M 017 2-ME sensitive antibody 2

M 017 2-ME sensitive antibody
2-ME( メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル ) 感 受 性 抗 体
IgMは 通 常 5量 体 で あ り , そ れ ぞ れ の サ ブ ユ ニ ッ ト は ジ ス ル フ ィ ド ( S-S)
結 合 で 結 ば れ て い る 。2-MEは こ の 結 合 を 還 元 的 に 切 断 し IgMを 不 活 化 さ せ る 。
こ の 様 に 2-MEで 還 元 し て 不 活 化 さ れ る 抗 体 を 2-ME感 受 性 抗 体 と い う 。 IgGは
2-ME処 理 で も 活 性 を 失 わ な い の で ( 2-ME resistant antibody,2-ME抵 抗 性 抗
体 ),2-ME処 理 は 両 者 の 区 別 や IgM不 活 化 後 の IgGの 検 出 に 用 い ら れ る 。例 え
ば ABO不 適 合 妊 娠 に お い て 母 体 血 中 の 免 疫 性( IgG性 )抗 A,抗 Bの 証 明 及 び 抗
体 価 の 検 査 は 重 要 で あ る 。な お IgMの 不 活 化 法 と し て ,DTT( dithiothreitol)
も用いられる。
M 018 methemoglobin
(田崎哲典
メトヘモグロビン
大戸
斉)
酸化ヘモグロビン
ヘ ム Fe 2 + が 酸 化 さ れ て Fe 3 + と な り ,酸 素 分 子 を 結 合 す る こ と が で き な く な
っ た ヘ モ グ ロ ビ ン を い う 。 可 視 領 域 で 630nnに 吸 収 極 大 を 示 し , 茶 褐 色 を
呈 す る 。 正 常 な 赤 血 球 で は , NADH-メ ト ヘ モ グ ロ ビ ン 還 元 酵 素 に よ っ て Fe 3
+
は Fe 2 + に 還 元 さ れ る た め , 含 有 量 は 1% 以 下 で あ る 。 CN − と 結 合 し て 安 定 な
錯 体( シ ア ン メ ト ヘ モ グ ロ ビ ン )を 形 成 す る の で ,ヘ モ グ ロ ビ ン の 定 量 法 に
用 い ら れ る 。 O002 酸 化 ヘ モ グ ロ ビ ン 参 照 。
M 019 methemoglobinemia and methemoglobinuria
症
(前田信治)
メト(酸化)ヘモグロビン血
・−尿症
メトヘモグロビン血症は,赤血球内にメトヘモグロビンが増量した状態
を い う 。 先 天 的 ( 遺 伝 的 ) に は , 異 常 ヘ モ グ ロ ビ ン (Hb), 特 に HbM症 ( 常
染色体優性形質),メトヘモグロビン還元酵素欠損症(常染色体劣性形質)
で 乳 児 期 に 発 現 す る 。後 天 的 に は ,亜 硝 酸 塩 ,サ ル フ ァ 剤 ,ア セ ト ア ニ リ ド
な ど の 酸 化 剤 の 作 用 で 起 こ る 。メ ト ヘ モ グ ロ ビ ン 尿 症 は ,尿 中 に メ ト ヘ モ グ
ロビンが検出される状態をいう。
M 020 microaggregate
(前田信治)
微小凝集塊
人 全 血 液( 保 存 血 液 )中 に み ら れ る 微 小 凝 集 塊 で あ る 。そ の 大 き さ は 通 常
の 輸 血 フ ィ ル タ ー を 通 過 す る 10∼ 150μ m程 度 で , 20∼ 40μ mの も の が 最 も 多
い 。微 小 凝 集 塊 は 血 小 板 凝 集 に 始 ま り ,そ こ に 機 能 を 喪 失 し た 赤 血 球 ,白 血
球 が 加 わ り ,更 に 血 小 板 に 由 来 す る フ ィ ブ リ ン ,細 胞 崩 壊 産 物 ,蛋 白 沈 殿 物 ,
脂 肪 な ど の 集 合 体 と 考 え ら れ て い る 。大 量 輸 血 ,急 速 輸 血 時 の 肺 栓 塞 の 原 因
物質である。
M 021 microangiopathic hemolytic anemia(MHA)
(松浦尚雄)
微小血管障害溶血性貧血
何 ら か の 原 因 に よ っ て 微 小 血 管 内 に フ ィ ブ リ ン が 沈 着 し ,そ こ を 通 る 赤 血
球 が 障 害 を 受 け て 断 片 化 を 起 こ し 、溶 血 す る こ と を 云 う 。転 移 性 癌 患 者 や 悪
性 高 血 圧 ,膠 原 病 患 者 で み ら れ る こ と が あ り ,ま た 感 染 に よ る 腎 糸 球 体 を 中
心 と し た 血 管 内 凝 固 亢 進 に よ る 溶 血 性 尿 毒 症 症 候 群 ( HUS) や , 脳 血 管 で お
こ る 血 栓 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 ( TTP) な ど が よ く 知 ら れ て い る 。
(滝口智夫)
M 022 microcytic anemia
小(赤血)球性貧血
平 均 赤 血 球 容 積 ( MCV) が 80fl未 満 の 貧 血 を 云 う 。 そ の 代 表 的 な 貧 血 は 鉄
欠 乏 性 貧 血 ,サ ラ セ ミ ア ,感 染 症 に よ る 貧 血 な ど で あ る 。
M 023 microcytotoxicity test
(河村洋一)
微量細胞障害試験
古 く は cytotoxicity testを 試 験 管 で 行 っ て い た た め , ml単 位 の 溶 液 が 必
要 で あ っ た 。し か し 最 近 で は 細 胞 障 害 性 の 測 定 方 法 の 進 歩 や マ イ ク ロ ト レ イ
を 用 い る こ と に よ っ て ,μ l単 位 で 実 施 す る こ と が 可 能 に な っ た 。HLAの ク ラ
ス Ⅰ の 測 定 は microcytotoxicity testの 代 表 的 な も の で あ る 。
(幸道秀樹)
M 024 microfilter
微細フィルター
大量の全血ないし赤血球濃厚液の輸血に際して,その内に含まれるフィ
ブ リ ン , 白 血 球 , 血 小 板 な ど よ り な る 微 小 凝 集 塊 (microaggregate) を 除
去 す る た め の 輸 血 用 フ ィ ル タ ー 。微 小 凝 集 塊 が そ の ま ま 大 量 に 輸 注 さ れ る と ,
肺 循 環 系 で 塞 栓 を 起 こ し て 呼 吸 不 全 を 起 こ す の で ,従 来 か ら の 輸 血 セ ッ ト に
つ い て い る フ ィ ル タ ー (170∼ 250μ )よ り も 微 細 な メ ッ シ ュ (20∼ 40μ )で 濾
過 し て 肺 細 動 脈 閉 塞 を 予 防 す る 。作 用 面 が 表 面 型 と 深 層 型 の 製 品 な ど 種 々 あ
るが,白血球除去フィルターでもよい。
M 025 microscopic agglutination
(佐藤
暢)
顕微凝集反応
顕 微 鏡 で み え る 細 胞( 赤 血 球 )が 抗 原 で ,抗 体 と 結 合 し た 状 態 な が ら 肉 眼
的 に は 見 え ず , 顕 微 鏡 で 見 る と 赤 血 球 が 3∼ 5ケ集 合 し た 状 態 の 大 き さ の 凝 集
塊形成をいう。
(谷脇清
助)
M 026 minimum hemagglutinating dose
最小赤血球凝集量
一 定 の 条 件 下 で , 一 定 量 の 赤 血 球 が 凝 集 を 起 こ す 最 小 の 抗 体 量 , IgM抗 体
は 1分 子 の 抗 体 で 赤 血 球 を 凝 集 す る に 十 分 で あ る が ,IgG抗 体 で は 接 近 し た 部
位 に 結 合 し た 2分 子 以 上 の 抗 体 が 必 要 で あ る 。
M 027 minimum hemolytic dose
(谷脇清助)
最小溶血量
一 定 の 条 件 下 で ,一 定 量 の 赤 血 球 あ る い は 感 作 赤 血 球 を 完 全 に 溶 血 せ し め
る に 必 要 な 最 少 の 溶 血 素 あ る い は 補 体 の 最 少 で 溶 血 す る 量 を い い ,通 常 こ れ
を 1単 位 と い う 。
考文献]多田富雄他:免疫学用語辞典
[参
第 三 版 , 最 新 医 学 社 , p.254-255.
(谷脇清助)
M 028 minor cross-matching
交差適合副試験
受 血 者 赤 血 球 と 供 血 者 血 清( 漿 )と の 反 応 性 を 検 査 す る 方 法 。患 者 の 血 液
型 と 抗 体 ス ク リ ー ニ ン グ が 検 査 さ れ て い て , ABO同 型 で 不 規 則 抗 体 陰 性 血 を
使 用 す る 場 合 ( 日 赤 血 な ど ) は , 副 試 験 を 省 略 し て も よ い 。 ま た , MAP加 赤
血 球 や 赤 血 球 濃 厚 液 な ど 血 漿 成 分 の 少 な い 製 剤 は ,少 量 の 抗 体 を 保 有 し て い
て も 輸 血 後 に 十 分 希 釈 さ れ る た め 副 試 験 を 省 略 し て も よ い 。院 内 採 血 時 な ど
で 抗 体 ス ク リ ー ニ ン グ な ど の 検 査 が 十 分 に で き な い 場 合 に は , ABO血 液 型 の
ダブルチェックと不規則抗体による不適合性の最終確認として副試験を行
うことが望ましい。
[参考文献]
1輸 血 療 法 の 適 正 化 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン:厚 生 省 薬 務 局 ,1989. 2 V.V.Tyler
et al :Technical Manual,AMERICAN ASSOCIATION OF
BLOOD
BANKS,1996,p337-343.
M 029 mixed antiglobulin reaction
(神白和正)
混合抗グロブリン反応
最 初 に 血 小 板 の 抗 体 検 出 に 用 い ら れ た 。血 小 板 と 血 清 を 感 作 し ,一 方 で 赤
血 球 を Rh抗 体( 不 完 全 抗 体 )で 感 作 す る 。両 者 を 抗 ヒ ト・グ ロ ブ リ ン 抗 体 と
一 緒 に 混 合 し て 凝 集 が 起 こ れ ば 陽 性( 血 小 板 に 抗 体 が 結 合 し て い た ),赤 血
球だけの凝集しか見られない場合は陰性と判定される。
M 030 mixed field agglutination
(柴田洋一)
部分凝集(反応)
一 定 の 条 件 下 で 赤 血 球 と 抗 体 を 反 応 さ せ た 場 合 ,凝 集 し な い 赤 血 球 の 中 に
一 部 凝 集 し た 赤 血 球 が 混 在 し て い る 状 態 を い う 。亜 型 ,異 型 輸 血 ,異 型 骨 髄
移植,キメラ・モザイク,白血病の増悪期などでみられる。
(谷脇清助)
M 031 mixed agglutination
混合血球凝集反応
直 接 凝 集 反 応 を 行 う の が 困 難 な 2種 類 の 細 胞 に つ い て , 同 一 の 抗 原 決 定 基
を 有 し て い る か 否 か を 検 出 す る 方 法 で あ る 。 例 え ば あ る 細 胞 が 血 液 型 の A型
を も っ て い る か を , ま ず 抗 Aを 感 作 後 , 洗 浄 し て A型 赤 血 球 と 混 合 し 2種 類 の
細 胞 が 凝 集 す れ ば 陽 性 ,し な け れ ば 陰 性 と 判 定 す る 。
M 032 mixed lymphocyte culture( MLC)
(柴田洋一)
混合リンパ球培養
末 梢 単 核 球 を 放 射 線 照 射 し ,増 殖 を 障 害 し た 細 胞 を 刺 激 細 胞 と し ,未 処 理
の 単 核 球 を 反 応 細 胞 と し て と も に 培 養 す る 。反 応 細 胞 が 刺 激 細 胞 の 細 胞 表 面
の 抗 原 を 認 識 し 増 殖 す る 度 合 い を DNAの 合 成 能 で 測 定 す る 。 刺 激 細 胞 と し て
HLA-D座 に つ い て ホ モ で あ る 判 定 用 細 胞 を 用 い る と 被 験 者 の D座 を 判 定 す る
こ と が で き る 。DR座 な ど の 判 定 が 容 易 に な っ た た め ,移 植 の ド ナ ー を 決 め る
検査としてはあまり用いられない。
M 033 mixed passive hemagglutination( MPHA)
(幸道秀樹)
受身血球凝集反応
mixed hemagglutinationと passive hemagglutinationを 組 み 合 わ せ て 開 発
さ れ た 方 法 で あ る 。 U底 マ イ ク ロ タ イ タ ー プ レ ー ト に 抗 原 ( 細 胞 ) も し く は
抗 体 を 固 相 し ,対 応 す る 抗 体 も し く は 抗 原 を 検 出 す る 方 法 で ,指 示 赤 血 球 と
し て 固 定 赤 血 球 を 担 体 と し て 抗 体 ま た は 抗 原 を 結 合 さ せ た も の を 用 い る 。上
記 の 固 相 プ レ ー ト に 検 体 を 感 作 し 洗 浄 後 , 指 示 赤 血 球 が U底 に 沈 む ( 陰 性 )
か Uプ レ ー ト の 壁 に 拡 散( 陽 性 )す る か で 判 定 す る 一 種 の binding assay法 で
高 感 度 な 方 法 で あ る 。主 に 血 小 板 抗 体 や 顆 粒 球 抗 体 の 検 出 な ど に 応 用 さ れ て
いる。
(柴田洋一)
M 034 MN sialoglycoprotein
MNシ ア ロ 糖 蛋 白
Mと N抗 原 は シ ア ル 酸 も 多 く 含 む 糖 蛋 白 の シ ア ロ 糖 蛋 白 で
(sialoglycoprotein=SGP)で ,SDS-PAGEに よ る PAS染 色 で α -SGP(glycophorin
A)と 呼 称 さ れ る 。131個 の ア ミ ノ 酸 よ り 成 り ,ペ プ チ ド 末 端 の 1位 が Mで は Ser,
Nで は Leu , 5位 が そ れ ぞ れ Glyと Gluで あ る 。 2,3,4位 に シ ア ル 酸 2個 を 含 む
糖 鎖 が 結 合 し て い る が 、 neuraminidase で シ ア ル 酸 を 切 断 す る と MN活 性 は
消 失 す る 。 MN抗 原 が 欠 失 す る En(a-)型 が あ り , こ れ ら の 人 が 保 有 す る 抗 En a
TS, 抗 En a FS, 抗 EnFRが あ る 。
[ 参 考 文 献 ] 1) 大 久 保 康 人 , 血 液 型 と 輸 血 検 査 , 医 歯 薬 出 版 社 , 第 1版 ,
東 京 , 1991年 . 2)遠 山
(渋谷
博 , 輸 血 学 , 改 訂 2版 , 中 外 医 学 社 , 東 京 , 1989.
温)
M 035 MNS blood group system
MNS血 液 型 (系 , シ ス テ ム )
MN血 液 型 は 1927年 に Landsteinerら が ヒ ト 血 球 免 疫 ウ ナ ギ 血 清 の 抗 M,抗 N
凝 集 素 に て M,N,MN型 に 分 け た 。遺 伝 子 型 は MM,NN,MNで あ る 。Ss血 液 型 は
1947年 Walsh, 1951年 Levineら に 発 見 さ れ , M, N抗 原 と 相 ま っ て 遺 伝 す る の
で MNSs血 液 型 と な っ た 。表 現 型 は 9種 ,遺 伝 子 型 10種 ,日 本 人 は s遺 伝 子 の も
の が 多 く , Sは 白 人 に 比 し て 少 な い 。 遺 伝 子 座 は 第 4染 色 体 に あ る 。 MNS血 液
型 に は 多 く の Variant, satelite抗 原 が あ り , Miltenberger系 抗 原 系 , St a
が知られる。
[ 参 考 文 献 ]大 久 保 康 人 ,血 液 型 と 輸 血 検 査 ,医 歯 薬 出 版 社 ,第 1版 ,東 京 ,
1991年 .
(渋谷
2)遠 山
博 , 輸 血 学 , 改 訂 2版 , 中 外 医 学 社 , 東 京 , 1989.
温)
M 036 monoclonal antibody
モノクロ−ナル抗体
単 一 の 抗 体 産 生 細 胞 ( B細 胞 , 形 質 細 胞 ) に よ り 産 生 さ れ る 単 一 の 成 分 か
ら な る 抗 体 の こ と 。通 常 は ,免 疫 さ れ た マ ウ ス の 脾 細 胞 と ミ エ ロ ー マ 細 胞 株
と の 細 胞 融 合 に よ り 得 ら れ た hibridoma( 細 胞 融 合 株 ) に よ り 産 生 さ れ る 抗
体 の こ と を 言 う 。 そ の 他 , ヒ ト ー ヒ ト , マ ウ ス ー ヒ ト hibridomaが 得 ら れ る
が ,上 述 の マ ウ ス ー マ ウ ス hibridomaに 較 べ て 安 定 性 に 欠 く 。ま た ,B細 胞 を
EBウ イ ル ス に よ り 株 化 し ,そ れ を ク ロ ー ニ ン グ す る こ と に よ っ て も 得 ら れ る 。
(前田平生)
M 037 mosaic
モザイク
一 個 体 が 遺 伝 学 的 に 表 現 型 を 異 に す る 2つ 以 上 の 細 胞 集 団 か ら 成 り 立 っ
て い る も の で 二 卵 性 双 生 児 以 外 で 遺 伝 的 に 表 現 型 の 違 う 2種 類 以 上 の 赤 血 球
を ,同 一 個 体 が 持 つ 現 象 を い う 。 通 常 モ ザ イ ク は Amos, Bmos と 表 示 さ れ , A
型 と O型 , B型 と O型 の 混 在 す る ABO血 液 型 の 変 異 型 で あ り 、 キ メ ラ の 場 合
は ABO型 以 外 の 血 液 型 が 異 な る こ と が あ る の に 対 し ,モ ザ イ ク で は そ れ が な
い。
(田中明美
坂
本久浩)
M 038 multiple bag
多連バッグ
複 数 の バ ッ グ が 連 結 さ れ た 血 液 バ ッ グ ,あ る い は 分 離 バ ッ グ 。連 結 管 を 通
し て ,外 気 に 触 れ る こ と な く 無 菌 的 に バ ッ グ 内 の 血 液 な ど の 液 体 を 移 動 さ せ
る こ と が で き る 。遠 心 操 作 と マ ル チ プ ル バ ッ グ シ ス テ ム の 利 用 に よ り ,血 液
成分製剤の調製が可能になった。
M 039 myelodysplastic syndrome(MDS)
(村上和子)
骨髄異形成症候群
骨 髄 異 形 成 症 候 群( MDS)は ,末 梢 血 で 貧 血 ,貧 血 を 含 む 2系 統 の 血 球 減 少
あ る い は 汎 血 球 減 少 が み ら れ ,骨 髄 は 正 形 成 な い し 過 形 成 を 示 し ,何 ら か の
血 球 形 態 異 常 が 認 め ら れ る 。病 態 は 無 効 造 血 と 高 頻 度 の 白 血 病 化 を 特 徴 と し ,
病 因 的 に は ク ロ ー ナ ル な 造 血 幹 細 胞 異 常 で あ り ,難 治 性 で 標 準 的 治 療 法 は 確
立されていない。
[参考文献]
吉 田 弥 太 郎 : MDSの 臨 床 , 新 興 医 学 出 版 , 1991.
(原田実根)
[N]
N 001 N-acetyl-D-galactosamine
Nーア セ チ ル ーDーガ ラ ク ト サ ミ ン
六 炭 糖 の 一 種 で あ る 。 D-ガ ラ ク ト ー ス の 2位 の 炭 素 に 結 合 し て い る OH基 を
ア セ チ ル ア ミ ノ 基 (CH 3 CO-NH-)に 置 き 換 え た 構 造 を 持 つ 。 糖 鎖 の 非 還 元 末 端
に 存 在 し て ,血 液 型 の A抗 原 ,P抗 原 ,Cadお よ び Sd a 抗 原 等 の 決 定 基 と な り ,
ま た 糖 蛋 白 質 の ペ プ チ ド コ ア の セ リ ン ま た は ス レ オ ニ ン に O-グ リ コ シ ド 結
合して糖蛋白質のコア構造を構成している。
(滝澤久夫)
N 002 N-acetyl-D-glucosamine
Nーア セ チ ル -Dーグ ル コ サ ミ ン
六 炭 糖 の 一 種 で あ る 。 D-グ ル コ ー ス の 2位 の 炭 素 に 結 合 し て い る OH基 を ア
セ チ ル ア ミ ノ 基 (CH 3 CO-NH-)に 置 き 換 え た 構 造 を 持 つ 。 糖 蛋 白 質 や 糖 脂 質 の
糖 鎖 の 主 要 構 成 成 分 と し て 存 在 し ,ま た N-グ リ コ シ ド 型 糖 蛋 白 質 で は ペ プ チ
ド コ ア の ア ス パ ラ ギ ン に N-グ リ コ シ ド 結 合 し て 糖 蛋 白 質 の コ ア 構 造 を 作 っ
て い る 。 分 泌 液 中 に 存 在 す る ム チ ン 型 血 液 型 物 質 の 糖 鎖 の 基 本 構 造 に は Dガ ラ ク ト ー ス が N-ア セ チ ル -D-グ ル コ サ ミ ン に β (1→ 3)結 合 し た も の と β
(1→ 4)結 合 し た も の が あ り , 前 者 を type 1 chainと 呼 び , 後 者 を type 2
chainと 呼 ん で い る 。 赤 血 球 膜 の ABH, Lewisお よ び P 1 な ど の 血 液 型 物 質 の 糖
鎖 の 基 本 構 造 は す べ て type 2 chainで あ る 。
N 003 N-acetylgalactosaminyltransferase
(滝澤久夫)
Nーア セ チ ル ガ ラ ク ト サ ミ ニ ル ト ラ ン ス
フ ェ ラ − ゼ ( -転 移 酵 素 )
ABO血 液 型 の A型 抗 原 を 合 成 す る N-ア セ チ ル ガ ラ ク ト サ ミ ニ ル ト ラ ン ス フ
ェ ラ ー ゼ は , マ ン ガ ン イ オ ン の 存 在 下 に , 基 質 の ウ リ ジ ン -ジ ホ ス フ ェ イ ト
-N-ア セ チ ル -D-ガ ラ ク ト サ ミ ン か ら N-ア セ チ ル -D-ガ ラ ク ト サ ミ ン を H抗 原
の β-D-ガ ラ ク ト ー ス に α (1→ 3)結 合 さ せ る 糖 転 移 酵 素 で あ る 。 そ の 他 に P抗
原 を 合 成 す る N-ア セ チ ル ガ ラ ク ト サ ミ ニ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ が 知 ら れ
ている。
(滝澤久
夫)
N 004 natural antibody
自然抗体
健常人に見出される抗体で抗原に感作されることなく正常に見出される
抗 体 で 、 正 常 抗 体 ( normal antibody) と も 呼 ば れ る 。 規 則 抗 体 ( regular
antibody) の 抗 A, 抗 Bが そ の 代 表 で あ る 。
N 005 neonatal alloimmune thrombocytopenia
(水野伸一)
同種免疫性新生児血小板減少症
同種免疫性新生児血小板減少症は母体由来の同種抗体による児の血小板
減 少 症 で あ る 。 血 小 板 に は 血 小 板 特 異 抗 原 HPAの ほ か に HLAも 存 在 す る た め ,
母 児 の 血 小 板 抗 原 型 が 異 な る 場 合 の 他 に , HLA型 が 異 な る 場 合 に も 生 ず る 。
す な わ ち ,母 体 リ ン パ 球 が 何 ら か の 理 由 で 児 の 血 小 板 に 感 作 さ れ た 場 合 ,児
の 血 小 板 に 対 す る 抗 体 が 産 生 さ れ ,そ れ が 児 に 移 行 し て 血 小 板 減 少 を 見 る も
の で あ る 。一 方 ,児 と 父 親 に 共 通 で 母 親 に な い HLA型 に 対 す る HLA抗 体 が 母 体
中に存在したことが原因であったとする報告もあり,児の妊娠以前からの
HLA抗 体 が 原 因 に な る こ と も あ る よ う で あ る 。 報 告 例 で は 血 小 板 数 5万 /μ l
以 下 の 例 が 多 く ,出 血 の 危 険 性 が 高 い 。治 療 は ,母 親 か ら の 洗 浄 血 小 板 ま た
は HLA適 合 血 小 板 の 輸 血 が 行 わ れ る が , 最 近 ITPの 治 療 と 同 様 の γ -グ ロ ブ リ
ン製剤による治療も試みられている。
N 006 neonatal anemia
(西川健一)
新生児貧血
生 後 1カ月 未 満 の 小 児 の 貧 血 を 総 称 す る 。出 生 直 後 に ,静 脈 血 Hb13g/dl以 下
の場合には貧血の存在を考える。新生児期に問題となる主要な原因として,
胎 盤 あ る い は 臍 帯 の 異 常 ,胎 児 ー 母 体 間 や 胎 児 ー 胎 児 間 輸 血 な ど に よ る 出 血 ,
血 液 型 不 適 合 な ど の 新 生 児 溶 血 性 疾 患 ,感 染 性 貧 血 な ど が あ げ ら れ る 。未 熟
児 貧 血 は 出 生 児 体 重 が 少 な い ほ ど 早 期 に 強 く 現 れ る 。エ リ ス ロ ポ エ チ ン の 充
分な産生放出が起こらないのが主因とされる。
N 007 neonatal thrombocytopenic purpura
(月本一郎)
新生児血小板減少性紫斑病
血 小 板 減 少 の 原 因 は 産 生 低 下 と 破 壊 の 亢 進 で あ る が ,新 生 児 期 に は 年 長 児
や 成 人 と は 異 な る 機 序 が 見 ら れ る ① 産 生 低 下:産 生 低 下 に は 先 天 性 白 血 病 そ
の 他 が あ る が ,そ の 頻 度 は 低 く ,ラ ン ダ ム ド ナ ー か ら の 血 小 板 輸 血 で 対 応 す
る 。② 破 壊 の 亢 進:破 壊 の 亢 進 は さ ら に 免 疫 性 と 非 免 疫 性 に 分 け ら れ る 。免
疫 性 血 小 板 減 少 症 は 母 体 か ら の 抗 体 移 入 に よ る も の で ,特 発 性 血 小 板 減 少 性
紫 斑 病 や SLEな ど の 母 体 由 来 の 自 己 抗 体 に よ る 児 の 血 小 板 の 破 壊 と , 母 児 血
小 板 型 ( ま た は HLA型 ) 不 適 合 に よ る 同 種 免 疫 性 血 小 板 減 少 症 が あ る 。 前 者
で 出 血 症 状 を 呈 す る の は 稀 で あ る が ,後 者 は 30% 以 上 が 頭 蓋 内 出 血 を 生 ず る
と 言 わ れ , 血 小 板 輸 血 の ほ か , 新 生 児 へ の γ -グ ロ ブ リ ン の 投 与 も 試 み ら れ
て い る 。 非 免 疫 性 血 小 板 減 少 症 は DIC, 先 天 性 感 染 症 , 新 生 児 重 症 感 染 症 な
どで見られる。
[ 参 考 文 献 ]白 幡
聡 : 新 生 児 出 血 性 疾 患 , 周 産 期 医 学 , 26:1443-1448. 1996.
