第5章 大気中における汚染物質濃 度の推定

第5章�大気中における汚染物質濃
度の推定
1. 拡散と拡散係数�
�大気中に汚染物質が広まっていく現象は,拡散現象として取り扱われる.そこで,はじめに
拡散と拡散係数について説明する.��
拡散とは,濃度が場所によって異なる時,その濃度を均一にしようとして外力の作用なし
に分子(or物質)が移動する現象.拡散には,分子拡散と乱流拡散がある.�
分子拡散とは,分子の熱運動に基づき,分子濃度の高いところから低いところへ分子が移
動する現象.�
乱流拡散とは,流体の乱れ(不規則な速度変動や渦運動)によって物質が分散していく
現象.大気中における汚染物質の広まりは乱流拡散による.�
拡散係数とは,拡散によって分子(or物質)が広まっていく速さを示す指標.拡散は3次元
現象であるが,1次元(例えばx方向のみ)を考えてみると,拡散束Jx(拡散による単位面
積当たりの分子あるいは物質の移動速度)[M/L2/T]は, ��
Jx = −Kx
∂C
∂x
M:質量の次元
L:長さの次元
T:時間の次元�
となる.�
C:物質(or分子)の濃度[M/L3], ���:濃度勾配[M/L4], �
∂C
Kx:拡散係数[L
€ 2/T]�
∂x
€
分子拡散係数は物性値である.すなわち比熱や密度等と同じように,当該分子に固有の値を
持つ.�
一方,乱流拡散係数は物質が置かれている場の状態を示す物理量である.すなわち,様々な
要因※の影響を受け変化する.そのため,乱流拡散係数を一義的に求めることは困難である.�
�����※�流体特性,気象条件,乱れのスケール,測定時間等�
2.�煙突出口周辺における排ガスの挙動�
風
�煙突から排出されたガスは,まず吐出速
度の効果で大気中を上昇し,次に高温ガ
スの場合には密度差によって生じる浮力
の効果で上昇しながら,次第に風に流さ
れ拡散していく.�
次第に拡散されていく�
上昇
ガスと周りの大気の密度差
上昇
吐出速度
煙突
流線
ダウンウォッシュ
建物
ダウンドラフト�
�しかし,吐出速度が風速より小さい場合,煙は煙突背後に生じる渦や,付近の建物
によって発生する渦に巻き込まれ,急激に地上へ降下することがある.これが, ダ
ウンウォッシュ あるいは ダウンドラフト と呼ばれる現象である.ダウンウォッシュな
どは地上における汚染濃度を高めるため好ましくない.ダウンウォッシュを避けるた
めに,�
・ 吐出速度を5 6m/s以上にする,�
・ 煙突出口の形状を工夫する,�
などの方法がとられる.�
3.�汚染濃度の推定方法
�汚染物質濃度の推定方法には,次の2つのやり方がある.�
1)平坦地・凹凸の少ない場所(単純な条件)�
�簡便法�
�拡散方程式の解析解を基礎とした方法,通常はこの方法が使われる.�簡便,費用が
安い.�
2)複雑地形・構造物の周り����
�厳密法�
�運動方程式,連続の式,拡散方程式を数値解法によって解く.�
厳密に検討する必要がある場合はこの方法.気象条件(風向,風速,風の乱れ,気温の
鉛直分布など),地形条件,化学反応,物理作用(沈着,雨によるウォッシュアウト)等を適
宜考慮して計算.計算が複雑,費用が高い.�
4.�簡便法による汚染濃度の推定�
�簡便法では,二つのステップから汚染物質の濃度を計算する.�
4.1�ステップ1:有効煙突高の計算�
�排ガスは運動量と密度差によって上昇
Ht
することは述べたが,実際の煙突高にこ
Hm
れらの効果による上昇高さを加えた煙突
高(これを 有効煙突高 という)を仮定し, He�
H0
その高さからガスが排出されると考える.
すなわち,有効煙突高(He)は次式で定
義される.�
煙突
地表
H0:煙突高,Hm:運動量による上昇高�
Ht:浮力による上昇高,He:有効煙突高
有効煙突高=実煙突高+ガスの上昇高�
�有効煙突高の推定には様々な式が提案されている.代表的なものには,以下に示す
ボサンケの式とコンカウの式がある.�
1)�ボサンケの式
He = H 0 + 0.65( Hm + Ht )
有効煙突高�
運動量による上昇高�
浮力による上昇高�
Hm =
4.77
⋅
0.43u
1+
vg
Ht = 6.37g
J =
QT1vg
u

