平成20年度事業報告書 - ヒューマンサイエンス振興財団

平 成 2 0 年 度
事
業
報
告
書
財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
目
次
頁
Ⅰ 概 要
1
Ⅱ 一般事業
2
1.一般事業委員会
2
2.開発振興委員会
3
3.規制基準委員会
5
4.研究資源委員会
9
5.研修委員会
12
6.情報委員会
21
7.企画委員会
24
Ⅲ 政策創薬総合研究事業
25
1.研究事業
25
2.推進事業
26
Ⅳ 研究資源供給事業
29
Ⅴ 出版事業
31
Ⅵ 創薬バイオマーカー探索研究事業
31
Ⅶ 厚生労働大臣認定TLO事業
31
Ⅷ 動物実験実施施設外部評価認証事業
32
Ⅸ 厚生労働科学研究推進事業
33
Ⅹ ヒトゲノムテーラーメード研究推進事業
38
(創薬知的基盤整備促進事業)
(1)
国際健康危機管理ネットワーク強化研究推進事業
動物実験実施施設外部評価認証事業
厚生労働大臣認定TLO事業
創薬バイオマーカー探索研究事業
創薬プロテオームファクトリー事業
治験体制整備支援事業
出版事業
創薬知的基盤設備整備事業
創薬知的基盤施設整備事業
ヒトゲノム・遺伝子治療研究事業
先端的基盤的保健医療技術開発研究事業
エイズ医薬品等開発推進事業
創薬科学総合研究事業
ヒューマンサイエンス基礎研究事業
ヒトゲノムテーラーメード研究推進事業(創薬知的基盤整備促進事業)
厚生労働科学研究推進事業
研究資源供給事業
創薬等ヒューマンサイエンス総合研究事業
推進事業
研究事業
政策創薬総合研究事業
新テーマに関する事業
企画に関する事業
情報に関する事業(含む政策創薬総合研究推進事業)
研修に関する事業(含む政策創薬総合研究推進事業)
研究資源に関する事業
規制基準委員会基準に関する事業
開発新興に関する事業(含む政策創薬総合研究推進事業)
一般事業
61
62
63
1
23
4
56
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
〔平成20年度事業特記事項〕
21
平成20年度賛助会員動向
1.平成20年4月1日現在
2.入
104社
会
3社
・フェリング・ファーマ株式会社
・株式会社トランスジェニック
・シェリング・プラウ株式会社
3.退
会
4社
・カネカ株式会社
・日清キョーリン製薬株式会社(杏林製薬株式会社に吸収合併された。)
・日本オルガノン株株式(シェリング・プラウ株式会社に吸収合併された。)
・富士フィルム RI ファーマ株式会社
4.名
義
変
更
△1 社
・田辺製薬株式会社(賛助会員)と三菱ウェルファーマ株式会社(賛助会員)が
合併して田辺三菱製薬株式会社となった。
・第一化学薬品株式会社が社名を変更して積水メディカル株式会社となった。
・社団法人北里研究所が法人組織を変更して学校法人北里研究所となった。
・アムジェン株式会社が社名を変更して武田バイオ開発センター株式会社となった。
5.平成21年3月31日現在
102社
(2)
Ⅰ.
概
要
平成20年度においては、これまでの事業ならびに、平成15年度より開始した「厚生労働大
臣認定 TLO 事業」を着実に実施した。また、新たに平成20年度から「創薬バイオマーカー探索
研究事業」および「動物実験実施施設外部評価認証事業」を開始した。
「ヒューマンサイエンス研究資源バンク」においても順調に細胞・遺伝子・ヒト組織および PSC
細胞株の保管および供給事業を行った。
また、政府が行っている公益法人の抜本的改革に向け適切な対応を取るべく活動している。
平成20年度の事業計画に基づき実施された各事業の活動状況の詳細は、Ⅱ以降に述べる
とおりであり、各事業とも活発に活動し、着実な実績を上げることができた。それらのうち
いくつかを例示すれば、以下の通りである:
(1)「グローバル開発時代における研究開発戦略-創薬の新しいアプローチとパイプライン
創出-」(国外調査報告書)をとりまとめた。
(2)
「がん医療の将来動向 II~先端技術の現状とがん医療への応用に向けて~」
(将来動向調
査報告書)をとりまとめた。
(3)「睡眠障害に関する医療ニーズの調査」(国内基盤技術調査報告書)をとりまとめた。
(4)「バイオロジクスの研究資源に関する調査報告書」(HS レポート No.64)をとりまと
めた。
(5)「臨床予測性を高める創薬研究テクノロジー、研究資源の動向調査」PartⅡテーラーメ
イド医療実現に向けてのバイオマーカー関連施策、探索技術およびトランスレーショナ
ルリサーチ」
(HS レポート No.65)をとりまとめた。
(6)「ワクチン(感染症、がん、アルツハイマー病など)の開発の現状と規制動向 -予防医療
と疾病治療の新たな展開に向けて-」(HS レポート No.66)をとりまとめた。
(7)
「ポストゲノムの医薬品開発とシステムバイオロジーの新展開」
(HS レポート No.67)
をとりまとめた。
(8)政策創薬総合研究事業を適正に開始し遂行するとともに、本事業のさらなる改善に向け
た見直し作業を行った。
(9)新技術移転促進として「バイオマーカーワークショップ」などの講習会、研修会、勉強
会を多数実施した。
当財団はゲノムやプロテオーム科学あるいは再生医療の進展に見られるような生命科学の急速
な発展、あるいは研究・産業分野における活発な国際化に、倫理面を含めて適切に対応できるよ
う、今後とも質の高い研究振興事業を産官学一体となって推進し、日本の医療、科学技術の発展・
向上に寄与していくこととしている。
また、ホームページをさらに充実しわかりやすくし、1,600名を超える読者にメールマ
ガジンを継続して配信するなど、さらなる情報の公開と共有化に努めている。
-1-
Ⅱ一般事業
1.一般事業委員会(6回開催)
・一般事業のうち「2.開発振興委員会」から「7.企画委員会」までの、一般事業全般を主導・
調整し、諸課題の検討、推進等を行うとともに、平成21 年度一般事業関係事業計画を策定し
た。
・ヒューマンサイエンス研究資源バンクにおける、5つの事業(細胞バンク、遺伝子バンク、動
物胚バンク、ヒト組織バンク、データベース提供サービス)の全般にわたって種々の助言を行
った。
・平成20年度から立ち上げた動物実験の外部評価・検証事業の円滑な立ち上げおよび運営に関
わる種々の助言を行った。
・財団活動のさらなる活性化を目指して、
「財団ビジョン-新たな展開を目指して」をふまえて設
置した「新規事業検討ワーキンググループ」による財団新規事業に関する企画提案をもとに具
体化策の検討を開始した。財団機能活性化プロジェクトWGでは、バイオベンチャー企業やT
LOとの連携に関するリエゾン機能の具体的な実施例として、創薬のための相互知的交流を目
的としたバイオインターフェースを実施した(第26回
成20年8月26日、第28回
平成20年5月21日、第27回
平
平成20年11月12日)。
・財団基盤強化の一環として平成15年度から立ち上げた、国研研究等の成果の実用化を促すた
めの「ヒューマンサイエンス技術移転センター(厚生労働大臣認定TLO)」の円滑な活動の継
続に関わる種々の助言を行った。
・産官学の協力体制により新たに平成20年度から立ち上げた「創薬バイオマーカー探索研究プ
ロジェクト」
(プロテオームリサーチセンター)の円滑な立ち上げに関わる種々の助言を行った。
・財団ホームページの運営については、ホームページ運営委員会を設置し、その事務局を情報委
員会に委嘱した。
・メールマガジン「HS eMagazine」を配信し、財団活動等を積極的に広報した。
・賀詞交換会を開催した(平成21年1月14日)。
・賛助会員功労者16名(下記)を表彰した(平成21年1月14日)
。
一般事業委員会
寺澤
弘文(第一三共株式会社)
一般事業委員会、情報委員会
横田
正幸(明治製菓株式会社)
開発振興委員会、情報委員会
鈴木
良邦(杏林製薬株式会社)
規制基準委員会
安達
健一(明治製菓株式会社)
規制基準委員会
伊藤洋次郎(バイエル薬品株式会社)
規制基準委員会
大島
武博(アスビオファーマ株式会社)
規制基準委員会
佐藤
洋一(協和発酵キリン株式会社)
規制基準委員会
多儀
良彦(株式会社三和化学研究所)
規制基準委員会
近見
永一(積水メディカル株式会社)
研修委員会、情報委員会
辻
喜良(アステラス製薬株式会社)
情報委員会
岡崎
隆(杏林製薬株式会社)
情報委員会
加藤
雅俊(佐藤製薬株式会社)
-2-
情報委員会
西室
悟司(日本ケミカルリサーチ株式会社)
情報委員会
宮田
廣志(キッセイ薬品工業株式会社)
企画委員会
柴田
敏裕(アステラス製薬株式会社)
企画委員会
原
修(明治製菓株式会社)
・運営委員会は隔月に6回開催し、一般事業委員会活動の質的内容を強化、充実し補完した。
・会員数(平成21年3月31日現在)。
賛助会員102社
維持会員7社
個人会員32名
2.開発振興委員会(6回開催)
(1)バイオテクノロジー等先端技術を応用した医薬品の研究、応用開発の振興に資
する諸条件の整備、具体化に関する調査検討および促進(一般事業)
(2)官民共同プロジェクト研究支援事業(調査・予測研究事業)への協力
を行う。
(一般事業)
・ 調査・報告書作成
医薬品開発、保健医療の基盤技術であるゲノム科学を始めとする生命科学の最新動向と今後
の展望について調査活動を行っており。 近年、生命科学の分野では様々な網羅的な解析結果
が得られるいわゆるオミックス解析が行われ、さらにオミックス解析の情報は、生命をシステ
ムとして理解するためのシステムバイオロジー(システム生物学)の発展をもたらしている。
シグナルパスウェイ、代謝マップ、様々な遺伝子発現の制御ネットワークなどのオミックス解
析情報を、生命現象として総合的に解釈するためのブレークスルーとなるシステムバイオロジ
ーがこれからの生命科学(ポストゲノム科学)の中核となる研究分野として注目されて来た。
平成 20 年度は、この状況を踏まえ、システムバイオロジー、オミックス解析、およびバイオ
医薬品の最新動向を調査した。
また、iPS 細胞・ES 細胞の創薬利用、次世代シーケンサー、
バイオイメージング、量子ビーム、DDS、エピジェネティクス、インシリコ創薬など、医薬
品開発全体を取り巻く様々な分野の最新動向も含め調査を行い、平成 20 年度調査報告書(HS
レポ-ト No.67)「ポストゲノムの医薬品開発とシステムバイオロジーの新展開」を刊行し賛
助会員等に配布した。(平成21年4月)
・ 委員会内勉強会
1 )調査ワーキンググループ
・国内基盤技術調査
報告書の概要
医療ニーズワーキンググループ
-3-
「慢性疼痛に関する医療ニーズ」
ワーキンググループリーダー:玉起
・一般事業調査
美恵子
ポストゲノム医薬品開発ワーキンググループ
「ポストゲノムの医薬品開発と DDS 技術の新展開」
ワーキンググループリーダー:川上
善之
(平成20年4月18日)
2) 神戸
