1314

Ⅰ
水稲
実況
5月中旬は日照時間や日射量は平年を上回ったが、気温は平年より低かった。5月下旬では気
温は平年並まで回復したが、降水量は平年よりかなり少なくなった。
6月に入り、高気圧に覆われ概ね晴れて気温は平年より高かったが、その後梅雨前線と低気圧
の影響で雨となった。新潟地方気象台は、9日に北陸地方は梅雨入りしたと見られると発表(平
年より3日早い)。6月中旬の前半は高気圧に覆われ概ね晴れたが、後半は梅雨前線や低気圧、
台風第4号の影響で曇りや雨の日が多かった。
第1表
5月中旬~6月中旬の気温、降水量、日照時間、日射量の平年比(福井)
平均気温
(℃)
平年差
(℃)
降水量
(㎜)
平年比
(%)
日照時間
(hour)
平年比
(%)
日射量
(MJ/㎡/日)
平年比
(%)
16.0
18.7
21.2
22.5
-1.3
-0.2
0.6
0.7
59.0
12.0
43.0
25.0
96
31
149
55
65.5
76.8
55.6
36.1
121
111
91
72
19.0
20.1
18.3
17.2
112
108
99
102
5月中旬
5月下旬
6月上旬
6月中旬
35
25
30
全天日射量(MJ/㎡/日)
15
10
5
25
20
15
10
5
平均気温(福井、5月~6月)
第2図
6/26
6/19
6/12
6/5
5/29
5/22
5/15
6/26
6/19
6/12
6/5
5/29
5/22
5/15
5/8
5/1
第1図
5/8
0
0
5/1
平均気温(℃)
20
日射量(福井、5月~6月)
(表の本年の値は6月21日まで、図中の本年の値は6月26日までのデータ)
1
移植栽培の生育
5月第3半旬の気温は平年より低く、降水量は多く、日照時間は短かった。しかし、その後
はおおむね平年並の気温で経過し、降水量は少なく、日照時間は長かった。その影響で、適期
田植えコシヒカリは順調に生育している。農試データでは茎数が平年より少し少ないが、県下
各地の生育基準圃のデータでは、ほぼ平年並である。
一方、早生のハナエチゼンは、5月第3半旬の気象条件の影響で、草丈はやや短く、茎数
もやや少なく経過している。この傾向は県下各地の生育基準圃も同様である。
第2表 農試 気象対策試験の生育状況(6月21日現在)
項目
品種名
移植日
(月/日)
草丈(cm)
茎数(本/株)
24 年
平年
比
24 年
平年
比
24 年
平年
比
24 年
平年
比
ハナエチゼン
5/2
47.4
48.3
98
29.6
30.6
97
10.0
10.1
-0.1
4.3
4.4
-0.1
87
103
86
94
88
8.2
7.5
9.6
9.7
10.0
8.7
8.1
9.9
10.1
10.2
-0.5
-0.6
-0.3
-0.3
-0.2
4.3
4.1
4.1
4.7
4.6
4.7
4.5
4.3
5.0
4.8
-0.4
-0.4
-0.2
-0.3
-0.2
コシヒカリ
5/21
37.6 40.2
93
20.8 23.8
直播コシ
5/14
33.5 38.4
87
625
607
イクヒカリ
5/2
47.3 45.6 104 28.3 32.8
あきさかり
5/2
46.2 44.8 103 32.5 34.3
日本晴
5/2
45.8 44.2 104 34.0 38.8
注コシヒカリの 5/21 植えの平年値は 5/17
○
直播コシヒカリの 5/14 は播種日、茎数は本/㎡
葉齢(枚)
葉色
適期田植えの生育は、地域や圃場、移植時期により生育に差があるが、全般的には茎数確
保は前年並になると思われる。溝切りの実施時期は全般的には遅めで6月中旬から下旬に
実施されている。それに伴い、中干しの開始時期も遅くなっている。
農試適期田植えコシヒカリ(6月21日)
2
茎数平均 20.8 本/株
湛水直播栽培の生育
5月全般としては、気温は平年よりやや低く、降水量は少なく、日照時間は長かった。その
影響で、直播コシヒカリの生育は全体では良好である。農試データでは、草丈は平年より短い
が茎数は多い。県下各地の生育基準圃のデータでは、草丈は平年よりやや長いが、茎数は平年
より少ない。ただし、草丈、茎数ともに昨年の値を上回っている。
湛水直播の中干しは、茎数が 300 本/㎡を超えたら開始し、最高茎数を抑制し、有効茎歩合の
向上を図ることとしているが、全体として中干し開始時期が遅れ気味となっているようである。
直播の稲姿は移植に比べ、同一暦日では小さく、また茎も細いことなどから株が小さく見える
ためか、管理作業が遅れてしまいがちである。さらに、茎の生長点の位置が移植栽培に比べて
浅く、中干しを開始しても茎数増加が止まらないことが多いため、過剰分げつになりやすい。
圃場ごとに生育量を確認して、中干し等を適切に実施することに留意すべきである。
農試直播コシヒカリ(6月21日)
3
茎数 625 本/㎡
病害虫発生状況
6月下旬に県内で3カ所、葉いもちの発生が確認されている。気象情報からいもち病の感染
好適条件かを判定するブラスタムでも6月中旬に数か所で感染好適条件が出現した。
病害虫防除室の6月下旬調査で、カメムシ類(すくいとり調査、草刈り調査)は、県下平均
では、平年に比べ少ないが前年並~多い。7月の気温は平年より高く、降水量は平年より少な
い見込みであることから、カメムシ類の今後の発生量に注意が必要である。
対策
気象予報では、これから1ヶ月は平年と同様に曇りや雨の日が多いと見込まれている。生育状
況や病害虫発生に注意し、栽培管理が後手にならないよう留意する。
1
適期田植えおよび直播コシヒカリ
1)幼穂形成期までの中干し継続、幼穂形成期以降の間断通水
これまでに溝切りと十分な中干しができなかった圃場では、できるだけ土を固める。中干し
を行い、土を固めることで、収穫直前までの
水管理が可能となる。中干しは幼穂形成期直前
まで継続する。ただし、中干し時にも圃場の状態をよく観察し、雨が続くときには排水は良好
か、無降雨が続くときには圃場のヒビ割れが過剰となっていないか、特にカラ梅雨のときは時々
通水して土が乾きすぎないように注意する。
幼穂形成期以降は間断通水とし、収穫直前まで、土や根に水分と空気を供給する。溝切りで
作った溝を活用し、円滑な水管理、圃場全体で均一な水管理に心がける。
直播の茎数は十分確保されている。葉色が濃く葉が垂れ気味で茎数が多い圃場も散見される
ので、茎数が多い圃場ではやや強めの中干しを継続して草姿の改善に努める。幼穂形成期以降
は、間断通水に努める。
2)穂肥(分施体系の場合)
穂肥1回目の目安
幼穂長
出穂前
10 ㎜
18 日
葉色
N施肥量(kg/10a)
1回目
2回目
(3回目)
3.5
2
2
(1)
穂肥1回目時期の草型が不良な場合(葉色が濃い、葉が垂れるなど)には時期を遅らせたり、
施肥量を減量する。幼穂形成期(幼穂長 2mm となったとき)に草丈、茎数、葉色を確認し、「穂
肥くん」を参考にして施肥量や施肥時期を決める。
礫質田、砂質乾田、浅耕土水田など肥持ちが悪く地力の乏しい水田では、全体の穂肥施用量
を窒素で1kg/10a 程度増やし3回に分施する(表の( )内)。もしくは,緩効性肥料の1回
施用で肥効の持続を図る。
穂肥2回目は穂肥1回目から 10 日後(3回施用の場合は1週間ごと)に施用する。
いずれの肥料も水がないと吸収されにくくなるので、土壌は常時湿り気をもたせておく。
3)基肥一括施肥の場合の管理
基肥一括肥料を側条施肥した場合、慣行の分施体系のものに比べ葉色が淡く経過することが
多い。しかし、穂肥時期を過ぎても十分な肥効が発現しない場合には、次の2点を確認する。
①
全量基肥施肥法における穂肥窒素相当分が4~5kg/10a 確保されているか?
②
水管理が適切に行われ、土壌の湿り気が維持されているか?
