作品集 - 一般社団法人buildingSMART Japan

Build Live Tokyo
2009
作品集
BIM Today & Tomorrow
Build
Live
Tokyo
2009
はじめに
の
全貌
Build Live Tokyo 2009 における 3 次元敷地モデル
るBIMStormイベントで ある。BIMStorm
London Live 2009では、IAI日本がリーダを
は、
これまでボストン、
ロッテルダム、
ロンドン、
バ
務めたTeam BIM Japan が世界各地から
2009 年は日本におけるBIM 元年であると呼
ンクーバー、
オスロ等、世界中の都市を舞台と
参加した10 チームと競い合った結果、最優
ばれている。IAI(buildingSMART)
は1995
し、24、48 時間という短時間でBIMを活用し
秀賞を獲得して日本のBIM 活用水準の高さ
年の設立より、建物のライフサイクルを通して
様々な設 計 課 題に挑 むという、世 界 中の
を確認することが出来た。
利用するソフトウェア間でデータ連携を可能
BIMに関わる設計者・技術者が集うイベント
BLTにおいては、開催の数週間前から開催
にするためのBIMデータ標準の確立を目標
となってきている。
告知や事前情報が公式ブログで徐々に公開
に、3 次元建築オブジェクトモデルデータ標準
2008 年 6月にロンドンのテムズ川地域が舞台
され、最終的に3 次元敷地モデルデータが
のIFC(Industry Foundation Classes)策
となったBIMStormイベントBuild London
IFC 形式で参加チームに提供される。そし
定を行い、
その普及促進活動を行ってきた。
Live 2008において、IAI日本 が 結 成した
て、
チーム参加者だけでなく観戦者登録を行
IAIの当初の目標であるIFC 策定は、ISO 化
Team BIM Japan が日本 から初 挑 戦をし
えばデータ共有サイトへのアクセス権が入手
が目前となった今ほぼ達成されたと言ってよ
た。海外のBIMStorm 参加には、言語や時
でき、提出されたBIMモデルデータやシミュ
い。IAIの活動は標準化から実用化推進へ
差の壁があるため、国内においてBIM 実践
レーション結果などの様々なデータを見ること
と軸 足を移し、IFCを活 用したオープンな
の場を提供することを目的として、IAI日本に
が出来る。また、BLTの事前勉強会開催や、
BIM 普及のため国内外で様々な働きかけが
Build Live Tokyo 準備組織が結成された。
BIM サービスプロバイダ制により参加チーム
試みられている。その一つが今回取り上げる
2009 年 2月に初のBuild Live Tokyo 2009
が様々なBIMシミュレーションを体験できるよ
バーチャルBIMコンペ
「Build Live Tokyo」
(BLT2009)が開催となり、
日本のBIM 活用
うにするなど、BIM 普及にむけた様々な独自
である。
最前線が公開されて、各方面で大きな反響
の仕掛けを提供している。これまで、流体力
今 回 は、Build Live Tokyoの 全 体 像 およ
を呼んだ。また、2009 年 9月にはBuild Live
学シミュレーション、
日影シミュレーション、3Dプ
び、2009 年に2 回行われた同コンペに参加し
Tokyo Part2(BLT2009-II)が開 催され、
よ
リンタ出力など、様々なBIMソフトウェアベン
た各チームの生の声を以下に紹介し、
これか
り多くのチーム・観戦者が参加することとなっ
ダーが BIM サービスプロバイダとしてBLTに
らBIM 活用に取り組もうとしている方々の情
た。そし て2009 年 12月に 行 わ れ たBuild
参加している。
報源、
そして気づきの機会となることを期待し
ている。
Build Live Tokyo 全体イメージ
Build Live Tokyo 概要
Build Live Tokyoとは、IAI日本が主 催 す
るBIMの普及展開を目的とした架空の設計
コンペティションである。48 時間という限られ
た時間の中で、IFCを活用して様々なBIM
ツールを連携するBIMプロセスを体験すると
ともに、
インターネット上で複数の会社が BIM
プロセスをコラボレーションし、
その成果をイン
ターネットによって公開することが Build Live
Tokyoの特徴である。
Build Live Tokyoの原型となったのは、
アメ
リカ・カルフォルニアを本拠とするBIM エバン
ジェリストといわれるKimon Onuma 氏率い
るOnuma.Inc. が 2007 年後半から行ってい
01
Build Live Tokyo
2009
Build Live Tokyo 2009
Build Live Tokyo とは
■
■
IAI 日 本 が 主 催 す る BIM(Building Information
■
BIM におけるコラボレーションの重要性をデータ
Modeling)普及推進のためのインターネット上で
連携の実演で実証する。そのために BIM データと
行われる仮想設計コンペティション。
して IFC 形式の提出が必須。
参加チームのコラボレーションの様子をインター
■
ネットに よりライ ブ で 公 開し、参 加 者・見 学 者 に
48 時間内にモデリングから解析、シミュレーション、
プレゼンテーションまでを行う。
BIM の威力を体験させ気づきの機会を提供する。
Build Live Tokyo 2009
期 間
設計課題
参加チーム
2009 年 2 月 25 日の正午から 2 月 27 日までの 48 時間
「環境技術研究センター」
東京ベイエリア(豊洲)架空埋め立て地
SKUNK WORKS
BIM グランプリ賞 獲得
リーダ 綱川 隆司氏(前田建設工業)
メンバー 5社/25名
the BOMb
ベストコラボレーション賞 獲得
リーダ 伊藤 久晴氏(Revit User Group)
メンバー 20社/36名
V-SPEC
デザインイノベーション賞 獲得
リーダ 山際 東氏(BIM Architects)
メンバー 7名
Team Skunk Works の案
Hokutosei
IFC データ連携賞 獲得
リーダ 村上 隆三氏(福井コンピュータ)
メンバー 5社/12名
Team Archi-TEKLA
る。各チームとも、様々な構成メンバーや人数に違いがあった
ベストパフォーマンス賞 獲得
が、
どのチームも単なる3Dモデリングではなく、BIM2.0の特
色ともいえる様々な解析・シミュレーションソフトウェアとのデー
リーダ 大脇 茂弘氏(三菱重工)
メンバー 2名
LEI
BLT2009は、
日本におけるBIMのトップランナーが集い、
そ
の能力を公開の場で明らかにする最初の機会となったといえ
タ連携を実施し、BLT2009を企画したIAI 関係者の想像を
BIM アカデミー賞 獲得
リーダ 許 雷氏(東北工業大)
メンバー 8名
上回る日本のBIM 水準の高さを見せてくれた。
BLT2009に関する概要は、BLT2009 公式ブログに掲載さ
れているが、
より詳細な情報を知りたい方は是非 IAI日本に
入会してほしい。
Build Live Tokyo 2009 においてデータ連携に活用されたソフトウェア
意匠設計
設備設計
構造設計
BIM 設計支援
Revit Architecture 2009
意匠モデリング
ArchiCAD12
意匠モデリング
GLOOBE(Aegis)
意匠モデリング
STAAD Pro.
FEM 構造解析ソフトウェア
AutoCAD 2009
2D 図面作成
ASCAL
構造解析
解析・シミュレーション
ADS-win
逆日影計算
Building Shadow Calculation
ボリュームチェック
JW-CAD for windows
2D 図面作成
WindPerfect
三次元熱流体解析ソフトウェア(CFD)
CADWe'll Tf@S2007
設備設計
FLOW Designer 5
三次元熱流体解析ソフトウェア(CFD)
Revit MEP
設備モデリング
STREAM
三次元熱流体解析ソフトウェア(CFD)
Tekla Structures
構造モデリング
サーモレンダー
温熱解析
PDS / Microstation
構造モデリング
IES
熱負荷計算
Virtual Building Explorer
3D モデルビューワ
INSPIRER
輝度・照度解析
SketchUP
建築モデリング・モデル統合
Dimension
3D プリンタ
3D プリンティング
IFC Model Exchange for Visio セキュリティプランニング
ZPrinter
3D プリンタ
ViXAM for Visio(仮称)
BIM データ変換
Magics
3D プリンター入力データ前処理
ViXAM Viewer
BIM 可視化・プレゼンテーション
3ds MAX Design 2009
ビジュアライゼーション・ムービー
ビジュアライゼーション
RIKCAD21
エクステリアモデリング
TMPGEnc 4.0
ムービー製作
NavisWorks 2009
モデル統合・干渉チェック・レビュー
PhotoshopCS2
画像編集
Google Earth
BIM 可視化・プレゼンテーション
BLT2009 公式ブログ http://bltokyo2009.seesaa.net/
02
Build Live Tokyo 2009
プロフェッショナルなBIMワークフローの実践
透明性・信頼感のある技術力で
BIMプロセスを展開
前田建設工業株式会社
実務で積み重ねた経験と技術で
48 時間の極限状況に挑戦
否かという点も悩みましたが基本設計で求
上野雅史 南健太郎 山城正徳
チーム「SKUNK WORKS(スカンク・ワー
にしました。通常の業 務であれば最 速で
廣瀬勇 三木文枝
クス)
」
は、
前田建設工業の建築設計部門を
2 週間程度必要と思われるボリュームです
[構造] 久村明子 渡邉寛也
中心にリック、
グラフィソフト、
テクラ、アド
がこれを複数の人間が複数の場所で同時
[設備] 稲垣利行 松尾聡
バンスドナレッジ研究所の総勢 25 名が、
日
並行で作業を行い 48 時間まで圧縮しなけ
常の設計業務をこなしながら参加しました。
ればなりません。開始までは工程表とにら
前田建設工業では 3 次元 CAD 活用は 9 年
めっこの時間が続きましたがこれはコンカ
と歴史があり、
実務の中で意匠・構造・設備
レントエンジニアリングの究極ではないで
の 3 次元データを統合することは、
以前から
しょうか。
[意匠] 綱川隆司 瀧田由美子
部谷隆弘
[CG] 吉田美夏 石川高志
[解析] 鍛治本健一
[施工] 播磨裕次 東間敬造
[広報] 岩坂照之
められるアウトプットは網羅するという方針
行ってきましたがそれが BIMという言葉に
変わった今日、自分たちの力が業界の中で
株式会社リック
どの様なポジションにあるのか力試しをし
[ランドスケープ] 奈村康裕 森林太郎
穴澤麻衣子
たい、というのが参加を決めた大きな理由
です。
[広報] 石田卓也
グラフィソフトジャパン株式会社
[データ連携] 志茂るみ子
CG アニメーション
意 匠・構造・設 備の連 携に加えて、今 回は
テクラ株式会社
RIKのランドスケープデータ統合と環境解
[構造] 関戸宏幸
株式会社アドバンスドナレッジ研究所
[解析] 筒井正人
(順不同)
03
48 時間で本当に設計できるのか
極限状況下でのブレイクスルー
析、
3Dプリンターによる模型作成、
そしてゼ
48 時間の極限状況化で
見えたこと・叶わなかったこと
ネコンが参画する以 上は施 工シミュレー
ゼネコン主体の参加チームとしては施工面
ションも行い、プレゼンテーションの資料
での BIM 活用は必須と考えていましたが、
には尺は短くてもCGアニメーションを作成
最終日の限られた時間の中で検討した内容
することにしました。また図面を作成するか
全てを絵にすることが出来ませんでした。実
SKUNK WORKS
は敷地が運河に囲まれている特殊性から建
設ロジスティックを水上から行うことだけで
はなく、仮設・重機の計画も従来例を見な
いアクロバティックな検討も行ってはいたの
ですが、
実現性の確証が時間内にとれずお
蔵入りとなりました。デザインでは遊べても
施工で嘘は付けないということです。施工
を後工程ととらえず計画の極初期段階でも
意識していく必要性を実感した訳ですが、
こ
れは現在の前田建設におけるシームレス設
計の思想とも通じる部分です。
今回まず重要であったのは意匠設計の振る
舞い方です。もっとも重要な初期の検討に
割ける時間が限られています。48 時間後の
ゴールから逆算し、
構造・設備・ランドスケー
プへの伝達情報はブレないことが肝要とい
うことが痛切に判りました。
また環境解析の場面においてはただ解析
計画建物全景(夜景)
ソフトを使ったということだけでなくそれが
BLTの特色の一つは互いのチームの成果が
ケーション群を使いながら、例えば IFC の
計画にどうフィードバックさせるか、
という点
イベント中リアルタイムに判ることです。当
様な中間ファイル形式を活用しデータの連
でしっかりとした考察が必要であると気付
初引いていたタイムスケジュールでは十分
携を図り運用できるか、
という点です。つま
かされました。最終的に 3Dプリンターでの
睡眠時間も確保していたはずでしたが、初
り現時点でそれぞれのツールの良し悪しに
模型作成まで紆余曲折ありましたが完遂し
日夕刻に他チームの状況確認を皆で行った
ついて差異はありますが終局的にはそれら
ました。
後でそれは大きく変わってしまいました。通
全てをパッケージで考えていかなければなり
常の業務で行うコンペではありえない事態
ません。これはつまり参加チームが10あれ
です。肉体的には大変苦労しましたが、
我々
ば10 通りのアプリケーションの組み合わせ
と異なるアプローチは一方で大変刺激にな
があるわけですから、
こればかりは取り組ん
り、その後の進むべき方向性に少なからず
だ者しか判らない世界だと言えるのではな
影響を与えています。
いでしょうか。
一番うれしかった点は、
私たちが行ってきた
当初は
「力試し」
の目的で参加した BLT でし
業務フローが48 時間でも実現できた、
とい
たが結果的には様々な効果を生むことにな
う点です。今回のコンペで再認識できたの
りました。以下に簡潔に整理します。
ですが、それぞれの担当者が 実務の中で
①それまでの作業フロー 上のボトルネック
3D プリンターによる模型
BIM のワークフローについてほぼ理解でき
そして48 時間の極限状況は単なる日常業
ているという実感が持てました。これは大き
務の延長では判らなかった自分たちの長所
な自信になります。
取り組んではじめて判る世界
そして終わりのない進化
BIM はまだまだ誤解されているのではない
かと感じます。ともすれば万能のツールと
長所の一つ TeklaStructure の運用
客観的に 把握することが出来た。
③ 若手職員のトレーニングとなり、結果的
と弱点を明らかにしました。これは今後の
大きな糧になるものです。
を認識することが出来た。
② 保有するソリューションの長所・短所を
に社内への BIM の認知を広めることが
出来た。
④ IFC の有用性について再認識し、
今後の
開発への足掛りとなった。
いう印象を与える売り文句もありますが、
完
これら全てをBLT 抜きに行っていたら2 年
成されたツールというものは使いこまれて
は掛かる内容だと認識しています。特に社
目的・用途に合わせて研ぎ澄まされたもの
内への BIM の認知という点では時間は要し
と考えます。足掛け10 年程取り組んできま
ていますが、確実に化学反応の様に広まっ
したがその点ではまだまだゴールは見えま
ています。
せん。
またIFC についての考え方も、
当初考えてい
BLT 独特の楽しみ方と苦労
そして達成して得た自信
また一部の方は所詮設計 CAD が多少変わ
た以上に使える、という認識に変化しまし
るだけではないかという印象をもっている
た。実際に BLT 以 降 のいくつかの開 発は
今回課題の条件は比較的自由度が高いも
様ですが、従 来 の 2 次 元 CADを用いたフ
IFCを中心に行っています。
のでした。日頃制約が多い実物件に頭を痛
ローで 48 時間以内にこれらのアウトプット
これらの成果がたった48 時間 のイベント
めている我々にとっては純粋に「楽しめる」
を揃えることは、
不可能でしょう。
から生まれたことは、我々の業務の中では
要素といえます。また前田製作所の
「かにク
CAD の標準、いわゆるデファクトが決まる
レーン」
のオブジェクトを作成し仮設のプレ
まで様子見をするという方もいますが、
今回
ゼンのアクセントに使うという遊びも行い
の BLTを通しても実証された様に 48 時間
ました。
の作業フローの鍵となるのは異なるアプリ
「カンブリア爆発」
が起きたことに等しいの
です。
04
Build Live Tokyo 2009
RUGによる
BIM実証実験としてのBLT
RUG
(Autodesk Revit User Group Japan)
the BOMb
チーム信条
Japanが主体となったチームである。Revit
大成建設株式会社
我々は、
BIM 爆弾となり、
新しい BIM の力
に発足し、2009 年末の段 階で1200 名と
美保テクノス株式会社
を発揮するものである。
なった Autodesk Revit のユーザーグループ
千代田テクノエース株式会社
我々は、BIM という新しい力で建設 業 界
である。2007年発足当時、
その頃まだまだ
熊本大学
に革命をもたらすものである。
Revitもあまり知られてなく、
数名の Revit 好
株式会社 BM 都市設計
我々は、最高の仲間とともに、新しい時代
きのメンバーが集まって会をスタートし、そ
を造るものである。
こで、
初めてBIMという概念を知った。とこ
我々は、日本におけるBIM の力を世界に
ろが、BIMというのがどういうものか、どう
発信するものである。
すれば企業にとって価値があるのかわから
株式会社インテグラ(Integra Inc.)
