ArcGIS 9.3 SP1新機能ガイド

ArcGIS 9.3 SP1 新機能ガイド
2008 年 12 月 22 日
主な特徴
3
概 要
4
一 般
12
互換性
17
データ管理
20
マッピング
46
ジオプロセシング
95
デスクトップ アプリケーション開発
101
モバイル GIS
104
GIS の Web への展開
108
エクステンション
145
ArcGIS 3D Analyst
145
ArcGIS Geostatistical Analyst
155
Maplex for ArcGIS
156
ArcGIS Network Analyst
160
ArcGIS Publisher と ArcReader
163
ArcGIS Schematics
164
ArcGIS Spatial Analyst
168
ArcGIS Tracking Analyst
172
ArcMap のマップ ナビゲーション ショートカット
ArcMap テーブル ウィンドウ ショートカット
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MOLE 、NetEngine 、PC ARC/INFO 、PC ARCPLOT 、PC ARCSHELL 、PC DATA CONVERSION 、PC STARTER KIT 、PC TABLES 、
PC ARCEDIT 、PC NETWORK 、PC OVERLAY 、PLTS 、Rent-a-Tech 、RouteMAP 、SDE、SML、Spatial Database Engine、
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ロゴ、ArcIMS ロゴ、ArcInfo ロゴ、ArcLogistics Route ロゴ、ArcNetwork ロゴ、ArcPad ロゴ、ArcPlot ロゴ、ArcPress for ArcView ロ
ゴ、ArcPress ロゴ、ArcScan ロゴ、ArcScene ロゴ、ArcSDE CAD Client ロゴ、ArcSDE ロゴ、ArcStorm ロゴ、ArcTIN ロゴ、ArcTools
ロゴ、ArcView 3D Analyst ロゴ、ArcView Business Analyst ロゴ、ArcView Data Publisher ロゴ、ArcView GIS ロゴ、ArcView Image
Analysis ロゴ、ArcView Internet Map Server ロゴ、ArcView ロゴ、ArcView Network Analyst ロゴ、ArcView Spatial Analyst ロゴ、
ArcView StreetMap 2000 ロゴ、ArcView StreetMap ロゴ、ArcView Tracking Analyst ロゴ、Atlas GIS ロゴ、Avenue ロゴ、BusinessMAP
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Data ロゴ、ESRI ArcWorld Data ロゴ、ESRI Digital Chart of the World Data ロゴ、ESRI globe ロゴ、ESRI Press ロゴ、Geography
Network ロゴ、MapCafé ロゴ、MapObjects Internet Map Server ロゴ、MapObjects ロゴ、MOLE ロゴ、NetEngine ロゴ、PC ARC/INFO
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ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 2
主な特徴
KML 作成のサポートを強化
 ArcGIS Desktop 9.3 では、すべてのライセンス レベルで、GIS データを KML ファイルにエクスポートする機能が追加され、3D
Analyst エクステンションが不要になりました。新しい [HTML ポップアップ] ツールを使用して、KML のフィーチャのポップアップ
コンテンツを簡単に指定することができます。ArcGIS Desktop からエクスポートされた KML ファイルは、Google Earth、Google Maps
の [マイ マップ] タブ、および Microsoft Virtual Earth の [コレクション] などで使用可能です。ArcGIS Server 9.3 を使用して公開し
たマップ サービスは、Google Earth などのクライアントから URL を直接指定するだけでアクセスすることができます。また、サーバ
からジオプロセシング、クエリの結果を KML としてクライアントに返すことができます。Google などの検索エンジンを使用して、
公開したマップなどのサービスを検索し、さまざまなクライアントで直接起動して、他の「Geoweb」コンテンツと簡単に統合するこ
とが可能です。
新しい ArcGIS JavaScript API を使用した GIS Web マッシュアップの作成
 ArcGIS Server 9.3 には画期的な新しい ArcGIS JavaScript API が用意されており、簡単に Web ページにインタラクティブなマップ
を組み込んだり、完全な Web GIS アプリケーションを開発したりすることができます。また、サービスを ArcGIS Online ベースマッ
プなどと組み合わせることも可能です。さらに、ArcGIS JavaScript API エクステンションを使用して、ArcGIS Server のマップ、デー
タ、タスク、およびジオプロセシング サービスを、Google マップや Microsoft Virtual Earth の Web マップとマッシュアップして利
用することができます。API は無料で提供されており、開発者は、信頼できる GIS コンテンツとプロの GIS 解析を組み合わせた、新世
代の GIS マッシュアップと Web アプリケーションを公開することができます。
高性能なキャッシュ マップ サービスの作成の簡易化
 ArcGIS Server 9.3 では、キャッシュ マップ サービスが簡単に作成でき、キャッシュの作成および更新をこれまで以上に制御でき
るようになりました。タイル スキーマがキャッシュ ツールに組み込まれたことにより、ArcGIS Online、Google マップ、Microsoft
Virtual Earth 上で表示するマップ サービスのキャッシュがこれまでよりもいっそう簡易化されます。
ArcGIS Server のセキュリティ強化
 ArcGIS Server 9.3 の新しいロールベースのセキュリティにより、さまざまなユーザのサービスやアプリケーションへのアクセスを
管理できるようになりました。ArcGIS Server Manager の新しい [セキュリティ] タブを使用して、ユーザおよびロールを設定するこ
とができます。また、Web サービスやアプリケーションのトークンベースのセキュリティを使用するオプションも追加されました。
要望の多かった改良点
 最新の ArcMap では、グラフィックスをフィーチャに変換できるため、編集を開始しなくてもデータを作成することができます。
ラベリングを一時停止して、描画をスピード アップすることができます。凡例は、レイヤの透明度に合わせて明るい色で自動的に描
画されます。テーブルを結合する際、フィールドのエイリアスが維持され、テーブルを複数のフィールドでソート可能です。ジオプ
ロセシング エラー メッセージにハイパーリンクが追加され、問題の詳細を確認することができます。他の多くの改良により、さら
に生産的に仕事をこなせるようになります。
エンタプライズ ジオデータベースを実装する新しいオプション
 オープン ソースの RDBMS である PostgreSQL で、マルチユーザ ArcSDE ジオデータベースを実装できるようになりました。ESRI 空
間タイプ、PostGIS 空間タイプの両方がサポートされます。ArcGIS 9.3 ユーザは 9.2、9.1、および 9.0 の ArcSDE ジオデータベースに直接
接続することができます。また、バージョン比較用の新しいビューアと新しい競合解決オプションも搭載されています。
モバイル GIS の実装の簡易化
 9.3 の ArcGIS Mobile は、すぐに使える新しいモバイル アプリケーションで、簡単にモバイル デバイスで GIS を利用することが
できます。データ、マップ、タスク、およびサービスは、ArcGIS Server で一元管理され、有線または無線ネットワークを介してモバ
イル デバイスとサーバの同期ができます。
新しい製品リソース センターとドキュメントの改善
 各 ArcGIS 製品には、それぞれリソース センターWeb サイトが用意されており、ドキュメント、サポート ページ、フォーラム、
ブログ、そして ArcGIS Online ベースマップなどの主要な Web データを含むオンライン リソースを提供しています。リソース セン
ターへは、http://resources.esri.com からアクセス可能です。また、Web でのコンテンツやサービスのパブリッシュ、サーバの管理、
アプリケーションの開発を中心に、新しい多くのコード サンプルを含めたドキュメントが追加されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 3
概 要
一般
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新しいリソース センターで、使用している製品のヘルプ、フォーラム、サポート、ブログなどを簡単に見つけ出すことができる
ようになりました。
すべての製品で Microsoft Windows Vista が完全サポートされています。
ライセンス マネージャがアップグレードされ、Vista、リモート デスクトップ、64 ビットをサポートしています。
64 ビット プロセッサをサポートし、Intel および AMD の 64 ビット プロセッサでの動作認定を取得しました。
特に Web での GIS リソースのパブリッシュについて、ドキュメントが改善されました。
新しいクラッシュ レポート機能により、エラー レポートが米国 ESRI 社に送信されるため、より迅速に原因を特定して解決でき
るようになりました。
データ管理
ジオデータベース
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Enterprise ArcSDE がオープン ソース RDBMS である PostgreSQL をサポートしています。PostGIS 空間タイプもサポートして
います。
Enterprise ArcSDE が DB2 z/OS をサポートしています。
DataBlade モジュール製品のテキスト検索をサポートし、Informix のサポートが改良されました。
Oracle 11g データベースのサポートなど、Oracle のサポートが改良されました。
Microsoft SQL Server 2008 の 2 つの新しい空間タイプをサポートしています。
Microsoft SQL Server Express のサポートに、全文検索による Advanced Services が追加されています。
直接接続の互換性が強化されています。
新しいバージョン変更ビューアでは、バージョンを調整したり、編集セッションに入ったりせずに、変更を確認することができ
ます。
同じフィーチャが 2 つのエディタで編集された場合、新しい競合解決オプションでジオメトリをマージすることができます。
一方向レプリカが、ファイル ジオデータベースおよびパーソナル ジオデータベースをサポートしています。
編集
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
スケッチ ツールに切り替えずに、簡単にスケッチにポイントを配置することができます。
データのマップ単位に関係なく、DD、DDM、DMS で XY 座標位置を入力することができます。
ストリーム モードでのデジタイズ中に、一時停止が可能になりました。
スプリット ツール、フィレット ツールのオンスクリーン フィードバックが向上しています。
スケッチ ツールのステータス バーにラインの長さが表示され、ポリゴンの現在のエリアを表示できるようになりました。
新しいキーボード ショートカットにより、さらに迅速にトポロジ エラー インスペクタでのエラーを処理できるようになりまし
た。
新しい開発者インタフェースにより、フィーチャの Z 値のキャプチャと編集機能が向上しています。
テーブル結合とリレート
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テーブルを結合したり、結合したテーブルのフィルタ設定を作成したりした際、エイリアスなどのフィールド プロパティが維持
されるようになりました。
テーブル結合時にテーブルのフィルタ設定も一緒に取り込まれるようになりました。
結合されたテーブルの名前、場所など、結合、リレートのプロパティを確認することができます。
新しい高度なソート ダイアログで、テーブルを最大 4 つのフィールドにソートできるようになりました。ソートはテーブル プ
ロパティとして維持されます。
新しいコマンド、キーボード ショートカットにより、テーブルのフィールド エイリアス表示、実名表示をすばやく切り替える
ことができます。
結合、リレートをテーブル ウィンドウから直接定義することが可能です。
ジオメトリの計算ダイアログで、ラインの始点および終点の座標を計算することができます。
選択レコードの表示モードでの作業中、ハイライトを再選択コマンドを使用して、選択を簡単に変更できるようになりました。
編集セッション中、ハイライトを削除コマンドを使用して、選択レコードの表示モードでサブセットを削除することができます。
リレートをたどる際、表示主フィールド、フィールド エイリアスなどのウィンドウ優先フィールド プロパティを特定できるよ
うになりました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 4
ラスタ データ
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サブ データセットのフル サポートにより、NITF、HDF イメージの処理が向上しました。
ENVI イメージに対応しました。
ArcGIS Server イメージ サービス(ArcGIS Image Server エクステンションを使って提供されるイメージ)と完全統合されました。
ラスタ データ ソースとして OGC WCS(Web Coverage Services)をサポートします。
ラスタ カタログからラスタ モザイクを作成するためのツールが向上しました。
カラー バランス、マッチングのためのオプションが追加され、シームレスなラスタ モザイクをより簡単に作成できます。
グラフィックスでクリップできる新しい オプションを利用して、エクスポート時に簡単にラスタを切り出すことができます。
参照されているラスタ データセットが移動された場合に、
「Unmanaged」の設定になっているラスタ カタログを修復するツー
ルが追加されています。
新しい [ラスタ ワールド ファイルのエクスポート(Export Raster World File)] ツールを使用して、ArcGIS 以外のアプリケー
ションで使用する標準的なワールド ファイルをエクスポートすることができます。
新しい [セル値の取得(Get Cell Value)] ジオプロセシング ツールを使用して、モデルやスクリプトの特定の場所のピクセル値
を検索することができます。
新しい不連続カラー レンダリングの外観は個別値レンダリングに近いですが、表示速度は非常に速いです。
個別値レンダリングが浮動小数点データに対応しました。
マッピング
グラフィックス
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
新しい [グラフィックスをフィーチャに変換(Convert Graphics To Features)] ダイアログにより、編集せずにフィーチャを作
成できます。
グラフィックス プロパティ ダイアログが向上し、グラフィックスの座標、ディメンションを簡単に取得できるようになりました。
ArcMap ステータス バーに、XY 座標値以外の単位でグラフィックスの長さと面積を表示することができます。
[ツール] → [オプション] ダイアログで表示されたグラフィックスの描画後も、描画ツールをアクティブな状態に保つオプショ
ンが追加されています。
ブックマーク

拡張された[ブックマークの管理] ダイアログで、ブックマークのソート、並び替え、更新、インポート、エクスポートが可能に
なりました。
縮尺
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ArcMap 全体で縮尺を相対的な形式(1 インチ=100 マイルなど)で入力や表示ができるようになりました。
レイアウト
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デフォルトの縮尺のテキスト スタイルが改良され、スタイルを簡単にカスタマイズして相対的な縮尺を表示できるようになりま
した。
レイヤの透過表示に合わせて、凡例、テーブル オブ コンテンツのシンボルが明るい色で自動的に描画されます。
フィーチャからの属性とハイパーリンクへのアクセス
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

新しい HTML ポップアップツールからアクセスする HTML ポップアップ ウィンドウで、属性、Web コンテンツを表示すること
ができます。
フィーチャの個別属性を表示後、[個別属性表示] ダイアログから直接、レイヤのプロパティおよびテーブル ウィンドウを起動
することができます。
ハイパーリンクで、アプリケーション パラメータをサポートする PDF などの文書の特定のページを参照することができます。
ラベリング
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
描画速度を速めるため、新しい [ラベリングの一時停止] コマンドを使用して、すべてのラベリングを一時的に停止することが
できます。
Maplex エクステンションの多くの機能が強化されています(
「Maplex」セクションをご参照ください)。
カートグラフィック リプレゼンテーション
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WYSIWYG オプションで、リプレゼンテーションをリアルタイムで確認しながら編集できるので、思い描いたとおりのシン
ボルを簡単に作成できます。
ツールを切り替える新しいショートカットが追加されています。
テーブル オブ コンテンツのルールの表示方法をより厳密に制御することができます。
新しいジオメトリック エフェクトとして、移動、正多角形ポリゴン、回転、スケール、テーパ ポリゴン、ウェーブが追加され
ています。
新しいマーカー配置スタイルとして、頂点上が追加されています。
すべてのマーカーが見えるように、新しい [マーカー シンボルの分散(Disperse Markers)] ジオプロセシング ツールで自動的
に重なり合うマーカーを分散することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 5

新しい [交点にリプレゼンテーション コントロール ポイントを設定(Set Representation Control Points At Intersect)] ジオプ
ロセシング ツールを使用して、共有しているエッジ上のライン パターンを同期することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 6
ジオコーディング(日本版ではジオコーディングに対応していません)
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新しい [Address Inspector] ツールを使用して、マップをクリックし、その場所のアドレスを取得することができます(リバー
ス ジオコーディング)。
ジオコーディング 結果のレビューや再マッチングを容易に行うことができます。
Web データのマップへの追加
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新しい ArcGIS Desktop Resource Center から無料の ArcGIS Online サービスなどのデータを簡単にマップに追加することができ
ます。
新しいリサンプリング アルゴリズムを使用して ArcMap で描画した際の、キャッシュされた ArcGIS マップ サービスの表示が向
上しました。
ArcMap で描画した、キャッシュされた ArcGIS マップ サービスを、ローカルにキャッシュする方法を選択する新しいオプショ
ンが追加されています。
ArcCatalog のコンテンツの参照を含む OGC WMS のサポート、凡例、スタイルのサポートが強化されています。
ArcEditor のライセンス レベルで WFS データをフィーチャクラスとしてジオデータベースにインポートできる新しいツールが追
加されています。
レイヤ ファイルの取り扱い

レイヤ ファイルを Windows エクスプローラ、Outlook、Web ページなどから起動して、マップに追加できるようになりました。
マップの操作と表示
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
重なり合うレイヤのうち 1 つのレイヤを簡単に表示できるようになりました。ALT キーを押しながらレイヤのチェック ボックス
をチェックすると、そのレイヤをオンにし、他のすべてのレイヤをオフにすることができます。
[ツール] ツールバーに追加された [ビューア ウィンドウの作成] ツールを使用して、複数の縮尺で作業したり、データ フレー
ムを比較したりすることができます。
[レイヤの全体表示] コマンドで、フィルタ設定や選択レイヤの実際のコンテンツ範囲が全体範囲として反映されるようになりま
した(9.2 SP4 で追加)。
マウス ホイールを回して、ディスプレイの中心ではなく、カーソル位置を中心に拡大表示できるオプションが追加されています。
マップを PDF、KML へエクスポート
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エクスポートされた PDF のレイヤ リストが改善されました。グループ レイヤの階層が表示され、レイヤがデータ フレームご
とにグループ化されます。
Adobe Reader の [オブジェクト データ] ツールで操作できるように、エクスポートされた PDF に属性を含めるオプションが追
加されています。
座標の読み取り、XY 検索、計測、マークアップの検索を含む、Acrobat 9 の新しい PDF 機能に対応しています。
すべてのライセンス レベルのデスクトップ ユーザは、[レイヤ → KML(Layer to KML)]、[マップ → KML(Map to KML)] ツー
ルを使用して、レイヤとマップを KML にエクスポートすることができます。
ArcMap、ArcGlobe、ArcScene の新しい HTML ポップアップ機能を使用して、KML のポップアップ コンテンツを定義すること
ができます。
その他
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セッションで初めて開いたときに、[データの追加] ダイアログで前回使われた場所が表示されないようにする新しいオプション
が追加されています。
ビジュアライゼーションと解析
フィーチャの選択


Clementini の「Contain」および「Within」演算子が [空間検索] ダイアログとジオプロセシング ツールに追加されています。
[属性検索] ダイアログの [個別値の取得] ボタンのパフォーマンスが大幅に向上しています。
グラフ

新しい散布図行列のグラフを使用して、関連している変数のリレーションシップを確認することができます。
空間統計情報

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フィーチャクラス、ネットワーク データセットの空間的なリレーションシップを示す空間ウェイト マトリックスを作成する新
しいツールが追加されています。
新しい高度な回帰ツールとして、[最小二乗法(Ordinary Least Squares Regression)]、[地理空間加重回帰分析(Geographically
Weighted Regression)] ツールが追加されています。
その他のツールのさまざまな改良により、正確性と使いやすさが向上しました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 7
近接解析
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[最近隣] ツールがポイント、ライン、ポリゴンに対応し、複数のフィーチャクラスを検索できるようになりました。
新しい [近接情報テーブルの作成(Generate Near Table)] ツールは [最近接(Near)] ツールに似ていますが、別個の出力テー
ブルが作成されます。
測地線バッファのサポート、パフォーマンスの改善など、バッファ ツールの改良が行われました。
[空間結合] ツールが改良されています。最近隣のフィーチャを結合する新しいオプションにより、より簡単に属性をマージでき
ます。
ジオプロセシングと解析
一般的な機能の改良点
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[標準] ツールバーの新しい [ModelBuilder を起動] ボタンを使用して、新しいモデルを簡単に作成することができます。
すべてのエラー メッセージが見直され、Desktop ヘルプの新しい「Tool errors and warnings」セクションにリンクとともに表
示されるようになりました。
進行状況を示すバーが変更され、完了の割合をパーセントで表示できるようになりました。
[結果] タブに、結果を維持する時間を設定する新しいオプションが追加されています。
モデルとスクリプト ツールの改良点
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Python スクリプトをインプロセスで実行できるようになり、実行時間の大幅な短縮を実現しています。
入力データのフィルタなど、モデル、スクリプト ツールのパラメータを指定するオプションが追加されています。
スクリプト ツールにカスタム整合ロジックを追加できるようになりました。これにより、スクリプト ツールをシステム ツール
のように動作させることができます。
arcgisscripting.create メソッドに対するバージョン番号の引数により、Python データ構造へのアクセスが向上しました。
サーバの改良点
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フィーチャ セット、レコード セット データ タイプを使用して、フィーチャクラス、テーブルを入力することができます。
ツールをパブリッシュする際のエラー チェックが強化されています。
ジオプロセシング サービスから返されるラスタ結果に、ラスタ レンダリング情報を含めることができるようになりました。
その他
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[CAD へ変換]ツールセット内の全ツールが ArcView ライセンスで利用可能になりました。
[要約統計量(Summary Statistics)] が複数のケース フィールドに対応しました。
[フィールド演算(Calculate Field)] が単位換算に対応しました。
デスクトップ アプリケーション開発
.NET SDK(デスクトップ、エンジン)
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Visual Studio 2008 に対応しています。
新しい Snippet Finder を含むドキュメントが改善されています。
Java SDK
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Java Developer Kit 6、Suse Linux 10、64 ビット版 Red Hat Linux(32 ビット版 JVM を含む)
、Windows Vista に対応しています。
IDE との統合が強化され、Eclipse 3.3(エンジン、サーバ)、NetBeans(サーバ)に対応しました。
Java 開発者向けのヘルプ トピックおよびサンプルが 4 倍に増え、ArcObjects の「Library Overview」トピックが見直されました。
新しい [MXDEditor] ツールを使用して、MXD ファイルの壊れたレイヤを調べ、修正できるようになりました。
ArcGIS Engine
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フィーチャの選択、ズーム、画面移動、ローミングを含む、動的な表示のサポートがさらに強化されています。
編集タスクの作成、ターゲット レイヤの設定、スケッチ ジオメトリへのアクセス、ルールのデジタイズを含む編集機能が強化
されています。
Engine の [データの追加] ダイアログから ArcSDE ジオデータベースに接続できるようになりました(9.2 SP2 で追加)。
モバイル GIS
ArcGIS Mobile
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開発不要の新しい ArcGIS Mobile アプリケーションにより、すばやく簡単にモバイル GIS を作動させることができるようになり
ました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 8

ArcGIS Mobile SDK の改良により、マップ コントロールおよび投影変換のサポートが強化され、新しいスケッチベースの編集ツー
ルが追加されました。
ArcPad 7.1
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ArcMap に新しい [ArcPad Data Manager] ツールバーおよび、ArcPad ジオプロセシング ツールが追加されました。
GIS の Web への展開
ArcGIS Server Manager の改良点
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新しい [セキュリティ] タブを含むルック アンド フィールの改善により、ArcGIS Server Manager が使いやすくなりました。
管理者権限がなくても Microsoft .NET Framework の ArcGIS Server Manager にログインできるようになりました。
フィールドのエイリアスの設定など、Web アプリケーションで利用するレイヤの表示オプションが追加されました。
新しく設定可能な 印刷タスクを使用して、Web マッピング アプリケーションから印刷用ページの作成ができるようになりまし
た。
サーバ ログ ファイルのメッセージが改善され、トラブルシューティングおよび最適化が容易になりました。
Web マッピング アプリケーション



Web マッピング アプリケーションの外観が洗練され、より使いやすくなりました。
マップ ナビゲーションの強化、タスク結果の表示の向上、個別属性表示機能が改善されました。
マップおよびタスクの実行結果を印刷できるようになりました。タスクの実行結果を表示するための多くの新しいシンボルが追
加されました。
GIS サービス
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
新しいジオメトリ サービスにより、さまざまなアプリケーションで高度なジオメトリ演算を呼び出すことができます。
マップ サービスが自動的に KML に対応し、Google Earth のようなクライアントから簡単にアクセスができます。
マップ サービスを高速化するキャッシュの新しいオプションとして、特定のエリアのみをキャッシュするオプションとサービス
使用時にオンデマンドでキャッシュするオプションが追加されています。
ArcGIS Online、Microsoft Virtual Earth、Google マップ上に表示できるキャッシュを作成するためのタイル スキーマがマップ
サービスに標準で組み込まれました。
ジオプロセシング サービスのワークフロー、パフォーマンス、ドキュメントが改善されています。
Schematics、Geostatistical エクステンションに対応しています。
セキュリティ
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新しいロールベースのセキュリティ モデルにより、異なるユーザのサービスやアプリケーションへのアクセス管理が容易になり
ました。
サービスやアプリケーションのトークンベースのセキュリティを提供します。
相互運用
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
KML 対応サービスを作成するためのオプションが追加され、KML サービスに URL から直接アクセス可能になりました。
OGC WMS を提供する際、キャッシュされたマップ サービスがサポートされるようになりました。また OGC WFS、WCS のサポー
トが追加されています。
Web ADF for the Microsoft .NET Framework


Microsoft Vista、Visual Studio 2008、Microsoft .NET Framework 3.0 および 3.5、APS.NET AJAX をサポートしています。
Web ADF JavaScript ライブラリのドキュメントが作成されました。
新しい ArcGIS Server REST(Representational State Transfer)API


ArcGIS Server がホストする GIS サービスへの、シンプルかつ高機能でオープンな Web インタフェースを提供します。
ArcGIS Services Directory という新しい Web アプリケーションで、ArcGIS Server のコンテンツを閲覧、検出できます。
新しい ArcGIS JavaScript API を使用したマッシュアップの作成

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新しい ArcGIS JavaScript API を使用した、マップの Web ページへの組み込みや GIS アプリケーションの作成がとても簡単になり
ました。
マッシュアップ機能により、一般的な Web マッピング システムを使用して GIS データと機能を融合することができます。
Microsoft Virtual Earth 対応の新しい ArcGIS JavaScript エクステンションが追加されています。
Google Maps API 対応の新しい ArcGIS JavaScript エクステンションが追加されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 9
ArcGIS エクステンションの改良点
3D Analyst(ArcGlobe、ArcScene を含む)
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デフォルトのグローブを、ArcGIS Explorer で使用されている ArcGIS Online グローブと同一にすることができます。
ArcGlobe、ArcScene のビルボード表示されたマーカー シンボルとしてイメージを使用できるようになりました。新しい 3D ビ
ルボード表示スタイルが追加されています。
KML 2.1 のサポートが強化され、スクリーン オーバーレイ、KML ネットワーク リンクの自動更新などに対応しました。
COLLADA(Collaborative Design Activity)ファイルで定義された 3D モデルに対応しています。
ラインとポリゴンの周長ベースの立ち上げが追加されています。ラインは頂点ごとに立ち上げられます。
グラフィックスのグローブ サーフェスへの固定、テキスト グラフィックスのドレープとビルボード表示など、ArcGlobe のグラ
フィックスのサポートが強化されています。
ArcGlobe が Tracking Analyst エクステンションに対応しています。
[シェープの内挿]、[見通し] ツールがテレイン データセットに対応しています。
ポイントをジオデータベースにロードする前にマス ポイント QA/QC を実行する、新しい [(ポイント ファイルの空間統計情報
Point File Information)] ツールが追加されています。
[ASCII 3D → フィーチャクラス (ASCII 3D to Feature Class) ] ジオプロセシング ツールが LIDAR の強度属性に対応しました。
[断面図グラフ] ツールで、1 つの見通し線グラフィックスに複数のラインを作成することができます。
新しい [入力バリア設定を含むコンター (Contour with Barriers)] ツールには、これまでの [Contour(コンター)] ツールに
比べて多くの利点があります。
(Spatial Analyst にも追加されています。)
開発者向けに新しい 3D 解析とジオメトリ演算子が追加されています。
データの相互運用
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
新しく豊富なジオメトリ モデルや 35 以上の追加トランスフォーマを含む FME 2007 エンジンが更新されました。
FDO Provider(オープン ソース)、GeoRSS、Trimble JobXML、Autodesk 2007(DWG/DXF)のサポートが追加されています。
概要ウィンドウ、カスタマイズ可能なトランスフォーマ ギャラリーなど、多くの ETL Workbench が強化されています。
Geostatistical Analyst



新しい [Gaussian Geostatistical Simulation] ツールを使用して、クリギングされたサーフェスよりも地域変動の表示に優れた
サーフェスを作成することができます。
複数の CPU を活用することで、地球統計学的レイヤの計算やエクスポートのパフォーマンスが向上しました。
ArcGIS Server と ArcGIS Engine で Geostatical Analyst を使用できるようになりました。
Maplex

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



地質マップの走向、傾斜のラベリングのサポートが強化されています。
ストリート配置オプションが改良され、見つからない番地、奇数側、偶数側を表示できるようになりました。
コンター ラベルをページに合わせたコンター傾斜に沿って、細かく登り方向に配置することができます。
河川ラベルを蛇行に合わせて、河川ポリゴンのセンターラインに沿って、複数回カーブさせることができます。
ポリゴン内、ポリゴン周辺、同一のポリゴン境界線に沿ってラベルを配置する際、より正確に制御することができます。
引出し線や吹出しのアンカー位置をフィーチャにスナップする場所を制御することができます。
ラベル調整ルールを適用する順番を選択することができます。
東アジア言語を縦書きで配置することができます。
Network Analyst




新しい配車ルート(VRP)解析には、配送経路を生成する機能が組み込まれています。
ネットワーク データセット属性の新しいエバリュエータとして、関数エバリュエータ、グローバル ターン遅延エバリュエータ
が追加されています。
ネットワーク ロケーションを検出する新しいクエリ ビルダが追加されています。
OD コスト マトリックス解析が 1 桁分高速になりました。
Publisher と ArcReader


ArcReader で作成されたインク マークアップを、編集データのガイドとして ArcMap にエクスポートおよびロードすることがで
きます。
ArcReader の [検索] ダイアログは標準的なアドレス ロケータ(ファイルベース、ジオデータベースに格納)に対応しています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 10
Schematics







新しい [リンクを展開] ルールが追加されています。リンク直角化レイアウト タスクが強化されました。
新しいラベル配置の最適化 アルゴリズムを使用して、より正確にスケマティック ラベルを配置することができます。
スケマティック ダイアグラムを作成、アップデート、変換するための新しいジオプロセシング ツールが追加されています。
新しい [関連ダイアグラムを検索] ツールを使用して、マップのフィーチャを選択し、そのフィーチャを含むダイアグラムを検
索することができます。
新しい XML Builder を使用して、XML からダイアグラムを作成できるようになり、他のシステムとの相互運用性が向上していま
す。
新しい地理模式図 - 部分重複リンク アルゴリズムおよび地理模式図 - 線形配置アルゴリズムが改良されています(9.2 SP3 で
追加)。
ArcMap ビューア ウィンドウで、スケマティックとジオグラフィを画面上で左右に並べて作業することができます(9.2 SP2 で
追加)。
Spatial Analyst






新しいゾーン ヒストグラムを使用して、他のデータセットのクラス内でデータセットの頻度や分布を調べることができます。
新しい [入力バリア設定を含むコンター(Contour with Barriers)] ツールには、これまでの [Contour(コンター)] ツールに比
べて多くの利点があります。(3D Analyst にも追加されています。)
新しいスナップ対象ラスタ環境が追加され、範囲パラメータが改善されています。
パフォーマンスが改善され、[コンバイン (Combine)] ツールは 40 倍(9.2 SP2)、[Fill] ツールは 45 倍高速になりました。
可視領域、IDW、コンバインの大量のデータの処理が改善されています。
コア ジオプロセシング環境のエラー メッセージ、ステータス レポートが改善され、空間解析作業が容易になりました。
Tracking Analyst




