本文 - 中国経済産業局

基
本
計
画
1 産業集積の形成又は産業集積の活性化に関する目標
(1)地域の特色と目指す産業集積の概要について
(地理的条件、インフラ整備状況等地域の特色について)
○地理的条件(恵まれた自然環境)
鳥取県は、中国地方の北東部に位置しており、日本海に面するその立地特性から、中国、韓国とい
った対岸諸国(地域)との経済交流のための国際的なゲートウエイとしてのポテンシャルを持ってい
る。県内面積は 3,507k㎡、東西約 120km、南北約 20∼50kmの東西に長い形状を持つが、コンパ
クトにまとまった県である。
地形的には、中国地方の最高峰・大山をはじめ、中国山地の山々が本県南部を縦走しているが、河
川はいずれもその中国山地から北流し日本海に注いでおり、県内3大河川である東部の千代川、中部
の天神川、西部の日野川は、それぞれ良質な沖積平野を形成している。
また、
気候は比較的温暖かつ適度な降雨量に恵まれており、
豊富な水資源を地域にもたらしている。
実際、このような地域特性に着目し、大手企業が本県西部の大山山麓にミネラルウォーターの採水工
場の立地を決めている。
なお、河口沿いに形成された沖積平野に人口が集積しているが、県内の三大都市である鳥取市、倉
吉市、米子市はその沖積平野に立地しており、それぞれ東部、中部、西部と 3つの圏域の中心都市と
なっている。いずれの圏域も人口密度が適正であり、海、山の自然環境が良好に保存された居住環境
を有しており、通勤困難も少なく豊かな生活基盤を提供している。また、これらの都市は県の北側に
位置し、概ね平野部で結ばれているため、圏域間の移動が容易である。そのため、人的及び経済的な
交流・連携が盛んで、それぞれの圏域において独自性を発揮しつつも、県全体で自然的、経済的、社
会的にゆるやかな一体感を醸成している。
○インフラ整備の状況(積極的なインフラ整備)
鳥取県においては、産業基盤の強化と県の経済及び文化の発展を目的として、積極的にインフラ整
備を進めている。
A 道路
高速交通ネットワークとしては、県西部に位置する米子市と岡山県の中央を貫く中国縦貫自動車
道を結ぶ米子自動車道(中国横断自動車道岡山米子線)が開通しており、県西部と山陽地方を結ぶ
基幹道路としての機能を果たしている。また、県東部に位置する鳥取市と姫路市を結ぶ鳥取自動車
道(中国横断自動車道姫路鳥取線)の整備が平成 22 年の開通を目指して進められており、鳥取自
動車道の全線開通によって、本県と関西圏との時間距離が大幅に短縮される(例えば、鳥取・大阪
間は 50 分短縮され2時間 30 分となる)
。また、鳥取ICから中国縦貫道の佐用JCTまでは国新
直轄事業で整備され無料区間となる予定である。本県に立地する誘致企業は、関西圏に本社を有す
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る企業が多いことに加え、電子部品・デバイス産業及び情報通信産業等は、素材、原材料、部品の
多くを関西圏及び山陽地方から調達しているが、鳥取自動車道の開通に伴う輸送時間の短縮化によ
って物流の効率化が進展し、これらの企業に好影響を与えるものと考えられる。さらに、関西圏及
び山陽地方との経済的連携及び交流が活性化し、本県の産業競争力の向上や新規の企業立地の誘発
等が期待される。
また、
「鳥取∼米子1時間構想」の実現を目標とした県北部を縦貫する山陰自動車道の整備も進み
つつあり、現在、青谷∼羽合間等で一部供用済みである。今後、整備促進を実現することによって、
本県の東・中・西部間の産業における連携及び一体感がさらに高まるものと考えられ、本計画への
寄与が期待される。
B 空港
県東部には、2,000m の滑走路を持つ鳥取空港がある。東京へ1日4便就航しており、約 1 時間で
首都圏と直結している。また、県西部には、防衛省管轄の共用飛行場である美保飛行場(米子空港)
がある。美保飛行場(米子空港)は、2010 年には滑走路が 2,500mに延長される予定であり、山陰
地方における拠点空港としての役割を高めている。同飛行場は、東京へ1日5便、名古屋へ1日2
便就航しているほか、国際線のソウル便も就航しており、国内外に向けた空路が開設されている。
C 港湾
港湾は、県西部に境港、県東部に鳥取港がある。境港は、北方を島根半島で遮蔽された天然の良
港で、古くから大陸貿易の拠点港として重要な位置を占めてきた。地理的にも敦賀港、下関港のほ
ぼ中央に位置し、阪神、山陽、九州の各経済圏とも密接な関係を有する港である。平成7年に境港
と周辺8市町村がFAZに指定され、また、製紙工場や合板会社の生産能力の増強等によって、国
際コンテナ航路で取り扱われる貨物も増加した。また、入港する船舶の大型化に対応するため、平
成 16 年6月には、コンテナ貨物、チップ等を取り扱う多目的国際ターミナルとして、5万トン級の
船舶に対応できる岸壁(−14m)が整備された。同港では、釜山(韓国)及び上海(中国)等の
東アジア諸港との間の定期コンテナ航路が開設されている。
鳥取県に立地する電子・電機・液晶関連企業など製品輸送に際して船便を利用するケースも多い
が、より工場に隣接している境港の利活用に関する潜在的なニーズは高いと言える。今後、立地企
業のニーズ及び境港利用の潜在的貨物量の把握に努め、シャトル便を含む便数の増加、輸送手続き
に関するサービスの向上等により利便性を高めることによって、前記の地理的優位性から境港の環
日本海における貿易の拠点として機能が高まり、新規の企業立地の誘発等も期待される。
また、鳥取港は、河口港として発展してきたが、河口と港湾の分離工事を実施し、平成2年に1
万トン岸壁1バース、5千トン岸壁3バース等が整備された。同港は、兵庫県北部や岡山県北部圏
域を背後圏とした山陰地方東部経済圏の物流拠点として発展が期待されている。
○教育・学術機関(強固な産学金官連携により地域産業の高付加価値化を支援)
教育・学術機関としては、県東部に国立大学法人鳥取大学及び学校法人鳥取環境大学が、西部に
独立行政法人国立高等専門学校機構国立米子工業高等専門学校がそれぞれ立地し、本計画における
指定集積産業に不可欠な人材の育成に貢献している。特に、鳥取大学では、技術経営力向上を目指
した「MOTイノベーションスクール」を開校しており、地元製造業の技術者育成に尽力している。
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また、県内産業の高付加価値化を目指した産学官共同研究も活発化しており、とっとり発シーズ
の事業化に向けた成果も出つつある。
○産業支援機関(鳥取県産業技術センターの地方独立行政法人化など支援機能を強化)
県内唯一の工業系試験研究機関である鳥取県産業技術センターが平成19年4月1日付けで地方
独立行政法人に移行した(特定地方独立行政法人としては全国で2例目)
。これまでも、
「技術のサ
ポート機関」として、当センターの電子・有機素材研究所(鳥取市)、機械素材研究所(米子市)及
び食品開発研究所(境港市)は、地域産業の高付加価値化に大きく貢献してきた。今後、当センタ
ーの迅速かつ柔軟な運営の実現により、県内産業のさらなる高付加価値化に向け、地域の期待が大
きく高まっている。
また、
「経営のサポート機関」である財団法人鳥取県産業振興機構も東部に(支所は西部に)位置
しており、産学官の協力のもと、液晶関連産業など鳥取県の産業集積に適った人材育成事業を展開
している。
(既存の産業集積の状況)
本県は、昭和 20 年代まで、衣食住に係る地域資源型の地場産業の他に、中国山地のタタラ製鉄の伝
統技術を背景とした農機具製造業が集積していった。また、戦時中、軍需疎開として生産活動を行って
いた工場も地元に定着していった。これらの蓄積が現在の機械金属分野の素地となっている。
昭和 30年代から繊維工業が全県下の農村に立地し、余剰労働力を吸収した。また、県東部を中心に、
松下電器産業㈱系列の下請企業等、電子・電機関連企業が立地を開始した。家電製品の普及期にあたる
昭和 40 年代には、工業再配置促進法の制定を受け、積極的に企業誘致に取り組んだ結果、鳥取三洋電
機㈱、ダイヤモンド電機㈱、オムロン倉吉㈱等、関西圏に拠点を持つ電子・電機関連企業の分工場の立
地が進むとともに、それに伴って、鳥取旭工業㈱、鳥取安田鉄工㈱、大宝工業㈱、気高電機㈱といった
メッキ、金型、プラスチック成形等、基盤産業が進出し、現在の産業集積の骨格を形成していった。さ
らに、昭和 60 年代から平成初頭にかけて、リコーマイクロエレクトロニクス㈱等、電子部品・デバイ
ス関連産業の量産部門の立地が進んだ。さらに、平成 17 年にはシャープ米子㈱が富士通の液晶部門を
買収し、セイコーエプソン㈱と鳥取三洋電機㈱が液晶事業を統合し、三洋エプソンイメージングデバイ
ス㈱を設立した。鳥取県、特に東部において電子・電機関連企業、液晶関連企業の集積が進んだ大きな
要因として、家電製品の完成品メーカーが多く立地している関西圏と隣接していたことがあげられる。
このように、本県においては、昭和 30 年以降、繊維工業、電子・電機関連産業、液晶関連産業を中心
に産業が集積していった。
本県の製造品等出荷額は、1兆 682 億円となっているが(平成 17年)、特に、電子部品・デバイス製
造業、情報通信機械器具、電気機械器具の集積度が高く、事業所数ベースでは西日本有数の集積度を誇
っている。また、工業統計表における鳥取県の電子・電機産業(日本標準産業分類上の中分類 27、28、
29 の合計 以下同様)の付加価値額の製造業に占める比率は平成 17年で 45.5%であり、3業種の付加
価値額の合計の構成比でみると、47都道府県中で1位となっている。
内訳は、
電気機械器具製造業 14.7%、
情報通信機械器具製造業 14.2%、電子部品・デバイス製造業 16.5%である。なお、県内 19 市町村のう
ち鳥取市、倉吉市をはじめ、7 市町村で電子・電機産業の付加価値額が最も大きくなっている。特に県
東部及び中部では電子・電機産業が製造業の最大構成産業となっている。西部では地域資源に立脚した
食品加工業、飲料・タバコ製造業の構成比が高いが、電子・電機産業も重要な位置を占めている。
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我が国は、世界的に見ても、液晶ディスプレイ関連産業に関する「高度部材産業集積地」だと言われ
ているが、本県も、電子・電機産業と関連性の高い、液晶ディスプレイ関連産業の集積度が高い。特に、
県の東西にはそれぞれ、エプソンイメージングデバイス㈱、シャープ米子㈱といった大手企業の液晶パ
ネル製造工場が立地している。これらの工場は、携帯電話等向けの中小型の液晶ディスプレイパネルの
製造が中心となっている。また、県内全域にわたって、導光板、バックライト等の液晶ディスプレイ関
連部品、携帯電話、カーナビゲーション等の液晶ディスプレイ利用製品、コネクタ、スイッチ等の液晶
ディスプレイ利用部品を生産する電子・電機関連企業、液晶関連企業が多数立地している。
また、統計などには表れにくいが、カーエレクトロニクスという成長分野が本県でも伸びている。本
計画の作成に当たって実施した県内企業の聞き取り調査によって、カーナビゲーション、センサ、スイ
ッチ、コネクタ、ハーネス、レーダー等、車載用電子・電機製品及び部品の受注が増加していることが
わかった。また、近年、金型やエンジンミッション等、県内の自動車向け部品生産も拡大している。
本県で製造された情報家電及び自動車等の部品は、全国各地あるいは東アジアを中心に世界各国へ出
荷されており、その意味で、本県の電子・電機産業、液晶関連産業は、地域外から所得を得る「移出産
業」であり、地域産業を牽引している基幹産業となっている。さらに、本県は、東アジア等に対する高
機能電子部品・デバイスの提供基地としての役割を果たしている。
一方、県内に立地する企業のほとんどは、粗原材料、部品の購入のほとんどを県外、国外の企業に頼
り、県内調達は限定されている。このような現状から、本県では、人材育成に重点をおきながら、生産
における量産機能だけでなく、研究開発機能、技術開発機能の向上等による産業の高度化を図るととも
に、地域の人的ネットワークを強固にするような仕組みを形成することによって、県内受発注取引を拡
大し、集積効果を発揮していくことが大きな課題となっている。
さらに、本県では昭和 30 年代から全県下に繊維工業(日本標準産業分類上の中分類 11、12 以下同
様)が立地し、県内の雇用を支えてきた。現在でも事業所数、従業者数において、県内産業の 10%強を
占めており、その多くが高度な縫製技術を持ち、大手企業の受注を獲得している。このように、繊維工
業においても、一定の集積規模があり、主要産業としての位置を占めている。
加えて、本県は、地域資源活用型の地場産業、特に、食品関連産業も多く集積している。食品関連産
業(食料品、飲料・たばこ・飼料)は、工業統計(平成 17 年)の製造品出荷額等及び事業所数でみる
と県全体の約 24%、従業者数でみると約 22%を占めており、電子・電機・液晶関連産業に次ぐ主要産
業として位置づけることができる。
本県は、農林水産業が盛んであり、これらの地域資源を活用した加工(製造)業が充実している。特
に、本県北部は日本海に面しているため水産資源が豊富で、日本有数の漁獲高を誇る境港を拠点に、水
産加工業が集積している。古くは、小型のイワシを原料とする煮干し加工、缶詰加工が中心であったが、
現在ではベニズワイガニの加工に取り組むなど、加工品の多角化及び高付加価値化を推進している。
また、本県は畜産加工業も盛んであり、大山ハム(株)
