2008年 8月号 建築と環境心理学 心と対話する建築 菅野民子氏に

平成3年4月16日第三種郵便物認可
平成20年6月15日発行(隔月15日発行)第23巻
Bulletin
COLONNADE
建築と環境心理学
日本大学文理学部心理学科教授
心と対話する建築
羽生 和紀 氏
2
連 健夫
3
連健夫建築研究室
FORUM
菅野民子氏に「インテリアと建築の狭間」を聞く
デザイン・アーキテクトとの協同
椎名 政夫
6
宮島 亨
7
村山隆司アトリエ一級建築士事務所
村山 隆司
8
佐藤総合計画
市田 幹郎
9
椎名政夫建築設計事務所
教育現場の時代を先導する最先端の大学図書館
大きな模型で力作が揃う
交流委員会Aグループの紹介
施工法が作る謎の水道
松枝 雅子 10
武蔵設計
武蔵 靖之 11
野老設計事務所
野老 正昭 12
エーディーネットワーク建築研究所
棚橋 廣夫 13
JIA港地域会より
関東甲信越支部2008年通常総会報告
出江寛次期会長が語るJIA
V建築設計室
松枝建築計画研究所
保存問題新潟大会が初の市共催で開催−2
JIA目黒地域会報告
4
久米設計
伊平 則夫 14
平井修平&星田真人ArchitectPartners
星田 真人 15
建築基準法、士法改正に伴う業務報酬の見直し作業に参加して
大宇根建築設計事務所 大宇根 弘司 16
BACKYARD
声:豊かな財政と会員負担の均等化を目指して
渡辺武信設計室
支部ダイジェスト ― 5/6月
18
広報からのお知らせ:ホームページ進行中
旅に行ってきました:沖縄
渡辺 武信 17
中澤建築設計事務所
中澤 克秀 18
三菱地所設計
田中 宣彰 19
編集後記
19
社団法人 日本建築家協会
関東甲信越支部
The Japan Institute of Architects
東京都渋谷区神宮前2-3-18 JIA館[〒150-0001]
Tel: 03-3408-8291 Fax: 03-3408-8294 http://www.jia-kanto.org/members
第2号
通巻209号
210
2008 年 8 月号
第三種郵便物認可
特集:心と建築
Bulletin 2008年8月15日発行
建築と環境心理学
日本大学文理学部
心理学科教授
羽生 和紀 氏
―― あらためて建築を考える 「ヒント」
読者の皆さんは、環境心理学という言葉を聞いたことが
ると思われる。理念や経験則、あるいは理論のみに頼ら
あるだろうか。「環境心理学とは人間と環境を一つの系
ない、実際に確かめられた事実や法則を見出し、建築実
(システム) として捉える実証科学である」と定義される学
務において効果的な方法の提案が行なわれている。一方、
問の領域である。心理学の一領域と捉えることもできる
心理学系の環境心理学の研究は、建築の実務からは距離
が、実際には心理学者だけではなく、他領域の研究者も
がある場合もあり、すぐには建築の実務には役に立たな
多く加わっており、建築学者も多数この領域には参加し
いように見える研究もある。たとえば、心理学系の環境
ている。
心理学の研究は、建築を含む環境が、人間にどんな形の
環境心理学は 1960 年代に、いろいろな国で平行して
影響を与えるかだけではなく、「どのように影響するか」
成立したものであるが、日本やイギリスでは、主に建築
という、人間の中の心理的な処理の機能を重視している。
心理学の役割として出発していたといっていい。日本で
こうした立場の研究は、環境と人間の関係の一般的な法
は 1961 年に小林重順氏が『建築心理入門』を出版して
則を検討する傾向があり、ある特定の環境が人間に対し
いるが、それは、日本で最初に環境心理という名前が付
て、どんな効果をもたらすかの具体的な情報を与えてく
いた書籍である『環境心理とは何か』(カンター・乾、1972)
れないように見えることがある。しかし、こうした「心
に約 10 年先行していた。その後も、建築学者による環境
のなかの過程」を重視した、環境と人間の関係の機能の
心理学的な研究は、日本の環境心理学の主流を成してい
解明は、環境工学や建築計画の基礎的な知見をもたらす
るといってもいい。このように、あまり馴染みのない領
ことはもとより、建築実務、あるいは建築家に対して、
域かもしれないが、環境心理学と建築学の関係は深い。
建築における人間の要素の重要性を改めて再確認させ、
しかし、環境心理学などということを持ち出さなくと
建築と人間の関係の理解を進めてくれると思われる。こ
も、建築学には人間の要素を検討する領域がすでに存在
うした心理学的な事実や知識は、人間について考える建
している。
(建築)環境工学における評価や測定の基準は、
築家に、あらためて建築を考えるための「ヒント」や
「人間」の生理・身体機能や能力に基づくものであるし、
「種」となるだろう。
建築計画とは、「人間」の行動や「心理」に適した建築を
そうした「ヒント」や「種」の例としては、地域との
作り出すための領域である。また、こんな特定の領域の
関係を築き、地域社会の結束を高めることで地域活動や
ことを言わなくとも、そもそも、すべての「建築」は、
近隣防犯活動などの地域活動を活発化させるなどの機能
広い意味では、人間が使用するものであるのだから、人
を果たす「場所愛着」や、そこにいることで安心できる
間の要素を検討することは、あらかじめ建築学、あるい
場所、くつろげる場所、ありのままの自分でいることが
は「建築」の中の重要な要素であることは言うまでもな
できる場所、さらにはそこにいることが他者に受容・承
いのである。
認される、居てもいい場所という意味での「居場所」な
それでは、環境心理学は、建築に対してどのような貢
どが挙げられるだろう。また、自然のもつ性質を利用し
献が出来るのであろうか。建築学者が行なっている環境
た癒しの空間の成立条件なども提唱されている。ここで
心理学的研究は、主として環境工学や建築計画の延長上
挙げた例以外にも環境心理学には建築のための多くのヒ
にあり、建築実務を確実に視野に入れ、既存の問題の解
ントがたくさん存在するはずである。ぜひ建築家の皆さ
決を最終的な目的として研究を進めている。ここでの、
んには環境心理学に興味をもち、役立てていただきたい
貢献は実際にデータを取ってそれを分析する実証性にあ
と思う。
2
Bulletin 2008 年 8 月号
〈日本大学文理学部心理学科教授〉
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
特集:心と建築
心と対話する建築
連 健夫
――コラージュを用いた設計手法について
心と対話する建築を目指し、コラージュを用いた設計をして
ワークショップで行ないました。大切な点は、利用者がデザ
います。コラージュに出会ったのは A A スクールです。学
インプロセスに創造的に参加する視点と考えています。これ
生・教師として5年間過ごした中で、心と創造性について強
は街づくりにおける市民参加の意味にも共通するもので、ボ
く考えさせられました。と言いますのは、そこではスキルの
トムアップ的設計です。設計時の参加のみならず、施工にお
みならず、個性と創造性を引き出す建築教育が行なわれてい
いても、床下の炭敷きや壁塗りなど利用者が参加する機会を
たからです。禅問答にも似た教師と学生の関係が、私には臨
作るようにしています。そのことによって建築が、利用者の
床場面での心理士と看者の関係に重なりました。以前から創
心に近いものになると考えています。児童養護施設の心理療
造性を扱うユング心理学に興味があり、建築設計教育におけ
法棟の設計では、子供たちとコラージュ作りを行なうと共に、
る創造性とユング心理学を研究テーマにしました。その中で、
施工時に壁に断熱材としての新聞詰めワークショップ、塗装
扱ったのがコラージュ (切り貼り絵) です。この学校ではコン
ワークショップなどを実施しました。最初、会話に躊躇して
セプトの表現にコラージュがよく用いられていました。コラ
いた子供が「塗装のアルバイトできるかしら?」など積極的
ージュは様々なイメージを扱うことができ、言葉では表現で
に話すようになる等、子供たちの成長を促したように感じま
きないものを表現できる特徴があります。ユング派において、
した。園長の「建物づくりが人づくりになりましたね」の言
コラージュ療法は箱庭療法の簡易版として発展してきました。
葉に、この方法の意味を考えさせられました。今後も、心を
コラージュ作りの中で、心の問題を解きほぐす療法です。ユ
意識した建築を扱い、手法を深めたいと思っています。詳細
ングは無意識を意識化することを創造性と位置づけ、それを
は拙著『心と対話する建築・家』(技報堂出版) を参照して頂け
治療に役立てました。無意識と意識との間に存在するのは心
れば幸いです。
〈むらじ・たけお/連健夫建築研究室〉
像(イメージ) であり、それを扱うことによって無意識とコミ
ュニケーションをとることができると考えました。つまりコ
ラージュに貼られたイメージです。臨床場面では、心理士の
態度と応答が重要であり、看者の創造性をうまく引き出し治
療します。このメカニズムを手がかりにして、設計教育の創
造性を論じたわけです。
これを実施に応用したいとの思いから、帰国後に週末住居
の設計で施主にコラージュを作ってもらいました。コラージ
ュは曲面で構成されており、中央に施主が昔住んでいた家の
写真が貼られていました。ここから「有機的、緑の雲形、左
心と創造性のメカニズム
右対称、自然、横羽目板、水」などのデザインキーワードを
抽出し、コンセプトモデルを作り対話を重ね設計しました。
完成した建物に施主の愛着感は強く、彼の感想は「新しいの
になぜか懐かしく癒される。仕事も元気が出てはかどる」で
した。この方法に確かな自信と可能性を感じました。すなわ
←父性としての大黒柱、
