イタリア、スイス、フランスのプレミアトレイン8日間の旅

∼∼∼レイルエキスパート研修チケットを利用して∼∼∼
☆スケジュール 2003.10.29∼11.5 8日間
利用列車
1
10/29
(水)
空港直通列車
2
10/30
(木)
3
10/31
(金)
4
11/1
(土)
5
11/2
(日)
6
11/3
(月)
7
11/4
(火)
8
11/5
(水)
ES*9480
CIS36
TGV6572
RER
ES9037
スケジュール
成田空港(11:30 発)より JL5063(AZ785)便にて出
国、ファウミチーノ空港へ(17:10 着)
到着後、空港直通列車にてローマ・テルミニ駅へ
利用ホテル MASSIMO D’AZEGLIO
終日ローマ市内観光(地下鉄利用)
トレヴィの泉、パンテオン、サンピエトロ寺院、サン・
パオロ教会、コロッセオなど
利用ホテル MASSIMO D’AZEGLIO
ローマ・テルミニ駅(09:03 発)よりイーエススター
にてミラノ・中央駅(13:40 着)へ
PM:ミラノ市内観光(地下鉄利用)
利用ホテル UNA CENTURY
出発までミラノ市内観光(主に地下鉄)
ドゥオモ、スフォルツェスコ城、スカラ座など
ミラノ・中央駅(18:10 発)よりチザルピーノにてジ
ュネーヴ・コルナヴァン駅(21:55 着)へ
利用ホテル CORNAVIN
AM:ジュネーヴ市内観光(レマン湖周辺散策)
ジュネーヴ・コルナヴァン駅(12:57 発)より TGV
にてパリ・リヨン駅(16:25 着)へ
利用ホテル MERCURE GARE DE LYON
終日パリ市内観光(地下鉄利用)
ノートルダム寺院、エッフェル塔、凱旋門、ルーブル
美術館など
利用ホテル MERCURE GARE DE LYON
AM:パリ市内観光(ヴェルサイユ宮殿)
パリ北駅(14:43 発)よりユーロスターにてロンドン・
ウォータールー駅(16:28 着)へ
地下鉄にてヒースロー空港へ
ヒースロー空港(21:00 発)より JL404 便にて帰国
の途へ
∼∼∼機中泊∼∼∼
成田空港(17:50 着)
AIR JL悟空を利用
HTL ローマ MASSIMO D’AZEGLIO(テルミニより徒歩3分)
ミラノ UNA CENTURY(中央駅より徒歩5分)
ジュネーヴ CORNAVIN(コルナヴァン駅より徒歩1分)
パリ MERCURE GARE DE LYON(リヨン駅より徒歩1分)
☆旅の目的
鉄道マニアというほどではないが、性格が流行りモノ好きなので、特に人気のある列車に
乗りたいという願望を以前より持っていた。折角ある程度身についたヨーロッパの鉄道知
識を実際の乗車体験をすることで、より細かく正確な生の情報として生かすため、今回の
特典を利用。ユーレイルパスとユーロスターチケット両方を利用することで、わずかな追
加料金でプレミアトレインに乗れることが出来、非常に有意義な時間を過ごすことが出来
た。
☆駅の状況
ファウミチーノ駅
空港の到着ロビーの税関を出て、左に曲がり、鉄道のマークが書かれている案内標識に従
い進んでいくと連絡通路に出る。約5分でチケット売り場に到着。ほぼまっすぐなのでほ
とんど迷うことはない。
ローマ・テルミニ駅
巨大で近代的な駅。特に空港からの直通列車は端の方に到着するので駅を出るだけでも時
間がかかった。但し、五百人広場の出口方面へは列車到着後、進行方向にまっすぐ行くだ
けなのであまり迷うことはない。途中カフェやバール、観光案内所、大きな書店もありと
ても便利。しかし常に人が溢れているので身の回りの持ち物には細心の注意が必要。
ミラノ・中央駅
いかつい外観のここも巨大な駅である。プラットホームは2階にあり、1階には切符売場
やスーパーなどがある。ここのスーパーは夜遅くまで営業しているので鉄道利用者には便