、大山乳業など、いくつかの企業は、地域名を
冠したブランドとして流通している。大山乳業(農業協同組合)は、県内の全酪農家を加盟者とした畜
産加工業者であり、
「白バラ牛乳」のブランドで全国でもトップクラスの良質乳を生産している。品質
については高い評価を得ているが、さらなる販路の拡大が今後の課題となっている。さらに、西部を中
心に、寿製菓(株)
、フジッコフーズ(株)等、菓子産業も集積している。
近年では、本県発の技術として、米、酒、海産物等、食品を新鮮かつ良質な状態に維持することがで
きる「氷温」技術が確立されており、さらに低温の「超氷温」の領域への開発も進められている。一方、
水産資源の持つ「機能性」に着目した研究開発も進展しており、健康科学関連産業へと裾野を広げてい
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る。具体的には、産学官の連携の下、カニ殻から作り出される「キチン・キトサン」
、魚のうろこから
抽出される「フィッシュコラーゲン」
、モズクから抽出される「フコイダン」などの利用技術が開発さ
れ、医薬品、化粧品などへと応用されている。そのほか、鳥取大学発のベンチャー企業では、染色体工
学技術を応用し、創薬、遺伝子治療などに貢献しており、本県の健康科学関連産業の最先端の事例とし
て注目を集めている。
本県は、南部に多くの中山間地域を抱えており、林業も盛んに行われている。安価な海外木材の輸入
が増えるなか、我が国の林業を取り巻く状況は依然として厳しいが、本県においては、木材の高付加価
値化を推進するため、木材の効率的な加工やデザイン性に着目した最終消費財の製造も促進している。
また、本県には、食料品、建築材料、機械器具等、各種の卸売業が集積しており、運輸業とともに、
(県内)製造業と小売業等を繋ぐ結節点として、県内産業の振興に貢献している。これまで本県の卸売
業は減少傾向が続いてきたが、平成 16 年における年間商品販売額(商業統計)は 8,307 億円で、2年
前比で微増と下げ止まりの状態となっており、卸売業者の淘汰が一段落した状況にあるといえる。産業
分類別にみると、飲・食料品卸売業が最も多く全体の 41.4%を占め、次いで、建築材料、鉱物・金属材
料等卸売業(21.6%)
、機械器具卸売業(20.0%)となっている。ヒアリング調査では、食品を扱う多く
の県内中小卸売業者は、淘汰が進むとともに、現存する業者でもここ4∼5年減収減益が続いているこ
とがわかった。主な原因のひとつは、製販直結の実施や物流センターの整備などにより独自の流通ルー
トを形成している大規模郊外大型店などの進出によって、取引の多い県内中小小売業(スーパーマーケ
ットを含む)の販売額が落ちているためであると考えられる。また、このような厳しい流通環境に直面
しつつも、いくつかの県内中小卸売業者は、新事業展開、機能強化を進めている。
(目指す産業集積の概要)
① 産業集積に向けた基本的考え方
本計画では、国際競争力の維持・強化という観点から、
「電子・電機・液晶関連産業」
、
「自動車部品
関連産業」
、
「繊維関連産業」
「食品・健康科学関連産業」
「木材・パルプ・紙加工関連産業」の5分野
に関し、研究・開発から試作・量産まで、製造に関する様々な機能に着目しながら産業集積を図り、
県内全域に産学金官のネットワークを重層的に張り巡らし、域内でのイノベーションによって拡大再
生産が実現できる土壌を形成していく。その際、県内外に立地するこれらの産業間あるいは製造・販
売をつなぐ結節点としての役割を担う流通業(卸売業及び物流)の強化を図っていくものとする。
具体的には、5分野の産業に関連があり、雇用創出効果の高い完成品メーカーや部品メーカー等に
対する誘致活動を積極的に展開する一方で、小規模であっても世界的な技術をもつ中小企業群の集積
を推進していく。また、既存の立地企業に対して、研究開発等による新規事業の拡大が促進されるよ
うな環境を積極的に整備していく。さらに、鳥取自動車道の開通による利便性の向上をPRすること
によって、関西圏からの近接性を定着させるとともに、境港の利便性を向上させることによって、ア
ジア諸国との距離感など地理的優位性を強調しながら、物流環境の向上に努めていく。
A 「電子・電機・液晶関連産業」の集積
本県は、国内各地および世界市場への販路を有する、情報家電向けを中心とした電子部品・デバイ
ス関連、情報通信機器関連、電気機械関連、液晶関連産業(以下、
「電子・電機・液晶関連産業」とい
う。
)の集積が進んでいる。
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一方、市場をみると、薄型平面ディスプレイ、HDD/DVDレコーダ、デジタルカメラ等の情報
家電の国内市場は、2003 年から 2010 年の間に 80%増加すると推測されており、電子・電機関連の高
度部材市場も今後の需要拡大が見込まれている。
このような本県の既存の集積の強みと将来的に拡大が予想される市場を鑑み、本計画においては、
電子・電機・液晶関連産業の事業拡大と高度化を図り、地域での自律的・持続的な成長を実現するこ
とを中心的目標とする。
☆戦略的産業としての「液晶」
(クリスタル・コリドール構想)
本県は、大手企業2社の液晶パネル製造工場を有していることが大きな特徴となっているため、
「液
晶」を象徴的戦略産業として位置づける。本県の東西に位置する鳥取市及び米子市には、それぞれ液
晶パネル製造工場が立地しており、液晶に関連した電子・電機産業等が、両工場間あるいは近隣に集
積している。本県では、これまで、これらの液晶関連産業を有機的に連関させ、新事業を創出してい
くことを目的とした「クリスタル・コリドール」構想というコンセプトを打ち出し、産業戦略を展開
してきた。本計画においても、このような戦略を基本的に踏襲しつつも、液晶を中心に研究開発機能、
人材育成機能、情報発信機能等をさらに強化することによって、これまでの構想を戦略的に深化させ
ていくものとする。
B 「自動車部品関連産業」の集積
本県においては、カーエレクトロニクスの進展と併せて、近年、自動車用スイッチ、コネクタ、セ
ンサ、ハーネス等、自動車部品の製造を行っている電子部品・デバイス製造業が増加している。また、
輸送用機械器具製造業(自動車部品の製造)の生産も拡大している。自動車部品関連産業は、裾野が
広く、経済波及効果が高いため、前記の産業と同様、部品加工技術等を高めながら、事業の拡大及び
産業の高度化を積極的に図っていく。
C 「繊維関連産業」の集積
高度な縫製技術を持つ県内繊維産業の大手ブランドからの受注増大や自社ブランドの構築により、
県内繊維関連産業の付加価値の増大を図る。
D 「食品・健康科学関連産業」の集積
本県においては、地域資源を活用した食品産業及びその関連産業としての健康科学関連産業の集積
が進んでいる。特に、消費者の本物志向、健康志向が向上する中、本県の豊かな地域資源を活かした
食品関連産業の事業拡大、高付加価値化は重要性を増している。また、これらの地場資源、特に水産
資源の持つ機能性に着目した研究や染色体工学技術を活用した最先端の医療研究など、人々の健康に
関わる技術が集積しつつあり、産業への応用及び拡大が期待されているところである。このような集
積とそれらのポテンシャルを鑑み、本県では、食品・健康科学関連産業の高度化及び多角化を推進し、
さらなる集積を図っていく。
E 「木材・パルプ・紙加工関連産業」の集積
本県は多くの中山間地域を抱えており、特に、県南部は木材の宝庫である。また、県東部は古くか
ら和紙の産地として知られており、因州和紙のブランドで高品質の和紙を製造しているとともに、県
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西部では王子製紙による洋紙の製造も行われており、木材・パルプ・紙加工関連産業は県内製造業の
製造品出荷額の10%強を占める産業となっている。これらの木材や紙加工の効率化・高度化、ある
いは用途開発を積極的に進め、デザイン性の向上によるブランド化を促進することによって、木材・
パルプ・紙加工関連産業の集積を促進していくものとする。
F 「卸売・物流関連産業」の強化
本県の卸売業においては、独自の流通ルートを持つ大型郊外小売店の進出などにより、中小の卸売
業で淘汰が起こるとともに、鳥取自動車道姫路鳥取線の開通による県外同業者との競争激化も危惧さ
れているが、このような状況に適応するため、いくつかの県内中小卸売業者では、情報システムの強
化や共同仕入・配送など総合的な物流システムの開発、高度な納品サービスの付加といった物流機能
の強化による業務の合理化・効率化を目指している。また、プライベートブランドの開発や製品加工
分野への進出といった卸売機能以外の機能を付加することによる取引量の増大を図っている。本県に
おいては、このような取り組みを積極的に支援することにより、県内製造業の受け皿としての物流環
境の整備・機能強化を推進し、集積目標産業に位置付けている製造業の集積の促進を図っていくもの
とする。
② その他、産業の高度化・集積化に向けた施策の方向性
A 「マザー工場化」等による産業の高度化の推進
グローバルに展開する電子部品・デバイス、あるいは情報通信機器の製造・組立に従事している本
県製造業において、産業の高度化に対する施策を積極的に展開し、アジア諸国との差別化を図ってい
く必要がある。そこで、本県では、産業の高度化に向け、技術開発機能、研究開発機能及び試作生産
機能を充実させることで対応していく。すなわち、国内需要に対応するため既存の量産機能の維持を
図りつつも、研究開発部門と一体化して新商品や高付加価値製品の開発・試作を担当するマザー工場
の新規立地、あるいはマザー工場化への転換を積極的に推進することによって、産業の高度化、製品
の高付加価値化を実現していく。また、海外に進出した量産型の生産工場を管理するような統括的機
能を持つ工場の立地を支援する。
B 基礎的技術基盤産業の集積及び高度化
電子部品・デバイス組立企業、液晶組立企業等が地域内での集積効果を発揮するためには、それら
の産業を下支えする膨大な数の専門的な加工機能等を必要とする。そこで、液晶関連の製造・組立等
のキーとなる産業に対して、機械加工技術等を提供し、下支えする化学工業、鉄鋼業、非鉄金属及び
一般機械器具等の基盤産業の集積及び技術力の向上を図ることによって、バランスの取れた、厚みの
ある産業構造の形成を目指していく。
C 技術連関・取引連関の向上
本県は、電子部品・デバイスの製造・組立企業が多いが、地域内の技術連関、取引連関を強めるこ
とによって部品・部材の県内調達率を高め、付加価値の増大とともに、関連企業の集積度向上を目指
す。
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D 豊かな地域資源の活用と高付加価値化
豊かな農林水産資源に恵まれている本県にとって、その強みを最大限に発揮するためには、県内の
農林水産業と食品加工や木材加工等の製造業が有機的に連携して相互に発展する仕組みを構築するこ
とが必要である。そこで、県内で生産・水揚げされる農林水産物を県内で加工し、県内で付加価値を
生み出すことができるよう、農林水産業と製造業との県内での連関性を強めて、安全・安心でおいし
い「食のみやこ鳥取県」の魅力ある商品開発を推進する等、農商工連携による産業振興に取り組む。
また、加工食品のみならず、機能性食品や農水産物を原材料とした医薬品等、更なる付加価値を生む
ための取り組みを積極的に支援し、食品・健康科学産業の集積を目指して行く。
E 人材育成等の方向性
本県においては、産業集積のある電子・電機・液晶関連産業に係る専門的な知識及び技術を有して
いる人材は蓄積されているが、他県と同様、中核を担う技術者の確保・養成が十分な数に達していな
い。従って、鳥取大学あるいは鳥取環境大学、米子工業高等専門学校、さらには、鳥取県産業技術セ
ンターとの連携を図りながら、先端的な液晶製造技術や微細加工技術等に明るい、電子・電機・液晶
関連産業等において中核を担いうる人材の育成を積極的に進め、人材の確保・育成に努めていく。ま
た、高校、高専・大学、離職者、Uターン・Iターンといったあらゆる層に対する人材育成を積極的
に展開していく。
また、将来的には、人材育成を技術開発だけに特化するのではなく、マーケティング、営業、情報
の受発信、高度な設計等の面も含めた高度専門人材の育成を目指す。
F 卸売・物流産業の機能強化及び新事業展開への支援
本県の集積目標産業である製造業の集積を図っていくためには、県内外に立地するこれらの産業間
あるいは製造・販売をつなぐ結節点としての役割を担う流通業(卸売業及び物流)の強化を図ってい
く必要がある。卸売業の市場淘汰に対応するための機能強化や新事業展開を積極的に支援するととも
に、物流の効率化や環境整備に向けた取り組みを進めていくものとする。
(2)具体的な成果目標(付加価値額)
平成13年から平成17年の付加価値額の5年平均値2,853億円を、平成23年に9.6%
(273億円)向上させ3,126億円とすることを数値目標とする。
(※集積目標業種は景気変動幅が著しいため5年平均値をベースとする。卸売・物流産業は除く。
)
現状
集積区域における集積
業種全体の付加価値額
(修 正 前)
計画終了後
増加額
伸び率
2,853 億円
3,126 億円
273 億円
9.6%
1,968 億円
2,203 億円
235 億円
11.9%
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(3)目標達成に向けたスケジュール
