EPTJ Newsletter from DKN Research

#0714、2007年4月8日
今週の話題
インクジェット印刷技術
現代の日本人がカタカナ言葉に弱いことは周知の事実ですが、エレクトロニ
クス業界やプリント基板業界の人間はその傾向がより強いかもしれません。エレ
クトロニクス業界では、さらにアルファベット略称が流行語となります。ちょっ
と思い浮かべてみると、レーザー、プラズマ、ナノテクノロジー、LDI、CA
D、RF、エンベッデッド、等々。もちろん実際に革新的で、それなりに価値が
ある技術や製品も少なくないのですが、私が見る限りでは、大部分の製品や技術
は流行に乗ろうとして、強引に関連付けただけのようです。このような技術や製
品は、ちょっと突っ込んで話を聞いてみると、内容がないので、すぐに化けの皮
がはがれます。
最近私が関係している分野で流行し始めているのが、プリンタブル・エレク
トロニクス、オルガニック・エレクトロニクス、フレキシブル・エレクトロニク
スです。さらにその関連技術としてインクジェット印刷があります。インクジェ
ットプリンターは、オフィスや家庭用のプリンターとして広く普及してきていま
すが、最近盛んに語られるのは、インクジェット印刷により、様々なエレクトロ
ニクス回路を直接形成しようというものです。この中には、有機半導体や有機発
光体なども含まれ、フレキシブルディスプレイなどのデバイスを安価に大量に製
造できるなどとアピールしている例が多々見られます。
このような新規印刷技術の発表は、材料メーカーや大学などの研究機関から
なされることが多いのですが、その適用にあたってはインクジェット印刷を前提
にしているケースが多々みられます。ところが、担当者に詳しい話を聞いてみて
驚くのは、インクジェット印刷技術に関する理解がかなり低いことです。中には、
プリント基板業界では極めて一般的なスクリーン印刷技術について全く知らない
ような人も見受けられます。また印刷に対応する技術であるフォトリソグラフィ
ーに関する理解も決して高くはないようです。
有機エレクトロニクスやフレキシブル・エレクトロニクスなどの分野で新材
料を開発している人々の目には、インクジェット印刷技術は万能で、精細度、量
産性、材料への対応性などの面で、圧倒的に有利な位置にあるかのように見える
ようです。しかし、第三者的な目で見て、現代のスクリーン印刷技術は、インク
ジェット技術に比べて、少なくとも精細度、量産性の面では圧倒的に優れている
といって良いでしょう。最新のスクリーン印刷技術は10ミクロンの線幅まで形
成できるようになっています。また、これまでに何十年という実績がありますの
で、新規材料への対応も現実味があります。一方、インクジェット印刷はスクリ
ーンのような治具類が必要ないので、パタンの変更が容易で多品種少量生産の分
野では有利になる可能性があります。しかし、装置の機構上、材料は極めて細い
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オレフィスを通過しなければならないので、インクジェットプロセスに対応させ
るためには、めんどうな条件出しが必要になります。場合によっては、インクジ
ェット印刷に対応させるために、他の主要特性を犠牲にしなければなりません。
インクジェット印刷のもう一つの問題は、装置が高価なことです。現在製造
ラインで使われているスクリーン印刷機と同等の自動化機能を付けようとすれば、
一桁高い値段になってしまいそうです。
一方、インクジェット印刷技術が有利な点も少なからずあります。装置メー
カーは、総花的にアピールするのではなく、技術の長所短所を明確にし、本当に
実力を発揮できる用途を探すべきでしょう。さもないと数年前にプリント基板業
界であったLDI騒ぎを繰り返してしまうことになりかねません。
沼倉研史
DKN リサーチ
今週のヘッドライン
2007年4月8日
1.
ゴールドサーキット(台湾の基板メーカー大手)4/2
2007年上半期は、2006年と同レベルの安定した受注を予測。
2.
SIA(米国半導体産業業界団体)4/2
2月の世界の半導体製品の出荷額は、1月に比べて6.5%減少の
215億ドルに。工場稼働率も下降傾向に。
3.
サムスン電子(韓国のエレクトロニクス最大手)4/2
中国の蘇州で建設中の半導体組み立て工場は、今年の第2四半期中に
量産を開始の予定。
4.
ディスプレイバンク(韓国の市場調査会社)4/2
プラズマディスプレイ市場は、今後最大手の松下、サムスンSDI、
LG電子の3社に集約されると予測。
5.
ホンハイ(台湾のEMS最大手)4/3
中国東北部に大規模なエレクトニクス生産基地を作るために10億ドルを
投資することで、中国政府と合意に。アップルなどの新規プロジェクトの
生産に充当。
6.
IDC(米国の市場調査会社)4/3
2006年の世界のデジタルカメラの市場は、前年比で14.5%成長で
1億6百万台に。
7.
Intercept Technology (米国の基板エンジニアリング会社)4/2
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プリント基板のレイアウト設計の効率化のプロジェクトのために、
ソフト会社の DesignAdvance 社と業務提携。
8.
フォックスコン(台湾のEMS最大手)4/3
チェコで7千万ドルを投資して、2番目の液晶組み立て工場を建設の計画。
5000人の従業員を新規に雇用。
9.
Soligie (米国のベンチャー企業)4/3
印刷エレクトロニクス技術の量産のために、ミネソタ州のマンケイト市に
最新鋭の製造設備を整備。
10.