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(理研 CDB)
(平成20年6月13日)
3) 北海道大学
知財・産学連携本部
知的財産部長
次世代ポストゲノム研究センター長
生命医科学コース構造生物学研究室
教授
内海
潤
五十嵐靖之
稲垣
冬彦
(平成20年8月22日)
4) 再生医療の推進方策」
厚生労働省医政局研究開発振興課ヒト幹細胞臨床研究対策専門官
梅垣
昌士
(平成20年10月17日)
5) 国外調査報告と統合的システム医科学
・平成20年度国外調査報告「グローバル開発時代における研究開発戦略
-創薬の新しいアプローチとパイプライン創出-」
・創薬の課題と QOL 改善への挑戦
国外調査委員
(欧州)
川上
善之
国外調査委員
(米国)
清末
芳生
桜田
一洋
-統合的システム医科学-
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所
シニアリサーチャー
(平成20年12月19日)
6)「システム薬学研究機構について」
システム薬学研究機構
副会長
江口
至洋
(平成21年2月24日)
(政策創薬総合研究事業)
調査・予測研究事業
・ 国内基盤技術調査「医療ニ-ズに関する調査」
わが国の基盤技術に関する実態調査事業を継続して実施しており、これまでに様々な医療ニ
-4-
ーズに関する調査報告書を発刊し、多方面で活用されている。
2005、2006 年度には主な 60 疾患に関する調査を行ったが、2007 年度から疾患ではない症状
にも着目し、特に、QOL(Quality of Life)の維持・向上という観点から調査テーマを選定し
ている。昨年度は疼痛のなかでもニーズが高いと考えられる慢性疼痛をテーマとした。
平
成 20 年度(2008)も引き続き、疾患予防という観点から、健康の基本であるにもかかわらず、
多くの人が不満をかかえていると推測される睡眠障害に焦点をあてました。
調査範囲は 8
つの睡眠障害(不眠症、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、概日リズム睡眠障害、睡眠
時無呼吸症候群、ナルコレプシー、特発性過眠症、レム睡眠行動障害)に加えて、他の疾患が
原因で現れる睡眠障害も対象とした調査を行い、報告書を刊行した。
(平成21年3月)
3.規制基準委員会(6回開催)
(1)バイオテクノロジー等先端技術を応用した医薬品等に関する諸規制および諸基準
について、その内容の検討、関連情報の収集、産業界の意見の集約等(一般事業)
(2)厚生科学研究費により編成される各種研究班への協力を行う。
(一般事業)
・バイオテクノロジー等先端技術の応用における諸規制の考え方についての検討、及び関連の情
報の収集については、規制動向調査WGにおいて、新たにメンバーを公募し、ワクチン(感染
症、がん、アルツハイマー病など)の開発の現状と規制動向調査を行うとともに、講師を招聘
して勉強会、専門家へのインタビューを実施した(下記)
。これらの調査結果を平成 20 年度規
制動向調査報告書(HSレポート No.66)「ワクチン(感染症、がん、アルツハイマー病など)
の開発の現状と規制動向-予防医療と疾病治療の新たな展開へ向けて-」としてまとめ刊行し、
賛助会員等へ配布した(平成 21 年 4 月)。
・ICH関連活動では、バイオテクノロジーWGにおいて、ICHポートランド会議で新たに設
定されたQ11セッション:Development and Manufacture of Drug Substances (chemical
entities and biotechnological/biological entities)での化学薬品及びバイオテクノロジー応用医
薬品/生物起源医薬品の原薬の開発と製法について検討し、両者の専門家による統一のガイド
ライン作成に関する議論に貢献した。CTD(Q)WGにおいては、CTD「第1部イメージ(製
造・規格)」の改訂案に対する生物薬品の承認書製造方法欄記載についての実態アンケートを実
施した。
・厚生労働省ガイドライン案に対する意見募集へ協力した。
1)「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」(案)に関する意見募集
2)
「医薬品開発に関連したゲノムバイオマーカー適格性確認のための資料を規制当局に提出す
る際の様式(仮訳)」の調和を目的としたガイドライン(ICH E16)案に関する意見募集
-5-
・委員会内勉強会
1)
「ワクチン(感染症、がん、アルツハイマー病など)の開発の現状と規制動向-予防医療と
疾病治療の新たな展開へ向けて-」
平成 19 年度規制動向調査 WG 代表
(平成 20 年 4 月 11 日)
2)「未来創薬・医療イノベーション拠点形成札幌バイオクラスター構想“Bio-S”について」
北海道大学
次世代ポストゲノム研究センター
センター長 五十嵐
靖之
(平成 20 年 6 月 20 日)
3)「バイオロジクスの承認審査の課題と今後」
(独)医薬品医療機器総合機構
生物系審査第二部部長
鹿野
真弓
(平成 20 年 8 月 8 日)
4)「ワクチン規制の動向」
京都大学大学院医学研究科
薬剤疫学分野
教授
川上
浩司
(平成 20 年 10 月 10 日)
5)「H20 年度国外調査報告」
ヒューマンサイエンス振興財団
研究企画部技術主幹
井口
富夫
(平成 20 年 12 月 12 日)
6)「PMDA の国際戦略と今後の方向性について」
(独)医薬品医療機器総合機構
企画調整部国際課長
但野
恭一
(平成 21 年 2 月 13 日)
・規制動向調査WG勉強会
1)「日本におけるワクチンの現状」/「ワクチン産業ビジョン」
日本製薬団体連合会/萬有製薬株式会社
医療制度情報室予防医療政策
担当部長 松本 愼次
(社)細菌製剤協会
常務理事 内田 康策
(平成 20 年 5 月 30 日)
2)「医薬基盤研におけるワクチン開発について」
(独) 医薬基盤研究所
理事長
山西 弘一
(平成 20 年 7 月 14 日)
3)「予防接種について」
国立成育医療センター
総長
加藤 達夫
(平成 20 年 7 月 31 日)
4)「バイオロジクスの承認審査の課題と今後」
(独) 医薬品医療機器総合機構
生物系審査第二部部長
鹿野
真弓
(平成 20 年 8 月 8 日)
5)「ワクチン規制の動向」
京都大学大学院医学研究科
薬剤疫学分野
教授
川上
浩司
(平成 20 年 10 月 10 日)
-6-
6)「ワクチン製造概要と施設見学」
(財)阪大微生物病研究会観音寺研究所 生産管理部 部長 礒野 英親
(財)阪大微生物病研究会観音寺研究所 製造部 部長 宮武 克昌
(平成 21 年 1 月 19 日)
・規制動向調査WGインタビュー先
1)(ワクチン創製の観点から自然免疫を理解する)
大阪大学大学院医学系研究科免疫制御学
教授
竹田
潔
(平成 20 年 8 月 6 日)
2)(がんワクチンについて)
イミュノフロンティア株式会社
代表取締役社長
谷口
公嗣
(平成 20 年 8 月 21 日)
3)(ワクチンの品質管理について)
国立感染症研究所
血液・安全性研究部
部長
山口
一成
(平成 20 年 9 月 5 日)
4)(スギ花粉症ワクチンについて)
独立行政法人
理化学研究所
ワクチンデザイン研究チームチームリーダー
石井
保之
(平成 20 年 9 月 18 日)
5)(アルツハイマー病 DNA ワクチンについて)
東京都神経科学総合研究所
分子神経病理部門
部門長
松本
陽
(平成 20 年 10 月 1 日)
6)(国立感染症研究所のワクチン研究概要、感染症情報センターについて)
国立感染症研究所
所長
宮村
達男
国立感染症研究所 免疫部 部長 小林 和夫
国立感染症研究所
感染症情報センター
センター長
岡部
信彦
(平成 20 年 10 月 8 日)
7)(新規アジュバント開発のための免疫応答制御機構の研究について)
(独) 医薬基盤研究所 基盤研究部 免疫応答制御プロジェクト プロジェクトリーダー
紅露
拓
(平成 20 年 10 月 9 日)
8)(水痘生ワクチンへの他のウイルス遺伝子を挿入する・・多価ワクチンの作製について)
(独) 医薬基盤研究所 基盤研究部 感染制御プロジェクト プロジェクトリーダー
森
康子
(平成 20 年 10 月 9 日)
9)(がんワクチン療法-WT1 ペプチドワクチンについて)
大阪大学 医学系研究科機能診断科学講座 免疫造血制御学研究室 教授
杉山
治夫
(平成 20 年 10 月 10 日)
10)(アルツハイマー病ワクチンについて)
国立長寿医療センター研究所
所長
田平
武
(平成 20 年 10 月 14 日)
11)(麻疹ウイルス遺伝子操作について)
-7-
九州大学大学院医学研究院ウイルス学教室
准教授
竹田
誠
(平成 20 年 11 月 12 日)
12)(ワクチン医療制度動向について)
国立病院機構三重病院名誉院長
神谷
齊
(平成 20 年 11 月 12 日)
13)(ワクチン製造メーカーからの意見について)
(財)阪大微生物病研究会
東京事業所長
福田
仁史
(平成 20 年 11 月 18 日)
14)(自家がんワクチンについて)
久留米大学大学院医学研究科 免疫学講座 教授 伊東 恭悟
株式会社グリーンペプタイド
事業開発部長
吉田
啓造
(平成 20 年 11 月 19 日)
15)(センダイウイルスベクターシステムのワクチンへの応用について)
ディナベック株式会社
取締役 研究開発部長 兼 臨床開発室長
井上
誠
(平成 20 年 11 月 21 日)
16)(がんワクチン(テーラーメードワクチン)について)
セルメディシン株式会社
代表取締役社長
大野
忠夫
(平成 20 年 11 月 21 日)
17)(ワクチン開発と規制について)
国立医薬品食品衛生研究所
生物薬品部
部長
山口
照英
遺伝子細胞医薬部
部長
鈴木
和博
(平成 20 年 11 月 26 日)
18)(ワクチンの抱える諸問題について)
北里大学大学院感染制御科学府
教授
兼
北里生命科学研究所
副所長
中山
哲夫
(平成 20 年 12 月 1 日)
19)(ワクチンの規制、審査基準の考え方とワクチン等の予防医療に対する保険制度について)
北里大学薬学研究科臨床薬学研究センター 医薬開発部門
准教授
成川
衛
(平成 20 年 12 月 10 日)
20)(ワクチンの規制、審査基準の考え方について)
(独)医薬品医療機器総合機構
生物系審査第二部
審査役
佐藤
洋一
(平成 20 年 12 月 17 日)
・規制動向調査ワーキンググループ
国内ワクチン製造メーカーへのアンケート調査
ワクチン産業界からの意見を十分に汲み上げるために、HS 財団会員会社を中心に感染症ワク
チンメーカー(社団法人細菌製剤協会会員)を対象としたアンケート調査を実施し、まとめを