(西川健一)
N 008 neutropenia and neutrophilia
好中球減少症・好中球増加症
G026 granulocytopenia and granulocytosis 顆 粒 球 減 少 と 顆 粒 球 増 多
参照。
(大江与喜
子)
N 009 non-A,non-B hepatitis
非 A非 B型 肝 炎
A型 ,B型 ,C型 ,D型 ,E型 ,( G型 )の 各 種 肝 炎 ウ イ ル ス を 除 い た ,未 だ 同
定 さ れ て い な い 肝 炎 ウ イ ル ス の 感 染 に よ る 肝 炎 で あ る 。 B型 肝 炎 類 似 の 血 液
を 介 す る 感 染 様 式 を と る も の と , A型 肝 炎 類 似 の 経 口 感 染 様 式 を と る も の が
あ る こ と が 知 ら れ て い る が ,狭 義 に は 前 者 の み を 指 す 。血 液 を 介 す る 感 染 様
式 を と る も の に つ い て は ,最 近 で は non-B,non-C hepatitis非 B・非 C型 肝 炎
の名称で呼ばれることが多い。
N 010 non-febrile reaction
非発熱反応(ー副作用)
(片山
透)
輸 血 副 作 用 の 中 で 発 熱 を み な い 反 応 を 総 称 し て 非 発 熱 性 副 作 用 と 呼 ぶ 。ヘ
モ ジ デ ロ ー シ ス ,過 敏 症 の 伝 達 ,ア レ ル ギ ー 性 血 球 減 少 ,ク エ ン 酸 中 毒 ,電
解 質 異 常 ,空 気 栓 塞 そ の 他 の 栓 塞 ,循 環 負 荷 ,寒 冷 刺 激 ,加 速 度 刺 激 ,凝 固
因 子 の 稀 釈 に よ る 出 血 傾 向 な ど が こ れ に 属 す る 。血 管 内 溶 血 反 応 の 一 部 や 物
理的に一部溶血した血液の輸血などでも発熱をみないことがある。
(川越裕也)
N 011 non-hemolytic reaction
非溶血性反応(ー副作用)
輸 血 副 作 用 の 中 で 溶 血 が な い か 、或 い は 少 な い 副 作 用 を 総 称 し て 非 溶 血 性
副 作 用 と 呼 ぶ 。そ れ ら は 症 状 別 に 次 の よ う に 分 類 さ れ る 。① 発 熱 反 応 ,② ア
レ ル ギ ー 反 応( 蕁 麻 疹 ),③ ア ナ フ ィ ラ キ シ ー ,④ 輸 血 後 肺 水 腫( 非 心 臓 性 ),
⑤ 輸 血 病 紫 斑 病 ,⑥ 循 環 負 荷( う っ 血 性 心 不 全 ),⑦ ヘ モ ジ デ ロ ー シ ス ,⑧
寒 冷 刺 激・加 速 度 刺 激 ,⑨ ク エ ン 酸 中 毒 ,⑩ 電 解 質 異 常( 低 カ ル シ ウ ム 血 症 ,
高 カ リ ウ ム 血 症 な ど ) , ⑪ 輸 血 後 GVHD, ⑫ 輸 血 に よ る 感 染 症 ( B型 肝 炎 , C
型 肝 炎 , HIV感 染 症 , サ イ ト メ ガ ロ ウ イ ル ス 感 染 症 , エ ル シ ニ ア 感 染 症 , ト
キ ソ プ ラ ス マ 症 ,梅 毒 な ど ),⑬ 空 気 栓 塞・そ の 他 の 栓 塞 ,な ど が あ る 。詳
細についてはそれぞれの項を参照のこと。(川越裕也)
N 012 normal human serum
正常ヒト血清
正 常 な ヒ ト の 血 液 が 凝 固 し た 後 で 分 離 さ れ る 淡 黄 色 の 液 体 成 分 。検 査 上 で
は 正 常 コ ン ト ロ ー ル と し て 使 用 さ れ る 場 合 も あ る 。 (田 中 真 典 坂 本 久 浩 )
N 013 normal rabbit serum
正常ウサギ血清
正 常 な ウ サ ギ の 血 液 が 凝 固 し た 後 で 分 離 さ れ る 液 体 成 分 。検 査 上 で は 補 体
成 分 と し て リ ン パ 球 細 胞 毒 性 試 験 (LCT)に 用 い た り ,固 定 さ れ た 赤 血 球 の 安
定剤としてメディウム中に添加する場合もある。(田中真典
N 014 normo(-cytic)chromic anemia
坂本久浩)
正色素性貧血
平 均 赤 血 球 容 積 ( MCV) が 80∼ 100fl の 貧 血 を 正 球 性 貧 血 と 云 い , 平 均 赤
血 球 血 色 素 量 ( MCH) が 27∼ 32pgの 貧 血 を 正 色 素 性 貧 血 と 云 う 。 こ の よ う な
貧 血 の 代 表 的 な も の は ,再 生 不 良 性 貧 血 ,赤 芽 球 癆 ,骨 髄 異 形 成 症 候 群 ,白
血病,骨髄線維症,溶血性貧血などである。
N 015 nutritional anemia
食事性貧血
(河村洋一)
栄養性貧血
赤 血 球 お よ び 血 色 素 の 生 成 に 必 要 な 物 質( 栄 養 素 )が 欠 乏 す る た め に 生 ず
る 貧 血 を 云 う 。現 在 こ の 栄 養 素 と 考 え ら れ て い る も の は ,蛋 白 ,脂 肪 ,ビ タ
ミ ン C,B 2 ,B 6 ,B 1 2 ,E,葉 酸 ,無 機 物 と し て は 鉄 ,銅 な ど で あ る 。そ の 病 態 の 成
立ち方は,食餌性の欠乏やこれらの物質利用(吸収,移送,利用貯蔵など)
の 障 害 に よ る 。原 因 を 除 去 し ,欠 乏 す る 栄 養 素 を 投 与 す る こ と に よ っ て 貧 血
は 改 善 す る 。 こ の 貧 血 の 代 表 的 な も の は 悪 性 貧 血 ( ビ タ ミ ン B12欠 乏 ) , 葉
酸 欠 乏 性 貧 血 , 鉄 欠 乏 性 貧 血 , ビ タ ミ ン B6反 応 性 貧 血 な ど で あ る 。
(河村洋一)
[O]
O 001 Ouchterlony's agar diffusion
オクタロニー寒天拡散法
1948年 に O.Ouchterlony に よ り 考 案 さ れ た ゲ ル 内 拡 散 法 の ひ と つ で , 代
表 的 な 二 次 元 二 重 免 疫 拡 散 法 で あ る 。ガ ラ ス 板 上 に 寒 天 な ど の ゲ ル 層 を 作 り ,
こ れ に 小 孔 を 空 け ,隣 接 す る 小 孔 に そ れ ぞ れ 抗 原 溶 液 と 抗 血 清 を 入 れ る 。両
者はゲル層内に拡散していき,最適比のところで線上に沈降物を生成する。
(白木
洋)
O 002 oxidized hemoglobin
酸化ヘモグロビン
methemoglobin
メトヘモグロビ
ン
古くは,オキシ(酸素化)ヘモグロビンに対して用いられたが,表現が
適 切 で な い の で 現 在 は 用 い ら れ な い 。 M018 メ ト ヘ モ グ ロ ビ ン , O007 オ キ
シ(酸素化)ヘモグロビン参照。
(前田信
治)
O 003 oxygen affinity
酸素親和性
hemoglobin( Hb)は α 鎖 2本 ,β 鎖 2本 ,計 4本 の c polypeptide鎖 か ら な り ,
そ の 各 々 に 1つ ず つ の hemeグ ル ー プ が 結 合 し て い る 。酸 素 が 1つ の hemeに 結 合
す る と 他 の 3つ の う ち 少 な く と も 1つ の hemeの 酸 素 に 対 す る 結 合 速 度 が 増 加
す る 。 そ の 結 果 , 酸 素 解 離 曲 線 が S字 型 に な り , 酸 素 濃 度 の 僅 か な 変 化 に 対
す る 結 合 量 の 差 異 が 大 き い の で ,酸 素 濃 度 の 高 い 肺 か ら 低 い 組 織 へ 酸 素 を 効
率 よ く 運 搬 で き る 。Hbは pHが 高 い 時 の 方 が 酸 素 分 子 に 対 し て 大 き い 親 和 性 を
示すので,乳酸や重炭酸イオンの濃い部位では酸素を離しやすくなる。
(中村
徹)
O 004 oxygenation
酸素化
酸素付加
酸 素 化 は ヘ モ グ ロ ビ ン 4ケ 含 ま れ る ヘ ム 1分 子 に 酸 素 1分 子 が 特 種 な 可 逆
的 結 合 を す る 酸 素 付 加 で 飽 和 さ す 現 象 を 指 す も の で ,oxyhemoglobin (HbO 2 )
は oxygenated Hb( 酸 素 化 ヘ モ グ ロ ビ ン ) と 呼 ば れ る の が 正 し い 。 ヘ ム 鉄
が 酸 化 し た Hbは メ ト ヘ モ グ ロ ビ ン で あ り , こ れ が 酸 化 反 応 ( oxidation) の
結 果 で き る 酸 化 ヘ モ グ ロ ビ ン で あ る 。 酸 素 が 離 れ た Hbは , デ オ キ シ Hb
( deoxygenated Hb) で あ っ て , 還 元 Hbと 呼 ぶ の は 正 し く な い 。
暢)
(佐藤
O 005 oxygen dissociation curve
酸素解離曲線
酸 素 結 合 曲 線 , 酸 素 飽 和 曲 線 と も い う 。 O006 酸 素 平 衡 曲 線 参 照 。
(前田信治)
O 006 oxygen equilibrium curve
酸素平衡曲線
一 般 的 に は ,ヘ モ グ ロ ビ ン と 酸 素 分 子 と の 可 逆 的 結 合 状 態 を 表 現 し た S字
状 の 曲 線 を い う 。通 常 ,横 軸 に 酸 素 分 圧 (mmHg,国 際 単 位 1KPa=7.5mmHg),縦
軸 に ヘ モ グ ロ ビ ン の 酸 素 飽 和 度 ( %; O008参 照 ) ま た は 血 液 の 酸 素 含 有 量 を
プ ロ ッ ト す る( 図 参 照 )。曲 線 の 特 性 は 酸 素 親 和 性( O003参 照 ),ヘ ム 間 相
互 作 用( H019参 照 ),Bohr効 果( B053参 照 )で 表 現 さ れ る 。曲 線 の 位 置 は p
H, 炭 酸 ガ ス 分 圧 , 温 度 , 赤 血 球 内 2,3-DPG量 ( D011参 照 ) に よ っ て 移 動 す
る 。ヘ ム が 1個 の ミ オ グ ロ ビ ン で は ,直 角 双 曲 線 状 に な る 。酸 素 解 離 曲 線( O005
参照)。
(前田信治)
O 007 oxy(-genated) hemoglobin
酸素化ヘモグロビン
4個 の ヘ ム Fe 2 + に 酸 素 分 子 が 結 合 し た 状 態 の ヘ モ グ ロ ビ ン を い う 。可 視 領
域 で は , 416nm, 541nm, 576nmに 吸 収 極 大 を 示 し , 鮮 赤 色 を 呈 す る 。 ヘ ム 鉄
の 原 子 価 は 2価 の 状 態 を 保 つ の で , 3価 に 変 わ る 酸 化 oxidationと 区 別 し て ,
酸 素 化 oxygenationと い う 。 正 常 の 酸 素 化 さ れ た 血 液 100ml中 に は , 約 20ml
の 酸 素 が 含 ま れ る 。O002 酸 化 ヘ モ グ ロ ビ ン 参 照 。
O 008 oxygen saturation
(前田信治)
酸素飽和度
血液に存在している酸素は血漿中にとけ込んでいる酸素と赤血球中のヘ
モ グ ロ ビ ン と 結 合 し て い る 酸 素 が 存 在 す る 。量 的 に は 血 漿 に 溶 解 し て い る 酸
素 は 無 視 出 来 る ほ ど 少 な く ,全 て が ,ヘ モ グ ロ ビ ン と 結 合 し て い る 酸 素 と 考
え て 良 い 。 100mlの 血 液 中 に 標 準 状 態 の 気 体 に 換 算 し て 20mlの 酸 素 が 結 合 し
て い る 。 動 脈 血 の 酸 素 飽 和 度 は ほ ぼ 100% で あ り , 静 脈 血 の 酸 素 飽 和 度 は 約
75% で あ る 。 ( 一 般 的 な ,溶 液 中 の 酸 素 飽 和 に 関 し て は 「 化 学 用 語 辞 典 」 を
参 照 し て い た だ く こ と と し て ,こ こ で は , 血 液 の 酸 素 飽 和 に つ い て 述 べ て い
る。)
(濱崎直孝)
[P]
P 001 packed cell volume (PCV)
濃厚赤血球量
ヘマトクリット
ヘマトクリットと同じ。本来は毛細管に採血して遠沈し,赤血球部分の
容 積 の 割 合 を 測 定 す る 。し か し 今 日 で は ,自 動 計 測 器 に よ り 算 出 さ れ る 。そ
の 臨 床 的 意 義 は 多 血 症 で 増 加 ,貧 血 で 減 少 に あ る 。又 ,ヘ モ グ ロ ビ ン 量 と の
関 係 で ,貧 血 の 種 類 を 分 け る こ と も 出 来 る 。正 常 値 は 男 性 で 41∼ 52%女 性 で 38
∼ 45%で あ る 。
P 002 paired sera
(霜山龍志)
ペア血清
特 定 の 微 生 物 の 感 染 が あ っ た か 否 か を 知 る の に ,そ の 微 生 物 に 対 す る 血 清
抗 体 価 が 上 昇 し て い る か ど う か を 調 べ る と い う 方 法 が あ る 。今 回 の 感 染 に よ
り 出 現 し た 抗 体 か 既 存 の 抗 体 か を 区 別 す る に は ,急 性 期 血 清 と 回 復 期 血 清 を
比 較 し 有 意 の 抗 体 価 上 昇 が あ る か 否 か を 比 較 す る こ と が 行 わ れ る 。こ の よ う
に 二 つ の 血 清 を ペ ア に し て 同 時 に 測 定 す る の が 原 則 で あ る 。そ の 二 つ の 血 清
をペア血清という。
P 003 panagglutination
(白木
汎血球凝集
参 照:P 058 polyagglutination
P 004 panel cells
洋)
パネルセル
(渋谷
温)
パネル血球
不規則抗体スクリーニングで検出された抗体を同定するために使用する
血 液 型 の わ か っ た O型 赤 血 球 の こ と で ,通 常 10本 以 上 を 1セ ッ ト と し て 使 用 す
る 。 C, c, D,E,e,M, N,S,s,P 1 ,K,k,Le a ,Le b , Fy a ,Fy b , Jk a ,Jk
b
,Di a ,Di b ,Xg a な ど の 抗 原 を 持 つ 血 球 と 持 た な い 血 球 を 組 み 合 わ せ て 作 製
し て あ る 。被 検 血 清 と パ ネ ル 血 球 の 反 応 の 組 み 合 わ せ か ら ,血 清 中 の 抗 体 を
同 定 で き る よ う に し て あ る 。な お ,多 く の 抗 体 ,特 に 抗 -Jk a ,-Jk b ,-c,-Fy
a
, -Fy b , -S, -sは 抗 原 が ヘ テ ロ 接 合 体 の 血 球 と は 反 応 が 弱 い か , 反 応 し な
いことがあるので,ホモ接合体の血球を加えておく方がよい。
(松田利夫)
P 005 para-Bombay phenotype
パラボンベイ表現型
パ ラ ボ ン ベ イ 型 ( Ah・ Bh型 ) は , 赤 血 球 の H抗 原 量 は 極 微 量 で あ り , A・ B
合 成 酵 素 に よ っ て 変 換 さ れ る A・ B型 抗 原 量 も 極 め て 微 量 で あ る 。 な お , H抗
原 は ほ と ん ど 検 出 さ れ な い 。 赤 血 球 型 の 検 査 レ ベ ル に お い て は , Ah型 は 抗 A
で 弱 く 凝 集 さ れ , 血 清 中 に 抗 Hを 持 つ 。 Bh型 は 抗 Bに よ っ て 弱 く 凝 集 さ れ ,血
清 中 に 抗 Hを 保 有 す る 。 い ず れ も Oh型 の 反 応 に 類 し て い る 。
[参
考 文 献 ] R.R.Race,R.Sanger.:Blood Groups in Man.Blackwell Scientific
Publications.Oxford.1975.p.24-27.
P 006 paraproteinemia
(池本卯典)
異常蛋白血症
パ ラ プ ロ テ イ ン は , 1940年 Apitzが 骨 髄 腫 蛋 白 に 対 し て , 正 常 に は 認 め ら
れ な い 異 常 な 蛋 白 質 と い う 意 味 を 含 め て 用 い た も の で ,そ の 後 網 内 系 に よ り
産 生 さ れ る 特 殊 蛋 白 質 を 意 味 し て い た 。一 般 的 に は 異 常 グ ロ ブ リ ン の こ と で ,
多 発 性 骨 髄 腫 ,マ ク ロ グ ロ ブ リ ン 血 症 ,重 鎖 病 な ど で 出 現 す る 単 ク ロ ー ン 性
免 疫 グ ロ ブ リ ン ( M蛋 白 ) と 同 じ 意 味 で あ る 。 パ ラ プ ロ テ イ ン 血 症 は 血 液 中
に M蛋 白 が 出 現 す る 状 態 を 意 味 す る が , 最 近 は よ り 正 確 な 単 ク ロ ー ン 性 免 疫
グ ロ ブ リ ン 血 症 monoclonal gammopathy と い う 表 現 が 用 い ら れ , 使 用 さ れ
なくなっている。
(松崎博允
P 007 paroxysmal cold hemoglobinuria
山口一成)
発作性寒冷血色素尿症
寒 冷 暴 露 に よ り 血 管 内 溶 血 を 来 し ,そ の 直 後 に 血 色 素 尿 を 呈 す る こ と を 主
症 状 と す る 溶 血 性 貧 血 で あ る 。病 因 は ,ド ナ ー ト・ラ ン ド ス タ イ ナ ー 抗 体 と
呼 ば れ る 二 相 性 抗 体 に よ り ,低 温 暴 露 で 結 合 し た 抗 体 に 伴 っ て 補 体 が 結 合 し ,
その後の体温への温度上昇により血管内での補体溶血を生じるためである。
梅 毒 感 染 に 関 連 し て 出 現 す る こ と が 知 ら れ て い る が ,最 近 で は そ の 他 ウ イ ル
ス 感 染 で も 出 現 が 見 ら れ て い る 。 通 常 は P血 液 型 特 異 性 を 持 つ こ と が 多 い 。
(浅井隆善)
P 008 paroxysmal nocturnal hemoglobinuria
発作性夜間血色素尿症
夜 間 の 血 管 内 溶 血 の 結 果 ,早 朝 の 血 色 素 尿 を 呈 す る こ と を 主 症 状 と す る 溶
血 性 貧 血 で あ る 。 DAFに 代 表 さ れ る PIア ン カ ー 等 の 赤 血 球 膜 表 面 構 造 の 部 分
欠 損 に よ り ,補 体 感 受 性 が 亢 進 し 補 体 溶 血 を 起 こ し や す い 病 態 で あ る 。こ の
細 胞 表 面 の 異 常 は 赤 血 球 以 外 の 他 の 血 球 に も 認 め ら れ ,造 血 細 胞 に お け る 異
常 ク ロ ー ン に よ る 疾 患 と さ れ て い る 。夜 間 就 寝 後 は 循 環 動 態 の 変 化 に よ り 局
所 的 に pHが 低 下 し 易 い た め 早 朝 の 血 色 素 が 多 い と さ れ て い る 。ハ ム 試 験 や 砂
糖 水 試 験 で 補 体 溶 血 感 受 性 亢 進 を 証 明 し て 診 断 す る 。最 近 は ,フ ロ ー サ イ ト
メ ト リ ー 法 に よ り DAF等 の 低 下 も 証 明 し て 診 断 す る 。
(浅井隆善)
P 009 parvovirus B19
パ ル ボ ウ イ ル ス B19
ヒ ト パ ル ボ ウ イ ル ス B19は , 直 径 20∼ 25nmの 非 エ ン ベ ロ ー プ 正 20面 体 ウ イ
ル ス で , 約 56kdの 一 本 鎖 DNA( (+)鎖 あ る い は (-)鎖 ) を 持 っ て い る 。 こ の ウ
イルスによる感染症で最も一般的なものは伝染性紅斑である。(白木
P 010 passive hemagglutination(PHA)
洋)
受身血球凝集(反応)
被検体に抗原を被覆した赤血球を反応させ,赤血球の凝集像を調べる。
被 検 体 に 対 応 抗 体 が 存 在 す る と , 被 覆 抗 原 と 反 応 し , 赤 血 球 は U字 プ レ ー ト
ま た は 試 験 管 底 に カ ー ペ ッ ト 状 に 沈 降 す る 。抗 体 が 存 在 し な い と ,赤 血 球 は
ず り 落 ち て ,底 に ボ タ ン 状 塊 を 形 成 す る 。抗 原 は 赤 血 球 膜 に 既 存 の 成 分 で は
な い の で ,凝 集 は 受 身 と な る 。抗 体 を 被 覆 し た 赤 血 球 を 用 い て 抗 体 を 検 出 す
る 場 合 は 凝 集 反 応 を 逆 受 身 凝 集 反 応 ( reversed passive
hemagglutination,RPHA)と 言 う 。
田章二)
(品
P 011 passive hemolysis
受動溶血
輸 血 さ れ た 血 液 製 剤 中 に 含 ま れ る 赤 血 球 抗 体 ( 主 に 抗 A, 抗 B) に よ っ て
引 き 起 こ さ れ る 溶 血 の こ と を い う 。 緊 急 時 に 大 量 の O型 血 を 輸 血 し た 場 合 や
HLA適 合 血 小 板 に お い て ,ABO不 適 合 の 血 小 板 製 剤 を 輸 血 す る 場 合 に は 注 意 が
必要である。
(田中明美
坂本久
浩)
P 012 passive particle agglutination test(PA)
受身粒子凝集試験
ウイルスや抗原分子を人工的に付着させたゼラチン粒子などの担体と抗
体 が 反 応 す る と 受 身 凝 集 が 起 き る 。HIV抗 体 ,HTLV-1抗 体 ,HBs抗 体 な ど 種 々
の 輸 血 の ス ク リ ー ニ ン グ に 用 い ら れ て い る 。抗 原 検 査 に は 抗 体 を 付 着 さ せ た
担 体 を 用 い た 逆 受 身 凝 集 法 ( reversed passive agglutination test) が あ
る。人工粒子の代わりに赤血球を用いた凝集法が受身血球凝集法
passive hemagglutination;PHA) で あ る 。
P 013 P blood group system
( P010
(吉原なみ子)
P血 液 型 ( 系 , シ ス テ ム )
1927年 Landsteinerと Levine に よ り 発 見 さ れ た 。 メ ン デ ル の 法 則 優 性 遺
伝 の 形 式 を と る 。表 現 型 は P 1 ,P 2 ,P 1 k ,P 2 k ,pで あ る 。日 本 人 の 頻 度 は P 2 69% ,P
1
21% で あ る 。P 2 k ,p型 は き わ め て ま れ で ,稀 な 血 液 型 と し て 血 液 セ ン タ ー に
登 録 さ れ る 。 我 が 国 で の p型 は 1954年 Isekiに よ り 報 告 さ れ ,近 親 婚 に 発 生
頻 度 が 高 い 。 P k 型 は 林 田 に よ り 1968年 報 告 さ れ , 4家 系 中 2家 系 の 両 親 が 近
親婚であった。
[ 参 考 文 献 ] 大 久 保 康 人 : 血 液 型 と 輸 血 検 査 , 医 歯 薬 出 版 1991, P.54-59.
