問題1-11 - 京都大学大学院 理学研究科 生物科学専攻

筆答試問
英語
試験時間 9:30~11:30
○ 問題は4題ある。すべて解答すること。
○ 各問題の解答には、それぞれ別々の解答用紙を用いること。1つの問題への解
答が2枚にわたる場合は、1枚目の右下に「次ページに続く」、2枚目の左上
に「1ページ目からの続き」と大きく明記すること。
解答用紙の裏面は使用しないこと。
○ すべての解答用紙の所定の欄に、受験番号(2箇所)・氏名・問題番号(1,
2,3,4)を記入すること。
英語
問題1
以下の文章を読んで、設問(A)~(C)のすべてに解答せよ。
(著作権保護のため、引用文は省略)
(次ページに続く)
1
(著作権保護のため、引用文は省略)
(PLoS Biology, vol. 13, e1002128, 2015 より抜粋、一部改変)
注)Journal of the American Medical Association:米国医師会雑誌
British Medical Journal:イギリス医師会雑誌
univariate scatterplot:単変量散布図
box plot:箱ひげ図(下図参照)
histogram:ヒストグラム
(A)下線部(1)を和訳せよ。
(B)下線部(2)が示す内容を本文に即して5行程度の日本語で説明せよ。
(C)著者は、論文に用いる図の種類によって読者の姿勢がどのように変わると考えている
のか、4行程度の日本語で説明せよ。
2
英語
問題2
以下の文章は、ロバート・フック生誕 300 年を記念して 1936 年に Nature に掲載された、
“Robert Hooke as Geologist and Evolutionist”の全文である。この文章を読んで、設問(A)〜
(C)のすべてに解答せよ。
(著作権保護のため、引用文は省略)
(次ページに続く)
3
(著作権保護のため、引用文は省略)
(W. N. Edwards, Nature, vol. 137, 96-97, 1936
より)
(次ページに続く)
4
注) tercentenary: 300 年、 Palæontology: 古生物学、 ’tis: it is、 divers: diverse、
discourse: 考察、 ibid.: 同上、 crust: 地殻、 uplifts: 隆起、 transgressions:
海進、 strata: 地層、 foraminifer: 有孔虫、 fossilisation: 化石化、 moulds
and casts: 雌型と雄型(ともに生物の型のみが残った化石)、 petrifactions: 石化
物(生物の遺骸の硬組織が鉱物置換した化石)、 shifting poles: 極の移動、 torrid
zone: 熱帯、 catastrophist: 天変地異説支持者、 weathering: 風化、 denuding:
侵食、 levelling: 平坦化
British Museum: 大英博物館
“Robert Hooke, un évolutioniste oublié du XVIIe siècle”: 「忘れられた 17 世紀の
進化論者 ロバート・フック」
Robert Hooke (1635~1703): an English natural philosopher, famous for the law
of elasticity, study on gravity, introduction of the term “cell”, and many more.
William Smith (1769~1839): an English geologist, who established the method of
strata identification by fossils.
Dane, Steno (Nicolas Steno, 1638~1686): a Danish astronomer/geologist.
(A)下線部(1)を和訳せよ。ただし、引用を示す括弧部分は訳さなくてよい。
(B)下線部(2)を和訳せよ。
(C)Hooke が第一段落の二重線部:the mutability of species を確信するに至った根拠、
推論、それを支持すると考えた観察を、本文に即して5行程度の日本語で説明せよ。
5
英語
問題3
以下の下線部の文章を英訳せよ。
(著作権保護のため、引用文は省略)
かんざし
(『中谷宇吉郎随筆集』樋口敬二(編) 岩波文庫(1988)所収、
「 簪 を挿した蛇」より抜
粋、一部改変)
6
英語
問題4
以下の下線部の文章を英訳せよ。
(著作権保護のため、引用文は省略)
(『大人の錯視入門』山崎恵美・玉城太郎(編) 宝島社(2014)所収、
「社会と錯視」より
抜粋、一部改変)
注)錯視:illusion
ミカン:orange
ネット:mesh bag
キュウリ:cucumber
色の同化:color assimilation
7
筆答試問
一般基礎科目
試験時間 13:00~15:00
○ 問題は下表の通り11題ある。
これらのうちから3題を選択し解答すること。
ただし、生物学1題は必ず選択すること。
○ 各問題の中の小問(A)、(B)、
・・などの解答には、それぞれ別々の解答用紙
を用いること。1つの小問への解答が2枚にわたる場合は、1枚目の右下に
「次ページに続く」、2枚目の左上に「1ページ目からの続き」と大きく明記
すること。
解答用紙の裏面は使用しないこと。
○ すべての解答用紙の所定の欄に、受験番号(2箇所)、氏名、および選択した
問題の番号を記入すること。選択した問題の番号は、1~11の問題番号と、
(A)、(B)などの小問の記号を、1-(A)のように記入すること。
○ とくに指定のない限り、解答は日本語または英語で記述すること。
科 目
問題番号
生物学
1
生物学
2
生物学
3
生物学
4
生物学
5
生物学
6
生物学
7
生物学
8
物理学
9
化学
10
数学
11
生物学
問題1
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)〜(4)のすべてに答えよ。
生物は多くの種類のタンパク質を生合成している。これらのタンパク質は多様な構造と機
能をもち、酵素として働くもの、細胞の構造を支えるもの、細胞外に分泌されて機能するも
のなどがある。生体内ではさまざまな物質の生合成が酵素の働きによって担われているが、
(a)酵素活性を調節することは生体の機能を維持する上で大変重要である。また、
(b)病気の
治療に用いられる薬剤は、酵素活性を調節することで効果を示すものも多い。細胞内におけ
る酵素活性は、
(c)タンパク質のリン酸化などの翻訳後修飾を介して調節される場合がある。
これらの修飾を受けると、(d)タンパク質の等電点が変化することがある。
(1)下線部(a)について、酵素活性を調節する機構の1つとしてフィードバック調
節がある。これについて3行程度で説明せよ。図を用いてもかまわない。ただし、
図は行数に含まないものとする。
(2)下線部(b)について、ある薬剤が酵素活性を阻害した場合、考えられる作用機
序を2つあげ、その違いを3行程度で説明せよ。さらに、それらを区別する方法
を3行程度で述べよ。図を用いてもかまわない。ただし、図は行数に含まないも
のとする。
(3)下線部(c)について、リン酸化を除くタンパク質翻訳後修飾を5つあげて、そ
の修飾による効果をそれぞれ1行で述べよ。酵素に限らず、一般的なタンパク質
の修飾について記述してよい。
(4)下線部(d)に記されたように、タンパク質はそれぞれ固有の等電点をもつ。タ
ンパク質の等電点とは何かを2行程度で説明せよ。またタンパク質の等電点を調
べる方法を2つあげ、それぞれについて2行程度で述べよ。
(次ページに続く)
1
(B)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
ミトコンドリアの内膜に大量に存在する[○ア○]
(呼吸鎖)では(b)酸化的リン酸化
が行われる。ミトコンドリアにはミトコンドリア DNA(mtDNA)が含まれており、酸化的
リン酸化や ATP の合成にかかわる酵素などのタンパク質をコードしている。ヒトでは
mtDNA の変異により、酸化的リン酸化に必要な酵素に異常が生じる疾患がいくつか知られ
ている。特に、
(c)多くのエネルギーを必要とする器官が影響を受けやすい。また、酸化的リ
ン酸化に異常が起こると、解糖系の最終産物である[○イ○]から[○ウ○]の合成が増加
し、血液の pH が酸性に傾くことがある。
(a)
(1)[○ア○]〜[○ウ○]に適切な語句を入れよ。
(2)下線部(a)について、模式図を描き、以下の5つの名称に相当する部位を図中
に記せ。また、マトリックスとクリステについてそれぞれ2行程度で説明せよ。
[外膜、内膜、マトリックス、膜間腔、クリステ]
(3)下線部(b)について、以下の設問(ⅰ)、(ⅱ)2問とも答えよ。
(ⅰ)3種類の呼吸酵素複合体を、電子を受け取る順に番号とともに記せ。
(ⅱ)酸化的リン酸化によって ATP が生成される過程を以下の単語をすべて用い
て5行程度で説明せよ。
[クエン酸回路、酸素、プロトン勾配、ユビキノン]
(4)下線部(c)について、以下の5つの器官の中で最も影響を受けやすいと考えら
れるものを1つあげよ。
[皮膚、骨、脳、胃、肺]
2
生物学
問題2
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(5)のすべてに答えよ。
ゲノム情報の担い手である DNA の複製は、
(a)複製起点から二本鎖 DNA をほどき、部分
的に一本鎖 DNA をあらわにすることから始まる。複製装置は二本鎖を開き進め、見かけ上
Y字型の[ ア ]が DNA に沿って移動していく。そして、
(b)2つの一本鎖 DNA をそれ
ぞれ鋳型として新しい DNA 鎖を合成する。複製装置の中心である DNA ポリメラーゼの高
い DNA 複製精度を保証する1つの仕組みは DNA ポリメラーゼ自身が備える[ イ ]の
機能である。ポリメラーゼ活性により間違えて取り込んだヌクレオチドを取り除く[ ウ ]
活性をもっているのである。また、(c)遺伝子の発現は、DNA の一部分が RNA に転写され
ることから始まる。タンパク質をコードする遺伝子からの転写産物は、真核生物の場合、核
内で(d)プロセシングを受けた後、細胞質に輸送され、リボソームによりタンパク質に翻訳
され、それが最終的な遺伝子産物として細胞内外で機能を発揮する。
(1)[
ア
]~[
ウ
]に適切な語句を入れよ。
(2)下線部(a)について、複製起点にはどのような塩基組成上の特徴があるか、3
行程度で説明せよ。
(3)下線部(b)について、2つの一本鎖 DNA は互いに異なる様式で、その相補鎖
が合成される。DNA ポリメラーゼがヌクレオチドを重合する方向に着目し、そ
の相違を5行程度で説明せよ。
(4)下線部(c)について、タンパク質のアミノ酸配列を指定するものがメッセンジ
ャーRNA(mRNA)である。ほかの主要な種類の RNA を3つあげ、その機能を
それぞれ 1 行程度で説明せよ。
(5)下線部(d)の主要な例を3つあげよ。
(次ページに続く)
3
(B)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
遺伝子操作技術を用いると、特定の遺伝子を含む DNA の領域を単離し、この DNA 断片
の複製をたくさんつくることができる。DNA 分子を特異的な部位で切断する酵素は、
[ ア ]とよばれている。[ イ ]は DNA 主鎖に生じた切れ目をつなぎ合わせること
ができる酵素で、[ ウ ]等のベクターに DNA 断片を組み込む際に使用する。[ ウ ]
は小さな環状の DNA で、
[ ウ ]と大腸菌を使えば、目的の DNA 断片を効率よく増やす
ことができる。導入した DNA 断片に含まれる遺伝子を発現させる場合には、
(a)発現ベクタ
ーとよばれる特殊設計のベクターを使用する。このように、目的とする DNA 分子の複製を
たくさんつくることを DNA クローニングとよぶが、現在では(b)PCR 法を利用したクロー
ニングが多用されている。PCR 法の効率が 100%であれば、目的とした DNA の量はn回の
増幅反応で[ エ ]倍となる。また、単離した遺伝子を人工的につくり変え、それを動物
の細胞に導入して、変異遺伝子を子孫に受け継がせることができる。マウスでは、発生の初
期段階である胚盤胞の細胞に由来する[ オ ]を利用することで特定の遺伝子を欠失した
[ カ ]マウスがつくられている。すなわち[ オ ]の正常な遺伝子を相同組換えによ
って変異遺伝子と置き換えて別系統マウスの胚盤胞に注入し、それを偽妊娠マウスの子宮内
に移植して産子を得て、F1個体を得る。
(c)ただし、すべての産子が生殖細胞に変異遺伝子
を保持しているとは限らないので、さらなる交配で[ カ ]マウスを得ることになる。
