最高レベルのトレード手法をどこよりもわかりやすく！小次郎講師のトレーダーズバイブル第23回「エッジの発生する仕組み4、認知のゆがみ 2」 皆さん、こんにちは、小次郎講師です。助手のムサシです。よろしくお願いします。本日は「認知のゆがみ」の続き。「ああ、勘違い」ですね。 1 そういうこと。トレード中に投資家がどういう勘違いをするかをまとめたもの。そういう勘違いに陥らないように自戒しなければいけない。了解！【４、値ごろ病】値ごろとは、金は下がってもここら辺まで下がればそれ以上は下がらないとか、原油は上がってもこの価格になると頭打ちになるとかいう、過去の値動きやファンダメンタルから見た相場観のこと。これがしばしばトレードをする上で大きな災いとなる。よく言いますね。こんな価格では採算割れだから、これ以上下がるはずがない、みたいな。それが災いにつながるんですか？採算を割れてようが、下がるときはとことん下がるのだよ。ところが中級者はこの値ごろ病が多い。そして、この値ごろ病がやっかいなのは、何回かはその値ごろ感が利益に結びつくこともあるという点だ。 2 なるほど、値ごろ感で買ったら見事に上がった、というようなことですね。それは気持ちいい。ということで中級トレーダーは「もうそろそろいくら何でも底打ちでしょ」とか「どう考えても高すぎるでしょ」とトレード仲間と相場談義に花を咲かせている。咲かせてます、咲かせてます。それが実は大きな落とし穴だと。そういうこと。ムサシ君、私が、相場の格言の中で一番どうしようもないと思っている格言は「安いときに買って、高いときに売る」というやつだ。えっ？それって、相場の格言の中で一番有名なやつじゃないですか。しかも真理を突いている。「安いときに買って、高いときに売る」これのどこが、どうしようもないんですか？では説明しよう。その前に、ちょっとこの図を見てくれ、現在の値段は安いかな、高いかな？ 3 しばらくもみ合った後、価格が急騰して、今はそこで高値もみあいとなってますね。間違いなく高いです。売りたくなるだろ。なりますね。こういう相場展開になったら万人が万人、「高すぎるぞ、もう売らなくては」と思う。 4 です。ところが、この先の値動きは実は以下のような展開だったりする。どうだい？これでもあのときの価格は高かったかな？ 5 ありゃりゃ、全然高くないですね。だろ。「安いときに買う、高いときに売る」という大原則は、「将来の価格と比較して、安いときに買う、高いときに売る」ということなのだよ。現在の価格がいくら高くても、将来もっともっと上昇するなら安い価格であり、どんなに安そうに見える価格でも将来もっと下落するなら高い価格なのだ。なるほど。将来の価格と比較するんですね。・・・そんなこと不可能だ。だから、どうしようもない格言だと言っているんだよ。確かに。ところがほとんどの三流トレーダーは過去の値段と比較して高いだの安いだのと騒いでいる。過去の値段と比較してもなんの意味もないのにだ。ここに大きな落とし穴があることに気付いている人は残念ながら少ない。 6 ちょっと上がると、売りたくなる。ちょっと下がると買いたくなるというのが投資家の心理ですが、それはだめなのですね。ムサシ君、覚えているかな？あのトイレットペーパーを買うのに長蛇の列が出来た第一次オイルショックのことを。うーん、たぶん、生まれる前かと・・・。ごほん。あのとき、それまで長い間1バレル5ドル程度だった原油価格が 10ドル前後まで急騰し、この世が終わるのではというくらいの大騒ぎとなった。その後原油は1バレル100ドルを超えた時期もある。あの時代の価格を覚えている人に限って、その後の価格を高すぎると思い、上がれば上がるほど、空売りで取るチャンスと思い、売って売って売りまくった。で、その結果、破産だ。怖い。ということで、・・・値ごろ売買の怖さがわかるだろう。途中過程で何度か上手くいったとしても、最後に取り返しのつかない損をしてしまう、それが・・・「値ごろ病」の怖さだ。 7 気をつけます。【５、バンドワゴン病】バンドワゴンって知っているかな？いえ、知りません。知らないか。パレードの先頭をいく、楽隊が乗った車のこと。まあ、ちんどん屋と思え。ち、ちんどん屋！？そっちの方こそ知らないです。ではグーグルで検索すること。まあ今で言えば宣伝カー。どこかの会社の新製品が大人気になり株価が急騰する、日経新聞に取り上げられる、雑誌に特集される、テレビでも報道される。あちこちで凄い凄いと宣伝される。で、一般投資家が殺到する。ところが、そのときにはもう高すぎるのだ。ほとんどの投資家は高値づかみになってしまう。 8 ラーメン屋の前に人が並んでると自分も並んで食べたくなるって人多いですよね。そういう人は投資に向かない。思い起こせばかつてのバブル期。株価は未来永劫上げ続けるなんて、今聞けば大笑いするような、へそが茶を沸かすような、ありえない話が雑誌テレビで平然と語られていた。