(木村あさの)
P 014 peripheral blood stem cell transplantation(PBSCT)
末梢血幹細胞移植
造 血 幹 細 胞 は 骨 髄 だ け で な く 末 梢 血 に も 少 数 な が ら 存 在 す る 。こ の 末 梢 血
幹 細 胞 ( PBSC) は 化 学 療 法 後 の 造 血 回 復 期 や 造 血 因 子 ( 主 に G-CSF) 投 与 に
よ っ て 骨 髄 か ら 末 梢 血 に 動 員 さ れ ,一 時 的 な が ら 著 明 に 増 加 す る 。動 員 さ れ
た 大 量 の PBSCを ア フ ェ レ ー シ ス に よ っ て 採 取 し ,こ れ を 造 血 幹 細 胞 源 と し て
自 家 あ る い は 同 種 移 植 に 利 用 す る 造 血 幹 細 胞 移 植 を PBSCTと い う 。 骨 髄 移 植
の代替法として普及しつつある。
P 015 pernicious anemia
(原田実根)
悪性貧血
ビ タ ミ ン B12の 吸 収 に 必 要 な 胃 粘 膜 か ら の 内 因 子 分 泌 低 下 に よ る ビ タ ミ ン
B12欠 乏 性 巨 赤 芽 球 性 貧 血 。 病 因 は 胃 粘 膜 や 内 因 子 に 対 す る 自 己 抗 体 産 生 で
萎 縮 性 胃 炎 を 伴 う 。大 球 性 貧 血 ,白 血 球 減 少 や 血 小 板 減 少 を 認 め る 。臨 床 的
に は 位 置 撹 や 振 動 撹 異 常 な ど の 神 経 障 害( 脊 髄 側 索 お よ び 後 索 障 害 )が 特 徴
である。神経障害は治療が遅れると非可逆性になり注意が必要である。
(伊藤武善)
P 016 phenotype
表現型
遺 伝 子 の 実 際 の 組 合 せ を 表 す 遺 伝 子 型 に 対 し て ,外 見 上 現 れ る 型 を 表 現 型
phenotypeと 言 う 。遺 伝 子 型 は 父 親 ,母 親 由 来 の 遺 伝 子 が 対 に な っ て い る が ,
表 に 現 れ る 表 現 型 は 1つ で あ る 。ABO血 液 型 の 例 を 下 に 示 す 。こ の 場 合 ,「 A」,
「 B」 は 同 等 で 「 O」 に 対 し て 優 性 と な り , 逆 に 「 O」 は 両 者 に 対 し て 劣 性 に
なる。
血液型
表現型
A
遺伝子型
A
A-A, A-O
B B B-B
,
B
O
O
AB
O
AB
P 017 pheresis
O-O
A-B
(西川健一)
血 液 成 分 除 去 ( -分 離 )
apheresis
Apheresisの 接 頭 語 の a を 失 っ た も の で ,通 常 は apheresisを 使 っ て い る 。
現 在 使 わ れ て い る apheresisの 付 く 用 語 と し て は , 1) Plasmapheresis
2)
Plateletpheresis
5)
3) Thrombocytapheresis
Granulocytapheresis
4) Leucocytapheresis
6) Erythrocytapheresis
7) Cytapheresis等 で あ
る が , 最 近 よ く 実 施 さ れ る よ う に な っ た , 末 梢 血 幹 細 胞 (PBSC) 採 取 も
cytapheresisの 技 術 が 生 か さ れ た 方 法 で あ る 。
P 018 phlebotomy
静脈切開
静脈穿刺
(小川昌昭)
瀉血
輸 血( 液 )の ル ー ト を 確 保 し た り ,カ テ ー テ ル 検 査 の た め に 皮 膚 に 小 切 開
を 入 れ て ,静 脈 を 露 出 し ,こ れ に 切 開 を 加 え る こ と 。通 常 の 経 皮 的 な 静 脈 穿
刺の意味で使われることもある。さらに静脈穿刺をして治療的な血液採取
(瀉血や自己血貯血)をすることの意味に使われることもある。
(鷹野壽代)
P 019 phytohemagglutinin
フィトヘモアグルチニン
植物赤血球凝集素
イ ン ゲ ン 豆 か ら 抽 出 さ れ る 蛋 白 レ ク チ ン で 赤 血 球 凝 集 活 性 の 強 い E-PHAと
リ ン パ 球 幼 弱 化 活 性 の 強 い L-PHAの 存 在 が 知 ら れ る 。 血 液 型 非 特 異 的 に 凝 集
活 性 を 示 す 。 凝 集 活 性 や 幼 弱 化 活 性 を 発 揮 す る に は , PHAが 結 合 す る 細 胞 の
膜 糖 蛋 白 の GalGlcNAc糖 鎖 の み な ら ず コ ア 部 分 も 必 要 と 考 え ら れ る 。 輸 血 の
領 域 以 外 で は 細 胞 の が ん 化 に よ る 形 質 転 換 ,特 定 の 亜 集 団 に 属 す る リ ン パ 球
の 幼 弱 化 ,分 裂 増 殖 を 誘 導 す る 。
P 020 plasma derivatives
(池田久実)
血漿分画製剤
血 漿 中 に 含 ま れ る 100種 類 以 上 の 蛋 白 質 の 中 か ら , 特 定 の も の だ け を 物 理
的・化 学 的 手 法 で 分 離 精 製( 血 漿 分 画 )し ,製 剤 化 し た も の 。現 在 国 内 で 市
販 さ れ て い る 主 な 血 漿 分 画 製 剤 と し て は ,ア ル ブ ミ ン 製 剤 ,免 疫 グ ロ ブ リ ン
製剤,血液凝固因子製剤などがあり,疾患の治療や予防に用いられている。
(伊藤碩侯)
P 021 plasma exchange
血漿交換
血漿中に存在する有害物質のうち蛋白質あるいは蛋白質に結合する高分
子 の も の を 除 去 す る 治 療 法 で あ る 。1970年 代 後 半 に 血 液 成 分 分 離 装 置 が 開 発
さ れ た こ と に よ り ,安 全 に 行 え る 治 療 法 と な っ た 。1980年 代 に 膜 分 離 方 式 が
開 発 さ れ た こ と に よ り ,普 及 が 進 ん だ 。現 在 は さ ら に 選 択 性 を も っ て 有 害 物
質 を 除 去 で き る 二 次 膜 や 特 異 吸 着 体 も 開 発 さ れ て い る 。保 険 適 応 症 と し て は
多 発 性 骨 髄 腫 ,マ ク ロ グ ロ ブ リ ン 血 症 ,劇 症 肝 炎 ,薬 物 中 毒 ,重 症 筋 無 力 症 ,
悪性関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,血栓性血小板減少性紫斑病,
重 度 血 液 型 不 適 合 妊 娠 ,術 後 肝 不 全 ,ギ ラ ン・バ レ ー 症 候 群 ,天 疱 瘡 ,類 天
疱 瘡 ,巣 状 糸 球 体 硬 化 症 ,溶 血 性 尿 毒 症 症 候 群 ,家 族 性 高 コ レ ス テ ロ ー ル 血
症 , 閉 塞 性 動 脈 硬 化 症 , ABO血 液 型 不 適 合 ・ リ ン パ 球 抗 体 陽 性 の 同 種 腎 移 植
患者などがある。
P 022 plasma expander
(稲葉頌一)
血漿増量剤
その輸液剤の持つ高い膠質滲透圧に基づき血管外の組織間液を血管内に
引 き 込 み ,循 環 血 漿 量 を 増 加 さ せ て 血 圧 を 維 持 し 末 梢 循 環 を 改 善 す る 。シ ョ
ッ ク ,と く に 出 血 性 シ ョ ッ ク の 治 療 の ほ か ,術 前 希 釈 式 自 己 血 輸 血 に 用 い ら
れ る 。人 血 漿 由 来 の 人 加 熱 血 漿 蛋 白 ,ア ル ブ ミ ン 溶 液 ,人 工 的 な も の と し て
デ キ ス ト ラ ン , ハ イ ド ロ キ シ エ チ ル ス タ ー チ (HES), ゼ ラ チ ン 修 飾 液 な ど が
代表的なものである。
P 023 plasma fractionation
(二之宮景光)
血漿分画
血 漿 か ら 特 定 の 血 漿 蛋 白 質 を 分 離 精 製 す る こ と で あ り ,血 漿 分 画 製 剤 を 製
造 す る た め に は 不 可 欠 な 技 術( 手 法 )で あ る 。分 画 法 に は ,低 温 エ タ ノ ー ル
分 画 法 ,ク ロ マ ト グ ラ フ 法( ゲ ル 濾 過 ,イ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ,ア
フィニティークロマトグラフィー等)などがある。(伊藤碩侯)
P 024 plasma hemoglobin
血漿ヘモグロビン
溶 血 に よ り ヘ モ グ ロ ビ ン は 血 漿 中 に 現 れ る 。 こ れ を plasma hemoglobin と
い う 。 plasma hemoglobin は ま ず ハ プ ト グ ロ ビ ン を 結 合 す る が , 結 合 し き
れなくなったヘモグロビンは遊離ヘモグロビンとして尿中に現れる。
(轟木元友)
P 025 plasma iron disappearance rate
血漿鉄消失率
フ ェ ロ キ ネ テ ィ ク ス の 指 数 の 一 つ 。血 漿 中 の ト ラ ン ス フ ェ リ ン を 5 9 Feで 標
識 し た の ち 投 与 し ,経 時 的 に 採 血 し て 血 漿 を 分 離 す る 。血 漿 サ ン プ ル の 放 射
能 を 半 対 数 グ ラ フ に プ ロ ッ ト し て 直 線 が 0時 間 を 横 切 る 点 か ら 放 射 能 が 半 分
に な る ま で の 時 間 が PID T 1/2で あ る 。 健 常 人 で 60∼ 120分 , 造 血 能 の 亢 進
で短縮し,低下で遅延する。
P 026 plasma iron pool
(内田立身)
血漿鉄プール
赤血球の崩壊に由来する鉄又は消化管より吸収された鉄は血漿中をトラ
ン ス フ ェ リ ン と 結 合 し て 移 動 し , 健 常 人 で 2/3は 赤 芽 球 の 生 成 に 利 用 さ れ ,
1/3は 肝 な ど に 貯 蔵 さ れ る 。 血 漿 中 に 存 在 す る 鉄 量 は た え ず 交 代 し , そ の 量
は 血 漿 鉄 交 代 率 で 表 現 さ れ る が ,こ れ は 造 血 や 貯 蔵 鉄 に 向 か う 鉄 量 と 組 織 か
ら 遊 出 さ れ る 鉄 量 の 和 と し て 表 現 さ れ る と 考 え ら れ て い る 。こ の 動 態 は 血 漿
鉄プールのコンパートメント化により解析することができる。
(内
田立身)
P 027 plasma iron turnover
血 漿 鉄 交 代 (替 )率
フ ェ ロ キ ネ テ ィ ク ス の 指 標 の 一 つ で 1日 あ た り に 入 れ 替 わ る 鉄 の 量 で あ り ,
骨 髄 の 全 赤 血 球 産 生 量 を 表 現 す る 。 血 漿 鉄 (μ g/dl)×循 環 血 漿 量 (dl)/PID
T 1/2( 分 ) ×体 重 (kg)で 計 算 さ れ , 健 常 者 で 0.65(0.4∼ 0.9)mg/kg/日 で あ
る 。再 生 不 良 性 貧 血 で は 正 常 ま た は 低 下 ,溶 血 性 貧 血 や 悪 性 貧 血 で は 増 加 す
る。
(内田立
身)
P 028 plasma kinin
血漿キニン
内 因 性 凝 固 系 に お い て 血 漿 が collagen,血 管 壁 基 底 膜 ,尿 酸 塩 ,ピ ロ 燐 酸
カ ル シ ウ ム や endotoxinな ど に 暴 露 さ れ る と Hageman因 子 ( Factor ⅩⅡ:HF)
が 活 性 化( 低 分 子 化 )さ れ る 。活 性 化 HFは ⅩⅠ因 子 を 活 性 化 し ,prekallikrein
を kallikrein( K) に 変 換 す る 。 Kは 血 漿 中 の kininogenを bradykininに 活
性 化 ( 低 分 子 化 ) す る が , こ の 活 性 化 は 組 織 Kに よ っ て も 起 こ る 。 こ の 様 に
し て 生 成 さ れ た 血 漿 中 bradykininと そ の 他 の kinins( plasma kinins) は 平
滑 筋 の 収 縮 ,血 管 透 過 性 の 亢 進 を 起 こ し ,疼 痛 を 伴 う 。in vitroで は 顆 粒 球
の 趨 化 性 を 強 化 す る な ど ,催 炎 症 作 用 を 示 す 。
P 029 plasmapheresis(-separation)
プラスマフェレーシス
(中村
徹)
血 漿 採 取 ( -分 離 )
Donor plasmapheresisは 採 血 基 準 に 従 っ て 行 わ れ る が ,採 漿 量 は 男 女 と も
体 重 に よ っ て 350ml∼ 600mlの 間 で 決 め ら れ て い る 。 通 常 は cell separator
に よ る 遠 心 法 で 行 う が ,膜 法 も 行 わ れ 中 空 糸 ,回 転 円 筒 膜 が 用 い ら れ て い る 。
採 取 さ れ た 血 漿 の 各 成 分 の 回 収 率 は 良 好 で ,新 鮮 凍 結 血 漿 と し て も ,血 漿 分
画 製 剤 用 原 料 血 漿 と し て も 有 用 で あ る 。副 作 用 と し て は 通 常 の 採 血 で 発 生 す
る 血 管 迷 走 神 経 反 応 が あ る が ,採 血 漿 量 に 依 っ て は 不 均 衡 症 候 群 が 起 こ る こ
とがあるので注意を要する。
P 030 plasma pool
(小川昌昭)
血漿プール
血 漿 分 画 製 剤 用 原 料 と し て 通 常 数 千 人 分 以 上 の 血 漿 を プ ー ル し た も の 。凝
固 因 子 製 剤 用 に は 新 鮮 血 漿 及 び 新 鮮 凍 結 血 漿 の プ ー ル ,ア ル ブ ミ ン ,人 免 疫
グロブリン等の製剤用には期限切れ全血製剤などから回収した血漿
(recovered plasma) を 含 む プ ー ル , ま た 特 殊 免 疫 グ ロ ブ リ ン 製 剤 用 に は 高
力 価 抗 体 を 含 む 血 漿 の プ ー ル が 使 用 さ れ る 。プ ー ル の 利 点 は ,蛋 白 質 の 回 収
率 が 高 い ,多 種 類 の 抗 体 を 含 有 す る 人 免 疫 グ ロ ブ リ ン の 調 製 が 可 能 ,均 質 な
製剤の大量生産が可能等である。
P 031 plasma protein [fraction]
血漿蛋白
(伴野丞計)
[加熱人血漿蛋白]
血 漿 中 に 約 7% 含 ま れ る 蛋 白 質 で あ り ,100種 類 以 上 あ る 。電 気 泳 動 で ア ル
ブ ミ ン ,γ ,β -グ ロ ブ リ ン ,フ ィ ブ リ ノ ゲ ン ,γ -グ ロ ブ リ ン の 5画 分 に 分 け
ら れ る 。ア ル ブ ミ ン は 膠 質 浸 透 圧 の 維 持 ,物 質 運 搬 能 等 が あ る 。α ,β -グ ロ
ブ リ ン に は 銅 や 鉄 イ オ ン を 含 む 金 属 蛋 白 質 の 他 ,凝 固 ,線 溶 ,カ リ ク レ イ ン ,
キ ニ ン 及 び 補 体 系 の 蛋 白 質 が あ る 。 γ -グ ロ ブ リ ン は 抗 体 蛋 白 質 で あ り , 細
菌やウイルスによる感染症を予防し,また毒素中和,免疫調節作用がある。
コーン分画法等により精製され,血漿分画製剤として利用されている。
(伴野丞計)
P 032 plasma prothrombin conversion accelerator
因子
血漿プロトロンビン転化促進
第Ⅶ因子
ビ タ ミ ン K依 存 性 凝 固 因 子 の 1 つ で あ る 第 Ⅶ 因 子 の こ と 。 外 因 系 凝 固 反 応
の 開 始 因 子 。細 胞 膜 上 に 組 織 因 子 が 発 現 す る と ,血 中 に 存 在 す る ご く 微 量 の
Ⅶ a因 子 が Ⅶ 一 組 織 因 子 複 合 体 を 活 性 化 し( Ⅶ a一 組 織 因 子 複 合 体 ),引 き 続
き Ca 2 + と リ ン 脂 質 の 存 在 下 に 第 Ⅸ 因 子 と 第 Ⅹ 因 子 を 活 性 化 し て ト ロ ン ビ ン
生成を促進する。ヒトでは第Ⅹ因子より第Ⅸ因子の方が活性化され易い。
(新名主宏一)
P 033 plasma prothrombin conversion factor
第Ⅹ因子
血漿プロトロンビン転化因子
不安定因子
ビ タ ミ ン K依 存 性 凝 固 因 子 の 一 つ で あ る 第 Ⅹ 因 子 の こ と 。Ⅸ a因 子 お よ び Ⅶ
a一 組 織 因 子 複 合 体 に よ り Ⅹ a( 活 性 型 )に 変 換 さ れ る 。Ⅹ aは Glaド メ イ ン を
介 し て Ca 2 + 存 在 下 で リ ン 脂 質 に 結 合 し , 細 胞 膜 上 の Ⅴ a因 子 と 結 合 し て プ ロ
ト ロ ン ビ ナ ー ゼ 複 合 体 を 形 成 し ,効 率 よ く プ ロ ト ロ ン ビ ン を ト ロ ン ビ ン へ 変
換 す る ( Ⅹ a単 独 時 に 比 較 し て 約 10 5 倍 速 い ) 。
P 034 plasma substitute
(新名主宏一)
血漿代替物
代用血漿が同義語として使用されているが,血漿量を補充することから,
糖 液 ,電 解 質 液 の 輸 液 と 血 漿 増 量 剤 が こ の 範 囲 に 入 る 。し か し 一 般 的 に は 血
漿 増 量 剤 の う ち ヒ ト 血 漿 を 除 く ,デ キ ス ト ラ ン 製 剤 ,ヒ ド ロ キ シ エ チ ル デ ン
プ ン( HES)製 剤 ,ゼ ラ チ ン 製 剤 が 代 用 血 漿 と さ れ ,出 血 性 シ ョ ッ ク ,熱 傷 ,
低蛋白血症による浮腫に循環血漿量とともに膠質浸透圧上昇を目的に使用
さ れ て い る 。と く に 代 用 血 漿 は 急 性 出 血 に 対 す る 輸 液 剤 と し て 細 胞 外 液 組 成
液 と と も に 重 要 な 役 割 を な し て い る が ,大 量 輸 注 に よ り 腎 障 害 を 惹 起 す る こ
と か ら 1000ml程 度 に と ど め る こ と が す す め ら れ て い る 。
[参考文献]
1.血 漿 増 量 剤( 代 用 血 漿 剤 );ド ラ ッ グ イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン 処 方 の 基 礎 知 識
と そ の 実 践 例 , 高 久 史 麿 監 修 , pp.1002-1004,廣 川 書 店 ,
1990.