QT1ΔT 
2
2
ln
J
+
−
2



J
u 3 T1 
( )



vg T1 
u2 
T1
 +1
0.43
− 0.28 ⋅
dθ
g
ΔT

QT1vg 
g


dz


€
風速u�
大気温度T1�
ガスの吐出速度Vg�
煙突�
u:平均風速[m/s],�
�
vg:吐出速度[m/s],�
QT1:温度T1における排ガス量[m3/s],�
�
dθ/dz:大気の温位勾配[℃/m]�
T1:排ガス密度が大気密度と等しくなる温度[K]��
����������������
�通常T1=大気温度と考える�
ΔT:排ガス温度とT1との差[K],�
�
g:重力加速度[9.81m/s2]�
2)�コンカウ(CONCAWE)式�
He = H 0 + ΔH
ΔH =
0.175 QH
u3 / 4
QH = C p ρQv ΔT
ΔH:上昇高さ[m],�������QH:排出熱量[cal/s],�
CP:定圧比熱[=0.239cal/g/℃],�ρ:密度[1.2 103g/m3],�
Qv:排ガス量[m3/s],������ΔT:温度差[℃],�
u:煙突出口高度における平均風速[m/s]�
€
排ガスの上昇高さは,吐出速度(vg),ガス量(QT1,Qv)が大きいほど,また排ガス温度(ΔT)が
高いほど高くなり,風速(u)が速いほど低くなる.�
4.2�ステップ2:有効煙突高から排出されたガス
濃度の推定�
1)�パフ式�
パフ(puff,ひと吹き,ぶっと吹くこと,シュークリーム)�
z
�パフ式は無風状態,十分に広い空間において,
高さHeの煙突から瞬間的にガスが排出された
場合に適用される.無風状態の時排出されるガ
スは,図に示すように3次元的に球状に広がって
いく.�
y
煙突
x
�はじめに,y軸方向の濃度分布を
考える.x軸上の任意の距離xにお
けるy軸方向の濃度分布は,中心で
高く中心から離れるにしたがい低く
なるような分布になる.この分布に
次の正規分布型を仮定する.�
f (y) =
e
(−
y2
2σy 2
y
)
(1)�
x1
f(y)�
x
正規分布
1�
€
x2
f (y) =
1
(y − m) 2
exp(−
)
σ2
2π σ
ここで,�
σ:標準偏差,m:平均�
0�
y�
y:y軸方向の距離,�
€
σy:y軸方向のガスの乱れの大きさを表す指標(これを拡散幅と呼ぶ),�
e:自然対数の底��
である.�
Z�
Z�
中心濃度高い�
中心濃度低い�
Y�
分布の広がりは小さい�
距離x1の時�
Y�
分布の広がりは大きい�
距離x2の時�
�また分布の形状を見ると,距離xが長くなると(x2>x1),中心濃度は低くなり,分布の広が
り(拡散幅)は大きくなっていくことが予想される. �
�このような状況はx軸方向,z軸方向とも同じである.�
�ただし,下の図に示すようにz軸方向は地表面での反射が考えられるので,これを考慮
する必要がある(式(3)の右辺第2項).�
f (x) =
f (z) =
e
(−
e
(−
z
x2
2σx 2
(2)�
)
(z−He ) 2
)
2σz 2
+
e
(−
(z+ He) 2
2σz 2
(3)�
)
ここで,�
σx,σz:x軸,z軸方向の拡散幅,�
He:有効煙突高��
である.�
€
正規分布
He�
反射
煙突�
地表面
任意の地点(x, y, z)における濃度Cは, 排出ガス中心濃度をC0とすると,次式で表される.�
(4)�
C = C ⋅ f (x) ⋅ f (y) ⋅ f (z)
0
� 次に,ガス濃度は拡散によって徐々に薄くなるが,x,
y, z方向に散らばったガスを全部集め
れば排出量Qになることから(ガス量保存則),C0は以下のように求められる. �
∞
∞
∞
∫ ∫ ∫ Cdzdydx dzdydx:任意の地点の空気塊の微小体積�
= ∫ ∫ ∫ C f (x) f (y) f (z )dzdydx
∫
∫
= C ∫ f (x)dx × ∫ f (y)dy × ∫ f (z)dz
Q
€=
−∞
∞
−∞
0
0
∞
∞
−∞
= C0 ×
C0 =
−∞
∞
∞
0
−∞
2πσx ×
2πσy ×
exp(−