(1)[
ア
]~[
カ
]に適切な語句を入れよ。
(2)下線部(a)について、発現ベクターの特徴について2行程度で説明せよ。
(3)下線部(b)について、通常、PCR でクローニングできる DNA は、始めと終わ
りの部分の塩基配列がわかっているものに限られる。その理由について、2行程
度で説明せよ。また、研究対象としている生物についての塩基配列の情報はない
が、何種かの近縁種については情報がある場合、どのような方法で PCR を実施
したらよいか。考えられる方法について、3行程度で説明せよ。
(4)下線部(c)について、その理由について5行程度で説明せよ。
4
生物学
問題3
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(3)のすべてに答えよ。
1つの細胞は、一連の過程によってその中身を倍化し、2つに分けて2つの娘細胞を生み
出す。真核細胞の細胞周期は4つの時期に分けられ、遺伝情報を倍化する時期を[○ア○]
期、遺伝情報および(a)細胞質が2つに分けられる時期を[○イ○]期、ほかの2つの時期
を[○ウ○]
・
[ エ ]期という。遺伝情報を二分するために用いられる細胞骨格系タンパ
ク線維は微小管である。多くの動物細胞の有糸分裂において、[○オ○]が倍化して2つの
極に移動し、
[○カ○]の形成基部となる。
[○カ○]は多数の微小管で構成されている。一
方、微小管は鞭毛・繊毛を構成するタンパク線維でもある。図1Aのように1本の鞭毛をも
つ単細胞動物では、鞭毛の形成基部が、有糸分裂において倍化し[○カ ]の形成中心とな
り、[ イ ]期には鞭毛構造が一時的に消失する(図1B)。
(1)[○ア○]〜[○カ○]に適切な語句を入れよ。
(2)下線部(a)の仕組みは、動物細胞と植物細胞で異なる。植物細胞ではどのよう
な過程で行われるか、3行程度で説明せよ。図を用いてもかまわない。ただし、
図は行数に含まないものとする。
(3)単細胞生物から多細胞生物への進化の過程において、鞭毛を使って水中を泳ぐこ
とで敵から逃れられる単細胞生物が、やがて図2のような集合体を形成するよう
になり、その後、多細胞生物が進化したという説がある。集合体において細胞分
裂が同調していないことが、生存上有利であったと考えられている。その理由に
ついて、本文を参考にして4行程度で記述せよ。
(次ページに続く)
5
(B)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
有性生殖をする多細胞生物の細胞は、世代間で遺伝情報の伝達を担う[ ア ]細胞と、
それ以外の[ イ ]細胞からなる。
[ ア ]細胞に生じた(a)遺伝子の変異は次世代の子
孫へと引き継がれるが、[ イ ]細胞の変異は子孫に引き継がれることはない。
[ ア ]細胞は減数分裂を行う。減数分裂では、核内において DNA が1回複製された
後、
ウ ]回起きることにより、二倍体細胞から一倍体細胞である
(b)核と細胞の分裂が[
配偶子ができる。減数分裂の過程では、父方と母方の相同染色体の間で組換えが起きるため、
こうしてできた配偶子のもつゲノムは、その由来に関して、さまざまな組み合わせとなる。
配偶子はやがて受精による融合を経て受精卵となり、親とは異なる遺伝情報をもつ個体とし
て発生する。
(1)[
ア
]〜[
ウ
]に適切な語句を入れよ。
(2)下線部(a)について、変異には優性変異と劣性変異がある。優性変異と劣性変
異を、あわせて3行程度で説明せよ。ただし、性染色体における変異は解答に含
まないものとする。
(3)下線部(b)について、染色体が娘細胞へと均等に分配される際の、コヒーシン
の役割を1行程度で説明せよ。
(4)一本の父方染色体上に遺伝子Aと遺伝子Bがあり、それと相同な母方染色体上に
対立遺伝子aと対立遺伝子bがあるとする。これらの相同染色体をもつ二倍体細
胞の遺伝子型は、AaBbと表すことができる。この二倍体細胞が減数分裂し、
得られる配偶子の遺伝子型について、以下の設問(ⅰ)、(ⅱ)2問とも答えよ。
(ⅰ)遺伝子Aと遺伝子Bの距離が十分に離れていて独立して分配されるならば、
配偶子の遺伝子型はAB:Ab:aB:ab=1:1:1:1の割合で現れ
ることになる。一方で、遺伝子Aと遺伝子Bが完全連鎖している場合、得
られる配偶子の遺伝子型AB:Ab:aB:abはどのような割合になる
か。
(ⅱ)得られた配偶子の遺伝子型が、AB:Ab:aB:ab=202:5:3:
180の割合で現れた。このことから、減数分裂第一分裂時に組換えが起
きたことが考えられた。配偶子の何パーセントで組換えが起きたか、計算
せよ。
6
生物学
問題4
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
動物の組織の多くは、結合組織と上皮組織に大別できる。結合組織では、個々の細胞は不
定形で、その周囲を大量の細胞外マトリックスが埋める。これに対し上皮組織では細胞外マ
トリックスは乏しく、細胞同士が隣接して並ぶ。また上皮細胞では、明瞭な極性がみられる。
たとえば管構造をつくる上皮細胞の場合、管腔に面した[ ア ]面と、管の外側の[ イ ]
面とでは性質が大きく異なる。[ イ ]面はさらに細胞外マトリックスからなる基底膜に
接している。
細胞同士の接着に関わる装置としては、密着結合、
[ ウ ]、デスモソーム、
(a)ギャップ
結合が知られている。[ ウ ]では、カドヘリン分子とそれにつながるアクチンが重要な
役割をもつ。
(1)[○ア○]〜[○ウ○]に適切な語句を入れよ。
(2)細胞接着分子カドヘリンには、E—カドヘリンやN—カドヘリンをはじめとして、
複数種のカドヘリンが知られている。これらのカドヘリンが細胞接着を引き起こ
す際、同種のカドヘリン同士が結合するか、あるいは異種のカドヘリン同士が結
合するかについて知りたい。どのような実験をすればよいか、5行程度で説明せ
よ。
使用できる細胞は、非接着性の細胞に、遺伝子導入によってE−カドヘリンを
発現させた細胞(緑色蛍光を発する)と、同じくN−カドヘリンを発現させた細胞
(赤色蛍光を発する)である。なお解析などに必要な装置はすべて揃っている。
(3)がんの多くは上皮性組織に由来する。規則正しく並ぶ上皮細胞が転移性がん細胞
に変化する際、しばしば上皮—間充織転換がおこる。この過程でみられる変化を、
「基底膜」と「カドヘリン」の語句を用いて、3行程度で説明せよ。
(4)下線部(a)に関連して、心筋におけるギャップ結合の役割について2行程度で
記せ。
(次ページに続く)
7
(B)以下の文章を読んで、設問(1)~(3)のすべてに答えよ。
H+ポンプがかかわる植物応答の 1 つに、光による「気孔の開口」がある。気孔は2つの
孔辺細胞に囲まれた穴で、孔辺細胞の体積が増加することで気孔が開く。植物に光が当たる
と、細胞内の(b)光受容体Xが光を感じて活性化する。この活性化情報は、細胞内シグナル
分子を介して伝達され、細胞膜にある H+ポンプを活性化する。H+ポンプによって H+が細
胞外へ輸送されると膜電位の過分極が生じ、膜電位依存(c)K+チャネルが開き K+イオンが
取り込まれる。その結果、浸透圧が上昇し、水が取り込まれ、孔辺細胞の体積が増加する。
(a)
(1)下線部(a)と(c)について、チャネルとポンプの一般的な相違点を3行程度
で説明せよ。
(2)下線部(b)について以下の文章を読んで、設問(ⅰ)、(ⅱ)2問とも答えよ。
光受容体Xは光受容領域とキナーゼ領域からなるタンパク質である。暗所では、
光受容領域がキナーゼの活性を抑制している。しかし、一旦光が照射されると光
受容領域による抑制が解除され、キナーゼの活性化が起こる。光受容体Xの光受
容能を失わせた変異遺伝子xmを植物に導入した。導入した植物には正常な遺伝
子Xが存在していないものとする。この場合、
(ⅰ)気孔がどうなるか答えよ。
(ⅱ)その理由を3行程度で答えよ。
(3)下線部(b)について、光受容体Xと細胞内で結合するタンパク質Yを見つけた。
Yが、光受容体Xのシグナル伝達経路におけるシグナル分子であることを検証す
るためにはいくつかの実験方法が考えられる。そのうち、2つを取り上げ、それ
ぞれ2行程度で説明せよ。
8
生物学
問題5
(A)〜(C)のうち、2問を選んで解答せよ(必ず2問だけを選ぶこと)。また、それぞ
れの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)設問(1)、(2)2問とも解答せよ。
(1)裸子植物から被子植物が進化した際、被子植物は独特な受精形式を獲得したと考
えられる。
(ⅰ)この受精形式の名称は何か。
(ⅱ)この受精形式の特徴を5行程度で説明せよ。ただし、説明には「助細胞」
と「胚」の2つの用語を必ず用いること。
(ⅲ)この受精形式は、裸子植物の受精形式に比べて、どのような利点があると
考えられるか。5行程度で説明せよ。
(2)表1と表2は、異なる生物 A〜H、X、Y の特定の DNA の塩基配列を決定し、並
べたものである。表1では生物 X と同じ塩基の場合を、表2では生物 Y と同じ
塩基の場合を、それぞれ「-」で示している。
(ⅰ)表1の情報にもとづいて、生物 X を外群とした生物 A〜D の最節約系統樹
を描け。図には外群も含めること。
(ⅱ)表2の情報にもとづいて、生物 Y を外群とした生物 E〜H の最節約系統樹
を描け。図には外群も含めること。
表1.生物 A〜D と X の特定の
DNA の塩基配列
表2.生物 E〜H と Y の特定の
DNA の塩基配列
塩基配列
塩基配列
生物 X
T A G T T C C A G T
生物 Y
G C G T A C C A T T
生物 A
- T - - - - - - T -
生物 E
- - C - C - - - A -
生物 B
- - - - - G - - T -
生物 F
- - - - C - - - - -
生物 C
- T - - - - - - T -
生物 G
- - C - C - - - - -
生物 D
- - - - - G - - T -
生物 H
- - C - C - - - A -
(次ページに続く)
9
(B)脊椎動物に関する以下の文章を読んで、設問(1)〜(4)のすべてに答えよ。
脊椎動物のうち、水中で生活する魚類には、空気の振動を内耳に伝える聴覚器官は、一部
の例外を除いて発達していない。魚類では、体表で水の動きを感じる[○ア○]を備えたも
のが多い。両生類では、サンショウウオ類やアシナシイモリ類には、鼓膜もなく空気の振動
を感じる聴覚器官が発達していないが、カエル類では、鼓膜はよく発達している。さらに、
ほとんどの爬虫類には鼓膜があり、鼓膜の振動を内耳に伝える[ イ ]が存在する。
[ イ ]
は細い骨で先端部が軟骨となり鼓膜に繋がっている。この骨は、魚類では[ ウ ]という
顎を頭骨につなぎ止める骨または軟骨であった。ところが、(a)哺乳類の祖先には聴覚器官
が無く、哺乳類が進化する際に新たに鼓膜と(b)3つの耳小骨が形成された。哺乳類ではこ
の3つの骨が鼓膜の振動を内耳に伝えている。
(1)[○ア○]〜[○ウ○]に適切な名称を入れよ。
(2)下線部(a)について、哺乳類に最も近い祖先分類群を記せ。
(3)下線部(b)について、3つの耳小骨の名称をあげよ。耳小骨のうちの2つは、
顎関節を形成していた骨に由来する。3つの耳小骨のそれぞれが、爬虫類や哺乳
類の祖先では、どんな骨に由来するか、その名称を記せ。
(4)鼓膜や耳小骨が発達していない陸上脊椎動物も、内耳で振動をまったく感じるこ
とができないわけではない。彼らがどのようにして、振動を感じているかを簡潔
に記せ。
(C)分類学、系統学または生物地理学に関する以下の用語(1)〜(8)の中から5つを
選び、それぞれについて3行程度で説明せよ(必ず5つだけ選ぶこと)。
(1)シンタイプ(syntype)
(2)異名(synonym)
(3)起源の中心(center of origin)
(4)脱皮動物(Ecdysozoa)
(5)胞子体(sporophyte)
(6)心皮(carpel)
(7)石炭紀(Carboniferous period)
(8)らせん卵割(spiral cleavage)
10
生物学
問題6
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
キョウソヤドリコバチはニクバエ類の蛹に寄生する体長約 3 mm のハチである。このハ
チのメス成虫は、ハエの蛹1つの中に多数の卵を産む。これらの卵から孵化した幼虫はハエ
の組織を食べつくして成長する。そしてハチの成虫がハエの蛹の殻を破って脱出し、オスと
メスが交尾した後に、メスは別のハエの蛹を探してそれに産卵する。ある実験では、このハ
チの1匹のメス成虫にハエの蛹1つを与えた場合に産んだ卵の数は平均 19.7 で、
(オ
(a)性比
スの率)は平均 6.4%と多くの動物における約 50%に比べて著しく低かった。また、このハ
