自他の生命を尊重し,自ら考え,進んで安全な生活

日本体育・学校健康センター委嘱 学校安全に関する研究校
研究主題
自他の生命を尊重し,自ら考え,進んで安全な生活ができる生徒の育成
千代田町立千代田中学校
学級数
生徒数
動全般にわたり安全に関する研究を全職員で推進す
職員数
ることにした。
【 】 安全な生活を営むために必要な資質や判断力を
2
研究の仮説
3
研究の方針
全体構想図参照
( ) 学校安全に関する計画の改善・充実
育成する。
【 】 場に応じた行動がとれるような実践力を養う。
( ) 各教科・領域における安全教育の工夫
【 】 生徒の安全に関する意識の高揚を図る。
( ) 学校施設設備に関する安全の確保
( ) 家庭や地域との連携による安全教育の充実
1
主題設定の理由
( ) 本校の教育目標から
1
本校の教育目標の「人間性豊かで,創造力,実
平成
年度
( ) 研究主題・研究組織・研究推進計画の作成
行力のある生徒の育成」を受け,4つの具体目標
( ) 各研究部の活動内容と計画の作成
のうち( ) 自ら判断し,実行できる生徒,( ) お
( ) 学校安全年間指導計画の改善
互いに協力し,社会に役立つ生徒,を具現化する
( ) 生徒の実態調査
ために,安全に関する研究は有効な教育活動であ
( ) 授業研究
ると考える。
( ) 安全点検の見直し
( ) 地域の実態から
本校は農村に位置しているが,学区内を国道6
( ) 避難訓練
2
平成
(校内研修と訪問指導)
体験活動
年度
号線と常磐自動車道のインターチェンジがあり交
( ) 研究主題・研究計画の見直し
通量が非常に多い上に,生徒が通学する細い農道
( ) 各研究部の活動内容と計画の見直し
も抜け道となっているために,かなりの危険性が
( ) 学校安全年間指導計画の見直し
潜在している。また学区が広範囲で下校時に変質
( ) 学級活動安全に関する題材系統関連図の作成
者や不審者に声をかけられることもある。
( ) 生徒の実態追跡調査
( ) 生徒の実態から
生徒全員が自転車通学をしている。登下校時の
( ) 授業研究
(校内研修と訪問指導)
( ) 避難訓練
体験活動
ヘルメット・安全タスキの正しい着用意識が薄く
なかなか徹底しない。学校生活においても,安全
に対する規範意識がもう少しあれば回避できたと
研
思われるようなケガが目立っている。
究
( ) 社会的背景から
校
教
近年頻発している事故や災害から,防災安全に
対する関心が高まっており,この激動する現代社
推
全
体
進
長
頭
委
会を生き抜くためにも,自他の生命の尊重と安全
員
教育は欠くことのできない課題であると考える。
会
授 業 研 究 部
調査広報研究部
研
修
体験活動研究部
・研究推進委員(省令主任・特活・道徳・総合・
以上のことから安全意識を高めるために,教育活
体育・給食各主任・養教)
会活動との関連性を深くとらえて指導することが
1
できた。
授業研究部
( ) おもな取り組み
ア
学校安全計画の改善・充実
学級活動と道徳・教科・学校行事等との関連を
明確にし,総合的横断的に指導ができるように学
校安全計画の改善を図った。
学校安全計画の中に各月の重点目標を設定し,
これに関連した学級活動の題材の設定と道徳の主
題名の配列を意図的に行い,安全指導の実践に努
ウ
授業における多様な指導法の研修
TT,GTによる指導及び展開する授業に最も
めた。
効果的と思われる授業形態について,研修を深め
た。おもな形態は次のとおりである。
(ア) オープン方式
(イ) 小グループ
(ウ) 集会(パネルディスカッション)
指導法を工夫したことにより興味関心をもって
意欲的に取り組み,自己の課題解決のために自主
的な活動がみられた。また,知識・理解の深化と