−∞
x2
2σx 2
)dx
place x /σx = t
dt
1
dx = σx ⇒ dx = σx ⋅ dt
2πσz
∞
x2
∫ exp(− 2σx
(3 )
(2π ) 2 σxσyσz
−∞
∞
Q
= 2σx
∫
0
(3 )
(2π ) 2 σxσyσz
€
€
∞
f (x)dx =
∞
−∞
0
= C0
0
−∞
∞
∞
)dx = 2
2
t2
∫ exp(− 2 )σx ⋅ dt
0
t2
exp(− )dt = 2σx ⋅
2
π
= 2πσx
2
これを(4)式に代入すると,�
Q
C=
(2π )
€
( 3 2)
⋅ f (x) ⋅ f (y) ⋅ f (z)
…… (5)
σxσyσz
となる.これが,パフ式あるいは正規分布式と呼ばれるものである.ガス排出量Qと拡
散幅σx, σy, σzが決定されると,任意の地点のガス濃度が計算できる.�
Cの単位�
=�
[m3]�
[ー]・ [ー]・ [ー]�
[m]・ [m]・ [m]�
���� =[m3/m3]�
2)�プルーム式�
プルーム(plume:羽毛状に立ち上るもの,煙,雪煙)�
�プルーム式は,ガスが十分に広い空間において,連続的に煙突から排出され1方向一
定の風速下で風下に拡散していく場合に適用される.連続的に排出されるガスは,次の
図に示すように煙流(プルーム)となる.�
Z�
風向�
プルーム中心�
煙突�
x�
Z�
風速u�
煙流�
He�
y�
x1�
x2�
x�
�任意のx地点におけるy軸,z軸に沿っての濃度分布は,それぞれ(1)式,(3)式で表される.�
f (y) =
e
(−
y2
2σy 2
)
(1)
f (z) =
e
(−
(z− He )2
2σz
2
)
+
e
(−
(z + He)2
2σz 2
(3)�
)
€
€
�次にガス量保存則を考える.�
風速をuとすると,微少時間dtに排出されるガス量Qdtは,排出ガス量保存則より,�
�y軸とz軸方向は-∞ ∞, �
�x軸方向はudtの長さ,�
のプルームにあるガスを全部集めたものに等しい.すなわち,�
Z�
∞
風速u�
∞
∫ ∫ C ⋅ u ⋅ dt ⋅ dzdy
Q = u ∫ ∫ Cdzdy
Qdt =
−∞
∞
0
∞
−∞
0
プルーム中心�
(6)
煙突�
である.ここでCは,C0をプルーム中心の
濃度とすると,�
€
C = C 0 ⋅ f (y) ⋅ f (z)
x�
udt�
(7)�
で表される.これを(6)式に代入し積分すると,�
€
ガス量は同じ�
∞
∞
−∞
∞
0
∫ ∫ C ⋅ f (y) ⋅ f (z)dzdy
= uC ∫ f (y)dy × ∫ f (z )dz
Q=u
0
0
∞
0
−∞
= uC 0 2πσy ×
= uC 0 2πσyσz
Q
C0 =
2πσyσzu
2πσz
Cの単位�
[m3 /s]�
=�
[ー]・ [ー]�
[m]・ [m]・ [m/s]�
���� =[m3/m3]�
これを(7)式に代入すると,�
C=
€
Q
f (y) ⋅ f (z )
2πσyσzu
(8)�
となる.(8)式はプルーム式あるいはシグマ式と呼ばれる.ガス排出量Qと拡散幅σy,
σz,風速uが決定されると,任意の地点のガス濃度が計算できる.�
€
4.3�拡散幅の推定�
1)�サットンの方法�
�拡散幅を以下に示すように,風下距離xのべき乗で近似する方法が考案されている.�
σy =
σz =
Cy
2
Cz
2
x (1−n 2)
(9)�
x
(1−n 2)
�ここで,Cy,Cz,nはサットンの拡散パラメータであり,SOXの排出基準の計算で
は,Cy=0.07/0.15,Cz=0.07,n=0.25�が使われている.�
€
2)� その他�
�パスキルの方法やターナーの方法がある.�
4.4�最大着地濃度�
�ガスが連続的に排出され1方向一定の風速下で風下に拡散していく場合(プルーム式が適用
できるような状況)における最大着地濃度とその時の距離は,サットンの拡散幅を利用すると次
Z�
式のように与えられる.�
C max =
2Q
Cz
πeuHe 2 Cy
 He 
x max = 