チでは、あるハチが産卵したハエの蛹に、後から別のハチが産卵して寄生すること(重複寄
生)があり、2匹が産んだ場合にも両者のこどもが成長できる。
(b)後から産卵するハチは、
そのハエの蛹がすでに寄生されていることを感知できる。
(1)下線部(a)について、このハチの母親はこどもの性比を調節することができる。
その仕組みについて、適切な学術用語を使って4行程度で説明せよ。
(2)下線部(a)について、こどもの性比を低くする(メスをより多く産む)ことの
意義について、適切な学術用語を使って4行程度で説明せよ。
(3)下線部(b)について、2匹目のハチがハエの蛹1つに産む卵の数は、1匹目の
ハチが産んだ卵の数と比べて、多い、同じくらい、少ない、のいずれと予想され
るか。その理由を含めて3行程度で記せ。
(4)下線部(b)について、2匹目のハチがハエの蛹1つに産む卵の性比は、1匹目
のハチが産んだ卵の性比と比べて、高い、同じくらい、低い、のいずれと予想さ
れるか。その理由を含めて3行程度で記せ。
(次ページに続く)
11
(B)以下の動物行動学に関係する語句(1)~(7)から4つ選び、それぞれについて
4行程度で説明せよ(必ず4つだけを選ぶこと)。
(1)寿命と繁殖のトレードオフ(trade-off between longevity and reproduction)
(2)概日リズム(circadian rhythm)
(3)性淘汰(sexual selection)
(4)命-ごちそう原理(life–dinner principle)
(5)スニーキング(sneaking)
(6)バイオロギング(biologging)
(7)ミュラー型擬態(Müllerian mimicry)
12
生物学
問題7
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)個体群とは、特定の地域にすみ、相互作用しあう、単一の生物種の個体の集まりのこ
とである。以下の個体群に関する設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
(1)個体群サイズは時間とともに変化する。その変化率は、以下の式であらわされる。
[○ア○]〜[○エ○]に適切な語句を入れよ。
個体群サイズの変化率
=[○ア○]+[○イ○]-[○ウ○]-[○エ○]
(2)個体群サイズは無限に増大することはできない。個体群サイズの増大を制限する
要因について、密度依存的要因と密度非依存的要因とに分けて、例をあげてあわ
せて4行程度で説明せよ。
(3)メタ個体群とは、互いに[○オ○]によりつながれた局所個体群と[○カ○]か
らなる集まりとして存続する地域個体群である。
[○オ○]、[○カ○]に入る適切な語句を記せ。
(4)メタ個体群において、局所個体群の数を制限する要因について、局所個体群の絶
滅率の増加のほかに2つあげ、その理由をあわせて4行程度で説明せよ。
(次ページに続く)
13
(B)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
熱帯雨林の樹木の高い種多様性を説明する仮説の1つに Janzen–Connell 仮説がある。
この仮説によると、(b)親木の近くに散布された種子や実生は死亡率が高く、単一樹種から
なる森林の発達が妨げられるとされてきた。しかしながら、アフリカ、南米、東南アジアの
どの地域にも、単一樹種が優占する、種多様性がきわめて低い熱帯雨林が存在することが報
告されている。単一樹種が優占する熱帯雨林の存在を説明する要因の1つとして、これら優
占樹種は例外なく[○ア○]と共生関係をもっていることが注目されている。[○ア○]に
は寄主の種特異性がみられるため、実生は親木や同種他個体から感染を受けて成長する。実
験的に[○ア○]を排除した実生は、
(c)そうでない実生に比べて成長が遅いという結果が示
されている。これらのことから、種多様性のきわめて低い熱帯雨林では、Janzen–Connell
仮説に反して、親木や同種他個体から隔離されて[○ア○]と共生できない実生の生存率が
低くなる可能性がある。
(a)
(1)下線部(a)について、熱帯雨林の樹木の高い種多様性を説明する、ほかの仮説
を1つあげて、3行程度で説明せよ。
(2)下線部(b)について、種子や実生の死亡率が高くなる要因を3つあげて、それ
ぞれ2行程度で説明せよ。
(3)[○ア○]に適切な語句を入れよ。
(4)下線部(c)について、実生の成長に違いが生じる要因を1つあげて、2行程度
で説明せよ。
14
生物学
問題8
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、(1)~(4)のすべてに答えよ。
多様な[○ア○]をもつことは、ヒトと他の動物とを隔てる大きな違いであると長年考え
られてきた。しかし、
(a)ヒト以外の霊長類などの研究から、動物にも[○ア○]があるとい
う主張も近年増えてきた。その際の[○ア○]の定義は「(少なくとも部分的には)
(b)社会
的学習によって集団内に共有された行動変異」である。
野外でヒト以外の動物を対象とする場合、複数地域間で行動を比較し行動変異を把握する
方法がとられることが多い。もちろん、野外で見られるすべての行動変異が[○ア○]の差
異ではないため、[○イ○]的差異や[○ウ○]的差異による説明が排除されるときに
[○ア○]の違いであるとされる。
(1)[○ア○]〜[○ウ○]に適切な語句を入れよ。
(2)下線部(a)のうち、1999 年の Nature に発表された論文等で議論の発端となっ
たヒト上科の動物種は何か、以下の学名(ⅰ)~(ⅹ)から該当するものを1つ
選ぶとともに、その標準英名を記せ。
(ⅰ)Ateles geoffroyi (ⅱ)Cebus capucinus (ⅲ)Gorilla beringei
(ⅳ)Gorilla gorilla
(ⅴ)Macaca fuscata (ⅵ)Macaca mulatta
(ⅶ)Pan paniscus
(ⅷ)Pan troglodytes (ⅸ)Pongo abelii
(ⅹ)Pongo pygmaeus
(3)
(2)における(ⅰ)~(ⅹ)の種すべてを含む系統樹を描け。その際、系統分岐
が正しく表されていればよく、実際の分岐年代を考慮する必要はない。
(4)下線部(b)はいくつかに分類されるが、そのうち刺激強調(stimulus enhancement)
と真の模倣(true imitation)について、それぞれ3行以内で説明せよ。
(次ページに続く)
15
(B)以下の文章を読んで、(1)~(5)のすべてに答えよ。
南アフリカのスタークフォンテイン洞窟から出土したアウストラロピテクス属の化石
Stw573 は、
「リトルフット」と呼ばれている。1995 年に報告されたのが4つの足部の骨で、
それらがやや小ぶりであったため、この愛称がついた。発見者らによると、
(a)talus は現生
ヒトのものに似ており、
(b)navicular には現生ヒト的な部分と類人猿的な部分が混在し、内
側(c)cuneiform はほぼ類人猿的であった。また、
(d)第一中足骨は現生ヒトに比べて、より
内側に向いており、その近位関節面は高い可動性を推測させるものであった。リトルフット
が属する種についてはまだ確定していないが、ルーシーに代表される[○ア○]とは形態的
に大きく異なっている。
最近、リトルフットの年代測定について興味深い新たな発表があった。これまでリトルフ
ットの年代は約 300–200 万年前と考えられてきたが、最新の方法を用いたところ、約 367
万年前と推定されたという。それまで広く受け入れられていた考えは、鮮新世(500–258 万
年前)のある時期に生息していた[○ア○]がそれ以降のすべてのアウストラロピテクス類
の祖先種であり、現生ヒトにつながっていくアウストラロピテクス類の系統は[○イ○]で
起源したというものであった。しかし、今回のリトルフットの年代推定により、そうではな
い可能性も示された。リトルフットの発掘はまだ続いているが、ほぼ全身の骨格が確認され
ている。復元が完了した際には、ルーシー、セラム、アルディといったヒト族(Hominini)
の化石骨格に勝るとも劣らない重要な標本となるだろう。
(1)下線部(a)〜(c)の3つの骨の名称のうち1つを選び、その和名を、選んだ
アルファベット(a)〜(c)とともに記せ(必ず1つだけ選ぶこと)。
(2)4つの足部の骨の形態から、リトルフットは複数のロコモーション様式を有して
いたと考えられている。そのうち、下線部(d)から推測できるロコモーション
様式について、そのように推測できる理由も含めて、3行程度で説明せよ。
(3)
[○ア○]に入る適切な初期人類の種名を以下から選べ(必ず1つだけ選ぶこと)。
Australopithecus afarensis、Australopithecus africanus、
Australopithecus sediba、Homo ergaster、Homo habilis、
Kenyanthropus platyops、Orrorin tugenensis
(4)
[○ア○]が生息していた時代の範囲を、本文から推測して以下から選べ(必ず1
つだけ選ぶこと)。また、そのように推測した根拠を3行程度で説明せよ。
500–367 万年前、367–300 万年前、300–258 万年前
(次ページに続く)
16
(5)[○イ○]に入る適切な地域名を以下から選べ(必ず1つだけ選ぶこと)。
東アフリカ、西アフリカ、南アフリカ、北アフリカ、
中央アフリカ、西アジア、中央アジア
17
18
物理学
問題9
(A)、(B)2問とも解答せよ。答えだけでなく計算過程がわかるように解答すること。
また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)水平方向を x 軸、鉛直方向を y 軸にとる。時刻 t = 0 に原点 O から初速度
v 0 = (v x 0 , v y 0 ) で質量 m の質点を投げ上げる( v x 0 > 0 , v y 0 > 0 )。質点は、y 軸負方
向への重力に加えて、速度 v に比例する抵抗力 − mγ v を受ける。ここで、 γ は
摩擦係数( γ > 0 )である。重力加速度を g として、以下の設問にすべて答えよ。
必要があれば、次の近似式を使ってよい: x << 1 のとき ln (1 + x ) ~ x −
x2 x3
+
2
3
(1)質点の速度 v = (v x , v y ) についての微分方程式を書き、それを解いて、時刻 t に
おける速度 v = (v x , v y ) を求めよ。
(2)時刻 t における位置 r = ( x, y ) を求めよ。
(3)質点が鉛直方向に到達する最高点の高さ y max を求めよ。また、摩擦がある場合
の y max が、摩擦のない場合に比べてどれだけ下がるかを、 γ が十分小さい極
限で、 γ について1次の項まで求めよ。
(次ページに続く)
19
(B)エネルギー関数 E の分子系が温度 T の熱平衡にあるとき、定容熱容量 Cv =
CV =
∂ E
∂T
が
(E − E )2
kT 2
となることを示せ。ここで、
は温度 T におけるカノニカル平均、k はボルツマン
定数である。
また、系が単原子分子 N 個からなる理想気体であるとき、エネルギー等分配則から
(E − E )2
E を求め、それにもとづいて
を求めよ。
2
E
20
化学
問題10
(A)~(C)のすべてに解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
Th
である。したがって、系に加えられた熱量 qh は
[ ウ ]である。このとき、エントロピー変化
ΔS は[ エ ]と表される。一方、B→C は断熱
過程なので、ΔS は[ オ ]である。このときの
内部エネルギー変化 ΔU は、定容熱容量 CV を用
いて、[
カ
圧力,p
図1は、理想気体1モルの可逆カルノーサイク
ルである。 A→B の等温過程における仕事は
[ ア ]で、内部エネルギーの変化は[ イ ]
Tc
]と表される。
等温線
断熱線
A
(VA , pA)
B (VB , pB)
D
(VD , pD)
C
(VC , pC)
体積,V
図1
(1)
[ ア ]~[ カ ]に当てはまる、最も適切な数値・数式を入れよ。数式には、
体積 VA 、VB 、温度 Th 、Tc 、気体定数 R、CV を用いよ。ただし、CV は温度に
よらず一定とする。
(2)C→D で系から放出された熱量を qc とするとき、qh/qc を Th と Tc を用いて表
せ。
(3)一般に、熱機関の効率 η は以下の式で定義される。
η = [系のした仕事]/[系に加えられた熱量]
この機関の効率 η を、Th と Tc を用いて表せ。
(4)このサイクルを温度-エントロピー図で表し、囲まれた領域の面積が、系が行っ