そして1億国民が我先に株を買い、その結果バブルは、はじけた。雑誌テレビで取り上げられてから買った人は皆負け組だ。それがバンドワゴン病なのである。投資雑誌の特集を読んで、自分も買ってみたいと思う人はだめなんですね。残念ながら投資には向いていない。【６、小数の法則信仰病】ムサシ君、さいころを振って1が出る確率はどれくらいだろう。ん？ 9 馬鹿にしないでください。馬鹿にしてはいない。真面目な投資の勉強。６分の１でしょ。それくらい知ってますよ。もちろん６分の１。誰でも知っている。ではムサシ君、確率6分の１ってどういうこと？どういうことって、どう答えればいいんですか？ん？また、馬鹿にするなって？馬鹿にしていない、これが意外とわかってないのだよ。サイコロで１が出る確率は誰でも知ってのとおり6分の１。ではあらためて聞いてみよう、サイコロを6回振ると、１は必ず1回出るかな？そう言われると・・・出ることもあれば出ないことも。 10 まあそういうことだ。2回、3回出ることだってあるぞ。あるでしょうね。 6回振って1回も出ないこともあれば、2回、3回出ることもあるのに確率6分の１って言ってなんの意味があるんだい？うーん、確かに。難しくなってきました。では、次の質問。「サイコロを6回振って1回も１が出ない確率はいくら？」え？そんなこと計算出来るんですか？どれくらいだろ？そんなに多くはないと思いますが。それも計算出来る。その計算式は５／６５／６５／６５／６５／６５／６ 11 へー、凄い。これ、計算してごらん、びっくりするぞ。33.5％になる。つまり、6回を１セットとして、3回に1回は「6回振っても1回も１は出ない」のだよ。わあ、意外と多いですね。びっくりです。だね。では3回に1回は6回振っても1回も１が出ないのに、確率6分の１ってどういう意味よ。そう言われると・・・混乱しちゃいますね。 6回振って1回も出ないことがある、2回、3回出ることもある１の目だが、6百回振ると極めて百回に近く1が出る。 6千回、6万回と回数を増やせば増やすほど、極めて正確に6分の１に近い数値で１が出るのである。これを「大数の法則」という。投資の世界で勝つためにとても大切な確率の考え方だ。 12 それ、教わりましたね。聞いた覚えがあります。その逆が「小数の法則」。簡単に言うと、数が少ない中で何か法則を見つけてもそんなの当てにならないよって話。当たり前の話だが、意外とひっかかる人が多い。週末に価格が下落するなんてことが3回、4回続くと、「週末には株価は下がるね。やはり調整が出てくるからね」などと、まことしやかにささやかれる。ありますあります。そういうこと。「ジブリが放映されると株価が荒れる」なんてのもそのひとつ。ジブリの映画がテレビで放映されたとき、何度か株価が動いた。するともうそれが法則のようにつぶやかれ、それで売買する人もいるらしいからびっくりだ。聞いたことあります。まあ、ジブリの話くらいなら、一般の人は笑い話として真剣に捉えないだろうが、こういう話は聞いたことはないか？「株価は何年周期で（或いは何年何ヶ月周期で）動いている。」という話。 13 ときに為替で、ときに金価格でいろいろなところでまことしやかに語られる。根拠は後付けで、何十年かのチャートを引っ張り出し、「この年に上がった、この年に下がった。どうだい何年周期で動いているのがわかるだろ？」というやつだ。それも聞いたことあります。確率の世界でその確率が普遍性を持つにはランダムなデータ300回以上と言われる。何年周期というのは果たして何回そういう現象を検証して言っているんだろう。せいぜい、数回じゃないですか？だね。これはサイコロ振ったら、6回のうち3回１の目が出ました（← たまたま）だから、これからも2回に1回は１の目が出ます、と言っているようなもの。「そんなもの今後の予想には何の役にも立たないじゃん」と笑い飛ばさなければいけないのに、その程度のデータで「ほほう、確かにチャートで見ると、そうなっていますね。」などと感心してしまう人がいる。感心してしまってました。 14 「少数の法則」にはなんら信憑性がない。悪い大人に騙されてはいけないぞ。気をつけます。さて、以上、２回にわたって勉強してきた「ああ勘違い」。正しく理解していただけただろうか？投資の世界にはさまざまな落とし穴があり、一般投資家に錯覚させる罠が仕掛けられている。その罠にはまってはいけない。勉強になります。世の中には、こういった落とし穴のことを勉強せずに、簡単に儲けられると思って投資の世界に飛び込むお人好しがいる。そのトレードの仕方はまるでお金をどぶに捨てているようだ。もったいない。そしてその一般投資家の勘違いが市場をゆがめ、そこにエッジが生まれる。だからそれをプロはそれを狙う。 15 怖いですね。でも、それが現実。勉強しなければ勝てないと言っている意味がわかるだろ。ということで、時間だ。本日はここまで。ありがとうございました。起立・礼 16