安全に対する意識の高揚を図ることができた。
イ
学級活動「安全な生活に関すること」の指導の
題材系統関連図の作成
エ
総合的な学習の時間との関連
学習活動と総合的な学習の時間(本校ではマナ
安全指導を系統的に進めるために交通安全と災
ビィタイム)との関連を図ることにより,課題解
害安全について,学年別に題材系統関連図を作成
決のための調査,観察,体験等の活動を十分に展
した。そのことにより指導の系統性を明確にし,
開することができた。また,生徒自身による課題
体験活動や話し合い活動の重要性,生徒会・委員
の発見やそれを解決に導くための努力が安全な生
活への大きな力となった。
○
課題発見
応について,避難訓練などの体験も交えて学習
学級活動
してきた。これまでの学習のまとめとして,過
去の様々な災害から安全を確保するための適切
解決への見通しをもつ
調査・観察・体験
マナビィタイム
な行動は何かを考え,実生活に生かせるように
まとめ(発表会)
学級活動
した。消防署員をGTとして招き適切な行動に
事後の活動
マナビィタイム
ついて援助をお願いした。
( ) 授業実践
ア
特別活動
特別活動では,学級活動を中心に取り組んだ。
学級活動では,交通安全と災害安全を中心に学年
ごとの重点テーマを設定し実践した。
1年・・・・通学時の交通安全
2年・・・・災害時の安全
3年・・・・事故発生時の対応
(ア) 第1学年の実践例
・主題名
「なぜなくならない!交通事故」
・ねらい
イ
教科指導(保健体育
地域の交通事故の実態やその対策などを知り
・題材名
これまでの交通安全について考えることができ
・ねらい
る。
第3学年)
けがの防止(けがの応急手当)
応急手当の目的とその正しい方法・手順につい
・指導の概略
て理解を深め,自ら考え適切な応急手当ができる。
これまで交通安全教室,自転車の安全な乗り
・おもな指導内容
方,地域の危険地帯調査などをマナビィタイム
交通,火災,水や山など私たちが遭遇すると思
と合わせて活動してきた。活動の中で分かった
われる事故の対処法について理解を深める。事故
ことや疑問点についてパネルディスカッション
が起きたときの応急手当について方法や手順を理
で学年集会をもち,自分たちにできる交通安全
解し,活用できるように実習をする。消防署員を
について考えていく。
GTとして招き支援をお願いした。
(イ) 第2学年実践例
・主題名
災害時の安全な行動
・ねらい
ウ
道徳指導
道徳における重点目標を「自他の生命を尊重し ,
自ら考え,進んで実践できる生徒の育成」とし,
過去の災害に学び,災害に対する危険意識を
道徳性の内面化を図る指導工夫を目指している。
高め,様々な災害場面において安全な行動をと
地域内の各種施設との交流・体験,ボランティア
ることができるようにする。
活動などを通して,重点目標の具現化を図る。
・指導の概略
学級活動の時間に地震やその他の災害時の対
授業研究では,
「生命の尊重」を中心に展開し ,
指導力の向上を目指した。
2
調査・広報研究部
◎
安全の態度
( ) おもな取り組み
1年
安全な生活に対する意識を高めたいと考え,安
2年
全に関する生徒の実態調査や家庭・地域社会との
3年
連携,環境の整備などに取り組んだ。
( ) 活動内容
ア
意識調査と安全点検表作成
よい
注意
充分に注意
安全な生活に対する生徒の意識調査を行った。
《アンケートの内容と結果》
《考察》 検査結果を,学年ごとにまとめたもの
①校内で危険だと感じたことがあるか?
の一部を挙げてみる。特に2年生では,注意力が
ある
名
ない
名
無答
名
あり,周囲の状況をつかむことができても,安全
な態度が低く行動が伴わないおそれがあるなど,
②あると答えた人は,その場所はどこか?