た仕事と等しいことを示せ。
(次ページに続く)
21
(B)以下の設問(1)、(2)2問とも答えよ。
(1)以下の(ⅰ)~(ⅲ)の反応において、 ア
~
エ
に入る主生成物の化
学構造式を書け。(ⅳ)の反応の
オ 、 カ
については、それぞれ主生成
物と副生成物を書け。
H3 C
HNO3
(ⅰ)
(ⅱ)
(ⅲ)
(ⅳ)
CH3CH2(CO)Cl
H2/Pd
イ
AlCl3
ウ
HCl
CH2CH3
Cl
CH3
ア
H2SO4
Br
エ
KOH
オ
CH3CH2OH
主生成物
+
カ
副生成物
(2)マロン酸エステル合成によって以下の化合物を合成する方法を示せ。
CH2CH2COOH
(C)スピン-スピン結合による分裂パターンと、おおよその化学シフトがわかるように、
以下の化合物の 1H-NMR スペクトルと、13C-NMR スペクトル(1H デカップル無し)
の概形を描け。
(1)エタノール
(2)アセトン
22
数学
問題11
(A)、(B)2問とも解答せよ。答えだけでなく計算過程がわかるように解答すること。
また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)
せよ。
を2つの実数とする。このとき、以下の設問(1)〜(3)のすべてに解答
 a 0
(1)
 について、 A n を求めよ。ただし、 n = 1, 2,  とする。
行列 A = 
 0 b
(2)
行列 B =
(3)
1 a + b b − a

 の固有値を求めよ。
2  b − a a + b 
を上の行列とする。
をパラメーターとする線形微分方程式
その一般解は
こ こ で、
で与えられる。
で ある。このとき
が平面
 x(t ) 
d  x(t ) 

 = B
 について、
dt  y (t ) 
 y (t ) 
において、その解の極 限
上に存在するための、初期値
を求めよ。
(次ページに続く)
23
(B)大小2つのサイコロを投げて出た目を
、
とし、
行列
つくる。このとき、以下の設問(1)〜(3)のすべてに解答せよ。
(1)
が対称行列になる確率を求めよ。
(2) C が正則行列になる確率を求めよ。
(3)行列式 C の期待値を求めよ。
24
を
分科問題番号対応表
分科名(分科番号) 問題番号
自然人類学(1)
人類進化論(2)
動物系統学(3)
海洋生物学(4)
動物行動学(5)
動物生態学(6)
生態科学 I(7)
動物発生学(8)
環境応答遺伝子科学(9)
細胞情報制御学(10)
植物生理学(11)
形態統御学(12)
植物系統分類学(13)
植物分子細胞生物学(14)
植物分子遺伝学(15)
生態科学 II(16)
構造生理学(17)
理論生物物理学(18)
分子生体情報学(19)
神経生物学(20)
ゲノム情報発現学(21)
分子発生学(22)
遺伝子情報解析学(23)
形質発現学(24)
分子細胞生物学(25)
生体分子情報学(26)
理論分子生物学(27)
*脂質生体機能学(28)
進化形態(29)
系統発生(30)
ゲノム多様性(31)
社会生態(32)
思考言語(33)
認知学習(34)
高次脳機能(35)
統合脳システム(36)
ゲノム進化(37)
実験動物科学(38)
野生動物(39)
*今年度出題せず
1
2
3
4
5
6
7
8
9
9
11
12
13
14
15
7
17
18
19
20
21
22
23
24
21
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
筆答試問
専門科目(第一志望)
試験時間 9:00~10:30
○ 分科問題番号対応表を参考にして、第一志望の分科の問題が入っていること
を確認すること。誤った問題が入っている場合は、速やかに監督者に知らせる
こと。
○ 各問題中の小問(A)、(B)、
・・などの解答には、それぞれ別々の解答用紙を
用いること。1つの小問への解答が2枚にわたる場合は、1枚目の右下に「次
ページへ続く」、2枚目の左上に「1ページ目からの続き」と大きく明記する
こと。
解答用紙の裏面は使用しないこと。
○ すべての解答用紙の所定の欄に、受験番号(2箇所)、氏名、および選択した
問題の番号を記入すること。選択した問題の番号は、1~39の問題番号と
(A)、(B)などの小問の記号を、1-(A)のように記入すること。
○ とくに指定のない限り、解答は日本語または英語で記述すること。
○ なお、第二志望の分科の問題は、第一志望の分科の試験終了後に配布する。第
二志望分科の試験時間は、午前10時45分から12時15分である
(第一、第二志望が共通の問題を指定している場合は、第二志望分科の試験を
受けずに第一志望の分科の試験終了後に退室すること)。
筆答試問
専門科目(第二志望)
試験時間 10:45~12:15
○ 分科問題番号対応表を参考にして、第二志望の分科の問題が入っていること
を確認すること。誤った問題が入っている場合は、速やかに監督者に知らせる
こと。
○ 各問題中の小問(A)、(B)、
・・などの解答には、それぞれ別々の解答用紙を
用いること。1つの小問への解答が2枚にわたる場合は、1枚目の右下に「次
ページへ続く」、2枚目の左上に「1ページ目からの続き」と大きく明記する
こと。
解答用紙の裏面は使用しないこと。
○ すべての解答用紙の所定の欄に、受験番号(2箇所)、氏名、および選択した
問題の番号を記入すること。選択した問題の番号は、1~39の問題番号と
(A)、(B)などの小問の記号を、1-(A)のように記入すること。
○ とくに指定のない限り、解答は日本語または英語で記述すること。
問題
1
(A)〜(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)サナダムシ(Taenia 属)のうち、ヒトのみを最終宿主とする種には、ブタを中間宿主
とする種Aとウシを中間宿主とする種Bがあり、AとBは姉妹種である。AとBの共
通祖先からの分岐が約 170 万年前であったと推定された。Aはアジアの地域種、Bは
地域に限らず広く分布する。AとBの共通祖先がアフリカ起源で、最終宿主がはじめ
はネコ科であったとすると、これらのサナダムシの進化と人類の進化史はどのように
関連すると考えられるか、5行程度で記述せよ。
(B)世界各地の現代人集団(地域の先住民)の身体的特徴には、緯度勾配を示すものがみ
られる。そのような例を2つあげ、適応的意義をそれぞれ2行程度で説明せよ。
(C)自然人類学においてもっとも関心がある研究テーマと、それへのアプローチについて
解答用紙 1 枚以内で記述せよ。
問題
2
(A)〜(D)4問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)ヒトの共感性の基盤を探る際、その行動尺度として慰め行動が注目されている。この
行動について以下の設問(1)~(3)のすべてに答えよ。
(1)慰め行動と類似の行動に宥め(なだめ)行動や仲直り行動がある。これら3種の
行動の大きな違いについて、あわせて5行程度で説明せよ。
(2)ある行動が、慰め、宥め、仲直り行動であることを実証するために一般に用いら
れる方法として、PC‐MC(Post conflict–Matched control)法がある。この方
法について、5行程度で説明せよ。
(3)
(2)の方法を用いて(1)で答えた違いで区別できる慰め行動が認められたとし
ても、真の「慰め」とは呼べない場合がある。例えば、どんな場合か例を1つあ
げて2行程度で説明せよ。
(B)ヒト以外の霊長類では、
「乳幼児期(Infantile period)」と「少年・少女期(Juvenile
period)」の間にはさまれる年齢クラスとしての「コドモ期(Child period)」はない
と言われる。この場合の「コドモ期」の定義とは何か、またヒトにおいてコドモ期が
存在することによって可能となっていることは何か、あわせて5行程度で説明せよ。
(C)霊長類で複雄群を形成する種の多くは雌が腫脹する性皮をもつが、複雄群を形成する
が腫脹する性皮をもたない種は、おおむね季節繁殖者(全出産の3分の2以上が3ヶ
月以内に集中すること)であることが知られている。この事実をふまえながら、性皮
腫脹の機能を10行程度で説明せよ。
(D)冷温帯落葉樹林と暖温帯常緑樹林に生息するニホンザルの生態的な違いについて、
10行程度で述べよ。
問題
3
(A)〜(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問に解答用紙1枚以内で答えよ。
ガラパゴス諸島イサベラ島ウォルフ火山周辺のみに生息し、固有の形態的・行動的特徴を
もつ大型のイグアナが、2009 年に新種 Conolophus marthae として記載された。本種は、古く
から知られる既知のリクイグアナ Conolophus subcristatus と C. pallidus の近縁種である。記
載論文の著者は、本種がごく狭い地域に少数(成体は 200 頭程度と推定されている)しか生
息しないため厳重な保護が必要であることを理由として、野外個体を殺して標本にすること
を避け、血液を採取し、個体標識して野外へ放逐した成体オスをホロタイプに指定した。こ
の個体の写真・動画・DNA データはデータベースに登録され、インターネット経由でアク
セス可能となっている。継続調査により個体数の増加が確認できれば捕獲許可が下り、ホロ
タイプ指定した個体をサンタクルス島の施設で死亡するまで飼い、死亡後に標本にしてダー
ウィン財団管理下のコレクションに供託すると宣言されている。現行の国際動物命名規約で
は、ホロタイプのコレクションへの供託は勧告にとどめられており、生きた個体をホロタイ
プ指定することは規約に抵触しない。しかし、ホロタイプをコレクションに供託しないこと
の妥当性をめぐって、本件は論争の的となった。
生きた野外個体をホロタイプ指定することを、どのような条件で認めるべきか。あるいは、
原則的に禁止すべきか。学名の客観性と安定性を確保するという国際動物命名規約の観点か
ら、上記のイグアナの事例の問題点を指摘するとともに、あなたの意見を理由とともに記述
せよ。
(B)顎関節と歯における哺乳類と爬虫類の間の形態学的違いをあげ、爬虫類型から哺乳類
型への進化とその適応的意義について、解答用紙1枚以内で説明せよ。
(C)大学院入学後に動物系統学分科において研究したいテーマを記し、そのテーマを選ん
だ理由、研究手法、学問的位置づけについて述べよ。解答用紙2枚以内とする。
問題
4
(A)〜(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)海洋生物に特徴的にみられる懸濁物食者(suspension feeder)が含まれる主要な動物群
を4つあげよ。また、懸濁物をとらえるメカニズムとそのために機能的に特化した体
の構造を、それぞれの動物群について4行程度で説明せよ。
(B)以下の文章を読んで、設問に答えよ。
現生の節足動物は4つのサブグループ、昆虫類・甲殻類・多足類・鋏角類に分けら
れ、一般的にそれぞれ亜門の位置を与えられる。また節足動物は、海・陸水・陸上・空
中とあらゆる環境に進出しているが、化石記録から、節足動物の共通祖先は海産であ
ったと考えられている。これら4つの亜門間の系統関係については諸説あるが、下の
仮説1は主に形態学的知見にもとづく分岐分析の手法による解析で支持される系統関
係、仮説2は主に分子系統学的手法による解析で支持される系統関係である。
仮説1 [{(多足類・昆虫類)甲殻類}鋏角類]
仮説2 [{(甲殻類・昆虫類)多足類}鋏角類]
2つの仮説のうちのどちらか1つを選択し、その系統仮説から推定される進化の道
筋を10行程度で説明せよ。その際、海から陸への進出という観点をふまえ、それぞれ
の亜門における陸産種・海産種の有無や多寡、および呼吸器の進化を考慮し、次の語句
をすべて使うこと。
[最節約的、原始的形質状態、派生的形質状態、共通祖先]
(C)海産無脊椎動物の発生に関する設問(1)、(2)2問とも解答せよ。
(1)海産無脊椎動物には、多くの分類群で浮遊幼生が見られ、それらは動物門を越え
て共通の生態的特徴を示す。浮遊幼生には planktotrophic larva と lecithotrophic larva
の2つの代表的なタイプが含まれる。この2つのタイプの違いを、次の語句すべ
てを使って6行程度で説明せよ。
[摂餌様式、ふ化時の大きさ、幼生の数、分散力]
(2)海産無脊椎動物では、同一種内で1つの卵塊中の受精卵や幼生に二型かそれ以上
の型があり、型間で発生様式や機能的な役割が異なることがある。このような多
型を示す分類群の例を1つあげ、具体的にどのような現象を示すのかを5行程度
で説明せよ。
問題
5
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。あわせて解答用紙1枚
以内で解答すること。
ある無毒ヘビの種Aは、同所的に生息する有毒ヘビの種Bに体色(模様や色彩)が似てい
