名古屋逓信病院 薬剤部 調剤内規

名古屋逓信病院 薬剤部 調剤内規
この内規は調剤業務の統一を図る為、調剤方法の細目を定めたものである。
処方箋区分と出力物
処方箋区分
処方箋
外来(院内)
○
外来変更処方(院内)
○
入院
○
入院変更処方
○
処方箋控え
-
-
○
○
薬袋(ラベル) 薬品情報紙
○
○
-
○
○
○
-
○
お薬手帳
必要に応じて出力
必要に応じて出力
必要に応じて出力
必要に応じて出力
Ⅰ.処方箋の記載
1. 投薬日数
1) 入院投薬
定期処方:原則として7日以内とする。
臨時処方:次回定期投薬日までとする。
退院時処方、入院中外来処方:外来処方に準じる。
2) 外来投薬
・厚生労働大臣が投薬期間に上限を設けた医薬品はその投与期間に従う。
・水を加える内用液剤は通常、7 日以内とする。
3)麻薬
原則として
入院 7日以内とする。
外来 14日以内とする。
2. 薬品名
3. 用量
散薬に原薬量(成分量)表示と希釈散(倍散)量表示が併用されているが、表示単位が
「mg」であれば原薬量表示、
「g」であれば製剤量表示である。
液剤は mL で記載する。mg で記載された処方は原薬量(成分量)を示す。
調剤にあたっては、計量表示「g」
・「mg」等と計数表示「本」・「個」等に注意する。
4.用法
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Ⅱ.調剤方法
1. 錠剤・カプセル剤
1)処方箋区分と調剤方法
○外来処方箋
基本的に PTP 調剤とする。
但し、
・オーダーにより一包化が指示された場合は、指示を優先し一包化する。
・一包化が必要と判断される場合は一包化調剤とする。
○入院処方箋
基本的に一包化調剤とする。
但し、
・単独調剤を行う薬剤は原則一包化しない。
・患者の理解力に合わせ、可能な場合は PTP 調剤とする。
2)一包化調剤
服用時間毎に一包化し、基本的に連続分包(朝朝朝/昼昼昼/夕夕夕/寝寝寝)とする。
3)調剤単位
一包化する場合は用法毎に単独の薬袋を作成する。一包化以外の薬剤については、用法、
投薬日数のいずれかが異なるものは薬袋を別に作成し、また錠剤・カプセル剤と散剤で用
法、投薬日数が同じ場合は、同一薬袋にすべての薬剤を入れる。
4)単独調剤
薬品マスターに単独処理の指定を受けた薬剤は、単独調剤を行い薬袋は別に作成する。
例)下剤、睡眠剤、安定性に問題があり分包できない薬剤、特殊な用法の薬剤
5)錠剤の分割投与
1 回服用量が 1 錠に満たない場合で分割が可能な場合、最少分割単位を 1/2 錠として分割す
る。1/2 錠未満の場合は原則粉砕して調剤する。(2.散剤 5)粉砕 の項参照)
6)服用方法に条件がつく場合
隔日投与、服用日指示などオーダー指示によりフリーコメント入力のある場合、薬袋にフ
リーコメント内容が記載されていることを確認する。
7)内袋の作成
同一薬袋に複数の薬剤が入る場合で 1 回服用量が異なる場合は、内袋(チャック付きポリ
袋)を用いて区別する。
例) PL配合顆粒
3g
メジコン錠 15mg
6錠
フロモックス錠 100mg
3錠
ビソルボン錠 4mg
3錠
内袋入り
/分 3 毎食後 7 日分
上記の場合、メジコン錠が内袋入りとなる。お薬説明書・薬袋に「内袋入り」のゴム印を
押印し、明示する。尚、内袋ではなく、
「大」
「小」
「色」等の記載で代用しても良い。
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2.散剤
散剤を薬瓶に補充する場合は、薬瓶と補充する薬品を並べ、他の薬剤師と共に名称・
規格を確認し、補充する。製剤ボトル毎の交換の場合でも同様に確認する。
1)調剤単位
処方毎に調剤し、用法・投薬日数のいずれかが異なるものは薬袋を別に作成する。
2)予包散剤
・処方中に予包散剤(分包製剤採用品・予製品)がある場合は、予包されていない散剤
