女の子だから

中学・読書体験記・佳作
女の子だから
ぬ男性と結婚させられるなんて、到底考えられない事だ。
【佳 作】
このような事が、国や地域によってはめずらしい事ではないと
知り、私は驚きとともに怒りをおぼえた。やはり、このような事
態が起こっている原因は、「貧困」ではないか。貧しくなけれ
ば、少しのお金がほしいからと言って娘を売らないだろう。女の
綾 桜子 (兵庫県 甲南女子中学校) 子はお金がかかるし稼ぎ手にもならないという悩みも無いはず
だ。それに、女の子だって、教育を受けさせ、チャンスを与えれ
ば、立派な稼ぎ手になるはずだ。実際に、「女の子が1年長く中
学校に通うと、将来その女の子が得る収入は %上がる」という
生まれてくることさえ許されない女の子達がいる。日本で生ま 世界銀行の報告も出ている。「女の子は稼ぎ手にならない」とい
れた私達には理解し難い事だが、今でも世界では一億三千万人か うのは偏見で、女の子だって世界の役に立てるはずだし、世界へ
ら二億人が、「女の子だから」という理由で幼いうちに殺害され 貢献する形は男女で違っても、命の大きさは変わらない。このよ
ている。それは、将来の稼ぎ手にならず、結婚させる際に結婚結 うな偏見は、世界の女の子みんなが立ち上がり、実績を残す事で
納金や持参金を渡さなければいけないという経済的要因があるか 無くしていくべきだと思う。
らだ。例えばインドでは、息子は価値のある「資産」で、反対に
そして、このような男女での差についての問題は他人事ではな
娘は「負債」だと考える風潮があるそうだ。人々は、「女の子だ いのだ。男女格差の少なさを測ったランキングで、日本は ヵ国
から」、それだけの理由で女性は男性よりも劣っていると決め付 中 位。私はこの順位を見て驚いた。途上国が下位にランクづけ
けている。
される事は考えられるが、先進国でこれほど男女格差が大きいと
また、途上国で学校に行かせてもらえない子供は、男の子より された国は日本だけだそうだ。理由は、政治と経済分野における
女の子の方が多い。その理由は、「女の子に教育は必要ない」と 女性の進出の遅れである。確かに仕事は男性、家事育児は女性と
いう周囲からの偏見や、家事労働の負担、早すぎる結婚・妊娠な いう考え方が根付いている気がする。
さらに、日本で成人と認められる年齢は男女共に 歳なのに、
結婚出来る年齢は男性 歳、女性 歳と民法で定められている。
なぜ女性の方が早いのか?私はこの本を読んで初めて疑問に思っ
た。よく考えると、これは男女での差別なのではないだろうか。
どが多い。学校に通わせてもらえなかった女の子達は、危険な仕
事を強いられたり、カムラリという家事使用人として雇われ、長
時間奴隷のような状態で働かされたり、暴力を受けたりする。学
校で勉強出来なかったため、自分の体を守れずに死んでしまった
り、早すぎる妊娠で健康に害が及んだりするケースも少なくな
い。私と同じ 歳の女の子が、自分の父親と同じくらいの見知ら
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「女の子だから」、この1つの理由で遭遇する苦難と、奪われ
る自由がある。女の子達の自由を取り戻すには、一人一人が小さ
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なアクションを起こす事が必要だ。世界の女の子の問題は、私自
身の問題でもあるのだ。どの国の女の子達も、世界で活躍する力
を持っている。「女の子だから」出来ない事はほとんどなく、
「女の子だから」出来る事は沢山あるはずだ。私の学校の文化祭
のテーマであった「ACTION」は、まさにこのような事だと
思う。そして、アクションを起こす事は、自分自身の人生も豊か
にしてくれる。男女差別の問題に世界の女の子全員で立ち向か
い、「女の子だから」、この後に来る言葉を、私達の力で変えて
いきたい。
書名:わたしは 歳、学校に行けずに花嫁になる。
著者:公益財団法人プラン・ジャパン
久保田 恭代、寺田 聡子、奈良崎 文乃
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