亀山市生活道路整備指針(PDF:639KB

亀 山 市 生 活 道 路 整 備 指 針
平成 23 年
建設部
9月
まちづくり整備室
(平成 25 年
建設部
4月
室名変更)
道路整備室
目
次
1.
目的
・・・・・P.2
2.
現状の課題
・・・・・P.2
3.
今後の道路整備の方向性
・・・・・P.3
4.
整備手法の考え方
・・・・・P.4
5.
指針の対象
・・・・・P.4
6.
6.1
整備手法(案)
生活道路整備指針のフロー
・・・・・P.5
6.2 整備手法検討
(1)検討内容
(2)整備手法検討
(3)今回案(中期対策)の効果
・・・・・P.6
6.3 現況評価(暫定)
(1)評価指標
・・・・・P.11
6.4 試行計画
(1)試行の目的
(2)試行の内容及び検討課題
・・・・・P.12
◆亀山市生活道路整備指針
本指針は、平成 20 年度~22 年度に調査した生活道路の整備に関する「基礎調査」や、地域の対策
立案に対する要望を踏まえ、今後の亀山市における生活道路の方向性及び整備手法について取りまと
めたものです。
1.目的
亀山市の市道は、国道や県道などの上位道路と連携して広域的な道路ネットワークを形成する
『幹線道路』と、各地域に張り巡らせた地域住民の日常生活を支える『生活道路』に分類することが
出来ます。
道路整備に関しては、少子高齢化社会の進展や市民ニーズが多様化する一方で、厳しい財政
状況を背景としてこれらの課題に対する十分な対応が困難な状況となっています。
このような社会情勢の中、限られた財源で質の高い道路行政を実現するために、必要性、効率
性などを評価し、『集中と選択』の視点から、投資の重点化や建設コストの縮減など効果的な事業
の執行に努め、市民への説明責任を果たすことが大切です。
ここでは、道路幅員が 4m以下の狭隘な生活道路の整備を「早く」、「効果的に」、「経済的に」進
めるために統一した優先順位評価基準を作成し、管理手法を確立することを目的とします。
2.現状の課題
亀山市内には多様な地域性を有し地形等の特徴も異なる 25 の地区コミュニティが存在しますが、
各々の地区が以下に示すような市道に関する問題点を同様に抱えており、その問題解消が大きな
課題となっています。
○地域の抱える課題
・
市内に多数存在する集落内の狭隘な生活道路では、自動車・歩行者の円滑な通行、緊急
車両の進入に支障が生じています。
・
狭隘な生活道路の整備は、地域要望に基づき関係地権者の了承を得られた路線から市が
順次道路改良を進めているが、建物補償の必要性等からその進捗は芳しくない状況であり、
集落内の狭隘生活道路の改良率は3割程度です。
○行政の抱える課題
・
長引く不況の影響による税収減に伴う財政状況の悪化があげられます。そのため効果的な
投資(集中と選択)に十分留意する必要があります。
・
狭隘道路解消・改善に関する市民満足度を向上させる必要があります。市民満足度の向上
策の一つとして早期の効果発現(スピードの向上)を目指す必要があります。
・
地域住民の行政不信払拭のため、市民協働(参画)による透明性の確保を行う必要があり
ます。
3.今後の道路整備の方向性
① 「2.現状の課題」を解決するため、必要性が高い路線を選択して、整備効果の早期発現が得られる道路
整備を進める必要があります。
② 市民参画により地域の実情にあわせた整備計画を策定することや、維持管理の方法なども含めた協働
も必要です。地域計画を協働のもとに策定することで、まちづくりに携わる市民の絆が強まり、創造性豊
かな活力ある地域を築いていくことができ、こうした市民の力は、これからの亀山のまちづくりにとってま
すます必要とされ、更に推進していくことが求められていると考えます。
③ これらを実現することによって、市民のみなさんと行政との距離感をもっと縮め、市民のみなさんが行政
を生活の一部として、身近に感じて頂けるようなまちづくりを目指します。
・市民参画により「評価指標」を用いて狭隘な生活道路に対して評価を行い、合計得点毎にランク分けを
行い、ランクの高い路線を「必要性が高い」と位置付け、その優先順位に従い整備を行っていく手法を用
います。(別紙参考資料)
・この考えに基づき平成 20 年度に川崎地区におけるモデル事業を実施したところ、「行政」と「地域住民」
との整備路線の優先度合いは概ね一致し、下記評価指標を用いた整備計画の有効性は高いと考えま
す。
基礎資料の整理として市が管理する市
地域内における 4m未満の道路の抽出
道で幅員 4m 未満の路線を道路台帳や現
地調査により地域の現状を把握します。
評価指標の設定・対象路線の抽出
①幹線道路と集落を結ぶ路線
行政+地域が
