日本語版PDF - 地球環境戦略研究機関

共同議長サマリー
G7 富山環境大臣会合 パラレルセッション
「都市の役割」
2016 年 5 月 15 日、富山、日本
(仮訳)
背景
開催経緯と目的
1. 都市は市民により近い目線において持続可能な社会への変革に向けた多様な課題に
直面しており、地球規模の持続可能性に対しても寄与するところが大きい。持続可
能な開発目標(SDGs)の目標 11 として取り上げられているように、都市は持続可
能な開発を実践する現場である。このような都市の役割の重要性については、リマ・
パリ行動計画の実施という観点から気候変動枠組条約 COP21 においても認識され
たところである。迅速かつ分野横断的な意思決定とそれぞれの特色を活かした取組
という点で都市が果たす先導的な役割への期待も高い。実際のところ、既に多くの
地方自治体が多様で革新的な計画を実施している。これらの背景から、以下を目的
とする G7 富山環境大臣会合のパラレルセッション「都市の役割」の開催が呼びか
けられた。
i.
先進的な取組を行う都市の首長の参加を得て、都市が果たす、環境保全と
新たな社会構造への対応について、事例を紹介し、今後の各国での進展に
ついて検討・情報共有を図る。
ii.
都市における環境保全施策を推進する上で、中央政府が果たすべき役割につ
いて検討・議論する。
基本情報
2. G7 富山環境大臣会合のパラレルセッション「都市の役割」は、環境省、富山市、G
7 富山環境大臣等推進協力委員会、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の
主催・共催により、2016 年 5 月 15 日に富山で開催された。本会合は、都市の役割
に注目し G7 富山環境大臣会合の機会に開催された初めてのパラレルセッションで
あった。会合にはブリストル市、フィレンツェ市、フランクフルト・アム・マイン
市、東松島市、北九州市、富山市、バンクーバー市及びヴィトリー・ル・フランソ
ワ市の代表、さらに地球環境ファシリティ(GEF)、イクレイ-持続可能性をめざす
自治体協議会(ICLEI)及び 100 のレジリエント・シティ(100RC)の代表及び上級職員
等が参加した(別添資料 A を参照)。本パラレルセッションの共同議長は、富山市
森雅志市長と IGES 浜中裕徳理事長が務めた。
議題概要
3. 「交通網の近代化とコンパクトかつ強靭なまちづくり」、「地域資源を活用した低
炭素で強靭なエネルギー需給に係る取組」及び「都市の先進事例の共有と都市間連
携の促進・国際機関の果たす役割」の3つのテーマについて討議が行われた(別添
資料 B を参照)。参加都市及び機関による発表の要旨は別添資料 C に示した。
1
4. この共同議長サマリーは、G7 富山環境大臣会合(2016 年 5 月 15-16 日、富山)に
参加中の各国閣僚に報告・共有することを意図してまとめられた。さらに、「メッ
セージと提言」については、第 2 回国連環境総会(5 月 23-27 日、ケニア国ナイロ
ビ市)や HABITAT III(10 月 17-20 日、エクアドル国キト市)及びその準備プロセ
ス等の適切な機会に共有されることを目指している。
討議の要点
セッション 1:交通網の近代化とコンパクトかつ強靭なまちづくり
5. 住民にとっての魅力の向上と公共サービスの効率化をめざし、コンパクトかつ強靭
なまちづくりを推進するための先進的な取組が共有された。富山市、フィレンツェ
市、フランクフルト・アム・マイン市から紹介された手法には次のようなものが含
まれる:持続可能な土地利用管理、歩ける街への転換に向けた次世代型路面電車
(LRT)や自転車・カーシェアリングシステム等の統合型・低炭素型でマルチ・モ
ードの公共交通システムの導入、郊外におけるゼロカーボン化を推進するための電
気自動車・燃料電池自動車の普及とそのためのステーション整備、建物や施設の省
エネ・ゼロエミッション化と廃熱の活用等。
6. パラレルセッションの参加者は、コンパクトかつ強靭なまちづくりの取組が持続可
能な都市の発展、気候変動及び居住者の生活の質に同時に対処するための効果的な
手法の一つであることに合意した。また、それは人々の意識やオーナーシップを高
め、行動にインセンティブを与える政策により、実現を図ることが指摘された。参
