Ver.5.2版 - GEヘルスケア・ジャパン株式会社 ライフサイエンス統括本部

GE Healthcare
Life Sciences
ÄKTAmicro
UNICORN 5.2 版
はじめてお使いの方へ
1、はじめに ..................................................................................................................................................................... 4
2、起動................................................................................................................................................................................ 7
3、システムの準備 ..................................................................................................................................................... 9
4、カラムの接続 ........................................................................................................................................................ 12
5、インジェクションバルブの準備 .............................................................................................................. 14
6,フラクションコレクターの準備 .............................................................................................................. 15
7、メソッド作成 ........................................................................................................................................................ 17
8、メソッドの実行 .................................................................................................................................................. 25
9、データ処理(プリントアウト) .............................................................................................................. 29
10、システム終了 ..................................................................................................................................................... 32
11、メンテナンス ..................................................................................................................................................... 33
12、ファイル管理(データのバックアップ) ...................................................................................... 34
GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
ライフサイエンス統括本部
バイオダイレクトライン
TEL:03-5331-9336、FAX:03-5331-9370
e-mail:[email protected]
-1-
Revised 2013/03/14
必ずお守りください
安全上のご注意
弊社機器に関する一般的な注意事項を記載してい
ます。取扱いの詳細は必ず製品添付の使用説明書を
ご覧ください。
誤った取扱いをした場合に生じる危険や損害の程
度を、次の区分で説明しています。
図記号の意味は次の通りです
誤った取扱いをした場合
警告
に、死亡や重傷を負う可能
してはいけない「禁止」を示します。
性があるもの。
禁止
誤った取扱いをした場合
注意
に、傷害または物的損害が
必ず実行していただく「強制」を示しま
発生する可能性があるも
す。
の。
警告
禁止
電源プラグの抜き差しにより、運転を
電源コードを途中で接続しない、タコ足
停止しない
配線をしない
火災・感電の原因になります。
禁止
火災・感電・故障の原因になります。
電源コード・電源プラグを傷つけない
●加工しない ●束ねない ●ねじらな
修理・分解・改造はしない
い ●折らない ●物をのせない ●加
禁止
熱しない ●無理に曲げない
禁止
火災・感電の原因になります。
破損して火災・感電の原因になります。
電源プラグのほこりを取り除き、刃の
取扱説明書に指定された規格のコンセ
根元まで確実に差込む
ントを使用する
根元まで
接続が不十分だと、隙間にほこりが付
指定の
差込む
着して火災・感電の原因になります。
規格
コンセントの差し込みがゆるいときは
ない
ショート・感電の原因になります。
禁止
使用時や使用直後(運転停止後約 60 分
感電・ショート・発火の原因になります。
抜く
れない
プラグを
高温部に触れ、やけどの原因になりま
抜く
す。
禁止
使わない
異常時は、運転を停止して電源プラグを
間)は、操作に関係のない部位には触
禁止
災・感電の原因になります。
電源コードや電源プラグが傷んでいる、
本体を水につけたり、水をかけたりし
禁止
指定された規格以外で使用すると火
異常のまま運転を続けると火災・感電の
原因になります。
同梱の電源コード・電源プラグ以外の
同梱の電源コード・電源プラグを他の電
コード・プラグを使用しない
気機器に使用しない
故障・火災・感電の原因になります。
禁止
-2-
故障・火災・感電の原因になります。
注意
設置時は、次のような場所には置かな
ぬれた手で電源プラグを抜き差ししな
い
い
●不安定な場所 ●湿気やほこりの多
禁止
感電の原因になります。
い場所 ●油煙や湯気が当たる場所 ●
直射日光の当たる場所 ●風雨のあた
水平で丈夫な場所に設置する
る場所 ●熱器具の近く ●高温になる
禁止
水平
場所 ●吸・排気口をふさぐような場所
このような場所に置くと、ショートや
電源プラグを持ってまっすぐ引き抜く
発熱、電源コードの被膜が溶けるなど
ななめに引き抜いたり、コードを持って
して、火災や感電、故障、変形の原因
になることがあります。
プラグを
抜くと、プラグの刃や芯線が破損してシ
持つ
ョート・感電・発火の原因になります。
低温室で使用する場合の注意
装置を低温環境下でご使用になる場
装置を低温室から常温の場所に移動さ
合、システム電源は常時入れておく
せる場合、常温に設置後、装置内の結露
低温環境下で長時間システムの電源を
電源を
入れる
が無くなるまでシステム電源を入れな
落とした状態で放置すると、結露など
電源を
により故障の原因になります。ランプ
入れない
などの消耗品は OFF にしておくと、劣
い(状況により異なるが、通常半日から
一昼夜)
感電・漏電火災の原因になります。
化を防ぐことができます。
掲載されている製品は、試験研究用以外には使用しないでください。
記載されている内容は予告なく変更、修正される場合がありますので、あらかじめご了承ください。また、
製品名に付記される番号の中には、製造の管理上でのみ適用される番号(単品で購入ができないものなど)
もあります。
掲載されている社名や製品名は、各社の商標または登録商標です。
ソフトウェア UNICORN の動作保証は、弊社が納品しインストールしたコンピューターに限ります。他のコン
ピューターに追加インストールする場合にはライセンス契約(有料)が必要となります。
コンピューターに指定以外の外部装置やソフトウェアなどを接続、インストールした場合、動作の保証はい
たしかねます。
本マニュアルは以下 URL よりダウンロード可能です。