規制動向調査報告書にて活用した。
-8-
4.研究資源委員会(6回開催)
(1)創薬の研究開発のための研究資源に関する調査・情報収集(一般事業)
(2)研究資源供給事業への協力を行う。
・平成 20 年度研究資源調査報告書(HSレポート No.64)
「バイオロジクスの研究資源に関する調査報告書」
バイオ医薬品は、世界の承認医薬品数に占める割合を着実に増加させてきております。品目別
に見るとサイトカイン・増殖因子等では変化はありませんが、免疫関連分子(抗体等)や遺伝
子、核酸、細胞、ワクチンが大幅に増加しております。また、厚労省から 2009 年 3 月 4 日付
で「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」が出され、バイオ後続品の開発
競争も激化するものと思われます。
このような状況を受け、組織幹細胞や多能性幹細胞を用いた再生医療・細胞治療や創薬研究へ
の応用、遺伝子治療の現状と問題点、バイオ後続品の最新の動向、核酸医薬品ならびに抗体医
薬品の現状と研究開発動向を調査し、バイオロジクスの今後の課題と展望をまとめました。ま
た、別章として、再生医療や遺伝子治療、或いは先端医療機器等の医療シーズを迅速に産業化
に結びつける、トランスレーショナルリサーチの仕組みを構築するための橋渡し研究支援推進
プログラムの実施機関の一つに採択された東北大学先進医工学研究機構の訪問調査についても
記載しました。
本調査が HSRRB のみならず、生物資源を用いて創薬活動をしている研究者や関連分野に携
わる方々にも大いに参考となることを期待して HS レポート No.64 としてとりまとめ、賛助会
員等に配布した(平成 21 年 3 月)。
・平成 20 年度研究資源調査報告書(HSレポート No.65)
「臨床予測性を高める創薬研究テクノロジー、研究資源の動向調査」PartⅡ
テーラーメイド医療実現に向けてのバイオマーカー関連施策、探索技術およびトランスレーシ
ョナルリサーチ
前年度は創薬の研究開発の早期段階で有用なテクノロジーや研究資源として、ヒト細胞、例え
ば多能性幹細胞、体性幹細胞など、それと遺伝子改変動物について調査しました。今年度は、
創薬の研究開発の比較的後期の段階で有用なバイオマーカーを主な調査テーマとし、まとめま
した。
調査報告書は 4 章から成り第Ⅰ章では国内省庁のバイオマーカー関連施策、産学連携によるト
ランスレーショナルリサーチの実例、試薬メーカーの視点からバイオマーカー測定キットの開
発、第Ⅱ章では、プロテオミクスを中心に、話題のオミクス技術を取り上げました。第 III 章、
第 IV 章では、それぞれ死亡原因 1 位、2 位のがん疾患、循環器疾患において有望なバイオマー
カー、実際の治療での活用、あるいは強力な疾患の原因分子の探索方法によって見出された創
薬標的についてまとめました。また、各章の章末に問題点について多少の解決策の提言を盛り
込みました。
-9-
本報告書が HSRRB ならびに研究機関の保有する研究資源の有効活用や企業との共同研究推
進のために役立つことを期待して HS レポート No.65 としてとりまとめ、賛助会員等に配布し
た(平成 21 年 3 月)。
・委員会内勉強会
1)「ヒトゲノム情報を基礎とする医学・生物学研究を支えるバイオバンク」
(独)医薬基盤研究所 生物資源研究部門
増井
(平成20年
徹
4月25日)
2)東北大学未来医工学治療開発センターの施設訪問
施設の紹介
東北大学未来医工学治療開発センター
副センター長
西田
幸二
学際領域研究に基づく大学からの創薬
東北大学大学院医学系研究科
教授
宮田
敏男
東北大学未来医工学治療開発センター
教授
工藤
幸司
副センター長
西田
幸二
木村
芳孝
アルツハイマー病診断法のTR
自家培養口腔粘膜上皮シート移植法の多施設共同臨床試験
東北大学未来医工学治療開発センター
非接触広域接地型高感度電極法による胎児心電図の治験・臨床応用の確立
東北大学国際高等教育機構
教授
審査・評価部門の紹介
東北大学未来医工学治療開発センター
准教授
嶋澤
るみ子
検証・情報管理部門の紹介
東北大学未来医工学治療開発センター
客員教授
山口
拓洋
有馬
隆博
教育・人材育成部門の紹介
東北大学未来医工学治療開発センター
(平成20年
准教授
6月20日)
3) 「JCRB でのクロスコンタミ、ミスアイデンティフィカーションの現状
と対策ならびに ES 細胞、iPS 細胞の資源化についての展望」
(独)医薬基盤研究所 生物資源研究部長
水澤 博
研究員:小原有弘(細胞の品質管理)
研究員:古江美保(ES、iPS 細胞関)
(平成20年
8月22日)
4)
「血管システム分野における診断治療一体型抗体医薬の研究開発の
現状と動向、将来展望ならびに課題」
東京大学先端科学技術研究センター システム生物医学領域
血管システム分野 教授 児玉龍彦
(平成20年10月17日)
- 10 -
5)
「ヒト幹細胞の分化誘導制御技術ならびに産業界への応用等の研究開発の
現状と動向、将来展望ならびに課題」
京都大学再生医科学研究所幹細胞医学研究センター長
中辻憲夫
(平成20年12月19日)
6)「国外調査から得たバイオロジクス、医薬品開発に関連する最新情報」
シードプランニング 研究資源委員会委員
清末芳生
(平成21 年 2月20日)
7)「メタボロームによるバイオマーカー探索の現状、課題と将来の展望」
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)取締役
青志津男
(平成21 年 2月20日)
8)「システムバイオロジーを駆使した、各種オミクス情報の統合解析による
創薬探索およびバイオマーカー探索」
慶応大学先端生命科学研究所 所長 冨田 勝
(平成21 年 2月20日)
・ シンポジウムの開催
平成 19 年度の調査報告書の内容に沿った「創薬の成功率を上げるために-研究段階で有用
なテクノロジー、資源の活用」をテーマにシンポジウムを開催した。
1)セッション 1. Diversity を広げる化合物ライブラリー
HS レポート No.61 の概要
研究資源委員会副委員長 村井 正俊
化合物ライブラリーの創薬への応用
特定非営利活動法人 化合物活用センター(申請中) 奥山 彬
2)セッション2-1. 臨床予測性を高める創薬研究テクノロジー、研究資源 PARTⅠ
HS レポート No.60 の概要
研究資源委員会副委員長
渡邉 昭彦
ヒト細胞の創薬研究初期からの活用
研究資源委員会委員
多田 秀明
ヒューマンサイエンス研究資源バンクの活用
HSRRB 所長 澤田 秀和
幹細胞研究のトレンドと創薬
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 副センター長 西川 伸一
3)セッション2-2. 臨床予測性を高める創薬研究テクノロジー、研究資源 PARTⅡ
動物モデルに関する概要
研究資源委員会委員
佐藤 博行
マウス ENU ミュータジェネシスによる網羅的な病態因子の探索と病態モデルの作製
及び日本マウスクリニックの紹介
理化学研究所バイオリソースセンターマウス表現型解析開発チーム
チームリーダー
若菜 茂晴
まとめ
研究資源委員会委員長
岡
正秀
(平成20年 9月10日:国立がんセンター 国際研究交流会館)
・ ヒト組織バンク活性化ワーキンググループの活動
ヒューマンサイエンス研究資源バンク(HSRRB)でのヒト組織バンク事業を活性化す
る目的で資源供給審査委員会委員絵野沢伸(国立成育医療センター研究所
研究部
移植・外科
実験外科研究室長)氏をチームリーダーとしたワーキンググループに研究資源
委員会委員が加わり、第1回ワーキング(平成20年 7 月 1 日)、第2回ワーキング(平
- 11 -
成20年 8 月 26 日)、第3回ワーキング(平成20年 11 月4日)及び第4回ワーキン
グ(平成21 年3月12日)を開催すると共に製薬企業へのアンケート調査を実施しま
した。これらを「ヒト組織バンク事業を活性化に向けた提言」(案)としてまとめ、第
13 回資源供給審査委員会(平成 21 年 3 月 24 日)に報告・提出した。
5.研修委員会(6回開催)
(1)バイオインターフェース、勉強会等の開催(一般事業)
(2)政策創薬総合研究推進事業(新技術移転促進事業)への協力を行い、セミナー、
ワークショップ、基礎研究講習会、技術講習会等を開催する。
(一般事業
財団機能強化プロジェクトWG活動)
・バイオインターフェース開催
「バイオインターフェース」は、バイオベンチャー企業および各種 TLO と会員との創薬の
ためのプロフェッショナルな交流の場を提供するもので、技術移転が迅速かつ的確に推進さ
れることを目的としている。年 3 回開催し、賛助および維持会員企業、各種 TLO、バイオベ
ンチャー企業等の研究者、研究開発企画担当者、経営責任者等の活発な技術情報の交換があ
った。
1)第26回バイオインターフェース(平成20年5月21日)
(全理連ビル 9 階 A 会議室)
「バイオマーカー開発戦略―新規オミックスとその解析技術―」
株式会社プロトセラ
代表取締役社長
田中
憲次
「糖鎖被覆リポソームの Drug DeliverySystem および Th1 ワクチンアジュバントとし
ての
開発」
株式会社バイオメッドコア
代表取締役
佐藤
雄一
郎「microRNA の機能異常と発がん―発がんの分子機構解明と臨床応用の可能性―」
国立がんセンター研究所生化学部
室長
土屋
直人
「分子標的に基づく疾患予防・治療」
株式会社オンコレックス
執行役員・研究部長兼研究所長
高乗
仁
参加者:62名
2)第27回バイオインターフェース(平成20年8月26日)
(全理連ビル 9 階 A 会議室)
「生物資源探索(Bio-Prospecting)ベンチャー」
株式会社
ニムラ・ジェネティック・ソリューションズ (NGS)
執行役員・研究開発本部本部長
「エイズおよびエイズ関連疾患 (HCV)に対する新規治療薬開発の最新動向」
- 12 -
発
正浩
「新しいクラスの低分子 HCV エントリー阻害剤の同定とその作用機構に関する解析」
国立感染症研究所
エイズ研究センター室
室長
武部
豊
代表取締役・杏林大学名誉教授
遠藤
仁
「“がん細胞の兵糧攻め”新薬の開発」
ジェイファーマ株式会社
参加者:50名
3)第28回バイオインターフェース(平成20年11月12日)
(全理連ビル 9 階 A 会議室)
「バイオナノカプセルを利用した DDS 技術の開発」
株式会社ビークル
代表取締役社長
郷
保正
「再生医療の産業化自家培養表皮(ジェイス®」の開発を中心に」
株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング (J-TEC) 研究開発部