加型かつ包摂的なアプローチによる地方自治体の都市計画への積極的な関与が、都
市の持続可能な未来と居住者の幸福と健康の形成に寄与しうることが留意された。
加えて、国際・国・地方の政策の整合性が特に環境分野では重要であることが指摘
された。その上で、都市が積極的な行動を先導できる立場にあることを共有した。
また、効果的なファイナンスの重要性についても認識された。
セッション 2: 地域資源を活用した低炭素で強靭なエネルギー需給に係る取組
7. 地域資源を活用した低炭素で強靭なエネルギー需給を実現するための、野心的な目
標と戦略的な取組が、東松島市、バンクーバー市およびヴィトリー・ル・フランソ
ワ市から紹介された。野心的な目標の実現に向けた、地域固有の再生可能・未利用
エネルギー資源の活用、街区エネルギー供給システムによる効率的な低・ゼロ炭素
エネルギー供給、建築分野と交通分野での省エネ、スマートメーター導入とこれに
伴う行動変容による統合的なエネルギー需給管理等の先進的な事例に加えて、環境
に配慮した強靭なまちづくりや、グリーン雇用の創出、市民の共助や参加の重要性
についての発表があった。
8. パラレルセッションの参加者は、2050 年までに温室効果ガス排出を 80%から 100%
削減する、できるだけ早い時期に 100%再生可能エネルギーへ移行する、エネルギ
ーの地産地消を実現するといった野心的な目標の達成に、都市が積極的に寄与する
重要性を強調した。さらに、地域の再生可能・未利用エネルギーの利用可能性の精
査(費用便益分析や持続可能性分析を含む)、地域のステークホルダーとの将来像
の共創・共有、野心的な目標設定と戦略的な投資・取組の実施により、都市は低炭
素で強靭なエネルギーシステムを手に入れられることが強調された。建物分野では、
省エネと住環境改善のコベネフィットがある一方で、ファイナンスやステークホル
ダーとの利害調整に課題があることが共有された。新築の建築物をエネルギー収支
均衡型・供給型のように野心的にデザインすることで、歴史的な建造物のエネルギ
2
ー損失を補完できるという考え方が示された。また、中央政府及びその他のステー
クホルダーは、再生可能エネルギーの利用促進と化石燃料への補助金を速やかに廃
止し、低炭素社会への移行を可能にするための投資を増やす必要があるとの意見が
示された。
セッション 3:都市の先進事例の共有と都市間連携の促進・国際機関の果たす役割
9. 気候変動対策と環境保全についての先進的な事例や知識と経験を共有し、お互いに
インスピレーションを得て高めあうための都市間連携に関する取組が、北九州市お
よびブリストル市から紹介された。あわせて、都市による取組を積極的に支援し、
都市間連携の促進に実績のある国際機関・中間支援組織である GEF、ICLEI、100RC
から、都市の先進的な取組及び都市間連携への支援の考え方、国による都市の行動
を動機付ける「環境未来都市」構想などの事例、経験、知識および今後の支援活動
の方針が紹介された。
10. パラレルセッションの参加者は、関連するネットワークを効果的に活用し、中間支
援組織と協働することが、他の都市から学び、自身の経験を発信するために役立つ
ことを強調した。また、持続可能な都市への移行を進める自治体の公的な認知や奨
励を通じて都市は触発され動機付けられることから、中央政府や地域レベルのイニ
シアティブの果たす役割が不可欠であると認識された。さらに、市民、企業や大学
などのアクターの参加の重要性が指摘された。また、国際機関は現場のニーズと解
決策をマッチングし、実施のために必要なリソースを動員することで都市を支援し
うることが認識された。特に、先進国と途上国間あるいは途上国同士の協力による
都市の能力開発は、持続可能な計画に関する知識や経験を共有するための、中央及
び地方政府によるグローバルプラットフォームを通じて推進されることが強調され
た。加えて、都市と中央政府との対話や中央政府との協働の重要性が指摘された。
将来に向けたメッセージ
持続可能な社会への移行を実践する自治体の先進的な取組を、認知し、支援し、ショ
ーケースする
11. 本パラレルセッションは、都市及び中央政府の重要な役割を強調した。本パラレル
セッションに参加した都市および関連機関は、より持続可能な都市になるための先
進的な取組と、これらをショーケースする努力を継続し加速する。これは、多様な