取組事項
(取組を行う者)
企業の新規事業スタート
アップ支援のための貸しオ
フィスの整備(鳥取県産業
振興機構)
企業の研究開発、新規事業
化支援及び人材育成のた
めの共用機器整備(鳥取県
産業技術センター)
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
機器整備
機器整備
機器整備
設計
改修
機器整備
機器整備
企業の食品・健康科学関連
産業スタートアップ支援の
ための貸し研究所の整備
液晶ディスプレイ関連産業
を担う製造中核人材の育
成・確保(高専・大学・大学
院向け)(鳥取県地域産業
活性化協議会)
モノづくりの基本的知識・技
術と応用力を持つ人材の育
成(工業高校向け)(鳥取県
産業振興機構・鳥取県教育
委員会)
設計
教材
開発
建設工事
機器整備
高専・大学・大学院での本講義
カリキュラム作成・実践的授業
・インターンシップの導入
工業高校での実践的授業・
インターンシップの定着・
自立化
組込システム開発人材、次
世代ものづくり人材の育成
等(鳥取県産業技術セン
ター)
研修(座学、実習)
中小企業向け技術経営
(MOT)プログラムによる人
材育成(鳥取大学)
講義(経営戦略、技術戦略、市場化戦略)、プロジェクト研究
ものづくり基盤技術とものづ
くり高度化技術を持つ人材
の育成(鳥取県産業振興機
構、米子工業高等専門学
校)
教材
開発
長期インターンシップの実
施
(鳥取県地域産業活性化協
議会)
カリキュ
ラム作
成
地域産業活性化シンポジウ
ム等、国際的広域会議の開
催
(鳥取県、鳥取県産業振興
機構)
地域産業活
性化シンポ
ジウム
インターンシップの実施
9
講義
取組 事項
(取組を行 う者 )
平成19年 度
企業 の技術 力向上 及び新
規事 業立ち上げの ため の
技術 支援(産業 技 術セン
ター・高 等教育 機関)
経済 産業省 委託事 業 の活
用による 技術開 発支 援(鳥
取県 産業振 興機構 、鳥 取県
産業 技術センター )
「電子デ ィスプレイ研究 セン
ター」の 設置
(鳥取大 学、関連 企業)
物流 の効率 化及び環 境整
備に向けた総 合物 流検討
委員 会(鳥取県 )
申請
採択
農商工 連携、産 学金官 連 携、技 術相 談・指導 、
依頼 試験、 共同 研究、機 器開放、 技術 講習会 等
研究をベ ースにした
新商品 ・新 技術 の事業 化
研究 開発の 実 施
開設
準備
研 究所 開設
物流 調査・ 検討会の開 催・事業 検討
ポ ートセール ス等 港湾利 便性向 上の ため の活動
各 種補助 事業の 実施
航 路誘致
活動
環日 本海航 路運航 支 援事
業(鳥取 県)
境港 利用促 進事業
運航支 援
貨 物利用
助成
境港 輸出入 拠点化 支 援事
業(鳥取 県)
卸売 業活性 化戦略 策 定支
援事 業(鳥取県 )
平成22年度
事 業実施
物流 効率化 推進事 業 (鳥取
県)
新規 フェリー航 路誘 致促進
事業 (鳥 取県)
平 成21年 度
技 術 相談・指導 、依頼試 験、起 業化支 援、
共同 研究、機 器開 放、技 術講 習会等
高品 質・高機能な食品等 の
開発 のための技術支 援(鳥
取県 産業技 術センター )
鳥取 大学の 技術シーズを活
用し た食 品の機 能性 評価シ
ステムの開 発のための 技術
支援 (鳥 取大学、 鳥取県 産
業技 術センター、鳥取県 産
業振 興機構 、鳥 取県、 米子
平 成20年度
支 援事 業の実 施
公募
採択
補助 事
業実 施
10
平 成23年 度
取組事項
(取組を行う者)
平成19年度
集積産業に精通した専門家
の配置による企業誘致活動
の強化(鳥取県地域産業活
性化協議会)
公募
採用
平成20年度
平成22年度
企業誘 致活動
食品・健康科学産業に精通
した専門家の設置による産
業集積化の強化( 鳥取県地
域産業活性化協議会)
公募
採用
産業デザイン力の 強化によ
る製品市場価値向上の支
援(鳥取県)
地域雇用創造推進事業の
活用による雇用創造(鳥取
県、関係市町村、経済団
体)
平成21年度
コーディネ ート活動
プラットフォ ームづくり
企業内デザイン力の育成
協
議
会
設
立
計画
策定
販路拡大等の支援に よる農
林水産加工品やふるさと産
業の振興
事業実施
補助事業の実施
雇用要件緩和
企業立地事業補助金の要
件緩和及び対象の拡充に
よる企業の設備投資の促
進(鳥取県)
投資要件緩和
補助対象の拡充
事務管理部門雇用創出事
業補助金の創設による企業
の機能拡充の促進(鳥取
県)
補助事業の実施
「流動資産担保融資」創設
による中小企業者の資金調
達の円滑化への支援強化
融資の募集・実 行
鳥取県企業立地促進資金
貸付金の制度見直し(鳥取
県)
要件緩和
企業投資促進のための工
業団地再整備事業補助金
(鳥取県)
補助事業の実施
11
平成23年度
2 集積区域として設定する区域
(区 域)
鳥取県内19市町村(ただし、自然公園、自然環境保全地域、環境省指定の特定植物群落等環境保全
上重要な地域及び山地で工業立地が不可能なエリア等は除く。
)
※詳細は別添のとおり
境港市
大山 町
山陰自動車道
日 吉津 村
岩美 町
北栄 町
湯 梨浜町
鳥取市
琴浦町
八頭町
米 子市
三朝町
倉吉 市
伯耆 町
鳥
南部町
動
自
取
江府町
若桜町
道
車
米子
自動
車
道
智 頭町
日南町
日野 町
区 域 面 積:177,100ha
うち可住地面積:約90,000ha
(区域の指定理由)
①地理的一体感
本県の面積は全国で41位、人口は全国最少で非常にコンパクトな県であり、他県では少ない文化的・
経済的な一体感を持っている。県内の生活圏は東部、中部、西部の3つに分かれているが、それぞれの
圏域が独自性を有しつつも、自然的経済的社会的に、緩やかな一体感を醸成している。また、一部で生
活圏の重複がみられ、特に、県の東西を結ぶ山陰道の整備やJRの高速化が進んだため、近年は、各圏
域から他の圏域への通勤者が増加する等、生活圏域の一体化が進んでいる。このような地理的な条件か
ら、県東中西部の一体的な指定が最善だと考える。
②教育機関・産業支援機関の立地
本県は、主要な教育機関あるいは産業支援機関が、東西に分かれて立地している。例えば、鳥取大学
は東部に米子工業高等専門学校は西部にそれぞれ立地している。地方独立行政法人鳥取県産業技術セン
ターは、電子・有機素材研究所が東部に、機械素材研究所、食品開発研究所が西部にそれぞれ立地して
おり、それぞれ違う機能を有しているが、それぞれが県内全域の企業を支援している。また、財団法人
鳥取県産業振興機構の主要機能は東部に立地しているが県内全域の企業を支援している。このようなこ
とから、県の東西を一体的に対象区域とすることによって、人材育成機能、研究開発機能の相互利用が
可能になり、産業の高度化を効率的に展開することができる。
12
③産業集積との関連性
指定する集積業種は、県域全体に立地し、県の産業において大きな位置を占めている。特に、電子部
品・デバイスなどの電子・電機産業は、県内の多くの市町村において製造業中最大の構成比を占め、県
内製造業の基幹をなしている。また、集積目標業種である県東部の大手企業の協力会社が西部に、県西
部の大手企業の関連企業が東部にあるなど、産業における圏域間交流も数多く存在し、県の東西圏域が
相互に補完関係にある。また、自動車部品関連企業と繊維産業、食品・健康科学産業、木材・パルプ・
紙加工関連産業は県内全域に分布している。さらには、近年、県東中西部間の道路整備の進展によって、
産業間連携、産業集積が進んでいるため、これらの集積効果を発展させるためには、県東中西部一体的
に対象区域とした計画が不可欠である。
④コンセプトとの関連性
中心コンセプトである「液晶」のディスプレイの製造工場は、本県東部と西部にそれぞれ立地してお
り、このコンセプトをより実現可能なものとするためには、液晶ディスプレイ製造工場周辺地域に立地
する関連部材メーカー等との連携が必須であり、県内での関連部材メーカー等の分布状況から考えて、
県東西の一体的な指定が不可欠となる。
3 集積区域内において特に重点的に企業立地を図るべき区域
境 港市
44
10
62
43
45
大 山町
37
40
11
9
67 6 5
66
36
日 吉津 村
41
42
61
38
69
68
63
山陰自 動車 道
33
64
32 31
北 栄町
35
琴 浦町
49
50
46
47
51
59
28
26
58
48
27
25
23
24
5
5
21
56
湯梨 浜 町
20
57
1
岩美町
2
19
34
39
米子 市
29
30
4
6
60
3
鳥 取市
12
7
7
八 頭町
22
8
13
三 朝町
14
倉 吉市
7
17
16
15
南 部町
52
伯 耆町
53
日南町
54
若桜町
道
車
18
動車
道
動
自
米子
自
取
鳥
江 府町
智 頭町
日 野町
55
※地番・区域ごとの図面については別添のとおり
※設定する区域は平成19年8月17日現在における地番により表示したものである。
13
4 工場立地法の特例措置を実施する区域及び当該特例措置の実施により期待される産業集積の形成又は
産業集積の活性化の効果
(工場立地法の特例を実施しようとする区域)
企業立地重点促進区域のうち
1
∼ 12 、 19 ∼ 28 、 31 ∼ 48 、 51 、 52
49 の一部、
56
∼ 58
、 60
、
∼ 69
※地番については別添のとおり
(特例措置を実施することにより期待される効果)
本県の工業用地については、県内11カ所に工業団地(約215ha)があり、そのうち分譲可能残面
積は約40ha となっており、産業集積を進めていく上で業務用地の確保は喫緊の課題である。
県内の市部においては、臨海部の工業団地に約17haの用地があるが、他の工業団地では分譲面積は
数ヘクタール未満となっており、新たな用地の確保が必要である。しかし、本県においては、もともと
可住地面積が少ない(全国で下から2番目)うえ、工場適地となる場所は、ほとんどが農振区域であり、
農業振興との調和を図る観点から、開発が困難な状況がある。
本県においては、これらの問題に対応するため、市部においては、都市計画との整合を図りながら、
既存の工業地域、準工業地域等において工場立地法の緑地面積率を緩和することにより、新たな設備投
資の誘発効果を期待するとともに、県東部の鳥取市、中部の倉吉市、西部の米子市・境港市を中心とし
たそれぞれの経済圏の周辺中山間地域においても、連携して用地を確保し、県内東・中・西部地域の均
衡の取れた産業集積を目指す。
特例措置の実施により、69件の企業立地、付加価値額269億円の増加及び雇用者数3,014人
の増加を見込む。
5 集積業種として指定する業種
(1)業 種 名
(業種名又は産業名)
電子・電機・液晶関連産業、 自動車部品関連産業、 繊維産業、
食品・健康科学関連産業、 木材・パルプ・紙加工関連産業、 卸売・物流関連産業
14
(日本標準産業分類上の業種名)
電子・電機・液晶関連産業
産業分類表(中分類)
製品及び事業の例
分類符号
化学工業(化学肥料・医薬品は除く)
16
液晶関連薬液
プラスチック製品製造業
18
プラスチックフィルム、家電製品筐体
非鉄金属製造業
23
電気機器非鉄金属部品鋳造加工
金属製品製造業
24
電子・電機部品めっき
生産用機械器具製造業
業務用機械器具製造業(医療用機械器具・
医療用品製造、武器製造は除く)
電子部品・デバイス・電子回路製造業
26
半導体製造装置、FPD製造装置、電子部品金型
27
自動販売機、光学機械、精密測定機器
28
FPDパネル、電子回路、コネクタ、スイッチ
電気機械器具製造業
29
家庭用電気機器、電池
情報通信機械器具製造業
30
携帯電話機、音響機器
学術・開発研究機関
71
理学研究所、工学研究所
自動車部品関連産業
産業分類表(中分類)
製品及び事業の例
分類符号
繊維工業
11
自動車用シート
プラスチック製品製造業
18
自動車用パネル、内装
ゴム製品製造業
19
防振ゴム、防音ゴム、タイヤ、車両用チューブ
鉄鋼業
22
自動車用エンジン等部品鍛造加工
非鉄金属製造業
23
自動車非鉄金属部品鋳造加工
金属製品製造業
24
自動車部品めっき、熱処理、カギ、ドアクローザー
生産用機械器具製造業
業務用機械器具製造業(医療用機械器具・
医療用品製造、武器製造は除く)
電子部品・デバイス・電子回路製造業
26
自動車部品鋳造装置・旋盤・金型
27
測定機、分析機器、試験機
28
電源ユニット、センサー
電気機械器具製造業
29
内燃機関電装
情報通信機械器具製造業
輸送用機械器具製造業(船舶及び鉄道、航
空機は除く)
学術・開発研究機関
30
カーナビゲーションシステム
31
自動車、エンジン、ブレーキ、クラッチ、変速機
71
理学研究所、工学研究所
繊維産業
産業分類表(中分類)
製品の例
分類符号
繊維工業
11
化学繊維紡績、紳士服、婦人服、子供服、下着、寝具
生産用機械器具製造業
26
紡績機械、編み機
15
食品・健康科学関連産業
産業分類表(中分類)
製品及び事業の例
分類符号
食料品製造業
9
乳・食肉・水産物等加工品、パン、菓子
飲料・たばこ・飼料製造業(たばこは除く)
10
ミネラルウォーター、ジュース、酒、ペットフード
化学工業
16
1次産品を利用した化粧品・医薬品
生産用機械器具製造業
26
食品加工用機械、充填機、包装用機械
学術・開発研究機関
71
理学研究所
木材・パルプ・紙加工関連産業
産業分類表(中分類)
製品の例
分類符号
木材・木製品製造業
12