http://www.gelifesciences.co.jp/tech_support/akta/akta_micro.asp
製品 Q&A: http://faq.gelifesciences.co.jp/
ÄKTA ユーザークラブ: http://www.gelifesciences.co.jp/technologies/system/index.asp#box
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1、はじめに
本マニュアルは、はじめて ÄKTAmicro をお使いになる方への取扱い説明のために書かれたものです。より詳
しい使用方法は、機器付属の英文マニュアル、ヘルプメニュー、弊社ウェブ Q&A、ÄKTA ユーザークラブ限定
サイトなどをご参照ください。
システムの設置状況、コンピューター、ソフトウェアの設定などにより、表記と異なる場合があります。
製品の仕様は予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
1.1、ÄKTAmicro 本体の構成
ポンプ:P-905
・高圧グラジエント 2 ポンプシステム
・0.001~2 ml/min
・0~35 MPa
ミキサー:M-925
・0.2 ml ミキサーチャンバー(標準)
・90 µl ミキサーチャンバー(交換時)
モニター:UV-900
・190~700 nm 可変 UV-Vis モニター
・任意の 3 波長の同時測定が可能
・光路長 3 mm(0.7 µl)フローセル
モニター:pH/C-900
・電気伝導度(コンダクティビティー)オン
ラインモニタリング
・内部容積 0.2 µl フローセル
フラクションコレクター:Frac-950
以下の 4 種類のラックを設置可能です。
・ラック A(黄)(18-6083-11)
:17 mm 径試験管(120 本)
、30 mm 径試験管(8 本)
・ラック C(青)
(18-6083-13)
:96 穴マイクロプレート(4 枚)
、30 mm 径試験管(8 本)
≪オプション≫
・ラック B(紫)
(18-6083-12)
:12 mm 径試験管(240 本)
・ラック D(赤)
(18-6083-14)
:30 mm 径試験管(45 本)
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システム配管
・G3:内径 0.15 mm、長さ 35 cm、PEEK 製
・G4:内径 0.15 mm、長さ 35 cm、PEEK 製
・G5:内径 0.15 mm、長さ 80 cm、フューズド
シリカ製
インジェクションバルブ:INV-917
3 つのポジションがある 7 方バルブです。ポジションを切替えることによって、
チュービングを外すことなくサンプルを添加できます。
≪Load≫
初期ポジション。バッファーはポンプからカラムに流れます。サンプルループに
サンプルを充填するポジションです。
≪Inject≫
バッファーはポンプからサンプルループを通ってカラムに流れます。カラムにサ
ンプルを添加するポジションです。
≪Waste≫
ポンプから廃液ボトルに流れるポジションです。Pump Wash 時には、自動的に
このポジションに切り替わります。
Load
Inject
Waste
サンプルループ
・1 µl(フューズドシリカ製、18-1147-15)
・10 µl(フューズドシリカ製、18-1147-16)
・100 µl(PEEK 製、18-1147-17)
オンラインフィルター
バッファー中の不溶物を除去するために、ミキサーとインジェクシ
ョンバルブの間(ミキサーの出口)に接続します。
フィルターはポアサイズ 2 µm のチタン製焼結フィルターです。目
詰まりによりバックプレッシャーが高くなった場合は、分解して内
部の焼結フィルターを 2M NaOH 中で超音波洗浄します。洗浄して
も圧が下がらない場合は、新品のフィルター(18-1120-94、2 個入
り)と交換します。
外観
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フィルター
1.2、実験準備から後片付けまでの流れ
≪準備するもの≫
□ カラム、コネクター類
□ サンプル
□ 脱気した超純水(用時調製します)
□ 精製で使用する脱気したバッファー(用時調製します)
□ 20%エタノール
□ シリンジ(サンプルの液量に合わせた容量)
□ フラクションコレクター用の試験管・プレート等
≪システムの準備とチェックポイント≫
2章
システム、コンピューターの起動
↓
3章
システム内の水置換
↓
ポンプのパージ、圧の安定性チェック
↓
サンプルインジェクションバルブ周辺の配管確認
5章
4章
カラム接続とカラムの水置換
↓
4章
システム内のバッファー置換
↓
6章
フラクションコレクターの準備
↓
7章
メソッド作成
(既存メソッドを使用する場合はこのステップを飛ばします)
↓
8章
メソッド実行
↓
10 章
システム内の水洗浄、カラムの水洗浄
↓
システム、カラムの 20%エタノール置換
10 章
↓
(データの Evaluation、レポート作成)
9章
↓
10 章
コンピューター、システムの終了
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2、起動
2.1、システム本体と UNICORN の起動
ÄKTA システムでは、少なくとも 2 口(ラップトップコンピューターの場合)または 3 口(デスクトップコン
ピューターの場合)が必要です。システム本体、コンピューター、ディスプレイのソケットをコンセントに
接続します。必要に応じ、コントロールユニット CU-950(低温室など、システム本体とコンピューターが離
れている場合)やプリンターのソケットをコンセントに接続します。なお、これらのコンセントの一部を OA
タップで管理することがあります。
1)ÄKTA 本体の前面左下にある主電源を入れます。起動時に各ユニットは動作確認を行い、エラーがあれば
表示されます。
・低温室内で使用する場合、結露防止のため本体の電源は常時通電状態にしますが、コンピューター起動の
前に一度主電源を切り、再度電源を入れます。
・CU-950 の電源が ÄKTA 本体以外から供給されている場合には、ÄKTA 本体の主電源を入れる前に、CU-950
の電源を入れ直します。
2)コンピューター、ディスプレイ、必要に応じプリンターの主電源を入れます。
3)OS が起動後、デスクトップの UNICORN アイコン(
)をダブルクリックして
起動します。
4)Logon ダイアログが表示されたら User name より default を選択し、Password
に default と入力し、OK ボタンをクリックします。
5)4 つのモジュールが起動します。
6)System Control 画面にて、ÄKTA 本体とコンピューターが接続されたことを確認します。Run data の
Instruments の項目に「Ready」と表示されていることを確認します。なお、この際 CU-950 の LED ランプは
Power、PC および System の 3 つすべてが点灯します。
2.2、UNICORN の操作モジュール
UNICORN には 4 つの操作モジュール(UNICORN Manager、Method Editor、System Control、Evaluation)があ
り、画面最下段のタスクバーにアイコンが表示されています。以下の表に各モジュールの主な機能を示しま
す。
モジュール
主な機能
UNICORN Manager
ファイルの管理、ユーザーおよびシステムの設定を行います
Method Editor
メソッドを作成、編集します
System Control
メソッドの開始、表示、およびマニュアル制御を行います
Evaluation
結果を表示し、レポートを作成します
モジュールを切り換える場合は、タスクバーから該当するモジュールをクリックします。
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2.3、マニュアル操作
コマンドは次のように表示します。
1)メニューバーの Manual をクリックします。
Manual ↓
2)プルダウンメニューの Flowpath をクリックします。
Manual ↓ Flowpath
3)メニューから Injection Valve コマンドを選択します。
Manual ↓ Flowpath → Injection Valve
4)パラメーターから Inject を選択します。
Manual ↓ Flowpath → Injection Valve→ Inject
5)Execute ボタンをクリックすると実行します。
6)終了する場合は、画面上部にある End ボタンをクリックします。
マニュアル操作の場合、コマンドを実行してから、End ボタンをクリックするまでの間が、リザルトファイ
