いわき市危機管理指針(平成19年12月制定)第1章(PDF文書)

いわき市
いわき市危機管理指針
第1章 総則
1 危機管理指針策定の
危機管理指針策定の背景
⑴ 現状
近年、国内外において大地震による被害が発生するとともに地球温暖
化が原因と思われる異常気象により、局地的・集中的豪雨被害が増加し
ている。
また、急速な少子高齢化の進行、地域におけるつながりの希薄化、耐
震強度偽装事件に見られるような経済効率性優先の考え方の偏重など、
社会経済情勢が大きく変化する中で、市民の安全・安心を脅かす問題は
後を絶たず、むしろ多様化・複雑化している。
さらに、BSE や食品偽装表示などの食の安全にかかわる問題、高病原
性鳥インフルエンザに代表される感染症の問題、虐待などいのち・人権
にかかわる問題、情報通信社会の進展に伴う様々な問題など、日々新た
な問題が発生している状況にある。
⑵
総合的な危機管理体制構築の必要性
このように多様化・複雑化する問題に対応するためには、市が全庁的
に共通した考え方、理念のもとに、行政内部の業務の垣根を取り払い、
部局横断的な取り組みを進めることが必要である。
また、このような市の取り組みに加え、市民・事業者・民間団体など
が、共通の認識のもとに、それぞれの立場で安全・安心のまちづくりに
取り組めるような事業の展開と、国・県などの関係機関との密接な連携
体制づくりが必要となる。
2 危機管理指針策定
危機管理指針策定の
の目的
本危機管理指針は、危機の発生を未然に防止することなどの平常時の対
策並びに危機発生時(発生のおそれがある場合を含む。)の対応及び事後対
策を推進する上で、本市が取り組むべき基本的な事項を定めることにより、
総合的な危機管理体制を整備し、もって市民の生命、身体及び財産への被
害及び行政運営への支障等を防止・軽減することを目的とする。
1
3 危機管理指針の
危機管理指針の性格
⑴ 基本的な考え方
本危機管理指針は、危機事象発生の未然防止及び危機発生時(発生の
おそれがある場合を含む。)の対応について、一般的な原則等を定めるも
のである。
すなわち、個々の危機への対処方法を個別具体的に定める「計画」で
はなく、共通の考え方を示し、全庁的な危機管理の仕組みづくりを目指
すための「指針」となるものであり、
「危機」や「危機管理」などの概念
について、全庁的に考え方の統一を図るものである。
さらに、総合的な危機管理体制を構築するため、市民・事業者・民間
団体などの果たすべき役割及び国・県などの関係機関との連携のあり方
等についても規定するものである。
⑵
他の計画及び他のマニュアルとの関係
本市においては、
「いわき市地域防災計画」、
「いわき市国民保護計画」、
「いわき市水防計画」など、個々の危機事象に対処するための法定計画
や「災害時の職員初動マニュアル」、「いわき市防霜対策実施要領」など
の事務処理マニュアルがあるが、全体を通して共通の考え方に基づいて
策定されたものではない。
本危機管理指針は、これらの計画やマニュアルの新規作成及び見直し
を行なう際の標準的な手順や考え方を示すとともに、担当課未定の危機
及び担当課は定まっているがマニュアル等未整備の危機などに対処する
際の標準的な対処の指針を示すものである。
4 用語
用語の
の定義
本危機管理指針において、特に重要な用語の定義は、次のとおりとする。
⑴ 危機
当該事象が発生することにより、次に該当する結果をもたらすもので、
本危機管理指針の対象となる事態である。
① 市民の生命、身体及び財産を脅かす重大な事態
②
③
⑵
市の行政経営・行政サービスに重大な支障を及ぼす事態
市に対する行政信頼を著しく失墜させる事態
危機事象
2
危機をもたらす可能性がある状況をいう。
⑶
危機管理
危機を未然に防止し、また発生した際に被害を最小限に留める諸活動
の総称をいう。
⑷
危機対処
実際に発生した危機や危機事象に対する、個別具体的な対応をいう。
5 危機管理指針
危機管理指針の
の対象となる
対象となる危機
となる危機の
危機の種類
いわき市危機管理指針の対象とする危機及び危機事象は、表1に記載の
とおりとする。
3
表1 いわき市危機管理指針
いわき市危機管理指針の
市危機管理指針の対象とする
対象とする危機及
とする危機及び
危機及び危機事象
区分
危機分類
自然
災害
風水害
主な危機事象
豪雨、洪水、高潮、波浪、津波等による水害
地すべり、土砂崩れ等の発生
干ばつによる渇水
暴風、強風等による被害
地震
地震及び津波等による被害
地すべり、土砂崩れ等の発生
人為
的災
その他
その他の異常な気象等による自然災害
武力攻撃
事態等
着上陸侵攻
害
ゲリラや特殊部隊による攻撃
弾道ミサイル攻撃
航空機による攻撃
緊急対処
事態
