 促 す 指 導 は よ り 効 果
的 で あ る こ と が 予 想 さ れ る (Schmidt 1993)。
L2 語 用 論 の 明 示 的 指 導 の 効 果 を 検 証 し た 研 究 に よ れ ば 、L2 語
用 論 の 指 導 は 可 能 で あ り 、事 例 に さ ら さ れ る だ け よ り も 指 導 を 伴
う ほ う が 、よ り 習 得 が 促 さ れ る こ と 、更 に 指 導 は 明 示 的 で あ る ほ
う が 効 果 的 で あ る こ と が 示 さ れ て い る 。ま た 、豊 富 な コ ミ ュ ニ ケ
ーション練習を組み合わせることも望ましいことが指摘されて
い る (Kasper & Rose 2002; Ellis 2008; Soler & Martinez-Flor 2008)。
2.2 プ ロ ジ ェ ク ト ・ ベ ー ス 学 習 の 有 効 性
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 育 成 を 目 的 と す る Communicative
Language Teaching は 、 当 初 意 味 中 心 の 指 導 を 指 し た が 、 近 年 で
は 言 語 形 式 に も 焦 点 を 当 て て 指 導 す る Focus on Form が 行 わ れ る
よ う に な り 、 そ の 効 果 も 実 証 さ れ て い る (高 島 2011; 和 泉 2009)。
Focus on Form は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 活 動 に 重 き を 置 き な が ら
も 、そ の 中 で 重 要 な 言 語 形 式 へ の 気 づ き は 促 す 指 導 で 、こ れ を 実
現 す る 方 法 と し て 、 タ ス ク に 基 づ く 指 導 (task-based
teaching)(Willis & Willis 2007; Ellis 2003)や 、タ ス ク 活 動 を 活 用 し
た 指 導 ( 高 島 2005) と と も に 、 プ ロ ジ ェ ク ト ・ ベ ー ス 学 習
(project-based learning、 以 下 PBL) (Stoller 2006; Tomei & Holst
1999)が 注 目 さ れ て い る 。 い ず れ も 何 ら か の 目 的 あ る 課 題 を 達 成
す る た め に 言 語 を 使 う こ と を 通 し て 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を
伸 ば そ う と す る 問 題 解 決 型 の 活 動 で 、意 味 交 渉 を 含 む 実 際 の コ ミ
ュ ニ ケ ー シ ョ ン 活 動 を 伴 う 経 験 的 学 習 に 力 点 が 置 か れ て い る 。し
か し タ ス ク が 通 常 ひ と つ の レ ッ ス ン 内 に 行 わ れ 、特 定 の コ ミ ュ ニ
ケーション課題を通して言語学習を促進することに主な重きを
置 く の に 対 し 、プ ロ ジ ェ ク ト は 数 週 間 か ら 1 年 に 及 ぶ 期 間 に 渡 っ
て 取 り 組 ま れ る も の で あ る こ と 、そ し て 何 ら か の コ ン テ ン ツ( 例
えば環境問題、選挙制度、といった特定テーマや、文化人類学、
バ イ オ・テ ク ノ ロ ジ ー 、異 文 化 間 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 論 と い っ た
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特定分野)を扱うという違いがある。
PBL は さ ま ざ ま な 形 を 取 り 得 る も の で 、扱 う コ ン テ ン ツ 、取 り
組 む 期 間 、教 師 に よ る プ ロ ジ ェ ク ト 内 容 の コ ン ト ロ ー ル の 度 合 い 、
な ど に よ る バ リ エ ー シ ョ ン が あ る が 、共 通 す る 特 徴 と し て は 以 下
の点が挙げられる:
・言 語 技 能 が 複 合 的 に 使 用 さ れ 、達 成 さ れ た 成 果 の み な ら ず 目 標
を 達 成 す る た め の プ ロ セ ス が 重 視 さ れ る (Haines 1989)。
・学 習 者 中 心 の 活 動 で あ る た め 、学 習 者 の 自 律 性・主 体 性 を 重 ん
じ た 柔 軟 な 学 習 内 容 を 扱 う こ と が で き る (Skehan 1998)。
・協 調 学 習 を 通 し て 学 習 者 の 責 任 感 や 学 習 者 間 の 信 頼 が 高 ま る こ
と が 期 待 さ れ る (Fried-Booth 2002)。
ま た 、 PBL の 効 果 を 検 証 し た 研 究 に よ れ ば 、 PBL に よ っ て 、
生 き た (authentic)言 語 体 験 が で き る こ と 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に
対 す る 動 機 づ け ・ 関 わ り ・ 探 求 心 ・ 好 奇 心・ 創 造 力・ 自 信 等 が 強
化 さ れ る こ と 、学 習 者 の 自 律 学 習・自 己 管 理 能 力 が 促 進 さ れ る こ