ルとして記録されます。ファイルは、Results の Manual Run フォルダー内に、直近 10 ラン分までが保存され
ます。
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3、システムの準備
3.1、廃液チュービングの確認
W1(インジェクションバルブ ポート 5)
、W2(インジェクションバルブ ポート 4)の ETFE チュービング(内
径 0.75 mm)、および Frac-950 のシリコーンチュービングを廃液ボトルに接続します。Frac-950 のファンネ
ル(廃液回収口)から廃液が溢れないよう、廃液ボトルは Frac-950 の廃液チュービングよりも低い位置に設
置します。
3.2、リンス液の確認
ポンプピストンの裏側をリンス液(20%エタノール)でポンプ稼働時に洗
浄しています。以下の点を確認します。
1)使用前にリンス液が接続されている容器内の液が減っていないか、濁
っていないかを確認します。減っていたり、濁っていたりする場合は交
換します。
2)ポンプ稼働時にリンス液が循環するかどうかを確認します。大量のエ
アが入って循環しない場合は、ルアーアダプターにシリンジを接続し、
ゆっくりとリンス液を吸引します。また、リンス液吸引時に陰圧になる
場合には、逆流防止弁(矢印が刻印されたチェックバルブ(18-1132-75、
右図参照))を超音波洗浄します。なお、低流速で送液時には循環が確
認しにくい場合があります。後述のポンプ洗浄時に循環するかどうか確
認することをお勧めします。
3)ポンプに接続されているリンスチュービングから液もれしてないかも
確認します。
3.3、ポンプおよびインレットチュービング内のエア抜き
使用するポンプおよびインレットについてエア抜きを行います。ポンプ内にエアが残
っていると、実際の送液量が設定よりも少なくなる現象が起きます。実験結果への影
響として、溶出時間が遅れたり、再現性が得られなくなったりします。再現性の良い
実験を行うためには、ポンプのパージ作業が必要です。なお、パージキットに接続す
るシリンジは標準では 30 ml が付属していますが、10 ml の容量のものに変更されるこ
とをお勧めします。
インレットチュービングから吸い込まれた溶液は、左右 2 個のポンプヘッドへ入り、ミキサーに向かって押
し出されます。1 種類の溶液に対して、左右 2 個のポンプヘッドのパージ作業が必要です。
ここでは A1、B1 の 2 本のインレットチュービングを使用する実験のためのパージ操作例を示します。
1)A1、B1 のインレットチュービングを十分に脱気した超純水入りボトルに接続します。
2)パージバルブにパージキットをしっかり差し込み、パージバルブを反時計回りに約 3/4 回転して、シリン
ジのピストンをゆっくり引いて、10 ml 程度の超純水を引き入れます。急激に引き込むと陰圧になり、気泡
が発生しやすくなります。
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3)パージバルブを時計回りに回転してしっかり閉じます。パージキットを抜いて、溶液を捨てます。
4)A ポンプのもう一方のパージバルブについても 2~3 の手順を繰り返します。これでインレットチュービ
ング A1 についてのパージが終了します。
5)引き続き、B ポンプの 2 つのパージバルブについても 2~4 と同様の操作を行います。
A2 および B2 のインレットについてパージを行う場合は、以下 6~8 の手順で行います。
6)System Control 画面より
Manual ↓ Flow path → Pump A Inlet → A2 → Execute
Manual ↓ Flow path → Pump B Inlet → B2 → Execute
7)2~5 の手順で A2、B2 インレットをパージします。
8)End ボタンをクリックします。
3.4、圧力安定性のチェック
パージ(エア抜き)が完全に行われたかどうかを、送液時の廃液速度にて
目視確認します。この確認は実験で使用するインレットのみになります。
カラムは接続せず、インジェクションバルブと UV フローセルはバイパス
チュービング(G4 チュービング)で接続して確認します。
なお、パージバルブの締めが緩いと送液時にパージバルブから溶液が漏れ
ることがあります。手締めで漏れる場合には必要に応じて専用のレンチ
(19-1994-60:単品販売終了)を用いて締めます。締めが過剰にならない
ように時計回りに 1/8~1/6 回転ずつ回し、液漏れしないことを確認しま
す。
1)System Control 画面を開きます。
2)A ポンプ、A1:Manual ↓ Pump → Flow → 0.5 ml/min → Execute
Frac-950 のフラクションチュービングから廃液されること、その速度が一定であること、接続部から液漏
れが無いことを確認します。以下手順によりインレットを変更した場合も同様の点を確認します。なお、
この確認は使用するインレットのみになります。
3)B ポンプ、B1:Manual ↓ Pump → Gradient → Target 100 %B、Length 0.1 min → Execute
4)B ポンプ、B2:Manual ↓ Flowpath → Pump B Inlet → B2 → Execute
5)A ポンプ、A2:Manual ↓ Flowpath → Pump A Inlet → A2 → Execute
Manual ↓ Pump → Gradient → Target 0 %B、Length 0.1 min → Execute
6)End ボタンをクリックします。
インレット、ポンプを切り変えた時に、大きな圧力変化や廃液速度の変化が無いことを確認します。変動が
大きい場合はそのポンプヘッドのパージを再度行います。また、0.1 ml/min で送液しながらパージすること
で、エアが抜けやすくなることがあります。
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3.5、ポンプ洗浄(Pump Wash)
Pump Wash Micro コマンドを用い、短時間でインレットチュービング、ポンプ、ミキサー内の溶液を置換し
ます。本操作は使用するインレットのみ実施します。
操作手順
1)使用するインレットチュービングを、十分に脱気した超純水のボトルに接続します。
2)ポンプ洗浄のコマンドを実行します。System control 画面より
Manual ↓ Pump → Pump Wash Micro → (使用するインレットのみ On) → Execute
ポンプ洗浄中はポーズ状態になります。
≪ポンプ洗浄時の動作≫
送液量:1 インレットにつき、9 ml 自動送液され、W1 チュービングより廃液されます。
流速:1 ポンプのみ(A ポンプのみ、もしくは B ポンプのみ)を実施する場合は 3 ml/min で送液されます。
A ポンプと B ポンプを同時に実施する場合は 6 ml/min で送液されます(A ポンプと B ポンプは共に 3 ml/min
で同時稼働します)。
3)ポンプ洗浄が終了したら End ボタンをクリックします。
注意
Pump Wash コマンド実行中は、決して Continue ボタンを押さないでください。実行中はマニュアル操作を
受け付けないよう Pause 状態になります。Continue ボタンにより強制中止すると、誤動作することがありま
すので、自動的に終了するまでお待ちください。
3.6、システム洗浄
必要に応じ、インジェクションバルブより下流(フラクションコレクター)までの流路を洗浄します。
1)System Control 画面より
Manual ↓ Pump → Flow → 0.3 ml/min → Execute
2)1 分程度送液し、End ボタンをクリックします。
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4、カラムの接続
4.1、Precision カラム(SMART カラム)を使用する場合
Precision カラムにカラムホルダー(3~5 cm/30 cm カラム用、
17-1455-01)を装着すると、ÄKTAmicro で Precision カラムの
使用が可能になります。
1)カラムホルダーを分解します。
2)カラム上下の赤いキャップを取り外します。
3)カラムをホルダー(ステンレス製)内部に挿入します。
4)カラム上下にエンドフィッティング(チタン製)を乗せ、
スクリューキャップで均一に締めて固定します。
5)必要に応じ、カラム上下にストッププラグを接続します。
4.2、カラムの接続と耐圧設定、および水置換
Precision カラムホルダーや Tricorn カラムのネジ規格は入口、出口のいずれも 1/16”(10-32
UNF)です。分離状態を出来るだけ維持するためにはなるべく配管長を短くします。以下
は Precision カラムを取り付ける際の例です。