ArcGlobe が Tracking Analyst に対応しています。
新しい削除ルールで、リアルタイム データをジオデータベースに格納する方法を定義することができます。
Tracking Analyst API がダイナミック表示、リアルタイム統計情報に対応しています。
トラッキング サーバへのアクションはアクセス、編集、定義が可能です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 11
一 般
製品リソース センター
 9.3 では、各製品のリソース センターが導入されました。リソース センターは、特定の製品に関連するさまざまなオンライン リ
ソースをまとめて分かりやすく配置した Web サイトです。リソース センターには、製品のオンライン ヘルプ、ブログ、フォーラム、
サポート ページ、マップで使用できるオンライン データなどのリンクがあります。リソース センターの URL は以下のとおりです。
Gateway:
http://resources.esri.com
ArcGIS Desktop:
http://resources.esri.com/arcgisdesktop
ArcGIS Engine:
http://resources.esri.com/arcgisengine
ArcGIS Server:
http://resources.esri.com/arcgisserver
ArcGIS Mobile:
http://resources.esri.com/arcgismobile
ArcGIS Image Server:
http://resources.esri.com/arcgisimageserver
ArcGIS Explorer:
http://resources.esri.com/arcgisexplorer
ArcIMS:
http://resources.esri.com/arcims
Geodatabase:
http://resources.esri.com/geodatabase
また、製品内からリソース センターを起動することもできます。たとえば、ArcMap の [ヘルプ] プルダウン メニューには、ArcGIS
Desktop Resource Center を起動するためのコマンドが用意されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 12
Microsoft Windows Vista の完全サポート
 9.2 のサービス パック 4 から、ArcReader、ArcView、ArcEditor、ArcInfo Desktop、ArcGIS Desktop エクステンション、ArcInfo
Workstation、および ArcGIS Engine で Vista のサポートが追加されました。ArcGIS 9.3 では、サービス パック 4 でサポートされてい
なかった、ArcSDE、ArcGIS Image Server、ArcIMS、および ArcGIS Explorer を含む ArcGIS Server の残りの製品で Vista のサポートが
追加されました。
Vista のサポートに関する詳細については、ESRI ナレッジ ベースの記事 34020 をご参照ください。
http://support.esri.com/index.cfm?fa=knowledgebase.techArticles.articleShow&d=34020
 ArcGIS 9.3 License Manager は Windows Vista を完全にサポートしています(次のセクションをご参照ください)。
アップグレード版ライセンス マネージャ
 ArcGIS ライセンス マネージャは、Macrovision の FLEXlm v7.0d から Macrovision の FLEXnet Publisher v11.4 にアップグレード
されています。このアップグレード版ライセンス マネージャの特徴は以下のとおりです。
–
Microsoft Windows Vista をサポートします。
–
64 ビット版 Windows をサポートします。
–
ArcGIS 9.2 ライセンス マネージャが Windows のリモート デスクトップから正常に操作できない問題を解決しました。この環
境では、ハードウェア キーとハードウェア キー ドライブの通信が切断されることがありました。
–
ライセンス オプション ファイルの MAX オプションによって、適正な使用制限が可能となりました。これまでは、使用を n 人
のユーザに制限するには、MAX オプションを n+1 人に設定しなければならず、また、MAX オプションを 1 に設定した場合でも、
ユーザは ArcMap セッションを開くことができました。このリリースでは、
使用を n 人のユーザに制限する場合、オプション ファ
イルで n+1 を指定する代わりに、直接 n を指定できます。
今後は ArcGIS Desktop 9.3、ArcInfo Workstation 9.3 で既存のライセンス サーバを使用できなくなります。ArcGIS Desktop 9.2、ArcInfo
Workstation 9.2 に付属するライセンス マネージャは 9.2 以前の製品でのみ使用できます。ArcGIS 9.3 に付属するライセンス マネー
ジャは 9.3 以前の製品で使用できます。なお、既存のハードウェア キー、ライセンスファイルは継続して使用できます。
詳細については、『ArcGIS インストール ガイド』の「ライセンス マネージャのインストール」をご参照ください。
また、Desktop ヘルプの [ライセンスとデスクトップの管理]
→ [ ArcGIS 9.3 フローティング製品の ライセンス マネージャの設定] もご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Setting_up_license_managers_for_ArcGIS_93_concurrent_
use_products
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 13
64 ビット プロセッサのサポート
 ArcGIS では、ArcGIS 9.2 Service Pack 3 から、インテルおよび AMD の 64 ビット プロセッサ(Xeon64、AMD64 など)上での動
作保証をしています(注意:インテル Itanium プロセッサはサポートしていません)。ArcGIS 9.3 ではさらに動作テストを行いました。
ArcGIS 9.3 での 64 ビット プロセッサ サポートの詳細について以下に説明します。
ArcGIS Desktop (ArcInfo, ArcEditor, ArcView)
ArcGIS Desktop は 32 ビット アプリケーションです。
64 ビット Windows OS 上では、32 ビット アプリケーションとして動作し、
64 ビット環境におけるパフォーマンスにおけるメリットのいくつかを享受できます。
ArcReader
ArcReader は 32 ビット アプリケーションです。64 ビット Windows OS 上では、32 ビット アプリケーションとして動作します。
ArcGIS Server、ArcIMS
ArcGIS Server および ArcIMS は、32 ビットアプリケーションです。これらは、64 ビット Windows OS 上で 32 ビットアプリケー
ションとして動作します。
Web サーバ製品の 64 ビット対応については、
Web サーバ製品ベンダの 64 ビット Windows OS のサポー
トに基づきます。Web サーバ製品ベンダに Web サーバが 64 ビット Windows OS をサポートしているかご確認ください。ArcIMS
は、Windows に加えて Solaris、IBM AIX および Linux をサポートします。ArcIMS は Solaris 64 ビット環境をサポートしています
が、HP および Linux の 64 ビット環境についてはサポートしていません。
ArcGIS Engine
ArcGIS Engine は 32 ビットアプリケーションであり、
64 ビット Windows OS 上で 32 ビットアプリケーションとして動作します。
ArcSDE
ArcSDE は、Sun Solaris(Oracle)、HP HPUX(Oracle)、HP Itanium(Oracle)、IBM AIX(Oracle、DB2)などのプラットフォー
ムでは、64 ビットアプリケーションとして動作します。Windows 版の ArcSDE は 32 ビットアプリケーションであり、64 ビット
Windows OS 上で 32 ビットアプリケーションとして動作します。DBMS 製品の 64 ビット対応は、DBMS 製品ベンダの 64 ビット
Windows OS のサポートに基づきます。Linux 版の ArcSDE は、32 ビットアプリケーションです。
Red Hat Linux 版 ArcSDE for Oracle は、Linux OS と DBMS 双方が 32 ビットの場合のみ、64 ビット チップセットをサポートしま
す。
 ArcGIS 9.3 のライセンス マネージャは、64 ビット Windows 環境をサポートします。
ドキュメントの改善
 ArcGIS Desktop ヘルプのトピック全般が改善され、アニメーション チュートリアルや多くの新しいコンテンツが追加されました。
また、9.3 で Desktop ヘルプのインデックスが徹底的に見直され、より簡単にすばやく、主なトピックにアクセスできるようになりま
した。また、「概要」、
「リスト」
、「FAQ」などの新しいインデックス項目が追加され、ヘルプで特に役立つトピックにすばやくアクセ
スできるようになりました。
新しい ArcGIS Desktop Resource Center の Web Help リンクから、または Desktop アプリケーションで [ヘルプ] → [ArcGIS Desktop
ヘルプ] を選択し、表示されるウィンドウの上部にある [Web Help] ボタンをクリックして、Desktop Web Help を起動することがで
。
きます(http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3)
9.3 では、ArcGIS Desktop Resource Center(http://resources.esri.com/arcgisdesktop)から製品のオンライン ドキュメントなどの
リソースを参照することができます。Desktop アプリケーションの [ヘルプ] プルダウン メニュー、Windows の [スタート] メニュー
→ [ArcGIS] には、Desktop Web ヘルプのリンクの代わりに、Resource Center へのリンクがあります。また、Desktop アプリケーショ
ンの [ヘルプ] プルダウン メニューのコンテンツも簡素化されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 14
(Desktop アプリケーションから直接 Web ヘルプを起動するコマンドを、プルダウン メニューまたはツールバーから呼び出したい
場合は、従来と同様、[ツール] → [カスタマイズ] ダイアログ → [コマンド] タブ → [ヘルプ] から利用することができます。
)
 ArcGIS Server 9.2 のリリースでは、特に開発者向けの比較的基本的なドキュメントが提供されていました。9.3 では、ArcGIS Server
ドキュメントの改善が大きな優先事項でした。そのため、ArcGIS Server 9.2 のリリース以降、より多くの Web ベースのヘルプ コン
テンツをリリースしていくことを目標にしていました。9.3 では、Web ベースの ArcGIS Server ヘルプおよび SDK ドキュメントで多く
の 改 善 、 追 加 が 行 わ れ ま し た 。 詳 し く は 、 Server チ ー ム の ブ ロ グ も ご 参 照 く だ さ い 。 ArcGIS Server Resource Center
(http://resources.esri.com/arcgisserver)では、すべてのリソースに簡単にアクセスすることができます。
ArcGIS Desktop と Crystal Reports
9.3 から、最先端のレポート作成アプリケーションを提供している Business Objects の Crystal Reports™が ArcGIS Desktop から除外さ
れました。
ArcGIS Desktop 9.1、9.2 には Crystal Reports XI リリース 1 が含まれていました。ArcGIS Desktop 9.1 または 9.2 から 9.3 にアップグレー
ドする場合、9.3 でも引き続き Crystal Reports XI を使用することができます。ArcMap 9.3 で [ツール] → [レポート] → [Crystal
Reports ウィザード] を有効にするには、Crystal Reports XI リリース 2 ランタイムをインストールする必要があります。このインストー
ルは Desktop 9.3 リリース メディアに収録されており、ArcGIS Desktop Install DVD のメニューに、[ArcGIS Crystal Reports Wizard] と
いう名前の選択肢があります。なお、[Desktop Setup] をクリックしても、Crystal Reports をインストールするように指示されること
はありません。
(Crystal Reports XI ソフトウェアをリリース 2 にアップグレードした場合、Crystal Reports XI リリース 2 ランタイムを
インストールしなくても、Crystal Reports ウィザードを有効にすることができます。)
Business Objects から、Crystal Reports の新バージョンである Crystal Reports 2008 がリリースされています。Crystal Reports XI をお
持ちの場合、Business Objects から直接 Crystal Reports 2008 にアップグレードすることができます。アップグレード方法については、
Business Objects の Web サイトにある http://businessobjects.auc.com/ESRI2008/cd/index.html をご参照ください。Crystal Reports
2008 のテクニカル サポートは Business Objects から提供され、追加料金が必要な場合があります。
ArcGIS Desktop の新規ユーザで、Crystal Reports 2008 をご使用になる場合、上記の Web ページで Business Objects から直接のご購
入が可能です。ArcMap 9.3 で Crystal Reports ウィザードを有効にし、Crystal Reports 2008 と連携させるには、上記の Crystal Reports
XI リリース 2 ランタイムをインストールする必要があります。
Crystal Reports のどのバージョンもインストールされていない場合でも、上記の Crystal Reports XI リリース 2 ランタイムをインストー
ルすることにより、ArcMap 9.3 で Crystal Reports ウィザードを使用することができます。これにより、基本的な Crystal レポートの
作成、エクスポートおよび印刷が可能になり、.rpt ファイルとして保存された既存のレポートを開くこともできます。ただし、Crystal
Reports 完全版で使用可能な幅広いフォーマットやオーサリング機能を実行することはできません。
注意: ArcMap 9.3 には、[ツール] → [レポート] → [レポートの作成] コマンドでアクセス可能な、最新のシンプルなレポート機能
が引き続き組み込まれています。これらのシンプルなレポートは、PDF、RTF およびテキスト形式で保存、印刷することができます。
このシンプルなレポート機能には、Crystal Reports は不要です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 15
クラッシュの処理
 ESRI は ArcGIS の品質の向上に取り組んでいます。品質に関する最も重要な課題は、アプリケーションがクラッシュする状況をな
くすことです。クラッシュの中には、最新版のソフトウェア、特に新しいタイプのデータを正しく処理できない第三者製のエクステ
ンション、DLL によって引き起こされるものがあります。ESRI は、原因を特定し、問題を解決するため、できるだけすべてのクラッ
シュの報告を調査しています。この取り組みを促進するため、9.3 では、すべての Desktop アプリケーション(ArcReader を除く)に、
クラッシュに関する情報をエラー レポートに自動的に記録し、ESRI が問題を調査、対処できるようにするクラッシュ レポートのメ
カニズムが組み込まれています。クラッシュが発生した場合、エラー レポートを自動的に ESRI に送信する、以下の新しいダイアロ
グが表示されます。[Send Error Report] ボタンを押すだけで、レポートが ESRI に送信されます。(クラッシュ発生時にインターネッ
トに接続していなかった場合、エラー レポートをフォルダに保存し、手動で電子メールを送信するダイアログが表示されます。)し
かし、一度もこのダイアログが表示されないことが、ArcGIS 開発チームの目標であり、願いであることに変わりありません。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 16
互換性
ArcGIS Desktop のファイル
 ArcGIS 9.3 で前バージョンの既存の.mxd ドキュメント(ArcMap)、.3dd ドキュメント(ArcGlobe)、.sxd ドキュメント(ArcScene)
を開いて保存すると、9.2 以前の ArcGIS では開くことができなくなります。同様に、ArcGIS 9.3 で作成した新しい ArcMap、ArcGlobe、
ArcScene の各ドキュメントも 9.2 以前では開くことができません。
9.3 で作成および編集されたドキュメントのコピーを、8.3、9.0、9.1、9.2 で開けるように保存するには、[ファイル] → [コピーを保
存] コマンドを使用し、表示されたダイアログの [ファイルの種類] ドロップダウン リストから保存したいバージョンを選択してく
ださい。古いバージョンでドキュメントを保存すると、保存したバージョンにない機能は、ドキュメントから削除されます。
マップ ドキュメントの互換性に関する詳細については、Desktop ヘルプの [マッピングとビジュアライゼーション]
→ [ArcMap の使用] → [ArcGIS を旧バージョンで保存する] をご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Saving_to_previous_versions_of_ArcGIS
 9.3 でディスクに保存したレイヤ ファイル(.lyr)は、9.2 以前では開くことができません。9.3 を使用して、9.2 以前で開けるレイ
ヤ ファイルを作成するには、[テーブル オブ コンテンツ] でレイヤを右クリックし、ショートカット メニューから [レイヤ ファイ
ルとして保存] コマンドを選択し、表示されたダイアログの [ファイルの種類] ドロップダウン リストから保存したいバージョンを
選択してください。レイヤ ファイルを保存する ArcGIS のバージョンで使用できない機能がある場合、保存したレイヤ ファイルから
自動的に削除されます。
レイヤ ファイルの保存に関する詳細については、Desktop ヘルプの [マッピングとビジュアライゼーション]
→ [レイヤを操作する] → [レイヤをディスクに保存する] をご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Saving_a_layer_to_disk
 9.3 で ArcGIS Publisher エクステンションを使用してパブリッシュした ArcReader の.pmf ファイルは、9.2 以前の ArcReader では
開くことができません。
 9.3 でファイルベース ツールボックス(.tbx ファイル)を変更すると、9.0、9.1、9.2 では開くことができなくなります。ただし、
[ArcToolbox] ウィンドウで右クリックし、[名前を付けて保存] → [9.0/9.1 ツールボックス] または [名前を付けて保存] → [9.2 ツー
ルボックス] コマンドを選択することで、9.3 よりも前のバージョンで開くことができるファイルベース ツールボックスとしてツー
ルボックスを保存することができます。これらのコマンドで作成されたファイルベース ツールボックスの内容は自動的に変更される
ことはなく、保存したファイルのバージョンで使用できない機能は削除されません。そのため、ツールボックスに 9.3 で追加された機
能を含むモデルやスクリプトが含まれている場合、これらのモデルやスクリプトは 9.2 で開くことができますが、9.3 固有のステップ
を無視または削除するために、手動で変更する必要があります。ジオデータベースに格納されたツールボックスの互換性ルールにつ
いては、次のセクションに記載されているジオデータベースの互換性に関する情報をご参照ください。
ツールボックスの互換性に関する詳細については、Desktop ヘルプの [ジオプロセシング] → [ジオプロセシング ツールを使用
する] → [ツールボックスの管理] → [ツールボックスを旧バージョンで保存する] をご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Saving_toolboxes_to_earlier_versions
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 17
ジオデータベース
 9.2 以前のバージョンを使用して作成された既存のジオデータベースは、9.3 にアップグレードしなくても、9.3 で開いて使用し、
保存することができます。ジオデータベースを 9.3 にアップグレードする必要があるのは、9.3 で導入されたテレイン、ネットワーク
データセットに関連する以下の新しいジオデータベース機能を活用したい場合だけです(これらの機能強化については、後で説明し
ます)。
–
新しいウィンドウ サイズ ピラミッド形式を使用したテレインの作成
–
新しい グローバル ターン遅延 ネットワーク関数エバリュエータを使用する属性があるネットワーク データセットの作成
 ジオデータベースを ArcGIS 9.3 にアップグレードする場合は、[データベース プロパティ]の[一般] タブの [ジオデータベースの
アップグレード] ボタンを使用してください。
このアップグレードは、Enterprise ArcSDE ジオデータベース(ArcGIS Server Enterprise でライセンス供与されたデータベース)を除
くすべてのジオデータベースで有効です。Enterprise ArcSDE ジオデータベースをアップグレードする方法については、ArcSDE のイン
ストール ガイドをご参照ください。Enterprise ArcSDE ジオデータベースのアップグレードは、データベースの管理者のみが実行でき
ます。
ヒント: ArcCatalog の [ツール] → [カスタマイズ] ダイアログの [ジオデータベース ツール] カテゴリには、ArcCatalog のプルダ
ウン メニューやツールバーに追加可能な [ジオデータベースのアップグレード] コマンドが含まれています。このボタンは [ジオ
データベースのアップグレード] ボタンと同じですが、多くのジオデータベースをアップグレードする場合、効率的にアップグレード
を実行できます。アップグレードが必要なジオデータベースを ArcCatalog で選択すると、このコマンドが有効になります。
いったんジオデータベースをアップグレードすると、古いバージョンの ArcGIS からはアクセスできなくなります。例外として、ArcGIS
9.2 のサービス パック 5 では、9.3 のジオデータベースに接続できます。しかし、上述の ArcGIS 9.3 の新機能を含むテレイン、ネッ
トワーク データセットを開いたり、編集や作成したりすることはできません。
ArcGIS 9.2 のサービス パック 5 より前のバージョンから 9.3 のジオデータベースに接続するには、ダイレクト コネクション ドライ
バを別にインストールする必要があります。9.2 SP5 よりも前のバージョンを使用してジオデータベースに接続する必要がある場合は、
ジオデータベースをアップグレードしないでください。また、ArcGIS9.2 ダイレクト コネクション ドライバを ArcGIS 9.3 クライアン
トにインストールすることで、9.2 ジオデータベースにアクセスし、編集することが可能ですが、ArcGIS 9.3 では、新しいウィンドウ
サイズ ピラミッド オプションを使用してテレインを 9.2 ジオデータベースで作成したり、新しいグローバル ターン遅延エバリュ
エータを使用するネットワーク データセットを 9.2 ジオデータベースで作成したりすることはできません。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 18
注意: 9.3 より前のジオデータベース ダイレクト コネクション ドライバをインストールしていない場合、接続する前に ArcSDE for
SQL Server Express(例:ArcSDE Personal/Workgroup)をアップグレードする必要があります。
 Windows での ArcSDE のデフォルトのインストール場所は ArcGIS\ArcSDE から Program Files\ArcGIS\ArcSDE に変更されています。
この変更は、SDEHOME へのパスを含むスクリプト、バッチ ファイルを使用してジオデータベースをアップグレードする場合、特に
重要です。
 ArcGIS 9.3 では、ダイレクト コネクションの互換性が強化されています。詳しくは、このドキュメントの次の章(「データ管理」)
のセクション、および以下の 2 つのヘルプ トピックをご参照ください。
ジオデータベースの互換性に関する詳細については、Desktop ヘルプの [ジオデータベースと ArcSDE]
→ [ジオデータベースの概要] → [クライアントとジオデータベースの互換性] をご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Client_and_geodatabase_compatibility
ArcSDE ジオデータベースへの接続の互換性に関する詳細については、Desktop ヘルプの [ジオデータベースと ArcSDE] →
[ArcSDE ジオデータベースの管理] → [ArcSDE ジオデータベースへの接続] → [クライアントとジオデータベース間の互換性] をご
参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Compatibility_between_clients_and_geodatabases
ArcGIS Server の Web サービスとアプリケーション
ArcGIS Server 9.2 から 9.3 への移行に関する詳細については、ArcGIS Server ヘルプの [Introducing ArcGIS Server] → [Moving to
ArcGIS Server 9.3] をご参照ください。http://webhelp.esri.com/arcgisserver/9.3/dotNet/moving_to_93.htm
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 19
データ管理
Enterprise ArcSDE の改良点
Enterprise ArcSDE の PostgreSQL のサポート
 Enterprise ArcSDE がオープンソースの DBMS である PostgreSQL 8.3 に対応しました。これにより、オープン ソースのデータベー
ス システムに空間情報を格納して管理することができます。ArcGIS Server Enterprise for PostgreSQL のインストールには、ArcSDE 9.3
コンポーネントとともに PostgreSQL のインストール ファイルが含まれます。
 PostgreSQL の ArcSDE ジオデータベースは、デフォルトのベクタ データに ST_Geometry ESRI 空間タイプを使用します。もしく
は PostGIS 1.3.2 をインストールし GEOMETRY_STORAGE DBTUNE パラメータを変更することで、PostGIS 格納タイプを使用すること
ができます。
 ArcSDE for PostgreSQL ジオデータベースは、他の Enterprise ArcSDE ジオデータベースと同じ機能を提供します。
Enterprise ArcSDE の DB2 z/OS のサポート
 9.3 では、IBM® Z シリーズ メインフレーム OS 対応 DB2®(DB2 for z/OS®)で ArcSDE ジオデータベースを作成することができま
す。DB2 for z/OS は Windows、UNIX、Linux の DB2 よりもセキュリティや可用性の面で優れているため、銀行、保険および証券業界
でよく使用されています。2007 年 3 月にリリースされた DB2 z/OS バージョン 9 は、
初めて空間データに対応した DB2 for z/OS のバー
ジョンです。
z/OS プラットフォームの DB2 データベースで ArcSDE ジオデータベースを作成できるようになったことで、DB2 のユーザは、アプリ
ケーションに空間コンポーネントを追加し、ArcGIS ソフトウェアの豊富な機能を活用できます。このリリースは、データベースへの
ダイレクト コネクションには対応していますが、ArcSDE サービスへの接続には未対応です。DB2 for z/OS は、現時点では Net Search
Extender の使用には対応していないため、ArcSDE XML 列の作成には未対応です。また、索引の更新などのデータベースの管理タス
クは、DB2 で提供されるツールを使用して行う必要があります。
Informix のサポートの強化
 Informix Dynamic Server で利用可能なテキスト検索である DataBlade モジュール製品を使用して、ArcSDE XML 列を作成すること
ができます。対象製品には、Informix バージョン 10 以降の Excalibur Text Search(ETX)DataBlade モジュール、Informix バージョン
11 で利用可能な Basic Text Search(BTS)DataBlade モジュールがあります。
ArcSDE XML 列を作成できるようになったことで、ユーザは XML 列のコンテンツでフルテキスト検索が実行可能になり、ArcSDE for
Informix のユーザは ArcIMS メタデータ サービス、ArcGIS Portal Toolkit を活用することができます。
 ラスタ ストレージの改良—新しい DBTUNE コンフィグレーション パラメータを使用して、ラスタ ブロック データを格納する
BLOBspace を指定することができます。このパラメータは DEFAULTS コンフィグレーション キーワード下で設定可能で、すべてのラ
スタ ブロック データの格納場所を指定することができます。また、このパラメータを含むオリジナルのコンフィグレーション キー
ワードを作成し、ラスタ データセットを作成する際に指定することも可能です。たとえば、以下のようにパラメータを設定して、
rasterblobspace という名前のラスタ データを BLOBspace に格納することができます。
BLK_LOB_STORAGE "IN rasterblobspace"
これにより、1 テーブル 16,775,134 データ ページという Informix DBspace のスペースの上限に達するのを防ぐことができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 20
 SQL API を使用したマルチバージョン ビューによるバージョン対応データの編集—9.2 以前の ArcGIS では、ArcSDE for Informix
のユーザは、バージョン対応データを読み取るマルチバージョン ビューを作成できましたが、これらのビューから SQL を使用して
データを編集することはできませんでした。9.3 では、必要なデータベース トリガが実装され、マルチバージョン ビューからバージョ
ン対応データを編集できるようになりました。
Oracle のサポートの強化
 9.2 のサービス パック 1 以降、Oracle の空間タイプとして ST_Transform 関数が実装されています。ST_Transform により、空間
参照 ID を指定して、ST_Geometry 型のレイヤの空間参照を変更することができます。
 その他、9.3 で新たに対応した関数には、ST_PointFromWKB、ST_LineFromWKB、ST_PolyFromWKB、ST_MPointFromWKB、
ST_MLineFromWKB、ST_MPolyFromWKB があります。これらの関数により、Well-Known Binary(WKB)表現から、ポイント、ライン
ストリング、ポリゴン、マルチポイント、マルチラインストリングおよびマルチポリゴンを作成することができます。
 ArcSDE9.3 が使用可能な DBMS として新たに Oracle 11g がサポートされています。
 Oracle 対応の ArcSDE コンポーネントの新規インストールでは、デフォルトのベクタ データ格納タイプとして ST_Geometry が使
用されます。
 現行ユーザが既存のデータセットのジオメトリの格納タイプを ST_Geometry タイプに移行できるようにするため、migrate とい
う新しいオペレーションが sdelayer コマンドに追加されました。ユーザは ST_GEOMETRY コンフィグレーション キーワードと一緒
にこのコマンドを指定して、LONG RAW(SDEBINARY)、SDO_GEOMETRY、BLOB(SDELOB)タイプから ST_GEOMETRY タイプにフィー
チャクラスを変換することができます。
sdelayer -o migrate -l divisions,shape -k ST_GEOMETRY
 sdetable コマンドに追加された migrate オペレーションを使用して、ユーザは Oracle の LONG RAW 型の列を BLOB 型に移行でき
ます。コマンドに指定するコンフィギュレーションキーワードは、ATTRIBUTE_BINARY パラメータが BLOB に設定されている必要が
あります。
sdetable -o migrate -t distribution -k DEFAULTS
 sdelayer、sdetable コマンドの使用に関する詳細については、ArcGIS Server Enterprise エディションの ArcSDE コンポーネントと
一緒に提供される『ArcGIS Server 9.3: ArcSDE コマンドリファレンス』をご参照ください。
さらに、[データ格納タイプの移行(Migrate Storage)]という新しいジオプロセシング ツールが [データ管理] ツールボックスの [デー
タベース] ツールセットに追加され、上述したデータ タイプに LONG RAW 列を移行することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 21
 detele オペレーションが sdesetup コマンドに追加され、SDE 以外のユーザのスキーマで作成されたジオデータベースの削除が可
能になりました。delete オペレーションを使った sdesetup コマンドの構文は以下のとおりです。
sdesetup -o delete -d {ORACLE9I|ORACLE10G|ORACLE11G} [-H <sde ホームディレクトリ>][-u
<ArcSDE 管理者ユーザ>] [-p <ArcSDE 管理者パスワード>] [-i
<マスタ ジオデータベース サービス>:<ユーザ スキーマ>] [-N] [-q]
このオペレーションの実行には、以下のルールが適用されます。
–
ジオデータベースを削除する際、マスタ SDE ジオデータベース、ユーザ スキーマ ジオデータベースを含むすべてのジオデータ
ベースからすべてのユーザが切断している必要があります。
–
データが存在するジオデータベースを削除することはできません。そのため、ジオデータベースを削除する前に、ArcSDE に登
録されているデータ(TABLE_REGISTRY システム テーブルおよび関連するシステム テーブルに項目を持つデータ)をすべて削
除する必要があります。これには、他のユーザが削除されるジオデータベースに登録しているデータも含まれます。たとえば、
SDE ユーザが、yuge というユーザが所有するジオデータベースに登録されたテーブルを所有していた場合、sde ユーザはこの
テーブルを削除するか、yuge が所有するジオデータベースからこのテーブルの登録を抹消する必要があります。
 データベース イベント トリガが ArcSDE for Oracle ジオデータベースに追加され、ユーザが ST_Geometry 列を含むテーブルに対
して SQL の DROP、
ALTER、RENAME ステートメントを実行すると、ST_GEOMETRY_COLUMNS、ST_GEOMETRY_INDEX メタデータ テー
ブルがクリーンアップされるようになりました。これらのトリガを作成するには、Oracle 対応の ArcSDE ジオデータベースの作成、
アップグレード時に ArcSDE の管理者ユーザ(SDE)に ADMINISTER DATABASE TRIGGER 権限が付与されている必要があります。この
権限が SDE ユーザに付与されていない場合、ジオデータベースのセットアップ、アップグレードは失敗します。この権限はインストー
ルやアップグレード実行後に取り消すことができます。
 ArcSDE 9.3 for Oracle の新規インストールでは、ジオデータベースに対して実行される SQL 関数、演算子は「sde」で修飾されて
いる必要があります。以下の例では、SQL を使用してテーブルが作成され、レコードがテーブルに挿入されます。各ステートメント
の関数の前に sde が付いていることにご注意ください。
CREATE TABLE mytable (id integer, shape sde.st_geometry)
INSERT INTO mytable VALUES (1, sde.st_linefromtext(‘linestring (10 15, 20 22, 30 36)’, 2));
Microsoft SQL Server のサポートの強化
 ArcGIS 9.3 は Microsoft SQL Server 2008 の 2 つの新しい空間タイプをサポートします。新しい空間タイプについては、
http://www.microsoft.com/sqlserver/2008/en/us/spatial-data.aspx をご参照ください。
SQL Server 2008 で実装されるジオデータベースは、Geography または Geometry のいずれかの空間タイプのベクタ ジオメトリを格
納することができます。これにより、SQL Server で空間データの SQL クエリ、オペレーションが実行可能になります。このサポート
に関する詳細については、http://www.esri.com/software/arcgis/geodatabase/about/sqlserver2008.html をご参照ください。
ArcSDE 管理コマンドの変更
 ArcSDE ジオデータベースでは複数の空間タイプがサポートされているため、9.3 より sdelayer コマンドを使用して ArcSDE で空間
テーブルを登録する場合、ジオメトリ列のデータ タイプを指定する必要があります。以下の例では、PostgreSQL データベース(mydb)
で SQL を使用して作成された ST_Geometry 列(ジオメトリ)を持つ空間テーブル(サイト)が ArcSDE でフィーチャクラスとして登
録されています。
sdelayer -o register -l sites,geometry -e p+ -R 12 -C id,SDE -t ST_GEOMETRY -i 2100
-D mydb -u erna -p my.pw
9.3 より前のバージョンで作成された sdelayer –o register を含むスクリプト、バッチ ファイルを必ず更新して、-t オプションを追加
してください。
 sdesetup コマンドには、Oracle 11g データベースを使用してインストールやアップグレードを行うためのオプションが追加され
ています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 22
sdesetup -o install -d ORACLE11G -u sde
 shp2sde、tbl2sde、および sde2tbl コマンドは、Oracle や SQL Server の ArcSDE ジオデータベースに NSTRING データをインポー
トする属性定義ファイルを使用することができます。使用するファイルは-a オプションを使用して指定します。この例では、
road_def.txt という名前の属性定義ファイルを使用して、roads という名称のシェープファイルから SDE フィーチャクラスが作成され
ます。
shp2sde -o create -l roads,geom. -f c:¥shapefiles¥roads.shp -a
file=c:¥data¥road_def.txt -i 4000 -u Roberto
 Oracle のサポートの強化のセクションで述べたとおり、Oracle データベースにおいてジオメトリタイプを移行する新しいオペレー
ションが sdetable および sdelayer に追加されました。また、ユーザ スキーマからジオデータベースを削除する新しいオペレーショ
ンが sdesetup に追加されました。
ArcSDE 管理コマンドに関する詳細については、ArcGIS Server Enterprise の ArcSDE コンポーネントと一緒にインストールされる ArcGIS
Server 9.3: ArcSDE コマンド リファレンスをご参照ください。
ArcSDE for Microsoft® SQL Server® Express
用語の変更
9.2 以降のユーザからのフィードバックにより、9.2 で使われている、ArcCatalog の ArcSDE データベース サーバ フォルダから作成、
管理されるジオデータベースを表す用語(ArcSDE Personal および ArcSDE Workgroup)が、9.3 では、よりわかりやすいように、ArcSDE
for SQL Server Express という名前に変更されました。この名前は、9.2 以前の ArcSDE Enterprise ジオデータベースで使用されていた
命名規則に従っています。たとえば、DB2 を使用して作成されるジオデータベースは、ArcSDE for DB2 という名前になります。同様
に、ArcGIS クライアント アプリケーションに含まれている SQL Server Express を使用してジオデータベースを作成する ArcSDE テク
ノロジは ArcSDE for SQL Server Express という名前になります。
ArcGIS 9.3 では、ArcEditor、ArcInfo ライセンス レベルの ArcGIS Desktop、ArcGIS Engine、または ArcGIS Server Workgroup のいず
れかを購入すると、Microsoft SQL Server Express Edition が付属されています。このエディションの SQL Server をインストールし、
ArcSDE for SQL Server Express のポストインストールセットアップを実行することで、
ArcSDEfor SQL Server Express のジオデータベー
スを使用することができます。購入した製品(ArcGIS Desktop、ArcGIS Engine、または ArcGIS Server Workgroup)と一緒に提供され
るライセンス契約書には、SQL Server Express のインスタンスで作成されたジオデータベースの接続および格納に関する制限事項が記
載されています。
したがって、ドキュメントを読む場合は、ArcSDE Personal や ArcSDE Workgroup が ArcSDE for SQL Server Express という用語に変更
されたことに注意してください。ただし 9.3 でも、
「ArcSDE デ―タベース サーバ」という用語は、ArcCatalog の接続ノードの名前で
あり、SQL Server Express のインスタンスを指して使われています。
Microsoft SQL Server Express with Advanced Services
 ArcEditor、ArcInfo、ArcGIS Engine、および ArcGIS Server Workgroup 9.3 には、Microsoft® SQL Server Express 2005 with Advanced
Services SP2 が付属されています。9.3 より前のバージョンの ArcSDE データベース サーバのユーザは、SQL Server Express のインス
タンスをアップグレードすることができます。SQL Server Express with Advanced Services には、フルテキスト検索コンポーネントが
含まれています。これにより、ユーザは、ArcSDE データベース サーバに ArcIMS メタデータ サービスで使用可能なジオデータベー
スを新規作成することができます。ArcGIS 9.2 に付属されていた SQL Server Express には、フルテキスト検索コンポーネントが含まれ
ていなかったため、ArcIMS メタデータ サービスを使用することはできませんでした。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 23
Engine Developer Kit に付属する ArcSDE for SQL Server Express
 上述のとおり、9.3 の ArcGIS Engine Developer Kit には、SQL Server Express が付属しており、
ArcGIS Engine の開発者は、SQL Server
Express に格納されたジオデータベースをデータ ソースとして使用することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 24
ダイレクト コネクションの互換性の強化
 ArcGIS 9.3 以降、ArcGIS、ArcIMS 9.3 クライアントから 9.3、9.2、9.1、9.0 の ArcSDE ジオデータベースへのダイレクト コネクショ
ンが可能になりました。これにより、ユーザは、クライアントのアップグレード時にジオデータベースを同時にアップグレードしな
くても、ジオデータベースへのダイレクト コネクションを利用することができます。異なるバージョンのジオデータベースへのダイ
レクト コネクションを利用するには、ArcGIS 9.3 クライアント ソフトウェアに、別途 9.3 より前のバージョンに対応する GDB ダイ
レクト コネクションドライバをインストールする必要があります。また、接続先の AcrSDE 9.0/9.1 ジオデータベースに最新のサービ
ス パックおよびパッチが適用済みである必要があります。ArcSDE 9.2 ジオデータベースではすべてのサービス パックレベルにおい
て ArcGIS 9.3 クライアントからのダイレクト コネクションがサポートされます。注意:異なるバージョンのクライアントとジオデー
タベース間でのダイレクト コネクションは、ダイレクト コネクションに必要なクライアント SDK の違いから、ArcSDE for Informix
には適用されません。
ArcSDE サービス(アプリケーション サーバ)接続を使用して、新しいクライアントから下位バージョンの ArcSDE ジオデータベース
に接続した場合と同様に、9.3 クライアントから下位バージョンの ArcSDE ジオデータベースにダイレクト コネクションを実行した場
合は、利用可能な機能は接続先のジオデータベースの機能に制限されます。たとえば、ST_Geometry タイプは ArcSDE 9.2 から実装さ
れたため、ArcGIS 9.3 クライアントから Oracle の ArcSDE 9.1 ジオデータベースに接続し、ST_Geometry タイプを使用してフィーチャ
クラスを作成することはできません。
また、ESRI のサポート サイトには、ダイレクト コネクションまたはアプリケーション サーバ接続のいずれかにより、ArcGIS 9.2 SP5
(もしくは SP5 移行の最新のサービスパック)クライアントから ArcSDE 9.3 ジオデータベースに接続するためのファイルが公開され
ています。ArcGIS 9.2 SP5 クライアントから ArcSDE 9.3 ジオデータベースに接続する場合、9.3 で新規に実装された機能は利用できま
せん。たとえば、ArcGIS 9.2 SP5 クライアントから PostgreSQL の ArcSDE 9.3 ジオデータベースに接続することはできません。また、
3D Analyst for ArcGIS 9.3 で利用可能なテレインの新しい Windows Size ピラミッド タイプを使用したり、Network Analyst for ArcGIS
9.3 で利用可能な Global Turn Delay エバリュエータや Network Function エバリュエータを使用するネットワーク データセットを作
成したりすることはできません。
以下の表は、どのバージョンのクライアント ソフトウェアがどのバージョンの ArcSDE ジオデータベースにダイレクト コネクション
により接続可能かを示しています。
クライアントの
バージョン
ジオデータベースのバージョン
対応
非対応
9.2 SP5(もしくは SP5 以降の最新のサービスパック)クライアントのみ
Oracle8i データベースのサポートは現在 Oracle から提供されていないため、9.3 クライアントから Oracle8i に格納されている ArcSDE
9.1、9.0 ジオデータベースへの接続はサポートされていません。
ジオデータベースの互換性に関する詳細については、Desktop ヘルプの以下の 2 つのトピックをご参照ください。
[ジオデータベースと ArcSDE]→[ジオデータベースの概要] → [クライアントとジオデータベースの互換性]:
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Client_and_geodatabase_compatibility
[ジオデータベースと ArcSDE] → [ArcSDE ジオデータベースを管理する] → [ArcSDE ジオデータベースへの接続] → [クライア
ントとジオデータベース間の互換性]:
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Compatibility_between_clients_and_geodatabases
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 25
バージョニング
新しい [変更オブジェクト] ビューア
競合や変更の検出管理の強化に対する多くの要望に応えて、リコンサイルを行ったり、編集セッションを開始せずに、バージョンと
上位バージョンまたは他のバージョン間の変更を確認できるようにしました。これに伴い、 [変更オブジェクト] という名前の新しい
ボタンが [バージョニング] ツールバーに追加され、[変更オブジェクト] ビューアを開くことができるようになりました。
[変更オブジェクト] ビューアを開くと、変更を比較する他のバージョンを選択することができます。[変更オブジェクト] ビューア(以
下の図を参照)には、比較元のバージョンと選択したバージョンが最後に同一だった時点以降の、バージョンに対して行われたすべ
ての追加、更新、および削除が一覧表示されます。ビューアでは、対話型の [競合] ダイアログ ボックスと同じようにこれらの変更
を確認して比較することができます。[変更オブジェクト] ビューアを開く際、編集セッションを開始する必要はありません。また、
バージョンをリコンサイルする前に変更を確認することもできます。
また、バージョンをリコンサイルする前に変更を確認することもできます。
[変更オブジェクト] ビューアには、フィーチャクラスごとに追加、更新、
削除の変更総数が一覧表示されます。
ObjectID をクリック
すると、変更が表示さ
れます。
バージョンに対して行われた変更は太字で表
示されます。
このドロップダウン リストを使用して、2 つ
のバージョンまたは共通の上位バージョン
のいずれかに表示を切り替えることができ
ます。
これらのツールを使用して、表示ウィン
ドウ内でフィーチャを操作し、個別属性
を表示することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 26
新しい競合解決オプション
 [競合] ダイアログの新しいオプションを使用して、2 人の編集者が同じフィーチャを編集していた場合、個々のバージョンのジオ
メトリをマージすることができます。ジオメトリをマージするオプションは、シェープ フィールドに関連する競合が存在する場合に
利用可能です。以下の図のように、2 人の編集者がともに同じフィーチャのジオメトリを編集しているが、編集しているフィーチャの
エリアが同じでない場合、ジオメトリをマージし、両方の編集を適用することで、競合を解決することができます。これにより、特
に水域、海岸線といった大きいポリゴンやポリライン フィーチャの競合の管理、あるいは管理境界を超えて編集している場合の競合
の管理が向上します。
1 人の編集者がこのセクションをセ
カンダリ ラインに追加します。
2 番目の編集者がセカンダリ ラインを
このジャンクションにつなぎます。
ジオメトリをマージするため、シェー
プ フィールドを右クリックします。
次に、ショートカット メニューから [ジオ
メトリのマージ] を選択します。
これにより、2 人の編集者により行わ
れた編集を含むフィーチャが作成さ
れます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 27
レプリケーション
 9.3 では、一方向ジオデータベース レプリケーション モデルが拡張され、ファイル ジオデータベースとパーソナル ジオデータ
ベースが追加されました。一方向レプリカを作成する際、関連先を ArcSDE ジオデータベース、ファイル ジオデータベース、または
パーソナル ジオデータベースのいずれかにすることができます。
これにより、作成から公開までのシナリオや野外でモバイル ユーザが使用するシナリオなど、さまざまな一方向レプリケーションの
実装を活用することができます。子レプリカのバージョンを管理したり、SDE テクノロジを組み込んだりする必要がないため、この
モデルにはより幅広いシナリオが適用可能です。
ジオデータベース リソース センター
 9.3 では、ジオデータベース ユーザのための新しいリソース センターも導入されました。
http://resources.esri.com/geodatabase には、ESRI のさまざまな有用なリソースがまとめられています。
編集
編集ツールの強化
ショートカット
 [エディタ] ツールバーのツール パレット上にあるすべてのスケッチ作成ツールのショートカット メニューに [フィーチャにス
ナップ]、[絶対 XY]、[相対 XY]、[方向/長さ] コマンドが追加されました。この機能強化により、[スケッチ] ツールに切り替えなくて
も、これらのコマンドを使用してスケッチにポイントを配置できるようになりました。また、これらのコマンドを呼び出すためのキー
ボード ショートカットもすべてのスケッチ作成ツールに追加されています。
[円弧] ツールや[正接円弧] ツールを使用して、円弧を作図する際の固定半径の値を入力することができます。R キーを押して半径の
値を設定し、次に Tab キーを押して円弧の描画を完成させます。
編集ツールや[属性] ダイアログ ボックスからショートカット メニューを使用して、選択フィーチャに画面移動することができます。
また、編集ツールで選択フィーチャを右クリックし、[個別属性表示] をクリックして、選択フィーチャの個別属性を表示することも
できます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 28
クリップ
 [エディタ] メニューの [クリップ] コマンドを使用して、選択フィーチャに接しているポリゴン フィーチャや選択フィーチャの
バッファ距離内にあるポリゴン フィーチャをクリップできるようになりました。このコマンドの機能強化により、CAD フィーチャを
含むあらゆる選択フィーチャを使用して、ポリゴンをクリップすることができます。9.2 以前では、選択フィーチャが編集可能で、ク
リップされるフィーチャと同じワークスペースになければなりませんでした。
単位のサポート
 距離単位の略語を入力して、マップ単位と異なる単位を指定できる機能が編集ツールに追加されました。たとえば、マップ単位が
メートルで、測定値をフィートで入力したい場合、値の後ろに ft とタイプするだけです(たとえば、10 フィートと入力する場合、10ft
とタイプします)。多くのツールやコマンドで距離単位の略語の入力がすでに可能となっていますが、以下の場合にも距離単位の略語
を使用することができます。
–
[編集オプション] ダイアログ ボックス → [一般] タブでのスナップ、ストリーム許容値の設定
–
[高度な編集] ツールバーの [円] ツールを使った半径の値の入力(R キーを押して半径を入力します)
–
[高度な編集] ツールバーの [スムージング]、[ジェネラライズ] コマンドのオフセット値の設定
度(10 進)、度分秒、度分(10 進)のサポート
 絶対 XY または相対 XY を使用して頂点やポイントを配置したり、フィーチャ、頂点、またはトポロジ エレメントを正確な XY 位
置に移動するなどの編集中に、度(10 進)、度分秒、または度分(10 進)を使用して、XY 座標を指定できるようになりました。
(9.2
以前の ArcGIS では、度分秒、度分(10 進)での入力はサポートされておらず、マップ単位として度(10 進)が設定されている投影
法を使用する場合のみ、度(10 進)で値を入力できました。)
編集時に入力される他の測定値と同様、XY 座標はデフォルトのマップ単位で指定されます。データ フレームが WGS 1984 などの地
理座標系を使用している場合、一般的にはマップ単位は度(10 進)になります。この場合、XY 座標に度(10 進)
、度分秒、または度
分(10 進)をタイプするだけで、座標を入力することができます。しかし、データ フレームが投影座標系を使用している場合にこの
形式で座標を入力するには、単位の略語として dd(度(10 進)
)、dms(度分秒)、または ddm(度分(10 進))のいずれかを一緒に
タイプする必要があります。投影座標系のマップ単位はキロメートル、フィートのような距離単位であるため、略語の入力が必要で
す。たとえば、マップ単位がキロメートルで、45dd の XY 座標を入力する場合、dd の略語を入力することで、ArcMap はこの測定値
が、マップ単位のキロメートルではなく、度であることを判断します。
略語の入力は X、Y のどちらの座標ボックスでも行えますが、値の後ろに入力する必要があります。[スケッチ] ツールのショートカッ
ト メニューにある [絶対 XY] コマンドで dd という略語を入力したときの例は以下のとおりです。
これらのダイアログ ボックスは、[ツール] ツールバーの [XY へ移動] コマンドで有効なすべての経緯度座標の形式をサポートしてい
ます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 29
ストリーム モードでのデジタイズ
 ストリーム モード(ストリーミング)中にスケッチを作成する場合、マップをクリックするだけで、ストリーミングを一時停止
することができます。これにより、ストリーム モードを終了しなくても、ボタン、メニューなどのユーザ インタフェース エレメン
トをクリックすることができます。つまり、右クリックで [スケッチ] ツールのショートカット メニューにアクセスし、メニューの
[絶対 XY]、[相対 XY]または メニュー上の他のコマンドを使用して、頂点を配置することが可能です。マップをもう一度クリックする
と、ストリーミングが開始されます。
フィードバック
 [エディタ] ツールバーの [スプリット] ツールにフィードバックが追加され、ラインを分割する場所がわかるようになりました。
ライン付近にポインタを移動すると、そのラインが分割される場所にマーカーが表示されます(以下の図の黒い部分)。さらに、ポイ
ンタがスナップ許容値の範囲内になければ、分割が実行されないようになりました。9.2 以前では、[スプリット] ツールがアクティブ
のときは、画面のどこをクリックしてもフィーチャを分割することができたため、適切でない部分でフィーチャが分割されることが
ありました。スナップ許容値は [編集オプション] ダイアログ ボックスの [一般] タブで定義します。
 [高度な編集] ツールバーの [フィレット] ツールで画面のフィードバックが改善され、簡単にフィレット ラインを表示および作
成できるようになりました。[フィレット] ツールを使用して、2 つのライン フィーチャに正接する円弧を作成することができます。
以下の図の黒い線は、緑の線の間に作成された新しいフィレット円弧です。
ArcGIS 9.2:
ArcGIS 9.3:
 [スケッチ] ツールを使用して編集スケッチを作成すると、フィーチャのタイプによって、スケッチの線分長、全長、方向、周長、
および面積が(そのフィーチャ タイプによって)、ArcMap ウィンドウの下にあるステータス バーにマップ単位で表示されます。単
位の略語も一緒に表示されるため、値の単位が一目でわかります。ポリゴンのスケッチを作成する場合、パフォーマンスを維持する
ために面積は自動的に計算されず、面積を確認するには A キーを押し続ける必要があります。9.3 では、[高度な編集] ツールバーの [円]、
[四角形] ツールを使用してフィーチャを作成する場合、同様の情報がステータス バーに表示されるようになりました。
 [スナップ環境] ウィンドウで行をクリックすると、レイヤの名前だけでなく、行全体がハイライトされます。
ArcGIS 9.2:
ArcGIS 9.3:
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 30
 レイアウト ビューでは、V キーを押してフィーチャの頂点を表示したり、フィーチャを選択または移動したりする際に画面に表
示されるフィードバックが、適切なサイズで表示されるようになりました。9.2 以前では、基準縮尺が設定され、レイアウト ページ
をズームしているときなど、場合によっては、頂点やフィードバック ラインが大きすぎて、正しく画面に表示されないことがありま
した。
トポロジ
 [エラー インスペクタ] ダイアログ ボックスに新しいキーボード ショートカットが追加されました。キーボードで、エラー リス
トを操作し、ショートカット メニューのコマンドにアクセスすることができます。新しいショートカットは以下のとおりです。
上下方向キー:行を上下に移動します。
Z キー、スペースバー:選択したエラーを拡大表示します。
P キー:選択したエラーに画面移動します。
F キー:エラーの原因となった親フィーチャを選択します。
D キー:トポロジ ルールの説明を表示します。
X キー:エラーを例外としてマークします。
E キー:例外をエラーとしてマークします。
 [トポロジ エラー修正ツール] のスプリットを実行する際、フィーチャクラスに設定されたスプリット ポリシーが考慮され、ポリ
シーに従って属性が割り当てられます。
 Ctrl キーを押したまま、[共有フィーチャを表示] ダイアログ ボックスにあるチェック ボックスをクリックして、すべてのボック
スをチェックしたり、チェックを外したりすることができます。
 [トポロジ編集] ツールがアクティブな状態でフィーチャを選択し、V キーを押すと、選択フィーチャの頂点が表示されます。頂点
が見られることで、トポロジの編集中に、より効果的にスナップを使用することができます。さらに、トポロジ ツールで使用される
検索許容値が向上したため、より簡単にトポロジ エレメントやエラーを選択することができます。
 [トポロジ編集] ツールを使用している場合、選択されたトポロジ エレメントの数がステータス バーに表示されます。縮小表示で、
選択された複数のトポロジ エレメントが 1 つのエレメントのように表示される場合に特に便利です。
Z 値を持つフィーチャの編集
ArcMap でフィーチャを編集するときに、Z 値をより論理的に維持し割り当てることができます。たとえば、ラインを延長すると、新
しい頂点の Z 値が補正されるようになります。9.2 以前の ArcGIS では、Z 値はデフォルトで 0 に割り当てられていました。
編集時の ArcMap による Z 値の割り当て方法に関する詳細については、ArcGIS Desktop ヘルプの [データ編集] → [編集の概要] →
[Z 値を持つフィーチャの編集] をご参照ください。
従来にない Z 編集機能の強化以外に、開発者は ArcMap で Z 値を割り当てたり、操作したりする追加的な方法で Z 値の編集を可能に
します。これにより、TIN、テレインなどの標高サーフェスから直接 Z 値をキャプチャできます。この機能を利用するには、カスタム
コードを作成するか、ArcGIS Desktop SDK から開発者用サンプルをインストールする必要があります。
詳細については、ESRI Developer Network のドキュメント『How to work with z-values in the editor』をご参照ください。
http://edndoc.esri.com/arcobjects/9.3/NET/be988544-4964-4b55-9586-b7d499c6ed10.htm
このドキュメントの作成時、EDN のコンテンツは改訂中でした。上記のリンクからアクセスできない場合は、ArcGIS Desktop Resource
Center(http://resources.esri.com/arcgisdesktop)の [For Developers] タブをご参照ください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 31
テーブル、結合、リレート
テーブルを結合する際のフィールド プロパティの処理の向上
 テーブルを結合する際に、フィールド プロパティ(フィールド エイリアス、フィールドの表示/非表示、数字の形式)が引き継
がれます。また、結合を解除した場合でも、これらのフィールド プロパティは維持されます。9.2 以前では、結合を作成または解除
すると、レイヤやテーブルに設定されているフィールド プロパティが失われていました。
 また、結合を含むレイヤやテーブルでフィルタ設定を定義しても、フィールド プロパティ(フィールド エイリアス、フィールド
の表示/非表示、数字の形式)が維持されるようになりました。同様に、結合を含むレイヤやテーブルからフィルタ設定を削除しても、
フィールド プロパティは維持されます。
結合時のフィルタ設定の適用
 レイヤやテーブルを他のレイヤやテーブルに結合した際、フィルタ設定が適用されない問題を修正しました。9.3 では、結合時に
フィルタ設定が正しく処理されます。
レイヤ プロパティに表示される結合とリレートのプロパティ
 [レイヤ プロパティ] ダイアログおよび [テーブル プロパティ] ダイアログの [テーブル結合とリレート] タブで、テーブル結合
やリレートのプロパティを確認し、テーブル結合またはリレート テーブルの名前、場所、およびデータ タイプを簡単に確認できる
ようになりました。これらのプロパティは読み取り専用です。
並べ替え機能の改善
 新しい [高度なテーブルの並べ替え] ダイアログで、一度に最大 4 つのフィールドで並び替えを指定できるようになりました。こ
のダイアログにアクセスするには、テーブル ウィンドウのフィールドを右クリックし、新しい [高度な並べ替え] コマンドを選択し
てください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 32
このダイアログを開くショートカット:Shift キーを押しながら、テーブル ウィンドウのフィールド名をダブルクリックするか、
Ctrl+Shift+S キーを押します。
 ソートされたテーブルを元に戻すには、Ctrl+Shift+U キーを押すか、[高度なテーブルの並び替え] ダイアログを開き、すべてのソー
ト基準の選択を(なし)に設定してください。
 ArcMap では、テーブルを開いていたときの並び替え方法が記憶されるので、テーブルを再度開いたときに並び替えし直す必要は
ありません。テーブル ウィンドウの並び替え方法はマップ ドキュメントにも保存されます。[すべてのレコードを表示]、[選択レコー
ドを表示] の間でビューを切り替える場合も、並び替えは維持されます。
テーブルのフィールド エイリアスとフィールド名の表示の切り替え
テーブル ウィンドウの [オプション] メニューの新しい [フィールドのエイリアスを表示] コマンドを使用して、テーブルでフィール
ドをエイリアスで表示するか、実際のフィールド名で表示するかを選択することができます。この設定は各テーブルのプロパティと
して保存されるため、テーブルごとに設定可能です。デフォルトでは、このコマンドはチェックされているため、9.2 までの動作は変
更されません。
このコマンドは、フィールド エイリアスとフィールド名をすばやく切り替えたい場合は特に便利です。そのため、Ctrl キーを押しな
がらフィールド名を右クリック、または Ctrl+Shift+N キーを押すという、コマンドにアクセスするための 2 つのショートカットを追
加しました。
ヒント:テーブル ウィンドウで使用可能なすべてのショートカットを一覧表示するには、ウィンドウ内をクリックしてキーボード
フォーカスを取得し、F1 キーを押してください。テーブル ウィンドウのメニューから定期的にアクセスするコマンドにショートカッ
トがあるかどうか確認するには、メニューのコマンドをハイライトし、Shift+F1 キーを押して、表示されるヘルプをご参照ください
(また、ArcGIS Desktop ヘルプやこのドキュメントの巻末にあるヒントおよびショートカットのリストもご参照ください)。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 33
その他のテーブル結合およびリレートの強化
 属性テーブルの [オプション] メニューからテーブル結合、リレートの作成や解除ができるようになりました。9.2 以前では、テー
ブル ウィンドウで作業している場合、[テーブル オブ コンテンツ] のレイヤまたはテーブルを右クリックして、この機能にアクセス
する必要がありました。
 [テーブル結合] ダイアログから起動していた [テーブル結合の高度な設定オプション] ダイアログが削除され、このダイアログで
表示されていた [すべてのレコードを保存] と [一致するレコードのみを保存] の 2 つのオプションが [テーブル結合] ダイアログに
移動され、アクセスがより簡単でわかりやすくなりました。9.3 でも、これまでと同様、ダイアログのタイトル バーにある [?] ツー
ルでオプションをクリックすることにより、これらのオプションの違いを示したダイアグラムにアクセスすることができます。
 [テーブル結合] ダイアログおよび [リレート] ダイアログのフィールドのドロップダウン リストで、作業中のレイヤやテーブル
に指定されたフィールド エイリアスが表示されるようになりました。9.2 以前では、これらのダイアログにフィールド エイリアスは
表示されませんでした。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 34
[ジオメトリ演算] ダイアログがサポートするプロパティの追加
 ライン フィーチャでの作業中、[ジオメトリ演算] ダイアログに、ラインの始点、終点の XY 座標を計算するオプションが表示さ
れるようになりました。テーブル ウィンドウでフィールドを右クリックすると、このダイアログにアクセスすることができます。
ライン フィーチャでの
作業時に表示される 9.3
の新しいプロパティ
 ターゲットの座標系が投影座標系(PCS)の場合でも、[ジオメトリ演算] ダイアログを使用して、経緯度で XY 座標値を算出する
ことができます。9.2 では、このような演算はできませんでした。
選択表示モードでハイライトされたレコードの新しいコマンド
 テーブル ウィンドウの行の左側のスペースをクリックすると表示されるショートカット メニューに 2 つの新しいコマンドが追
加されました。選択レコードを表示モードでの作業中、選択されたセット(デフォルトでは水色で表示)からレコードの一部をハイ
ライト(デフォルトでは黄色で表示)すると、これらのコマンドが有効になります。
–
[ハイライトを再選択] コマンドでは、ハイライトされたレコードが選択され、それ以外のすべてのレコードの選択が解除されま
す。このコマンドを使用して、ハイライトしたレコードのみを再選択することができます。まず、選択を維持したいレコードを
ハイライトします。次に、このコマンドを使用して、レコードを再選択してください。ショートカット:Ctrl+Shift+R キーを押
します。
–
[ハイライトを削除] コマンドでは、ハイライトされたレコードが削除されます。編集セッションのときに選択レコードの表示
モードでレコードをハイライトした場合のみ、このコマンドが有効になります。ショートカット:Ctrl+Delete キーを押します。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 35
ヒント:上の図のように、テーブルの長いフィールド名やセル値を折り返して表示したい場合は、テーブル ウィンドウで [オプショ
ン] メニュー ボタンをクリックし、[表示設定] を選択して、[カラムのヘッダーの高さ]、[セルの高さ] を 225%などに設定します。
[フィールド プロパティ] ダイアログへのクイック アクセス
 フィールド名を右クリックし、9.2 で追加された [プロパティ] コマンドを選択して、テーブル ウィンドウのフィールド プロパ
ティにアクセスすることができます。[フィールド プロパティ] ダイアログでは、テーブル ウィンドウから、フィールドのエイリア
スを定義したり、数字の形式を設定したりすることができ、便利です。9.3 では、[フィールド プロパティ] コマンドの新しいショー
トカットが追加され、よりすばやく [フィールド プロパティ] ダイアログにアクセスできるようになりました。
ALT キーを押しながらフィールド名をダ
ブルクリック
クリックしたフィールドの [フィールド プロパティ] ダイアログが開きます。
Ctrl+Shift+P キー
選択されたフィールドの [フィールド プロパティ] ダイアログが開きます。
Microsoft Excel 2007 ワークシートのサポート
 ArcMap や ArcCatalog から直接、Excel 2007 のワークシートや Excel 2007 で定義された名前付き範囲にアクセスできるようにな
りました。これには、Excel 2003 のように、レコード数が 65,000 件に制限されないという利点があります。Excel 2007 のワークシー
トは 1,000,000 行をサポートすることが可能です。
[個別属性表示] ダイアログでリレート レコードを表示するときにフィールド プロパティが維持さ
れる
ArcMap、ArcGlobe、ArcReader、および ArcGIS Engine アプリケーションで [個別属性表示] ダイアログの左側にある項目を右クリッ
クすると、新しいコマンドが表示され、リレート テーブルやレイヤのフィールド プロパティ(主フィールド、フィールド エイリア
ス、フィールドの表示/非表示、数字の形式)を使用して、リレート データを [個別属性表示] ダイアログに表示するかどうか、選択
することができます。9.2 以前では、[個別属性表示] ウィンドウからアクセスされるリレート データの表示方法をコントロールでき
なかったため、この機能強化は長年要望されてきました。この新しいオプションは、[個別属性表示] ダイアログの左側のツリーの項
目を右クリックすると表示されるショートカット メニューで確認することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 36
新しいオプションはデフォルトでチェックされているため、すぐにこの新しい動作を確認することができます。9.2 の動作に戻すには、
このオプションのチェックを外してください。設定はアプリケーションのレジストリに保存されます。
このオプションがチェックされていても、リレート データがマップに追加されていない場合、[個別属性表示] でリレート データに
アクセスすると、使用するフィールド プロパティを確認できないため、フィールドは通常の方法で表示されます。このオプションが
チェックされているときに、複数のレイヤのリレート データが表示されている場合、[個別属性表示] ダイアログのツリーの各レイヤ
のリレートの下に項目が表示され、どれを使用してリレート データを表示するかを選択することができます(注意:9.3 でも、これ
までと同様、テーブルやレイヤのフィールド プロパティのフィルタ設定は、設定が行われているかどうかに関係なく、[個別属性表示]
には反映されません)。
その他のテーブル ウィンドウの改良点
 9.2 から、[フィールド演算] を使用してテキスト フィールドを計算したときに、フィールドの長さが短すぎて計算値を保持できず
値が切り捨てられた場合、状況を知らせる警告メッセージが表示され、切り捨てられた値にアスタリスク(*)が付くので、一目で確
認でき、必要に応じて修正できるようになりました。
9.3 では、アスタリスクの追加を無効にする機能が追加されています。切り捨てられた値にアスタリスクを追加したくない場合は、こ
の DWORD レジストリキーの値を 1 から 0 に変更してください。
HKEY_CURRENT_USER\Software\ESRI\ArcMap\TableWindow\Flag truncated values with an Asterisk
このキーを 0 に設定しても、値の切り捨てが行われると、上記と同じ警告メッセージが表示されます(実際にはアスタリスクは追加
されません)
。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 37
ラスタ データ
サポートされるラスタ ファイル フォーマット
 ArcGIS 9.3 では、サブデータセットのサポートにより、NITF、HDF 形式のサポートが強化されました。HDF(Hierarchical Data
Format)と NITF(National Imagery Transmission Format)はともに、1 つのファイルに複数のイメージ(サブデータセット)を格納
することができます。格納できるサブデータセットには、異なるバンド、異なる時間と角度で撮影されたイメージや、オブジェクト
の写真が含まれます。
ArcGIS 9.3 はこれらのフォーマットに対応しており、サブデータセットを表示したり、ファイルからサブデータセットを抽出して、ス
タンドアロンのラスタ データセットを作成したりすることができます。サブデータセットを含む HDF、NIFT ファイルを ArcMap に
追加すると、以下のダイアログ ボックスが表示されます。
サブデータセットを 1 つ選択すると、ラスタ レイヤとして表示
されます。複数のサブデータセットを選択した場合は、グルー
プ レイヤとして表示されます。
このダイアログ ボックスから 1 つのサブデータセットを選択して、ラスタ レイヤとして表示したり、複数のサブデータセットを選
択して、ラスタ レイヤ グループとして表示したりすることができます。サブデータセットをマップに追加し、[データのエクスポー
ト] コマンドを使用することで、サブデータセットからスタンドアロンのラスタ データセットを作成できます。
新しい [サブセット ラスタの抽出 (Extract Subdataset)] ジオプロセシング ツールを使用して、HDF、NITF サブデータセットから
スタンドアロンのラスタ データセットを作成することができます。このツールは、スクリプトの作成やバッチ処理を行う際に便利で
す。また、NITF ファイルには CGM(Computer Graphics Metafile)を格納することができます。NITF ラスタ データセットが ArcMap
に追加される際、これらの CGM グラフィックスはグラフィックス レイヤとして追加されます。
 ArcGIS 9.3 では ENVI フォーマットをサポートします。ArcGIS ユーザ インタフェースにおいて ENVI は、読み取り専用フォーマッ
トです。開発者は ENVI フォーマットへの書き込みが可能です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 38
ArcGIS Server イメージ サービスのサポート
 9.3 では、ArcGIS Image Server と、ArcGIS Desktop および ArcGIS Server との統合が強化されました。ArcGIS Image Server は ArcGIS
Server のエクステンションで、クライアント アプリケーションにおいて完全なイメージ処理および操作が可能なフォーマットでラス
タ データを Web に配信することができます。ArcCagalog で ArcGIS Server に接続すると、他のサービスと同様、サーバで提供され
ているイメージ サービスがアイコンとして表示されます。
 ラスタ ジオプロセシング ツールと Spatial Analyst ツールは、ArcGIS Server イメージ サービス ベースのレイヤを入力データと
してサポートします。[データ管理ツール] → [レイヤとテーブル ビュー] ツールセットに新たに追加された [Make Image Server
Layer] ツールを使用して、スクリプトまたはモデル内でのツールへの入力用に ArcGIS Server イメージ サービス レイヤを作成するこ
とができます。
 [ラスタ データのエクスポート] ダイアログを使用して、ArcGIS イメージ サービスからラスタ データセットにエクスポートする
ことができます。
詳細については、このドキュメント内の「ArcGIS Image Server」をご参照ください。
OGC WCS のサポートの追加
 ArcGIS 9.3 では、インターネットでラスタ データを配信するための OGC WCS(Web Coverage Service)標準をサポートします。
WCS サービスを ArcMap、ArcGlobe に追加すると、他のラスタ データ ソースと同じように処理されます。WCS サービスを参照する
レイヤのレイヤ プロパティ ダイアログは、すべてのラスタで使用されている標準的なものです。ラスタ ジオプロセシング ツール
と Spatial Analyst ツールでは、入力データとして WCS レイヤをサポートします。[データ管理ツール] → [レイヤとテーブル ビュー]
ツールセットに新たに追加された [WCS レイヤの作成 (Make WCS Layer)] ツールを使用して、スクリプトまたはモデル内でのジ
オプロセシング ツールやファンクションへの入力用として、WCS レイヤを作成することができます。また、[ラスタ データのエクス
ポート] ダイアログを使用して、OGC WCS サービスからラスタ データセットにエクスポートすることができます。
ArcCatalog の [GIS サーバ] フォルダに [WCS サーバを追加] コマンドが追加されました。ArcCatalog では Web Server の接続が緑色
のサーバのアイコンで表示され、サーバのツリーを展開して、含まれる WCS サービスをすべて表示することができます。たとえば、
[WCS サーバを追加] ダイアログに以下の URL を入力して、米国の National Snow and Ice Data Center(NSIDC)が提供している Atlas
of the Cryosphere WCS に接続が可能です。http://nsidc.org/cgi-bin/atlas_north?service=WCS&request=G etCapabilities&?
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 39
ラスタ カタログからのラスタ モザイクの作成
 ラスタ モザイクの作成に役立つ新しいジオプロセシング ツールが追加されました。[ラスタ データセット] ツールセットの [ラ
スタ カタログ → ラスタ データセット (Raster Catalog To Raster Dataset)] ツールを使用して、ラスタ カタログからすべて、ま
たは一部のアイテムをモザイクして、新しいラスタ データセットを作成することができます。ファイルベースのラスタ モザイクを
作成するには、まず、モザイクしたいラスタを含む非管理(unmaneged)のラスタ カタログを作成します。次に、[ラスタ カタログ →
ラスタ データセット (Raster Catalog To Raster Dataset)] ツールを使用して、ラスタ カタログをモザイクし、新しいラスタ デー
タセットを作成します。このワークフローは、既存の [新規ラスタにモザイク (Mosaic To New Raster)] ツールを使用するよりも効
率的です。これまでのワークフローでは、空のラスタ データセットを作成し、次に、[ワークスペース → ラスタデータセット
(Workspace To Raster Dataset) ] を使用して、空のデータセットにモザイクを充てんしていました。入力がラスタ データセットのと
きに ArcSDE やファイル ジオデータベースでラスタ データセットを作成する場合は、これまでと同様、9.3 でもこちらの方法をお勧
めします。
 [モザイク ラスタ カタログ] という名前の新しいコマンドが、ラスタ カタログ レイヤのショートカット メニューに追加されま
した。このコマンドでは、[データのエクスポート] ダイアログ ボックスに似たダイアログ ボックスが開き、モザイクや出力オプショ
ンを選択して、新しいラスタ データセットを作成することができます。新しいデータセットは、ラスタ カタログ全体または選択さ
れたラスタのモザイクとなります。また、このダイアログは、現在のデータ フレームまたは選択されたグラフィックスの範囲での出
力データのクリップもサポートしています。これによりラスタ カタログの一部を簡単にクリップすることが可能となります。
新しい [モザイク ラスタ カタログ] コマンドにア
クセスするには、まず、ラスタ カタログを右クリッ
クします。
[データ] ショートカット メニューから [モ
ザイク ラスタ カタログ] を選択し、新しい
ダイアログ ボックスを開きます。
プロパティ ページにある新しい [色調
整] タブからカラー バランシングと
マッチングを行います。
また、現在のデータ フレームまたは選択された
グラフィックを出力範囲として使用して、ラスタ
カタログの一部を簡単にクリップすることがで
きます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 40
イメージのカラー バランシングとマッチング
 シームレスなモザイクを作成するため、ArcGIS 9.3 にはカラー バランシング機能とカラー マッチング機能が搭載されました。ラ
スタ カタログ レイヤの [プロパティ] ページに [色調整] タブが追加されています。その場でラスタ カタログのカラー バランシン
グやカラー マッチング行うことで色調整オプションを試してから、データに最適なオプションを選択することができます。色調整パ
ラメータを決定後、ラスタ カタログ レイヤのショートカット メニューの [モザイク ラスタ カタログ] コマンド、新しい [ラスタ
カタログ → ラスタ データセット (Raster Catalog To Raster Dataset)] ジオプロセシング ツールを使用して、イメージをモザイク
することができます。
ラスタの [レイヤ プロパティ]ページ に新たに追加さ
れた[色調整] タブから [カラーバランス] と [カラー
マッチング] オプションを選択することができます。