この成果が日本の建設業界の BIM による
ないということで、その当時海外から講師
GSA 株式会社
力の第一歩となることを信じて。
を呼んで、BIM についての事例などをご説
株式会社シーラカンスアンドアソシエイツ
有限会社 TAG 建築設計事務所
株式会社スリーディーイノベイションズ
株式会社大塚商会
株式会社環境シミュレーション
明頂いた。それが RUG が「BIMミーティン
株式会社アークデータ研究所
株式会社ジオプラン
はじめに
株式会社 QLEA
株式会社インフォマティクス
Z CORPORATION
オートデスク株式会社
User Group Japan(RUG)は、2007年 9月
グ」
を始めたきっかけである。
BIM1.0 は
「次世代 CAD による設計業務の
the BOMbが BLT に参加したのはすでに一
改善」
ということで、
基本図作成のためのガ
年前のことである。BIM の進化はとても早
イドラインを2008 年に発刊した。さらに、
いのですでにかなり過去のことのように思
BIM2.0 における
「BIMツールとの連携によ
えるが、
私にとってはとても大きな意味のあ
る設 計プロセスの改革」にも取り組んだ。
るイベントであったので、
少しまとめておこう
RUG に参加している日影や解析などのソフ
と思う。
トメーカーの方に呼びかけ、
いかにしてRevit
との連携で BIMを実現できるかという実証
05
Revit User Group の
BIM への取り組み
実験をおこなった。これが 2008 年におこ
Team the BOMb は、Revit User Group
の検証の結果、
Revit のデータは環境系・構
なったRUG の
「BIMツール検証」
である。こ
the BOMb
造系・日影系・プレゼン系と様々なソフトに
違う場所でデータを連携しながら進めてゆ
連携できることがわかり、その連携の手法
くのは、
初めての経験であり、
ちょっとしたト
BIM マネージャーの役割と
BIM Tree
も確立できたと思われる。
ラブルでも致命傷になりかねないことなの
この
「BIMマネージャー」
として、
もっとも嬉
で、
何度もフローを書き換え、
データの流れ
しかったことは、
反省会の時に、
過酷な耐久
なども検討しておいた。これらのことが、
最
レースを終えた参 加メンバーから、
「きつ
終審査において
「BIMマネージャー」
と評さ
かったけど楽しかった」
と言って頂けたこと
れたことは、
とても嬉しかったことである。
である。また、
20 社 40 名のメンバーが BIM
BLT での 48 時間は大変凝縮された忙しく
の可 能 性を 信じて、48 時 間 戦った 結 果
そして楽しい時間であったといえよう。
BIM が実現できるという確信を得ることが
最初はシーラカンスの事務所で設計作業を
できたのではないかと思う。
行い、
基本設計資料をモデリング担当の美
BIM によるデータ連携を
「BIM Tree」
という
保テクノスさんに渡し、最終電車で帰宅し
樹形図にまとめてみた。根としては意匠・構
た。自宅で提出資料をまとめたりするうち
造・設備のモデル、幹としてはそれらをまと
BLT で作成した CG パース
RUG の BIM 検証の
実践としての BLTへの挑戦
に、夜が明けて、Autodeskさんの事務所で
めた統合モデル、葉がその統合モデルを用
早朝から作業開始、美保テクノスさんが徹
いた、
プレゼンや解析などとの連携によって
この RUG による「BIMツール検証」の成果
夜で 仕 上げたデータを、設 備・構 造・外 構
なされた BIM の成果である。
を試 す 機 会 が、2009 年 春 の BLT であっ
チームに渡し、統合モデルの作成を開始し
た。短時間にデザイン∼設計∼解析∼プレ
た。解析やパース・模型・ムービーなどの作
ゼンまで行うためには、データの連携が重
業を開始したのは二日目の夜という状態
要なのは明らかである。それぞれが 別の
で、
最終日の朝のまとめは相当などたばたで
データを作っていたのでは到底時間内に間
あった。
に合わないので、BIM における連携の手法
が試されることとなる。
このように RUG によるBIM の実証実験と
してBLT に取り組むこととなったのである。
BIM Tree
まず最初に基本設計をシーラカンスの小嶋
先生に協力をお願いした。小嶋先生は光・
しっかりした太い幹には、
より多くの葉が茂
風・音などの環境解析ソフトを積極的に設
り、
そしていつか花が咲き、
実が実るという
計に活用されているので、BIM における設
ことを想像しながら、
この樹形図をイメージ
したが、この樹形図の根・幹・葉の全てが、
計デザインをお願いできれば最高だと、
断れ
るのを覚悟でお願いした。我々の熱意が通
CFD シミュレーション
今回の BLTの成果であることを思うと、こ
じ、
快く三名の優秀なスタッフをアサインし
こういった状況の中で、
参加メンバーからは
れから建設業界は BIM によって生まれ変わ
ていただき、とても嬉しかったことである。
常に前向きな様々なアイディアが出された。
るということを確信できた。
さて、そこから本格的にチーム編成を行っ
特に乱数表を使ったカーテンウォールパネ
た。RUG のボードメンバーと BIM ツール
ルの配置だとか、
グーグルアースを使ったプ
検証に参加された企業を中心に、
最終的に
レゼン手法などは、
予測していたものではな
は 20 社 40 名の参加者を集めることがで
く、
大変興味深かった。
今 回我々は Revit User Group Japan の 活
きた。これだけの方の 賛同を集めた以 上
光と風と共生するという設計趣旨を解析ソ
動のひとつとして、
「BIMツール検証」の結
は、最高の結果を出そうと取り組んだので
フトによって検証できたことも、
大きな成果
果を試すために、BLT に参加した。ただし、
ある。
といえよう。
これで終わったわけではない。この成果を
トラブルは随時あった。美保テクノスさんで
元に、各社で BIMを実践し、建物の建設プ
のライセンスサーバーの障害や、建物の形
ロセスを大きく改善し、建設業界のあり方
状が複雑なため、
構造解析ソフトへの連携
を変えて行かねばならないと思う。RUGと
に手間取ったり、
メールや電話で、
色々な問
しては、
そのためのあり方を示せたというこ
これからの BIM における
RUG の活動について
題が 20 社 40 名のスタッフから出される。
とで、今回は大変意義があった。今後は各
それを随時解決しながら、BIM がしだいに
社での活用の状況をBLT で発表されること
出来上がってゆく様は感動さえ覚えた。
を期待しようと思っている。RUG は今後と
もBIM の活用と推進を進めてゆきたいと考
えている。
風と光のコンセプトイメージ
48 時間の中で
RUG が取り組んだこと
スタートにあたり、48 時間の間にどのよう
に作業を行うべきか慎重に事前準備を行っ
た。それは、時間と人とデータの管理であ
る。限られた時間の中で、
多くのスタッフが、
the Bomb の全体イメージ
06
Build Live Tokyo 2009
DESIGN + VISUALIZATION
建築をBIMで考える!