利。ここも常に人が溢れており、物乞いの姿も見受けられた。駅前の広場ではスケートボ
ードに熱中する若者が多く、通行の邪魔になっていた。
ジュネーブ・コルナヴァン駅
規模はこじんまりしているが、売店やレストラン、両替、インフォメーションもあり駅の
機能としては充実している。TGVの乗り場はちょっと離れていて、流石に人気列車だけ
あり、出国手続きの際に長蛇の列が出来ていた。ただ列の流れはスムーズ。案内ボードが
あったが自分が乗る列車の案内が出るのが遅かった。
パリ・リヨン駅
トレードマークは大きな時計。ジュネーブからの列車は遠くに着くらしく、出口まで結構
な距離があった。RERや地下鉄とも連絡されていて他の場所への移動にも便利な立地。
ただタクシー乗り場にはいつも長い列が出来ていた。スペインからの国際列車やフランス
南西部からの列車が発着するオーステルリッツ駅はセーヌ川対岸にあるので徒歩での移動
も可能。
パリ・北駅
外観の歴史的な建物から比べると内部は近代的な作り。ユーロスター乗車には専用の乗車
口があり、専用の待合所もある。国際列車が多く発着するだけあり、海外の鉄道マニアに
は垂涎ものの光景。RER、地下鉄とも連絡されている。東駅もすぐ近くにある。
ロンドン・ウォータールー駅
入国案内も分かりやすく、審査も長い列の割にはスムーズだった。多くの地下鉄ラインが
乗り入れているので各方面への移動が可能。
☆列車の感想
ES*(イーエススター)
(ローマ∼ミラノ間)
今回利用した列車の中で最も良かった列車のひとつ。車両も綺麗でシートも清潔感に溢れ
ていた。今回乗車した1等席は座席の幅も足元のスペースも充分な広さだった。飛行機で
は珍しくなくなった外観のペイントが車両にされていて感動を憶えた。私が乗車した車両
にはアルプスの風景が描かれていたが、ちょっと前に発車した車両にはひまわりが描かれ
ていた。乗車するとすぐに飲み物、新聞のサービスあり。車内アナウンスもイタリア語の
後、聞きやすい英語でのアナウンスあり。ただ私の乗った列車もちょっと前に出発した列
車も定刻より10分近く遅れて出発した。ガイドブック等によればよくあることらしい。
チザルピーノ(ミラノ∼ジュネーブ間)
前日に乗車したイーエススターに比べると外観は地味な印象を受けたが、デザインは高名
な方がしたらしい。本当は昼間の列車で車窓からの風景も楽しみたかったのだが、今回は
スケジュールの都合で夜の便を利用した。この希望は次回の旅のためにとっておくことに
する。乗車後間もなく車内検札あり。チケットとパスポートを見せ、難なく終了。これで
スイス入国手続きも終わりなのかな?と思うほどあっけない。
TGV(ジュネーブ∼パリ間)
ジュネーヴ駅では乗車前の出国手続きの際、結構長い列が出来ていた。イメージしていた
車両より実際は汚れが目立った。座席は広く、ゆったりしているのだが古い車両のためか、
シートのほころびや壊れている部分が気になった。但しこの点は今回利用した車両がたま
たま古かった可能性も高い。リヨン駅に着いたとき隣に停車中の車両を見たら新しそうだ
ったので・・・。車内アナウンスはフランス語の後、英語であったのだが聞きづらかった。
しかしユーレイルパスの保有者がパスを使ってこの路線の座席予約券を購入するときのプ
ラス料金が US$11 の安さには驚いた。この金額でTGVに乗れると思うと上記に挙げた
ような欠点は小さいことに思えてくる。
ユーロスター(パリ∼ロンドン間)
専用の乗車口に入ったところで既に他の乗客との差を感じる。ナンダカちょっと得意気分。
チケットを見せ、フランス出国審査官に日本語で「コンチハ」と挨拶された。こっちも嬉
しくなり、「ドーモ」と挨拶をする。待合所にはテレビモニターで案内が出ていたので分
かりやすかった。乗車時間になり、列車に行くと入口付近に女性の乗務員が待機していた。
