インドネシア 3 紙が浅野ゼミを紹介 写真入り、大学奨学金利用の海外

◎インドネシア 3 紙が浅野ゼミを紹介
写真入り、大学奨学金利用の海外活動
同志社大学社会学部メディア学科・浅野健一ゼミ(1・2 年中心で 12 名)は 2013 年 8 月 23 日
から 31 日までインドネシア共和国で合宿を行った。この合宿は、2013 年 4 月に始まった「同志
社大学海外活動を伴う正課科目履修者に対する奨学金」を利用した初の海外活動だった。
合宿では、インドネシアにある新聞社とテレビ局の計 6 社を訪問し、報道担当者らから話を聞
くことができた。その中で、ジャカルタの英字紙 The Jakarta Post とインドネシア第二の新聞メ
ディア・インドネシア、古都ジョグジャカルタの地元紙ケダウラタン・ラーヤットが、浅野ゼミ
の見学を翌日の記事として大きく取り上げてくれた。いずれも写真付きで目立つところに載せて
くれた。
以下はその記事の日本語訳である。
【まとめ:小山美砂=1 年】
■2013 年 8 月 25 日付の「Sunday Post」
(The Jakarta Post 日曜版)
訳:伊藤孝則(社会学部メディア学科 1 年))
掲載面;2 ページ「News highlights」の「The newsroom」欄
京都にある同志社大学の学生たちと教員の浅野健一氏(写真中で白いシャツを着用)に、新聞
製作におけるページデザイン過程について説明するコーネリアス・プルバ「ジャカルタポスト」
シニア編集局長。浅野氏と彼の学生たちは土曜日にジャカルタポスト編集局を訪問した。
■2013 年 8 月 25 日付のメディア・インドネシア(略称 MI)
訳:ナジ・イムティハニ(大学院博士課程院生)
協力:大石薫(元上智大学インドネシア語講師、インドネシア国立ボゴール農科大学修士)
掲載面;3 ページの総合面
見出し:デジタル技術は日本では盛んではない
「へえー、へえー」という驚嘆の叫び声が、日本から来た 12 名の同志社大学メディア学科の学
生たちから発せられた。
これは、昨日、ジャカルタ・ケドヤ通りにあるメディア・グループ見学の際に、
「メディア・イ
ンドネシア」紙が運営するデジタル・マガジンを iPad で見た時の学生たちの反応だ。
学生の一人である美砂さんも、マスメディアのデジタル技術の高さに感銘を受けていた。メデ
ィア・インドネシアの芸術出版部リオ・オクト副部長が iPad に触れ、紙面をより魅力的に、より
インタラクティブに説明してみせる度に、この髪の長い女性は一番大きな声をあげて、感心して
いた。
興奮した様子を見せていた美砂さんは「この技術はとても素晴らしい。日本にも、同様のデジ
タル技術を活用した小規模な企業が多尐あるが、ビデオや音声の活用は不十分で、インタラクテ
ィブでもないので、人気があるとはいえない」と、メディア・インドネシア紙の取材に答えた。
美砂さんの友人の一人は、メディア学の学生らしい古典的な質問をした。
「デジタルメディアの
誕生によって、新聞のような印刷メディアが駆逐されることはないか」。
リオ副部長は、
「メディア・インドネシアはメトロ TV を含むメディア・グループの一員であり、
新聞や放送そのものを売っているのではなく、内容であるニュースを売っている。ニュースを知
りたいという欲求が消滅することはありえない」と答えた。
メディア産業界にとって、デジタルメディアの創造的な開発は、避けては通れない。これこそ、
メディア・インドネシアが現在取り組んでいる事だ、とリオ副部長は加えた。
「2 年前、印刷した新聞にクリエイティブな進化を加えたデジタル版を作り上げた」と説明し
た。
浅野健一教授の指導の元、今回の視察に訪れた学生達は、メディア・グループ記者と共に、両
国におけるジャーナリズムやマス・メディアの現状について討論した。
討論の場で、博士課程の矢内真理子さんは「福島の原発事故については、どのように報道した
のですか」と質問を投げかけた。
メディア・インドネシアのコンテンツ改良部テグー・ニルワーユディ部長は「東日本大震災、
津波や福島の原発事故は、インドネシアのマスメディアでも注目を浴びたニュースだった」と述
べた。
「福島の原発事故に関して、何度も報道した。日本に暮らすインドネシア人も大勢いるせいも
あるが、それだけでなく、日本政府の安全対策や救済策の進捗状況は、我々も関心がある」と説
明した。
テグー部長は、メディア・グループの報道姿勢は、インドネシアの結束と文化の多様性という
価値観を重視していると強調した。
メトロ TV のエルウィン・セティアワン報道部長もまた、責任を持つジャーナリズムこそ、メ
ディア・グループ報道の基盤であると説明した。
写真説明:
日本の大学生
メディア・インドネシア・デジタル・マガジンについて、視察に訪れた同志社大学メディア学科
の学生らに説明するメディア・インドネシア芸術出版部リオ・オクト副部長(右)。
■2013 年 8 月 27 日のケダウラタン・ラーヤット(略称 KR)
訳:ナジ・イムティハニ
協力:大石薫
掲載面;10 ページの教育面
見出し:日本にも KR のような新聞が存在―地域ニュース報道や社会貢献を重視
ジョグジャカルタのガジャ・マダ大学文化学部日本語学科と交流がある同志社大学に在籍する
学生総勢 12 名が、ケダウラタン・ラーヤット社を訪問した。学生らは、短期交換留学プログラム
でインドネシアに滞在中であり、今回の視察は当地のマスメディア事情を学ぶためであった。
一行に同行している、ガジャ・マダ大学日本語学科教員でもあるナジ・イムティハニ氏は、
「同
志社大学とガジャ・マダ大学の交流の歴史は古く、私自身も現在、同志社大学で学んでいる。日
本人学生らは、ジャカルタ、ジョグジャカルタ、デンパサールをまわる」と、ジョグジャカルタ、
マンクブミ通り 40-46 にある KR 社で月曜(8 月 26 日)に語った。
ナジ氏と日本人学生らは、ロムリ取締役会会長、アーマッド・ルトフィ副編集長と面会し、他
の地方紙とは一線を画す特徴を持つ KR について、特に、最近さらに顕著になってきた KR の社
会的役割について学んだ。
「読者の興味に沿った情報提供を基本に、時代の変化を乗り越え、KR
は現在まで生き残っている。インドネシアに関してより深く学ぶために、ジョグジャカルタでは、
王宮や文化センターも見学する」という。
1945 年 9 月 27 日に創刊された KR は、ジョグジャカルタ及び中部ジャワ州南部の話題を大き
く扱いつつ、国内外の記事も組み合わせ、多彩な内容で興味深い紙面を作り続けている。日本人
学生の一人である小山美砂さんも、この点に感銘を受けていた。
「大阪にも、KR のように地域のニュースを報道する新聞もある。しかし、あまり魅力的では
ない。KR は、インドネシアにおけるプレス法やジャーナリスト倫理綱領を遵守した上で、ニュ
ースを提供している。他にも、メラピ山噴火のような自然災害時には、一般市民へ支援参加の呼
び掛けもやっている。KR には『社会貢献』(訳注:原文「Migunani」はジャワ語)というコー
ナーがあり、困窮する住民支援のために活用されている。他のメディアと比較した場合、こうし
た独特の社会的役割が KR の強みである」と感想を述べた。
写真説明:
同志社大学の学生から記念品を手渡される、ケダウラタン・ラーヤット社ロムリ取締役会会長
(了)