教師力を磨く(2月26日) NO.48

教師力を磨く(2月26日)
NO.48
13日(土)、明治用水子ども発表会に出かけ、本校
を含む、市内5校の実践を聞きました。紙ではなく、参
加者の顔を見て、長い言葉を語る4年生。現地に何度も
足を運んだり、他校と交流したりしてきた、この学習へ
の自信やプライドが滲みます。印象的だったのは、丈山
小学校の発表でした。単元の終末になるほどに、子ども
たちの活動は活発化し、目的的になっていくようでした。
調査したことをもとに、事象の意味に深く気付かせたり、
自分たちが取り組んでいることを価値付けたりする授業
学習への思いが伝わる発表
の存在が見逃せません。
昨年の10月28日に丈山小学校は数年間の研究の成果を発表しました。市教委の兵藤
課長は「聴き合いの授業や、学びを確かめる授業で、自分の考えを深める子どもの姿が見
られた。これは、教師が子どもの考えを大切にしながら、深める場面を的確にとらえ、意
図的指名や互いの考えが分かるような板書等で振り返りの視点を明確にした成果である」
と評価しました。参加者からは「どの子も自分の考えをもってのぞみ、聴き合いで自分の
考えを深めていく姿が見られた。一人の意見に対し、それを受けて意見を述べていく力が
付いている」という声が聞かれました。下線部の手立ては、本校が目指す「学び合い」
「高
め合い」の手立てとも重なるところがあります。
15日(月)、3年2組で行われた、清水教諭の国語科授業研究を、上述した下線部を
意識して振り返ってみます。本時、子どもたちが深める(学び合う)学習活動は2つあり
ます。一つは、「はりねずみの心の葛藤を読み取る」活動です。『どうしようか』から『誰
かの役に立ってほしい』に、はりねずみの心は変化します。授業者は【金貨を手の中で転
がしていたとき】を変化の中心となる葛藤場面と捉えました。「冬仕度もできているし、
金貨は必要ない」(A児)や「これから金貨は必要ないかも知れない」(B児)という自
分のための金貨から、「誰かが自分と同じように優しくされるといい」(C児)や「他の
人が拾って役に立つかも知れない」(D児)という仲間のための金貨へと、金貨に対する
考え方が変わったことを子どもの言葉で捉え、「自分から他の人への変化だね」と押さえ
ました。子どもたちの考えの深まりと話し合う場面を焦点化したことは無縁ではないはず
です。また、意見交流では、ハンドサインを使う子も見ら
れました。換言すれば、仲間の意見を受けて自分の考えを
発信する姿が認められたことになります。反対に、意図的
な指名には課題が残りました。子どもの考えをつかみ、次
の話し合いにどう生かすかというコーディネートを、机間
指導時の技能として身に付けることです。さらに、授業隊
形をコの字に変え、子どもたちが「教師ではなく、友達に
向かって話す」ようにすれば、授業者は余裕をもって子ど
もたちの表情を観察し、「この子の考えを聞いてみたい」
意見を繋ぐ子どもたち
と思えるはずです。
もう一つは、「内容を要約する」活動です。指導案作成時、後半の時間不足を予想し、
指導案のような学習の流れにしましたが、【あらすじをまとめる】→【ペア読みで感想を
伝え合う】→【要約に必要な内容を話し合う】→【再度、あらすじをまとめる】という流
れは、授業者とも話題にしました。自分の考えをもって、ペア活動や全体での話し合いに
臨むことで、活動が主体的、問題解決的になります。そこには、ハンドサインを使った意
見交流、教師の意図的な指名等が考えを深めるために有効に働く場面が、必ずあります。
「はりねずみがいっぱい考えたことを踏まえて、ノートに書いてみよう」で、本時が終わ
りました。子どもたちは自分のあらすじ、換言すれば、自分の考えをもって次時に臨みま
す。1回目のあらすじと2回目のそれを比べることで、子どもたちが考えをどう深めたか、
どの支援が有効に働いたかが分かります。是非、挑戦してほしいものです。
授業研究2日前の土曜日の午後、私は清水教諭と指導案を検討しました。何度となく直
しを要求し、気がつけば、時計の針は19時を回っていました。使い古された言葉ですが、
とことん食らいついてくる根性は大したものです。清水教諭の人間性がそこにあります。
この4月より市内全小中学校にタブレットが導入されるように、子どもや教師を取り巻く
教育環境は今後どんどん変わっていきます。しかし、「100の施策より、一人の教師」。
授業力や人間性を含んだ、教師力こそが「私たちの魂」と心得たいものです。