[ワークスペース → ラスタ データセット] ツールと[モザイク] ツールに新しいカラー マッチング オプションが追加されまし
た。
ラスタのクリップ
 [ラスタ データのエクスポート] ダイアログ ボックスでは、現在選択されているマップに描画されたグラフィックスを使用して、
ラスタをクリップすることで、エクスポートするデータの範囲を定義することができます。どのような形を描画しても、ラスタ デー
タセットをクリップする範囲として使用できるため、非常に便利です。また、[NoData] 入力ボックスも追加されました。不規則な形
のグラフィックスをクリップに使用する際、クリップされたジオメトリの外側にあるピクセルに NoData 値が割り当てられます。選
択されたグラフィックスからファイルベースのラスタ データセットにデータをエクスポートする場合、NoData 値を入力することを
お勧めします。グラフィックスを使用してデータをクリップすると、出力データには NoData ピクセルが含まれる可能性が極めて高
くなります。NoData 値を指定することにより、ピクセルの深さと NoData を格納する値をコントロールできます。NoData 値が指定
されていない場合、空の値が NoData プレースホルダとして使用されますが、あまり好ましくありません。
現在選択されているグラフィックを使用して
ラスタをクリップすることにより、エクス
ポートするデータの範囲を定義することがで
きます。
ファイルベースのラスタ フォーマットに保存
する場合、新しい [NoData] ボックスに適切な
値を入力することをお勧めします。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 41
 ラスタの [クリップ] ツールに [Enable Clipping Geometry] チェック ボックスが追加されました。既存のフィーチャクラスが出
力範囲として選択されると、このボックスが使用可能になります。[Enable Clipping Geometry] ボックスをチェックすると、その
フィーチャクラスの範囲を使用する代わりに、フィーチャクラスの実際のジオメトリを使用して、ラスタがクリップされます。
既存のフィーチャクラスを出力範囲として選択する
と 、 新 し い [Enable Clipping Geometry] チ ェ ッ ク
ボックスが使用可能になります。
チェックすると、フィーチャクラスの範囲を使用する代
わりに、選択されたフィーチャクラスのジオメトリが出
力範囲として使用されます。
非管理(unmanaged)ラスタ カタログ用のツールの追加
unmanaged ラスタ カタログについて、参照しているラスタ データセットが移動すると、参照ラスタ データセットへのリンクが切
れるため、関連するラスタ カタログのアイテムが無効になります。データをリロードせずに非管理(unmanaged)のラスタ カタログ
を修復するため、9.3 には 2 つの新しいジオプロセシング ツールが追加されました。
–
[ラスタ カタログ パスのエクスポート (Export Raster Catalog Paths)] ツールでは、参照先のラスタ データセットのパスが.dbf
ファイルに出力されます。すべてのラスタ カタログ アイテムのパスをエクスポートするか、リンクが切れているアイテムのみ
をエクスポートするかを選択することができます。
–
[ラスタ カタログ パスの修正 (Repair Raster Catalog Paths)] ツールを使用して、無効なラスタ カタログ アイテムのパスを
更新したり、無効なラスタ カタログ アイテムを削除したりすることができます。
[ラスタ ワールド ファイルのエクスポート(Export Raster World File)] ツール
 [ラスタ ワールド ファイルのエクスポート (Export Raster World File)]という名前の新しいツールを使用して、ArcGIS 以外のア
プリケーションで使用可能なワールド ファイルをエクスポートできます。ラスタ データセットの変換が 1 次多項式による変換の場
合、このツールにより標準的なワールド ファイルがエクスポートされます。しかし、ワールド ファイルには 2 次、3 次多項式による
変換、多項式によらない変換を格納できないため、ファイル拡張子に x を追加した「疑似ワールド ファイル」がエクスポートされま
す。この疑似ワールド ファイルは、拡張子から x を削除することにより、ArcGIS 以外のアプリケーションで使用することができます。
[セル値の取得(Get Cell Value)] ツール
 [セル値の取得 (Get Cell Value)] という名前の新しいツールを使用して、特定の XY 座標のピクセル値を検索することができま
す。複数バンドのラスタ データセットでは、特定のバンドまたはすべてのバンドのピクセル値が検索可能です。ジオプロセシングで
ピクセル値を検索できるので、ジオプロセシングのモデルでピクセル値が必要な場合に便利です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 42
[不連続カラー] レンダリング
[レイヤ プロパティ] ダイアログの [シンボル] タブに [不連続カラー] レンダリングが追加されました。[不連続カラー] レンダリン
グでは、複数の色を使用して、整数タイプのラスタ データセットを表示します。[不連続カラー] レンダリングを使用すると、[個別
値] レンダリングの際にラスタ データセットの個別値の総数を計算させるのとは違い、レンダリングで使用する色の数を指定するこ
とができます。[不連続カラー] レンダリングでは、指定された配色が繰り返し使われます。[不連続カラー] レンダリングでは、各個
別値ごとに異なる色を使用する代わりに、指定された配色が繰り返し使われるため、ラスタの表示は [個別値] レンダリングを使用し
たときと似ていますが、表示にかかる時間は非常に短くなります。
新しい [Discrete Color] レンダリングでは、個別値ご
とに色を使用する代わりに、指定された複数の配色が
繰り返し使われます。
見た目は [Unique Values] レンダリングと似ていま
すが、表示速度は非常に速くなります。
その他
 ArcGIS 9.3 では、[個別値] レンダリングが浮動小数点データをサポートしました。浮動小数点ラスタ データセットにはラスタ属
性テーブルがないため、[個別値] レンダリングを選択すると個別値の計算を促すダイアログが表示されます。
 [ArcCatalog] の[ラスタ データセット プロパティ] ダイアログ内にある [ソース タイプ] プロパティの隣に [切り替え] ドロッ
プダウン リストが追加され、ファイルベースのフォーマットで保存されたラスタのデータ ソース タイプを変更できるようになりま
した。ほとんどのファイルベースのラスタ フォーマットでは、ピラミッドの構築に使用されるリサンプリング手法がデータ ソース
タイプをベースにしています。ラスタ データセットに 2~3 個の個別値しかない場合でも、最近隣のリサンプリング手法を使用して、
ピラミッドが構築されます。このため、データセットに 2~3 個の個別値ない場合、[切り替え] ボタンをクリックして、データ ソー
ス タイプを不連続に変更してから、ピラミッド構築をすることをお勧めします。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 43
9.3 で追加
[ツール] → [オプション] ダイアログボックスの [Raster] タブ内にチェック ボックスが追加され、ラスタのストレッチ レンダリン
グにおいてデフォルトでのストレッチ動作をコントロールできるようになりました。このボックスはデフォルトではチェックされて
いますが、デフォルトのストレッチ タイプとして標準偏差ストレッチを使用したくない場合は、チェックを外すことができます。
ラスタ ツールの [オプション] ダイアログに追加さ
れたこのチェック ボックスの利用により、ラスタを
レンダリングする際のデフォルトのストレッチ動作
をコントロールすることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 44
 [データ管理ツール] → [ラスタ] ツールセット内のツールが 4 つのツールセットに整理され、よりアクセスしやすくなりました。
9.3 で追加
9.3 で追加
9.3 で追加
9.3 で追加
9.3 で追加
9.3 で追加
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 45
マッピング
グラフィックス
編集せずにフィーチャが作成できる新しい [グラフィックスをフィーチャに変換] ダイアログ
 ArcCatalog 上でなくても、新しいダイアログにより、マップに描画されたグラフィックスをシェープファイルやフィーチャクラス
に変換し、すばやく簡単にスタディ エリア、クリッピング範囲、シンプルなデータセットなどを作成することができます。[テーブル
オブ コンテンツ] でデータ フレームを右クリックするか、[図形描画] ツールバーの [図形の調整] プルダウン メニューでこのコマ
ンドにアクセス可能です。このダイアログでは、マップに描画されているポイント、ライン、ポリゴン グラフィックスを新しいシェー
プファイルやフィーチャクラスに変換することができます。また、テキスト グラフィックスをジオデータベースのアノテーション
フィーチャクラスに変換することもできます。
ダイアログでは、[図形描画] ツールバーのグラフィックス パレットにあるツールを使用して描画できる、円、曲線、フリーハンドの
線など、すべてのグラフィックス タイプがサポートされています。
このダイアログでテキスト グラフィックスをアノテーションに変換すると、現在選択されているポイント、ライン、ポリゴン グラ
フィックスをアノテーション フィーチャクラスに変換するオプションが表示されます。これにより、テキストと関連するグラフィッ
クスを含む 1 つのアノテーション フィーチャクラスを作成することができます。
また、[グラフィックスをフィーチャに変換] では、3D Analyst エクステンションのツールバーの [コンター] ツールを使用して描画さ
れる等高線などの 3D グラフィックスもサポートしています。変換するグラフィックスが 3D の場合、出力シェープファイル、フィー
チャクラスは自動的に 3D になります(Z 値が有効に設定されます)。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 46
 [グラフィックスをフィーチャに変換] ダイアログでポイント、ライン、ポリゴンを変換すると、[名前] フィールドが自動的に、
作成するシェープファイル、フィーチャクラスに追加されます。また、変換する各グラフィックスの [サイズと位置] タブの [エレメ
ント名] フィールドにもエレメント名が自動的に入力されます。出力フィーチャクラスで編集セッションを開始しなくても、作成した
フィーチャに名前を割り当てることができるため、便利です。
たとえば、3 つの長方形のスタディ エリア A、B、C を含むフィーチャクラスを定義するとします。
1. [図形描画] ツールバーの [長方形] ツールを使用して、マップに 3 つのスタディ エリアを描画します。なお、[図形描画] ツールを
使う際には、クリックする代わりに Shift+F6 キーを押して座標を入力することもできます。
([図形描画]ツールで使用可能なキーボー
ド オプションを確認するには、[標準] ツールバーの [ポップ ヒント] ヘルプ ツールで[図形描画]の各パレットをクリックしてくださ
い。
2. 各スタディ エリアを描画後、エリアをダブルクリックして、[プロパティ] ダイアログを開きます。[プロパティ] ダイアログの [サ
イズと位置] タブの [エレメント名] フィールドにスタディ エリアの名前を入力します。
3. マップに変換したくないポリゴン グラフィックスが含まれる場合は、描画した 3 つのスタディ エリアを選択し、[図形の調整] →
[グラフィックスをフィーチャに変換] を選択します。作成したい出力先のシェープファイル、フィーチャクラスを指定し、[OK] を押
します。
作成した出力の [エレメント名]フィールドには、グラフィックスごとに指定した名前が自動的に入力されます。
さらに 9.3 では、グラフィックスを ArcMap に追加するダイアログとツールでエレメント名を自動的に入力できるようになりました。
そのため、[検索] ダイアログを使ってアドレスを検索し、グラフィックス ポイントをそのアドレスのマップに追加する場合、自動的
にアドレスがポイント グラフィックスのエレメント名として使用されます。同様に、[XY へ移動] ダイアログを使用して座標位置を
入力し、ポイント グラフィックスをその場所を含むマップに追加する場合、入力した座標が自動的にポイントのエレメント名として
使われます。このように、[グラフィックスをフィーチャに変換] を使ってポイント グラフィックスをフィーチャに変換する場合、ダ
イアログに入力したポイントの位置情報が、出力シェープファイルやフィーチャクラスの [エレメント名] フィールドに自動的に入力
されます。たとえば、[検索] ダイアログを使用して 4 つのアドレスを特定する場合、検索された 4 つのポイント グラフィックスを
フィーチャクラスに変換することができます。また、フィーチャクラスの各ポイントの名前属性には、最初に入力したアドレスが自
動的に使用されます。グラフィックスの作成時に自動的にエレメント名が入力されるダイアログの全リストについては、このセクショ
ンの後半をご参照ください。
 [グラフィックスをフィーチャに変換] ダイアログでは、すばやく簡単に [データ] ビューのマップに透過表示シェープを追加する
ことができます。ArcMap は透過表示グラフィックスをサポートしていませんが、簡単にグラフィックスを描画し、[グラフィックス
をフィーチャに変換] を使用して変換し、レイヤを透過表示にすることができます。
描画したグラフィックスの座標とジオメトリの入手の簡易化
マップにライン グラフィックスを描画したり、ツールやダイアログを使用してライン グラフィックスをマップに追加したりする場
合(Spatial Analyst エクステンション ツールバーの [コンター] ツール、3D Analyst エクステンション ツールバーの [Find Steepest
Slope] など)、簡単に長さ、始点の座標、終点の座標を選択した単位で取得することができます。これはすべてのライン グラフィッ
クスのタイプ(直線、曲線、フリーハンドなど)でサポートされています。
以下の図のとおり、XY 座標を含む、表示されているすべての値で単位を選択し、US National Grid(USNG)や Military Grid Reference
System(MGRS)などの単位で表示することができます。
(グラフィックスがレイアウト ページで描画されている場合、選択される
単位はページの単位になります。)また 9.3 では、セッションごとに選択した単位がダイアログに記憶されるため、一度設定すれば、
設定した単位が常に使われるようになります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 47
 プロパティ ダイアログを開き、新しい [ロケーション] タブを見て、選択した単位でマップに描画されたポイント グラフィック
スの座標を検索することができます。
ポイント グラフィックスが 3D ポイントの場合は、ポイントの高さも [位置] タブに表示されます。上記の例では、3D Analyst エク
ステンション ツールバーの [ポイントの内挿] ツールを使用して、ポイント グラフィックスがマップに追加されており、[高さ]
フィールドにマップのアクティブ サーフェス レイヤから得られたポイントの位置の高さが表示されます。
 9.3 で描画された新しいグラフィックス ポイントの [サイズと位置] タブでは、デフォルトのアンカー位置が、右下のアンカー位
置ではなく、中央のアンカー位置に変更されています。この機能強化による既存のポイント グラフィックスへの影響はありません。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 48
 また、ポリゴン グラフィックスのプロパティ ダイアログの既存の [エリア] タブに、ラインおよびポイント グラフィックスのプ
ロパティ ダイアログのタブと同じ機能が追加されました。
 データ フレームが投影されていない場合、つまり投影座標系(PCS)ではなく地理座標系(GCS)が使用されている場合、ステー
タス バーと上記の新しい [長さ] タブに表示されるラインの長さは、楕円体の真の測地線の長さで計算されます。また、ポリゴン グ
ラフィックスで作業する場合の周長も同様です。つまり、マップが投影されていない場合、長さ、および周長グラフィックスは地表
の正しい長さになります。
 ライングラフィックスを描画すると、各線分の長さが全長と一緒にステータス バーに表示されます。
 9.3 では、ArcMap のステータス バーをカスタマイズして、図形描画ツールを使用して描画したときのグラフィックスの長さ、周
長、および面積の単位と異なる単位で XY 座標を表示することができます。9.2 以前では、データ フレームに指定された表示単位が
XY 座標表示と、長さ、周長、面積表示の両方で使用されていました。ライン グラフィックスを描画するときに、ラインの長さをマ
イルで入力すると XY 表示もマイルになり、XY 表示を度(10 進)にするとラインの長さも度(10 進)で表示されるため、不便なこと
がありました。9.3 では、[ツール] → [オプション] ダイアログの [データ ビュー] タブに、XY 表示の表示単位に優先して、選択し
た単位を使用できる新しいオプションが追加されています。この設定はデフォルトではオフにされているため、オンにしない限り、
従来の動作に対する変更はありません。設定はマップ ドキュメントのプロパティとして格納されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 49
以下の例では、データ フレームの表示単位がマイルに設定されており、マイル単位でラインを描画し、長さを表示できますが、XY
表示では DMS が使用されるため、楕円座標でカーソル位置を確認することができます。
注意:このオプションによって、エディタ ツールを使用して作成、編集したフィーチャの長さなどの単位の表示が変わることはあり
ません。フィーチャを編集する場合、編集中のデータのマップ単位でディメンションが表示されます。
グラフィックスの [エレメント名] プロパティの活用
 9.2 では、グラフィックスの [エレメント名] プロパティはグラフィックスのプロパティ ダイアログの [サイズと位置] タブに表
示されていました。9.3 では、このプロパティを活用して、マップで描画されたグラフィックスの名前を格納することができます。
–
[検索] ダイアログを使用して、場所またはアドレスの位置を示すポイントをマップに追加する場合、そのポイント グラフィッ
クスの [エレメント名] プロパティに指定した場所の名前またはアドレスが自動的に入力されます。このように、たとえば、ポ
イントのプロパティ ダイアログを開くだけで、マップに追加した特定のポイント グラフィックスのアドレスを簡単に検索する
ことができます。グラフィックスの [エレメント名] プロパティは、[サイズと位置] タブに表示されるだけではなく、プロパティ
ダイアログのタイトル バーにも自動的に表示されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 50
–
[XY へ移動] ダイアログを使用して、マップの特定の座標位置にポイントを追加する場合、そのポイント グラフィックスの [エ
レメント名] プロパティに入力した座標が自動的に入れられ、指定された正確な座標が記録されます。
–
Spatial Analyst エクステンション ツールバーや 3D Analyst ツールバーの [コンター] ツールを使用すると、そのポイント グラ
フィックスの [エレメント名] プロパティにそのコンターの高さが自動的に入力されます。同様に、3D Analyst エクステンショ
ン ツールバーの [ポイントの内挿] ツールを使用すると、3D ポイント グラフィックスの高さが [エレメント名] プロパティに
入力されます。
–
[ツール] → [お気に入り] ダイアログからグラフィックスとしてマップに場所を追加すると、各グラフィックスの [エレメント
名] プロパティに [お気に入り] ダイアログと同じ場所の名前が自動的に入力されます。
–
マップから [ツール] → [お気に入り] ダイアログにグラフィックスを場所として追加すると、自動的にその場所の名前がグラ
フィックスの [エレメント名] から取得されます。グラフィックスのエレメント名が空欄の場合、デフォルトで新しい場所に「お
気に入り」という名前を付けることができます。
これらのグラフィックスの名前プロパティの付加的な使用は、以下の場合に特に便利です。
–
[グラフィックスをフィーチャに変換] ダイアログからグラフィックスをフィーチャに変換すると、自動的に各グラフィックスの
エレメント名がシェープファイルまたはフィーチャクラスの名前フィールドに入力されます。
–
たとえば特定のアドレスが表示されたポイント グラフィックスをマップに追加した場合、プロパティ ダイアログを開いて[エレ
メント名] プロパティをコピーし、プロパティ ダイアログを閉じた後、[テキスト] ツールでクリックし、テキストをマップに
ペーストするだけで、そのポイントのラベルにアドレスのラベルを表示することができます。
その他のグラフィックスの改良点
 9.3 で新しい空のマップを作成したときのデフォルトのポイント グラフィックスのシンボルが、黒い輪郭線のシンプルで小さな緑
色のマーカに変更されました。9.2 以前では、デフォルトはもっと大きい黒色のシンボルでした。特に、暗い背景やストリートが密集
している場所にポイント グラフィックスを描画する場合は、見た目がよくありませんでした。9.2 以前のリリースと同様、[図形の調
整(D)] → [デフォルト シンボル プロパティ] ダイアログを使用して、マップ ドキュメントのグラフィックスに使用されるデフォル
トのシンボルを変更することができます。
各マップ ドキュメントにはそれぞれ、グラフィックスのデフォルト シンボル プロパティが設定されているため、この変更による、
既存マップやユーザ自身のテンプレートを使用して作成した新しいマップへの影響はありません。
 9.3 では、[図形描画] ツールバーの図形ツールを使用後もアクティブなまま維持するオプションは、ArcMap の [ツール] メニュー
→ [オプション] ダイアログの [一般] タブに表示されます。このオプションのチェックが外されている場合(9.2 と同様、チェックが
外されているのがデフォルト)、グラフィックスの描画後にグラフィックスをすぐに移動または操作できるように、 [エレメント選択]
ツールが自動的に選択されます。このボックスがチェックされている場合、図形ツールはアクティブなままなので、手動で他のツー
ルに切り替えるまで、そのツールを使って複数のグラフィックスを描画することができます。注意:この設定は、現在のマップ ドキュ
メントだけではなく、すべての ArcMap セッションに適用されます。また、このオプションは ArcGlobe および ArcScence の [ツー[ツー
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 51
ル] →
[オプション] ダイアログの
[ 一 般 ] タ ブ に も 用 意 さ れ て い ま す 。 9.2 以 前 で は 、 こ の 設 定 は 、
arcgis/utilities/AdvancedArcMapSettings ユーティリティで行われていました。
9.3 で追加
ブックマーク
ブックマークへのアクセスの簡易化
 空間ブックマークは、パブリッシュするマップの操作の簡易化から、ソフトウェアを使用したプレゼンテーションやデモのサポー
トまで、さまざまな利用が可能です。9.2 以前では、ブックマークへは [表示] メニューの [ブックマーク] プルライトからアクセスで
きました。9.3 ではこのプルライトが削除され、[ブックマーク]メニューに変更されました。これにより、これまでよりもずっと簡単
にすばやくブックマークにアクセスできるようになりました。また、この新しい [ブックマーク]メニューは ArcGlobe、ArcScene、お
よび ArcReader にも追加されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 52
注意:9.2 以前のリリースでは、ArcMap をカスタマイズして、[ブックマーク] プルライトを [表示] メニューからメイン ツールバー
に移動することができました。
カスタマイズした状態で 9.3 をインストールした後、メイン メニュー バーに 2 つの [ブックマーク] プ
ルダウン メニューが表示された場合は、[ツール] → [カスタマイズ] を選択し、メイン メニュー バーのいずれかの [ブックマーク]
メニューを右クリックし、[削除] を選択してください。
ブックマークの管理の強化
 [ブックマークの管理] ダイアログでブックマークをソートし、手動で並び替えられるようになりました。また、ブックマークをイ
ンポートやエクスポートして、他の人と共有したり、同じマップ ドキュメントの異なるデータ フレーム間でコピーしたり、ArcMap、
ArcGlobe、または ArcScene といった、異なるドキュメント間でコピーすることもできます。さらに、ブックマークに移動(マップの
縮尺を変えずに、ブックマークの中心にマップを再配置)するのに、[ブックマークの管理] を使用することができます。
 [ブックマークの管理] は「非モーダル」になったため、マップの作業中に [ブックマークの管理] を開いたまま維持することがで
き、簡単にブックマークにアクセス可能です。[ブックマークの管理] のブックマークをダブルクリックして、マップのブックマーク
をズームすることができます。
 [ブックマークの管理] でブックマークを右クリックし、[範囲を更新] を選択して、現在のマップ範囲に合わせて範囲を更新する
ことができます。9.2 以前では、ブックマークの範囲を更新する場合、ブックマークを削除し、作成し直す必要がありました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 53
 ブックマークの保存およびロードに使用されるファイルは、[ツール] メニュー → [お気に入り] ダイアログで場所の保存および
ロードに使用されるのと同じファイル フォーマットです。これにより、簡単にブックマークを [お気に入り] ダイアログにコピーす
ることができ、使用しているマップ ドキュメントに関係なくブックマークを利用することができます。[お気に入り] ダイアログは、
使用しているドキュメントに関係なく、いつでも、空間範囲、位置、アドレスなどの有用な情報にアクセスできるよう、9.2 で導入さ
れました。ブックマークと異なり、[お気に入り] ダイアログの場所は、使用しているマップ ドキュメントではなく、1 つのファイル
にまとめて格納されます。ブックマークを [お気に入り] ダイアログにロードすると、ブックマークは空間範囲の場所になります。
また、[お気に入り] ダイアログから 1 つ以上の場所を保存し、[ブックマークの管理] に読み込むことも可能です。たとえば、マップ ド
キュメントを共有する人が同じブックマークを利用できるように、複数の場所のブックマーク セットを作成し、ブックマークとして
マップに追加することができます。ラインやポリゴンの場所を [ブックマークの管理] に読み込むと、エンベロープの範囲がブック
マークになります。ポイントの場所を [ブックマークの管理] に読み込むと、そのブックマークの範囲が自動的に生成されます。
ヒント:この機能を使用して、フィーチャからブックマークを簡単に作成することができます。たとえば、マップに複数の県があ
り、県ごとにブックマークを作成したい場合は以下のようになります。
1. 任意の選択方法を使用して、ArcMap の県フィーチャを選択します。
2. [ツール] → [お気に入り] を開いて、[下記から追加] → [選択フィーチャ] を選択して、県をダイアログに追加します。
3. 必要に応じて、追加した場所の名前を変更します(デフォルトでは、場所の名前は主フィールドの値になります)。
4. [保存] → [選択リストを保存] を選択し、作成した場所をファイルに保存します。
5. [ブックマーク] → [管理] を選択し、[ブックマークの管理] ダイアログで場所をブックマークとして読み込みます。それぞれの
県がブックマークになります。ブックマークは自由にソートしたり、並び替えたりすることができます。
ヒント:また、この機能を使用して、マップにブックマークの位置を示すグラフィックスの四角形を追加し、ポリゴン フィーチャ
に変換することもできます。
1. [ブックマーク] → [管理] を選択し、マップに描画したいブックマークをファイルに保存します。
2. [ツール] → [お気に入り] を選択し、保存したブックマークを読み込みます。
3. [お気に入り] ダイアログでブックマークを選択し、[下記へ追加] → [グラフィックとしてマップへ] を選択します。ブックマー
クは、[図形の調整] → [デフォルト シンボル プロパティ] で指定されている現在のポリゴン シンボルを使って、マップに描画さ
れます。
4. 追加したグラフィックスをフィーチャに変換するには、[図形の調整] → [グラフィックスをフィーチャに変換] を選択します。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 54
縮尺
ArcMap での相対形式での縮尺の入力および表示を完全サポート
 9.2 では、縮尺が ArcMap のユーザ インタフェースで指定されている場合、相対形式(例:1 インチ = 100 マイル)で縮尺を入
力できる機能が導入されました。ArcMap 9.2 のユーザ インタフェースの縮尺コントロールに入力された相対縮尺は、対応する絶対縮
尺に自動変換されていました。9.3 では、相対形式で縮尺を表示する機能が ArcMap に追加されました。ArcMap のユーザ インタフェー
ス全体で縮尺コントロールをカスタマイズして、絶対形式の代わりに相対形式を使用することができます。[縮尺] ドロップダウンで
[このリストをカスタマイズ…] コマンドを選択してください。
[縮尺形式] タブでは、定義済みの形式の中から形式を選択し、編集して新しい形式を定義することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 55
なお、現在、縮尺の表示に使われている縮尺形式に関係なく、どの形式でも、ArcMap のユーザ インタフェースの縮尺コントロール
に縮尺を入力することができます。入力した縮尺は自動的に現在の縮尺形式に変換されます。そのため、縮尺コントロールの縮尺を
絶対形式で表示する場合でも、どのような単位も相対形式で縮尺を入力することができます。縮尺を入力または貼り付ける際、縮尺
の形式を変更したり、計算し直したりせずに、簡単に直接入力または貼り付けることができるよう、さまざまな単位の略語、文字が
サポートされています。9.3 では、インチやフィートを表す「’」および「”」の文字の使用のサポートが追加されています。また、Word
ドキュメントや PDF ファイルからの縮尺のコピー アンド ペーストのサポートを強化するため、
「直線」および「曲線」形式の両方の
文字がサポートされています。サポートされている形式の一覧を確認するには、[ポップ ヒント] ヘルプ ツールで [標準] ツールバー
の縮尺コントロールをクリックするか、ダイアログのタイトル バーの [?] ツールでダイアログの縮尺コントロールをクリックしてく
ださい。
定義済みの縮尺リストのカスタマイズ、縮尺の表示方法は、ArcMap 設定としてコンピュータに格納されます。この設定は、マップ ド
キュメント自体には格納されず、他のマシンでマップ ドキュメントを開いても、効果はありません。
9.2 では、レジストリ設定を使用して形式を定義することで、ArcMap で縮尺を相対形式で表示することができました。9.2 でシステ
ム レジストリを使用して相対形式を指定した場合、指定した形式は自動的に [縮尺設定] ダイアログの [縮尺形式] タブに表示されま
す(ダイアログで定義済みの標準形式に合致する場合を除く)
。
 以下の ArcMap でアクセスされた ArcIMS イメージ サービスのサブレイヤの、レイヤ プロパティ ダイアログの 2 つの縮尺例のよ
うに、縮尺コントロールが無効の場合、縮尺上でドラッグしてコピーし、[標準] ツールバーのメインの縮尺コントロールなどに貼り
付けられるよう、コントロールを強化しました。9.2 では、縮尺コントロールが無効の場合、コントロールから縮尺をコピーし、他の
場所に貼り付けることはできませんでした。
 9.3 では、絶対縮尺の値が小数点第 3 位以下のとき、常に小数点第 2 位が使用されるようになりました。9.2 以前の ArcMap では、
値が小数点第 3 位以下のとき、絶対縮尺比では不必要な精度である小数点第 6 位まで表示されていました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 56
レイアウト
 [縮尺テキスト] マップ エレメントで、縮尺テキストの区切りに使われるテキストをエレメントのプロパティとして指定できるよ
うになりました。9.2 以前では、相対形式で縮尺テキストをマップに追加する場合、区切りテキストは常に「equals」で、
「1 inch equals
100 miles」ではなく、「1 inchi = 100 miles」としたい場合、縮尺テキストをグラフィックスに変換する必要がありました。9.3 では、
[縮尺テキスト] エレメントで、相対縮尺および絶対縮尺に使われる区切り記号を指定できるようになりました。相対縮尺のデフォル
トの区切り記号は「=」で、絶対縮尺は「:」です。また、ほとんどの縮尺で「=」区切り記号が使われるように、デフォルトの縮尺テ
キスト スタイルを更新しました。
9.3 で追加
縮尺記号などのエレメントを追加する場合のページに合わせた拡大縮小のコントロール
 マップ エレメントのスタイルをさまざまなマップ、ページ サイズで使用できるよう、方位記号、縮尺記号、縮尺テキスト エレ
メントをマップに追加すると、ArcMap では常に、これらのフォント サイズなどのサイズ プロパティが、ページのサイズに合わせて
自動的に拡大縮小されます。サイズごとに異なるスタイルを格納しなくても、サイズの異なるマップで同じスタイルを使用できるた
め便利です。たとえば、ポスターサイズのページやそれよりも小さいマップで、同じスタイルを使用することができます。しかし、
マップ エレメントに指定したフォント サイズがマップのサイズによって変わると、面倒な場合もあります。9.3 では、方位記号、縮
尺記号、縮尺テキスト エレメントをマップに追加する際、[選択] ダイアログの新しい [ページに合わせた縮尺] チェック ボックスで
拡大縮小をコントロールできるようになりました。この新しいオプションはデフォルトでチェックされており、9.2 と同じ動作をしま
す。ページのサイズに関係なく、追加するマップ エレメントのサイズ プロパティを適用したい場合は、このボックスのチェックを
外してください。これにより、追加する方位記号、縮尺記号、縮尺テキストが、使用しているスタイルで指定されたサイズでマップ
に追加されるようにすることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 57
9.3 で追加
この設定は、マップに追加されるマップ エレメントのプロパティではありません。マップに追加する際に、マップ エレメントのス
タイルで指定されたサイズの取り扱い方法をコントロールするだけです。したがって、マップ エレメントを追加後、プロパティ ダ
イアログで確認しても、このオプションは表示されません。
注意:マップ ドキュメントで使用するページのサイズを変更すると、マップのエレメントが新しいサイズに合わせて拡大縮小されま
す。サイズの拡大縮小は、[ファイル] → [ページ設定/印刷設定] ダイアログの [ページに合わせてマップ エレメントのサイズをス
ケーリング] チェック ボックスがチェックされているかどうかによります。このチェック ボックスがチェックされている場合、エレ
メントを追加する際に [ページに合わせた縮尺] オプションがチェックされているかどうかに関係なく、ページ サイズを変更すると
マップ エレメントが拡大縮小されます。
凡例の記号をレイヤの透過表示へ自動反映
 レイヤを部分的に透過表示にした場合、マップの凡例および[テーブル オブ コンテンツ] の記号が、マップに描かれる実際の記号
に近い見た目になるよう、自動的に明るい色で描画されるようになりました。
これは [データ フレーム プロパティ] ダイアログの [一般] タブに追加された新しい設定です。この設定は、9.3 で作成する新しい
データ フレームでは、デフォルトでオンになっており、既存のデータ フレームではオフになっています(そのため、このオプショ
ンの使用を手動で選択しない限り、既存マップの凡例は変わりません)。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 58
凡例項目の並び替えの簡易化
 [凡例プロパティ] ダイアログおよび[凡例ウィザード] の凡例項目リストの隣に新しいボタンが追加され、ワン クリックで現在選
択されている項目をリストの上または下に移動できるようになりました。また、項目を上下に移動するボタンが強化され、リストで
複数の項目を選択した場合にも対応しました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 59
経緯線の密度の設定オプション
 デフォルトでは、ラインがより経緯線の曲率に沿って曲がるよう、経緯線には 1 度ごとに頂点が追加されています。縮尺の大きい
マップ、精密なデータなど、場合によっては、経緯線がデータにより適合するよう、密度を増やす必要があります。そこで、9.2 のサー
ビス パック 4 では、密度を増やすための新しいレジストリ設定が導入されました。ただし、サービス パックをインストールしても、
レジストリでこの設定は表示されません。レジストリ設定を手動で作成する必要があります。
HKEY_CURRENT_USER¥Software¥ESRI¥ArcMap¥Settings¥Graticule¥DensificationDistanceInDegrees
たとえば、この REG_SZ レジストリ キーの値を 0.1 にすることで、ArcMap は 0.1 度ごとに頂点を配置します。有効な値は 0.01~5
です。0.01 にすると、経緯線の頂点が 0.01 度ごとに配置され、世界地図のように大きな地域を網羅するマップでは、パフォーマンス
に大きく影響することがあります。このため、マップの経緯線がデータに沿っていない場合のみ、密度を上げることをお勧めします。
このレジストリ設定が指定されていない場合、あるいは値が 1 に設定されている場合、経緯線は 9.2 と同じように表示されます。(こ
の機能が最初に改良されたのは 9.2 のサービス パック 4 です。
)
フィーチャからの属性とハイパーリンクへのアクセス
新しい [HTML ポップアップ] ツール
 HTML ポップアップは、HTML や Web コンテンツを含む小さなウィンドウで、HTML フォーマット、リンク、およびマルチメディ
アを利用して、地理フィーチャおよび関連情報の属性を表示することができます。HTML ポップアップには、リンク先のフィーチャを
指し示す引出し線が表示されます。
9.3 では、すべてのフィーチャ レイヤの HTML ポップアップを定義し、[ツール] ツールバーの新しい [HTML ポップアップ] ツール
を使用してアクセスすることができます。
新しい [HTML
ポップアップ]
ツール
フィーチャ レイヤの HTML ポップアップを有効にするには、レイヤをダブルクリックしてプロパティを開き、[レイヤ プロパティ] ダ
イアログの新しい [HTML ポップアップ] タブに進み、タブの上部にあるボックスをチェックします。フィーチャの属性のテキスト
フィールドに格納された HTML フォーマットが HTML ポップアップ ウィンドウに表示され、URL を含む属性でもクリック可能なリン
クとしてポップアップ ウィンドウに表示されます。また、HTML ポップアップは、インターネットでアクセスされる URL のコンテン
ツの表示を定義することができます。URL の一部にはレイヤの属性からの値を含めることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 60
フィーチャ レイヤのデフォルトの HTML ポップアップは、フィーチャ属性のシンプルな HTML テーブルです。
以下の例では、このオプションを使用して、レイヤのフィールドから提供された場所の名前の Wikipedia の項目がポップアップに表
示されるように指定しています。これはハイパーリンクに似ていますが、Web ブラウザを起動しなくても、HTML ポップアップ内に
コンテキストが表示される点が異なります。また、URL の接頭辞、接尾辞がレイヤ プロパティとして指定され、また、レイヤ ファ
イルに保存し、別のマップに読みこんだ場合、URL の定義全体がレイヤに含まれるため、ハイパーリンクよりも便利な場合がありま
す。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 61
また、[レイヤ プロパティ] ダイアログの [HTML ポップアップ] タグで指定された XSL テンプレートを使用して、カスタマイズされ
た HTML ポップアップを定義することもできます。ポップアップで属性の値を表示する際、レイヤの属性として格納された HTML
フォーマットが反映されます。XSL テンプレートおよびカスタマイズの例については、\ArcGIS\Styles ディレクトリの HTML Popup フォ
ルダをご参照ください。このフォルダには、デフォルトの HTML テーブル オプションに使用される popup.xsl ファイルも格納されて
います。
[ハイパーリンク] ツールと同様、[HTML ポップアップ] ツールを選択すると、HTML ポップアップが定義されているマップのフィー
チャが青(ポリゴンの場合は青い輪郭線)で表示されます。異なる色を指定する場合、または HTML ポップアップによってフィーチャ
の色が変更されないようにする場合は、[ツール] → [オプション] ダイアログの [一般] タブにあるオプションを使用します。また、
[HTML ポップアップ] ツールでは、[選択] → [オプション] の[選択オプション] ダイアログで指定された選択許容値(ピクセル)が
使用されます。HTML ポップアップは、[HTML ポップアップ] ツールが選択されている間は、開いたままの状態となります。また、
同時に複数の HTML ポップアップを開くことができます。
HTML ポップアップの定義は、ポップアップを KML クライアントからアクセスできるように、フィーチャ レイヤやマップを KML ファ
イルに変換したり、ArcGIS Server を使用して KML フォーマットでマップを配信したりする場合は特に便利です。また、HTML ポップ
アップは ArcGlobe、ArcScene でもサポートされています。
[個別属性表示] ツールの改良点
 リレート レコードへのアクセス時に、[個別属性表示] ダイアログにフィールド プロパティが表示されるようになりました。詳細
については、前述の「データ管理」の「テーブル、結合、リレート」をご参照ください。
 [個別属性表示] ダイアログでフィーチャの個別属性を表示する際、[テーブル オブ コンテンツ] に移動してレイヤを探さなくて
も、[個別属性表示] ウィンドウから直接プロパティ ダイアログを起動して、レイヤの属性テーブルを表示できるようになりました。
これにより、大量のレイヤを含むマップでの作業をスピードアップすることができます。たとえば、シンボル、ラベル、または属性
を変更したいフィーチャをマップで確認したい場合、個別属性を表示し、フィーチャに属するレイヤを確認後、レイヤを右クリック
して、[レイヤ プロパティ] ダイアログまたは属性テーブルを開き、レイヤを変更することができます。
ArcReader および ArcGIS Engine アプリケーションには、対応する属性テーブル、またはレイヤ プロパティ コントロールが存在しな
いため、これらのコマンドを ArcReader や ArcGIS Engine で使用することはできません。
 9.3 では、[個別属性表示] ダイアログの右側に表示されている属性をソートする方法は、セッションごとに維持されます。そのた
め、たとえばフィールドをアルファベット順にソートすると、ソート方法を変更するまで、そのソート順が[個別属性表示] ダイアロ
グで使用されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 62
[ハイパーリンク ツール] の改良点
 ハイパーリンクに、ハイパーリンクの開き方をドキュメントに伝えるパラメータが追加されました。たとえば、Adobe PDF にリ
ンクする場合、特定のページを指定することができます。この場合の PDF のパラメータは以下のとおりです。
\test.pdf?<スペース>/A<スペース>”Page=<ページ番号>=OpenActions”
「?」はパラメータ区切り文字です。実際のパラメータは、リンク先のドキュメントを起動するソフトウェアによって異なります。一
般的に、アプリケーション パラメータを含むハイパーリンクには下位互換性はなく、9.3 でのみアクセスすることができます。
ラベリング
新しい [ラベリングの一時停止] コマンド
 9.3 では、新しい [ラベリングの一時停止] コマンドを使用して、
ラベリングを一時的にオフにすることができるようになりました。
このコマンドをオンにすると、ArcMap でラベリングが一時停止されます。ラベリングが一時停止されている間、引き続きプログラム
を使用することはできますが、ラベルは再描画されません。そのため、マップの再描画が必要な画面移動、ズームなどの動作速度が
非常に速くなります。このコマンドは [データ ビュー]、[レイアウト ビュー] の両方で機能します。[ラベリングの一時停止] コマン
ドは [ラベリング] ツールバー、
および[テーブル オブ コンテンツ] のデータ フレームを右クリックすると開く [ラベリング] プルラ
イトにあります。
新しい [ラベリングの一時停止]
コマンド
ハローの改善
 テキスト ハローの描画時のパフォーマンスおよび品質が向上しました。この変更は、アノテーション、Maplex または標準ラベル
エンジンのユーザに役立ちます。(最初に導入されたのは 9.2 Service Pack 4 です。
)
9.3 のラベリング機能の強化に関する詳細については、Maplex エクステンションの章をご参照ください。
シンボル
 Arrow Right Middle と Arrow Left Middle の 2 つの新しいライン シンボルが ESRI スタイル、serverstyle に追加されました。ライ
ンが短すぎて装飾できない場合以外は、長さに関係なく、これらの矢印は常に線分の中央に配置されます。ラインのマーカの位置を
変更することはできませんが、マーカ シンボル、マーカ色、マーカの角度、マーカのサイズ、ライン色、ライン幅、および点線のテ
ンプレートなどの一般的なプロパティの編集は可能です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 63
カートグラフィック リプレゼンテーション
編集、表示、ジオプロセシング、ジオデータベースの 4 つの機能でカートグラフィック リプレゼンテーションが改良されました。
新しいリプレゼンテーション編集機能
 [リプレゼンテーション] ツールバーのリプレゼンテーション編集ツールに、すべてのリプレゼンテーション シンボル レイヤの編
集結果がリアルタイムで表示されるようになりました。9.3 では、マップのフィーチャ リプレゼンテーションを編集すると、ワイヤ
フレーム アウトラインの代わりにフィーチャのシンボルが表示されるので、編集によってマップがどう変わるのかを確認することが
できます。新しい [リプレゼンテーション オプション] ダイアログ ボックスでは、リプレゼンテーション編集ツールを使用して編集
操作を実行したときのビジュアル フィードバック モードを変更することができます。デフォルトの設定は WYSIWYG です。
 ArcGIS 9.3 では、選択されたフィーチャ リプレゼンテーションの頂点、および選択ハンドルのサイズを 9.2 のサイズよりも大きく
することができます。[編集タスク] が [フィーチャの修正] に設定されている場合、選択されたフィーチャ リプレゼンテーションの
頂点は、エディタの選択ツールで表示される頂点と同じサイズになります。新しい [リプレゼンテーション オプション] ダイアログ
ボックスでは、リプレゼンテーションの選択ツールを使用してフィーチャを選択したときのビジュアル フィードバック モードを変
更することができます。デフォルトは大きいサイズです。編集中にリプレゼンテーション シンボルが見やすいようにする場合は、小
さい頂点と選択ハンドルが便利です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 64
頂点–大
頂点–小
頂点–エディタの選択
 すべてのリプレゼンテーション ダイアログが、ミリメートル、センチメートル、インチ、およびポイントの 4 つのページ単位を
付けた値の入力に対応しました。なお、マップ単位はサポートされません。9.3 では、フィーチャクラス リプレゼンテーション プロ
パティで指定されているのと異なる計測単位で値を入力することができます。ダイアログでは、入力された値と計測単位が、プロパ
ティで指定された計測単位の値に変換されます。
 新しいショートカット キーが追加され、各リプレゼンテーション ツールを切り替えたり、アクティブなリプレゼンテーション
ツールを切り替えたり、アクティブなリプレゼンテーション ツールのショートカット メニューにアクセスしたり、[リプレゼンテー
ション プロパティ] ダイアログ ボックスを開いたりできます。ショートカット キーを押すと、主ツールがアクティブ化し、もう一
度押すと、主ツールの副ツールまたはショートカット メニューがアクティブ化します。
• G キーを押すと、[選択] ツールに切り替わります。もう一度 G キーを押すと、[ダイレクト選択] ツールに切り替わります。
• L キーを押すと、[なげなわ選択] ツールに切り替わります。もう一度 L キーを押すと、[なげなわダイレクト選択] ツールに
切り替わります。
• I キーを押すと、[頂点挿入] ツールに切り替わります。もう一度 I キーを押すと、[頂点削除] ツールに切り替わります。
• U キーを押すと、[ベジェ曲線挿入] ツールに切り替わります。もう一度 U キーを押すと、[ベジェ曲線削除] ツールに切り替
わります。
• Y キーを押すと、[コントロール ポイント挿入] ツールに切り替わります。もう一度 Y キーを押すと、[コントロール ポイン
ト削除] ツールに切り替わります。
• W キーを押すと、[補正] ツールに切り替わります。
• P キーを押すと、[平行移動] ツールに切り替わります。
• E キーを押すと、[消しゴム] ツールに切り替わります。
• K キーを押すと、[マスク] ツールに切り替わります。
• R キーを押すと、[回転] ツールに切り替わります。もう一度 R キーを押すと、[角度] ダイアログが開きます。
• O キーを押すと、[オリエント] ツールに切り替わります。もう一度 O キーを押すと、[角度] ダイアログが開きます。
• S キーを押すと、[リサイズ] ツールに切り替わります。もう一度 S キーを押すと、[スケール率] ダイアログが開きます。
• M キーを押すと、[移動] ツールに切り替わります。もう一度 M キーを押すと、[オフセット] ダイアログが開きます。
• F キーを押すと、[オフセット] ツールに切り替わります。もう一度 F キーを押すと、[オフセット] ダイアログが開きます。
• D キーを押すと、[リプレゼンテーション プロパティ] ダイアログの [地図表現] タブが開きます。
• T キーを押すと、[リプレゼンテーション プロパティ] ダイアログの [ツール] タブが開きます。
 選択されたシンボル エレメントのサイズやシェープを調整するショートカット メニュー項目がリプレゼンテーション マーカー
エディタに追加されました。これにより、仕様に正確に、シンボル エレメントを作成することができます。一般的には、複数のエレ
メントのディメンション、場所、間隔が含まれます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 65
 9.3 では、複数のリプレゼンテーション頂点、リプレゼンテーション ベジェ ポイント、およびリプレゼンテーション コントロー
ル ポイントを削除するショートカット メニューが追加されています。 [ダイレクト選択] ツール、[なげなわダイレクト選択] ツール
のいずれかで選択された場合、ツールを右クリックすると、指定されたタイプのリプレゼンテーション頂点を削除するオプションが
表示されます。
新しいリプレゼンテーション表示機能
 テーブル オブ コンテンツや凡例で表示させるリプレゼンテーション ルールを制限したい場合があります。これに対処するため、
[テーブル オブ コンテンツ] のルールの表示をコントロールする新しい [凡例オプション] ダイアログ ボックスが追加されました。
このダイアログを使用して、[テーブル オブ コンテンツ] のルールや表示される順番を選択することができます。凡例が [テーブル
オブ コンテンツ] から自動アップデートを受け取るように設定されている場合、このダイアログでの変更が凡例に反映されます。
ArcMap の特定のフィーチャ レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ の [シンボル]タブからこのダイアログにアクセスすること
ができます。リプレゼンテーションが選択された状態で、 [シンボル]タブの 右下にある
ボタンを押すと表示される メニューで
[凡例オプション] を選択します。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 66
 ArcGIS 9.2 では、ジオメトリック エフェクトを作成するさまざまな方法を紹介する、リプレゼンテーションのための開発者用サ
ンプルが多数提供されていました。これらのサンプルの一部は ArcGIS 9.3 で標準装備されています。また、新しいジオメトリック エ
フェクトとして、移動、正多角形ポリゴン、回転、スケール、テーパ ポリゴン、ウェーブが追加されました。これらのエフェクトは、
これまで、手動で影などのビジュアル エフェクトを作成する方法に変わるものとして設計されています。すべてのジオメトリック エ
フェクトと同様、これらの新しいエフェクトにより、シンボルの形状と場所を動的に調整することができます。
このジオメトリック エフェクトを使用して、シンボル レイヤを新しい場所に動的に移動します。これは、影を作成するのに便利で
す。
このジオメトリック エフェクトを使用して、シンボル レイヤの向きを動的に回転します。これは、角度プロパティでマーカーを回
転するのと同じ方法でストローク、塗りつぶしレイヤを回転するのに便利です。また、ルール内のすべてのシンボル レイヤをまとめ
て回転するグローバル ジオメトリック エフェクトとしても使用できます。
このジオメトリック エフェクトを使用して、シンボル レイヤのサイズを動的に変更します。これは、編集を行わずにディメンショ
ンのフィーチャ リプレゼンテーションのサイズをコントロールするのに便利です。
このジオメトリック エフェクトを使用して、ポイント フィーチャから動的な塗りつぶしシンボルを生成します。これは、マーカー
の周りにハローやバッファ以外の均一なポリゴンを作成するのに便利です。
このジオメトリック エフェクトを使用して、ライン フィーチャから動的な塗りつぶしシンボルを生成します。これは、ラインの指
定されたセクションに沿ってストローク シンボルの幅を徐々に変化させるのに便利です。
このジオメトリック エフェクトを使用して、動的なストローク シンボルを生成し、直線のジオメトリ セグメントから自然な形状を
作成します。これは、河川などを作成するのに便利です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 67
 ArcGIS 9.3 では、[頂点上]という名前の新しいマーカー配置スタイルが追加されており、ラインやポリゴンのアウトラインに対し
て配置されるマーカーの場所をさらにコントロールすることができます。このマーカー配置スタイルを使用して、リニア フィーチャ
やポリゴンのアウトラインに沿って、特定の頂点上にマーカーを配置することができます。これは、リニア フィーチャの始点や終点、
またはポリゴンが閉じるポイントからの正確な距離が不明な場合にマーカーを配置するときに便利です。
リプレゼンテーションの新しいジオプロセシング ツール
 複数のインシデントが同じ場所で発生している場合、ポイント フィーチャはインシデントごとに作成されます。ポイントがシン
ボル表示されている場合、互いに重なって、1 つのフィーチャのように見えてしまいます。マーカー シンボルが重なっていたり、重
なりそうになっていたりする場合、新しい [マーカーの分散(Dispense Markers)] ジオプロセシング ツールは、ポイント フィーチャ
のリプレゼンテーション シンボルを使うことにより、マーカー シンボルをばらして表示します。これにより、1 つの場所に実際と同
じ数のインシデントを表示することができます。たとえば、このジオプロセシング ツールは、犯罪件数や警察への緊急電話回数を表
示するのに便利です。このツールは、ArcToolbox の [カートグラフィ] → [シンボル表現の調整] にあり、使用するには、ArcInfo の
ライセンスが必要です。
[最小間隔] パラメータは、マーカー シンボルの端から別のマーカー シンボルの端までの距離を指します。マーカー シンボルがその
範囲内にある場合、グループの一部とみなされ、グループ内のマーカー同士の間隔が最小スペースになるまで広げられます。ツール プ
ロセスの結果の配置には 8 つの異なる方法が用意されています。
最小
間隔内にあ
る
ポイントの
集合体
 複数のポリゴンで共有している境界線を点線などの繰り返しのストローク シンボルで表示すると、互いのポリゴンの点線パター
ンが一致しないため、点線がわかりにくくなることがあります。[交点にリプレゼンテーション コントロール ポイントを設定(Set
Representation Control Points At Intersect)] ジオプロセシング ツールは、フィーチャのリプレゼンテーション シンボルにより、頂
点が重なっているフィーチャの場所ごとにコントロール ポイントを追加して、複数のポリゴンの各パターンが同じ場所で開始および
終了するようにします。このジオプロセシング ツールは、共有する境界をきれいな点線で表示するのに便利です。このツールは、
ArcToolbox の [カートグラフィ] → [シンボル表現の調整] にあり、使用するには、ArcInfo のライセンスが必要です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 68
[第 2 フィーチャ] パラメータでは、フィーチャ レイヤのフィーチャが他のフィーチャ レイヤのフィーチャと交差する場所を特定す
るために使用されます。1 つのフィーチャクラス内で自己交差しているフィーチャを検出するには、[第 2 フィーチャ] パラメータは
空欄にしてください。第 2 フィーチャとは、ポイント フィーチャ、リプレゼンテーションを持たないフィーチャ、およびシェープファ
イルやカバレッジのようなジオデータベース以外のフィーチャを言います。
左:アウトライン シンボル
のパターンが一致していま
せん。
右:ツールを実行すると、
アウトライン シンボルの
パターンが一致します。
リプレゼンテーションのエクスポートの改善
 ArcGIS 9.3 では、XML ワークスペースにデータをエクスポートすると、フィーチャクラスのリプレゼンテーションに関する追加情
報、具体的に言うと、各リプレゼンテーション ルールの定義が提供されるようになりました。説明には、ジオメトリック エフェク
ト、マーカー配置スタイルとそれぞれのデフォルトのパラメータ値、また、シンボル レイヤのタイプとそれぞれの特性(サイズや色
など)が詳述されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 69
Web データのマップへの追加
無料 ArcGIS Online サービスおよびデータのマップへの追加の簡易化
 9.2 以前では、オンライン データをマップに追加するには、ArcCatalog で接続し、わかりにくいサービス名を使用しなければな
りませんでした。9.3 では、すぐに使用できるマップ、グローブ、およびレイヤを新しい ArcGIS Desktop Resource Center の [Content]
セクションで提供することにより、このプロセスを簡易化しました。これらのファイルには、ArcGIS Online サービスを始め、ESRI、
政府機関、公共団体が提供している便利なサービスが格納されています。ArcMap と ArcGlobe 9.3 では、[ファイル] → [リソース セ
ン タ ー か ら デ ー タ を 追 加 ] を 選 択 す る だ け で 、 Resource Center の レ イ ヤ ペ ー ジ を 起 動 す る こ と が で き ま す 。 ま た 、
http://resources.esri.com/arcgisdesktop/maps にアクセスして、ArcGIS Desktop Resource Center の [Content] セクションを直接開
くこともできます。
ArcGIS Server マップ サービスの改良
 9.3 では、ArcMap のキャッシュ マップ サービスをリサンプルするためのアルゴリズムが改良されました。キャッシュ マップ
サービスは、あらゆる解像度で表示できるようにリサンプルされます。ArcMap 9.2 では、キャッシュ マップ サービスがリサンプル
されると、含まれるテキストやけい線の表示がゆがんだり破損したりすることがよくありました。この機能強化により、ArcMap の
キャッシュ マップ サービスの表示が大きく改善されます。また、図形描画のパフォーマンスも大幅に向上します。
また、この改良作業の一環として、リサンプリング ロジックを修正しました。9.3 では、キャッシュ サービスに詳細データが含まれ
ていないエリアを拡大表示する場合、ArcMap に「Map Data Not Yet Available」という画像が表示されることはありません。9.3 では、