皮膚・角膜クラスター マネージャー 井家
益和
「近未来のアレルギー疾患標準治療法とその研究開発戦略」
国立成育医療センター研究所
免疫アレルギー研究部
部長
斎藤 博久
「ディナベックのベクター技術と遺伝子医薬品開発」
ディナベック株式会社
取締役・研究開発部長
井上
誠
株式会社ジーンケア研究所
代表取締役社長
六川
玖治
中野
重行
参加者:47名
(一般事業)
・委員会内勉強会
1)①「創薬と育薬をめぐって」
大分大学医学部創薬育薬講座
教授
②医学部内施設の見学
(平成20年4月11日
大分大学にて)
2)①「膵がんに対する化学療法」
国立がんセンター中央病院
肝胆膵内科
上野
秀樹
関根
郁夫
②「肺がんに対する分子標的治療薬の開発」
国立がんセンター中央病院
肺内科
(平成20年6月10日
医長
国立がんセンターにて)
3)「変わりゆく医薬品市場とこれからの研究開発戦略」
ファーマ・マーケティング・コンサルタント
井上
良一
(平成20年8月5日)
4)「再生医療、iPS 細胞を巡る最近の研究動向と今後の課題」
京都大学大学院医学研究科
- 13 -
発達小児科学
教授
京都大学 iPS 細胞研究センター
(平成20年10月24日
副センター長
中畑
龍俊
京都センチュリーホテルにて)
5)①「次世代シークエンサーの原理と最新の応用」
アプライドバイオシステムズジャパン株式会社サイエンスセンター
センター長
福嶋
重信
千葉
明広
②「質量分析装計(LC/MC/MS と TOF/TOF)の原理と最新の応用」
質量分析システム事業部
マーケティング部長
③「次世代シークエンサーSOLID および質量分析計(LC/MC/MS と TOF/TOF)の
見学
(平成20年12月9日アプライドバイオシステムズにて)
6)
「糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性、緑内障などの網膜疾患の病態と薬物治療―臨床現場に
おける現状と期待、そして研究の最前線―」
岐阜薬科大学薬科学科
薬効解析学研究室
教授
原
英彰
(平成21年2月10日)
(政策創薬総合研究事業)
新技術移転促進事業
平成 20 年度政策創薬総合研究事業推進事業の新技術移転促進事業について、下記のように
実施した。
・ヒューマンサイエンス総合研究セミナー
政策創薬総合研究事業の重点研究課題にみられるような、分野横断的なテーマを策定し、
創薬の視点で最先端の疾患等医療動向に関するセミナーを3回実施した。
1)テーマ:
「糖尿病性腎症の創薬を目指して
創薬シーズから臨床開発のエンドポイントま
で」
開催日及び場所:平成20年9月2日
全社協・灘尾ホール
演題及び講師:
「わが国の糖尿病性腎症治療に求められているもの」
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
腎・免疫・内分泌代謝内科学
教授 槇野 博史
「糖尿病性腎症の成因・病態と治療標的分子」
旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野
教授
羽田
勝計
「創薬を目指した腎症疾患感受性遺伝子研究」
理化学研究所ゲノム医科学研究センター
内分泌代謝疾患研究チーム
チームリーダー 前田 士郎
- 14 -
【創薬シーズ】
「酸化ストレス」
九州大学大学院医学研究院
病態制御内科学
講師
井口
登與志
「PAI1 阻害薬」
東北大学大学院医学系研究科附属創生応用医学研究センター
教授
宮田
敏男
「AGE-RAGE 阻害薬」
金沢大学医薬保健学域長
山本
博
「Microinflammation をターゲットとした新しい治療戦略」
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
腎・免疫・内分泌代謝内科学
准教授
四方
賢一
「活性化プロレニンと(プロ)レニン受容体」
慶應義塾大学医学部抗加齢内分泌学講座
講師
市原
淳弘
【臨床開発】
どんな臨床治験を組むのか?サロゲートエンドポイントは?バイオマーカーは?
「2 型糖尿病に伴う糖尿病性腎症適応症承認取得の経緯:国際共同治 RENAAL」
万有製薬株式会社
副社長執行役員
グローバル研究開発本部
研究開発本部長(メディカル担当)
高橋
希人
「何がサロゲートエンドポイントとなりうるか」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部
審査専門員
医師
又吉
哲太郎
「尿中バイオマーカーのパネル化による糖尿病性腎症管理」
聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科
客員教授
菅谷
健
総合討論
参加者:254名
2)テーマ:「NASH への挑戦―創薬の可能性を探る―」
開催日及び場所:平成20年10月7日
ベルサール九段・ホール
演題及び講師:
「NASHの疾患概念と病態」
高知大学医学部
消化器内科学
准教授
- 15 -
西原
利治
「NASHの診断とその問題点」
東京女子医科大学
教授
消化器内科
橋本
悦子
「メタボリックシンドロームに伴うNASHの病態生理基盤と治療アプローチ」
順天堂大学医学部消化器内科
准教授
池嶋
健一
「肝細胞特異的 Pten 欠損マウスを用いた NASH 有効薬剤の検討」
秋田大学医学部消化器内科学分野
講師
堀江
泰夫
【創薬ターゲット―second hit を中心に―】
「NASHにおける酸化ストレス病態の解析」
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
助教
光吉
博則
「線維化に関与するアディポカイン」
三重大学大学院医学研究科消化器内科学
教授
竹井
謙之
「肝脂肪化と炎症のリンク―Toxic Lipid は何か?―」
金沢大学医薬保健研究域医学系(内分泌・代謝内科)
准教授
篁
俊成
「線維化治療と再生医学の接点」
東海大学医学部基盤診療学系・総合医学研究所
教授
稲垣
豊
「コラーゲン特異的シャペロンに対する siRNA を送達するビタミン A 結合リポゾーム
による肝線維化治療」
札幌医科大学臨床医学部門講座内科学第四講座
講師
佐藤
康史
【創薬の可能性を探る―どのような創薬ターゲットが考えられるか―】
「臨床医は NASH・NAFLD 診療ガイドライン掲載の治療薬に何を期待しているのか?」
東京女子医科大学医学部
教授
消化器内科学
橋本
悦子
「線維化に関連する分子とその機能」
三重大学大学院医学研究科消化器内科学
教授
総合討論
参加者:199名
- 16 -
竹井
謙之
3)テーマ:「難治性がんの克服に向けて創薬を考える」
開催日及び場所:平成21年1月21日
全社協・灘尾ホール
演題及び講師:
【医療現場のニーズと解決策】
「非小細胞肺癌化学療法の動向」
国立がんセンター中央病院肺内科
11A病棟医長
関根
郁夫
「膵がん化学療法の現状と課題」
杏林大学医学部内科学腫瘍科
教授
古瀬
純司
「がん悪液質症候群の病態と新たな治療戦略」
癌研有明病院緩和ケア科
部長
向山
雄人
【創薬シーズ、難治性がんのバイオロジー】
「TGF-のシグナル伝達とその制御」
東京大学大学院医学系研究科病因・病理学専攻
分子病理学
准教授
宮澤
恵二
「肺がんと間質の相互作用による分子標的薬感受性の制御」
金沢大学がん研究所
腫瘍内科学分野
金沢大学附属病院がん高度先進治療センター
教授
矢野
聖二
「肺がんの分子病態の新知見と創薬に向けた戦略」
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター
ゲノムシークエンス分野
准教授
醍醐
弥太郎
【抗がん剤の研究開発成功のプロセス】
「Nexavar:From discovery to a breakthrough therapeutic optionfor RCC and HCC」
バイエル薬品株式会社
執行役員・開発本部長
エリック・ルベール
【抗がん剤開発の留意点】
「抗がん剤開発の留意点(臨床医および承認審査を経験した立場から)」
国立がんセンター中央病院
臨床試験・治療開発部長
藤原
康弘
「抗がん剤開発の問題点と今後(企業の立場から)」
中外製薬株式会社
ライフサイクルマネージメント第一部長
総合討論
- 17 -
仁平
新一
参加者:249名
・ヒューマンサイエンス総合研究ワークショップ
政策創薬総合研究分野において、創薬等で特に重要と考えられる技術的なテーマを選定し
て、集中的に議論する目的で実施した。
テーマ:「医薬品開発におけるバイオマーカーの活用―探索研究から臨床開発まで―」
開催日及び場所:平成20年11月5、6日
東レ総合研修センター大研修室(三島)
演題及び講師:
11 月 5 日(水)
【はじめに】
「はじめに」
テノックス研究所
所長
野口
照久
「バイオマーカーとゲノム創薬」
京都大学大学院薬学研究科
ゲノム創薬科学分野
教授
辻本
豪三
【各疾患分野におけるバイオマーカー研究の現状と課題】
がんⅠ
「がん領域におけるバイオマーカーの応用
近畿大学医学部ゲノム生物学教室
教授
西尾
和人
「膵がんの診断バイオマーカーの開発」
国立がんセンター研究所 化学療法部・
腫瘍プロテオミクス・プロジェクト
室長
本田
一文
「乳がん治療とバイオマーカー」
京都大学医学部附属病院
助教
乳腺外科
上野
貴之
アルツハイマー病
「アルツハイマー病の病態とバイオマーカー開発」
東北大学加齢医学研究所
加齢老年医学研究分野
教授
荒井
啓行
急性冠症候群
「急性冠症候群に対するマルチバイオマーカーアプローチ」
日本医科大学千葉北総病院
内科学(循環器部門)
教授
イブニングセミナー
「バイオ創薬とバイオマーカーの真実」
- 18 -
清野
精彦
日経BP社医療局
主任編集委員
宮田
満
11 月 6 日(木)
糖尿病・メタボリックシンドローム
「糖尿病・メタボリックシンドロームの病因および生活習慣病の予測・治療へ向けたバ
イオマーカーの創薬への応用」
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
東京大学医学部附属病院 22 世紀医療センター 統合的分子代謝疾患科学講座
特任准教授
山内
敏正
がんⅡ
「抗がん剤の研究開発におけるバイオマーカーの活用」
協和発酵キリン株式会社研究本部探索研究所
主任研究員
塩津
行正
「バイオマーカーの診断開発から臨床応用まで」
ロシュ・ダイアグノスティクス株式会社
MDマーケティング部
プロダクトマネージャー
三好
康弘
【医薬品開発におけるバイオマーカー】
「バイオマーカーに対する欧米製薬企業の取り組みと FDA/EMEA の考え方」
実行データサイエンス株式会社
取締役社長
山口
行治
「医薬品評価におけるバイオマーカーの利用推進に向けて」
医薬品医療機器総合機構安全部
主査
石黒
昭博