(関口定美)
P 035 plasma thromboplastin antecedent(PTA)
血漿トロンボプラスチン前駆物質
第 ⅩⅠ因 子
第 ⅩⅠ因 子 の 同 意 語 。第 ⅩⅡ因 子 と 共 に ,内 因 系 凝 固 過 程 の 初 期 の 接 触 相 に 関
与 す る 。 第 ⅩⅠ因 子 は , 第 ⅩⅡa因 子 に よ り 活 性 化 さ れ , 第 Ⅸ 因 子 の 活 性 に 必 須
で あ る 第 ⅩⅠa因 子 と な る 。 第 Ⅸ 因 子 は , 高 分 子 キ ニ ノ ゲ ン と 複 合 体 を 形 成 し
血 中 に 存 在 し て い る 。分 子 量 は 160kDaで ,ジ ス ル フ ィ ド 結 合 で つ な が れ た ホ
モ 二 量 体 で あ る 。 血 中 濃 度 は 5μ g/ml。
P 036 plasma thromboplastin component(PTC)
(藤村吉博)
血漿トロンボプラスン成分
第 Ⅸ 因 子 の 同 意 語 。 Christmas因 子 と も い う 。 血 友 病 Bは , X 染 色 体 上 の
第 Ⅸ 因 子 遺 伝 子 の 欠 陥 に 基 づ き ,こ の 因 子 活 性 が 欠 乏 す る 為 に 内 因 系 凝 固 が
障 害 さ れ る こ と に よ る 疾 患 で あ る 。 こ の 因 子 は , ビ タ ミ ン K依 存 性 に 肝 で 合
成 さ れ , 分 子 量 55,000ダ ル ト ン の 一 本 鎖 糖 蛋 白 で ヒ ト 血 漿 中 に は 3-5μ g/ml
存 在 し て い る 。 第 ⅩⅠa因 子 に よ り カ ル シ ウ ム イ オ ン 存 在 下 に 限 定 分 解 を 受 け
て 二 本 鎖 の 第 Ⅸ a因 子 と な る 。
P 037 plasma thromboplastin factor(PTF)
(藤村吉博)
血漿トロンボプラスチン因子
第 Ⅷ 因 子 の 同 意 語 , 但 し 現 在 は 殆 ど 使 用 さ れ て い な い 。 血 友 病 Aに 欠 乏 し
て い る 因 子 で , 分 子 量 330,000ダ ル ト ン の 一 本 鎖 ポ リ ペ プ チ ド で あ る 。 循 環
血 漿 中 で 巨 大 糖 蛋 白 で あ る von Willebrand 因 子 と 非 共 有 結 合 下 に 複 合 体 を
形 成 し て 存 在 し て い る 。 ト ロ ン ビ ン , 第 Ⅹ a因 子 に よ り 限 定 分 解 ・ 活 性 化 さ
れ , 第 Ⅷ a因 子 と な り コ フ ァ ク タ ー と し て 機 能 を 発 揮 す る 。 微 量 の ト ロ ン ビ
ン が 生 成 さ れ る と 第 Ⅷ a因 子 が 増 加 し 凝 固 反 応 の 促 進 , 更 に は 大 量 の ト ロ ン
ビ ン の 生 成 へ と positive feedback機 構 が 働 く 。
P 038 plasma volume
(藤村吉博)
血漿量
T023 total plasma volume
全(循環)血漿量参照。
Donor plasmapheresis に お け る 採 取 血 漿 量 は 男 女 別 , 体 重 別 に 採 血 基 準
に よ り 以 下 の よ う に 定 め ら れ て い る ( 平 成 3年 1月 28日 薬 発 第 86号 ) ,
体重
献血量
40kg∼ 45kg未 満
300ml( 女 性 の み )
45kg∼ 50kg未 満
300ml∼ 350ml
50kg∼ 55kg未 満
400ml
55kg∼ 60kg未 満
400ml∼ 450ml
60kg∼ 65kg未 満
400ml∼ 500ml
65kg∼ 70kg未 満
400ml∼ 550ml
70kg以 上
400ml∼ 600ml
(小
川昌昭)
P 039 plasmin
プラスミン
線維素溶解酵素
フィブリノリジン
fibrinolysinと も 記 載 さ れ て い る 。プ ラ ス ミ ノ ゲ ン が 各 種 プ ラ ス ミ ノ ゲ ン
ア ク チ ベ ー タ ー に よ っ て 活 性 化 さ れ 形 成 さ れ る 蛋 白 分 解 酵 素 で あ る 。プ ラ ス
ミ ン は 血 栓 を 形 成 す る フ ィ ブ リ ン を 分 解 す る 。さ ら に ,循 環 血 中 に フ リ ー の
プラスミンが過剰に出来ると凝固因子(フィブリノゲン,プロトロンビン,
第 Ⅴ ,Ⅷ ,ⅩⅡ因 子 )の み な ら ず ,キ ニ ン 系 や 補 体 系 の 諸 因 子 を 限 定 分 解 し て
活性化型に変える。
P 040 plasminα 2 plasmin inhibitor complex(PIC)
(出口克巳)
プ ラ ス ミ ン α 2・ プ ラ ス ミ ン
インヒビター複合体
流 血 中 で プ ラ ス ミ ノ ゲ ン の 活 性 化 に よ り 形 成 さ れ た プ ラ ス ミ ン は ,そ の β
鎖 の セ リ ン と α 2 プ ラ ス ミ ン・イ ン ヒ ビ タ ー( α 2 P1)の ア ル ギ ニ ン が 不 可 逆
的 に 共 有 結 合 す る こ と に よ り 、 1: 1の 複 合 体 ( plasmin α 2 plasmin
inhibitor complex;PIC) を 瞬 時 に 形 成 す る 。 α 2 P1プ ラ ス ミ ノ ゲ ン 抗 体 と
α 2 P1抗 体 を 用 い た ELISA法 に よ り 測 定 さ れ て い る 。 血 中 PICの 基 準 値 ( 0.8
μ g/ml以 下 ) を 越 え る 増 加 は 血 液 線 溶 活 性 化 亢 進 状 態 の 存 在 を 示 す 。
(出口克巳)
P 041 plasminogen
プラスミノゲン
線維素溶解酵素前駆体
プ ラ ス ミ ノ ゲ ン は 790個 の ア ミ ノ 酸 か ら な り , 一 次 構 造 上 , ク リ ン グ ル と
呼 ば れ る 二 重 反 転 渦 巻 構 造 を 5個 持 つ 一 本 鎖 の 糖 蛋 白 ( 分 子 量 88,000) で あ
る 。プ ラ ス ミ ン の 前 駆 物 質 で あ り ,肝 で 産 生 さ れ る 。プ ラ ス ミ ノ ゲ ン の 活 性
化 ( プ ラ ス ミ ン へ の 転 換 ) 経 路 は 外 因 系 ・ 内 因 系 ・ 外 在 性 の 3経 路 に 分 け ら
れ る 。プ ラ ス ミ ノ ゲ ン は フ ィ ブ リ ン と の 結 合 性 を 有 し て い る 。組 織 型 プ ラ ス
ミ ノ ゲ ン・ア ク チ ベ ー タ ー に よ る プ ラ ス ミ ノ ゲ ン 活 性 化 は フ ィ ブ リ ン や そ の
分解産物の存在により促進される。
P 042 plasminogen activator
(出口克巳)
プラスミノゲン活性化因子
プ ラ ス ミ ノ ゲ ン・ア ク チ ベ ー タ ー( PA)は ,プ ラ ス ミ ノ ゲ ン の Arg 6 8 0 と Val
581
の間を切断し,プラスミンを産生するセリンプロテアーゼである。殆ど
の 正 常 組 織 や 腫 瘍 組 織 に 存 在 す る PAは ,血 管 内 に 生 じ た フ ィ ブ リ ン 血 栓 の 溶
解 に 主 と し て 寄 与 す る 組 織 型( t-PA)と 主 に 組 織 線 溶( 癌 細 胞 の 移 転 や 増 殖
な ど )に 関 与 す る ウ ロ キ ナ ー ゼ 型 PAに 分 け ら れ る 。血 管 内 皮 細 胞 か ら 分 泌 さ
れ る t-PAは 1本 鎖 の 糖 蛋 白 ( 分 子 量 約 70,000) で あ り , プ ラ ス ミ ン に よ り 2
本 鎖 t-PAに 変 換 さ れ 強 い プ ラ ス ミ ノ ゲ ン 活 性 化 能 を 示 す 。
(出 口 克 巳 )
P 043 plasminogen proactivator
プラスミノゲン活性化因子前駆体
プ ラ ス ミ ノ ゲ ン ・ プ ロ ア ク チ ベ ー タ ー は , Kaplan & Austen( 1972) に よ
り 提 唱 さ れ た も の で あ り ,そ の 後 プ レ カ リ ク レ イ ン で あ る と 報 告( Mandle &
Kaplan;1977) さ れ て い る 。 カ リ ク レ イ ン が プ ラ ス ミ ノ ゲ ン を 直 接 活 性 化 す
る こ と も 確 認 ( Bouma & Griffin;1977) さ れ て い る 。 つ ま り , 活 性 化 第 ⅩⅡ
因子やカリクレインなどによる内因系線溶活性化経路に関与するプロアク
チベーターである。
P 044 plasminokinase
(出口克巳)
プラスミノキナ−ゼ
Stedman's Medical Dictionaryに よ れ ば , ス ト レ プ ト キ ナ ー ゼ (SK),ウ ロ
キ ナ ー ゼ( UK),あ る い は ス タ ヒ ロ キ ナ ー ゼ の 総 括 語 と し て 用 い て い る 。こ
れ ら は ,プ ラ ス ミ ノ ゲ ン 活 性 化 経 路 の う ち 外 在 性 活 性 化 経 路 に 関 与 す る 酵 素
で あ る 。 SKは プ ラ ス ミ ノ ゲ ン あ る い は プ ラ ス ミ ン と 1:1の 複 合 体 を 形 成 し プ
ラ ス ミ ノ ゲ ン を 活 性 化 さ せ る 。UKは プ ラ ス ミ ノ ゲ ン を 直 接 活 性 化 さ せ る セ リ
ン酵素である。
(出口克巳)
P 045 platelet
血小板
巨 核 球 か ら 産 生 さ れ ,一 次 止 血 の 際 に 重 要 な 役 割 を 果 た す ,核 の な い 2∼ 4
ミ ク ロ ン の 大 き さ の 血 球 細 胞 で ,寿 命 は 約 10日 と 短 い 。機 能 と し て 膜 糖 蛋 白
(GP)Ⅰ bを 介 す る 粘 着 と ,GPⅡ b/Ⅲ aを 介 す る 凝 集 そ し て 濃 染 顆 粒 ,α − 顆 粒
そ し て ラ イ ゾ ゾ ー ム 顆 粒 に 局 在 す る 物 質 を 放 出 す る 機 能 が あ る 。い ず れ も 止
血 血 栓 を 形 成 す る 際 に 重 要 な 機 能 で あ る 。そ れ ぞ れ の 機 能 が 欠 損 し た 異 常 症
が 存 在 す る 。最 近 PDGFや TGF-β な ど を 介 し て ,血 小 板 は 動 脈 硬 化 の 進 展 や 癌
の 増 殖・移 転 な ど に も 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る と 考 え ら れ る よ う に な っ て
いる。
P 046 platelet adhesiveness
(寮
隆吉)
血小板粘着性(能)
血 小 板 粘 着 と は , 血 小 板 の 膜 糖 蛋 白 Ⅰ b/Ⅸ 複 合 体 が 血 漿 中 の von
Willebrand因 子 を 介 し て 血 管 内 皮 下 組 織 に 粘 着 す る こ と を い い ,出 血 時 に お
い て , ま ず 最 初 に 働 く 生 体 の 止 血 機 能 で あ る 。 Bernard-soulier症 候 群 で は
血 小 板 膜 糖 蛋 白 Ⅰ b/Ⅸ 複 合 体 が 欠 損 す る た め 血 小 板 粘 着 が 障 害 さ れ , von
Willebrand病 で は 血 漿 von Willebrand因 子 の 欠 損 も し く は 異 常 の た め 血 小
板粘着が障害されて出血症状を呈する。
(野
崎宏幸)
P 047 platelet-activating factor
血小板活性化因子
好 塩 基 球 ,肥 満 細 胞 ,好 中 球 ,好 酸 球 ,血 小 板 ,血 管 内 皮 細 胞 な ど の 細 胞
膜リン脂質から生成される化学伝達物質で,血小板を活性化し血小板粘着,
凝 集 促 進 作 用 を 有 す る 。ま た Ⅰ 型( ア ナ フ ィ ラ キ シ ー 型 )ア レ ル ギ ー 反 応 時 ,
好塩基球,肥満細胞から遊離し,好酸球などの炎症細胞を局所にひきよせ,
平滑筋収縮,血管透過性亢進,腺分泌亢進に関与する。
(野崎宏幸)
P 048 platelet agglutination
血小板凝集
血 小 板 機 能 検 査 の 一 つ に リ ス ト セ チ ン 惹 起 血 小 板 凝 集 が あ る が ,リ ス ト セ
チ ン 添 加 で 認 め ら れ る 血 小 板 凝 集 を platelet agglutination と 呼 び , ADP
や エ ピ ネ フ リ ン , コ ラ ー ゲ ン 惹 起 血 小 板 凝 集 (platelet aggregation) と 区
別 し て い る 。こ の 凝 集 反 応 は ,ホ ル マ リ ン 固 定 血 小 板 を 用 い て も 認 め ら れ エ
ネ ル ギ ー を 必 要 と し な い 反 応 で あ る 。 血 漿 中 の von Willebrand 因 子 を 必
要とする。
P 049 platelet aggregation [inhibitor]
(倉田義之)
血小板凝塊形成
[抗血栓剤]
血 小 板 が , 血 小 板 膜 糖 蛋 白 Ⅱ b/Ⅲ a複 合 体 と 血 漿 fibrinogen を 介 し て 互
い に 凝 集 す る こ と を い い ,可 逆 性 の 一 次 凝 集 と 不 可 逆 性 の 二 次 凝 集 と が あ る 。
血 小 板 無 力 症 で は 血 小 板 膜 糖 蛋 白 Ⅱ b/Ⅲ a複 合 体 を 欠 く た め 血 小 板 一 次 凝
集 ・ 二 次 凝 集 共 に 欠 如 し , storage pool病 で は 血 小 板 濃 染 顆 粒 の ADP欠 乏 の
た め 二 次 凝 集 の み が 欠 如 す る 。血 栓 予 防 の た め ア ス ピ リ ン や チ ク ロ ピ ジ ン な
どが血小板凝集阻害物質として用いられる。
P 050 platelet apheresis
血小板アフェレーシス
(野崎宏幸)
血小板成分採取(−除去)
thrombocytapheresis
濃 厚 血 小 板 (PC)の apheresis に よ る 採 取 は 現 在 , 次 の よ う な 機 種 で 行 わ
れ て い る , MCS, Multiは 間 歇 方 式 で , CS-3000 plus,Amicus,Spectra は 連
続 方 式 で あ る 。通 常 10∼ 20単 位 の 血 小 板 の 採 取 が 可 能 で あ る 1 ) 。血 液 処 理 量
が多いのでクエン酸反応に注意が必要である。
[参考
文 献 ] 1)Plateletpheresis-The Current State of Blood Center
Platelet
Product Provision Jpn J Apheresis 15(1): 53-55,1996.
(小川昌昭)
P 051 platelet concentrate(PC)
血小板濃厚液
新 鮮 全 血 で 止 血 に 必 要 な 血 小 板 数 を 確 保 す る と ,容 量 過 剰 と な り 心 不 全 な
ど を 招 来 す る の で ,血 小 板 を 補 給 す る た め に は 全 血 中 の 血 小 板 を 濃 縮 し て 投
与 す る 必 要 が あ り ,こ の た め の 製 剤 を 血 小 板 濃 厚 液( PC)と 言 う 。現 在 全 血
200あ る い は 400mlか ら 作 ら れ る 1,2単 位 の PCと , 成 分 採 血 装 置 で 作 ら れ る
5,10,15そ し て 20単 位 の 高 単 位 PCが あ る 。一 単 位 中 に 2×10 1 0 個 以 上 の 血 小 板
が 含 ま れ る 。 一 単 位 PC中 の 血 漿 量 は 12.5∼ 20mlで あ る 。 他 に 白 血 球 数 も 3×
10 6 個 以 上 含 ま れ る の で ,HLA抗 体 の 産 生 を 防 ぐ た め に ,投 与 の 際 は 白 血 球 除
去フィルターを用いるのが一般的である。
P 052 platelet factor 3
(寮
隆吉)
血 小 板 第 3因 子
血 小 板 は 血 液 凝 固 に も 深 く 関 与 し て い る 。 凝 固 接 触 相 に お い て FⅩⅠを 活 性
化 す る た め に 血 小 板 膜 表 面 が 必 要 と さ れ る 。血 小 板 膜 リ ン 脂 質 + カ ル シ ウ ム
イ オ ン + FⅧ aは FⅨ a に 結 合 し そ の 活 性 を 亢 進 さ せ , FⅩ を 活 性 化 さ せ る 。
ま た 血 小 板 膜 リ ン 脂 質 + カ ル シ ウ ム イ オ ン + FⅤ aは FⅩ aに 結 合 し そ の 活 性
を 著 し く 亢 進 さ せ ,プ ロ ト ロ ン ビ ン を 活 性 化 さ せ る 。こ う し た 血 小 板 の 凝 固
活 性 を platelet factor 3と 呼 ん で い る 。
P 053 platelet factor 4
(野崎宏幸)
血 小 板 第 4因 子
分 子 量 29,000の 血 小 板 特 有 の 蛋 白 で あ る 。骨 髄 巨 核 球 で 造 ら れ ,流 血 中 で
は 血 小 板 の α 顆 粒 中 の み に 存 在 す る 。 そ れ ゆ え , platelet factor 4が 血 中
に 証 明 さ れ れ ば 血 小 板 凝 集・放 出 反 応 が 血 管 内 で 生 じ た こ と を 意 味 す る 。こ
の platelet factor 4は , ヘ パ リ ン と 強 い 親 和 性 を 持 っ て 抗 ヘ パ リ ン 作 用 を
示 し ,好 中 球 や 単 球 の 走 化 活 性 ,血 管 透 過 性 亢 進 ,コ ラ ー ゲ ナ ー ゼ 阻 害 な ど
の生物活性を有する。
(野崎宏幸)
P 054 platelet (membrane) glycoprotein
血 小 板 (膜 )糖 蛋 白
血小板膜には十種類ほどの糖蛋白が存在している。各糖蛋白は血小板の
凝集や粘着など血小板の重要な機能に関与している。例えば
glycoprotein(GP)Ⅱbと GPⅢ aは ヘ テ ロ ダ イ マ ー を 形 成 し , フ ィ ブ リ ノ ゲ ン の
レ セ プ タ ー と し て 血 小 板 の 凝 集 反 応 に 関 与 し て い る 。GPⅠbは von Willebrand
因子と結合し,血小板の血管壁への粘着に重要な役割を果たしている。
(倉田義之)
P 055 platelet poor plasma(PPP)
乏血小板血漿
全 血 を 1,100gで 20分 間 , 遠 沈 す る と 赤 血 球 , 白 血 球 , 血 小 板 な ど の 血 球
成 分 が 下 に 沈 み , 上 清 が 乏 血 小 板 血 漿 ( PPP) と 呼 ば れ る 血 漿 と な る 。 PPP
は 採 血 後 6時 間 以 内 に 凍 結 し 新 鮮 凍 結 血 漿( FFP)と し て ,凝 固 因 子 の 補 給 な
ど を 目 的 と す る 血 液 製 剤 と し て 臨 床 的 に 使 わ れ る 。 又 PRPを 用 い て 凝 集 能 を
観 察 す る 際 , 透 過 度 が 最 も 透 明 な controlと し て 用 い ら れ る 。 ( 寮 隆 吉 )
P 056 platelet rich plasma(PRP)
多血小板血漿
全 血 を 150gで 10分 間 遠 沈 す る と 赤 血 球 や 白 血 球 が 殆 ど 除 か れ た 多 血 小 板
血 漿 ( PRP) と 呼 ば れ る 血 小 板 を 多 く 含 ん だ 血 漿 が 得 ら れ る 。 PCは 全 血 か ら
得 ら れ た PRPを さ ら に 遠 沈 し て 作 製 す る 。 一 方 血 小 板 機 能 特 に , 凝 集 能 を 測
定 す る た め に PRPが 用 い ら れ る 。 ADP, エ ピ ネ フ リ ン , コ ラ ー ゲ ン な ど の
agonists を 添 加 し て 撹 拌 す る と 血 小 板 同 士 が 凝 集 す る 。 凝 集 の 程 度 は PRP
の濁度の低下から観察する。
(寮
隆
吉)
P 057 platelet transfusion
血小板輸血
血 小 板 輸 血 に は 濃 厚 血 小 板( platelet concentrate, PC)を 用 い る が ,200ml
採 血 よ り 得 ら れ た 約 20mlの 濃 厚 血 小 板 を 1単 位 と し て 計 算 す る 。 最 近 で は ,
成 分 採 血 装 置 を 用 い シ ン グ ル ド ナ ー よ り 5単 位 ∼ 20単 位 分 の 濃 厚 血 小 板 の 採
取 が 行 わ れ て い る 。血 小 板 輸 血 は ,血 小 板 減 少 時 の 止 血 お よ び 出 血 予 防 の 目
的 で 行 わ れ , 通 常 , 一 度 に 5∼ 10単 位 の 血 小 板 輸 血 が 行 わ れ る 。 濃 厚 血 小 板
の 有 効 期 限 は , 20∼ 24℃ で 振 盪 貯 蔵 の 条 件 下 で 採 血 後 72時 間 以 内 で あ る 。
(冨山佳昭)
P 058 polyagglutination
汎血球凝集(性)
全ての新鮮な正常成人血清で凝集する異常または変性した赤血球が存在
し た と き に 生 じ る 状 態 。報 告 者 の 名 か ら Hubener-Thomsen-Friedenreich現 象
と 呼 称 さ れ た 。凝 集 を お こ す 赤 血 球 は 病 原 菌 の 産 物 の 糖 分 解 酵 素 に よ る 糖 鎖
の 変 性 ,癌 性 疾 患 の 糖 転 移 酵 素 の mutationに よ る 変 性 に よ る 。本 状 態 を き た
す 赤 血 球 は 各 種 lectinに よ り T, Tk, Tn, Th, Tx, Acquired B, Cad, NOR,
HEMPASに 分 類 さ れ る 。こ れ ら の 血 球 は 細 菌 培 養 抽 出 液 を 作 用 さ せ 実 験 的 に 作
製 す る こ と が で き る 。 参 照 : 同 義 語 P003 panagglutination
[参考
文 献 ] 1)Judd,WJ:Microbial-associated Forms of polyagglutination(T,Tk
and acquired B) polyagglutination,AABB,Arlington,VA.p23, 1980.
2)Bird,GWG. Significant advances in lectins and polyagglutinable red
cells. In;XV Congress of the International Society of Blood Tansfusion.
Plenary Sessions. Main Lectures. Paris 1978; Librairie Arnette:87-95.
(渋谷
温)
P 059 polymerase chain reaction(PCR)
DNAポ リ メ ラ ー ゼ 増 幅 反 応
温 度 差 に よ っ て DNAの 二 重 鎖 が 解 離 , 再 結 合 す る 性 質 を 利 用 し , DNA断 片
を 増 幅 す る 反 応 で あ る 。 鋳 型 と な る DNAを 95℃ で 加 熱 し 一 本 鎖 に 解 離 さ せ ,
次 に 温 度 を 下 げ て 増 幅 部 分 二 本 鎖 の 各 鎖 3& 狽 フ塩 基 配 列 に 相 補 的 な 二 種 類
の プ ラ イ マ ー (20塩 基 程 度 の 合 成 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド )を 鋳 型 DNAに 結 合 さ せ
る 。 次 に ヌ ク レ オ チ ド の 重 合 反 応 を 触 媒 す る 耐 熱 性 Tag DNAポ リ メ ラ ー ゼ を
使 っ て 72℃ で プ ラ イ マ ー の 3* 亦 [か ら DNA合 成 を 進 ま せ る 。 こ の サ イ ク ル を
25∼ 35回 繰 り 返 す と ,プ ラ イ マ ー で は さ ま れ た 領 域 を 指 数 函 数 的 に 増 幅 し 約
10 7 倍 に な る 。
(川島康
平)
P 060 polymorphonuclear leukocyte(PMN)
多形核好中球白血球
polymorphonucl
ear neutrophil
造 血 幹 細 胞 か ら 産 生 さ れ た 骨 髄 芽 球 は ,3∼ 4日 間 に 3∼ 5回 分 裂 を 繰 り 返 し ,
前 骨 髄 球 ,前 骨 髄 球 を 経 て 骨 髄 球 と な る 。そ の 後 は 数 日 間 骨 髄 に 留 ま り ,桿
状 核 球 ,多 核 球 へ と 成 熟 し 貯 蔵 さ れ る 。骨 髄 芽 球 が 増 殖 ,成 熟 し ,多 核 球 と
な っ て 末 梢 へ 流 出 す る に は 7∼ 10日 が 必 要 で あ る 。 流 出 し た 多 核 球 の 半 数 は
血 中 へ ,半 数 は 血 管 壁 に 付 着 す る 。血 管 内 の 滞 在 時 間( 好 中 球 寿 命 )は T1/2
が 6∼ 8時 間 で , 平 均 400回 全 身 を 循 環 し た の ち 組 織 へ 遊 出 し , 4∼ 5日 間 生 存
する。
P 061 postoperative blood salvage
(月本一郎)
術後血液回収
手 術 後 ド レ ー ン な ど か ら の 出 血 を ,再 輸 血 の 目 的 で 回 収 す る こ と 。主 に 整
形外科,心臓外科において行われている。
P 062 predeposit autologous (blood) transfusion
(小山信彌)
術前貯血式自己血輸血
predepositは pre-deposit,predonatedと 同 義 語 。貯 血 式 自 己 血 輸 血 を 表
す。
(轟木
元友)
P 063 Price-Johnes curve
赤血球直径分布曲線
プ ラ イ ス -ジ ョ ー ン ズ 曲 線
顕微鏡の接眼レンズを目盛付のものと代え,対物レンズを油浸にして、
1,000倍 目 視 で 赤 血 球 の 直 径 を 計 測 し ,カ ー ブ を 描 い た も の 。正 常 者 と 較 べ ,
平 均 直 径 が 大 き い か ,小 さ い か を 判 定 で き る 。悪 性 貧 血 で は カ ー ブ は 右 方 に
( 大 き い 方 へ )偏 位 し ,溶 血 性 黄 疸 で は 左 方 に( 小 さ い 方 へ )偏 位 す る 。[ 参
考 文 献 ] H.Begemann,J.Rastetter:Atlas der klinischen Hamatologie begr
undet von L.Heilmeyer und H.Begemann Zweite Auflage Springer-Verlag
1972,P.134.
P 064 primary polycythemia
(木村あさの)
真性多血症
赤血球増加(多)症
二 次 性 赤 血 球 増 加 症 ( secondary polycythemia) に 対 比 し て 用 い ら れ る
表 現 , 骨 髄 増 殖 性 症 候 群 の ひ と つ で あ る 真 性 赤 血 球 増 加 症 (polycythemia
vera)と 同 義 語 で あ る が 一 般 に は あ ま り 用 い ら れ な い 。 T043の true
polycythemiaも 真 性 赤 血 球 増 加 症 の 意 で あ る が , 一 般 的 で は な い 。
(鎌
倉正英)
P 065 primed lymphocyte typing(PLT)
前感作リンパ球型試験
HLA-DP抗 原 を 同 定 す る 時 に 使 用 さ れ る リ ン パ 球 混 合 反 応 ( MLR) の 一 種 。
DP抗 原 は D抗 原 同 様 元 来 T細 胞 の 反 応 で 定 義 さ れ る 抗 原 で あ る 。し か し 通 常 の
MLRで 検 出 さ れ な い ほ ど に 弱 い 抗 原 で あ る た め , タ イ ピ ン グ に は 各 DP抗 原 に
特 異 的 な 感 作 T細 胞 を あ ら か じ め 用 意 し 被 験 者 抗 原 提 示 細 胞 と MLRを 行 う 。感
作 T細 胞 が 増 殖 す れ ば 被 験 者 は T細 胞 特 異 的 な DP抗 原 を 持 つ と み な す 。 現 在 ,
DP抗 原 タ イ ピ ン グ の 主 流 は DNAの 多 型 を 検 出 す る 方 法 に 移 行 し て い る 。
(池田久実)
P 066 product liability [law]
製造物責任
[− 法 , PL法 ]
製 品 の 欠 陥 や 使 用 マ ニ ュ ア ル の 説 明 不 備 な ど に よ り 、消 費 者 が 生 命 、身 体 、
財 産 に 損 害 を 被 っ た 場 合 、製 造 業 者 や 販 売 業 者 の 責 任( 責 任 を 負 わ せ る 法 律 )。
危 険 な 副 作 用 を 有 す る 医 薬 品 、血 液 製 剤 も 対 象 と さ れ る 。製 品 の 欠 陥 と 因 果
関 係 の 存 在 を 被 害 者 が 立 証 す れ ば 、製 造 者 側 は 責 任 を 負 う 。製 品 の 出 荷 時 点
に お け る 科 学 、技 術 、知 識 水 準 で は 、そ の 製 品 に 内 在 す る 欠 陥 を 発 見 す る こ
とが不可能であったことを製造者側が証明すれば、責任を免れる。
(坂本久浩)
P 067 protein C
プロテインC
血 液 凝 固 系 は 生 理 的 制 御 を 受 け て い る 。ト ロ ン ビ ン は 血 流 中 で は ア ン チ ト
ロ ン ビ ン Ⅲ と ,血 管 内 皮 表 面 で は ト ロ ン ボ モ ジ ュ リ ン( TM)と 結 合 し て 凝 固
活 性 を 失 う 。 TMと 結 合 し た ト ロ ン ビ ン は 強 い プ ロ テ イ ン C活 性 化 を 示 す よ う
に な る 。 活 性 化 さ れ た プ ロ テ イ ン Cは 活 性 型 の 第 Ⅷ , 第 Ⅴ 因 子 を 特 異 的 に 分
解 失 活 さ せ ,生 理 的 な 凝 固 制 御 を お こ な う 。そ の 先 天 性 欠 損 は 血 栓 素 因 と し
て 知 ら れ ,健 常 人 で の 出 現 頻 度 は 極 め て 希 で あ る が ,血 栓 症 患 者 で は 数 パ ー
セントと高い。
P 068 protein deficiency
(風間睦美)
蛋白欠乏症
ある特定の蛋白質が欠乏する病態であり,先天性,二次性に分けられる。
各 々 の 蛋 白 分 画 に よ り ア ル ブ ミ ン 欠 乏 症 , 先 天 性 α 1ア ン チ ト リ プ シ ン 欠 損
症 , α 2マ ク ロ グ ロ ブ リ ン 欠 乏 症 , 無 ト ラ ン ス フ ェ リ ン 血 症 , 免 疫 不 全 症 等
がある。
[参
考 文 献 ]中 井 利 昭 編:検 査 値 の み か た .中 外 医 学 社 ,東 京 .1996,p. 217-242.