 Cz 
(
(10)�
2
)
2−n
X�
C�
Cmax�
Xmax�
� この式は,式(9)を式(8)に代入しxで微分して求めることができる(各自確かめ
よ).この式より,以下のことがいえる.�
€
有効煙突高Heを大きくすると,�
1) 最大濃度Cmaxを小さくできる,�
2) Cmaxがあらわれる風下距離xmaxが大きくなる�
[例題1]�
以下の条件の時の有効煙突高を,ボサンケの式により求めよ.�
実煙突高H0=100[m],����排出速度Vg=20[m/s],�
排出ガス温度T=170[℃],�� 大気温度T1=15[℃],�
風速u=6[m/s],������ 煙突出口径D=1.6[m],�
重力加速度g=9.8[m/s2],�
大気の温位勾配dθ/dz=0.0033[℃/m],�
He = H 0 + 0.65( Hm + Ht )
Hm =
ボサンケの式�
4.77
⋅
0.43u
1+
vg
Ht = 6.37g
€
u

QT1ΔT 
2
2
− 2
 ln J +
3

J
u T1 
( )




v
u
 0.43 T1 − 0.28 g ⋅ T1  + 1
dθ
g ΔT 
QT1vg 
g


dz


2
J =
QT1vg
X�
[解]�
大気温度T1=15℃�
風速u=6m/s�
Vg=20m/s,T=170℃�
面積A�
D�
煙突�
H0=�
100m�
[例題2]�
以下の条件の時の有効煙突高をコンカウの式により求めよ.�
実煙突高H0=100[m],������� 排出ガス量Qv=26.1[m3/s],�
排出ガス温度T=170[℃],�� ��� 大気温度T1=15[℃],�
排出ガスの比熱Cp=0.24[kcal/kg/℃],排出ガスの密度ρ=1.2[kg/m3]�
He = H 0 + ΔH
コンカウの式�
€
ΔH =
0.175 QH
u3 / 4
QH = C p ρQv ΔT
[解]
[例題3]�
He=116[m]の煙突がある.この煙突からSOxが40.0[m3/s]排出されてい
る.Xmax,Cmaxを求めよ.ただし,風速u=6.0[m/s],気温
T1=15[℃],Cy=0.47,Cz=0.07,n=0.25,π=3.14,e=2.72とする.�
C max =
2Q
Cz
πeuHe Cy
2
2
 He ( 2−n )
x max = 

 Cz 
€
[解]�
[例題4]��
有効煙突高が50m,風速2.5m/s,SO2排出量が1m3/hr(15℃)の場合につい
て,以下の問に答えよ.�
(1)� 1km風下の着地濃度を,プルーム式より求めよ.ただし,拡散� � 幅はサットン
の方法を用いるものとする.�
プルーム式�
f (y) =
C=
€
e
(−
y2
2σy
2
)
€
e
(−
(z− He )2
2σz 2
)
+
e
(−
(z + He)2
2σz 2
Q
f (y) ⋅ f (z )
2πσyσzu
Cy€ (1−n 2)
x
2
Cz (1−n 2)
σz =
x
2
σy =
サットンの式�
f (z) =
Cy=0.07/0.15,�
Cz=0.07,�
n=0.25��
C max =
(2)�最大着地濃度Cmaxとその時
の距離Xmaxを求めよ.�
2Q
Cz
πeuHe Cy
2
2
 He ( 2−n )
x max = 