と 、問 題 解 決 能 力 や 批 判 的 分 析 力 が 向 上 す る こ と な ど も 実 証 さ れ
て い る (Hedge 2000)。
本 研 究 で は 、 Stoller (2006, p. 24)に 基 づ き 、 PBL を 以 下 の と お
り定義し、この定義に従って授業内容を計画した。
1) プ ロ セ ス お よ び プ ロ ダ ク ト を 重 視 し た も の 。
2) あ る 程 度 学 習 者 に よ っ て 自 律 的 に 進 め ら れ る こ と を 奨 励 す
るもの。
3) あ る 程 度 長 い 期 間 に 渡 っ て 取 り 組 む も の 。
4) 複 数 の 言 語 技 能 が 自 然 に 融 合 さ れ る も の 。
5) 言 語 学 習 の み な ら ず 、 コ ン テ ン ツ の 学 習 を 伴 う も の 。
6) 学 習 者 に 個 人 で 、そ し て グ ル ー プ 単 位 で 学 習・活 動 す る こ と
を義務付けるもの。
7) 目 標 言 語 リ ソ ー ス を 活 用 し て 情 報 を 収 集・分 析・報 告 さ せ る
こ と で 、学 習 者 が 自 ら の 学 習 に 責 任 を も っ て 取 り 組 め る も の 。
8) 教 師 と 学 習 者 の 役 割 や 責 任 が 柔 軟 に 決 め ら れ る も の 。
9) 実 現 可 能 な 成 果 を 上 げ る も の 。
10) 学 習 者 が 学 習 過 程 と 学 習 成 果 の 両 方 に つ い て 振 り 返 る も の 。
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以 上 の こ と を 踏 ま え 、 本 研 究 で は 、PBL に よ っ て L2 語 用 論 に
対する気づきを促す授業の効果を検証する。
3. 方 法 論
3.1 調 査 対 象
調査対象は、大学で英語を専攻している学部 2 年生で、必須
英 語 科 目 を 受 講 し て い る 学 習 者 、 3 ク ラ ス 計 70 名 で あ る 。 こ れ
ら の 学 生 の TOEIC-IP ス コ ア は 平 均 832 点 、 ス コ ア 分 布 640~
990 点 の 中 ・ 上 級 者 が 混 在 す る ク ラ ス で 、 帰 国 子 女 は 全 体 の 1/4
程 度 い る 。 同 内 容 の 授 業 を 2011 年 1 学 期 に 2 ク ラ ス に 対 し て 、
2 学 期 に 1 ク ラ ス に 対 し て 、 そ れ ぞ れ 15 週 間 行 っ た 。
3.2 授 業 内 容 と 目 的
授 業 は す べ て 英 語 の み で 行 わ れ た 。授 業 1 回 目 で は 、導 入 と し
て 授 業 の 目 的 お よ び「 語 用 論 」や「 プ ロ ジ ェ ク ト 」と い っ た 概 念
を 説 明 し 、事 前 ア ン ケ ー ト を 実 施 し た 。ア ン ケ ー ト で は 、英 語 学
習 歴 ・ ヨ ー ロ ッ パ 共 通 参 照 枠 (Common European Framework of
Reference for Languages、以 下 CEFR)に 基 づ く 英 語 ス ピ ー キ ン
グ 能 力 の 自 己 評 価・授 業 で 取 り 上 げ る 可 能 性 の 高 い 発 話 行 為 に 関
する言語経験について尋ねた。
2~ 5 回 目 の 授 業 で は 、PBL の 準 備 活 動 と し て 、(1)語 用 論・言
語 機 能・ポ ラ イ ト ネ ス 理 論・発 話 行 為 等 に つ い て 説 明 し た 入 門 レ
ベ ル の リ ー デ ィ ン グ 教 材 の 読 解・要 約・デ ィ ス カ ッ シ ョ ン と 、(2)
ウ エ ブ 教 材 、テ レ ビ 番 組 、映 画 等 を 課 外 で 自 由 に 視 聴 し て 、さ ま
ざ ま な 言 語 機 能 の 実 例 を 収 集 し 、ク ラ ス で そ れ ら を 紹 介 し あ う 活
動 、 お よ び (3)リ サ ー チ す る 言 語 機 能 の 選 択 と グ ル ー プ 分 け 、 な
ど を 行 な っ た 。読 解 教 材 は 入 門 レ ベ ル の も の を 与 え た 他 は 、グ ル
ープに別れてからグループごとに対象となる言語機能に関する
参 考 資 料 を 教 員 が ひ と つ だ け 与 え 、そ の 他 は 自 分 た ち で 探 す よ う
指 示 し た 。関 連 文 献 を う ま く 見 つ け ら れ な い 場 合 や 、見 つ け た も
の が 難 解 な 場 合 は ア ド バ イ ス を 与 え た 。オ ー ラ ル・サ ン プ ル に つ
い て も 、例 と し て テ レ ビ 番 組 や 、英 語 学 習 用 の ウ エ ブ 教 材 を い く
つか紹介し、自分たちで探すよう指示した。
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6~ 13 回 目 の 授 業 で は 、毎 回 最 初 に プ ロ ジ ェ ク ト の 流 れ の 確 認
と 、ワ ー ク シ ー ト に 基 づ い て そ の 日 の 授 業 内 お よ び 次 回 授 業 ま で
に 進 め る べ き 内 容 に つ い て 教 員 が ミ ニ・レ ク チ ャ ー を 行 な っ た 後 、
