保育園等の適正配置方針と統廃合の必要性について

資料№ 3
保育園等の適正配置方針と統廃合の必要性について
1.児童及び保育園を取り巻く村上市の現状
(1)人口減尐と核家族化
本市の人口は、平成 20 年4月の5市町村による合併当初の人口は 70,000 人を超えて
おりましたが、今年平成 24 年4月時点では 66,613 人となり、毎年 850 人程度減尐して
いることになります。
一方世帯数については、平成 20 年では 22,777 世帯でしたが、平成 24 年では 22,801 世
帯となり、人口は減尐しているにもかかわらず世帯数は増加しており、単身世帯の増加や
核家族化が進んでいることが伺えます。
出生数は、平成 20 年度では 382 人ですが、平成 23 年度では 402 人となり前年度と比べ
減尐したものの、市内全体としては横ばい傾向にあります。
年尐人口から算出した尐子率(100 人に対して 14 歳以下は何人いるか)は毎年落ち込ん
できています。この傾向と反対に、高齢化率(65 歳以上の方の人口に占める割合は)地区
により率の違いはありますが、毎年上昇しています。
人口、世帯数の推移
20 年
人口
世帯数
1 世帯当り人員
21 年
22 年
23 年
24 年
70,019 人
69,087 人
68,325 人
67,442 人
66,613 人
22,777 世帯
22,786 世帯
22,797 世帯
22,789 世帯
22,801 世帯
3.07 人
3.03 人
3.00 人
2.96 人
2.92 人
資料:各年 4 月1日現在 市民課
出生数の推移
20 年度
出生数
382 人
21 年度
22 年度
380 人
410 人
23 年度
402 人
資料:市民課(新潟県人口移動調査)
年尐人口の推移
H20.10.1
村
人
口
H21.10.1
H22.10.1
H23.10.1
68,041 人
67,223 人
66,427 人
65,556 人
上
~14 歳人口
8,572 人
8,197 人
7,881 人
7,642 人
市
尐子率
12.6 %
12.2 %
11.9 %
11.7 %
13.1 %
12.9 %
12.8 %
12.6 %
新潟県
資料:新潟県福祉保健年報(県統計課による推計)
1
世帯構成の推移
平成2年
平成7年
平成 12 年
平成 17 年
平成 22 年
核家族世帯
9,424
9,757
10,309
10,427
10,584
ひとり親世帯
1,462
1,507
1,707
1,994
2,236
単独世帯
2,621
3,304
4,020
4,451
4,818
資料:国勢調査
(2)児童数の推移
村上市における就学前児童数は、平成 20 年度当初は 2,896 人でしたが、毎年 90 人以上
減尐を続け、平成 24 年4月には 2,519 人となっています。就学前の児童数については今後
も減尐が続くと予想されます。
義務教育期間中の児童生徒の就学者数についても、毎年減尐を続けております。これは、
過去 14 年間にわたり毎年減尐を続けていることであり、福祉部門だけでなく、教育部門か
らも将来に対しての見直しが必要な時期を迎えていると言えます。
就学前児童の推移
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
人口
70,019 人
69,087 人
68,325 人
67,442 人
66,613 人
就学前児童数
2,896 人
2,733 人
2,616 人
2,556 人
2,519 人
4.14%
3.96%
3.83%
3.79%
3.78%
構成比
資料:各年度4月1日 市民課
児童・生徒数等の推移
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
小
学 級 数
-
182
179
179
175
学
児 童 数
3,716 人
3,572 人
3,480 人
3,306 人
3,170 人
校
増減数
-
△144 人
△92 人
△174 人
△136 人
中
学 級 数
-
72
67
69
69
学
生 徒 数
1,973 人
1,895 人
1,753 人
1,726 人
1,697 人
校
増減数
-
△78 人
△142 人
△27 人
△29 人
資料:各年度5月1日現在(H24 のみ4月1日)学校教育課
2
(3)保育園の状況
① 保育園の設置状況
平成 24 年4月1日現在、市内保育園は公立保育園 20 ヶ所となっております。
② 入園児童数の推移
平成 20 年4月1日現在の保育園入園児童数は 1,522 人でしたが、平成 24 年4
月1日では 1,425 人と 101 人の減尐となっています。毎年定員割れの状況が続い
ています。
平成 20 年度
保育園数