製材、合板、建築用材料、銘木
家具・装備品製造業
13
机、椅子、ブラインド、建具、事務用品
パルプ・紙・紙加工品製造業
14
洋紙、和紙、段ボール、紙容器、事務用品
生産用機械器具製造業
26
製材機械、木工旋盤、製紙機械
卸売・物流関連産業
産業分類表(中分類)
事業の例
分類符号
道路貨物運送業
44
自動車等により貨物の輸送を行う事業
水運業
45
外航貨物定期航路業
倉庫業
47
倉庫業、冷蔵倉庫業
運輸に附帯するサービス業
48
港湾運送業、こん包業
各種商品卸売業
50
繊維・衣服等卸売業
51
繊維品卸売業、衣服卸売業、寝具卸売業
飲食料品卸売業
52
農畜産物・水産物卸売業、食料・飲料卸売業
建築材料、鉱物・金属材料等卸売業
53
建築材料卸売業、石油・鉱物卸売業
機械器具卸売業
54
自動車卸売業、電気機械器具卸売業
その他の卸売業
55
医薬品・化粧品等卸売業、紙・紙製品卸売業
16
(2)指定理由
①今後の電子・電機・液晶関連産業の発展可能性
電子・電機・液晶関連産業は、市場が国内に限らず、アジアや欧米など世界にわたっており、今後も
更なる成長が期待される。本県においては、産学金官連携によるイノベーションの誘発と新たな事業を
創出する「クリスタル・コリドール」の形成を目指す。
※平成17年の工業統計における鳥取県の電子・電機・液晶関連産業(日本標準産業分類上の中分
類 27、28、29 の合計)
の付加価値額の製造業に占める割合は 2006 年で 45.5%
(全国平均:16.1%)
で全国1位。
②高度な開発技術による自動車関連部品の発展可能性
県内の基幹産業である電子・電機・液晶関連産業においては、電子・デバイス技術を応用した自動車
関連部品が製造されており、県内企業のヒアリング調査等からその生産量は年々増加していることが伺
える。また、自動車部品関連の鍛造、熱処理、機械加工関連メーカー等産業基盤を支える業種でも新た
な設備投資の動きが出てきている。今後も電子・電機・液晶関連産業と自動車部品関連産業との融合が
一段と進み、新技術の開発や受注の増加が期待され、本県製造業の製造品出荷額、付加価値、雇用者数
の増大には不可欠な産業である。
③高度な縫製技術による県内繊維産業の発展可能性
県内繊維産業は、昭和30年代から全県下の農村に立地し、県内の雇用を支えてきた重要な産業で、
現在でも、事業所数、従業者数において、県内産業の 10%強とかなりの集積をみせており、県製造業の
製造品出荷額、付加価値額、雇用者数を増加させるためには、不可欠の産業である。平成 17 年度に県内
経済団体が県内で関連企業に実施した調査においては、生産技術や製品の品質の高さ、顧客への納品の
早さを強みとして上げている企業が多く、県内繊維産業が持つ高度な縫製技術を活かし、自社ブランド
の構築による下請けからの脱却や、短納期、小ロット等に対する対応を強化することにより、県内繊維
産業の高付加価値化による発展の可能性が十分にある。
④独自資源・技術を活かした食品・健康科学関連産業の発展可能性
本県の製造業における食品関連産業(食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業)の製造品出荷額及
び事業所数の割合は約24%(平成17年工業統計)で、電子・電機・液晶関連産業に次ぐ主要産業で
あり、県内の豊かな農林水産資源を活用した食品加工産業や酒類製造産業の集積があること、さらには、
フィッシュコラーゲンやフコイダンなど本県独自の加工・利用技術により、機能性食品・医薬品等新た
な高付加価値分野への進出が始まっており、今後も更なる発展が期待できる。
⑤木材・パルプ・紙加工関連産業の発展可能性
本県は豊富な森林資源に恵まれており、これらの良質な県産材を利用して圧密加工等の新たな加工技
術やデザイン性を高めたインテリア製品の製造等による木材加工業の振興と、和紙や紙加工製品につい
てもデザイン性の向上によるブランド化や新たな用途開発等による付加価値を創造することによって、
木材・パルプ・紙加工関連産業の更なる発展が期待できる。
⑥機能強化と新事業展開による卸売関連産業の発展可能性
県内卸売関連産業は、製造業と小売業等を繋ぐ結節点として、県内製造業の製造品出荷額、付加価値
17
額、従業者数の増加させるためには、不可欠な産業である。これまで県内卸売業は、減少傾向が続いて
いたが、最近は下げ止まりの状態となっており、卸売業者の淘汰が一段落した状況である。県内の卸組
合や個別企業に対するヒアリング調査では、納品サービスの提供や物流システムの開発、情報システム
の強化など卸売機能の強化、プライベートブランドの開発や小売や加工への進出といった新事業展開な
どで流通量を増大させる経営戦略をとっている企業が業績を伸ばしていることが伺える。今後も、製造
業や小売業との融合が一段と進み、流通量増大による運輸業も含めた県内卸売関連産業が活性化し発展
する可能性がある。
6 指定集積業種に属する事業者の企業立地及び事業高度化の目標
※卸売・物流産業は除く。
目標数値(修正後) 目標数値(修正前)
指定集積業種の企業立地件数(新規事業件数を含む)
70事業所
指定集積業種の製品出荷額の増加額
883億円
指定集積業種の新規雇用創出件数
3,058 人
18
50事業所
716億円
2,494 人
7 施設整備、人材育成、事業環境整備の事業を実施する者及び事業の内容
(産業用共用施設の整備等に関する事項)
本県においては、集積目標産業の付加価値額の増大を図るため、企業における事業化(工場建設等)
の前段階での取組(試作品開発等)を支援するとともに、新規事業化を目指す企業の誘致にも取り組む。
貸しオフィスは、事業のスタートアップ段階における企業の初期投資を抑えることができ、技術・経
営両面での支援が受けられるため、ニーズが高く、研究開発後の製品量産化時に、県内での新規設備投
資に繋がる等、企業立地にも大きく寄与することが期待される。
また、集積目標産業の中でも、特に産業の高付加価値化が期待できる電子・電機・液晶関連産業、自
動車部品関連産業の集積の形成及び活性化に向けて、県内関連企業に対する戦略的かつ効率的な支援を
行うために必要となる機器を鳥取県産業技術センターに計画的に整備し、企業ニーズや地域の活性化に
対応できる技術支援、品質評価等の実現や、企業の人材育成、新規分野への技術支援を行う。
[事 業 内 容]
①企業の新規事業スタートアップ支援のための貸しオフィスの整備【鳥取県産業振興機構】
現在、鳥取県産業振興機構には14室の貸しオフィスがあり、隣接する鳥取県産業技術センターの
技術支援と鳥取県産業振興機構の経営面での支援を一体的に行っている。これらの貸しオフィスは現
在満室となっており、鳥取県産業振興機構内に貸しオフィスを新たに整備し、新たな事業のスタート
アップの支援を図る。
(整備内容)
・貸しオフィスの新設及びそれに伴う改修
<新設貸しオフィス 4室>
(それぞれ 約50㎡、約120㎡、約80㎡ 、約60㎡ ; 計約310㎡)
②企業の研究開発、新規事業化支援及び人材育成のための共用機器整備【鳥取県産業技術センター】
鳥取県内には、電気機械関連産業向け複雑形状の金型製造、自動車用精密部品の加工、高硬度材料
を使用した小型精密部品の加工など、高精度加工技術を有する企業が立地しており、加工品の納入先
であるユーザー企業のニーズに対応した技術開発や製品の生産を行っている。
これらの製品の多くが多品種少量生産であり、生産の都度、最適な加工条件や手順等について常に
効率化が求められている。また、熟練労働者の減少と技術の継承など、いわゆる「2007年問題」
を背景にものづくり技術の高度化に対応できる若手技術者の育成が急務となっている。
このような状況の中、高精度加工技術を有する企業は、今後の生き残りに欠かすことの出来ない「品
質の安定化と高品質化」
、
「企画から製品化までの期間短縮とコスト削減」を実現するための人材育成
が必要である。
加えて県内には、繊維関連産業と食品関連産業も多く立地している。繊維関連産業においては、縫
製業が中心で紳士服、婦人服、補整着など多種にわたり、そのほとんどがアパレルメーカーや商社か
らの下請け企業である。このような状況の中生き残っていくためには、高度な縫製独自技術を活かし
たオーダーメード対応型生産の推進、体型にあった着心地、見映えの良い新しい繊維製品の開発が求
19
められている。また、食品関連産業においては、雇用や地域経済にとって重要な産業となっているも
のの付加価値の低い下請け型企業が多く、今後、維持・発展するためには、機能性食品を中心とした
高付加価値型食品産業の構築、地域資源活用やブランド化、新規加工技術開発、杜氏等の人材育成等、
食品の高品質生産技術開発の推進が求められている。
しかしながら、県内の多くの中小零細企業では、独自に研究開発、製品開発のための設計・製品試
作や、
技術者の育成を行うことは難しいことから、
鳥取県産業技術センターに共用機器として整備し、
企業の技術力向上や人材育成を支援する必要がある。
集積目標産業の企業ニーズや地域の活性化に対応できる技術支援や品質評価等の実現に向け、企業
の研究開発、依頼試験、技術相談・技術指導及び人材育成の支援に対応可能な機器整備を計画的に行
う。
○鳥取県産業技術センター内に多分野にわたる製品設計支援体制を構築し、企業の新製品開発に
おける試作期間の短縮、試作経費の削減や、設計・解析シミュレーションに対応可能な機器整
備を行う。
○電子機器関連部品の金型・パンチの製作、高硬度材・複雑形状部品の加工における、加工プロ
グラムに沿った精密加工に対応可能な機器整備を行う。
○プレス、鍛造等に使用される金型や電子機器部品に使用されるコネクタ・筐体等の射出成形用
金型の高品質切削加工に対応可能な機器整備を行う。
○家電・自動車産業等のものづくりの基盤技術である金属加工分野における、企業の製品試作や
技術の高度化に対応可能な機器整備を行う。
○標準的なパターンでは対応できない特別な体型の人に対しても、着心地・見映え良い繊維製品
の開発に対応可能な機器整備を行う。
○地域資源にこだわった特徴ある製品の開発や高機能(健康、高齢者、低アレルゲンなど)商品
の開発に対応可能な機器整備を行う。
平成19年度の主な整備計画
・製品設計支援シミュレーション装置
(電子・有機素材研究所:鳥取、機械素材研究所:米子 各1台)
製品の最適製造条件や製造物の物理的特性(強度・熱流動特性など)をシミュレーションに
より得ることができ、新製品の開発において試作期間の大幅な短縮、経費の大幅な削減が期待
できる。
〈機器を使用して実施する主な事業〉
技術講習会、オペレーター研修、機器利用開放、設計解析支援、
製品設計データベースの蓄積による技術指導
・ワイヤーカット放電加工機(機械素材研究所:米子)
プレス加工業における金型・パンチの製作、機械加工業における高硬度材・異形部品の加工、
射出成形における樹脂用金型の製作を行うことができ、電気機械関連産業の高度化には必要不
可欠な装置。製品開発時の試作における経費の大幅な削減が期待できる。
〈機器を使用して実施する主な事業〉
技術講習会、加工実習、高品位加工の支援、高精度加工の支援
20
平成20年度以降に整備予定の主な機器
・三次元形状計測システム(電子・有機素材研究所:鳥取)
人体の三次元形状が瞬時に計測可能となるため、オーダーメードのための衣服パターン作成
や、体型にフィットし健康に配慮した新しい繊維製品の開発に必要不可欠な装置。海外製品と
は違う高品質な繊維製品製造のための新しい生産体制の確立や新製品開発などに期待できる。
〈機器を使用して実施する主な事業〉
オペレーター研修、機器利用開放、企業の研究開発支援
・真空凍結乾燥機(食品開発研究所:境港)
固形や液状食品から、その風味や色調、栄養成分などの劣化の少ない乾燥食品の開発に必要
不可欠な装置。機能性成分の効率的な抽出や機能性食品の開発などに期待できる。
〈機器を使用して実施する主な事業〉
オペレーター研修、機器利用開放、企業の製品開発支援
・プラスチック押し出し成形機(電子・有機素材研究所:鳥取)
平成19年度導入した製品設計シミュレーション装置との連携により、プラスチック成形技
術やプラスチック製品・部品の品質評価技術の確立に必要不可欠な装置。プラスチック産業を
はじめ、電機・電子関連産業の製品開発の低コスト化、製造効率の向上、不良の削減が期待で
きる。
〈機器を使用して実施する主な事業〉
技術講習会、オペレーター研修、機器利用開放、プラスチック製品試作の支援
・高速マシニングセンター(機械素材研究所:米子)
従来の加工技術にはない高速加工技術の習得や、将来を支える高度加工技術者の育成には必
要不可欠な装置。
高速加工により仕上げ面や寸法精度の向上、
難削材料加工が可能となるため、
製造効率の向上、加工技術の向上、新製品開発に期待できる。
〈機器を使用して実施する主な事業〉
技術講習会、加工実習、高品位加工の支援、高精度加工の支援
③企業の食品・健康科学関連産業スタートアップ支援のための貸し研究所の整備
鳥取県における21世紀の基盤産業としての食品・健康科学関連産業を支援することを目的に、企
業が鳥取大学医学部の染色体工学技術研究等のシーズを活用して研究を行うため鳥取大学、
(財)鳥取
県産業振興機構及び鳥取県が連携の上、貸し研究所を整備する。
(整備内容)
・貸し研究所の新設
規模 総面積約1,000㎡(3階)
内容 動物実験室、機器分析室、貸し研究室
21
(人材の育成・確保に関する事項)
平成17年度に集積目標業種の約70社から回答を得たアンケート調査及びそれに基づく約40社に
おけるヒアリング調査の結果、
・製品サイクルが短くなっており、設計から生産までのスピード化が求められていること