学生はグループに別れて特定の言語機能についてのリサーチを
進 め た 。選 択 さ れ た 言 語 機 能 は 依 頼 ・ 賞 賛 ・ 拒 否 ・ 文 句 ・ 異 議 ・
謝 罪 の 6 種 類 だ っ た 。リ サ ー チ 活 動 は 、
( 1)文 献 調 査 、(2)AV 素
材 か ら の オ ー ラ ル ・ サ ン プ ル の 収 集 、 (3)選 択 し た 言 語 機 能 に つ
い て ど う い う フ ォ ー カ ス で 調 査 を 行 う か の 決 定 と 、そ の た め の ア
ン ケ ー ト 作 成 と 実 施 、 (4)学 内 外 の 英 語 母 語 話 者 や 、 日 本 語 を 母
語 と す る 英 語 学 習 者 の イ ン タ ビ ュ ー に よ る 音 声 デ ー タ 収 集・文 字
化 ・ お よ び 結 果 の 分 析 、 (5)リ サ ー チ 結 果 の ま と め 、 ク ラ ス に 発
表するための準備を行なった。
使用する参考文献は日本語のものでも英語のものでも良いと
し た が 、グ ル ー プ と し て 必 ず 英 語 の も の も 含 め る こ と 、そ し て そ
れぞれの文献から得られた情報で発表に組み込みたい情報の要
点 を 英 語 で ま と め て 提 出 さ せ る ミ ニ・レ ポ ー ト を 数 回 課 し た 。こ
れ に よ り 、研 究 テ ー マ に 合 っ た 文 献 を 探 す 活 動・読 解 活 動・要 約
活動が行われた。
AV 素 材 か ら の オ ー ラ ル ・ サ ン プ ル 収 集 は 個 人 個 人 で 行 な っ て
グループに持ち寄る形をとった。この作業を通して学生たちは、
自 分 の 興 味 の あ る 題 材 を 視 聴 す る こ と で 、多 く の リ ス ニ ン グ 活 動
を す る で あ ろ う こ と が 期 待 さ れ た 。ま た 、文 献 研 究 や 集 め た オ ー
ラ ル・サ ン プ ル を 整 理 し て 発 表 の 論 点 を 決 め 、検 証 の た め に ア ン
ケ ー ト を 作 成・実 施・分 析 す る 作 業 は い ず れ も リ サ ー チ・ス キ ル
を伸ばすために有効であると考えた。
学 内 の 英 語 母 語 話 者 と は 、英 語 学 習 支 援 セ ン タ ー の イ ン グ リ ッ
シ ュ・ア ド バ イ ザ ー と 英 語 圏 か ら の 留 学 生 、ま た 学 外 の 英 語 母 語
話者とは学習者達の個人的な知り合い等であった。1 インタビュ
ー の 申 し 込 み お よ び イ ン タ ビ ュ ー の 実 施 は 、課 外 で 英 語 を 産 出 す
る 経 験 の 機 会 と な っ た 。グ ル ー プ 発 表 に 際 し て は パ ワ ー ポ イ ン ト
を 使 用 し た 資 料 作 成 を す る こ と を 課 し 、原 稿 の 読 み 上 げ に よ る 発
表 は 禁 止 し た た め 、発 表 前 に 各 グ ル ー プ で 授 業 外 に オ ー ラ ル・リ
ハーサルを行なったと思われる。2
14、 15 回 目 の 授 業 で は 、 成 果 の 発 表 を グ ル ー プ ご と に 行 な っ
た 。各 グ ル ー プ 20 分 の 発 表 の 後 、10 分 間 の 質 疑 応 答 の 時 間 と ク
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ラ ス メ ー ト に よ る 発 表 評 価 シ ー ト の 記 入 の 時 間 が 設 け ら れ た 。授
業 最 終 回 の 最 後 に は 、プ ロ ジ ェ ク ト 終 了 後 の 事 後 ア ン ケ ー ト 調 査
を行い、プロジェクトへの取り組みに関して、5 段階のリカー
ト ・ ス ケ ー ル ( 5=strongly agree, 4=agree, 3=somewhat agree,
2=somewhat disagree, 1=disagree)で 自 己 評 価 を し て も ら っ た 。
項目は以下の 7 つである:
1) I contributed to the group project very much by actively collecting
data and discussing issues with group members.
2) I watched/listened to oral sources (e.g. movies, dramas, online
materials, etc.) for many hours for the project.
3) I searched for and read many references (e.g. articles, books, etc.)
for the project.
4) I always tried to use English during group activities to improve my
speaking skills.
5) I spent a lot of time carefull y preparing for the presentation.
6) Overall, I participated very actively in the group project.
7) Overall, I performed very well in the group presentation.