チケットを見せるとにっこり微笑み「右側の席で荷物はあそこへ」とやさしく案内してく
れた。彼女は私の目にはメグ・ライアンに映った。PM3時前の列車だったのでアフタヌ
ーンミールが出ることは知っていたがあんなにしっかりした食事だとは思わなかった。乗
車前に軽い食事をすませていた私はこの食事を平らげるのに苦労した。しかもデザートの
タルトを食べ終わった直後にまたメグ・ライアンがやってきて、私のプレートに再びタル
トを置こうとする。「もうお腹一杯だよ」と言い、断っても笑顔で置こうとする。そんな
やりとりのお陰で車内は楽しく過ごせた。雑誌、新聞も豊富にあり、かなり快適だった。
☆旅を終えて
8日間、4つのプレミアトレインを乗車し、思ったのはやはり時間の有効利用だった。
今回プレミアトレインを使った路線はいずれも飛行機を使えば約1時間で移動できる距離
である。しかし、ジュネーヴ以外の都市ではいずれも空港までの移動時間を1時間かそれ
以上は取らねばならないだろう。空港でのチェックインの時間も鉄道より余計にかかる。
そうすると市内から空港までの往復移動時間、空港での待機時間、実際の搭乗時間を足す
と、鉄道での移動時間よりかかってしまうのがほとんどだ。
今回はいずれの都市でもホテルを駅より歩いて5分以内のところに予約しておいたので
各都市に着くとすぐにホテルへ荷物を置き、身軽な状態になれた。そのため各都市の見ど
ころをいきなり観光することが出来た。しかも列車に乗っている時間を次の都市の下調べ
に充てることが出来たので、時間のロスがほとんどなかったように思える。今回は幸いに
もユーレイルパスとユーロスターの1等を手配してもらったお陰でホテル代を節約したに
も関わらず非常にグレードの高い旅行をした気分になれた。
最近はFIT旅行が進み、AIR(各航空会社のマイレージ特典や正規割引料金の普及
のため)やHTLを自分で手配する消費者が増えてきた。当然旅行先の移動もタクシー、
バス、地下鉄と選択肢が増えてくる。比較的海外での鉄道利用はまだハードルが高いよう
に思われているが、日本の鉄道利用と変わらない、いやヨーロッパにおいてはそれ以上に
使いやすいものだと再認識することが出来た。
しかしハードルを高くしている要因は駅での案内標識、出発アナウンス等に日本語での
情報提供がほとんどされない点だと思う。多少なりとも英語を理解できる人にはいいが、
それが無理な人にいきなり鉄道旅行を勧めるのはやはりいくらかの抵抗がある。特に英語
圏以外では簡単な単語でも全く意味がわからず大変な苦労をすることにもなりうるからだ。
そこで日本で発券するチケットだけにでもユーレイルトラベラーズガイドに記載されてい
るような『鉄道の基本表現』をチケットカバーの裏表紙とかに印刷できないだろうか。こ
こに掲載されている簡単な単語だけでもすぐに意味が理解出来れば心強いはずだ。またユ
ーレイルパス保有者やユーロスター1等チケット保有者など、ある一定条件以上の購入者
に対し、ボーナス特典として日本語での問い合わせが出来るデスクを設けてはどうか。ヨ
ーロッパの現地オペレーターが日本語対応デスクを設けているの現状を見ればそれほど大
変なことではないように思えるがいかがだろう。
今回の旅で私が知り得た情報はまだ僅かなものである。胸を張って「自分はヨーロッパ
鉄道販売のプロであるレイルエキスパートだ」と言うにはちょっと抵抗がある。まだまだ
情報の蓄積、経験が必要であるが、確実に今回の旅行は私の血肉となった。いかに正確な、
有意義な情報を消費者に提供できるか。旅行会社としての存在価値を改めて問われ、旅行
会社自体も自然淘汰されつつあるこの時代に、レイルエキスパートという資格が広く認知
され、消費者が旅行会社を選ぶ判断基準のひとつに「レイルエキスパート」がなればいい
と思う。
パトスツーリスト 金井幸夫