・多品種少量生産が求められているが、それに対応する体制が十分ではないこと
・人材育成はOJTが中心であり、体系的な教育ができていないこと
・既存の技術を基にした新しい技術・製品分野への進出を模索していること
などが、課題として浮き彫りになっている。
これらの課題に対応するためには、即戦力となる技術者の確保と若手技術者の育成が必要であるが、
経営体力が弱く大手企業と比べ企業としての魅力が乏しい中小企業にとっては、即戦力となる技術者の
確保は難しく、また、若手技術者を育成するにしても、現場の熟練技術者からOJTにより時間をかけ
て技術伝承をしているのが現状であり、体系立てた効率的な技術講習などができていない。また、資金
面から見ても、県内中小企業が人材育成に投資を行う余力は減衰しており、学校や産業支援機関を巻き
込んだ人材育成が求められている。
[事 業 内 容]
①教育機関による優秀な人材の育成
学校教育では、学習指導要領の改訂により小学校∼高等学校での学習内容が削減されたが、一方、
企業から新入社員に対する求めるレベルに変わりはなく、むしろ、更に高いレベルの人材が求められ
ている。
また、少子化の影響により生徒そのものの人数が減る中で、理科離れもあって高校卒業後に技術系
企業への就職を希望する生徒の割合も減少している。特に中小企業においては、技術者の人材確保が
極めて難しい状況となっている。
さらに、中小企業では若手技術者を育成するにしてもOJTが中心であり、体系立てて効率的な技
術講習を行うなど、独自に人材育成を行うのは困難な状況にある。
このため、教育機関において、企業のニーズに対応した即戦力あるいは企業内での早期育成が可能
となるような優秀で潜在能力のある人材を育成するために、基礎的な知識や技術の教育のほか、実践
的な教育等を実施する。
・液晶ディスプレイ関連産業を担う製造中核人材の育成・確保(高専・大学・大学院向け)
【鳥取県地域産業活性化協議会】
県内に集積し、今後成長が期待される液晶関連産業について、県内製造業が競争力を維持する
ために、高専学生から社会人等までの一貫した人材育成を実施することにより、液晶関連産業全
体の技術者の底上げを目指す。
高専学生、大学生向けには、液晶製造基礎課程として製造工程における要素技術を習得するた
め液晶ディスプレイの製造工程全般を学び、また、大学院生、社会人向けには、液晶製造基礎課
程の他に液晶ディスプレイ製造における不良・故障原因特定、製造工程における技術やノウハウ
22
の伝承、液晶ディスプレイ製造における要素技術を活用した戦略的な新技術・新製品の開発等の
実践的な教育を実施する。
また、使用するカリキュラムについては、経済産業省委託事業の産学連携製造中核人材育成事
業及び本県単独事業により開発したものを活用するとともに、さらに必要なカリキュラム、テキ
スト、実習用教材等については新たな開発を行う。
なお、本格講義の実施にあたっては、鳥取県から鳥取県産業振興機構に講座全体の運営管理業
務の委託をするものとする。
・モノづくりの基本的知識・技術と応用力を持つ人材の育成(工業高校向け)
【鳥取県産業振興機構、鳥取県教育委員会】
集積目標産業を直接的間接的に支える回路技術、組込みソフトウェア技術、機械加工技術など
の産業分野において、企業の技術者を的確にサポートし、自らが将来の技術者として独り立ちで
きる基礎学力を身につけるため、県内中小企業、産業支援機関の協力のもと、県内工業系高校3
校を対象に実践的教育を実施する。
生徒のインターンシップとしての企業への派遣、企業技術者の外部講師としての学校への派遣、
教員の企業での実践的研修、課題解決型研究による実践力の養成などを通して、学校現場におい
てより実践的な教育が実施されるとともに、生徒に集積目標産業に従事するための基礎的な能力
を身につけさせることが可能となる。
連携
商工労働部
商工労働部
産業振興機構
開拓)
(連携企業の開拓)
(連携企業の
コー ディネータ
( 役割)協力企業の開拓、産業界
ニーズのとりま とめ等
人材育成連携
推進委員会
参加
参加
、
(役割)地域・
(
役割)地域・学科に
学科に応じた、人材育成プログラム
応じた 、人材育成プログ ラム、
連携内容の検討、事業の進捗管理等
、商工労働部、学校、産業振興
学校、産業振興
( メンバー) 教育委員会
(メンバー)
教育委員会、商工労働部、
機構、商工会議所
機構
、商工会議所、企業関係者等
((運営体制) 鳥取県
鳥取県教育委員会
実施(
生徒)
)
インターン シップの
インターンシップ
の実施
(生徒
企 業
教育委員会
教育委員会
参加
実施校
鳥取工業高校
倉吉総合産業高校
米子工業高校
学校で実
学校で実践的指導
践的指導(技術者)
(技術者)
企業で高度技術習得
企業で高度技術習得(教員等)
(教員等)
の実施
実施(生徒)
課題研究の
(生徒)
②企業技術者の専門知識・技術の総合的向上
県内に立地する企業は中小企業、中でも比較的小規模な企業が多く、大手企業の下請け構造となっ
ていること、素材移出型構造となっていること、売り上げ重視で低収益であることなどが問題として
挙げられる。このため、企業が技術力・競争力を身につけ、高付加価値化、収益性重視の産業構造へ
と転換することが必要とされている。
これらの課題に対応するためには、
即戦力となる技術者の確保と若手技術者の育成が必要であるが、
経営体力が弱く大手企業と比べ企業としての魅力に欠ける中小企業にとっては、即戦力となる技術者
23
の確保は難しく、また、若手技術者を育成するにしても、現場の熟練技術者からOJTにより時間を
かけて技術伝承をしているのが現状であり、体系立てた効率的な技術講習などができていない。資金
面から見ても、県内中小企業が人材育成に投資を行う余力は減衰している。
本県の集積目標産業においては、電子・デバイス等の高付加価値化、金型加工の高度化、新技術・
新製品による製品開発等、多様化する情勢に対応することのできる人材が求められているが、企業の
自助努力による人材育成のみでは現状に対応できていないため、これらの課題への対応できる人材の
育成に取り組む。
・組込システム開発人材、次世代ものづくり人材の育成等【鳥取県産業技術センター】
県内企業の競争力の向上や製品の高付加価値化のために、集積目標産業に対応した人材育成を
実施する。
○液晶ディスプレイ関連産業を担う製造中核人材の育成・確保(再掲)
○組込システム開発人材育成事業
電子・デバイス等に搭載する組込ソフトウエアの開発技術者を育成
○次世代ものづくり人材育成事業
高精度加工技術が要求される家電、自動車産業等の基盤技術である金属加工業において、
ものづくり技術の高度化に対応できる若手技術者を育成
○戦略的商品開発支援事業
市場ニーズに基づいた製品開発から製造販売まで一連の商品企画が可能な人材を育成
○実践的産業人材の育成
企業や大学等から研修生を積極的に受け入れるとともに、企業の要請に基づく現地指導
等により実践的産業人材を育成
・液晶ディスプレイ関連産業を担う製造中核人材の育成・確保
【鳥取県地域産業活性化協議会】(再掲)
・中小企業向け技術経営(MOT)プログラムによる人材育成 【鳥取大学】
企業が高度な技術や研究成果を核とした製品開発を行い、収益力の向上に繋げるためには、製
品技術に係る技術的課題を経営の観点から捉え、技術の持つ価値を製品や事業として開花させる
必要がある。技術・経営についての複合的な知識を持ち、企業の技術経営にあたる人材を育成す
るため、鳥取大学において中小企業向け技術経営(MOT)プログラムを行う。
同プログラムにおいては、座学、企業・大学研究者・大学院生からなるメンバーで各企業の持
ち寄る課題を検討するグループワーク、大学教員による個別企業の技術経営コンサルティング等
を実施し、各企業の課題解決策をビジネスプランとしてまとめる等の実践的な手法により、技術
戦略と事業戦略の整合を考えた技術ロードマップとビジネスプランを描くことのできる人材を
育成する。
24
中小企業向け技術経営(MO T )プログラムの概要
・ものづくり基盤技術とものづくり高度化技術を持つ人材の育成
【鳥取県産業振興機構、米子工業高等専門学校】
高品質・高生産性・低コストを実現するものづくりの共通的な基盤技術である「品質管理・
品質工学技術」と、製品の高機能化・多機能化の要素技術でありユビコン時代を支える「組込シ
ステム技術」等を有する実践的な技術者を育成する。
なお、講座の実施に当たっては、米子工業高等専門学校や企業等のノウハウを活用した産学官
連携により継続的な人材育成に取り組む。
また、他機関が実施する研修の連携講座と位置付ける。
○品質管理講座
○組込システム技術入門講座
③県内外・海外からの人材確保
人材の確保の現状として、大企業が好業績を背景に積極的な採用を行う中、中小企業が主体となる
本県では、大都市圏と比べ経済格差が大きく、大きな好況感はなく、また、大企業に比べ一般に企業
ブランド力の劣る中小企業にとって人材の獲得は困難な状況である。しかしながら、本県製造業が激
化する競争の生き抜いていくためには人材確保対策は喫緊の課題となっている。
必要な人材の供給元として、まず県内の大学・高専・高校等の教育機関が挙げられるが、県内の大
学・高専・高校を卒業する学生・生徒のうち、卒業後に県外企業へ就職するものが相当数あり、県外
への人材流出阻止が課題となっている。
また、製造業において全国的な人材不足が指摘される中、優秀な人材を確保するためには、県内の
みならず県外からの人材確保にも取り組むことが有効な対策として考えられる。これについては、既
にUターン・Iターンの促進等の取組を行っているが、これに加えて、官民一体となった新たな人材
供給体制の整備への取組が必要となっている。
さらに、大企業だけでなく、中小企業もアジア各国に進出し始める中、今後のアジアを中心とした
海外事業展開の加速を視野に入れ、日本と現地の架け橋となる人材の確保が重要となっている。世界
的に高度な人材の国際移動が拡大する中、アジア及び環日本海圏の優秀な頭脳を受け入れ、国際的な
25
人材ネットワークを形成することは、本県の集積目標産業の活性化に大きく寄与するものと考えられ
る。
・長期インターンシップの実施による県内企業への就職機会の増大
【鳥取県地域産業活性化協議会】
県内学生の他、県外学生、海外の学生等を対象に、県内企業において、長期インターンシップ
を実施し、技術者、エンジニアとしての人材育成を行う。
インターンシップのメリットとして、職業観や勤労観の育成、就業体験を通じての適性把握、
雇用のミスマッチ軽減、自らの専攻する学問への社会的要請の検証、学生の技術・能力の地元中
小企業の課題解決への活用の他、長期間の実施により優秀な人材の確保、実践的な知識・技術の
吸収等が期待される。一方で、企業側にとっては学生の受入及び指導に係る負担が大きいといっ
たデメリットもある。
そこで、企業自身による、インターンシップのプログラム開発、長期インターンシップを実施
し、県内企業への就職機会の増大、優秀な人材の確保等に資する。
長 期イ ン タ ー ン シッ プの 実 施 に つ い て
鳥取県地域産業活性化 協議会
補 助 ( 3年 間)
対 象 経 費 :受 入 に係 る 旅 費 、滞 在 費 等
国
国内
内
県内企業
県内学生
県外学生
留学生
等
<業種>
・液晶関連
・ 電 子 部 品 ・デ バ イ ス 関 連
海
海外
外
北 東 ア ジア 地
域大学教授
協 議 会 (※ )
参加大学の
学生 等
メリ ッ ト
<企 業 >
・優 秀 な 人 材 の
確保
・マ ザ ー 工 場 化
・情報通信機器関連
・電気機械関連
<学 生 等 >
・自動車部品関連
・実 践 的 知 識 、
・繊維関連
技術取得
※ 日 ・ 露 ・中 ・ 韓 ・モ ン ゴ ル の 大 学
に よ る 学 術 交 流 会 議 (H 1 9 .1 0 )
・地域産業活性化シンポジウム等、国際的広域会議の開催による施策PR
【鳥取県、鳥取県産業振興機構】
県外及び海外からの人材確保を促進するためには、本県が液晶関連産業等の集積地であること
を広くPRし、前述の長期インターンシップ等の活用に繋げ人材の県内への誘導を図ることが有
効である。県外及び海外へ情報を発信するためには、国際的広域会議において各国・各機関の代
表者に対してPRを行うことが、効率的な手段であると考えられる。
このため、平成19年度には「とっとり発液晶産業の未来」をテーマに『地域産業活性化シン
ポジウム』を開催する。同会議に出席する日本・中国・ロシアの大学関係者や、我が国の液晶関
連有力企業により、環日本海圏の大学・企業間の交流による人材の育成に連携して取り組み、国
際的な人材ネットワークを形成することで、県内企業の水平分業体制の促進に伴う海外事業展開
を支援する。また、本県の産業集積及び長期インターンシップ等の人材育成施策を広く発信する
ことにより、県外・海外からの人材確保を図る。
26
(技術支援等に関する事項)
国内産業の地域間格差が拡大する中、地方に立地する製造業は受注、生産、人材の確保において、厳
しい状況に置かれている。そうした中にあって、独自の技術力、製品開発力を持つ企業は好調な実績を
残している。このことは、企業の独自技術の向上により市場での競争力を強化し、製品の高付加価値化
を目指し、価格競争に勝ち残る高い収益性が確保できる強靱な企業体質が必要であることを示している。
県内中小企業や県内での新規事業の立ち上げを目指す事業者は、技術課題の解決、ユーザーからのク
レーム対策のための試験分析、信頼性評価等に使用する高度な機器整備等を独自には行うことができな