ま た 、 期 末 課 題 と し て 別 途 、「 プ ロ ジ ェ ク ト か ら 学 ん だ こ と 」
と い う タ イ ト ル の 英 文 エ ッ セ イ (1000 語 程 度 )を 課 し た 。
プ ロ ジ ェ ク ト を 通 し て 、語 用 論 の 重 要 性 へ の 気 づ き を 促 し 、特
定の言語機能についてリサーチに取り組みながら主体的に学ぶ
こ と 、そ し て そ の 過 程 で 言 語 の 4 技 能 を 総 合 的 に 使 用 し 、リ サ ー
チ・ス キ ル 、プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 能 力 等 、今 後 も 必 要 と な る 実 践
的・学術的英語能力を伸ばすことを目標とした。
4. 結 果
4.1 事 前 ア ン ケ ー ト
授 業 1 回 目 に 実 施 し た ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 、学 習 者 の 英 語 ス
ピ ー キ ン グ ・ ス キ ル は 、CEFR に 基 づ く Can-do 評 価 項 目 に 対 す
る 回 答 に よ れ ば 、 大 半 が B1~B2 レ ベ ル で あ る こ と が 判 明 し た 。
ま た 、 こ れ ま で に 語 学 の 授 業 に お け る PBL の 経 験 が あ る 学 習 者
は い な か っ た が 、グ ル ー プ 活 動 や グ ル ー プ 発 表 等 、グ ル ー プ 学 習
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の 経 験 は 全 員 に あ る こ と が わ か っ た 。い く つ か の 発 話 行 為 を 英 語
で 経 験 し た こ と が あ る か ど う か に つ い て は 、一 部 の 帰 国 子 女 を 除
い て 、多 様 な 経 験 を し て い る 学 習 者 は 多 く な か っ た 。ま た 、言 語
形 式 と 言 語 機 能 の 区 別 に つ い て も 、ほ と ん ど の 学 習 者 に 明 示 的 な
知 識 が な い こ と が 明 ら か に な っ た 。つ ま り 事 前 ア ン ケ ー ト に よ り 、
学 習 者 達 は 英 語 の レ ベ ル と し て は 中 級 ~ 上 級 で 、グ ル ー プ 学 習 の
経 験 が あ る も の の 、 PBL の 経 験 は な く 、 語 用 論 的 知 識 に つ い て
は文法・語彙能力に比べてあまりないことが確認された。
4.2 グ ル ー プ 活 動 お よ び プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン
1 学 期 に 渡 る PBL を 経 て 、 学 習 者 達 が グ ル ー プ 発 表 を 行 な っ
た プ ロ ジ ェ ク ト ・ テ ー マ 例 を 、6 種 類 の 言 語 機 能 ( 依 頼 ・ 賞 賛 ・
拒否・文句・異議・謝罪)別に以下に挙げる:
・ How to improve English education: Teaching requests
communicatively
・ Native speaker vs. non-native speaker compliments
・ The influence of social distance on refusing heavy requests
・ Power relationship and complaints in business situations
・ How to disagree verbally and non-verbally
・ The semantic formula for apologizing politely in English
こ れ ら の テ ー マ か ら わ か る と お り 、プ ロ ジ ェ ク ト の 調 査 内 容 は
個 別 の 言 語 機 能 に 焦 点 を 当 て る だ け で な く 、言 語 機 能 を 英 語 教 育
で ど の よ う に 指 導 す べ き か を 問 う も の 、言 語 運 用 に お い て 母 語 話
者 と 外 国 語 学 習 者 が ど の よ う な 点 で 異 な っ て い る の か 、使 用 さ れ
る 表 現・意 味 公 式・非 言 語 的 特 徴( こ こ で は ジ ェ ス チ ャ ー )に 注
目 し て 比 較 対 照 を 試 み た も の 、ビ ジ ネ ス 場 面 の 上 下 関 係 や 、親 疎
関 係 ・ 負 担 (imposition) の 大 小 と い っ た 社 会 言 語 的 な 変 数 が 、 言
語 機 能 の 表 現 形 式 に ど う 影 響 す る か を 調 査 し た も の な ど 、興 味 深
い 視 点 を 取 り 入 れ た 内 容 が 目 立 っ た 。発 表 方 法 も ロ ー ル・プ レ ー
を 交 え る 、ク ラ ス に タ ス ク を 行 わ せ る 、場 面 別 の 便 利 な 表 現 リ ス
トを提供する等の工夫が見られた。
い っ ぽ う で 、と も す る と 、収 集 し た 英 語 母 語 話 者 の デ ー タ を 過
度 に 一 般 化 あ る い は 規 範 化 し て 、「 こ の よ う な 表 現 を 使 わ な け れ
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ば な ら な い 」と い っ た 発 言 も 発 表 中 に 見 ら れ た た め 、発 表 後 の 教
員 か ら の コ メ ン ト で 、語 用 論 は 文 法 な ど に 比 べ て 母 語 話 者 規 範 に
も 多 様 性 が あ り 、規 範 が あ っ た と し て も そ れ に 従 う べ き か ど う か
は 、話 者 の 言 語 文 化 ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー の 問 題 も 関 わ る の で 、一