1)UV フローセル入口に接続されているバイパスチュービング(G4 など)を取り外します。
2)UV フローセル入口に 1/16” male / 1/16” male コネクター(
)
(18-1120-90:内径
0.13 mm、または 18-1120-92:内径 0.25 mm)を接続します。
3)カラム出口のストッププラグを外し、上記 2 で接続したコネクターに接続します。
4)カラムの耐圧を入力します(入力する値は、カラムの説明書にてご確認ください)。
Manual ↓ Alarm & Monitor → Alarm Pressure → High Alarm(カラムの耐圧)
→ Execute
5)カラム入口のストッププラグを外します。
6)送液しながらカラム入口を接続します。
Manual ↓ Pump → Flow → 0.05~0.1 ml/min* → Execute
* 至適流速の 1/2 の流速が 0.05 ml/min よりも低い場合は、低い方の値を採用します。
カラムへ接続するチュービングから超純水が出てきたら、カラムを接続します。
7)接続部分から液漏れしていないことを確認し、カラム内が超純水に置換されるまで、カラム体積の 3 倍以
上送液します。この際、使用予定の流速まで徐々に流速を上げ、耐圧を超さないことを確認します。
8)End ボタンをクリックして終了します。
※ゲルろ過用 Precision カラムを使用する場合は、必要に応じて Long column holder
(18-1126-32)によりカラムを支持することをお勧めします。また、標準接続の G4 チュ
ービング(35 cm 長)では短いため、必要な長さに PEEK チュービング(18-1156-59:内
径 0.15 mm)をチュービングカッター(18-1112-46)で切断し、G4 チュービングと入れ
替えて使用します。
18-1126-32
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エンドタイマー機能を使うと、設定時間もしくは設定液量送液後に自動終了することができます。
Manual ↓ Other → End Timer → (パラメーターを設定) → Execute
4.3、ポンプ内のバッファー置換
イオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーのように A ポンプ、B ポンプより 2 液
を用いた精製を行う場合は、2 回に分けてポンプ洗浄を行います。以下は A1 に結合バッファー、B1 に溶出
バッファーを接続、置換する手順になります。
1)使用するインレットチュービングを、十分に脱気したバッファーボトルに接続します。
2)ポンプ洗浄のコマンドを実行します。
System control 画面より
Manual ↓ Pump → Pump Wash Micro → OFF, OFF, On, OFF(溶出バッファーのインレット B1 のみを On)
→ Execute
3)3 分後にポンプ洗浄が終了し、ステータスが manual に変更されたことを確認してから
Manual ↓ Pump → Pump Wash Micro → On, OFF, OFF, OFF(結合バッファーのインレット A1 のみを On)
→ Execute
4)ポンプ洗浄が終了したら End ボタンをクリックします。
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5、インジェクションバルブの準備
実験で使用するサンプルループを、インジェクションバルブのポート 2 とポート 6 に接続します。
5.1、サンプルループ(1 µl、10 µl)の接続
フューズドシリカキャピラリータイプのサンプルループ(1 µl、10 µl)を接続
する際は以下の手順となります。
キャピラリー
スリーブ
注意:キャピラリーはひねりや極端な曲がりにより破損することがあります。
取り扱いには十分ご注意ください。
1)容量が異なるサンプルループが接続されている場合は、接続されているサ
コネクター
ンプルループを取り外します。
2)オレンジ色のスリーブ(18-1147-12、PEEK 製)を Fingertight コネクター
(18-1147-10)内に挿入します。
3)スリーブをコネクターの先端から 2 mm 程度突出するように調整します。
4)キャピラリーの両端をスリーブ内に挿入します。その際、キャピラリー先
端とスリーブ先端の位置が同じになるように調整します。
5)インジェクションバルブのポート 2 またはポート 6 に 4 の状態のコネク
ターを接続します。
6)反対側も同様に接続します。
5.2、インジェクションフィルポートとニードル一体型シリンジの接続
1)Fill port INV-917(18-1162-06)に含まれる緑色のスリーブ(PEEK 製)を
Fingertight コネクター内に挿入します。
2)スリーブをコネクターの先端から 2 mm 程度突出するように調整します。
3)スリーブをポートに押しつけながらインジェクションバルブのポート 3
にフィルポートを接続します。
4)スリーブ内にニードル(外径 0.7 mm)をあたるところ(スリーブの先端)
まで挿入します。
5)シリンジで超純水または結合バッファーをサンプルループ内へ注入しま
す。
6)液漏れする場合は、ニードルを挿入したまま手締めで更にコネクターを増
し締めします。それでも液漏れする場合には専用のレンチ(18-1112-45)
を用います。締めが過剰にならないように時計回りに 1/8~1/6 回転ずつ回
し、液漏れしないことが確認できたら、それ以上回さないようにします。
※ ニードルを挿さずにコネクターを強く締めすぎて、スリーブが過剰に潰れると、ニードルの先端がスリー
ブの先端まで届かず、液漏れしやすくなります。そのような場合には、スリーブを交換します。
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6,フラクションコレクターの準備
6.1、分取方法およびディレイボリュームの設定
Micro Fraction Collection Kit(28-9487-80、G5 チュービング)が接続されている場合、以下の設定となってい
ることを確認します。なお、本作業による設定変更はシステムが End 状態の時のみ実施出来ます(確認はシ
ステム稼働中でも可能です)
。
System Control 画面より
System ↓ Settings → Specials → Frac Parameters → Delay Vol:0.015 ml、Tube Change:Tube → OK
参考
内径 0.15 mm チュービング(Micro Fraction Collection Kit および紫色の PEEK チュービング)の計算上の内容
積は 1.8 µl/10 cm です。
6.2、ラックの取り付けとドロップシンクユニットの高さ調整
ラック裏面の溝と本体の Keying guide(突起部分)を合わせて設置します。磁石で固定されます。ラックをは
ずす際は、ラックを両手で持ち上げます。
ラックにプレートや試験管を設置した後、Knurled screw を緩めてドロップシンクロユニットが試験管やプレ
ートにあたらないように高さを調節します。
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6.3、ラックの選択
ÄKTAmicro で推奨するカラムおよび Micro Fraction Collection Kit(G5 チュー
ビング、フューズドシリカ製)の特性を考慮し、ラック C(18-6083-13)に
96 穴マイクロプレートのみを設置することをお勧めします。出来るだけプ
レート上部に近い高さから滴下出来るようにドロップシンクユニットの高
さを調整します。
≪使用可能なプレート≫
Greiner: 655101(平底、370 µl)
、
651101(V 底、230 µl)
、
650101(丸底、300 µl)
Nunc: 168055、156545(平底、400 µl)、
143761、163320(丸底、300 µl)
プレートの詳細はメーカーへお問い合わせください。
1.5 ml マイクロチューブで分取する場合
ラック B(18-6083-12)と Eppendorf tube holder(18-8522-01)を組み合わせて使用します。ヒンジタイプの
マイクロチューブを使用する場合、2 列までとなります(ヒンジを切って使用したり、スクリュータイプの
マイクロチューブを使用したりすることで、3 列以上の設置ができます)。ドロップシンクユニットを、マイ
クロチューブと接触しないような高さまで下げて使用します。
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7、メソッド作成
ウィザードでは、精製でのポイントとなるステップ(カラムの選択、平衡化、溶出方法、分画方法など)の