基肥一括施肥において施肥窒素量が少ないということは、基肥量が少ないだけでなく、穂肥
相当分も少ないので、登熟向上のため足りない分を追肥で補う。このとき、通常の穂肥第1回
目に相当する時期では下位節間の伸長による倒伏や籾数増による品質低下などが懸念されるの
で、穂肥第1回目と2回目の中間~穂肥第2回目頃に追肥する方が望ましい。
また、圃場が乾いていると、窒素の吸収が抑制されるので、圃場の土の湿り気にも注意する。
4)コシヒカリの倒伏軽減対策
適期田植えでは、幼穂形成期頃の葉色低下が小さく、濃いまま経過するものも多いので、注
意が必要である。幼穂形成期の葉色、草型、稲体の軟らかさなどを考慮して倒伏軽減剤の施用
を検討する。幼穂形成期に「草丈×茎数×葉色」の値が 16 万を超える場合、止葉から数えて上
位第3葉身長が 45cm を超える場合、など倒伏程度が大きくなると推測される場合は、倒伏軽減
剤を使用する。倒伏軽減剤の種類により、それぞれ処理すべき時期(発育段階)が異なるので
注意する。
また、直播において稲体が軟弱で茎数が過剰、葉が垂れ葉色が濃いなど稲姿が悪い場合は、
移植コシヒカリに準じ、倒伏軽減剤の使用を考える。幼穂形成期での「草丈×茎数×葉色」の
倒伏の危険が高まる値は移植のものよりも小さく、12 万を超えると危険性が高まる。
本年も、湛水直播栽培圃場で茎数の差が大きく、茎数が過剰となっているものがみられる。
直播水稲は、移植水稲に比べて稲体が軟弱で、茎が細いので、よりいっそうの注意が必要であ
る。
2
その他の品種
1)穂肥施用基準(分施体系の場合)
品種
穂肥1回目の目安
幼穂長
出穂前
葉色
N施肥量(kg/10a)
1回目
2回目
(3回目)
ハナエチゼン
1~2 ㎜
25 日
4.5
2
2
イクヒカリ
2㎜
23 日
4.0~4.3
2
2
(1)
あきさかり
2㎜
23 日
4.0
2
2
(1)
2)穂肥の施用
農試気象対策試験のハナエチゼンの幼穂形成期は平年で6月28日である。県内平坦地
においても6月第6半旬頃に幼穂形成期を迎えると想定される。現地では、早生品種でも
基肥一括施肥のものが多いが、分施の施肥体系栽培では幼穂形成期に穂肥を施用すること
としている。施肥量の基準は穂肥2回合計で窒素成分 4kg/10a 程度である。
イクヒカリの幼穂形成期はコシヒカリとほぼ同時期と思われる。第1回目穂肥は幼穂形
成期(幼穂長2mm)に施用する。基準施用量は、窒素成分で2kg/10a である。イクヒカリ
はコシヒカリよりも葉色が淡い性質の品種であるが、幼穂形成期以降は、コシヒカリより
も葉色を濃く維持する。幼穂形成期以降の葉色を濃く維持することで籾殻の肥大を促し、
開穎籾発生を抑制する効果も期待できる。穂後も止葉の葉色を濃くし、下葉の枯れ上がり
を少なくするよう、施肥や水管理に注意する。また、紋枯病が発生しやすいので、穂ばら
み期に必ず防除する。ニカメイチュウにも注意する。
あきさかりは、幼穂形成期直前までは中干しを継続し、それ以降は間断通水とする。幼
穂形成期はコシヒカリよりも5~7日程度遅いので、穂肥施肥時期は移植時期が同じコシ
ヒカリとほぼ同時期と思われる。第1回目穂肥は幼穂形成期(幼穂長2mm)に施用する。
基準施用量は、窒素成分で2kg/10a である。いもち病、紋枯病に注意する。
3
病害虫防除
1)いもち病
葉いもちの発生は、進展期は7月2半旬、発病最盛期は7月下旬、被害程度は少発、ただし
山間、山沿い、常発地では中発、発生は平年、前年並と予測されている。
早生・中生穂いもちの発生は、初発は8月1半旬頃、被害程度は少発、発生は平年より少な
く前年並と予測されている。
適期田植えや直播で稲体が軟弱なところ、常発地や生育旺盛で葉色の濃いところを中心に発
病に注意する。
今後、発病をみたら治療効果のある薬剤で防除する。また、早生品種や中生品種(移植時期
の早いもの)では7月中に出穂するものもあるが、出穂直前と穂揃直後の2回、DL 粉剤や液剤
で穂いもち防除を行う。
2)紋枯病
発生時期は、垂直進展初期は早生が平年並の7月3半旬、中晩生が7月5半旬、被害程度は
少発、発生量は前年並で平年よりやや少ないと予測されている。
紋枯病は、前年発生の多かった圃場では菌核が多い。そこでは、粒剤による防除を行う。高
温・多湿条件で病斑が進展するので発生に注意する。防除時期は穂ばらみ期を中心とする。特
にイクヒカリやあきさかりは必ず防除する。前年多発した圃場や、茎数の多い圃場を中心に注
意が必要である。
穂ばらみ期の発病株率が早生で 10%以上、中生で 20%以上ならば防除が必要となる。倒伏が
予想される圃場では、これより低くても防除する。薬剤の種類により防除時期が異なるので、
薬剤ごとの使用時期を守る。紋枯病は株の地際から進展するので、薬剤は株元の病斑に付着す
るように散布する。
3)カメムシ類
斑点米カメムシ類の成虫の本田侵入最盛期は7月5半旬(早生の出穂期頃)、被害程度は少
発、局中発、発生量は平年より多く前年より少ないと予測されている。
例年、早生品種で被害が多いが、梅雨明けが遅くなった年は、中生品種でも被害が多くなる
ことがあった。天候により活動が影響されるので、注意が必要である。
斑点米カメムシ類の密度を抑えるために、早生の出穂 10 日前までに圃場周辺の除草を行う。
また、大麦作跡圃場やそば作付予定圃場で雑草が繁茂している場合、カメムシの生息場所とな
る危険があるので、これらの圃場でも雑草対策を行う。7月上旬は幼虫期にあたり、草刈りに
よる耕種的防除法は、高い効果が期待できる。また、圃場内にヒエ等の雑草が多いと斑点米発
生も多いという調査結果がある。圃場内外の雑草防除に努めることが斑点米発生を抑制するこ
とにつながる。
出穂後には、粒剤や粉剤で防除する。粒剤は浅水状態で散布する。薬剤により散布時期が異
なるので、各薬剤の使用方法を守って散布する。
4)ニカメイチュウ
第1世代成虫発生最盛期は平年並の8月初め、第2世代幼虫加害初期は平年並の8月2半旬、
被害程度は少発、局多発、発生量は平年より多く前年並と予測されている。
発生量が多いところでは,第1世代成虫発生最盛期(平年並みの8月始め)から5日後まで
に粉剤や水和剤で防除する。直播や稲体の軟弱なもの、モチ品種を中心に発生が多くなりやす
いので注意する。
5)その他の害虫
イネツトムシは、第2世代幼虫加害最盛期は7月5半旬、被害程度は少発、局中発、発生量
は平年、前年より多いと予測されている。
イネアオムシは、第2世代幼虫加害初期は7月5半旬頃、被害程度は少発、局中発、平年よ
り多く、前年並と予測されている。過繁茂のものや葉色の濃いもので被害が大きくなるので注
意が必要である。
ツマグロヨコバイやセジロウンカの発生量は平年より少なく、前年並と予測されている。
病害虫対策については、各圃場での観察による発生状況や、県内の発生予察情報等、新しい
情報に注意し、早期発見・適期防除に心がける。
農薬使用にあたっては、使用時期・使用回数・使用量といった使用基準を遵守する。
畦畔草刈り実践デー
2回目
7月7日(土)、8日(日)
地域ぐるみの草刈りでカメムシの生育場所を減らしましょう。
大麦収穫後の雑草や麦株の隙間にカメムシがたくさん隠れています。
そばを作付予定の圃場でも、排水を考慮してごく浅く起こすなど、
今の時期に耕耘しておきましょう。
Ⅱ
麦、大豆等
実
1
況
大麦・・・収穫は平年より少し遅い。単収は昨年より良い。
平 年 よ り 3~ 5 日 遅 く 収 穫 が 始 ま っ た 。 奥 越 地 区 等 収 穫 期 の 遅 い 地 域 で 中 旬 の 降 雨 で 収
穫がやや遅れたことを除き、収穫は順調であった。穂数は十分だったものの穂長がやや短
く、単収は昨年より高いものの平年並み~やや低かった。品質は並みと見込まれる。
2
大 豆・・・平 年 よ り や や 遅 い も の の 播 種 は 概 ね 順 調 に 行 わ れ 、苗 立 ち も 良 好
大 麦 収 穫 に 引 き 続 き 大 豆 の 播 種 が 行 わ れ た 。大 部 分 の 地 域 で は 中 旬 の 降 雨 前 に 播 種 を 終
了させ、苗立ちもほぼ順調である。ごく一部では中旬の降雨の影響で播種が遅れたり、播
種を断念した地域もある。
本 年 よ り 、福 井 、坂 井 地 区 を 中 心 に 新 品 種「 里 の ほ ほ え み 」の 本 格 的 な 栽 培 が 始 ま っ て
いる。
3
気象・・・5 月下旬から 6 月半ばまでは概ね晴れ。
6 月 9 日 に 北 陸 地 方 梅 雨 入 り 。 19 日 、 台 風 第 4 号 の 影 響 で 降 雨
5 月下旬は、高気圧に覆われ概ね晴れた。平均気温は、勝山で平年より低いほかは、平
年並みであった。降水量は平年より少なく、大野、今庄、敦賀、美浜、小浜ではかなり少
なかった。日照時間は平年並みであった。
6 月上旬は、高気圧に覆われ概ね晴れたが、初めは上空の寒気の影響で曇り、終わりは
梅雨前線と低気圧の影響で雨となった。9 日、新潟地方気象台は「北陸地方は梅雨入りし
た と 見 ら れ ま す 。」と 発 表 し た 。平 均 気 温 は 越 廼 、今 庄 で 平 年 並 み の ほ か は 、平 年 よ り 高 か
った。降水量は、平年並みか平年より多かった。日照時間は、平年並みか平年より少なか
った。
6 月中旬は、前半は高気圧に覆われ概ね晴れたが、後半は梅雨前線や低気圧、台風第 4
号の影響で曇りや雨となった。平均気温は平年並みとなった。降水量は、嶺北では九頭竜
で平年よりかなり多かったほかは平年並みか平年より多くなったが、嶺南では美浜で平年
より多かったほかは平年よりかなり多くなった。日照時間は、今庄で平年よりかなり少な
かったほかは、平年より少なかった。
対
1
策
大豆・・・培土を確実に!