(正宗良知)
P 069 protein S
プロテインS
プ ロ テ イ ン C( PC)と 同 様 に 肝 で 生 成 さ れ る ビ タ ミ ン K依 存 性 蛋 白 の 一 つ で ,
血 流 中 で は 1部 が 遊 離 型 , 大 部 分 が C4結 合 蛋 白 ( 補 体 系 制 御 因 子 の 一 つ ) と
の 結 合 型 と し て 存 在 す る 。そ の 遊 離 型 は PCの コ フ ァ ク タ ー と し て ,活 性 型 の
凝 固 第 Ⅷ , 第 Ⅴ 因 子 の 失 活 化 に 関 与 す る の で , プ ロ テ イ ン Sも 生 理 的 な 凝 固
系 制 御 因 子 の 一 つ で あ る 。そ の 先 天 性 欠 損 は 血 栓 素 因 と し て 知 ら れ ,健 常 人
で の 出 現 頻 度 は 極 め て 希 で あ る が , 血 栓 症 患 者 で は PCよ り も 頻 度 は 高 い 。
(風間睦美)
P 070 prothrombin
プロトロンビン
肝 で ビ タ ミ ン K依 存 性 に 生 成 さ れ る プ ロ テ ア ー ゼ で , 凝 固 カ ス ケ ー ド の 最
終 段 階 に 位 置 す る 因 子 。生 理 的 に は プ ロ ト ロ ン ビ ン は 活 性 型 の 第 Ⅹ ,第 Ⅴ 因
子 の 共 同 作 用 に よ り ト ロ ン ビ ン に 活 性 化 さ れ ,そ の プ ロ テ ア ー ゼ 作 用 は フ ィ
ブ リ ノ ゲ ン を 限 定 分 解 し て フ ィ ブ リ ン に 変 え る 。本 因 子 の 血 中 濃 度 の 低 下 は
出 血 傾 向 を 来 す が ,原 因 は 新 生 児 ,重 症 肝 障 害 ,ワ ー フ ァ リ ン 服 用 時 な ど 肝
臓 で の 生 合 成 低 下 , DICで の 消 費 亢 進 に よ る 。 先 天 性 異 常 症 は 非 常 に 希 。
(風間睦美)
P 071 prothrombin time
プロトロンビン時間
血 漿 は 組 織 ト ロ ン ボ プ ラ ス チ ン( 凝 固 第 Ⅶ 因 子 を 含 む )と カ ル シ ウ ム を 加
え る と , 10秒 前 後 で 凝 固 す る 。 こ れ は 外 因 系 を 介 す る 凝 固 機 能 が 発 動 さ れ ,
第 Ⅹ ,第 Ⅴ ,第 Ⅱ 因 子 が 逐 次 活 性 化 し て フ ィ ブ リ ン が 形 成 さ れ る た め で あ る 。
し た が っ て PTの 延 長 や PTパ ー セ ン ト の 低 下 は プ ロ ト ロ ン ビ ン の み な ら ず ,外
因 系 を 介 す る 凝 固 機 能 の 低 下 を 全 体 と し て 反 映 す る も の で あ る 。PT異 常 は 新
生 児 , 劇 症 肝 炎 , 肝 硬 変 , ワ ー フ ァ リ ン 服 用 時 お よ び DICで 認 め ら れ , 出 血
の危険を示唆する。
P 072 prozone phenomenon
(風間睦美)
プロゾーン(現象)
抗 原 /抗 体 の 濃 度 比 が 抗 体 過 剰 域 で も 抗 原 過 剰 域 で も 免 疫 反 応 は 抑 制 さ れ
る 。前 者 を プ ロ ゾ ー ン と よ ぶ 。元 来 沈 降 反 応 で 観 察 さ れ る 現 象 で 格 子 説 に よ
れば抗体過剰のため抗原と抗体によって形成される大きな格子の形成が抑
制 さ れ る た め で あ る 。凝 集 反 応 で 抗 体 濃 度 が 高 す ぎ る 場 合 や 抗 体 感 作 血 球 で
試 料 中 の 抗 原 を 検 出 す る 逆 受 身 凝 集 反 応 (RPHA)で 抗 原 濃 度 が 高 す ぎ る 場 合
の 凝 集 抑 制 も 地 帯 現 象( ゾ ー ン 現 象 )と さ れ る 。し か し そ の 全 て を 格 子 説 で
説明できるわけではない。
(池田久実)
[Q]
Q 001 quadruple bag
四連バッグ
四 連 の 血 液 バ ッ グ 。保 存 液 を 兼 ね た 抗 凝 固 剤 の 入 っ た 親 バ ッ グ に 三 つ の 子
バ ッ グ が 連 結 さ れ て い る 。現 在 最 も 使 用 さ れ て い る QC-MAPバ ッ グ で は ,子 バ
ッ グ の 一 つ に MAP液 が 入 っ て い て , 遠 心 分 離 し た 全 血 の 血 漿 を 空 の 子 バ ッ グ
に 移 し , 赤 血 球 に MAP液 を 添 加 し て 保 存 す る 。 こ の 時 , バ フ ィ ー コ ー ト を も
う一つの子バッグに除くことで白血球混入の少ない濃厚赤血球製剤を作る。
(村上和子)
Q 002 quality assurance
品質保証
製品に要求されている品質を確保するため,製品に影響を与えるすべて
の 要 素 に つ い て ,製 造 業 者 が 組 織 的 に 行 う 全 活 動 を い う 。最 終 製 品 の 検 査 だ
け に よ る 品 質 保 証 に は 限 度 が あ る の で ,製 品 の 品 質 に 影 響 す る す べ て の 要 素
を 科 学 的 に 検 証 す る バ リ デ ー シ ョ ン の 考 え 方 が 導 入 さ れ て い る 。 GMPよ り も
広 い 概 念 で あ る 。製 造 の 各 工 程 で の 製 品 の 安 全 性 ,信 頼 性 ,確 実 性 を 保 証 す
る手段となり,直接的,間接的に経済性の向上にもつながる。
(三浦泰裕)
Q 003 quality control
品質管理
医 薬 品 の 有 効 性 ,安 全 性 な ど を 適 性 に 保 つ た め に 製 造 業 者 が 遵 守 す べ き 要
件 を 定 め て 行 う 製 造 出 荷 に 直 結 し た 実 作 業 を 指 し ,GMPの ソ フ ト 部 に あ た る 。
1994年 厚 生 省 令 で 「 医 薬 品 製 造 管 理 及 び 品 質 管 理 規 則 」 が 改 正 さ れ , WHOの
GMPと ハ ー モ ナ イ ズ さ せ る た め 新 た に 「 バ リ デ ー シ ョ ン 」 「 自 己 点 検 」 「 キ
ャ リ ブ レ ー シ ョ ン 」「 教 育 訓 練 」「 回 収 処 理 」な ど が 規 定 さ れ て い る 。医 薬
品などの製造業の許可要件と位置付けされている。
[参考
文 献 ] 鈴 木 郁 生 編 集 , 医 薬 品 の 開 発 第 14巻 , 医 薬 品 の 品 質 管 理 及 び 試 験 法 ,
広 川 書 店 , 1990年 .
(三浦泰裕)
[R]
R 001 radiation anemia
放射線貧血
放 射 線 照 射 に よ っ て お こ る 貧 血 を 云 う 。即 ち 職 業 的 に ア イ ソ ト ー プ を 扱 う
ヒ ト や ,放 射 線 の 大 量 照 射 や 少 量 で も 頻 回 の 照 射 を う け た 場 合 ,骨 髄 細 胞 は
放射線に対して感受性が高いため骨髄は低形成または無形成となり汎血球
減 少 を き た す 。 そ し て 放 射 線 は DNAに 対 し 多 大 の 損 傷 を 与 え る た め 白 血 病 や
癌 の 発 生 率 が 高 く な る と 云 わ れ て い る 。な お 血 液 学 の 分 野 で は こ の 言 葉 は あ
まり用いられていない。
(滝口智夫)
R 002 radioactive chromium( 5 1 Cr)放 射 性 ク ロ − ム
赤 血 球 寿 命 や 循 環 赤 血 球 量 の 測 定 に 用 い ら れ る 放 射 性 医 薬 品 。物 理 的 半 減
期 は 27.8日 Na 2 5 1 CrO 4 を 赤 血 球 に 加 え て (56kBq/kg)37℃ ,15分 イ ン キ ュ ベ ー
ト す る こ と に よ り 赤 血 球 を 標 識 す る 。経 時 的 に 採 血 し て 放 射 能 を 測 定 す る こ
と に よ り ,赤 血 球 寿 命 を 測 定 す る こ と が で き る 。健 常 人 の 赤 血 球 半 寿 命 28.0
±2.5日 ,溶 血 性 貧 血 で は 著 明 に 短 縮 す る 。ま た ,循 環 赤 血 球 量 は
赤血球投与後,稀釈の原理により計算する。
R 003 recipient
受血者
51
Cr標 識
(内田立身)
レシピエント
輸血や臓器移植を受ける患者をいう。
R 004 recombinant human erythropoietin (rHuEPO)
(比嘉幸枝
坂本久浩)
遺伝子組み替えヒトエリスロ
ポエチン
1997年 Miyakeに よ り 大 量 の 再 不 貧 患 者 尿 か ら ヒ ト EPOの 純 化 に 成 功 し ,正
確 な 構 造 解 析 が 行 わ れ ,165個 の ア ミ ノ 酸 か ら な る 分 子 量 約 3万 の 糖 蛋 白 質 で
あ る こ と が 判 明 し た 。そ の 結 果 1985年 Jacobsら ,次 い で Linら に よ り ヒ ト EPO
遺 伝 子 の cloningに 成 功 し ,こ の 遺 伝 子 を 組 み 込 ん だ CHO細 胞 な ど の 大 量 培 養
に よ っ て rHuEPOが 生 産 さ れ , 医 療 品 と し て 供 給 さ れ て い る 。
文献]川口
勉:エリスロポエチンの開発経緯
98-105,1994.
[参考
造 血 因 子 5( Suppl) :
(白川
茂)
R 005 red blood cell count
赤血球数(算定)
視 算 法 は ,赤 血 球 用 メ ラ ン ジ ュ ー ル に 規 定 量 の 被 験 者 血 液 を 吸 引 し ,希 釈
液 で 希 釈 し た 検 液 を Burker-Turk式 血 球 計 算 板 の 深 さ 0.1mmの 計 算 室 に 流 し
込 ん で ,中 区 画 5つ の 中 の 赤 血 球 数 を 顕 微 鏡 下 で 数 え ,そ の 数 を 1万 倍 す る と ,
1μ lあ た り の 赤 血 球 数 と な る 。現 在 は ほ と ん ど 自 動 血 球 計 算 器 で 算 定 さ れ て
いる。
(鎌倉正英)
R 006 red cell adhesion test
赤血球粘着試験
ウ イ ル ス に 感 染 し た 細 胞 は ,そ の 表 面 に 赤 血 球 吸 着 現 象 が 起 こ る 。ウ イ ル
ス の 中 に は 宿 主 細 胞 の 種 類 に よ っ て ,感 染 し 増 殖 し て も 細 胞 変 性 効 果 が み ら
れ な い こ と が あ る の で ,赤 血 球 吸 着 現 象 に よ っ て ウ イ ル ス の 感 染 増 殖 を 判 定
す る こ と が で き る 。 ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス の 感 染 で は , 細 胞 表 面 に IgGの Fc部 分
に 対 す る レ セ プ タ ー を 生 じ る の で ,感 作 赤 血 球( 抗 体 結 合 赤 血 球 )を 用 い る
と吸着現象が観察される。
R 007 red cell agglutination
(堀内
篤)
赤 血 球 凝 集 (反 応 )
赤血球膜上の抗原と抗体とが反応して,顕微鏡下あるいは肉眼的に観察
で き る 凝 集 塊 を 形 成 す る 現 象 。 凝 集 形 成 は 二 段 階 に 分 け ら れ , 第 1段 階 で は
じ め は 血 球 表 面 抗 原 と そ れ に 対 応 す る 抗 体 が 結 合 し , 第 2段 階 で こ れ ら の 赤
血球同士が架橋し合って凝集する。反応に影響を与える因子としては,第1
段 階 で は 反 応 温 度 ,pH,反 応 時 間 ,イ オ ン 強 度 ,抗 原 と 抗 体 の 比 率 な ど ,第
2段 階 で は 抗 体 の 免 疫 グ ロ ブ リ ン ク ラ ス , メ デ ィ ウ ム の 種 類 , 抗 原 の 密 度 な
どが挙げられる。
[ 参 考 文 献 ] V.V.Tyler et al:Technical Manual,AMERICAN ASSOCIATION OF
BLOOD BANKS,1996,p213-216.
R 008 red cell aggregation
(神白和正)
赤血球凝塊形成
E015 erythrocyte aggregation 参 照 。
R 009 red cell ghost
赤血球ゴースト
(松浦尚雄)
erythrocyte ghost
E018 Erythrocyte ghost 参 照 。 赤 血 球 膜 標 品 を stromaと 呼 ぶ 時 , 溶 血 後
の 膜 成 分 が 無 傷 で 残 存 し て い る と red cell“ ghost” と 呼 ぶ と
Wintrobe:Clinical Hematology第 八 版 , 1981,に 記 載 が あ る 。 赤 血 球 膜 の 研
究 材 料 と し て 赤 血 球 を 溶 血 さ せ , 洗 滌 し て human red cell ghostを 得 る 。
ゴ ー ス ト は 赤 血 球 膜 の 化 学 組 成 ,透 過 性 ,変 形 性 ,裏 打 構 造 と 形 態 変 化 の 研
究に用いられている。
[参考文献]中尾
眞 : 新 生 理 学 大 系 15, 血 液 の 生 理 学 , 第 2章
血液の構
成 成 分 〔 細 胞 成 分 〕 , Ⅱ -1, 赤 血 球 膜 と 膜 輸 送 , 医 学 書 院 1990,P.42-56.
(木村あさの)
R 010 red cell iron renewal rate(RCIRR)
赤血球鉄代謝率
赤 血 球 の 有 効 産 生 量 を 表 現 す る た め に 考 案 さ れ た 。 正 常 人 の 5 1 Cr赤 血 球
消失曲線下の平均面積と被検者の面積の比をとると赤血球の相対生存率が
得 ら れ る 。こ れ に 正 常 人 の 平 均 赤 血 球 寿 命 を 乗 じ る と 被 検 者 の 有 効 赤 血 球 寿
命 が 得 ら れ る 。こ の 有 効 赤 血 球 寿 命 と 体 重 で 検 査 時 の 全 ヘ モ グ ロ ビ ン 鉄 量 を
除 す れ ば 赤 血 球 鉄 更 新 率 (RCIRR)が 得 ら れ る 。
RCIRR= HbFe/有 効 赤 血 球 寿 命 ×体 重
R 011 red cell iron turnover
(内田立身)
赤 血 球 鉄 交 代 (替 )率
赤血球鉄再生率
フ ェ ロ キ ネ テ ィ ク ス の 指 標 の 一 つ で , 1日 あ た り 赤 血 球 に 転 入 さ れ る 鉄 量
を 表 す 。PIT×% 5 9 Fe利 用 率( 最 大 )/100 mg/kg/日 で 計 算 さ れ る 。健 常 人 で
0.60(0.3∼ 0.9) mg/kg/日 , 再 生 不 良 性 貧 血 で 低 下 , 鉄 欠 乏 性 貧 血 , 溶 血 性
貧血で増加する。
R 012 red cell life span
(内田立身)
赤血球寿命
血 流 中 の 赤 血 球 の 寿 命 は 約 120日 で あ る 。 赤 血 球 が 老 化 し て く る と 変 形 能
の 低 下 等 に よ り 網 細 血 管 の 通 過 が 悪 く な り ,時 期 が く る と お も に 肝 臓 お よ び
脾 臓 に 取 り 込 ま れ て 破 壊 さ れ る 。こ の 際 ヘ モ グ ロ ビ ン は 鉄 を 失 っ て ビ リ ル ビ
ン と な る 。ま た 鉄 は 肝 臓 や 脾 臓 に 蓄 え ら れ て ,必 要 に 応 じ 骨 髄 に 運 ば れ て 赤
血球の産生に利用される。
R 013 red cell M.A.P.
(日吉克己)
M.A.P加 赤 血 球 (濃 厚 液 )
1991年 に 承 認 さ れ た 赤 血 球 製 剤 で , 添 加 液 と し て MAP( マ ン ニ ト ー ル ,
ア デ ニ ン , リ ン 酸 塩 を 含 む ) を 用 い 42日 間 保 有 が 可 能 に な っ た 。 し か し ,
Yershinia enterocolitica の 増 殖 が 稀 に あ り , 1995年 4月 か ら 21日 間 に 有
効 期 間 が 低 下 し た 。 4連 バ ッ グ で 採 血 し 血 漿 を 置 換 す る た め , 分 画 材 料 用 原
料 血 漿 の 確 保 に 適 し て い る 。但 し 従 来 の 濃 厚 赤 血 球( RC)よ り 血 漿 が 少 な い
の で , 新 鮮 凍 結 血 漿 ( FFP) の 適 応 拡 大 の お そ れ が あ る 。 又 凝 集 塊 を 作 り や
すい。
(霜山龍志)
R 014 red cell size distribution width (RDW)
赤血球粒度分布幅(域)
自 動 血 球 計 数 器 の 測 定 項 目 の 中 の ひ と つ で あ り 、単 位 は fl又 は % で 表 示 さ
れ る 。測 定 検 体 中 に 凝 集 塊 が 存 在 し た り ,赤 血 球 に 大 小 不 同 が あ る 時 に こ の
値が大きくなる。赤血球サイズが均一であれば値は小さくなる。
(鎌
倉正英)
R 015 Red Cross
赤十字
国 際 的 博 愛 主 義 に 基 づ き Henry Dunantに よ り 組 織 さ れ た 連 合 で ,本 来 の 主
旨 は 敵 味 方 の 差 別 な く 戦 時 の 負 傷 兵 ,病 兵 及 び 捕 虜 の 救 護 に あ た る こ と で あ
る が ,最 近 は す べ て の 人 類 の 災 害 に 対 す る 援 助 を 行 う こ と と な り ,各 国 に そ
れぞれの組織がある。
R 016 reduced hemoglobin
(前田義章)
還元ヘモグロビン
古くは,デオキシ(脱酸素化)ヘモグロビンに対して用いられたが,表
現 が 好 ま し く な い の で 現 在 は 用 い ら れ な い 。 D007 デ オ キ シ ( 脱 酸 素 化 ) ヘ
モグロビン参照。
(前田
信治)
R 017 refractory anemia(RA)
不応性貧血
通常の治療に反応しない難治性の貧血などの末梢血球減少を意味し,前
白 血 病 状 態 と の 関 連 が 示 唆 さ れ た 病 態 で あ っ た が ,現 在 で は 原 発 性 に 骨 髄 の
血 球 異 形 成( myelodysplasia)が あ り ,有 効 な 血 球 産 生 が 行 わ れ な い 骨 髄 異
形 成 症 候 群 ( Myelodysplastic syndrome: MDS) に 含 ま れ て い る 。 RAで 骨 髄
の 芽 球 数 の 多 い も の は ” refractory anemia with excess of blast” ( RAEB)
と 呼 ば れ ,そ の 前 白 血 病 的 性 格 が 強 調 さ れ て い る 。
[参考文献]
1.内 野 治 人 編:新 血 液 学 ,pp103-104,金 芳 堂 ,京 都 ,1984.2.吉 田 弥 太 郎 他:
骨 髄 増 殖 異 常 症 候 群 (MDS)の 診 断 と 治 療 Medical Practice 4: 56-59,1987.
(白川
茂)
R 018 reinfusion
返血
自 己 血 輸 血 な ど で ,あ ら か じ め 貯 血 し て お い た り ,術 前 に 希 釈 採 血 し た 自
己血や,術中に回収した自己血を必要に応じて患者自身に戻すこと。
(鷹野壽代)
R 019 rejuvenation
(保存血球の)若返り
賦活化
保 存 赤 血 球 の 酸 素 運 搬 機 能 と 輸 血 後 寿 命( 変 形 能 )を 改 善 す る こ と を ,輸
血 用 語 と し て ,若 返 り( rejuvenation )と 呼 ぶ 。保 存 期 間 中 に 保 存 赤 血 球 の
酸 素 運 搬 機 能 が 低 下 す る の は 赤 血 球 中 の 2,3-DPG( D011
2,3-bisphosphoglycerate参 照 ) が 低 下 す る こ と の 反 映 で あ り , 輸 血 後 寿 命
の 短 縮 の 原 因 の 一 つ は 赤 血 球 中 ATPの 低 下 で あ る 。 保 存 期 間 中 に 起 こ る
2,3-DPGや ATP低 下 防 止 を 考 慮 し た 保 存 液 が 考 え ら れ て い る が ,輸 血 直 前 に 若
返 り 液 で 加 温 し ,2,3-DPGや ATPを 改 善 し て 輸 血 す る 方 法( 若 返 り 法 )が あ る 。
[ 参 考 文 献 ]濱 崎 直 孝・白 木 洋:輸 血 用 赤 血 球 の 長 期 保 存 。最 新 医 学 48( 7)
982-988.1993.
R 020 reticulocyte
(濱崎直孝)
網赤血球
赤 血 球 産 生 過 程 で ,幼 若 赤 芽 球 の 成 熟 分 化 の 最 終 段 階 で あ る 正 染 性 赤 芽 球
( orthochromatic erythroblast) が 脱 核 し て 網 赤 血 球 に な る 。 網 赤 血 球 は
新 生 赤 血 球 を 示 し ,超 生 体 染 色( supravital staining:new methylene blue
や brilliant cresyl blueな ど ) で 塩 基 性 色 素 に 染 ま る 網 目 状 構 造 物 ( 糸 粒
体 や リ ボ ゾ ー ム , RNA断 片 ) が 残 存 し , い ず れ 胞 体 外 に 放 出 し て 成 熟 赤 血 球
に な る 。網 赤 血 球 は 骨 髄 機 能 の 重 要 な 尺 度 に な る 。
[参考文献]
Wintrobe M M : Clinical Hematology,8th,Edition,pp8,23 Lea &
Febiger,Philadelphia,1981.
(白川
R 021 reticulocytopenia and reticulocytosis
茂)
網状赤血球減少症・網状赤血球増
加症
網 赤 血 球 は 沈 降 好 塩 基 物 質 の 網 目 構 造 を も つ 幼 若 赤 血 球 で ,正 常 者 の 末 梢
血 中 網 赤 血 球 数 は 2∼ 25‰( 平 均 7.9‰ )で あ る 。網 赤 血 球 数 は 骨 髄 造 血 の 活
性 度 を 反 映 し ,再 生 不 良 性 貧 血 の よ う な 骨 髄 機 能 の 低 下 時 に は 末 梢 血 中 の 網
赤 血 球 減 少 を み ,一 方 活 発 な 造 血 再 生 を み る 過 程( 赤 色 髄 ),例 え ば 鉄 欠 乏
性貧血の恢復期や溶血性貧血などで網赤血球増加をみる。
[参考文
献 ] 1.Wintrobe M M: Clinical Hematology,8th Edition,pp8,23Lea &
Febiger,Philadelphia,1981.
2.脇 坂 行 一 監 修 : 病 態 血 液 学 . pp4,26,493,
南 江 堂 , 東 京 , 1997.