協働して検討
②交通事故が多い路線
③通学路に指定されている路線
④避難場所への連絡路線
⑤緊急車両の進入困難な路線
⑥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
⑦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
地域にとって『活力』
『暮らし』
『安全』
などの要素が向上する評価指標項目を
設定し対象路線を抽出します。また、
その項目ごとに重要度が評価できるよ
う点数付けを行い、整備優先路線のラ
ンク付けを行います。
(行政と地域が協
働して検討します。)
地域計画策定
地域計画策定までのフロー
地域計画を基に道路整備を進めていく
ことになります。
4.整備手法の考え方
「道路整備の方向性」に従い、生活道路整備を優先順位が高いと位置付けられた路線に対して
整備を行う際、従来どおりの「全線にわたる関係地権者全員の了承を得た上でしか道路改良を進
められない」状況のままでは、全員の同意を得るのに多大な時間と費用がかかり、一向に整備が
進まず道路整備のスピード化が図れません。
それでは市民が切実に望む不便な箇所を『早急に』、『使い勝手よく』、『便利』で『安全』にしたい
との要望に応えることが出来ません。
整備のスピード化を実現するためには、多様な整備手法の導入と、適用のルール化が必要とな
ります。
5.指針の対象
亀山市道の道路幅員が4m未満の狭隘な「生活道路」を対象とします。整備の種別としては以下
の2つを対象とします。
・
改良・・・道路幅員を確保するための拡幅、及び待避所設置や交差点改良等の部分拡幅
・
歩道・・・歩道設置等の改良
※1)都市計画道路については対象外とします。
※2)街路事業及び区画整理事業等の他事業は対象外とします。
※3)指針は、社会情勢の変化等を踏まえて、必要に応じて見直しを図るものとします。
改良幅員の考え方
5.0m
0.5m
0.5m
3.0m
1.7m
1.7m
乗用車
程度
乗用車
程度
消防活動、乗用車相互のすれ違い等を考慮すると、道路構造令に定める 3 種 5 級の特例
程度の道路幅員 4.0m(車線幅員 3.0m+路肩幅員 0.5m×2)(+排水施設)を必要最低幅員と
考えます。
6.整備手法(案)
6.1
生活道路整備指針のフロー
地
域
計
の部分が従来の生活道路整備から
新たに追加となった考え方
画
(今後、各地域にて計画策定を行う)
地元が実施
(※1)
※緊急を要する場合は別途処理する。
防護柵・照明灯等の道路付属施設、
カーブミラー、区画線等の交通安全施設等
市民からの道路に関する要望
亀山市建設部道路整備室が対応
地元自治会で要望取りまとめ
「生活道路整備」として対応
市で現地を調査
地元自治会より要望書の提出
(対象路線の現況幅員が 4m未満か等)
要望書の整理
亀山市が対応
関係部署
で対応
別途検討
事業実施に
合わせ計画
(改良(整備)箇所の整備手法検討)
他事業要望
■ 現況評価(暫定)
評価対象外の要望
施策等に関連する要望
実施計画書
に採択
(改良(整備)箇所の必要性評価)
地域の合意
予算要求
予算確保
国・県道に関する要望
事業実施
国・県から
の回答
2
地元自治会に回答
翌年度以降優先(
※ )
国・県が対応
国・県に
要望
■ 対策検討
市民が受益
※1:道路整備の要望は、市民個々の道路整備の要望について自治会内で取りまとめた上で、市へ提出するもの
とします。(これまでも地元自治会で要望を取りまとめる時点においても市は対応を図っております。)
また、地元からの要望全てが道路整備室に提出されるわけではなく、通学路関連のPTA要望は教育委員会
に提出されている現状もあります。上記以外の経路でも関連する地元要望に関しては対処を図っていきま
す。
※2:実施年度を先送りした要望については、翌年度以降に優先的に実施します。
6.2
整備手法検討
(1)検討内容
整備手法の検討に際して対策の時間軸について整理を行います。
下表に示すように、本来の道路機能として必要な5m以上道路の全線確保を行うのは「長期対策」となりま
す。そのため長期対策を全線で行うことが最終的な目標ですが、関係者との調整に多大な時間を要すること
や、限られた予算で整備しなければなりません。早急な効果発現を目途として、「短期対策」、「中期対策」を
暫定的に実施していくことも必要です。
時間軸
概要
短期対策
道路用地内において、早期に比較的安価に実施
できる交通安全対策を含む部分的対策
対策レベル
期間
概ね1年
暫定的対策
中期対策
用地の部分買収などを含む全線改良以外の部分
的対策
長期対策