ステークホルダーによる包摂的(inclusive)かつバランスがとれた協力に基づき、よ
り先進的な取組の実践を通して実現される。G7 各国及び EU には、このような都市
による革新的な取組を後押しし、国内あるいは域内の他の都市が追従し、スケール
アップするための仕組みを一層強化・充実することを期待する。
自治体のネットワークを促進し、新たな都市の参画を奨励する
12. 本パラレルセッションに参加した都市および関連機関は、お互いに学び合い野心度
を高めるために、持続可能な都市への移行を推進するための先進的な取組に関する
知識や実践を交換するための機会を促進し積極的に参加する。G7 各国及び EU に
は、多様なステークホルダーの協力による持続可能性を高めるための実践現場の取
組を後押しする、都市間連携のイニシアティブを充実することを期待する。特に、
途上国の都市との都市間連携を進めることで、知識の普及、能力開発及び一足飛び
型の発展を促進することを期待する。
3
都市の役割の主流化
13. 本パラレルセッションに参加した都市および関連機関は、都市が具体的な取組を生
み出し先進事例をつくるべく努力している様子を、気候変動枠組条約や生物多様性
条約や持続可能な開発のための 2030 アジェンダに関する主要な国際会議、さらに
HABITAT III 等において積極的に発信していく。G7 各国及び EU には、都市及び国
際機関・中間支援機関らと協力し、都市の役割の主流化に努めるよう期待する。富
山で開催された本パラレルセッションは、都市の持続可能性イノベーションを明示
するための重要なプラットフォームを提供し、将来の G7 関連会合における自治体
首長と閣僚の対話をさらに促進するためのきっかけとなるであろう。
…
4
別添資料 A
G7 富山環境大臣会合 パラレルセッション
「都市の役割」
2016 年 5 月 15 日、富山
参加者リスト
発表者
ブリストル市 (英国)
ジョージ・ファーガソン市長(2012-2016)
フィレンツェ市(イタリア)
ダリオ・ナルデッラ市長
フランクフルト・アム・マイン市(ドイツ)
ペーター・フェルトマン市長
東松島市(日本)
阿部 秀保市長
北九州市(日本)
北橋 健治市長
富山市(日本)
森 雅志市長
バンクーバー市(カナダ)
グレゴール・ロバートソン市長
ヴィトリー・ル・フランソワ市(フランス)
ジャン・ピエール・ブーケ市長
100 のレジリエント・シティ(100RC)
エリザベス・イー 戦略的パートナーシップ及び
ソリューション担当副会長
地球環境ファシリティ(GEF)
石井菜穂子 CEO 兼議長
イクレイ-持続可能性をめざす自治体協議会(ICLEI)
ウォルフガング・トイブナー
内閣府 環境未来都市推進委員会
ヨーロッパ事務局長
村上 周三 座長
共同議長
富山市(日本)
森 雅志市長
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)浜中 裕徳理事長
※ 都市名及び団体名のアルファベット順
1
別添資料 B
G7 富山環境大臣会合 パラレルセッション
「都市の役割」
2016 年 5 月 15 日、富山
議事次第
日時:2016 年 5 月 15 日(日)10 時開場・受付、10 時半開始、17:30 終了予定
(セッションの公開は 16:30 まで)
場所:ホテルグランテラス富山 4 階 瑞雲の間
10:00-10:30
開場、受付
10:30-10:40
開会セッション
 主催者挨拶: 環境省代表 鬼木政務官
 共同議長挨拶:富山市 森雅志市長 IGES
浜中裕徳理事長
第1セッション (発表 15 分×3 人,議論 30 分程度を想定)
交通網の近代化とコンパクトかつ強靭なまちづくり
10:40-11:55



12:00-13:10
富山市長(日本)
フィレンツェ市長(イタリア)
フランクフルト・アム・マイン市(ドイツ)
ランチ
第2セッション (発表 15 分×3 人,議論 30 分程度を想定)
地域資源を活用した低炭素で強靭なエネルギー供給システム
13:15-14:30



14:30-14:50
コーヒーブレイク
東松島市長(日本)
バンクーバー市長(カナダ)
ヴィトリー・ル・フランソワ市長(フランス)
第3セッション (発表:市長 15 分×2 人・国際機関等 10 分×4 人,
議論 30 分程度を想定)
都市の先進事例の共有と都市間連携の促進・国際機関の果たす役割