 Cz 
€
€
)
[解](1)�
Y
1,000m
X
風�
煙突�
Y
[解](2)�
5�拡散と気象条件�
5.1�拡散と大気の安定度�
�ばい煙や汚染物質の広がり(拡散)には,下層大気の安定性,特に鉛直方向の安定性,が重要
な役割を演じている.
大気が安定��→�汚染物質は高層まで拡散されない�→�地上濃度が増加
大気が不安定�→�汚染物質は高層まで拡散される��→�地上濃度が減少
※�大気の安定・不安定は,鉛直方向の温度勾配によって決まる.しかし,実際の大気中の気温
の鉛直分布は,太陽放射,地面の赤外放射,空気の移動などの影響を受けて複雑に変化する.�
5.2�鉛直方向の温度勾配�
P2V2�
上昇�
空気塊が上昇し,気圧Pが低下すると,�
���PV=一定�(ボイルの法則)�
P1V1�
空気塊�
地表�
より,体積Vは大きくなる.�
この変化が断熱的に起こるとすれば,空気塊の温度Tは低下する.�
この時の温度の低減率γd(断熱低減率)は,γd=0.0098℃/m�
である。(100mにつき約1℃低下)�
5.3�気温勾配と空気塊の動き�
� 鉛直方向の大気の温度変化(気温の低減率:γ)と空気塊の温度変化(断熱低減率:
γd)の関係について,次の3つのパターンを考える.�
1)�不安定(γ>γd)�
①Z0にある空気塊がZ1まで上昇する場合�
周囲の大気よりもΔT1だけ温度が高い.�
�↓�
周囲の大気より比重は軽い.�
�↓�
ますます上昇する.�
高�
度�
Z�
②Z0にある空気塊がZ2まで下降する場合�
周囲の大気よりもΔT2だけ温度が低い.�
�↓�
周囲の大気より比重は重い.�
�↓�
ますます下降する.�
この場合,大気は不安定である�という.�
空気塊が断熱変化した時の温度変化�
ΔT1�
Z1�
100m�
大気の温度変化�
Z0�
1℃�
Z2�
ΔT2�
気温T�
1)不安定�
2)�安定�
②Z0にある空気塊がZ2まで下降する場合�
①�Z0にある空気塊がZ1まで上昇する場合�
周囲の大気よりもΔT2だけ温度が高い.�
�↓�
周囲の大気より比重は軽い.�
�↓�
上昇する(下降は抑制される).�
周囲の大気よりもΔT1だけ温度が低い.�
�↓�
周囲の大気より比重は重い.�
�↓�
下降する(上昇は抑制される).�
高�
度�
Z�
この場合,大気は安定である�という.�
空気塊が断熱変化した時の温度変化�
Z1�
ΔT1�
Z0�
大気の温度変化�
Z2�
ΔT2�
気温T�
2)安定�
3)�逆転�
上空に行くほど,気温が高い状態にある時を,強安定,または逆転�という.�
空気塊が断熱変化した時の温度変化�
高�
度�
Z�
Z1�
ΔT1�
Z0�
ΔT2�
大気の温度変化�
Z2�
気温T�
3)逆転�
逆転の種類(成因)�
暖かい空気�
冷塊�
反射�
夜�
昼�
盆地�
熱放射�
②地形性�
①放射性逆転�
空気塊は下層から徐々
に冷やされる�
暖かい空気塊�
下降(断熱圧縮→温度上昇)�
低温空気塊�
冷たい地表�
温暖�
⑤移動性�
寒冷�
③沈降性�
④前線性�
5.4�ばい煙の拡散パターン�
(a)ループ型[蛇行型](不安定)�
� 夏の日中のように,大気が不安定な時に現れる.煙の中心軸自体が蛇行する.ばい煙
は急速に拡散される.濃度の濃いばい煙が煙突の近くに舞い降りることがある.�
蛇行�
高度�
空気塊の断熱分布�
気温分布�
温度�
(b)錐型(弱安定)�
� 冬季や曇りの日の日中に現れる.煙は錐のような形で流れる.水平方向の拡散
が鉛直方向より卓越するので,煙を鉛直方向に切って眺めると横に広がった長
円形になる.�
高度�
気温分布�
空気塊の断熱分布�
温度�
(c)扇型(強安定,逆転)�
�逆転層内では,鉛直方向の拡散は弱いため,真横から眺めると煙の幅は薄い.しかし,水
平方向にはかなりの幅で広がっていく(上から眺めると扇のように見える).煙突風下方
向のかなり離れた地点で煙は地上に達する.�
高度�
鉛直方向には拡散しない�
気温分布�
空気塊の断熱分布�
温度�
(d)屋根型(上層は不安定,下層は安定)�
�日没前後の逆転層のでき始めるときに現れる.煙突から出たばい煙は,地上に降りて
こないで,上方に早く拡散する.最も汚染を起こさないパターン.�
上層:不安定�
高度�
空気塊の断熱分布�
気温分布�
下層:安定�
温度�
(e)いぶし型(上層は安定,下層は不安定)�
�朝,日射により接地気層の気温が上昇し,煙突より下の逆転層がくずれる時に現れる.ば
い煙の拡散には最も悪いパターン.�
上層:安定�
高度�
空気塊の断熱分布�
気温分布�
温度�
下層:不安定