本物のお金、商品を扱い、 本当の仕事と真剣さを学ぶ、 「広商デパート」

広島県
広島市
中国地域起業家教育事例集
〒730-0847 広島市中区舟入南6-7-11
TEL082-231-9315
http://www.hiroshima-ch.hiroshima-c.ed.jp/
実施期間/場所
広島県立広島商業高等学校
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本物のお金、商品を扱い、
本当の仕事と真剣さを学ぶ、
「広商デパート」
毎年12月第2土・日曜日
同校グラウンド、体育館、武道場
対象児童・生徒
約900人
協力機関/団体/企業
「行列 限定」
事業概要・目的
企画開発
広商生麺。広商
目玉商品。
広
鳥 島
取
広
鳥 島
取
「キャリア教育日本一」の目標を掲げ、実践的なビジネス教育を展開する広島県立広島商業高等学校が、全校
挙げて取り組む最大行事が「(模擬)株式会社広商デパート」だ。「本物が学べる広商デパート」を基本コンセ
プトに、お金、顧客、商品のすべてにおいて本物を扱うことで真剣さを学ぶねらいで開かれている。年ごとに新
創意工夫
生
出展
体育館
中
。中央
、広商生麺 求
長
行列
。
たな指針を加え、現在では「商業の基礎的、基本的な技術を生かし、専門性を高める」「組織マネジメント能力
+3P(プロデュース・プレゼンテーション・プランニング能力)を身につける」などがその主な目的だ。
広商デパートは、一般企業と同じように商品の仕入れから販売、決算報告まですべてを生徒が行う。平成4年
根
根
が実質運営を取り仕切るポジションとなる。各クラスは売り場を担当し、1クラスで1つの店舗を運営する。クラ
島
島
に全校生徒が1株1,000円を出資する模擬株式会社となり、毎年6月の株主総会で選出される代表取締役、執行役員
スが一致して店舗運営に取り組むことで、生徒は全員が協力してそれを成功させようという意欲を持つことがで
き、広商デパートという本物の会社体験を通して、将来につながる生きる力や自立の力を身につけている。
内容・プログラム
山
山
広デパ の愛称で親しまれている。1クラス1店舗を原則とし、生徒の中から社長を決めるなど、模擬会社形式
岡
岡
毎年12月に2日間開催される広商デパート。昨年度で25回目の区切りを迎えた伝統の行事で、広島市民から
毎年1月末
で運営されている。組織構成は、営業、管理、企画本部を中心に、営業部、財務部、総務部、販売促進部の4つ
の部門を設け、第22回実施から、法人設立届、青色申告の承認届(消費税課税事業者届出書)を税務署に提出
し、模擬とはいえ、税金を負担し、運営している。クラス全員で業務を分担する。
広商デパートに向けての事前学習や準備は、1年生はロングホームルームを活用して行い、2年生は「課題研
コメント
高齢者 明
試食
生徒
。
商業科教諭
聞くという姿勢を取り入れることこそ、
キャリア教育のスタートの第一歩。
もちろん商業高校の教員ですから、分かっているつもりで生徒に教鞭を振るっ
い合わせやリストアップの意思表示が4社からあった。これまでは、販売することや完売することに重点が置か
ていますが、実際のところ自らの生活のために、商品を仕入れてそれを販売する
だひとつの結果だ。広商デパートは年々盛大さを増しており、広い校内が食料品や衣料品、小物雑貨など各クラ
スの出展ブースで埋め尽くされ、生徒のはつらつとした接客ぶりを楽しみに毎年足を運ぶ人も少なくない。
ている。これは、いかに消費者を自分の店舗に呼び込むかを考えるのをテーマにした、生きた営業を学ぶ試み
だ。また、広商デパートで有名なのが、広商オリジナルラーメン。平成17年に生徒が企画開発し、翌年、「広商
生麺(ひろしょうイケめん)」として商標登録された、今では広商デパートに欠かせない人気商品となっている。
POS
。
参加者の声
●
「役員のみんなとひとつになって準備
にあたったことや、来賓の方々を案内し
て会場を回ったことなどが楽しい思い出
として残っています。反面、自分の思っ
たとおりに段取り良く準備が進められな
という経験を私はしたことがありません。広商デパートの活動を通じて、ある企
いといった、たいへんな思いもしました。
業の方からこんなことを言われたことがあります。
「先生方は余った商品を返却
特に 2007年度は全体的に準備が遅れた
すればことが済むが、私たちは命をかけてこの商品を仕入れているんだ」
、と。
こともあって、開催日が迫るのに焦りな
この言葉はとてもこたえました。私はそこまでのことを生徒に伝えきれていな
がら準備に追われたことが懐かしく思い
かったんですね。でも、一気に肩の力が抜けた気もしました。
いくら頭で考えてみたところで、それは経験で養われる感覚とは異なります。
分からなければ分からないで良いのではないでしょうか。聞けばいいのですから。
出されます。仕事は決して自分一人で成
し得ることではなく、周囲の協力あって
口
口
年10月から11月にかけて、近隣商店街の空き店舗に「広商スピリットSHOP」と銘打った期間限定の支店を開い
披露目
山
山
広商デパートは学外に支店を持つ。空き店舗を活用した販売実習として平成15年から始まった取り組みで、毎
、
来場者
川崎浩三氏
と同数の約26社程度の参加企業が固定化されていたが、昨年度はホームページで新規企業の参入を呼びかけ、問
れていたが、データに基づく分析や地域の要望に応えられる学習の場にしようとする生徒主導の経営戦略が進ん
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前 、来場
「体験学習発表会」。今年
常設店舗 設置
島
島
ラスの取り引き先が決まった後、個々に出店に向けた準備活動がスタートする。仕入れ先企業は従来、クラス数
水産加工品 取 扱
開
、校内
広
広
究」、3年生は「総合実践」の時間を当てる。7月に仕入れ先企業のプレゼンテーションがあり、決定会議で各ク
合
こそ初めて成り立つものだと教えられ、
社会に出てから必要となる礼儀やマナー
挑戦する気概は大いにあって結構ですが、何でも自分たちでやろうとするのでは
などを広商デパートから学ばせてもらい
なく、分からないことは周囲に問うてみる。本校と同様の取り組みを始めようと
ました」
(2007年度代表取締役)
する学校があれば、そこから始めれば良いスタートを切ることができるはずです。
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