危険性を内在する物質を有する施設(原子力発電所、石油コンビナート、ダム等)
への攻撃
多数の人が集合する施設等(大規模集客施設、ターミナル駅、列車等)への攻撃
多数の人を殺傷する特性を有する物質等(NBC兵器、水源への毒素混入等)に
よる攻撃
破壊の手段として交通機関(航空機による自爆テロ等)を用いた攻撃
健康危機
感染症(新感染症、病原性大腸菌、SARS、ノロウイルス、新型インフルエンザ等)
の(集団)発生
集団食中毒の発生
飲料水汚染の発生
狂犬病の発生等
毒物劇薬に係る事故等
医療機関等での医療事故
家畜等を原因とする感染症(高病原性鳥インフルエンザ等)の発生
食の安全に関する問題(BSE、賞味期限偽装等、農作物の病害虫等による被
害)
環境危機
大気汚染、水質汚濁
廃棄物処理施設における有害物質の漏洩
4
河川等への油流入
毒性物質の流失
環境化学物質の放出
事件・事
故
大規模火災
石油コンビナート等特別防災区域内での事故等
原子力災害
航空機事故等の大規模事故
タンカー等からの重油等流出事故
不発弾処理
その他大規模かつ突発的な事件・事故
リスク 市民の生
命、身体
及び財産
に被害を
及ぼす事
態
児童・生徒に対する危害
病害虫及び野生動物による人的被害・農作物被害
廃棄物の不法投棄
自治体主催イベントでの事故
個人情報の漏洩
大規模停電
大規模断水
人権侵害・児童虐待等
関係事業所での事件・事故及び関係事業者の不法行為等
公共施設(庁舎、病院、保育所、幼稚園、学校、公民館、市営住宅 等)内部
での事件・事故等
市所管施設(道路・橋りょう・河川・下水道・ため池・公園 等)での事故
その他市民の生命、身体及び財産に被害を及ぼす事態
市役所の
円滑な運
市役所庁舎等の被災による業務継続不能状態の現出
営に支障
をきたす事
情報通信ネットワークの障害
態
各種データベースの流出・破損等
公金紛失
要人及び職員へのテロ
不当要求行為
職員の事故・不祥事等
その他市役所の円滑な運営に支障をきたす事態
5
6 危機管理・
危機管理・危機対処に
危機対処に当たっての心構
たっての心構え
心構え
⑴ 組織運営に当たって必要な考え方
この指針は、様々な事態や脅威に対する標準的な対応を示すものであ
るが、各々の危機の特性の違いから、具体的な対応策及び手順は異なる
場合が多い。
ここでは、危機に直面した場合に、組織運営の観点から、危機管理及
び危機対処を円滑に実施するための前提となる考え方を示す。
① 危機管理の一般原則
ア 発生予防原則
事前に、危機及び危機事象の発生要因を分析し、当該要因の発生
確率を極小化するよう、対策を講じること。
なお、想定外の発生要因により危機及び危機事象が発生した場合
は、事後、当該要因の発生確率の極小化に向けて対策を講じること。
イ
②
被害局限原則
発生した危機及び危機事象に対しては、原因の如何を問わず、被
害を最小化することを最重点事項として、迅速に対応すること。
危機対処の一般原則
ア 情報の収集と周知
(ア)必要な情報の優先的収集
情報、特に危機情報のように発信者が利益を受けない情報は、
ただ単に手をこまねいているだけでは入手できない。
また、危機事象発生中のような状況では、あらゆる情報を収集
したうえで判断するという手法は、取り難い。
どんな情報がまず必要なのか、を判断し、当該情報を優先的に
収集する態度が必要である。
(イ)5W1Hの序列化
5W1Hが最初からすべてそろっていれば理想的であるが、危
機事象のさなかにそれを求めることは困難なことが多い。
5W1Hがそろわない場合は、
まず、「何が(What)」起こっているかを報告し、
次に、
「誰が(Who)」、さらに「いつ(When)」
・
「どこで(Where)」
を確認し、
最後に「何故(Why)」と「どのようにして(How)」を報告す
るという方法を取って、報告の迅速化を図る手法もある。
6
(ウ)適時適切な広報
情報の収集と同程度、あるいはそれ以上に重要なことは、誰が、
いつ、いかなる内容で、現状について、関係部署に必要な情報を
提供(内部周知、マスコミ発表、一般公開を含む。)するかを予め
定めておくことである。
この対応を誤ると、誤った広報により派生した二次的な危機へ
の対処にふりまわされることとなる。
イ
「報告・実施・復命」の徹底
いわゆる「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」は通常業務におい
ても重要なことであるが、危機対処に際しては、
「状況の報告」に基
づいて出された「指示の実施状況確認」を行い、指示を受けた者に
「実施結果及びそれによって変化した状況の復命」を必ず行わせる
ことが必要である。
また、指示の聞き間違いや勘違いを防ぐため、
「復唱」等の確認を
行わせることが重要である。
ウ
指揮命令系統の明確化