「革新的な医薬品創製のための 5 ヵ年戦略と日本におけるバイオマーカー関連施策」
厚生労働省医政局研究開発振興課
先端技術専門官
後藤
孝
総合討論
話題提供:「医薬品開発と医療現場の役割」
静岡県立静岡がんセンター
総長
参加者:125名
・ヒューマンサイエンス基礎研究講習会
国公立等の研究機関の活動を民間に紹介するために実施した。
テーマ:「国立健康・栄養研究所における研究活動」
開催日及び場所:平成20年6月13日
午後
国立健康・栄養研究所第一会議室
- 19 -
山口
建
演題及び講師:
「運動生理学の最近の進歩」
健康増進プログラム
運動ガイドラインプロジェクト
宮地
元彦
「エネルギー消費量の正確な評価と変動要因」
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクト
田中
茂穂
「脂肪肝予防のストラテジー」
基礎栄養プログラム
江崎
治
「疫学調査からみた栄養摂取」
栄養疫学プログラム
森田
明美
「食品表示の問題点」
栄養教育プログラム
食育プロジェクト
饗場
直美
「食品の抗酸化力を示す指標―Anti Oxidant Unit―」
食品保健機能プログラム
食品機能プロジェクト
竹林
純
「FFFデータベース」
情報センター
健康食品情報プロジェクト
卓
興鋼
「今後の国立健康・栄養研究所の活動」
(独)国立健康・栄養研究所
理事長
渡邊
昌
「健康・栄養研究所の施設見学」
(DEXA、ヒューマンカロリメーター、測定室、運動室など)
参加者:100名
・ヒューマンサイエンス研究資源バンク技術講習会
政策創薬総合研究分野の基盤を担うヒューマンサイエンス研究資源バンクの活動内容、
扱われる技術等、を紹介するために講演会を実施した。
テーマ:「ヒト細胞を創薬研究にどのように利用するのか?」
開催日及び場所:平成21年1月27日
千里ライフサイエンスセンター5 階
- 20 -
ライフホール
演題及び講師:
「iPS 細胞の創薬への応用の可能性」
東京医科歯科大学(前アステラス製薬株式会社)
非常勤講師
橋本
誠一
「オンチップ・リエントリーモデルを用いた期外収縮計測システムによる毒性検査技術
の開発」
東京医科歯科大学生体材料工学研究所
システム研究部門情報分野
教授
安田
賢二
「幹細胞由来心筋細胞を用いた心毒性試験の研究成果」
株式会社リプロセル
取締役CTO
淺井
康行
「新鮮ヒト組織の供給と研究利用」
ヒューマンサイエンス研究資源バンク
室長
吉田
東歩
「脂肪に由来する間葉系幹細胞の創薬・治療研究への応用」
国立がんセンター研究所がん転移研究室
独立室長
「醗酵創薬
落谷
孝広
本邦独自の天然資源のすり合わせ型創薬:微生物の知恵とヒト細胞の融合」
アステラス製薬株式会社分子医学研究所
ゲノム創薬研究室
主席研究員
中島
秀典
「微生物資源からの新規抗腫瘍活性物質(pladienolide)の探索」
エーザイ株式会社創薬研究本部イノベーティブ・ケミストリー研究所
NC(天然物化学)グループ
統轄課長
酒井
孝
「ヒト組織幹細胞クローンの産業利用へ向けて」
横浜市立大学大学院医学研究科
臓器再生医学
教授
参加者:133名
6.情報委員会
(1)会報等の発行(一般事業)
(2)情報センター機能の充実(一般事業)
(3)政策創薬総合研究事業(調査・予測研究事業)への協力を行う。
- 21 -
谷口
英樹
(一般事業)
・会報等の発行
会報「ヒューマンサイエンス」を6回発行した。
・ HIS データベース
平成20年度の HIS データベースの更新はHIS-F(文献)のみで、HIS-P(患者
調査)の更新は発生しなかった。
アクセス実績は比較的低調であったが、コンスタントな利用傾向の中でも集中的に利用され
た月があり、目的を持ったアクセス利用が想定できた。
・ ホームページ
HP運営委員会を4回開催。
掲載コンテンツのタイミングを得た更新に心掛けてきたこともあり、アクセス件数は確実に
前年度実績を 15%程度上回る実績を達成している。
・委員会内勉強会
1)「Targeted Absolute Proteomics に基づく創薬科学の新展開」
東北大学大学院薬学研究科
薬物送達学分野
教授
寺崎
哲也
(平成20年4月10日)
2)「ヒューマンサイエンス研究資源バンク事業の紹介」
(財)ヒューマンサイエンス振興財団
HSRRB所長
澤田
秀和
(平成20年6月13日)
3)「ヒューマンサイエンスの新パラダイム-価値に基づく医学(VBM)への夜明け」
慶應義塾大学大学院
教授 鎌江 伊三夫
(平成20年8月7日)
4)広島県産業科学技術研究所概要説明
「都市エリア産学官連携促進事業(発展型)の取り組み」
広島県産業科学技術研究所
科学技術コーディネーター
山田
長司
(平成20年10月10日)
5)「ドラッグデリバリーシステム開発の最前線
~超分子ナノデバイスによる薬物・遺伝子のピンポイントデリバリー~」
東京大学工学系研究科・医学系研究科
兼任教授
片岡
一則
(平成20年12月11日)
6)「医薬品産業の現状と課題~証券アナリストからの視点~」
日興シティグループ
株式調査部
医薬品業界担当アナリスト
山口 秀丸
(平成21年2月12日)
- 22 -
(政策創薬総合研究事業)
調査・予測研究事業
・ 将来動向調査
調査テーマ:「がん医療の将来動向 II」~先端技術の現状とがん医療への応用に向けて~
発行日:
平成 21 年 3 月 27 日
調査概要:
平成 19 年 4 月に「がん対策基本法」が施行され、これに基づいた「がん対策推進基本計
画が策定された。基本計画では国・地方団体、国民そして専門家等それぞれの責務が定め
られ、かつ目標が明示されており、わが国のがん対策を大きく推進するものとして期待さ
れている。 このような状況を踏まえ、昨年度(平成 19 年)は、調査テーマとして「がん医
療の将来動向」を取り上げ、代表的ながん 6 種に焦点をあてた調査結果をまとめた。
本年度(平成 20 年)は、昨年の調査結果で多くの専門家から重要とのご指摘をいただ
いた「早期発見」と「有効な治療法」を実現するための技術的な側面、すなわち、がん医
療における診断技術、治療薬、先端治療技術の現状とその将来像に焦点を当て、今後のが
ん対策の動向や諸課題に関するアンケート調査を行った。がん医療の専門医師、薬剤師、
企業の研究者等の所属機関 472 施設にアンケート票を送付し、328 施設(69.5%)から回
答を得た。本報告では、病理組織・画像・バイオマーカー検査のがん診断における現状と
今後の展開に対する提言や、分子標的薬、抗体・核酸医薬、遺伝子治療、ワクチン療法、
外部エネルギーを用いた新たな診断技術等に関する課題と将来像などについて調査結果を
纏めた。
・ 国外調査
調査テーマ:「グローバル開発時代における研究開発戦略
-創薬の新しいアプローチとパイプライン創出-」
発行日:
平成 21 年 3 月 25 日
調査概要:
欧米の医薬品規制当局、研究機関、大手製薬企業、業界団体、バイオベンチャー等を訪問し、
研究開発戦略(クリティカルパス、効率化、絞込み、意思決定方法等)、世界同時開発・国際共同
治験(欧米と日本の連携の在り方、国際共同治験における日本の位置付け等)、医薬品規制・審査
体制(今後の各国規制当局の方針とその背景等)、個の医療(今後の医療・医薬品研究開発への
影響等)、先端医療(遺伝子治療、再生医療の医療に対するインパクト等)、ワクチン(ワクチン研究
開発の現状と将来展望等)の最新動向に関する情報の入手を主な目的として訪問調査を実施し
た。
<訪問期間>: 平成20年10月19日~平成20年11月2日
<訪問施設>:
◆ 米国; 【National Institutes of Health(NIH)】、【Food and Drug Administration(FDA)】、
【Panacea Pharmaceuticals, Inc.】、【Pharmaceutical Research and Manufacturers
of America(PhRMA)】、【Eli Lilly and Company】【BioCrossroads】、【Merck & Co.,
- 23 -
Inc】、【Novartis Institutes for BioMedical Research(NIBR)】、【Enlight Biosciences
LLC】
◆
欧州;
【 Edinburgh BioQuarter / University of Edinburgh / Scottish Development
International】、【Scottish Centre for Regenerative Medicine(SCRM)】、【European
Medicines Agency(EMEA)】、【Department for Business Enterprise & Regulatory
Reform(BERR)】、【UK Trade & Investment(UKTI)】、【Medicines and Healthcare
products Regulatory Agency(MHRA)】、【BioIndustry Association(BIA)】、【European
Federation of Pharmaceutical Industries and Association(EFPIA)】、【GlaxoSmithKline
Biologicals (GSK Biologicals)】、【Sanofi Pasteur】
7.企画委員会(6回開催)
(1)官民共プロの見直し案・フォロー
(2)財団活動に関する情報調査
(3)財団新規事業のフォロー/サポートを行う。
(一般事業)
・官民共同プロジェクトの活性化について継続して検討している。昨年度から引き続き官民共プ
ロの仕組みと推進方法の見直し策を検討した。特に研究分野の偏り、官民型課題の研究規模の
不均一などについて検討し見直し案を提示した。この見直し案について各専門委員会を通して
賛助会員企業にアンケート調査を行い、意見を取りまとめると共に21年度研究事業の募集に
一部反映を図った。
・国立試験研究機関に対して財団 TLO が実施している研究契約書関連の支援業務を、財団新規事
業提案として取りまとめた。一般事業委員会に「(仮称)技術契約支援事業」を提案し承認された。
・委員会内勉強会
1)「遺伝子組換え技術によるヒト血清アルブミン生産」
株式会社バイファ
総合企画グループマネージャー
門
義昭
(平成20年6月20日)
2)「富士フィルム先進研究所の紹介」
富士フィルム株式会社先進研究所
ライフサイエンス事業部技術担当部長
R&D統括本部事業部担当課長
瀬志本
佐々木
修
康友
(平成20年8月22日)
3)「化学及血清療法研究所の研究について」
(財)化学及血清療法研究所 企画部企画課
「インフルエンザ HA ワクチンの製造過程」
- 24 -
濱治
和博
(財)化学及血清療法研究所 第一製造部第一課 尾堂 浩一
