始業式 講話 ( 8月25日)

平成26年度2学期始業式「訓話」(平成26年8月25日)
新潟県立長岡高等学校長
轡 田 勝 祐
おはようございます。第2学期始業式にあたり、校長からお話しいたします。
この夏、台風12号、台風11号、そして前線による大雨、強風、突風等によ
って災害が全国各地で起こっています。気象庁は「平成26年8月豪雨」と命名
しました。特に先週、広島市で大雨による大規模土砂災害が発生しました。昨日
は北海道・礼文島において大雨による土砂崩れが起こり被害が発生しています。
多くの皆様の尊い命が奪われています。心からご冥福をお祈り申し上げます。多
くの皆様が依然として行方不明となっています。この夏の豪雨災害等により被災
された皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、行方不明となられている皆様
の一刻も早い救出をお祈りいたします。早期の復旧を祈りたいと存じます。
さて、1学期終業式には、「吾、日に三たび吾が身を省みる」という言葉を論
語から紹介し、常に自身のことを反省しながら進めるということ、ときには少し
立ち返って反省して次に進めることも大事であるということを申しておきまし
た。しっかり反省した上で、今後の計画を立て直すべきところは立て直していた
だいているだろうか。2学期以降の計画をていねいに立て、本日登校してくれた
ものと思います。夏休みの間、それぞれの計画のもと、それぞれ取り組んでくれ
たものと思います。素晴らしい、すごい成果が上がっているものと思います。今
後も自身の夢や志を明確にしながら、本校でのそれぞれの教育活動を充実させて
いただきたいと思います。
数学のフィールズ賞を女性が初めて受賞したというニュースがありました。そ
のことについてお話しをしたいと思います。フィールズ賞は、カナダの数学者フ
ィールズ先生が提唱したもので、1936年に設立された賞です。数学でたいへん優
れた業績を挙げた数学研究者に贈られるもので、それも40歳未満の若い数学者し
か資格がありません。フィールズ賞は数学界での最高賞であり、「数学のノーベ
ル賞」とも言われている賞です。4年1回、国際数学連合の選考委員会で選ばれ
ます。このたび、韓国ソウルで開催されていた国際数学連合の国際数学者会議で
8月13日に発表されたものです。
※・日本人では、1954年(昭和29年)に故・小平邦彦先生、1970年(昭和45年)
に広中平祐先生、そして1990年(平成2年)に森重文先生が受賞
・今回新たに4人選ばれ、これで受賞者は56人
イラン出身のアメリカのスタンフォード大学教授のマリアム・ミルザハニ先生
(37歳)が、女性として初めてフィールズ賞受賞者となりました。先生は、国際数
学オリンピックで、1994・1995年(平成6・7年)に連続して金メダルを獲得して、
「イランの天才数学少女」と言われた人です。そのミルザハニ先生がついに、フ
ィールズ賞を受賞されたということです。『曲面の幾何学、力学系が専門で、形
や大きさが刻々と変化する「モジュライ空間」で考える曲面上を物体が動くとき、
どのような軌道を描くかということについて、いくつかの斬新で重要な発見をし
たことが評価された』と聞いています。ミルザハニ先生がフィールズ賞を受賞し
たことは、スタンフォード大学のウェブサイト上の「News」で紹介されてい
て、先生は「これはたいへん名誉なことで、このことが若い女性の科学者や数学
者を勇気づけるきっかけになれば嬉しい。」そして、「私は今後、こうした賞で、
女性の受賞者が増えると確信している。」と述べています。表彰式後の記者会見
でも同様なことを述べています。国際数学連合の女性総裁(女性初の総裁)である
イングリッド・ドブシー(ドーブッシュ)先生、アメリカ・デューク大学教授は記
者会見で、「ミルザハニ教授のフィールズ賞受賞が、多くの女性のロールモデル
になるだろう。」と述べています。なお、来年1月から、日本の森重文先生・京
都大学教授、数理解析研究所前所長が新総裁に就任すること決定しました(アジ
ア人初)。
ここで、皆さんにぜひ伝えておきたい、ミルザハニ先生の言葉を紹介します。
「私は幼い頃、自分で数学ができないと考えて勉強を諦めようとしたことがあ