設定ができます。これらの設定は順に表示されますので、簡単にメソッドを作成することが出来ます。
ここでは Precision カラムを用いて精製し、96 穴マイクロプレートに回収するメソッド作成の手順を中心に、
ウィザードの使用方法を示します。なお、選択した内容により、表記が異なることがあります。
7.1、新規メソッドの作成~ウィザード画面の表示
Method editor 画面より、File ↓ Method Wizard を選択します。もしくは、File ↓ New を選択し、New Wizard
ウィンドウの OK ボタンをクリックします。
7.2、クロマトグラフィー手法、カラム等の設定
Main Selection:クロマトグラフィー手法を選択します。
Affinity
アフィニティークロマトグラフィー
Anion Exchange
陰イオン交換クロマトグラフィー
Cation Exchange
陽イオン交換クロマトグラフィー
CIP
カラム定置洗浄(カラムメンテナンス用)
HIC
疎水性相互作用クロマトグラフィー
Installation test
(装置設置時等の動作チェック用)
RPC
逆相クロマトグラフィー
Size Exclusion
ゲルろ過クロマトグラフィー
Column:使用するカラムを選択します。
□ Flexible Flow Rates
チェックすると、カラム平衡化、サンプル添加~非吸着洗浄、溶出の 3 箇所でそれぞれ異なる流速の設
定が可能になります。それぞれの数値はバリアブル画面で設定します。
以上を選択し、Next ボタンをクリックします。
7.3、開始条件(検出波長、バッファーインレット)の設定
Wavelength UV1
第 1 波長を入力します(ピーク分取する場合のピー
ク認識は第 1 波長で行われます)。
Wavelength 2
第 2 波長を入力します(任意です)
。
Wavelength 3
第 3 波長を入力します(任意です)
。
Pump A Inlet A
ポンプの使用するインレットを指定します。初期値は
A1 です。
Pump B Inlet B
ポンプの使用するインレットを指定します。初期値は
B1 です。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
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7.4、カラム平衡化(Equilibration)の設定
Start Concentration B
カラム平衡化時の B%濃度を入力します。
Equilibration Volume
カラムを平衡化する時のバッファー量を CV(カラム体積)単位で入
力します。ミキサー内部が平衡化バッファー(A1 など)に置換され
ている場合、一般的に平衡化で必要なバッファー量の目安は、イオ
ン交換クロマトグラフィーのような吸着系手法ではカラム体積の 3
~5 倍程度、ゲルろ過クロマトグラフィーでは 1.5~2 倍程度です。
≪注意≫
ミキサー内部に溶出バッファーが含まれる場合(スカウティングな
どにより直前の実験が溶出バッファーで終了している、直前のバッ
ファー置換で実施したポンプ洗浄を A1、B1 同時に実行したなど)、
少なくとも更に 0.5~1 ml 以上送液されるよう設定する必要があり
ます。
Watch Equilibration
平衡化を Conductivity、UV 等の安定度を目安に監視する機能が数種あります。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
7.5、サンプル添加方法の設定
Injection Technique
Manual:手動でサンプルループへサンプルを充填します。
Empty Loop with
ループ内のサンプルをカラムへ押し出すバッファー量を入力しま
す。全量添加する場合には、ループ体積の 2~3 倍量を入力します。
≪注意≫
ゲルろ過(特に脱塩)の場合はサンプルループ体積の 1.2 倍量を入
力します。
サンプルループ内のサンプルで複数回のスカウティングをする場
合は、1 回あたりに添加したいサンプル量を入力します。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
7.6、フラクションコレクターの設定
システムの特性を考慮し、ラック C で 96 穴マイクロプレートのみで設定、分取することを推奨します。以
下は本組み合わせで実験する場合です。その際、Start at の設定はそれぞれ
・Flowthrough Fractionation:First Tube
・Elution Fractionation:
Next Tube
のように、フラクション位置が重ならないように設定します。
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7.6.1、ラックの選択と、素通り画分の回収の設定
Frac-950 Rack
Microplates & 30 mm Tubes を選択します。
□ Wash Out unbound Sample [2 CV]
チェックすると、サンプル添加後の非吸着成分の洗浄を 2 CV(カラ
ム体積)行います。この洗浄体積は、後で説明する Variables 画面で
変更できます。素通り画分を回収する場合は必ずチェックします。
Flowthrough Fractionation
素通り画分の回収先を選択します。
Frac-950
ラックで回収します(推奨)
。
OFF
回収しません(廃液します)
。
Fraction Volume
素通り画分の分画体積を入力します。
Tube Type
96 well plate を選択します。
Start at
分取開始の試験管位置です。
Next tube
前回分取した最終試験管の次から分取します。
First tube
指定ラックの 1 本目の試験管から分取します。
なおゲルろ過クロマトグラフィーの場合、
「Frac-950 Rack」のみ表示され、素通り画分の回収の設定は表示さ
れません。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
7.6.2、溶出画分の回収の設定(定量分取)
Elution Fractionation
Frac-950
ラックで回収します(推奨)
。
OFF
回収しません(廃液します)
。
Frac-950 を選択した場合、以下の 3 種類の分取方法から選択します。
Fixed Volume and Peak Fractionation
定量分取とピーク分取の併用
Fixed Volume Fractionation
定量分取のみ
Peak Fractionation
ピーク分取のみ
≪定量分取を含む設定時のみ表示≫
Fraction Volume
溶出画分の分画体積を入力します。
Tube Type
ラック C の場合、96 well plate を選択します。
Start at
分取開始の試験管位置です。素通り回収時の場合は
Next tube を選択します。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
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7.6.3、溶出画分の回収の設定(ピーク分取)
≪ピーク分取を含む設定時のみ表示≫
Peak Identification
UV Level
設定の吸収値を超した時にピークとして認識して、分
取する場合に選択します。
UV Slope
ピークの立ち上がり、終了時のカーブの傾きを認識し
て、分取する場合に選択します。
Minimum Peak Width
ピーク幅の最小値を入力します。
Peak Fractionation Volume
溶出画分の分画体積を入力します。
Tube Type
ラック C の場合、96 well plate を選択します。
Start at
通常は Next tube を選択します。
≪Level の場合≫
UV Level
ピーク認識開始、終了時の UV 値を入力します。
≪Slope の場合≫
UV Start Slope
ピーク認識開始時の傾きの値を入力します。
UV End Slope
ピーク認識終了時の傾きの値を入力します。
注意
UV Level を選択した場合、ピーク開始時の UV 値は設定値より低い必要があります。ベースラインが設定値よ
りも高いままピークが立ち上がっても、ピークとして認識されません。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
7.7、溶出方法(Elution Technique)の設定
下記選択肢から溶出方法を選択します。
≪Isocratic≫
単一溶媒で溶出する場合に選択します。サンプルの添加終了直後からフラクション回収を開始します。
脱塩の場合は本溶出方法を選択します。
≪Isocratic with Delayed Fractionation≫