危機対処責任者が現場で陣頭指揮を行なうことは、部下の士気を
高めるためには有効な手法のひとつではあるが、責任者が最優先で
考慮すべきは、
「有効な全体指揮を取るためには、どこに位置してい
るべきかを判断し、当該場所に常駐すること」である。
これにより、どこにいけば指揮を受けられるかが明確となり、指
揮命令系統が自然に明確化されることとなる。
なお、有効な全体指揮を取るために適している場所とは、指揮・
統制・通信・情報・広報などの業務を取りまとめて行うことができ
る場所であり、具体的には、次のような場所である。
○ 危機事象発生現場との連絡が確保できるような、有線・無
線などの双方向通信装置及び同報装置を有している場所
○
補給・情報・広報・現場処理等の部門から派遣された者、
及び関係業務を有する部署及び機関からの連絡要員などを収
容できる場所
○
地図・対処情報一覧・関係機関連絡先一覧・その他関連情
報などを関係者全員が同時に確認できるような手段(例 壁
7
への貼り出し、黒板・ホワイトボードの利用等)が確保でき
る場所
エ
休養と補給
危機対処にあたっての最大の阻害要因は、過度の緊張や不規則な
仕事の蓄積による、責任者以下従事職員の「疲労」である。
1日から2日程度の対処であれば、交代要員なしでも対応可能で
はあるが、長期化した場合は、睡眠・休養・栄養補給・精神的緊張
状態からの開放なしには対応できない。
従って、危機対処が長期化する場合には、
「従事者への補給物資(食
糧・寝具・日用品 等)の集積」はもちろんのこと、代替要員を指
名した上での「交代制勤務」や「休養と補給の割当」について計画
することが必要である。
オ
人員資材等の見極め
業務遂行にあたっては、通常、業務内容に応じて適切な規模の人
員・資材等を随時投入して対応することが求められるが、危機対処
に際しては、必ずしもそれが正しいとは言い切れない。
次なる危機事象の発生が十分に予測できる場合には、その発生を
未然に防ぐために、過剰とも思われる規模の人員・資材等を当該局
面に投入することが大事である。
カ
付与任務の単純化
危機に対処するということは、不慣れな業務に従事することでも
ある。
従って、責任者が従事者に対して高度・抽象的な任務を付与して
も、従事者は何をすればいいのかわからないという事態を招きかね
ない。
そのため、従事者に付与する任務は、極力単純化したうえで、具
体的に指示するような心くばりが重要である。
キ
命令や指示の一貫性
命令や指示は、組織規模が大きければ大きいほど末端まで到達す
るのに時間がかかるので、短期的に命令を変更すると、その理由が
不明な場合は、現場活動に混乱を生じさせることとなる。
新たに判明した状況に対して柔軟な対応を行なうことは必要であ
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るが、説明不足等により、現場に一貫性がないと判断されれば、か
えってマイナスとなる。
短期的な命令変更を行なう場合は、その前提となった状況分析の
変更理由を付け加えることが必要不可欠である。
⑵
職員個人が心がけること
効果的な危機管理及び危機対処を行なうためには、職員一人ひとりが
常日ごろから危機事象発生への対応や危機対応について、積極的に意識
し、心がけておくべき事項がある。
危機や危機事象の態様は様々であることから、ここでは、一般論とし
て、必要な心構えを記載する。
① 平常時に心がけること
危機そのものの発生確率を極小化することに重点を置くことが必要
である。
ア 危機要因発見の視点
危機の未然防止のためには、職員一人ひとりが危機に対して日々
高い問題意識を持つことが求められる。日常業務を進めるなかで常
に問題点が無いか発見しようとする姿勢、危機要因を予知・予測す
る目線を持つことが、危機を未然に防ぐことにつながる。
また、日ごろから危機への心構えができていないと、事態が起こ
ったときに「まさか‥‥」という混乱状態を招くことになる。常に
「もしかすると‥‥」「もし万が一‥‥」という発想を持つことが、
危機対処への隙を無くすとともに迅速な対応を可能とする。
さらに、
「1件の重大災害の背後には29件のかすり傷程度の軽災
害があり、その背後には300件のけがはないがヒヤッとした体験
がある(ハインリッヒの法則)」といわれていることから、
「ヒヤリ・
ハット」の情報の共有を常時心掛け、職場ぐるみで、対応を考える
ことが必要である。
イ
ヒューマン・エラー防止の努力
平常時の業務に対する「慣れ」、「マンネリ化」、「気の緩み」は、
危機の誘発、思い込みによるミスの発生、及び危機対応の不手際に
よる二次的・派生的危機の発生につながるものである。
危機を予防するためには、これらの要因を生み出さないような職
員個々の自覚が必要である。
