NHK名古屋ビデオクラブ

NHK名古屋ビデオクラブ 会報
2006年7月号
(7月5日発行)
発行責任:役員会
所在地 〒461-8725 NHK名古屋放送局事業部内
六月例会
http://ckvc.web.infoseek.co.jp
NHK名古屋ビデオクラブのホーム頁 もう少し冒険してみるのも…
ご案内
初登場 斎藤裕一講師の総評
映像も編集も これが正解 はない
︻斎藤裕一デスク紹介︼長野県出身。松本支
局へ入局。当初は総務部だったが、﹁そろば
んが出来ないから﹂︵ご本人の弁︶との理由
で報道部へ転籍。以来、カメラマンとして前
橋、鳥取、広島、長野の各局を転属されたベ
テラン。三年前から名古屋局に在籍。
CKクラブの6月例会は25日13時半からNHKビル901号
室で開かれ、20名の会員が出席、12作品を鑑賞した。
この日の講師は、3年前から名古屋局報道部の映像デスクと
して取材指揮をされている斎藤裕一氏(写真)。CKクラブの
講師としては初登場。鑑賞会では出品作品ご
とに撮影方法や編集について詳細な講評を受
けた。その中の数点の作品については、作品
の中の場面についてアングルやサイズなど具
体的に図示しながら「こうした方がよい」と
アドバイス。判りやすい解説だった。
講評のあとの総評では次の点を指摘された。
【横パーン】どの作品もパーンの頭は比較的
決まっているが、最後がルーズになっている
のが目立つ。パーン尻もしっかりフィックス
で押さえることが大事。それと、パーンの途
中がユックリ過ぎる。
【冒険もあり?】ロボットの絵を撮るために
業務用カメラ(8Kg)を掃除機に取り付けて撮
影した部下がいた。面白い絵が撮れていた。
傘の先端にカメラをつけて、ぐるっと回して
みたら、あるいは満開の花の中にカメラを入
れて180度ぐらい回してみたらどんな絵が
撮れるか。そんな冒険をしてみるのも良い。
【撮り口を変えてみる】花に向かって花を撮
るのはだれでもすること。時には花の方から
反対側を見て撮るのも、風景が変わり新鮮味
が出るのではないか。
「いずれにせよ撮影も編集も『これが正解』
というものはない。自己満足の世界だから自
分が楽しいと思うことが一番です。」
【タイトルのつけ方】=会員の質問に回答=「ある程度は作
品の中身が判った方がよいが、そのものズバリでは面白くな
い」とした上で、例えばナンジャモンジャを取り上げた作品
の場合には、こんなタイトルのつけ方、作り方もある…と具
体例が示された。
◆7月例会◆
日時:7月16日 13時30分から
会場:NHKセンタービル 901号室
内容:◎新役員の発表
役員会の構成が固まりました
のでお知らせします
◎作品鑑賞会
※作品のテーマは自由
※作品時間は5分以内
※テープは頭だし状態で
◆夏季懇親会は8月に延期◆
年間行事予定では、夏季のクラブ懇親
会を7月例会後に行う予定になってい
ますが、都合により、8月例会後開催
に延期いたします。
詳細は8月号会報でお知らせします。
ご了承下さい。
「映像の作り方」CD配布◆
◆
NHKのミニミニ映像大賞事務局編纂の
「映像の作り方」と題したCD10枚を、
同事務局からいただきました。
このCDは、中・高校生にもミニミニ映
像大賞に参加してもらおうと、映像制作
の基本について判りやすく解説した内容
で、企画・撮影準備・撮影・インタビュ
ー・仕上げ・試写の6項目について、イラ
スト入りで解説されている。ベテランの
皆さんには周知のことばかりですが、基
本に戻って…と思われる方には7月例会日
に会場で配布しますので、お申し出下さ
い。10枚限定です。希望者多数の場合は
抽選とします。
*************************************************
新局長に太田文雄氏が就任
NHK名古屋放送局
新事業部長には薬師寺健治氏
NHKは6月5日付で人事異動を行い、
名古屋放送局の新局長には太田文雄氏
が就任された。太田氏はNHK本部の
薬師寺部長
前編成局長。
また、日頃CKクラブがお世話になっている名古屋
局の事業部長には薬師寺健治氏が就任された。
薬師寺氏は大分県津久見市のご出身。
ご着任早々にCKVC会員へのご挨拶をいただきま
したのでご紹介します。
このたび名古屋放送局に着任しました薬師寺です。
担当に聞きましたところ、CKVCは歴史も長く、熱心
