グロース・マーケッツ株式市場の動向と見通し

2012年5月14日
グロース・マーケッツ株式市場の動向と見通し(1/2)
情報提供資料
グロース・マーケッツ*株式市場は、先進国市場と足並みを揃
グロース・マーケッツと先進国の株価推移(円換算ベース)
える形で、3月中旬の年初来高値より13.6%下落しました(円
(2010年12月31日~2012年5月11日)
換算ベース/5月11日現在)。主な理由として、米国で成長鈍 120
グロース・マーケッツ
化を示すマクロ指標が散見されたことに加え、欧州債務問題
110
先進国
に再び不透明感が高まってきたこと等、外部要因の変化が挙
げられます。
100
* ブラジル、ロシア、インド、中国、メキシコ、インドネシア、韓国、トルコを指します。
1.欧州動向 -仏大統領選挙とギリシャ総選挙の影響―
 5月6日フランス大統領選挙の決選投票では、事前予想通
り社会党オランド氏が現職サルコジ氏を破り勝利しました。
選挙期間中、メルコジ体制(独メルケル首相と仏サルコジ
大統領との盟友関係)を批判し緊縮財政政策からの修正を
主張したオランド氏の勝利に、株式市場では懸念を示す向
きもありましたが、6月に控えた議会選挙で幅広い支持の
獲得を目指すオランド氏はいずれ現実路線に軌道修正す
るとの見方が多く、市場の懸念は徐々に鎮静化してきまし
た。
90
80
70
60
※2010年12月31日を100として指数化
2010/12
2011/3
2011/6
2011/9
2011/12
2012/3
出所:MSCI(グロース・マーケッツ:MSCI各国指数を均等配分によりGSAM算出)、
ブルームバーグ
欧州周辺国の10年債利回りの推移
(2012年3月30日~2012年5月11日)
 一方、同日行われたギリシャ総選挙では連立与党が過半 26%
数割れとなり、財政規律に否定的な政党が躍進しました。
22%
その後行われた連立協議も不調に終わり、再選挙が濃厚
となるなか、財政調整プログラムの中断やユーロ脱退の可 18%
能性も出てくるなど、同国の政治環境は一気に不透明感が
高まったと言えます。
14%
ギリシャ
ポルトガル
 しかし、そのような環境下、選挙後にギリシャ10年国債利 10%
回りが急上昇した一方、その他南欧各国は平穏を保ってい
スペイン
る 点 は 、注 目 に値 する 動 き です 。 欧州 中 央 銀行 に よ る 6%
LTRO(長期資金供給オペ)によりEU域内の流動性が十分
イタリア
に行き渡っていることに加え、金融市場では今回のギリ 2%
3/30
4/6
4/13
4/20
4/27
5/4
5/11
シャを特殊要因と想定していると見られるからです。今後の
出所:ブルームバーグ
イベント・リスクによってはグローバル金融市場に短期的な
動揺が走る可能性はありますが、ギリシャ国民自身による
グロース・マーケッツ各国の政策金利の推移
選択により欧州の制度的枠組みから外れようとすればする 14%
(2009年12月31日~2012年5月11日)
ほど、市場では特殊要因とみなす傾向が強まるかもしれま
ブラジル
12%
せん。
10%
2.2011年市場環境との相違点 -既視感と現実の乖離―
 5月初旬に発表された4月米雇用統計が市場予想を下回る
など、いくつかの米国マクロ指標で回復鈍化を示唆する数 8%
字が表れてきたことが、市場のセンチメントを軟化させてい
6%
ます。これには、昨年も同じ時期にマクロ指標が鈍化し下
期にかけて市場が調整局面入りしたことで、市場参加者に 4%
既視感(デジャヴ)を与えるなど、心理的な影響も少なくな
2%
いように見受けられます。
 しかしながら、当社グループでは、足元の市場環境は一部
マクロ指標の鈍化など昨年と似ている点はあるものの、以
下2つの観点より、昨年とは明確に異なると考えています。
インド
ロシア
トルコ
中国
0%
2009/12
メキシコ
インドネシア
韓国
2010/6
2010/12
2011/6
2011/12
出所:ブルームバーグ
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グロース・マーケッツ株式市場の動向と見通し(2/2)
 1) 米国経済 -大きな外因性ショックの有無―
2011年上期には、リビアの原油供給停止と東日本大震災
という2つの大きな外因性ショックが発生し、原油価格高騰
とサプライチェーン問題がその後の米国経済減速の主要
因となりました。しかし、今年はそのような大きなショックは
生じておらず、むしろ暖冬により1-3月の経済活動が嵩上
げされたため、その反動減により一時的に足元のマクロ指
標が鈍化していると見ており、米国経済の基調は依然とし
て底堅いと考えられます。
2012年5月14日
情報提供資料
OECD景気先行指数の推移
104
(2009年12月~2012年2月)
103
102
101
100
99
グロース・マーケッツ各国平均
ブラジル
インド
中国
 2) グロース・マーケッツ金融政策-引締めから緩和へ―
98
それ以上に重要な相違点は、グロース・マーケッツを含む
97
新興国全般において、インフレ懸念の後退を受けて、金融
2009/12
2010/6
2010/12
2011/6
2011/12
政策を引締めから緩和方向に大きく舵を切ったことです。
出所:OECD
2011年8月末のブラジルを皮切りに、中国やインドなども
次々と金融緩和に転じました。今では多くの国が金融緩和
中国 景気先行指数、インフレ率、預金準備率の推移
局面に入っています。昨年の同時期とは明らかに異なる
(2005年12月~2012年3月)
点です。
106
-5%
3.グロース・マーケッツのファンダメンタルズは回復局面へ 104
0%
 実際に、2012年初以降、グロース・マーケッツ各国の景気 102
先行指数は上昇トレンドに転じました。世界第2位の経済
5%
大国となった中国は、1-3月期に景気底入れしたと当社で 100
は見ています。4月以降、特にシクリカル(景気敏感)・セク 98
10%
ターにおいて、セメント価格の安定化など、いくつか変化の
96
15%
兆しが確認できます。昨年7月の悲惨な鉄道事故以来停
止されていた高速鉄道建設プロジェクトも再開されました。 94
景気先行指数
20%
当社グループでは、今年下期にかけて中国経済の回復が 92
インフレ率(右軸)
鮮明化すると見ており、株式市場でも、中国の企業収益は
預金準備率(右軸)
25%
2012年1-3月期を底に4-6月期以降プラス成長に転じると 90
2005/12
2007/12
2009/12
2011/12
予想されています。既に株式市場においても、中国の内需
出所:OECD、ブルームバーグ
関連銘柄により多く構成されている中国A株市場は、年初
来で12.4%(CSI300指数/5月11日現在)の上昇を見せ
中国企業 四半期EPS成長率(前年比)の推移
ています。
(2011年第1四半期~2012年第2四半期(市場予想))
40%
 その他の多くのグロース・マーケッツ各国にとっても、米国 30%
の安定的な景気拡大に中国の循環的な景気回復が加わ
20%
ることは、貿易等を通じてファンダメンタルズの下支え要因
になると見られます。今後、グローバル株式市場において、 10%
ギリシャ等欧州問題に端を発する外部ショックにより一時
0%
的に緊張感が高まる可能性もありますが、米中という世界
経済の主要構成国のファンダメンタルズ見通しが明るいな -10%
か、当社グループでは楽観的な見通しを維持しており、現
-20%
在は魅力的な投資機会であると考えています。
-30%
中国A株
香港H株(中国オフショア上場企業)
1Q11
2Q11
3Q11
4Q11
1Q12 2Q12 E
出所:ブルームバーグ
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