適切な病害虫防除、雑草対策を
(1)初期生育確保のためにしっかり排水対策を
排 水 不 良 に よ っ て 、根 の 張 り は 浅 く な る と と も
に、土壌通気性の低下を通して根粒菌の活性が低
下する。排水口が額縁明渠底面より高い場合は、
畦を切り、スムーズな排水に努める。
※耕うん畝立て同時播種を実施した圃場で
は、圃場周りの畝を数か所切って、額縁
明渠へのスムーズな排水を促す。
(2)生育量確保、雑草対策の決め手は中耕・培土
ア
中耕・培土
大豆の3葉期に1回目、5葉期に2回目を実施する。
<中耕・培土の効果>
①排水性改善ならびに土壌の通気性を高め、根粒活性が高まる。
②茎から不定根が発生し、養分吸収が高まる。
③除草。
※ 中 耕 ・培 土 の 実 施 時 期 が 遅 い 傾 向 に あ る 。 播 種 後 除 草 剤 に よ る 抑 草 効 果 が 約 3 週 間
で あ り 、 培 土 に よ る 不 定 根 が 発 生 す る ピ ー ク は 播 種 後 25~ 35 日 で あ る 。 培 土 の 遅
れによってそれらの効果は大きく低下するため、培土の適期実施は大豆の栽培安
定上、非常に重要である。
イ
培土後の枕地処理
圃 場 周 り の 枕 地 部 の 培 土 は 、額 縁 明 渠 へ の ス ム ー ズ な 排 水 を 妨 げ る 。し た が っ て 、培 土
後は、枕地の畝を数箇所切って、圃場排水性を高める。
※ 夏 期 の 大 豆 の 水 分 不 足 対 策 と し て 、畝 間 か ん 水 の 実 施 が 必 要 と な る 。こ の 場 合 、か
ん 水後 の 早 急 な排 水 が 非 常に 重 要 で あり 、枕 地 の畝 切 り に よる 圃 場 排 水性 改 善 は、
かん水対策としても重要である。
第1本葉
培土2回目は、
第1本葉節まで
培 土 1 回 目 は 、子
初生葉
葉節まで
子葉
1回目培土
ウ
2回目培土
培土時の追肥
初 期 の 排 水 不 良 や 晩 播 で 生 育 量 が 小 さ い 場 合 に は 、培 土 時 に 窒 素 で 5kg/10a 程 度 の 追 肥
をする。
(3)生育量、着莢確保、さらに青立ち回避のために、かん水(適正な土壌水分の確保)
大 豆 茎 葉 で 地 面 を 十 分 覆 っ て い な い 時 、夏 期 の 高 温 少 雨 条 件 下 で は 土 壌 が 乾 燥 し や す く 、
水分ストレスを受けての着莢不良、落莢や登熟不良が起こる。
<うね間かん水の仕方>
・無降雨期間が 7 日以上続き、溝面が白くなり始めたら、実施。
・短 時 間 で 水 を 圃 場 に 流 し 込 み 、圃 場 全 体 に 水 が 行 き 渡 っ た ら 、湿 害 回 避 の た め に 速
やかに排水。
・可 能 で あ れ ば 、地 温 の 低 い 夕 方 ま た は 早 朝 に 行 う 。排 水 溝 や 暗 渠 排 水 の 栓 を 閉 じ る 。
・枕 地 を 用 水 路 と 平 行 し て 培 土 し て い る 場 合 は 、そ こ で 水 が 停 滞 す る の で 適 当 に 畝 を
切って水の通路を確保する。水量が少ない場合は小面積ずつ区切ってかん水する。
・排水の悪い圃場では、うね間かん水を実施すると、湿害となるので実施しない。
(4)雑草対策
播 種 覆 土 後 の 除 草 剤 散 布 と 中 耕・ 培 土 に よ る 除 草 が 基 本 で あ る が 、生 育 期 に 雑 草 が 発 生
した場合は、草種に応じた除草剤を適期に散布する。
使用時期
茎 葉 処 理 イ ネ 科 3~ 5 葉 期
収 穫 60 日 前 ま で
茎 葉 処 理 イ ネ 科 3~ 10 葉 期
茎葉処理(イネ科を除く)
(雑 草 生 育 初 期 ~ 6 葉 期 )
雑草茎葉および土壌処理
( 雑 草 草 丈 15cm 以 下 )
除草剤名
ナブ乳剤
ワンサイド P 乳剤
ポルトフロアブル
収 穫 30 日 前 ま で
収 穫 45 日 前 ま で
大豆バサグラン液剤
※大豆 2 葉期~開花前まで
収 穫 30 日 目 ま で
ロロックス水和剤
※大豆 3 葉期以降
収 穫 28 日 前 ま で
バスタ液剤
畔間処理(雑草茎葉処理)
収穫 3 日前まで
プリグロックス L
※除草剤の使用に当たっては、農作物病害虫防除指針を遵守すること。
・ 大 豆 バ サ グ ラ ン 液 剤 は 、播 種 時 に ダ イ シ ス ト ン 粒 剤 を 使 用 し た 場 合 や 、あ や こ が ね を
作付した圃場では、薬害回避に向け使用しない。
・ 株 間 処 理 剤 (雑 草 茎 葉 お よ び 土 壌 散 布 )と し て 、 ロ ロ ッ ク ス 水 和 剤 が 使 用 可 能 。
・狭畦密植無培土栽培では、雑草多発による減収が毎年認められる。本栽培法では、大
豆 が 条 間 を 覆 う の が 早 い が 、排 水 対 策 が 不 十 分 な 場 合 等 に 大 豆 の 初 期 生 育 が 不 十 分 と な
る。この場合は、雑草が多発するので、除草剤を適切に使用すること。
(5)効率的な病虫害対策、それは適期に適切な病害虫防除
<ウコンノメイガ>
ウコンノメイガは山間、山沿いの圃場
や生育旺盛で葉色の濃い圃場で発生しや
す い 。圃 場 で「 葉 巻 き 」を 確 認 し た ら( 若
齢 幼 虫 期 (8 月 初 め ))、 早 急 に 防 除 す る 。
<紫斑病>
防 除 は 、 開 花 後 20 日 後 と そ の 10 日 後
( 開 花 30 日 後 ) の 2 回 行 う 。 チ オ フ ァ ネ
ートメチル剤の耐性菌が県内に広く分布
し てお り 、使 用薬 剤 に つ いて は 考 慮 する 。
巻いた葉の中にいる若令幼虫
※ 大 豆 の 開 花 期 : 全 株 数 の 40~ 50% が 開
花始に達した日。開花始とは初めて開花を認めた日をいう。
<シロイチモジマダラメイガ・カメムシ類・フタスジヒメハムシ>
紫斑病と組み合わせて適期防除に努める。朝夕風のない時間帯に、薬剤が莢に
充分付着するよう散布する。
・シロイチモジマダラメイガ:幼虫が莢に食入する前、大豆若莢期から莢新長期
の 8 月中旬以降。
・フタスジヒメハムシ:第 2 世代成虫の発生初期である 8 月中旬頃と発生盛期で
あ る 8 月 下 旬 頃 の 2 回 防 除 が 基 幹 。種 子 塗 沫 処 理 や 播 種 時 播 種 溝 処 理
を行っている場合には、8 月下旬の 1 回防除。
※
要防除水準:8 月下旬(第 2 世代成虫発生盛期)に払い落しを行い、
1.5m 、 2 条 当 た り 約 70 頭 以 上 の 場 合 に は 直 ち に 防 除 す る 。
・カメムシ類:圃場への侵入が多くなる子実肥大期(8 月下旬)以降。8 月下旬と
9 月 10 日 頃 の 2 回 防 除 す る と 効 果 が 高 い 。
※
要 防 除 水 準 : 8 月 下 旬 ( 圃 場 侵 入 期 ) は 100 個 体 当 た り 0.3 頭 、 9 月
中 旬 ( 発 生 盛 期 ) は 100 個 体 当 た り 4.0 頭 以 上 の 場 合 に は 防 除 す る 。
2
そば・・・今から準備を
(1)ほ場の準備。あらかじめ排水対策を。
梅 雨 期 の 降 雨 で ほ 場 の 土 壌 水 分 が 高 ま り 、そ ば の 播 種 ま で に ほ 場 が 十 分 乾 か な い こ と も
ある。ほ場条件を見ながら、周辺排水溝やほ場内排水溝等を早めに設置しておきたい。
Ⅲ
野菜
実
況
1
施設野菜
果菜類
(1) ト マ ト
2月中旬に定植された若狭地区では、4段果房が収穫中である。3月上旬定植の福
井 地 区 で は 、現 在 1 0 段 開 花 で 3 段 果 房 が 収 穫 中 で あ る 。早 い 所 で は 摘 芯 作 業 実 施 中
で あ る 。3 月 中 旬 定 植 の 南 越 地 区 で は 、現 在 3 ~ 4 段 果 房 が 収 穫 中 で あ る 。8 ~ 9 段
で摘芯している。全地区とも生育は良好である。灰色かび病少発、うどんこ病少発、
アザミウマ類少発、コナジラミ類微発である。
(2) ミ デ ィ ト マ ト
坂 井 地 区 の 樽 栽 培( 2 月 下 旬 定 植 )は 、8 ~ 9 段 開 花 で 6 月 3 日 か ら 収 穫 開 始 さ れ た 。
( 前 年 よ り 3 日 早 い )。 半 促 成 栽 培 ( 3 月 下 旬 定 植 、 福 井 ・ 坂 井 ・ 南 越 ・ 若 狭 地 区 ) は
8 ~ 9 段 開 花 期 、 1~ 2 段 果 房 が 収 穫 中 で あ る 。 草 勢 は や や 弱 め だ が 全 般 的 に 良 好 で あ
る 。4 月 中 旬 定 植 の 二 州 地 区 、奥 越 地 区 で は 、8 ~ 9 段 果 房 が 開 花 期 で 1 段 果 房 が 収 穫
開始である。一部で葉かび病微~少発、一部で灰色かび病局多発である。
(3) キ ュ ウ リ
2 月 上 旬 定 植 の 若 狭 地 区 で は 、側 枝 の 中 上 段 を 収 穫 中 で あ る 。ま た 、4 月 中 旬 定 植 が
側 枝 下 段 を 収 穫 中 で あ る 。3 月 上 旬 に 定 植 さ れ た 福 井 地 区 お よ び 3 月 下 旬 に 定 植 さ れ た
南 越 、丹 生 地 区 で は 側 枝 を 収 穫 中 で あ る 。4 月 中 旬 か ら 定 植 さ れ た 二 州 地 区 で は 、主 枝
上 段 、側 枝 を 収 穫 中 で あ る 。一 部 う ど ん こ 病 少 ~ 中 発 、一 部 で 灰 色 か び 病 少 発 、ア ザ ミ
ウマ類中発である。
(4) ハ ウ ス ス イ カ
北 部 丘 陵 地 で は 、 6 月 9 日 か ら 収 穫 開 始 さ れ た 。( 昨 年 よ り 2 ~ 3 日 早 い )
砂 丘 地 で は 、 6 月 1 0 日 か ら 収 穫 開 始 さ れ た 。( 昨 年 よ り 2 日 早 い ) 糖 度 は 1 1 ~ 1 2
度 で 食 味 、果 形 と も 良 好 で あ る 。一 部 で ア ブ ラ ム シ 類 少 ~ 局 多 発 、ハ ダ ニ 類 中 発 で あ る 。
(5) メ ロ ン
3月17日から定植されたプリンスメロンは、5月29日から出荷開始された。
アールスメロンは、坂井北部丘陵地、砂丘地では6月下旬からの出荷予定である。奥
越地区では4月上旬に定植されたものがネット形成終了時期となっている。生育は順
調である。丘陵地のアンデスメロンは、5月上旬から着果し玉の肥大も平年並みの生
育となっている。マルセイユメロンは坂井地区で6月3日から収穫開始された。鯖江
市では6月14日から収穫開始した。玉伸び、糖度とも良好である。ハダニ類、アブ
ラムシ類少~一部多発、つる枯れ病局少発、えそ斑点病少~中発である。
(6) イ チ ゴ
高 設 イ チ ゴ は 一 部 を 除 き ほ ぼ 終 了 し た 。う ど ん こ 病 少 ~ 中 発 、ハ ダ ニ 類 微 ~ 少 発 で あ
る。
(7) 一 寸 ソ ラ マ メ
坂井地区では6月中旬で収穫終了した。
葉根菜類
(1) 軟 弱 野 菜
福井地区のホウレンソウの生育は順調である。一部でケナガコナダニ微発である。
