結合効率と公差要因/ 解析と設計

Γενεσια
株式会社ジェネシア
結合効率と公差要因 / 解析と設計
光通信用デバイスの設計には結合効率の評価が欠かせない。
CODE Vにはこれらを扱うための機能が実装されている。
この事例発表では、下記を紹介する。
※CODEVに実装されている代表的な機能
※光源の特性が結合効率に与える影響を評価するアイデア
※製造公差が結合効率に与える影響の小さな系の設計アイデア
株式会社ジェネシア
武山芸英
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1) 結合効率の定義
光の波が光導波系(ファイバや光導波路)に入射すると、
その系の固有モードを励振し光が伝播していく。
このときの導波光のパワーと入射光のパワーとの比を
結合効率という
[河野健治 “光結合系の基礎と応用” 現代工学社 1998]
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2) 解析モデルの作成
光学系のモデル化
通常と何らかわりなくレンズを配置すればよい。
= 非球面レンズを用いた対称配置の場合=
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3) アポダイゼーションの設定(光源)
NAO
PUX
PUY
PUI
DIM
WL
REF
WTW
XOB
YOB
WTF
VUX
VLX
VUY
VLY
0.526
0.433
0.588
0.135
M
1310
1
1
0.0
0.0
1.0
0.0
0.0
0.0
0.0
HL1326MFレーザーダイオード
最大強度 I
PUY
PUI
PUX
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4)アポダイゼーションの設定(ファイ
バ)
NAO
PUX
PUY
PUI
DIM
WL
REF
WTW
XOB
YOB
WTF
VUX
VLX
VUY
VLY
0.1875
0.5000
0.5000
0.135
M
1550.0
1
1
0.0
0.0
1.0
0.0
0.0
0.0
0.0
Corning SMF-28ファイバーの場合、
0.03%(1/e8)のNAは0.1875
13.5%(1/e2)のNAは全体の50%
最大強度 I
PUY
PUI
PUX
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5) 結合効率の評価に影響を与える要因
光学系に関する要因
・ 光学系そのものの形状や屈折率
・ 光学系 と ファイバの位置関係
・ 各面の透過率
ファイバに関する要因
・ モードフィールド (半径 / NA)
・ 先端のカット角
光源に関連する要因
・ 放射強度の角度分布
・ 放射強度の軸対称性
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6-1) 結合効率を評価するための機能
CEF コマンド
もともとは光線追跡をベースとした波動光学的な
評価機能。光学系のパラメータ変化と結合効率の
関係を解析できる
BPRコマンドと組み合わせて回折ビーム伝播を
ベースとした評価もできる。
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6-2) CEFコマンドの機能例
受信ファイバーのアライメント解析。
ー
バ
イ
ファ
位置のオフセット
(XDE,YDE,XFO,YFO,ZFO)
角度のオフセット
(ADE,BDE,AFO,BFO)
光線
FLO CMP を使って最適補償位置にセット可能
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6-3) CEFコマンドの機能例
ファイバー研磨角(ウェッジ角)のアライメント解析
光線
ファイバー
ウェッジ角(WDX, WDY)
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6-4) 結合効率を評価するための機能
CEFコマンドの実行例
Coupling Efficiency
ADE:
0.0000 1.0000 2.0000
-------------------------------XDE
-.00300 | .54507 .52936 .48377
0.00000 | .76816 .74489 .67787
0.00300 | .54507 .52936 .48377
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7-1) 光源パラメータの変化に伴う
結合効率の解析
•
実製品では、光学系単体の特性だけでなく、光源との
相性によって、トラブルの生じることがある。
・ 光源の特性変化に対する回折効率の変化を把握する
ことが重要
・ 光源の特性: codeV表現では NA , PUX , PUY , PUI の
変化に対応
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7-2) 光源パラメータの変化に伴う
結合効率の解析
== 解析マクロの実例紹介 ==
・ 光源の特性変化を感度表として出力するマクロ
・ 光源パラメータ L (NA,PUX,PUY,PUI)のそれぞれを
順次微少量だけ変化させ、その時得られる結合効率Eの
変化率を表にまとめて出力する。
Aij = ∂Ei/ ∂Lj
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7-3) 光源パラメータの変化に伴う
結合効率の解析
== 実験との対応付け ==
・ .intファイルを利用した実機解析
ビーム特性測定機
放射強度の角度分布
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8) TORコマンドによる結合効率の公差解析
MPRコマンド
・ 光線追跡ベースの公差解析機能(TOR)に結合効率を
指定できるようになった。
・ ファイバと、ファイバへの入射光の振る舞いを解析する
ための強力なツールといえる
・ しかし、光源の特性変化を公差として扱うことはできない。
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9-1) ユーザ定義公差解析マクロ
TOLFDIF による解析
TOLFDIFマクロ(有限差分法による公差解析)
デフォルトでは下記4本で構成されるORA社提供のマクロ
•
•
•
•
TOLFDIF : ドライバマクロ
TOLCHNG : 光学系にパータベーションを与えるマクロ
TOLSPOT : 評価関数としてスポットダイアグラムを与えるマクロ
TOLCOMP : コンペンセータをシミュレートするAUTシーケンス
→ TOLSPOTマクロは内部で SPOコマンドを実行し、その結果をワーク
シートバッファとグローバル変数経由でTOLFDIFに送っている。
→ SPOの変わりにCEFを使い、同じ変数経由でドライバマクロに結果
を返すことで、結合効率を公差解析の対象として利用できる。
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9-2) TOLFDIF による解析
"光源パラメータを公差として取り扱うためのテクニック"
・codeV デフォルトでは、光源パラメータ PUX,PUY,PUIを
公差として指定できない。
・何とかして光源パラメータを公差に指定できないか?