デザインの情報化と創造への挑戦
[チームメンバー]
V-SPEC
設計を利用して、何が使いやすいかを実践
私 達は 現 在 試 行及び 実 践されつつある
の中から選択しようと試みました。建築の
建築設計部 代表取締役
山際 東
BIM への取り組みとは趣を異にするビジュ
設計プロセスの中で重要となる建築の表現
アライゼーションというアプローチで BIM
力、情 報の 整 理 選 別、意 思 決 定に必 要な
建築設計部 シニアアーキテクト
永井 啓一
に取り組むことを主眼に、今回の BLT に参
ツールと方法について今までとはちがう視
加しています。
点でチャレンジすることにしました。
株式会社 ビム・アーキテクツ
建築設計部 アーキテクト
永見 有良
構造設計部 ストラクチャーエンジニア
山際 よしこ
これまでにないビジュアルによる意匠を全
面に押し出したBIMへの試行を表現する上
で、Visual的なBIMの仕様またはVisualを
主体としたSpecialチームという意味を込め
Next Picture 株式会社
アートディレクター
冨田 和弘
てV-SPECと命名しました。
そして V - S P E C は 、B I M と D e s i g n
Visualizationのシナジー効果を検証するた
めに、Build Live Tokyo 2009 Ⅱに参加した
有限会社 ATA 企画
設計・トレース部 代表取締役
多田 剛
CGTeam
多田 朱利
渡辺 健児
アートディレクター
渡辺 健児
07
のです。
その中でも、
実現したかった事として以下の
5 項目です。
アイデアスケッチ
デザインコンセプト
エコ・アーキテクチャー
NEW WAVE OF ECO ARCHITECTURE
1. 新しいことにチャレンジする
豊洲という土地において
「環境」
を考える意
2.BIM の可能性を体感する
義を考えました。
「江戸時代」
は江戸の街は
3. 建築とBIMを考える
環境先進都市でした。豊洲は
「江戸時代」
か
4.ツールの実用互換を検証する
らの干拓事業により、生成された「土地の
5.BIM+VIZ 事例を作成する
記憶」
(ゲニウス・ロキ)
があり、
本来の
「海の
これらの事を踏まえ、建築を考えるために
記憶」
から
「都市の記憶」
への変化を建築的
必要なことを実践的に模索しました。思考
に表現した建築です。そこで環境面におい
の部分では、
手描きと3D CG、
そして3 次元
て優れていた、
江戸時代の建築手法
(マテリ
V-SPEC
アル・空間構成)
を取り入れ現代的な建築と
めには、
できるだけリアルタイムに情報を共
すが、
ふとしたアイデアにより大きな設計変
してDESIGN CONCEPTを再構成するこ
有し、
その活用方法を判断することでした。
更を20 時間ぐらいたったところで行うこと
とにしました。
設計者の表現力は、visualization により発
になりました。それでも、最後までかたちに
土地の歴史や自然環境を意識しつつも、
ラ
展することも見えました。リアルに表現する
できてしまったことは、
非常に大きな成果で
ジカルにこの土地における
「環境建築」
を問
ことではなく、
visualization により如何に建
す。アイデアの鮮度を生かせるということで
い直してみることにしました。
築を演出するかだと思いまいた。それは設
あり、それだけの情報を伝達し連携できる
計者の表現をよりわかりやすくすることだ
ことということでもあり、
すぐにでも実務に
けでなく、それ以上に価値を伝える手段に
フィードバックできる内容でした。
アーキテクチュアルコンセプト
分節化されたファサードには、
それぞれの形
なるように思えました。
にプログラムが与えられています。彫りの深
BIM は、
技術ではなく思考であり、
ツールや
いファサードは、表層化した現代都市への
手段でもありませんでした。考え方次第で
オブセッションでもあり、
「環境研究所」
を通
はプロフェッショナルなツールにもなり、
一
して現代社会へプログラムをいかに都市と
定の品質を保たせるための汎用ツールにも
オープンエンドにするかという試みです。明
なります。建築を創造していく設計者として
快で交流を生む空間構成とエコロジカルな
は、
これからどのように使っていくかは、
いろ
空間構成を考えました。
いろと考えていかなくてはなりません。
ファサードは、
都市にコンポーネントするよう
私たちは、今回一つの結果を残しました。
に考え、表層のマテリアルには、素材の多様
BIM の中でデザインや visualization の今後
性を江戸建築(紙・木・土)と現代建築(ガラ
の建築設計でも活用ができ、
事務所の規模
ス・鉄・コンクリート)を対比させています。
や特別なハードやソフトの環境に囚われる
BIM 活用の今後の課題
外部との建 築 境 界 のあり方には、外ルー
必要もないことがわかりました。その結果
BIM 活用に必要な環境が足りません、また
バー、
障子、
庇、
ブラインドにより、
空間と奥
については、
ただチャレンジしたことにすぎ
必要なソフトやハードが何かを決めること
行きの変化を与えています。
ません。まだまだ可能性があります。
も難しい状況です。日本の建築において必
48 時間の中で、今回は外観の表 現にとど
要なものの選別が今後の課題でもあります
デザインレビューについて
まってしまいましたが、建築の内部構成に対
が、そのためには BIM に挑戦して検証して
可視化することは、それだけ多くの情報を
してもいろいろと考えてあり、それを表現で
いくことも必要だと思います。今後は、
チャ
共有できます。デザインレビューでの意思
きなかったことが残念です。この形態を決め
レンジすること、BIM について考えること、
決定は、見るだけでなく、ディスカッション
るうえでの大きな要素になっていますが、そ
そして話し合うことが日本の BIMを活性さ
により決まります。環境解析を可視化し経
れを成果として表現できなかったことも残念
せることになるのではないかと思います。
験することで、解析結果の感覚を身につけ
です。しかし、私たちの規模やテーマでの目
克服するためにはチャレンジあるのみです。
られることができます。ただし、
留意点もあ
標としているものは、十分できたと思います。
建築をIT化しなければ、
建築産業そのもの
ります。可視化により情報量が増え、対応
人材や時間的な制限の中では切り捨てるこ
が他の産業との情報や技術格差を生むこ
できない場合がでてきます。3D モデルだけ
とが多く、
目的を見失う事が大変でした。
とにもなってしまうので、
やらねばならない
でなく、図面やドキュメントなどの関係性
次回は、
参加に対する人材やストーリーを準
ところまで来ているようにも思います。
(リンク)
の整理必要です。情報共有するだ
備し、
適切なオフィシャル側の評価を得たい
けではなく、どの情報をどう使うかが BIM
と思います。
活用のキーとなるのでしょう。
BIM の中でデザインレビューは、プレゼン
構造モデル
Build Live Ⅱを終えて
建築設計やデザインを行う人のほとんどが
リアルタイムな情報共有
模型やスケッチといった発想方法が一般的
の場から話し合いの場に変わっていくのだ
だと思いますが、
BIM のようなデジタルな発
と思います。
想手法にも十分に感覚を伝えることができ
ると感じています。
思考をさらに膨らませるためには、
積極的に
デジタルな手法を取り入れ、
新しい発想を求
めていくべきだと思います。最初は使いやす
マスモデル
デザインレビュー
い部分から使っていけばよいと思います。ま
短時間での設計作業は、
音楽のセッション
だ体験していない方には、早くBIM の表現
にも似たところがあり、
リアルタイムに設計
力を体感して、
新しい日本の設計、
デザイン
情報を共有していることは、
非常に楽しかっ
を考えてほしいと思います。
たです。普段は最初から積極的に使う事が
建築と BIM のバランス
出来ないパースやアニメーションも使う事
建築をBIMで考えることは、非常に楽しい
ができ設計情報を初期段階から共有してい
ことでした。しかし、
情報との戦いでもあり、
くことのメリットは大きいと思いました。
多すぎる設計情報を整理し共有することは
しかし、設計が進まないとその次の作業が
このイベントの時間内で行うことは、
非常に
できないのも事実で、
最初の12 時間ぐらい
難しいことでもありました。
までのプレッシャーは大きく苦しいものでし
建築の機能とデザインのバランスをとるた
た。なかなかよいかたちができなかったので
コンセプチュアルビュー
08
Build Live Tokyo 2009
Hokutosei
IFC発展の為に
CAD ベンダー立ち上がる!
福井コンピュータ株式会社
株式会社マイスター
CAD ベンダー中心の
「IFC データ連携実証実験」
チーム
り、地理的・時間的な制約もある厳しい条件での
作業になることが予想できた。
セコム株式会社 IS 研究所
IAI日本インプリメンテーション分科会(以下イン
実際の設計現場に近い形の IFCデータ連携を行
三谷産業株式会社空調サービス本部
プリ分科 会)のメンバーが中 心となって第1回
うことで見えてくる様々な課題を抽出することが参
Build Live Tokyo 2009(以 下 BLT)に 参 加した。
加の目的にあった。また、意匠CAD・設備 CAD以
このチームは他のチームと違ってCAD ベンダー主
外のソフトでの参加メンバーもあり、BIM の活用
体の異色のチームであった。CAD ベンダーの立場
範囲の可能性を検 証することも目的になった。
から実務に近い形でBIM 実証実験をしたかったと
BLTにおけるBIM の課題や可能性の発見が、今後
いうのが動機である。
の分科会活動に役立つことが期待されていた。
インプリ分科会は、IAI日本の他の分科会と協力し
てIFCの活用検討、実証実験などの活動を行って
Hokutoseiチームの作業内容
きた。数年前から意匠・構造・設備など異種CAD
実際の作業内容としては、
「意匠CAD のモデリン
間で、IFCが実務で使われるためにはどのような実
グ」「
、IFCデータ連携」「
、設備設計」「
、室内レイア
装ルールを決めればいいかを検討してきた。具体
ウト・セキュリティ設計」だった。
的には、CADベンダー3社の開発中または実験用
プログラムを使用してIFCファイルの作成と取り込
みを行い、データ連携における課題の検証を行っ
ていたのである。この実証実験の結果はプログラ
ム開発者には有益だった。しかし、ベンダー同士
の限定された範囲内での実験であったため、実務
に近い形での課題は見えてこなかった。
09
このような経緯があって、BLTという仮想設計コン
意匠CADのモデリング
ペを実務で試す絶好のチャンスと考え、分科会
はじめに意匠CADを使って建物モデルを作成し
チーム「Hokutosei」は参加した。BLTは分科会内
た。意 匠CADに はGLOOBE(当 時 は 開 発 中 の
部の実証実験とは異なり、大規模建物が対象であ
コードネーム Aegis)を使用した。作成したモデル
Hokutosei
からIFCデータを出力し、ビューワを使ってデータ
用した業務が増えることにより、各種ビューワ開発
検証した後に、次の工程へファイルを受け渡した。
が期待されている。
連携精度を重視していたので、IFCデータを詳細
に検証した。その結果、設備連携用 IFCデータで
不具合が見つかったが、プログラムを改修してトラ
ブルを回避した。不具合が解消されたデータで次
の工程へ進むことができた。意匠CAD 単体として
は、SketchUpを利用した建物モデルの 3 次元プ
レゼンテーションを行った。
BLT に参加して分かったこと
BIMは分かりやすい
活用事例検証
BLTで提出された3 次元モデルを使ったプレゼン
BLT全チームの成果物を利用してBIM 活用事例と
テーションはどのチームも素晴らしく、設計作業を
その有効性が検証できる。BLTでは意匠・構造・設
リアルタイムで見ているような感覚になりとても楽
備のデータ連携だけでなく、解 析ソフト、シミュ
しかった。全チームが BIMの利点である「分かりや
レーションソフト、さらにはセキュリティ設計など
すさ」を十分にアピールしていた。Hokutoseiチーム
一般にはあまり知られていないデータ活用法まで
においても、連携データ確認用、設計内容確認用な
登場した。多種多様な連携作業が行われたが、効
意匠設計→設備設計
どのツールを使い分けて設計データの検証を行い、
果に対する検証は十分とは言えない。有効性を検
意匠CADで作成した躯体データを設備 CADに取
BIM の分かりやすさを実感することができていた。
証して今後の参考にしていくべきである。
り込み後、設備設計チームが設備の 3 次元設計を
データで伝えることのメリット
BIM の活用事例を検証することは、これからBIM
行った。その後、Excelを使った空調熱負荷計算、
今回の Hokutoseiチームは、メンバー各自の作業
に取り組もうとするユーザー・ベンダーにとっても
CAD の機能を使った部材の干渉チェック、部材
場所がバラバラに離れていた。そのような状況でも
貴重な情報源となるはずである。活用事例のオー
集計などを行った。最終的に意匠・設備の統合モ
ファイル交換だけで多くの設計情報を伝達するこ
プンな議論が、BIMユーザー・BIM ベンダーの増
デルを作成し、設備の設 計コンセプト説明用ド
とができた。打ち合わせなしに設計作業が進行し
加、さらにはBIM 活用事例の増加につながり、建
キュメントまで作成した。
たということで、3 次元形状と属性情報を合わせ
築設計の BIM 化が進行していく。このような循環
持つ IFCによるデータ連携の有効性を証明するこ
を作り出すことで、最終的に建築設計の生産性向
とができた。
上、品質向上につながっていく。
課題と解決
BIMは課題解決の手がかり
BIMを行う場合、データ連携の精度が重要になる。
BIMが対象としている業務範囲はかなり広い。各
不確実なデータ連携ではBIM の信頼性低下、トラ
業務分野における課題をBIM 的な手法で検討す
ブルの原因にもなる。Hokutoseiチームでもデータ
意匠設計→室内設計・セキュリティ設計
BIM への取り組み
確実なデータ連携