Electronics Supply & Manufacturing (英国)4/3
2月の世界半導体低迷の要因の主体は米国と日本をのぞく
アジアメーカーと分析。日本とヨーロッパのメーカーは、相対的に良好。
11.
Frost & Sullivan (米国の市場調査会社)4/3
アジアパシフィック地域の携帯電話普及率は30.9%で、10億件を
越える契約数。これからも伸びる可能性を秘める。
12.
Infornetics Research (米国の市場調査会社)4/3
2006年における世界のIPTVの市場は150%増の
10億ドル規模に。2010年までには、さらに3倍に成長と予測。
13.
ITM Marketing (米国の技術調査会社)4/3
世界のウェーブはんだ付け技術と装置の動向の概要についての調査報告
を発行。
14.
UP Media Group (米国の技術出版社)4/3
ノースキャロライナ州ダーラム市において、10月21∼26日に PCB
Design Conference East 2007 を開催。発表論文を募集中。
15.
ベトナム 4/3
2006年のベトナムからのエレクトロニクス製品の輸出は24%増の
18億ドルに。2007年第1四半期は前年同期比で、16.9%増の
4億41百万ドルに。
16.
Energy s Argonne National Laboratory (米国)4/3
新しいタイプのフレキシブル・エレクトロニクス技術をイリノイ大学と
共同開発。人造筋肉などへの応用の可能性。
17.
Iteq (台湾の基板材料メーカー)4/4
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5月には需要が増大する一方で、銅箔などの原材料費が高騰しており、
5∼10%の値上げを予定。
18.
エルコテック(フィンランドのEMS大手)4/4
全社的な合理化の一環として、新製品の量産立ち上げを担当していた
Lohja 工場(従業員242人)を閉鎖へ。
19.
ソレクトロン(米国EMS大手)4/3
電子機器の保守修理などを担当するケンタッキー州 Louisvill 工場の
拡張を計画。新規に従業員700名を雇用へ。
20.
サンミナSCI(米国EMS大手)4/6
ニューヨーク州 Owego 市にある同社最後のプリント基板工場で
従業員100名をレイオフに。残った従業員は600名。
21.
E Ink (米国のベンチャー企業)4/6
十年に及ぶ応用開発の結果として、Eペーパーの量産が現実のものに。
(注)このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の
誤訳や数字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。
DKNリサーチ
栄泰産業株式会社
最近の興味深い文献から
Articles of DKN Research
1.
2006 Global Material Projection for Flex Circuit
October, 2006. http://www.dknresearch.com/Products.html
DKN Research,
2.「カーエレクトロニクス用プリント配線板入門ーフレキシブル基板」沼倉研史、
日刊工業新聞社、2006年6月発行、2400円
Introduction for the Printed Circuit Boards of Car Electronics,
Flexible Circuits , (Japanese only), Dominique Numakura, Nikkan Kogyo
Shinbun, June, 2006, 2400 yens.
3. 「先端実装インサイド、No.22.高密度実装への道(4)始めはどうだ
ったか、FDD、CDドライブ」沼倉研史、実装技術、2007年1月号
4
The latest semiconductor package, Part XXI, Teardown Analysis of FDD,
CD Drive , Dominique Numakura, Electronics Packaging Technology,
January, 2007
4.
Five Year Projection of the Global Flexible Circuit Market
Robert
Turunen, Dominique Numakura and James J. Hickman, The Board Authority,
Volume 7, August, 2006
5.「フレキシブル基板材料の技術動向と需要予測」沼倉研史、工業調査会、20
06年10月号
Technical Trends and Market Projection of the Materials for the
Flexible Circuits , (Japanese only) Dominique Numakura, Denshi Zairyo,
October, 2006
6.「最新ポリイミド材料と応用技術高機能フレキシブル基板と材
料̶」沼倉研史、シーエムシー出版、2006年8月
Leading Edge Material and Application of Polyimide (Materials for the
Advance Flexible Circuits) , Dominique Numakura, CMC publication,
August, 2006
7.
Business Trends and Technology Trends of the HDI Flexible Circuits
Roadmap for the Ultra High-Density Advanced Flexible Circuits ,
Dominique Numakura, KPCA, October 31, 2006
From the Major Industry Magazines
1.
Development and Challenges of PCB Mechanical Drilling
Jin Zheteng and Qu Jiangun, CircuiTree, March, 2007.
, Fu Lianyu,
2.
Effective Lean Six Sigma Development in a Global Environment
Harjinder Ladhar, Circuits Assembly, March, 2007.
3.
Surface Mount on Flex Circuitry
,
, Mark Finstad, SMT, March, 2007
4.
The PCB Design Outsource Proposition. Is outsourcing the right
solution for your company? , Joseph Zaccari, Printed Circuit Design &
Manufacturing, February, 2007.
5.
Socket Meet Future Technology Challenges, Part I
Advanced Packaging, March, 2007
5
, Gail Flower,
6.
From Chips to Systems via Packaging ‒ A Comparison of IBM s
Mainframe Servers , Hubert Harrer, George A. Katopis and Wiren Becker,
IEEE Circuits and Systems Magazine, 4th Quarter, 2006
7.
Under the Hood-Latest DESIGN GEMS Unearthed
Times and Techonline, December 2006
6
,
presented by EE