(2) コ カ ブ
砂丘地では収穫がほぼ終了した。
2
露地野菜
果菜類
(1) ピ ー マ ン
5 月 上 旬 に 定 植 し た 丹 生 地 区 で は 、一 部 活 着 が 遅 れ た と こ ろ も あ る も の の 生 育 は 順 調
である。収穫は7月からとなる見込である。
(2)キ ュ ウ リ
丹生地区では、6月中旬から順次定植が行われている。
(3) ス イ カ
4 月 上 中 旬 に 定 植 し た 丘 陵 地 で は 、6 月 3 日 ~ 1 0 日 開 花 で 着 果 も 良 好 と な っ て い る
が バ ラ つ き が 見 ら れ る 。砂 丘 地 で は 交 配 不 良 に よ る 一 部 変 形 果 も 見 ら れ る 。越 前 市 で は
4 月 下 旬 に 定 植 さ れ た も の が 、つ る 長 2 0 0 ㎝ 、本 葉 2 0 枚 で 6 月 2 0 日 か ら 着 果 始 め
である。ウリハムシ、アブラムシ類微発、ハダニ類少発である。
(4) カ ボ チ ャ
坂 井 地 区 で は 、5 月 末 以 降 の 着 果 が 良 好 で あ る が 、着 果 量 は や や 少 な い 。全 体 的 に 小
玉傾向である。丹生地区では5月上旬に定植され生育は順調である。
(5) ナ ス
4月下旬定植した奥越地区では、草丈80㎝で4~5番果開花、2~3番果収穫で
ある。5月中旬に定植され若狭地区では、生育が遅れていたが回復し草丈80㎝にな
っている。5月上中旬に定植した南越地区では、草丈60~70㎝、1~2番果が開
花になっている。アザミウマ類局少発、褐色円星病少発、うどんこ病微発、灰色かび
病一部少発、カメムシ類微発、アブラムシ類、ハモグリバエ類少発である。
(6) 一 寸 ソ ラ マ メ
坂 井 地 区 で は 5 月 3 0 日 に 収 穫 開 始 さ れ 6 月 1 5 日 に 終 了 し た 。若 狭 地 区 で は 5 月 2
7日に収穫開始され6月18日に終了した。
(7) ス ィ ー ト コ ー ン
永平寺町では4月下旬定植が草丈180㎝となっており、6月上旬に雄穂抽出始め、
中旬には雌穂の開花始めとなっている。
( 8) エ ダ マ メ
二 州 地 区 の エ ダ マ メ は 、4 月 下 旬 播 種 が 草 丈 3 5 ~ 4 5 ㎝ 、本 葉 3 ~ 4 枚 、開 花 始 め
となっている。
葉菜類
(1) ブ ロ ッ コ リ ー
3 月 下 旬 か ら 4 月 上 旬 に か け て 定 植 し た 福 井 地 区 で は 、6 月 上 旬 か ら 収 穫 が 始 ま っ て
お り 、6 月 下 旬 ま で 収 穫 さ れ る 予 定 で あ る 。4 月 上 旬 に か け て 定 植 し た 南 越 地 区 で は 5
月 下 旬 か ら 開 始 で 収 穫 終 期 に な っ て い る 。根 朽 病 少 発 、ア オ ム シ 少 発 で あ る 。4 月 下 旬
まで定植が続いた若狭地区では、6月中旬からの収穫開始となった。
(2) ネ ギ
奥越地区の越冬ネギは、6月18日で収穫終了した。
秋 冬 穫 り は 、丘 陵 地 で は 、4 月 中 旬 定 植 で 草 丈 5 0 ㎝ 、葉 鞘 径 が 1 0 ㎜ と な っ て い る 。
5月下旬からの少雨の影響で1~2週間遅れの生育となっている。奥越地区では4月
上旬定植で草丈60㎝、葉鞘径が18㎜となっている。5月下旬からの少雨の影響で
生育停滞が見られた。4月定植の福井地区では、草丈50㎝、葉鞘径が14㎜、若狭
地区では、草丈55~70㎝、葉鞘径が8~15㎜となっている。4月下旬~5月上
旬定植の二州地区では、生育の早い株で草丈45~45㎝、葉鞘径が12~14㎜と
なっている。順次土入れ追肥作業が行われている。一部でハモグリバエ類、アザミウ
マ類少発、ネキリムシ類微~局多発、さび病、べと病、白絹病微発である。
(3) キ ャ ベ ツ
1 0 月 下 旬 定 植 の 福 井 地 区 で は 収 穫 終 期 で あ る 。収 穫 球 は 全 体 的 に 小 玉 傾 向 と な っ て
い る 。1 1 月 中 旬 定 植 が 球 径 9 ~ 1 0 ㎝ と な っ て い る 。ア オ ム シ 、コ ナ ガ 中 発 で あ る 。
(4) シ ソ
福 井 市 木 田 地 区 で は 3 月 上 旬 播 種 が 、草 丈 5 6 ㎝ と な っ て お り 、6 月 2 3 日 か ら 収 穫
開始された。
根菜類
(1) ダ イ コ ン
砂丘地では、6月11日に収穫終了した。収量は例年より多かった。
(2) タ マ ネ ギ
永 平 寺 町 で は 、6 月 8 日 か ら 収 穫 開 始 し た 。6 月 2 5 日 ま で 生 玉 出 荷 さ れ る 。乾 燥 玉
出荷は 7 月下旬から予定されている。
(3) ニ ン ジ ン
砂丘地では3月下旬播種が収穫期となっており、6月下旬に試し掘りの予定である。
(4) ラ ッ キ ョ ウ
三年堀は6月11日から収穫開始した。品質は平年並みである。
(5) カ ン シ ョ
坂井地区では4月下旬から定植開始され、6月下旬でほぼ終了の見込みである。丹
生地区では、5月下旬から6月初旬にかけて定植された。
(6) サ ト イ モ
奥 越 地 区 で は 4 月 下 旬 定 植 が 主 茎 長 2 0 ~ 3 0 ㎝( 昨 年 3 0 ~ 4 0 ㎝ )で 、5 月 下 旬
からの少雨の影響もあり生育が遅れている。アブラムシ類微発である。
(7) ニ ン ニ ク
永 平 寺 町 で は 、6 月 1 3 日 か ら 収 穫 開 始 し た 。大 玉 傾 向 で あ る 。6 月 末 ま で 収 穫 さ れ
る予定である。
対
策
梅雨時期に入っており、排水対策を徹底するとともに、ハウス換気と整枝、摘葉等を行
って通風を良くし病害の発生予防と拡大防止に努めること。また、梅雨明け以降は晴れて
暑い日が多くなるので、盛夏期に向けて高温障害や干ばつ等に対する準備をしておく。
な お 、病 害 虫 の 発 生 が 多 く な る 季 節 を 迎 え 農 薬 に よ る 防 除 回 数 も 増 え て く る が 、農 薬 の
適正使用に努めること。
1
施設野菜
果菜類
(1) 抑 制 果 菜 類 の 育 苗
育 苗 は 通 風 の 良 い 所 に ハ ウ ス を 設 置 し 、ウ イ ル ス 病 予 防 の た め ハ ウ ス 開 口 部 に は 寒 冷
紗 で 被 覆 す る 。ま た 、高 温 、日 照 不 足 に よ る 徒 長 防 止 の た め 、保 水 性 の 良 い 床 土 を 用 い
か ん 水 量 が 過 剰 に な ら な い よ う に す る 。ま た 、換 気 を 十 分 に 行 う と と も に 、苗 ど う し が
過密にならないように生育に合わせ鉢間隔を広くしていく。
(2) ト マ ト
換 気 を 十 分 に 行 っ て ハ ウ ス 内 気 温 の 低 下 と 通 風 を 図 り 、葉 か び 病 、灰 色 か び 病 、う ど
ん こ 病 等 の 防 除 を 徹 底 す る 。さ ら に 、多 雨 に よ る 裂 果 防 止 の た め 、ハ ウ ス 周 囲 の 排 水 溝
の整備をしておく。
抑 制 ト マ ト の 圃 場 準 備 は 、過 繁 茂 や 心 止 ま り 症 状 が 発 生 し な い よ う 前 作 肥 料 の 残 効 を
考慮して適正な施肥量を決定する。
ト マ ト 黄 化 葉 巻 病 の 被 害 お よ び 蔓 延 を 防 ぐ た め 、媒 介 昆 虫 で あ る タ バ コ コ ナ ジ ラ ミ 防
除 を 行 う 。前 作 終 了 後 の 施 設 蒸 し 込 み 、健 全 苗 の 定 植 、防 虫 ネ ッ ト の 活 用 、防 除 の 徹 底 、
発 病 株 の 除 去 、黄 色 粘 着 板 等 を 活 用 す る 。詳 細 は 農 業 試 験 場 の ホ ー ム ペ ー ジ を 参 考 と す
る。
(3) キ ュ ウ リ
草 勢 が 低 下 す る と 曲 が り 果 や 尻 細 り 果 等 が 多 く な る の で 、着 果 量 を 考 慮 し な が ら 追 肥 、
か ん 水 を 行 う 。ま た 、親 づ る の 摘 葉 、子 づ る や 孫 づ る の 整 枝 等 を 行 っ て 日 当 た り や 通 風
を 良 く す る と と も に ハ ウ ス 換 気 を 十 分 に し て 、生 育 の 安 定 と 灰 色 か び 病 や べ と 病 の 予 防
に 努 め る 。な お 、摘 葉 は 1 度 に 多 く の 葉 を 摘 除 す る と 草 勢 を 低 下 さ せ る の で 、1 回 当 り
2枚程度とする。
(4) ミ デ ィ ト マ ト
糖 度 低 下 や 裂 果 を 防 ぐ た め 、ハ ウ ス 周 囲 の 排 水 溝 を 整 備 し て ハ ウ ス 内 へ の 侵 水 を 防 ぐ 。
た だ し 、過 度 の 乾 燥 は 草 勢 の 低 下 を 招 く た め 、土 壌 水 分( 畦 内 で の 土 の 湿 り 具 合 )を 確
認しながら水管理を行う。
また、軟化果の発生を防ぐため、ハウス換気(肩換気など)や遮光を行って果実温
を 下 げ る と と も に 、適 期 収 穫 の 徹 底 を 図 る 。さ ら に 、葉 か び 病 、オ ン シ ツ コ ナ ジ ラ ミ 、
ミカンキイロアザミウマ等の防除を徹底する。
抑 制 栽 培 で は 、高 温 期 間 の 植 付 け に な る が 、定 植 し た 苗 の 活 着 遅 れ や 極 端 な 萎 れ は 落
花 や 上 段 の 花 数 減 少 の 原 因 と な る の で 、植 付 け 前 に 十 分 か ん 水 し 、土 壌 水 分 の 確 保 と 適
切 な 遮 光 に よ る 植 物 体 温 の 低 下 を 図 る 。特 に 、プ ラ グ 苗 に よ る 定 植 で は 、過 度 の か ん 水
で 上 根 中 心 の 草 姿 と な り や す い た め 、活 着 ま で は 、根 が 地 下 部 に い き わ た る よ う 手 か ん
水等こまめなかん水管理を実施する。
トマト黄化葉巻病対策については、トマトの対応を参考とする。
(5) 抑 制 ネ ッ ト メ ロ ン
活 着 の 促 進 や 高 温 期 間 の 草 勢 確 保 の た め 、 2.5 葉 期 程 度 の 若 苗 を 植 え 付 け る 。 ま た 、
高 温 に よ る 定 植 時 の 萎 れ や 活 着 不 良 を 防 ぐ た め 、温 度 の 下 が っ た 夕 方 や 曇 天 日 に 植 え 付
け を 行 う 。さ ら に 、ウ イ ル ス 病 予 防 の た め 、ハ ウ ス の 出 入 り 口 や サ イ ド に 寒 冷 紗 を 張 っ
て、アブラムシの侵入を防ぐ。
(6) イ チ ゴ
ランナーが出始めたらランナーが込み合わないように配置する。
必 要 苗 数 が 確 保 で き た 時 点 で 、ラ ン ナ ー の 摘 心 を 行 う 。7 月 下 旬 か ら 8 月 上 旬 に か け
て 、 本 圃 に 使 用 す る 市 販 の 培 土 を 9 cm ポ リ ポ ッ ト に 詰 め て 、 苗 を 受 け て い く 。 必 要 苗