学年ごとの特徴が確認された。これらの情報をも
とに他の研究部・学年と協力し,それぞれの活動
に役立てるようにした。
ウ
安全マップの作成
夏休みを利用し,保護者にも協力してもらい
生徒の自宅付近及び通学路の危険個所調査を行っ
た。その資料をもとに,学区内の安全マップを作
廊下 階段 プール 教室 理科室木工室 校庭 金工室調理室運動場駐輪場武道場体育館その他
成し事故の防止に役立てている。
以上の結果をもとに,生徒の視点から見た安全
エ
点検の必要性を感じたため,危険性が分かる点検
安全コーナーの設置
教室や校内に,安全マップ・標語・安全目標・
表に改善した。
駐在所便り等を掲示した安全コーナーを設置し,
安全に対する意識の高揚を図った。
オ
家庭・地域社会との連携
保護者や地域の方々に,授業や調査に参加して
イ
もらうことや学年便りや保健便り・生徒指導便り
APP事故傾向予測検査の実施と考察
(平成
年6月
調査人員
◎
1年
を通して家庭との協力や連携を図った。さらに生
日実施)
人
2年
人
3年
徒指導便り「スクラム」では通信欄を設け,保護
人
者からの声を聞き,それを生かせるようにした。
注意力
1年
2年
3年
3
体験活動研究部
( ) おもな取り組み
安全に関する体験活動の充実を図ることによっ
て,安全な生活をしようとする意識を高めるとと
もに,緊急時における対処法を学ぶために次のよ
よし
注意
充分に注意
うな体験活動を実施した。
り,学校生活での潜在的な危険箇所を気づかせる
なお、今までの学校行事に意図的に安全に対す
ようにした。
る体験を実施するようにし,しかも全校生徒に体
験させたいとの願いから,実施時間の確保には十
分配慮した。
( ) 活動内容
ア
災害安全
(ア) 起震車
地震に対する避難訓練の後,全校生徒が起震車
の体験をした。
(ウ) 委員会活動
(イ) 救助袋
安全点検の結果,生徒に修理可能と思われる箇
火災による避難訓練の後,全校生徒が3階から
所については,委員会が中心になって生徒自らが
救助袋による避難を体験した。
故障個所等の修理をおこなっている。また,自転
(ウ) 初期消火
車を修理点検する委員会があり,パンクを修理し
避難訓練の後,クラス代表者が粉末消火器や水
たり,整備不良の自転車の点検をしたりしている。
消火器による初期消火の体験をした。
(エ) 突然の危険な侵入者への対応訓練
(エ) 煙体験
ウ
交通安全
入学式後の1年生を対象に自転車の安全な乗り方
避難訓練の後,全校生徒が煙体験をした。
等の交通安全教室を行った。
1
研究の成果
( ) 安全教育を通して,生徒は生命尊重の心をもち
生涯にわたり安全な生活を営むために必要な知識
などの資質を身につけ,判断力が育てきた。また
教師は指導技術の向上や授業改善などに工夫がみ
られた。
イ
生活安全
( ) 体験活動を取り入れたことにより生活安全・交
(ア) 着衣泳
通安全・災害安全への実践力が養われてきた。
毎年7月中の体育の授業において全校生徒に着
( ) 学校・家庭・地域との連携を図り安全教育を推
衣泳の体験をさせ,水難時において冷静に対応で
進したことにより安全への意識が高揚してきた。
きるよう指導した。
(イ) 生徒とともに安全点検
2
今後の課題
( ) 激動する社会の中で,安全な生活を営む態度を
月毎に行っていた職員による安全点検を,生徒
より深く身につけさせるために,学校教育全般に
とともに新たな安全点検表を使って実施した。生
わたり,計画的・継続的に安全教育を推進してい
徒は毎月クラス単位で体験し,全校生徒が安全点
きたい。
検に参加した。生徒の安全性という欄に,校内の
故障箇所等の危険性について記入させることによ
( ) PTA・地域社会などとより連携を密にし,安
全教育を推進していきたい。