(平成21年2月20日)
Ⅲ
政策創薬総合研究事業
本事業は、厚生労働省の補助並びに民間からの国立研究機関への研究委託を受けて行うも
ので、画期的、独創的な医薬品等の創製のため産官学が一体となって政策創薬分野における
先端的・基盤的技術の開発研究等の事業及び推進事業を行うものである。
1.研究事業
(1)政策創薬総合研究
平成20年度は、新規課題として、重点研究4課題(応募9課題)、若手研究者奨励研究
3課題(応募3課題)の採択を決定し、各々実施した。また、平成18年度および19年度
からの継続課題として、重点研究38課題、若手研究者奨励研究5課題を採択し、実施した。
1)重点研究
下記のA~Dの4分野について、継続課題と新規課題を合わせて42課題を実施した。
企業88社、国立研究機関12機関、大学48校、団体・試験研究法人等10機関が参加
して共同研究を行った。
第A分野
稀少疾病治療薬の開発に関する研究
第B分野
医薬品開発のための評価科学に関する研究
第C分野
政策的に対応を要する疾患等の予防診断・治療法等の開発に関する研究
第D分野
医薬品等開発のためのヒト組織の利用に関する研究
2)若手研究者奨励研究
継続課題と新規課題を合わせて8課題を実施した。
(2)エイズ医薬品等開発研究
平成20年度は、新規課題として、重点研究1課題(応募2課題)、若手研究者奨励研
究4課題(応募4課題)の採択を決定し、各々実施した。また、平成18年度および19
年度からの継続課題として、重点研究1課題、若手研究者奨励研究4課題を採択し、実施
した。
1)重点研究
下記のA~Cの3分野について実施し、参加組織の構成は企業2社、国立研究機関1機
関、大学2校が参加する共同研究を行った。
第A分野 抗エイズウイルス薬、エイズ付随症状に対する治療薬の開発に関する研究
第B分野
エイズ発症防止薬の開発に関する研究
第C分野
抗エイズ薬開発のための基盤技術の開発等に関する研究
2)若手研究者奨励研究
継続課題と新規課題を合わせて8課題を実施した。
- 25 -
2.推進事業
本事業は外国人研究者招へい事業、外国への日本人研究者派遣事業、流動研究員活用事業、
新技術移転促進事業、国際共同研究事業、調査・予測研究事業、国際研究グラント事業、外国
への研究委託事業及び研究成果等普及啓発事業を行い、「1.研究事業」の円滑な実施(支援)
を図るものである。
(1)外国人研究者招へい事業
世界各国で政策創薬総合研究事業の分野において優れた研究を行っている外国人研究者
9名(応募11名、うち1名中止)を選考し、米国より 3 名、オランダより2名、および英
国、スイス、ドイツ、タイより各1名を招へいした。
研究事業名
応募者
実施者
政策創薬総合研究
9名
7名
エイズ医薬品等開発研究
2名
2名
(2)外国への日本人研究者派遣事業
政策創薬総合研究を実施している研究者1名(応募1名)を選考し、米国へ派遣した。
研究事業名
応募者
実施者
政策創薬総合研究
1名
1名
エイズ医薬品等開発研究
0名
0名
(3)流動研究員活用事業
将来我が国の政策創薬総合研究の中枢となる人材を育成するため、流動研究員42名(応
募49名)を選考・採用し、政策創薬総合研究を行っている研究機関に派遣した。
研究事業名
応募者
実施者
政策創薬総合研究
34名
29名
エイズ医薬品等開発研究
15名
13名
(4)新技術移転促進事業
(研修委員会報告11~16頁参照)
(5)国際共同研究事業
政策創薬総合研究で外国の研究機関と共同で研究することが必要または効果的である課
題に関し、我が国の研究班と外国の研究機関とで共同研究を行うものである。
平成20年度からの新規課題として2課題(応募5課題)を採択し、実施した。また、平
成19年度からの継続課題3課題を採択し、実施した。
1)ヒト軟骨細胞バンクの構築に基づく軟骨細胞遺伝子ネットワークの同定とその小児発育
疾患、骨系統疾患治療への応用
(日本) 国立成育医療センター 研究所
(米国) スクリプス研究所
- 26 -
2)心不全における可溶性中間体(アミロイドオリゴマー)を標的とする新規治療法の開発
(日本) 国立成育医療センター 研究所等
(米国) シンシナティチルドレンズホスピタルメディカルセンター
3)モルモットモデルによる肺結核発症の解析と新規予防治療法の開発と評価
(日本) 日本ビーシージー製造株式会社等
(米国) テキサスA&M大学
4)末梢神経脱髄と髄鞘化の分子機構の解析と治療応用
(日本) 国立精神・神経センター 神経研究所
(米国) ワシントン大学
5)骨髄ニッチの形成を介した血液難病の制御と再生医療への応用
(日本) 国立感染症研究所
(米国) オレゴンヘルスサイエンス大学
(6)調査・予測研究事業
国内基盤技術調査(開発振興委員会報告4頁参照)
将来動向調査(情報委員会報告17頁参照)
国外調査(情報委員会報告17頁参照)
(7)国際研究グラント事業
抗エイズウイルス薬、エイズワクチン等の開発を一層促進するために、我が国の研究班
と外国の研究機関とで共同研究を行うものである。
平成20年度からの新規課題として2課題(応募3課題)を採択し、実施した。また、平
成19年度からの継続課題5課題を採択し、実施した。
1)HIV転写制御機構の解明と新規治療法の開発
(日本) 名古屋市立大学
(米国) ミシガン大学
2)霊長類モデルを用いたエイズ腸管病態形成機構の解明と治療への応用
(日本) 京都大学等
(米国) ハーバード大学
3)HIVプロテアーゼの2量体形成の動態の解析とHIVプロテアーゼ2量体化阻害剤の
研究・開発
(日本) 熊本大学
(米国) パーデュー大学
4)エイズ治療ワクチンの開発
(日本) 熊本大学等
(英国) オックスフォード大学
5)新型チップ等を用いた第22染色体新規SNPs多型の網羅的解析によるHIV感染防
御ワクチン等及び抗HIV治療薬の効果判定改善と新しい免疫治療法の開発
- 27 -
(日本) 近畿大学等
(イタリア) ミラノ大学
(フランス) モンペリエ分子遺伝学研究所
(タイ) タイ国立衛生研究所
6)網羅的ゲノム情報解析による新規抗HIV因子の探索
(日本)大阪大学微生物病研究所等
(フランス) パリ第六大学
(イタリア)ミラノ大学
7)エイズ関連カポジ肉腫に対する新規予防、治療法と発症予知に関する研究
(日本) 国立感染症研究所等
(米国) ニューヨーク大学等
(8)外国への研究委託事業
エイズ医薬品等開発研究で、国内での研究が困難なもの、又は効率的でないものについ
て、外国の研究機関に研究を委託してこの研究事業の効率化を図るものである。2課題(応
募2課題)を選考し、実施した。
1)タイにおける HIV 感染症の治療効果に関する宿主因子の解析
(日本)大阪大学微生物病研究所
(タイ)バムラスナラデュラ研究所
2)糖鎖変異生ワクチンが誘導するCTLの解析
(日本)国立感染症研究所
(米国)チューレン大学健康科学センター
(9)研究成果等普及啓発事業
政策創薬総合研究に係る研究成果を広く積極的に公開し、普及啓発することにより政策
創薬総合研究を含めた科学技術に対する一層の推進を図ることを目的として、研究者や一
般国民を対象として研究成果発表会を実施した。
<研究成果発表会>
①テーマ:「再生医療と病理」
主任研究者:国立成育医療センター研究所
梅澤
明弘
開催日及び場所: 平成 20 年 8 月 2 日
湘南国際村センター 国際会議場
参加者:37名
②テーマ:「安全なガンマグロブリン製剤開発-人工ガンマグロブリン」
主任研究者:千葉大学大学院医学研究院
- 28 -
鈴木
和男
開催日及び場所:平成 20 年 11 月 14日
国立感染症研究所共用第一会議室
参加者:77名
③テーマ:「高度分析評価技術を応用した医薬品製剤開発および製造工程管理手法の研究」
主任研究者:国立医薬品食品衛生研究所
川西
徹
開催日及び場所:平成 20 年 12 月 15 日
こまばエミナースホール
参加者:213名
④テーマ:「大規模副作用症例報告データベースを用いた医薬品安全性情報の解析」
主任研究者:国立医薬品食品衛生研究所
森川
馨
開催日及び場所:平成 21 年 1 月 23 日
東京国立近代美術館講堂
参加者:256名
⑤テーマ:「人工血液をつくる(9)
」
主任研究者:慶應義塾大学医学部
堀之内
宏久
開催日及び場所:平成 21 年 2 月 11 日
慶応義塾大学医学部講堂
参加者:83名
Ⅳ
研究資源供給事業
細胞、遺伝子、日本人由来 B 細胞株およびその DNA、ヒト組織の供給事業を継続実施して
いる。動物胚・精子については保存を継続している。平成 20 年度末に保管している研究資源数
を以下に示す。
(1)保有研究資源数(平成 21 年 3 月末現在)
資源の種類
細胞
遺伝子
日本人 B 細胞株
ヒト組織
動物胚・精子
資源数
980 株
平成 20 年度・新規受入れ数
32 株
14,867 クロ-ン
2,145 株
2クローン
なし
202 試料
28 試料
23 試料
なし
新規の研究資源として、細胞バンクではヒト正常間葉系幹細胞、ヒト網膜芽細胞腫由来細
胞株などを医薬基盤研究所より受入れた。ヒト組織バンクでは、凍結肝組織や凍結肝細胞の
他、主に新鮮大腸組織(がん/非がん部位のペアー)と新鮮内臓脂肪を協力医療機関より受
入れた。
- 29 -
(2)研究資源分譲サンプル数(平成 20 年 4 月~平成 21 年 3 月)
平成 20 年
前年度
度
実績
大学・国公
HS 財団
非会員
立・独法
会員
(一般)
細胞
1,892
367
409
728
3,396
3,543
遺伝子
34
4
0
0
38
40
1,602
12
200
1,814
5,802
35
29
0
64
32
日本人B細
胞株/DNA
ヒト組織
海
外
0
合計
平成 20 年度の細胞の分譲数は、前年度に比べ若干減少したが、過去 2 番目に多い 3,396 ア
ンプルとなった。その分譲先内訳は、大学・国公立・独法化研究機関が 56%、国内民間研究
機関(会員、非会員)が 23%、海外研究機関が 21%で、海外への分譲比率が前年度(13%)
に比べ増加した。
日本人由来 B 細胞株(大部分は DNA で分譲)の分譲試料数は、平成 17 年度(3,130 試料)、
平成 18 年度(1,401 試料)、平成 19 年度(5,802 試料)、平成 20 年度(1,814 試料)と大き
く変動したが、分譲件数はそれぞれ 13 件、17 件、27 件、26 件となり、平成 19 年度と 20
年度の間で大差なかった。
ヒト組織バンクでは、平成 18 年度から関節滑膜組織、19 年度から皮膚組織、内臓脂肪組織、
大腸がん/非がん部位ペアー組織について非凍結(新鮮)状態での受入れ・譲渡を開始したが、
平成 20 年度は特にこれら新鮮組織の取扱いに注力した。年間の譲渡試料数 64 試料のうち 14
試料は新鮮組織の譲渡であった。
