老舗百貨店のアートな中元戦略(高島屋東京店)

街かど
トピックス①
銀座・日本橋界隈
日本を元気に この夏を元気に!
〜 老舗百貨店のアートな中元戦略 〜
髙島屋 東京店
し、いずれ東京でもと思っていました。そう
こうしているうち東日本大震災があって、今
になってしまいました。
今回、木村さんからはショーウインドウの
ガラス面に直接描きたいので、それをライブ
で表現できる場所がほしいということでし
た。当初は、ウインドウの柱を含めた全面を、
というイメージでしたがガラス面だけにな
りました。絵のライブを店頭で行ったのは
初めてです。
—
—
公開経営の本部事務所は、東京・銀座2丁目の東京都
中小企業会館にあります。せっかく日本一の商業地に
あるのだから、ということで、銀座・日本橋界隈を中心
に、
街かどウオッチングを不定期にリポートいたします。
第1回は、アーティスト木村英輝さんのデザインを
2012年お中元のメインビジュアルに採用、店舗正面の
ウインドウの装飾にも大々的に取り入れた日本橋・髙
—
島屋を取材しました。
(編集部)
髙島屋
宣伝部 クリエイティブディレクター
宮崎保和さんに聞く ◎京都で評判の壁画が日本橋に!
—
お客様からの反応はいかがですか?
ポスターが欲しいというお客様もおられ
ますね。躍動するデザインの迫力に魅力を
感じるのではないでしょうか。
◎お中元カタログでもコラボ
京都の青蓮院門跡の襖絵を描いたことでも知られ
る、現代絵師の木村英輝さん(通称 キーヤン)とは、
どのような出会いだったのでしょう。
4年前に髙島屋京都店で木村さんのライブ
企画があり、そのパワフルな壁画を見て感動
—
「美事を贈る」のキャッチフレーズが目を引きまし
た。
髙島屋のお中元の特集ということで、商品
そのものが“おいしい、元気”を主張していま
す。木村さんも、元気フードの商品カタログ
ということでデザインもコラボしていただ
きました。
—
アートと連動した広告や販促の展開は過去もあった
ようですね。
私どもには美術部もあり、以前からアート
と結んだ企画をしてきました。例えば、京都
の絵師 神坂雪佳の図案を中元、歳暮のポスタ
ーなどに使っています。京都が発祥地です
ので、本物の日本のアートを感じとって、楽
絵師
—
木村英輝さんに聞く
〜 髙島屋東京店の制作現場にて 〜 —
アートといえば、東京店の建物は重要文化財に指定
されているそうですね。
3年前に、百貨店建築として初めての重要
文化財に指定されました。日本橋の都市文
化を象徴する空間を「建築ツアー」する企画
を実施していますが、毎回盛況です。特別企
画の限定商品もご用意しています。
—
これからも髙島屋さんの、文化を通した貢献に期待
しています。
ました。現代の生活とライブするポップ
な絵を描き続けたいです。
ご自身、
どういうアートだと感じますか。
—
木村さんの、
絵画に対する考え方は。
今の画家は、美術の専門家の目を気に
しながら描いています。そして、絵画のこ
とを語っているのは評論家や美術業界の
人ばかりです。こういう状況はおかしい。
もっと自由で奔放でなければ…。
今後、
どういう分野と関わりたいですか。
狭い絵画のジャンルを超えたい。生活
具に絵を描くのが工芸家と区別するよう
になっていますが、俵屋宗達や神坂雪佳な
ど、先人たちは食器や着物などの生活具に
襖絵や掛軸と同じ気持ちで絵を描いてき
1933年竣工時
しんでいただこうと思っています。
グラフィックエレメントでしょう。アナ
ログで、元気というのがテーマですから、い
ま流行の
「癒し」
というのは嫌いですね。
—
改修中の外観
ホール正面
店の販売促進との連動も?
昨年創業180周年を迎え、今年は200年に向
けた新たなスタートの年ですので、東日本大
震災後の“復興”と当店の未来を重ね合わせ
て“元気”をテーマにしています。
それで、お中元とお歳暮のメインビジュ
アルに取り入れよう、ということになりまし
た。ホール正面に吊られている絵も木村さ
んオリジナルの書き下ろしで実現しました。
紙も、越前和紙を使っています。
—
お中元カタログ
木村英輝さんの絵とコラボしたショーウインドウ の表紙
制作現場にて、見学者を迎える木村さん
〈 木村 英輝 氏 プロフィール 〉
京都市立美術大学卒後、数多くのロックコンサー
トをプロデュースする。その後、世界歴史都市博、
建都千二百年記念広場などのプロデュースなどを
手掛け還暦を迎えてから「壁画」制作に取り組む。
最近、一澤帆布のトートバッグ、SOU・SOUの地下
足袋、大倉陶園の花器など京都で生活雑貨とのコラ
ボを活発に展開中。