に優先して使用する。
・同一処方内に秤量する散剤がある場合も、予包製剤を優先して使用する。
・患者の希望・医師の指示がある場合は、そちらを優先する。
3)賦形
・賦形剤
通常乳糖を使用する。
但し、下記薬品に関してはバレイショデンプンを使用する。
イスコチン
・顆粒剤、ドライシロップ、小児用細粒、重質酸化マグネシウム、パントシン散の場合
は賦形しない。
・小児は原則として賦形しない。
・粉砕時も下記の通り賦形する。
・賦形量
1包が 0.3g に満たない場合、0.3g となるように賦形する(粉砕時も同様)
。
4)粉砕(カプセルの開封を含む)
・医師による粉砕の指示がある場合、粉砕を行う。
・1 回服用量が 1 錠に満たない場合で、分割が不可能の場合は粉砕とする。この場合、
医師の指示を得なければならない。
・調剤にあたっては粉砕の可否を確認し、製剤上問題のあるものは粉砕しない。
・処方毎にまとめて粉砕調剤する。粉砕して規定量に満たない場合は賦形剤を加える。
・投薬時には保管・服用に至るまでの注意点を患者等に伝える。
5)分包紙への印字
○外来処方箋
分包紙への印字は原則行わない。
但し、
・小児の場合は、氏名・用法を分包紙に印字する。
・同一患者・家族で、処方内に混同しそうな散薬が 2 種以上処方された場合、
「薬袋」「分包紙」「処方箋」「お薬説明書」にマジックで色線を引き、容易に薬の区別
をできるようにする。
○入院処方箋
分包紙へ氏名、薬剤名、用法、用量を印字する。
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3. 内用液剤
1)調剤単位
原液のまま投与する薬品は単独調剤を行う。希釈して調剤する薬剤は、処方毎に調剤する。
○
原液で調剤する薬剤
アルファロール内用液 0.5μg/mL
アルロイド G 内用液 5%
イソバイドシロップ 70%分包 30mL
インクレミンシロップ 5%
カリメート経口液 20%
ザイザルシロップ 0.05%
単シロップ
デパケンシロップ 5%
トリクロリールシロップ 10%
ファンギゾンシロップ 100mg/mL
ラクツロースシロップ 60%
・製品ボトルのまま複数本患者に渡す場合は、渡す全ての服用カップの1回分量にマジッ
クで印をつける。薬袋ラベルは、全てのボトルが入る袋等に貼り、その袋等にボトルを入
れる。
○
希釈して調剤する薬剤
希釈して調剤する内用液剤は、通常 7 日以内とする。
7 日を超える場合は、7 日分のみ加水して希釈し、残りは原液のままとし、患者に服用方法
がわかるよう明記して渡す。
希釈は、原則として一回量が整数(ラベルに指示がある場合はその指示に従う)になるよ
うに最小量の水を加え、キャップの該当する目盛りにマジックで線をつける。目盛りで一
回量を示すときも、必要最小量の水を加え調製する。
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4.生薬
生薬は専用の分包機を用いて調剤する。
原則、処方毎に調剤し、薬袋も処方毎に作成する。
紅花(コウカ)を含有する場合は薬袋に遮光保存と明記する。
1)単独調剤
薄荷(ハッカ)
、石膏(セッコウ)は下記の理由により単独調剤とする。
◎●薄荷(ハッカ)
;煎じる時に火を止める 5 分前に入れるため
◎●石膏(セッコウ);単独で先に煎じるため
2)調剤方法
・処方毎に混合調剤する。
以下の生薬の場合は、単独で分包機にまく又は、一回量ずつ計量して分包機のマスに入れる。
★烏頭(ウズ)
★炮附子(ホウブシ)
★大黄(ダイオウ)
★麻黄(マオウ)
★細辛(サイシン)
★辛夷(シンイ)
作用が激しいため
作用が激しいため
作用が激しいため
作用が激しいため
作用が激しいため
ふわふわして混ざりにくい
★生姜(ショウキョウ)
★黄連(オウレン)
★黄柏(オウバク)