な活動をされているとのこと。NHKに深く、長くお付
き合いいただいていることに感謝申し上げます。
機関紙も拝見いたしましたが、アマチュアビデオ投
稿家に対し、被写体の肖像権についてお答えしてい
る欄に感心いたしました。単にビデオカメラ愛好家
の域を超えた活動をされていることが伺えます。
今後ともよろしくお願いいたします。
【薬師寺健治氏の略歴】昭和53年NHK入局
東京:技術本部庶務、事業局
地方:甲府、福岡、松山、名古屋
出向:NHKサービスセンター、N響、
NHKエデュケーショナル
◆ニュースの一報はNHKへ TEL052-952-7233◆
E-Mail [email protected]
−1−
話題の映像は 「ほっとイブニング」へ
斎藤講師の講評
アングルやサイズ、構図を図示で説明
「映像に関するセンスは抜群」と、名古屋局報道部・山口副部長から事
前に紹介されていた講師の斎藤デスク。この日の鑑賞会では、アマチュ
アがつい見落としがちな画面構成上の注意点など、懇切丁寧な指導を受
けた。4点ほどの作品では具体的に画面構成を図示しながら「この部分
は画面からはずした方がよい」など、わかりやすく説明いただいた。
また編集に関しても「中ロング同士は繋ぐな」など、いろいろアドバイ
スを受け、出品者はもとより参加者にも勉強になった鑑賞会だった。
「部下がこんな絵を撮ってきたらひっぱたく(冗談ですヨ)」など、時
には デスクの本領発揮 ?で逆説的な解説もあり、和やかながらも有
意義な2時間余だった。
鑑賞会作品
「この画面では、この部分がいらない」
など、具体的に図を示しながら構図を説
明する斎藤講師
講評:斎藤 裕一講師
今回の作品講評について斎藤講師は、例会終了後も会場に居残りで作品ごとの講評用紙に丹念に記入
いただきました。全作品とも講師の記入内容をそのまま掲載しました。(罫線内の※印の項目)
罫線外の部分は、編集者が講評内容から参考部分を補足的に掲載させていただものです。
鶴舞公園「花菖蒲」 3:42 水谷 義裕
※中ロングから中ロングの編集をやめ変化をつけよう。
※半端なズームに注意。
※手持ち撮影でもカメラが揺れない工夫を。
きれいな作品だが残念ながらカットが短い。映像の中の人が何をしてい
るかを識別するには最低5秒はかかる。
花のアップが殆ど同じ高さ、変化が欲しい。画面の隅々まで神経を行き
届かせることが必要。
白馬五竜の空中散策・他 4:50 武田 勇進
※中ロング⇒中ロングの編集は注意です。
※半端なズームはやめましょう
※三脚無しでも何とか考えましょう。
全体にもっとアップの映像が欲しい。
ズームに関しては、特別に注目させたい場合は別として「画面サイズの
中で見えるものにはズームをするな」というのが原則。
ドッシリ構えた映像が見たかった。
雨あがり・徳川園 3:00 寺田 哮
※人の頭を切らないように。
※三脚の高さを考えましょう。
※もっとアップ映像を。
※その日の主題(雨)をもっと前面に出しましょう。
前半で撮った雨の光景と同じ場所を、雨あがりの後半でもう一度見せ
る…そんな手がある。
早春の信濃路 5:00 増子 悟朗
※山の無いカットも必要です。
※サイズに変化をつけましょう。
※ラストカットを考えましょう。
難点は、中ロングから中ロングへ繋いだ頭のカット。
川漕ぎボートへのズームアップは、漕ぎ手のオールではなく漕ぎ手の姿
が映る川面ではなかったか。
牡丹の花 満徳寺 5:00 森 博
※ズームまたはパーンの前後はフィックスを残す。
※目線を常に変化させる。
※人物の目線の方向は画面をあける。
※ロングショットを意識してください。
半月間かけて撮ったのなら、時間経過がわかるようにしたい(例え
ばつぼみの時は雨、満開時は晴れ)。
−2−
鑑賞会作品
講評:斎藤 裕一 講師
石楠花の寺 3:00 大谷 和子
※時として、きれいな映像にスーパーは邪魔します。
※画面の中で余分なものを除く努力を。
ファーストカットが非常にきれい。そのど真ん中にスーパー。もった
いない。
石楠花を引っ掛けたカットのような場合は、石楠花をキチンと入れた
方が良い。花と苔のカットも、アングルにもう一工夫欲しい。
皐月の徳川園 3:40 大矢 利夫
※対象物を画面の中央からずらしましょう。
※場面転換の映像を考えましょう。
