バルト海の女王 シリア・ラインの旅

世界の旅シリーズ
写真・文 佐藤文彦
純白の船体を優雅に水面に映し
大海原を悠然と進む豪華客船
人類にとって最後の贅沢?
全長
20
3m
バルト海の女王 シリア・ラインの旅
ス
ウェーデンの首都ストックホルムと、
白夜の落日
豪華なショーを満喫
室に一転して緊張が走る。だが、最新鋭の
フィンランドのヘルシンキを結ぶ航路。数
設備を誇るこの船。レーダーで小さなヨッ
多の海戦の舞台となった海だが、
現在この
トまで捕捉、霧笛でこちらの位置を知らせ
両国の首都を、5万8,000tという巨大な豪
つつ、ゆったりと進んで行った。
華客船が結んでいる。バルト海の女王とも
翌朝。霧はうそのように晴れ、貨物船が
呼ばれるセレナーデ号だ。
増えだし、やがてヘルシンキの街並みが見
そのセレナーデ号が、
ゆっくりと岸壁を
え出してきた。優雅なクルーズももう終わ
離れた。隣国への出国だが、乗船時にパス
り。もっと乗っていきたい誘惑にかられな
ポート審査もなく、改めて欧州統合の進み
がら、セレナーデ号を後にした。
レーダーに映る他船の航跡
カジノでひと儲け!
具合を感じさせた。船は内部が巨大な吹き
抜けになっていて、その両側にブティック
やレストランが立ち並び、
まるでどこかの
ショッピング・センターにいるよう。船は
少々の風や波には全く揺れず、快適だ。
白夜の、美しい落日を楽しみながら、
デッキで寛ぐ人、思い思いに美酒を傾ける
人、ギャンブルに興じる人と、様々。物価、
特に酒税の高い北欧にあって、この船の中
は無税。しこたま酒を買い込み、呑みまく
る人もいた。
と、突然霧笛の音が。なんと濃霧が発生
して、文字通り五里霧中。しかも帆船レー
スに参加する小型帆船が多数、進行方向か
ら来るという。それまで和やかだった操舵
船内のディスコでフィーバー
特許をとったという船内構造
どんなにデジタル化が進んでも
やっぱり最後はキャプテンの勘