・TOLCOMPはTOLFDIFと組み合わせて使うことで、任意の
コンペンセートを表現するためのAutoシーケンスである。
・これを利用して、光源に関する公差解析を行うことを考える
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9-3) TOLFDIF による解析
~ビームパターンを変更するための基本アイデア~
・光源パラメータを直接
変換することはできない
・理想光学系(MOD)を光学系
の内部に配置し、その
特性を利用して光源の
パラメータの変換と等価な
作用をさせる。
・具体的には;2組の理想
レンズ系でアフォーカル系を
モデル化し、その拡大率を
適切に調整することで、
ビームパターンを変換する
最大強度 I
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9-4) TOLFDIF による解析
~アフォーカル系の定義に関する注意事項~
•
•
•
•
入射側の理想レンズは平行光を出射するようにあらかじめセットする
出射側の理想レンズを入射側と同じ仕様で定義
等倍系として収差が発生しないように、MRDを設定
開口の指定は NAO で行うことがポイント
RDY
INFINITY
INFINITY
THI
3.000000
0.000000
> OBJ:
1:
MOD:
MFL:
MFF:
MED:
2:
3:
4:
MOD:
MFL:
MFF:
MED:
3.000000
-3.000000
1.000000
INFINITY
INFINITY
INFINITY
MRD:
MBF:
MFD:
1.00E+10
3.000000
0.000000
0.000000
1.000000
0.000000
3.000000
-3.000000
1.000000
MRD:
MBF:
MFD:
1.00E-10
3.000000
0.000000
5:
INFINITY
3.000000
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9-5) TOLFDIF による解析
~アフォーカル倍率の変換の程度を制御する方法~
出射側の理想レンズ直後の面間隔を公差として指定
出射側の理想レンズの焦点距離を設計パラメータとして指定
上記2つの量が TOLCOMP によって補償される
アフォーカル倍率(入射・出射側の理想レンズの焦点距離の比)で
光源パラメータが変化したのと同様の効果が得られる。
•
•
•
•
•
4:
5:
INFINITY
0.000000
MOD:
MFL:
3.000000
MRD:
1.00E-10
FLC:
0
RDC:
100
INFINITY
3.000000
CODE V> dlt s5 f 0.5
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9-6) TOLFDIF による解析
~ TOLCOMPによる補償の効果 ~
MFL s4 3.0
MFL s4 3.5
THI s5 2.5
NA=0.43
MFL s4 3.0
MFL s4 3.0
THI s5 3.0
NA=0.50
MFL s4 3.0
MFL s4 2.5
THI s5 2.5
NA=0.60
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10-1) 自動設計
~回折効率を設計目標とした自動設計~
・ CODE V の現行バージョンは、設計目標として回折効率を
指定できる。
・ このオプション(MPR)を使うと設計中、ダイレクトに
回折効率を取り扱える。
→
この機能を使って、光学パラメータの変化(公差)に
起因する回折効率の劣化が小さな系を設計するための
アイデアはないか?
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10-2) 自動設計
~製造誤差が回折効率に与える影響を最小化するためテクニック~
・ ズーム機能を使って、あらかじめ公差を与えた系を複数定義しておく
・ この状態でautを実行することで、ズームポジションに渡って
良好な特性をもった光学系の設計ができる。
・ 広角レンズを設計する際、軸上だけでなく、仕様で必要とされる
入射光線傾角についても同時に設計するのに似ている。
・ 条件によっては、ドラスティックな設計形状の変化が認められる。
設計形状が見かけ状、似ていても、公差が大きく違うことは多い。
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11) まとめ
・ CODE Vには、光通信用レンズの設計/評価の全ての開発工程に
おいて、結合効率を取り扱うための機能が実装されている。
・それらは単にレンズパラメータを扱うだけでなく、ファイバ系の特性を
踏まえた解析におよんでいる。
・これらの実装済機能に加えて、さらに光源のパラメータ変動を
解析するための手法について示した。
・また、製造公差が結合効率に影響を与えづらい光学系の設計手法に
ついて示した。