動物胚バンクに関しては、医薬基盤研究所・生物資源研究部が平成 18 年度よりマウス個体
の分譲を開始したのに伴い、HSRRB では胚と精子の保存のみを継続し、分譲は実施しなかっ
た。
(3)その他
・ 広報活動用の小冊子「HSRRB 保有資源カレントステータス」を改訂し、「HSRRB 保有細
胞を使用した文献ピックアップ(2008 年発行論文)」を作成した。また英文の「RESEARCH
RESOURCES –CURRENT STATUS-」を新たに作成した。
・ 第 8 回 HS 研究資源バンクセミナー「ヒト細胞を創薬研究にどのように利用するのか?」を
研修委員会と共同で開催した。
・ 第 7 回医薬品原料・中間体展、バイオジャパン 2008、日本組織培養学会、日本分子生物学会・
日本生化学会合同大会特別展示、新型インフルエンザ対策セミナーなどにおいて研究資源バ
ンクの広報活動を行った。
・ 関東および関西の医療機関を訪問し、手術摘出残余組織の提供を依頼した。
・ 各バンクが保有する研究資源の状況を適宜 Web 掲載し、利用者への迅速な情報提供に努め
た。
- 30 -
Ⅴ
出版事業
平成19年5月16日に発刊した書籍「我が国の保健医療の将来-20年後のヒューマンラ
イフを展望する-」の普及に努めた。平成20年度の販売実績は28冊であった。
Ⅵ
創薬バイオマーカー探索研究事業
平成 20 年度から開始した創薬バイオマーカー探索研究事業は独立行政法人医薬基盤研究所
の「基盤技術共同研究」と厚生労働省が公募した「疾患関連バイオマーカー探索研究」により
構成されている。
「基盤技術共同研究」は医薬基盤研
山西理事長を研究代表者、分担研究者として国立高度医
療センター(NC)、大学等の研究機関が加わり、疾患の診断・治療に関連した、また創薬のため
のバイオマーカーを探索する技術の導入・構築を行う研究施設としてプロテオームリサーチセ
ンター(PRC)を設置した。
当財団は平成 20 年度創薬プロテオームファクトリー(PF)施設を
PRC 加島施設として運営支援するために参画した。なお創薬プロテオームファクトリー事業に
ついては平成 20 年度末をもって加島施設を閉じ、平成 23 年度末まで当財団における解析デー
タの提供を継続する。
「疾患関連バイオマーカー探索研究」は、基盤技術共同研究に参加する企業と国立高度医療セ
ンター(NC)、大学等の研究機関の研究代表者が応募した研究課題から個別の研究班として採択
された。
ヒューマンサイエンス振興財団は今後「基盤技術共同研究」の参加費、また「疾患関連バイオ
マーカー探索研究」における研究費を企業から受け入れ、医薬基盤研究所、
「疾患関連バイオマ
ーカー探索研究」の研究代表者へ配分を担当する。
Ⅶ
厚生労働大臣認定 TLO 事業
本事業は、平成15年5月1日付けで厚生労働大臣の認定を受け、ヒューマンサイエンス技
術移転センター(HSTTC)において活動を開始した。
厚生労働省所管の試験研究機関等の研究から生み出された成果を有効に活用し、社会に還元さ
せることを目的としている。
本年度は、特定試験研究機関または試験研究独立行政法人(国研)の14機関において、研究成
果である発明案件の掘り起こしに注力し特許出願を進め、加えて、実施許諾先を幅広く探索す
るための活動を行った。
1)平成20年度は、対象となる国研から114件の発明案件が寄せられ、その内80件(累計3
56件)を新規国内出願、10件(累計75件)の PCT 出願、他に5件(.累計29件)の海外直接
出願及び PCT 後の指定国出願を行った。
2)研究成果の実用化をはかるための20年度登録会員企業数は、前年度に比べ4社少ない42
社となった。ホームページに掲載の発明概要に興味を示した登録会員企業に対し、より詳し
い明細書情報を20年度末までに、累計:延べ287案件、152社に提供した。
- 31 -
3)20年度における実施許諾状況は、(独)医薬基盤研究所の育種案件 1 件および国立循環器病
センターの発明1件を民間企業に利用権を許諾した。過去4年間で累計18案件の技術移転
を民間企業に行った。
4) 前年同様、特許公開された発明案件については、大阪商工会議所が運営する「創薬特許マー
ケット」データベースへの登録、
「リサーチツール特許データベース」への登録検討など、よ
り広く情報の提供に努めた。また、BioJapan 2008、CPHI JAPAN 2008 などの展示会にも
参加し、PR 活動を行った。
5)幅広い視野と経験、知識、人脈をもった人材を集めるために策定したフェロー職従事者規定
に則って、現在12名の有識者と業務委託契約を交わしている。フェロー職従事者の活動が
本格化し、次年度には斡旋による技術移転の成約が見込まれる。
6) ヒューマンサイエンス振興財団主催の、創薬のための知的相互交流「バイオインターフェイ
ス」に、特許出願を行った国立試験研究機関等の先生方に参加を要請し、プレゼンターとし
て発明の紹介を依頼した。
第26回
国立がんセンター研究所
生化学部
室長
土屋
直人
(平成20年5月21日)
第27回
国立感染症研究所
エイズ研究センター室
室長
武部
豊
(平成20年8月26日)
第28回 国立成育医療センター研究所 免疫アレルギー研究部 部長 斎藤 博久
(平成20年11月12日)
7)
海外企業へのライセンス等の可能性を探るため、下記の活動を実施した。
(1)
主にワクチン剤について、海外企業の日本法人への打診
(サノフィ・アベンティス、
バイエル、メルク、シェーリング・プラウ、等)
(2)
WIPO (World Intellectual Property Organization
ジュネーブ)視察、IGR&D (IGR
財団の付属 TLO パリ大学バイオメディカル関連)及び BIANCHETTI・BRACCO・MINOJA (ミ
ラノにある特許事務所)との意見交換を実施
(3)
「子宮頚癌予防ワクチン」の売り込み3社
(Transgene 社、EUDAX 社及び BG Consulting
社)
Ⅷ
動物実験実施施設外部評価認証事業
平成19年 11 月に厚生労働省所管の動物実験実施機関における動物実験等の実施に関する基
本指針(以下「基本指針」という。)への適合性に関する外部評価事業の実施について、準備委員
会を発足させ、検討を開始した。
平成 20 年 4 月に準備委員会の検討結果を踏まえ、財団内の機関として「動物実験実施施設認証
センター」を設置した。運営委員会及び評価委員会の設立と共に体制整備を進め、運営委員会に
おいては制度の運営に関すること、評価委員会においては制度の実施における専門的・技術的側
面からの必要事項に関することについて鋭意検討を行い、各種規程、申請様式、評価基準、認証
評価員等を決定し、業務開始の準備が整った 7 月28日より、認証申請受付を開始しました。
- 32 -
平成 20 年度の評価実績については、認証申請は国立研究機関2箇所、製薬企業1箇所、研究機
関2箇所の計 5 施設から提出され実地調査後、4施設に認定証を発行し、残り 1 施設については、
平成 20 年に実地調査を実施した。
Ⅸ
厚生労働科学研究推進事業
本事業は、厚生労働省から委託を受けて、厚生労働科学研究事業(ヒトゲノムテーラーメード
研究、再生医療実用化研究、新興・再興感染症研究及び難治性疾患克服研究の4分野)の円滑な
実施を図るために、外国人研究者招へい事業、外国への日本人研究者派遣事業、若手研究者育成
活用事業、外国への研究委託事業、研究支援者活用事業(ヒトゲノムテーラーメードと再生医療
実用化のみ)及び研究成果等普及啓発事業を行うものです。
1.外国人研究者招へい事業
厚生労働科学研究の4分野において優れた研究を行っている外国人研究者 14 名【アメリカ
5 名、イギリス3名、中国2名、フランス1名、ドイツ1名、インド1名、タイ1名】(応募
者 18 名)を選考・招へいし海外との研究協力を推進した。
研究事業名
応募者 実施者
ヒトゲノムテーラーメード研究
1名
1名
再生医療実用化研究
1
1
14
10
2
2
新興・再興感染症研究
難治性疾患克服研究
計
18名 14名
2.外国への日本人研究者派遣事業
厚生労働科学研究の4分野の研究を行っている研究者8名(応募者10名)を選考し、外
国の大学、研究機関等【アメリカ5名、イギリス2名、ドイツ 1 名】に派遣し、研究に従事
させた。
研究事業名
応募者
実施者
ヒトゲノムテーラーメード研究
2名
1名
再生医療実用化研究
1
1
新興・再興感染症研究
5
4
難治性疾患克服研究
2
2
計
10名
8名
3.若手研究者育成活用事業
厚生労働科学研究4分野の将来わが国の中枢となる人材を育成するため、厚生労働科学研
究に参画する若手研究者(リサーチ・レジデント)54名(応募者87名)を選考・採用し、
研究機関等に派遣し、研究に従事させた
- 33 -
研究事業名
応募者
実施者
ヒトゲノムテーラーメード研究
17名
16名
再生医療実用化研究
10
4
新興・再興感染症研究
41
27
難治性疾患克服研究
19
7
計
87名
54名
4.外国への研究委託事業
厚生労働科学研究の4分野について、外国の研究機関等で実施した方が効率的な研究及び
わが国では供給困難な研究材料等の開発・供給等を外国の研究機関等に研究委託するもので、
応募があった17課題のうち14課題を選考し、委託を実施した。
(1)新興・再興感染症研究
13課題(応募 14課題)
1)フニンウイルスの抗原検出法と VSV シュードタイプによる中和試験法の開発と評価
(委託申込者)国立感染症研究所ウイルス第一部第一室
(委託機関)
室長
森川
茂
ラプラタ国立大学生物工学分子生物学研究所〔Argentina〕
2)構造に基づくドラッグデザイン
(委託申込者)国立感染症研究所
(委託機関)
室長
新見
昌一
オタゴ大学歯学部口腔科学講座分子微生物研究室〔New Zealand〕
3)ブルキナファソ地域におけるマラリア原虫保有蚊への単一温度系遺伝子増幅法の応用研
究
(委託申込者)国立大学法人帯広畜産大学原虫病研究センター
教授
(委託機関)
嘉糠
洋陸
国立マラリア研究・研修センター〔Burkina Faso〕
4)メキシコにおけるハンタウイルス感染症の診断法と疫学に関する研究
(委託申込者)北海道大学大学院獣医学研究科
(委託機関)
准教授
苅和
宏明
メキシコ国立公衆衛生研究所〔Mexico〕
5)フィールドテストキット導入による、中国麻疹サーベイランス迅速化・効率化の研究
(委託申込者)国立国際医療センター国際医療協力局
(委託機関)
専門官
帖佐
徹
計画免疫センター中国疾病予防控制センター〔China〕
6)タバコモザイクウイルスベクターによるE型肝炎ウイルス中空粒子の発現
(委託申込者)国立感染症研究所
(委託機関)
室長
武田
直和
アリゾナ大学アリゾナバイオデザイン研究所〔USA〕
7)翼手目由来感染症のコントロール法の確立に関する研究