ボイド部分を回収しないゲルろ過クロマトグラフィーの場合に選択します。溶出画分の回収設定で
Frac-950 を選択した場合に表示されます。
≪Linear Gradient≫
シンプルな 1 段階のリニアグラジエントです。原則として選択しません。
≪Segmented Gradient Advanced≫
9 段階までのステップおよびグラジエント溶出を作成する場合に選択します。各段階でステップ溶出かグ
ラジエント溶出かの選択が可能です。イオン交換クロマトグラフィーなど吸着系手法で使用します。
≪Segmented Gradient Basic≫
9 段階までのグラジエント溶出です。原則として選択しません。
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7.7.1、ゲルろ過の場合(Isocratic with Delayed Fractionation)
Length of Elution Before Fractionation
サンプル添加終了から、分取開始までの溶出体積(ボイド体積相当)
を入力します。
Length of Elution with Fractionation
分取時の溶出体積を入力します。
溶出体積は、上記 2 つを加算した値になります。
以上を入力し、Finish ボタンをクリックします。
7.7.2、吸着系クロマトグラフィーの場合(Segmented Gradient Advanced)
Gradient Segments
セグメント数(溶出条件の数)を入力
□ Reequilibration after Elution (5CV)
チェックすると、溶出終了後に結合バッファーによる 5 CV(カラム
体積)のカラム再平衡化を行います。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
なお、各セグメントの設定は 2 ページからなり、セグメント 1 から順番
に設定します。
7.7.2.1A、Segmented Gradient Advanced のグラジエント溶出条件の設定(Page 1 [2])
Elution - Segment x[n] --- Page 1[2]
Step/ Gradient
Gradient を選択します。
Pump Inlet A and B
溶出時の A、B ポンプのインレットを選択します。
Target Concentration B
この Segment 終了時の%B を入力します。
Length of Gradient
この Segment での溶出体積を CV で入力します。
Update ボタンをクリックすると、Gradient の傾きを更新することができます。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
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7.7.2.1B、Segmented Gradient Advanced のステップ溶出条件の設定(Page 1 [2])
Elution - Segment x[n] --- Page 1[2]
Step/ Gradient
Step を選択します。
Pump Inlet A and B
溶出時の A、B ポンプのインレットを選択します。
Concentration B
この Segment の%B を入力します。
Length of Step
この Segment での溶出体積を CV で入力します。
Update ボタンをクリックすると、Gradient の傾きを更新することができます。
以上を入力し、Next ボタンをクリックします。
7.7.2.2、Segmented Gradient Advanced の溶出条件の設定(Page 2 [2])
Elution - Segment x[n] --- Page 2[2]
該当するセグメントでの溶出を開始するにあたり、溶液交換(Wash)やインジェクションバルブまでの配管
の溶液置換(Flush)が必要かどうかを選択するページです。
このページで選択する Wash や Flush は次のセグメントのための準備ではなく、本セグメントを開始するに
あたっての準備作業です。
□ Wash Inlet A
A ポンプのポンプ洗浄が必要な場合はチェックします。1 ページ目
で選択したインレットのバッファーによって、インジェクションバ
ルブまでが溶液置換されます。
□ Wash Inlet B
B ポンプのポンプ洗浄が必要な場合はチェックします。1 ページ目
で選択したインレットのバッファーによって、インジェクションバ
ルブまでが溶液置換されます。
□ Flush System with Set Concentration B(0.5 ml)
A、B の混合液でのステップ溶出をしたい場合にチェックします。1
ページ目で設定した Conc B%バッファーで、ポンプからインジェク
ションバルブまでが溶液置換されます(配管内で溶液切り替え時の
グラジエントが発生するのを防ぐことが出来ます)
。
Fraction Volume
本セグメントの分画体積を再設定できます。初期値は 7.6.2 で設定した Fraction Volume です。
以上を入力し、Next ボタン(次のセグメントがある場合)、または Finish ボタン(最終セグメントの場合)を
クリックします。
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7.8、バリアブル画面での入力確認項目
ウィザードで設定した数値は、このバリアブル画面で確認、
変更することができます。変更したい値があれば、表中の
Value セルの数値を変更します。
<バリアブル画面での主な変更、確認項目>
・Wash Out Unbound Sample(非吸着画分の洗浄)の体積*
・Reequilibration(カラムの再平衡化)を選んだ場合の体積*
・Flexible Flow Rates を選んだ場合の各段階(平衡化/サンプ
ル添加&非吸着洗浄/溶出時)の流速
* これらの項目は、バリアブル画面下方の Show details ボッ
クスにチェックを入れると表示されます。
7.9、Run Setup の他のタブでの確認項目
<Frac-950:分取条件設定>
Rack
表示されるラックが、ウィザードで指定したラックと一
致しているか確認します。
Fraction order
分取の方向(縦横計 4 種の中から選択)を確認します。
<Gradient>
このメソッドのグラジエントカーブが表示されます。X 軸を
クリックすると、ベース(min / ml / CV)の切り替えができま
す。
7.10、メソッドの保存
File ↓ Save(または Save As)を選択します。
Method name
ファイル名を入力します。
Technique
手法を選択します(任意)。
メソッドはこの画面で選択したフォルダーに保存さ
れます。
以上を入力、選択後、OK ボタンをクリックします。
メソッドを実行すると、メソッド名の後に「001」から始まる番号がついたリザルトファイルが作成されます。
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7.11、作成したメソッドの確認、表示
1)File ↓ Open を選択します。
2)ファイルを開く場合、ファイル名を選
択して OK ボタンをクリックします。
* UNICORN Manager の Methods ウィンド
ウよりファイルをダブルクリックして
も、メソッドを表示することができま
す。
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8、メソッドの実行
8.1、サンプル準備
サンプルは、使用直前に 0.2 µm のフィルターでろ過します。サンプルが微量な場合には、遠心後の上清を用
います。イオン交換の場合には、サンプルの塩濃度、バッファーpH にも注意が必要です。必要に応じ、結合
バッファーによる希釈や脱塩操作をします。
8.2、サンプルループへのマニュアルサンプル充填
1)インジェクションバルブのポジションが Load であることを確認し、バッファーを満たしたシリンジをポ
ート 3 に接続して、サンプルループ内を洗浄します(サンプルループ体積の 3 倍量以上のバッファーで洗
浄します)
。この際、送液したバッファーはポート 4 より廃液されます。
2)サンプルループ容量より少し多めのサンプルをシリンジに満たしてポート 3 に挿し、ゆっくり充填します。
メソッドを開始してサンプルがカラムに添加されるまでは、シリンジは絶対に抜かないでください。サンプ
ルループと廃液ボトルの高低差により、シリンジを抜くと、サンプル溶液がサンプルループから廃液ボトル
へ流れます。
8.3、フラクションコレクターの確認
メソッドで指定したラックやプレート、試験管が必要分画数よりも設置されていることを確認します。
8.4、メソッド実行