い場合が多く、本県ではこのような企業の技術支援、研究開発支援等について積極的に行っていく。
[事 業 内 容]
①企業の技術力向上及び新規事業立ち上げのための技術支援【鳥取県産業技術センター、高等教育機関】
鳥取県産業技術センターは企業の研究室として、企業からの依頼試験、技術相談・技術指導、保有
する機器の企業への開放、企業との共同研究、人材育成等の技術的支援を強化することが求められて
いる。
鳥取県産業技術センターの持つ産業技術に関する試験研究及びその成果の普及を推進するとともに、
企業ニーズや市場動向を把握し、
ものづくり分野における技術支援や人材育成等を積極的に実施する。
○依頼試験、技術相談・技術指導
県内企業の要請に基づく製品の品質評価、ユーザーからのクレーム対策に資する依頼試験、
技術相談・技術指導を行う。
○保有する機器の企業への開放
鳥取県産業技術センターが保有する機器や新しく整備する機器を企業に開放して、企業の技
術力や信頼性の向上に役立てる。
○起業化への支援
県内で新規事業の立ち上げを目指す事業者等に対して、起業化支援室等の提供、研究開発用
機器の開放、技術支援等を行う。
○技術講習会、セミナー、研究発表会等の開催
CAD/CAEを使った製品設計技術講習会、ICP発光分光分析装置を使った分析手法セ
ミナー、技術移転を目的として研究発表会等を開催する。
○企業の研究開発への対応
集積目標産業のニーズに基づいた研究開発や企業との共同研究を積極的に推進する。
さらに、鳥取大学、鳥取環境大学、米子工業高等専門学校などの県内に立地する高等教育機関にお
いて、企業が抱える問題解決や大学等が持つシーズに基づく新製品開発などを目的に、共同研究等を
通じた技術支援を引き続き強化していく。
27
②経済産業省委託・補助事業の活用による技術開発支援
【鳥取県産業振興機構、鳥取県産業技術センター】
鳥取県は電気・機械産業を中心に発展してきたが、全国的には企業業績は好調でありながら、本県
の雇用情勢は極めて厳しい状況にある。しかしながら、集積目標産業を支える県内の精密プレス金型
の設計製作、精密鍛造品製造、熱処理、防振防音ゴム製品製造などで高い技術力を持つ電気機械関連
の企業は、好調な生産を継続している。
このような中にあって、今後、この好調さを着実に継続するためには、競争力のある専門的な知識
技能・技術を持つ人材の育成はもとより、県内企業間の連携による新技術の研究開発への取り組み、
新事業へと発展していくことが強く求められている。
そのためには、地域の企業、高等教育機関、鳥取県産業技術センターとの産学官共同研究開発に実
績を有する鳥取県産業振興機構が中心となったコンソーシアム体制の構築が急務であり、本県におい
ては経済産業省の技術開発支援事業等を積極的に活用し、競争力のある新事業を育成していく。
③高品質・高機能な食品等の開発のための技術支援【鳥取県産業技術センター】
鳥取県産業技術センターにおいては、前述のとおり企業の技術力向上及び新規事業立ち上げのため
の技術支援を行っているが、食品開発研究所においては、高度化する食品開発等に対応するため「高
機能開発支援棟」を整備し、より積極的な技術支援を実施する。
○動物実験支援
食品の健康機能性評価などについて、人体に対する影響を評価する前段としての動物実験につ
いて支援する
○高品質加工支援
HACCPを考慮した無菌充填実験など、高品質な加工食品の試作試験を支援する。
○畜水産物低温加工支援
低温下で行う魚介類や畜肉等の高鮮度、高品質な加工食品の試作試験を支援する。
④鳥取大学の技術シーズを活用した食品の機能性評価システムの開発のための技術支援
【鳥取大学、鳥取県産業技術センター、鳥取県産業振興機構、鳥取県、米子市、境港市】
県内で生産・水揚げされる農林水産物については、高付加価値化がますます重要となっている。こ
れらの産物を他地域と差別化し、競争力を持たせるために、その機能を解明し、新たな製品を開発す
ることは、地域の活性化にとって必要不可欠なこととなっている。
このため、文部科学省の委託事業である都市エリア産学官連携促進事業を活用することにより、鳥
取大学医学部がもつヒト人工染色体工学に関する技術を応用することにより、食品の機能性を評価す
るシステムを構築するとともに、評価した食品を活用し、より高付加価値な新製品を開発することに
ついて研究開発を行う。
また、本事業の成果である人工染色体に関する技術を活用することにより、食品の機能性評価だけ
でなく、医薬品分野への応用など、さらなる産業の高度化へ寄与する。
28
都市エリア産学官連携促進事業の全体構想図
対象エリア
米子・境港エリア
商品化
生活習慣病予防のための
機能性食品及び素材の商品化
事業課題
「染色体工学技術等による生活習慣病予防食品評価シス
テムの構築と食品等の開発」
県内
交流事業
研究成果の事業化・商品化に向けた、
広範(エリア、業種)なマッチング活動
・キチン、キトサン、コ
ラーゲン、フコイダ
ン等に 関する独自
の技術シーズ
・全国有数の漁獲量
を誇る境港
連携
(財)鳥取バイオサイエ ンス振興会
( 参画企業・団体数18)
食品開発と 健康に関する研究会
鳥取県知的所有権セン ター 等
他地域
■科学技術コーディネーターの配置
■研究成果発表会、研究報告・講演会・交流会の開催
■食品開発と健康に関する研究会の開催
■産学官ネットワークの構築
等
中国地域バイオ 産業推進協議会
バイオアクティブ岡山(岡山県)
食 品機能開発研究会(広島県)
国外
韓国・ 中国等
■生活習 慣病 予防を目的と
■生活習慣病予防を目的と
した 機能 性食 品(トクホ含
し た 機能性食品(トクホ 含
む)
む)
■水産物 由来の
■水産物由来の
機能性食品素材(キチ ン・
機 能性食品素材(キチン ・
キトサン 、コラーゲン、 フコ
キトサン、コラーゲン、フコ
イダ ン 、デルマ タ ン硫酸)
イダ ン、 デルマタン 硫酸)
■動物用 医薬 品、医療基材
■動物用医薬品、医 療基材
等
等
食品・医薬品等
評価システムの商品化
■各種生理活 性・安全性 評
■ 各種生理活性・安全性評
価用( マ ウス・細胞)
価用(マ ウ ス・細胞)
共同研究
■研究参画機関
・染色体工学技術開
発の拠点地域
(鳥取大学)
事業目標
産 キリンビ ール㈱、甲陽ケ ミカル㈱、 (有)カンダ 技工、
㈱海 産物のきむらや、 ㈱BTS、( 有) chr omoce nte r、
㈱ダ イマ ツ、 アド バンテ ック東洋㈱、㈱日 本ケミファ、
丸善製薬㈱、㈱日本マイクロシス テム
学
鳥取 大学(医・農・工 ・地)、九州工業 大学
官 鳥取県産業 技術セ ンタ ー
■研究内容
Ⅰ ヒト人工染色体を利用し た機能性評価技術の開発
Ⅱ 動物・ヒト臨床による機能性評価法の開発
Ⅲ 水産資源からの機能性食品素材・食品の開発
■H TS評価システム
■ HTS評価シ ステム
( 細胞固定化マ イクロ
(細胞固定化マイクロ
プレート)
プレート)
評価受託事業
710
〔中核機関〕 財団法人鳥取県産業振興機構(賛助会員 企業数約630社)
⑤鳥取県単独の補助制度の活用による技術開発支援
■迅速バイオマ ーカーモ ニ
■ 迅速バイオ マ ーカーモ ニ
タ リング シス テム
タリ ング シ ステ ム
◆生活習慣 病予防による健康増進
◆新産業 創出と地域 経済の活性化
豊かな水産物資源、独
自のバイオ技術を保有
し研究開発ポテンシャ
ルを有するエリア
提案事業
■ 各種生理活性評価受託 事
■各種生 理活 性評価受託事
業 (鳥取大学 発ベ ンチャー
業(鳥取大学発ベンチャ ー
設 立済)
設立済)
【鳥取県、鳥取県産業振興機構】
経済産業省の実施する委託・補助事業はある程度の研究規模が必要となるが、県内中小企業が研究
開発や人材育成を行うにあたって、比較的事業規模が小さな事業についても、鳥取県及び鳥取県産業
振興機構による補助事業による支援を行うことにより、県内産業の活性化を目指す。
・やる気のある企業支援補助金
企業独自の技術を活用した研究開発や、経営革新計画の目標達成のための研究開発・市場
調査・人材育成・販路開拓を支援
・知的財産・ベンチャー発掘支援補助金
県内外の大学・高専等と共同研究を行い、製品の研究開発に取り組む中小企業や、県内で
の創業を目指す人、地域ブランド取得に向けた研究開発を支援
・ものづくり基盤人材育成強化補助金
団塊世代の大量退職に備え、大学・高専等と連携して若手への技術伝承に取り組む場合、
人材育成のための研修、視察、カリキュラム作成等を支援
・次世代・地域資源産業育成事業
液晶関連産業などの資源を活かし、既存産業から発展する製品や技術の実用化を支援。ま
た、本県にある地域資源を活かした製品や技術の実用化についても支援
・魅力ある商品づくり事業(農林水産部事業)
アドバイザーからの助言を活用した地元食材による加工品開発、販路開拓、パッケージデ
ザイン等の改良による商品力向上を支援
・とっとり水産業加工品づくり支援事業(農林水産部事業)
開発したい水産加工品、将来目標のプランを策定した事業者等が行う、新たな加工品開発、
市場調査、販路開拓等を支援
29
⑥冠講座等を活用した次世代技術者の育成・確保
本県製造業の製造品出荷額の約半分は電気機械製造業・情報通信機器製造業・電子部品デバイス製
造業の3分野で占めているが、その中でもとりわけ液晶関連産業は国内有数の集積地としての成長を
続けているものの、近年は韓国・台湾・中国といったアジア諸国の台頭が急激に進み海外との厳しい
競争にさらされている。
本県産業が国内はもとより海外との競争に打ち勝ち国際舞台でイニシアチブを持つためには、高付
加価値製品を開発し続ける技術と、それを開発製造するための高度な技術者を育成・輩出していくこ
とが不可欠であるとともに急務となっている。
このため、個々の企業に依存する従来型の研究開発・人材育成にシステムに加えて、大学のシーズ
や潜在能力を企業が活用する方法を取り入れることにより、液晶を取り巻く様々な技術課題の解決と
革新的な発展(ブレークスルー)を図るとともに、高度な技術者を育成していくことが企業の国際競
争力を高めることにつながることになる。
この大学等と企業を結ぶ拠点として液晶関連産業の人材育成と研究開発を行う施設が県内に設置
されることになれば、多くの液晶関連企業の人財やあらゆる情報が本県に集中することになり、液晶
関連産業だけでなく本県産業全体の発展の大きな力になるものと考える。
・
「電子ディスプレイ研究所センター」の設置 【鳥取大学、関連企業】
本県が液晶等関連産業の国際優位性を持続発展していくために「電子ディスプレイ研究センタ
ー」を設置する。
このセンターでは、鳥取県産業技術センターや県内外の液晶等関連企業や環日本海圏の大学等
から研究者・技術者や学生を幅広く受け入れ、高度な人材の育成に取り組むとともに液晶等関連
産業のコアとなる様々な課題をブレークスルーするための技術研究に取り組む。
なお、人材育成では冠講座を活用して液晶等関連企業による最先端の実践的教育を行う。
県内外企業
液晶・半導体・電池等
冠講座
国立 大学法人鳥取大 学
技術者
地方独立 行政法人
鳥取県 産業技術センター
研究 者
研究員
連携
コア 技術 の
研究・ 人材 開発
(社会 人ドクターの 養成)
技術者・
研究者の
人材育 成
企業競争 力
の向上
30
共同研究
鳥取県
産業振興機構
・液晶中 核人材育成
プログラムの運営管 理
・機器整 備
鳥取県
・液晶中核人材育成
プ ログラムの運営助成
・機器整備支援
⑦社会人ドクターの養成
製造業において付加価値を高めるためには、新製品の開発や既存製品の改良により他社との差別化
を図ることが有効である。
製品の開発・改良を行う際、技術者が当該製品に直接関わる分野の専門知識や技術のみでなく周辺
分野を含めて専門的・体系的な基礎知識を有していれば、開発・改良の課題を多面的にとらえて解決
することができる。しかし、このような製品開発・改良の核となり得る高度な人材は県内には少なく、
また幅広く基礎的分野の専門知識を有する人材を企業単独で養成することは困難である。
そこで、鳥取大学では企業の技術者を受け入れる社会人向け博士後期課程において、社会人ドクタ
ーを養成する。社会人ドクターのテーマとしては、液晶を始めとする電子ディスプレイに関する分野
の他、MEMS(超精密なものづくり)等に関する分野を取りあげ、これらのテーマに関連した社会
人ドクターの入学・教育・研究支援を行うこととしている。
専門的・体系的な知識を有する技術者を育成することにより、企業の技術力・開発力を向上させ集
積目標産業の活性化を図る。
31
(その他の円滑な企業立地及び事業高度化のための事業環境の整備に関する事項)
産業集積を図る上で、物流環境の整備は重要な課題であり、特に産業のグローバル化が進展する中に
おいて、効率的な国際物流の構築は必要不可欠である。
国内において、地方空港や地方港湾は貨物量が伸び悩み、その取扱量の少なさから便数が増えず、運
賃や便数において、大都市圏の港湾と比較して相対的に競争力がなく、県内企業に必ずしも有効活用さ
れていない。このことが、企業立地促進の隘路ともなっている。
また、企業立地にあたっては、近年、企業のニーズは多様化しており、企業の製造する製品の部品調
達から完成品の物流までトータルに理解し、企業の求めるニーズに最適な提案を行いながら誘致活動を
行う必要がある。本協議会においては、集積目標産業の業界に詳しい専門家を配置し、専門知識を活か
した効果的な誘致活動を展開していく。
[事 業 内 容]
①物流の効率化及び環境整備に向けた総合物流検討委員会の設置【鳥取県】
企業を取り巻く物流環境、課題等を把握・情報共有し、荷主企業にとって使い勝手の良い、効率的