数( 8,500 株 /10a)が 確 保 で き た ら ラ ン ナ ー を 切 り 離 し 、苗 が 徒 長 し な い よ う 15 ㎝ 間
隔で苗を広げて養成する。
ダニやアブラムシ・うどんこ病などは、育苗期間中に防除を行い定植(本圃)以降
の被害の拡大を軽減させる。散布にあたっては、薬剤による抵抗性が出ないよう注意
する。
葉菜類
(1) ホ ウ レ ン ソ ウ
高温期に播種するものでは立枯病や萎凋病等の発生が多くなるので土壌消毒を行う
と と も に 、播 種 時 に 十 分 か ん 水 し た 後 は 4 葉 期 頃 ま で で き る だ け か ん 水 を 控 え る 。ま た 、
土 壌 の 高 温 や 乾 燥 に よ っ て 発 芽 が 不 安 定 に な り や す い の で 、黒 寒 冷 紗 で 遮 光 を 行 っ て 地
温 を 下 げ 、土 壌 水 分 を 安 定 さ せ る 。な お 、高 温 に よ っ て 徒 長 し や す い の で 薄 播 き す る と
ともに、生育期間が早く収穫適期日数が短くなるので段播きを徹底する。
(2) コ マ ツ ナ
ハウス出入り口やサイドに寒冷紗を張り、コナガ、アオムシ等の侵入を防ぐ。また、
薄 播 き 、段 播 き を 徹 底 す る 。キ ス ジ ノ ミ ハ ム シ の 侵 入 を 防 ぐ た め に は 、0.8mm 目 合 い の
ネットを使用する。
2
露地野菜
果菜類
(1) ス イ カ
圃 場 排 水 を 良 く し て 根 の 衰 弱 を 防 ぐ と と も に 、つ る 枯 病 、炭 そ 病 等 の 防 除 を 徹 底 し て
健 全 な 葉 を 確 保 す る 。ま た 、草 勢 低 下 が 大 き い 場 合 は 梅 雨 明 け 後 の 日 焼 け 果 防 止 の た め
果実に日よけをする。
(2) ナ ス 、 ピ ー マ ン
圃 場 排 水 を 良 く し て 根 の 衰 弱 を 防 ぐ と と も に 、収 穫 に 見 合 っ た 追 肥 を 行 っ て 草 勢 の 維
持 と 果 実 品 質 の 向 上 に 努 め る 。ま た 、梅 雨 明 け 後 は 敷 き わ ら を 行 っ て 畝 の 水 分 保 持 と 地
温 低 下 を 図 る と と も に 、か ん 水 を 適 宜 行 っ て 畦 間( 通 路 )が 常 に 湿 っ て い る 程 度 の 土 壌
水 分 を 確 保 し 、日 焼 け 果 等 の 発 生 を 防 止 す る 。ま た 、誘 引 、整 枝 を 徹 底 し て 草 勢 を 安 定
させるとともに、ヨトウムシ、アブラムシ等の薬剤防除を行う。
なお、ナスでは長花柱花と中花柱花が混在し、果実のヘタ下部が2~3段に着色し、
開花上下の茎の長さがほぼ同じであれば、概ね適当な草勢と判断できる。
(3) キ ュ ウ リ
収 穫 量 の 増 加 に 合 っ た 追 肥 を 行 い 、過 度 な 摘 葉 を 避 け て 草 勢 低 下 を 防 ぐ 。ま た 、込 み
合 っ た と こ ろ の 摘 葉 を 行 っ て べ と 病 等 の 予 防 散 布 を 徹 底 す る 。な お 、曲 が り 果 、尻 細 り
果 、花 落 ち 部 の 丸 く な っ た 果 実 等 が 増 加 し て き た と き は 草 勢 が 低 下 し て い る の で 追 肥 が
遅れないよう注意する。
葉菜類
(1) ネ ギ
圃場排水を良くするとともに、軟腐病防除に努める。
(2) 夏 ま き キ ャ ベ ツ 、 ブ ロ ッ コ リ ー の 育 苗
ペ ー パ ー ポ ッ ト ( 72 穴 ) や セ ル ト レ イ ( 128 穴 : 高 温 時 は 72 穴 ) を 利 用 し 、 市 販 培
土 を 用 い て 行 い 、播 種 か ら 20~ 25 日 で 2.0~ 2.5 葉 期 の 苗 に す る 。育 苗 場 所 は 高 温 に よ
る 徒 長 防 止 の た め 通 風 の 良 い と こ ろ を 選 び 、雨 よ け お よ び 遮 光 が で き る よ う に ハ ウ ス ま
たはトンネルで育苗する。
ま た 、発 芽 を 揃 え る た め 、発 芽 ま で は 床 土 が 乾 か な い よ う に 新 聞 紙 等 を べ た が け し て
お き 、7 割 程 度 発 芽 が 始 ま っ た ら 夕 方 新 聞 紙 等 を 取 り 除 く 。な お 、苗 の 徒 長 を 防 ぐ た め
に は 、過 剰 な か ん 水 を 防 ぐ と と も に 、市 販 培 土 は や や 肥 料 分 の 少 な い も の を 選 ん で 育 苗
後半に1~2回追肥を行う方が良い。
いも類
(1) サ ト イ モ
7 月 上 旬 に 追 肥 、土 寄 せ を 行 う 。土 寄 せ が 遅 れ る と 根 を 傷 め 、生 育 を 停 滞 さ せ る の で 、
遅 れ な い よ う に す る 。ま た 、孫 い も 着 生 期 と な り 土 壌 水 分 の 必 要 な 時 期 に な る が 、梅 雨
明 け 後 は 圃 場 が 乾 き や す い の で 、畝 間 か ん 水 を 行 う 。た だ し 、日 中 湛 水 状 態 に な ら な い
ようにする。
Ⅳ
花き
実況
1 キ
ク
坂 井 で は 、 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク の 草 丈 が 27~ 39( 昨 年 48~ 77 cm) で あ る 。 病 害 虫 は ア
ブ ラ ム シ 類 少 発 、 カ ス ミ カ メ ム シ 類 多 発 で あ る (調 査 日 24 年 6 月 19 日 、 昨 年 は 6 月 24 日
調 査 )。
奥 越 で は 、 秋 植 え 夏 ギ ク が 、 6 月 8 日 ( 昨 年 は 18 日 ) か ら 共 選 出 荷 さ れ た 。 6 月 20 日
調 査( 昨 年 は 27 日 調 査 )で 、無 摘 心 の「 と び 丸 」で 102cm( 蕾 8mm)
( 90cm( 蕾 2mm))、
「玉
姫 」 で 92cm( 収 穫 始 め )( 88cm( 収 穫 始 め )) で あ る 。「 シ ュ ー ペ ガ サ ス 」 93cm 蕾 径 3mm で
あ る 。 病 害 虫 の 発 生 は 、 カ ス ミ カ メ ム シ 類 が 全 域 で 少 発 生 (写 真 1)。 白 さ び 病 が 一 部 地 域
と品種で微発生。黒さび病は見られない。
福 井 の 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク の 草 丈 (6 月 13 日 調 査 )は 、 福 井 南 部 で 「 恋 心 」 50cm(前 年 6
月 14 日 調 査 56cm)、「 小 鈴 」 45cm(前 年 48cm)、「 花 絵 」 60cm(前 年 70cm)で あ る 。 福 井 北 部
の「 小 鈴 」45(45)cm、「 花 絵 」60(65)cm、「 み の る 」51(54)cm、
「 小 雨 」60(65)cm で あ る (6 月 25 日 調 査( 昨 年 6 月 17 日 調
査 ) )。
病害虫では、福井市ではカメムシ、ダニ、アブラムシ、
スリップス類、白サビ病の発生が見られ、特にアブラムシ
類の発生が目立つ。
永 平 寺 で は「 夕 霧 」48cm
(一部発蕾(
) 57cm( 蕾 2mm 程 度 ))、
「 精 雲 」42cm
( 51cm( 部 分 的 に 発 蕾 ))、「 山 手 白 」25cm
( 43cm)、
写真 1
コアオカスミカメムシ
「 ス ー パ ー イ エ ロ ー 」 47cm( 一 部 発 蕾 )( 54cm( 蕾 9mm))、
ア ブ ラ ム シ 類 小 発 生 、 カ ス ミ カ メ ム シ 類 の 被 害 が 見 ら れ る ( 6 月 20 日 調 査 、 昨 年 は 6 月
23 日 調 査 )。
越 前 町 で は (6 月 15 日 調 査 )、春 植 え 8 月 咲 き で「 花 絵 」55cm、「 水 草 」53cm、「 小 鈴 」47cm(前
年 68cm6 月 17 日 調 査 )、「 翁 丸 」40cm(前 年 48cm)で あ る 。4 月 の 植 え 痛 み か ら 生 育 回 復 し て
いる。病害虫は、カメムシ、アブラムシ、ダニ、ハモグリバエ、白サビ病がみられる。
越 前 市 で は (6 月 18 日 調 査 )、 中 輪 の 「 岩 の 白 扇 」 65cm(前 年 56cm 6 月 14 日 調 査 )「 サ ン
ラ イ ム 」65cm(前 年 58cm)、春 植 え 8 月 咲 き で「 恋 心 」64cm(前 年 56cm)、「 小 鈴 」64cm(前 年
48cm)、「 は じ め 」60cm(前 年 45cm)で あ る 。中 輪 ギ ク は 生 育 良 好 、小 ギ ク は 前 年 よ り 良 い 物
が多い。病害虫は、アブラムシ、ダニ、ハモグリバエ、白サビ病がみられる。
二 州 の 春 植 え 8 月 咲 き 小 ギ ク の 草 丈 は 6 月 26 日 調 査 ( H23.6.21) で 「 山 手 白 」 50cm
( 50.3cm)、「 小 鈴 」63cm( 54cm)、「 広 島 紅 」66cm( 55cm)、「 舞 子 」79cm( ― cm)、「 と も こ 」
68cm( ― cm)で あ っ た( 敦 賀 市 )。病 害 虫 で は 白 さ び 病 が 中 発 生 で あ る 。カ メ ム シ 類 に よ る
心止まり症状と葉の吸汁痕もみられた。
若 狭 の 秋 植 え 夏 小 ギ ク は 、 6 月 15 日 に 調 査 ( H23.6.20
ほ ぼ 終 了 ) で 「 は じ め 」 89cm
色 づ き 始 め 、「 と び 丸 」 83cm 蕾 径 3~ 5mm( 小 浜 市 )。 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク は 、 6 月 15 日 調
査( H23.6.20)で「 翁 丸 」38cm( 56cm)、「 さ き か ぜ 」45cm( 56cm)、「 く れ な い 」32cm( 44cm)
で あ っ た 。 カ メ ム シ 類 に よ る 心 止 ま り 症 状 と 葉 の 吸 汁 痕 が み ら れ る (小 浜 市 )。
2 ユ
リ
奥 越 の シ ン テ ッ ポ ウ ユ リ で は 、「 オ ー ガ ス タ 」の 4 月 定 植 実 生 苗 が 、24 年 6 月 20 日 調 査
( 昨 年 は 27 日 調 査 )の 露 地 栽 培 で 草 丈 23cm( 10cm)、葉 数 13 枚( 12 枚 )、で 抽 台 を 開 始 し
ている。
福 井 市 の 福 井 ユ リ「 リ リ ブ ラ イ ト レ ッ ド 」(6 月 11 日 調 査 )は 草 丈 110cm で 収 穫 後 期 で あ
る 。福 井 ユ リ は 4 月 26 日 か ら 出 荷 さ れ た 。本 年 の 出 荷 は「 ブ ラ イ ト レ ッ ド 」、「 レ モ ン イ エ
ロ ー 」「 ラ イ ト ピ ン ク 」の 順 に 行 わ れ 、6 月 下 旬 ま で 出 荷 が 続 い た 。市 場 出 荷 は 約 1.2 万 本 。
