No.8|かわいそうなんかじゃない

2014.5.16
NO.8 校長より
【かわいそうなんかじゃない】 今日はある中学3年生の女子生徒の人権作文を紹介します。 私はこの間電車に乗ったときにある体験をしました。その日、私は離れて住んでいる
祖父に会いに行くために電車に乗りました。すると、車イスに乗った私と同じぐらいの
女の子とそのお母さんが乗ってきました。 私は、そのお母さんに席を譲りました。するとそのお母さんは、
「ありがとうございま
す」と笑顔で言いました。そこからその親子と仲良くなりました。その女の子は私と同
じ中学生でした。しばらく楽しく会話していると、小さな子どもを連れたお母さんが乗
ってきました。すると突然その小さな子どもは私たちのもとへ近づき、こう言いました。 「なんでお姉ちゃんは電車に乗ってるのに車に乗ってるの。」 小さな子どもだから車イスが分からなくても仕方ないと思ったのか、中学生のその女
の子は、
「あのね、これはね・・・」と車イスを説明しようとすると、その小さな子ども
のお母さんが来て、
「すいません」と謝り、すぐさま席に連れ戻し、子どもに言った言葉
が、「あのお姉ちゃんはかわいそうな子なの」でした。 私は怒りより悲しくなりました。そんな風にしか考えられない母親はなんてかわいそ
うなんだと。すると、女の子は涙ながら、
「私はかわいそうなんかじゃありません」と声
をふるわせながら言いました。あわてて、その小さな子どもを連れたお母さんは次の駅
で降りて行きました。 私は泣いている女の子をなぐさめ、だんだん落ち着いてきたとき、女の子は重い口を
開き私に話し出しました。 女の子は陸上部に所属していましたが、交通事故により車イス生活をよぎなくされま
した。それでも顧問の先生は、女の子を陸上部のマネージャーとして部活に所属させて
くれたそうです。女の子はすごくうれしかったそうです。部活での居場所を作ってくれ
た顧問の先生にはすごく感謝していると涙ながら語ってくれました。 ですが、周りからの声がありました。
「お前みたいな車イスに乗ったやつがなんで陸上
部のマネージャーなんかやっているんだ」とか「よくそこまでして陸上部にいられるよ
ね」などの批判の声に耐えられず唯一の居場所であった陸上部をやめたそうです。 そのお母さんは、
「娘がこんなに明るく話しているのは久しぶりでうれしい」と、とて
も喜んでいました。女の子も、
「久しぶりに私の話を聞いてくれてちゃんと理解できる人
に出会えた」と喜んでいました。 女の子は、
「私は友だちやクラスの子に、かわいそうだと、あわれんでほしいわけじゃ
ない。少しでも私の話をきいてほしかっただけだった」と言いました。 私は女の子と別れ、駅のホームを後にしてバスに乗っている最中、障害について考え
ました。不自由でつらい思いをしなくてはならない社会ではなく、誰もが自由で平等な
社会を作らなければいけないと思います。これは一人ひとりが力を合わせて作っていか
なければならないと思います。 これからの未来を作る私たちが平等な未来を作っていきます。 (中学生人権作文コンテスト、入賞作品から抜粋)