概 に 決 め ら れ な い も の か も し れ な い 、と い っ た 観 点 を 紹 介 し 、ク
ラス全体で議論をする場面があった。
4.3 事 後 ア ン ケ ー ト
授 業 最 終 回 に 実 施 し た 事 後 ア ン ケ ー ト で は 、自 分 が い か に 積 極
的 に PBL に 関 わ っ た と 思 う か 、 自 己 評 価 を し て も ら っ た 。 ア ン
ケ ー ト 質 問 項 目 1 で は 、「 デ ー タ 収 集 や グ ル ー プ で の 議 論 に 積 極
的 に 関 わ る こ と で 、プ ロ ジ ェ ク ト に 貢 献 で き た と 思 う 」か ど う か
を 尋 ね た 。 こ れ に 対 し て 、 多 く の 学 生 が 、「 そ う 思 う 」 と 回 答 し
た ( 回 答 平 均 値 は 5 段 階 中 の 4.2)。 今 回 調 査 対 象 と な っ た ク ラ
ス は 、学 習 者 ら に と っ て 必 須 科 目 で は あ る も の の 、例 年 の ク ラ ス
で は 必 ず 各 ク ラ ス 2~ 3 名 は 脱 落 者 が い る の に 対 し 、PBL を 行 な
った年度の 3 クラスではいずれも脱落者が出なかったことは特
筆 す べ き か も し れ な い 。毎 年 、前 年 度 単 位 を 取 得 で き な か っ た 留
年 生 も 各 ク ラ ス に 1~ 2 名 お り 、留 年 生 が 再 留 年 す る こ と も し ば
し ば あ る が 、 PBL の ク ラ ス で は こ う し た 留 年 生 も 最 後 ま で プ ロ
ジ ェ ク ト に 取 り 組 み 、グ ル ー プ 学 習 に 責 任 を も っ て 関 わ る こ と が
できた。このことは、項目 5 の「発表準備等に真剣に取り組ん
だ」と項目 6 の「グループ活動に協力した」のいずれに対して
も 、「 そ う 思 う 」 と 回 答 し た 学 習 者 が 多 か っ た こ と ( 回 答 平 均 値
は 、 項 目 5 が 4.3、 項 目 6 が 4.1) に も 反 映 さ れ て い る 。
いっぽうで、事後アンケートからは主に 2 つの問題点も浮き
彫 り に な っ た 。授 業 は す べ て 英 語 の み で 行 わ れ 、グ ル ー プ 活 動 で
も 英 語 の 使 用 が 奨 励 さ れ た が 、「 授 業 内 で は い つ も 英 語 で コ ミ ュ
ニ ケ ー シ ョ ン を し よ う と 努 力 し た 」と い う 項 目 4 に 対 し て は 、
「あ
ま り そ う 思 わ な い 」と い う 回 答 が 一 定 数 あ っ た( 回 答 平 均 値 2.8)。
授 業 中 の 机 間 巡 視 に お い て も 、デ ー タ 分 析 な ど 議 論 の 内 容 が 複 雑
に な る と 日 本 語 に 依 存 す る 学 習 者 が 散 見 さ れ た 。ま た 、グ ル ー プ
によって英語の発話能力が比較的高いメンバーや英語をできる
だ け 使 お う と す る メ ン バ ー が 集 ま っ て い る 集 団 と 、そ う で は な い
集 団 が あ り 、後 者 の グ ル ー プ で は グ ル ー プ 活 動 中 の 日 本 語 の 使 用
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が 多 く な っ た 。リ ス ニ ン グ・リ ー デ ィ ン グ・ラ イ テ ィ ン グ・最 終
発表におけるスピーキングについては英語のみで行なっていて
も 、グ ル ー プ 内 で の ス ピ ー キ ン グ に つ い て は 英 語 の み の 使 用 が 徹
底できなかったことが示された結果である。
も う ひ と つ 学 習 者 が 苦 戦 し た 点 は 、 文 献 調 査 で あ る 。「 研 究 テ
ー マ に 関 連 し た 文 献 を で き る だ け 多 く 探 し て 読 ん だ 」か を 尋 ね た
項 目 3 に つ い て は 、「 ふ つ う 」 と 答 え た 学 習 者 が 目 立 っ た ( 回 答
平 均 値 3.6)。 文 献 自 体 を 探 す の が 難 し か っ た こ と や 、 見 つ け た
文 献 が 専 門 的 で う ま く 読 解・活 用 す る こ と が で き な か っ た の が 主
な 理 由 の よ う で あ る 。 こ れ に 対 し て 、「 言 語 機 能 の オ ー ラ ル ・ サ
ン プ ル を 見 つ け る た め に た く さ ん の 視 聴 覚 資 料 を 視 聴 し た 」か ど
う か を 尋 ね た 項 目 2 に 対 し て は 「 と て も よ く や っ た 」「 や っ た 」
と い う 答 え が 大 半 で あ っ た ( 回 答 平 均 値 4.0)。 こ の こ と か ら 、
プロジェクトのための自主的なリーディング活動は必ずしも十
分 で は な か っ た も の の 、リ ス ニ ン グ 活 動 に つ い て は 積 極 的 に 課 外
時間を使って行なっていたことがわかった。
最 後 に 、「 グ ル ー プ 発 表 が う ま く い っ た と 思 う 」 か に つ い て 尋
ね た 項 目 7 で は 、「 ま あ ま あ う ま く い っ た 」 と い う 中 間 的 な 自 己
評 価 が や や 多 く ( 回 答 平 均 値 3.7)、 改 善 点 と し て は 、「 図 表 を も
っ と 活 用 出 来 る と 良 か っ た 」「 パ ワ ー ポ イ ン ト を も っ と 工 夫 し て
見 や す く す べ き だ っ た 」「 リ ハ ー サ ル 不 足 で 、 グ ル ー プ ・ メ ン バ
ー 間 が 互 い の 発 表 内 容 を 十 分 に 把 握 し て い な か っ た 」「 質 疑 応 答
の際にうまく質問に対応できなかった」など、調査内容よりも、
それをどのように効果的に聴き手に提示するかという言語運用