母性としての円形による建築空間
↓児童養護施設設計でのコラージュ
づくり
ちコラージュを用いた心と対話する建築づくりです。その後、
友人の家の設計では、子供でもコラージュを簡単に作ること
ができることが分かり、おもちゃライブラリーの設計では館
長のコラージュに、理事長が言葉を付加する方法や、ルーテ
ル学院大学新校舎の設計では、コラージュ作りを学生参加の
Bulletin 2008 年 8 月号
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第三種郵便物認可
覗いてみました「他人の流儀」
Bulletin 2008年8月15日発行
←取材風景、写真右:菅野民子氏
菅野民子氏に
「インテリアと建築の狭間」を聞く
聞き手: Bulletin
編集委員
インテリアコーディネイター (以下 I C) という職業がある。
労した。インテリアなんか、内装材や照明器具を決めるだけの
資格もある。なのに、私の狭い世界での話だが、建築家と一緒
ことだと思っているのよね。時間はかかったけれど、少しずつ
に仕事をしているという話を聞かない。しかし、一般の認知度
理解してもらえたとは思ったけれど、結局、良いインテリアは
は高く、住宅展示場やマンションのモデルルーム、建て売り住
設計からスタートしないとだめだと思い、独立したの。ちょう
宅など、あちこちで活躍している。その素敵なインテリア空間
どその時、ある建築家と出会い、一緒に仕事をすることになっ
を見ることができる。建築家のそれとは明らかに違う。
たのもきっかけ。
資格ができて四半世紀以上が過ぎた。
●
ここで、住宅作品を拝見……
「建築とインテリアの間に何か深い深い溝(違い)があるの
か?」「インテリアと建築空間は一体ではないのか?」ずっと
違和感を感じてきた。
そこで、古い知り合いに声をかけてみることにした。約 30
年ぶりにお会いする口実もかねて……。
●
この世界に入るきっかけ、事務所設立までの経歴からお話く
ださい。
うちは少し変わっていて、自宅に『新建築』があったの。だ
から小学生の頃は絵本みたいに建築の写真を見るのが好きだっ
た。中学生の時、神奈川県立青少年センター (前川國男の音楽
堂・図書館) のコンクリート打ち放しをみて、かっこいいって
憬れてしまった。
インテリア作品:田園調布Y邸
学校を出て大きな設計事務所に入ったのだけれど、その仕事
この頃はバブルの時代だったから、億単位の大きな家に関わ
内容に幻滅して……。それに、もっとインテリアを勉強したい
らせてもらって、良い時代だった。それでも予算との戦いは大
と考え、インテリアスクールに通うことにした。
変。インテリアに十分お金をかける意識が、まだまだ施主の側
つまり、設計段階からインテリア空間や生活の仕方を、きち
にない場合もあって、お金をかけるところと押さえるところを
んとくみ取り反映させないといけないって、強く思ったの。最
調節する。でも、バランスがうまくいけば、より良いインテリ
近はずいぶん良くなってきたと思うけれど、設計の人(その頃
アを作ることができる。設計から入り込み細かなところまで提
私が関わった人たち)って、生活者の視点に立っていなかった。
案できたし、受け入れてもらえて良い仕事ができたと思う。
どんな空間でどんな生活をするか考えてないのよ。テレビとソ
●
事務所での仕事内容は? 最近特に主だったことは?
ファの距離が近すぎたり、ソファも置けない、座る場所も考え
建築家であるパートナーが他界されてからは、時代の変化や
ていないのにリビングって書いてあったり、窓ばかりで絵もか
住宅設計への不条理も感じ、インテリアの底上げに徹しようと
けられないといった具合。(言い過ぎたかしら?)
体制を変えました。今は、女性三人( 3 0 代、4 0 代、5 0 代)
そこで、インテリアの基本を学び、アメリカのインテリアデ
の共同体です。各自がそれぞれの役割を果たしています。
コレーターのようなことが、日本でできないかなって思って。
V.MD.(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)、ブランド開発の
卒業して家具メーカーの事業部に勤務後、鉄道系不動産会社で、
提案、プロダクトデザインからグラフィック、トレンド情報の
注文住宅のインテリアを手がけ、ずいぶん好きなことをやらせ
発信と啓蒙、コンセプト作りから躯体以外の全てに関わってい
てもらえた。モデルルームでは、実験的なこともできたので、
ます。
とても良い経験になったし自信も持てた。設計との間では、や
特に、私自身としては、一般の人にインテリアの知識を普及
はり始めはうまくいかなかったけれど(笑)。相変わらず間取
したいと思っています。最終的に、IC なんかいらない(極端
りや経済性だけで、プランを決めていく設計を説得するのに苦
だけどね)って。生活者自身が自分でインテリアを考え、実行
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Bulletin 2008 年 8 月号
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
覗いてみました「他人の流儀」
できるようになればいいと考えているの。
そのために、インターネットに文章を書いたり、セミナーを
◎このコーナーは「独自のスタイルで活躍中の方にお話を伺い、そ
の秘訣を探り出そう!」という企画です。話を聞いてみたい、ある
いは興味あるテーマなどがありましたら編集委員会までお知らせ下
さい。
開いたり。もちろん、対象はプロや業界の場合もあるし一般生
施主には良いけれど、そうでない場合はもっと生活感を意識す
活者の場合もある。
最近はミラノ・サローネや、パリのメゾン&オブジェを取材
があったら IC なんかいらなくなる。
し、系統的にまとめて情報発信している。
●
べきよね。設計がそこまでできて、施主にもインテリアの知識
設計者との関わりの中で、設計者が生活をきちんと捉えてい
●
建築家がすべきことってなにかありますか?
ないという問題を感じたということですが、なぜそうなって
建築だけでなくもっとデザイン全般、海外のインテリア情報
しまったのでしょうね。どこに問題があると思われますか?
やトレンドの方向性も知った方がいいと思うわ。世界中から最
私が仕事を始めた頃に比べれば、ずいぶんとインテリアへの
新の情報や商品も手に入りやすくなったし、施主のニーズも多
意識もレベルも高まってきていると思うし、状況は良くなって
様化しているでしょ。
きている。
それから、もっと違う世界にも出て行くべきよ。海外の建築家
一つは教育かな。
って、家具やプロダクトや、いろいろなデザインに関わって成
日本の建築教育って工学なのよね。そしてバウハウス。装飾
果を上げている。日本でもいないわけじゃないけど、もっと積
することへの罪悪感や嫌悪感、装飾をする行為が格好悪い。そ
極的で良いと思う。
れがインテリアに垣根を作る原因になっていないかしら? 建
築学科でインテリアなんか教えないでしょ? ちゃんとインテ
■インタビューを終えて
リアを教えられる人もいないのよ。特にインテリア様式とか歴
建築雑誌のインテリア写真は、生活感のないできたばかりの
史的なこと。スケールとかバランスとかリズムとか当たり前だ
箱である場合が多い。最近はスケール感や、関係性を見せるた
けど基本的なこと。
めに、わざわざ人を入れるケースもあるが、住宅を生活の器と
でも、もともと日本人って、着物の柄あわせとか色あわせと
か自由だったのよね。そんなセンスが生きていない。バウハウ
して捉えるなら、生活を伴ったインテリアが建築空間と融合し
ているべきなのだろう。
昨年完成した小さな旅館の話をした。久しぶりに色も柄も使
スになっちゃう。
ってコーディネートらしきことをしたこと。それがとても楽し
もっと自由になったらいいのにと思うわ。
かったと。自分はこういうのが好きだったんだと。そしたら、
□最近の学生さんはどうなの?(逆に質問される)
身近なものに目を向ける子が増えているように感じます。男
の子も含めてね。それに、僕たちの頃に比べると、良いものに
そうでしょ、楽しかったでしょ。できるんだからもっとやった
らいいのよ、やるべきよ。
励まされて帰ってきた……。
触れるチャンスが増えているし、情報も豊富ですね。
〈聞き手:倉島和弥・田中宣彰〉
それは心強いわね。まだまだこれからよね。
雑誌なんかも含めてインテリアのレベルも上がっていると思う
し、車のコマーシャルなんかでも、インテリアを引き合いに出
■菅野民子氏 経歴
したり、期待できるわよね。
●
建築設計事務所、インテリアデザイン事務所、
●
1996年KANNO設計室設立、住宅の設計・インテリアデザイン、
●
家具メーカー、住宅メーカーに勤務
建築家と共同作業をし、IC としての職能を発揮されていた
ので、建築家とのコラボレーションには特に抵抗はないと思
店舗のデザイン
いますが、(信頼関係をゼロから築くのは大変でしょうけど)
別の建築家と同じようにコラボすることはできますか???
●
2006年SENSIBILIAセンシビリア設立、「生活-LIFE STYLE」に
着眼点を置き、感性や感覚に訴えかけるためのブランド開発、デザ
まったく問題はありませ
イン戦略、デザイン業務
んよ。垣根を作っているの
●
(社)日本インテリアデザイナー協会正会員
●
二級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネータ
は建築家の方じゃないかと
思うわ。
ー/照明コンサルタント
言い過ぎかもしれないけ
れど、インテリアを低く見
●
第18回、第20回INAXデザインコンテスト入賞。
●
2001年〜2005年、IFFT東京国際家具見本市特別イベントのプロ
ているんじゃないかしら?
