飲酒運転撲滅総合対策の推進について

保存期間
1年(平成27年12月31日まで)
有効期間
1年(平成27年12月31日まで)
福 警 交 部 第 1 7 8 号
平 成 2 6 年 1 2 月 1 8 日
各所属長 殿
警察本部長
飲酒運転撲滅総合対策の推進について(通達)
県警察では、過去の悲惨な飲酒運転による交通事故(以下「飲酒運転事故」という。
)の発生や
福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例(平成24年福岡県条例第1号。以下「条例」とい
う。
)の制定等を踏まえ、3年連続で、福岡県警察運営指針における三大重点目標の一つに「飲酒
運転の撲滅」を設定の上、その諸対策に取り組んできたところである。その結果、取締りの強化
と官民一体となった様々な取組や条例の施行等による飲酒運転撲滅気運の高まりがあいまって、
11月末現在、飲酒運転事故件数は142件で、前年同期に比べ14件減少するなど、着実に減
少傾向を維持している。
しかしながら、未だに多量の飲酒により交通事故を起こす悪質な運転者が後を絶たないほか、
飲酒運転の検挙件数を見ると、酒酔い運転や高濃度のアルコール保有者による酒気帯び運転の占
める割合が依然として高い状況にある。また、福岡県総合計画において、平成28年までに、飲
酒運転による交通事故を130件以下とする目標数値が設定されており、残り2か年でこれを達
成し、ひいては、県民の願いである「飲酒運転の撲滅」のため、県警察には、徹底した取締りと
飲酒運転を許さない社会環境づくりについて、一層の努力と相応の覚悟をもって取り組む必要が
ある。
このようなことから、平成27年にあっても引き続き三大重点目標の一つとして「飲酒運転の
撲滅」を設定し、警察組織が一丸となり、あらゆる警察活動を通じて、「飲酒運転は絶対しない、
させない、許さない」社会の実現に向けた施策を強力に推進することとしたので、各位にあって
は、真に実効ある取組に努められたい。
なお、飲酒運転撲滅総合対策の推進について(平成25年12月16日付け、福警交部第24
8号、福警地部第247号。本部長通達)は、廃止する。
記
第1 目的
飲酒運転の徹底検挙と、広く県民に対して飲酒運転の悪質性・危険性、飲酒運転の代償及び
被害者の心情等を周知し、社会全体での「飲酒運転は絶対しない、させない、許さない」とい
う気運の醸成と定着を図り、飲酒運転のない福岡県の実現を目指すことを目的とする。
第2 基本方針
1 飲酒運転者とその周辺者の徹底検挙による悪質運転者の早期排除
これまでの検挙状況、飲酒運転事故との相関関係等の詳細な分析・検証や飲酒場所を特定
するなど管内の実態を把握した上で、従来の取締り手法にとらわれることなく多角的・多様
な取締り活動を行うなど、悲惨な飲酒運転事故が発生する前に必ず検挙するという精神の下、
検挙を主眼とした実効ある取締りを推進する。
2 県民総ぐるみによる飲酒運転を許さない社会環境づくりの推進
社会環境づくりの成否は、いかに多くの県民を飲酒運転撲滅運動に参加させることができ
るかにかかっている。したがって、知恵を絞り創意工夫してあらゆる世代、あらゆる地域・
職域に運動の輪を広げ、県民全てに「飲酒運転は絶対しない、させない、許さない」という
認識を浸透させるとともに、関係機関・団体、ボランティアに対し必要な支援や情報提供を
行い、自主的な活動を促進する。
第3 具体的推進事項
1 飲酒運転の撲滅に向けた指導取締りの強化
(1) 実効ある取締りの実施
飲酒運転の取締りに当たっては、覆面パトカー等を有効活用し、繁華街、飲食店街等及
びその周辺における機動取締り、又は、創意工夫を凝らした検問を行うなど、取締り場所、
時間帯及び取締り方法等を十分検討し、次のとおり、管内の実態を踏まえた取締りを実施
すること。
ア 飲酒運転に関する情報の共有化と積極的な活用
飲酒運転に関する情報について、あらゆる角度から収集し、
組織的に情報を共有の上、
飲酒運転の徹底検挙に向けた対策を講じること。
イ 飲酒運転検挙状況及び飲酒運転事故実態の分析
管内における飲酒運転の検挙結果による飲酒場所及び飲酒運転事故実態を分析し、飲
酒運転が予想される場所、事故多発路線及びエリア等を絞り、飲酒運転の取締りを実施
すること。
なお、飲酒運転事故実態の分析には、本年12月1日から運用が開始された交通事故
総合システムの活用に配意すること。
ウ 顕示効果に配意した取締り
先般、更新時講習受講者を対象として実施した飲酒運転に関するアンケート調査(以
下「アンケート調査」という。
)によれば、飲酒運転の撲滅に対する県民の要請は、「取