14:50-16:30






北九州市長(日本)
ブリストル市長 2012-2016(英国)
地球環境ファシリティ(GEF)
イクレイ-持続可能性をめざす自治体協議会(ICLEI)
100 のレジリエント・シティ(100RC)
内閣府環境未来都市推進委員会
16:30-17:00
コーヒーブレイク
17:00-17:30
閉会セッション(議長サマリーまとめ)
【非公開】
1
別添資料 C
G7 富山環境大臣会合 パラレルセッション
「都市の役割」
2016 年 5 月 15 日、富山
都市・国際機関による発表要旨
第1セッション
テーマ 交通網の近代化とコンパクトかつ強靭なまちづくり
富山市
富山市は、他の都市と同様に、急激な人口減少と高齢化、厳しい財政、行政・インフラコストの
増大、環境の悪化などの問題に直面している。このような人口、環境、そして経済の問題に対し
て、富山市は 2007 年 、持続可能でコンパクトな未来都市確立の目標を立てた。このコンパクト
シティ政策の下、包括的なアプローチを軸に、市が直面する複数の課題に取り組んできたところ
である。
まず、公共交通を活性化し、車に頼らずとも高齢者が活動的に生活できるよう生活の質の向上を
図り、地元企業を助成し、新しいビジネスを呼び込むことで経済的レジリエンスの向上を図って
いる。
その実現のために次の3つの柱を基本方針としている。1. 公共交通の活性化、2. 公共交通沿線地
区への居住促進、3. 中心市街地の活性化。
これらのコンパクトシティ政策による効果として下記のことが上げられる。1. 中心市街地や公共
交通沿線居住推進地区の転入人口の増加、2. 住宅地及び商業地の地価の上昇、3.人口減少率が鈍
化。
富山市は、これからも引き続き生活の質と経済成長と環境について調和のとれたベストバランス
を達成するコンパクトかつレジリエントな都市づくりを目指していく。
フィレンツェ市
「今日のフィレンツェ市(Florence of today)」は、大都市における独自の役割を担いながら、多く
の中心部を有する、コンパクトかつレジリエントな都市づくりに向けたロードマップを推進して
いる。フィレンツェ市の開発モデルでは、土地過剰利用防止条例及び気候変動に対する包括的な
戦略とあわせ、公共及び共同輸送の近代化及び代替移動システム(e-モビリティ、自転車専用道
路、歩行者専用道路)の改善に重点的に取り組んでいる。フィレンツェ市は、環境及び歴史的建
造物に対する負荷に長期的に耐え得る社会、経済及び環境面に配慮した新たな解決策を作ること
により、変化のみならず適応も図っている。「明日のフィレンツェ市(Florence of tomorrow)」は、
2
全ての人々の生活の質を向上させる解決策を検討しているところである。市民の共存という社会
的側面に焦点を当て、組織的な街づくり計画、新しいインフラ及び交通ネットワーク、エネルギ
ー効率及び持続可能な行動を通して、街は変化を続けている。イノベーションの街として、フィ
レンツェ市はヨーロッパにおける先導的な首都を目指している。
フランクフルト・アム・マイン市
フランクフルト市は、ドイツの気候変動対策において先駆者的役割を担っている。「マスタープ
ランプログラム」の一環として気候変動対策に関する高い目標を掲げており、その一つが 2050
年までにエネルギー消費量を 50%削減するというものである。2050 年に必要とされている残り
のエネルギーは、再生可能エネルギーからのみ供給される必要がある。このエネルギーの半分は
フランクフルト市で生産され、残りの半分はライン・マイン地域から供給される見込みである。
さらに、フランクフルト市は 2050 年の温室効果ガス排出量を 1990 年比で 95%削減することを
目標としている。「気候変動防止のマスタープラン」には、専門家による研究も含まれており、
これらの目標は高いが達成可能だと結論づけている。地方自治体のエネルギー関連機関による 3
段階アプローチには、これらの目標グループに対する都市の取組み方が示されている。これらの
目標を達成するためには、人々のエネルギー利用の方法を変える必要がある。本発表では、今後
重点的に取り組むべきテーマを紹介する。
第2セッション
テーマ 地域資源を活用した低炭素で強靭なエネルギー需給に係る取組
東松島市
東日本大震災を経験して、私たちは改めて、当たり前に使っていたエネルギーの大切さを実感し