ジェクトメンバーとして参加。
そんなことない? 自分の
SENSIBILIA(センシビリア):http://www.sensibilia.jp/
創る空間をいじられたくな
All About「インテリア実例」ガイド:
いとか …… 。それを望む
事務所風景
http://allabout.co.jp/living/interior/
Bulletin 2008 年 8 月号
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「温故知新」
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
先達から学ぶ
デザイン・アーキテクトとの協同
椎名 政夫
「僕は心配して見ていたんだ」
、建築家会館のバーで前川國男
このホンダ青山ビルもプロポーザルによって、私の事務所と
先生が声をかけて下さった。その頃、青山1丁目の角に私達の
石本設計事務所の設計共同体に間組も加わり、設計監理しまし
設計でホンダ青山ビルが完成間近の時でした。本社役員からは
たが、3者の業務と責任を明確にして、それぞれ別個に設計契
屋上パラペットに社名・サインを目立つように入れたいと強い
約を結び、私達がデザイン・アーキテクトとして設計の統括の
要望もあり、数多くの原寸モデルを用意し、取付場所もあれこ
責任を負いました。すでに完成以後 20 年以上も経った現在で
れと検討を2ヶ月も続けたと思います。前川先生は毎日車で現
も、当時のプロジェクト設計関係者や工事会社の担当者が個人
場のそばを通りながら、建築の外壁に企業の見せびらかしのビ
として年2回ほど集る会があり、社会経済の激しい変化のなか
ルディングサインは困ったものだと考えておられたと思います。
でも、ここは組織や会社を超えた個人のつながりと、価値観の
当時、「会社の業務に一切口を出さない」と宣言して身を退か
共有を確かめながら交流を続けています。
れた創業者の本田宗一郎さんでも、さすがに本社建築には度々
建築は独立した個人の営為であり、組織にはなじまないこと
注文を出され、事実私達も数回強烈な叱正をいただきましたが、
を強調するわけではありませんが、小規模な私の事務所もこの
最後には「この建築が全てを語っている」との一言で、サイン
20 年来大規模な設計事務所と、また時には請負会社の設計部
類は一切取り止めになりました。カウンターの椅子に腰掛けて
との協同の例が増えてきました。ただ、これら協同については、
くつろいでいた先生から、「君、ほんとうによかったな」と偉
発注者の理解と合意を得てその関係も縦型のものではなく、あ
大な先輩からの言葉を頂いたことは忘れ難い想い出です。
くまでも横型で、関係者は平等に、利益の相反を排し、責任と
実はこの建物は本社機能をもっていたので、出入口に本社の
マネージメントの総括者を明確にしたうえで仕事にとりかかる
サインを出す設計図も用意しましたが、本田さんから、「バカ
わけです。まさに 100 のプロジェクトに 100 の設計マネージ
もん、あと何年かたったら本社はアメリカになるぞ」とどやさ
メントがあり、従って一つ一つの計画で解決する問題も多様で
れましたが、その後 20 数年たった現在、ホンダはまさにグロ
すが、その中で、デザイン・アーキテクトの役割をどう主張し
ーバルな会社になりました。創業者の強い意志と創造力豊かな
て実行できるかが厳しく問われているわけです。左のスケッチ
予見には驚くばかりです。設計の業務には発注者・依頼者とし
はホンダ青山ビルのサインの試案をいろいろと検討した時の私
て、その会社、公共団体などの組織や規模が目立ちがちですが、
のスケッチ、下は現在の写真です。
〈(株)椎名政夫建築設計事務所〉
創業者や強力なリーダーシップをもった個人の方が建築の質に
とって決定的なインパクトを持つことをいまさらのように考え
ています。
ホンダ青山ビル、外観スケッチ 1982
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Bulletin 2008 年 8 月号
ホンダ青山ビル、現状写真 2008
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
委員会活動報告
アーバントリップ実行委員会
教育現場の時代を先導する
最先端の大学図書館
宮島 亨
―― 成蹊大学情報図書館・多摩美術大学図書館
今回も厳しい倍率の中、運よく私は第56 回 JIA アーバントリッ
かわいいイラストのスライドを交えながらレクチャーをしていた
プに参加させて頂きました。今回は「教育現場の時代を先導する
だきました。建物の1階は敷地の勾配に合わせて約4度のスロー
最先端の大学図書館」というテーマで、成蹊大学情報図書館と多
プになっており、それはバリアと感じず、なんとなく歩かされて
摩美術大学図書館を見学させて頂きました。
しまう勾配とのことでした。その勾配は下から見上げても何だか
3月 25日、日比谷旧三信ビル前を出発したバスは10 時頃、武
楽しいし、上から見下げるととても視界が開けていることが実感
蔵野市の成蹊大学情報図書館に到着し、1924年に竣工したとい
できました。先にも触れたアーチ構造については内部においても
う本館の前にとまりました。本館に対し90 度振って配置された
壁芯に曲率が掛かっており、アーチの曲率も自由でとても軽快な
情報図書館の外壁にも、本館に同調したレンガタイルが貼られて
イメージです。その足元は1辺が 200mm × 400mm の長方形
おり、敷地のコンテクストに配慮されていることが感じられまし
2枚で十字形になっておりとてもスリムです。佐々木睦朗氏の構
た。エントランスの階段を上がって内部に入ると、1階から5階
造計画で免震構造を採用することによりそのピンヒールのような
まで吹き抜けているアトリウムにプラネットと云われるガラスの
プロポーションが可能となったそうです。また驚いたことに構造
カプセルがキノコのように床から立ち上がっている姿にまず驚き
は RC ではなく、コンクリート内部の鉄骨でもっており、コンク
ます。アトリウムの両サイドはプレキャスト造の書架棟が配され
リートは座屈止の役割とのことでした。とても施工が大変だった
ており、この書架棟で全体の地震力を負担することでアトリウム
ことは容易に想像がつきますが、施工に携わった人々の情熱が建
のガラス面のフレームはフラットバーでとてもスレンダーに納め
物から感じ取れました。中山氏も現場で型枠を外すのに朝から立
られていました。この情報図書館の特徴の一つは、利用者の求め
ち会った際、あまりに美しくてその場を離れたくなかったとおっ
る静けさのレベルを4段階に分けてゾーニングをすることで、利
しゃっていたのが、とても印象的でした。書架など内部の家具は、
用者間の軋轢をなくしている点だと思います。先程ふれたプラネ
藤江和子氏のデザインで、アーチの空間の中で高さを低く抑え、
ットはどんなに激しく議論をしても良いレベル3という空間で、
川の流れのように並べらており、
この中で設計者の坂茂建築設計の平賀氏、三菱地所設計の渡辺氏、
まさにこの空間のための家具で
佐藤氏よりレクチャーを頂いた後、一緒に館内を見学しました。
した。
プラネットの振止やエキスパ
←多摩美術大学図書館外観:
外壁とガラスには半径 90m のカーブが
つけられている
ンションの納め方、天井懐を
梁が縦横無尽に走っておりダ
ウンライトのレイアウトが大
変だったことなど貴重な話を
聞きながら楽しい見学ができ
ました。地盤面より半階下げ
→多摩美術大学:
2階開架エリア
を見る
られた1階のサンクンガーデ
ンは、とても居心地の良い空
間になっていました。まだ春
休みでしたので学生達はあま
りいませんでしたが、恐らく
学生達の良い溜まり場となっ
↑成蹊大学情報図書館:
アトリウムのプラネットを見る
ていることと思います。
午後は八王子の多摩美術大学図書館に向かいました。バスを降
今回見学させて頂いた二つの図書館はそれぞれ異なる方法で、成
蹊大学は静けさのレイヤーを重ねることで、一方多摩美術大学は
特徴的なアーケードギャラリーを南北に貫通させることで学生の
りるとコンクリートのアーチにガラスが面で納まっており、その
活発な活動を促しています。見学会の表題の通り「最先端の……」
厳しい納まりで緊張感を与えているのですが、同時に明らかに古
というとテクノロジーの部分が先行してしまいますが、あくまで
典とは違う自由でランダムなアーチが、優しい印象を与えてくれ
もテクノロジーはコンセプトをサポートするためのものであって、
ました。1階のエントランスから斜面に沿って通り抜けできる、
目的ではないことを改めて実感しました。ここまで書き進めてみ
広場のようなアーケードギャラリーで、まずキャンパスの全体計
て、今回の見学会の内容は限られた紙面ではお伝えすることが難
画を進めてこられた田淵諭氏より全体計画の話をお聞きし、次に
しいことを実感いたしました。是非機会がありましたら実際に足
当時伊東事務所で担当されていた中山英之氏より、中山氏らしい
を運ばれることをお勧めいたします。
〈V建築設計室〉
Bulletin 2008 年 8 月号
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第三種郵便物認可
委員会活動報告
Bulletin 2008年8月15日発行
学生デザイン実行委員会
大きな模型で力作が揃う
村山 隆司
―― 第17回東京都学生卒業設計コンクール
東京都学生卒業設計コンクールは今年で 1 7 回を数え、
声を感じてもらえるようにスケジュールを組んでおりま
公開審査に移行して 6 年になります。作品の出展数も
す。審査員同士のディスカッションは、建築家がどのよ
年々増え、今年は 53 作品になり、充実した会になって
うに考えているかを学生たちに伝えるには、格好の場に
います。このコンクールは学生の集大成である卒業設計
なっているようで、学生らも真剣なまなざしで審査の行
を、日本建築家協会の建築家の立場からの評価を伝え、
方をみまもり、その場の緊張感が伝わってきます。建築
将来建築家を目指している学生へ、今後の実社会での活
家が常に環境、社会、人間に対して役割を負い、よりよ
躍を促すものとして催しております。
い環境にしていく使命を果たして行かなければならない
各大学の代表として力作揃いで、最近では模型がかな
こと、そして、後進の育成を果たすという重要な役割が
り大きくなり、会場のレイアウトに四苦八苦することも
あることをこのコンクールで示唆し、次世代の大いなる
しばしばです。作品の傾向は、その時代を映すように、
出発点となる重要な事業です。