締りの強化」であることから、繁華街周辺での大規模検問や住宅街周辺でのミニ検問を
強化するなど、飲酒運転の撲滅に取り組む県警察の力強い姿勢が効果的に顕示されるよ
う配意すること。
エ 政令の基準値未満の飲酒運転者に対する指導の徹底
政令の基準値未満の飲酒運転者に対しては、
「飲酒運転指導書」を活用し、当該行為が
道路交通法に違反するものであることを認識させ、飲酒運転を繰り返さないよう必要な
指導を徹底すること。
(2) 飲酒運転周辺者三罪の積極的捜査の推進
飲酒運転を検挙した場合は、運転者に対する捜査のみにとどまらず、飲酒運転周辺者三
罪、特に酒類提供罪の適用を視野に入れた捜査を徹底すること。
(3) 条例の効果的な運用
条例に基づき飲食店営業者へ通知する必要があることから、飲酒運転を検挙した場合に
は酒類提供罪の捜査と併せて、本通知に関する必要な調査を行い、違反者の飲酒先である
飲食店等を特定したときは、迅速に交通指導課宛て報告すること。また、違反者の飲酒運
転が通勤・通学途上であった場合は、条例に基づき、違反者の通勤・通学先である事業者
に対し、通知を行う必要があることから、飲酒運転を検挙した際は、違反者の通行目的の
調査を徹底し、違反者の飲酒運転が通勤・通学途上であることを特定したときは、迅速に
交通指導課宛て報告すること。
(4) 行政処分の積極的適用
飲酒運転違反者に対しては、交通社会の安全確保のため、仮停止、準仮停止を積極的に
適用するとともに、周辺者三罪についても行政処分の積極的な適用に努めること。
2 飲酒運転を許さない社会環境づくりの推進
(1) 飲酒運転を許さない社会気運の醸成
ア 推進基盤の整備
(ア) 自治体及び関係機関・団体等の活動促進
市区町村との連携を強化し、組織的な施策を推進すること。特に、
「飲酒運転撲滅の
日」
(毎月25日)並びに「飲酒運転撲滅週間」(8月25日から31日までの間)に
おける取組等、条例に基づく自治体等の自主的な活動を促進するほか、自治体の首長
等に対する働きかけを強化し、市町村条例の制定等の自治体の主体的な取組や活動を
促進すること。また、関係機関・団体のほか企業等に対し適宜情報提供や支援活動等
の実施により、各団体等による活動を促進すること。
(イ) 酒類提供飲食店等による自主活動の促進
料飲業組合等を始めとする関係機関・団体はもちろん、これらに加入していない酒
類提供店等に対しても、酒類提供罪及び条例の周知徹底を図り、酒類を提供する者の
責任を自覚させるとともに、飲酒運転撲滅宣言のほか、利用客に対する交通手段の確
認や運転代行業者の利用推奨、ハンドルキーパー運動への参加等、飲酒運転撲滅のた
めの取組の促進を図ること。
イ 飲酒運転の危険性・悪質性の理解を深める交通安全教育の充実
(ア) 参加・体験・実践型の効果的な交通安全教育の推進
ドライビングスクール等において飲酒体験ゴーグルを使用し、認知や運動能力等へ
の影響により正常な運転ができない状態を疑似体験させるなど、参加・体験・実践型
の交通安全教育を推進すること。
(イ) 企業等に対する交通安全教育の推進
企業等に対する交通安全教育の実施に当たっては、
「事業者の責務」や「事業者へ
の通知」といった条例の内容を周知させることはもちろん、交通安全教育用DVD「も
う、誰もあなたを信じない~すべてを失う飲酒運転の代償~」を活用するなどして、
懲戒解雇等の社会的制裁などの代償があることをより具体的に説明し、受講者の心に
響く内容となるよう工夫すること。
(ウ) 運転免許行政に係る交通安全教育の推進
取消処分者講習や更新時講習等において、飲酒運転の厳罰化やその危険性、本県の
飲酒運転情勢を周知するなど、より効果的な講習を実施すること。また、本県公安委
員会指定自動車教習所に対しても、これに準じた講習の実施を促進すること。
(エ) あらゆる世代に対する交通安全教育等の推進
子供会、敬老会等の各種会合の機会を通じ、飲酒運転の危険性、悪質性の理解を深
める教育を実施すること。また、子供から大人に対して飲酒運転の防止を呼びかけさ
せる取組や、高校生や大学生などの運転免許取得直前の年齢層に向けた飲酒運転の危
険性を理解させる交通安全教育を実施するほか、学生の飲酒運転の撲滅に関する自主
的な活動を促進すること。
ウ 効果的な広報啓発活動
(ア) 街頭におけるキャンペーン等の積極的実施
関係機関・団体との連携を図り、街頭におけるキャンペーン等を積極的に実施する
こと。
なお、キャンペーンの実施に当たっては、大学生や若年の社会人など若い世代を始
め、より多くの者が参加するよう、積極的な事前広報に努めること。
(イ) 多様な媒体を活用したあらゆる層への広報啓発活動