特に「レモンイエロー」は生育のバラツキが見られ、収穫できない個体もあった。
3 スイセン
ス イ セ ン 球 根 の 改 植 、 花 咲 か そ う 運 動 は 6 月 中 に 4 回 に 実 施 さ れ 、 約 190 名 の 方 に 参 加
い た だ き 、約 5 a の 圃 場 を 改 植 し た 。促 成 栽 培 の 高 温 処 理 は 、6 月 18 日 よ り 開 始 さ れ 、平
坦地で栽培を行っている生産者が出荷時期の拡大を目的に導入。養成球根の掘り上げは 6
月上旬から開始された。
4 トルコギキョウ
坂 井 11 月 に 定 植 さ れ た ピ ッ コ ロ ー サ ブ ル ー が 89cm で 収 穫 始 め 、 ニ ュ ー リ ネ ー シ ョ ン ア
プ リ コ ッ ト が 77cm で 収 穫 始 め 。葉 先 枯 れ は 微 発 。抑 制 栽 培 の 2 度 切 り 栽 培 の レ イ ナ ホ ワ イ
ト は 80cm で 1 番 花 の 蕾 長 は 3cm で 来 月 の 収 穫 が 見 込 ま れ る ( 6 月 19 日 調 査 )。
大 野 市 で は 、 2 月 1415 日 に 播 種 さ れ 、、 4 月 下 旬 に 定 植 さ れ た も の の 草 丈 と 葉 数 は ロ ジ
ー ナ ブ ル ー 8 対 葉 、 草 丈 21cm、 ロ ジ ー ナ グ リ ー ン 10 対 葉 、 草 丈 20cm、 ロ ジ ー ナ ス ノ ー 8
対 葉 、草 丈 16cm、ロ ジ ー ナ 3 型 ピ ン ク 8 対 葉 、草 丈 15cm と な っ て い る( 6 月 20 日 調 査 )。
南 越 で は「 ア ク ロ ポ リ ス 」、「 ロ ジ ー ナ 」、「 北 斗 星 」の 二 度 切 り 栽 培 は 草 丈 93cm(70cm)で
あ る ( 6 月 15 日 調 査 ) (前 年 6 月 17 日 調 査 )。
二 州 で は 、 4 月 中 旬 定 植 の ト ル コ ギ キ ョ ウ は 6 月 26 日 調 査 で 「 カ ッ プ ル ピ ン ク 」 40cm、
「 プ ラ チ ナ バ イ オ レ ッ ト 」44cm、「 サ マ ー ス モ ー ル キ ン グ 」33cm で あ る 。美 浜 町 で は 6 月 1
日 ま で に 「 ニ ュ ー リ ネ ー シ ョ ン シ リ ー ズ 」、「 ロ ジ ー ナ シ リ ー ズ 」 な ど の 品 種 の 定 植 を 行 っ
た。
若 狭 で は 「 ロ ジ ー ナ 」「 キ ュ ー ト 」 な ど の 品 種 が 栽 培 さ れ て い る (小 浜 市 、 若 狭 町 )。
5 その他
福 井 の ヒ マ ワ リ は 3 月 下 旬 播 種 の 作 型 が 140cm で 収 穫 中 (6 月 19 日 調 査 )。
永 平 寺 の 5 月 初 旬 に 直 播 さ れ た ヒ マ ワ リ 「 ビ ン セ ン ト オ レ ン ジ 」、「 ビ ン セ ン ト ク リ ア オ
レ ン ジ 」 は 草 丈 135cm、 蕾 径 1.5cm で あ る ( 6 月 20 日 調 査 )。
鯖 江 (6 月 15 日 調 査 )の 4 月 上 旬 に 播 種 し た ヒ マ ワ リ は 、6 月 上 旬 で 出 荷 終 了 。4 月 20 日
播 種 の 、「 サ ン リ ッ チ パ イ ン 45」「 サ ン リ ッ チ レ モ ン 」は 、草 丈 130cm、蕾 径 3 cm、「 サ ン リ
ッ チ オ レ ン ジ 」で 草 丈 128cm、蕾 径 2cm で あ る 。6 月 下 旬 に 出 荷 終 了 。ハ ダ ニ 小 発 生 。丹 生
で は 、 ベ ロ ニ カ が 200 本 出 荷 さ れ た 。
対策
1
梅雨期の圃場排水の徹底
梅雨期の長雨により、地表水が停滞すると根の障害が発生する。そこで、畝の再整備
を実施し、冠水しやすい圃場で栽培している場合は、畝溝とこれに交わる集水溝、排水
路の溝さらえや清掃、除草を十分に行う。
2
梅雨期の病害虫防除の徹底
1)キク黒さび病
梅雨期の湿潤な季節に多発する。白さび病と異なり、比較的高温でも発生が続くた
め断続的に発生が続く。日当たり、風通し、排水をよくする。病葉は見つけ次第摘除
する。治療剤としてはマネージ乳剤しか登録されていないため、予防剤として有機硫
黄系剤(兼商ステンレス、ジマンダイセン水和剤、エムダイファー水和剤)の散布を
励行する。
2)キク黒斑病・褐斑病
発 生 の 初 期 は 、降 雨 と の 関 係 が 強 く 、摘 心 後 に 降 雨 が 多 い 場 合 に 、発 生 は 早 く な る 。
降雨による下葉への跳ね上がりにより下葉への感染がおきるため、例年被害が多い品
種は、梅雨前に下葉かきを行う。病葉は、二次感染を防ぐために、見つけ次第摘除す
る 。生 育 初 期 に ダ コ ニ ー ル 1000 や ベ ン レ ー ト 水 和 剤 の 散 布 を 行 う 。発 病 初 期 に は ス ト
ロビーフロアブルの散布を行う。
3)ハダニ類
梅雨明け後の乾燥する夏場に発生が多くなるので、梅雨の期間中に1回と梅雨明け
前に1回散布すると効果がある。薬剤は抵抗性ハダニの発生を避けるため、系統の異
なるハダニ剤を使用する。生育密度が低い時点で殺卵効果のある薬剤を散布する。圃
場の周辺の除草を行い、圃場内への侵入と繁殖を抑制する。特に、下葉の裏に十分薬
液がかかるよう、斜め上向きに噴口をむけ、積極的にかけるようにする。
4)カスミカメムシ類
秋植えの6月咲きギク等の未収穫株が発生源となるので、圃場内に花を残さない。
越冬世代の成虫の発生が6月上旬、次の世代の成虫発生が7月下旬頃と想定(大野市
ア メ ダ ス 6 月 19 日 ま で の 実 測 値 と 以 降 は 平 年 値 よ り )さ れ る の で 、羽 の な い 幼 虫 が 多
くを占めると思われる7月上旬に防除を行う。
特に蕾や花に成幼虫が集中するので、蕾や花がついたものは注意する。
防 除 薬 剤 は ス ミ チ オ ン 乳 剤 か ダ ン ト ツ 水 溶 剤( ベ ニ カ 水 溶 剤 )、ス タ ー ク ル 顆 粒 水 溶
剤(アルバリン顆粒水溶剤、アントム顆粒水溶剤)がカメムシ類に登録がある。
3
夏秋ギクの品質向上対策
1)追 肥
止め肥施用後、降雨が多い年では、生育後半に肥料が切れる場合がある。葉色が落
ちた場合は、速効性の化成肥料を少量施用する。ただし窒素肥料が効きすぎると白さ
び病、花腐れ病が発生しやすくなるのでやりすぎない。
2)下葉かき
薬剤散布しても地際部の葉裏には十分に薬液がかからないので、病害に侵されてい
る場合は、感染源として残りやすい。風通しをよくして、ムレを防ぐとともに、病害
の下葉からの伝染を防ぐため、全体長の5分の1程度の下葉を除去する。除去した葉
は圃場に放置しないで、圃場の外へ搬出する。
3)開花促進方法
ジベレリンの水溶液を散布することで、キクの開花が促進される。花首がのびやす
い品種には用いない。登録された使用方法を守る。
剤
名
対 象
使 用 濃
使 用 時
使用方法及び注意事項
作 物
度
期
ジベレリン水溶剤
キ
ク
25~ 生 育 期 茎 葉 散 布 、使 用 回 数 2 回
ジベレリン液剤
100ppm
以内。
4
スイセンの管理
1)促成栽培の球根管理
高温処理、くん煙処理後はできるだけ涼しい納屋などで保管する。乾腐病等の病害
が発生している球根は適時取り除く。
2)促成栽培の定植後の管理
発根と発芽を促すためスプリンクラーやかん水チューブなどによる散水を行うとと
もに遮熱ネット等で遮光し、地温・気温を極力低下させる。
5
ストックの播種と育苗
1)播種
平 坦 地 で 7 月 下 旬 播 種 を 目 安 に 準 備 を 進 め る 。発 芽 適 温 は 20~ 25℃ の 涼 温 を 好 む た
め、酷暑期は発芽が悪くなる場合がある。特にアイアンシリーズは発芽が悪くなる。
2)八重鑑別
八重率を高めるため、必要な苗数の3倍量程度の種子数を播種する。セル成型トレ
イに播種する場合、2~3回鑑別する。第1回目は、播種7~8日後に発芽が遅れた
ラッパ型の奇形葉を抜く。2回目は淡い葉色で子葉が長く、大きいものを残す。最後
の3回目は生育不良株を除去して植えないでおく。
3)播種用土
清潔で粒子の細かく揃ったものを準備し、覆土は発芽を揃えるため均一な厚さにす
る。用土中の肥料分が少なくすると八重鑑別がしやすくなり、葉色が薄くなる。鑑別
の当日はかん水を控えめにする。
4)播種後の管理
雨よけ下で行い、高温対策のためにハウスの屋根の外側に遮熱ネット等を張る。育
苗箱はベンチ等の上に置き風通しを良くし、かん水は地温の低い早朝に行う。
5)ストックの苗立枯病と苗腐病
立 枯 れ 性 病 害 が 発 生 し た 場 合 は 、被 害 株 を 抜 き 取 り 、病 原 菌 を 調 べ る 。苗 立 枯 病( リ
ゾクトニア菌)では、発病株を引っ張ると、地際からちぎれるが、苗腐病(ピシウム
菌)の場合は、引っ張ってもちぎれずに根がついてくる。
6)直播栽培
播種時の地表面の温度を極力下げるため、70~80%の遮光資材を施設の屋根に
かけて、風通しを良くして地温の低下に努める。播種後は土を乾かさないように絶え
ず か ん 水 し 、 苗 の 徒 長 防 止 の た め 、 発 芽 し た ら 、 遮 光 資 材 を 5~ 7 日 以 内 に 取 り 除 く 。
6
ハボタンの播種
1)7月上中旬にセル成型トレイ200穴やペーパーポットを用いて、播種する。高温
期の播種では、遮光30%程度で行うが、徒長しやすいため、かん水は必ず午前中
に行ったり、遮光ネットをこまめに開閉する。
2)切り花の場合、播種14日、本葉2枚程度の若苗で定植を行うと草丈が伸びる。
直 播 は 、 1 2 ~ 1 5 cm ネ ッ ト に 2 粒 落 と す 。
3)鉢物ハボタンの場合、子葉展開後に、ビーナイン水溶剤200倍液を茎葉散布する
と節間の伸長抑制ができる。
鉢物ハボタン
剤
名
対 象 作 物
使用濃度
使 用 時 期
使用方法及び注意事項
ビーナイン水溶 鉢 物 ハ ボ タ ン
200~ 400 子 葉 展 開 後 茎 葉 散 布 50 ~ 150 ℓ
剤 80
( 施 設 栽 培 )
倍
/10a、 使 用 回 数 2 回 。
Ⅴ
果樹
実
況
1
ウメ
(1) 生育状況
(園芸試験場)
「紅サシ」の累積生理落果数は、平年の半分程度の着果量だった2010年並であり、生理落果はかなり少
なく推移している(図1)。胚固化完了期は6月6日頃と平年より6日遅かった(表1)。6月18日現在の果実
重は24.9gであり、果実は平年より大玉傾向で推移している(図2)。果実内部の樹脂障害果は、水田転
換畑、畑地ともに6月4日から発生がみられた。
40
4000
3500
2010年
35
3000
2011年
30
2500
平年値
2010年
2011年
2012年
25
2000
2012年
j
・
i・ 20
d・
・
ハ
・ 15
1500
1000
500
10
0
4/30
5/10
図1
5/20
5/30
6/9
6/19
5
0
4/16
紅サシの累積生理落果数
5/1
5/16
5/31
6/15
6/30