連携時の不具合はあったが、ベンダー中心のチー
ると、解決の手がかりが見つかるかも知れない。
「BIM の見本市」のようであったBLTはBIMに取り
設備連携と同時に意匠CADで作成した躯体デー
ムであったので、修正は比較的容易であった。しか
組む良いチャンスである。
タを室内レイアウトソフトで読み込みを行った。レ
し、このような対応を実際の設計現場では期待で
BIMはできるところから
イアウトソフトの機能を使って、エントランス部、コ
きない。
BIM の対象範囲は広いが、すべてを一気に対応す
ンビニエンスストア内部、銀行ATM、喫茶コーナー
ユーザーレベルでデータ連携の精度を確保するた
る必要はない。部分的な対応であっても、目的が
の配置検討を行った。この検討段階で、意匠側に
めに、モデルチェッカーや認証システムの必要性
明確であれば BIMは役に立つ。たとえば、はじめ
設計変更依頼があり、躯体の設計データを変更し
が認識されるようになる。連携精度向上のための
は単なる3 次元の建物モデル作成だけであって
た後、再度 IFCによるデータ連携を行った。完成し
仕組み作りが、BIM の基礎的な環境になっていく。
も、関係者同士の合意形成には大変役立つ。その
た内部空間のレイアウトは、専用ビューワを使って
モデル・ビューワ
後、3 次元モデルに情報を付加していくことで、別
3 次元的に確認することができた。さらに、室内レ
BIMでは「モデルをモデルとして見る」ことが重要
の用途にもモデルの活用範囲が広がることが分
イアウトソフトからセキュリティ専用ソフトへ連携
な場面がある。たとえば、監視カメラの設計を行
かってくる。少しずつ活用範囲を広げることで、リッ
して、監視カメラの配置を行った。ここでも専用
い、その設計内容を見るためには、3 次元でビュー
チなBIMモデルが構築され、それが業務全般に効
ビューワを用いて、監視範囲のチェックを行うこと
イングできるツールが必須になる。つまり、3 次元
ができた。また、入館者の動線を入力することで、
の建物形状と監視カメラの情報(取り付け位置や
入館者の視点からエントランス内部がどのように
性能など)を正しく再現できるビューワがないと、
CADなどの BIMツール導入だけではBIM の完全
見えるかというチェックまで行うことができた。
配置位置の正しい判断はできない。
な実施は難しい。BIM の効果を最大限に生かすた
モデル・ビューワはBIM の各段階において利用す
めには業務フローの再構築が必要になるはずであ
る場面が多い。Hokutoseiチームでは、モデル形状
る。その時、先進的なBIM 活用事例は参考になる。
確認用、モデル属性確認用、室内レイアウト確認
IAI日本の役割
用、監視カメラ確認用など複数のビューワを使って
BIM 普及に際してIAI日本が中心的な役割を果たし
いた。この事例からも分かるように、BIMモデルの
てきた。BIM の団体としてBIM の課題解決に向け
情 報を確 認 するためには、目的 に 適した 専 用
た活動を今後も継続していくであろう。BIM 普及の
ビューワを使い分けることになる。今後 BIMを活
ためにIAI日本の活動への協力が求められている。
率化をもたらす。
「ツール導入」はBIMではない
10
Build Live Tokyo 2009
Team Archi-Tekla
集光‐受光する都市エネルギー
回収技術研究施設
- Simple BIM, but Intrinsic BIM
大脇茂弘
私たちはたった二人のチームです。
̶表現し
ブースター」
として生産性を向上させた、
「テ
建築士(構造設計一級)三菱重工
Graphisoft ArchiCAD Master
TEKL A Structures + ArchiCAD +
STAAD Pro. 担当
たかったのは、
エネルギー回収を建築物に
クノロジスト」
による新しい生産プロセスに
要求したらどうなるかということ。それ以上
変化することだと考えています。
に、
私たちが感じる BIM によるイノベーショ
それはどんなイメージなのか、
もう少しわか
ンが持つ可能性を証明すること。たった二
りやすく、
方程式を使って表してみましょう。
人でやる意味はそこにありました。
事業を構成するする人々の立場、
役割を、
そ
まず、
ピーター .F.ドラッカーのこの言葉から。
れぞれ
「主」
「事」
「技」
「職」
と表して見ます。
̶いわゆるIT 革命とは、
実際には知識革命
「主」
=ニーズの根源。事業の価値を基準に
池田雅信
池田雅信建築デザイン事務所代表
(管理建築士)
Graphisoft Virtual Building Specialist
ArchiCAD + Virtual Building Explore
担当
Website ArchiCAD 仲間主宰
である。諸々のプロセスのルーティン化を可
能にしたものはハードではなかった。ソフト
とは経験にもとづく仕事の再編である。鍵
はエレクトロニクスではない。認知科学であ
11
判断する人。多くの場合、
資本を伴う。
「事」= 事業の目的を持ち、遂行する責務を
負う領域。決定権があり、同時に責任もある。
「技」
= 目的を達成する手段を科学的に可能
る。まさに出現しようとしている新しい経済
にする領域。発想が全体の成否を決める。
と技術において、
リーダーシップをとり続け
「職」
= 示された仮想を現実に具現化する領
ていく上で鍵となるものは、
知識のプロとし
域。経験的訓練、
熟練が技量を支える。
ての知識労働者の社会的地位であり社会
ピラミッド型生産体系では、
この四者の関
的認知である。もし万が一、
彼らを昔ながら
係はこうなります。
の地位におき、
その処遇を変えなければ、
テ
事業 =
「主×1」
+
「事×10」
+
「技×100」
+
「職
クノロジストを職工として扱ったかつてのイ
×1000」
ギリスの轍を踏むことになる。その帰趨も同
私たちが考える、
イノベーションが引き起こ
じところとなる。
̶
す変化のイメージはこうです。
私たちにとっての BIMとは、
ピラミッド型生
事業=「主×1」+「(事+技+職)
×10×BIM」
産体系を3D CAD 連携に置き換える事で
+
「職×500」
はなく、道具の進化で仕事がもっと直感的
つまり、BIM が知 識を増幅し、組 織の「事」
でシンプルになり、BIM が「能 力のパワー
「技」
「職」
の領域が融合され、
よりスリムに、
Team Archi-TEKLA
よりスピーディに、より合理的に変化しま
ケーション手段、これは、永遠になくなるこ
た中小規模の設計事務所に集中している事
す。それが可能になるイノベーションとはど
との無い、人類の英知であると思います。
も、
この説を裏付けていると思います。大き
んなものなのか。我々が行った BLT̶Build
建築では、
計画図、
設計図、
施工図、
また、
躯
な組織では、バブリーな経済を経験する中
Live Tokyoでの例を元に、それを具体的に
体図、
設備図と、
同じ部分でも目的別に何度
で
「技」
「職」
の領域をアウトソースしていき、
説明しましょう。
も作成されます。エンジニアの素養として、
マネージメント、
つまりに
「事」
の領域に集中
図面リテラシーは欠かせません。
してきましたが、もし「事 + 技 + 職」が統合
ピラミッド 型 生 産 体 系 Formula 事 業 =
「主×1」+「事×10」+「技×100」+「職
する仮説が正しければ、
今後その形も変化
すると考えています。
×1000」
で貫かれるコミュニケーションは、
「図面」
が
「主」
̶顧客は、
図面を望むか
基本です。
「図面」
を公
(おおやけ)
にしなが
BIM 型生産体系 Formulaを予測するもうひ
ら成り立っているのが今の社会ですが、
我々
とつの重要な要素は、
「主」
̶顧客は、計画
は、実 は こ れ が ピ ラミッド 型 生 産 体 系
図、設 計図、施工図、躯体図、設備図といっ
Formula にならざるを得ない重大な理由で
た 大 量 の「図 面」を 望 む か、そ れ と も、
1. 我々の事前 打ち合わせは、2 時間ほど。
あると考えています。なぜなら、
「図面」
は必
Virtual Building Explore に代 表される、ダ
Skypeと、Sky Driveのテスト、そして、
ず人の脳が介在し、脳の中で「再理 解+再
イレクトな知覚的表現を望むかというとい
テーマが要求するニーズを確認しつつ、
構築+再作図」
するメディアであり、
その処
う こ と で す。BIM Communicationで は
タイトルにあるコンセプトと、
施設の構成
理能力が生産性の限界を決めるからです。
「主」̶顧客を取り込み、
包み隠さず見せる
Fig-1 集光 - 受光レイアウト
BLT ̶ Build Live Tokyo 初日
事が出来ます。このことは、
プロジェクトの
と担当する建物を決めました。
契約体系にも影響を与え、現実にアメリカ
(Fig-1 コンセプト)
2.開始から半日、発 表された条件から、ま
で は、IPD̶Integrated Project Delivery つ
ず、造 形と配置、構造を決め、T E K L A
まり、
「主」
̶顧客が BIMで建設を理解でき
Structuresと、ArchiCADで同時に入力し
るようになった事で、Open Book(公 開 契
ていきました。TEKLA Structuresからは、
約)で の「事+技+職」との 契 約 形 態 が 始
完成した部分からIFC変換し、ArchiCAD
まっています。
で情報を加えた後、ArchiCADをプラット
BIM Storm の精神̶主催者への提言
フォームとして、Internetでモデルを共有
しました。
ONUMA 氏が提唱するBIM Storm の精神
3. 開始から1日、お互いが担当した建物を
Fig-2 STAAD Pro.
は、BIM の恩恵を社会に還元する仕組みで
確 認しながら、一人は STAAD Pro.を用
ここでリテラシーの事を少し
いた構造について動解 析の整理(Fig-2
リテラシーとは、コミュニケーションを可能にす
に、建築行為が本来寄与すべき対象は「社
Mode 図)
を行い、
もう一人は、
ArchiCAD
る素養の事を言います。BIM Communication
会」や「主」であり、BIMもそうあるべきで
で意匠的仕上げを進めて行きました。
にもそれを可能にするリテラシーがありま
す。その意 味で、BIM Stormは「業 界」だけ
4 . 最後は、モデルをI FC形 式と、Vir tual
あると考えます。IPD のような動きのよう
す。BLT に参加された会社組織の方々は、
でなく
「社会」
の問題を解決すべく、
多くの個
Building Exploreに変換し、提出物とし
このリテラシーは各個人で磨かれたものだ
人が参加できる催しになる事を切望します。
ました。
(Fig-3)
と思いますし、
案外社外より社内で、
このリ
この間の作業全体に、重要なイノベーショ
テラシーを必要とするコミュニケーションで
History made everyday
ンが隠されています。
苦労されていると思います。語学のリテラ
我々の仮説は、
封建社会が自由社会に成熟
実は、
この間、
二人はまったく別々の場所に
シーが良い例ですが、リテラシーは後天的
する過程に似ています。実力がある者の
「知
居て、更に特徴的なのは、一切の「図面」を
であり、能動的訓練が必要です。身に付け
の表現の自由」
をBIM が可能にしてくれる。
用いたコミュニケーションをしていません。
ようとする意思が重要になります。
海外のプロジェクトを通じ、この予感が世
界中で同時に広がりつつあることを肌で感
これを可能にするもの、
BIM Communication
BIM をささえるもの̶「事」
「技」
「職」
のバランスが取れた知識
じます。我々のこの仮説が正しいかどうか
BIM Communication
BIM 型生産体系 Formula 事業=
「主×1」
くれるでしょう。最後に、もう一度、ドラッ
「PC+ディスプレイ」
の発明と進歩が、
仮想
+
「
(事+技+職)
×10×BIM」
+
「職×500」
カーの言葉を読み返してみていただきたい
と人間とのインターフェイスにおいて、
飛躍
この生産体系 Formulaを予測する根拠は、
と思います。歴史は形を変えながら、
繰り返
的な改善を可能にしました。
これにより、
「図
ほとんどの BIM Applicationが、
「事+技+
すのでしょうか。
面」
を介さないダイレクトでスピーディーな、
職」
の領域をカバーしている事、
そして、
歴史
何より「人間が持つ本来的知覚」コミュニ
的に建造という行為では、
「事+技+職」の
ケーションが 可能になったのです。そして
領域は、一体で運営されていたという事実
Internet が距離を克服したことは言わずも
です。我々は、BIM 型 生 産 体 系 Formulaを
がなです。
実現する鍵を握るものは、
「技」
「職」
の能力、
それがイノベーションだと考えています。
は、
10 年後、
20 年後の社会が結論を出して
特に、
現実的なディテーリング能力だと考え
図面の功罪
ています。多くの BIM Application のパワー
「図面」
̶
「紙+鉛筆」
で可能な万能コミュニ
ユーザーが、
「技」
「職」
の領域をカバーしてき
Fig-3 建物近景
12
Build Live Tokyo 2009
LEI
環境設計ツールと
BIMデータ解析の連携
東北工業大学 許研究室
Goal
目標
材の寸法、
数量、
方位など情報を集計した。
早坂 拓之(B4)
建築設計効率の向上・BIM データの活用を
の連携により、
年間空調負荷を計算した。さ
高橋 尚也(B4)
目指し、国際団体 buildingSMART(旧 IAI)
らに、
建材のデータベースと連携し、
建物の
石森 直人(B3)
が策定した建築情報モデルデータの国際
コスト、
使用材料の CO2 排出量などを予測
門馬 紀介(B3)
標準フォーマットIFC に基づいて、
本研究室
した。
生出 智洋(B3)
は建築意匠・環境設計が統合したデジタル
許 雷
奥田 優也(B3)
山口 喬久(B3)
奈良 聡(B3)
※参加当時
また、開発したデジタル環境設計ツールと
環境設計手法の提案に取り込んでいる。