広報啓発については、県下の飲酒運転情勢を的確に反映させるものとし、新聞、テ
レビ、ラジオ、インターネット、電子広報板及び広報紙(誌)等の広報媒体、交番・
駐在所連絡協議会その他の各種会合を活用するほか、学校公共施設、遊技場、飲食店
及び小売業店舗等に協力を要請し、性別、年代、職種又は就業の有無等にかかわらず、
あらゆる層へ浸透するタイムリーかつ効果的な広報啓発活動を推進すること。
(ウ) 県警察の取組姿勢を示す広報活動
管内における飲酒運転の検挙状況等を始め、県警察の飲酒運転の撲滅に係る取組姿
勢について、必要に応じた情報発信を行い、飲酒運転を敢行する者を思いとどまらせ
て、飲酒運転の未然防止を図るとともに、取締りなどの警察活動に対する県民の理解
と信頼を醸成するよう配意すること。
(2) 常習飲酒運転者対策の推進
ア アルコール依存症問題の周知等
違反者が飲酒運転を繰り返す背景には、アルコール依存症やその予備軍である問題飲酒
者の存在がうかがえることから、アルコール依存症問題とスクリーニングテスト(AUD
IT)の周知を図ること。また、警察活動を通じて家族等の飲酒問題に悩む者を認知した
場合には、警察署等での相談対応やアルコール依存症の相談窓口を教示するほか、専門機
関での受診を促すなどの措置に配意すること。
イ アルコール依存者等の早期把握と的確な対応
交通警察活動のほか、あらゆる警察活動を通じて、病状、通院歴及び家族等からの聴取
結果等からアルコール依存症の疑いがある運転免許保有者を発見した場合には、運転免許
管理課への通報を確実に行い、同課と連携を図りながら運転適性相談への対応や臨時適性
検査による運転免許の可否判断を行うなど、行政処分を迅速かつ的確に推進すること。
(3) 運転代行業の適正化
ア 自動車運転代行業の健全化
自動車運転代行業者に対する立入検査や夜間の現場指導を実施し、いわゆる白タク行為
等悪質な違法行為の根絶や適正な各種届出等遵守事項を徹底させるとともに、違反行為認
知の際の速やかな行政処分の上申など指導監督の強化を図ること。また、業界団体が従業
員の運転技術向上のための講習会を実施するなどの健全化に向けた自主的な取組に対し
ては、必要な支援・協力を行うこと。
イ 利用者の利便性・安心感の向上
自動車運転代行業者の営業活動実態の把握に努め、利用者に対する運転代行保険や料金
システムの説明、明細の発行について現場指導を行うなど、安心して運転代行サービスを
利用できる環境の整備を推進すること。
(4) 条例等の周知徹底による県民の規範意識の確立
アンケート調査の結果によると、条例に対する県民の周知が低調であったことから、条例
の内容、特に、県民や特定事業者等の責務について周知徹底を図るとともに、福岡県飲酒運
転撲滅推進総合計画に掲げる飲酒運転撲滅宣言事業所等の登録目標の達成を目指し、県民等
の飲酒運転に係る規範意識の確立に取り組むこと。
第4 配意事項
1 部門間の連携強化
地域警察部門を始め、他部門との連携を強化し、集中的かつ効果的な指導取締り体制の確
立を図るなど、組織的な対策を推進すること。
2 飲酒運転の撲滅に向けた士気高揚
功労者に対する積極的な賞揚や飲酒運転取締りに対する実践的な教養を行うなど、飲酒運
転の撲滅に向けた職員の士気高揚を図ること。
3 職員に対する指導教養等の徹底
職員に対し、本県における飲酒運転問題の背景や特殊性及び飲酒に絡む非違事案が及ぼす
社会的影響についての教養の実施と併せ、飲酒運転防止のため指導教養や体調チェック等を
徹底し、職員による飲酒運転の絶無について万全を期すこと。
4 殉職・受傷事故の防止
交通指導取締りを始めとする街頭活動に当たっては、装備資機材を活用するとともに、現
場責任者の適切な指揮の下に実施するなど、殉職・受傷事故の防止に万全を期すこと。また、
街頭活動を共に行う関係団体等の関係者の受傷事故防止についても十分配意すること。
第5 飲酒運転撲滅諸対策の特別強化日等の取組
「飲酒運転撲滅の日」及び「飲酒運転撲滅週間」については、県民の「飲酒運転は絶対しな
い、させない、許さない」という意識の定着を図るため、指導取締りや広報啓発活動等の取
組を特に強化すること。
なお、飲酒運転撲滅特別取締り日に加え、原則として、毎月2回、県下一斉飲酒運転取締
り日を指定し、検挙を主眼とした実効ある取締りを実施すること。
第6 報告
本件に係る取組及び推進結果については、適宜、申報の形式で警察コミュニケーションシス
テムの電子メール又はその他適当な方法により報告すること。
交通企画課飲酒運転対策係
主務課係名
交通指導課取締企画第一係
運転免許管理課聴聞係
5034
電話番号
5123
5325
関係部課名
地部