図2 紅サシの年度別果実肥大
※果重(M)は果実横径(w)の測定値から
計算式{M = p ・w3 /5.88}を用いて算出した
表1.紅サシの年度別発育ステージ
年度
短果枝花芽 完全花率 結実率
(個/㎝) (%) (%)
開花期(月/日)
硬核期(月/日)
胚固化期(月/日)
始期
盛期
終期
開花日数
(日)
始期
完了期
始期
完了期
1.97
1.98
78.7
80.7
57.8
75.7
3/11
2/13
3/26
2/26
4/4
3/7
25
24
5/8
5/1
5/12
5/11
5/22
5/14
6/12
5/31
(H.21)
0.81
1.81
70.9
82.8
66.8
39.3
3/2
2/4
3/17
2/23
3/26
3/11
25
37
4/30
4/28
5/12
5/10
5/16
5/15
6/2
5/29
(H.22)
(H.23)
1.13
1.65
79.3
85.7
43.8
71.1
2/25
2/26
3/6
3/19
3/19
4/1
24
36
4/30
5/6
5/15
5/16
5/24
5/23
6/5
6/7
2006
2007
(H.18)
2008
2009
(H.20)
2010
2011
(H.19)
2012 (H.24)
1.67
70.8
64.8
3/12
3/28
4/9
29
5/7
5/17
5/24
6/6
平年値 (H9-H22)
平年比
1.67
100%
76.5
93%
59.7
109%
2/20
21
3/11
17
3/24
15
34
2
4/30
6
5/11
5
5/13
0
5/31
0
前年比
101%
83%
91%
15
9
8
▲7
6
1
0
0
(2) 地域状況
広域選果場の集荷は「剣先」が6月7日から、「紅サシ」が6月15日から始まり、7月8日まで集荷される
計画であり、集荷量は平年並みと見込まれている。
5月の一部地域の降雹により、かいよう病の発生が見られる。果実肥大期のうち、4月4半旬~6月3
半旬の降水量は平年の半分しかなく、樹脂障害果の発生が見られる。
2
ナシ
(農業試験場)
(1) 生育状況
6月20日現在の果実肥大は、「幸水」が36.6㎜(平年33.0㎜、前年32.5㎜)
、「豊水」が36.2㎜(平年34.0
㎜、前年33.5㎜)であり、両品種ともに平年・前年よりやや大きく推移している。葉に黒星病・赤星
90
100
80
90
70
60
50
2011
2012
40
30
6/21
果実横径(mm)
果実横径(mm)
病が散見される。また、カメムシの吸汁痕も散見される。
80
70
60
2011
50
2012
'平年
40
’平年
30
7/1
7/11
7/21
7/31
8/10
6/21
8/20
7/1
7/11
7/21
7/31
8/10
8/20
8/30
図4 豊水の果実肥大(福井農試)
図3 幸水の果実肥大(福井農試)
(2)地域状況 (坂井管内)
果実横径は、「幸水」が35.7㎜、「豊水」が34.4㎜となり、両品種ともに昨年より3㎜大きく平年並み
である。黒星病の発生が園により多い。
二次摘果作業がほぼ終了し、摘心作業が実施されている。
3
ハウスナシ
(1) 地域状況
(坂井管内)
坂井管内での果実肥大は昨年より大きい。7月下旬に収穫の見込みである。また、アブラムシ類や
ハダニ類の発生が見られる。
4
カキ
(1) 生育状況 (農業試験場)
「刀根早生」の開花盛期は、5月21日(平年5月20日、前年5月28日)、「平核無」の開花盛期は5月24日(平
年5月22日、前年5月30日)で、平年よりやや遅く、前年より1週間程度早い。
6月20日現在の「刀根早生」の果実横径は26.5㎜(平年29.7mm、前年23.1mm)であり、平年より小さく前
年より大きい。「平核無」の果実横径は28.1㎜(平年27.0㎜、前年23.9㎜)であり、平年・前年よりも大
100
100
80
80
60
2011
2012
平年
40
20
6/21 7/1 7/11 7/21 7/31 8/10 8/20 8/30 9/9 9/19 9/29 10/9
図5 刀根早生の果実肥大(福井農試)
果実横径(mm)
果実横径(mm)
きい。
60
2011
2012
平年
40
20
6/21 7/1 7/11 7/21 7/31 8/10 8/20 8/30 9/9 9/19 9/29 10/9 10/19
図6 平核無の果実肥大(福井農試)
(2) 地域状況
(坂井管内)
「平核無」等の開花盛期は5月31日で、昨年より4日早く、一昨年より5日早かった。
5
イチジク
(1) 生育状況 (農業試験場)
6月20日現在の展葉数は14枚で、8節まで着果している。結果枝基部の果実径は27.0~40.4㎜であ
り、樹体や結果枝による肥大差が認められる。
(2) 地域状況
若狭管内では、6月18日時点の展葉数は13~15枚で、7~8節まで着果している。結果枝の誘引作業
は、ほぼ完了した。
6
ブドウ
(1)生育状況(農業試験場)
主要4品種(「サニールージュ」、「ブラックビート」、「藤稔」、「シャインマスカット」)は、13枚程度
展葉している。また、場内におけるジベレリン処理は、表2の時期に実施した。
表2 品種別ジベレリン処理時期(中心日)
品
種
サニールージュ
ブラックビート
藤稔
シャインマスカット
1回目
5/29
6/ 1
6/ 4
6/ 7
2回目
6/12
6/14
6/14
6/18
対 策
1
各樹種共通
(1) 排水対策(梅雨期間)
雨が多いと土壌が過湿状態となり、酸素不足によって根が傷み、湿害が発生する。特に、モモ、キ
ウイフルーツ、イチジクなどは湿害を受けやすいので注意する。
園内に停滞水が見られる場合は、積極的に明きょを掘り、排水に努める。スピードスプレヤーや運
搬車(軽トラック)によって踏み固められた水溜り部分の改善や園地周辺の排水路の点検を行う。排水
の悪い水田転換園などは必ず排水路を設置する。
(2) 干ばつ防止(梅雨明け後)
梅雨明け後の土壌の乾燥は、樹種・品種や生育時期によっては、葉のロール・黄化、落葉などの症
状となって現れ、はなはだしい場合は樹全体が枯死する。また、果実の肥大不良や陽光面の日焼けな
どにより果実品質も悪くなるので以下の管理を行う。
ア
かん水
梅雨明け後は、早めのかん水を心がける。無降雨が7~10日程度続いた場合、1回当り15~20mm
程度のかん水を実施する。特に、砂質浅耕土、根張りの不十分な幼木や浅根性の果樹では早めの
かん水を実施する。
ただし、収穫期が近づいている場合の過剰なかん水は、果実の糖度を低下させるので、かん水を
控える。
イ
草刈り、有機物マルチ
梅雨明け後に発生する雑草との土壌水分の競合を防ぐため、草刈りを行う。樹冠下に刈草や稲
わら・麦わらでマルチを行うと、土壌表面からの蒸散を防ぐとともに地温を下げる効果がある。
麦わらは、稲わらと比べ水を含んでも硬くならないので通気性が良く、土の表面を軟らかく保つ
ことができる。
ウ
病害虫防除
乾燥が続くとハダニ類、スリップス類、カメムシ類などが発生しやすい。これらの発生状況を
こまめに観察し、発生初期に農薬使用基準に従って薬剤散布する。
2
ウメ
(1) 礼肥の施用
礼肥によって、果実生産で消耗した樹勢の早期回復と貯蔵養分蓄積をはかる。花芽分化期は7月下
旬に始まるので、この頃までに樹勢を回復させ、葉中窒素含有率を高め、花芽着生を良好にする。
収穫が終った直後に、10a当たり窒素成分で12㎏(成木の場合)を基準として施用する。ネット収穫
している樹でも遅くとも7月上旬には施用する。
(2) 病害虫防除
毎年、環紋葉枯病や葉炭そ病など落葉病害の発生が見られる園では、予防のために薬剤散布をする。
近年、夏季から秋季にモンクロシャチホコやイラガ類の発生が増加している。収穫後も定期的に園
内を観察し、早期発見に努める。
(3)一次加工の漬け込み
収穫した果実は、ゴミや汚れを洗浄機等で水洗する。完熟落下果実にケシキスイが侵入することが
あるので、侵入果は必ず選別して取り除く。塩は生梅重量の18%を基準とし、ウメと塩を交互に入れ、
樽の底は塩を少なめに、上に行くほど多めの塩を用いる。梅酢が上がって、液面がウメを覆うように
なったら重石を順次減らしていく。
(4)天日干し
漬け込みから1か月ほど経過したところで、セイロに並べ、乾燥(天日干し)を行う。白干梅の水分
は65%を基準に、64%から67%の範囲に仕上げる。干し上がりの水分はブリックス糖度計を用いて推
定することができ、100から糖度計の読み取り値を引いた値が、おおよその水分となる(糖度計で33か
ら35が目安)。
盛夏期の強い日射条件下で天日干しした場合に、表面の着色は進むが、果肉内部の色づきが遅れる
ことがある。盛夏期には、せいろや寒冷紗等で覆って日射を和らげ、天日干しの効果が果肉内部まで
到達するよう日数をかけて天日干しを行う。
なお、正方形のセイロを用いた天日干しの際に「白干梅整列板」を用いることで、作業能率や品質の
向上が期待できる。
3
ナシ
(1) 病害虫防除
引き続き、黒星病および黒斑病の防除を行う。現在、黒星病の発生している園地が見られており、
特に「幸水」では7月上中旬の果実でもっとも感染しやすくなるので警戒する。園地を見回り、発病部
位(特に葉柄)は見つけ次第除去し、土中深く埋める等適切に処分する。防除は有機銅剤、エルゴステ
ロール生合成阻害剤、ストロビルリン系薬剤等を用いる。次回散布までの間隔を空けきすぎないよう、
ていねいに散布する。
また、ハダニ類は高温乾燥条件で発生が増えるため、梅雨明け後は圃場を巡回し発生状況をよく観
察する。草刈りをするとハダニはナシ樹に上がってくるので、防除は草刈と同時に行う。
(2) 仕上げ摘果と「幸水」の裂果対策
圃場を見回りながら順次仕上げ摘果を行う。7月は果実がもっとも旺盛に肥大する時期である。特
に「幸水」では、降雨により急激に肥大すると果皮が耐えられなくなり、裂果が発生しやすい。裂果し
た果実をすぐに摘果すると、周囲の果実での発生を助長するので、裂果のピークが過ぎてから摘果す
る。裂果対策として予定着果量より10%程度多く着果させている場合は、裂果の危険がなくなってか
ら最終着果数(10,000果/10a)まで摘果する。
(3) 新梢誘引
腋花芽を使って着果を確保する「幸水」などの品種は、新梢伸長停止期以降(7月上旬~)に誘引する
ことにより、腋花芽の着生を良好にすることができる。主枝、亜主枝の側面から発生した新梢と予備
枝を約30度の角度に倒す。成木で1樹当たり30~50本を目安に誘引作業を行う。
4
カキ
(1) 仕上げ摘果
販売単価の高いL級以上の大玉果を生産するため、摘果を徹底する。ただし、梅雨明けまでは生理
落果の恐れがあるので、生理落果の状況を観察しながら、はじめは変形果、傷果を除き、7月下旬ま
でかけて徐々に摘果を仕上げていく。1結果枝につき1果に摘果してあっても、せん定が軽く、結果
枝数が多い樹では着果過多になるので、葉果比で1果につき15枚程度、または、単位面積あたりの適
正着果数を基準に摘果を行う。仕上げ摘果終了後も、収穫までは順次見直し摘果を行う。
(2) 新梢管理
樹冠内部の通風、採光を妨げている枝や、充実不良枝、骨格枝の背面から発生している徒長枝など
は適度に間引く。ただし、梅雨明け後は強い直射日光により幹に日焼けをおこすことがあるので、適
...