る。これらの2種において似た体色が進化した理由について、以下の2つの仮説を考えた。
仮説1:(a)種Bの体色は毒蛇であることを捕食者に示す機能があり、種Aは毒蛇である
種Bに擬態すると利益を得るため、種Aにおいて種Bに似た体色が進化した。
仮説2:両種のもつ体色は捕食者に見つかりにくくするためのカモフラージュの機能があ
り、同じ環境に生息しているため、両種において似たような隠蔽色が独立に進化
した。
(1)下線部(a)のような機能をもつ色を何と呼ぶか。
(2)仮説1を検証するためには、どのような予測を立て、どのような実験や観察を行
えばよいか。具体的な予測を2つあげ、各々について実験•観察方法を述べよ。
(3)仮説2を検証するためには、どのような予測を立て、どのような実験や観察を行
えばよいか。具体的な予測を2つあげ、各々について実験•観察方法を述べよ。
(4)種Aと種Bが非常に近縁であった場合、仮説1と仮説2のいずれにおいても、そ
の仮説を強く支持するためには解決するべき別の問題点がある。これはどのよう
な点か説明せよ。
(B)動物の行動を研究する際に、キイロショウジョウバエやマウスのようなモデル生物を
対象に研究を進める場合と、それ以外の生物を対象に研究を進める場合がある。モデ
ル生物には、全ゲノムが解読されているなど研究に必要な情報が蓄積しており、飼育・
観察・実験の方法が確立しているという利点がある。大学院において、モデル生物で
はない特定の動物の行動を研究する場合の計画を具体的に示し、モデル生物を研究す
る場合の上記のような利点がないにもかかわらず、その動物で研究を行う意義を説明
せよ。解答用紙1枚以内で述べること。
問題
6
(A)、(B)2 問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)、(2)2問とも解答せよ。
「ガウゼの法則」として知られるように、生態的要求の似た2種の間では競争的排除が予
測され、実験的な観察もなされている。
(a)2種間の競争に関するロトカ・ボルテラモデルに
おいても、共存が安定平衡となる条件は限定されている。しかし、自然界では生態的に類似
した種を含め、多種が共存している場合が多い。それについては、
(b)種の特性の差異、競争
関係の時空間的な変動、第三者による影響、環境撹乱などによる説明が試みられている。
(1)下線部(a)について、モデルの数式、およびパラメータに関する説明を記せ。
(2)サケ科に属するイワナとヤマメは、同じ河川で共存し、ある程度分布の重なりを
もちながら、イワナはより上流部に、ヤマメはより下流部に偏って分布する。2
種の間には食物や繁殖場所をめぐる種間競争がある。下線部(b)に記された要
因のいずれかを考慮に入れて、この分布パターンを説明する仮説を2つ立て、そ
れぞれを検証するための研究計画を記せ。あわせて20行程度で記すこと。
(B)次の設問(1)、(2)2問とも解答せよ。
(1)一般に温帯に比べて熱帯の方が生物の種数が多い傾向があり、特定の分類群につ
いてみると緯度と種数の間には負の相関がみられることが多い。チョウ類(昆虫
綱鱗翅目のアゲハチョウ上科とセセリチョウ上科)でも、緯度と種数の間には負
の相関がある。このようなチョウ類の種数の緯度勾配の成立に関わると考えられ
る要因を3つあげ、どのように緯度勾配に関わるかについて、それぞれ5行程度
で説明せよ。
(2)陸上の生物群集の栄養段階は、大まかに言えば、植物、植食者、肉食者、分解者
から構成されている。注目すべきことに、植物の大部分は植食者に食われること
がなく、その結果、陸上の大部分は豊かな緑に覆われている。どのような要因で
植物の個体群が大きな食害を受けることなく存在しているのだろうか。考えられ
る要因を4つあげ、それぞれについて2行程度で説明せよ。
問題
7
(A)〜(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)、(2)2問とも答えよ。
一般に、生物の個体群密度が高くなるにつれて、資源をめぐる競争などによって1個体あ
たりの増加率(増殖率)は減少する。一方で、個体群密度が非常に低くなると1個体あたり
の増加率が低下することもあり、これをアリー効果(Allee effect)と呼ぶ。
(1)アリー効果がない場合とある場合について、個体群密度を横軸に、1個体あたり
の増加率を縦軸にとって、それぞれのグラフの概形を描け。
(2)アリー効果の起こる原因を2つあげ、それぞれ2行程度で説明せよ。
(B)外来種(外来生物)について、以下の設問(1)、(2)2問とも答えよ。
(1)外来種が新しい環境において定着に成功し、個体数を増加させ、分布域を拡大す
るために重要と考えられる生態学的な理由を2つあげ、それぞれ2行程度で説明
せよ。
(2)外来種が繁殖を介して在来種に与える影響を2つあげ、それぞれ3行程度で説明
せよ。
(C)以下の生態学の6つの用語(1)~(6)から4つを選択し、それぞれ3行程度で説
明せよ(必ず4つだけを選ぶこと)。
(1)最終収量一定の法則(law of constant final yield)
(2)他生的流入(allochthonous input)
(3)見かけの競争(apparent competition)
(4)ギルド内捕食(intraguild predation)
(5)進化における戦略と戦術(strategy and tactics in evolution)
(6)生態系エンジニア(ecosystem engineer)
問題
8
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(4)のすべてに答えよ。
Cell migration is essential for development in vertebrates. Neural crest cells emigrate from
the dorsal aspect of the neural tube. They migrate dynamically in the body and(a)differentiate
into a variety of cells.(注:neural crest cells、神経堤細胞;emigrate、遊走する)
(1)下線部(a)に関し、どのような細胞が含まれるかについて、2種類の例をあげ、
それぞれ発生における役割を5行程度で説明せよ。
(2)神経堤細胞以外で、脊椎動物の発生に関わる細胞移動の例を1つあげ、5行程度
で説明せよ。
(3)細胞移動を含めた形態形成には、反発因子の働きが重要であることが知られてい
る。反発因子として知られる分子の組み合わせを1つあげ、それらが関与する形
態形成について5行程度で説明せよ。神経堤細胞の例に限る必要はない。
(4)移動細胞と静止細胞は細胞生物学的に大きく異なる。その違いはどのようなもの
か、5行程度で説明せよ。
(B)以下の実験結果を読み、以下の設問(1)、
(2)2問とも答えよ。あわせて解答用紙
1 枚以内で答えること。
実験:ある脊索動物の胚の特定の割球をガラス針で単離し、そのまま静置して培養を
続けたところ、細胞塊を生じ、細胞塊の中には内胚葉細胞と脊索細胞が分化していた。
一方、単離した割球を分裂のたびに、単離して、細胞同士が接触しないように培養を
続けると、すべての細胞が内胚葉細胞になった。
(1)2つの培養条件で生じた差異の背景には、どのような発生学的機構が存在すると
考えられるか、説明せよ。
(2)この実験結果をもとに、細胞塊で機能して脊索細胞を分化させる分子を同定し、
胚発生における脊索形成の分子機構を解明するには、どのような実験を行えばよ
いか、説明せよ。
問題
9
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の設問(1)~(6)の中から2問を選択し、あわせて解答用紙1枚以内で解答
せよ(必ず2問だけを選ぶこと)。
(1)動物が致死温度を超える高温によって死亡するとき、さまざまな生理生化学的な
要因によって死に至る。それらの要因を3つあげて説明せよ。
(2)ある昆虫を 0℃から-30℃まで徐々に冷却した際に得られる凍結曲線を図示し(縦
軸は体温、横軸は時間)、その曲線の意味を説明せよ。ただし、この昆虫の過冷却
点を-15℃とする。
(3)毛細血管拡張性運動失調症の原因遺伝子産物である ATM キナーゼは、DNA 二本
鎖切断損傷によって活性化され、損傷応答タンパク質をリン酸化することで、二
本鎖切断損傷応答の経路に働くことが知られている。ATM キナーゼが上記以外
のストレス応答に関わる例を1つあげ、その機構を説明せよ(図を用いてもかま
わない)。
(4)DNA 損傷応答のうち、アポトーシスは特徴的な過程を経過する。その過程を利
用して、アポトーシスを起こしている細胞を検出する方法を2つあげて説明せよ。
(5)特定の遺伝子を破壊あるいは発現抑制処理し、その結果得られた表現型を調べる
ことによって対象遺伝子の機能を解析する方法を逆遺伝学という。逆遺伝学に基
づいた細胞レベルの実験において、特定の遺伝子を破壊する方法、発現抑制する
方法をそれぞれ1つあげて説明せよ(図を用いてもかまわない)。
(6)酸化ストレスとヒトの疾患との関連性について説明せよ。
(B)生物は温度や紫外線などの非生物的ストレスに常にさらされている。非生物的ストレ
スが生物におよぼす影響やその防御機構を明らかにするための研究計画を、研究目的、
方法、想定される結果、の3点に言及しつつ、解答用紙1枚以内で記述せよ。
問題
11
(A)~(E)のうち、3問を選んで解答せよ(必ず3問だけを選ぶこと)。なお、解答に
際しては必要に応じて説明図などを用いても良い。解答は、3問あわせて解答用紙1枚の範
囲内におさめよ。
(A)フィトクロム分子における光の吸収と構造変化について説明せよ。
(B)陰刺激に対する避陰応答について、それが起こる仕組みやそれに関わる分子、結果と
して生じる個体レベルの応答の内容について説明せよ。
(C)植物の青色光応答について、具体例を3つあげ、それぞれについて、それを感知する
光受容体と生じる生理応答の内容を簡単に説明せよ。
(D)フィトクロム遺伝子に点突然変異が生じた植物で、赤色光に対する生理応答能が失わ
れたとする。フィトクロム分子のどのような機能が損なわれたと考えられるか、でき
るだけ多くの可能性をあげよ。また、そのうちの1つについて、実験的にそれを確認
する方法を説明せよ。
(E)細胞内局在が未知の光受容体Yについて、それが細胞内のどのコンパートメントで機
能するかを決定するには、どのような実験を行えばよいか説明せよ。
問題
12
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)花芽形成に関して短日性を示す植物 A を材料に、光中断(暗期中断)実験を行いた
い。どのような実験を行えばよいか。実験の目的、予想される結果を含めて10行程
度で説明せよ。
(B)概日時計システムに関する下記の(1)、
(2)の語句について、それぞれ5行程度で
説明せよ。
(1)位相応答曲線 (phase response curve)
(2)転写翻訳フィードバック (transcription-translation feedback)
問題
13
(A)〜(D)4問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)〜(3)のすべてに答えよ。
現在よく受け入れられている被子植物の系統樹(APG III 類体系の目の相互関係を示す系
統樹)にもとづくと、被子植物の中ではまずアンボレラ目が分岐し、次に[ ア ]が分岐し、
その次にアウストロバイレヤ目(シキミ目)が分岐して、
(a)その他の被子植物の系統へと続
く。アンボレラ目と[ ア ]とアウストロバイレヤ目をあわせて(b)ANITA 植物群と呼ぶ。
(1)空欄[
い。
ア ]に入る最も適した目名を答えよ。目名は学名でも和名でもかまわな
(2)下線部(a)の「その他の被子植物」内の系統関係について5行程度で述べよ。
ただし、APG III 分類体系に従うこと。また、次の5つの用語をすべて用いること。
[クスノキ目、真正双子葉植物、単子葉植物、マツモ目、モクレン目]
(3)下線部(b)の ANITA 植物群のうち、東アジアに自生する植物にはシキミ
(Illicium anisatum)の他に何があるか。その種名を2つ答えよ。種名は学名でも
和名でもかまわない。
(B)クラマゴケ(イワヒバ目)、サギゴケ(シソ目)、スギゴケ(スギゴケ目)
、ゼニゴケ
(ゼニゴケ目)の違いについて7行程度で説明せよ。ただし、次の11個の用語をす
べて用いること。
[維管束、仮根、気孔、茎葉体、珠皮、大胞子嚢、大葉、配偶体、ハイドロイド、
胞子体、葉状体]
(C)陸上植物の地理的分布パターンにもとづく世界の植物区系のうち、全北植物区系界
(holarctic kingdom)について7行程度で説明せよ。