(委託申込者)東京大学大学院農学生命科学研究科
(委託機関)
教授
吉川
泰弘
国立フィリピン大学〔Philippines〕
8)肺吸虫症迅速診断キットを用いた中国における本症の疫学調査研究(継続)
(委託申込者)厚生労働省国立感染症研究所
(委託機関)
主任研究官
浙江省医学科学院生物工程研究所〔China〕
- 34 -
杉山
広
9)中国青海省南東部におけるエキノコックス宿主動物の調査研究
(委託申込者)国立感染症研究所寄生動物部
再任用職員(前室長)
(委託機関)
川中
正憲
中国疾病予防センター寄生虫病研究所〔China〕
10)病原体が培養できない下痢症患者の臨床検体からのO1、O139 コレラ菌の検出法に関
する研究
(委託申込者)国立感染症研究所
(委託機関)
副所長
渡邉
治雄
国際下痢症センター、バングラデシュ(ICDDR、B)〔Bangladesh〕
DNA+IL-12
11)サルと新規結核ワクチン(HVJ-エンベロープ/HSP65
DNA+Ag 85B
DNA+Ag85A DNA)を用いた結核治療法の開発
(委託申込者)独立行政法人国立病院機構
臨床研究センター
(委託機関)
近畿中央胸部疾患センター
臨床研究センター長
レオナルド・ウッド・メモリアル研究所
岡田
全司
ハンセン病センター
(セブ医科大学)〔Philippines〕
12)タイから日本への伝播の検討も含めた薬剤耐性結核の分子遺伝疫学的研究
(委託申込者)長崎大学熱帯医学研究所
(委託機関)
特任教授
野内
英樹
タイ国保健省医科学国立衛生研究所〔Thailand〕
13)カンボジアの住血吸虫症対策における新しい寄生虫症診断法の有用性の検討
(委託申込者)国立感染症研究所寄生動物部
(委託機関)
室長
大前
比呂思
(3)難治性疾患克服研究
国立寄生虫学・昆虫医科学・マラリア対策センター
1課題(応募2課題)
1)尿中糖鎖異常 IgA 測定による IgA 腎症の早期診断と疾患活動性評価
(委託申込者)順天堂大学医学部腎臓内科
(受託機関)
教授
冨野
康日己
アラバマ大学バーミンガム校微生物学教室〔U.S.A〕
5.研究支援者活用事業
ヒトゲノムテーラーメード研究、再生医療実用化研究事業に従事している研究者を支援す
るため、研究の実施に当たって必要な技術を有する研究支援者20名(応募者23名)を選考・
採用し、研究事業を行っている研究機関等に派遣し、研究に従事させた。
6.研究成果等普及啓発事業
厚生労働科学研究の4分野に係わる研究成果等について、一般国民や研究者を対象とした
発表会の開催あるいは研究への取り組みを明確にしたパンフレット等の作成を行った。
(1)ヒトゲノムテーラーメード研究推進事業:ヒトゲノムテーラーメード研究成果発表会
「ヒトゲノムテーラーメード研究の成果と今後」のテーマで、平成20年度で3年間の研
究が終了する13課題のうち実用化の近い6課題について、専門知識を持たない一般国民向
- 35 -
けに研究成果発表会を開催した。
開催日及び場所:
平成21年3月5日(木)
東京(砂防会館別館1階淀・信濃)
演題及び演者:
「アレー戦略によるヒト疾患遺伝子の単離研究」
横浜市立大学大学院医学研究科環境分子医科学部門
教授
松本
直通
医長
清水
渉
講師
原
「致死性遺伝性不整脈疾患の遺伝子診断と臨床応用」
国立循環器病センター心臓血管内科
「日本人2型糖尿病感受性遺伝子の同定と糖尿病発症予測」
東京大学医学部附属病院
総合研修センター
一雄
「マイクロアレイ技術を用いた ATL のゲノムワイドな解析による新規治療標的分子
の探索」
東京大学大学院新領域創成科学研究科
療科学分野
メディカルゲノム専攻病態医
教授
渡邉
俊樹
自治医科大学医学部神経内科
教授
中野
「パーキンソン病の遺伝子治療:実用化が近いか」
今治
「心不全に対しβ遮断薬療法を安全かつ有効に導入するための統合的ゲノム薬理学的研
究」
大阪市立大学大学院医学研究科基礎医科学専攻
分子生体医科学大講座
教授
岩尾
洋
参加者:77名
なお、研究成果発表会の内容を記録集として作成した。
(2)再生医療実用化研究推進事業:パンフレットの作成
再生医療についてわかりやすく解説したパンフレットを、
「再生医療とは?」のテーマで作
成した。
作成・監修者:千葉大学大学院医学研究院
循環器病態医科学
教授
小室
一成
(3)新興・再興感染症研究推進事業:新型インフルエンザ対策セミナー
「新型インフルエンザ対策セミナー―最前線の研究者が対策を語る―」のテーマで、正し
い新型インフルエンザ対策を広く一般国民に理解してもらうためのセミナーを開催した。
開催日及び場所:平成21年3月12日(木)大阪(千里ライフサイエンスセンター
ライフ・サイエンスホール)
演題及び演者:
「新型インフルエンザ対策行動計画・ガイドライン改訂のポイント」
厚生労働省健康局結核感染症課
新型インフルエンザ対策推進室
医師
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高山
義浩
「新型インフルエンザワクチンの現状と課題」
国立感染症研究所
ウィルス第三部
部長
田代
眞人
「新型インフルエンザとヒト H5N1」
国立国際医療センター戸山病院
国際疾病センター 特別疾病征圧班
医長
泉
信有
教授
押谷
「地域におけるパンデミックへの備え」
東北大学大学院医学系研究科
微生物学分野
仁
「事業者・職場における事業継続計画の要点」
株式会社三菱総合研究所科学・安全政策研究本部
社会安全マネジメントグループリーダー
主席研究員
木根原
良樹
「個別意見(名刺)交換会」
参加者:468名
開催日及び演者:平成21年3月17日(火)東京(有楽町朝日ホール)
演題及び演者:
「新型インフルエンザ対策行動計画・ガイドライン改訂のポイント
厚生労働省健康局結核感染症課
」
新型インフルエンザ対策推進室
室長
難波
吉雄
ウィルス第三部
部長
田代
眞人
防衛医科大学校内科学講座2(感染症)
教授
川名
明彦
教授
押谷
仁
「新型インフルエンザワクチンの現状と課題」
国立感染症研究所
「医療体制に求められる対策」
「地域におけるパンデミックへの備え」
東北大学大学院医学系研究科
微生物学分野
「事業者・職場における事業継続計画の要点」
株式会社三菱総合研究所科学・安全政策研究本部
社会安全マネジメントグループリーダー
主席研究員
木根原
良樹
「 個別意見(名刺)交換会」
参加者:542名
なお、セミナーの内容を記録集として作成した。
(4)難治性疾患克服研究推進事業:難治性疾患克服研究成果発表会
「難治性疾患克服研究の成果と今後」のテーマで、平成20年度で3年間の研究期間が終
了する6課題全てについて、専門的な知識を持たない一般の国民あるいは研究者向けに研究
成果発表会を開催した。また、合わせて難治性疾患克服研究の取り組みを明確にした、わか
りやすいパンフレットの改訂版を作成し配布した。その中で、臨床調査研究班(全 38 班)の
研究成果や現状を簡潔に紹介した。
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開催日及び場所:平成21年2月25日(水)東京(KKRホテル東京 10 階
瑞宝)
演題及び演者:
「加齢黄斑変性の感受性遺伝子と霊長類モデルを用いた予防法の開発」
独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター
(感覚器センター)分子細胞生物学研究部
部長
岩田
岳
「難治性疾患に関する有効な治療法選択等のための情報収集体制の構築に関 する研
究」
財団法人結核予防会複十字病院
院長
工藤
翔二
「生前同意によるパーキンソン病脳バンクの設立」
国立精神・神経センター病院
副院長
久野
貞子
「炎症性腸疾患に対する新しい治療戦略」
関西医科大学内科学第三講座
教授
岡崎
和一
「新規抗パーキンソン病薬ゾニサミドの発見と神経保護作用の解析」
国立精神・神経センター病院
第 2 病棟部長
村田
美穂
「特発性肺線維症の予後改善を目指したサイクロスポリン+ステロイド療法ならびに
N アセチルシステイン吸入療法に関する臨床研究」
日本医科大学内科学講座(呼吸器・感染・腫瘍部門)教授
財団法人結核予防会複十字病院
院長
吾妻
工藤
安良太
翔二
参加者:90名
なお、セミナーの内容を記録集として作成した。
Ⅹ
ヒトゲノムテーラーメード研究推進事業(創薬知的基盤整備促進事業)
創薬のための基礎・基盤研究および開発研究の推進を図ることを目的として、汎用性が高く高
水準の品質を有する細胞、遺伝子、ヒト組織、動物胚等の研究資源の確保と、創薬知的基盤の整
備促進のため以下の事業を行った。
(1)細胞、遺伝子
主としてヒトおよびマウスに由来する多数の細胞、遺伝子を培養・増幅し、微生物汚染、
変異の有無、由来種の確認等の試験研究を行い、品質の保証された細胞、遺伝子の整備、
補充を行った。平成 20 年度末における細胞、遺伝子、日本人由来 B 細胞株数はそれぞれ
980 株、14,867 クローン、2,145 株であり、細胞 32 株、遺伝子 2 クローンを新規に分譲可
能資源とした。また新たに受入れた間葉系幹細胞の分化能について確認試験を実施した。
(2)ヒト組織
ヒト組織の確保を円滑に進めるため、ヒト組織提供医療機関との調整、倫理審査委員会
の開催等、ヒト組織バンク運営に当たっての体制整備の他、関連情報の収集、技術・倫理面
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についての調査研究を継続した。平成 20 年度末までに受入れ、譲渡可能になったヒト組織
数は 368 試料で、そのうち 238 試料を研究者に譲渡した。平成 20 年度には凍結肝組織、凍
結肝細胞に加え、新鮮内臓脂肪組織、新鮮大腸がん/非がん部位ペアー組織を受入れ、直ち
に譲渡した。また大腸以外の消化器系がんの新鮮組織(胃、食道、膵臓のがん部位/非がん
部位)について、それらの受入れ・譲渡のための体制を構築した。一方、新鮮内臓脂肪組織
から培養細胞を当バンクで調製し、品質試験した後、譲渡するための予備的検討を実施した。
平成 20 年度末に凍結保管しているヒト組織数は 202 試料である。
(3)動物胚
医薬基盤研究所・生物資源研究部が平成 18 年度よりマウスの分譲を開始したのに伴い、
当バンクからの分譲は中止した。保存継続中の資源数は、マウス 16 系統 22 試料、ラット 3
系統 6 試料の計 19 系統 28 試料である。平成 18 年度に安全寄託を受付けたマウス 4 系統の
精子については、預託期間が終了したので寄託者に返送した。
(4)データベース
各種研究資源についてデータベースの内容を更新し、最新情報を財団のウェブサイト上
に公開してデータベース検索環境の維持管理に努めた。
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