ArcMap は常に最も近いキャッシュ解像度からリサンプルするため、ラスタとほぼ同じように、キャッシュ マップ サービスでのズー
ムが行われるようになります。マップ作成者として、表示されている解像度が作成するマップに使用できるかどうかを判断すること
ができます。
 9.3 では、アクセスしたときに、キャッシュ マップ サービスが ArcMap によってどのようにユーザのマシンにキャッシュされる
かをコントロールすることができます。キャッシュ マップ サービスのレイヤ プロパティ ダイアログの新しい [キャッシュ] タブで、
セッション間でローカル キャッシュを維持する(デフォルト、9.2 と同じ)か、セッション終了時にローカル キャッシュを消去する
か、ローカルにはデータをキャッシュしないかどうかを選択することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 70
キャッシュ マップ サービスを含むレイヤを描画する場合、最大限のパフォーマンスを得るため、ローカル キャッシュを維持するこ
とをお勧めします。しかし、アクセスするデータがサーバで頻繁に変更される場合や、サーバから最新のデータをマップやアプリケー
ションに取り込むことが不可欠な場合には、他のキャッシング オプションを選択する方がよいでしょう。また、使用可能なディスク
の空き容量が限られていて、マシンに格納するテンポラリ データの量を最小限に抑えたい場合も、他のキャッシング オプションを
選択してください。データがローカルにキャッシュされていない場合でも、ArcMap は、ArcGIS Server がマップをイメージとしてレ
ンダリングするのを待たずに、ArcGIS Server からキャッシュ イメージ タイルをフェッチするだけなので、キャッシュされていない
マップ サービス(「動的な」サービス)よりも、キャッシュ マップ サービスの方がパフォーマンスは高いです。
また、新しい [キャッシュ] タブには、使用中のキャッシュ マップ サービスのためにキャッシュが使用する現在のディスクの空き容
量と、Windows のテンポラリ ディレクトリにあるキャッシュの場所が表示されます。マシンのローカル キャッシュは常に
esrimapcache という名前のフォルダに格納され、他のテンポラリ データと同様、このフォルダは Windows のテンポラリ ディレク
トリに格納されます。esrimapcache フォルダには、キャッシュ マップ サービスごとにサブフォルダが用意され、このサブフォルダ
名が、表示されるパスの最後の部分になります。
9.3 では、ArcGIS Server でキャッシュ マップ サービスを公開する際、マップ サービスにアクセスする ArcMap などのクライアント ア
プリケーションがデータをローカルにキャッシュできないように指定することができます。このオプションは、データが頻繁に変更
される場合や、データに機密情報が含まれる場合によく使用されます。キャッシュ マップ サービスでクライアント コンピュータで
のローカル キャッシュが禁止されている場合、[キャッシュ] タブの最初の 2 つのキャッシング オプションは無効になります。
 キャッシュ マップ サービスで表示される各レイヤのローカル ディスク キャッシュを消去できる以外にも、ArcCatalog の [ツー
ル] → [オプション] ダイアログの新しい [GIS サーバ] タブを開いて、ローカル キャッシュ全体を消去することができます。[サイズ
の取得] ボタンを押すと、キャッシュの現在のサイズに関する最新情報が得られます(このタブを開いても情報は自動的に更新されな
いため、サイズを確認するのに時間がかかる場合があります)
。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 71
タブには、Windows のテンポラリ フォルダのキャッシュの場所も表示されます。Windows のテンポラリ フォルダの場所は、
Windows
の TMP システム環境変数によって決められています。TMP ユーザ変数のパスを指定することで、空き容量の多い他のディスクなど、
別の場所に Windows のテンポラリ フォルダを移動することができます。Windows XP では、[コントロール パネル] → [システム] →
[詳細設定] → [環境変数] ダイアログで TMP ユーザ変数を設定します。上記の例では、TMP は C:\TEMP に設定されています。
 ArcMap でキャッシュ マップ サービスを使用する場合、通常はサービスで使用できるキャッシュの解像度について気にする必要
はありません。マップでキャッシュ サービスを使用すると、ArcMap が自動的にサービスから適切なキャッシュ解像度を選択および
リサンプルし、マップに表示します。これは、ArcMap でラスタ データを使用する場合とほぼ同じです。
作成するマップのサービスで利用できる最適な解像度を表示するため、サービスがキャッシュされている解像度の 1 つにマップをズー
ムした方がよい場合もあります。この場合は、ラスタ レイヤを右クリックして[ラスタの解像度にズーム] コマンドを選択するときと
同様、キャッシュ マップ サービスを右クリックし、新しい [最近隣キャッシュ縮尺に拡大] コマンドを選択してください。これによ
り、現在の縮尺に最も近くキャッシュされた解像度で、マップが自動的にズームされます。(キャッシュ マップ サービスは、縮尺、
DPI 設定でサーバに定義されたさまざまな解像度でキャッシュされています。)つまり、ArcMap でリサンプリングを行わずに、ネイ
ティブの解像度でキャッシュ マップ サービスを表示する場合に、このコマンドを使用します。
9.3 で追加
たとえば、使用しているマップ サービスが現在のマップの縮尺では「不鮮明」で、現在の表示とリサンプリングがない場合のマップ
サービスの表示を比較したい場合、このコマンドを使用することができます。したがって、このコマンドはマップを「はっきりさせ
る」ものと考えることができます。また、キャッシュ マップ サービスをレビューして、品質や利便性を評価したり、公開したキャッ
シュ マップ サービスを点検したりする場合にも便利です。
キャッシュされていない ArcGIS マップ サービス、つまり「動的な」サービスを使用する場合、このコマンドは無効となります。
また、[最近隣キャッシュ縮尺に拡大] コマンドは ArcCatalog でも使用することができます。[プレビュー] モードでカタログ ツリー
のキャッシュ マップ サービスを右クリックしてください。さらに、キャッシュ マップ サービスを公開またはレビューするときに、
格納されているさまざまなキャッシュ解像度ですばやく閲覧するには、ArcCatalog の [ArcGIS Server ツール] ツールバーの新しい
[キャッシュ縮尺] ドロップダウン コントロールが便利です。このドロップダウン リストには、プレビュー中のキャッシュ マップ
サービスがサポートするキャッシュされた縮尺がリストアップされ、簡単に縮尺を切り替えることができます。また、サービスがリ
サンプルされている縮尺に手動で拡大縮小した場合、キャッシュされた縮尺に戻ることができる [最近隣キャッシュ縮尺] オプション
も表示されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 72
 ArcMap の ArcGIS Server ログイン ダイアログに [ユーザ名とパスワードを保存] チェック ボックスが追加されました。これによ
り、認証が必要なマップ サービスをマップやグローブ ドキュメントに追加する際、ドキュメントに指定したユーザ名、パスワード
を保存するかどうか選択できるようになりました。また、認証が必要なマップ サービスを含む既存のマップ グローブを開く場合、
またはこのようなサービスを含むレイヤをマップやグローブに追加する場合も、このログイン ダイアログが表示されます。
たとえば、[ArcGIS Desktop Resource Center] → [レイヤ] ページで i-cubed のイメージ レイヤなどのプレミアム サービスをクリッ
クすると、ArcGIS Online のプレミアム サービスの登録用のユーザ名およびパスワードの入力を求められます。[ユーザ名とパスワー
ドを保存] ボックスをチェックすると、認証に必要なこれらの情報が、レイヤを追加するマップやグローブに保存されるため、次にそ
のマップやグローブを開いたときにログインしなおす必要がなくなります。
 ArcGIS Server 9.3 で公開された、認証が不要なマップ サービスは、ArcGIS Desktop 9.3 および 9.2 のサービス パック 1 以降でア
クセス可能です。ArcGIS Server 9.3 で公開された認証が必要(アクセスにユーザ名とパスワードが必要)なマップ サービスは、イン
ストールされているサービス パックに関係なく、Desktop 9.2 ではアクセスできません。これは、ArcGIS SErver 9.3 で使用されている
認証方式にトークンベースのセキュリティが追加されているためです。
 9.3 では、ArcGIS Server のマップ サービスをマップに追加する際、行われるデータ変換を指定できるようになりました。データ
変換が推奨される場合、ArcMap にプロンプト ダイアログが表示されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 73
OGC WMS のサポートの強化
 ArcGIS Desktop で、WMS 1.3.0 サービスにアクセスできるようになりました。また、大量のレイヤを含む WMS サービスの特定レ
イヤへのアクセスが簡単になりました。ArcCatalog で WMS サービス ツリーを展開し、ツリー内のレイヤおよびレイヤ コレクショ
ンにアクセスすることができます。ツリーを展開して、使用したいレイヤやレイヤ コレクションを選択し、マップやグローブに直接
ドラッグすることができます。
一部の WMS サービスの凡例は、サイズおよびフォーマットにより、ArcMap の [テーブル オブ コンテンツ] には表示されません。
この状況に対処するため、表示されない凡例をグラフィックとしてマップに追加できる、WMS サービスのレイヤの新しいコマンドが、
ArcMap のショートカット メニューに追加されました。
9.3 で追加
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 74
一部の WMS レイヤには、Style Layer Descriptor(SLD)仕様を使用しているサービス公開者が指定する、代替シンボル スタイルが格
納されています。9.3 でこのようなサービスにアクセスすると、WMS サービスのレイヤのプロパティ ダイアログにある新しい [スタ
イル] タブで、適切な凡例のスタイルを選択することができます。
 WMS サービスのフィーチャの個別属性を表示する場合、[個別属性表示] ウィンドウで、返されたデータをドラッグして[コピー] を
選択し、テキストとしてマップや他のアプリケーションにペーストすることができます。
OGC WFS のサポートの強化
 ArcGIS 9.2 では、ArcGIS Desktop の OGC WFS に「GML シンプル フィーチャ」レベルの無料サポートが導入されました。これに
は Data Interoperability エクステンションのインストールが必要ですが、エクステンションのライセンスは不要で、[ツール] → [エク
ステンション] ダイアログでエクステンションを有効にする必要もありません。GML の他のアプリケーション スキーマを使用するに
は、エクステンションのライセンスが必要です。このサポートは 9.3 でも継続されます。また、9.3 では、WFS から直接ジオデータベー
スにフィーチャをロードし、これらのステップをジオプロセシング モデルおよびスクリプトに組み込むことができる新しい [WFS to
Feature Class] ジオプロセシング ツールが導入されました。このツールは [変換] ツールボックスにあります。使用するには、
ArcEditor または ArcInfo のライセンスが必要です。このツールでは Data Interoperability エクステンションは使用されないため、Data
Interoperability エクステンションのインストールやライセンスは不要です。
Web データの使用に関するドキュメントの改善
ArcGIS Server、ArcIMS、および ArcGIS Online を含む、Web で入手可能なさまざまなライブ データの使用に関する情報について
は、Desktop ヘルプの、新しい [マッピングとビジュアライゼーション] → [ArcGIS での Web マップの操作] セクションをご参照く
ださい。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=An_overview_of_G IS_web_map_layers
相互運用性と、OGC WMS、WCS、WFS、および KML などの標準の ArcGIS でのサポートに関する一般的な情報については、Desktop ヘ
ルプの [相互運用性と標準規格のサポート] セクションをご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Overview_of_interoperability
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 75
ArcMap での Web データの使用に関連するその他の改良点
 ArcIMS イメージ サービスを含むレイヤのレイヤ プロパティ ダイアログの [高度な設定] タブに、透過表示コントロールが追加
されました。ArcIMS イメージ サービスでは、透過表示を常にサポートしてきましたが、これまではプロパティ ダイアログから直接、
透過表示を設定することができませんでした。
 9.3 では、横方向のスクロール バーの [ビューの更新] ボタン(キーボード ショートカットは F5 キー)の機能が強化され、ボタ
ンを押すと、サーバから新しいイメージを要求して、マップ サービス レイヤ(ArcIMS、ArcGIS Server、WMS)が再描画されるよう
になりました。この機能強化により、[ビューの更新] を押したときのマップ サービスの処理方法が、他のデータ ソースの処理方法
と同じになりました。9.2 以前では、[ビューの更新] ボタンを押すと、ArcIMS イメージ サービス レイヤなどのレイヤはサーバから
再描画されず、セッション中に ArcMap が保持していたローカルのテンポラリ ファイルから再描画されたため、サーバ上でデータへ
の変更を自動的に見ることはできませんでした。この機能強化の唯一の例外は、キャッシュされた ArcGIS Server のマップ サービス
を使用しているときで、ローカル キャッシュが存在する場合、[ビューの更新] ボタンを押すと、そのローカル キャッシュからサー
ビスが再描画されてしまいます。キャッシュ マップ サービスにサーバの最新データが格納されるようにするため、レイヤをダブル
クリックし、プロパティ ダイアログの [キャッシュ] タブでローカル キャッシュを消去することができます。
レイヤ ファイルの取り扱い
 9.3 では、レイヤ ファイル(.lyr ファイル)が Windows エクスプローラ、Windows デスクトップ、Outlook メッセージなどに黄
色いアイコンで表示されるようになりました。9.2 以前では、.lyr ファイルは ArcGIS アプリケーションに登録されず、アイコンは表示
されませんでした。
Windows エクスプローラ、
Windows デ ス ク ト ッ プ 、
Outlook などに黄色いアイコ
ンで表示される LYR ファイル
LYR ファイルをダブルクリッ
クして、現在のマップに追加す
ることができます
注意:Windows のすべての.lyr ファイルで、同じ一般的な黄色いアイコンが使用されます。アイコンには、ArcCatalog や[データの追
加] ダイアログの.lyr ファイル アイコンのように、レイヤに格納されているデータのタイプは表示されません。
 Windows エクスプローラ、Outlook、Windows デスクトップなどでレイヤ ファイルをダブルクリックすると、ArcMap が自動的
に起動し、ArcMap がまだ開いていない場合はそのレイヤが表示されます。ArcMap がすでに開いている場合は、レイヤが自動的にそ
のセッションに追加されます。レイヤ ファイルに ArcGlobe でしか表示できないコンテンツが格納されている場合、レイヤ ファイル
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 76
をダブルクリックすると、ArcGlobe が起動されます。また 9.3 では、Outlook から ArcMap、ArcGlobe、または ArcScene にレイヤ ファ
イルをドラッグ アンド ドロップできるようになりました。これにより、簡単に Web コンテンツを参照するレイヤ ファイルを、電
子メールで送信することができます。受信者は電子メールのレイヤをすぐにマップに追加することができます。
 9.3 では、新しい ArcGIS Desktop Resource Center のレイヤ ページなど、Web ページから直接、レイヤ ファイルを開くことがで
きるようになりました(上記をご参照ください)。Web ページのレイヤ ファイルをクリックすると、ファイルが現在の ArcMap セク
ションに追加されます。ArcMap が動作中でない場合は、ArcMap が起動します。格納されているコンテンツがグローブのみのレイヤ
では、ArcGlobe が動作中でない場合、ArcGlobe を自動的に起動します。
9.3 では、バックグラウンドで、レイヤ ファイルが ArcGISAppLauncher.exe という名前の小さなユーティリティ プログラムに登録さ
れます。このプログラムは、起動時の ArcGIS Desktop のレイヤ ファイルの取り扱い方法を決定し、ArcMap および ArcGlobe がイン
ストールされているかどうかを確認し、レイヤ ファイルを適切なアプリケーションに送信します。
 これらの機能強化により、特に ArcMap や ArcGlobe を使用しているユーザに、ArcIMS または ArcGIS Server を使用してオンライ
ン サービスを提供する場合、これまでよりもずっと簡単にレイヤ ファイルを配信することができます。レイヤ ファイルをあらゆる
Web ページに追加して、すぐに Desktop アプリケーションで使用できるようにすることができます。9.2 のユーザはこれらのレイヤ
ファイルを右クリックし、ローカルにダウンロードして使用することができます。
9.3 を使用して、他の Desktop ユーザがアクセスできるマップ ドキュメントおよびレイヤ ファイルを作成する場合、9.2 以前のバー
ジョンの ArcGIS のユーザがアクセスできるようにファイルを保存してください。ArcMap や ArcGlobe の [ファイル] → [コピーを保
存] コマンドを使用して、9.2 以前のバージョンのユーザがアクセスできるマップおよびグローブ ドキュメントを作成します。レイ
ヤ ファイルを作成したら、[レイヤ ファイルとして保存] ダイアログのドロップダウン リストからファイル タイプを確認します。
マップやレイヤに ArcGIS Server サービスが格納されている場合、9.2 のフォーマットで保存することができます。マップまたはレイ
ヤに ArcIMS、WMS サービスが格納されている場合、9.0 のフォーマットで保存することができます。これにより、9.2 以前のバージョ
ンの ArcGIS のユーザが、作成したマップやレイヤにアクセスできるようになります。
マップの操作と表示
レイヤの相互排除表示ショートカット
 ArcMap の [テーブル オブ コンテンツ] では、Alt キーを押したままレイヤの隣にあるチェック ボックスをチェックすると、そ
のレイヤがオンになり(まだオンでない場合)、[テーブル オブ コンテンツ] 階層の同じレベルにある他のすべてのレイヤがオフにな
ります。すばやく 1 つのレイヤをオンにし、残りをオフにできるので、たとえば、異なるイメージ ソースなど、さまざまなデータ ソー
スを比較して、ニーズに最適なソースを確認したい場合に便利です。また、デモやプレゼンテーションで使用すれば、マップまたは
特定のグループ レイヤで一度に 1 つずつレイヤを表示することができます。
たとえば、以下の ArcGIS Online のベースマップのように、相互排除されたベースマップを格納しているグループ レイヤがある場合、
Alt キーを押したまま、表示したいベースマップの隣にあるチェック ボックスをチェックすると、そのベースだけがオンになります。
このショートカットは、Web マッピング プログラムの道路、航空などの切り替えと同じものと考えることができます。9.2 以前では、
ArcMap では現在のレイヤをオフにし、表示したいレイヤをオンにするため、2 回クリックする必要がありました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 77
ビューア ウィンドウの改良点
 9.2 では、[データ フレーム ツール] ツールバーに新しい [ビューア ウィンドウの作成] ツール
が追加されました。9.3 では、
このツールが [ツール] ツールバーに追加されています。このツールを使用すると、マップの特定のエリアを表示するビューア ウィ
ンドウを簡単に開くことができます。ツールを選択し、さらに詳細に表示したいエリアをマップにドラッグすると、ビューア ウィン
ドウが起動し、その範囲が表示されます。
[ビューア ウィンドウの作成] ツール
ビューア ウィンドウは、マップを同時に複数の縮尺で簡単に使用できるように、9.2 で導入されました。[ウィンドウ] → [拡大鏡] コ
マンドと同様、[ウィンドウ] → [ビューア] コマンドおよび[ビューア ウィンドウの作成] ツールは、 [レイアウト] ビューで無効に
することができます。
 マップ ドキュメント内の複数のデータ フレームをスクリーン上に並べて表示できるようになりました。以前は、複数のデータ
データフレームのデータを同時に使用するには、レイアウト ビューに切り替えてレイアウト ページにデータフレームを配置する、
または複数のマップ ドキュメントを開く以外に方法はありませんでした。機能を拡張したことにより、ビューア ウィンドウにアク
ティブではないデータ フレームも表示できるようになりました。このため、ビューア ウィンドウを開いている間に、他のデータ フ
レームをアクティブにしても、ビューアは閉じられることなく、複数のデータフレームを並べて作業が行えます (この機能拡張は 9.2
Service Pack 2 で行われました)。
この例では、同じ地域の異なるデータを表示した2つのデータ フレームを比較するのに、ビューア ウィンドウを使用しています:
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 78
ArcMap のメイン ウィンドウが現在表示しているアクティブなデータ フレームと同じ場所を、アクティブではないデータ フ
レームを表示しているビューアに簡単に表示させる事ができます。同様に、ほかのビューアが表示している場所と同じ場所を、
ArcMap のメイン ウィンドウに表示させることが可能です。ビューア ウィンドウのメニューには、両方のウィンドウに同じ
場所を表示させるための、ビューアと ArcMap のメイン ウィンドウを拡大、画面移動するコマンドがあります:
非アクティブなデータ フレームを表示しているビューア内で行える操作には、いくつか制限があります。マップ ナビゲーショ
ン、検索、選択は行えますが、グラフィックスやフィーチャの編集は行えません。ツールが非アクティブなデータ フレームを
表示しているビューア内で使えない場合、ビューア上ではツールのカーソルが変わり、使用不可ということを示します。アク
ティブなデータ フレームを表示しているビューア内では、操作の制限はありません。
解析、時間変化、データ評価などで、同じ地域の異なるデータセットを見たい場合に、1つのデータフレーム上で全データを
表示したり、複数のマップ ドキュメントを立ち上げて作業するのに比べて、ArcMap で複数のデータ フレームを並べて操作
する方が便利です。
下の写真では、2つの異なるマップ サービスを別々のデータ フレームに追加して、同じ地域を比較しています。非アクティ
ブなデータ フレームを表示しているビューア ウィンドウが最大化されて、2番目のモニターに映っています:
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 79
ヒント:複数のデータ フレームで作業を行うのに便利なショートカットを2つ、紹介します:
CTRL + TAB:次のデータフレームをアクティブ化して、データフレーム間でアクティブ化を切り替えます。
(同様のことを、ボタンをクリックして行うこともできます。ボタンを追加するには、[ツール] メニュー > [カスタマイズ] ダ
イアログの [コマンド] タブを開きます。左のカテゴリから [表示] を選択し、コマンドから [次の(前の)データフレームを
アクティブ化] ボタンをクリックして、ArcMap 上の任意の場所にドラッグ&ドロップします。)
ALT + テーブル オブ コンテンツのデータ フレーム名をクリック:データフレームをアクティブ化します。
Schematics エクステンションを使用している場合、ビューア ウィンドウを使うと、レイアウト ビューで作業をしなくても、
模式図と地理データを並べて作業できます。(
本文の「Sckematics」セクションを参照)。
ArcMap、ArcGlobe、ArcReader でお気に入りの場所を共有する
[ツール] > [お気に入り]
ダイアログに、お気に入りリストのサブセットを別ファイルに保存するオプションが追加され
ました。Service Pack 2 から [保存] ボタンが変更され、[選択リストを保存] と [すべてのリストを保存] の 2 つのメニューが
追加されました。また、複数のデータ フレームで作業するのに便利な 2 つのショートカットも追加されました。
[選択リストを保存] オプションを使用して保存すると、ファイルにお気に入りの場所のサブセットを保存することができ、他
の人や別のマシン間で共有することができます。9.3 の[ブックマークの管理] ダイアログで作成したファイルを読み込み、お
気に入りの範囲(上記の図の黄色い四角形アイコン)をマップ ドキュメントとブックマークにすることができます。お気に入
りの Place ファイルを[ブックマークの管理]に読み込むと、範囲ではない場所はスキップされます。同様に、[ブックマークの
管理] でブックマークをファイルに保存し、[お気に入り] ダイアログで読み込み、すべてのマップ ドキュメントのナビゲー
ションに使用することもできます。
[レイヤの全体表示] コマンドのフィルタ設定の反映
 フィルタ設定を含むレイヤにおいて [レイヤの全体表示] コマンドを使用すると、その設定で定義されているデータがある範囲だ
けを表示するようになりました。9.2 以前では、[レイヤの全体表示] ではフィルタ設定が反映されず、レイヤ全体が表示されていまし
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 80
た。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 81
同様に、選択レイヤで [レイヤの全体表示] コマンドを使用すると、その選択レイヤのデータ範囲が表示されます。これまでは、選択
レイヤの範囲にズームすると、レイヤが参照するデータ ソース全体が表示され、レイヤが示すフィーチャのサブセットは考慮されま
せんでした。
(これらが最初に改良されたのは 9.2 のサービス パック 4 です。)
ヒント:[テーブル オブ コンテンツ] で Alt キーを押しながらアクティブなデータ フレームのレイヤの名前をクリックすると、その
レイヤの範囲がズームされます。このショートカットは 9.2 で追加されました。
マウス ホイールを動かしてカーソル位置を中心にズームするオプション
 9.2 で、マウス ホイールを動かして拡大縮小する機能が導入されましたが、これは表示画面の中央を中心に行われていました。9.3
でもこれがデフォルトの動作ですが、現在のカーソル位置を中心にズームするオプションが ArcMap の [ツール] → [オプション] ダ
イアログの [一般] タブに追加されました。この新しいオプションを使用して、マップの隅にカーソルを置き、その場所を拡大縮小し
て画面に表示することができます。[ツール] → [オプション] ダイアログの [一般] タブの他の設定と同様、この設定は、現在のマッ
プ ドキュメントだけではなく、すべての ArcMap セッションに適用されます。
9.3 で追加
ヒント:マウス ホイールを動かして拡大縮小する際、Ctrl キーを押したままにすると、より緩やかにズームすることができます。
ArcMap でマウス ホイールを動かしてズームではなくスクロールをするオプション
 デフォルトでは、ArcMap でマウス ホイールを動かすと、ズームが実行されます。これにより、現在使用しているツールに関係
なく、簡単にズームすることができますが、9.2 以前の動作のように、マウス ホイールを動かしてマップを上下にスクロールする方
を好むユーザもいます。たとえば、ArcMap 9.1 では、前後に動くだけでなく、左右に傾けることができる「チルト」ホイールを搭載
したマウスを使用して、4 方向に画面を移動することができました。しかし、ArcMap 9.2 では、マウス ホイールを前後に動かすと、
上下のスクロールではなくズームが実行されるため、画面移動にチルト ホイール マウスを使用しても、思ったように動かすことが
できませんでした。そのため、9.2 のサービス パック 3 で、9.2 で導入されたデフォルトのマウス ホイールの動作を上書きできる新
しいレジストリ設定が導入されました。9.3 では、arcgis/utilities フォルダにある AdvancedArcMapSettings ユーティリティでこれを
設定することができます。ユーティリティを起動後、[その他] タブの [Panning and Scrolling] グループ ボックスを確認してくださ
い。
マウス ホイールをシングルクリックしたり押し続けたりする動作は、この設定による影響を受けません。したがって、このレジスト
リ設定の値に関係なく、マウス ホイールを押したままドラッグして画面を移動したり、ドラッグし画面移動した場所で Ctrl キーを押
しながらズームしたり、マウス ホイールをシングルクリックして中央配置を行ったり、また Ctrl キーを押しながらシングルクリック
してズームしたりすることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 82
マップのエクスポート
PDF にエクスポートする際に使用可能な機能の追加と改善
 マップを PDF にエクスポートするのが、GIS を世界中で共有する一番簡単な方法です。
ArcMap 9.2 では、PDF エクスポート機能が強化され、ArcMap の [テーブル オブ コンテンツ] のレイヤのリストが出力先の PDF に
含まれるようになりました。これにより、PDF のユーザは、Adobe Acrobat Reader の [レイヤ] パネルでレイヤのオン/オフを切り替
えることができます。したがって、たとえば、異なるマップを表示する PDF を 10 ファイル作成する代わりに 1 つだけ作成し、エン
ド ユーザがどのレイヤを表示するかを選べるようにすることができます。
9.3 では、この機能がさらに強化され、PDF にエクスポートされるレイヤ リストにグループ レイヤおよびデータ フレームが階層と
して表示されるようになりました。Adobe Reader のインタフェースで、ユーザはグループ レイヤのオン/オフを切り替えたり、グルー
プ レイヤの中の各メンバのオン/オフを切り替えたりすることができます。リストのレイヤは、属するデータ フレームによって、自
動的にグループ化されます。これにより、グループ レイヤまたは複数のデータ フレームを含む PDF を使用するユーザは、これまで
よりも極めて簡単に、表示をカスタマイズできるようになりました。
また、9.3 では、レイヤ リストを出力先の PDF に含めないオプションも追加されています。レイヤ リストを除外するには、[ファイ
ル] → [マップのエクスポート] ダイアログにある PDF オプションの新しい [高度な設定] パネルで、ドロップダウン リストから [な
し] オプションを選択します(以下の図をご参照ください)。
 ArcMap 9.3 では、エクスポートされた PDF にフィーチャ属性を含めるオプションも追加されています。PDF のユーザは、Adobe
Acrobat Reader の [オブジェクト データ] ツールを使用して、これらの属性にアクセスすることができます。このオプションは、[ファ
イル] → [マップのエクスポート] ダイアログの PDF オプション パネルの新しい [高度な設定] タブを使用して、有効にすることがで
きます。
9.3 で追加
[なし] オプションを選択して、
出力先の PDF ファイルからレイ
ヤ リストを除外することがで
きます
ま た 、 新 し い [PDF レ イ ヤと
フィーチャの属性をエクスポー
ト] オプションを選択して、出力
先の PDF ファイルにフィーチャ
属 性 を 含 め 、 Adobe Acrobat
Reader の [オブジェクトデータ
ツール] を使用してアクセスでき
るようにすることも可能です
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 83
フィーチャ属性を含むオプションを使用する場合、レイヤに多数のフィーチャが含まれている場合は特に、マップの 1 つのレイヤの
属性のみを含めることをお勧めします。レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログの [フィールド] タブで、PDF の属性に含めたくな
いフィールドをオフにすることができます。
Adobe Reader のユーザは、[ツール] → [オブジェクトデータ] メニューから [オブジェクト データ ツール] にアクセスすることが
できます。Adobe Reader 7.0 のオブジェクト データ ツールは以下の図のとおりです。
Adobe Reader のユーザは、Adobe Reader の [モデル ツリー] パネルでフィーチャをクリックして、その属性を表示することができ
ます(以下をご参照ください)。また、[モデル ツリー] でレイヤを展開して各フィーチャをリストアップし、フィーチャをクリック
して属性を表示し、マップ上でハイライトすることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 84
 ArcGIS 9.3 には、Adobe Acrobat 9 の新しい地理空間機能のサポートが追加されました。Adobe Acrobat 9 では、PDF 仕様がアッ
プデートされ、PDF にマップ座標系情報を格納することができます。これにより、Adobe Acrobat 9 のユーザは、マップ上でカーソ
ルを動かしながらその位置座標を読み取ったり、特定の XY 位置を検索したり、マップ単位で距離を測定したり、マークアップを追加
したりするといったジオグラフィックの操作を実行することができます。ESRI はこの 1 年間、Adobe Systems と連携して、PDF フォー
マットでマップを配布する際にこの新機能を活用できるシームレスなワークフローを実現しました。
Adobe Acrobat ユーザが PDF を使用する際にこの地理空間機能を利用できるかどうかは、どの Acrobat 9 を使用しているか、またど
のように PDF が作成されたかによります。
Adobe Reader9:ArcMap からエクスポートされた PDF で、座標の読み取りおよび XY 座標の検索を実行することができます。また、
ArcMap からエクスポートされた PDF を Adobe Acrobat 9 Pro または Pro Extended を使用して再保存して機能を有効にした場合、測
定やマークアップも実行可能です。
–
Adobe Acrobat 9 Standard と Pro:座標の読み取り、XY 座標の検索、測定、およびマークアップを実行することができます。
–
Acrobat 9 Pro Extended:座標の読み取り、XY 座標の検索、測定、およびマークアップを実行することができます。また、高度
なオーサリング機能により、シェープファイル、GeoTIFF、および JPEG2000 をマップに追加可能です。
–
Adobe Acrobat 9 製品に関する詳細については、http://www.adobe.com/products/acrobat をご参照ください。
ArcGIS とこれらの新しい地理空間機能を使用した PDF の作成のサポートは、ArcGIS Desktop、ArcGIS Engine、および ArcGIS Server
で、9.3 に対応しています。
9.3 で追加
このボックスがチェックされて
いるとき、Adobe Acrobat 9 で
エクスポートした PDF を使用す
ると、座標の読み取り、XY 座標
の検索、測定などがサポートさ
れます
9.3 での PDF のエクスポートに関する詳細については、Desktop ヘルプの [マッピングとビジュアライゼーション]
→ [ページのレイアウトとマップの組み立て] → [マップの出力] セクションの新しい [高度な PDF 機能] をご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Advanced_PDF_Features
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 85
レイヤおよびマップを KML ファイルとしてエクスポートする機能の強化
 KML(Keyhole Markup Language)は、Google Earth™、Google Maps™といったアプリケーションの空間データのグラフィック
表示を定義するため、Google™から提供されている XML ベースの言語です。KML により、これらのアプリケーションは、多くの GIS
ユーザからのカスタム データ レイヤのオープン統合をサポートすることができます。KML ファイルには、.kml、.kmz(圧縮された
KML ファイル)のいずれかのファイル拡張子がつきます
ArcGIS Desktop 9.3 では、[変換ツール] ツールボックスの [レイヤ → KML(Layer to KML)]、[マップ → KML(Map to KML)] ツー
ルを使用して、すべてのライセンス レベルでマップおよびレイヤを KML に変換できるようになりました。9.2 以前では、これらのツー
ルは 3D Analyst エクステンションでのみ提供されていました。
ArcMap 9.3 の新しい [HTML ポップアップ] 機能を使用して、レイヤが KML としてアクセスされた場合、フィーチャの属性や関連
URL がどのように表示されるかを定義したり、フォーマットしたりすることができます。また、HTML ポップアップを定義する機能
が ArcGlobe および ArcScene 9.3 に搭載されています。
これらのツールを使用して作成した KML ファイルをインターネットに配信し、ArcGIS Explorer や Google Earth のようなアプリケー
ションでアクセスできるようにすることが可能です。また、KML ファイルを Goole Maps([My Maps] タブ経由)や Microsoft Virtual
Earth([Collections] メニュー経由)のような Web マップにロードすることも可能です。この機能により、これまでにない方法で、
他のユーザとマップやデータを共有し、地理情報を伝えることができます。また、データを他の Web 対応コンテンツ(
「Geoweb」)
と簡単に統合することができます。
ArcGIS での KML の使用に関する詳細や例については、Desktop ヘルプの [Interoperability and standards support] セクショ
ンをご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=An_overview_of_KML_support_in_ArcG IS
 ArcGIS Server 9.3 では、KML フォーマットで GIS データを提供する際のサポートが大幅に強化されました。ArcGIS Server で提供
するマップは自動的に KML としてアクセス可能で、KML のネットワーク リンク機能により、ArcMap、ArcGlobe、または ArcScene
からファイルとして KML をエクスポートするだけではできないことを実現することができます。たとえば、Google Earth のユーザが
ArcGIS マップ サービスにアクセスすると、データ タイプに関係なく、すべてのレイヤを見ることができ、ズームするとより詳細な
データまたは異なるデータを確認することができます。詳細については、このドキュメントの「GIS の Web へのアップロード」をご
参照ください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 86
その他
新しいセッションで最初に使用する [データの追加] ダイアログのスピード アップ
 新しいセッションで初めて ArcMap の [データの追加] コマンド
を使用すると、データを追加した最後の場所に自動的に戻りま
す。[ツール] → [オプション] ダイアログの [一般] タブの新しいオプションを使用して、この動作をコントロールすることができま
す。新しいオプションである [データの追加ダイアログで、最後に使用した場所を表示]のチェックを外すことにより、[データの追加]
コマンドを実行しても、最後に使われた場所は使用されなくなります。このオプションのチェックを外すと、ArcCatalog ツリーの最
上位の場所がデフォルトとなります。
New option in 9.3
これにより、前回のセッションでアクセスしたネットワーク ドライブ、データベースのロケーション、または GIS Server に再接続す
るまで待つ必要がなくなるため、[データの追加] コマンドのパフォーマンスが向上します。さまざまな場所からデータを追加するこ
とが多く、ArcMap を起動した時に同じ場所からデータを追加しない可能性が高い場合に便利です。また、たとえば、ArcMap を使用
して、ArcSDE ジオデータベース データを含むマップのプレゼンテーションやデモを行う可能性があり、デモ中に [データの追加] ボ
タンを押しても、[データの追加] ダイアログがデモ作成時にアクセスした ArcSDE ジオデータベースに再接続するまで待つ必要がな
いようにしたい場合にも使用できます。
ジオプロセシングの環境設定で現在のワークスペースを指定しており([ツール] → [オプション] ダイアログの [ジオプロセシング]
タブ)、ジオプロセシング ツール から[データの追加] を起動した場合、このオプションが、[データの追加] ダイアログでデフォルト
としている場所に影響することはありません。ジオプロセシングで現在のワークスペースを設定している場合、 [データの追加] ダイ
アログは、このオプションをチェックしているかどうかに関わらず、新しい ArcMap のセッションで初めて[データの追加] を使用す
る際、そのワークスペースの場所をデフォルトとします。また、ArcMap からデータを保存またはエクスポートした際 [カタログ ブ
ラウザ] ダイアログがデフォルトとする場所に影響を及ぼすこともありません。
テンプレート
 9.3 では、見つからないテンプレート(.mxt ファイル)を参照しているマップ ドキュメントを開くと、詳細が書かれたダイアロ
グが表示されます。そして、VBA マクロのようなテンプレートに格納されたカスタム設定が、マップからアクセスできるようにする
ため、別の場所で行方不明のテンプレートを探すオプションが提示されます。行方不明のテンプレートにカスタム設定が格納されて
おらず、マップのページ レイアウトまたはデフォルトのコンテンツのみが提供されている場合、行方不明のテンプレートを探す必要
はありません。行方不明のテンプレートを探す場合もそうでない場合も、一度マップ ドキュメントを保存すると、行方不明のテンプ
レートについてのメッセージは表示されなくなります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 87
GPS のサポート
 [GPS] ツールバーの [GPS 接続設定] ダイアログに、通信速度 9600 以上のサポートが追加されました。9.3 では、通信速度 115200
までがサポートされます。
AdvancedArcMapSettings ユーティリティ
 arcgis/utilities フォルダの AdvancedArcMapSettings ユーティリティが強化され、タブをさらに分かりやすく整理し、いくつかの
設定が追加されました。
[XY へ移動] コマンドおよび[計測] ツールの改良点
 [ツール] ツールバーの [XY へ移動] コマンドおよび[計測] ツールで選択した単位がセッション間で記憶され、新しいセッション
でツールを使用するたびに単位を指定する必要がなくなりました。これらの改良は、
これらのコントロールを搭載している ArcGlobe、
ArcReader、および ArcGIS Engine アプリケーションでも行われています。
([計測] ツールが最初に改良されたのは 9.2 のサービス パッ
ク 3 です。)
ArcCatalog の [ジオグラフィ] ツールバーの [次の表示範囲に進む] ボタンと [前の表示範囲
に戻す] ボタン
 ArcCatalog の [プレビュー] タブでデータを表示する際、前に表示した範囲を前後に移動できるようになりました。
9.3 で追加
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 88
フィーチャの選択
[空間検索] ダイアログとジオプロセシング ツール
 [空間検索] ダイアログで利用可能な空間的条件が整理され、よりわかりやすくなりました。また、2 つの新しい Clementini 条件
が追加されました。
New
New
2 つの新しい条件は以下のとおりです。
[を含む (Clementini)]: ソース フィーチャが完全にターゲット フィーチャとの境界線上にあり、且つターゲット フィーチャ内
にソース フィーチャが存在していなければ、これは [を含む] と同じです。この場合、この新しい [を含む (Clementini)] 条件を
使用しても、[を含む] 条件のようにターゲット フィーチャは選択されません。
[範囲内の時 (Clementini)]: ターゲット フィーチャが完全にソース フィーチャとの境界線上にあり、ソース フィーチャ内にター
ゲット フィーチャが存在していなければ、これは[範囲内の時] と同じです。この場合、この新しい [範囲内の時 (Clementini)] 条
件を使用しても、[範囲内の時] 条件のようにターゲット フィーチャは選択されません。
[属性検索] ダイアログ
 [選択] → [属性検索] ダイアログの [個別値の取得(G)] ボタンのパフォーマンスが大幅に改善され、非常に大きいデータセットを
取り扱う際のパフォーマンスが大きく向上しました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 89
その他の選択の改良点
 壊れた選択レイヤを修復したり、[レイヤ プロパティ] ダイアログの [ソース] タブの [データ ソースの設定] ボタンを使用して、
その選択レイヤを異なるデータ ソースで指定すると、元データと異なるデータ ソースを選択すると、そのレイヤが正しく描画され
ない可能性があるので選択レイヤの選択定義を保持することをお勧めします、といった以下のようなメッセージが表示されます。
(選
択レイヤを含む複数のレイヤを修復する場合は、このメッセージは表示されません。)
グラフ
 [ツール] → [グラフ] → [散布図マトリックスの作成] コマンドから起動する新しいウィザードに、新しい散布図マトリックスの
グラフ タイプが追加されました。散布図はすでにサポートされていましたが、散布図マトリックスのグラフは 9.3 で初めてサポート
されました。散布図マトリックスでは、一連の変数を入力し、すべての変数の関係を散布図のマトリックスとして見ることができま
す。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 90
散布図マトリックスのグラフの 1 つをクリックすると、インタラクティブな要素としてグラフ ページの右上に表示されます。散布図
マトリックスの各点は、2 つの数値に関するデータ変数でデータ空間に配置されたデータセットのフィーチャを表します。すべての点
を同じ色にしたり、マップのフィーチャと同じ配色を使用したりすることができます。マトリックスに、そのマトリックスの変数の
ヒストグラム(データ分布)を任意で含めることも可能です。
以下の問い合わせ件数の例では、911Calls(緊急電話回数)と Unenployment(失業者数)には正の関係があることがわかります(失
業者数が増えると、緊急電話回数も増える)
。一方、Median Income(平均収入)と Unenployment(失業者数)には若干負の関係が
あります(平均年収が増えると、失業者数が下がる)。
散布図マトリックスは、次のセクションで説明する回帰モデルの説明変数を使用する場合に特に便利です。前述の問い合わせ件数モ
デルのように、ある変数が従属変数と強い負または正の関係にあるとき、その変数は説明変数の有力な候補になります。2 つの説明変
数候補が互いに強い負または正の関係にあるとき、多重共線性の問題を回避するため、どちらか 1 つだけをモデルに含めるようにし
ます。多重共線性とは、2 つの変数が説明する内容が同じため、両方を含めると、モデルの傾向が過大になることをいいます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 91
空間統計
 [空間的関係のモデリング] という名前の新しいツールセットが [空間統計] ツールボックスに追加されました。このツールセット
に含まれる 4 つのツールは、空間加重マトリクスの作成や回帰分析の実行により、新たな手法での空間的関係のモデル化を行なうこ
とができます。
–
ネットワーク空間ウェイトの作成 (Generate Network Spatial Weights): ネットワーク構造に関連したすべてのフィーチャ
の空間的関係を定義するネットワーク データセットから、空間ウェイト マトリックス ファイル(.swm)を作成します。
(新し
い空間ウェイとマトリックス ファイルに関する詳細については、下記をご参照ください。)このツールを使用するには、Network
Analyst エクステンションが必要です。
–
空間ウェイト マトリックスの作成 (Generate Spatial Weights Matrix): データセットにおけるフィーチャ間の空間的関係を
表す空間ウェイト マトリックス ファイル(.swm)を作成します。
–
地理空間加重回帰分析 (Geographically Weighted Regression): 空間的関係の地域格差を浮き彫りにするために局所的な線
形回帰を実行し、空間全体を通してのプロセスの違いを把握することができます。
–
最小二乗法 (Ordinary Least Squares)
: グローバル最小 2 乗法による線形回帰を実行し、説明変数との関係に関して、予測を
生成、従属変数のモデル化をします。このツールを使用するには、ArcInfo ライセンスか Spatial Analyst エクステンションのい
ずれかが必要です。
空間ウェイト マトリックスとは、データの空間的構造を表したものあり、データセット内のフィーチャ間における空間的関係を定量
化したものです。9.2 以前では、ユーザが指定した空間ウェイト マトリックス ファイルは、特定のテキスト フォーマットを持つ ASCII
ファイルでした。9.3 では、ASCII フォーマットの空間ウェイト マトリックス ファイルをサポートするすべての [空間統計] ツールが、
[空間ウェイト マトリックスの作成 (Generate Spatial Weights Matrix)]や[ネットワーク空間ウェイトの作成 (Generate Network
Spatial Weights)] ツールで作成された新しいバイナリ形式の空間 ウェイト マトリックス ファイル(.swm)もサポートします。.swm
ファイルは再利用、編集、および共有が可能です。[Delaunay Triangulation]、[K nearest Neighbors]、および[Queen’s Case Polygon
Contiguity] ツールにより、新たしい方法で空間的関係をモデル化できます。この変更により影響を受ける空間統計ツールには、[高/
低クラスタ分析 (High/Low Clustering (Getis-Ord General G))]、[空間的自己相関分析 (Spatial Autocorrelation (Morans I))]、[ク
ラスタ/外れ値分析 (Cluster and Outlier Analysis (Anselin Local Morans I))]、そして[ホット スポット分析 (Hot Spot Analysis
(Getis-Ord Gi*))] があります。1 つのデータセットで複数の解析(例えば複数の異なるフィールドを解析するなど)を実行したり、3000
以上のフィーチャを含むデータセットを処理したりする場合には、解析前に空間ウェイト マトリックス ファイルを作成することを
強くお勧めします。
 [高/低クラスタ分析 (High/Low Clustering (Getis-Ord General G))]、[空間的自己相関分析 (Spatial Autocorrelation (Morans I))]、
[クラスタ/外れ値分析 (Cluster and Outlier Analysis (Anselin Local Morans I))]、[ホット スポット分析 (Hot Spot Analysis (Getis-Ord
Gi*))]、および[平均最短距離分析 (Average Nearest Neighbor)] ツールでは、Z スコアに加えて P 値(確率)もレポートされます。
これらはともに、統計的有意性の決定に使われます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 92
 9.3 では、複数のツールにデフォルトのレンダリングが割り当てられています。[ホット スポット分析 (Hot Spot Analysis
(Getis-Ord Gi*))]、[クラスタ/外れ値分析 (Cluster and Outlier Analysis (Anselin Local Morans I))]、[リニア平均方向の算出 (Linear
Directional Mean)]、および[イベントの集計 (Collect Events)] といったツールが ArcMap で実行されると、すでにシンボル化され
た 出力結果が[テーブル オブ コンテンツ] に追加されます。この変更により、複数のモデル ツールが廃止され、[ 空間統計] ツール
ボックス内にある新しい [レンダリング] ツールセットに移動しました。9.3 では、[クラスタ分析のマッピング] ツールセットを開く
と、4 つのツールではなく、2 つのツールが表示されます([Z スコア レンダリング処理を含むクラスタ/外れ値分析 (Cluster/Outlier
Analysis with Rendering)]および[Z スコア レンダリング処理を含むホット スポット分析 (Hot Spot Analysis with Rendering)] ツー
ルは、[クラスタ分析のマッピング] ツールセットから [レンダリング] ツールセットに移動されました)
。また、[ユーティリティ] ツー
ルセットでも、ツールの変更が行われています([レンダリング処理を含むイベントの集計 (Collect Events with Rendering)]、([カ
ウントのレンダリング処理 (Count Rendering)]、および[Z スコア レンダリング処理 (Z Score Rendering)] ツールが、[ユーティ
リティ] ツールセットから [レンダリング] ツールセットに移動しています)。この変更については、Desktop ヘルプの新しい [レンダ
リング] ツールセットに関するトピックをご参照ください。
 [Ripley の K 関数法 (Multi-Distance Spatial Cluster Analysis)] の出力テーブルに、
「DiffK」という名前の新しいフィールドが追
加されました。[Ripley の K 関数法 (Multi-Distance Spatial Cluster Analysis)] ツールは、クラスタリングを推進する空間プロセス
が最も顕著な場所の距離を特定するのによく使用されます。これまでは、出力グラフィックを見て距離を特定するのは難しかったた
め、ユーザがフィールドをテーブル出力に追加し、ObservedK 値と ExpectedK 値の差を計算するのが一般的でした。DiffK フィールド
にはこの差が格納されているため、ユーザが ObservedK 値と ExpectedK 値の差を計算する必要はありません。
 [クラスタ/外れ値分析 (Cluster and Outlier Analysis (Anselin Local Morans I))] ツールでは、入力フィーチャクラスの各フィーチャ
についてローカル Moran’s インデックス、Z スコア、および P 値が計算されます。Z スコアの値が高い正数の場合、高いのクラスタ
(ホット スポット)または、低い値のクラスタ(コールド スポット)のいずれかが存在することを示します。Z スコアの値が低い負
数の場合は外れ値が存在することを示します。統計的に重要なホット スポット(「HH」)と統計的に重要なコールド スポット(「LL」
)
を区別し、低い値が高い値に囲まれていることを表す(「LH」
)統計的に重要な空間的外れ値と、高い値が低い値に囲まれている(「HL」
)
をことを表す空間的外れ値を区別するため 9.3 では、
「COType」という新しいフィールドが、出力フィーチャクラスに追加されました。
 [中心フィーチャの算出 (Central Feature)] ツールに、新しい [ケース フィールド] パラメータが追加されました。ケース フィー
ルドは、それぞれの中心フィーチャの計算に使われるフィーチャをそれぞれグループ化することに使用されます。ケース フィールド
の種類には、数字や日付、文字列があります。
 9.3 では、[距離 バンド] または [閾値の距離] パラメータを含む以下のツール用において、特に値を指定しない場合、デフォルト
の閾値の距離が計算されます([高/低クラスタ分析 (High/Low Clustering)]、[空間的自己相関分析 (Spatial Autocorrelation)]、[ク
ラスタ/外れ値分析 (Cluster and Outlier Analysis)]、[ホット スポット分析 (Hot Spot Analysis)]、および[空間ウェイト マトリッ
クスの作成 (Generate Spatial Weights Matrix)])。
 9.3 では、[空間リレーションシップのコンセプト] パラメータを含むツール([高/低クラスタ分析 (High/Low Clustering ]、[空間
的自己相関分析 (Spatial Autocorrelation)]、[クラスタ/外れ値分析 (Cluster and Outlier Analysis)]、および[ホット スポット分析
(Hot Spot Analysis)])による Inverse Distance と Inverse Distance Squared の計算が、9.2 以前と若干異なります。距離が 1.0 以下
の場合、Inverse Distance の計算方法は不安定でした。そのため、9.3 では、1.0 以下の距離はすべて、計算上、1.0 として処理されま
す。正確な距離測定を確保するため、空間統計ツールで解析するデータは常に投影ことをお勧めします。9.3 では、空間リレーション
シップのコンセプトをベースにした Inverse Distance を使用する場合、地理座標系の設定はお勧めできません。
 ArcGIS 9.2 以前では、すべての計算の終了後、フィーチャのジオメトリが出力座標系に投影されていました。正確な結果を確保す
るため、9.3 では、計算前にフィーチャのジオメトリが出力座標系に投影されます。例外は [ネットワーク空間ウェイトの作成
(Generate Network Spatial Weights)] ツールで、空間的重みを生成するのに使用されるネットワーク データセットに関連する座標
系で投影し、またそれをベースにしたジオメトリの計算を行います。
 9.3 では、[Spatial Statistics] ツールボックス内にあるツールのパフォーマンスが大幅に改善されました。これはアルゴリズムの改
良によるもので、空間ウェイト マトリックス ファイルを使用して必要な計算数を最小限に抑え、スクリプト ツールをインプロセス
で実行できるようになったためです(これにより、実行時の負荷が最小限に抑えられます)。
空間統計情報に関する詳細および概要については、Desktop ヘルプの [Geoprocessing tool reference] → [Spatial Statistics]
をご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisdesktop/9.3/index.cfm?TopicName=Modeling_spatial_relationships
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 93
近接解析
 [最近隣 (Near)] ツールの改良 – [最近隣 (Near)] ツールが、ポイント、ライン、ポリゴンに対応しました。また、特定の検索半
径内ですべてのフィーチャ(複数の最近隣フィーチャクラス)の計算を実行することができます。
 新しい [近接情報テーブルの作成(Generate Near Table)] ツール– [解析ツール] → [近接] ツールセットにあるこの新しいツール
は、既存の [最近隣 (Near)] ツールに似ていますが、出力結果として生成される近接情報は別のテーブルに出力されます。この出力
テーブルは、元のフィーチャ ID を使用して、入力フィーチャクラスや最近隣フィーチャクラスにテーブル結合することができます。
入力フィーチャの FID
入力 フィ ーチ ャと 最近
隣フィーチャの距離
最近隣フィーチャの FID
入力フィーチャから
最近隣フィーチャの
最も近いポイントま
での角度
最近隣フィーチャの XY 座標