R 022 retransfusion
(白川
茂)
返血
RO18 reinfusion参 照
(鷹野壽
代)
R 023 retrovirus
レトロウイルス
逆 転 写 酵 素 (reverse transcriptase) を も つ RNAウ イ ル ス の こ と 。 普 通
の RNAウ イ ル ス は RNAか ら RNAを 作 っ て 増 殖 す る が , レ ト ロ ウ イ ル ス は 増 殖 の
過 程 で い っ た ん DNAを 合 成 し ,細 胞 DNAに 挿 入 さ れ る 。挿 入 さ れ た ウ イ ル ス DNA
を プ ロ ウ イ ル ス と 呼 ん で い る 。癌 ウ イ ル ス と し て 多 く の レ ト ロ ウ イ ル ス が 発
見されているが病原性の不明のものも数多い。
R 024 reversed typing
(山口一成)
ウ ラ 検 査 (試 験 )
ABO血 液 型 検 査 の 一 部 で ,被 検 血 清( 漿 )と 血 液 型 既 知 の A型 血 球 ,B型 血 球 ,O
型 血 球 と を 反 応 さ せ ,抗 A, 抗 Bの 有 無 を 確 認 す る 検 査 。 通 常 試 験 管 法 で 行 わ
れ ,オ モ テ 検 査 の 結 果 と 一 致 し て は じ め て ABO型 を 決 め る こ と が で き る 。
(高嶋聡子
坂本久浩)
R 025 Rh antigen and Rh antibody
Rh 抗 原 ・ Rh 抗 体
Rh抗 原 は 赤 血 球 の 膜 を 形 成 す る 蛋 白 質 の 一 部 で ,Rh抗 体 は 原 則 と し て 正 常
人 の 血 清 に は 存 在 せ ず ,型 不 適 合 輸 血 や 妊 娠 に よ る 免 疫 に よ っ て 産 生 さ れ る 。
産 生 さ れ た Rh抗 体 に よ っ て 主 要 な 5種 の 抗 原 と こ れ ら を 含 め て 約 50種 の 関 連
抗 原 が み つ か っ て い る 。Rh血 液 型 は ,遺 伝 に 対 す る 考 え 方 の 違 い か ら Rh表 記
法 と CDE表 記 法 が あ り , 両 方 を 併 記 す る こ と が 慣 例 に な っ て い る 。 他 に
Rosenfieldら ( 1962) の 番 号 に よ る 分 類 も あ る 。
R 026 Rh blood group system
(古川
研)
Rh血 液 型 ( 系 , シ ス テ ム )
Levineと Stetson( 1939) は 流 産 し た 婦 人 の 血 清 中 の 抗 体 の 反 応 か ら ,
Landsteinerと Wiener( 1940)は ア カ ゲ ザ ル( rhesus monkey)赤 血 球 を ウ サ
ギ に 注 射 し て 得 ら れ た 抗 血 清 の 反 応 か ら み つ け た 血 液 型 で あ る 。型 不 適 合 輸
血 や 妊 娠 に よ る ヒ ト の 同 種 免 疫 抗 血 清 で 検 出 さ れ る 血 液 型 の 一 系 統 で ,輸 血
に は ABO血 液 型 に 次 い で 重 要 な 血 液 型 で あ る 。 Rh抗 原 を 支 配 す る 遺 伝 子 座 は
第 1 染 色 体 に あ り , 遺 伝 子 DNA分 析 に よ っ て , 主 要 な 抗 原 エ ピ ト ー プ で あ る
Rho(D),rh'(C),rh'(c),rh"(E),hr"(e)を 発 現 す る 遺 伝 子 領 域 は Rho(D)ま た
は Hro(d)領 域 と rh'(C)ま た は rh'(c),rh"(E)ま た は rh"(e)支 配 領 域 の 2領 域
に 分 け ら れ る こ と が わ か っ て き た 。R028 Rh− Hr blood group system
血液型参照。
R 027 rhesus monkey
(古川
Rh-Hr
研)
アカゲザル
背中が赤褐色の毛で覆われているので,この名がついている。東南アジ
ア の 大 陸 部 に 住 ん で い て ニ ホ ン ザ ル よ り 少 し 小 型 で ,実 験 動 物 と し て よ く 使
わ れ て い た 。Landsteinerと Wiener( 1940)は ,ア カ ゲ ザ ル Macacus
rhesus
の MN血 液 型 を 調 べ る た め に 赤 血 球 を ウ サ ギ に 注 射 し て み た 。得 ら れ た 抗 血 清
中 に は 抗 Mや 抗 Nは 産 生 さ れ て い な か っ た が ,85% の 白 人 血 球 を 凝 集 さ せ る 新
し い 抗 体 を 見 い だ し ,ア カ ゲ ザ ル rhesus monkeyの 頭 文 字 を と っ て Rh因 子 (Rh
factor)と 名 付 け た 。 こ れ が ヒ ト の Rh血 液 型 の 発 見 の き っ か け と な っ た 。
(古川
研)
R 028 Rh-Hr blood group system
Rh-Hr血 液 型 ( 系 , シ ス テ ム )
R026 Rh blood group system
R 029 Rh incompatibility
Rh血 液 型 を 参 照 。
(古川
研)
Rh 不 適 合
一 般 に ,Rh血 液 型 の D(Rho)抗 原 の 不 一 致 を い う 。 広 義 に は 、 Rh血 液 型 の 各
抗原についての不一致をいう。
R 030 rouleaux formation
(比嘉幸枝
坂本久浩)
連銭形成
赤 血 球 が 自 己 血 漿 中 で コ イ ン を 積 み 重 ね た よ う に 沈 殿 す る 現 象 。連 銭 形 成
は 赤 血 球 沈 降 速 度 と 相 関 し , 血 漿 蛋 白 の フ ィ ブ リ ノ ゲ ン , α -2-macroglobulin、 IgM濃 度 が 高 い 多 発 性 骨 髄 腫 や 高 分 子 デ キ ス ト ラ ン 輸 注 患 者 の 血
漿で生じやすく,抗体による凝集と見誤ることがある。
[ 参 考 文 献 ] P.L.Mollison,C.P.Engelfriet,M.Contreras:Blood
transfusion in clinical medicine. Blackwell Scientific
Publications,Oxford.1993,p.319-320.
(坂本久浩)
[S]
S 001 saline-adenine-glucose-mannitol(SAGM)solution
SAGM保 存 液
全 血 か ら 血 漿 分 離 後 の 赤 血 球 に 添 加 す る た め の , い わ ゆ る proteinpoor medium あ る い は additive solutionと 呼 ば れ て い る 赤 血 球 保 存 液 の 一
つ で あ り , 赤 血 球 の ATP維 持 に 有 効 な ア デ ニ ン と 溶 血 を 抑 制 す る マ ン ニ ト ー
ル 等 を 含 む 。 Hogman等 に よ っ て 考 案 さ れ た SAGMの 他 , 同 様 な 処 方 の ADSOL,
Nutricel, Optisol等 が 米 国 の FDAで 認 可 さ れ て い る ( 有 効 期 間 : 採 血 後 42
日 間 ) 。 我 国 で は 同 様 な 用 途 の MAP保 存 液 が 1992年 に 日 赤 に よ っ て 開 発 さ れ
た。
(宮原
正行)
S 002 S antigen
S 抗原
1947年 に Walshら が 抗 グ ロ ブ リ ン 法 で 反 応 す る 抗 Sを 検 出 し た こ と で 発 見
さ れ た 。 MN系 と の 関 連 抗 原 で MNSs抗 原 の 一 部 で あ る 。 白 人 は S抗 原 が 多 く ,
日 本 人 は s抗 原 が 多 い 。 Ss抗 原 は シ ア ル 酸 を 多 く 含 む 糖 蛋 白 で δ -SGP
( glycophorin B)と 呼 称 さ れ る 。100個 か ら の ア ミ ノ 酸 か ら 成 り ,そ の ア ミ
ノ 酸 配 列 で 29番 目 が Sで は methionine, sで は threonineで あ る 。 抗 S, 抗 sは
抗 グ ロ ブ リ ン 法 で 検 出 さ れ る が 多 く な く , 特 に 抗 sは 少 な い 。
[ 参 考 文 献 ] 1)大 久 保 康 人 , 血 液 型 と 輸 血 検 査 , 医 歯 薬 出 版 社 , 第 1版 , 東
京 , 1991年 . 2) 遠 山
(渋谷
博 , 輸 血 学 , 改 訂 2版 , 中 外 医 学 社 , 東 京 , 1989.
温)
S 003 secondary anemia
二次(続発)貧血
続 発 性 貧 血 と も 云 い ,骨 髄 自 身 に は 異 常 は な い が 原 疾 患 の た め に 貧 血 が み
ら れ る の を 云 う 。例 え ば 慢 性 感 染 症 と か 膠 原 病 な ど の 場 合 に は 赤 血 球 に 鉄 が
充 分 利 用 さ れ な く な り ,か わ り に 網 内 系 の 活 性 化 で 鉄 は 沈 着 し て い る に も か
か わ ら ず ,小 球 性 ま た は 正 球 性 貧 血 を 呈 し て く る 。そ の 他 悪 性 腫 瘍 ,内 分 泌
疾 患 ,肝 腎 疾 患 な ど に と も な っ て く る 貧 血 も 含 ま れ て い る 。あ ま り 強 度 な 貧
血まで進行することはない。
S 004 secretor and nonsecretor
(滝口智夫)
分泌型(者)・非分泌型(者)
ABO血 液 型 物 質 を , 唾 液 や 精 液 な ど 体 液 中 に 多 量 分 泌 す る 分 泌 型
( secretor:Se型 ) と , 少 量 分 泌 ま た は ほ と ん ど 分 泌 し な い 非 分 泌 型
( non-secretor :se型 )と に 分 類 さ れ る 。Se血 液 型 と も 呼 ば れ て い る 。分 泌
型・非 分 泌 型 は ,メ ン デ ル 遺 伝 を 示 す 多 型 で ,Se型 は se型 に 対 し 優 性 で あ り ,
日 本 人 は Se型 約 75% ,se型 は 約 25% で あ る 。分 泌・非 分 泌 の 検 出 は 通 常 は 唾
液 を 試 料 と す る が ,精 液 ,膣 液 ,尿 ,汗 な ど か ら も 検 出 は 可 能 で あ り ,そ れ
が体液の血液型と呼ばれる所以である。
[ 参 考 文 献 ] 古 畑 種 基 : 血 液 型 学 ( 改 訂 第 2版 ) , 医 学 書 院 , 東 京 ,
1996.p.125-138.
(池本卯典)
S 005 segmented leukoyte
分葉核白血球
骨 髄 球 は 後 骨 髄 球 , 一 核 を 経 て , 核 は 分 節 す る 。 好 酸 球 は 多 く 2核 で あ る
が ,好 中 球 は 2∼ 5核 に 分 節 す る 。好 塩 基 球 は 0.5∼ 1.0% と 少 な い の で 通 常 分
節 が あ る か 注 目 し な い 。 segmented leukocyteは 好 酸 球 , 好 中 球 , 好 塩 基 球
の 3種 に 分 け , 好 中 球 に つ い て は 二 核 , 三 核 ---と 核 数 毎 に 記 載 す る 。 又 好
酸 球 ,好 塩 基 球 の % を 単 記 し ,好 中 球 に つ い て の み 一 核( stab),多 核( seg.)
と%を表記することもある。
S 006 selective IgA deficiency
(木村あさの)
選 択 的 IgA欠 損 症
免 疫 グ ロ ブ リ ン の 中 , IgAの み を 欠 損 し て い る 場 合 を い う 。 通 常 血 清 中 と
分 泌 液 中 の 両 者 の IgAを 欠 く 。SLEな ど の 自 己 免 疫 性 疾 患 に 関 連 し て み ら れ る
場 合 が 多 い が ,健 康 人 に も 見 い 出 さ れ る こ と が あ る 。日 本 人 の 頻 度 は 白 人 に
比 べ か な り 低 い た め( 約 2∼ 3万 人 に 1人 ),献 血 者 に つ い て IgA欠 損 を ス ク リ
ー ニ ン グ す る こ と は な さ れ て い な い 。 抗 IgAを 保 有 , あ る い は 産 生 す る こ と
が あ り ,こ の よ う な 患 者 へ の 血 漿 成 分 の 輸 注 は 少 量 で も 禁 忌 で あ り ,製 剤 確
保 も 困 難 で あ る 。も し 健 康 な う ち に 見 い 出 さ れ た 場 合 に は ,自 己 の 血 液 を 冷
凍 保 存 し て お く こ と が 勧 め ら れ る 。 I003 IgA deficiency 参 照 。
(吉岡尚文)
S 007 sensitized hemagglutination test
感作赤血球凝集試験
赤 血 球 表 面 に 特 異 的 な 抗 原 を 付 着 さ せ ,そ れ に 対 す る 抗 体 を 加 え る と 架 橋
を形成する結果,赤血球の凝集がみられるを利用し抗体の測定を行う方法。
間 接 赤 血 球 凝 集 反 応 や 受 身 赤 血 球 凝 集 反 応 (passive hemagglutination)
と 同 義 語 で あ る 。例 え ば ,慢 性 関 節 リ ウ マ チ 患 者 血 清 中 の リ ウ マ ト イ ド 因 子
(RF)は ヒ ト の 変 性 γ -グ ロ ブ リ ン に 対 す る 自 己 抗 体 で あ る が ,IgGを 赤 血 球 に
感 作 し て お け ば 患 者 血 清 中 の RFの 有 無 を 本 法 で 検 出 で き る 。赤 血 球 の 代 わ り
に ラ テ ッ ク ス な ど の 人 工 粒 子 を 担 体 と し て 用 い る 方 法 も あ る 。な お 逆 受 身 凝
集 反 応 と は 粒 子 の 表 面 に 抗 体 を 付 着 さ せ ,対 応 抗 原 を 加 え る と 凝 集 が 見 ら れ
ることをいう。
(田崎哲典
S 008 sensitized red blood cell
大戸
斉)
感作赤血球
赤 血 球 に 可 溶 性 抗 原 や 抗 体 を 結 合 さ せ た も の 。例 え ば 感 作 赤 血 球 溶 血 反 応
で は ヒ ツ ジ 赤 血 球 を ウ サ ギ 抗 ヒ ツ ジ 赤 血 球 抗 体 で 感 作 し ,補 体 を 含 む 血 清 を
添 加 す る と 溶 血 が 起 こ る の で ,そ の 度 合 い を 吸 光 計 で 計 測 す る 事 に よ り 補 体
量 が 測 定 で き る 。T細 胞 の Fc-receptorの 検 出 法 と し て ,ウ シ 赤 血 球 を 抗 ウ シ
赤 血 球 抗 体 で 感 作 し ,ウ シ 赤 血 球 と の ロ ゼ ッ ト 形 成 に よ り 観 察 で き る 。感 作
赤 血 球 凝 集 反 応 で は 赤 血 球 表 面 に 抗 原 を 付 着 さ せ ,対 応 す る 抗 体 を 加 え る と
赤血球の凝集が見られる事を利用する。
(田崎哲典
大戸
斉)
S 009 serological test for syphilis(STS)
梅毒血清試験
梅毒の血清学的診断法にはウシ心筋のアルコール抽出液から分離精製し
た リ ン 脂 質 ( カ ル ジ オ リ ピ ン ) を 抗 原 に 用 い る STS法 と 梅 毒 ト レ ポ ネ ー マ
( Treponema pallidum) を 抗 原 と し て 用 い る TP法 が あ る 。 STS法 と し て は ガ
ラ ス 板 法 , VDRL法 , 凝 集 法 , 緒 方 法 な ど が あ る 。 STS法 は 梅 毒 に 対 し て は 非
特異的反応であり,梅毒以外の種々の疾患で陽性を示す(生物学的偽陽性)
が ,術 式 が 簡 便 で 梅 毒 に 対 す る 鋭 敏 度 が 高 い の で ,ス ク リ ー ニ ン グ 検 査 と し
て優れている。
[参考
文 献 ] 金 井 正 光 : 臨 床 検 査 法 提 要 , 金 原 出 版 , 東 京 , 1993,944-953.
(三好知明)
S 010 serologic verification
血 清 学 (的 )検 定
ウ イ ル ス 性 疾 患 な ど に お け る 血 清 学 的 検 査 に よ る 確 定 診 断 ,鑑 別 診 断 を い
う 。検 体 血 清 は ペ ア 血 清 す な わ ち 感 染 初 期 の 急 性 期 と 感 染 後 2∼ 4週 間 後 の 回
復 期 の 少 な く と も 2つ 以 上 を 用 い る 。 同 時 に 抗 体 価 を 測 定 し , 有 意 の 抗 体 上
昇( 4倍 以 上 )が あ れ ば 用 い た 抗 原 を 有 す る ウ イ ル ス に よ る 感 染 と 解 釈 す る 。
CF反 応 ,HI反 応 ,NT反 応 法 ,FAT法 な ど が 用 い ら れ る 。anamnestic reaction
により再度抗体が上昇した場合などには診断に注意を要する。
(三浦泰裕)
S 011 serologicalliy defined antigen(SD antigen)
血 清 学 (的 )規 定 抗 原
特 異 性 の 高 い 抗 血 清 に よ っ て 決 定 さ れ る 抗 原 を SD抗 原 と 呼 ぶ 。 た と え ば
HLA;A,B,C,DR抗 原 は 代 表 的 SD抗 原 で 経 産 婦 由 来 の 血 清 を 用 い て 決 定 さ れ
て い る 。 以 前 は 欧 米 か ら 輸 入 し た 抗 HLA血 清 を 用 い て い た が 最 近 は 日 本 人 由
来 で 特 異 性 の 高 い 標 準 抗 HLA血 清 が 用 い ら れ て い る 。 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を
用いた方法もある。
(塩原信太郎)
S 012 serology
血清学
serum
血清
血 清 と は 単 な る 血 清 で は な く ,抗 体 を 含 ん だ 免 役 さ れ た ヒ ト ま た は 動 物 の
血 清 を 意 味 し て い る 。血 清 学 は 抗 原 抗 体 反 応 ,さ ら に は 補 体 を 含 め た 液 性 免
疫 を テ ー マ と す る 学 問 を さ し て い る 。か っ て は 免 疫 学 の 主 体 を な し て い た が ,
細 胞 性 免 疫 や ,免 疫 に 関 与 す る 細 胞 群 と ,そ れ ら の 相 互 作 用 や サ イ ト カ イ ン
な ど が 研 究 の 主 要 課 題 と 移 っ た た め ,免 疫 学 の 一 つ の 分 科 と な っ て き て い る 。
(十字猛夫)
S 013 serotherapy 血 清 療 法
serum therapy
抗 毒 素 ま た は 非 特 異 的 抗 血 清 の 投 与 に よ る 感 染 症 等 の 治 療 法 。細 菌 の 外 毒
素 ま た は ヘ ビ 毒 を 抗 体 に よ っ て 中 和 す る 受 身 免 疫 の 一 つ で あ る 。ジ フ テ リ ア
毒素に対するウマ抗血清をヒトに移入することにより毒素を中和する治療
法 と し て 開 始 さ れ た 。破 傷 風 ,ボ ツ リ ヌ ス 症 等 の 治 療 の 他 ,ヘ ビ 咬 症 の 治 療
に も 用 い ら れ る 。異 種 血 清 を 投 与 す る た め 血 清 病 と い わ れ る 副 作 用 を 引 き 起
こすことがあり,最近では免疫ヒトグロブリンを使用する方向にある。
(三好知明)
S 014 serotype
血清型
細菌表面の抗原性の違いを特異抗体やモノクローナル抗体により細分類
し た 際 の 亜 型 の こ と 。血 清 型 は 病 原 性 を 推 定 し た り ,疫 学 的 調 査 の 指 標 と し
て 利 用 さ れ る 。腸 内 細 菌 で は O,K,お よ び H抗 原 が 分 類 の 指 標 と し て 用 い
ら れ , 病 原 性 と 血 清 型 の 関 連 性 が 明 ら か な 細 菌 も あ る 。 近 年 , DNAの 相 同 性
に 基 づ く 分 類 案 が 提 唱 さ れ て い る が ,病 原 性 と の 関 連 か ら 医 学 細 菌 学 に 馴 染
まない部分もある。分類上の混乱を避けるため,亜種以下の細分には
serotypeと い う 用 語 は 避 け , 意 味 の 同 じ serovarを 使 用 す る よ う 勧 め ら れ
ている。
(吉岡
尚文)
S 015 serum albumin
血清アルブミン
肝 臓 で 合 成 さ れ る 66,000ダ ル ト ン の 蛋 白 で ,血 清 中 3.5∼ 5.5g/dl含 ま れ る 。
陽・陰 イ オ ン の 双 方 に 可 逆 的 に 結 合 で き ,血 漿 中 の 各 種 物 質 の 運 搬 ,不 活 性
化 の 働 き を も つ 。ま た ,膠 質 浸 透 圧 の 調 整 能 を も ち ,正 常 血 漿 の 膠 質 浸 透 圧
の う ち 80% が ア ル ブ ミ ン に よ っ て 維 持 さ れ て い る 。こ の よ う な 生 理 的 作 用 を
目 的 で 加 熱 血 漿 蛋 白 と し て ア ル ブ ミ ン 製 剤 が 治 療 用 に 使 用 さ れ て い る が ,本
邦で消費量が極端に多く,使用基準の徹底化が望まれている。
(松本美富士)
S 016 serum allergy
血清アレルギー
輸 血 に よ る 免 疫 過 敏 性 副 作 用 の 原 因 。即 時 型 お よ び 遅 発 型 過 敏 反 応 が あ る 。
ア レ ル ギ ー 反 応 の 機 序 に よ り , Coombs と Gellに よ る Ⅰ -Ⅳ 分 類 が 多 用 さ れ
る 。 Ⅰ 型 は IgE依 存 型 ( ア ナ フ ィ ラ キ シ ー 型 ) , Ⅱ 型 は 細 胞 障 害 型 ( 不 適 合
輸 血 ),Ⅲ 型 は 免 疫 複 合 体 型( 血 清 病 ),Ⅳ 型 は 細 胞 免 疫 型 で あ る 。日 常 臨
床 で は ,こ れ ら の 機 序 が 単 一 で 生 じ る だ け で は な く ,各 機 序 が 複 数 関 与 し て
輸 血 副 作 用 を も た ら す こ と が 多 い 。な お 、Roittは Ⅴ 型 を 提 唱 し た が ,こ れ は
細胞刺激型で甲状腺機能亢進症などの病態説明に使用される。
(松田重三)
S 017 serum anaphylaxis
血清アナフィラキシー
す で に 何 ら か の 原 因 に よ り 産 生 さ れ て い た 抗 IgEと , 輸 血 さ れ た 血 液 中 の
ア レ ル ゲ ン と が 反 応 し ,肥 満 細 胞 が 活 性 化 さ れ ,種 々 の 生 物 学 的 作 用 を 有 す
る 化 学 伝 達 物 質 ( chemical mediators) が 遊 離 す る こ と に よ り 生 じ る 反 応 。
輸 血 開 始 数 分 後 ∼ 50分 前 後 に 生 じ ,蕁 麻 疹 ,手 足 か ら 始 ま る 全 身 の 掻 痒 と 紅
潮 ,浮 腫 ,呼 吸 困 難 ,低 血 圧 な ど が 見 ら れ ,こ れ ら は 化 学 伝 達 物 質 に よ る 平
滑 筋 の 収 宿 と 血 管 透 過 性 の 亢 進 症 状 を 反 映 し た 症 状 で あ る 。輸 血 後 早 期 に 発
症するほど重症となる。
S 018 serum disease (sickness)
(松田重三)
血清病
発 症 予 防 や 治 療 の 目 的 で ,異 種 動 物 由 来 の ジ フ テ リ ア や 破 傷 風 な ど の 抗 毒
素 血 清 を 投 与 さ れ た 患 者 が ,2∼ 3週 間 後 に 蕁 麻 疹 様 発 疹 ,発 熱 ,関 節 痛 や 蛋
白 尿 な ど が 出 現 す る こ と が あ り ,こ の よ う な 病 態 を 血 清 病 と よ ぶ 。異 種 動 物
の血清に対する正常な免疫反応によって生じるが,臨床的に重要なことは,
抗 毒 素 に よ る 治 療 の 歳 ,同 様 の 治 療 の 既 往 の 有 無 を 確 認 す る こ と で あ る 。再
生 不 良 性 貧 血 治 療 剤 の 抗 リ ン パ 球 グ ロ ブ リ ン (A076 ALG)も 異 種 動 物 血 清 由
来であるので,投与時留意が必要である。
S 019 serum globulin
(松田重三)
血清グロブリン
I011 immune serum globulin参 照 。
(坂本久
浩)
S 020 Serum groups
(遺伝的)血清型
血 清 蛋 白 に み ら れ る 遺 伝 的 多 型 の こ と 。ハ プ ト グ ロ ビ ン( TF型 ),GCグ ロ
ブ リ ン( GC型 ),ト ラ ン ス フ ェ リ ン( TF型 ),免 疫 グ ロ ブ リ ン 型( Gm型 ,Km
型 )な ど 20種 以 上 の 血 清 蛋 白 の 型 判 定 法 が 確 率 さ れ て い る 。電 気 泳 動 法( 主
に等電点電気泳動)による易動度の差により型が判定される蛋白が多いが,
免疫グロブリン型は赤血球凝集阻止法による。型が地理的勾配を示す蛋白,
人 種 に よ り 型 に 偏 り の あ る 蛋 白 ,疾 患 と 型 と が 関 連 す る 蛋 白 な ど が あ り ,人
類 遺 伝 学 的 研 究 や 親 子 鑑 定 な ど に 広 く 用 い ら れ て い る 。 serum protein
types(polymorphisms)と も 言 う 。
S 021 serum hepatitis
(吉岡尚文)
血清肝炎
血 液 や 血 液 製 剤 の 輸 血 に 基 づ く ウ イ ル ス 肝 炎 を い う 。最 近 で は 血 清 肝 炎 と
い う 言 葉 は 殆 ど 用 い ら れ ず ,輸 血 後 肝 炎 post-transfusion hepatitisと い う
用 語 が 使 わ れ て い る 。肝 炎 症 状 を 併 発 す る 病 原 微 生 物 ,殊 に ウ イ ル ス は 多 い
が , 狭 義 に は B型 肝 炎 ウ イ ル ス , C型 肝 炎 ウ イ ル ス , ( D型 肝 炎 ウ イ ル ス ) ,
ウ イ ル ス 未 同 定 の た め 現 時 点 で は 詳 細 不 明 な G型 肝 炎 ウ イ ル ス , 或 い は
non-B,non-C hepatitis virusに よ る 肝 炎 を 指 す 。
S 022 serum iron
(片山
透)
血清鉄
体 内 の 鉄 の 約 2/3 は 赤 血 球 内 の ヘ モ グ ロ ビ ン の 構 成 成 分 と し て 含 ま れ て
お り ,残 り の 大 部 分 は 貯 蔵 鉄 と し て 肝 臓 や 脾 臓 内 に フ ェ リ チ ン や ヘ モ ジ デ リ
ン と し て 存 在 す る 。貯 蔵 部 か ら 出 た 鉄 は ,血 清 中 で は す べ て ト ラ ン ス フ ェ リ
ン と 結 合 し て 骨 髄 に 運 ば れ ,赤 芽 球 に と ら れ ヘ モ グ ロ ビ ン に 合 成 さ れ る 。血
清 中 の 鉄 は 体 内 の 総 鉄 量 の 約 0.1%で , 血 清 鉄 値 の 正 常 値 は 男 が 55∼ 163μ
g/dl, 女 が 51∼ 139μ g/dl( 国 際 標 準 化 委 員 会 法 ) と さ れ い る 。
(斉藤憲治)
S 023 serum protein
血清蛋白
血 漿 か ら フ ィ ブ リ ノ ゲ ン な ど の 凝 固 因 子 を 除 い た 血 清 中 に 含 ま れ る 80種
類 以 上 の 蛋 白 の 総 称 名 で ,正 常 値 は 6.5∼ 8.0g/dlで あ る 。セ ル ロ ー ス ア セ テ
ー ト 膜 電 気 泳 動 で ア ル ブ ミ ン , α 1, α 2, β , γ -グ ロ ブ リ ン 分 画 に 分 類 さ
れ ,免 疫 電 気 泳 動 で 種 々 の 蛋 白 が 同 定 さ れ る 。各 種 蛋 白 の 定 量 は 微 量 の も の
を 含 め ,抗 原 抗 体 反 応 を 利 用 し た 最 近 の 感 度 の 高 い 各 種 機 器 に よ っ て 測 定 さ
れている。血清蛋白の異常は種々の疾患,病態の診断,評価に利用される。
(松本美富士)
S 024 serum(serologic) reaction, seroreaction
血清反応
ヒトや動物の血清中で起こる反応または血清の作用によって生ずる反応。
(坂本久浩)
S 025 sialic acid
シアル酸
細 胞 膜 に associateす る 糖 蛋 白 と 糖 脂 質 に 含 有 さ れ て お り , そ の 量 が 補
体の結合に際して細胞の親和性に関係する。すなわち,細胞膜中の
sialicacidの 含 量 が 高 い 細 胞 は 副 経 路 に お け る C3bの Hへ の 活 性 化 を 促 進
するが,B へのそれは増加しないので,副経路の活性化を抑制する。逆に
sialic acidの な い 細 胞 で は 細 胞 膜 に お け る 補 体 活 性 化 の 進 行 が 抑 制 さ れ な
い。
(中村
S 026
徹)
sickle cell anemia
鎌状血球貧血
ヘ モ グ ロ ビ ン を 構 成 す る グ ロ ビ ン 分 子 の 遺 伝 的 変 異 ( β グ ロ ビ ン 鎖 の 6番
目 の ア ミ ノ 酸 が グ ル タ ミ ン 酸 か ら バ リ ン に 置 換 , こ れ を HbSと い う ) の ホ モ
接 合 体 を い う 疾 患 名 で ヘ モ グ ロ ビ ン 異 常 症 の 一 種 。慢 性 溶 血 性 貧 血 ,末 梢 血
流 閉 塞 に よ る 疼 痛 発 作 が 主 症 状 で 黒 人 に 多 い 。末 梢 血 中 に 鎌 状 な い し 三 日 月
形 の 赤 血 球( sickle cellな い し drepanocyte)が み ら れ る こ と か ら こ の 病 名
が つ け ら れ た 。 HbS症 , 鎌 状 赤 血 球 症 sickle cell disease と も よ ば れ る 。
[ 参 考 文 献 ] 三 輪 史 朗 他 編 : 血 液 病 学 , 第 2版 , 文 光 堂 , 1995,p.701-704.