(D)被子植物の多様性が生み出された要因の1つとして、花と訪花動物との相互適応的な
関係の成立と進化が考えられる。一般にある特定の動物群が訪花する花は類似した特
徴をもつことが知られており、これを送粉シンドロームという。
動 物 媒 花 の う ち 、 鳥 媒 花 (ornithophily) 、 蛾 媒 花 (phalaenophily) 、 甲 虫 媒 花
(cantharophily)の花の特徴をそれぞれ2行程度で述べよ。また、該当する植物名(学
名でも和名でもかまわない)を1つずつあげよ。
問題 14
(A)〜(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)植物は植食者に対して様々な防御機構を発達させている。モデル植物シロイヌナズナ
を含むアブラナ目に特徴的な防御機構としてミロシナーゼ・グルコシノレート システ
ムが知られている。通称「カラシ油爆弾」と呼ばれるこの防御機構について10行程
度で説明せよ。
(B)下記の(1)〜(5)の5つの語句のうち3つを選び、それぞれ3行程度で説明せよ
(必ず3つだけを選ぶこと)。
(1)アクチン線維(actin filament)
(2)根冠(root cap)
(3)膜交通(membrane trafficking)
(4)光定位運動(photo-relocation movement)
(5)酵母ツーハイブリッド法(yeast two hybrid system)
(C)大学院において植物分子細胞生物学分科で行いたいと考えている研究について、テー
マを設定した上で、背景、目的、方法、期待される結果を解答用紙1枚以内で説明せ
よ。なお、必要に応じて説明図等を用いても良い。
問題
15
(A)〜(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)光合成電子伝達において、NADPH と ATP の合成の比率を調節する仕組みについて
7行程度で説明せよ。
(B)プロプラスチド、エチオプラスト、クロロプラストの関係について、機能と構造の違
いを含めて7行程度で説明せよ。
(C)以下の(1)〜(6)の語句から4つを選び、それぞれ2行程度で説明せよ(必ず4
つだけを選ぶこと)。
(1)ステート遷移(state transition)
(2)シトクロム b6f 複合体(cytochrome b6f complex)
(3)PsbS
(4)クロロフィル蛍光(chlorophyll fluorescence)
(5)フェレドキシン(ferredoxin)
(6)ゼアザンチン(zeaxanthin)
問題 17
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)定性的な結合実験から、タンパク質Aとタンパク質Bが結合することがわかった。次
に、その複合体の解離定数(Kd)と等量関係を求めたい。どのような機器分析法を用
いればよいか。分析法を2つあげ、それらの測定原理を説明するとともに、両者の利
点と欠点を比較し、あわせて15行程度で解答せよ。図を用いてもかまわない。ただ
し、図は行数に含まないものとする。
(B)以下の設問(1)、
(2)のうち、1問を選んで解答せよ(必ず1問だけを選ぶこと)。
(1)溶液 NMR 法を用いた構造解析では、解析対象のタンパク質の分子量が大きくな
ってくると、解析が困難になってくる。その理由を2つあげ、それぞれを克服す
るために考えられる方法について、あわせて7行程度で説明せよ。
(2)タンパク質の X 線結晶構造解析における、位相問題を7行程度で説明せよ。また、
その解決法としてどのようなものがあるか、名称を1つあげよ。
問題 18
(A)、(B)のうち、1問を選んで解答せよ(必ず1問だけを選ぶこと)。
(A)以下の設問(1)、
(2)2問ともに答えよ。答えだけでなく計算過程がわかるように
解答すること。
(1)系Aがエネルギー関数 E A (x) をもつとき、温度 T における系の自由エネルギーは
G A = −k B T ln
{∫ dx exp[− β E
A
}
( x )]
で求められる。ここで、β = 1 /( k B T ) 、k B はボルツマン定数である。同様に E B (x )
をもつ系Bの自由エネルギーを G B とおくと、自由エネルギーの差が
G B − G A = −k B T ln exp(− β ( E B − E A )
となることを示せ。ここで、
A
A
は系Aの温度 T におけるカノニカル平均を表す。
(2)転写因子Xは転写因子Yの遺伝子発現を正に制御し、YもX の遺伝子発現を正
に制御している。また、X、Yともに一定の速度で分解が起こる。このとき、X
とYのみからなる系は2つの安定状態を保持することが可能である。2つの安定
状態を保持できる仕組みを7行程度で説明せよ。必要に応じ、XとYの濃度に関
する微分方程式を書き、その安定点を示す図を使用すること。ただし、式および
図は行数に含まないものとする。
(B)以下の設問(1)、
(2)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に
記入せよ。図を用いてもかまわない。ただし、図は行数に含まないものとする。
(1)以下の[ ]内の5つの語句から3つを選び、それぞれ5行程度で説明せよ。
[相対速度テスト、ホモロジーマトリックス法、制限酵素断片長多型、
細胞質遺伝、バージェス頁岩動物群]
(2)近年、多くの生物種のゲノム全塩基配列が決定されたことにより、進化の過程
において、ゲノム上からの遺伝子欠失がさまざまな生物の系統で起きたことが
明らかとなっている。後生動物の共通祖先からヒトにいたる系統において過去
に起きた遺伝子欠失の事例を発見するにはどのような解析を行えばよいか。ま
た、その遺伝子が祖先生物のゲノム上から消滅した時期をできる限り絞り込む
ためには、どのような解析を行えばよいか。あわせて20行程度で説明せよ。
問題 19
(A)~(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)桿体視細胞の光応答の閾値は非常に低いことが知られている。低い閾値を実現する
メカニズムを2つあげ、それぞれ10行程度で説明せよ。
(B)光遺伝学(Optogenetics)において、細胞の応答を光で操作するためのツールとして用
いられる光受容タンパク質に求められる性質を2つあげ、それぞれ3行程度で説明せ
よ。
(C)G タンパク質共役型受容体の研究において、人工的にタグ配列を付加したものを培養
細胞などで作製することがよく行われている。タグ配列を付加する有用性を3行程度
で記述せよ。また、タグ配列をN末端またはC末端領域に付加した場合のそれぞれの
問題点について、考えられることをあわせて10行程度で記述せよ。
問題 20
(A)~(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)神経伝達物質放出制御について、以下の用語をすべて用いて10行程度で説明せ
よ。
[Ca2+、シナプス小胞、アクティブゾーン、エクソサイトーシス、
エンドサイトーシス、シンタキシン、ダイナミン、シナプトタグミン、
シナプトブレビン]
(B)網膜から大脳皮質一次視覚野までの視覚情報伝達経路を模式図で示し、各部位の神経
細胞がどのような受容野をもつかを10行程度で説明せよ。ただし、図は行数に含ま
ないものとする。
(C)小脳皮質のゴルジ細胞は、苔状線維からの入力を受けて顆粒細胞を抑制する。ゴルジ
細胞とそのシナプス入出力が運動制御においてどのような役割を担っているかを研
究することになった。あなたならどのような計画を立てるか。研究の具体的目標と方
法を10行程度で記載せよ。
問題 21
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)、(2)2問とも解答せよ。
分泌タンパク質や膜タンパク質の多くは小胞体膜上のリボソームで生合成される。この
とき、次の2つの事実が知られている。
(a)分泌タンパク質や膜タンパク質の多くは小胞体シグナル配列をもち、この配列をシグ
ナル識別粒子(SRP)が認識して結合し、リボソームを小胞体膜へ輸送し、生合成さ
れたポリペプチド鎖の小胞体内への輸送を促す。
(b)リボソーム自身は、小胞体膜上のタンパク質転送チャネル(Sec61 チャネル)に結合
しやすい。
(1)リボソームが(b)のような性質をもつにもかかわらず、
(a)の特異性が保証さ
れるためには、どのような調節機構が存在すると考えられるか。3行程度で説明
せよ。図を用いてもかまわない。ただし、図は行数に含まないものとする。
(2)
(1)の調節機構を担う分子に異常をきたした線虫では、生育が阻害されることが
わかった。その線虫を調べたところ、小胞体シグナル配列をもったタンパク質は
正しく小胞体へターゲットされていた。どのような不都合が細胞レベルで生じた
結果、線虫の生育が阻害されたと考えられるか。4行程度で説明せよ。
(B)嗅覚受容体(olfactory receptor、以下 OR と略す)遺伝子は、マウスでは 1,000 個程度
知られているが、個々の嗅覚神経細胞は 1 種類の OR 遺伝子のみを発現している。こ
の選択的な発現は、発生過程において、転写レベルでの調節を受けて決定される。最
近になって、嗅覚神経細胞の小胞体において特定の OR が大量に生合成されるため、
小胞体から核へシグナルが伝わり、その結果、直接あるいは間接的に他の OR 遺伝子
の発現が抑制されることが示唆された。この場合どのような分子メカニズムを用いて、
小胞体から核へ情報が発信されたと考えられるか、10行程度で述べよ。図を用いて
もかまわない。ただし、図は行数に含まないものとする。
問題 22
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)再生や個体発生において、ある細胞種Aが異なる細胞種Bへと変化する「分化転
換」が観察されている。具体例を1つあげ、分化転換がどのように制御されている
かについて、これまでの研究から解明されたことと、仮説として考えられることと
を区別しながら15行程度で説明せよ。図を用いてもかまわない。ただし、図は行
数に含まないものとする。
(B)以下の(1)〜(3)のうち1つを選び、「 」内の事象に関する研究課題を考
え、仮説を立て、どのような研究手法を用いて、いかなる結果が得られれば仮説を
立証できるか、10行程度で記述せよ(必ず 1 つだけを選ぶこと)。論理的に記述
されていればよく、その動物において実際には確立されていない手法であってもか
まわない。図を用いてもかまわない。ただし、図は行数に含まないものとする。
(1)カイメン骨片骨格は、骨片とよばれる両端の尖った針状のケイ酸性の骨格パーツ
が立てられ繋げられて形成される。この際、
「骨片は骨片形成細胞内で形成され、
骨片運搬細胞集団によって1本の骨片が体内空間を覆う上皮の上を運搬される。」
(2)カイメン骨片骨格形成において骨片が体内に立てられる際には、「骨片運搬細胞
集団が骨片を体内側から体の外側上皮に刺し、その後上皮に刺さった方の骨片の
端が持ち上がる。」
(3)「翅に模様を持つショウジョウバエの種では、成虫の翅脈の交差点の周囲に位置
する細胞が黒色色素などを合成することにより、ミズタマ模様が形成される。」
問題 23
(A)、(B)2問とも英語で解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)~(3)のすべてに答えよ。
You wish to know the function of a newly sequenced protein (Protein X) of length 350
amino acids. You align Protein X to a set of template proteins with known function using
the BLAST local alignment program and get the following results:
Template
Known function
% sequence identity
Aligned region in Protein X
Protein A
RNase
30
130-279
Protein B
Zn2+-binding
50
291-340
Protein C
Ubq-binding
50
50-99
(1)Assume there are no gaps in the alignments. How many identical amino acids
are aligned in each of the following three alignments:
Protein X-Protein A; Protein X-Protein B; Protein X-Protein C?