[バッファ (Buffer) ]ツールの改良 – トポロジ エンジンを使用したクリーンナップ オフセットのより強力な実装が可能になり、
測地バッファに対応し、パフォーマンスが改善されました。
 [空間結合] ツールの改良 – 最近隣のフィーチャを結合する新しいオプションにより、さらに容易に属性をマージすることができ
ます。
アニメーション
 [タイム レイヤ アニメーションを作成] コマンドが [アニメーション] ツールバーの [アニメーション] プルダウン メニューに
追加され、簡単に時系列アニメーションを作成できるようになりました。ダイアログで、入力レイヤ/テーブル、時間の値が格納され
たフィールド、時間の間隔と単位を指定すると、[アニメーション コントロール] ダイアログで、すぐに再生可能なタイム レイヤ ア
ニメーションが作成されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 94
ジオプロセシング
一般的な機能の改良
 [標準] ツールバーの新しい [ModelBuilder を起動] ボタンにより、モデル ツールを作成しなくても、ModelBuilder を開くことが
できるようになりました。
[ModelBuilder を起動] ボタン
すべてのエラー メッセージと警告メッセージが標準化され、固有の番号が付与されました。警告やエラーが発生すると、該当する固
有の番号とテキストが表示されます。
エラー/警告の番号は、そのエラーに関する
ドキュメントにリンクされています
各エラーはドキュメントにまとめられており、エラーの原因と解決策、関連ドキュメントへのリンクを参照することができます。
エラー コードには、問題の回避や解
決に役立つ説明および解決策のド
キュメントがまとめられています
 進行状況を示すダイアログが変更され、完了の割合をパーセント(%)で表示できるようになりました。
[進行状況] ダイアログに、複数の
ツールの完了の割合が表示されます
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 95
 ツールの結果の有効期間を自動的に管理する新しいオプションが、すべての ArcGIS アプリケーションの [ツール] → [オプション]
ダイアログの [ジオプロセシング] タブで利用できるようになりました。9.2 以前では、ユーザが削除するまで、結果が保存されてい
ました。この新しいオプションにより、不要な結果が蓄積して、デスクトップ アプリケーションの起動や終了の時間が長くなるのを
防ぐことができます。
結果の有効期間を管理する
新しいオプション
システムのデフォルトでは、結果は最長 2 週間保持されます。これにより、既存のドキュメントが開かれ、保存されると、2 週間以上
前の結果が削除されてしまいます。古い結果を保存したい場合は、デフォルトの設定を変更するか、結果を保存可能なモデルにコピー
する必要があります。2 週間以上前の結果を含むドキュメントを開くと、以下のポップアップ メッセージが表示されます。
CAD へ変換

