東京湾奥調査 江戸川放水路のハゼ2014年春へ

空堀川調査の翌日、東京湾奥のハゼの放射能調査を実施するため、
千葉県行徳の江戸川放水路へいってきました。
ここのハゼの調査は3年目になります。
今回調査を実施した江戸川放水路は、東京湾でも少し特異な場所です。
江戸川放水路の正式な名称は、『江戸川』です。
しかし、昔からの江戸川の流路は旧江戸川のほうで、江戸川放水路は洪水を防ぐために人工的につくられ
ました。
放水路がある一帯は、かつては陸続きの土地でした。
江戸川放水路の建設は、明治 44 年に着工され、大正9年に完成しました。
そして、放水路開削を含む江戸川改修事業全体は昭和5年に竣工しました。
東京湾岸一帯から干潟が姿を消していくなかで、放水路の干潟は今も健在です。
江戸川放水路の干潟は、新浜干潟・谷津干潟と並んで、東京湾奥に残された貴重な干潟になりました。
江戸川放水路は、行徳橋のところにある堰(行徳可動堰)によって、江戸川本流と仕切られています。
この堰は普段は閉じられており、そのため放水路と江戸川本流の間には、水の行き来がほとんどありませ
ん。
放水路は、実質的には東京湾だけに開口している入り江で、放水路の水は東京湾の影響を強く受けていま
す。
しかし、堤防から浸出する雨水や、可動堰の通水口を通して流入する江戸川の水の影響もあります。
江戸川放水路の環境は、汽水(海水と淡水がまじった状態)の環境ということができます。
3.11 の東日本大震災依頼、大水によってこの堰が開かれることがなく、
ここの生き物達は奇跡的に旧江戸川を含むこのエリアの放射能汚染から影響をうけることなくすごすこと
ができてきました。
ご存知のように旧江戸川や荒川の河口付近では、上流からの汚染土により放射線量が上昇を続けていま
す。
しかし、この場所だけは、春先に実施した放水路河口から三番瀬の干潟のアサリ、ホンビノス貝の放射
能調査の結果が示すように、三番瀬と堰によって福島第一原発の事故由来による放射能汚染から免れてい
たようです。
そして、今年も梅雨の季節とともにこの場所にハゼつりのシーズンがやってきました。
ハゼです。
とても愛嬌のある。可愛い顔した魚です。
今年は水温の関係からか、少しだけ生育が遅いようです。
でも今回は3cm 位のデキハゼ(今年生まれたハゼ)から、18cm のヒネハゼ(越冬をしたハゼ)まで、180 匹
ほどのハゼを捕獲し、測定をすることができました。
それでは測定結果です。
今年もハゼ達は大丈夫だった様です。
測定は福生のオーロラさんに御願いしましたが、
AT1320A で3時間測定し、Cs137 下限値 3.7、Cs134 下限値 3.5Bq/kg で、検出下限以下です。
662kev 付近にも怪しげなピークは見られません。
今年もきっとたくさんのハゼ釣りを楽しむ子供達でにぎわうことででしょう。
江戸川放水路のハゼボートをレンタルしているボート屋さんです。
今年もたくさんつれるといいですね。
放水路河口の潮干狩りとともに、今この時期に安全に東京湾の自然を楽しむことのできる非常に貴重な場所とし
て、
私達はこれからも江戸川放水路から三番瀬を見守って行こうと思います。