現場へ行ったら雨、撮影している内に晴れてきた…そんな状況なら、雨
を逆手にとってしまう絵作りも。
同じサイズのつなぎは避けた方がよい。どうしても繋ぎたいときはイン
サートカットを使う。
タスマン氷河遊覧飛行 5:00 山下 一郎
※現場のSEを大切に。
※実況しながらの作品を作ってみたらどうでしょう。
飛行前に機体と山の絵があって、こんなときこそ(この山を目指すぞ−と
いう意味で)山へのズームイン画面があると良かった。
飛行後、機体から降りたあと、自分の感想を入れた絵まで見せてもらえる
と納得できた。
万徳寺の牡丹 4:45 中村 博美
※自己表現はアップだと思います。
※地面をどう処理する考えましょう。
仏の優しい顔で牡丹を見守る…そんな思いを表現したかったのでは…と
思うが、その割りには仏のアップが少ない。
画面に地面が入ると、画面を分割して表現したいことが散漫になってし
まう。アングルを考えたい。
モロッコ・メディナ 5:00 岡本 恒子
※どこかで止まって見せてください。
※映像のメリハリが必要です。
人・人・人…人混みの場面では顔だけではなく、足だけを狙ったカット
もあると変化が出る。旅行ビデオだからやむを得ないかもしれないが、
チョッとせわしい。落ち着いて見せて欲しい。
変わった染物風景のあと、出来ればどんな商品ができるのか見たい。
植木センターのヒトツバタゴ 4:00 尾関 慶四郎
※道路の処理を考えましょう。
※サイズももう一息だと思いました。
風が強いときに花のアップを撮るには、ダンボールなどで防風対策をす
ると良い。きれいな花の絵なのに、カラスの鳴き声が入っているのはい
ただけない。編集で処理を。
こういう自然を描写する作品では、舗装道路はあまり見せたくない。
タンポポ野原で 3:30 小池 淑恵
※センターラインとアップを注意してください。
※もっとタンポポのグループショットが狙えるはずです。
孫への優しさが感じられる。ファーストカットが良い。
折角タンポポの花で指輪を作ったのだから、それがどうなったかを知り
たい。
BGMは乗せないほうがよかった。
−3−
VAIOとPremiereで
やって みまし た!
ハイビジョン映像編集
体験報告 その1
坂 好治
アマチュアのデジタルビデオ環境は、いま、第三の曲
がり角に来ている。最初はDVカメラの登場。これで
8ミリ時代が終わり、ビデオが一段と身近になった。
2番目はノンリニア編集環境の登場。今では、愛好家
の大半がクリアしている。そして今押し寄せる波は、
記録媒体の多様化とハイビジョン化。記録媒体の多様
化は、どれが主流になるか数年先には結論が出るだろ
うが、映像のハイビジョン化は既に目前の問題。
確かにハイビジョン映像はきれいだ。多くのアマチュ
アが十分実感しているだろうし、出来ればすぐにでも
切り替えたいと思っているのでは?。
カメラさえ買えば、ハイビジョン映像は撮影できる。
しかし、それだけでは作品は出来ない。そこに高いハ
ードルがありそうなことも何となく判っているが、そ
の実体が掴めない。それが二の足を踏ませている。で
は、そのハードルとはどんなものか。
本を読んでも、その具体的な内容は実感できない。そ
れなら自分でやってみよう…とチャレンジしてみた。
以下はその体験報告です。ご参考になるかどうか…。
一時停止をかけ、コマ送りやコマ戻しで微調整して
決定するが、HDVでは一時停止をかけるとPCモニ
ター上の映像が消えてしまう。IN点やOUT点の
指定ボタンもグレーアウトして操作不能になった。
最初の1カットを決めようとした段階でこうした事
態になり、何度やり直しても同じ。考えてみたら、
これがハイビジョン(以下:HDV)の特性。つまりA
VIはフレーム単位の圧縮ファイルだが、HDVはMPEG2
-TS(Transport Stream)方式に圧縮しているため、
フレームという概念がない。従って、微妙な位置で
のIN点、OUT点設定は無理と納得した。この問題は
あくまでもHDVのファイル圧縮方式に関わることだ
から、多分、ソフトの種類には関係なく起こるので
はないかと思われる。
再生画像は僅かにガクガク
パソコンへの映像取り込みのためには、当然、テー
プを再生することになるが、PCモニター上ではそ
の再生映像は僅かにガクガク感があった。最初はヌ