従来は ArcInfo ライセンスでのみ利用可能だった、[変換 ツール]ツールボックス>[CAD へ変換]ツールセット内のすべてのジオ
プロセシング ツール(CAD XData の作成 (Create CAD XData)、CAD へエクスポート (Export to CAD)、CAD エイリアスの
設定 (Set CAD Alias)、CAD フィールドの追加 (Add CAD Fields)
)が ArcView ライセンスで使用できるようになりました。
モデル、スクリプト ツールの改良
 Python スクリプト ツールにインプロセスで動作するオプションが追加されました。インプロセスでの動作により、ツールの動作
が大幅に速くなります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 96
このオプションをチェックすると、
Python スクリプト ツールの動作が
大幅に速くなります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 97
 モデルおよびスクリプト ツールのパラメータのオプションが追加されました。モデルについては、オプションのパラメータを必
須パラメータに変更し、さまざまなフィルタを入力データや出力データに適用することができます。
オプションのパラメータ
を必須パラメータに変更
することができます
[フィルタ] では特定の入力だけを許可
することができます。値のリスト、範囲、
フィーチャクラス、ファイル、フィール
ド、ワークスペースの 6 つのタイプの
フィルタがあります
スクリプトについても、出力フィーチャにさまざまなフィルタを適用し、シンボルを設定することができます。
[ドメイン] から新しい [フィルタ]
プロパティに変更
[従属] から [取得元] プロパティに
変更
[シンボル] でツールの出力を描画
するのに使用されるシンボルを設
定することができます
 スクリプト ツールにカスタム整合性コードを追加できるようになりました。整合性コードにより、システム ツールと同様、スク
リプト ツールを使用して以下を実行することができます。
•
他のパラメータに格納されている値によって、パラメータを有効または無効に設定
•
パラメータ フィルタを動的に更新
•
パラメータのデフォルト値を動的に更新
•
警告メッセージおよびエラー メッセージをカスタマイズ
•
パラメータをカテゴリ別に分類
•
ModelBuilder で使用される出力データセットの説明を更新
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 98
スクリプト ツールに [確認] タブが追加
パラメータの整合性チェック メソッドを持つ
Python クラス。パラメータを有効または無効に
設定したり、フィルタやデフォルト値を動的に
更新したり、パラメータをカテゴリ別に分類し
たり、カスタム エラーや警告メッセージを設定
したり、ModelBuilder の出力の説明を更新した
りすることができます
 Python での Python データ構造へのアクセスが改善されました。以下の画像のとおり、9.3 では、arcgisscripting メソッドはバー
ジョン番号の引数を取り込み、geoprocessing に列挙子ではなくリストを返すように指示します。
新しいツールの進行状況を示すダイアログを表示して、完了の割合を確認することができます。スクリプトでは、エラー コードとメッ
セージを格納した新しいリポジトリにアクセス可能です。ArcGIS のインストールに NumPy(Numerical Python)が追加されており、
すべてのツールで結果オブジェクトが返されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 99
サーバのジオプロセシングの改良点
 9.2 では、フィーチャとレコードをインタラクティブに入力することしかできませんでしたが、9.3 では、フィーチャ セット デー
タ タイプとしてフィーチャクラス、レコード セット データ タイプとしてテーブルをそれぞれ利用できるようになりました。
ArcGIS Desktop では、[フィーチャ
セット] コントロールを使用して、
フィーチャクラスを入力すること
ができます
同様に、[レコード セット] コントロールを
使用して、テーブルを入力することができ
ます
 ジオプロセシング サービスを公開する際のエラー チェックが強化されました。9.2 では、エラーがあってもツールボックスが公
開されていました。9.3 では、エラーが含まれる場合、ツールボックスは公開されず、以下のようなエラー メッセージが表示されま
す。
 ジオプロセシング サービスから返されるラスタ結果に、ラスタ レンダリング情報を含めることができるようになりました。
その他の改良
 ジオプロセシング ツール ダイアログの外観が改良されました。ダイアログのコントロールがより近くに配置され、ESRI のロゴの
背景画像が削除され、ヘルプ パネルの下にある新しい [ツール ヘルプ] ボタンを押して、ヘルプを確認できるようになりました。
 [要約統計量] が複数のケース フィールドに対応しました。
 ModelBuilder が TIN レイヤ シンボルに対応しました。
 [フィールド演算(Calculate Field)] が単位換算に対応しました。
 9.2 ユーザへの配布用に、ツールボックスを 9.2 形式で保存可能です。
 [要約統計量(Summary Statistics)]、[ディゾルブ(Dissolve)]、[頻度(Frequency)]、[空間結合(Spatial Join)]、[マージ(Merge)]、
[テーブル → テーブル(Table To Table)]、[フィーチャクラス → フィーチャクラス(Feature Class To Feature Class)] など、すべ
てのジオプロセシング ツールで、統計計算から Null 値が除外されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 100
デスクトップ アプリケーション開発
Engine および Desktop .NET SDK
Visual Studio 2008 のサポート
 ArcGIS 9.3 では、Visual Studio 2005 SP1 や Visual Studio 2008 統合開発環境を使用した.NET 開発をサポートします。ArcGIS 9.3 は
Visual Studio 2008 ベータ 2 でテストされており、ArcGIS IDE Integration Framework のすべての機能が期待どおりに動作しました。
ArcGIS Desktop SDK for .NET で提供されるすべてのサンプルには、Visual Studio 2005 と Visual Studio 2008 の両方のソリューション
およびプロジェクト ファイルが含まれます。
新しい [Snippet Finder] ツールを含む、ドキュメントの改善
 開発者から最も多かった要望が「API ヘルプの改良」です。F1 を頻繁に押しても、表示されるページにはほとんど、あるいはまっ
たく情報が掲載されていませんでした。9.3 では、この問題を改善するために、さまざまなヘルプ トピックを追加し、100 以上の新
しいサンプルが追加されました。また、API のヘルプ ページから、関連するサンプル、スニペット、その他ヘルプ トピックへのリン
クを追加して、SDK のその他のエリアにあるサンプルやトピックに簡単にアクセスできるようになりました。
 新しい [ArcGIS Snippet Finder] ツールが提供され、簡単に 250 以上のコード スニペットを検索し、コードに挿入できるようにな
りました。9.2 では、スニペットのリストを表示することしかできませんでした。(このツールが最初に提供されたのは 9.2 のサービ
ス パック 1 で、以来、大幅な改良が行われています。
)ツールでは、コードの挿入方法(完全修飾/using ステートメント/コメント付
き)を選択できます。自分で作成/取得した他のスニペットのローカル ディレクトリがある場合、それらのスニペットへの参照を追
加して、[Snipper Finder] からもアクセスできるようにすることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 101
 9.3 では、追加 SDK をインストールしなくても、必要な情報を入手できるよう、SDK コンテンツとオンライン ドキュメントとの
リンクを提供しました。例えば ArcGIS Engine のみがインストールされているときに Desktop のトピックを参照したいときなど、参
照先のトピックが利用できない場合、リンクから Web の該当するトピックにアクセス可能です。また、トピックにコメントを追加し
たり、質問したり、インストールしている SDK のリリース以降、トピックが更新されているかどうか確認したりすることもできます。
ArcObjects の新機能
開発者に影響を与える可能性のある変更については、以下のリンクをご参照ください。
http://edndoc.esri.com/arcobjects/9.3/CPP_VB6_VBA_VCPP_Doc/COM/VBA/new_93.htm
9.2 と 9.3 で変更されたタイプのリストついては、以下のリンクをご参照ください。
http://edndoc.esri.com/arcobjects/9.3/CPP_VB6_VBA_VCPP_Doc/shared/reference/type_changes_93.htm
注意:上記のリンクからアクセスできない場合は、ArcGIS Desktop Resource Center(http://resources.esri.com/arcgisdesktop)の [For
Developers] タブをご参照ください。
ArcGIS Engine の改良点
ダイナミック ディスプレイ機能の向上
 9.3 では、ダイナミック ディスプレイがさらに改良され、表示のキャッシュや処理が向上しました。また、フィーチャ選択をサポー
トし、新しい連続ズームや画面移動やローミング ツールが追加され、パフォーマンスが強化されました。ダイナミック ディスプレ
イを利用できるのは、ArcGIS Engine のみです。サポートされるすべての ArcGIS Engine 開発環境で、開発者は ArcObjects を使用して
ダイナミック ディスプレイを利用および設定することができます。
ArcGIS Engine Developer Kit に付属された ArcSDE for SQL Server Express
 ArcGIS Engine 9.3 には、Microsoft SQL Server 2005 Express のインストールおよび ArcSDE ジオデータベースの [Post Installation]
ウィザードが含まれます。これにより、ArcGIS Engine 開発者は、ArcSDE for SQL Server Express のジオデータベースをデータ ソース
として使用することができます。SQL Server 2005 Express を使用した ArcSDE ジオデータベースのサポートが最初に導入されたのは
ArcGIS Desktop 9.2 で、ArcEditor および ArcInfo ライセンスと共に無償で提供されます。バージョニング、アーカイブ履歴、複数世代
のレプリケーション、および高度なデータセットレベルのセキュリティなど、ArcSDE にある高度な機能が完全サポートされ、独自の
ArcSDE データベース サーバを構築/管理したり、マルチユーザ ジオデータベースを作成したりすることができます。追加のソフト
ウェアやデータベースの管理に関する特別な専門知識は必要ありません。すべてのデータベース管理は、ArcCatalog の新しいダイア
ログを使用して行われます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 102
ArcGIS Engine の編集機能の改良点
 編集タスクの作成、編集中のレイヤの設定(TargetLayer)
、およびスケッチ ジオメトリへのアクセスなど、プログラミングによ
る編集機能が強化されました。
 入力エラーの確認、入力されたポイントが特定ポリゴン内にあるかどうかの確認など、エディタのイベントをハンドリングするこ
とにより、ビジネス ルールやビジネス ロジックの順守が強化されました。
ArcGIS Engine の [データの追加] ダイアログが ArcSDE ジオデータベースをサポート
 ArcGIS Engine の [データの追加] ダイアログが、ArcSDE ジオデータベースへの接続をサポートしました(このサポートが最初に
追加されたのは、9.2 のサービス パック 2 です)
。これにより、ArcGIS Engine アプリケーションのユーザは、すべての ArcSDE ジオ
データベースに接続して、データにアクセスすることができます。[データの追加] ダイアログの左側にある [ジオデータベース] タブ
を選択し、ドロップダウン リストから [データベース コネクション] フォルダを選択すると、ダイアログにある 2 つの新しいボタン
(ArcSDE に接続するボタンと既存のコネクションのプロパティを編集するボタン)が有効になります。
追加
注意:ArcGIS Engine の [データの追加] ダイアログが、[ツール] → [カスタマイズ] ダイアログの [コマンド] タブの [一般] カテゴ
リからドラッグして ArcMap や ArcGlobe に追加された場合、カタログのツリー全体にアクセスできる [すべてのタイプ] パネルは表
示されません。このパネルを復元するには、以下の DWORD レジストリ設定の値を 1 に変更してください。
HKEY_CURRENT_USER\Software\ESRI\Controls\Commands\Generic\AddData\ShowAllTypesInDesktopApps
9.3 の Engine 開発者向けの新機能に関する詳細については、
ArcGIS Engine Resource Center(http://resources.esri.com/arcgisengine)をご参照ください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 103
モバイル GIS
ArcGIS Mobile
 ArcGIS Mobile を使用すれば、一元管理された ArcGIS Server から配信された地理情報システム(GIS)機能および地理空間データ
を、有線または無線ネットワークを介して受信し、マッピング、空間検索、スケッチング、GPS の統合、編集など、GIS のサービスを
さまざまな携帯デバイスで利用することができます。
ArcGIS Mobile は、サービス指向アーキテクチャ、サード パーティのセキュリティ、配置、およびデバイス管理システムをサポート
するエンタープライズ IT 環境にシームレスに統合することができます。ArcGIS Mobile アプリケーションは、Windows Mobile を搭載
したデバイス(.NET Compact Framework 2.0 を使用)や、Windows XP を搭載した PC(.NET Framework 2.0 を使用)に配置すること
ができます。ArcGIS Mobile は、ArcGIS Server Advanced エディション Enterprise レベルに付属しています。
9.3 では、ArcGIS Mobile が、開発不要の新しい ArcGIS Mobile アプリケーション、および機能強化された ArcGIS Mobile Software
Development Kit の 2 つの製品から利用できるようになりました。。また、ArcGIS Mobile のユーザおよび開発者向けの、さまざまな
オンライン リソースを集めた新しい ArcGIS Mobile Resource Center(http://resources.esri.com/arcgismobile)も導入されました。
開発不要の新しい ArcGIS Mobile アプリケーション
 9.3 では、新しい ArcGIS Mobile アプリケーションが導入されました。ArcGIS Mobile アプリケーションは、モバイルの GIS データ、
マップ、タスク、およびプロジェクトを配置することができる Windows Mobile 対応のアプリケーションです。ArcGIS Mobile は、
Windows Mobile 5 Pocket PC、および Windows Mobile 6 Classic、Windows Mobile 6 Professional の各プラットフォームにインストー
ルが可能で、主要なモバイル GIS 機能をすばやく簡単に配置することができます。ArcGIS Mobile は、充実した機能を持つ標準ベース
の ArcGIS Server プラットフォームで一元管理され、ArcGIS Mobile の高性能なデータ、サービス、およびプロジェクトを組織全体に
提供します。
ArcGIS Server 9.3 のリリース時点では、ArcGIS Mobile アプリケーションは Windows Mobile 5.0 Pocket PC/Windows Mobile 6.0, 6.1
Professional ( タ ッ チ ス ク リ ー ン ) デ バ イ ス を サ ポ ー ト し て い ま し た 。 ArcGIS Server 9.3 SP1 で は Windows Mobile 5.0
Smartphone/Windows Mobile 6.0, 6.1 Standard(非タッチスクリーン)デバイスをサポートします。すべてのメニュー項目へのキー
アクセスができ、リスト項目はフルスクリーン メニューで表示されます。またマップ ナビゲーションはロッカーキーと文字キーの
使用に最適化されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 104
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 105
ArcGIS Server Manager は ArcGIS Server に付属する Web ベースの管理アプリケーションであり、携帯デバイスのユーザの、日常的な
ワークフロー用のモバイル GIS タスクを想定した ArcGIS Mobile のプロジェクトを設計し、ArcGIS Mobile アプリケーションを構成で
きます。ArcGIS Server Manager を使用すれば、モバイル版の Internet Explorer 用に最適化された Web ベースのポータルにアクセス
し、Windows Mobile 搭載デバイスに配置可能な ArcGIS Mobile アプリケーションおよび ArcGIS モバイル プロジェクトをホストする
ことができます。
ArcGIS Mobile アプリケーションにより、モバイル デバイスのユーザは、一元管理された ArcGIS Server から特定の ArcGIS Mobile の
プロジェクトにアクセスし、モバイル マップの表示と操作、新しい GIS フィーチャの収集、既存の GIS フィーチャの編集、使用する
GIS フィーチャの検索、アプリケーションやデバイスのステータスの管理を行うことができます。
ArcGIS Mobile アプリケーションは、モバイル GIS タスクをインタラクティブに処理できるメニューベースのユーザ インタフェース
によって、特にモバイル環境で、これまでにないユーザ エクスペリエンスを提供します。新しいユーザ インタフェースにより、さ
まざまな携帯デバイスのユーザが、わずかなトレーニングでモバイル GIS タスクを現場で容易に利用できるようになり、高い生産性
を提供することができます。
多くの場合、モバイル デバイスを使用して仕事をしている人は、特定のツールで 1 つの作業を行うか、幅広い作業を行う場合は複数
のツールを使用しています。ArcGIS Mobile アプリケーションは言語の設定が可能で、また、仕事先の作業に合わせた設定も行うこと
ができます。GIS 管理者は、携帯デバイスのユーザのニーズに合わせて、GIS データ、マップ、およびタスクを構成し、短時間で ArcGIS
Mobile プロジェクトを作成することができます。タスクの名前は変更可能で、機能を限定することにより、携帯デバイスのユーザの
ワークフローを簡素化することができます。
収集および検索タスクは検索可能なリストに表示されるため、ユーザはすぐにリストをスクロールして、作成するフィーチャ タイプ
や編集する特定のフィーチャを検索することができます。収集タスクでは、新しいフィーチャの作成をサポートしています。ジオメ
トリを作成するために、スタイラス ペン、ロッカー、または GPS の座標をもとにスケッチすることができ、属性を入力するためのコ
ントロールが自動生成されるフォームを構成することができます。検索タスクでは、空間検索または属性検索によるフィーチャの検
出や、既存フィーチャで属性の編集が可能です。
ArcGIS Mobile アプリケーションは、一元管理された ArcGIS Server の Web サイトに配置され、モバイル プロジェクト、サービス、
およびデータへのオンデマンド アクセスを提供します。モバイル デバイスのユーザは、IP 接続を提供しているワイヤレス データ
サービスを介して、モバイル プロジェクトをデバイスに取り込んだり、編集した内容を中央のサーバにポストしたりすることができ
ます。これにより、GIS 管理者およびモバイル デバイスのユーザは、1 日中連絡を取り合わなくても、現場やオフィスで行われてい
る仕事を常に把握することができます。
たとえば、管理者は、10 個のレイヤを含む ArcGIS マップ ドキュメントからモバイル データ アクセス サービスを公開することを決
定します。管理者は、ArcGIS Server Manager を使用してモバイル アプリケーションを設定し、1 つのレイヤが編集可能とする、ある
特定の収集タスクのみを利用可能にします。これらの設定は、ArcGIS Server の特定の ArcGIS Mobile プロジェクト ファイルに格納さ
れます。モバイル デバイスのユーザは、ArcGIS Mobile アプリケーションおよびプロジェクトをダウンロードして実行し、ArcGIS
Mobile プロジェクトのリストを表示することができます。このリストからプロジェクトを選択すると、アプリケーションがそのプロ
ジェクトを開き、GIS 管理者があらかじめ定義した設定に従って、アプリケーションを構成します。モバイル デバイスのユーザは、
アプリケーションを使用して、仕事先で、新規フィーチャを収集し、ワイヤレス インターネット環境を使用して、オンデマンドで編
集内容をサーバにポストすることができます。
ArcGIS Mobile Software Development Kit(SDK)
 ArcGIS Mobile SDK には、マップ、マップと連動するアクション、モバイル マップ キャッシュ、Web サービス、空間検索、GPS、
および GIS 編集コンポーネントなど、カスタム モバイル GIS アプリケーションに必要とされる主要なモバイル GIS 機能が提供されて
います。ArcGIS Mobile SDK は Microsoft .NET プログラミング環境に準拠しており、Windows Mobile 5 および 6、Windows CE 5.0 お
よび 6.0、Windows XP の各種 OS をサポートしています。
Visual Studio 2005 統合開発環境を使用して、強力なモバイル マッピングと GIS に焦点を当てたアプリケーションを短時間で開発す
ることができます。開発者がモバイル用途で構築可能なアプリケーションには、資産確認、インシデント報告、土地管理、モバイル リ
ソース管理、カスタマ サービス、保険鑑定、および従来の GIS データの収集と保守などがあります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 106
組織は、ArcGIS Mobile と ArcGIS Server の性能を活かして、住所検索、最短経路解析、ユーティリティ ネットワークト解析、および
さまざまなジオプロセシング機能を含む、サーバサイドの追加機能を含むアプリケーションを配置することができます。
ArcGIS Mobile SDK が最初にリリースされたのは 9.2 です。9.3 では、以下の強化を行いました。
–
マップ キャッシュをモバイル サービス キャッシュとする新しい命名規則
–
マップ コントロールのレンダリングの強化による、複数のデータ ソースとグラフィック レイヤのサポート
–
新たに背景データなどを高圧縮率で格納することをサポートすることによるデータ ストレージの改善
–
投影の機能を拡張し、グリッドベースを除くすべての ArcGIS がサポートする投影変換に対応
–
ジオメトリを操作する新しいスケッチ ツールによる編集機能の改良
–
GPS の処理および表示パフォーマンスの向上
–
ArcGIS Mobile ランタイム コンポーネントを含む署名付きキャビネット ファイル(CAB)のサポート
–
9.3 SP1 において、写真、音声あるいはその他の情報を格納するために使用できる BLOB フィールドのサポート
ArcPad
 ArcPad は、GIS のメリットをオフィスから現場に広げたいと考えているさまざまな業界や組織のために設計されました。ArcPad
は現場でデータを収集、マッピングできる開発不要のモバイル GIS アプリケーションで、現場にいる担当者はモバイルデバイスで地
理情報を収集、分析、および表示することができます。
ArcPad は、ArcGIS Desktop ベースの GIS を現場に配置したいと考えている小規模から中規模の企業、組織を対象にしており、ArcGIS
Desktop で慣れ親しんでいるインターフェースと使用感を備え、またマップ中心のビューおよびマップ レイヤとシンボルを管理する
ツールバー、GPS との統合、編集ツール、シンプルな検索と解析ツールが搭載されています。ArcPad は、Windows Mobile、CE、XP、
および Vista など、幅広いモバイルデバイスをサポートしており、ArcGIS Desktop を使用しているデスクトップ マシンから簡単に設
定することができます。ユーザは、ArcGIS Desktop のツールを使用して、現場で使用するデータをジオデータベースから切り出し、
現場から戻ってきたときは、現場でのデータへの編集をオフィスのマシンに転送し、ジオデータベースに戻すことができます。
ArcPad 7.1 と、ArcPad の開発およびカスタマイズ用のフレームワークである ArcPad Application Builder 7.1 は、2008 年 5 月にリリー
スされました。
 ArcPad 7.1 では、以下の機能が強化されています。
–
現場でリレーショナル データベースを表示および編集できる開発不要のソリューション
–
クイックプロジェクト:新規シェープファイルと属性入力フォームを簡易に作成、初心者からベテランまですぐに効率的に仕事
をこなすことができるシンプルなデータ テンプレート
–
検索機能の強化:条件の組み合わせ(and また or)や複数属性フィールドによる検索条件設定、カスタム検索フォームのサポート
–
ArcGIS Desktop 対応 ArcPad Data Manager エクステンション:新しく ArcMap に追加された[ArcPad Data Manager] ツールバー
と複数の ArcPad ツールにより、現場でのワークフローの自動化、モバイル GIS プロジェクトの設定を簡易化
 ArcPad Application Builder 7.1 は、ArcPad データベース ファイル、カスタム検索フォームのサポートのほか、読み取り専用レイ
ヤの設定などをすることができます。
ArcPad 7.1 および ArcPad Application builder 7.1 の新機能に関する詳細については
、
http://www.esri.com/library/whitepapers/pdfs/whats-new-arcpad71.pdf にあるホワイトペーパーをご参照ください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 107
GIS の Web への展開
ArcGIS Server 9.3 は、完全なサーバベースの GIS で、開発不要のアプリケーションとサービスが組み込まれており、カスタム Web ア
プリケーションやマッシュアップを開発するための多くの機能も提供します。
ArcGIS Server 9.3 の主な特徴
成功に役立つリソースの追加
 新しい ArcGIS Server Resource Center の Web サイト
ArcGIS Server について知りたいことがあれば、ArcGIS Server Resource Center(http://resources.esri.com/arcgisserver)にアクセス
してください。最新ニュースをチェックしたり、ライブ Web アプリケーションを実行したり、最新のオンライン ヘルプを読んだり、
ArcGIS Server Development Blog で開発チームの活動を確認したり、開発者コード サンプルを閲覧したり、ESRI サポート サイトに
アクセスして、技術的な問題のサポートを受けたりすることができます。
 ArcGIS Online へのアクセスの簡易化
ArcGIS Server 9.3 では、ArcGIS Online のベースマップにコンテンツを表示する Web アプリケーションを簡単に作成することができま
す。一般的に、イントラネット アプリケーションでの標準的な ArcGIS Online のベースマップの使用は無料ですが、インターネット
により広く外部に配信されるアプリケーションで使用する場合は、ライセンス料が必要です。また、ArcGIS Online プレミアム サー
ビ ス も 提 供 さ れ て い ま す 。 ArcGIS Online の ラ イ セ ン ス に つ き ま し て は 、 ESRI ジ ャ パ ン の 「 お 問 い 合 わ せ 」 の ペ ー ジ
(http://www.esrij.com/contact)からお問い合わせください。
 ドキュメントの改善
これまで多くのお客様からドキュメントの改善の要望が寄せられ、9.3 では様々な部分で改善が行われています。ArcGIS Desktop ヘル
プでは、マップの作成、ジオプロセシング ツールボックスなど、サーバへの公開に関する情報が追加されました。ArcGIS Server のヘ
ルプでは、概念のトピックが見直され、またワークフローの説明が追加され、ステップバイステップのチュートリアルが増えました。
さらに、開発者向けに、新しい ArcGIS JavaScript API などの新しい開発者向けオプションに関するたくさんの新しいコンテンツや、
SOAP を使用した ArcGIS Server Web サービスへのアクセス方法を記載した ArcGIS Server SOAP SDK のドキュメント、Web ADF の既
存のクラスおよびメソッドの、詳しい説明と多くのコード サンプルが用意されています。
アプリケーションの操作性の向上
 ArcGIS Server Manager
ArcGIS Server Manager にログインすると、タブを使用したインタフェースを始め、9.3 での多くの変更点が一目でわかります。変更
の多くは、Arc GIS Server Manager への新機能の追加によるもので、たとえば、サービスや Web アプリケーションのセキュリティを
簡単に構成することができます。このような新機能に加え、たとえば Web マッピング アプリケーションを構築するワークフローな
ど、既存のワークフローの改善にも取り組みました。
 Web マッピング アプリケーション
Web マッピング アプリケーションの動作は 9.2 とほぼ同じですが、9.3 では外観が若干異なります。これは、より簡単にマップの操
作ができるように、ツールの位置が変更されたことによるものです。たとえば、画面移動、ズーム ツールなどのツールバーの位置は、
マップ表示部分の直上に変更されています。また、9.3 では、印刷タスク、より良いタスク結果のハイライト設定など、Web マッピ
ング アプリケーションにさまざまな新機能が導入されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 108
サービスの追加と強化
 キャッシュされたマップおよびグローブ サービスの作成方法の追加
9.3 では、新しいワークフローにより、簡単に ArcCatalog でマップおよびグローブ サービス キャッシュの作成や更新ができるよう
になりました。マップ サービスについては、特定範囲のキャッシュを構築できるだけでなく、使用中にオンデマンドでキャッシュを
作成することも可能です。グローブ サービスについては、ArcGlobe への依存度が最小限に抑えられ、サーバでキャッシュを構築で
きるようになりました。また、ArcMap や ArcGIS Explorer には、ローカルで格納されているキャッシュを消去し、常に最新の表示に
なるようにする新しいオプションが追加されています。
 イメージ サービスの追加
9.3 では、イメージ サービスとしてラスタ データセットを GIS サーバに公開できるオプションが追加されました。イメージ サービ
スを使用すると、大規模なイメージをクライアントに配信することができます。
 ジオプロセシング サービスの強化
9.3 では、ジオプロセシング サービスを公開するときのフィードバックが強化され、パフォーマンスが改善し、実行結果のシンボル
の設定オプションが追加されました。さらに、ジオプロセシング ツールの構築方法を説明する新しいドキュメントやサンプルが豊富
に用意されています。
 ジオメトリ サービスの追加
ジオメトリ サービスにより、様々なアプリケーションから、投影変換やバッファ作成など、高度なジオメトリ演算を呼び出せるよう
になりました。この新しいジオメトリ サービスを公開すれば、単体でこのような演算を実行できないクライアント サイドの
JavaScript アプリケーションから利用することもできます。
 ArcGIS Services Directory での GIS サーバのブラウズ
ArcGIS Services Directory は、各 GIS サーバに組み込まれている Web アプリケーションです。ArcGIS Services Directory を使用して、
GIS サーバで動作中のサービスを確認し、それらのサービスを使用するアプリケーションの開発に必要な情報を入手することができま
す。
サーバ管理の向上
 セキュリティの強化
9.3 では、ArcGIS Server にロール ベースのセキュリティ モデルが実装され、ArcGIS Server Manager の新しい [セキュリティ] タブ
を使用して、データベース、OS、または他の場所でユーザを定義できるようになりました。ArcGIS Server Manager を使用して、サー
ビス、Web アプリケーションに対してロールに基づいてユーザのアクセス権を割り当てることができます。
 ロギング メッセージの詳細化
問題の追跡は難しく、ストレスを感じることがよくあります。9.3 では、必要に応じてより詳細なメッセージを作成して、GIS サーバ
で発生した問題をより簡単に追跡できるようになりました。サービスのタイプごとに、問題の解決に役立つ追加情報がログ ファイル
に記録されます。たとえば、マップ サービスでは、各レイヤが正常に描画されたかどうかを示す情報がログ ファイルに書き込まれ
ます。
相互運用性の向上
 KML 配信の強化
9.2 では、Google Earth のユーザにマップ サービスを配信する場合、ArcGIS
Server Manager を使用して KML ネットワーク リンク
を作成し、サービスを配信していました。Google Earth でネットワーク リンクを開くと、マップ サービスを世界中で表示できます。
9.3 では、マップおよびイメージ サービスによって、URL からアクセス可能なネットワーク リンクが自動的に生成されるようになり
ました。ArcGIS Services Directory の Web アプリケーションを使用すれば、ArcGIS Explorer、Google Earth など、KML を直接サポー
トするアプリケーションですべてのサービスを閲覧することができます。あるいは、自社の Web サイトに直接サービスへの URL を埋
め込んで、ArcGIS Services Directory にはないユーザ エクスペリエンスを提供することも可能です。さらに、サービスのメタデータ
のインデックスが検索エンジン(Google、Yahoo など)によって構築されるので、Web 検索を実行するだけでサービスを探し出せる
という利点もあります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 109
 サポートの拡大
9.3 では、OGC Web Coverage Service(WCS)、OGC Web Feature Service(WFS)のサポートが追加されています。また、OGC Web Map
Service(WMS)のサポートが強化され、キャッシュ マップ サービスを WMS として配信し、Styled Layer Descriptor(SLD)を使用
して、レイヤの描画方法を定義できるようになりました。
アプリケーション開発ツールの追加と強化
 マッシュアップを構築するための JavaScript API の追加
9.3 では、Web 開発者は、GIS サーバのコンテンツと ArcGIS Online、Virtual Earth、または Google Maps のコンテンツを重ねたマッ
プ マッシュアップを簡単に作成できるようになりました。ArcGIS JavaScript API を使用して、簡単にマップを Web ページに埋め込む
ことができます。この API は ESRI によってホストされ、無料で提供されます。ArcGIS JavaScript Extention for the Google Maps API
および ArcGIS JavaScript Extension for Microsoft Virtual Earth を使用して、ArcGIS Server のコンテンツを Google Maps や Microsoft
Virtual Earth 上にそれぞれ追加することができます。これらの API を使用する場合、ESRI からの開発ライセンスや配置ライセンスは不
要です。
 ArcGIS Server REST API および ArcGIS Services Directory Web アプリケーションの追加
アプリケーション開発者は、GIS サーバで動作するサービスを利用するアプリケーションを構築するためのヘルプとして、ArcGIS
Services Directory を利用できます。ArcGIS Services Directory はすべての GIS サーバと共に配置される Web アプリケーションで、サー
バのコンテンツを表示したり、サーバで動作中のサービスに関する情報を入手したりすることができます。ArcGIS Services Directory
は ArcGIS Server REST API を通して実行されます。簡単に言うと、REST API により、GIS サーバは URL からサービスに関する情報を公
開することができます。上記のすべての JavaScript API で、ArcGIS Server REST サービスが使用されます。REST API に関する詳細につ
いては、ArcGIS Server REST API のページをご参照ください。
http://resources.esri.com/help/9.3/arcgisserver/apis/rest/index.html
 Web アプリケーション構築用の Web ADF の強化(Microsoft .NET Framework)
9.3 では、複数マップのブレンドの高速化、Web ADF JavaScript ライブラリのドキュメントの作成、ASP.NET AJAX との完全統合、Visual
Studio 2008 のサポート、ドキュメントの改善など、Web ADF が強化されています。
 ArcGIS Server Manager からのモバイル プロジェクトの構築と展開
Web マッピング アプリケーションを構築および配置するときと同様、ArcGIS Server Manager for the Microsoft .NET Framework に、
モバイル プロジェクトを構築および管理するためのツールが搭載されました。
ArcGIS Server 9.2 から 9.3 への移行に関する詳細については、ArcGIS Server ヘルプの [Introducing ArcGIS Server] → [Moving
to ArcGIS Server 9.3] をご参照ください。
http://webhelp.esri.com/arcgisserver/9.3/dotNet/moving_to_93.htm
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 110
ArcGIS Server Manager の改良点
一般的な機能の改良点
 新しい外観
ArcGIS Server Manager の最も大きな外観の変化は、メインのタブの位置の変更です。9.2 では、タブはアプリケーションの上部に横
に並べられていました。9.3 では、タブは左側に移動しました。この変更により、セキュリティを管理するユーザ インタフェースの
強化など、ArcGIS Server Manager に新機能を追加されています。
 管理者権限でのログインが不要に
ArcGIS Server Manager にログインする際に使用するユーザ名に、システム管理者権限を設定する必要がなくなりました。システム管
理者権限なしでログインした場合、サービスの公開は可能ですが、Web アプリケーションを管理することはできません。
 ネットワーク ドメイン グループのサポート
9.3 では、ArcGIS Server Manager は、ネットワーク管理者によって管理されるドメイン グループに含まれるドメイン ユーザのログ
インをサポートします。これにより、各ユーザを agsadmin ユーザ グループに追加する代わりに、ドメイン グループを agsadmin
に追加することができます。agsadmin ドメイン グループのメンバであるすべてのユーザが、ArcGIS Server Manager にアクセス可能
です。
 実行中の ArcGIS Server のバージョンの確認
ArcGIS Server Manager の [ヘルプ] リンク(アプリケーションの右上)をクリックすると、ArcGIS Server のバージョン番号が表示さ
れます。
サービスの公開
 GIS サーバのフォルダの作成と管理
GIS サーバで動作中のサービスを確認する際、ArcGIS Server Manager 9.2 では、サービスを含むすべてのフォルダが左側の列に表示さ
れていました。しかし、9.3 では ArcGIS Server Manager のタブが左側に移動されたため、GIS サーバのフォルダの表示方法も変更さ
れました。9.3 ではフォルダにはドロップダウン メニューからアクセス可能です。特定のフォルダを選択するだけで、そのフォルダ
のサービスを確認することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 111
さらに、[フォルダ管理] をクリックして、フォルダの追加と削除、プロパティの設定またはフォルダのアクセス権を設定したりする
ことができます。
 サービスの停止や再起動が 1 つのボタンで可能に
サービスの停止、開始が煩雑だというフィードバックに対処するため(1 つ以上のサービスを選択して [停止] をクリックし、再起動
時には再びサービスを選択して [開始] をクリックする)、停止と開始を 1 つのステップに組み込んでサービスを再起動する新しいオ
プションが ArcGIS Server Manager に追加されました。以下のように、[再起動] ボタンがツールバーに追加されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 112
 コマンドへのショートカットが追加された新しいショートカット メニュー
サービスまたは Web アプリケーションを右クリックすると、コマンドへのショートカット メニューが表示されます。
 サービスのセキュリティの確保
ArcGIS Server Manager を使用して、これまでよりも簡単に GIS サービスのセキュリティを設定できるようになりました。まず、ユー
ザを定義し、その後、どのユーザに GIS サービスへのアクセス権を持たせるかを設定することができます。また、ArcGIS Server Manager
を使用して、サービスではなくフォルダにもアクセス権を設定することができます。[権限] ボタンでは、GIS サービスのセキュリティ
を設定してください。新しいセキュリティ オプションに関する詳細については、後述の「セキュリティ」のセクションをご参照くだ
さい。
Web アプリケーションの構築と管理
 9.2 から 9.3 への Web アプリケーションの移行
9.3 では、Web ADF for the Microsoft .NET Framework が大幅に変更されました。.NET Framework は同じですが、Web アプリケーショ
ンを構築するためのより包括的なプラットフォームを提供するため、さまざまなテクノロジとパフォーマンスが改良されています。
これらの改良に伴い、ArcGIS Server Manager で作成したアプリケーションを含む 9.2 向けの Web アプリケーションを 9.3 へ移行する
必要があります。移行方法や、互換性および移行に関する詳細については、ArcGIS Server のヘルプにある [Introducing ArcGIS Server]
→ [Moving to ArcGIS Server 9.3] をご参照ください。http://webhelp.esri.com/arcgisserver/9.3/dotNet/moving_to_93.htm
 Microsoft .NET Framework での ArcGIS Server Manager からの Web マッピング アプリケーションの配置
ArcGIS Server Manager で Web アプリケーションを作成していて最初に気づくことの 1 つは、アプリケーションを Web サーバに配置
する方法をよりコントロールできるようになったことです。9.3 では、ArcGIS Server Manager を使用して以下を実行することができ
ます。
•
現在のマシン以外のホスト名の提供
•
ポート番号の指定
•
URL 内のフォルダのサポート(Web アプリケーションの Web サーバのルート ディレクトリへの格納が不要に)
•
明示的なマシン名を含まない外部への URL のサポート
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 113
Web アプリケーションを作成または編集する際にこれらのオプションを設定するには、[アプリケーション] タブの [高度な設定] リ
ンクをクリックしてください。
 Web アプリケーションへのレイヤの追加
Web アプリケーションへのレイヤの追加を行うためのダイアログがの画面中央に表示され、ArcCatalog のファイル ブラウズ ダイア
ログと同じような外観になりました。ArcCatalog と同様、ルート ノードの下に、接続されている GIS サーバが表示されます。GIS サー
バへのコネクションは、ArcGIS Online へのコネクションを自動的にリストアップするので、簡単に ArcGIS Online のベース マップ レ
イヤ上に独自のコンテンツを重ね合わせて表示することができます。カタログを操作するには、操作したい項目をダブルクリックし
ます。また、[詳細表示] をクリックすると、その項目に関する詳細な情報が表示されます。レイヤとして Web アプリケーションに追
加したいサービスがある場合は、[追加] をクリックします(または、サービスをダブルクリックします)。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 114
 マップ リソース プロパティの設定
9.2 では、ArcGIS Server Manager を使用して、マップ リソースの透過表示など、マップ サービスのプロパティを設定することがで
きました。9.3 では、Web アプリケーションの起動時のリソースの表示または非表示や、GIS サーバにリクエストするイメージのタイ
プを制御できる新しいプロパティが追加されています。イメージを含むマップ サービスの操作に便利なオプションです。
ArcGIS Server Manager で Web マッピング アプリケーションを構成するときに、各マップ リソースに対してシームレス画面移動を
有効化するかどうかを設定できるようになりました。シームレス画面移動は、画面移動操作中にマップ イメージが連続して表示され
るモードです。シームレス画面移動を無効化する場合、より高速なマップの描画が期待できます。マップ キャッシュが有効なマップ
リソースに対してシームレス画面移動は効果的ですが、マップ キャッシュが無効なマップ リソースに対しては無効化したほうが良
いでしょう。
[マップ リソース]プロパティ ダイアログにシームレス画面移動のチェックボックスが追加されています。[現在のマップ リソース]
リストの中から任意のマップ リソースをクリックするとこのダイアログが表示されます。
同じ設定を Visual Studio で行う場合、MapResourceItem コレクション エディタのマップ リソース 表示設定 エディタで、Dynamic
Tiling プロパティの設定を変更します。
また 9.3 には、たとえば、このマップ リソース内のレイヤとして表示される、フィールドのエイリアスや表示の設定などのプロパティ
を設定できる機能も追加されています。マップ リソース内でレイヤを選択すると、[シンボル]、[フィールド]、[レコード]の 3 つの新
しいカテゴリのプロパティが表示されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 115
これらのプロパティを使用して、レイヤのフィーチャの描画方法や属性情報の表示方法を指定することができます。Web マッピング
アプリケーションでは、フィーチャの個別属性を表示したり、タスクの実行結果をマップ チップとして表示したりする際に、この設
定が使用されます。下図のような、赤いプッシュピンのシンボルとマップ チップ情報のウィンドウはマップ リソース プロパティで
設定できます。
 マップ表示の初期範囲の定義
9.3 では、Web マッピング アプリケーションの起動時にアプリケーションに表示される範囲を明示的に定義できるようになりました。
アプリケーションに含まれるマップ リソースのリストの下に、初期範囲を設定する新しいオプションが追加されています。
 マップ プレビューで画面の移動とズームを完全サポート
Web アプリケーションにレイヤを追加する際、プレビュー ウィンドウで画面を移動したりズームしたりして、マップ表示が正しく設
定されているかどうか確認できるようになりました。画面移動とズームのコントロールは、プレビュー ウィンドウの左上に表示され
ます。
 印刷タスクの追加
ArcGIS Server Manager に Web マッピング アプリケーションでの印刷を有効にする 印刷タスクが追加されました。Web アプリケー
ションのユーザは、表示したい結果と一緒にマップを印刷するかどうか選択することができます。印刷タスクを設定する際、タイト
ルやマップのサイズ、印刷画質を指定し、また、凡例、方位記号、および縮尺記号などのマップ エレメントを含めることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 116
 タスクの実行結果を描画するシンボル オプションの追加
9.2 では、タスクの実行結果の描画で指定できるのは色だけでした。9.3 では、シンボルを設定するオプションが追加され、パレット
からさまざまなタイプやサイズのマーカー シンボルを選択して、ポイント フィーチャを描画することができます。ラインおよびポ
リゴン フィーチャについては、線や塗りつぶしの色、線の幅を設定することができます。
 タスク実行時のタスク ウィンドウの自動終了
属性検索などのタスクを実行する際、タスクを実行するボタンをクリックすると、自動的にタスク ウィンドウが閉じるようになりま
した。この動作を変更するには、Visual Studio で各タスクの HideTaskUponExecution プロパティを false に設定してください。
 概観図
9.3 では、ArcGIS Server Manager を使用して、Web アプリケーションのレイヤ以外にも、あらゆるマップ サービス レイヤを含む概
観図を構成できるようになりました。また概観図に静的および対話的モードのどちらかを設定できます。パフォーマンスを向上する
ため、デフォルトでは、概観図はインタラクティブではなくなり、表示範囲を示す赤いボックスをドラッグしたりサイズ変更したり
することができなくなっています。Visual Studio 設定を行う場合、OverviewMap コントロールの StaticMode プロパティの設定を変
更します。
 著作権に関するテキスト
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 117
9.3 では、Web アプリケーションに表示する著作権に関するテキストを指定できるようになりました。
モバイル プロジェクト
 モバイル プロジェクトの構築
9.3 では、ArcGIS Server Manager を使用して、モバイル プロジェクトを作成および管理することができるようになりました。詳細に
ついては、このドキュメントの「モバイル GIS」をご参照ください。
OGC サービス
 OGC サービスの利用
9.3 では、ArcGIS Server が、WMS サービスに加えて、WFS および WCS サービスもサポートしました。また、ArcGIS Server Manager
の [アプリケーション] タブを見るとお分かりのように、WMS サービスは OGC サービスという名前に変更されました。ここに表示さ
れている URL からサービスを利用することができます。
GIS サーバの管理
 GIS サーバのメッセージの改善と詳細化
9.3 では、問題を解決する際、GIS サーバからより詳細なメッセージを入手できるようになりました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 118
ログ メッセージの深刻度は、直ちに確認する必要がある問題を知らせるエラーから、サーバの通常の使用で作成される一般的な通知
メッセージまで、さまざまです。ログのレベル設定では、書き込まれるメッセージの種類を決めることができます。ArcGIS Server の
ロギング レベルは以下のとおりです。
•
なし – ログ記録は行われません。
•
エラー – 直ちに確認が必要な深刻な問題。
•
標準 – 確認が必要な問題やエラーに関する警告。
•
情報: 簡易 – サービスの作成に関するメッセージを含む、サーバからの一般的な管理メッセージ。このレベルには、警告
およびエラーが含まれます。
•
情報: 標準 – リクエストごとに 1 回記録される、サーバの使用による一般的なメッセージ。このレベルには、[情報: 簡易]
のすべてのメッセージ、警告、およびエラーが含まれます。
•
情報: 詳細 – マップ サービスの各レイヤの描画の成功を知らせるメッセージなど、リクエストごとに複数回記録可能な
サーバからのよくあるメッセージ。このレベルには、[情報: 標準]、[情報: 簡易] のすべてのメッセージ、警告、およびエ
ラーが含まれます。
•
冗長 – ArcGIS Server 開発者は、このレベルを使用して、開発したサーバ オブジェクトやサーバ オブジェクト エクステ
ンションのテスト中に、デバッグ メッセージを記録することができます。情報レベルのすべてのメッセージ、警告、およ
びエラーが含まれます。
デフォルトでは、サーバのログ レベルは [情報: 簡易] に設定されており、深刻度が [エラー]、[標準]、または[情報: 簡易] のメッセー
ジが記録されます。
セキュリティ
ArcGIS Server Manager の新しい [セキュリティ] タブでユーザを定義し、サービスおよび Web アプリケーションへのアクセス権を付
与できるようになりました。詳細については、後述の「セキュリティ」のセクションをご参照ください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 119
Web マッピング アプリケーション
 新しい Web マッピング アプリケーションを作成していて最初に気づくことの 1 つは、外観が若干変わったことです。内容はほぼ
同じですが、より簡単にアプリケーションを使用できるように並び替えられました。
 洗練された外観によるユーザビリティの向上
9.2 では、Web マッピング アプリケーションのほとんどのユーザ アクションは左側のコンソール領域にまとめられていました。コ
ンソール領域には、アプリケーションのタスク、タスクの実行結果、マップ コンテンツ、ナビゲーション ツール、および概観図の 5
つのパネルが収められていました。すべてのパネルを同時に表示した場合、煩雑になり実行したい機能に辿り着くのが手間がかかり
ました。他のパネルを表示するために別パネルを閉じたり、あるいはパネルをコンソールから切り離して、マップ上に移動したりす
る必要がたびたびありました。
9.3 では、コンソール領域には、サイズ変更が可能な結果とマップ コンテンツのためのパネルが 2 つだけ収められています。これら
のパネルはコンソール領域に固定されているため、マップが覆い隠されることはありません。9.3 では、タスクはマップ上のツールバー
の横に水平に並べられます。
(ツールバーは右にシフトしています。)ナビゲーション ツールは常に使えるようにマップの左上に配置
されており、頻繁に使用するツールにすぐにアクセスすることができます。
 マップ ナビゲーションの改良
より簡単にマップを操作できるよう、ツールバーに前の範囲、次の範囲に移動できるボタン(ツールバーでは矢印で表示)が追加さ
れ、マップの表示範囲を行き来できるようになりました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 120
さらに、ズーム レベル コントロール(+と-)が常時表示されるようになりました(9.2 では、Web アプリケーションがキャッシュ マッ
プ サービスを含む場合のみ表示されていました)。
Web アプリケーションにキャッシュ マップ サービスが含まれる場合、ズーム レベル コントロールには、マップがキャッシュされ
たときの縮尺を示すバーが表示されます。
 タスク結果の表示
多くの場合、タスクを実行すると、複数の結果が生成されます。結果を示す場所をマップ上で見つけやすいよう、9.3 では、[結果] リ
ストでその結果をハイライトすると、マップでもハイライトされるようになりました。たとえば、[結果] リストで Tyler Elementary
School を選択すると、マップ上でも(大きなシンボルが描画されて)それがハイライトされます。
特定の結果について詳しく知りたい場合は、シンボルをクリックするだけで、情報ウィンドウまたはマップ チップが表示されます。
アプリケーション開発者は、マップ チップ ウィンドウの内容を自由に設定することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 121
 フィーチャの個別属性表示
9.2 で [個別属性表示] ツールを使用すると、個別属性が表示されたフィーチャが[結果] リストに書き出されていました。9.3 では、[個
別属性表示] ツールを使用すると、上図のように、情報ウィンドウがポップアップされるようになりました。また、個別属性を表示し
た特定のフィーチャを [結果] リストに追加することも可能です。
[個別属性表示] ツールを使用すると、デフォルトでは、フィーチャ属性がフィールド名や値のシンプルなリストとして表示されます
が、タスク結果と同じフォーマットを適用することも可能です。デフォルトの情報の表示(左)とフォーマットされた表示(右)は
以下の図のとおりです。
 概観図の使用
ツールバーから概観図の表示・非表示を切り替え、マップの右上に表示することができます。
パフォーマンスを向上するため、デフォルトでは、概観図は対話的ではなくなり、マップの表示範囲を示す赤いボックスをドラッグ
したりサイズ変更したりすることはできません。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 122
 マップの印刷
Web マッピング アプリケーションの新しい 印刷タスクを使用して、タイトルやマップ、凡例、縮尺記号、方位記号、および選択さ
れたタスク結果が表示された、印刷用のシンプルなページを作成することができます。
GIS サービス
サービスの追加
 イメージ サービス
9.2 では、ラスタ データを公開する場合、ラスタをマップ ドキュメントに追加し、そのマップをマップ サービスとして公開してい
ました。9.3 では、ラスタ データセットをイメージ サービスとして、サーバに直接公開できる機能が追加されました。どちらを使用
するべきかは、何をする必要があるかによります。簡単に言えば、2 つの違いは、マップ サービスでは画像、イメージ サービスでは
画像とデータの両方が公開されるということです。できるだけ速く画像が描画されることだけが求められるほとんどのアプリケー
ションでは、キャッシュされたマップ サービスが最善の選択肢です。しかし、たとえば、ラスタ データセットに含まれる標高値に
クライアント アプリケーションからアクセスできるようにしたいとき、あるいはクライアント アプリケーションでイメージの解析
や処理を実行したいときなど、アプリケーションがラスタ データ自体にアクセスする必要がある場合に、イメージ サービスを利用
することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 123
イメージ サービスは、TIFF、MrSID、IMG ファイル、およびジオデータベース ラスタ データセットを含む、ArcGIS のすべてのラス
タ データセットをサポートしています。ArcCatalog または ArcGIS Server Manager を使用して、各ラスタ データセットを 1 つのイ
メージ サービスとしてパブリッシュすることができます。
 ジオメトリ サービス
ジオメトリ サービスで、データの投影変換やバッファ作成などのジオメトリ演算を利用できるようになりました。このジオメトリ
サービスを公開すれば、単体でこのような演算を実行することができないクライアント サイドのアプリケーションから利用すること
ができます。たとえば、JavaScript アプリケーションの開発者は、ジオメトリ サービスを使用して、1000 メートルのバッファ ポリ
ゴンをユーザの現在位置の周りに作成し、バッファ内にある企業を確認することができます。
マップ サービスと異なり、ジオメトリ サービスには関連するデータや状態がなく、マップに直接追加することはできません。この
ため、ジオメトリ サービスが表示されるのは、管理者として GIS サーバに接続した場合のみで、ArcCatalog でのユーザ接続では表示
されません。また、サービス名は必ず「Geometry」となり、1 つの GIS サーバで実行できるジオメトリ サービスは 1 つだけとなりま
す。
マップ サービスの改良点
 インターネット接続による機能の追加
•
マップ サービスから縮尺記号をエクスポートして、見栄えのよい縮尺記号を Web アプリケーションで描画できるように
なりました(ExportScaleBar)。
•
マップ サービスのレイヤでリレートが設定されている場合、個別属性が表示されているフィーチャから関連情報にアクセ
スできるようになりました。
•
リクエスト可能なイメージの高さおよび幅の最大値や、クエリで返されるレコードの最大数など、マップ サービスの構成
に関する情報を取得できるようになりました。
 検索機能の改良点
•
新しいオブジェクト(LayerResultOptions)により、新しいメソッド(QueryFeatureData2、QueryFeatureIDs2、および
QueryFeatureCount2)
、既存メソッド(Identify、Find、QueryHyperLinks)の戻り値として、マップ サービスから単純化
あるいは高密度化されたジオメトリが返されるようになりました。これにより、ネットワークで受け渡されるジオメトリ
および情報が少なくなるため、検索時のパフォーマンスが向上し、また Web アプリケーションで円弧を表示できるように
なりました。
•
LayerResultOptions に、FormatValuesInResults と ReturnFieldNamesInResults の 2 つのプロパティが追加されました。こ
れらを Identify および Find メソッドと併用して、フィールド名やフィールド エイリアスを取得し、値を文字列またはオ
リジナルのデータ タイプとして取得することができます。
•
新しい QueryFeatureData2 メソッドを使用して、マップ サービスに送信されるクエリを KML として戻すことができます。
これにより、KML をサポートするクライアントで検索結果を表示することができるようになります。
•
•
マップ サービスのラスタ レイヤに対して個別属性検索ができるようになりました。
検索結果がドメインおよびサブタイプをサポートしました。
 マップ サラウンドの背景の透過表示をサポート
マップ サービスから、背景が透過表示されたマップ サラウンド(縮尺記号、方位記号、および凡例)をエクスポートできるように
なりました。
 KML 機能がデフォルトで有効化
マップ サービスを公開する際、KML 機能がデフォルトで有効になります。これにより、Google Earth など、KML をサポートするク
ライアントとマップ サービスを簡単に統合することができます。
マップ サービスのマップ キャッシュ機能の強化
マップ キャッシュは、マップ サービスの描画パフォーマンスを向上させるのに非常に有効な機能です。マップ キャッシュの作成に
は時間がかかるかもしれませんが、時間をかけても十分にパフォーマンス向上のメリットがあります。9.3 では、マップ キャッシュ
の機能が大幅に強化され、キャッシュされたマップ サービスを簡単に設定、構築、および維持することができるようになりました。
以下では、機能の強化により、キャッシュされたマップ サービスの構築方法がどのように変更されたかをご説明いたします。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 124
 マップ サービスのキャッシュの作成と管理を簡易化するワークフローの追加
9.3 では、9.2 で多くのユーザから報告された複数のワークフローの問題に対処しました。その結果、より合理的なワークフローとジョ
ブの実行に必要なツールが追加されました。最初に気づくことの 1 つは、ArcCatalog の [キャッシュ] タブのデザインの変更です。
[キャッシュ] タブでは、マップ キャッシュを有効にし、タイル スキーマを定義することができます。定義後、[タイルの作成] をク
リックして、キャッシュの構築を開始します。
あるいは、ArcGIS Server Manager からマップ キャッシュを有効にし、タイル スキーマを定義することもできますが、ArcGIS Server
Manager ではキャッシュの作成はサポートされていないため、キャッシュの作成は ArcCatalog を使用する必要があります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 125
 ArcGIS Online、Microsoft Virtual Earth、および Google Maps で使用可能なキャッシュの作成
ArcGIS Online、Microsoft Virtual Earth、および Google Maps のベース マップのタイル スキーマが ArcCatalog および ArcGIS Server
Manager に統合されたため、これらのベース マップ上にデータを簡単に表示できるようになりました。あらかじめ定義されたタイル
スキーマをロードして、キャッシュを構築するだけです。
(注意:ArcGIS Online では WGS 1984、Virtual Earth および Google Maps
では WGS 1984 Web Mercator というように、必ずマップの座標系をオンライン サービスに合わせてください。WGS 1984 Web
Mercator は ArcGIS Desktop でもサポートされている投影法です。)
また、既存のマップ サービス、または保存されているタイル スキーマ ファイルから、タイル スキーマをロードすることができる
ようになりました。これにより、一緒に表示するために同じタイル スキーマを共有する必要がある、キャッシュされたマップ サー
ビスを、簡単に作成することができます。
 パーシャル キャッシュ:特定範囲のキャッシュの構築
広範囲な地理空間を数多くの縮尺でキャッシュを構築するのは時間のかかるプロセスで、完了まで数日間を要し、多大な処理能力と
ディスクの空き容量が必要になることがあります。9.3 では、一度にすべてのキャッシュをあらかじめ構築する必要がなくなり、代わ
りに特定範囲のタイルを構築できるようになりました。たとえば、大都市など、アクセス頻度が高い範囲を定義することができます。
範囲を設定するには、タイルを作成する範囲のアウトラインを含む、シェープファイルなどのフィーチャクラスを利用するだけです。
フィーチャクラスを使用してタイルを構築、更新することにより、範囲を正確に定義することができます(9.2 では、長方形の範囲し
か定義できませんでした)
。たとえば、カリフォルニア内にのみタイルを作成したい場合、フィーチャクラスにはカリフォルニアを覆
うポリゴン アウトラインのみを含めるようにしてください。
 オンデマンド キャッシュ:サービスへのアクセス時にキャッシュを構築
[オンデマンド キャッシュ] オプションを使用して、サービスへアクセスする前にタイルを作成するのではなく、ユーザがマップ サー
ビスにアクセスしたときに、タイルをサーバ上に作成および格納することができます。オンデマンド キャッシュでは、特定範囲に最
初にアクセスした人は、マップが描画されキャッシュとして追加されるまで待つ必要がありますが、以降の人たちはキャッシュされ
たタイルを利用することができます。ArcCatalog および ArcGIS Server Manager の[キャッシュ] タブからオンデマンドでのタイルの
作成を有効にすることができます。オンデマンド キャッシュにより、キャッシュ タイルを事前に作成する手間が省け、サービスで
最もアクセス数の多い地理空間のみ自動的にキャッシュされますが、サービスの最初の利用者にはパフォーマンス面での負担が掛か
ります。
アクセス数が多いと予想されるマップの範囲にはあらかじめタイルを作成し、アクセス数が少ない領域にはオンデマンド キャッシュ
を使用する、パーシャル キャッシュとオンデマンド キャッシュを組み合わせるのが、効果的なマップ キャッシュ構築の方法と言え
るかもしれません。以下の図は、中央カナダの草原地帯にこの方法を適用した例です。道路や町からわかるように、人口の大半は草
原地帯の南部に住んでいます。この範囲のタイルをあらかじめ作成することで、多くのユーザがすぐにキャッシュのメリットを享受
することができます。他の範囲については利用者が少ないと思われるため、オンデマンドでタイルを作成します。この広大で無人の
範囲のキャッシュを作成、格納、および維持するコストは、最初にアクセスした人がすばやく操作できるというメリットを上回りま
す。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 126
オンデマンドでタイルを作成
事前にタイルを作成
 最新の状態のキャッシュの維持
キャッシュを構成するタイルは、タイル作成時のデータのスナップショットです。時間の経過とともに、データの変更に合わせて
キャッシュを更新する必要があります。作成したときと同じ方法で ArcCatalog からタイルを更新することができます。9.3 では、特
定範囲のタイルを作成可能になったため、たとえば、地元の新しい分譲地を反映させるためにタイルを更新しなければならないとき
など、変更が必要な範囲を簡単に更新することができます。
また、9.3 では、[マップ サービス キャッシュの縮尺を管理] ツールを使用して、既存のキャッシュに簡単に新たな縮尺レベルを追加
したり、削除したりすることができます。
 ArcMap や ArcGIS Explorer などのクライアント アプリケーションでの同期
ArcMap や ArcGIS Explorer、ArcGlobe はすべて、アクセス済みのタイルのローカル キャッシュを保存します。このため、サーバから
タイルを取得する必要がなくなり、アプリケーションの描画速度が速くなります。しかし、同時に、最新ではないタイルが表示され
る可能性もあります。キャッシュを頻繁に更新する予定であれば、9.3 で導入された新しいオプションを使用して、クライアント ア
プリケーションによってキャッシュ タイルがローカルに保存されないようにすることができます。これにより、クライアント アプ
リケーションのユーザは、サービス利用時に常に最新のマップを確認することができます。この新しいオプションを使用するには、
クライアントがタイルをローカルに保存するのを可能にする設定のチェックを外してください。この設定はデフォルトで有効になっ
ています。
9.3 の ArcMap では、キャッシュされたマップ サービスを参照するレイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログに新しい [キャッシュ]
タブが追加されました。このタブには、エンド ユーザが次のセッションまでキャッシュ タイルをローカルに保存するか、セッショ
ンの間だけ保存するか、まったく保存しないかを選択することができるオプションが組み込まれています。
(図については、このドキュ
メントの「マッピング」をご参照ください。
)キャッシュされたマップ サービスを作成する際に [クライアントがローカルにキャッシュ
を保存することを許可] オプションのチェックを外すと、サービスを ArcMap に追加してタイルをローカルに保存する際に [キャッ
シュ] タブに表示されるオプションが無効となります。
 キャッシュのプロパティの取得
マップ キャッシュの管理に役立つスクリプトを記述する場合、新しい GetCacheDescriptionInfo メソッドを使用して、1 回のコール
で、キャッシュ タイプ、タイル スキーマ、およびイメージ情報を含むすべてのキャッシュ プロパティを取得することができます。
 WMS のパフォーマンスの向上
9.3 では、WMS サービスを公開する際、キャッシュされたマップ サービスがサポートされるようになったため、WMS でマップ キャッ
シュのパフォーマンスの利点を活かせるようになりました。9.2 以前では、WMS としてアクセスされるマップ サービスは、常に動的
なサービスとして機能していました。9.3 では、WMS サービスは、イメージを動的に生成する代わりに、キャッシュされたマップ サー
ビスのキャッシュ タイルを使用できます。ただし、キャッシュ タイルの使用は、キャッシュされたマップの表示設定により限定さ
れています。WMS サービスのエンド ユーザ、または WMS にアクセスするクライアント アプリケーションによって、WMS の座標
系、レイヤの表示設定、レイヤの順序、背景色などが変更されると、サーバのキャッシュは使用されず、動的に作成されたイメージ
が返されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 127
グローブ サービスの改良点
 グローブ サービスのキャッシュの改良
グローブ サービスのキャッシュ作成のワークフローが改善され、グローブ サービス キャッシュを簡単に作成および管理できるよう
になりました。9.2 では、ArcGlobe を使用してベクタ データをキャッシュしてからサーバに配置する必要がありました。9.3 では、
ArcGIS Server がすべてのグローブ キャッシュの作成を行うことができます。[グローブ サービス プロパティ] ダイアログで、新し
い [タイルの更新] ボタンをクリックして、以下の新しいダイアログでグローブ サービス キャッシュを構築することができます。
また、レイヤごとに詳細レベルを指定し、すべてのタイルまたは空のタイルを作成しなおすことを選択することもできます。
 特定範囲のキャッシュの更新
マップ サービス キャッシュと同様、更新したい範囲を定義するフィーチャクラスを指定することで、グローブ サービス キャッシュ
の一部を更新することができます。
 運用サーバへのキャッシュの配置を簡易化
9.3 では、レイヤ ファイル(.lyr)やグローブ配置ウィザードを使用する必要がなくなりました。グローブ ドキュメントとキャッシュ
を、運用サーバにコピーするだけです。
 オンデマンドでのベクタ データのサポート
9.3 では、ベクタ データが他のデータ タイプと同じように動作するようになりました。サーバ上に完全なキャッシュが作成されてい
る場合と同じように、オンデマンドでベクタを表示できます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 128
 ダウンサンプリングによるパフォーマンスの向上
9.3 では、グローブ サービスでオブジェクトのテクスチャをダウンサンプリングして、パフォーマンスを向上しています。
テクスチャ ダウンサンプリングなし、建物サイズ 638k:
テクスチャ ダウンサンプリング 5%、建物サイズ 214k:
マップ キャッシュおよびグローブ キャッシュ作成時の改良点
9.3 SP1 では、マップ キャッシュおよびグローブ キャッシュ作成のジオプロセシング ツールの実行中にプログレス バーが表示され
るようになり、ジョブの終了時間の大まかな目安を確認することができます。
ジオプロセシング サービスの改良点
 サーバに公開するマップおよびツールボックスの作成機能の改良点
•
ツール レイヤ
– 9.3 では、ツール レイヤの作成が改善されました。ArcMap でツール レイヤを作成後、ツール レイ
ヤを開いてフィーチャを追加することができます(フィーチャ セット パラメータを使用する場合)。また、入力フィーチャ
クラスがサブレイヤとして自動的に追加されないようになりました。
•
フィーチャ セットとレコード セット
– ArcGIS Desktop では、タスクでよく使用されるフィーチャ セットとレコード
セットの両データ タイプが改良されました。インタラクティブにフィーチャやレコードを入力するのではなく、既存の
フィーチャクラスまたはテーブルを入力として利用することができます。ユーザ インタフェース コントロールでは、
フィーチャおよびレコードの属性が、各フィーチャやレコードの入力フォーマットではなく、テーブルの列として表示さ
れます。
•
スクリプト ツール
– より簡単に、直感的にスクリプト ツールを作成できるようになりました。たとえば、選択リスト
を簡単に設定することができます。また、スクリプト ツールの出力用シンボルも設定可能です。
•
シンボル表示オプションの追加 – 9.3 には、ジオプロセシングの出力結果を表示するシンボルのための新しいオプショ
ンが追加されています。フィーチャ レイヤについては、シンボル フィーチャに透過表示を設定することができます。ラ
スタ レイヤについては、個別値、分類またはストレッチを使用して、シンボル表示を行うことが可能です。また、ラスタ
レイヤでは、透過表示やコントラスト、明るさの設定も可能です。
 ジオプロセシング サービスの公開
9.2 では、たとえば、存在しないレイヤを含むマップ ドキュメントやパラメータとしてサポートされていないデータ タイプを含む
マップ ドキュメントなどから、無効なジオプロセシング サービスが誤って公開されることがありました。このようなエラーは GIS
サーバで検出され、メッセージがサーバのログ ファイルに書き込まれますが、サービスが公開されるまで(場合によっては、初めて
使用されるまで)メッセージは書き込まれませんでした。9.3 では、サーバが公開の段階でエラーをチェックし、エラーが発生した場
合はすぐに通知します。これにより、エラーを含むサービスの公開を防止することができます。
また、ジオプロセシング サービスから実行メッセージが返されないようにするオプションも追加されました。これらのメッセージに
は、データ ソースへの内部パス名など、サービスの利用者に見られたくない機密情報が含まれる場合があります。9.3 では、デフォ
ルトでこれらのメッセージが返されないように設定されています。設定を変更するには、ArcCatalog または ArcGIS Server Manager
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 129
でサービスのプロパティを開き、[パラメータ] タブの [メッセージを表示する] パラメータを切り替えてください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 130
 パフォーマンスの向上
9.3 で行われたパフォーマンスの改善の一例は、以下のとおりです。
•
大きなレコード セットの読み込みおよび保存が高速になり、たとえば、10 万個のフィーチャのサーバへの転送時間または
サーバからの転送時間が 40 分から 2 分に短縮されました。
•
•
•
•
フィーチャ セットとレコード セットの、ツールの実行速度が上がりました。
SDE コネクションがキャッシュされるようになったため、SDE(9.2 SP4)のツールの実行速度が上がりました。
Python スクリプト ツールがインプロセスで実行できるようになり、パフォーマンスの高速化を実現しました。
同期ツールの実行速度が上がりました。
 リクエストされた座標系でジオプロセシングの結果を取得
9.3 では、指定した座標系で出力を返すようにジオプロセシング サービスにリクエストすることができます。この座標系には ArcGIS
Server がサポートするすべての座標系から指定できます。これにより、ジオプロセシング サービスと異なる座標系を使用してマップ
を表示するクライアント アプリケーションで、結果を重ね合わせて表示することができます。
 Google Maps および Microsoft Virtual Earth でのジオプロセシング結果の表示
9.3 では、ジオプロセシング サービスで結果を KML として返せるようになり、Google Maps、Virtual Earth でその結果を表示できる
ようになりました。
 サンプルの追加によるドキュメントの改善
9.3 では、ArcGIS Desktop ヘルプのジオプロセシングに関するほぼすべてのヘルプ トピックが書き直されました。仕組みに関するト
ピックだけでなく、ツール レイヤを含むマップ ドキュメントの作成方法、モデルの作成および公開方法、最善のパフォーマンスを
得るためのヒントなど、実践に関するトピックの説明もわかりやすくなっています。主な目的の 1 つは、見て学ぶことのできる多く
のサンプルを提供することでした。ヘルプで見ることができるサンプルの一例は以下のとおりです。
•
•
•
•
•
ポイント、ライン、ポリゴンのバッファ
フローおよび累積データからのストリーム ネットワークの生成
集水域ポリゴンの計算
近隣フィーチャの検索
データのクリップとダウンロード
一般的なサービスの改良点
 サーバの負荷分散
GIS サーバを最適な状態で稼働するため、サービスの [プール] タブに追加された新しいプロパティを使用して、アイドル タイムアウ
トを設定することができるようになりました。このプロパティにより、30 分以上(デフォルト)使用されていないインスタンスを削
除して、サーバのリソースを軽減することができます。
エクステンションのサポートの追加
 9.3 では、ArcGIS Server が ArcGIS Schematics エクステンションおよび ArcGIS Geostatistical エクステンションをサポートしました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 131
セキュリティ
ArcGIS Server では、Web サービスおよび Web アプリケーションの無許可の使用を防ぐことができます。ArcGIS Server では、OS や