った。続けて良かった。」「10代に重要なのは才能でなく自信だ。最近多
くの青少年、特に女子学生が数学に自信がないと言っているのを見るのが残
念。彼らにできるという自信を植えつけることが重要だ。」
このことは数学のことに限らないと、私は考えています。学業に全力を尽くし
て頑張るといっても、なかなかうまく進まない、厳しいなという人もいると思い
ますが、自信をもって取り組めばできるよ、先生は言ってくれていると思います。
また、別のインタビュー記事で、「読書好きだった彼女の子ども頃の夢は小説家
になることだった。ところが、科学好きだった兄が読んでいた雑誌で数学者ガウ
スの公式を見て、その美しさに魅了された。」という記載があります。先生は「そ
の問題は自分で解けなかったけど、数学の美しさを初めて知った瞬間だったわ」
とも述べています。皆さんも魅了できるくらいに好きなものを見つけて、それを
夢や志に繋げることができたらいいですね。その上で、自分にチャレンジしてほ
しい。「おもしろい」、「わかる」、「できる」、そして、「おもしろしい」という循
環に入ることができれば、必ず自信に繋がっていくはずと信じて、日々の精進を
継続していきたいものです。ミルザハニ先生が教えてくれているとおり、自信を
もって自分の道を歩んでほしい、自信をもって自分へのチャレンジを継続してほ
しいと願っています。
話を変えます。この夏休みの間に学校に外部の方から電話連絡がありました。
ぜひ長岡高校生をほめてほしいという連絡です。その内容を申しますと、
「長岡大花火の日のこと。近くのスーパーマーケットで花火を見ていた。隣にい
た中学生くらいの数人がゴミをそのままにして立ち去ってしまった。近くでやは
り花火を見ていた、4~5人の女子のグループがそのゴミを黙って拾って持ち帰
った。どこの学校の生徒か、と尋ねたところ、長岡高校の2年生です、いう答で
あった。とてもうれしい、清々しい気持ちになった。ぜひ、そのような素晴らし
い長高生がいたことをほめてあげてほしい。」という電話でした。私もとてもう
れしく、また誇らしく思いました。校長としてほめたいと思います。
中国古典の淮南子から、「陰徳有る者は、必ず陽報有り。」という言葉を皆さんに
1年前のこの始業式に、2,3年生に紹介しておきました。陰徳とは隠れて徳を積
むこと。陽報とは、はっきり現れるよい報いのこと。「陰徳有る者は、必ず陽報あ
り。」人知れず徳を積む者は、必ず誰の目にも明らかなよい報いがあるものだとい
うこと。日々の生活の中で、自分にできること、特に良い行いを躊躇せずに実行
せよということを申しておきました。このことが、自分を高めることに、自分を
大切にすることにも必ず通じると信じたいと存じます。
また、先週、中学生対象の理数科説明会そして模擬授業がありました。いっし
ょに出席されていた保護者の方から「長岡高校は校舎も前庭など、とても整然し
ていいですね。また模擬授業を手伝ったりお話しを聞かせてくれた理数科の生徒
の皆さんもとても素晴らしい生徒さんばかりです。理数科の生徒だけでなく、校
地、校舎内でお会いした他の生徒さんも表情が明るくて挨拶も元気にしてくれる
方ばかりです。素晴らしいと思いました。」と言われました。校長としてとても
嬉しい気持ちになりました。
夏休み中の、皆さんそれぞれの素晴らしい取組、成果について、私のところに
もお知らせいただいていますが、あえて、この二つことを皆さんに伝えておきた
いと思います。ということで、本日の大清掃、ありがとうどざいました。また明
日の除草もみんなで頑張りましょう。
最後になりますが、校舎の外壁改修工事についてお話ししておきます。工期予
定等については、クラスにお知らせを掲示させてもらいました。2学期が始まり、
まだ迷惑をお掛けしますが、お許しください。私たちの大切な校舎です。これか
らも校舎にいたわりの気持ちをもって長高生活を続けてもらいたいと思います。
それでは、年度で一番長い学期が始まります。この土日は「和同祭」です。こ
れも頑張ってください。この学期で、しっかり力をつけ、ぜひ自信をつけてほし
いと思います。長高生それぞれが、力が伸ばす、学力を高める、そして大きく成
長できる、とても大切な期間が始まります。自信をもって頑張りましょう。
終わります。