環境問題や、社会のコミュニケーションの希薄さを解消
このように日本建築家協会にとって非常に意義の高い
しようと試みるなど、彼らが感じとっている状況で年ご
活動ですが、事業の協賛金の集まりも年々減少し、苦し
との傾向が違い、毎年楽しく見ることができます。公開
い運営となっています。是非、趣旨を理解して頂き事業
審査のため長時間行なわれますが、審査員と学生の直接
協力、協賛を多くの会員の方にお願いをして、このコン
やりとりする時間を多くとり、できる限り建築家の生の
クールが長く続けられるように力を貸して頂きたいと思
います。
←プレゼンテーション風景
表彰式→
←第1次審査風景
8
Bulletin 2008 年 8 月号
〈村山隆司アトリエ一級建築士事務所〉
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
委員会活動報告
関東甲信越支部 交流委員会
A グループ活動の紹介
Aグループ長
市田 幹郎
―― JIAで唯一の構造系部門
1. Aグループの紹介
A グループは、A 1 仮設・土木・杭および地盤調査、
A 2 コンクリート・鉄筋、A 3 鉄骨系の三部門で構成さ
最大の故宮「景福宮」、1 9 8 5 年に完成した「 6 3 ビル」
(当時、アジアで一番の 249m の高さ)、賛助会員の(株)横森
製作所が階段を担当したショッピング施設等を見学した。
れ、現在 1 6 社で活動している。J I A で唯一の構造系部
門である。
4. 都市環境整備のあり方を学ぶ
清渓川(チョンゲチョン) :韓国ソウル特別市の中心部
2. 活動について
を流れていた清渓川は、ソウル市の自動車の交通量の増
全体会議を各社持ち回りにして、月1回のペースで実
加に伴い、1960 年以降覆蓋された高架構造の幹線道路
施し、交流を深めている。また、構造を中心とした建物
へと変貌した。それは、東京都中央区の日本橋川が東京
などの見学会を年1〜2回ほど実施している。昨年の見
オリンピックの開催に合わせ 1964 年、その上に首都高
学会は、建物の構造工程に使用される鉄骨がどのように
速道路が建設されたことと酷似している。その後、ソウ
して出来るのかを知ろうと、製鉄所「JFE スチール」の
ル市民の環境意識が高揚し、市民委員会での審議、公聴
見学会を行なった。百聞は一見にしかずで、鉄の溶けた
会を開催、その上で 2004 年に清渓川に架かる高速道路
湯から、精錬、圧延までの工程の見学ができ、グループ
と蓋を撤去、復元工事を実施し、2 0 0 5 年 1 0 月に竣工
を越え参加していただいた方々も十分勉強になったこと
した。河川の造成延長は 5 . 9 k m におよんでいる。この
と思う。今年は、さらにこの延長として電炉の工場見学
自然環境や景観の修復の評価とは別に、復元事業の実施
を企画している。
によって、対象地域およびその周辺の大気環境の質が変
これまで、我々A グループは、RC 造、S造、SRC 造
わったといわれている。
〈(株)佐藤総合計画〉
とあらゆる構造の建築物に対し、基礎工事を始め躯体の
建ち上げから完成までを見学してきた。基礎構造におけ
る新技術としての免震構造、制震構造の見学会も実施し
てきた。
この間、海外についても目を向けようと、海外建物見
学会に向けてグループ全体の意識が高まりつつあった。
←清渓川に覆蓋された
幹線道路(1960年代)
↓現在の清渓川
3. 長年の夢であった海外の建物視察
Aグループとして初めての海外建物などの見学会の実
施に向けて検討を重ね、最終的に韓国に決定した。今回
は8 名の参加者を得て、建物以外では、都市部の環境を
も配慮して改修された「清渓川」、建築物では、高さ
262 mをほこるマンション群の「タワーパレス」、これ
と対等するように建設された「ハイペリオンタワー」の
見学、2002 年に開催されたワールドカップサッカーの
競技場としての「ソウルワールドカップ競技場」、韓国
Bulletin 2008 年 8 月号
9
第三種郵便物認可
委員会活動報告
Bulletin 2008年8月15日発行
建築相談委員会
施工法が作る謎の水道(みずみち)
松枝 雅子
相談担当の予定日の前になると、相談者の氏名と連絡先、相
にくると湿度計の数値が異常に高くなる。
談の概要が記入された相談予約状況が事務局から送られてくる。
こうして調べていくうちに、水がとんでもない経路を伝って
どんな相談でも、どんとこいと言えるほど知識や経験がある
いることが判明した。3階の換気フードの下端から入った水が、
わけではないので、事前の予習をしたりして、相談者と対応す
るようにしている。
クランクしながら1階の階段下の窓へ出てきているのだ。
換気扇カバー周囲の施工の不良部分から入った雨水が、壁の
雨漏りはそう難しくない相談の部類だが、原因究明というと、
なかなか一筋縄でいかないことが多く、厄介である。
最近も、よく見かける狭い間口で奥行きのある3階建て住宅
の困った雨漏りの相談を受けた。
防水紙の重ね合わせ不良部分から内壁側へ入り、枠組み工法の
構造材のたて・よこの枠材を伝って,思わぬ場所に出口を求め
てしまっていた。
雨が、入った場所近くへ出ず、思いもよらない箇所へ出る。
南北に細長い建物の西と東の外壁面に複数箇所の雨漏りがあ
るものである。
現在のパネル下地多用の工法の問題は、現場の職人の技術と知
識、現場監督の能力低下と相まって瑕疵の温床となっているよ
建ててから3ヶ月くらいした雨の日の翌日、1階のトイレと
階段下のサッシュのビス穴から水滴が落ちてきたということか
らはじまった。
うだ。
つい半年ほど前に売り出された、我が家の前の建売3階建て
でも、雨漏り検査の足場が組まれ、業者が出入りしている。
連絡を受けた施工業者は、サッシュ回りの防水工事の不良に
いくら雨漏りは 10 年保証だからといって安心している場合
よるものと即刻判断して、補修工事をすませ、完了と言って引
ではない。安易な工事で高利潤を求めている業者の後始末を絶
き上げていったと言う。
つ方策を考えるのも我々の業務ではないかと考えたりしている。
しかし、次の雨でまた雨漏りが生じ、今度は他の箇所にも雨
漏り現象が出始めたという
ことで、建て主は俄然不信
感をつのらせてしまった。
外壁はジョリパット仕上
げなので、いっそ全面剥が
して補修し、吹き直した方
が良いといったのだが、業
者はどうしても、原因を追
求したいのだという。施工
業者は誠実に対応している
のだが、雨漏りの箇所数が
多く、建て主の不安と怒り
は当然のことである。
検査の計画書を見せても
らい、施主を納得させて、
原因の解明調査をすること
になった。
撒水後、少し時間をおい
て、内壁に湿度計を当てて
みる。水の通っている箇所
雨漏り経路図(東側立面)
10
Bulletin 2008 年 8 月号
〈(株)松枝建築計画研究所〉
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
委員会活動報告
保存問題委員会
保存問題新潟大会が初の市共催で開催
―― 新潟大会を振り返り(2)
[→前号より続く]
保存問題新潟大会でのシンポジウム内容をご紹介する。
■シンポジウム1 ――しばたのいま
武蔵 靖之
■シンポジウム2 ――しばたの未来
倉沢智氏 (建築家、JIA 関東甲信越支部保存問題委員会副委
新発田市内で歴史的建造物の保存や景観・地域活性化に取
員長) のコ−ディネ−ト。伊達美徳氏( 地域プランナ−、伊
り組んでいる市民活動グル−プから、現状と問題提起、そし
達計画研究所所長)、村尾欣一氏 (建築家、ポリテクカレッジ
て未来像に繋げる提案がなされた。7氏より次のような提言が
新潟講師)
、小池文男氏(新発田市地域整備部部長)、塚本久志
示された。最初に登場した吉原悠博氏 (吉原写真館店主・美
氏(建築家、JIA新潟地域会)によって未来の予測を討議した。
術家) は、水の必要性、具体性、将来性に触れ、新発田川が
歴史ゾ−ンの現況と未来について小池氏は、行政から見た
市民に生み出す大きな活用源が見える。市内を通過するポイ
関わりと、現実に見て頂いた古き良き所と、悪い所、水害に
ントの見直しにより未来像が生まれる。と現況を判断した。
会った所などを含め、過去 12 回の会議と 17 回の市民説明会
平山靖夫氏 (郷土史家) は、城下町を歴史的に紹介し、発生
を通して、2008 年4月景観条例が施行される。伊達氏は、戦
の仕組みが特異であり、細分化した道路と共に史的な文化を
後の新発田の資産を伝えたい。村尾氏は、用水・水路など、
有し、継承することが必要である。しかし、石川小路など小
水の使い方、ホタルのいる川を育てる。育てるのはそこに生
路の名称がなくなっている。らしさを残したい。川上史威氏
活している大変な環境から、関わる必要がある。塚本氏は、
(東海大学工学部デザイン学科ヨコミゾマコトゼミ)は、県外
今与えられた物を現実化することと、歴史との関わり方が大
から調査しており、田園の新発田、水路の町、商業エリアが
変難しい。その前提の中で未来を示すキ−ワ−ドを求めたい。
中心部と外部にある。また産業の帰化都市である。この代表
このキ−ワ−ドを各パネラ−に伺うと。小池氏は「環境」、伊
例はカワド(市場)で水路を充分生かしていた。カワドの復
達氏は「伝える私達の伝え方」、村尾氏は「足・歩く身近な景
活による水路の魅力と、商店街の活性化が必要。郊外の景観
観を失った」、塚本氏は「水・生態系の根本を育むもの」、を
の見直しと、産業の再構築、江戸からの市民のコミュニケ−
基本に小池氏は、行政としては、災害に強く、新発田川は景
ションの場の定着が必要で、中心部・外周部の一体で一巡す
観の公共施設としたい。伊達氏は、新発田教会と道路の関連
る機構が必要である。若林利次氏 (城下町新発田まちづくり
性を考える。歴史の軸と都市の軸が十文字に構成されている。
協議会) は、石泉荘を有形文化財に登録した。寺町通りの景
ここを保存活用させたい。また、新発田コンパクトタウンと
観改善として塀の改修、道路の電柱を寺院内に移設、ガソリ
新世紀新発田城下町を実現したい。村尾氏は、長い歴史の中
ンスタンドを町屋風に改修等、修景で市民に呼びかけ、必要
では 5 0 〜 1 0 0 年で多大な変化が見受けられる。明治の建物
な再建計画に着手し継続と特性を示した。伊藤晋栄氏 (建築
があり、大正、昭和の建物がある。今私達は平成に生きてい
家、城下町新発田の景観を考える会会長)は、新発田を後にし
る。その伝え方について考えている。塚本氏は、新発田川の
て再び戻ったことで再認識している。歴史の中で生活に繋が
景観計画に組み込めば良い。良い見方、悪い見方があり、後