(2)The functions of the three template proteins are quite different. Does this mean
the sequence alignment results are inconsistent? Write “yes” or “no” and
explain in one sentence why you think so.
(3)Three of the identical residues in Protein X and Protein A are aspartic acids.
You then construct a mutant of Protein X where the three aspartic acid
residues are mutated to alanine (Protein X-mut). You compare the stability of
RNA in the presence of Protein X, Protein X-mut, and a non-Ribonuclease
control, and find that RNA is degraded by Protein X but not by Protein X-mut
or the control. What can you say about the biochemical function of Protein X?
(B)以下の文章を読んで、設問(1)、(2)2問ともに答えよ。
You have identified a novel enzyme E and are interested in engineering a mutant of E
with higher thermo-stability.
(1)For any amino acid r1 (≠ r2), the substitution r1  r2 is generally expected to
decrease thermo-stability of E by increasing its flexibility. What is r2?
(2)Based on concept of decreasing flexibility, for amino acids found in a turn or
the end of helix, another substitution r1  r3 is generally expected to increase
thermo-stability of E. What is r3? Explain in one sentence why you think so.
問題 24
(A)~(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)次の4つの語句をそれぞれ3行程度で簡潔に説明せよ。
(1)長鎖非コード RNA(long non-coding RNA)
(2)hnRNP(heterogeneous nuclear ribonucleoprotein)
(3)選択的スプライシング(alternative splicing)
(4)NMD(nonsense-mediated mRNA decay)
(B)RNA の核から細胞質への輸送はおおまかに3つの過程を経て行われる。まず核内に
おいて RNA が輸送因子群と結合して輸送複合体が形成される。次いで輸送複合体が
核膜孔を通過する。最後に細胞質側において輸送因子群が RNA から解離する。最後
の解離について、以下の設問(1)、
(2)2問とも答えよ。図を用いてもかまわない。
ただし、図は行数に含まないものとする。
(1)解離の過程が完了しないとどのような問題が生じると考えられるか、2行程度で
述べよ。具体的な因子の名称を用いなくてよい。
(2)解離の仕組みについて、どのようなモデルが考えられているか。RNA の種類を2
つあげ、それぞれについて5行程度で説明せよ。
(C)細胞にはさまざまな種類の RNA が存在しており、多様な機能をはたしている。これ
までに確認されていなかった種類の RNA が新たに発見されたと仮定する。この RNA
の性質と機能を明らかにするためには、どのような研究を行えばよいか。具体的な方
法を15行程度で述べよ。ただし、この RNA については以下の(ⅰ)、
(ⅱ)の知見
のみが得られているものとする。
(ⅰ)酵母からヒトまで塩基配列が非常によく保存された全長 300 塩基程度の RNA で
ある。
(ⅱ)これまでに調べられたすべての真核生物の細胞に豊富に存在する。
問題 26
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)、(2)2問ともに答えよ。
根毛は根の表皮細胞が部分的に伸長することによって生じる単細胞性の構造である。シロ
イヌナズナ(Arabidopsis thaliana)においては、通常根毛は根の表皮の特定の細胞列(根
毛細胞列)からのみ発生し、それ以外の細胞列(非根毛細胞列)からは発生しない。シロイ
ヌナズナの転写因子遺伝子Xは、非根毛細胞列で特異的に発現し、その遺伝子の機能欠損型
変異体xでは根表皮の全細胞列から根毛が発生する。このことから(a)転写因子Xは非根毛
細胞列において根毛発生に必要な遺伝子を負に制御すると想像された。一方、(b)転写因子
遺伝子YおよびZの機能欠損型変異体yおよびzでは根表皮の全細胞列から根毛が消失す
るが、二重変異体xyでは全細胞列からの根毛の消失が、二重変異体xzでは全細胞列から
の根毛の発生がそれぞれ観察された。
(1)下線部(a)について、この仮説を検証するために転写因子Xの直接標的遺伝子
で、かつ根毛発生の制御に関与するものを同定したい。そのための実験をデザイン
し、15行程度で説明せよ。
(2)下線部(b)について、転写因子YおよびZは根毛発生に関して、それぞれどの
ような遺伝子をどのような形式で制御するものと考えられるか。すべてをあわせて
10行程度で説明せよ。
(B)核酸解析技術の発展により、植物個体における単一細胞中の転写産物の種類および量
を高い精度で決定することが可能になりつつある。解答者自らが興味をもつ研究分野
において、この実験手法を利用することにより可能となる研究計画を考案し、その研
究目的および研究計画をあわせて15行程度で説明せよ。
問題 27
(A)〜(C)のうち、少なくとも1問を選び解答せよ。複数の設問を選択してもよいが、
それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。その場合は、すべての解答を採点し、そのうち
最も得点の高いものを採用する。
(A)ある海域における微生物群のメタゲノム解析で、細菌に感染するウイルス(バクテリ
オファージ)の完全ゲノム配列が得られ、そのウイルスが大量に存在することが示さ
れた。そのウイルスの宿主を得られた配列データにもとづき予測したい。可能な方法
を複数考え、下記の語句をすべて用いて10~20行程度で述べよ。
[相同性検索(ホモロジーサーチ)、配列データベース、塩基組成、
k-文字配列(k-mer)頻度、遺伝子水平移動、共起性(Co-occurrence)]
(B)代謝産物などの低分子化合物の構造を計算機で表現する方法として、原子とその共有
結合の情報をグラフ(頂点の集合と辺の集合)で表現した形式と、部分構造(例えば
ベンゼン環やカルボキシル基)の有無などに注目し、特徴量のベクトルで表現した形
式がある。計算機を用いて類似化合物の探索をしたい。あなたならどちらの形式を使
うか、両表現の利点と欠点に言及しながら、理由とともに10行程度で述べよ。ただ
し、下記の語句をすべて用いること。
[計算量、共通部分構造、物性]
(C)ウイルスは生命体だろうか。「ウイルスは生命体である」あるいは「ウイルスは生命
体ではない」のどちらかの立場をとり、ウイルスと細胞性生物の類似点と相違点に言
及しながら、あなたの考えを10~20行程度で述べよ。ただし、下記の語句をすべ
て用いること。
[遺伝物質、自己増殖、変異、自然選択、リボソーム、二分裂(binary fission)、
エネルギー代謝]
問題 29
(A)、
(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙1枚以内に記入せよ。
(A)ヒトの大腰筋に関する以下の文章を読んで、設問(1)~(5)のすべてに答えよ。
ヒトの大腰筋は腰椎を主な起始とする(a)二頭筋である。腸骨筋と合して腸腰筋となっ
た後、大腿前面に下行し、
(b)股関節部で大腿骨後面にまわりこんで、大腿骨頚の下内側後
方に突出する小転子に停止する。股関節における大腰筋の主な作用は屈曲である。しかし、
大腰筋は脊柱と下肢を直接つなぐ唯一の筋であり、
(c)多関節筋でもあることから、その作
用は股関節以外にも及ぶ。
霊長類においては、四肢を動かす骨格筋はタイプⅡと呼ばれる白筋線維を多く含む。ヒ
ト以外の霊長類の大腰筋も例外ではない。しかし、ヒトの大腰筋はタイプⅠと呼ばれる
[ ア ]線維を多く含んでおり、
(d)持続的な等尺性収縮がその作用の重要な一部である
ことが示唆される。
(1)下線部(a)に関して、二頭筋とはどのような筋か、
「起始」という語句を用いて
1行で説明せよ。
(2)下線部(b)の記述より、股関節における大腰筋の作用は、屈曲以外にどのよう
なものがあると考えられるか。
(3)下線部(c)に関して、大腰筋が越える関節を、股関節以外で1つあげよ(必ず
1つだけあげること)。
(4)[ ア ]に入る語句を以下から1つ選べ(必ず1つだけ選ぶこと)。
[ 黒筋、赤筋、中間筋、黄筋、速筋 ]
(5)下線部(d)に関して、ヒトの大腰筋の持続的な等尺性収縮は、ヒトの姿勢ある
いはロコモーションのどのような場面でどのように役立つと考えられるか。2行
程度で答えよ。
(B)以下の語群から、曲鼻猿類は持たないが直鼻猿類のほとんどが持つものを3つ選び、
それらについて、それぞれ2行程度で説明せよ(必ず3つだけを選ぶこと)。
[ 長拇指屈筋、眼窩後壁、副鼻腔、短拇指伸筋、中心窩、中心骨、網膜反射板、
血絨毛型胎盤、前距腓靭帯 ]
問題 30
(A)、
(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙 1 枚以内に記入せよ。
(A)以下の組になった用語(1)~(10)の中から3つを選び、それぞれの用語の違い
を明確にする形で3行以内で説明せよ(必ず3つだけを選ぶこと)。
(1)示準化石(index fossil)と示相化石(facies fossil)
(2)insectivore, gumnivore, folivore
(3)腱(tendon)と靭帯(ligament)
(4)動物地理区における東洋区(Indomalaya or Oriental region)と旧北区
(Palearctic region)
(5)有羊膜類(羊膜類 Amniota)と四肢動物(四足動物 Tetrapoda)
(6)嗅球(olfactory bulb)と副嗅球(accessory olfactory bulb)
(7)歯のエナメル質(enamel)と象牙質(dentin)
(8)早熟(progenesis)と過形成(hypermorphosis)
(9)分岐図(cladogram)と系統樹 (phyletic tree)
(10)霊長類における sexual dental dimorphism と sexual dichromatism
(B)我々ヒトは尾(尻尾)を持たず、それが形態的特徴の1つとなっている。しかしヒト
以外の現生霊長類のほとんどが樹上性・地上性に限らず尾を持っている。
(1)霊長類の進化において、尾の存在は原始的な形質と考えられているが、その理由
を3行以内で述べよ。
(2)霊長類の進化において、尾の消失はいつごろ、どういった系統群で生じたか、3
行以内で述べよ。
(3)
「尾の消失」という特徴がヒトにおいてどのような適応的な意味があったか、あな
たの考えを10行程度で論ぜよ。
問題 31
(A)、(B)2問とも解答せよ。また、それぞれを別の解答用紙に記入せよ。
(A)野生霊長類に関する設問(1)~(3)のすべてに答えよ。
(1)絶滅が危惧される種とそうでない種の間には、どのような違いがあるかについて
以下の語句をすべて用いて10行程度で説明せよ。
[ 生息地(habitat)、個体数(population size)、遺伝的多様性(genetic diversity)、
適応度(fitness)]
(2)絶滅危惧種の野生集団の遺伝的管理においては、その集団の遺伝的多様性と近交