に関わる側面についての反省が目立った。
4.4 期 末 課 題 エ ッ セ イ
期 末 課 題 と し て 課 し た エ ッ セ イ で は 、 自 分 が PBL か ら 学 ん だ
こ と や 、言 語 機 能 に つ い て 学 ん だ こ と な ど を 述 べ て も ら っ た 。そ
の結果、特に多かったコメントは以下のとおりである:
・同じ言語機能にもさまざまな表現があることがわかった。
・今 ま で 気 づ か な か っ た 自 分 と 母 語 話 者 と の 違 い に 気 づ く こ と が
できた。母語話者は表現のバリエーションが広い。
・表 現 の 使 い 分 け は 、上 下 関 係・親 疎 関 係・話 す 内 容 の 重 要 度 や
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相 手 に か か る 負 担・年 齢・性 別・出 身 地 域・社 会 経 験 等 に よ っ
て異なりうることを知った。
・ア ン ケ ー ト の 調 査 項 目 を 作 成 す る こ と や 、イ ン タ ビ ュ ー 協 力 者
にこちらが意図していることを聞き出せるように話をするこ
とが難しかった。
・自 分 た ち が 知 り た い 情 報 を 提 供 し て く れ て 、専 門 的 す ぎ な い 文
献を探すのに苦労した。
・収 集 し た デ ー タ を 分 析 し て 、一 般 的 な 特 徴 を 取 り 出 す の が 大 変
だった。
・い ま ま で も グ ル ー プ 活 動 は し た こ と が あ り 、何 ら か の タ ス ク に
一 緒 に 取 り 組 ん だ 経 験 は あ る が 、こ の よ う に 1 学 期 を 通 し て ひ
とつのプロジェクトのためにグループ活動を続けたことはな
か っ た の で 、同 じ グ ル ー プ の メ ン バ ー に 対 す る 責 任 が あ る と 感
じた。
・こ れ か ら は 、場 面 に よ る 表 現 の 使 い 分 け に 気 を つ け て 、英 語 表
現を学ぼうと思う。
・映 画 や ビ デ オ の 視 聴 を 通 し て 、言 語 機 能 が 実 際 の 場 面 で 使 い 分
けられている実例を見つけることができて参考になったので、
この活動は今後も自分で続けていきたい。
ま と め る と 、言 語 機 能 を 実 現 す る 表 現 に は 多 様 性 が あ り 、社 会
言 語 的 変 数 に よ っ て 使 い 分 け が な さ れ て い る 、と い う 言 語 機 能 に
対 す る 気 づ き と と も に 、リ サ ー チ を す る 際 に 注 意 す べ き 点 や 難 し
い 点 な ど が 言 及 さ れ て い る 。ま た 、語 用 論 へ の 気 づ き を き っ か け
に 、今 後 の 英 語 学 習 に お い て も 場 面 に 応 じ た 言 語 表 現 に 留 意 し た
学習に取り組んで行きたい、といった意欲を示す回答があった。
5. 考 察
以 上 の 結 果 を 踏 ま え 、こ こ で は 今 回 の PBL を 通 し た L2 語 用 論
指 導 の 成 果 と 問 題 点 に つ い て ま と め 、今 後 の 授 業 研 究 へ の 課 題 に
ついて述べる。
PBL の 成 果 と し て は 、先 行 研 究 で 挙 げ ら れ て い る 成 果 が 全 般 的
に認められた。すなわち、
・プ ロ ジ ェ ク ト を 達 成 す る 過 程 で 複 数 の 言 語 技 能 が 複 合 的 に 使 用
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された。
・ 言 語 機 能 に つ い て 学 び 、 L2 語 用 論 の 知 識 が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ
ン 上 重 要 で あ る と い う 気 づ き が 促 さ れ た だ け で な く 、そ の プ ロ
セスにおいてリサーチ・スキルを伸ばすこともできた。
・学 習 者 は 自 律 的・積 極 的 に プ ロ ジ ェ ク ト に 取 り 組 め た た め 、協
調 学 習 を 通 し て プ ロ ジ ェ ク ト に 対 す る 責 任 感 が 高 ま り 、授 業 へ
の深い参与が認められた。
・課 外 時 間 中 に 文 献 調 査 や オ ー ラ ル・サ ン プ ル お よ び 音 声 デ ー タ
収 集 を 行 な っ た た め 、授 業 外 で 英 語 を 使 用 す る 時 間 が 一 定 量 確
保された。
・母 語 話 者 と の イ ン タ ビ ュ ー や 、間 接 的 と は 言 え 母 語 話 者 用 に 作
成 さ れ た 視 聴 覚 資 料( 映 画 、テ レ ビ 番 組 な ど )を 見 聞 き し 、プ
ロ ジ ェ ク ト の た め に ク ラ ス 内 で 英 語 を 使 用 し た こ と で 、多 少 な
り と も 生 き た (authentic)言 語 体 験 が で き た 。
・語 用 論 的 な 気 づ き が 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 対 す る 動 機 づ け や
英語表現への関心を強化した。
・責 任 を も っ て グ ル ー プ 活 動 に 携 わ る こ と で 、学 習 者 の 自 律 学 習
や自己管理能力が促進された。
・独 自 に 研 究 テ ー マ や 調 査 項 目 を 決 定 し た り 、デ ー タ の 収 集・分
析・結 果 発 表 を し た り す る こ と で 、問 題 解 決 能 力 や 批 判 的 分 析
力が向上した。
しかしながら、同時に以下のような問題点も指摘できる:
・リ サ ー チ 内 容 が や や 専 門 的 で あ っ た こ と か ら 、文 献 調 査 が 不 十
分になる傾向があり、課外でリーディング活動に割く時間が、