建築意匠の設計図面を完成する同時に、
建
Reviewing
反省
物の空調負荷、エネルギー消費、CO2 排出
意匠設計は 3 年生を中心として行われ、卒
量など環境評価が自動的に求められるデジ
業論文が終わったばかりの 4 年生 2 名が空
タル環境設計ツールを開発しており、環境設
調負荷・コスト計算、
プレゼンテーションを
計ツールとBIMデータの連携の検証を目的
担当した。
としてBuild Live Tokyo 2009に挑戦した。
数人のメンバーが就職活動の最中だったた
め、
本格的にスタートしたのが 25日の夕方
13
Practice
実戦
だった。意匠設計を担当した 3 年生は 3 次
2009 年 2 月25日12:00 か ら27日12:00
したBIM データをチェックしてみると、
柱は
までの 48 時間という短い時間で、企画か
1階から最上階まで1本で通してあったり、
ら、設計、広報、プレゼンテーションまで学
家具が床から浮いていたりと、
モデリング段
生チームのヤングパワーを発揮しながら、
デ
階での問題点が多くあった。
ジタル環境設計ツールの初実務応用を披
結 局 4 年生が多くの 手 直しをすることに
露した。
なって、初日には建築情報の解析・集計が
ArchiCADを利 用して、意 匠 計 画を行 い、
殆ど進まなかった。
IFC データ解析に基づいて、
建築の部位部
その他に、
開発したツールは複雑な形状、
建
元 CAD 歴が僅か 3 ヶ月であったため、作成
LEI
基本条件値
壁、
ガラス面日射熱吸収率
● 壁、
ガラス面日射熱透過率
●
ArchiCAD
●
●
熱伝導率
換気回数
作成したツール
IFC データ読込
室情報
● 部位部材情報
●
IFC
データベース
●
●
気象条件
応答係数
熱負荷計算
研究施設棟
空調負荷・環境負荷予測の流れ
年間空調負荷
MJ/m2.a
300
250
200
150
100
50
研究棟
意匠設計
環境設計
サービス
共用部
W
15000
10000
5000
統合
0
研究施設ゾーンの配置
-5000
-10000
8760 時間空調変化(共用部)
年間空調負荷予測
展示場外観パース
具などに対応していないため、
これも立ち上
がりが遅くなった重要な原因であった。
26日には、
他チームの提案の素晴らしさに
触発され、徹夜で計画案、CG パース画像、
プレゼンテーション資料を続々と完成させ
て、
前日の遅れを取り戻すことができた。
そしてチーム全員がお互いの健闘をたたえ
合い、
すっきりした表情で 2日間の戦いを終
えることができた。
Ambitions
望み
実務 経 験者チームに比べ、事前準備の不
作業風景
足、
学生の未熟さなどがあり、
チームの成果
を行うことができるようになってきた。後輩
期間限定でブログをやっているチームもあ
が少なかったが、
若者のパワー、
情熱を見せ
達が今後 BLT に参加することがあるのな
り楽しかった。他チームの作品はどれも勉
ら、この研究成 果を生かしてもらいたい。
強になるすばらしいものだった。
(高橋)
ながら、また大学ならではの先端性を活か
し、IFC 対応環境設計ツール開発の更なる
発展と飛躍につなげていきたい。
(BIM 研究班 : 早坂、
石森、
門馬、
奥田)
第1回だからこそでられたところがある。第
2 回は敷 居が 高く感じられ、参加を躊躇し
Voice
感想
Expectation
期待
た。これ以降開催があるのなら、
部門別に
CADソフトは単純な製図道具として見過ご
分けてもらいたい。そうなれば教育機関や
されてきたが、BIM 技術を加えた4 次元、5
当時は研究開発しているプログラムの都合
企業からの参加者も増えるのではないだろ
次元の CADは考えてくれる「匠の手」に進
で、
建物の形状や構造に制約がある中での
うか。
(奈良、
生出)
化していく。大学では、
BIM の教育を急がな
参加であったが、研究を通じて建物形状の
48 時間で、またネット上で企画からプレゼ
ければならないと感じている。
(許)
自由度の向上と、
他構造での部材情報集計
ンまで行うコンペというのが新鮮だった。
14
Build
Live
Tokyo
2009 II
の
全貌
Build Live Tokyo 2009 II における 3 次元敷地モデル
Build Live Tokyo 2009 II
Build Live Tokyo 2009の 反 響 に 応 えて
連携の全体像を紹介する。
連携となれば、
より高度なBIMワークフロー
2009 年 9月に第 二 弾 のBuild Live Tokyo
BLT2009、BLT2009-IIに 見られるBIM 活
構築が実現できる。
2009 II(BLT2009-II)
を、建 築 ITソリュ ー
用は、3D 建築モデルの構築だけでなく、様々
IAI日本では、今後 BLTの定期開催化を行
ション 展 示 会 で あ るArchi Future 2009
な分野のソフトウェアアプリケーション間で
うとともに、BLTの成果を元に実務における
(2009 年 10月9日開催)
とコラボレーションす
BIMデータ連携を実現している。特に、環境
BIM 活用をさらに加速化させるための働き
る形で開 催した。BLT2009-IIにおいては、
設計分野における各種シミュレーションを行う
かけを各方面と協力しながら進める予定であ
実在する既存の集合住宅の架空の立替え
ための環境が整備されつつあり、BIMにより
る。より多くの 皆 様 のIAI日本 へ の 参 加、
案が設計課題となり、
ゼネコン、建築設計事
様々な種類の環境設計検討の可能性が高
BLT への参加をお待ちしている。
務所、設備会社、
ソフトウェアベンダー等の計
まったといえる。BIMを活用した環境シミュ
また、IAI日本では現在、Build Live Tokyo
7 チームが参加し、BLT2009を上回る成果を
レーションの設計へのフィードバックが進み、
のデータ連携の分析を行っており、
中立的な
見ることが出来た。また、外部からのコンペ審
建築プロジェクトの成否を決める重要な要素
BIMに関する情報共有・気づきの場となるべ
査員チーム、熱流体シミュレーション、3Dプリ
となって行くであろう。
く、
その結果をフィードバックして行く。そして、
ンティング、大判プリンティング等のBIM サー
同時に、IFCによるオープンなBIMデータ連
IFCデータ連携の品質向上、IFC 未対応の
ビスプロバイダ、
コンペ中の各チームへ突撃
携の広がりが出てきている
(次ページのBIM
BIMソフトウェアへのIFC 入出力機能組み
取材を行う取材チーム等の協力も得て、非常
データフロー図参照、太線が IFCによるデー
込みへの技術サポート、
エンドユーザを中心
に盛り上 がったイベントとなった。以 下に、
タ連携部分)。3D 形状だけのデータ連携か
としたIFCデータ連携ノウハウの蓄積等の活
BLT2009-IIの開催概要、
そしてBIMデータ
らIFCによるオブジェクト情報レベルのデータ
動が、今後の目標となっている。
期 間
設計課題
2009 年 9 月 9 日 18:00 から 11 日 18:00 までの 48 時間
集合住宅(114 戸、住戸面積計約 7030 ㎡)の
架空の建て替え案。
審査員
松家 克 氏
池田 靖史 氏
山梨 知彦 氏
参加チーム
すとりーむ
ARX 建築研究所 代表
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授
日建設計 設計部門 副代表
ベストプロジェクト賞 獲得
BIM テクノロジー賞 獲得
3D プリンティング賞 獲得
Team すとりーむが作成したモデルの一例
リーダ 吉田 博氏(清水建設)
メンバー 8社/68名
T’
s kitchen
コンセプト賞 獲得
アイデア賞 獲得
ラピッドプロトタイピング特別賞 獲得
リーダ 山際 東氏(BIM Architects)
メンバー 6社/15名
Team 48
リーダ 増山 哲也氏(フジタ)
メンバー 3社/31名
BIM テクノロジー賞 獲得
リーダ 綱川 隆司氏(前田建設工業)
メンバー 8社/44名
リーダ 友景 寿志氏(大成建設)
メンバー 3社/30名
V-SPEC
SKUNK WORKS
環境設計賞 獲得
チーム F8W16
エンジニアリング賞 獲得
リーダ 今泉 潤氏(フォーラムエイト)
メンバー 2大学/1社/20名
TEAM-S
エンジニアリング賞 獲得
3D プリンティング賞 獲得
リーダ 澁谷 寿夫氏(新菱冷熱工業)
メンバー 1社/90名
BLT2009-II 公式ブログ http://bltokyo2009-2nd.seesaa.net/
15
Build Live Tokyo 2009 II
■ IAI・IFC の概要
IAI(International Alliance for Interoperability)は、建物の
窓、壁などのような要素)のシステム的な表現方法を定義して
ライフサイクルを通して利用する、多種多様なソフトウェア間
いる。これは建設産業で必要となる情報(データ)を図面として
で相互運用を可能にすることを目的として、1995 年に設立さ
表現して伝達するだけではなく、3 次元オブジェクトモデルと
れた国際的な標準化団体である。現在、IAI は日本支部を含め、
して定義すると共に、建設ライフサイクルに必要な情報を伝達
世界中の 14 支部で構成されており、新しい組織名称として
することが可能なデータとして定義するものである。
buildingSMART とも呼称されている。
現在、IFC は正式な国際標準(ISO)となるべく標準化作業が
IAI が作成している標準仕様は、IFC(Industry Foundation
進められており、オープンな BIM データの国際標準として注目
Classes)
と呼ばれ、建物を構成する全てのオブジェクト
(ドア、
されている。
BLT2009-II における BIM データ連携の全体像(データフロー図作成協力 : 千葉工業大学寺井研究室)
16
Build Live Tokyo 2009 II
すとりーむ
「設計・施工のBIM」
へのチャレンジ
清水建設株式会社
グラフィソフトジャパン株式会社
参加の目的は
「設計施工の BIM」の実現
いての共通概念が持てたことである。社内
での BIM に対する認識も大きく変わりBIM
株式会社環境シミュレーション
平成 21年 4月から本格的に BIM 活用推進
推進の機運が一気に高まったことも大きな
株式会社スタジオ NAO
を開 始したばかりの 清 水 建 設 にとって、
成果である。データを「つなげて使う」こと
株式会社ピーディーシステム
Build Live Tokyo 2009 Ⅱへの参加は BIM
の意味・価値を皆が認識するとともに、
環境
株式会社フィアラックス
活動推進の起爆剤となった。
シミュレーションについても、
計画案ができ
株式会社フィールドフォー・デザインオフィス
BIM 導 入 後 数 ヶ月 が 経 ち「設 計 施 工 の
てから結果を評価するものではなく環境要
BIM」とは何かを模索し始めていた我々に
素をデザインクライテリアとして設計する
とっては、Build Live Tokyo 2009 Ⅱにチャ
時代になったことも認識された。
株式会社リック
レンジする絶好の機会となった。設計から
施工までの社内関連各部署、
アライアンス
メンバーの力を合わせ、
今できること全てを
成功の原因は
「普段やれないことに取り組んだこと」
やってみようということで取り組んだ。具体
成果を上げられた一番の要因は、もちろん
的には風環境・屋外熱環境・通風・照度・日
BIM 導入以前からの自社開発ツール等での
照・消費エネルギー等の環境シミュレーショ
経験、事前の役割分担やスケジューリング
ンや構造解析、配筋や設備の納まり・仕上
等もあるが、
日常業務ではやれないことに取
げ、
躯体、
設備の数量や搬出土量の算出、
そ
して工程、
仮設計画・施工シミュレーション
まで行った。
最大の成果は
BIM についての共通概念の確立
Build Live Tokyo 2009 Ⅱに参加した最大
の成果は何といっても関係者の間で BIMと
は何か、
それよって何が実現されるのかにつ
17
風環境解析からボリウム配置を検証
すとりーむ
り組んだことが大きかったと考える。バー
まるで合宿のような楽しさ
BIM の本格展開に向けて
チャルコンペだから「水平・垂直は止めと
一番楽しかったことは、
普段あまり付き合い
BIM の今後は明るい未来とそれに向けて
け!」
という幹部からの叱咤激励もあり未来
のないメンバーが力を合わせ一つの目的に
の数多くの課題の解決と言える。技術的な
志向で取り組んだ。それによって皆が前向き
邁進できたことであろう。まるで学生時代
課題の第一は各ソフト間での容易で確実
に楽しみながらコンペに取り組むことがで
の合宿か運動会のような雰囲気であった。
なデータ連携の実現であろう。データの種
きた。
湾曲し、
なおかつセットバックしてゆく計画
類だけでなくデータのレベルに関してのコ
また、
未来志向でありながらも
「実際に施工
案を見て最初は嫌がっていた構造、
設備の担
ンセンサスの確立も重要である。風シミュ
できる」
ことにこだわったことも成功の大き
当者が最後は面白がって取り組んでいた姿
レーション用の建物モデルに詳細データは
な要因である。既存の緑を守りながらⅠ,Ⅱ
や、
コンペ終了の 30 分後にバラバラに作業
必要ないのだ。環境シミュレーションソフ
期共通で使える仮設構台計画や、PC 化に
していたメンバーがクロージングのミーティ
トについても欧米で開発されたソフトのま
よる施工計画を立案し、躯体データをベー
ングに集合し全体の成果品を見たときの達
まのものが多く、日本での実用に耐えるも
スに作成したPC 部材を用いたアニメーショ
成感や拍手は忘れられない経験となった。
のとなっていない部分があり今後の改善が
ンにより施工計画の検証を行った。設備に
望まれる。
おいても配管の更新シミュレーションまで行
実務上の課題はBuild Live Tokyo 2009 Ⅱ
い
「実際に施工できる」
ことを確認している。
で 構 築した「設 計 施 工の BIM」を実 務 に
それと忘れてはいけないのがアライアンス