また、危機発生の原因として人為的なミス(ヒューマン・エラー)
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が疑われる場合は、それを「原因」ではなく「結果」として位置付
けて、なぜそのような結果になったのか、経験不足だったのか、マ
ニュアルが悪かったのか、意思疎通に問題があったのかなど、様々
な原因を究明して再発防止を図る必要がある。
ウ
最悪事態への備え
危機とは、事前の備えを超えたところで発生するものであること
から、実際に危機に直面した場合、多かれ少なかれ「パニック」を
生じることは避けられないが、危機に対する事前準備にあたっては、
「最悪事態はないだろう。」ではなく、「最悪事態があったらどうす
る」という心の備えをしておくことにより、パニックを防止するこ
とが可能となる。
非常時に心がけること
いったん危機事象が発生した後は、発生した危機の原因の如何を問
②
わず、被害を最小化することに重点を置いて対策を講じていくことが
必要である。
ア 危機を危機と認識できる感性
危機事象発生の兆候段階や直後において、
「危機を危機と認識でき
る感性」を働かせ、一刻も早い初動体制をとることが、被害を最小
限にとどめることになる。
異常事態が起こっても、それを正常の範囲内としてとらえ、心を
平静に保とうとする、いわゆる「正常性バイアス」には引きずられ
ないことが重要である。
イ
先手必勝の考え方
危機対処時は、次から次へと様々な事態が発生し、混乱状態から
後手後手の対応に陥りやすいため、危機対処にあたっては、
「疑わし
きは行動する。」
「見逃しはしない。」という行動原理のもと、先を読
み、先手先手を打っていく態度で臨むことが、被害の最小化につな
がる。
ウ
最終局面での注意事項
危機対処が山場を過ぎ、大勢が定まると、従事者の気持ちは「撤
収」に向けて急速に収束していくものである。
このような場合にも、結果が確定するまで、目配り・手配りを実
10
施する態度が必要である。
エ
情報ルートの複線化
危機対処時には、現場や外部から様々な情報が入ってくるが、そ
の内容は、正確なものばかりではなく、デマ・思い込みによる誤情
報などがつきものである。
情報の精度を高めるためには、公式・非公式を問わず、できる限
り複数の情報源から同一の事象等に係る情報を入手する努力を実施
することが必要である。
裏づけの無い情報に踊らされることは厳に戒めるべきことである。
7 危機管理監及
危機管理監及び
び危機管理課の
危機管理課の役割
個々の危機に対処するのは、原則として所管部署の役割であり、危機管
理監及び危機管理課は総合調整などの任に当たることとなるが、その主な
役割は、次のとおりである。
⑴ 危機管理監の役割
①
②
平常時の役割
危機管理課を指揮し、関係部局に対する指導、助言を行う。
緊急時の役割
危機情報の集約分析等を行うとともに、発生した危機の態様に応じ
て関係部長等への指導助言又は指示を行い、適切な対応を実施する。
⑵
危機管理課の役割
① 平常時の役割
各部各課等における危機管理体制の整備状況(個別マニュアルの修
正・策定、職員の研修等)について進行管理及び助言指導を行なうと
ともに、庁内における危機情報の共有化に努める。
② 緊急時の役割
危機管理監を補佐し、適切な対応が取れるよう、情報の収集分析、
関係部署等との連絡調整、所要の対応行動の指示又は実施の任に当た
る。
8 他の計画及び
計画及び他のマニュアルの
マニュアルの位置付け
位置付け
「5
5 危機管理指針の
危機管理指針の対象となる
対象となる危機
となる危機の
危機の種類」において分類した危機の
種類
11
種類ごとの既存の計画及びマニュアルの位置付けは、
「資料編2 いわき市
危機管理指針と個別計画との相関図」(P43~P51)のとおりである。
9 市民
市民・
・事業者・
事業者・民間団体等
民間団体等の協力
危機管理をスムーズに実施するためには、行政だけでは十分な対応は困
難であり、市民・事業者・民間団体等の理解と協力が必要不可欠である。
また、個々の危機事象ごとに、対応方法や留意事項は異なってくること
から、個々の危機事象を担当する部局ごとに、市民・事業者・民間団体等
に対して、協力が得られるよう、啓発に努めるとともに、知識の普及に努
める必要がある。
10 関係機関
関係機関との
との連携強化
との連携強化
危機管理にあたっては、国・県などの関係機関との連携や協力要請も必
要不可欠である。
危機事象を担当する各部局においては、日ごろから、関係機関との連携
に努め、危機事象発生時の連携を円滑に実施できる体制を整えておくべき
である。
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