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
21
21
20
20
20
定員
1,805 人
1,805 人
1,785 人
1,785 人
1,785 人
児童数
1,522 人
1,531 人
1,497 人
1,488 人
1,425 人
入園率
84.3%
84.8%
83.9%
84.4%
79.8%
各年度4月1日
③ 保育サービスの実施状況
近年、核家族化、夫婦共働き世帯の増加、女性の社会進出、就労形態の多様化
等により、子育てを取り巻く環境が変化しており保育サービスに対する保護者ニ
ーズも多様化しています。
現在、乳児保育については、12 ヶ所、一時預かり事業は5ヶ所、延長保育は 19
ヶ所で実施しております。
土曜保育は、拠点保育園(山居町保育園、坂町保育園、山北おおぞら保育園)
3ヶ所において実施しております。
病児・病後児保育、休日保育については実施しておりません。
④ 保育園入園児童数と保育士の配置状況
平成 24 年4月1日現在、園長、主任保育士と保育士を合わせて正規職員 79 人
に対し週5日以上勤務(7.5 時間)している臨時職員は 88 人となっております。
正規職員の退職に対して採用を控えてきたこともあり正規職員が年々減尐し、
クラス担任に臨時保育士を配置せざるを得ない状況になっております。
近年、3歳未満児の入園や障がいを持った児童など加配を必要とする児童の入
園も増えており、その対応に臨時職員が増加しております。
また、保育士資格のある臨時職員の確保が難しく保育の質を維持することが難
しくなっております。
3
保育所入園児童数と保育士の配置状況(広域入所含む)
第一
第二
岩船
瀬波
上海府
定員
項目
0歳
1歳
2歳
3歳
4歳
5歳
合計
入園率
90 人
児童数
4人
7人
13 人
17 人
20 人
22 人
83 人
92.2%
職員
2
2
2
1
1
1
9
児童数
5
15
19
15
14
22
90
職員
2
3
3
1
1
1
11
児童数
1
7
8
20
38
23
97
職員
1
1
1
1
2
1
7
児童数
5
12
9
19
24
24
93
職員
2
3
2
1
1
1
10
1
3
4
5
13
90
120
90
30
児童数
職員
山辺里
山居町
金屋
90
90
100
1
10
21
26
29
24
110
職員
3
4
1
1
1
10
児童数
10
13
22
26
19
90
職員
3
2
1
1
2
9
5
6
11
19
16
58
1
5
1
職員
大津
80
1
児童数
1
5
職員
坂町
荒島
80
80
3
みのり
館腰
三面
140
120
100
45
90
15
27
22
79
1
1
1
6
2
7
7
13
20
21
70
職員
1
2
1
1
1
1
7
児童数
1
2
6
16
10
19
54
2
1
1
2
11
15
29
34
36
127
職員
1
3
2
1
1
2
10
児童数
2
9
10
26
26
40
113
職員
1
2
2
1
1
2
9
児童数
4
9
12
17
17
18
77
職員
2
2
2
1
1
1
9
1
2
5
10
6
24
児童数
児童数
職員
1
1
3
1
4
103.3%
43.3%
122%
100%
58.0%
98.8%
87.5%
67.5%
4
児童数
職員
高南
2
児童数
職員
向ヶ丘
10
80.8%
1
児童数
児童数
100%
1
90.7%
94.2%
77.0%
53.3%
2
3
19
15
24
65
1
1
1
1
5
72.2%
猿沢
90
塩野町
90
児童数
1
5
職員
2
児童数
1
職員
にじいろ
おおぞら
80
90
定員 1,785
2
10
20
1
2
9
47
1
5
12
1
4
10
1
児童数
7
職員
1
8
6
52.2%
30
33.3%
2
16
37
1
3
1
児童数
5
4
11
17
14
17
68
職員
2
1
1
1
1
1
6
児童数
34
123
177
313
385
391
1,425
46.3%
75.6%
79.8%
上の表は、平成 24 年4月1日現在の保育園入園児童数と保育士の配置状況を示したも
ので、村上市 20 保育園のうち第二保育園、瀬波保育園、山辺里保育園、山居町保育園の
4 つの保育園を除く 16 保育園では定員割れとなっています。
入園率の最も低い保育園は、塩野町保育園 33.3%、上海府保育園
43.3%、山北に
じいろ保育園 46.3%、猿沢保育園 52.2%、三面保育園 53.3%となっておりま
す。
⑤ 保育園施設の状況
保育園の建築経過年数は、30 年以上の施設が 20 保育園のうち6保育園あり村上
地区(第一・第二・山居町保育園)で3保育園、荒川地区(大津保育園、坂町保
育園、荒島保育園)の3保育園となっています。