展開することである。この実用化に向けコ
メンバーのサポートである。一部の環境シ
ンペの中で明らかになったハード、ソフト、
ミュレーションやシステムサポートそしてプ
データ連携上の課題の解消に向けた取り
レゼンテーション等、彼等の支援がなけれ
組みや、建物モデルの施工現場への早期
ばここまでの成果を出すことはとてもできな
配布などの取り組みが開始されている。
かった。
湾曲した上に、セットバックした計画
スタート前の
スケジューリングが全て
苦労したのはやはりスタート前の体制、
スケ
ジュール作りであろうか。まずコンペ参加の
オーソライズ、
関連部署やアライアンスメン
バーへの声かけと担当者の決定。次に作業
リストの作成、
ワークフローの設定とそれぞ
施工アニメーション
れの作業時間の積み上げ、そしてそれに基
BIM の実務展開は近い
知識と経験、
マシン能力の限界で最後に苦労
づく必要人員の割り出し。並行して行った
BIM はとにかく取り組む時代
BIM スキルのある要員のノミネートと合わ
最後にこれからBIM の導入を検討されてい
やろうとしたことの中で一番うまくいかな
せ役割分担と全体スケジュールを組み上げ
る方々へひと言いうとすれば、BIM の導入
かったのが二次元表現の出力であった。平
た。夏休み明けからの取り組みだったため、
は、もう様子を見ている時ではなく、とにか
面図については当初はいわゆる線画の平面
これらの作業を二週間半でやらざるを得
く使ってみる時だということ。
図を作成しようとしていたものを、
途中で方
ず、最終スケジュールの決定はコンペ開始
使ってみて何ができ何ができない
(不得手)
針変換し 3D データから直接 PLAN の切り
日の朝となった。
かを理解するとともに BIM が具現化する将
出しを行うことに変更した。コンペに備えて
もう一つの苦労した点は、
各ソフト間のデー
来の設計・施工の在り様を実感することが
急遽 64bitワークステーションを数台用意
タ連携であった。どのレベルのデータをどの
大切だ。ソフトについても一つのソフトで
したものの、
それまで扱ったことのない複雑
フォーマットで送ると最も連携がうまくいく
多くの分野をカバーするというよりそれぞれ
なデータにマシンの台数 , 能力が追いつか
か の 試 行 錯 誤 が 最 後まで 続 いた。また
の分野のベストのソフトを使い、
それらをい
ず文字などの加筆のできないまま提出せざ
「データ」連携が容易になればなるほど「正
かにうまく連携させてゆくかが重要になって
るを得なくなった。作業の都合上データを5
しい情報の伝達」
が重要になることを肌で
いる。
分割して作業を行ったのだが、
最後にデータ
感じた。双方向で調整が進み、
刻々と変わっ
BIM 本格導入後半年の清水建設を中心と
を合体させたところで不具合が発生した。
て行く建築データの変更履歴を管理しメン
したチーム
「すとりーむ」
のBuild Live Tokyo
このモデルデータの大きさと作業性(共同
バーに確実に伝達する仕組みが今後必要
2009 Ⅱ入賞が皆さんのBIM導入の引金に
作業)
は今後の課題といえる。
になるであろう。
なれば幸いである。
3D データから切り出した平面図
配筋おさまり検討
通風の検討
18
Build Live Tokyo 2009 II
T’
s kitchen
近未来設計室で体感した、
BIMの無限の可能性
大成建設株式会社
設計本部
技術センター
セコム株式会社 IS 研究所
今回の BLTⅡでは、
われわれのチームは、
通
る緑豊かな庭園と、建物の間を抜けてゆく
常のコンペと同様に純粋に良い建築と環境
風が、とても気持ち良かった。そこで、チー
を作り出すことをめざした。事前の現地調
ムメンバーによるディスカッションの後に、
査の際には、
光・風・緑など、
建築をとりまく
既存樹木を極力残し、
かつ、
風が気持ちよく
自然環境が非常に強く印象に残った。その
抜けてゆく配置計画、
住戸内部の計画を検
環境の良さを最大限取り入れた建築のあり
討してゆく方針が設定された。コンセプトの
かたとして、
「集落のような集合住宅」
という
キーワードは「集落に吹く風」
。チームが一
キーワードがチームメンバーの中に浮かび
つにまとまった。
上がってきた。自然環境に取り囲まれた、
離
散的な建築のありかたを実現するために、
BIMを駆使した。クリアするべき課題は、
多
岐にわたる。中でも、
日影規制や斜線制限、
高度地区規制、
平均地盤面の算定などの法
規制をクリアする形態を48 時間の間でつ
現地調査の様子と計画イメージ「集落」
くりだすことをできるかが、
最大の難関だと
思われた。BIMを使って設計をすることは、
近未来設計室
通常業務でも行っている。そこで、
将来的な
大 成 建 設 の 技 術 セン ター の 実 物 大 VR
BIM のあり方を見据え、近 未 来 的 技 術に
(ヴァーチャルリアリティ)
システムがある部
チャレンジした。1つは
「近未来設計室」
。も
屋を、
「近未来設計室」として使用すること
う一つは、
「遺伝的アルゴリズム」を利用し
とし、メンバーが集まった。幅 5.6m×高さ
た建物配置計画である。
2.4m の大画面には、
次々と建物モデルやシ
ミュレーション結果がディスプレイとして、
集落に吹く風
19
映し出される。
内井昭蔵氏による実験集合住宅、
宮崎台ビ
3 次元モデルは、
専用のメガネをかければ立
レジを訪れた際に、敷地面積の 8 割をしめ
体視できる。1/1のリアルスケールで空間を
T s kitchen
確認。近隣や中庭から見た建物の圧迫感や
遺伝的アルゴリズムとは、生命の進化過程
ションプログラム上での配置変更と、再シ
距離感、住戸内部の開放感などが、実際に
のように、
個体の生成と淘汰を繰り返し、
最
ミュレーションのサイクルの繰り返しによる
はどのように感じられるか確認した。
適な答えを探索してゆく計画手法である。
トライアンドエラーを何度も行うことで、
配
優れた計画は別の優れた計画の性質を取り
置案をブラシュアップしていった。
入れ、
更に優れたものへと進化していく。優
近未来設計室
劣を判断する基準は多岐に渡る。法規を満
セキュリティ
足しているのはもちろんのこと、
日照の充足
セキュリティの検討は、
セコム株式会社 IS
度、
収益性など。何万通りのシミュレーショ
研究所と連携して行った。テーマは自然監
ンの結果、
配置案が絞りこまれていった。
視。セキュティを防犯カメラ等でがちがちに
その中で、
集落のイメージにあうもの、
想像
固めるのではなく、
「地域」
「各住戸」
「中庭」
が膨らんでゆくものを複数案抽出、
その後、
からの視線がまんべんなく注がれる計画と
風のシミュレーションを行いながら、
一つの
した。
配置計画を選択した。
そのために、
視線がそそがれる部分、
死角に
また、この近未来設計室は、テレビ会議の
なる部分を、
「視線を光とおきかえる手法」
システムを用いて、セキュリティを検討して
でシミュレーションした。すなわち、光があ
いるセコム株式会社 IS 研究所のチームと
たる部分は視線が注がれている。視線が届
連 携。PC の画 面共 有とウェブカメラによ
かない部分にのみ、最低限の防犯カメラを
り、お互いに何が行われているかを常に把
設置した。敷地へのアクセスの制限は、
塀や
握することが可能となった。
門でするのではなく、
地形の操作で行った。
自然監視と地形の起伏により、
しなやかに
守られた集合住宅が創出した。
建物ボリューム配置のバリエーション
シミュレーションの
トライ& エラー
セキュリティシミュレーション
シミュレーションできるもの、
できないもの
建物ボリュームを VR(立体視)で確認
遺伝的アルゴリズム
BIM によって、
様々な要素がシミュレーショ
ン可能となった。また、
建物による圧迫感や
吹き抜けを見下ろした時の恐怖感すら、
VR
空間で体験することができる。しかし、
一方
で、
デジタルに定量化できないコミュニティ
シミュレーション結果を見ながらの検討
内のつながりやアクティビティといった、
シ
ミュレーションされ得ない要素も存在する。
遺伝的アルゴリズムにおける進化のイメージ
BIM データを活用して、さまざまなシミュ
これら両者を総合的に理解し、重ね合わせ
レーションを行った。
て検討できる設 計者が、近未来の設計者
斜線制限・高度地区規制・平均地盤面の算
自然換気、
構造の応力の解析、
採光。なかで
像として求められるのではないだろうか。
定 etc)
がかかっている。一棟型であっても、
も、建 物 配置による風の流れの 変 化のシ
法規制をクリアする形態を導き出すことは
ミュレーションは、
リアルタイムで行った。ラ
難しい。ましてや、われわれのイメージであ
ピッドプロトタイピングという、シミュレー
計画敷地には、複雑な法規制、
(日影規制・
る「集落のような集合住宅」
、即ち、離散型
で、高低差をもって分散配置した建築集合
体で、法規を満たすことは不可能と思われ
た。48 時間で不可能を可能とするために、
遺伝的アルゴリズムによる手法を利用した。
遺伝的アルゴリズムプログラムの画面
20
Build Live Tokyo 2009 II
BIMによる実現可能な「可想現実」
異業種コラボレーションで
BIMを発注者・エンドユーザーまで展開
前田建設工業株式会社
[意匠] 綱川隆司 瀧田由美子
三原直也 南健太郎 山城正徳
廣瀬勇 三木文枝 谷昌明 榎本裕亮
三箇将容 篠崎邦博 行實明花
更なる BIM と IFC の可能性を
求めて決めた 2 回目の参加
でありながら非常に難しい課題でした。48
チーム「SKUNK WORKS(スカンク・ワー
でも、実際に建替えを期待されている物件
クス)
」
は、
前田建設工業、
リック、
テクラ、
グ
であり事業的な現実性を求めるか、或いは
[構造] 辻直樹 久村明子 渡邉寛也
ラフィソフト、
アドバンスドナレッジ研究所
それは二の次にしても仮想物件として建築
[設備] 稲垣利行 松尾聡 部谷隆弘
の前回 BLTのメンバーに加え、
マイクロソフ
の意匠設計的な可能性を求めるか、
方向性
[CG] 吉田美夏 石川高志 原田祐介
ト、
マイスター、
日野自動車という異業種を
は大きく2 つに分かれました。
[解析] 佐竹晃 丸山勇祐 久保俊輔
も含めた総勢 46 名が、
「実在する共同住
[施工] 小池健 東間敬造 是川敏輝
宅の建替え」という非常に難しいテーマに
大沢雄司
挑みました。前回の BLT で既に高い評価を
[広報] 岩坂照之
[special thanks] 中澤泰彦 五十嵐弘樹
株式会社リック
[ランドスケープ] 奈村康裕 森林太郎
頂きましたが、
イベント全体を見ても本来の
目的であるIFC の活用が十分ではないとい
う思いがありました。建築設計からさらに上
流の企画段階、
或いは竣工後の維持管理ま
穴澤麻衣子 長田昇
でをシミュレート出来るBIM、そしてCAD
[広報] 石田卓也
グラフィソフトジャパン株式会社
[データ連携] 志茂るみ子 平野雅之
テクラ株式会社
[構造] 関戸宏幸 鵜沢和己
株式会社アドバンスドナレッジ研究所
や解析の様な慣れたソフトだけでなくさら
に IFC の拡張された使い道はないか、とい
株式会社マイスター
[FM] 田村慎治 伊勢和史
マイクロソフト株式会社
[インフラサービス] 木村佳代
日野自動車株式会社
[コラボレーション] 関口裕治 渡邊邦彦
(順不同)
3 次元での法規のチェック
う着目で新たなパートナーと組み、
2 回目の
最終的には前回の BLTと同様で我々のスタ
参加となりました。
ンス、つまり通常業務と変わらない姿勢と
成果品、が決め手となり、事業面も含めて
[解析] 筒井正人
21
時間に先立ち行われたワークショップの中
厳しい敷地条件と課題内容に
割れた 2 つの意見
「本当に建てることが出来る」
計画を追及す
高低差が大きく法規制が厳しい敷地条件、
をもじり
「可想現実」
というコンセプトとしま
事業的に考えて確保すべき住戸数、これか
した。つまり可能になる仮想だけで夢や豊
らの持続的社会への対応など仮想コンペ
かな暮らしを創出しよう、
というものです。
ることになりました。これを我々は仮想現実
SKUNK WORKS
入居権的スキームの思索と
四葉の形態に至るプロセス
事前のワークショップは既存建物の分析と
敷地の法規的な調査に始まり、
社会問題と
してのマンション建替議論まで思索は及び
ました。技術的に構造体
(ハード)
の寿命は
延ばせますが、内包する仕組み(ソフト)を
熟慮しなければマンションがスラム化する
のを止められません。やがて我々は
「大きさ
や間取りの異なる住戸を、
家族構成の変化
にあわせて住み替える」
「この場所に住み続
ける」というコンセプトにいたります。その
時々に最適な間取りを選択できる
「入居権
的スキーム」
を念頭に計画を進めました。ま
た斜線制限・日影規制をクリヤし、
より多く
の住戸数を確保するためには外廊下型では
なく敷 地の高低差に細かく対応できるス
キップフロアの階段室型というアイデアが
コミュニティバスのイメージ
出てきました。四葉の形態をしたユニットが
た、
楽しい挑戦でした。
作成が行える環境となり、プレキャストの
敷地の高低差に合わせてランダムに配され
プレゼン資料及び図面のまとめ方は販売パ
版図や施工シミュレーションを盛り込みま
た住棟のイメージにたどりついたのです。
ンフレットの体裁としました。実際に全てを
した。
まとめると今回の仮想物件のパンフレット
3D・シームレスチームについて補足します
になります。
が、
前回の BLTから今回の BLTの間に立ち
これは単にパロディとして行ったのではな
上げた新しい組織です。ここでは 30 数名
く、先の発注者側のニーズがあり且つ実際
のメンバーが BIMツールを用いて意匠・構
に存在する入居者の方々にもわかりやすい
造・設備の設計と監理、
そして施工図の作成
ことからの採用です。パンフに添付の図面
を行います。ここでいう
「シームレス」
とは、
もBIM モデルを利用して省力化を図ってい
設計図と施工図の境目を無くすという意味
ます。
で BIIMで構築された情報を最大限有効活
用することを目標としています。
階段室ユニットのイメージ
進化する BIM と
変えていくべき組織と業務フロー
このように BIMをきっかけに業務フローや
BIM の力で何が出来るのか ?