Web サーバ、ハードウェア デバイスなどが提供する既存のセキュリティ対策が使用されます。9.2 では、提供されている標準的な構
成ツールを使用して、これらのさまざまなセキュリティ コンポーネントで、サービスおよび Web アプリケーションのセキュリティ
を設定していました。9.3 では、ロール ベースのセキュリティ モデルが実装されており、ユーザを定義し、想定される役割に従って
アクセス権を割り当て、特定の Web サービス、Web アプリケーションへのアクセスを許可することができます。簡単にセキュリティ
を設定できるよう、関連するすべての操作が ArcGIS Server Manager にまとめられています。
ユーザおよびロールの管理
サービスや Web アプリケーションへのアクセスを許可する前には、システムがサポートするユーザやロールを格納する場所を定義す
る必要があります。これは ArcGIS Server Manager の、[セキュリティ] タブで行います。
ユーザおよびロールを格納する場所の種類はいくつかあります。
•
Windows ユーザおよびグループ – ローカルの Windows サーバまたはローカル サーバが属するドメイン サーバのアカ
ウントを使用します。
•
Microsoft SQL Server
– ArcGIS Server に付属する SQL Server Express、あるいは自身でインストールした SQL Server の
いずれかを使用することができます。
•
カスタム プロバイダ
– 他のタイプのデータベースおよび XML ファイルを含めることができます。このオプションでは、
ASP.NET カスタム メンバーシップ プロバイダが使用されます。
格納場所を定義後、ユーザを追加し、特定のロールを割り当てることができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 132
GIS サービスのセキュリティ
ArcGIS Server Manager の [サービス] タブから、フォルダおよび各サービスにアクセス権を設定することができます。GIS サービスに
アクセス権を設定することで、サポートされるすべての Web インタフェース(SOAP、REST、OGC および KML)からのアクセスのセ
キュリティを確保することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 133
Web アプリケーションのセキュリティ
ArcGIS Server Manager の [アプリケーション] タブから、Web アプリケーションへのアクセスを制御します。ArcGIS Server Manager
に用意されているセキュリティを設定するインタフェースは、たとえば、ASP.NET Web アプリケーションの web.config ファイルのコ
ンテンツの設定といった、ASP.NET の Web アプリケーションの標準的なセキュリティ設定を自動化するだけのものです。
ArcGIS Token Service
ArcGIS Token Service により、デスクトップ(ArcGIS Desktop および ArcGIS Explorer)や Web アプリケーションは、セキュアな ArcGIS
Web サービスに簡単にアクセスし、利用することができます。ArcGIS Server と共にインストールされる ArcGIS Token Service は、ユー
ザを認証し、トークンを返す Web サービスです。返されたトークンを使用して、セキュアな GIS サ―ビスにアクセス可能です。トー
クンとは暗号化された文字列で、ユーザ名、有効期限、セキュアな GIS サービスへのアクセス元である URL や IP アドレスなどの識別
子を含みます。クライアント アプリケーションにより、トークンはリクエストと共に GIS サーバに送られ、GIS サーバはそのトーク
ンを読み取って、ユーザのロールに従って GIS サービスへのアクセスを許可します。トークンの使用はアプリケーションのエンド ユー
ザには見えません。ArcGIS Desktop、ArcGIS Explorer、および Web ADF は自動的にトークンを取得して使用します。JavaScript API
などを使用したクライアント アプリケーションを開発する際は、明示的にトークンを取得し、アプリケーションに組み込む必要があ
ります。開発者は、https://<サーバ>/arcgis/tokens/gettoken.html にアクセスして、トークンを生成できます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 134
相互運用
KML 配信の改良
 KML 対応サービスの作成
9.3 では、マップ サービスの KML クライアント アプリケーションでの表示の仕方をコントロールできる、いくつかの新機能が追加
されました。
•
フィーチャの KML の説明が、ArcMap のフィーチャ レイヤに設定されている HTML ポップアップをベースにしたものにな
りました。
•
ポイント フィーチャのラベルの自動追加がなくなりました。さらに、ArcMap でプロパティを定義して、ラベルのサイズ、
色を設定できるようになりました。
•
ArcMap のレイアウト ビューで作成した凡例をエクスポートし、ArcGIS Server Manager および ArcGIS Services Directory
の [KML の生成] オプションで作成されたネットワーク リンクに利用できるようになりました。
ArcMap で作成した凡例を Google Earth などの KML クライアントで表示することができます
 KML 対応サービスの公開
9.3 では、GIS サーバの機能が拡張され、KML クライアント アプリケーションをサポートしました。
•
マップ サービスの KML 機能がデフォルトで有効になり、KML クライアント アプリケーションでサービスを表示できるよ
うになりました。また、人口 100 万人以上のレイヤを持つ全都市の検索など、マップ サービスに対するクエリを KML と
して返すことができます。
•
•
•
ジオプロセシング サービスが結果を KML として返すことができるようになりました。
イメージ サービスを KML クライアント アプリケーションで表示できるようになりました。
マップおよびイメージ サービスがフットプリント(データ範囲の中央ポイント)を返すことができるようになりました。
上記の機能は、後述の新しい ArcGIS Server REST API でサポートされます。9.2 の KML URL 機能(KMLServer)は、後方互換性のため、
9.3 でも引き続きサポートされます。
 KML サービスの利用
9.3 では、GIS サーバから、ArcGIS Server REST API を介して、特定のサービスやサービスからの出力として、KMZ ファイルへの URL
を直接提供することができます。これにより、サービスの URL を共有するだけで、簡単にサービスを共有できることになります。た
とえば、URL を電子メールで送信したり、Web ページに組み込んだりすることができます。以下の図は、サービスへのリンクが埋め
込まれた Web ページです。リンクをクリックすると、GIS サーバから KMZ ファイルが返され、Google Earth などのアプリケーショ
ンで直接開くことができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 135
Web 開発者が Web ページを構築する際、上図の ArcGIS Services Dictory を使用して、サービスの内容を確認し、Web ページに埋め
込む URL を取得することができます。ArcGIS Services Directory については、後で詳しく説明します。
OGC サポートの強化
OGC(Open Geospatial Consortium)Web サービスでは、マップやデータをオープンかつ国際的に認められているフォーマットで
Web に公開する方法を提供しています。OGC では、対応するクライアント アプリケーションがあれば誰でも閲覧できるマップやデー
タを Web で公開するための仕様を定義しています。
 WFS と WCS のサポートを追加
9.2 では、ArcGIS Server は WMS(Web Mapping Service)をサポートしていました。9.3 では、データをベクタ フィーチャとして提
供する WFS(Web Feature Services)および WFS-T(WFS Transactional)とデータをラスタ カバレッジとして提供する WCS(Web
Coverage Services)のサポートが追加されています(ラスタ カバレッジは ESRI の ArcINFO カバレッジとは異なります)。ArcGIS Server
Manager や ArcCatalog で GIS リソースを公開する際、これらの OGC サービスを有効にすることができます。以下の表には、どのサー
ビス タイプでどの OGC サービスを有効にできるかがまとめられています。
マップ サービス
WMS
WFS
WCS
○
○
○
○
○
ジオデータ サービス
イメージ サービス
○
○
ArcGIS Server 9.3 でサポートされた WFS 1.1 に加え、ArcGIS Server 9.3 SP1 では相互運用性の向上のため WFS 1.0 をサポートします。
WFS 1.0 は参照専用で、トランザクションをサポートしません。
 WMS での Styled Layer Descriptor のサポート
SLD(Styled Layer Descriptor)は、WMS サービスのレイヤの描画方法をまとめた OGC 仕様です。9.3 では、ArcGIS Server WMS サー
ビスが SLD をサポートしました。SLD により、WMS サービス公開者は、レイヤごとに複数のスタイルを作成し、公開することができ
ます。WMS ユーザは、サーバで公開されたサービスのスタイルを切り替えたり、クライアントサイドで SLD のスタイルを作成し、
WMS サーバにそのスタイルでマップをレンダリングするようリクエストしたりすることも可能です。
 WMS でのキャッシュされたマップ サービスのサポート
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 136
上述のとおり、WMS サービスがキャッシュされたマップ サービスをサポートしたため、ArcGIS Server を使用して提供される WMS
のパフォーマンスが大幅に向上しました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 137
Web 開発者ツール
Web ADF for the Microsoft .NET Framework
基本的に、9.3 の Web ADF は 9.2 と同じフレームワークで構築されていますが、製品のユーザビリティを向上して操作を効率化した
り、パフォーマンスを向上させる様々なアップデートが盛り込まれています。新機能の一例は以下のとおりです。
 Microsoft Vista のサポート
Windows Vista や Windows Server 2008 を実行しているマシンに ArcGIS Server をインストールする際は、インストール メディアに
収録されている『ArcGIS Server インストール ガイド』をご参照ください。インストール ガイドには、これらの OS を実行している
マシンに ArcGIS Server をインストールするための前提条件が書かれています。特に、IIS で必要な機能が有効にされていない場合、
Web アプリケーション(ArcGIS Server Manager など)がインストールされないことにご注意ください。インストール ガイドのとお
り、適切な機能が有効かどうか確認してから、インストールを行うことで、Web アプリケーションがインストールされない状況を回
避することができます。
 Microsoft Visual Studio 2008 のサポート
 Microsoft .NET Framework 3.0 および 3.5 のサポート
 Microsoft ASP.NET AJAX のサポート
Microsoft ASP.NET AJAX は、クライアントおよびサーバの両方を含む包括的な AJAX ソリューションです。9.2 のベースとなった
ASP.NET スクリプト コールバック フレームワークは 9.3 でも引き続きサポートされますが、9.3 では、ASP.NET AJAX パーシャル ポ
ストバック ソリューションの中で、拡張された Web ADF コントロールおよび JavaScript API をサポートするために、ASP.NET AJAX
が必要です。なお、9.3 の Web ADF コントロールではすでに ASP.NET AJAX が有効になっているため、UpdatePanel に含める必要は
ありません。
 Map コントロール
Map コントロールの変更は以下のとおりです。
•
軽量なマップ描画ソリューションとして、カスタム HTTP ハンドラである MapHandler.ashx が提供されます。これにより、
マップ描画に際してページのライフサイクルをスキップし、処理のオーバーヘッドが軽減されます。
•
マップ中心のタイル スキーマが廃止され、代わりに、マップ リソースごとにタイル スキーマを定義できるようになりま
した。動的なマップを生成するマップ リソースへタイル スキーマを定義することを選択した場合も、キャッシュされた
イメージ タイルを使用さするマップ リソースには、キャッシュで定義されたタイル スキーマが使用されます。プロパ
ティの異なるキャッシュされたサービスを、同じマップに共存させることも可能です。
•
•
•
•
進行状況を示すプログレスバーが追加され、マップ コンテンツの検索状況や表示状況が表示されるようになりました。
新しい Extent プロパティにより、マップを最初に描画する際に表示される範囲を定義できるようになりました。
新しいズーム アニメーションにより、マップのズーム動作が視覚的により良くなりました。
9.2 SP2 で追加された、JavaScript の map.pendingTiles プロパティによる「ペンディング中のタイル ソリューションの表
示」が必要なくなりました。9.3 の Map コントロールには内部の処理状況(進行状況)を示すプログレスバーが追加され
ています。
 Toolbar コントロール
ツールバーに[前の表示範囲に戻す]、[次の表示範囲に進む]ことができる 2 つの新しいマップ ナビゲーション 機能が追加されました。
 MapTips コントロール
HeaderFormatString と BodyFormatString プロパティが廃止され、代わりに LayerFormat が追加されました。
 OverviewMap コントロール
パフォーマンスを最適化するため、デフォルトでは、起動時に概観図がサーバへリクエストするイメージが 1 つだけになり、関連す
るマップの表示範囲の変更により概観図の表示範囲が更新されることがなくなりました。StaticMode プロパティを設定して、この振
る舞いを変更することができます。概観図が静的モードのとき、概観図内のマップ表示範囲を示すボックスも対話的ではなくなりま
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 138
す。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 139
 ZoomLevel コントロール
9.2 では、マップにキャッシュされたサービスが含まれる場合のみ、ZoomLevel コントロールが表示されていました。9.3 では、マッ
プに動的なサービスしか含まれない場合でも ZoomLevel コントロールが表示されます。Web アプリケーションにキャッシュされた
マップ サービスが含まれる場合、ズーム レベル コントロールには、マップがキャッシュされたときの縮尺を示すバーが一緒に表示
されます。
 Scalebar コントロール
9.2 では、マップ サービスへの接続が ArcGIS Server のローカル接続か、またはインターネット接続かによって、縮尺記号の表示が異
なっていました。9.3 では、縮尺記号の表示の違いがなくなり、以下のようになります。
 コントロールの追加
9.3 では、以下の新しいコントロールが追加されています。
•
•
•
•
•
MapCopyrightText – 関連するマップの著作権に関するテキストを表示します。
PrintTask – マップおよびタスク結果を凡例、縮尺記号、方位記号と共に印刷できるページを作成します。
DockExtender – コントロールをマップ コントロール上にに配置することができます。
HoverExpandExtender – マウスのホバー時に、コントロールを縮小したり、半透明表示を設定することができます。
ColorPicker – ランタイム時に色を選択できるダイアログを表示します。ダイアログには、.NET の System.Drawing.Color
構造体に含まれる、名前が付けられたすべての色が表示されます。
•
ContextMenu – ショートカット メニューを表示します。一般的に、ショートカット メニューはコントロールを右クリッ
クして呼び出します。
 タスク
タスクに関する改良点は以下のとおりです。
•
TaskResults コントロールのタスクの実行結果上でマウスをホバーさせると、マップ上の関連するフィーチャがハイライト
されるようになります。これにより、特定の結果をマップの場所と関連付けることができます。
•
タスク実行時にタスク ウィンドウが自動的に閉じる HideTaskUponExecution という名前の新しいプロパティが追加され
ました。デフォルトの値は true です。
•
カスタム タスクを作成し、ArcGIS Server Manager に組み込む際、ArcGIS Server Manager のタスクの隣に表示されるカス
タム アイコンを指定できるようになりました。
•
IDefaultWebConfiguration および IWebConfiguratorValidation の 2 つの新しいインタフェースがサポートされます。タス
クがマップ上の操作を必要としない場合(印刷タスクなど)、IDefaultWebConfiguration を使用して、タスクにデフォルト
のプロパティを設定することができます。9.2 以前では、ToolboxData 属性を使用する方法が推奨されていました。
IWebConfiguratorValidation は必要なすべてのプロパティを検証して、正しく設定されているかを確認し、詳細なエラー
メッセージを返すことができます。
 MapResourceManager
マップ リソースの構成時に、検索結果を定義するレイヤ定義が表示され、描画シンボル、フィールドの表示設定とエイリアス、タス
ク結果でのレコードの表示フォーマットを設定することができます。たとえば、SearchAttributes および QueryAttributes タスクでは、
TaskResults コントロールやマップに結果を表示する際、ここで設定したレイヤのフォーマットが使用されます。
 Web マッピング アプリケーションのテンプレート
9.3 では、Web マッピング アプリケーションのルック アンド フィールが新しくなりました。ASP.NET AJAX はデフォルトで有効に
なっており、ScriptManager が標準で組み込まれ、パーシャル ポストバックを使用して、非同期通信が行われます。ユーザ インタ
フェースの変更に関する詳細については、前述の Web マッピング アプリケーションに関するセクションをご参照ください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 140
 シームレスな画面移動を有効または無効にするメソッドの追加
DisplaySettings クラスに、MapResourceItem が動的に生成されたタイルを使用して描画するかどうかを制御できる、新しい
EnableDynamicTiling プロパティが追加されました。EnableDynamicTiling が true に設定されている場合、MapResourceItem は 9.2
と同様にシームレスに画面移動を行います。false に設定されている場合は、マップが画面移動されると常に、サーバから 1 つのイメー
ジがリクエストされます。以下のように、Visual Studio の [マップ リソース表示設定 エディタ] からこのプロパティを設定すること
ができます。
 Web ADF JavaScript ライブラリ
Web ADF JavaScript ライブラリによって、スクリプト環境で、マップ、グラフィックスとマップ チップ、および動的なデータ ソー
スとのインタラクションが可能です。9.3 では、このライブラリのドキュメントが提供されます。
 Web コントロール
UseDefaultWebResources 、WebResourceLocation はイメージにのみ適用されます。JavaScript ファイルは Web ADF と共に
(C:\Inetpub\wwwroot\aspnet_client\ESRI\WebADF\JavaScript など)格納されていますが、Web ADF アプリケーションで変更した
り使用したりすることはできません。代わりに、Web ADF JavaScript ライブラリを使用し、クライアント サイドでのスクリプトによっ
て、Web ADF の一部を操作、拡張、およびカスタマイズすることができます。
 CallbackResults
カスタム Web ADF 文字列フォーマットの代わりに JSON(JavaScript Object Notation)文字列を使用します。CallbackResult クラス
には、カスタム Web ADF コールバック結果を作成する静的なメソッドが用意されています。TOC を Map コントロールの状態と連動
する場合など、Web ADF コントロール間でコールバック結果をコピーしたり、追加したりしてプロパティの関係を維持する必要はも
うありません。
 ローカライズ
9.3 では、Web ADF および ArcGIS Server Manager の英語以外の言語へのローカライズがサポートされ、日本語により表示が可能にな
りました。
 SOAP API
Web ADF ArcGIS Server ライブラリに、新しい GeometryServer プロキシ クラスが追加され、9.3 で提供される新しい ArcGIS Server
のサービス タイプに対応する値オブジェクトがサポートされました。新しいトークン サービスにより、組み込みのセキュリティ ソ
リューションが提供されます。詳細については、ArcGIS Server SOAP SDK のドキュメントをご参照ください。
http://resources.esri.com/help/9.3/arcgisserver/apis/soap/index.htm
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 141
公開されたサービスに使用される ArcGIS Server REST API の追加
REST(Representational State Transfer)は、Web などのネットワーク化されたシステムがリソースへのアクセスに使用するアーキテ
クチャ スタイルです。ArcGIS Server REST API は、ArcGIS Server がホストする GIS サービスへの、シンプルかつ高機能でオープンな
Web インタフェースを提供します。REST インタフェースを使用して、GIS サービスにアクセスするプログラムを簡単に行うことがで
きます。REST API で提供されるすべてのリソースとオペレーションは、ArcGIS Server で公開される各 GIS サービスの URL からアクセ
ス可能です。
REST API を使用する場合、一般的には、よく知られている URL エンドポイントからサーバにあるサービスやフォルダ、オペレーショ
ンのリストを検索することができます。手動でサービスへの URL を生成する必要はありません。ArcGIS Server には Web ベースの
ArcGIS Services Directory が付属しており、簡単に GIS サーバをブラウズすることができます。GIS サーバのルート ディレクトリにア
クセスする場合、URL は、http://<サーバ>/arcgis/rest/services です。ArcGIS Services Directory のルート ディレクトリには、以下の
ようなフォルダとサービスの一覧が表示されます。
ベース URL から、リストに表示されているサービス、リソース、およびサービスに関連するオペレーションを利用可能です。REST API
は、HTML、JSON、KMZ など、複数のフォーマットでのレスポンスをサポートします。REST API に関する詳細については、ArcGIS Server
REST API(http://resources.esri.com/help/9.3/arcgisserver/apis/rest/index.html)をご参照ください。
新しい ArcGIS JavaScript API を使用したマッシュアップの作成
マップを Web アプリケーションに組み込みたい、あるいは、オンライン ベース マップに簡単なデータのオーバーレイを作成したい
というような場合、新しい ArcGIS JavaScript API を使用して、マッシュアップと呼ばれるアプリケーションを作成することができま
す。これらのアプリケーションは、クライアントサイドの JavaScript と、関連するダイナミック HTML で構築されています。サーバ
サイドのロジックを使用した機能の追加は可能ですが、ASP.NET などのサーバサイドのコードは不要です。
ArcGIS JavaScript API では、ESRI によってホストされているオンラインの JavaScript ライブラリが使用されるため、簡単にアプリケー
ションを配置することができます。JavaScript API アプリケーションを構築するのに、ESRI ソフトウェアをインストールする必要はあ
りません。JavaScript API では、ArcGIS Server REST API を使用して、サービスに関する情報を入手します。使用可能な JavaScript API
は以下の 3 つです。
•
•
•
ArcGIS JavaScript API
ArcGIS JavaScript Extension for Microsoft Virtual Earth
ArcGIS JavaScript Extension for the Google Maps API
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 142
 ArcGIS JavaScript API
ArcGIS JavaScript API では、ブラウザ ベースのマッピング アプリケーションを簡単に構築し、解析を行うことができます。異なるサー
バのデータ ソースを結合し、個別属性を表示し、検索を行い、対象ポイントを追加し、マークアップ グラフィックスを追加するこ
とができます。
 ArcGIS JavaScript Extension for Microsoft Virtual Earth
ArcGIS JavaScript Extension for Microsoft Virtual Earth を使用して、Microsoft Virtual Earth のベース マップ上に ArcGIS Server のマッ
プを表示することができます。サービスで、検索やジオプロセシング タスクを実行し、結果を(VEShape として)使用可能です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 143
 ArcGIS JavaScript Extension for the Google Maps API
ArcGIS JavaScript Extension for the Google Maps API を使用して、ArcGIS Server のマップを Google マップのベース マップ レイヤと
統合することができます。サービスで、検索やジオプロセシング タスクを実行し、結果をフィーチャとして使用可能です。また、コ
ンテンツを Google マップの [マイマップ] タブで、利用可能な Google Mapplet として組み込むことも可能です。
これらの新しい API に関する詳細については、ArcGIS Server Resource Center の以下のページをご参照ください。
http://resources.esri.com/arcgisserver/index.cfm?fa=jsapis
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 144
エクステンション
ArcGIS 3D Analyst
ArcGlobe
 デフォルトのレイヤの改善
ArcGlobe のデフォルト レイヤとして、ArcGIS Explorer で提供されているものと同じオンライン グローブを使用できるようになりま
した。このデフォルトのグローブには、無料の ArcGIS Online サービスが採用されています。このオプションを有効にするには、
ArcGlobe の [ツール] → [オプション] ダイアログの [デフォルト レイヤ] タブにアクセスしてください。
9.3 で追加
 よりリアルになった背景の表示
9.3 では、ArcGlobe の背景に星や大気圏のハローを表示するオプションが追加されました。これらのオプションを有効にするには、[表
示] → [グローブ プロパティ] ダイアログの [背景] タブにアクセスしてください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 145
 ArcGIS Explorer と同等の画面移動機能に改善
[画面移動] ツール(と [ナビゲート] ツールのマウスの中央ボタン)ので画面を移動するときに観測位置が同じ高さで固定されるよう
になりました。これは ArcGIS Explorer と同じ動作です。また、動画回転が有効のとき、ビューを「投げ」たり、グローブ中を「漂っ
て」飛んでいるような、ジェスチャの改良も行われました。これも ArcGIS Explorer と同じ動作です。
 ビルボード表示されたマーカー シンボルとしてのイメージの使用(ArcGlobe および ArcScene)
9.3 では、3D マーカー シンボルで、イメージ ファイルをシンボルとして直接使用できるようになりました。イメージは、ジオメト
リの平らな部分にテクスチャとして追加され、3D マーカー シンボルとして追加されます。サポートされるイメージ ファイルのタイ
プには、png、jpg、jpeg、bmp、tif、gif、cel、tga、rgb、rgba、int、inta があります。
追加
 マーカーベースの「3D Billboards」スタイルの追加(ArcGlobe および ArcScene)
9.3 では、ポイント シンボルとして使用可能な PNG ベースのイメージが追加されました。大きなポイント フィーチャクラスに特に
有効です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 146
 リアルな 3D ビュー(仮想都市など)の作成に関するチュートリアルの追加
3D Analyst のチュートリアル「 Exercise 9」で、シンボルと表示オプションを使用してリアルな 3D ビューを作成する標準的なワーク
フローを紹介しています。
 表示の改善(ArcGlobe)
ArcGlobe の表示、特に標高レイヤの安定性とパフォーマンスに対して、さまざまな改良が行われました。また、日付変更線や北緯お
よび南緯 45 度を横切るデータの処理に関する改良も行われました。ラスタ カタログの複数のキャッシュをサポートし、重なってい
るデータのタイム アニメーションのサポートが向上しました。また、ArcGlobe が、部分透過表示によるテクスチャ 3D オブジェクト
の最小透過表示閾値での操作に対応しました。特にツリー シンボルの周りでは「ハロー」のように見えることがあります。
追加
 KML の改善(ArcGlobe)
9.3 では、ArcGlobe の KML へのアクセスのサポートが強化され、KML 2.0 と 2.1 のタグ、スクリーン オーバーレイ、KML ネットワー
ク リンクの自動更新、そして KML に埋め込まれた COLLADA モデルのサポートが追加されました。その他、KML の表示に関する多
くの改良、修正が行われました。
テクスチャ付き COLLADA:
スクリーン オーバーレイ:
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 147
 COLLADA のサポート
ArcGIS 9.3 から、COLLADA(Collaborative Design Activity)ファイル フォーマットをサポートしました。これらの新機能を使用して、
ArcGIS のユーザは、ArcGIS Desktop および ArcGIS Server で COLLADA ファイルをさまざまな目的で活用したり、よりリアルな 3D モ
デルを表示したりすることができます。ArcGlobe および ArcScene では、COLLADA ファイルを 3D ポイント シンボルとして使用す
ることができます。また、COLLADA ファイルを使用してシンボル化されたフィーチャを、ArcGIS Server の 3D Extension で配信する
ことも可能です。さらに、ユーザは COLLADA ファイルをマルチパッチ フィーチャとしてジオデータベースにインポートし、ファイ
ルが KML ファイルに埋め込まれている場合は ArcGlobe で直接表示することができます。
 グローブ グラフィックスの改良
デフォルトのグラフィック プロパティの設定へのアクセスの改善、テキスト エレメントを追加する際の距離を基準にしたサイズの
自動計算、グローブ サーフェスへのグラフィックスの固定、およびテキスト グラフィックスのドレープ表示とビルボード表示の追
加などが行われました。
テキスト エレメントの 3 つのオプション(3D、ドレープ、ビルボード表示)
 ライン、ポリゴンの外縁ベースの立ち上げオプションの追加(ArcGlobe および ArcScene)
ArcGIS 3D Analyst が新しいライン、ポリゴンの外縁ベースの立ち上げオプションをサポートしました。ラインの外縁が頂点ごとに立
ち上げられ、外縁の標高(3D 断面)に合うように、一体化された外部の壁が作成されます。次に、立ち上げポリゴンの上部の表面が、
対応する頂点を使用して計算され、最適な表面が作成されます。この上部の表面はポリゴン内部の標高面に一致している必要はあり
ません。この立ち上げオプションは ArcGlobe と ArcScene の両方でサポートされます。[レイヤ プロパティ] ダイアログの [グローブ
の立ち上げ] タブの [上記の値または式を適用する方法:] コンボボックスの [各フィーチャのベース標高値から立ち上げ] がこのオプ
ションです。
ポリゴンのドレープ
新しい立ち上げオプション
凹凸のある立ち上げオプション
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 148
 Tracking Analyst エクステンションのサポート(ArcGlobe)
タイムベースのトラッキングを取り入れた 3D ビジュアライゼーションおよびアプリケーションを作成できるようになりました。
 HTML ポップアップのサポート(ArcGlobe および ArcScene)
ArcMap に追加された新しい [HTML ポップアップ] ツールが、ArcGlobe および ArcScene にも追加されました。KML に変換するデー
タを作成する場合は、ArcGlobe で HTML ポップアップを定義すると特に便利です。詳細については、このドキュメントの「マッピン
グ」をご参照ください。
 ブックマークのサポートを強化(ArcGlobe および ArcScene)
ArcMap と同様、ArcGlobe および ArcScene に独立した [ブックマーク] プルダウン メニューが追加されました。また、[ブックマー
ク マネージャ] ダイアログが改善され、ブックマークをファイルとしてロードしたり、保存したりできるようになりました。詳細に
ついては、このドキュメントの「マッピング」をご参照ください。
 キャッシュの管理
ArcGlobe に追加されたレイヤのキャッシュの場所が、
[グローブ レイヤ プロパティ]ダイアログの [キャッシュ] タブに表示される
ようになりました。
3D Analyst の機能
 テレイン データセット用のウィンドウ サイズのピラミッド タイプの追加
ウィンドウ サイズのピラミッド タイプでは、データを同じ広さの領域(ウィンドウ)に分け、代表的なサーフェスとして各ウィン
ドウから 1~2 のポイントだけを選択することにより、各ピラミッド レベルのポイント データを間引きます。ポイントの選択は、最
小 Z 値を持つポイント、最大 Z 値を持つポイント、Z 最小値と最大値の両方、平均 Z 値に最も近いポイントのいずれかの基準で行わ
れます。ウィンドウ サイズのピラミッド タイプを持つテレインは、Z 許容値をベースにしたピラミッド タイプよりも 5~10 倍速く
作成することができます。パフォーマンス上のメリットに加え、ウィンドウ サイズのピラミッド タイプは、最初に受信するリター
ン情報の LIDAR データ(樹冠、植物、建物など)をより効率的に処理できます。地表面データには、Z 許容値のピラミッド タイプが
最適です。Z 許容値ピラミッド構築アルゴリズムは、ArcGIS 9.2 で提供されていた唯一のピラミッド タイプで、ArcGIS は大量の地表
面データを非常に効率的に処理することができました。最新リリースである 9.3 では、建物や植物といったフィーチャを含むサーフェ
スを生成する、ウィンドウ サイズのピラミッド構築アルゴリズムが導入されています。また、テレイン データセットに適切なピラ
ミッド タイプを指定するための新しいパネルが [テレイン ウィザード] に追加されました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 149
 [シェープの内挿 (Interpolate Shape)] と[見通し] ツールのテレイン データセットのサポート
[シェープの内挿 (Interpolate Shape)] と[見通し(Line Of Sight)] の 2 つのサーフェス ジオプロセシング ツールが、入力サーフェ
スとしてテレイン データセットを処理できるようになりました。9.2 以前では、ジオプロセシング ツールは、ラスタまたは TIN サー
フェスのいずれかでのみ解析を実行していました。ArcGIS 9.3 では、テレイン データセットを入力サーフェスとして使用することが
できます。
 [Point File Information] ツールの追加
新しい [Point File Information] ジオプロセシング ツールは、3D ポイント ファイルのフォルダをスキャンし、属性テーブルを持つポ
リゴン フィーチャクラスを出力します。選択フォルダにある各 3D ポイントファイルの情報がポリゴン フィーチャクラスの各 1 レ
コードになります。LAS または ASCII ファイルを含むフォルダを使用して、ポリゴン フィーチャクラスを生成することができます。
フィーチャクラスには、各 3D ポイント ファイルのデータ範囲を示す矩形がポリゴンや 3D マルチパッチとして格納されます。属性
テーブルには、各 3D ポイント ファイルの有用な統計情報が記録されます。統計情報には、各ファイルのファイル名、ポイント数、
推定ポイント間隔、最小 Z 値、および最大 Z 値があります。[Point File Information] ツールを使用して、QA または QC 目的で各 3D
ポイント ファイルの全体を確認してから、3D ポイント ファイルをジオデータベースにロードすることができます。3D ポイント デー
タセットの平均ポイント間隔は、テレイン データセットのタイル スキーマのベースになります。9.2 以前では、ベンダから提供され
るデータセットに関する情報に頼っていました。9.3 では、[Point File Information] ツールを使用して、データの平均ポイント間隔を
確認してから、テレイン データセットを作成することができます。この [Point File Information] ツールは、[3D Analyst] ツールボッ
クスの [変換] → [ファイルから変換] ツールセットにあります。
 LIDAR の輝度属性のサポート
多くの場合、ASCII LIDAR ファイルに格納されている LIDAR の輝度属性をサポートしました。この新しい機能により、[ASCII 3D →
フィーチャクラス (ASCII 3D to Feature Class)] ジオプロセシング ツールを使用して、ASCII LIDAR データをジオデータベースにイ
ンポートすることができます。XYZI フォーマット(I は LIDAR の輝度)が新しい入力ファイル フォーマットとして [ASCII 3D → フィー
チャクラス (ASCII 3D to Feature Class)] ジオプロセシング ツールに追加されています。LIDAR の輝度属性は BLOB 属性として自動
的に格納され、ArcObjects からのみアクセス可能です。
 小数点のサポートの強化
[ASCII 3D → フィーチャクラス (ASCII 3D to Feature Class)]および[3D フィーチャクラス → ASCII (Feature Class Z to ASCII)] ジ
オプロセシング ツールで、テキスト ファイルの小数点の記号(「.」または「,」)を設定できるようになりました。この機能強化は、
世界中のユーザにとって重要な改善です。9.2 以前では、テキスト ファイルで小数点にコンマ(「,」)を使用したいユーザは、テキス
ト ファイルを小数点(
「.」)に変換しなければなりませんでした。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 150
 [断面図グラフ作成] ツールで複数のラインの断面図を 1 つのグラフで表現可能に
9.2 以前では、[断面図グラフ作成] ツールでは、ラインが 1 本しかない断面図グラフが一度に 1 つ生成されていました。9.3 では、1
つの断面図グラフで複数のラインを表示できるようになり、より詳細な解析が可能です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 151
 [断面図グラフ作成] ツールで見通し線のグラフ化が可能に
ArcGIS 9.3 から、
[見通し線作成]ツールで生成されたラインを使用した断面図作成が[断面図グラフ作成] ツールにて可能になりまし
た。複数の見通し線にも対応しています。
 [Contour with Barriers] ツールの追加
9.3 では、3D Analyst および Spatial Analyst に新しいサーフェス コンター ツールである [Contour with Barrier] ジオプロセシング
ツールが追加されました。このツールは、9.2 で追加された [入力バリア設定を含むスプライン(Spline with Barriers)] ツールを補うも
ので、断続する表面の等高線を作成することができます。[Contour with Barriers] ツールには、これまでの [コンター] ツールに比べ
て多くの利点があります。
•
•
•
•
•
•
よりスムーズな等高線
インテリジェントなデフォルトのレンダリング
Maplex によるカートグラフィック ラベリング
境界線フィーチャを尊重し、等高線ジオメトリを境界線にスナップ
出力を直接ジオデータベースへ書き込み
2GB のサイズ制限なし
 [入力バリア設定を含むスプライン(Spline with Barriers)] ツールの改良
9.3 ではツールが更新され、バリア フィーチャクラスがオプションになり、バリアなしのスムーズなスプライン アルゴリズムとして
使用できるようになりました。また、ツールの整合性と利便性が改善され、インプロセスで実行することにより、パフォーマンスの
向上を実現しました。
 ArcMap でのグラフィックスからの 3D フィーチャの作成
ArcMap の新しい [図形の調整] → [グラフィックスをフィーチャに変換] コマンドを使用して、ArcMap で描画やペーストされた 3D
グラフィックスから、3D フィーチャ(Z 値を持つフィーチャ)を作成できるようになりました。3D Analyst のツールバーにある、[ポ
イントの内挿] ツールを使用して ArcMap に追加された 3D ポイント グラフィックスのおよび[コンターの作成] ツールで追加された
3D ライン グラフィックスの高さは、グラフィック プロパティ ダイアログの [サイズと位置] タブの [エレメント名] フィールドに
格納されます。このように、[グラフィックスをフィーチャに変換] コマンドを使用してこれらのグラフィックスを 3D フィーチャに
変換した場合、各グラフィックの高さを使って、出力 3D フィーチャクラスに名前属性が自動的に追加されます。
 ArcMap で描画された 3D ポイントの高さの確認の簡易化
グラフィックス プロパティ ダイアログの新しい [位置] タブを見て、ArcMap で描画された 3D ポイント グラフィックの高さを確認
することができます。この高さは、グラフィックが追加されたときにアクティブだったサーフェスをベースにしており、そのサーフェ
スと同じ単位が使用されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 152
 開発者による 3D 解析のために追加された新しい 3D ジオメトリ COM インタフェース
IRelationalOperator3D
このインタフェースには、3D 空間で 2 つの 3D ジオメトリが交差しているかどうかを確認する方法が用意されています。
•
Disjoint3D
3D 空間で 2 つの 3D ジオメトリが互いに交差しているかどうかを確認します。交点が空の場合、2 つのジオメトリは分断
されています。分断が「false」のとき、2 つのジオメトリは交差しています。
IProximityOperator3D
3D 近接演算子を使用して、2 つのジオメトリの 3D 距離、またはあるポイントから別のジオメトリの最近隣ポイントを確認すること
ができます。
•
QueryNearestPoint3D
入力ポイントから、3D ジオメトリ上の最近接ポイントを検索します。線分の延長方法によって、ジオメトリの延長上にあ
る最近隣ポイントを見つけることもできます。
•
ReturnNearestPoint3D
入力ポイントから、3D ジオメトリ上の最近隣ポイントを検索して返します。線分の延長方法によって、ジオメトリの延長
上にある最近隣ポイントを見つけることもできます。
•
ReturnDistance3D
3D 空間にある 2 つのジオメトリの最小距離を返します。ジオメトリが交差している場合、最小距離は 0 になります。返さ
れるのは距離だけで、最近隣ポイントは返されません。
ICurve3D
円弧とは、始点から終点までの抽象的な 1 次元ジオメトリをいいます。円弧は、1 つの線分(Segment)、接続している線分のパス(Path)、
または線分の複数のパスを含むポリカーブ(Polycurve)で構成されています。円弧のプロパティおよびメソッドにより、円弧全体また
は円弧に沿ったポイントに関する情報を検索することができます。円弧の距離は測定単位または円弧の長さの割合として指定可能で、
接線(Tangent)、垂線(Normal)、サブカーブ(Subcurve)、および円弧に沿ったポイントに関する情報を入手することができます。
•
GetSubCurve3D
元の円弧に沿って指定したポイント間のサブカーブを取得して、新しい円弧を作成します。新しいサブカーブのエレメン
トは、元の円弧と同じタイプで、プロパティも元の円弧のエレメントと同じです。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 153
•
IsClosed3D
各部の「始点」と「終点」が同じかどうかを表示します。
•
Length3D
円弧全体の 3D の長さを返します。円弧の長さとは、円弧に沿った頂点間のパラメータ化された各線分の長さの合計です。
•
QueryPoint3D
円弧または延長された円弧に沿った特定の 3D 距離のポイントを返します。距離が円弧の長さよりも短い場合、返されるポ
イントは円弧に沿ったその距離のポイントになります。距離が 0 以下、または円弧の長さよりも長い場合、延長方法で指
定された円弧のポイントが返されます。距離は測定単位または円弧の長さの割合として指定できます。
•
QueryPointAndDistance3D
入力ポイントから、指定された延長円弧上にある最近接ポイントと、これらのポイント間の距離を検索します。また、入
力ポイントからみた円弧の位置(右側 / 左側)の他にも、最近隣ポイントの、円弧に沿った距離に関する情報も返します。
この演算は 3D 空間で行われます。
IPolycurve3D
ポリカーブとは、1 つの円弧を形成する複数の円弧の集合体です。ポリカーブは、1 つの線分、接続しているパス、閉じたリング、ま
たはさまざまなタイプの円弧の組み合わせで構成されます。ポリカーブ内のパスや線分が互いに接続されている必要はありません。
また、ポリカーブには線分やパスが 1 つしか含まれない場合もあります。
•
Densify3D
元のポリカーブの maxDeviation 以下である 3D の長さ(maxSegmentLength)を持つ線分で構成されるポリカーブに変換し
ます。maxDeviation が 0 のとき、maxDeviation は無視され、長さが maxSegmentLength の線分が元の円弧の頂点を使用
して生成されます。生成されたポリラインの線分はすべて 3D ラインになります。
•
Generalize3D
ポリカーブの各部分を、間引きされた線分にジェネラライズします。Generalize3D は、3D で指定された最大オフセット許
容値を入力として、3D 空間で Douglas-Poiker Generalization アルゴリズムを実行します。線分について、ジェネラライズ
された出力は元の入力頂点のサブセットになります。線分でないセグメントについては、ジェネラライズされた出力には、
頂点だけでなく、円弧全体のポイントが含まれます。
•
Smooth3D
ポリカーブを、ベジェ曲線セグメントのみを含むポリカーブに変換します。maxAllowableOffset パラメータが 0 のとき、
入力ポリカーブの各線分はそれぞれベジェ曲線になります。maxAllowableOffset が 0 よりも大きい場合、まず、
maxAllowableOffset 値を使用して、Douglas-Poiker 法によりポリカーブがジェネラライズされます。次に、残りの線分ご
とにベジェ曲線が生成されます。生成されたベジェ曲線のポリカーブは、元のポリカーブに近似しています。各頂点で、
隣接するベジェ曲線には補完的な正接円弧が含まれ、線分のつなぎを連続的(スムーズ)にします。
•
Weed3D
Weed3D は、ポリカーブの各部分を間引きされた 3D 線分にジェネラライズします。Weed3D は、指定された入力許容値
の倍数を入力として、3D 空間で Douglas-Poiker Generalization アルゴリズムを実行します。線分について、ジェネラライ
ズされた出力は元の入力頂点のサブセットになります。線分でないセグメントについては、ジェネラライズされた出力に
は、頂点だけでなく、円弧全体のポイントが含まれます。
IVolume
体積の計算に使用されます。
•
IVolume
閉じられたマルチパッチの 3D 領域を返します。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 154
ArcGIS Geostatistical Analyst
シミュレーションを実行するためのツールの追加
 新しい [Gaussian Geostatistical Simulations (GGS)] ジオプロセシング ツールが [Geostatistical Analyst] ツールボックスに追加
されました。このツールを使用して、クリギングが生成する平滑化されたサーフェスよりも、ローカルの変動性の再現に優れたサー
フェスを生成することができます。
入力ポイント
地球統計学的モデル
内 挿
地球統計学的シミュレーション
1 つのスムーズなサーフェス
クリギングよりもローカルの
変動性の再現に優れた複数の
サーフェス
GGS ツールでは、同じように可能性を持つ複数のサーフェスが生成されます。これらのサーフェスは、環境閾値を超える可能性の計
算などについてのリスク解析や、資源開発計画の経済効果の分布の生成など、モデルの出力の変動を評価するためのモデルの入力と
して利用可能です。GGS ツールは、条件付きまたは条件なしでシミュレーションを実行し、予測されたサーフェスを作成し、地域全
体または特定領域の集計統計を生成することができます。
パラレルのサポート
 9.3 では、地球統計学的レイヤの計算の複数のステップで複数の CPU が活用されるようになり、パフォーマンスが向上しました。
この改良には、[Geostatistical Wizard] で作成されるすべてのクリギングおよび IDW(Inverse Distance Weighting)モデルだけでなく、
Geostatistical Layer の Compare、Validation、Prediction 機能が含まれます。さらに、[Geostatistical Analyst] ツールボックスの [GA
Layer to Grid]、[GA Layer To Points]、および[Gaussian Geostatistical Simulations] の各ツールでも、複数の CPU を活用することがで
きます。
処理速度の向上は、データ変換や大量の近傍範囲などを伴う複雑なモデル、およびモデルやスクリプトでのツールの繰り返し使用で、
最も顕著です。たとえば、クリギング ウィンドウの移動は 28 倍速くなります。
その他
 Geostatistical Analyst のチュートリアルに、アニメーション チュートリアルが追加されました。
 Geostatistical Analyst エクステンションが、ArcGIS Server で完全サポートされるようになりました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 155
Maplex for ArcGIS
ArcGIS 9.3 に、ポイント、ライン、ポリゴンの新しいラベル配置オプション、ラベル調整ルール、コンフリクト解決ルールが導入され
ました。これらの改良により、手動でラベルをアノテーションに変換し、編集する必要がなくなりました。
ラベル配置オプション
 ポイント配置オプション:走向傾斜(strike and dip)ラベリング – 走向および傾斜のシンボルを表示する地質図では、シンボル
と一緒にラベルを回転させる必要があります。[追加回転] オプションを使用して、傾斜のシンボルの回転に合わせてラベルを回転す
ることができます。
 ライン配置オプション:道路の住所表示および道路の配置の改良 – 道路の住所のラベリングが改良され、不明な番地が考慮され、
奇数、偶数の番地が道路の正しい側に付けられるようになりました。ストリート配置のラベリング オプションに、道路の中央に横向
きにラベルを配置するオプション、ラベルが道路の端にはみ出さないように改行し 1 行目と 2 行目の行間隔を短縮するオプション、
ラベルが重なった場合は道路の端に主要な道路名を配置するオプションが追加されました。
 等高線ラベリング:等高線の傾斜に沿って、はしご状にラベルを配置します。また、ページの向きに合わせてラベルを配置、上り
方向の向きににラベルを配置することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 156
 河川配置:この新しいライン配置オプションでは、蛇行する河川のフィーチャに合わせて、河川ラベルを複数曲げることができま
す。9.2 以前では、1 つのフィーチャで 1 回しかラベルを曲げることはできませんでした。また、このオプションを使用して、河川を
表すポリゴンの中心線に沿ってラベルを曲げることも可能です。文字間隔オプションをこの配置オプションと一緒に使用することも
できます。
 ポリゴン配置オプション:固定位置(内部ゾーン)– ポリゴン内の固定ゾーンにラベルを配置します。このオプションを使用して、
特にポリゴンの中心または隅にラベルを配置することができます。配置するゾーンをランク付けし、それらのゾーンにラベルが配置
されないようにすることもできます。
 外部ゾーン:ポリゴンの周りのゾーンにラベルを配置します。配置するゾーンをランク付けし、それらのゾーンにラベルが配置さ
れないようにすることもできます。
 境界線ラベリング:機能が強化され、ポリゴンの一致する境界線に沿って、ラベルを繰り返し配置できるようになりました。
 最小フィーチャ サイズ:最小フィーチャ サイズ プロパティが改良され、既存の長さオプションの他に、面積のオプションが追
加されました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 157
 アンカー ポイント:9.3 では、引き出し線やコールアウトのアンカー ポイントをフィーチャにスナップする場所をコントロール
できるようになりました。
クリップされた
ポリゴンの中心
ポリゴン内
ポリゴンのアウト
ライン上
 追加配置オプション:ラベル オフセット – オフセットをフィーチャのジオメトリまたはシンボルから測定するように指定するこ
とができます。これにより、フィーチャのラベルやシンボルが重なることを防ぎます。
 ラベルの経緯線配置:横ラベルをデータ フレームの緯度に沿って配置することができます。
ラベル調整ルール
 配置ルールの優先順位のコントロール:ラベルの配置で、ラベル調整ルールを適用する順番をコントロールすることができるよう
になりました。9.2 以前では、Maplex Label Engine は、ダイアログに表示されているのと同じ順番でルールを適用していました。
 略語の切り詰め:略語オプションが改良され、ラベルを切り詰められるようになりました。未配置ラベルを短くし、終わりにピリ
オド(「.」)を配置することができます。
コンフリクト解決ルール
 背景ラベル:背景ラベル オプションが改良されました。ラベル クラスのラベルが最初に描画され、その他のラベルをその上に描
画できます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 158
 ラベル バッファの強制適用オプション:9.2 以前では、ラベル バッファは、空間があり、バッファを適用してもラベルが未配置
にならない場合のみ、適用されました。9.3 では、強制適用オプションが追加され、空間に関係なく、クラスの各ラベルにラベル バッ
ファを適用できるようになりました。
その他の改良
 東アジア言語の縦書き配置:縦書きするフォントについて、ラベルを縦に表示できるようになりました。[シンボル選択] ダイアロ
グに[CJK 文字方向] のチェックボックスが表示されます。
 未配置ラインと道路ラベルの自動リーダー:密集地域では、フィーチャに連結されている引き出し線を含む、フィーチャの近くの
空いている場所にラベルを横方向に配置して、未配置ラベルをマップに追加することができます。
 ドーナツ ポリゴンのラベル配置:ドーナツ ポリゴン(内側に穴の開いたポリゴン)をラベリングする際、Maplex では「島」ポ
リゴンを避け、ポリゴンにラベルを配置します。
 計測用にマップ単位およびページ単位の追加:追加単位オプションとして、最小フィーチャ サイズ オプション、ラインに沿って
ラベルの繰り返しオプション、ラベル オーバーラン オプション、同じラベルを削除オプションに追加されました。
ドキュメント
 Desktop ヘルプの [Common Labeling Tasks] セクションの追加:複数の主なラベル配置について、ラベルの配置方法がまとめら
れています。
Desktop ヘルプの [エクステンション] → [Maplex] → [Common Labeling Tasks] をご参照ください。
パフォーマンス
 Maplex ラベル エンジンと標準的なラベル エンジンの両方で、テキスト ハローの描画が改善されました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 159
ArcGIS Network Analyst
配車ルート(VRP)解析の追加
 配車ルート(VRP)解析には、配送経路を生成する機能が組み込まれています。VRP 解析では、時間、車両の積載量、ルート ゾー
ン、運営費など、複数の制約、目的を考慮しながら、ルートの順番を割り当て、決定します。集荷または配送、パラトランジットな
ど、複数の車両のルートを最適化して、業務を行う必要がある状況で、配送経路を生成することができます。
VRP 解析に関する詳細については、ArcGIS Desktop ヘルプの [エクステンション] → [Network Analyst] → [ネットワーク解析
の実行] → [配車ルート問題の解決] をご参照ください。また、配車ルートの解析方法をわかりやすく説明した演習 8 および 9 が
Network Analyst のチュートリアルに追加されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 160
ネットワーク データセット属性のエバリュエータの追加
 関数エバリュエータ
関数エバリュエータは、定数やフィールド、VBScript エバリュエータに存在するネットワーク属性値を計算する新しいオプションで
す。他の属性値、パラメータ値で乗法または論理関数を実行して、値を計算します。
数値属性では、別の属性の値にパラメータまたは定数を掛けた式から、値が導き出されます。たとえば、「DriveTime * 1.25」では、
運転時間が 25%長くなります。ブール属性では、属性値とパラメータ値を比較した式から値が導き出されます。たとえば、
「MaxHeight
> VehicleHeight」を使用して、VehicleHeight 属性パラメータにより、車高が高すぎて安全に走向できないと判断される道を制限する
ことができます。
 グローバル ターン遅延エバリュエータ
時間ベースのコスト属性を使用する場合、グローバル ターン遅延エバリュエータにより、左折、右折、U ターン、車線変更のペナル
ティを追加することができます。ターン フィーチャではモデル化されないすべての方向転換にペナルティが適用されます。ターンの
角度、通りから通りまでの道路区分、交差する通りといったターンのタイプによって、追加時間を指定することが可能です。この新
しい [グローバル ターン遅延エバリュエータ] ダイアログ ボックスは以下のとおりです。
ネットワーク ロケーションを検出するクエリ ビルダの追加
9.2 以前の Network Analyst では、ネットワーク ロケーションを追加したり、移動したりする際、道路のみを検索し、地下鉄は検索
しないなど、どのソース フィーチャクラスを検索するかを指定することができました。ArcGIS Network Analyst 9.3 では、新しい機能
を使用して、ソース フィーチャクラス内のフィーチャのみを検索するクエリ表現を作成することができます。そのため、道路のフィー
チャを検索する代わりに、地方道路や速度制限のある道路にのみ関連するネットワーク ロケーションを検索するクエリを作成可能で
す。これには、通過できないエレメントへのネットワーク ロケーションの配置を回避するという利点があります。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 161
検索条件設定は、解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [ネットワーク ロケーション] タブにあり、[ネットワー
ク ロケーションの検索] パネルでソースを右クリックし、[検索条件の設定] を選択すると、アクセスすることができます。[検索条件
設定] ダイアログ ボックスの機能は [属性検索] ダイアログ ボックスとほぼ同じです。
ジオプロセシング機能の追加
 Python スクリプトを使用して、特定のネットワーク データセットや、ネットワーク解析レイヤに関する説明を入手できるように
なりました。
[ネットワーク データセット] プロパティ: ネットワーク データセットのタイプ、属性、およびソース フィーチャクラスなど、
交通ネットワークのモデル化に使用されるネットワーク データセットに関する情報が提供されます。
[ネットワーク解析レイヤ] プロパティ: ネットワーク解析レイヤの名前、インピーダンス属性、および検索許容値など、ネット
ワーク問題の解析に使用される入力と、パラメータに関する情報が提供されます。
 [配車ルート(VRP)解析レイヤの作成(Make Vehicle Routing Problem Layer)] という名前の新しいツールを使用して、ジオプ
ロセシング フレームワークで配車ルートを解析することができます。このツールは、[Network Analyst ツール] ツールボックスの [解
析] ツールセットにあります。
その他
 Network Analyst のチュートリアルに、アニメーション チュートリアルが追加されました。また、演習 8「配車を考慮した配送サー
ビスを行う」と、演習 9「訪問先ペア間で配送する最適ルートを検索する」の 2 つの新しい VRP 解析の演習もチュートリアルに追加
されています。
 OD コスト マトリックス解析が改良され、解析速度が桁違いに速くなりました。
 9.3 では、[空間統計] ツールボックスに、ネットワーク データセットのすべてのフィーチャの空間的関係をモデル化する空間的重
み行列ファイルを生成する、新しい [ネットワーク空間ウェイトの作成(Generate Network Spatial Weights)] 解析ツールが追加さ
れました。詳細については、このドキュメントの「ビジュアライゼーションと解析」をご参照ください。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 162
ArcGIS Publisher と ArcReader
 ArcReader のマークアップを ArcMap へエクスポート
9.3 では、ArcReader で作成したインク マークアップをエクスポートして、ArcMap にロードできるようになりま
した。9.2 では、特に現場でタブレット PC を使用して作業するときに、アノテーションや、ノートおよびアップ
デートをマップに追加できるようマークアップ ツールが、ArcReader に追加されました。9.3 では、ArcReader
のユーザはマークアップを作成し、ArcMap にロードすることができます。これにより、データを編集し、マーク
アップにメモされた変更を反映させることが可能です。ArcReader からインポートされたマークアップを使用す
るためのツールが、ArcMap の [Publisher] ツールバーに追加されています。
new in 9.3
 ArcReader のマークアップ ツールの改良
ArcReader の [マークアップ] ツールバーに色と幅のオプションが新たに追加されました。さらにさまざまなマ
ークアップ グラフィックスを操作できるよう、上記の [Publisher] ツールバーの右端にあるものと同じ、3 つ
のコントロールが追加されました。
 ArcReader のユーザビリティの向上
9.3 では、ArcReader のブックマークに簡単にアクセスできるようになりました。ブックマーク プルライトが [表
示] プルダウン メニューから移動され、 独自の[ブックマーク] プルダウン メニューが作成されました。
ArcReader の [編集] プルダウン メニューに新しい [テンポラリ グラフィックの削除] コマンドが追加されま
した。これにより、[検索] ダイアログで検出された場所や住所を示すポイントなど、マップに追加されたグラフ
ィックスを削除することができます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド - 163
ArcGIS Schematics
リンクを展開ルールの追加
 新しいリンクを展開ルールでは、元のエッジ フィーチャからの属性を使用して、ダイアグラムに表示するスケマティック リンク
エレメントの数を決定します。
スケマティックスの設定
ルールなし
ルールあり
レイアウト タスク
 [リンク直角化] レイアウト タスクが強化され、5 本以上のリンクが 1 つのノードに連結される際、リンクが重ならないよう処理
できるようになりました。
ジオグラフィ
スケマティックス
 新しい Label Placement Optimizer アルゴリズムが追加され、スケマティック ラベルのレイアウトがしやすくなりました。
[プロパティ] フォーム
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 164
スケマティック ジオプロセシング ツール
 Schematics で使用できる 5 つの新しいジオプロセシング ツールが追加されました。
–
–
–
–
–
Convert Diagram to Features: スケマティック ダイアグラムをフィーチャに変換します。
Create Diagram:スケマティック ダイアグラムを作成します。
Create Schematic Folder:スケマティック フォルダを作成します。
Update Diagram: 1 つのダイアグラムを更新します。
Update Diagrams: フォルダの場所、最後に更新されてからの時間など、ある基準に従って複数のダイアグラムを一度に更新
します。
関連ダイアグラムを検索
 新しい [関連ダイアグラムを検索] ツールを使用して、マップでフィーチャを選択し、そのフィーチャを含む既存のダイアグラム
があるかどうかを確認することができます。また、開いているダイアグラムでエレメントを選択し、同じエレメントを含む他のダイ
アグラムがあるかどうかを確認することも可能です。
XML ビルダ
 新しい XML ビルダを使用して、XML ファイルまたは XML ストリームから、ダイアグラムを作成することができます。これによ
り、外部システムとの非常にオープンな統合が可能になります。データはスケマティック XSD フォーマットで Schematics に受け渡
され、Schematics はそのデータを使用して、ダイアグラムを作成および表示することができます。
レイアウト アルゴリズムの改善
 新しいレイアウト アルゴリズムとして、[地理模式図 - 部分重複リンク] が追加されました。以下の図のとおり、この新しいレイ
アウト アルゴリズムは、リンクが平行し、オフセットが小さく、見づらい場合に使用されます。
(この機能が最初に改良されたのは、
9.2 のサービス パック 3 です。
)
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 165
導入前
導入後
 地理模式図 - 線形配置アルゴリズムが改良され、末端ノードがシフトされます。ダイアグラムを見やすくするため、レイアウト
が改良され、位置変更プロセスにリンクが 1 つの末端ノードが表示されるようになりました。この機能は、水道、ガス、電気の二次
供給網を管理する場合に便利です。(この機能が最初に改良されたのは、9.2 のサービス パック 3 です。)
導入前
9.2 導入後
9.2 SP3 導入後
ダイアグラムをフィーチャへエクスポートする機能の改良
 スケマティック ダイアグラムをシェープファイルまたはフィーチャクラスとしてエクスポートする場合、フィーチャのすべての
属性が自動的にエクスポートされます。9.2 以前では、Schematics が内部で追跡する一部の属性のみがエクスポートされていました。
これにより、エクスポートされたダイアグラムのフィーチャを元の空間フィーチャにリンクして、他のフィールド情報を入手するこ
とができます。(この機能が最初に改良されたのは、9.2 のサービス パック 4 です。)
ArcMap でのスケマティック ダイアグラムの使用
 このドキュメントの「マッピング」で述べたとおり、9.2 で導入されたビューア ウィンドウが 9.2 のサービス パック 2 以降で改
良されました。ArcMap のメイン ウィンドウで表示されるアクティブなデータ フレームとアクティブでないデータ フレームを左右
に並べて、アクティブでないデータ フレームのデータを扱えるようになりました。これにより、[レイアウト] ビューに切り替えなく
ても、スケマティック ダイアグラムをジオグラフィと一緒に左右に並べて使用することができます。以下の例では、ArcMap のメイ
ン ウィンドウで表示されている [Geography] という名前のデータ フレームのフィーチャを含む 2 つのスケマティック ダイアグラ
ムが作成されます。各スケマティックは、ビューア ウィンドウ内に表示されている別個のデータ フレームに表示されています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 166
9.2 のサービス パック 2 で、Schematics のコマンドおよびツールが更新され、ビューア ウィンドウのアクティブでないデータ フレー
ムに表示されているスケマティックスで、オペレーションを実行できるようになりました。
Geography とスケマティックを左右に並べて作業するには、まず、ビューア ウィンドウで表示したいデータを含むデータ フレーム
をアクティブにします。次に、[ウィンドウ] プルダウン メニューから [ビューア] コマンドを選択して、ビューア ウィンドウを開き
ます。最後に、ArcMap のメイン ウィンドウで使用したいデータ フレームをアクティブにします。開いたビューア ウィンドウは引
き続き画面に表示されるため、両方のデータ フレームを同時に使用することができます。
ArcMap の Desktop ヘルプの [エクステンション ] → [Schematics] → [Working with ArcGIS Schematics] → [Viewing
schematic diagrams] → [Viewing schematic diagrams] をご参照ください。
ヒント:2 つのショートカットにより、複数のデータ フレームを簡単に使用することができます。Ctrl+Tab キーを押すと、アクティ
ブにするデータ フレームを順番に切り替えることができます。(同じことを画面のボタンを押して実行する場合は、[ツール] → [カ
スタマイズ] ダイアログの [表示] カテゴリのツールバーに [次のデータ フレームをアクティブ化] コマンドを追加してください。)
Alt キーを押しながら [テーブル オブ コンテンツ] のデータ フレームの名前をクリックすると、そのデータ フレームがアクティブ
化になります。
その他
 Schematics エクステンションが、ArcGIS Server で完全にサポートされています。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 167
ArcGIS Spatial Analyst
[ゾーン ヒストグラム] コマンドの追加
 9.3 の Spatial Analyst の新しく追加された [ゾーン ヒストグラム] コマンドには、[Spatial Analyst] ツールバーからアクセスする
ことができます。データの調査およびビジュアライゼーション ツールとして非常に便利です。一つのデータセットの個々のクラスに
おける他のデータセットの頻度や分布を調べることができます。たとえば、土地利用クラス別の傾斜値の分布、標高クラス別の降雨、
警察の担当区域別の犯罪分布などがわかります。
[入力バリア設定を含むコンター (Contour with Barriers)] ツールの追加
 9.3 では、Spatial Analyst および 3D Analyst に、新しいサーフェス コンター ツールである [入力バリア設定を含むコンター
(Contour with Barriers)] ジオプロセシング ツールが追加されました。このツールは、9.2 で追加された [入力バリア設定を含むス
プライン (Spline with Barriers)] ツールを補うもので、バリアによって中断されたサーフェスのコンターを作成することができま
す。[入力バリア設定を含むコンター (Contour with Barriers)] ツールには、これまでの [コンター] ツールに比べて多くの利点があ
ります。
•
•
•
•
•
•
よりスムーズなコンター
インテリジェントなデフォルト レンダリング
Maplex によるカートグラフィック ラベリング
バリア フィーチャを考慮し、コンターのジオメトリをバリアにスナップ
出力データを直接ジオデータベースに書き込み
2GB のサイズ制限なし
[入力バリア設定を含むスプライン (Spline with Barriers)] ツールの改良
 9.3 では、[入力バリア設定を含むスプライン (Spline with Barriers)] ツールが更新され、バリア フィーチャクラスがオプショ
ン設定になりました。また、バリアなしのスムーズなスプライン アルゴリズムのツールとして使用できるようになりました。また、
ツールの整合性と利便性が改善され、インプロセスで実行することにより、パフォーマンスの向上を実現しました。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 168
新しいスナップ対象ラスタ環境
 新しいスナップ対象ラスタ設定を使用して、セル登録を固定してラスタ出力の位置を合わせ、データの品質を損なう可能性のある
その後のリサンプリング作業を最小限に抑えることができます。9.2 では、スナップラスタの設定が範囲コントロールで行われていま
したが、9.3 では環境設定となり、より柔軟に ModelBuilder またはスクリプトから動的に環境の設定をすることができます。
9.3 でも、コマンド ラインやスクリプトの実行により、これまでの範囲の設定によるスナップラスタを使用でき、これまでどおりに
機能しますが、今後は新しいスナップ対象ラスタを使用することをお勧めします。
範囲パラメータの改良
 Spatial Analyst 全体で共通の範囲パラメータを標準化し、範囲パラメータを使用するすべての機能が、レイヤやデータセットの範
囲と同じ範囲を設定できるようになりました。これにより、範囲の精度が浮動小数点レベルで維持されます。更新されたツールは以
下のとおりです。
•
[長方形で抽出
(Extract by Rectangle) ]
•
[トポ → ラスタ (Topo to Raster)CreateConstantRaster]
•
[正規分布ラスタの作成 (Create Normal Raster)]
•
[ランダム ラスタの作成 (Create Random Raster)]
パフォーマンスの向上
Spatial Analyst のいくつかのアルゴリズムでパフォーマンスが大幅に改善されました。
 [コンバイン (Combine)] ツールの処理速度が 40 倍速くなりました。9.2 以前では、250,000 のデータセットの組み合わせで [コン
バイン (Combine)] を実行すると 1 時間かかっていましたが、9.3 では 1 分半で完了します。さらに、アルゴリズムが改善され、数百
万の組み合わせを処理できるようになりました。[コンバイン (Combine)] の改良が最初に行われたのは 9.2 SP2 です。
 [Fill] ツールの処理速度が 45 倍速くなりました。9.2 以前では、200 万のシンクを含む 350mb DEM で [Fill] を実行すると 9.5 時間
かかっていましたが、9.3 では 12 分で完了します。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 169
大容量データ処理の改善
 可視領域の改善により今までよりも大容量の入力データを処理しても、致命的なエラーである MSEEK が発生しなくなりました。
 IDW が改良され、最大 5,000 万ポイントを処理できるようになりました。
 [コンバイン (Combine)] ツールが数百万の組み合わせを処理できるようになりました。
エラー メッセージとステータスの改良
 中核となるジオプロセシング フレームワークの改良と同時に、Spatial Analyst のエラーメッセージとステータスのレポートが大
きく改良がされました。9.3 の Spatial Analyst では、複数のエラーメッセージを階層的に表示可能になり、エラーの根本的な原因を特
定しやすくなりました。すべてのエラーメッセージがドキュメント化され、ヘルプ システムにリンクされています。また、ツールに
よる処理が完了した割合や、ソフトウェアの現在の実行内容に関する通知など、ツールの実行時の進行状況の表示も改善されました。
[抽出値 → ポイント (Extract Values to Points)] の改良
 [抽出値 → ポイント (Extract Values to Points)] で空間参照と範囲環境設定が適用されるようになりました。必要に応じて、デー
タが投影されます。9.2 以前では、入力データの投影法が異なる場合、No Data が返されていました。出力フィーチャクラスの空間参
照が、入力フィーチャ(または環境設定で指定されているもの)と同じ空間参照に設定されるようになりまいした。9.3 では、内部の
リサンプリングにより、ポイントに正しいセル値を取得することができます(バグの修正)。解析中に内部リサンプリングを行うこと
で、ポイントに正しいセル値を確実に取得することが可能になりました。これにより、範囲とセル サイズの違いや、ラスタ対象スナッ
プ環境の設定の必要性により生じたバグが修正されています。これらの変更のため、処理結果が 9.2 と異なる場合がありますが、9.2
での処理結果が正しくなかったということです。
[テーブルで再分類 (Reclass by Table)] の改良
 テーブルを [テーブルで再分類 (Reclass by Table)] ツールへの入力として使う際に、[古い値フィールド] の並び替えが不要になり
ました。9.3 では、dbf、INFO、ジオデータベース再分類テーブルの古い値フィールドを並び替えなくても問題はありませんが、値は
重複してはなりません。テキストファイルベースのテーブルについては、引き続き昇順での並び替えが必要です。
[条件]ツールセットの利便性の向上
 パラメータ同士の関係を明らかにするため[Con]および[Set Null] ツールの条件式パラメータが、パラメータを適用する入力ラスタ
の隣に、ツールのダイアログ内で移動しました。
 浮動小数点ラスタを、条件付きラスタとして [Con] ツールに入力できるようになりました。
ModelBuilder での[オーバーレイ] ツール使用における改善
 [加重オーバーレイ(Weighted Overlay)]と[加重合計(Weighted Sum)] ツールで、モデル内にて出力範囲プロパティをが自動
的に設定されるようになりました。つまり、モデル内で次ぎに実行されるツール([長方形で抽出 (Extract by Rectangle)] など)の範
囲が追加されるということです。また、[加重オーバーレイ (Weighted Overlay)] ツールの [Load table] オプションでは、可能な限り、
ModelBuilder のコネクションが維持されます。
その他の改良点
 [Spatial Analyst] ツールバーの [コンターの作成] ツールにより ArcMap に追加されたライン グラフィックの高さが、グラフィッ
クス プロパティ ダイアログの [サイズと位置] タブにある [エレメント名] フィールドに表示されるようになりました。また、[グラ
フィックスをフィーチャに変換] コマンドを使用して、作成したコンターをライン フィーチャに変換したすると、各コンターの高さ
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 170
が出力 3D ライン フィーチャクラスの名前という属性に自動的に表示されます。
 ObjectID フィールドを入力データの有効なフィールドとして指定できるようになりました。この改良は、入力データにフィーチャ
クラスを選択でき、フィールドを指定する次のツールに適用されています。
・ フィーチャ → ラスタ (Feature to Raster)
・ [距離] ツールセット