一定の延長、または結節された区間を有する全
線道路拡幅
検討のながれとしては以下の通りとなります。
(2)整備手法検討
概ね1~3年
恒久的対策
上記以上
ステップ①:長期対策 検討
・「用地買収」による 5m以上の拡幅の可能性について、地域と調整を行い、対象区間全体で 5m以上の道
路拡幅の用地が確保できた場合、「長期対策」が実現します。
ステップ②:中期対策 検討
・次に、長期対策が困難な場合は「中期対策」として、事業区間を将来道路用地として活用・転換すること
(道路の線引き)に対する理解・合意が必要となります。
・上記合意が得られた後、早急な用地提供の可能性について調整を行います。用地提供としては、従来ど
おりの「用地買収」となり地権者との交渉を進めることになります。これにより連続して幅員 5m以上の道
路拡幅が延長 16m以上確保(※次頁参照)できた場合、「中期対策」が実現します。
・対策の期間としては実現までに概ね1~3年程度を要するものを対象とします。
この区間延長が連続した 16m以上を確保
できれば中期対策適用可能と判断
関係地権者全員が将来的な拡幅に伴う
「道路の線引き」に同意することが前提
事業区間(市道以上の道路の交差点間を結束する区間)
5m以上幅員確保区間
田・畑
建物
現況道路
田・畑
田・畑
建物
田・畑
5m以上
建物
建物
田・畑
・当然、中期対策については現況の道路用地を広げる必要性があり、沿道の土地利用者との調整が必要
不可欠です。
・対象区間の関係地権者全員に説明会を行い、「将来的な拡幅に伴う道路の線引き」および「早急な用地
買収」に対する「意思確認」を行います。
・この意思確認により、『対象路線における将来的な拡幅に伴う「道路の線引き」に対する関係地権者全員
の同意』、および『用地買収に伴う 5m以上道路確保可能延長』が判断でき、延長が 16m程度となる場合
には「中期対策実現の可能性あり」との判断を行います。
・中期対策については、狭あい道路後退用地整備事業により完成する長期対策とは切り分けて考えるとと
もに、将来的な拡幅に伴う「道路の線引き」に対して関係地権者の1人でも同意が得られない場合には適
用されません。市税を投入する意味においても、将来的に事業区間を全線拡幅することが目的であるこ
とから同意を確認する必要性があります。
■中期対策の最低整備延長の考え方
・「中期対策」とは、本来「長期対策」として生活道路全てが 5m幅員にて整備された状態の、「暫定形」とし
ての位置付けとなります。
・暫定形の整備延長としては、小型乗用車同士のすれ違い等が円滑に行われる「待避所」的な道路構造を
確保できることが整備条件と考えます。
・「道路構造令」では非常駐車帯の最小値として、有効長(15m)、すりつけ長(5m(橋梁・トンネル等))、合
計「25m」が許容されています。
・亀山市生活道路の実情をみると、有効長については乗用車 1 台分(6m程度)の確保でも適用可能と考え、
『(すりつけ長 5m×2)+有効長 6m程度=16m以上』を本指針での中期対策の最低整備延長として採用
することとします。
5m
15m
5m
出典:道路構造令 642 頁
■中期対策の際の措置について
・「用地買収」については従来と同様で、買収手続きを経て道路拡幅を実施することとなります。
※部分買収に伴う補償金額(建築物・工作物)によっては、地域と相談し対策手法などを検討します。
ステップ③:短期対策 検討
・長期、中期対策ができない場合、「短期対策」として、道路用地内での効果的な対策の実現性の検討を
行います。
・短期対策の整備手法の代表的なものを以下に示します。

カーブミラー
・

カーブ区間や無信号交差点部などの見通しが確保できない区間において設置します。
ポストコーン
・

交差点付近の歩道たまり部分等で、たまり空間確保策として交通安全を目的に設置します。
区画線の設置
・
道路の車線境界を明示する。自動車の車線逸脱防止や歩行者・自転車の交通安全を目的に設置しま
す。

側溝蓋の設置
・

道路端部の側溝に蓋かけを行うことで、通行可能空間を確保します。
路肩整備
・
現況路肩法面に擁壁を設置することで歩行空間の確保を図ります。
(3)今回案(中期対策)の効果
中期対策を実施することで得られる「効果」は以下のものが想定されます。
【効果】
・限られた予算で早期の対策実現が可能
・早期対策実現に伴い利便性が図られ、市民満足度の向上が図られる
・地域計画を基に対策手法を検討するため道路行政に対する透明性が確保できる
・整備手法の選択肢が多様化し、今まで整備できなかった路線が対象となり得る
以下に参考として、各時間軸における対策を実施した際の概算事業費を示します。