(三輪史朗)
S 027 sideroachrestic anemia
鉄不応貧血
鉄剤の投与に反応しない貧血の総称。一般には骨髄異型成症候群の不応
性 貧 血 や 鉄 芽 球 性 貧 血 ・ ビ タ ミ ン B6欠 乏 性 貧 血 な ど を 指 す 。
S 028 sideroblastic anemia
(三澤眞人)
鉄芽球貧血
鉄芽球性貧血は赤芽球のミトコンドリア内に鉄が沈着する先天性または
後 天 性 の 貧 血 の 総 称 で , 患 者 血 液 標 本 を Prussian blue 染 色 す る と 赤 芽 球
の 核 周 囲 に 鉄 顆 粒 が 環 状 に 染 色 さ れ る 。hemeの 合 成 不 全 が 鉄 沈 着 の 本 体 と 考
え ら れ ,フ ェ ロ カ イ ネ テ ッ ク ス で は 無 効 造 血 パ タ ー ン を 示 す 。後 天 性 に は 薬
剤・ア ル コ ー ル 中 毒・銅 欠 乏 等 に よ り 発 症 し 治 療 に よ り 回 復 す る も の と ,特
発性で骨髄増殖性疾患や骨髄異型成症候群等の幹細胞レベルでの異常によ
ると考えられるものがある。
S 029 sideropenic
anemia
(三澤眞人)
鉄欠乏貧血
sideropeniaは ギ リ シ ャ 語 の 鉄 を 意 味 す る siderosと ,欠 乏 を 意 味 す る 接 尾
語 penia か ら な り の 鉄 欠 乏 症 を 意 味 す る 。 sideropenic anemiaは 鉄 欠 乏 (性 )
貧 血 に 相 当 し , 一 般 に は 血 清 鉄 の 低 下 を 伴 う iron deficiency anemiaと 同 意
語と考えられる。
S 030 sludged blood
(三澤眞人)
沈殿血液
sludging of blood は Coccius( 1852年 )に よ り 初 め て 注 目 さ れ た 現 象 で ,
Kniselyら( 1947年 )は 生 体 の 組 織 を 直 接 顕 微 鏡 的 に 観 察 し た と き 発 見 し た 。
あ る 種 の 疾 患 に お い て は ,毛 細 血 管 内 壁 に 凝 集 し た 赤 血 球 が 付 着 し て 細 動 脈
の循環が停滞する現象。
[ 参 考 文 献 ] 医 学 英 和 大 辞 典 10版 加 藤 勝 治 編 , 1973年 ,南 山 堂 よ り
(坂本久浩)
S 031 snake venom factor
蛇毒因子
蛇 毒 酵 素 に は Ancrod, Batroxobin, Batrocetin, Ecarin, Textarin,
RVV-X, RVV-Vな ど が あ り ,こ れ ら は 凝 固 系 と 線 溶 系 に 作 用 す る 。特 に Ancrod
は Malayan pit viper venom よ り ,Batroxobin は Bothrops atrox
moojeni
の 毒 液 か ら 高 純 度 に 精 製 さ れ た ト ロ ン ビ ン 様 セ リ ン プ ロ テ ア ー ゼ で あ る 。こ
れ ら は フ ィ ブ リ ン ノ ペ プ チ ド Aを 遊 離 し た 可 溶 性 フ ィ ブ リ ン や , 架 橋 形 成 の
な い フ ィ ブ リ ン を 形 成 す る 。ま た FDPの 増 加 ,α 2 プ ラ ス ミ ン イ ン ヒ ビ タ ー の
減少もみられ,血栓症の治療で脱フィブリノゲン療法として用いられる。
[ 参 考 文 献 ] K,RUbsamen, W,Hornberger,M.Kirchengast:Inhibition of
arterial thrombus formation in two canine models:Comparison of ancrod,
a fibrinogen depleting agent,the thrombin-inhibitor r-hirudin,and the
glycoprotein Ⅱ b/Ⅲ a-Receptor antagonist Ro 43-8857. Thrombo
Haemost,74:1353-1360,1995.
S 032 spherocytic anemia
(藤巻道男)
球状赤血球貧血
球 状 赤 血 球 が 目 立 つ 貧 血 の 意 。 あ ま り 使 わ れ る こ と は な い 。 hereditary
spherocytosisの こ と を 指 し た と 思 わ れ る が , 単 に 球 状 赤 血 球 が 目 立 つ 貧 血
を意味したとすれば,自己免疫性溶血性貧血の一部はこれに含められる。
(三輪史朗)
S 033 stab cell
杆状核白血球
末 梢 血 塗 抹 標 本 ( Giemsa染 色 ) で 好 中 性 顆 粒 球 の 核 が 一 核 の も の を 言 う 。
ド イ ツ 語 の , Neutrophiler Stabkernigerの こ と 。 Band neutrophil, non
filamented neutrophil, juvenile neutrophil, 杆 状 核 球 と 同 じ 。
[参
考 文 献 ] H.Begemann,J.Rastetter:Atlas der klinischen Hamatologie Begr
undet von L.Heilmeyer und H.Begemann Zweite Auflage.Springer-Verlag
1972,P.26
S 034 stored blood
(木村あさの)
保存血液
貯 血 さ れ た 血 液 。或 い は 保 存 さ れ た 血 液 。
S 035 stroma
(轟木元友)
基質
1)赤 血 球 を 低 張 液 で 溶 血 さ せ ,遠 心 分 離 し て 得 ら れ た 水 に 不 溶 の 灰 白 色 残
渣 。比 較 的 純 粋 に 得 ら れ る 細 胞 膜 と し て 生 化 学 的・物 理 化 学 的 研 究 に 広 く 用
い ら れ て い る 。 ghost ゴ ー ス ト と も 言 う 。 2)葉 緑 体 内 部 の 水 溶 性 部 分 を 言
い , 蛋 白 質 , 酵 素 , 色 素 体 DNA, 色 素 体 RNA, 色 素 体 リ ポ ソ ー ム な ど を 含 む 。
(吉田久博)
S 036 syphilis
梅毒
梅 毒 ト レ ポ ネ ー マ( Treponema
pallidum)の 感 染 に よ っ て 引 き 起 こ さ れ
る 性 感 染 症 の ひ と つ 。子 宮 内 で の 感 染( 先 天 梅 毒 )や 輸 血 に よ る 感 染 も あ る 。
臨 床 症 状 は 一 般 的 に は 第 1期( 初 期 硬 結 ,局 所 リ ン パ 節 腫 脹 ),第 2期( 梅 毒
疹 ),第 3期( ゴ ム 腫 ),第 4期( 変 性 梅 毒 )の 経 過 を と る が ,輸 血 梅 毒 で は
第 1期 を 欠 く 。ま た 第 1潜 伏 期 例( 感 染 後 ,初 期 硬 結 発 生 ま で の 3週 間 )は STS
法 と Treponemaを 抗 原 と し て 用 い た 方 法 と も 血 清 診 断 が 陰 性 と な る た め , 供
血者として注意が必要である。
見紀久男:梅毒,編者 吉利和,新内科学
[ 参 考 文 献 ]皆
体 系 55
東 京 , 1975,89-107.
感染症Ⅳ,中山書店,
(三好知明)
[T]
T 001 tanned red cell
タンニン酸処理赤血球
受身赤血球凝集反応や逆受身赤血球凝集反応において用いられる赤血球
( 担 体 )は ,通 常 ヒ ツ ジ 赤 血 球 や ニ ワ ト リ 赤 血 球 で あ る 。こ れ ら の 赤 血 球 を
グ ル タ ー ル 溶 液 な ど で 固 定 後 ,タ ン ニ ン 酸 溶 液 を 用 い て 赤 血 球 に 精 製 し た 抗
体 ま た は 抗 原 を 結 合 さ せ て 凝 集 法 の 検 出 試 薬 を 作 成 す る 。タ ン ニ ン 酸 溶 液 に
よ り 赤 血 球 膜 を 処 理 す る と ,赤 血 球 膜 が タ ン パ ク 質 を 非 特 異 的 に 結 合 す る よ
うになることを利用している。
T 002 T cell
(柴田洋一)
T 細胞
胸 腺 由 来 リ ン パ 球 ( thymus-derived lymphocyte) と 呼 ば れ て い た が , 現
在 で は T細 胞 ま た は Tリ ン パ 球 と 呼 ば れ る 。造 血 幹 細 胞 ,前 駆 細 胞 が 胸 腺 を 経
由して分化したリンパ球群で,抗体産生の調節,細胞性免疫の作用を持ち,
末 梢 血 単 核 球 の 約 60% , 脾 細 胞 の 約 40% に 存 在 し , B細 胞 に 比 し て 再 循 環 に
富 み ,一 部 は 極 め て 長 命 と い わ れ て い る 。抗 原 認 識 は T細 胞 レ セ プ タ ー( TCR)
α , β ( 鎖 ) TCRと γ , δ ( 鎖 ) TCRに 大 別 さ れ る 。 主 な る T細 胞 と そ の 機 能
は cytotoxic T-cell( TC) 細 胞 障 害 性 T細 胞 は 主 に ウ イ ル ス に 対 す る 免 疫 関
与 ,移 植 片 や 腫 瘍 細 胞 に 対 し て 抗 原 特 異 的 障 害 性 を 示 す 。helper T cell( Th)
ヘ ル パ ー T細 胞 は 種 々 の サ イ ト カ イ ン 産 生 , 抗 原 特 異 的 ま た は 非 特 異 的 に B
細 胞 の 抗 原 産 生 へ の 分 化 を 助 け , 抗 体 産 生 を 促 進 す る 。 suppressor T cell
( Ts) サ プ レ ッ サ ー T細 胞 は 抗 原 分 子 そ の も の を 認 識 す る の で は な く , 細 胞
表 面 に 発 達 し た 自 己 MHC分 子 と 外 来 抗 原 と の 複 合 物 を 認 識 し , 特 異 的 に 非 特
異 的 に B細 胞 ま た は ヘ ル パ ー T細 胞 を 抑 制 し , 抗 体 産 生 を 阻 止 す る 。
[ 参 考 文 献 ]C.A.Bona.,F.A.Bonilla.:textbook of Immunology second
Harwood academic publishers. 1996,p139-185.
(若杉和倫)
ed.
T 003 thalassemia
地中海貧血
サラセミア
ヘ モ グ ロ ビ ン を 構 成 す る α ,β ,γ ,δ ,な ど の 各 ポ リ ペ プ チ ド 鎖 の 合 成
が 選 択 的 に 抑 制 さ れ る こ と に よ っ て 生 じ る 先 天 性 疾 患 で ,小 球 性 低 色 素 性 貧
血 ,無 効 造 血 と と も に 脾 腫 ,特 有 の 骨 変 化 が み ら れ る 。グ ロ ビ ン 遺 伝 子 の 変
異 に よ っ て 特 定 の サ ブ ユ ニ ッ ト 鎖 の 合 成 が 抑 制 さ れ る と ,ヘ モ グ ロ ビ ン 合 成
量 が 低 下 す る と と も に ,他 方 の サ ブ ユ ニ ッ ト 鎖 が 相 対 的 に 過 剰 と な り ,不 安
定 で 変 性 し や す い ヘ モ グ ロ ビ ン が で き る た め 無 効 造 血 や 溶 血 を 起 こ す 。合 成
が 抑 制 さ れ る ポ リ ペ プ チ ド 鎖 の 種 類 に よ り ,α サ ラ セ ミ ア や β サ ラ セ ミ ア な
ど に 分 類 さ れ る 。サ ラ セ ミ ア 遺 伝 子 は 常 染 色 体 優 性 遺 伝 に よ り 伝 わ る が ,ホ
モ 接 合 体 で あ る か ヘ テ ロ 接 合 体 で あ る か ,ま た 遺 伝 子 の 異 常 の 性 質 の 相 違 に
よ り 重 症 型 ,中 間 型 ,軽 症 型 に 分 け ら れ る 。通 常 赤 血 球 輸 血 と 鉄 過 剰 症 に 対
す る 鉄 の キ レ ー ト 剤 の 投 与 が 行 わ れ る が ,重 症 例 で は 同 種 骨 髄 移 植 も 行 わ れ
る。
(斎藤憲治)
T 004 therapeutic antiserum
治療用抗血清
ジ フ テ リ ア ,破 傷 風 , 毒 蛇 咬 傷 ( ハ ブ , ま む し な ど ) や ボ ツ リ ヌ ス な ど の
治 療 に 使 用 さ れ る 主 に ウ マ の 異 種 抗 毒 素 血 清 で あ る 。 ジ フ テ リ ア 毒 素 (A,-B
因 子 )や 破 傷 風 菌 毒 素( テ タ ノ ス パ ス ミ ン )な ど を 中 和 す る 。使 用 時 に は ウ マ
血清の使用歴や血清過敏症の無いことを確認する。抗毒素ヒト血清としてヒ
ト免疫グロブリンがあるが,やはり血清病に注意が必要である。
(櫻田恵右)
T 005 thrombasthenia
血小板無力症
G017 Glanzmann thrombasthenia と 同 義 参 照
T 006 thrombin[ inhibitor]
(倉田義之)
トロンビン[阻害因子]
血液凝固反応でプロトロンビンが活性化をうけて出来るセリンプロテア
ー ゼ で ,止 血 に 重 要 な 働 き を す る 。1)フ ィ ブ リ ノ ゲ ン の フ ィ ブ リ ン へ の 転 換 ,
2)第 Ⅴ ,Ⅷ ,ⅩⅢ因 子 の 活 性 化 ,3)血 小 板 の 凝 集 が 主 な 作 用 で あ る 。ト ロ ン ビ
ン は 血 中 の ア ン チ ト ロ ン ビ ン Ⅲ と 呼 ば れ る イ ン ヒ ビ タ ー で 中 和 さ れ る が ,ヘ
パリンはその作用を数百倍に促進する。
T 007 thrombin antithrombin Ⅲ complex(TAT)
(斉藤英彦)
トロンビン・アンチトロンビンⅢ
複合体
ト ロ ン ビ ン と ア ン チ ト ロ ン ビ ン Ⅲ の 複 合 体 で ,抗 ト ロ ン ビ ン モ ノ ク ロ ナ ー
ル 抗 体 と 抗 ア ン チ ト ロ ン ビ ン Ⅲ の サ ン ド イ ッ チ ELISAに て 測 定 す る 。 DICや
種 々 の 血 栓 症 で 増 加 し ,ト ロ ン ビ ン が 生 成 さ れ て い る 鋭 敏 な 指 標 と な る 。血
漿 の 正 常 値 は 製 品 に よ っ て 異 な る が , TAT 3.0ng/ml以 上 で 過 凝 固 状 態 ,
10ng/ml以 上 で 血 栓 性 疾 患 が 疑 わ れ る 。20ng/ml以 上 で 線 溶 系 も 亢 進 し て い る
と ,DICが 疑 わ れ る 。
T 008 thrombocytapheresis
(和田英夫)
血小板成分採取
血小板成分除去
platelet aphere
sis
P050 platelet apheresis 参 照 。
(小川昌
昭)
T 009 thrombocyte
血小板
P045 platelet 参 照 。
T 010 thrombo(-cyto)penia and thrombocytosis
血小板減少症・血小板増加症
末 梢 の 血 小 板 数 は 正 常 で は 15∼ 35万 /μ lで あ る 。血 小 板 数 が 10万 /μ l以 下
に減少すれば,血小板減少症と診断して良い。血小板減少の原因としては,
血 小 板 の 産 生 能 の 低 下 ,血 小 板 の 破 壊 亢 進 ,血 小 板 の 分 布 異 常 に 大 別 さ れ る 。
抗 凝 固 剤( EDTAな ど )に よ る 偽 性 血 小 板 減 少 症 も 鑑 別 す べ き で あ る 。一 方 血
小 板 増 多 症 の 場 合 ,血 小 板 数 は 40万 /μ l以 上 と な り ,そ の 原 因 と し て は ,血
小 板 の 腫 瘍 性 の 造 成 に よ る 一 次 性 の も の( 本 態 性 血 小 板 血 症 )と 基 礎 疾 患 に
伴う二次性のものに大別される。
T 011 thrombocytopenic purpura
(冨山佳昭)
血小板減少性紫斑病
血 小 板 減 少 に よ る 出 血 性 疾 患 を 意 味 す る 。疾 患 と し て は ,特 発 性( ま た は
自 己 免 疫 性 ) 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 [ idiopathic( or
autoimmune)thrombocytopenic purpura] , 母 児 間 の 血 小 板 特 異 抗 原 不 適 合
に 起 因 す る 新 生 児 同 種 免 疫 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 ( neonatal alloimmune
thrombocytopenic purpura)な ど が あ る 。こ の 他 に も 全 身 に 微 小 血 栓 を 形 成
す る 血 栓 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 (thrombotic thrombocytopenic purpura)が
知られている。
(冨山佳昭)
T 012 thrombomodulin
トロンボモジュリン
血 管 内 皮 細 胞 の 表 面 に 存 在 す る 強 力 な 抗 凝 固 作 用 を も つ 分 子 量 8万 の 糖 蛋
白 。血 管 内 に 血 液 凝 固 の 結 果 ト ロ ン ビ ン が 生 成 す る と ,過 剰 な ト ロ ン ビ ン は
ト ロ ン ボ モ ジ ュ リ ン と 複 合 体 を 形 成 す る 。 複 合 体 は 血 中 の プ ロ テ イ ン Cを 活
性 化 し ,凝 固 Ⅴ ,Ⅷ 因 子 を 選 択 的 に 不 活 性 化 す る 。つ ま り 凝 固 反 応 に ブ レ ー
キをかける。またこの複合体は線溶を促進する作用もあわせ持つ。
(斉藤英彦)
T 013 thromboplastin(TF)
トロンボプラスチン
マ ク ロ フ ァ ー ジ な ど の 細 胞 膜 に 存 在 す る 分 子 量 4万 の 糖 蛋 白 で , 外 因 系 凝
固 の 引 き 金 と な る 。 別 名 tissue factor組 織 因 子 と も 呼 ば れ る 。 組 織 ト ロ ン
ボ プ ラ ス チ ン は 凝 固 Ⅶ 因 子 の レ セ プ タ ー と し て 働 き ,一 旦 両 者 の 複 合 体 が で
き る と ,Ⅹ 因 子 お よ び Ⅸ 因 子 を 活 性 化 し て 凝 固 反 応 を 始 動 す る 。プ ロ ト ロ ン
ビ ン 時 間 検 査 に 用 い ら れ る の は ,ウ サ ギ ,牛 な ど の 組 織 ト ロ ン ボ プ ラ ス チ ン
が 多 い 。 T017 tissue factor 参 照 。
T 014 thrombo(ーcyto)poiesis
(斉藤英彦)
血小板産生
血 小 板 ( platelet=thrombocyte,栓 球 ) は 骨 髄 の 巨 核 球
(megakaryocyte,Mgk)の 細 胞 質 が 分 離 膜 に よ り 分 割 , 産 生 さ れ る 。 Mgkの 増
加 ・ 成 熟 は ト ロ ン ボ ポ エ チ ン に よ り 調 節 さ れ , 成 熟 度 に よ っ て 巨 核 芽 球 (Ⅰ
型 ), 前 巨 核 球 (Ⅱ型 ),巨 核 球 (Ⅲ 型 )の 3型 が あ る 。 1ヶ の 成 熟 Mgkか ら 約 2000
∼ 4000の 血 小 板 が 産 生 さ れ ,幹 細 胞 か ら 血 小 板 出 現 ま で 約 10日 と 考 え ら れ て
いる。
(櫻田恵右)
T 015 thrombopoietin
血小板増殖因子
最 近 遺 伝 子 が 明 ら か に さ れ た ト ロ ン ボ ポ エ チ ン は 分 子 量 約 38kdの 糖 蛋 白
質 で ,主 な ヒ ト 産 生 臓 器 は 成 人 ,胎 児 と も 肝 臓 で あ る 。種 特 異 性 は 低 く ,ヒ
ト 遺 伝 子 は 第 3染 色 体 長 腕 に あ る 。 作 用 は 血 小 板 産 生 に 特 異 性 が 高 く , 骨 髄
や 脾 の 巨 核 球 の 増 加・成 熟 を 促 し 血 小 板 産 生 を 亢 進 す る 。骨 髄 移 植 ,癌 化 学
療法後などの血小板減少への臨床応用が期待されている。
同義
語 ; C-MPL Ligand
[ 参 考 文 献 ] deSauvage FJ,Hass PE,Spensor SD,et al.: Stimulation
ofmegakaryocytepoiesis and thrombopoiesis by the c-MPL
ligand.Nature369: 533-538,1994.