る物がある。一つは新発田まつりであり、町の中にある良い
ろや前の有りようが良くもなり悪くもなる。
建物である。景観保全は、生活する市民が動き易いように活
動することで、県外からの人へも浸透すること。諸橋晃氏
(新発田城を愛する会会長) は、新発田城の櫓は 1 1 棟あった。
パネラ−の発言が一段落すると会場から車社会との対応、
公益性の問題、市民意識などについてパネラ−との和やかな
時間があった。
本丸が5 万 6 0 0 0 坪、二の丸は4 万坪、三の丸は8 万坪あり、
新発田市の大きなウェイトを占めている。現在お城の復元は
最後に JIA 新潟地域会小林茂代表の「新発田市民や多方面の
全国的にブ−ムになっている。今後の展望として、旧二の丸
方々から言葉をいただき、貴重なテ−ゼとして受け止め感謝
跡地利用が重要である。渡辺浩二郎氏 (新発田郷土研究会会
したい。新発田が持つ資質をいかに後世に引き継ぐかが問わ
長) は、建築としてのカトリック新発田教会は、アントニ
れそうです。JIA 新潟地域会としましては、今後あらゆる協力
ン・レ−モンド夫妻により設計、今から3年前に JIA25 年賞
を惜しみません」との大会宣言により終了した。なお、順調
を受けている。坂町では、1300 戸のセッキ質タイルの蔵があ
に結果が生まれたのは、JIA 関東甲信越支部事務局の後方支援
った。市民が認識出来るようその存在を示したい。
があればこそで、感謝に耐えない。
〈武蔵設計〉
Bulletin 2008 年 8 月号
11
第三種郵便物認可
地域会活動報告
Bulletin 2008年8月15日発行
JIA 港地域会より
JIA港地域会代表
野老 正昭
―― 2008年6月20 日
■提言事項
港地域会は通常の設計組織が自治体の機構に関係する方法
と異なる手段で行動してきましたが、その角度ゆえに、今の
公共建築の設計部門の問題点が明らかになりました。
過去、自治体の発注する公共工事の設計は物品の購入と等
しく扱われ、入札によって決定されてきたことは周知の事実
です。その改善のため日本建築家協会は行動し「資質評価方
式」、「プロポーザル方式」、「設計競技方式」、「特命方式」な
港地域会集合写真
――左より、鈴木理巳、宮田多津夫、今井均、野老正昭、連健夫、大沢悟郎、
田中俊行、大倉冨美雄
どの提言を行ないました。現在、役所が発注する案件に「プ
ロポーザル方式」が多くなっているのはこの効果でしょう。
JIA の会員の方々で、この方式に馴染んでいる組織も多いと思
います。
■報告事項
港地域会のアクティブメンバーと協力会員の数は増加して
しかし現実に行なわれているこの方式には、これでいいの
かなと思う点が目につきます。
います。新しく加わった方々の提案を受け、取組む範囲は拡
一例を挙げます。JIA の提案では設計祖当の実績の評価基準
大するでしょう。分科会を設けて、作業をこなす状態になる
の点数の配分は空欄でした。実行されている案件の評価基準
場合も予想されます。2006、2007 年度からの区民が区政に
を見ますと、200 点満点の内、150 点が過去の実績関係で占
参画する企画への地域会の関与も、提案の段階から 2 0 0 8 年
められ、課題に対する取組み方針、実施方針の評価は 50 点に
度は実施の段階へと移行しました。
すぎない例があります。また一級建築士の数、経験年数など
「港区景観形成の基本的枠組検討委員会」(景観条例を港区
の計算などが合理的な審査の基準となっています。審査員名
で実施するための準備活動)には、地域会から三人が委員と
が初期には明かにされていないことも応募者の戸惑いを招い
して参加し、基本的方向性をかため、景観計画素案と景観条
てます。
例素案の検討の段階に入ります。このような役所の機構に参
この方法では、若い建築家、意欲はあっても経験の少ない
加経験の少ないわれわれの発言は、かえって委員会に新鮮な
建築家は、入りロでシヤットアウトされる状態です。公募型
刺激を与えています。
プロポヘの参加は営業行為とみなされ参加報酬は認められず
「田町駅東口公共公益施設を一緒に考えていただく文化芸術
指名型に近いケースでも 私達の調査では無償で行なわれて
ホール分科会」は基本構想がまとまり、基本設計の段階に入
いるのが現状です。1995 年の JIA の提案の曖昧さがこのよう
ります。一名の参加です。
な傾向を助長させたのでしょうか。
「タウンミーティング TAKANAWA]には三名が参加して
JIA 会長の名で提案され、評価された「入札に代わる設計者
います。好評を得た区長への答申を承けて(高輪地区計画事
選定方式の提言」は良い建築をつくる、良い建築家を育てる
業案の検討)に入りました。地域会の存在は、ここではなく
との視点からは、骨抜き状態になっています。
てはならない位置を占めています。われわれの専門家として
実績で人を選ぶシステムでは(これからの人)は出てこられ
の知識の提供が役立つことに加えて、役所の縦割り行政を横
ません。今各所で行なわれている設計者選定方式の実体の調
断的活動で情報の風通しをよくする役割もあるようです。
査、不具合の問題化、改良の運動などが JIA の全会的な問題
区民とのお付合いのお陰で、こちらも「ゴミ」、「地域の歴
として取り上げられることを提言いたします。
史」、「地形と気候」などの勉強が出来ました。子ども達が環
次の世代をになう、腕はあっても実績のない建築家の皆さ
境に関心を持つようにとの働きかけや、出版なども企画の段
ん、声を挙げましょう。貴方の努力にふさわしいターゲット
階に入っています。それぞれのメンバーの情報交換も地域会
は山ほどあります。昔、数々の大コンペに胸を躍らせた長老
の賜物です。
建築家の方々、是非、後押しをお願いします。
〈ところ・まさあき/(株)野老設計事務所〉
12
Bulletin 2008 年 8 月号
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
地域会活動報告
JIA 目黒地域会報告
JIA目黒地域会
事務局
棚橋 廣夫
―― 東京で最後の地域会いよいよ出発
東京都の地域会として 14 番目にあたる最後の地域会設立を目
設立総会の後、支部役員会を経て5月 30 日開催の JIA 通常
指して、事務局が目黒区在住・在勤の JIA 会員約 94 名にアンケ
総会において承認を得て JIA 目黒地域会は正式に 2008 年度よ
ートを行ない、参加者の動向を調査した。その結果を踏まえ設
り地域会活動を行なうこととなった。
立準備会を関東甲信越支部の関係役員の支援の下、昨年の 11
JIA 目黒地域会 2008 年度活動計画
月8日から本年3月3日まで4回の会合を行なった。毎回 10
去る6月 10 日、JIA 目黒地域会発足後初の幹事会が開かれ、
名前後の会員の出席があり、設立総会に向け他地域会の設立経
緯などを参考として目黒地域会規約の草案、役員の候補などを
決め、さらに出席会員の総意によって地域会憲章の案を作り、
3月 31 日の設立総会開催に向けて準備を進めた。
今後の活動計画が討議された。
● JIA 関係
1. JIA 東京地域会連携会議に出席、他地域会との連携を図る。
特に渋谷、世田谷地域会とは地理的、歴史文化的にもオーバ
JIA 目黒地域会設立総会
ーラップする点が多く、今後の地域会活動の連携を考えたい。
設立総会は、目黒区内にある東京大学駒場キャンパス内のレ
2. JIA 全国災害ネットワーク東京地域会担当者を選出、久野和
ストラン「ルヴェ ソン ヴェール駒場」において開催された。
作氏にお願いする。目黒地域会が設立されたので、これで東
設立総会までに地域会活動に参加を表明された在住または在勤
京全域のネットワークが完結されることとなった。
の会員は 32 名で、後に参加の3名を加え、現在の地域会メン
バー数は 35 名となっている。当日参加の会員は 13 名(総会
終了後に参加表明の会員1名を加えると 14 名)、委任状提出者
は 13 名で会則にある1/3 以上の正会員(委任状提出者を含む)
の出席により設立総会は成立した。
3. 他部会よりの案内を周知する。
● 行政関係
1. 目黒区住宅・街づくりセンターより「街づくり専門家育成講
座」への参加要請が来ている。
2. 目黒区の「建築物の絶対高さ制限、敷地面積の最低限度の都
我々の地域会憲章には「本会は建築家の職能理念にもとづ
き/目黒の地域に/美しく住みやすい街づくりや/景観や環境
市計画変更二次素案」の説明会があり、参加要請が来ている。
JIA 都市デザイン部会の「すすむ東京の高度指定・高さ制限」
を提案し/それを実現し、継承し発展させるために/地域の
のセミナーと連携することも考えられる。
人々や行政と、共にはたらき/建築家の職能を/地域に根づか
● その他今年度活動計画
せることを目的とする」としたことでもあり、総会に目黒区の
1. 目黒区長を表敬訪問する。
都市整備部の都市計画課と街づくり整備課の係長を来賓として
2. 目黒地域会のパンフレットを製作する。
迎え、JIA 支部役員、他地域会代表、支部事務局長なども交え、
3「
. 街あるきの会」を立ち上げる。ゆくゆくは、マップの製作
総勢 22 名参加のもと、大変友好的で有意義な設立総会が開催
された。
に役立たせる。
4. 地域会連絡網(なるべくメールによる連絡網)を構築する。
〈(株)エーディーネットワーク建築研究所〉
JIA目黒地域会設立総会記念写真
Bulletin 2008 年 8 月号
13
第三種郵便物認可
特別報告
関東甲信越支部 2008 年
通常総会 報告
Bulletin 2008年8月15日発行
JIA関東甲信越支部
支部長
伊平 則夫
通常総会には前年度の事業報告と収支決算の承認、新
UIA2011 東京大会に向けた活動の推進、支部内活動
年度の活動方針案と予算案の承認という大きな議案があ
の活性化を図り交流を促進します。この総会で目黒地域
ります。一年間の役員会、委員会、部会、地域活動など
会設置が承認されましたので、9県の地域会と東京都内
支部の活動を総括して、その決算とともに支部会員の承
が 14 地域で、支部全域がカバーされました。東京地域
認をここで得ます。
連携会議が立ち上がって、活発な活動報告、情報交換が
関東甲信越支部は会員の皆様から 1,100 万円を超える
支部活動支援金、寄付金収入を得て、縮小することなく
なされています。活動方針の最後に、支部財政の安定化
と事務局機能の向上をあげました。
例年の諸活動を継続することが出来ました。2007 年度
2008 年度も、会員一人当たり 6,000 円の支部活動支
決算で約 7,655 万円の収入があがっていますが、これが