特に老朽化著しい荒川地区の3保育園を統合し平成 24 年度、平成 25 年度の2
ヶ年事業で施設整備を行うことにしております。
5
保育園の施設状況
地区
保育園名
建築年月
経過年数
敷地面積
延べ面積
村上
第一保育園
S56.11
31 年
3,234.98
698.76
木造・平屋
★
第二保育園
S57.11
30 年
2,785.71
676.65
木造・平屋
★
岩船保育園
S61.2
26 年
3,152.63
866.55
鉄筋 2 階
瀬波保育園
H 7. 7
17 年
3,698.31
694.64
木造・平屋
上海府保育園
H12.10
12 年
1,836.90
351.33
木造・平屋
山辺里保育園
H17.4
7年
5,065.00
990.40
木造・平屋
山居町保育園
S54.4
33 年
3,099.00
682.17
木造・平屋
金屋保育園
H58.10
29 年
33,549.67
779.03
鉄筋・平屋
大津保育園
S46.4
41 年
2,332.44
441.99
木造・平屋
★
坂町保育園
S47.10
40 年
2,395.00
518.95
木造・平屋
★
荒島保育園
S50.10
37 年
3,968.93
432.54
木造・平屋
★
向ヶ丘保育園
H20.4
4年
11,514.00
1,302.80
木造・平屋
みのり保育園
H21.5
3年
10,746.00
1,280.24
木造・平屋
館腰保育園
S61.4
26 年
3,983.00
996.28
鉄筋・平屋
三面保育園
H14.4
10 年
1,966.00
599.55
鉄筋・平屋
高南保育園
H 2.4
22 年
8,874.00
1,160.40
鉄筋・平屋
猿沢保育園
H 7.9
17 年
12,630.00
884.19
鉄筋・平屋
塩野町保育園
S59.4
28 年
6,870.16
913.00
鉄筋・平屋
にじいろ保育園
H17.4
7年
7,809.00
977.35
木造・平屋
おおぞら保育園
H18.4
6年
6,651.00
994.45
木造・平屋
荒川
神林
朝日
山北
構
造
備考
★
★印は築 30 年以上
6
⑥ 保育園の運営費にかかる市の負担額
平成 22 年度決算における保育園の全体歳出における児童1人当たり経費は、
年額約 926,000 円となっております。
歳出から歳入を引いた児童1人当たりの市負担額は、年額約 712,000 円となっ
ております。
一施設当たりの市負担経費は、年額約 55,412,000 円となっております。
(歳出)
職員人件費(臨時職員含む)
1,147,701,251 円
事業費
293,780,233 円
合計
1,441,481,484 円
児童1人当り経費
(平成 23 年 3 月1日現在 児童数)
1,441,481,484 円÷1,556 人=926,401 円
(歳入)
保育料
301,124,050 円
国・県補助金
5,765,664 円
保護者利用料
(一時保育、親子遠足、おやつ代等) 5,399,400 円
その他収入
(給食費負担金、広域入所負担金等) 20,934,013 円
合計
333,223,127 円
市負担金の比較
(歳出)
(歳入)
1,441,481,484 円-333,223,127 円=1,108,258,357 円
1 施設当り市負担額
1,108,258,357 円÷20 施設=55,412,917 円
児童1人当り市負担額
1,108,258,357 円÷1,556 人=712,248 円
7
2 適正配置の基本的な考え方
保育園については福祉課が担当課となり市内 20 園を運営していますが、その基本指針と
なるのは、村上市総合計画および村上市次世代育成支援行動計画(後期計画)であり、こ
れらを上位計画としながら種々の施策を実施することにより、全般的な子育て支援を進め
ています。
現在の保育園は、入園児童数の減尐により多くの保育園において定員割れとなって
いるほか、施設の老朽化、正規職員の減尐等様々な課題を抱えております。
特に入園児数が尐ない保育園では混合クラス編成となっているため、年齢や発達段階に
合った保育形態をとることができない園が出てきています。
今後も引き続き尐子化が進んでいくことが予想されるため、将来にわたっての村上市の
姿を念頭に置き、人口密度や通園距離、県内一広い地域特性などの各種の要因を加味しな
がら、段階的に可能なところから徐々に保育園の統合・廃止を実施しながら、最終的な保
育園の適正配置としていく必要があります。
3 適正配置の方針
(1)保育環境の整備
現在の村上市の保育園は、合併以前に各地区(旧市町村)で設置された施設をそのまま
継承しているのがほとんどであることから、その入園児童数には大きく差があります。入
園率においても、保育園によっては現在すでに 50%を下回る保育園もあります。
このまま尐子化が進行して行けば、集団活動の多様性を生かした保育が難しくなること