な新しい地域間物流システムの構築を模索するため、物流関係者と国内、国際物流の現状や課題を整
理するための総合物流検討委員会を設置し、産業集積に向けた物流環境の整備を目指す。
(1)国内物流検討委員会
検討内容:鳥取自動車道、山陰自動車道を活用した物流対策等
メンバー:商工団体、物流関係企業、卸小売関係企業、行政機関など
(2)国際物流検討委員会
検討内容:港湾・航空貨物の利用促進策等
メンバー:荷主企業、国際物流関係企業、貿易関係団体、港湾管理者、行政機関など
室蘭
北米へ
ウラジ オストク
実線 は既存航 路
点線 は今後の 展開
新潟
直江津
大連
天津
ソウル
東海
鳥取
境港
釜山
青島
博多
【今 後の展 望 】
・韓 国航路 (釜 山)の充 実(現:週3便)
上海
・中 国航路 (上 海)の週 3便 化(現:週2便 )
所 要日数の短 縮
・環 日本海 フェリ ー航路の 開設
(ウラジ オストク− 東海− 境港)
東南アジア
ヨーロッパへ
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・日本海縦断フェリーの再開と鳥取港への寄港
(室蘭−直江津−博多)
②物流効率化推進事業【鳥取県】
北東アジアのゲートウェイを目指す本県にとって、物流拡大は大きなテーマであることから、物流
の活性化等を図る。具体的には、事業協同組合等が行う物流の効率化に繋がる実証実験などに助成し、
物流の効率化を推進する。また、首都圏・中京圏・近畿圏企業との新たなビジネスマッチングに要す
る輸送料金への助成などにより、国内物流の活性化を図る。
③新規フェリー航路誘致促進事業【鳥取県】
境港を介したロシア・韓国など経済発展の著しい北東アジア地域との物流環境整備に向け、関係自
治体等と連携しながら、境港への新規フェリー航路開設に向けた情報収集や誘致活動を行う。
<フェリー航路図(DBSクルーズフェリー
北東アジアフェリー航路
)>
④環日本海航路運航支援事業【鳥取県】
鳥取県が提唱する「北東アジアゲートウェイ構想」の核を担い、推計年間100億円超の経済効果
をもたらす地域経済活性化の大いなる起爆剤として期待される「DBSクルーズフェリー航路」の初
動支援を検討。
⑤境港利用促進事業【鳥取県】
境港を基点とした新たな航路の開設や充実に向けて、境港の新規コンテナ利用の促進と小口貨物利
用者に対する境港利用のインセンティブ制度を創設する等、今後の境港の利用拡大を目指す。
⑥境港輸出入拠点化支援事業【鳥取県】
境港航路を活用した新たな海外取引先の開拓等を行う事業者をサポートすることで、新規輸出入貨
物の確保につなげるとともに、事業者が境港を輸出入の拠点にする取り組みを支援し、境港航路の安
定運航につなげる。
⑦卸売業活性化戦略策定支援事業【鳥取県】
新たな卸売業としての市場縮小に対応した機能強化と新事業展開を目指す中小企業を鳥取県がモデ
ル的に補助事業による支援を行うことにより、卸売業の活性化を目指す。
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(事業内容)
卸売業や任意グループ、組合が事業環境の変化に対応して行う機能強化や新事業展開などの
地方卸売業の多様な生き残り方策の検討を支援する。
県 内 卸 売 業の 現 状
卸売 の機能
広 義の 卸 機 能
( 県 内 は少な い)
製 造 メ ー カー
(生 産 コス ト低減
⇒ 少 品 種大 量 生 産)
卸 機 能 の 強 化・特 化
納 品 サ ー ビ スの 提 供
(商 品 陳 列や ラ ベル 貼など )
総 合 的 な物 流 シ ステ ム
(共 同 仕 入 、 共同 配 送など )
需給調 整
情 報 シ ス テ ムの 強 化
(E DI、 流 通管 理シ ステム 、
倉 庫 管 理シ ステム など)
小売 業
(豊 富 な 品揃 え⇒ 多 品 種 少 量 発 注 )
狭 義の 卸 機 能
( 県内 の 多 く )
卸売 業 の活 性化
集荷分 散
卸売 業
( メ ー カ ー、 小 売 業 者の相 反 す る
ニー ズを調 整)
新事業展 開
卸 機 能 以 外 の機 能を 付 加
消 費者
( 十 人十 色 ⇒ ニー ズの 多様 化 )
( P B 開発 、 小売 直 営、 加 工な ど)
⑧集積産業に精通した専門家の配置による企業誘致活動の強化【鳥取県地域産業活性化協議会】
集積目標業種の業界に精通した専門家等を設置し、企業訪問等による企業誘致活動を強化すること
により「鳥取県地域産業活性化計画」の推進を図る。
(配置する職員)電子・電機・液晶関連産業の専門家(1名)
(主 な 業 務) ・
「鳥取県地域産業活性化計画」の推進にあたってのアドバイス
・電子・電機・液晶関連企業の訪問等による企業誘致活動
(設 置 場 所) 鳥取県商工労働部産業振興戦略総室内
(設 置 期 間) 平成19年10月∼平成22年3月
⑨食品・健康科学関連産業に精通した専門家の設置による産業集積化の強化
【鳥取県地域産業活性化協議会】
集積目標業種(食品・健康科学関連産業)の業界に精通した専門家等を配置し、企業間連携による
新商品の開発、機能性食品の医薬等への応用による新産業の創出を強化することにより「鳥取県地域
産業活性化計画」の推進を図る。
(配置する職員) 食品、機能性食品等の高度利用に精通した専門家(1名)
(主 な 業 務)
・企業間連携による新商品開発のためのコーディネート活動
・バイオ技術等を活用した食品等の高度利用に関するコーディネート活動
(設 置 場 所)
鳥取県産業振興機構内
(設 置 期 間)
平成20年6月∼平成22年3月
⑩産業デザイン力の強化による製品市場価値向上の支援【鳥取県】
ものづくり産業には、顧客が望むもの(また、潜在的欲望)を作る発想をもつことが必要で、高付加価
値で市場志向性を高めるための創意工夫(産業デザイン力)が必要となる。
しかし、県内企業は下請型の生産構造により、デザイン力が不足しており、また、デザインの本質・重要
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性が経営者等にあまり理解されてないため、デザインの活用がまだ、十分に行われていない現状にある。
今後、全国・海外へと「打って出る産業」を振興していくためには、下請型から独自技術を生かした製品
提案、自社製品製造型へと転換していくことが重要で、そのためにはデザイン的手法の活用が必須である。
このため、下請型の県内企業が、デザイン力を活用することにより、市場価値・評価の高い製品を産み出
し、市場志向型の企業として打って出ることができるよう、デザインマインド醸成、企業内デザイン力の育
成を図るとともに、デザインが手軽に活用しやすい環境の整備を進める。
産 業 デ ザ イ ン力 強 化 事 業 の 概 要
デ ザ イン マ イ ン ド 醸 成
デ ザ イン ス キル 育成
製 品開 発支 援
下
提
請
案
型
型
・
企 業 の 積 極 的 な デザ イ ン の 活 用
・
受
注
型
関 係 者 間 の ネッ トワ ー ク・ 連 携 の 構 築
→ プラ ッ ト フ ォ ー ム づ くり
(手 軽 に デ ザ イ ン の 活 用 可 能 な 体 制 )
市
場
志
向
型
⑪地域雇用創造推進事業(広域版パッケージ事業)の活用による雇用創造
【鳥取県、関係市町村、経済団体】
集積目標産業の更なる集積に向けて、厚生労働省の委託事業を活用し、専門人材の誘致、企業の雇
用高度化に向けた経営相談、職場体験や派遣研修による人材育成等に積極的に取り組み、集積目標産
業の人材確保と、求職者の雇用確保を推進する。
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⑫販路拡大等の支援による農林水産加工品やふるさと産業の振興【鳥取県】
・農産物等販路開拓支援事業費補助金
農業法人等が農林水産物の加工品等の販路開拓・消費拡大のために新たに行う、県外への販路
開拓活動、消費者との交流、国外への販路拡大を支援
・ふるさと産業元気な企業育成事業費補助金
ふるさと産業(因州和紙、弓浜絣、倉吉絣、陶磁器、竹工、酒造、菓子、木製家具、建具、
クラフト)を営む県内の事業者・グループが行う、販路開拓や新商品開発の取組を支援
・とっとりの匠支援事業費補助金
高度な技術・技能を持つ県内在住の民工芸品を製造する個人及びグループが新たな販路開
拓などを行う取組を支援
⑬企業立地事業補助金の要件緩和及び対象の拡充による企業の設備投資の促進【鳥取県】
県の企業立地事業補助金については投資額1億円以上で10人以上の新規雇用を要件としているが、
県内中小製造業において1億円の投資で10人の増員は大きな負担となるとの意見が多かったため、
平成21年度までの期間限定で新規雇用要件を5人以上にする等の要件緩和を行うことにより、中小
企業でも活用しやすい補助制度とするとともに、鳥取県地域産業活性化基本計画の推進を図る。
また、製造業で 1億円超としている設備投資額要件を、県内中小企業について 21年度と 22 年度の
2 か年は5千万円以上に緩和する。
さらに、二酸化炭素削減に効果を有する設備や、排水処理施設の整備、農商工連携を促す設備投資
への補助を設け、本県における企業の設備投資の促進を図る。
⑭事務管理部門雇用創出事業補助金の創設による企業の機能拡充の促進【鳥取県】
県内において雇用の場が著しく不足している事務的職業について、県外から新たに事務管理部門を
誘致するための補助事業を創設し、企業の本社機能の誘致や、企画・調査部門の誘致・強化による県
内における企業の機能強化を推進するとともに、雇用のミスマッチの解消を図る。
⑮「流動資産担保融資」創設による中小企業者の資金調達の円滑化への支援強化【鳥取県】
不動産担保に依存した中小企業金融の現状から脱却し、資金調達手段の多様化を図ることにより、
中小企業者の一層円滑な資金調達を支援するため、企業自立サポート融資(制度融資)において、中
小企業者が有する流動資産(売掛債権及び棚卸資産)を担保とする「流動資産担保融資」を新たに創
設する。
(流動資産担保融資制度概要)
項目
対象者
内容
項目
事業者に対する売掛債権又は
返済方法
棚卸資産を有する者(棚卸資
1億円
期
1年以内
間
融資利率
1.75%
保証料率
0.68%
○ 根保証の場合
約定弁済又は随時弁済
産担保の場合は法人に限る。)
限度額
内容
○ 個別保証の場合
売掛債権期日に一括弁済
担
保
申込人が有する流動資産(売掛債
権権及び棚卸資産)
保証人
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法人代表者以外は不要
⑯鳥取県企業立地促進資金貸付金の制度見直し【鳥取県】
企業の資金調達をサポートすることで企業立地の促進を図るため、融資利率の引き下げや現在 10
名以上としている新規雇用要件を県内中小企業に限り5人以上へ緩和を行うとともに、施設取得後と
していた融資実行時期を計画段階で融資が可能となるよう見直しを行う。
⑰企業投資促進のための工業団地再整備事業補助金の創設【鳥取県】
造成後長年が経過している県内の既存工業団地について、新たな企業の投資に対応するため、団
地を再整備し企業の投資を呼び込もうとする市町村の取り組みを支援する。
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8 産業集積の形成等に密接な関係を有する者と市町村及び都道府県との連携に関する事項
○市町村と県の緊密な連携
企業立地に係る各種法令による規制や手続きについては、市町村と県における活発な企業訪問活
動による企業ニーズの把握とお互いの緊密な連携による企業ニーズに対する迅速な対応が不可欠で
あり、市町村と県において相互に立地企業に対する情報を共有し、一体となって企業のフォローに
取り組む。
○行政機関と産業支援機関、大学等の教育機関及びその他関連機関との連携
企業立地においては、
行政機関の迅速な対応のみならず、
事業者が求める経営や技術に対する様々
な支援、人材の確保や育成に係る様々な支援も重要である。これらの支援については、県の東部と
西部にそれぞれ鳥取県産業振興機構、鳥取県産業技術センターがあり県内企業の経営や販路拡大、
研究開発等の支援を行うほか、県の東部に鳥取大学及び鳥取環境大学、西部には米子高専があり、
県内外の企業との共同研究や、
集積目標産業の推進のための人材育成で連携を図っていくとともに、
教育委員会と連携して県内工業高校等でのものづくり人材育成に取り組む。また、電力等のインフ
ラ整備については、中国電力株式会社鳥取支社と協議会の中で連携を図るほか、人材の確保につい
ては財団法人ふるさと鳥取県定住機構やハローワーク等の国の機関とも連携して取り組む。
○県内企業支援機関の連携
産業集積や企業の立地活動を推進するためには、
企業が抱える様々な経営課題に対してより迅速に質の
高い支援を提供することが必要である。このため、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、鳥取県産
業振興機構等の企業支援機関の間において、支援情報を共有するネットワークを県内3地区に構築する。
これにより、各支援機関及び支援職員が有する専門性を活かしたチーム支援や、事業者に対して支援施策
を幅広く提供するなど、連携した企業支援に取り組む。
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○企業間の連携
県内企業相互の連携による新たな付加価値の創出に向けて、関連業種や地域別の懇談会等、企業
交流の場づくりを行政がコーディネートすることにより、企業相互の交流促進、新たなビジネスマ