援金徴収を、収支予算案の中で承認いただきました。昨
支部事業の予算規模を示します。また、本部事業である
年同様の支援金・寄付金収入があれば、安定した支部財
ため、支部の総会議案ではありませんが、JIA 建築家大
政で事務局体制を強化することが可能です。3名の事務
会 2007 東京 20 周年記念大会は極めて大きな支部活動
局員の内1名が4 月末日をもって定年を迎え、再雇用で
でありました。JIA 本部の特別会計で報告されているよ
仕事を継続していただいていますが、事務局の業務量は
うに 5,000 万円の事業規模で大会を開催し、当支部会員
減少しました。将来正職員採用を考えながら、パートタ
で構成された大会実行委員会が財務、広報、学術プログ
イマー雇用を検討しています。
ラム、運営それぞれを担い、大会を成功裏に導きました。
JIA の歴史に残る記念大会になったと思います。
今年度予算案の特徴は地域活動費の前年度比 13%増額
です。目黒地域会の設立、地域会への配分総額を 10%ア
2008 年度の活動方針と予算案の承認をいただきまし
ップ、参加者の増えた地域サミットなど諸会合の更なる
た。建築家の職能環境改善に継続的に努力することとし、
活性化を図るためです。また、保存問題大会、アーキテ
①建築家資格の明確化(統括一級建築士(仮)の法的位
クツ・ガーデン、UIA 東京大会支援に対して補助費を予
置づけ) の努力、②設計・監理業務の受託業務内容の明
算化しました。保存問題とアーキテクツ・ガーデンは事
確化と適正な対価、③設計・監理業務の施工からの独立
業活動ではありますが、その委員会活動には事務費等補
性確保 の 3 点を掲げました。この方針を常に意識して
助が必要と判断しました。
JIA活動を実施していきます。
さて、JIA 会費改定の方針が出ています。現行 36,000
円に、各支部の活動実態に合わせて支部の裁量で「会費」
の上乗せを決定できるというものです。 秋の建築家大
会 2008 東北で臨時総会承認を受け、2009 年度から実
施ということなので、関東甲信越支部はこれまでの「活
動支援金」を改め、「支部会費」としてどうするかを会
員集会で議論、周知し臨時支部総会を開催して決定する
ことになります。2008 年度予算に関して本部の動向を
補足説明し、支部議案の承認を得ました。
通常総会を無事終えることができましたことを、会員
支部通常総会(2008年4月23日
14
Bulletin 2008 年 8 月号
建築家会館にて)
の皆様に感謝いたします。
〈(株)久米設計〉
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
特別報告
関東甲信越支部2008年度会員集会
出江 寛 次期会長が語る JIA
――本会員集会では5月21日時点で次期会長として語られました
総務委員長
←出江寛新会長
星田 真人
ならない。
以上のことをお話しされ、最後に「建築とは哲学することだと
日時:2008年5月21日(水) 16:30−18:40
主催:関東甲信越支部 総務委員会/進行:青木恵美子委員、阿部一尋委員
いう高いレベルに立ち、五会のリーダー役として建築家として
の見識と美学を持って戦わない限りは統括建築士を国は認めて
さる5 月 21 日、JIA 建築家ホールにて出江寛次期会長をお迎
くれないと私は思うわけです」という言葉で締めくくりをされ
えし、約 180 名の参加者を得て会員集会を開催いたしました。
ました。
開催の趣旨は、JIA にて初めておこなわれた会長選挙により近
それから一時間ほど会員からのご意見を頂く場となり、7名
畿圏から出江寛さんが当選され、出江さんのお考えは、公のも
の会員からの質問、意見が出されました。その主な内容は以下
のとしては「選挙マニフェスト」によるものでしたが、選挙後
の通りです。
に新聞、雑誌などを通じて改めて知ることとなり、そのため出
会員からの質問・意見
江さんから直にお考えをお聞きし、これからスタートする出江
・専務理事の選定に当たり、元竹中の人を希望されていること
会長による JIA の向かわんとするところを関東甲信越支部会員
への疑問や、選定には理事会による承認が必要であるとの意
の知る機会として開催いたしたものでした。
見が出されました。それに対して出江さんからは、専務理事
本会員集会報告書はその内容を要約としてまとめたものがあ
ることを御承知ください。会員集会の詳細内容についてはテー
プから文字起こしをし、全文を冊子としてまとめ、Bulletin に
添付いたしております。
出江次期会長のお話の要点
わが国には「わび」「さび」という言葉がある。「わび」の
は女房役であり私の代わりに国交省や建築士会に行かなけれ
ばならない時に信頼されなければならないと回答されました。
・一会員から専務理事の選定に関して、候補となっている河野
さんの名をあげ、自主的に降りてもらいたいとの発言があり
ました。
・河野さん自身から、士会から「嘘つき」と言われたとのこと
「正直で」という精神を日本人全体が忘れてしまった。
「正直で」
に関しては名誉のこともあり事実だけをはっきりさせていた
「慎み深く」「おごらぬさま」これはまさしく建築家の精神でも
だきたいとの発言があり、それに対して出江さんからは会長
あるとした導入の言葉から始まり、建築材料と素材の違い、
「沈黙」「沈黙する建築」と「はんなり」についての話に進み、
それより施策としての考えを述べられました。
・建築設計業務環境は JIA が五会をまとめなければ出来ない。
になり次第明らかにしたいと回答されました。
・会費については2名の会員から値上げをするべきであるとの
意見が出されました。
・登録建築家協会について意見があり、それに対して出江さん
構造士と設備士を認めながら、統括建築士を認めていない状
は国際的に通用する登録建築家協会を作りたい。委員会を作
況の話から、設計料を決められた報酬額を取れる環境を作る
り皆さんの意見を聞き、良いものにしたいと回答されました。
のは五会のなかで JIA がやらなければ出来ない。しかし国交
・ QBS について、出江さんがそれを『新建築』で批判されて
省からは「五会をまとめられなければ何もならない」と言わ
いたことや、 JIA で推進している QBS の内容を理解されて
れている。その中で、建築士会に挨拶をした際に「JIA は信
いないこと、今後役所にも説明されたいとの意見がありまし
用できない。嘘つきだ」と言われたが、五会がまとまらない
た。
と我々の業務環境は良くならないと思う。
・確認申請を出すときには設計契約書を添付する「台湾方式」
この会員集会は衆議し結論をつける場ではなく JIA 会員に対し
の法制化をするための具体的作戦を展開させる。それが実現
て周知あるいはご理解を頂くことや、意見交換の場として位置
できれば専兼分離にこだわる必要がなくなる。
づけられております。しかしながら一部会員において会員集会
・我々の業務環境の改善のためにも各市町村の首長を応援する。
のテーマと外れて個人に対して申入れをする発言があったこと
・そのためにも登録建築家協会を作る。保険を含めて考えても
は遺憾とするものでした。
得策である。
・ JIA は「災害と復興には文化を」という言葉を言わなければ
以上、会員からの厳しい意見や疑問、要望が出されたが、新
しい会長への期待と賛同を含めた会員集会でもありました。
〈平井修平&星田真人ArchitectPartners〉
Bulletin 2008 年 8 月号
15
第三種郵便物認可
建築に関わる法改正
Bulletin 2008年8月15日発行
建築基準法、士法改正に伴う
業務報酬の見直し作業に参加して
大宇根 弘司
私は2007年4月13日 (第1回) から同年12月12日 (第6回)
にわたって開かれた国交省の業務報酬基準・工事監理小委員
会に JIA からの委員として出席しました。この小委員会は姉
歯事件をふまえ、建築設計事務所の「業務報酬基準の見直し」、
「工事監理の適正化」、「建築士事務所が加入する設計賠償責任
ンをする必要があるでしょう。
さて、私はこの委員会の議論に参加して次のようなことを
感じました。
設計監理料の根拠を市民あるいは発注者に提示する必要が
ある、そのために設計や工事監理の業務を定性的にも定量的
保険の充実」を議論し、望ましい方向づけをしようというも
にも分かりやすいものにしようという作業であったわけです。
のです。
ところが、業務を分かり易くするために細かく分けて行けば
私はその第1回委員会では 2003 年 12 月に JIA 業務委員会
行くほど、私の実感とは離れてゆきます。
がまとめた「建築家の業務・報酬に関する実態調査アンケー
今建築家の仕事は構造や設備を始めとする諸専門資格者の
ト」の結果をもとに、現況の設計監理料が 1 2 0 6 号と乖離し
作業を統括する業務である、したがって士法の中に統括建築
ていて、ひどい実態であることを説明しました。第2回では
士を位置づけよという主張がありますが、本当にそうかとい
同じく JIA 業務委員会が作製した「建築家の業務・報酬」を
う疑問があってここでも異和感を拭えないのです。それは何
もとに業務の内容を説明しました。士会、事務所協会、JSCA
故か。私達の仕事、すなわち設計監理という業務は、人間の
などの団体からの代表もそれぞれの立場で状況を説明し主張
最も身近な環境を「創出」するという作業です。専門資格者
しました。結果として業務量の略算表を見直すにあたり、今
が役割分担をして作業をし、それを統括すると建築の設計が
までの建物の4 分類を 1 6 分類とすること、さらに意匠・構
出来るということとは違うのではないか、と私は「感じる」
造・設備の実情に合った補正を行なえるようにすること、す
のです。設計という作業は分からない結果を求めて、もがい
なわち簡単なもの・普通のもの・高度なものに分けること、
て、もがいて、やっと一条の光を見つけ、その周辺を掘り返
工事費の別によるのでなく床面積の別に改める方が実情に合
すと運が良ければ結論らしきものに到達する、運が悪ければ
うとの主張があり、それも考慮すること、意匠・構造・設備
またそれを繰り返すしかない作業です。もちろん協力を得ら
およびそれらを統括する業務に区分すること、その上でそれ
れる専門家にもその作業に加わってもらって悪戦苦闘を一緒
ぞれどれくらいの業務量になっているか調査をするというこ
になってやる、一蓮托生の間柄です。現実には締切りがあっ
ととなりました。また標準業務と追加業務についてもその内
て、その最後の時まで、時間を忘れて頑張って、その結果が
容をはっきりさせようという方向づけもなされました。工事