が懸念されます。できることなら発達段階に合わせた多用な集団遊び等が体験できる保育
環境の整備が望まれるところです。
(2)保育園の適正規模
保育園は、要件を満たしている保護者であれば、希望の保育園を選択して園児を入園さ
せることが可能なため、小学校のように通学区域ごとに入学する必要はありません。
しかし、保護者の多くは、小学校のように通学区域内の保育園を希望する傾向がありま
すが、統廃合を進めるにあたっては、将来の入園児童数の見込みを十分精査するとともに、
保護者や地域住民の理解を得ながら進める必要があります。
統廃合を実施する保育園の選定にあたっては、児童数が尐なくなり、園長や主任保育士
など正規の職員配置ができなくなった保育園であることを第一番の基本要件とし、村上市
行政改革大綱に則りながら、統廃合の基本とします。
第二番目として、施設の老朽化が著しく保育環境の改善が困難であることや、建築年次
の古い施設であることなどを総合的に勘案し、統廃合施設を選定していきます。
8
その他にも、現在の施設が狭隘なため位置的には適合するが面積が不足する場合、人数
は不足しているが、地理的要件により通園が困難となる場合、建物の建築年度の差のよる
場合など、種々の条件を加味した統廃合施設も検討材料としなければなりません。
(3) 「子ども・子育て新システム」の検討
国では幼保一体化を含む「子ども・子育て新システム」の検討を進めており、幼稚園・
保育園・認定こども園の垣根を取り払った新たな指針に基づき、幼児の教育と保育を共に
提供する「こども園(仮称)
」に一体化する構想や、この新システムを一元的に実施する「子
ども家庭省(仮称)
」の創設など、子ども・子育て新システムの構築へ向け検討を進めてい
ます。
「こども園(仮称)
」の制度が導入された場合、幼児教育・保育を取り巻く環境は大きく
変化する可能性があり、市としても新しいシステムに対応していかなければならないと予
想されます。しかしながら、内容はまだ不明確で流動的な部分があります。今後の国の動
向を注視していきます。
幼保一体化の目的は、幼児期における質の高い教育・保育の一体的な提供にあり、幼稚
園教育要領と保育所保育指針を統合し、小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保し
た新たな指針「こども指針(仮称)
」を創設するとあります。
これらが本格始動するかどうかはいまだ未定ですが、対応できる可能性を秘めた検討を
して行く必要があります。
9
保育園所在の小学校通学区内児童数の状況
地区
保育園名
通学学区
村上
第一保育園
荒川
神林
朝日
山北
(単位:人)
0歳
1歳
2歳
3歳
4歳
5歳
合計
村上南、瀬波小
30
47
41
34
45
35
232
第二保育園
村上小
29
36
39
36
35
43
218
岩船保育園
岩船小
19
22
13
29
41
26
150
瀬波保育園
瀬波小
30
16
17
30
32
33
158
上海府保育園
上海府小
1
4
3
4
1
5
18
山辺里保育園
山辺里小
42
27
43
37
39
38
226
山居町保育園
村上南小
31
41
27
30
33
31
193
金屋保育園
金屋小
19
11
12
20
18
18
98
大津保育園
保内小
20
20
22
23
25
21
131
坂町保育園
保内小
20
25
19
15
21
18
118
荒島保育園
保内小
12
18
13
13
17
16
89
向ヶ丘保育園
神納・東・西神
26
36
35
22
38
39
196
みのり保育園
砂山・平林小
22
25
27
22
34
27
157
館腰保育園
小川小
11
18
10
15
19
21
94
三面保育園
三面小
8
5
5
6
8
8
40
高南保育園
朝日みどり小
20
19
22
15
16
25
117
猿沢保育園
猿沢小
10
15
8
12
16
8
69
塩野町保育園
塩野町小
11
8
7
7
12
10
55
にじいろ保育
さんぽく北
12
7
11
8
10
16
64
おおぞら保育
さんぽく南
17
11
21
12
21
14
96
390
411
395
390
481
452
2,519
合計
上の表は、平成 24 年4月1日現在の村上市内の0歳児から5歳児までを保育園ごとに通
園区域を想定して小学校の学区にあてはめたものです。
現行の保育園が所在する小学校通学区域内に園児数をみると、上海府保育園、三面保育
園、塩野町保育園の園児数が尐ない状況が着目されます。
今後、出生数の減尐が予測される中で、園児数の減尐は集団保育の困難性、適正な保育
の実施等と保育園運営面において大きな課題となっております。
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