度にふところ枝を残す。また、葉数が少ない老木や樹勢の弱った樹は、ねん枝により新梢を温存し、
葉数を確保する。
新梢の間引き(枝かき・芽かき)は徐々に行い、枝かきしても二次伸長の恐れがなくなる8月下旬以
降に、樹幹内の明るさを判断基準として枝数を調整する。
(3) 追肥
樹勢が弱い樹を中心に、果実肥大を促進させるために、7月中下旬に年間施肥量の1割程度を目安
に追肥する。ただし、樹勢が強く生理落果が多い樹では行わない。
(4) 病害虫防除
スリップス類、カイガラムシ類の防除を行う。梅雨が続くと落葉病、炭そ病が発生するので殺菌剤
を混用する。
5
イチジク
(1) 結果枝の摘心
本葉が18~20枚展葉した時を目安に結果枝の摘心を行う。
(2) 施肥
イチジクは肥料を切らせないことが重要なので、肥効が長期間持続する有機質肥料を中心に施用す
る。浅根性のため、一度に多量を施用すると、濃度障害で根を傷めることがあるので分施する。
(3) アザミウマ防除
アザミウマ類は、果頂部が開く時期(着果後15~20日頃、または横径約20~25mm)に果実へ侵入して
内部を加害し、被害は下から1~6段あたりの果実に多い。防除は合成ピレスロイド系やネオニコチ
ノイド系の薬剤をローテーションで使用する。耕種的防除では、シルバーマルチなどの光反射シート
を樹冠下に敷くと、アザミウマ類の忌避効果がある。
6
ブドウ
(1)袋かけ
果粉(ブルーム)をきれいに出すこと、日焼け防止、農薬による汚れ防止のために袋をかける。ハウ
ス栽培の場合は、農薬散布が少ないので省くことも可能である。
(2)新梢管理
新梢の遅伸び防止、棚面の明るさ確保を目的に、まだ伸び続けている新梢を中心に新梢先端を軽く
摘心する。また、伸び続けている副梢も1~2枚程度を残して摘心する。ただし、若木など副梢を結
果母枝として利用する場合は長めに残しておく。
Ⅵ.畜産
実
1
況
平 成 24 年 度 第 5 回 石 川 ・ 福 井 合 同 肉 牛 枝 肉 販 売 会 ( 平 成 24 年 6 月 4 日 )
頭数
去勢
雌
福井
全体
福井
全体
12
22
6
16
単価
(円)
1,837
1,880
1,571
1,697
販売価格 BMS 枝肉重量 ロース芯 上物率
(円)
(No)
(㎏)
面積(cm2) (%)
915,450
6.9
495.9
61.8
75
921,014
6.2
488.2
59.3
68
775,650
5.3
493.4
55.7
67
752,463
5.0
441.3
55.8
69
最高価格は、1,269,900 円、去勢牛(福之国×安平×隆桜)、27.8 カ月齢、A-5(BMSNo12)、枝肉重量
564.4 ㎏、ロース芯面積 68 ㎠であり、宮崎県産であった。枝肉単価は、前回より、去勢で 331 円、
雌で 26 円高かった。
2
飼料作物
奥越高原牧場では 5 月 22 日から今年度の牧草刈取りが始まったが、週後半の収穫時ににわか雨に
見舞われ、品質の低下が危惧される。その後は概ね順調に収穫が進んでいる。
嶺南牧場でも一番草の収穫が 5 月 22 日から始まった。
畜産試験場の試験ほ場では 6 月1日からイタランライグラス二番草の生育調査を始め、平年並みの
収量だった。雪腐れ病対策を検討するため遅く播種したイタリアンライグラスについては 5 月 18 日
から一番草の生育調査を始め、「タチサカエ」「アキアオバ」の収量がやや良だった。
3
放牧
福井市では殿下地区で繁殖和牛(妊娠牛)の放牧が 5 月 16 日に始まり、あわら市坂ノ下で 5 月 25
日、鯖江市河和田地区では 6 月 8 日、美浜町新庄では 6 月 20 日、若 狭 町 下 吉 田 地 区 で は 6 月 8
日に始まった。
対 策
1 鶏
(1)ロイコチトゾーン病対策について
ロイコチトゾーン病は、初夏から初秋にかけてニワトリヌカカが媒介し発生する寄
生虫病で、急激な産卵率の低下や軟卵を主症状とし、経済的影響の大きい病気です。
ア ニワトリヌカカについて
ニ ワ ト リ ヌ カ カ は 、体 長 約 1.5mm と 通 常 の 蚊 よ り も 小 さ く 、平 均 気 温 20 度 以 上 に
なると発生、吸血活動が盛んになります。特に水田など泥土の周辺や林地に多く生息
し 、 1 日 の 中 で も 夜 20 時 か ら 21 時 頃 に 鶏 舎 に 侵 入 し て 終 夜 吸 血 活 動 を 行 い 、 日 の 出
頃に鶏舎から出ていきます。
イ 予防について
本病の予防方法には、病原体の発育を阻害する薬剤や飼料添加物もありますが、そ
の使用は厳しく法律で規制されています。このため媒介虫であるニワトリヌカカの鶏
舎内への侵入を防ぐ対策が有効です。具体的に、①開放鶏舎では、鶏舎周辺の除草を
し 、風 通 し を 良 く し ま す 。
( ニ ワ ト リ ヌ カ カ は 風 に 弱 い )② 防 虫 網 に 殺 虫 剤 を 噴 霧 し た
ものを夜間鶏舎開口部に置きます。③鶏舎内に侵入を許したヌカカに対しては、殺虫
剤 の 鶏 舎 内 散 布 や 動 物 用 液 体 電 子 蚊 取 り 器 の 設 置 ( 約 30 ㎡ 毎 に 1 個 )、 ま た は 、 定 期
的なカーバメイト系またはピレスロイド系殺虫剤の鶏体散布も効果があります。しか
し、ポジティブリスト制度が施行され、鶏舎内での殺虫剤使用にも注意が必要です。
どんな殺虫剤の使用にあたっても、その用量や用法(畜産物の出荷時における使用禁
止期間や休薬期間など)を厳守してください。
2
衛生害虫対策
夏になると、ハエが大発生することがあります。ハエは体に病原菌を付着してばらま
くだけでなく、腸管内で細菌を増殖し、ふんとして排出します。この中には食中毒菌な
ど種々の病原菌やウイルスが無数に含まれており、畜舎にとって、ハエなどの衛生害虫
の駆除は不可欠です。
ハエ駆除剤の効果的な使い方は、以下を参考として対応を図ってください。
(1)正しい濃度と攪拌
殺虫剤は、ラベルや使用書のとおりに正しい濃度に希釈し、十分に攪拌する。動力
噴霧機は事前に循環運転する。
(2)十分な量を
散布した液あるいは粉末の中の薬成分の分子がハエの体に直接触れて、体内に吸収
されなくては効果がない。残留噴霧ならハエの止まる壁面・天井の全面にわたって殺
虫成分が付着しなければならない。空間噴霧の場合には、畜舎内の空中にできるだけ
均一に隙間なく散布することが必要である。そのためには、壁面一坪当たり、または
空 間 1 ㎥ 当 た り ど れ だ け の 量 を 撒 け ば よ い の か 、使 用 書 の 指 示 に 従 い 十 分 な 量 を 用 い
ること。
(3)適期散布
ハエは明るい昼間は活発に飛び回っているが、薄暗くなると天井や壁に止まって休
息する。従って、夜間や薄暗い雨天・曇天の日が殺虫剤散布には好機である。
(4)誘引剤の併用
空間噴霧で効果がなく、殺虫剤が効かないという時にも誘引剤を併用すると効果が
上がる。飛び回るハエを追って噴霧するより、誘引剤で誘い込んで殺虫液に落とし込
むと効果が高い。
3
飼料用イネの収穫・調製について
飼料用イネの収穫・サイレージ調製と貯蔵作業は、集中的な労力を必要とし、作物の
収穫適期に一気に作業をすすめ短時間で終了することが高品質なサイレージを作る基本
です。
飼料用イネの収穫適期は、籾の消化性と収穫時の脱落を考慮し、栄養価が最も高い黄
熟期が適当です。熟期の判定は、出穂後の日数や穂の状態を目安にします。雨の中での
収穫は、高水分サイレージになり、発酵品質が低下しますので避けます。
また、材料中への空気侵入を少なくすること、梱包密度を高めること、土砂が材料に
混入しないようにすることが大切です。梱包密度に不安がある場合は、飼料イネ専用の
乳酸菌や尿素などを添加して発酵品質と貯蔵性を改善することも必要です。
そして梱包したらできるだけ短時間で密封作業を完了することが大切です。運搬時の
損傷を避けるとともに、貯蔵中の鳥獣害防止にも努めます。
これら一連の作業はすべて機械作業です。天候に左右されますが、段取り良く安全な
機械操作で作業し、自給飼料の増産に努めてください。