48 時間で見えた「未来」
今回仮想のエンドユーザーの要望に合わせ
ツールに留まらず業務そのものを変革する
今回のイベントにおいて、建築計画的には
てリアルタイムに住戸プランをカスタマイズ
概念となりつつあります。
あくまで現実路線を貫くことに決めました
する実験を目論んでいましたが担当がイン
また今回 IFCは私たちのデータ連携の中で
が、一方では前回には無かった新しい取り
フルエンザで戦線離脱し完結できませんで
より重 要 性を 増しています。ArchiCAD、
組みを盛り込みました。それは
「異業種コラ
した。
Tekla Structures、Tf@s 等設計用 BIMツー
ボレーション」と「未来の BIM の先取り」で
そんなトラブルもありましたが、
前回からの
ル 間でのデータ連 携だけではなく、解 析
す。以前よりBIM について発注者にあたる
半年の間に主力のArchiCADはひとつのモ
ツールであるFlowDesignerやエンドユー
方々にご説明する機会はあったのですが、
デルを多人数で同時編集のできる、
「チーム
ザー向けのVisio へのデータ連携にも使用
設計ツールとしての優越はあっても互いに
ワーク」
機能を実装したり、
風解析では技術
しています。
データを共有する意識は希薄でした。単純
研究所と計算サーバーを共有化しモデル入
にゼネコンの内部で完 結するBIMではな
力と解析を設計側で行い考察を技研が行
く、今回は発注者およびエンドユーザーへ
う新しい作業フローを試したりと大きく進
メリットのある「BIM3.0」を模索しました。
化しました。
組織までも変化を始めました。BIM は単に
それが Bing Maps、
および Visioとのデータ
共有です。
また昨今カーシェアリング等の新しい自動
車とマンションのあり方が模索されていま
すが、
果たして自家用車以外の魅力的なモ
エンドユーザー向けソリューションのイメージ
ビリティはないのでしょうか ? 今回新たに
まだこれらは完全な状態と言い切れるもの
日野自動車をパートナーとして招聘し、
コン
ではありませんが、それでも我々には既に
パクトな二階建てコミュニティバス、という
回答を用意しました。
施工計画のイメージ
バスを建物の一部として捉えることで、
新し
また前田建設にも 3D・シームレスチームが
いバリアフリーや防災システムを発見でき
発足し、
チーム内で施工の仮設図や施工図
「可想現実」
以上の存在なのです。
22
Build Live Tokyo 2009 II
DESIGN + VISUALIZATION
住宅ユニットと共用空間を「積木」と考え、
集合体である
「Village(日本の集落)」
を再構築
TuMiKi Village
株式会社 ビム・アーキテクツ
(意匠設計・構造設計・VIZ)
コンセプトから設備設計まで
最短の連携でのパラレル展開をめざす
有限会社 ATA 企画
(VIZ)
意匠は、コンセプトデザインから基本設計
に取り組みました。
株式会社 CAST 環境研究所
(設備設計)
構造は、基本計画と断面算定を行い、設備
株式会社 インフォマティクス
(4D シミュレーション)
は、
ユニットプランでの設備モデルの作成と
スタジオハンド
(PV 制作)
コンセプトデザインと全体計画、
住戸ユニッ
オートデスク株式会社
(オペレーション支援)
しました。また、構造設計へは、データでは
計15 名
基本計画を行いました。
ト検討、
設備設計をパラレルに展開し連携
なくコミュニケーションにより最短のデータ
人と住戸の間を考え
生活と共用空間を見直す
連携を行いました。
モデルデータだけでなく、人と人とのコミュニ
住戸ユニットと共用空間を
「積木」
と考え、
1
ケーション連携も今後の BIM 連携と捉え、
つの積木がグループとなり、
そのグループの
実践しています。
積み方、
置き方によって、
空間へ変化を与え
集合体である「Village(日本の集落)
」を再
構築したいと考えました。
生活環境からの環境に対するヒエラルキー
を考え、
Dinks、
Family、
Senior の 3 つのカテ
ゴリーに合わせた住環境を計画しています。
建て替え事業の中で、
既存のコミュニティを
継続できるように、
敷地内での新築→移転
→解体を繰り返し、事業を推進できる計画
としました。
23
TuMiKi Village プロジェクトコンセプト
V-SPEC
設計情報の
伝達の新しいかたちを模索
かったメンバーが多く、この規模に必要な
ションの連携もBIM の重要な一部であると
設計を行うためのマンパワーが不足してい
実感です。
設計事務所としての取り組方や提案を施工
た点があげられます。ワークフローにおいて
までではなく、
計画する責任の中で、
如何に
は、いかにソフトが優れていても設計者の
BIMを利用するかを考えました。前回
(Build
個人レベルで作業を行い過ぎると連携が難
Live Tokyo)の参加で表現できなかった部
しくなってしまいます。業務が集中してしま
分へのリベンジと、
設計事務所としての BIM
い、十分な情報連携と伝達が行えずパラレ
ソリューションへの挑戦のため、V-SPECと
ル作業を集約できずに終わってしまった、
してのテーマであるDesign+Visualization
という点が今後の課題です。
による表現方法や演出により、
設計の情報
TuMiKi Village 建築モデル
の 伝達の新しいかたちを表現したいと考
BIM 活用の今後の課題として、
人材の確保
え、
以下の点に留意しました。
●
小規模事務所としての実務連携
●
現業務(2D)と連 携した、現在の BIM
と、
今できるBIM、
日本の BIM について考え
TuMiKi Village 解析・シミュレーション
ることが大切だと思います。そのためには
設計業務を受け身型のビジネスから提案型
実務連携
BIM による
新しい設計とその手法
のビジネスに変え、
設計業務の価値を明確
Build LiveⅡに参加して、アイデアをかたち
計業務に IT 技術を取り入れ、
改革を進める
具体的には、日影や構造計算ソフトなどBIM
にしていくことや BIM 業務を想定したコン
ことが必要です。IT 技術で設計業務は合理
対応でないものを使っている協力事務所と
ペとして大手ゼネコンと肩を並べて戦えた
化されますが、決して設計の発想を制限す
の業務連携に必要なデータの作成の指示
ことは、
非常によい経験となりました。今回
るもではなく、
むしろ今まで以上に設計する
にきめ細かな対応をし、
また、
設計業務の一
は人手不足という展開の中で、何を切り捨
ための情報を多く見ることができ、最適な
人一人の役割を明確にし、コンセプトと基
てるかが常に難題でした。
設計条件をリアルタイムに確認ながら設計
本設計、解析などをパラレルに作業するこ
そのような苦戦のなか、データ連携におい
していくことが可能になるのです。今、BIM
とにより短期間での作業集約と情報共有
て、
パースやアニメーションを作るために利
を取り入れることは、
新しい設計手法や新し
を目指しました。
用してきた 3dsMAX がデータコンバータや
い設計そのものを見つけるための最適な手
データを精査するためのハブ的な役割を果
段であり、
プロの設計ツールとして必須のア
たすという発見がありました。コミュニケー
イテムである、
と改めて思っています。
●
設計事務所としての計画提案
●
複雑なユニットプランの計画と具体的
な提案
にしていき、
若い世代に夢を与えながらも設
TuMiKi Village 構造モデル
設計業務連携と
ワークフローの課題
今回、コンセプトについては今までにない
表現手法と立体的な構成のプランを試みま
した。コンセプトレベルでの表現やプランに
ついては、頭の中でのアイデアを具体的に
提案することができたと思っています。しか
しながら最終提案においては、コンセプト
と基本設計を合成するまでには至りません
でした。一番の原因として、各人が 実務を
行っている中で、
このイベントに参加できな
24
Build Live Tokyo 2009 II
チーム F8W16
BIMとVRの活用
UC-win/Road
[アドバイザー]
チーム F8W16 は、フォーラムエイトの各シ
これらのシミュレーション環境はチーム内
福田 知弘 准教授
(大阪大学大学院)
ミュレーションソフト担当者とVR 作成の担
で全て準備した。
Prof. Kostas Terzidis
(Harvard University )
当者をメンバーに、
大阪大学大学院福田准
3.F8W16メンバーの共生
教授らをアドバイザーとして招き結成され
国際色豊かなフォーラムエイトメンバーと建
た。フォーラムエイトはシミュレーションソ
築・都市分野でデジタルデザインを実践す
フト、BIMソフトウェアを多数扱っており、
るWorld16メンバーとのコラボレーション
BIM 連携の可能性を試したいと考え、
また、
を実施。World16メンバーは、
日本、
アジア、
それらを多くの人に知ってもらうことを目的
アメリカ、
イギリス、
中東、
チリなど地球上に
とし、Build Live Tokyo2009 IIに参加した。
分散している。今回は、
大阪大学とハーバー
Taro Narahara
(Harvard University )
[メンバー]
株式会社フォーラムエイト
意匠・構造設計、各種シミュレーション、
VR 作成 18 名
ド大学のメンバーが準備段階から参加。コ
コンセプト「共生環境」
ンペ開催中、テレビ会議は、東京・名古屋・
チーム F8W16 のコンセプトは以下のよう
大阪、そして米国をも結び、限られた時間・
なものであった。
異なる時間帯という厳しい条件の下で、メ
1.自然と人工との共生環境デザイン
ンバーが積極的に関与しながら知識・知恵
生物多様性・コミュニティ農園・複雑な斜面
の創発を目指した。
との調和といった自然的要素と、
都市生活・
25
デジタルデザインといった人工的要素とが
使用したソフトウェア
共生した環境デザインに挑戦。都心近郊の
自然環境と人工の共生環境というデザイン
集合住宅では、
食の安全の場・癒しの場・コ
上のコンセプトを、VRソフトであるUC-win/
ミュニティの場・環境教育の場として農園を
Roadをはじめとしたソフトウェアで表現し
敷地内に設ける事が重要だと考える。
たいと考えた。フォーラムエイトが開発・販
2. 共生シミュレーション環境の構築
売する各種ソフトウェアを駆使し、シミュ
建 築 設 計用 BIM「Allplan」のみならず、熱・
レーション環境を構築した。以下に各ソフト
交 通・避 難・景 観・VRなど,あらゆるシミュ
ウェアを簡単に紹介する。
レーション環境のデジタル結合を目指す。
1.UC-win/Road
チーム F8W16
バーチャルリアリティによる検討とシミュ
6.xpswmm
翌朝各担当者にデータを渡し、構造解析等
レーション及びプレゼンテーションを行っ
氾濫シミュレーション。川崎市の下水道台
シミュレーションを開始することができた。
た。周辺環境をリアルに再現するとともに、
帳を使用し、下水道網を入力、敷地周辺の
シミュレーションの結果と建物モデルを順次
ボリュームモデルの設 置による形態の検
氾濫をシミュレーションした。
UC-win/Roadで作 成したVR 空 間へ落と
討、
日照のシミュレーション、
ドライブシミュ
7.EXODUS
し込んでいった。VRでの検討やプレゼンテー
レータによる駐車場アクセスの検討などを
避難シミュレーション。建物からの避難時
ションのためのデータ作成は、限られた時間
行った。また、
コミュニティ農園やコミュニテ
間を計算。在室人数の異なる、
昼間・夜間の
の中、VR 作成メンバーが総出で作業をし完
イポンドなどを再現し、
交通シミュレーショ
2 パターンについて解析を行った。
成に至った。敷地周辺の交通や氾濫など都
ンや避難シミュレーションなどの結果を表
8.UC-1シリーズ 調整池の設計
市的な視点でのシミュレーションと計画を行
示するなど、データ上でリアルなプレゼン
コミュニティポンドとなる敷地内調整池の
い、人間の動きや植栽などを配することで、
コ
テーションを行えるようにした。
容量決定をした。
ンセプト通りのエコロジカルで統一された環
また、
UC-win/Roadはユーザーがモデルを
9.TRANSYT ・ OSCADY
境を表現することに成功したと考えている。
ダウンロードして使用できるデータベースが
交通解析。敷地周辺と駐車場進入路の交
48 時間の中でライブでデータをアップロー
あるが、
共生環境というコンセプトを持った
通解析を行い、
最適な信号現示と駐車場入
ドしていくという作業は、
他のチームの動向
このプロジェクトならではの、
農園に雨水を
口を検討した。
も見ることができ、
非常にエキサイティング
であった。景観検討をするために VR の空
撒く人などのモデルも今回新たに作成した。
準備とデータ連携
間に建物のスタディモデルを何種も落とし
設計課題が発表されるまでの期間は、コンセ
込んだ画像や、
建物の構造フレームが揺れ
プトメーキングとデータ作成準備を行った。
る動的解析のムービー、チームメンバーの
アルゴノミックデザインで有名なハーバード
様子を撮影した写真など、71ものファイル
大学のコスタス教授や楢原太郎氏にアドバ
をアップロードした。
イスをもらい、コンセプトを練った。最終的
ドライビングシミュレータ
に福田准教授にそれらを反映させたコンセプ
今後の課題と展望
トをまとめていただき、メンバーで共有した。
当初、シミュレーションは設 計にフィード
2.Allplan
データ作成の準備として、
1日をかけて現地
バックができることを想定していたが、
そこ
建築 BIMソリューション。基本設計レベル
取材を行い、敷地周辺環境をVRで作成し
まで至らず、
解析結果をVR へ落とし込むこ
での建物のモデリングと、各種シミュレー
た。VRをプレゼンテーションだけでなく検
とで精一杯であった。シミュレーションの
ションソフトへのデータの受け渡しと、
数量
討のツールとして使用するべきだというコス
フィードバックは、
BIMを考える上での共通
計算を行った。
タス教授のアドバイスから、
周辺環境もVR
の課題であろう。
上でリアルに作成した。そうしたことで、計
48 時間という限られた時間の中での作業
画した建 物をVR 空 間 上に設 置した時に
から、シミュレーションの結果が BIM モデ
は、
近隣の建物や往来とどんな関係になる
ルに戻っていかない、データ連携のための
かが一目瞭然であった。
モデリングのし直しなどで時間がかかると
データ連携をどのように行うかを事前に計
いった問題が浮かび上がった。今後 IFCな
画 す る ことも 重 要 で あ った。Build Live
どによるデータフォーマットの標準化と、
組
Tokyo 2009 IIでは IAI日本から敷 地の地
織的にはモデル作成時のルール作りによ
3.UC-win/FRAME3D
形、周辺建物の IFC データが提供されたの
り、
よりシームレスでダイレクトな連携が行
構 造 解 析。設 計 し た 建 物 の 一 部 に、
で、それをAllplanで読み込み、基 本設計を
われるようになることでこの問題が少しず
EL-CENTRO、
兵庫県南部地震
(1995)
、
新
行い、設計を行った建物のデータを各種シ
つ解消していくであろう。
潟県中越地震(2004)の加速度を与え、動
ミュレーションに流し、
フィードバックを経て、
今 回のチーム F8W16 が提 案したモデル
的解析を実施し部材断面を検討した。
最 終 的に Allplan の 数 量計算と、UC-win/
は、
通常
「BIM」
と言われているもの、
想像さ
Road のVR 上 にモ デルを 渡し、プレ ゼ ン
れるものとは少し変わっているかも知れな
テーションを行うことを想定した。その連携
い。それはVRを利用し「都市」を扱ったモ
のためのデータ形式、
モデルの作成方法を
デルであり、建 築 分野だけに留まらない、
事前に確認しておいた。
BIM の一つの方向性を示唆している。
Allplan に IFC の敷地データを読み込み、モデリング
これからBIMを導入していきたいと考えて
FRAME3D による動的解析
(断面応力/ひずみ結果)
イベント開始
いる人には、
様々な BIMソフトがあるという
イベントが開始し、所要室数や駐車台数な
ことと、
建築だけではなく都市的なレベルで
どが発表され、
早速全員でミーティングが行
もBIMとVR が活用できるようになってきて
われた。まず、
役割分担を再度確認し、
福田
いるということを覚えておいて欲しい。
4.Advance Steel
准教授と意匠設計の担当者
鋼構造設計。鉄骨階段の設計を行った。
がプランを考え始めた。イベ
5.DesignBuilder
ント開始当日18 時に課題発
エネルギーシミュレーション。
建物の熱収支、
表があり、24 時までにプランを
消費エネルギーとCO2 排出量を算出した。ま
フィックスさせる予定であった
た、
風と温熱環境をCFD 解析を行った。
が結局徹夜でプランを作成し、
レンダリングパース
26
Build Live Tokyo 2009 II
Team 48
場所と時間を越えて、
環境をかたちに
(株)フジタ 設計・技術部有志
当社では、20 年以上前、COMPASS とい
[設計系]
う大型コンピュータによるCADを自社開発
②環境エンジニアリングとのコラボレーション
石井 俊光
増山 哲也
していました。それは、単なる2D の作図に
設計とシンクロしながらエンジニアリング
守本 明生
今村 峻介
とどまらず、
構造・設備対応、
3D、
生産設計、
検討やシミュレーションを行いたい。環
現海 理
多田 知代
積算までを試行していました。考え方は最
境配慮をどこまで設計に入れ込めるか ?