たと同時に、停電が解消した時の嬉しさも経験した。
この経験を通じて学んだことは、再生可能エネルギーを電源とする自立分散型の電源を地域内に
確保することが、地域のレジリエンス性の向上、安全、安心な社会の実現において、極めて大切
であるということである。
バンクーバー市
バンクーバー市は気候変動対策を実施してきた長い歴史がある。1990 年に「Clouds of Change」と
いう報告書を発表してから、地域気候変動行動計画(2005 年)、2020 年世界で最もグリーンな都
市行動計画(2011 年)、2040 年交通計画、バンクーバー経済行動戦略、健全な都市戦略などを策
定し、最近では再生可能な都市計画を策定した。再生可能な都市戦略は、2050 年までに再生可能
エネルギー利用 100%の都市を目指している。バンクーバー市の役割は、まずは管轄地域における
再生可能なエネルギーの利用を普及し、それを他の地域にも浸透させていくことである。
3
バンクーバー市の 35 年再生可能な都市戦略は、建築物、交通など環境に配慮することで経済的な
便益をもたらすセクターを対象とし、再生可能エネルギーの利用と供給を増やすことを目的とし
ている。これによって、住民に健全で質の高い生活を提供するだけでなく、さらに多様で強力な、
また、強靭な経済をもたらすことができると考えている。
ヴィトリー・ル・フランソワ市
ヴィトリー・ル・フランソワ市(以下フランソワ市)は、シャンパーニュ地域に位置する産業都
市である。仏政府より「グリーン成長に有益なエネルギーを有する都市」と賞賛された。既にフ
ランソワ市内の 365 GWh は再生可能エネルギーでまかなわれており(主に風力発電)、その 25%
は地域エネルギー消費に使用される。また、バイオマスを燃料とする暖房システムは 3000 の住居
で使用されている。
フランソワ市は、2016 年~2030 年の間に、分散化エネルギーシステムを開発し、近郊のエネルギ
ー生産と地域消費をさらに密接にリンクさせるための統合プログラムの検討をしている。目的は、
同市及びその産業地域の温室効果ガス排出量を 80 kteq 削減し、地域資源を活用した再生可能エネ
ルギーの生産を 600GWh まで増やすことである。この成功のためには、農業、産業、都市開発、
建設業、自動車業など、都市とその管轄地域における全セクターにおいて、強靭で自給自足のグ
リーン経済の発展を目指している。
第3セッション
テーマ 都市の先進事例の共有と都市間連携の促進・国際機関の果たす役割
北九州市
北九州市は公害克服の経験を活かした環境国際協力により、アジアとのフレンドリーな関係を構
築してきており、OECD のグリーン成長都市にも選ばれている。公害克服から環境都市に至る技
術・ノウハウを体系的に整理した「北九州モデル」を構築するとともに、国際協力で培ってきた
都市と都市のつながりを大切にし、インドネシア・スラバヤ市(環境姉妹都市)やベトナム・ハ
イフォン市(姉妹都市)、カンボジア・プノンペン都(姉妹都市)などをはじめとするアジアの都
市において、JCM 都市間連携事業等を通じて、官民連携によるグリーンシティ創造を推進してい
る。
現地の人々に喜ばれ、尊敬されるような地位を確立するとともに、お互いが学びあい助けあって
いく関係を構築し、アジアと共に成長していくことを目指す。
ブリストル市
ブリストル市は、極めて優れた環境の質及び低炭素を目指す熱意、強いパートナーシップによる
取組に加え、遊び心のある都市として、2015 年の欧州グリーン首都賞を受賞した。2015 年は、ブ
4
リストル市にとって 100 のレジリエント・シティの創設メンバーとしての初めての年であり、パ
リ市とともに国連気候変動パリ会議の都市・地域パビリオンを共催するなど、イクレイと長期的
な関係を構築した年でもあった。
ブリストル市は、ジョージ・ファーガソン市長のリーダーシップの下、欧州グリーン首都賞及び
レジリエント・シティの立場から行動を働きかけ、イノベーションの基盤となり、投資を行うと
ともに、都市間、さらには都市を越えた産官学と地域との連携など様々なパートナーシップを築
いている。グリーン首都ネットワーク(Green Capital Network)や他の欧州及び国際フォーラムを
活用し、国際的に知見や経験の共有を通して都市の意欲を向上させるために、国際的に持続可能