100m当り概算事業費
(直工・参考)
対策イメージ
建物
概算:2350万円
・用地費(100m2):800万円
現況道路
長期対策 ・道路建設費(500m2):750万円
・測量・設計費:300万円
・建物補償費:500万円
建物
建物
3m
100m
建物
5m
建物
用地買収
※建物が1件のみかかる条件でシミュレーションして概算事業費を算出
建物
概算:520万円
・用地費(40m2):160万円
中期対策
・道路建設費(40m2):60万円
・測量・設計費:300万円
現況道路
用地買収 建物
建物
短期対策
概算:25万円
・カラー舗装(50m2):25万円
現況道路
建物
3m 5m
20m
建物
建物
3m
100m
建物
建物
カラー舗装化
建物
0.5m
建物
6.3
現況評価(暫定)
地域計画が策定されるまでの整備路線の優先度を測るために、以下に示す 10 の指標で評価を行います。
(1)評価指標
□現道の状況
評価種別
整理
番号
項目
歩
道
改
良
1
認定状況
●
●
2
3
4
5
6
舗装の状況
●
道路の有効幅員
歩行者・自転車の
交通量
車両の交通量
●
●
道路の見通し(視距)
●
B
●
C
A
B
C
A
●
●
●
●
土地利用状況
【山間地】
8
9
10
通学路
事故履歴
公共施設からの距離
●
●
●
A
C
A
B
C
A
●
土地利用状況
【平地・住宅地】
7
評価
基準
●
●
●
B
C
A
B
C
A
B
C
A
B
C
A
B
C
A
C
A
B
C
詳細
要望路線は、市道認定されている道路である。
要望路線は、市道認定されていない道路である。
要望箇所は未舗装(一部区間未舗装)である。
要望箇所の路肩部が未舗装である。
要望箇所は舗装が整備済みである。
道路の有効幅員が狭く、安全性を改善する必要性が高い。
道路の有効幅員が中程度で、生活道路として多少不便は感じるが、
普段の生活に大きな支障がない。
待避所等が確保されており、概ね安全な通行が保たれている。
交通量が多い。通勤・通学に利用され、朝夕の交通量が多い。
交通量は中程度。沿線住民及び沿線土地利用者以外の通行が主。
交通量は少ない。沿線住民及び沿線土地利用者の通行が主。
一日を通して交通量が多い。
交通量は中程度。朝夕の交通量が多い。
沿線住民及び沿線土地利用者以外の通行が主。
交通量は少ない。沿線住民及び沿線土地利用者の通行が主。
見通しは悪く危険である。
見通しは普通で、概ね安全に通行できる。
見通しが良く、安全な通行が保たれてる。
要望路線に宅地等が面している割合が高い。
要望路線に宅地等が面している割合は中程度。
要望路線に宅地等が面している割合が低い。
土地利用度が高い(集落内)。
土地利用度が中程度(耕地)。
土地利用度が低い(山地)。
要望箇所の全区間が通学路に指定されている。
要望箇所の一部が通学路に指定されている。
要望箇所は通学路に指定されていない。
要望箇所において交通事故が発生したことがある。
要望箇所において交通事故が発生していない。
学校等の公共施設までの距離が近い。
学校等の公共施設までの距離が概ね徒歩圏。
学校等の公共施設までの距離が遠い。
※各地区での配点方法は、その地区のおかれている実情や住民感情等により異なる可能性が有ります。
本指針では亀山市全体を見渡した上での基本的な指標や考え方を示しますが、地区毎でのローカルルールを
ケース・バイ・ケース設けることは差し支えないと考えています。
6.4
試行計画
(1)試行の目的
・実際に事業を進め試験的に運用させることで、関連する他事業との整合を含め、机上だけでは分からな
い実態にあった指針の見直し、それと同時に本指針の有効性・有用性の効果を検証し、最も合理的な道
路整備を推進することを目的とします。
(2)試行の内容及び検討課題
(内容)
・試行期間としては、H23年度より3年程度を目安とします。
・パイロット事業として特定の地域・路線に対して中期対策の適用・実施を行います。
・試行期間を経て指針の見直しや修正を行った後、5年程度で全市的な展開・本格運用を目指します。
・各地域において地域計画の策定を順次進めていきます。
・効果検証の方法としては、基本的には利用者である「地域住民へのアンケート」を行います。
・本指針の運用について、地域住民に周知する必要があるため、出前講座の開催、広報への掲載、パンフ
レットの作成、亀山市ホームページへの掲載等を行います。
(検討課題)
・道路機能として「狭あい道路後退用地整備事業」との役割分担を明確化
・地域計画を策定するまでの地元要望に対する対応(整備優先度の評価)
・地域計画をどの単位で策定するか(自治会、コミュニティー)
別紙参考資料