コスト アロケーション (Cost Allocation)

コスト パス (Cost Path)

ユークリッド アロケーション (Euclidean Allocation)

パスの距離アロケーション (Path Distance Allocation)
・ [水門解析] ツールセット

流出点のスナップラスタの作成 (Snap Pour Point)

集水域ラスタの作成 (Watershed)
・ [ゾーン] ツールセット

クロス集計 (Tabulate Area)

ゾーンのジオメトリ (Zonal Geometry)

ゾーン統計 (Zonal Statistics)
これらのツールは解析中に入力フィーチャクラスをラスタに内部的に変換し、フィールドの値でラスタの値を定義します。従来は、
整数型と文字型フィールドのみ指定可能でしたが、新たに ObjectID フィールドが有効な入力フィールド パラメータとして指定でき
るようになりました。
入力フィーチャクラスを指定すると、デフォルトでは入力フィーチャクラスの 1 番目に有効とみなされるフィールド(例:ID または
ユーザが指定したフィールド)が自動で選択されます。ID フィールドがない場合は、ObjectID フィールドがデフォルトで選択されます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 171
ArcGIS Tracking Analyst
Track Analyst の 3D データ入力のサポート
 9.3 では、Track Analyst のツールやコマンドを使用して、3D Analyst の ArcGlobe でリアルタイム データや、履歴データを表示お
よび解析できるようになりました。3D モデルを使用してデータをシンボル化し、より詳しく解析することができます。空中の飛行機、
地面の下の地下鉄、道路の自動車にタブを維持することができます。[プレイバック マネージャ] を使用して、一時停止したり、巻き
戻したりすることが可能です。
以下の ArcGlobe の図のデータは、2005 年の台風を表示しています。最新の 1 日の位置は赤でハイライトされ、1 週間前までのパス
が一緒に表示されます。
 削除ルールのサポートの追加
削除ルールで、リアルタイム データをジオデータベースに格納する方法を定義できるようになりました。Tracking Analyst では、デー
タがディスクを読み書きする際の、パフォーマンスのボトルネックを解消するため、リアルタイム データをすべてメモリに格納しま
す。消費される最大メモリを抑えるには、定期的にジオデータベースからデータを削除する必要があります。どのデータをどのくら
いの頻度で削除するかを指定するための仕組みを削除ルールといいます。
9.2 以前でも、メモリ内のデータベースにある最も古いレコードを削除することができましたが、9.3 では、追跡する各エンティティ
の最新のレコードのみを保存するオプションが追加されました。数千ものトラックがメモリに格納され、どれが最新なのかを知りた
い場合に便利です。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 172
ダイナミック ディスプレイのサポート
 ArcGIS Engine アプリケーションのダイナミック ディスプレイを使用して、Tracking Analyst の 2D データの高速化を実現します。
ダイナミック ディスプレイのサポートにより、少ない処理能力でより多くのフィーチャを画面に表示することができます。なお、ダ
イナミック ディスプレイは ArcGIS Desktop アプリケーションではサポートされていません。
リアルタイム データの統計
 開発者は、Tracking Analyst API で新しいテンポラル統計情報フィーチャを確認する必要があります。統計情報を使用して、デー
タ レート、メッセージ総数、トラック カウント、およびコネクション ステータスを監視してください。
開発者へのサービス アクションの提供
 クライアントのサービス アクションが、ArcObjects からアクセス、編集、および定義することができるようになり、開発者はア
プリケーションから直接アクションを操作するコントロールを実装できるようになりました。9.3 では、アクションの変更がすぐに有
効になるため、アプリケーションを再起動する必要はありません。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 173
ArcMap のマップ ナビゲーション ショートカット
画面移動
マウス ホイールをクリック:
クリックした場所をマップの中央に配置します。
マウス ホイールを押しながらドラッグ:
マップを画面移動します。
[画面移動] ツールに一時的に切り替えます。シングル クリックで中央配置します。
ドラッグで画面移動します。
を押す:
マップを上下左右のページへ移動します。
マップを上下左右にスクロールします。
いずれかの[画面移動] ツールでシングルクリック:
クリックした場所をマップの中央に配置します。
拡大縮小
マウス ホイールを回転:
拡大/縮小します。回転方向は [ツール] → [オプション] ダイアログでカスタマイ
ズ可能です。
Ctrl+マウス ホイールを回転:
細かい倍率で拡大/縮小します。
Ctrl+マウス ホイールをクリック:
クリックした場所をマップの中央に配置し、拡大します。
Ctrl+マウス ホイールを押しながらドラッグ:
定義したエリアを拡大します。
または
を押す:
を押す
[拡大] ツールまたは [縮小] ツールに一時的に切り替えます。
[連続ズームと画面移動] ツールに一時的に切り替えます。マウスの左ボタンを押しなが
ら上下にドラッグして、拡大/縮小します。マウスの右ボタンで画面移動します。
拡大/縮小します。
その他
データ ビューでマップを右クリック:
新しいコマンドへのショートカット メニューを表示します。
マウス ホイール、Z、X、C、B キー、または[連続ズームと画面移動] ツールによ
レイアウト ビューで Shift キーを押す:
るマップ ナビゲーションをレイアウト ページではなくデータ フレームに適用し
ます。
キーボード フォーカスをテーブル オブ コンテンツからマップへ移動します。
キーボード フォーカスをマップからテーブル オブ コンテンツへ移動します。
マップを更新します。
[拡大]、[縮小]、[画面移動] ツールのいずれかがアクティブである場合にツールを
切り替えます。
描画の一時停止モードを切り替えます。
テーブル オブ コンテンツの選択されたデータ フレームをアクティブ化します。
全体を表示します。
1 つ前の範囲または次の範囲へ移動します。
Ctrl+Tab キー:
データ フレームが複数ある場合にそれらを順番に切り替えます。
Ctrl キー+テーブル オブ コンテンツでチェック
ボックスをクリック:
すべてのレイヤの表示/非表示を切り替えます。
Alt キー+テーブル オブ コンテンツでチェック
ボックスをクリック:
クリックしたレイヤを表示し、その他をすべて非表示にします。*New*
Alt キー+テーブル オブ コンテンツでレイヤ名をク
リック:
このレイヤにズームします。
Alt キー+テーブル オブ コンテンツでデータ
フレームをクリック:
このデータ フレームをアクティブ化します。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 174
ArcMap テーブル ウィンドウ ショートカット
テーブルを開く、閉じる
Ctrl+レイヤまたはテーブルをダブルクリック
テーブル オブ コンテンツでクリックしたレイヤまたはテーブルの属性テー
ブルを開きます。
Ctrl+T キーまたは Ctrl+Enter キー
テーブル オブ コンテンツの現在選択されているレイヤまたはテーブル(複
数可)の属性テーブルを開きます。
テーブル ウィンドウで Ctrl+T キー
ウィンドウを最小化します。
Ctrl+Shift+T キー
すべてのテーブルで表示状態と最小化状態を切り替えます(すべてを表示ま
たは最小化します)。
Ctrl+Shift+Tab キー
現在開いているテーブルを順番に切り替えます。
Ctrl+Shift+F4 キー
現在開いているテーブルをすべて閉じます。
フィールドの操作
フィールド名を右クリック
Ctrl+フィールド名をダブルクリック
Ctrl+H キー *New*
Ctrl+Shift+ダブルクリック
列の仕切りをダブルクリック
Ctrl+Shift+A キー *New*
Alt キー+フィールド名をダブルクリック *New*
Ctrl+Shift+P キー *New*
Ctrl キー+フィールド名をダブルクリック *New*
Ctrl+Shift+N キー *New*
Ctrl+Shift+F キー *New*
Ctrl+Shift+G キー *New*
フィールド コマンドのショートカット メニューを表示します。
フィールドを非表示にします。[レイヤ プロパティ] → [フィールド] タブで
チェックを外すことと同じです。
現在のフィールドを非表示にします。
このフィールドを隠します
(列をドラッグして幅を 0 にすることと同じです)。
仕切りの横にフィールドが隠れている場合、そのフィールドを表示します。
[オプション] → [フィールドの幅を既定値に戻す] コマンドを実行します。
フィールドのプロパティ ダイアログを開きます(エイリアス、数値形式など
を設定できます)。
現在のフィールドのプロパティ ダイアログを開きます。
テーブルの全フィールドのエイリアスの表示/非表示を切り替えます。
テーブルの全フィールドのエイリアスの表示/非表示を切り替えます。
現在のフィールドの [フィールド演算] ダイアログを開きます。
現在のフィールドの [ジオメトリ演算] ダイアログを開きます。
テーブルからのマップ ナビゲーション
グレーのセルを右クリック
グレーのセルをダブルクリック
Ctrl+グレーのセルをダブルクリック
Ctrl+8 キー
Ctrl+=キー
Ctrl+P キー
Ctrl+I キー
Ctrl+Shift+=キー
ナビゲーションや他のコマンドのショートカット メニューを表示します。
このフィーチャにズームし、このフィーチャのみを選択します。
このフィーチャに画面移動し、このフィーチャのみを選択します。
現在のフィーチャをフラッシュします。
現在のフィーチャにズームします。
現在のフィーチャへ画面移動します。
現在のレコードの個別属性を表示します。
選択フィーチャにズームします。
テーブル内のナビゲーション
または Enter キー
または Shift+Enter キー
Home または End キー
Ctrl+
または
Tab キー
Shift+Tab キー
Ctrl+ または
Ctrl+Home または End キー
Ctrl+F キー
Ctrl+G キー
アプリケーション キー
Ctrl+アプリケーション キー
テーブルの下部を右クリック
左右に移動します。行の最後で同じレコードの先頭に戻ります。
1 つ下のセルへ移動します。
1 つ上のセルへ移動します。
現在の行の最初または最後のセルへ移動します。
現在の行の最初または最後のセルへ移動します。
右のセルへ移動します。行の最後で次のレコードへ移動します。
左のセルへ移動します。行の先頭で前のレコードへ移動します。
現在の列の最初または最後のセルへ移動します。
最初の行の最初のセルまたは最後の行の最後のセルへ移動します。
[検索] ダイアログを表示します。
レコード番号に移動します。
行のショートカット メニューを開きます。
[オプション] メニューを開きます。
[オプション] メニューを開きます。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 175
テーブル データのコピー
Ctrl+C または Ctrl+Insert キー
Ctrl+Shift+C キー
現在のセルに含まれている値をクリップボードにコピーします。
選択されたレコードをクリップボードにコピーします。
レコードの並び替え
フィールド名をダブルクリック
Shift+フィールド名をダブルクリック *New*
Ctrl+Shift+S キー *New*
Ctrl+Shift+U キー *New*
テーブルのフィールドを A から Z の順に並び替えます。
もう一度ダブルクリッ
クすると、Z から A の順に並び替えます。
[高度な並び替え] ダイアログを表示します。最大 4 つのフィールドでテーブ
ルを並び替えることができます。
[高度な並び替え] ダイアログを表示します。
並び替えられたテーブルを元に戻します([高度な並び替え] ダイアログを表
示して、すべてを(なし)に設定します)。
レコードの選択と選択解除
Ctrl+レコードをクリック
Shift+レコードをクリック
Shift+Space または または
Ctrl+Tab キー
Space
Backspace キー
Ctrl+Shift+R キー *New*
Ctrl+Enter キー
Ctrl+Shift+Enter キー
テーブルの左上隅をクリック
Shift+左上隅をクリック
Ctrl+左上隅をクリック
Ctrl+Backspace キー
Ctrl+A キー
Ctrl+Shift+A キー
Ctrl+U キー
選択セットにレコードを追加します(そのレコードがすでに選択されている
場合は、選択セットから削除します)。
現在選択されているレコード(複数可)からクリックしたレコードへ選択範
囲を広げます。
ブロック選択を行います。
すべてのレコードの表示モードと選択レコードの表示モードを切り替えます。
現在のレコードを選択または選択解除します(選択レコードの表示モードで
は、ハイライト表示とハイライト表示の解除を切り替えます)。編集モードで
のショートカットは Ctrl+Space キーです。
現在のレコードを選択解除します。
(値を編集していない場合、編集モードで
使用することができます。
)
選択レコードの表示モードでハイライトされているレコードを再選択します。
次のレコードへ移動し、そのレコードを選択します。最初に選択していたレ
コードがある場合は、その選択を解除します。テーブル内を順番に移動しな
がら、レコードを 1 つずつ選択できます。
1 つ前のレコードへ移動し、そのレコードを選択します。
選択セット(選択レコードの表示モードでは、ハイライト表示されたセット)
を解除します。
すべてのレコードを選択します。
選択セットを切り替えます。
選択セットを解除します。
すべてのレコードを選択します。
選択セットを解除します。
選択セットを切り替えます。
テーブル データの編集
Ctrl+Shift+E キー
F2 キー
Esc キー
Enter キー
Tab キー
Ctrl+Enter キー
Ctrl+V または Shift+Insert キー
Ctrl+Z および Ctrl+Y キー
Delete または Ctrl+D キー
Ctrl+Delete キー *New*
Shift+Enter キー
編集を開始または中止します。
現在のセルの内容を編集します。セルの編集を終了するには、このキーをも
う一度押します。
現在のセルの編集をキャンセルし、元の値に戻します。
セルの編集を終了し、同じフィールドの下のセルへ移動します。
セルの編集を終了し、同じレコードの右側のセルへ移動します。行の最後に
到達した場合は、その下のレコードへ移動します。
Enter キーと同じですが、次のレコードも選択し、マップ上に表示します。
クリップボードの内容を現在のセルに貼り付けます。
レコードの編集を元に戻します。または繰り返します。
現在選択されているレコード(複数可)を削除します。*Ctrl+D キーは 9.2 か
ら変更*
選択レコードの表示モードで、現在ハイライトされているレコード(複数可)
を削除します。
テキスト文字列の編集時に改行を挿入します(ラベリングまたはアノテー
ションのスタック文字として使用します)。
ARCGIS 9.3 新機能ガイド– 176