リ ス ニ ン グ 活 動 に 割 く 時 間 に 比 べ て 、期 待 し て い た よ り も 少 な
かった。
・ク ラ ス で の 議 論 や グ ル ー プ 発 表 、そ の 他 英 語 母 語 話 者 と の や り
と り は 英 語 の み で 行 わ れ た が 、グ ル ー プ 内 で の 日 本 語 使 用 が 目
立 つ こ と が あ り 、複 雑 な 論 点 に つ い て 考 え る 際 に 英 語 を 使 用 す
る こ と の 難 し さ が 明 ら か と な っ た 。と り わ け 言 語 分 析 の よ う に
メ タ レ ベ ル の 考 察 に つ い て 英 語 で 話 し 合 え る ほ ど に は 、当 該 学
習 者 達 の ス ピ ー キ ン グ 能 力 が 高 く な く 、更 な る 練 習 の 場 の 提 供
が必要であることが示された。
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・学 習 者 は 母 語 話 者 デ ー タ を 、や や も す る と 妄 信 し た り 、た ま た
ま 文 献 や デ ー タ 収 集 に よ っ て 得 ら れ た 表 現 例 を ス テ レ オ・タ イ
プ 化 し た り す る こ と も あ っ た た め 、言 語 特 性 の 中 で も 特 に 規 範
が 規 定 し に く く 、 さ ま ざ ま な バ リ エ ー シ ョ ン の あ る L2 語 用 論
を扱う難しさが露呈された。
・ プ ロ ジ ェ ク ト を 通 し て 、 学 習 者 の L2 語 用 論 に 対 す る 気 づ き が
促され、多少のメタ語用論的知識も身についたと思われるが、
そ の 結 果 言 語 使 用 場 面 で 実 際 に 語 用 論 的 に 適 切 な L2 表 現 を す
ぐに使えるようになるわけではない。
こ れ ら の 問 題 点 の ほ と ん ど は 、他 の 英 語 の 授 業 科 目 と の 連 携 に
よ っ て 、あ る 程 度 改 善 さ れ る と 考 え ら れ る 。調 査 対 象 の 学 生 達 は 、
リ ー デ ィ ン グ 活 動 に つ い て は 、英 文 学・言 語 学・地 域 国 際 関 連 分
野 の 必 須 授 業 が 他 に あ り 、そ の 中 で 多 読・精 読 技 能 と も 強 化 さ れ
ている。また研究テーマに関連する文献検索の方法については、
エ ッ セ イ や リ サ ー チ・ペ ー パ ー を 書 く 訓 練 を 行 う ラ イ テ ィ ン グ ・
ク ラ ス や 、ス ピ ー チ お よ び デ ィ ベ ー ト に 重 き を 置 い た ス ピ ー キ ン
グ・ク ラ ス に お い て も 指 導 が な さ れ て い る 。別 の ス ピ ー キ ン グ ・
ク ラ ス で は タ ス ク・ベ ー ス の さ ま ざ ま な ス ピ ー キ ン グ 活 動 を 行 な
っ て お り 、そ の 中 で 発 話 行 為 を 実 現 す る タ ス ク も 扱 っ て い る 。ま
た 、自 分 の 発 話 を 録 音・文 字 化・自 己 修 正 し た も の を 教 員 が 添 削
し た の ち 、再 発 表 す る こ と で 、正 確 性・流 暢 性 を 共 に 伸 ば す こ と
を 目 的 と し た 活 動 な ど も 行 わ れ て い る た め 、こ う し た ク ラ ス と の
よ り 密 な 連 携 が と れ れ ば 、 L2 語 用 論 に つ い て 得 た 知 識 を 使 用 す
る 練 習 場 面 の 提 供 が 現 状 よ り も 増 や せ る で あ ろ う 。そ れ ぞ れ の 授
業 科 目 が 週 1 回 し か 行 わ れ て い な い た め 、上 記 の よ う な ク ラ ス 間
の 連 携 が 、英 語 教 育 の 改 善 の 上 で は 重 要 な 取 り 組 み の ひ と つ と 言
えよう。
同 時 に 、他 の 授 業 科 目 に 依 存 す る だ け で な く 、同 じ 授 業 の 中 で 、
より実践的な練習の場を与えるような工夫をしていくことも考
え る 必 要 が あ る 。外 国 語 学 習 環 境 に お い て は お の ず と 限 界 は あ る
が 、で き う る 限 り 英 語 を 実 際 に 使 用 す る 機 会 を 増 や す 努 力 を 続 け
る べ き で あ る こ と は 言 う ま で も な い 。今 回 の 授 業 で は 、授 業 そ の
も の は 英 語 で 行 わ れ た も の の 、発 話 行 為 の 練 習 を 体 系 的 に 行 う 時
間 は 設 け ら れ な か っ た 。 今 後 は PBL を 進 め つ つ 、 多 様 な 言 語 機
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能・発 話 行 為 を 実 践 的 に 練 習 で き る よ う な タ ス ク を 交 え た 授 業 計
画を考えてみたい。
今回の授業は学習者にとって専攻語の必修科目であったこと
か ら 、 学 習 者 の L2 レ ベ ル も 英 語 学 習 意 欲 も 比 較 的 高 く 、 コ ン テ
ン ト ・ ベ ー ス の PBL の 授 業 に お い て 一 定 の 成 果 を 得 る こ と が で
き た 。期 末 課 題 の エ ッ セ イ に よ れ ば 、学 習 者 は 語 用 論 と い う コ ン
テ ン ツ に 対 す る 興 味 や 気 づ き が 促 さ れ 、言 語 機 能 の リ サ ー チ 、と
り わ け オ ー ラ ル・サ ン プ ル 収 集・分 析 の 経 験 が 、リ サ ー チ・ス キ
ル 強 化 の 機 会 を 提 供 し た こ と が う か が え る 。同 時 に 、今 後 の 英 語
学 習 へ の 取 り 組 み に お い て 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 向 上 に 貢 献