建築になるということになります。この場合の設計監理料は
監理については、 ◎建築士法で定める工事監理業務
そういう人間の営みの総体への評価として呈示されるべきで
◎ 工事
監理業務に付随するその他の業務(建築工事の契約に関する
はないか。だからこそ設計料入札はなじまないのです。
事務および指導監督) ◎工事施工段階で行なうことに合理性
工事監理の議論の中ではもっと現実的で深刻な問題に直面
がある設計業務という三つの業務があり、それぞれについて
しました。その一つは現行では設計が必ずしも充全には行な
調査するということになりました。
われていないため、工事監理の段階で設計行為が行なわれて
この方向づけにもとづいてこの春アンケート調査が行なわ
いて、現場で混乱が生じているということを前提に議論が進
れ、目下そのとりまとめが行なわれているのではないかと推
められました。建築家(士)は設計図書作製において怠慢が
測されます。その結果が出次第、新しい業務報酬基準の略算
あるという不信が根強いのです。第三者監理問題の折も指摘
表が提示されることになるはずです。それが私達の望んでい
されており、私達と議論が咬み合わなかったのですが、この
るものになるかどうか。この議論の中で、現行の告示 1 2 0 6
不信感を取り除くにはどうすれば良いか。
号でもその意図するところが大略実行されていればそれほど
工事段階でも設計行為は続くのだとする私の主張はそのよ
問題はないと思われるので、実効性の担保こそ課題であると
うなことと関係して理解してもらうことが大変難しかったの
私も主張しましたし他の委員の中にも同じ主張をされる方が
です。報告書の中に「工事施工段階で行なうことに合理性が
いました。国交省はそれに対し基準は作れても実行するかど
ある設計業務」という一文を入れてもらうということが精一
うかは契約当事者間の問題であり、そこまで立ち入れないと
杯だったことを皆さんに知ってもらいたいと思います。
いうことでした。もしそうであればどんな立派な略算表が出
設計環境の改善という威勢のいい声が聞えてきますが、今
来ても、またまた水泡に帰す恐れがあります。したがって、
までの苦渋に満ちた努力や現実とどう向き合うか、具体的方
今までもそうしてきたように、あるいはそれ以上に、最低限
策を示して欲しいと切実に思います。
告示 1 2 0 6 号の水準は実施せよと発注者側に強くキャンペー
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Bulletin 2008 年 8 月号
〈(株)大宇根建築設計事務所〉
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年6月15日発行
「声」欄への投稿は支部事務局(担当:菊地)まで Tel 03-3408-8291 / Fax 03-3408-8294 / E-mail: [email protected]
豊かな財政と会員負担の
均等化を目指して
スだけではなくバー専任のサービス職員を雇用すべきであり、
―― 会費および会員種別についての意見書
あろう。
その面でも JIA 側から会館の財政を豊かにする努力をすべきで
渡辺 武信
会員種別
支部機関誌の紙面を借りて今年度の活動方針案についていくつ
総会了承事項の中に「若年層正会員については会費の低減化
かの疑問を呈する。私は本部総会に欠席した。当日のクライア
を検討する」とあるが、これは会費の負担と権利の均等化の原
ントとの先約を優先して総会を欠席したのは、支部総会、およ
則に反するから絶対に行なってはならない。もし会費が年 12
び出江新会長の見解を聞く会員集会に出席して私の意見を述べ
万になったとしても、それは継続して設計監理業務を行なって
ていたので、総会に出席しなくても大勢に影響はないと判断し
いる会員にとっては、35 坪程度の住宅の「建築確認申請手続
たからだ。しかし総会で承認された活動方針の文書で支部総会、
料」一棟分程度に過ぎないから、この手数料を設計報酬とは別
会員集会における意見が反映されていないことを知った。総会
にクライアントから受ける戦略について講習会などを開けば容
承認事項に後から意見を述べるのは場合によってはルール違反
易に解決できる額である。ただし選挙権、被選挙権などが制約
になるが、今回私が述べたいのは、根本的な事項ではなく、こ
される「準会員」は権利も均等ではないから、会費の低減化も
れから委員会や WG で調査と論議が行なわれ、具体的な措置
許容される。
は、秋の大会と同時に開催される臨時総会で決定される会費お
金銭および時間の負担の均等化
よび会員種別の問題に限られているから、会員としてその問題
現状では、会員を「アクティブ会員・睡眠会員または著名建
点を指摘することは差し支えないと思う。
築家」「アトリエ派会員・ラージファーム会員」「ベテラン会
会費額
員・新人会員」の三種の基準で分けて見ることができる。著名
従来、各支部で行なってきた任意性の「緊急拠出金」の類い
建築家で睡眠会員であるのは国際コンペに参加するために
が値上げされた「会費」として義務化されることは、2009 年
UIA の下部組織であるJIA に入会する必要のためであろう。
からにしても前進であろう。しかしその額については昨年度の
実際はこの三つの基準はほとんど重なっていて、「アクティ
「会員種別・会費種別検討委員会」の試案として出されている
ブ会員はアトリエ派会員でありベテラン会員である」ことが多
6万円を上限としてこだわる必要はない。財政を十分豊かにす
い。もちろんこれには少なからぬ例外があって、小倉元会長、
るためには、かつての7万 2000 円から、JAA 時代の 12 万円
伊平現支部長はアクティブ会員であり同時にラージファーム会
までを考えても良い。財政を豊かにするとは、単に現在の貧窮
員である。また入会後、そう歳月を経ずにベテラン会員に伍し
状態を改善するという消極的なことではなく、JIA を一層活性
てアクテイブに活動する会員も少なくないが、これはその会員
化するための積極的意図を伴うべきである。具体的な例を挙げ
の意欲とベテラン会員のオリエンテーションが良循環で融合し
れば、
た場合であり、この方向は推し進めるべきである。
(1) 現在「建築家会館」から借りているスペースをさらに拡
張し、少なくとも最盛期の広さに戻す。
しかし現状の多数例に基づいて言えば、「アクテイブである
アトリエ派会員」の所得は「睡眠会員であるラージファーム会
(2) 建築家会館の株主は全員 JIA 会員であるのだから、いま
員や著名会員」より少ない傾向にあるのに、任意性のある費用
特別に安価になっている家賃単価を上げることも許容すべき
を支払い、時間と金銭との双方で負担を負っているケースが多
である。
い。したがってせめてアクティブ会員の活動費用、すなわち個
(1)は、現状では建築家会館(以下「会館」と略述)の外で
別の地域会費、部会費などを廃止し、それらを会費の中から拠
行なわれている行事(地域会、各種懇談会)などを会館内に再
出するべきである(もちろん有志の懇親会的飲食費は個人負担
帰させることに寄与する。こうすれば複数の会員の集いが同時
でよい)。会費値上げにはこの事項も考慮されなければならな
開催されることが多くなり、会員が閉会後、次項で述べるバー
い。
などで新たに知り合い、懇親の機会を持つことが促進される。
*
(2)は、JIA 本部が設置した「JIA 会館 活用委員会」で議論さ
以上、文責は私個人にあるが、この内容は、以下に記す5名の
れている課題、とくにラウンジ(いわゆるバー)の再開を後押
会員から、具体的な細部はともかく基本的論旨について賛同を
しするためである。なお株式会社・建築家会館の定款を参照す
得ている。「アクティブであるアトリエ派会員」有志の見解と
れば、バーの閉鎖は一時的とは言え、定款に抵触し、閉鎖を決
して受け取って頂きたい。
〈(株)渡辺武信設計室〉
定した役員会には背任の疑惑がある。バーの具体的な形は同委
員会に任せるが、その利用を促進するためには、会館はスペー
相田 武文、小倉 浩、庫川 尚益、齋藤 孝彦、竹内 裕二
Bulletin 2008 年 8 月号
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声
支部ダイジェスト
第三種郵便物認可
5 / 6月
NEWS
●
JIA 通常総会が開催されました(5月30日)
約 1 0 0 名の出席者を得て、 2 0 0 7 年度の事業、会計報告、
2008 年度の事業計画、予算案などが承認。また会長も任命さ
詳細はJIA本部、関東甲信越支部HPなどをご覧ください
月1日より 2007 年 12 月末日 (2ヶ年) までに竣工した建築作
品が対象。7月31日締切。
「建築家のあかりコンペ」募集中
●
れ出江寛新会長のもと 2 0 0 8 年度がスタートいたしました。
併せて、会費改定、資格制度などについて協議されました。
●
会員集会が開催されました(5月21日)
昨年に引き続き、JIA と大光電機株式会社協同で「建築家の
あかりコンペ 2008」を開催いたします。登録締切7月 31 日、
作品提出締切8月25日。
新会長:出江寛氏 (当時は次期会長) をお迎えして関東甲信越
支部会員集会が行なわれました。詳しくは、本誌の特別報告
委員会・地域会・部会からのお知らせ
●
「出江寛次期会長が語るJIA」をご覧下さい。
●
岩手・宮城内陸地震(6月14日)
6月 14 日 08 時 43 分頃、岩手県内陸南部で地震が発生。そ
JIA トーク 2008 第1回 林望氏 (5月28日)
作家の林望氏をお招きして「古典文学とすまい」というテ
ーマについて講演いただきました。主催:トーク実行委員会
「ウォーキテクト」
(建築散歩企画)開催(5月17日)
●
れを受けて JIA 災害対策本部と被災地特別対策本部が設置さ
れ活動を始めました。
Bulletin 2008年8月15日発行
設計者:山本理顕氏の講師のもと、会員と一般の方を対象
に「横浜美術館見学会」が行なわれました。主催: JIA「ウォ
「日本建築大賞」他 募集中
●
会員の交流と創作活動の向上を目指し、その活動と業績を
広く社会に広めるため「日本建築大賞」「日本建築家協会賞」
ーキテクトCAFEの会」
●
学生デザイン実行委員会、交流委員会、建築交流部会、
住宅部会の HP が更新されています
「日本建築家協会優秀建築選」を募集いたします。 2006 年1
広報からのお知らせ
ホームページ進行中
ホームページワーキング主査 中澤 克秀
● 4月より広報ホームページ
W G 主査になりました中澤克秀
●「メールだったらできる」というあなたに朗報!