ッチング、製品の共同開発等の連携を生み出す。また、販路拡大等についても、県内企業が持つ高
度な技術・製品を広く県内外へ PR するため、全国的な展示商談会への関連業種での出展や関連業
種ごとの製品パンフレットの作成等について、県内企業が共同で行っていけるよう行政が支援を行
う。
打 って出 る 鳥 取 も のづ くり情 報 発 信 事 業
企業 立地促 進法関連 の支援
「 とっとり ブラン ド 」パ ン フ レ ッ ト
研 究 ・人 材 ・製 造 分 野
の設備投資支援
「県 企 業 立 地 等
助 成 条 例」
設備投資減税
工 場 建 設 ・設 備 投 資 に
係 る 特 別 償 却 の適 用
地方税の減免
不 動 産 取 得 税 (県 税 )
固 定 資 産 税 (市 町 村 税 )
県 内 の 優 れ た工 業 製 品 を 全 国 へ P Rす る ため に 、
業 種 別 ・産 業 別 の 製 品 パ ン フレ ット を 作 成
製 品 P Rカ タロ グ 等 作 成
販 路拡 大
設備 投資
信用保険の特例
保険限度額の引き上げ
保 険 料 率 の 引 き下 げ
① 個 別 での 出 展 等が 困 難 な
企業の支援
② 関 連 ・類 似 製 品 等 の 集 合 出 展
によ る プ レ ゼ ン効 果
③県内企業の横の連 携強化
④ 取 引 想 定 企 業 の ニー ズ
収 益の 増 加
把握
新規設 備投資の誘発
⑤ 産 業 集 積 PR によ る
企業誘 致
工場立地法の特例
緑地面積の規制緩和
新 規設 備投 資
雇用 の増大
研 究開 発
展 示・商談会 等への出 展
研究開発支援
地 域 コ ン ソー シアム 事 業
人材育成支援
企 業 が 必 要と する 人 材
を 育 成 す る ため の 補 助 等
「 とっとりブ ラン ド 」ブー ス
人材 育 成
産 業 集 積の 形 成
の増大
県内産業の付加価 値
全 国 規 模 の 展 示 商 談 会 に県 が
ブー スを 出 展
県 内 の 関 連 産 業 複 数 社 で出 品
○関係機関による合意形成
企業立地や産業集積の促進に係る各種施策については、鳥取県地域産業活性化協議会において各
関係機関と十分な合意形成を図りながら事業を推進するとともに、協議会の委員以外の関係機関や
民間企業についても必要に応じてオブザーバーとして協議会に参加してもらい、県内産業の集積に
向けた課題や必要な施策について意見を聴取するとともに、関係機関が一体となって産業集積に向
けた取組を進める。
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9 市町村及び都道府県における企業立地及び事業高度化に関する手続の迅速な処理を図るための体制の
整備に関する事項
企業立地に当たっては、県及び各市町村の首長が先頭に立ってトップセールスを行う等、企業立地
による産業振興の重要性を行政組織内に浸透させるとともに、企業誘致担当部局による積極的な企業
訪問により、具体的な企業ニーズの把握に努め、効果的な誘致活動を展開していく。
また、企業ニーズを確実に実現していくために、立地企業に対する行政の迅速な支援体制を整備す
る。
○県及び市町村におけるワンストップサービスを提供する体制整備
企業立地においては、企業の意思決定から設備投資までのスピードがますます短期になっていく
傾向があり、立地企業が円滑に操業開始できるように、行政機関において各種手続き等の迅速化を
図るためのバックアップ体制を整備する必要がある。県においては、企業立地担当課に土木技師、
農林技師を置き、企業の新規立地や増設に対するバックアップ体制を敷くとともに、経営革新等の
新規事業開拓支援や人材確保支援の担当部門も同一の課内に設置し、企業の立地をトータルで支援
する体制を整える。また、市町村の企業誘致担当部局においても、行政機関内の各関係部局での許
認可等の調整を一つの窓口で行えるようなワンストップサービスを提供する体制整備に取り組む。
さらに、県の県外事務所においても、企業誘致及び U・I ターン雇用担当のそれぞれの専任職員
を配置し、関係機関と連携しながら全国的なネットワークで本県への企業立地のサポートを行う。
企業立地推進本部の設置による効率的な企業立地活動の推進
企業立地における誘致関連情報や県内企業が抱えている問題点等について、県において部局横
断的な情報共有や連携により、より効率的・効果的な企業立地活動を推進する。
平成20年1月25日設置
(構
成)本部長:出納長
構成員:商工労働部長、同次長、各県外事務所長、各県民局長、(財)鳥取県産業
振興機構理事長、(地独)鳥取県産業技術センター理事長、企業訪問担当
者、生活環境部次長、農林水産部次長、県土整備部次長、企業局次長
※県内商工団体・商工支援団体・金融機関とも連携して情報収集を行う。
(目
的)企業訪問結果の情報共有化
企業アプローチ手法についての検討
県内立地に当たっての課題解決策の検討 ほか
(開催頻度)2週間に1回程度(緊急案件については随時対応)※知事・副知事に結果報告
○県及び市町村における関係部局の連携体制の構築及び関係機関との連携
企業立地に当たっては、企業の行うべき手続きは多岐にわたり、国、県、市町村の各行政機関が
相互に連携して円滑な操業開始に向けたフォローを行うことが必要となる。県、市町村においてそ
れぞれのワンストップサービス窓口が相互に緊密な連携を行うとともに、必要に応じて国が各ブロ
ックに置く企業立地に係る支援窓口を活用しながら、事業者のニーズに対してきめ細かな対応を行
う。
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○企業立地後のきめ細やかなアフターフォロー
新規の企業立地に対するフォローのみならず、既存の県内事業者に対しても継続的に企業訪問を
行い、新たなニーズや課題の把握に努め、それに対しワンストップで迅速に対応することにより、
次の投資につながるような事業環境の整備に努める。
県においては、企業担当者制度を設け、企業立地担当課の職員がそれぞれの担当企業のワンスト
ップサービス窓口となり、担当企業からの問い合わせや要望事項に対して、自らが企業の立場に立
って関係部局との調整を迅速に行うことにより、県内企業の利便性の向上を図るとともに、新たな
投資ニーズを掘り起こしていく。
10 環境の保全その他産業集積の形成又は産業集積の活性化に際して配慮すべき事項
本県は豊かな自然環境に恵まれ、きれいな自然環境から生み出されるさわやかな空気やおいしい水
は県民に豊かな生活環境を提供している。近年では、この恵まれた環境を活用し、大手企業がミネラ
ルウォーター工場を立地するなど、その自然環境の良さは全国的にも認知されており、県民の貴重な
財産となっている。
企業立地を行う場合は、その地域の自然環境や住民生活と十分に調和の取れた形で進めることが重
要であり、企業立地により地域の安全と平和を害することの無いように配慮する必要がある。これに
より、地域の産業が持続的に発展し大きな集積に成長していくことが可能となる。
○地域の産業集積による治安の悪化や交通事故の増加を防ぐための警察等との連携
企業立地にあたっては、犯罪及び事故を増加させ又は地域の安全と平穏を害することのないよ
うに配慮するため、
次の事項について警察当局や道路管理者等との連携を図りながら進めて行く。
(防犯設備の整備)
事業場付近で地域住民が犯罪被害に遭わないようにするために、
防犯カメラや暗闇を極力作ら
ないための照明の設置等、防犯設備について配慮を行う。
(防犯に配慮した施設の整備・管理)
事業場における植栽の適切な配置及び剪定により、見通しを確保するほか、公共空間や空地が
少年のい集場所等とならないよう夜間柵等を設置する等の配慮を行う。
(交通安全施設等の整備)
工業団地内及び周辺道路について、必要に応じて歩道やガードレールを設置して、歩道と車道
とを分離する等、交通事故防止のための整備を行う。
(従業員に対する法令教育)
従業員に対し飲酒運転等の法令順守を徹底するとともに、
外国人の従業員に対して日本の法制
度について指導する。
(不法就労の防止)
事業者が外国人を雇用しようとする際には、旅券等により、当該外国人の就労資格の有無を確
認するなど、事業者や関係自治体において不法就労の防止に努める。
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(警察との連携)
事業場又は工場の周辺において事件が発生した場合には、事業者は捜査に対して協力を行う
とともに、犯罪又は事故の発生時における警察への連絡体制を整備する。
(地域住民との協力)
事業者又は関係自治体が防犯や交通安全に係る措置をとろうとする場合には、
地域住民と調整
しながら行うとともに、地域住民等が行う防犯ボランティア活動や交通安全活動に積極的に参
加するほか、これに対して事業者は必要な場所等を提供するなどの協力を行う。
○企業立地における自然環境及び住環境への配慮
産業集積を持続的に発展させるためには、産業活動と人間活動が共生する持続可能な社会環境
を実現することが不可欠となる。産業発展と環境保全の両立のため、企業の環境関連の法令遵守
はもとより、次の事項に留意しながら企業立地を行って行く。
(自然環境への配慮)
本計画における集積区域の設定にあたり、国立公園、国定公園、県立自然公園特別地域及び
鳥獣保護区特別保護地区、環境省指定の特定植物群落を除外するとともに、貴重な植生等に十
分な配慮を行うため、自然環境保全地域も区域から除外する。
なお、集積区域内の県立自然公園普通地域において企業立地を行う場合は、自然景観や周辺
の環境保全に十分な配慮を行う。
(住環境への配慮)
企業立地重点促進区域において市町村が独自で工場立地法の緑地面積の緩和を行うための準
則を設定する場合においては、周辺の住環境へ十分に配慮した緑地基準を設定するとともに、
設定にあたっては、地域住民の理解を得ながら行っていく。
(都市計画等との調和の確保)
企業立地にあたっては、都市計画や農業振興地域整備計画等との調和を図り、都市機能の無
秩序な拡散や農林漁業の健全な発展との不均衡をまねくことの無いよう、関係部局と十分な連
携、調整を行いながら進めて行く。
(事業活動に伴う環境負荷の抑制)
産業集積が進むことによる廃棄物の増大や大気・水・土壌に対する環境負荷の増大を抑えるた
め、廃棄物の分別・リサイクルの推進や自然エネルギーの導入促進等について関係部局と連携
しながら取り組む。
(地域住民との調整)
企業立地にあたって、事業活動による大気・水・土壌に対する汚染や騒音・振動及び悪臭等に
ついて、関係部局と連携して未然防止に取り組むほか、地域住民の不安が生じないように事前
に立地計画について十分な説明を行うともに、工場の見学会を行う等、地域住民との調整につ
いて企業と行政が一体となって取り組む。
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11 企業立地重点促進区域における工場、業務用地、研究開発施設、研修施設等の整備が、農用地等として
利用されている土地において行われる場合の、農用地転用等土地の利用の調整に関する事項
該当なし。
12. その他産業集積の形成又は産業集積の活性化の促進に関する重要事項
○事業活動を支えるインフラの整備
企業にとって、電力、通信、工業用水等のインフラは事業活動を行う上での生命線であり、産業
集積を図る上でこれら基盤となるインフラ整備は必要不可欠な重要事項であり、特に次の事項につ
いて関係機関と連携を図りながら進めて行く。
(電力インフラについて)
企業立地にあたっては、必要な電力の供給体制が確保されていることが必須条件となるため、
電力供給事業者と連携して、事業者に対する電力の安定供給と電力供給リスクへ対応していくた
め、電力供給事業者を鳥取県地域産業活性化協議会の委員として迎え、協議会の中で緊密に連携
しながら、産業集積の推進を図る。
(情報通信インフラについて)
事業活動に不可欠な情報通信インフラについて、大容量通信基盤の整備や鳥取情報ハイウェイ
の活用について、通信インフラ事業者や情報政策担当部局との連携を図り、企業の高度情報化を
支援していく。
○集積目標産業を支える人材の確保
産業集積の推進にあたっては、企業のニーズに対応できる人材の育成・確保が重要であり、人材
の育成については本計画の中で様々な事業を行うこととしているが、人材の確保についても、県に
おいて無料職業紹介を行うとともに、求人情報メール配信システムによる県内外の求職者への求人
情報の提供や、ふるさと鳥取県定住機構とも連携してUターン希望者への求人情報の提供を行う。
また、県内の大学、高専、県教育委員会とも連携し、地元への就職を推進するための施策を検討す
るとともに、県外の大学へも積極的に求人情報をPRしていく。
○産業集積における開放性
新たな産業集積を促進する上で、本県に不足している分野についての県外機関との連携による情
報や人材の活用、関西圏や中国地方での広域的な連携は不可欠である。また、国内に限らず、産業
のグローバル化に伴い、海外との連携も重要となっている。
本県においては、その立地条件を活かし、環日本海諸国との連携を図っていく。特に、友好提携
を結んでいる、中国吉林省、ロシア沿海州、韓国江原道との経済交流を深め、それぞれの地域での
産業集積を活かした機能分担による連携や、学術機関の交流、人材育成等での交流を進めて行く。
13 計画期間
本計画の計画期間は計画同意の日から平成23年度末日までとする。
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