す る 表 現 や 、そ の 使 い 分 け を 学 ぶ 動 機 づ け が 高 ま っ た こ と が 示 唆
さ れ た 。 L2 語 用 論 の 重 要 性 へ の 「 気 づ き 」 は 、 そ の ま ま 運 用 能
力 に 直 結 す る も の で は な い が 、英 語 の 基 礎 能 力 が 既 に 身 に つ い て
お り 、動 機 付 け の 強 い 学 習 者 で あ れ ば 、気 づ き が 運 用 能 力 を 伸 ば
す き っ か け に な り う る こ と は 示 さ れ た と 言 え よ う 。グ ル ー プ 発 表
後 の 自 己 評 価 で も 、言 語 運 用 面 で の 反 省 点 を 述 べ て い た 学 習 者 が
相 当 数 い た こ と か ら 、こ う し た プ ロ ジ ェ ク ト 学 習 を 継 続 す る こ と
で 、リ サ ー チ・ス キ ル や 発 表 能 力 に つ い て も 改 善 さ れ て い く 可 能
性が十分にあることが期待できる。
一 方 で PBL は 思 い の 外 、 教 師 の 負 担 が 大 き い と い う こ と も 述
べ て お き た い 。学 習 者 中 心 の 活 動 と 言 っ て も 、プ ロ ジ ェ ク ト・テ
ー マ や 調 査 項 目 の 決 定 、デ ー タ 分 析 な ど は 、学 習 者 だ け の 力 で は
難 し く 、教 師 に よ る ガ イ ダ ン ス を 適 宜 グ ル ー プ 別 に 与 え る 必 要 が
あ っ た 。こ う し た 個 別 グ ル ー プ へ の 指 導 は 課 外 で も 電 子 メ ー ル を
通 じ て お こ な れ 、週 に 数 時 間 に 及 ぶ こ と も あ っ た 。ま た 、コ ン テ
ン ツ が 語 用 論 と い う 専 門 分 野 に 関 わ る こ と か ら 、指 導 者 に も そ の
分 野 の あ る 程 度 の 専 門 的 知 識 が 必 須 で あ り 、語 学 教 師 な ら 誰 で も
担 当 で き る 授 業 と は 言 え な い 。ま た 、あ く ま で 語 学 の 授 業 で あ る
た め 、 コ ン テ ン ツ /専 門 性 対 言 語 技 能 の 指 導 の 間 で 、 重 き の バ
ラ ン ス を ど う と る か 、あ る い は ど の よ う に 両 者 を 効 果 的 に 組 み 合
わ せ ら れ る か に つ い て 、学 習 者 レ ベ ル や ニ ー ズ に 応 じ た 配 慮 が 必
要 で あ る 。今 回 は 英 語 を 通 し た コ ン テ ン ツ 学 習 に や や 傾 斜 が か か
っ た 授 業 で あ っ た た め 、今 後 は 言 語 技 能 の 訓 練 と の よ り 良 い バ ラ
ンスを探っていくべきであろう。
併 せ て 、 L2 習 得 過 程 の 検 証 と い う 観 点 か ら 、 プ ロ ジ ェ ク ト に
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取り組むグループ活動における学習者間のやりとりを質的に分
析 し 、社 会 文 化 理 論 (Lantolf & Thorne 2006)と い っ た 枠 組 み か ら 、
学 び の 場 が ど の よ う に 共 同 構 築 さ れ て い る か 、調 査 で き れ ば 興 味
深 い 。 近 年 、 社 会 文 化 理 論 の 枠 組 み で L2 学 習 者 の 言 語 発 達 を 調
査 す る 取 り 組 み が 増 え て き て お り 、例 え ば ポ ー ト ラ ン ド 州 立 大 学
で 構 築 さ れ た Multimedia Adult English Learner Corpus (MAELC)
の 実 証 研 究 へ の 貢 献 が 大 い に 期 待 さ れ て い る 。MAELC は 大 人 の
L2 英 語 学 習 者 が Communicative Language Teaching の 授 業 を 受 け
て い る 様 子 を 4 年 間 に 渡 っ て 録 音・録 画 し 、学 習 者 の 授 業 内 で の
private speech か ら グ ル ー プ 活 動 で の 発 話 ま で を す べ て 記 録 ・ 文
字 化・コ ー デ ィ ン グ し 、更 に 授 業 外 で の イ ン タ ビ ュ ー・デ ー タ も
加えた学習者コーパスである。こうしたコーパスを参照しつつ、
外 国 語 と し て の 英 語 学 習 場 面 、 と り わ け 今 回 の よ う な PBL の 様
子 を よ り 小 規 模 な が ら 同 様 の 方 法 で コ ー パ ス 化 し 、実 証 研 究 を 行
う こ と は 、 L2 習 得 過 程 の ミ ク ロ ・ レ ベ ル の 様 相 の 解 明 に つ な が
る重要な試みとなろう。
*
本 調 査 を 行 う に 際 し 、研 究 補 佐 を し て く だ さ っ た 星 合 智 子 さ ん
に感謝の意を表します。
注
1
英 語 学 習 支 援 セ ン タ ー で は 、課 外 で の 英 語 の 自 律 的 学 習 を サ
ポ ー ト す る た め に 、E ラ ー ニ ン グ 教 材 、会 話 セ ッ シ ョ ン 、ラ イ テ
ィ ン グ・ワ ー ク シ ョ ッ プ 、視 聴 覚 教 材 お よ び 多 読 用 教 材 の ラ イ ブ
ラ リ な ど を 提 供 し て お り 、 English Advisors と 呼 ば れ る 英 語 母 語
話 者 の 講 師 が 常 駐 し て い る 。 今 回 の 授 業 で は 、 こ れ ら の English
Advisors の 協 力 を 仰 い だ 。
2
パ ワ ー ポ イ ン ト に よ る 資 料 作 成 に つ い て は 、学 術 情 報 リ テ ラ
シ ー の 授 業 や 、ス ピ ー チ 訓 練 を 行 な っ て い る ス ピ ー キ ン グ・ク ラ
スで指導している。
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