活動報告が簡単にできます
ホームページやブログは苦手というあなたでもメールは仕
事でお使いになっていませんか? 各団体広報担当の皆様、画
です。JIA の活動を一般に知ってもらうため、インターネット
期的なメール投稿を利用してブログに情報を公開して下さい。
を活用した情報公開を積極的に進めます。手始めにブログ
詳しくはブログで紹介しています。
「JIA 広報通信」を立ち上げました。即効性と身近に感じる記
事を心がけています。そして各委員会、地域会、部会の活動
を手軽に紹介してもらうブログ投稿システムを構築しました。
● ホームページをリニューアルしました
わかりやすさをテーマにコンテンツを整理。さらに7月に
は自動更新システムを導入し、各団体ごとに自由に追記、更
新できる仕組みを作っていきます。
関東甲信越支部会員向けサイト:http://www.jia-kanto.org/members
18
Bulletin 2008 年 8 月号
〈中澤建築設計事務所〉
ブログのアドレス:http://jia-kanto.seesaa.net
第三種郵便物認可
Bulletin 2008年8月15日発行
旅に行ってきました
沖縄
沖縄県立博物館・美術館
――平成 20 年 4 月 25 日(金)
比べてまだ少ない。沖縄の気候と歴史がそうさせないのか、多
くの沖縄内外の建築家が「沖縄らしさ」を求めた作品を残して
■旅という言葉を使うと会社に怒られてしまうかもしれません。
います。
あくまで出張での話です。一昨年まで九州支店勤務だったこと
沖縄県立博物館・美術館は 10 年前のコンペで選定されたに
もあり、沖縄でひとつ現場を持っています。スーツを着て乗り
もかかわらず、財政的な問題で中断し、規模を縮小するなどし
込む飛行機の中は、時期によっては場違いのような雰囲気に包
てやっと今春竣工した大変な労作です。
まれることがあり、辛いこともありますが、やはり楽しみな出
博物館と美術館を一体としコンパクトにまとめられ、展示内
容もすばらしい。
張です。
出張族が重宝するビジネスホ
建築的にも大変良く検討されており、花ブロック * からイメ
テルやファーストフード店、コ
ージされたと思われる穴あき PC 板が外観の特徴となり、強い
ンビニなど日本全国画一的なも
日差しを柔らかく受け、沖縄らしい心地よい中間領域の空間を
のは、沖縄でも溢れています。
作りあげています。
〈田中宣彰/(株)三菱地所設計〉
どこに建っても同じ、場所を選
*穴あきのコンクリートブロックのこと、沖縄のコンクリート住宅などでよ
ばないような建築が他の都市に
く使われています。日差しを遮りながら、風を通す役目をもっています。
編集後記
■今年から広報委員会に所属することになり、Bulletinの編集委員会に
心して取り組まなければいけない。
(Y.Ko.)
所属しました。文章の校正など慣れない作業に戸惑いながらも、編集後
■ブログメール投稿が開始しました。6月にはサイトのリニューアル、
記に名を連ねることになりました。読者の方に楽しんでもらえるような
7月からはいよいよ自動投稿システムが稼動します。ひとまずお疲れさ
誌面作成に務めていきたいと。
(M.A.)
まです。
(K.N.)
■新しい出会いがありました。ブログで知り合った人と直接会って、飲
■引き続き広報委員長を務める一方、今年度からは支部常任幹事として
み、話をしました。いわゆるブロガーのオフ会ですね。昔だと文通仲間
も JIA活動に参加します。会員向け広報の充実はもちろん、2年間で社
と初めて会うということでしょうか。建築系ブロガーで瓦製造業の熱い
会への情報発信について整備したいと思います。よろしくお願いします。
方です。
(M.I.)
(T.N.)
■昨今の地震やタイフーン被害、海面上昇危機、そして国内は年金不信
■プラハからザルツブルグ、湖水地方を経由してウィーンまでの旅をし
から食品や建材の偽装と次々と続くこの社会は、人間の心理にどのよう
てきました。それぞれに古い街並が保存され大変美しかったのですが、
に影響してゆくのでしょうか? 今月の特集がタイムリーなのも喜ぶべ
一番気に入ったのはウィーン。古いものにモダンなものも入り混じり
きなのか悲しむべきなのかそれが問題?
(Hf.Ko)
.
動き を感じ、また洗練された印象を受けました。
(R.S.)
■母校の高校陸上部が南関東大会に6種目出場した。マイルリレーの出
■最近、なぜか構造に興味があり、講演会に行ったり書物を読み漁った
場は 31 年ぶりと応援に駆け付けたが、全国への壁は厚く、あと一歩の
りしています。構造はロマンだなあ、構造家はきっとロマンチストなん
ところで敗退した。今の高校生は我々の頃とは違い体格が良くなり、日
だろうなあと思いをはせつつ、私の休日は、しばらく、構造の美しい建
本人には無理と言われた短距離走が大変強くなってきた。
築巡りになりそうです。
(Hy.Ko)
.
■五月連休明け二週間、ルーマニアとブルガリアを巡ってきた。屋根フ
(Y.S.)
■本年度より編集委員に加えて頂いたのですが、まだお役に立てなくて
ェチの自分にはたまらない木造教会、修道院、集落。ユーロを視野に入
……。よろしくお願いします。
れた急変と 50 年前の日本を思わせる最先端のロハス。複雑な歴史。知
■ 13 年も乗り続けているわが愛車・エスクード。デザインが好きでな
らなすぎた東欧。明るい東欧。感動は幸せ!
かなか手放せなかったのだけど、昨今のガソリン価格の高騰でかなり気
(Ka.Ku.)
(N.T.)
■屋上天窓からの転落事故。亡くなった子供や両親には大変気の毒な事
持ちが揺らいできた。あ〜早く手頃な価格の電気自動車か燃料電池車が
故だ。こどもは危険な遊びが好きだ。親の躾、先生の危機管理、施設管
出てくれないかなあ。
(T.Y.)
理者の検査、設計時の条件設定からすり抜けたとき大きな事故となる。
編集:
社団法人 日本建築家協会
関東甲信越支部広報委員会
委員長: 中村 高淑
副委員長:近藤 剛啓・鈴木 利美
委 員:
安東 政朗・池元 真克・倉島 和弥・近藤 弘文・古池 廣行・
中澤 克秀・杉本由美子・田中宣彰・湯浅 剛
編集長: 鈴木 利美
副編集長:湯浅 剛
編集委員:安東 政朗・池元 真克・倉島 和弥・田中宣彰・中村 高淑
菊地 良一
表紙デザイン:山本 信治/本文デザイン:神田 雅子
制作:山口 尊敏
発行人:
発行所:
印刷:
菊地 良一
社団法人日本建築家協会 関東甲信越支部
〒150-0001東京都渋谷区神宮前2-3-18 JIA館
TEL 03-3408-8291(代) FAX 03-3408-8294
サンデー印刷社
JIA関東甲信越支部関連サイト一覧
・(社)日本建築家協会 (JIA) http://www.jia.or.jp
・建築家online(一般向け)http://www.jia-kanto.org
・JIA関東甲信越支部(会員向け)
http://www.jia-kanto.org/members
©社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 2008
Bulletin 2008 年 8 月号
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