1)System Control より File ↓ Run を選択します。
2)実行するファイルを選択し、OK ボタンをクリックし
ます。
3)メソッド作成で指定したパラメーターが確認のため表
示されます。内容を確認して Next ボタンをクリックしま
す。
バリアブルでパラメーターを変更した場合、そのランに限り変更が有効になります。
4)Start ボタンが表示されるウィンドウまで、Next ボタ
ンをクリックします。最後のウィンドウになったら
Start ボタンをクリックします。初期のファイル名はメ
ソッド名の後に 3 桁の連番数字が付加されます。
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8.5、強制終了
実行中のメソッドを強制終了させる場合は、以下のように操作します。
1)画面上部のツールバーから End ボタンをクリックすると、End Run ダイアログ
が表示されます。
2)強制終了までのデータを保存する場合は、Save Partial Result にチェックを入れ
OK ボタンをクリックします。
8.6、メソッド実行中のマニュアル操作
8.6.1、アイコン
System Control の画面上部にあるツールバー中のアイコン(ボタン)で、以下の操作が可能です。
Run
メソッドを実行します(メソッドが実行されている時はグレー表示になります)。
Hold
ポンプからの送液は止めずに、今の状況を維持したい場合にクリックします。メソッドの内
容は Continue ボタンがクリックされるまで送液やグラジエント(%B)を維持したまま一時
停止します。
Pause
ポンプからの送液を止め、今の状況を一時停止したい場合にクリックします。メソッドの内
容は Continue ボタンがクリックされるまで一時停止します。システムにエラーが起きた場合、
自動的に Pause になります。
Continue
Hold、Pause の解除をします。
End
実行しているメソッドを中断し終了します。
8.6.2、マニュアル操作による命令
メソッド実行中にマニュアル操作で命令を追加したり、変更したりすることができます。
Manual ダイアログを表示させ、任意のコマンドを選択、実行します。
8.7、ウィンドウの表示項目
System Control は 4 つの項目(Run data、Curves、Flow scheme、Logbook)が表示
できます。以下の手順で表示の追加、削除します。
1)View ↓ Panes を選択します。
2)表示する項目にチェックを入れます。表示を解除する場合は、チェックを外し
ます。
8.8、ウィンドウの表示設定
1)System control 画面内で右クリックします。
2)コンテキストメニューから Properties を選択し、Properties ウィンドウを表示します。
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8.7.1、Run Data の選択
1)Run Data Groups タブをクリックします。
2)表示したい項目にチェックを入れます。表示を解除する場
合は、チェックを外します。
3)OK ボタンをクリックすると変更が反映されます。
8.7.2、カーブの選択
1)Curves タグをクリックします。
2)表示したいカーブ名にチェックを入れます。表示を解除す
る場合は、チェックを外します。
3)OK ボタンをクリックすると変更が反映されます。
8.7.3、Y 軸の設定
1)Y-axis タブをクリックします。
2)軸の設定をしたいカーブをクリックし選択します。
3)選択したカーブのスケール表示を、Auto(オートフルスケ
ール)または Fixed(固定軸表示)で表示できます。
4)OK ボタンをクリックすると変更が反映されます。
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8.7.4、X 軸の設定
1)X-Axis タブをクリックします。
2)X 軸のベース(時間、容量)の指定とスケール表示を、Total
(カーブ全体)または Window(指定範囲)で表示できます。
Adjust retention zero to injection number をチェックしてい
ると、サンプル添加のリテンション時間(体積)を 0 min
(ml)として表示します。
ソフトウェアの特性上、時間ベースで表示した方が、カーブ
が滑らかに表示されます。
3)OK ボタンをクリックすると変更が反映されます。
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9、データ処理(プリントアウト)
9.1、データの表示
1)Evaluation より File ↓ Open → Result を選択します。
2)Open Result ウィンドウの中から目的のファイルを選択
し、OK ボタンをクリックします。
* UNICORN Manager の Results ウィンドウよりファイルを
ダブルクリックしても、データを表示することができ
ます。
9.2、画面表示
1)クロマトグラム上で、右クリックします。
2)コンテキストメニューから Properties を選択し、Properties ウィンドウを表示します。
9.2.1、カーブの選択
1)Curves タブをクリックします。
2)画面表示したいカーブを指定します。表示したいカー
ブ名にチェックを入れます。表示を解除する場合は、
チェックを外します。
3)OK ボタンをクリックすると変更が反映されます。
9.2.2、Y 軸の設定
1)Y-Axis タブをクリックします。
2)軸の設定をしたいカーブをクリックし選択します。
3)選択したカーブのスケール表示を、Auto(オートフル
スケール)または Fixed(固定軸表示)で表示できます。
4)3 つの UV カーブを同じスケールで表示したい場合は、
All with this unit をクリックします。
5)クロマトグラムの右側にも Y 軸の目盛りを表示させた
い場合は、Right Axis から任意のカーブ名を選択します。
6)OK ボタンをクリックすると変更が反映されます。
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9.2.3、X 軸の設定
1)X-Axis タブをクリックします。
2)X 軸のベース(時間、容量、カラム体積)の指定とス
ケール表示を、Auto(オートフルスケール)または Fixed
(固定軸表示)で表示できます。Adjust retention zero to
injection number をチェックしていると、サンプル添加
のリテンション時間(体積)を 0 min(ml)として表示
します。
ソフトウェアの特性上、時間ベースで表示した方が、カ
ーブが滑らかに表示されます。
3)OK ボタンをクリックすると変更が反映されます。
9.2.4、拡大表示
クロマトグラムの任意の範囲を拡大表示できます。
1)拡大表示したい範囲にカーソルを移動します。
2)ドラッグして、拡大表示したい範囲を囲います。
3)拡大表示を解除するには、右クリックし、コンテキストメニューから Reset zoom を選択します。
9.2.5、クロマトグラムへのテキスト入力
1)カーブウィンドウで右クリックして、コンテキストメニューより Add text を選択します。
2)カーソルをテキスト入力したい場所に移動し、クリックします。
3)<text>という字が表示されたら、<text>の位置に入力したい文字を入力します。
4)テキストボックス外でクリックして、入力を確定します。
9.2.6、テキストの変更、削除
1)カーブウィンドウで右クリックし、コンテキストメニューから Edit Text Mode を選択します。
2)テキストの変更または削除をします。この時、文字の上で右クリックし、コンテキストメニューから、Font
や Orientation を選択すると、フォントや傾きの変更ができます。
3)テキストボックス外でクリックして、変更や削除を確定します。
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9.3、クロマトグラムの印刷
印刷する際は、プリンターに電源が入っていること、コンピューターとプリンターが USB ケーブルなどで接
続されていることを確認します。また必要に応じ印刷終了後にプリンターの電源を切ることも可能です。
1)印刷したいクロマトグラムを表示します。
File ↓ Print を選択し、
Print Chromatograms ダイアログを表示します。
2)Print format(クロマトグラムの配置)を選択します。
3)カーブを太線で印刷する場合は Use thick lines をチェックします。
4)印字の横置き、縦置きの設定を変更する場合は Landscape をチェッ
クします。
5)Preview ボタンをクリックすると Customize Report 画面が表示され、