ヌ?と思ったが、これもPCスペックとHDVとの
関係かと割り切った。この現象は編集ソフトのモニ
ター上でも同じだった。
気になるといえば気になるが、こういうものと割り
切れば、さほど苦にはならない。作業を全て終わる
頃には忘れている。
問題は、最終書き出しをした映像も同じガクガクが
あるかどうかだが、その点は大丈夫だった。
◆実 験裏話◆
1.マシン環境
実験に使ったカメラは市場価格15万円ほど。
買ったの?いえいえ、借りたのです。ピンか
らキリまでさまざまなビデオカメラをレンタ
ルするショップ(東京・銀座)があります。
今後、ビデオカメラの新規購入を考える際に
は(特に家電店の店頭では見かけない上位機
種の場合)、カタログ検討に加えて、こうい
うショップを活用し候補の機種を借りて実際
に使ってみるのも有効かもしれません。
ちなみに今回のHDR HC3のレンタル料は1泊2
日で約1万円でした。(HC1も同じ)
まず、どんな機器を使ったか。マシン環境は下記のと
りで、「(推奨仕様は満たしていないが)ハイビジョ
ン編集に必要な条件」は基本的にクリアしている。
プレミアを使う場合、PCがVAIOか否かによって要求さ
れる条件が異なる。VAIOの場合は、関連ソフトのVer
アップやプラグインのインストールが必要。VAIO以外
の機種(汎用OHCI)では、プレミアPro1.5を1.5.1へ
アップデートしなければならない。
使用ビデオカメラ・・・SONY HDR HC3
記録メディア・・・・・Mini DVテープ
使用パソコン・・・・・SONY VGC-RA71PS
スペック Windows XP professional SP2
HT Pentium4 3.40GHz 2GB RAM
Vaio Digital Hi-Vision Recorder
キャプチャ Vaio DV Gate Plus Ver.2.2.01
編集ソフト アドビPremiere Pro 1.5
プラグイン「VAIO Edit Compone nts Ver.5.0.01」
4.さあ編集。だが、その前に・・・
2.撮影=特にトラブルなし
ハイビジョンとはいえ、マシン環境さえ整えば、作品
作りの流れは従来の4:3スタンダード(以下:SD)と
同じで、撮影⇒編集⇒書き出し。そこでまず撮影。
カメラ(HC3)にも色々な機能があるが、今回はあくま
でも編集実験と言うことでこの点は無視したが、音声
のサンプリングレートだけは48KHz16ビットに設定し
た。撮影自体は従来のSD撮影と同じ感覚でできるが
画面サイズ(16:9)がSDと違うので、アングル
など多少の戸惑いはあった。これは軽自動車から普通
車へ乗り換えるようなもので、すぐに慣れた。ただし
各種設定がタッチパネル方式のため、必要な設定項目
を探すのに手間取るのがやや不便に感じた。
撮影したのは1歳8ヶ月の孫を屋内で約5分、表通り(覚
王山通り)で走行する車や歩行者、町の風景など約2分
30秒の合計7分30秒ほど。全てフィックス撮影。
3.最初の? パソコンへ取り込み
この作業で、まず最初の?に直面した。SDでバッチキャ
プチャする場合は、指定したいIN点OUT点の近くで
-4-
撮影映像のキャプチャも終わって、いよいよ編集作
業開始。プレミアを立ち上げる。VAIOにプリイ
ンストールされたプレミアは色々なプリセットを準
備しているので、その中から、Video Edit Componen
ts-HDVを選択すると、選択肢がふたつある。
1.HDV 1080i 1440*1080i 50i
2.HDV 1080i 1440*1080i 60i
一見、違いがなさそうに見えるが、表記の最後の部
分<50i>か<60i>かがひとつの分かれ道。
いずれもHDV1080i編集用のプリセットで、ビデオ設
定、オーディオ設定、ビデオレンダリング方式など
基本的な部分の相違はなく、違うのは、タイムベー
スとフレームレート。
<60i>はこれらがいずれも29.97fpsなのに対して、
<50i>は25.00fpsという点。ここは迷わず<60i>
を選択する。ちなみに<i>は、水平走査線のインタ
ーレース走査を意味する。 (次回へ続く)
【写真】
プレミア・プ
ロのHDV用編
集画面。
SDの場合と違
いがないが、
モニターウイ
ンドウ画面は
16:9のワイ
ドになってい
る。