弱勢、他集団からの遺伝的分断化を診断することが重要と考えられている。この
診断を行う方法について以下の語句をすべて用いて、10行程度で説明せよ。
[ DNA 多型(DNA polymorphism)、F 統計量(F statistics)、非侵襲的サンプ
リング(non-invasive sampling)]
(3)繁殖サイズが小さく遺伝的多様性が低い近交集団を回復させるためには、どのよ
うな遺伝的管理方策が採られるかについて10行程度で説明せよ。解答文中には
以下の用語をすべて含めよ。
[ 異系交配(outbreeding)、生息域外保全(ex situ conservation)、遺伝子流動
(gene flow)]
(B)次の(1)〜(8)の語句のうち、4つ選んで 3 行程度で説明せよ(必ず4つ選ぶこ
と)。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
突然変異メルトダウン(mutation meltdown)
伴性遺伝子(sex-linked gene)
平均血縁度(mean kinship)
戻し交配 (backcross)
マイクロサテライト DNA(microsatellite DNA)
多系統群 (polyphyletic group)
進化的に重要な単位(evolutionary significant unit)
平均ヘテロ接合率(mean heterozygosity)
問題 32
(A)~(C)すべてに解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)霊長類の代表的な食物である果実と葉の間には、生息地の中での分布、利用可能性の
季節パターン、物理的性質、栄養成分などに大きな違いがある。採食には、行動圏の中
から探索する過程、手や口を用いて処理・咀嚼する過程、消化管内で消化・吸収する過
程の3つがある。霊長類がこれら3つの過程において、どのように行動・形態・生理的
に適応しているか、葉食者と果実食者を対比させて、解答用紙 1 枚以内で説明せよ。
(B)霊長類の移動・採食時のグルーピングについて、以下の問い(1)、(2)に答えよ。
あわせて解答用紙 1 枚以内で記入せよ。
(1)ニホンザルの群れは、数時間から数日にわたって2つ以上のサブグループに分か
れて移動・採食することがある。このようなサブグルーピングには、どのような利
点があると考えられるか。また、それを確かめるには、どのような研究を行えばよ
いか。
(2)チンパンジーは、メンバーも頭数も短時間で変化する一時的なグループに分かれ
て移動・採食する傾向があり、これをパーティとよぶ。メスは発情しているとき以
外は 1 頭から数頭の小さなパーティで移動・採食することが多く、オスはより大き
なパーティで移動・採食することが多いが、それはどのような理由によるか。メス、
オスそれぞれの立場から説明せよ。
(C)以下の4つの語句の中から3つを選び、それぞれ3行程度で説明せよ(必ず3つだけ
を選ぶこと)。
(1)ノンパラメトリック検定(nonparametric test)
(2)象徴種(flagship species)
(3)一妻多夫(polyandry)
(4)捕食者飽食仮説(predator satiation hypothesis)
問題 33
(A)、
(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙1枚以内に記入せよ。
(A)以下の(1)~(7)の比較認知科学に関連する語句の中から3つを選び、それぞれ
日本語で3行程度で説明せよ(必ず3つだけ選ぶこと)。図を用いてもかまわない。ただ
し、図は行数に含まないものとする。
(1)
magical number 7 ±2
(2)
preferential looking
(3)
psychological well-being
(4)
transitive inference
(5)
Ponzo illusion
(6)
priming
(7)
prosocial behavior
(B)比較認知科学に関する以下の設問(1)、(2)2問とも答えよ。
(1) これまでに行われた大型類人猿を対象とした比較認知科学研究の実例を1つあ
げ、10行程度でその内容を要約せよ。
(2) 比較認知科学において大型類人猿を研究対象とする意義を、
(1)で取り上げた
研究と関連づけつつ、5行程度で説明せよ。
問題 34
(A)、(B)のうち、1問を選んで解答せよ(必ず1問だけを選ぶこと)。
(A)以下の英文を読んで、設問(1)、(2)2問とも答えよ。
(著作権保護のため、引用文は省略)
(“The faculty of language: what is it, who has it, and how did it evolve?” by Marc D.
Hauser, Noam Chomsky, W. Tecumseh Fitch, 2002, Science, p.1569 より抜粋)
recursion: 反復
(1)下線部を和訳せよ。
(2)道具使用の能力は、言語と関連性が高いと考える研究者がいる。英文の仮説を参
考に道具使用と言語に共通してみられる性質について言及しながら、その関連性
について5行程度で説明せよ。
(B)精神疾患や発達障害では、ワーキングメモリ(作業記憶、作動記憶)を含む認知機能
の障害が関わっていると示唆されている。以下の設問(1)
、
(2)の2問とも答えよ。
(1)ワーキングメモリとは何か、5行以内で説明せよ。
(2)自閉症スペクトラムでは、ワーキングメモリに障害が見られるとする研究と、見
られないとする研究が混在している。自閉症スペクトラムという発達障害の特性
を踏まえ、
(i)なぜ、そのような相反する研究結果が報告されているのか、そし
て、
(ⅱ)どのような実験を行うことにより、この問題を解決できるのか、をそれ
ぞれ10行以内で説明せよ。
問題 35
(A)、
(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙1枚以内に記入せよ。
(A)以下の(1)~(6)の語句のうち4つを選び、それぞれ3行程度で説明せよ。(必
ず3つだけを選ぶこと)
(1)一次運動野 (primary motor cortex)
(2)大うつ病
(major depressive disorder)
(3)場所細胞
(place cell)
(4)オペラント条件づけ (operant conditioning)
(5)マイクロダイアリシス法 (microdialysis)
(6)プラシーボ効果 (placebo effect)
(B)以下の設問(1)、(2)2問とも解答せよ。
(1)視 覚 情 報 の 処 理 に は 、 大 細 胞 系 ( magnocellular system ) と 小 細 胞 系
(parvocellular system)がある。これらの働きについて10行程度で説明せ
よ。
(2)Broca 失語(Broca’s aphasia)あるいは Broca 野の損傷で生じるおもな発話障
害が3つある。その3つの障害、すなわち失文法(agrammatism)
、失名辞失
語(anomia)、構音障害(difficulty with articulation)についてそれぞれ3行
程度で説明せよ。
問題 36
(A)〜(C)すべてを解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙1枚以内に記入せ
よ。
(A) 以下の(1)〜(3)の語句をそれぞれ3行程度で説明せよ。
(1)ブロードマン脳地図 (Brodmann brain map)
(2)ウィリス動脈輪 (arterial circle of Willis)
(3)プルキンエ細胞 (Purkinje cell)
(B) 以下は、中脳に関する説明である。設問(1)〜(3)のすべてに答えよ。
中脳は[ ア ]と[ イ ]の間に位置し、中脳水道より背側の中脳蓋と、腹側の中脳
被蓋、大脳脚の3つの部分に大別される。中脳蓋には(a)上丘と下丘が、中脳被蓋に
は(b)黒質や赤核が存在する。
(1)空欄[ ア ]、[ イ ]を埋めよ(ただし、順不同)。
(2)下線部(a)について、上丘と下丘の機能的役割の違いをその入出力に着目し5
行程度で説明せよ。
(3)下線部(b)の構造は緻密部と網様部に分類されるが、それぞれを構成するニュ
ーロンが有する主要な神経伝達物質や入出力について5行程度で説明せよ。
(C) シナプス伝達とその可塑性について10行程度で説明せよ。
問題 37
(A)~(C)すべてを解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙1枚以内に記入せ
よ。
(A)以下の文章を読んで、設問(1)、(2)2問ともとも解答せよ。
(著作権保護のため、引用文は省略)
(Y. Shichida et al. Evolution and Senses, Springer Briefs in Biology (2013) p. 1,
Springer より抜粋)
(1)分子生物学的解析により動物の感覚の進化についてどのようなことがわかると期
待されるか。3行程度で説明せよ。
(2)下線部(a)について、五感のうち2つを選び、それぞれにおける感覚受容細胞
内での分子メカニズムを3行程度で説明せよ。図を用いてもかまわない。ただし、
図は行数に含まないものとする。
(B)哺乳動物の生殖細胞と体細胞を区分する発生生物学的な違いについて、5行程度で説
明せよ。
(C)以下の生物学に関する(1)~(6)の語句から3つを選び、それぞれ3行程度で説
明せよ(必ず3問だけを選ぶこと)。
(1)分子進化の中立説(neutral theory of molecular evolution)
(2)トランスクリプトーム(transcriptome)
(3)ウエスタンブロッティング(Western blotting)
(4)分化多能性(pluripotency)
(5)神経幹細胞(neural stem cell)
(6)DNA のメチル化(DNA methylation)
問題 38
(A)、
(B)2問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙1枚以内に記入せよ。
(A)以下の設問(1)〜(5)のうち、2つを選び、それぞれ10行程度で解答せよ(必
ず2つだけを選ぶこと)。
(1)霊長類の中から2種をあげ、性周期や社会構造、生息環境などの観点から、それ
ら動物種の繁殖特性の違いについて説明せよ。
(2)実験用サル類のストレスを評価したい。考えられるストレスを2つあげ、どのよ
うな方法があるか述べよ。
(3)侵襲的研究に実験用サル類を用いる場合の長所と短所について、それぞれ例をあ
げながら説明せよ。
(4)実験用サル類に麻酔をかけることの意義を説明せよ。また、使用する麻酔薬をひ
とつあげ、その短所と長所および使用方法を具体的に述べよ。
(5)実験動物の繁殖・育成の際行われる交配方法を2つあげ、それぞれの交配方法、
効果、主な利用法等について、近交系との関連に留意しながら説明せよ。
(B)以下の用語(1)~(5)の中から2つを選び、それぞれ5行程度で説明せよ(必ず
2つだけを選ぶこと)。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
獲得免疫(acquired immunity)
エピデミック (epidemic)
実験動物福祉における 3Rs(3Rs in laboratory animal welfare)
視覚的アナログスケール(visual analogue scale)
Bウィルス(B virus)
問題 39
(A)~(C)3問とも解答せよ。また、それぞれの答えを別の解答用紙に記入せよ。
(A)以下の(1)~(5)の生物科学に関する語句すべてについて5行以内で説明せよ。
(1)ブッシュミート・トレード(bushmeat trade)
(2)弁別刺激(discriminative stimulus)
(3)環境 DNA(environmental DNA, eDNA)
(4)キーストーン種(keystone species)
(5)分化強化(differential reinforcement)
(B)ゾウやオオカミなどの大型野生動物が絶滅することで引き起こされる、人類にとって
不利益な影響を3つあげ、それぞれについて3行以内で説明せよ。
(C)あなたが大学院で行おうとする研究について、以下の各項目について、解答用紙1枚
以内で記述せよ。





研究タイトル
研究目的
対象動物
研究方法
研究の意義