ここで印刷のプレビューが確認できます。File ↓ Exit でプレビューを
終了します(この画面からレイアウトの変更およびレポートフォーマ
ットとしての保存も可能です)
。
6)OK ボタンをクリックします。
* プリンターの設定は OS で設定する以外に、UNICORN Manager の File ↓ Printer Setup より設定することが
できます。
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10、システム終了
超純水で流路を洗浄し、システムを 2 日以上使用しない場合は、つづいて 20%エタノールで置換して保存し
ます。
10.1、ポンプ洗浄
使用したインレットチュービングを、十分に脱気した超純水のボトルに接続します。
System Control 画面より
Manual ↓ Pump → Pump Wash Micro → (使用したインレットのみ On)→ Execute
ポンプ洗浄中はポーズ状態になります。
10.2、システムおよびカラムの洗浄
カラム洗浄は、サンプルループ内部洗浄以外のシステム洗浄を兼ねています。以下の手順でカラム洗浄およ
びサンプルループの洗浄を行います。
1)カラムの耐圧を入力します。
Manual ↓ Alarm & Monitor → Alarm Pressure → High Alarm(カラムの耐圧) → Execute
2)流速を設定します。
Manual ↓ Pump → Flow → カラムの至適流速(またはそれ以下) → Execute
3)カラム体積の 3 倍以上送液し、UV、Cond、圧力などのカーブが安定したら End ボタンをクリックして終
了します。
4)シリンジに超純水を満たし、フィルポート(インジェクションバルブのポート 3 に接続)に挿入します。
5)サンプルループ体積の少なくとも 3~5 倍以上の送液を行い、サンプルループ内部の洗浄を行います。こ
れにより、廃液チュービング W2 内でバッファーやサンプルの析出による詰まりを軽減することができま
す(廃液チュービング W2 の理論上容積は 442 µl です。1 ml 以上の超純水を送液することで、サンプルル
ープ内に入っていたバッファーやサンプルを廃液チュービング W2 から押し出すことができます)。
システムを 2 日以上使用しない場合、同じ洗浄作業を 20%エタノールにて行い、終了します。保存条件が 20%
エタノール以外のカラムを使用した場合は、カラムに合わせた溶液でカラムを置換し、システムからカラム
を取り外した後にシステム全体を 20%エタノールに置換して終了します。
10.3、システムの終了
1)UNICORN Manager 画面を開きます。
2)File ↓ Quit program を選択します。
3)確認メッセージが表示されたら、YES ボタンをクリックします。
4)System Control をクリックし、表示されている Leave Control of System1 ダイアロ
グで OK ボタンをクリックします。
5)OS を終了します(コンピューターの電源が切れます)
。
6)ディスプレイ、プリンターなどの主電源を切ります。必要に応じ OA タップの電
源を切ります。
7)本体の主電源を切ります。
注意
低温環境下で使用の場合は、本体の電源は入れたままにします。
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11、メンテナンス
11.1、システムの保存
システムを 2 日以上使用しない場合、システム全体を 20%エタノールで置換します。20%エタノールに置換
する場合は、必ず超純水でシステムを洗浄してから置換します。塩が残った状態で 20%エタノールを流すと
塩が析出する恐れがあります。なお、以下はカラムが接続されていないことを前提にしています。
1)使用したインレットチュービングを 20%エタノールのボトルに接続します。
2)System Control 画面より
Manual ↓ Pump → Pump Wash Micro → (使用したインレットのみ On) → Execute
3)ポンプ洗浄が終了したらインジェクションバルブより下流を 20%エタノールに置換します。
Manual ↓ Pump → Flow → 0.3 ml/min → Execute
4)1~2 分程度送液し、End ボタンをクリックします。
注意
システムは、バッファーが入ったまま放置しないでください。
11.2、リンス液の交換
1)ポンプピストンの裏側を洗浄するリンス液は、週一回定期的に 20%エタノールを交換します。
注意
リンス液が増えている場合は、ポンプシールからの液漏れの可能性があります。弊社技術サービスへご連絡
ください。
2)交換した時は、ポンプから送液時に、リンス液が循環していることを確認します。
3)循環していない場合は、シリンジをリンス液チュービングのルアーロックに接続し、ゆっくりとリンス液
を吸引します。
4)吸引しても循環しない場合、リンス液の逆流防止弁(本マニュアル 3.2 参照)を外し、超音波洗浄します。
11.3、オンラインフィルター
バッファー中の不溶物を除去するために、ミキサーとインジェクションバルブの間(ミキサーの出口)に接
続します。フィルターはポアサイズ 2 µm のチタン製焼結フィルターです。目詰まりによりバックプレッシャ
ーが高くなった場合は、分解して内部の焼結フィルターを 2M NaOH 中で超音波洗浄します。洗浄しても圧が
下がらない場合は、新品のフィルター(18-1120-94、2 個入り)と交換します。
11.4、インレットフィルター
インレットフィルターが詰まると陰圧になり、気泡が発生しやすくなります。詰
まっている場合はインレットフィルター(11-0004-14)を交換します。
フィルター(左)とフィルターホルダー(右)→
11.5、フィルポート
コネクターの締めが強すぎて、スリーブが締まりすぎると、ニードルの先端がスリーブの先端まで届かず、
液漏れしやすくなります。そのような場合には、スリーブを交換します。
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12、ファイル管理(データのバックアップ)
12.1、データのバックアップ(Copy to External)
1)UNICORN Manager 画面を表示します。Methods または Results ウ
ィンドウでバックアップしたいファイルを選択し、右クリックし
ます。
2)コンテキストメニューより Copy to External を選択します。
3)Copy で保存先を指定し、Save ボタンをクリックします。
参考:メソッドファイルおよびリザルトファイルは、標準では以下のフォルダー内に格納されています。
<メソッドファイル>C:¥UNICORN¥Local¥Fil¥Defaut(ユーザー名)¥Method
<リザルトファイル>C:¥UNICORN¥Local¥Fil¥Defaut(ユーザー名)¥Result
12.2、バックアップしたデータをハードディスクにコピー(Copy from External)
1)UNICORN Manager 画面を表示します。Methods または Results ウィンドウでバックアップしたいファイル
を保存するフォルダーを選択します。
2)ウィンドウの空いている所にカーソルを移動し、右クリックし
ます。
3)コンテキストメニューより Copy from External を選択します。
4)バックアップ対象ファイルが保存されているフォルダーを選択
します。
5)保存したいファイルを選択し、OK ボタンをクリックします。
≪メソッドファイルのみ≫
6)Method-System Connection ダイアログが表示されます。
7)Method files でファイル名を選択し、Systems で System 1
をダブルクリックし、メソッドとシステムを関連付けま
す。
8)OK ボタンをクリックします。
12.3、ファイルの削除
1)UNICORN Manager 画面を表示します。Methods または Results ウィンドウより削除したいファイルを選択
します。複数のファイルを同時に選択することもできます。
2)ファイルを選択した状態で右クリックし、コンテキストメニューより Delete を選択します。
3)確認のダイアログが表示されます。確認してから OK ボタンをクリックします。
12.4、ファイル名の変更(Rename)
1)UNICORN Manager 画面を表示します。Methods または Results ウィンドウで、ファイル名を変更したいフ
ァイルを選択します。
2)ファイルを選択した状態で右クリックします。コンテキストメニューより、Rename を選択します。
3)新しいファイル名を入力し、OK ボタンをクリックします。
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