★牡蠣(ボレイ)
★ヨクイニン
量が少ないため
量が少ないため
比重が重いため
比重が重いため
・分包紙のサイズ
基本的には分包紙サイズ 3 で分包するが、内容量に合わせて分包紙サイズを選択する。
同一処方の次の調剤に反映するよう、選択した分包紙のサイズを記録しておく。
◎●薄荷(ハッカ)は分包紙サイズ 1 で分包する。
◎●石膏(セッコウ)は分包紙サイズ 1 で分包する。
但し、同一患者・家族での調剤の場合、分包紙の大きさで区別できるように、異なる分包
サイズを選択する。
・調剤済みの生薬はチャック付きポリ袋に入れ、薬袋を同封する。
・服用方法の説明書を添付する。
3)保管方法
・品質保持のため温度・湿度管理に注意し、開封後は密閉保存とする。
・紅花(コウカ)は遮光保存とする。
4)院内製剤
○神経痛漢方 0.125
烏頭(ウズ) 0.125g
乳糖
桂皮(ケイヒ)末
①
1.0g
1.0g
日
②
これを 1 日量とし、1 日 3 回に分割する。
烏頭(ウズ)を粉砕した状態で保管し、烏頭(ウズ)の粉末と乳糖を混合(①)した後、
桂皮(ケイヒ)末と混合(②)する。
分包紙に神経痛漢方 0.125 と印字する。
その他、含有する烏頭(ウズ)の用量毎に、下記の名称とする。
5
烏頭 0.15g
→神経痛漢方 0.15
烏頭 0.175g →神経痛漢方 0.175
烏頭 0.2g
→神経痛漢方 0.2
5.外用剤
調剤単位
調剤方法は原則として薬剤毎に行う。このため薬剤毎に薬袋もしくはラベルを発行する。
○軟膏剤
1)優先剤形
処方に包装規格品が存在する場合、包装規格品を用いて調剤する。
チューブ入軟膏は、原則として分割投与しない。
2)混合製剤
同一処方内の薬剤は混合調剤を行う。
混合前に混合可能であるかを確認する。混合する薬品を揃え、複数の薬剤師で名称・
用量を確認してから混合する。
予製剤についても同様とする。
3)軟膏容器
軟膏剤やクリーム剤の調剤において、秤量調剤する場合は電子天秤で用量を分取する。
なお、軟膏容器は秤量量に最も近似したサイズを選択する。
同一処方内に、軟膏容器を用いた外用剤が複数種類ある場合は、中身を区別できるように
軟膏缶の蓋に薬剤名を明記する。
○外用液剤
外用液剤は、包装規格品の規格量で調剤可能な場合を除き、投薬瓶を用いて調剤する。
薬袋の代わりにラベルを発行し、投薬瓶に貼付する。
6. 添付物
1)患者指導箋
用法や取り扱い方法の説明書などが用意されている薬剤には、該当する印刷物を適時添付
する。
2)変更案内書
形態、色調、包装、表示など外観上明らかな変更のあった薬剤および、薬事委員会により
切換え・変更された薬剤には、該当する書面を変更後 3 ヶ月間、薬剤毎に添付する。
7.疑義照会
1)院内処方
処方箋監査により疑義が生じた場合は医師に確認する。
2)院外処方
「院外処方箋せん発行マニュアル 6. 疑義照会対応の流れ」の項を参照。
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Ⅲ.薬剤監査
処方監査した後、薬剤が処方箋の内容通りに調剤されていることを確認し、所定の薬袋
に収める。
このとき薬袋・処方箋に押印する。
薬袋・処方箋・お薬の説明書を洗濯バサミ、レジ袋等で一纏めにして、投薬口に回す。
Ⅳ.薬剤の交付
監査済みの薬は、引き換え番号掲示板に番号を表示する。
患者の領収書に明記された薬の引き換え番号を確認し交付する。
この際、患者氏名をフルネームで呼び本人であることを確認してから、内容・服用方法
など薬の適正使用に関する情報を伝える。
患者には必要な薬が揃っているか、内容に間違いがないかを確認後、帰宅してもらうよ
う指導する。
以上ⅠⅡⅢⅣをもって調剤手順とする。
2016 年 9 月 1 日 第1版
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