性の分野でリーダーシップをとることに重点を置いている。
イノベーション及び連携に不可欠な要素として、公的と政治的支援、資金確保と意思決定力、及
び、強力な国際合意と経験からの教訓などが挙げられる。
地球環境ファシリティ(GEF)
GEF はこれまで 60 カ国と 170 都市以上で持続可能な都市プロジェクトを支援している。2015 年
には、新たに持続可能な都市プログラムを発足し、セクター別投資を皮切りとして持続可能で統
合的な都市計画の作成支援を行っている。本プログラムは、持続可能な都市の発展に関する都市
間の経験共有と資金調達・供給の 2 つで構成され、既に途上国 11 カ国における 23 都市で実施さ
れている。このプログラムは、持続可能な都市計画、ツール、及び指標に関する経験と知見の共
有、気候変動対策に対する都市の役割の強化、また、都市が持続可能でレジリエントな取組を行
う際の資金調達に役立つ。GEF は、これまで ICLEI、C40(世界大都市気候先導グループ)等の既
存の国際的な都市ネットワークやそういった活動を行う世界資源研究所(WRI)等の機関とも協
働しており、今後は G7 メンバーの都市がナレッジ・パートナーとなりさらに連携を強化してい
きたいと考えている。
イクレイ-持続可能性をめざす自治体協議会(ICLEI)
気候変動に関するパリ合意や持続可能な開発のための 2030 アジェンダが提示する新たな世界的
枠組みは、大きな社会的変革を求めている。そこでは都市や大都市圏が重要な役割を果たす必要
があり、社会文化的、社会経済的、技術的な変革が必要とされる。地域及び地方自治体は人々に
近い存在として、市民を変革のプロセスと行動に直接関与させることができる。また、統合的計
画を通じて、横断的な課題に対応するとともに、異なる分野やアジェンダの相乗効果を生み出し
ていく必要がある。
これまで地域及び地方自治体は、気候保全と持続可能な開発アジェンダにおいてその意欲とリー
ダーシップを示してきた。今こそ、この問題をマルチレベルのガバナンス構造にどう反映し認識
させるのかを話し合う時である。
5
100 のレジリエント・シティ(100RC)
気候変動、都市化及びグローバル化に対応することは、現在都市が直面している 3 つの大きな課
題である。これらの課題に取り組むための資源は限られているため、都市はそれぞれの課題の傾
向による影響を理解し、知識及び解決策を共有し、総体的にかつ一体となって解決策を見出すた
めのパートナーシップを築く必要がある。100 のレジリエント・シティはロックフェラー財団によ
って作られ、都市を脆弱にし得る物理的、社会的また経済的な問題に対し、都市がより強靭にな
るよう支援している。
都市のリーダーシップによる協力を通じ、最高レジリエンス責任者(Chief Resilience Officer)は、
人々、知識及び資源などを総体的に管理しとりまとめ、レジリエント・シティ・ネットワークに
加盟している都市において、また、都市間における解決策の構築を働きかけ、まとめ上げる役割
を担っている。レジリエンスに関して共通の言語を作り、共に取り組むことで、都市はレジリエ
ントな解決策の需要を高めつつ、新たな解決策の構築及び実行に向けて動いている。
村上周三 東京大学名誉教授(内閣府環境未来都市推進委員会 座長)
日本政府は、環境未来都市構想と呼ばれる、都市を軸とした環境政策を展開してきた。このプロ
グラムでは、低炭素化、高齢化対応など、環境問題への取組において意欲的な構想を示す自治体
が“環境モデル都市”、“環境未来都市”として政府により選定、表彰される。この制度により優
れた都市環境政策が広く公開され、目指すべき未来の都市のあり方を広く市民に対して見える化
することができた。
これらの都市で達成された優れた取組は、国内/国際会議や、政府のプラットフォームを通して
広く横展開され、多くの都市の環境政策の改善に貢献してきた。環境未来都市の取組はスタート
以来5年近くが経過し、達成された成果を踏まえて、新しい国内、国際的動向を反映した取組に
発展的に衣替えする時期にきているといえる。2015 年 9 月に国連が発表した SDGs の構想を中心
に、都市環境問題への一層の国際的貢献を目指して、新たな取り組みを展開すべきと考える。
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