平沢 佳苗
堀田 忠義
新の 3D CADと同じで、
当時は実際に実施
③BIMを主体としたプラットフォーム形成
神山 藍
鮫島 光一郎
図や 3D パースの作成など相当量の業務を
一元化したデータの流れの確認
渡邉 昌也
漆間 陽子
こなしていました。しかし、パソコンのない
④干渉チェックと工事との連携、
東園 宏仁
柴田 麻衣子
下田 聖二
秋山 茂雄
越山 浩次
小林 直樹
[技術系]
時代、大型ゆえの操作性の悪さ、オペレー
積算の試行
ター入力の複雑さ等により、
設計段階にお
意匠・構造・設備を同時に検討したい。工
けるコミュニケーションのツールにはなら
事との連携を早い段階から行いたい
ず、だんだんとその役割を失っていきまし
た。そして月日は流れ、昨年の1月から3D
小田 博志
山本 卓也
CADを導入、
BIM の可能性を検証する取り
野々村 善民
増田 圭司
組みが再び始まりました。20 年前に夢に携
田原 健一
綿谷 重規
わった方々の思いを再 現したい、そして、
小谷 朋央貴
平手 顕
竹内 計一
[協力]
ジオプランニング
アトリエニシモリ
27
(支店−本社−技術センター)
ゆっくりとした歩みを少し速めるために、
今
回参加を決めました。
今回の参加で
進めようと思ったことは
①場所と時間を超えて
テレビ会議の様子
その為に、われわれは
まず 9月9日以前からメンバーのコミュニ
地理的な隔たりと、
社内の縦割りを越え
ケーションを図るために、週 2 回程度(計 5
た若いプロジェクトメンバー間のコラボ
回)テレビ会 議を行いました。コンセプト
レーション
メーキング、ボリュームスタディ、環境とい
Team 48
う視点からどんな分析が必要かなどを、
メン
む)で の 騒 音、建 替えフロー、施 工シミュ
くことも重要です。プロジェクトに関る情報
バーで話しながら進めていきました。また、
レーションでは、
解体と新築の相互的な関
を一連の工程作業として利用できるプラッ
風や音や環境保全(緑化等)などの環境評
係性が容易に判断できることから、
工事期
トフォームを構築し、関係者が容易に利用
価分析が、
短時間で結果がうまく出せるかと
間中における細やかな近隣への配慮や環
できる環境づくりと、その情報利用をする
いうことを確認するために、
ファイル形式や
境を提案することができました。また、みん
際に、最適なワークフローやプロセスの見
アウトプットのテストを行いました。
ながコンセプトを理解していたことと3Dモデ
直しを行ってこそ、BIM のメリットを活かし
ルデータによって、最終プレゼンテーション
ていけるものと思います。
48 時間でここまで
の手間が少なくなったと思っています。1 人
我々のチームの 編 成は、東 京・名古屋・大
の司令塔からの指示というよりも、みんな
阪・九州などの遠隔地であり、
なおかつ若い
が成果品で表現する方向性を理 解してい
この 48 時間には
いろいろなものが詰まっていました
設計者が大半です。離れていても情報の共
て、
多元的に個々が動いていってまとまって
今回、
他のチームが同時に進行している状
有化ができて、
濃密なコミュニケーションが
いった感じがありました。
況がわかり、焦燥感と葛藤しながらコンペ
図れ、
また経験をカバーできるように、
計画
を進める状態は、
まさにエキサイティングと
条件のチェックリスト作成や 3D 仮想モデ
いう言葉に尽きると思いました。そして、
48
ル内をウォークスルーしながら、
各自の構想
時間は大変短いため、
タイムスケジュールに
をメンバーに説明するという方法を取りまし
あるデータ作成が遅れると、
どんどん波及し
た。また、技術系のメンバーともこれら3D
ていって、
全体の遅れを生じていきます。解
のイメージにより、
活発な意見交換をしなが
決できない問題も起こりました。ひとつの
ら、今回の課題に対するチームメンバーの
ワークフローを補完できるような仕事の流
視野が広がっていきました。このような準備
段階を経て、
いよいよ48 時間がスタートし
ました!
れをいろいろ考える必要があることも痛感
工事騒音シミュレーション
しました。
先ずはスタートダッシュの 6 時間。会議と検
出来なかったことや、
むずかしかったことは
BIM 活用の今後の課題は
討を繰り返し、
実際にモニター上の 3D 仮想
ひとつは、初期段階でのデザインモデリン
前述したように設計者の気持ちだと思って
モデルで形を変える作業もしながら、メン
グが慣れていないということでした。2Dを
います。設計者は使うのが簡単で便利でわ
バーひとりひとりが計画案を作成していき
主体としたデザインプロセスと3Dでの作
かりやすいと使い始めます。
ました。おおよその配置と形、コンセプトを
業を併用させて進めてはいましたが、
なかな
大筋で何とか深夜には固めることができま
か手間取りました。やはり各メンバーのスキ
した。コンセプトとしては、
この共同住宅の
ル、
建築への深度の違いで、
思うように元と
設計者に
そう思ってもらうためには
生きてきた 40 年という時間 を 48 時間
なる3D データが仕上がらず、
最後のほうで
すぐ BIM が活用できる。1日くらいで。とい
で創り直す、さらに 未来の時間へ という
は時間が読める2Dでの作業へ移行した部
うのが重要だと思います。先日、
どんなパソ
時間と環境との関係を形にしていくことを
分もありました。2 つめとして、
モデルデータ
コンでもウォークスルーで 3D 画像を見るこ
掲げました。
が、意匠・構造・設備・環境チームでの検討
とができるデータを基本計画段階で顧客に
によってはソフトウェアの互換性のため、
お渡したら、ずっとご覧になって、定例のた
3D モデルへ再度戻すことができない部分
びに、
「面白いですよ」とおっしゃりながら、
も残ってしまいました。また、干渉チェック
いろいろなご要望をだされるようになりまし
は活用できるレベルには到達しましたが、
建
た。設計者と施主や利用者が同じイメージ
築パーツ、
独自にカスタマイズしたパーツに
を初期段階で共有できることで、たいへん
属性データを持たせて仕様書作成や原価計
話しやすくなり、
こちらの設計提案に関して
算の試行は、
時間的にアウトプットとするに
も理解してもらえるようになりました。
は至りませんでした。
ランドスケープ提案
このあと42 時間は、時間との闘いでした。
これらを克服していくのには
これから、BIM の導入を
検討している人たちへ
具体的には、
環境評価分析をする時間がク
設 計 者は従 来 の 2Dでデザインや形をイ
BIM は難しいものではありません。我々の
リティカルとなり(風で10 時間、音で 3 時
メージするだけではなく、3D のデザインプ
先人が培ってきた昔ながらの手法・知識を
間)
、3D データをある精度まで最速でモデ
ロセスや設計検証の新たなやり方を模索し
見直して、
3D のデータを作っていくこと、
た
リングして渡し、現況建物との比較分析お
ながら、
設計者の思考を CHANGE するこ
とえば模型を作る感覚と同じだと思います。
よび 環境評 価を行って、計画案にフィード
とが必要だと強く思っています。それは、ど
そしてそこで、
設計者は自由にイメージを展
バックしていきました(風のシミュレートは
の時点で 3D 化に切り替えるかというより
開していき、
更に、
様々な人とのコミュニケー
数案を始まった段階でデータを作成して、
も、はじめから3Dでやってみること、設 計
ションを通して、
今までにない建築物を作り
配 信していました)
。特に、音、採 光、日照、
段階のモデル = 出来上がる建築を意識し
上げる事が出来ると思います。
ゾーニングなどの性格の違う情報を相互に
て、早い段階から、関係者に建築イメージ、
比較し、
検討を繰り返すことで、
計画すべき
空間が共 有されることが必 要だと思いま
環境の全体像がわかってきて、
ランドスケー
す。一方で、
①質の高い情報の蓄積、
②その
プ等の提案が、
短時間で質の高いものとな
情報を活用できる基盤の構築、
そして、
③緻
りました。更に、4 次元上(時間軸を組み込
密且つ正確に入力する作業を充実させてい
28
Build Live Tokyo 2009 II
TEAM-S
設備専門会社の
設備 BIMへの挑戦
新菱冷熱工業株式会社
建築設備の BIM 実現に向けて
は最終的に70 名となり、設 計担当者も合
今回の設計課題は、
集合住宅における建替
わせて90 名もの参加者となった。これだけ
計画の提案であったが、
新菱冷熱工業株式
の人数をチームとして統括するには、情報
会社
(以下、
「新菱冷熱」
)
は建築設備に焦点
の共 有が 不 可欠である。そこで、まずミー
設 計 部・技 術 部・技 術 統 括 部・中 央 研究 所
を絞り、
専門会社として設備 BIM 技術を社
ティングを頻繁に開催するように心がけた。
エネルギーソリューション部
内外に周知させるため参加した。
また、
事務局を設けて、
作業の進行状況・変
以下の部門に所属する技術社員有志
約 90 名で構成したチーム
[部門]
更内容・注意事項等をメールにて参加者全
地球環境との共生を目指して
員へ1時間ごとに配信した。このように意思
集合住宅の建替計画において「地球 環境
の疎通を十分に行うことで、作業の手戻り
に配慮した提案」
を軸に、
設計コンセプトを
を防止することができた。
「サ ス テ ィ ナ ブル な 建 築」として、ZEB
(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を掲げ、
「CASBEE」
(建築物総合環境性能評価シス
テム)
ランキング最高の Sクラスを目指した。
また、新菱冷熱が採用しているS-CADは、
Bentley 社 の「MicroStation」をベースに
開発したDesignDraft
(開発・販売 株式会社
シスプロ)
をカスタマイズしたソフトである。
作業風景
このソフトの基本機能である
「参照」
を利用
「CASBEE」
Sクラスを達成
して、
複数の担当者による短時間で整合性
建築設備に焦点を絞った提案は、
設計担当
の取れた設備モデルの作成にも挑戦した。
者間の連 携で「CASBEE」Sクラスの基 準
を満たす設備システムとなり、
70 名の同時
TEAM-S のコミュニケーション
29
作業による3 次元モデルも完成することが
メンバーは新菱冷熱の社員有志で構成し、
できた。
チーム名を
「TEAM-S」とした。作図担当者
具体的には、
「LED 照明の採用・設備更新
TEAM-S
時の環 境 負荷 低 減としたスケルトンイン
フィル・共同溝・コージェネレーションシステ
ム・雑排水の廃熱利用・雨水雑排水の中水
利用・太陽光発電・生ごみ集中処理」
など最
新の設備システムと機器をアッセンブルし、
地球環境を配慮した建築設備に仕上げた。
企業ポリシー
また、生 活 品 質の 維 持という観 点 から、
「免震構造・カーシェアリング・台所排気の
集中化と脱臭処理・最下階の足元の冷え対
策・細霧冷房」
など、
快適な生活環境も提案
した。
提案設備全景
地下機械室
底が必要だと改めて感じた。
新菱冷熱では社員教育の一環として、3 次
コンペ終了後は参加者で各人の奮闘状況や
元 CAD 教育を新入社員の段階から行って
反省点を話し合うなど、
チームの団結はより
いる。また、
社内プロジェクトとしてS-CAD
強いものになっていた。
利用推進プロジェクトがあり、全国の各事
3 次元 CADを活用して、
設備と建築物との
業 部・支 社で 担 当 者 が 選 任され、社 内 の
干渉を早期に確認し、改善提案を行うこと
S-CAD 普及に努めている。技術社員の昇
のできる新菱冷熱の技術を、
今回のコンペ
級試験でも施工図検定に利用されるなど、
を通して示せたのではないかと思う。
新菱冷熱は S-CAD の操作・運 用をスムー
ズに習得できる環境を整え、
3 次元 CADを
道具として扱うことが出来る技術者の育成
に力を入れている。
実際に体験してみないと
分からないことが多い BIM
機器搬入シミュレーション
3 次元 CAD の性能はここ数年で向上し、
使
有志作例 1
い勝手も良くなっているが、
手間が掛かった
り操作が難しいと感じている人も多い。し
かし、2 次元 CADを使用できる人であれば
2 3日で 3 次元 CAD への移行は可能であ
る。3 次元 CAD の操作性の良し悪しより、
どのように運用するかが重要であると思う。
免震シミュレーション
そのためにも実物件で 3 次元 CADを使い、
達成感が
チームとしての団結力を生んだ
運用を経験することが大切であろう。
有志作例 2
新菱冷熱には意匠・構造等の設計部門が無
いため、
本来の設計課題である建築自体の
提案が出来なかったことが悔やまれる。
3 次元 CAD を道具として扱える
技術者の育成が急がれる
ま た、設 備 シ ス テ ム の 計 画 段 階 で
建 設現 場において、T 定 規・ドラフター・2
「CASBEE」Sクラスを達成できるシステム
次元 CADと、
物作りのための道具は進化し
検 討に予想以 上の時間を費やしてしまっ
てきた。そして、
3 次元 CAD の出現で、
今後
た。機械室のモデル入力時間が少なくなる
は 2 次元 CADから3 次元 CAD に移行する
など制限時間内での完成が危ぶまれたが、
であろうことは誰しもが感じている。しかし
「参照」
機能を活用し分散した作業ができた
ながら、
2 次元の平面図で物作りを行ってき
ので、
無事に入力を終えることが出来た。
た慣習から、
技術者はいまだ3 次元 CADを
次回、
同様のコンペに参加する機会があれ
道具として使いこなせていないのが現状で
ば、他社との協業の検討と、時間配分の徹
ある。
仮想建物と設備の整合
30
Build Live Tokyo 2009 作品集
http://www.iai-japan.jp/
60°