(櫻田恵右)
T 016 thrombotic thrombo(-cyto)penic purpura(TTP)
血栓性血小板減少性紫斑病
何 ら か の 原 因 に よ り 血 小 板 が 凝 集 し そ の 結 果 と し て ,血 小 板 減 少 症 ,溶 血
性 貧 血 ,発 熱 ,精 神 神 経 症 状 及 び 腎 機 能 不 全 を 呈 す る 症 候 群 を 言 う 。こ の 本
態 は 血 管 内 皮 細 胞 の 障 害 と そ れ に 引 き 続 く か ,も し く は 独 立 し て 血 小 板 が 凝
集 し ,そ の 結 果 細 小 血 管 に 血 小 板 を 主 体 と し た 血 栓 が 形 成 さ れ ,同 時 に 消 費
に よ り 血 小 板 減 少 が 起 こ り ,溶 血 性 貧 血 と 出 血 傾 向 が 認 め ら れ 種 々 の 臨 床 像
を 呈 す る と 考 え ら れ て い る 。こ の 血 管 内 皮 細 胞 の 障 害 に は 種 々 の 因 子 が 関 与
し て い る と 推 定 さ れ て い る 。明 ら か な 基 礎 疾 患 あ る い は 薬 剤 と の 関 係 な ど が
考 え ら れ る 症 例 も あ る が ,必 ず し も 明 ら か で な い こ と も 多 い 。ま た 同 一 家 系
において発症が認められることもあり遺伝的な要素も推定されている。
(高松純樹)
T 017 tissue factor(TF) 組 織 因 子
TFは ,血 管 が 損 傷 さ れ る と 損 傷 部 分 か ら 露 出 し ,外 因 系 凝 固 カ ス ケ ー ド の
活 性 化 を 担 う 因 子 の 一 つ で あ る 。リ ン 脂 質 膜 結 合 性 の 糖 蛋 白 で あ り ,脳・肺・
腎・胎 盤 な ど 種 々 の 正 常 組 織 や 腫 瘍 細 胞・白 血 病 細 胞 な ど に 存 在 す る 。そ の
作 用 機 序 は , 血 漿 中 の セ リ ン プ ロ テ ア ー ゼ で あ る 第 Ⅶ a因 子 と 1: 1の モ ル 比
で 分 子 複 合 体 を 形 成 し , 第 Ⅶ a因 子 の 活 性 を 著 し く 増 強 し 血 液 凝 固 を 引 き 起
こす。
(藤村吉博)
T 018 tissue factor pathway inhibitor(TFPI)
組織因子系凝固インヒビター
TFPIは , 組 織 因 子 に よ る 外 因 系 凝 固 を 制 御 す る イ ン ヒ ビ タ ー で 、 分 子 量
38,000ダ ル ト ン の 一 本 鎖 ポ リ ペ プ チ ド で あ る 。そ の 抗 凝 固 活 性 は ,TFPIが 第
Ⅹ a因 子 存 在 下 に 組 織 因 子 と 第 Ⅶ a因 子 複 合 体 を 形 成 し ,こ れ ら 因 子 の 活 性 化
反 応 を 阻 害 す る こ と に よ る 。ま た ,ア ン チ ト ロ ン ビ ン Ⅲ 等 と 同 様 ,ヘ パ リ ン
結 合 性 蛋 白 で あ り ,ヘ パ リ ン の 存 在 に よ り ,そ の 抗 凝 固 活 性 が 著 し く 増 強 さ
れる。
(藤村吉博)
T 019 tissue type plasminogen activator
組織型プラスミノゲンアクチベーター
線 維 素 溶 解 反 応 に お け る 重 要 な 因 子 で ,蛋 白 分 解 活 性 を 有 す る プ ラ ス ミ ン
を ,血 中 プ ラ ス ミ ノ ゲ ン か ら 転 化 さ せ る 為 に 必 要 な 因 子 の 一 つ で あ る 。そ の
機 序 は フ ィ ブ リ ン に 対 し て 高 い 親 和 性 を も つ た め ,血 管 内 皮 細 胞 か ら 血 中 に
放 出 さ れ ,フ ィ ブ リ ン が 形 成 さ れ る と ,こ れ に 吸 着 さ れ て フ ィ ブ リ ン の 表 面
に 結 合 し て い る プ ラ ス ミ ノ ゲ ン と 三 量 体 を 形 成 し ,プ ラ ス ミ ノ ゲ ン 活 性 を 惹
起し,限定分解により,プラスミンに転化させる。(藤村吉博)
T 020 tissue type plasminogen activator inhibitor
組織型プラスミノゲンアク
チベーター阻害因子
線 溶 系 の 活 性 化 因 子 で あ る tissue-type plasminogen activator
( t-PA;T019を 参 照 ) に 対 す る セ リ ン プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー 。 代 表 的 な
因 子 と し て は PAI-1が あ る 。 PAI-1は , 分 子 量 50,000-54,000ダ ル ト ン の 糖 蛋
白 で ,血 漿・血 小 板・内 皮 細 胞 に 出 現 し ,t-PAの 酵 素 活 性 中 心 と 1:1に 結 合
し ,t-PA活 性 を 失 活 さ せ る 。
(藤
村吉博)
T 021 total blood volume
全血液量
B051 blood volume参 照
(坂本久
浩)
T 022 total iron binding capacity(TIBC)
総鉄結合能
血 清 中 の 鉄 は ト ラ ン ス フ ェ リ ン と 呼 ば れ る 蛋 白 ( β 1グ ロ ブ リ ン の 一 種 )
と 結 合 し て 運 搬 さ れ て お り ,し た が っ て ト ラ ン ス フ ェ リ ン の 濃 度 が 総 鉄 結 合
能( TIBC)に 相 当 す る 。鉄 と 結 合 し て い な い ト ラ ン ス フ ェ リ ン の 濃 度 が 不 飽
和鉄結合能に相当し,血清鉄濃度と不飽和鉄結合能の和が総結合能となる。
総 鉄 結 合 能 の 測 定 の 原 理 は , 塩 化 第 2鉄 な ど の 鉄 を 過 量 に 血 清 に 加 え , ト ラ
ンスフェリンに結合しない過剰の鉄を炭酸マグネシウムなどで吸着して除
き ,鉄 で 飽 和 さ れ た 血 清 に つ い て 鉄 を 測 定 す る も の で あ る 。総 鉄 結 合 能 は 鉄
欠乏性貧血でのみ特異的に増加し,その他の疾患では正常ないし低下する。
(斎藤憲治)
T 023 total plasma volume
全(循環)血漿量
循 環 血 液 量 は Nadler又 は 小 川 の 式 に よ り 算 出 す る 。小 川 の 式 は( 呼 吸 と 循
環 18:833 838、1970)
BV=0.168H 3 +0.050W+0.444( 男 )
0.250H 3 +0.063W-0.662( 女 )
BV:循 環 血 液 量( ㍑ ),H:身 長( ㍍ ),W:体 重 (Kg),BVに ヘ マ ト ク リ ッ ト
値 ( %) を 乗 じ た 値 が total plasma volumeと な る 。 体 外 循 環 量 は 献 血 者 の 推
定 循 環 血 液 量 の 15% を 越 え な い よ う に ,ま た 採 血 漿 量 は 循 環 血 液 量 の 12% 以
内が適当とされている。
T 024 total (serum) protein
(小川昌昭)
(血 清 )総 蛋 白
血 清 中 に 含 ま れ る 各 種 蛋 白 の 総 量 を 意 味 し ,正 常 値 は 6.5∼ 8.0g/dlで あ る 。
各 種 疾 患 ,病 態 に よ っ て 変 動 す る た め 臨 床 的 に 基 本 的 生 化 学 検 査 と し て ,そ
の 増 減 が 評 価 さ れ て い る 。低 下 は 主 に ア ル ブ ミ ン の 減 少 で あ り ,体 蛋 白 の 喪
失 ,長 期 の 栄 養 障 害 ,悪 液 質 ,重 症 肝 障 害 な ど に よ る 合 成 低 下 に よ る 。上 昇
は 脱 水 症 以 外 で は ,主 と し て 免 疫 グ ロ ブ リ ン の 増 加 に よ る も の で あ り ,多 発
性 骨 髄 腫 な ど の M蛋 白 血 症 , 膠 原 病 , 慢 性 肝 疾 患 な ど で み ら れ る 。
(松本美富士)
T 025 tourniquet
駆血帯
静 脈 か ら 採 血 を 行 う 時 に 上 腕 を 駆 血 す る た め に 使 用 す る ゴ ム 管 な ど 。駆 血
帯 や マ ン シ ェ ッ ト で は 肘 関 節 の 上 部 を 40∼ 60mmHgの 圧 で 駆 血 し ,血 管 を 怒 張
さ せ る こ と で ,静 脈 穿 刺 と 採 血 を 容 易 に す る こ と が で き る 。ま た ,四 肢 か ら
の 大 出 血 時 に , 救 急 処 置 と し て , 時 間 を 限 っ て 強 い 圧 で 駆 血 帯 を か け ,止 血
することもある。
T 026 transfer bag
(村上和子)
分離バッグ
用 途 に よ り 材 質 は 異 な る が ,血 液 バ ッ グ と 同 様 ,シ ン グ ル バ ッ グ も 複 数 の
バ ッ グ が 連 結 さ れ た も の も あ る 。容 量 も 数 種 類 あ り ,保 存 液 は 入 っ て お ら ず ,
メ イ ン の バ ッ グ に は ス パ イ ク 針 か コ ネ ク タ ー が つ い て い る 。ア フ ェ レ ー シ ス
に お け る 血 漿 や 血 小 板 の 採 取 と 保 存 ,ま た 骨 髄 液 か ら の 幹 細 胞 の 分 離 調 整 や
保存などに使用される。
T 027 transferrin
(村上和子)
トランスフェリン
ト ラ ン ス フ ェ リ ン は β -グ ロ ブ リ ン 分 画 に 属 す る 血 漿 タ ン パ ク の 一 つ で ,
鉄 の 担 体 タ ン パ ク で あ る 。抗 菌 ,抗 ウ イ ル ス 作 用 も あ る と 言 わ れ て い る 。肝
臓 で 合 成 さ れ ,主 と し て ,血 漿 中 で は 鉄 と 結 合 し て ,骨 髄 や 貯 蔵 臓 器 に 鉄 を
運 搬 す る 働 き を し て い る 。 正 常 人 で は 全 ト ラ ン ス フ ェ リ ン 分 子 の 1/3が 鉄 と
結 合 し て お り , 残 り 2/3が 不 飽 和 の 状 態 で あ る 。 ト ラ ン ス フ ェ リ ン の 鉄 と 結
合 し う る 能 力 を 総 鉄 結 合 能( TIBC)と い い ,250-400μ g/dlを 正 常 値 と す る 。
(高梨吉則)
T 028 transformation
形質変換
DNAが 細 菌 な ど の 細 胞 に 入 る こ と に よ っ て 細 胞 の あ る 性 質 が 変 換 す る こ と 。
こ れ よ り 遺 伝 子 の 本 体 が DNAで あ る こ と が 証 明 さ れ た 。 片 仮 名 で ト ラ ン ス フ
ォ ー メ イ シ ョ ン と 書 か れ た 場 合 , 細 胞 癌 化 と ほ ぼ 同 義 語 で あ り , 3T3( 線 維
芽 ) 細 胞 に 癌 細 胞 の DNAを 入 れ る と 腫 瘍 細 胞 類 似 の 性 質 を 発 現 す る こ と な ど
を 言 う 。こ れ を 利 用 し て ト ラ ン ス フ ォ ー ミ ン グ 遺 伝 子 が 単 離 さ れ ,癌 遺 伝 子
および癌抑制遺伝子の研究が発展した。
T 029 transfusion hepatitis
(松井良樹)
輸血後肝炎
輸 血 後 肝 炎 と 同 義 と 解 釈 し て よ い 。狭 義 に は 肝 炎 ウ イ ル ス に よ る 輸 血 後 の
肝 炎 を 指 す 。 S021 serum hepatitis 血 清 肝 炎 参 照 。 post-transfusion
hepatitisと 同 義 語 。
T 030 transfusion medicine
(片山
透)
輸血医学
輸 血 に 関 す る 学 問 や 学 術 研 究 は「 輸 血 学 」と 称 さ れ て い た が ,近 年 の 医 学 ,
医療技術の進歩に伴いその対象とする分野は基礎医学から臨床医学まで広
範囲のものとなってきた。すなわち採血,検査,保存,感染症,成分輸血,
ア フ ェ レ ー シ ス , 免 疫 , 自 己 血 輸 血 , サ イ ト カ イ ン 療 法 , 幹 細 胞 移 植 ,人 工
血液など臨床医学,治療医学など広範な領域を網羅するものとなり狭義の
「輸血学」から「輸血医学」という名称で呼ばれるようになってきた。
(湯浅晋治)
T 031 transfusion reaction
輸血反応
B047 blood transfusion reactionに 同 じ
T 032 transfusion service
(稲葉頌一)
輸血部
病 院 の 診 療 部 の 一 つ で ,集 中 的 に 一 貫 し た 輸 血 業 務 を 行 う 部 門 。内 容 と し
て は 血 液 セ ン タ ー よ り 供 給 さ れ る 血 液 の 受 け 払 い ,血 液 製 剤 の 適 正 な 保 管 管
理 ,輸 血 に 関 す る 諸 検 査 ,血 液 製 剤 の 適 正 使 用 の 推 進 ,輸 血 療 法 に 関 す る 情
報 の 提 供 ,貯 血 式 自 己 血 の 採 血 ,保 管 管 理 ,輸 血 用 血 液 製 剤 に 対 す る 放 射 線
照射業務,末梢血幹細胞の採取,保存,研修医に対する教育などを行う。
[ 参 考 文 献 ]1)厚 生 省
T 033 transfusion set
血液製剤使用の適正化について
(湯浅晋治)
輸血セット
輸血用血液を静注する際に使用されるポリエチレン製の透明の点滴セッ
ト の こ と 。血 液 バ ッ グ を 破 損 し な い よ う に プ ラ ス チ ッ ク・ス パ イ ク が 付 い て
い る 。ま た ,製 剤 中 の フ ィ ブ リ ン 塊 に よ っ て 目 詰 ま り し な い よ う に 流 出 口 が
三 つ に な っ て い る 。通 常 150∼ 200μ の メ ッ シ ュ・フ ィ ル タ ー が 内 蔵 さ れ て い
る 。こ の よ う な 通 常 の セ ッ ト 以 外 に も 微 小 凝 集 塊 除 去 フ ィ ル タ ー ,白 血 球 除
去フィルターなどが市販されている。
T 034 transfusion therapy
(稲葉頌一)
輸血療法
赤 血 球 ,血 小 板 お よ び 凝 固 因 子 と し て の 血 漿 と い う 三 つ の ヒ ト 血 液 由 来 の
成 分 に よ る 補 充 療 法 で あ る 。薬 害 エ イ ズ が 社 会 問 題 化 す る 以 前 か ら ,わ が 国
の 輸 血 療 法 の 在 り 方 に つ い て 多 く の 問 題 点 が 指 摘 さ れ て き た 。一 つ は 完 全 な
国 内 自 給 が で き て お ら ず ,大 量 に 外 国 か ら 売 血 血 液 を 主 と し て 原 料 血 漿 と し
て 購 入 し て い る こ と ,も う 一 つ は ,輸 血 療 法 が 知 識 を 十 分 持 た な い 医 師 の 自
由裁量によって行われ適応とならない輸血が数多くなされていることであ
る。
T 035 translocation
(稲葉頌一)
転座
染 色 体 の 一 部 が ち ぎ れ て 他 の 染 色 体 に 結 合 す る こ と 。白 血 病 な ど で は 特 異
的 な 転 座 が 認 め ら れ る 。 慢 性 骨 髄 性 白 血 病 で は 第 9染 色 体 と 第 22染 色 体 の 各
断 片 が 相 互 に 入 れ 替 わ っ た 相 互 転 座 に よ る Ph 1 ( フ ィ ラ デ ル フ ィ ア ) 染 色 体
が 90% 以 上 の 症 例 に 認 め ら れ る 。 B細 胞 腫 瘍 に は 免 疫 グ ロ ブ リ ン 重 鎖 遺 伝 子
の 転 座 ,T細 胞 腫 瘍 に は T細 胞 抗 原 受 容 体( TCR)遺 伝 子 の 転 座 ,成 人 T細 胞 白
血 病 に は 14q11転 座 が 高 頻 度 に 認 め ら れ る 。
T 036 transplacental hemorrhage(TPH)
(松井良樹)
経胎盤出血
本来,隔離されているはずの胎児血球が母体循環へ入り込む,いわゆる
経 胎 盤 出 血 は , 母 子 免 疫 の 原 因 に な る 。 TPHは 妊 娠 初 期 か ら み ら れ , そ の 頻
度 な ら び に 量 は 妊 娠 経 過 と と も に 増 加 す る 。 分 娩 時 に お け る TPHは , 妊 娠 中
に 比 べ て 頻 度 な ら び に 量 も 多 く ,ほ ぼ 全 例 に 起 こ る と 考 え ら れ る 。胎 児 ヘ モ
グ ロ ビ ン 検 出 法 と し て は ,ア ル カ リ 変 性 の Singer法 , 酸 に よ る 溶 出 を 利 用
し た Kleihauer法 が あ り , 特 に 荻 田 ・ 石 河 法 は ベ ッ ト サ イ ド の 定 量 法 と し
て 有 用 で あ る 。 F025 fetomaternal transfusion
胎児母体間輸血 参照。
(中村幸夫)
T 037 transplant (graft)
移植片
臓 器 で も 細 胞 で も 移 植 さ れ た 成 分 の 総 称 。骨 髄 移 植 で は 移 植 さ れ た 造 血 細
胞 ,腎 臓 移 植 で は 移 植 さ れ た 腎 臓 ,肝 臓 移 植 で は 移 植 さ れ た 肝 臓 が そ れ ぞ れ
移植片である。
(塩原信太郎)
T 038 transplantation immunity
移植免疫
臓 器 移 植 後 に 惹 起 さ れ る 免 疫 反 応 を い う 。host-versus-graft( HVG)反 応
と graft-versus-host( GVH)反 応 が 有 り ,臓 器 移 植 で は HVG反 応 に よ っ て 移 植
片 拒 絶 が ,骨 髄 移 植 で は GVH反 応 に よ っ て GVH病 が 発 症 す る 。反 応 の 重 症 度 は
HLAの 遺 伝 的 差 異 の 大 き さ に よ っ て 決 ま る の で ,移 植 は HLAの 近 い 移 植 片 が 選
択される。
(塩原信太郎)
T 039 traumatic anemia
外傷貧血
血 管 外 へ 赤 血 球 が 失 わ れ る こ と に よ っ て 生 ず る 貧 血 で あ る 。特 に 体 外 失 血
で は 造 血 の 素 材( 鉄 な ど )を 失 う こ と に な る の で 赤 血 球 新 生 に も 大 き な 影 響
を も ち ,鉄 欠 乏 性 貧 血 の 合 併 は 必 須 と な る 。輸 血 や 鉄 剤 の 投 与 を 行 っ て 加 療
する必要がある。
T 040 Treponema pallidum(TP)
(日吉克己)
梅毒トレポネーマ
ス ピ ロ ヘ ー タ 科 に 属 す る 螺 旋 状 の 細 菌 で ,梅 毒 の 病 原 と な る 。大 き さ は 長
さ 4∼ 14μ ,体 幅 0.09∼ 0.18μ ,8∼ 12の 旋 回 数 が あ る 。外 界 で の 抵 抗 性 は き
わ め て 弱 く , 特 に 乾 燥 や 熱 に 対 し て 弱 い 。 4℃ , 96時 間 保 存 に よ り , 血 中 で
は ほ と ん ど 死 滅 し 感 染 力 を 失 う 。ペ ニ シ リ ン ,テ ト ラ サ イ ク リ ン ,マ ク ロ ラ
イド系抗生物質に対して感受性を有す。
皆見紀久男:梅毒,編者
吉利和,新内科学
店 , 東 京 , 1975,89-107.
T 041 triple bag
トリプルバッグ
[参考文献]
体 系 55
感染症Ⅳ,中山書
(三好知明)
三連バッグ
三 連 の 血 液 バ ッ グ で , 採 血 と 保 存 の た め に 使 用 さ れ る 。 200ml用 と 400ml
用 と が あ る 。保 存 液 を 兼 ね た 抗 凝 固 剤 の 入 っ た 親 バ ッ グ に 二 つ の 子 バ ッ グ が
連 結 さ れ て お り ,親 バ ッ グ に 採 血 し た 血 液 を 遠 心 分 離 し た 後 ,赤 血 球 ,血 漿 ,
血小板の三成分に分離調整することができる。
T 042 tropical anemia
(村上和子)
熱帯貧血
熱帯地方において頻度の高い疾患による貧血を総称して熱帯性貧血
( tropical anemia) と い う 。 こ の 原 因 に は マ ラ リ ア , 鈎 虫 症 , 住 血 吸 虫 症
な ど 原 虫 , 寄 生 虫 疾 患 , 鉄 , ビ タ ミ ン B12, 葉 酸 な ど の 栄 養 障 害 が 多 い が ,
サ ラ セ ミ ア ,G-6-PD欠 乏 症 ,鎌 状 赤 血 球 症 な ど の 先 天 性 疾 患 な ど も 認 め ら れ
る。保健知識に乏しいことや頻回の妊娠などが重症化の要因となっており,
その治療をいっそう困難にしている。
[ 参 考 文 献 ] P.E.C.Manson-Bar.Manson's Tropical Diseases,Bailliere
Tindall,London,1987,935.
T 043 true polycythemia
(三好知明)
真性多血症
P064 primary polycythemiaを 参 照 の こ と
(鎌倉正英)
T 044 Trypanosoma cruzi,ク ル ー ズ ・ ト リ パ ノ ゾ ー マ
シ ャ ー ガ ス 病( Chagas' disease)を 引 き 起 こ す 原 虫 。鞭 毛 虫 類 に 属 す が ,
人 体 細 胞 内 で は 無 鞭 毛 期 ,血 中 で は 錘 鞭 毛 期 と な り ,吸 血 後 昆 虫 内 で 上 鞭 毛
期 を 経 て ,糞 内 で 感 染 性 で あ る 発 育 終 末 ト リ パ ノ ソ ー マ と な る 。侵 深 地 で は
イ ヌ ,ネ コ ,ア ル マ ジ ロ な ど が 広 く 感 染 し て お り ,サ シ ガ メ が 媒 介 者( vector)
と な る 。感 染 は サ シ ガ メ の 刺 咬 時 ,糞 便 中 の 原 虫 が 刺 口 部 か ら 侵 入 す る こ と
による。
[ 参 考 文 献 ]吉 田
幸 雄 : 図 説 人 体 寄 生 虫 学 , 南 山 堂 , 東 京 , 1991,16-27.
(三好知明)
T 045 twin (to twin) transfusion syndrome
胎児間輸血
F024 fetofetal transfusion と 同 義 語 。
T 046 two fold (serial) dilution
(柴田洋一)
2倍(系列)希釈
被 検 体 中 の 含 有 量 を 半 定 量 的 に 測 定 す る た め に 用 い る 希 釈 法 。複 数 本( n)
の 試 験 管 に 一 定 量 ( a) の 陰 性 対 照 血 清 ま た は 溶 解 液 を 分 注 す る 。 初 め の 試
験 管 へ 等 量 ( a) の 被 検 体 を 入 れ , 良 く 混 和 し , そ こ か ら 次 の 試 験 管 に 同 じ
量( a)を 移 し て 混 和 ,さ ら に 次 の 試 験 管 へ 移 す 操 作 を n回 ,繰 り 返 す 。こ の
操 作 に よ り 2倍 希 釈 , 4倍 希 釈 , 8倍 希 釈 , 16倍 希 釈 の 順 に , 2 n 倍 の 希 釈 液 が
準備できる。
T 047 type and screen
(品田章二)
血液型不規則抗体スクリーニング(法)
T&Sは 輸 血 さ れ る 可 能 性 が 低 い 手 術 例 で , 急 に 血 液 が 請 求 さ れ た 場 合 に ,
血 液 型 の み を 確 認 し て 届 け る 方 式 を い う 。 待 機 的 手 術 を 受 け る 患 者 の ABO,
Rh型 及 び 不 規 則 抗 体 を 検 査 し ,Rh陰 性 及 び 不 規 則 抗 体 陽 性 者 を 除 き ,輸 血 の
可 能 性 が 30%以 下 , あ る い は 予 想 出 血 量 が 400ml以 下 の 患 者 に つ い て T&S扱 い
と す る こ と が 多 い 。最 大 血 液 量 準 備 方 式 (M012 maximum surgical blood order
schedule,MSBOS)に 相 対 す る 方 式 で あ る 。
[参考文
献 ] Boral,L.I., Henry, J.B.: The type and screen : a safe alternative
and supplement in selected surgical procedures. Transfusion,
17:163-168,1977.
(小松文夫)
[U]
U 001 ultraviolet blood irradiation
紫外線血液照射
実 験 動 物 で は 紫 外 線 照 射 し た 血 液 を 輸 血 す る と 少 な く と も MHC同 種 抗 原 感
作 が 抑 制 さ れ る 。 in vitroで 抗 原 提 示 細 胞 に 紫 外 線 照 射 す る と MLRが 抑 制 さ
れ る の と 同 様 な 機 序 が 作 用 す る と 考 え ら れ る 。 MHC を 含 め 多 く の 膜 抗 原 は
照 射 後 で も 各 抗 体 と 普 通 に 反 応 す る 。放 射 線 照 射 に は こ の よ う な 作 用 は な い 。
ヒトの輸血による同種抗原感作の予防にも応用される可能性がある。
(池田久実)
U 002 umbilical cord blood
臍帯血
C052 cord bloodと 同 義 語 。
U 003 universal recipient
万能受容者
万 能 供 血 者 に 対 す る 言 葉 で ,AB型 の 患 者 は 赤 血 球 に は A抗 原 と B抗 原 を 持 っ
て い る が ,血 清 中 に は 抗 Aも 抗 Bも 有 し て い な い の で AB型 の 患 者 は AB型 の 供 血
者 以 外 に O, A, B型 の 供 血 者 か ら も 血 液 を 受 け る こ と が で き る 。 そ こ で AB型
の 患 者 を 万 能 受 血 者 と い う 。た だ し 現 在 で は 同 型 の 適 合 供 血 者 の 得 ら れ な い
場 合 の HLA適 合 血 小 板 な ど を 除 い て は AB型 の 患 者 に は 、 や は り AB型 の 供 血 者
の血液しか輸血されていない。
U 004 unsaturated iron binding capacity(UIBC)
(前田義章)
不飽和鉄結合能
血 清 中 で は 鉄 は す べ て ト ラ ン ス フ ェ リ ン と 結 合 し て い る が ,通 常 は 血 清 中
の ト ラ ン ス フ ェ リ ン の す べ て が 鉄 を 結 合 し て い る わ け で は な い 。一 定 量 の 血
清 が さ ら に 鉄 を 結 合 す る 量 が 不 飽 和 鉄 結 合 能( UIBC)で ,こ れ に 血 清 鉄 値 を
加 え た も の を 血 清 総 鉄 結 合 能( TIBC)と い う 。TIBCは 血 清 中 の ト ラ ン ス フ ェ
リ ン 量 と ほ ぼ 平 行 す る 。こ れ ら の 値 の 測 定 は ,貧 血 の 鑑 別 診 断 に 重 要 で ,鉄
欠 乏 性 貧 血 で は 血 清 鉄 値 の 低 下 , UIBCと TIBCの 上 昇 が 見 ら れ る 。
(斉藤憲治)
[V]
V 001 vaccination
予防接種
生体に免疫を与える抗原を含む生物学的製剤をワクチンといい,これを
疾 病 の 予 防 の た め に 人 体 に 接 種 す る こ と を い う 。ワ ク チ ン に は 生 弱 毒 性 微 生
物を含むものと不活化微生物または微生物の感染防御抗原を含む不活化型
の 2種 類 が あ っ て , そ の 安 全 性 と 有 効 性 を 確 実 に す る た め に 製 造 は 薬 事
法 ,GMP(good manufacturing practice) お よ び 生 物 学 的 製 剤 基 準 に 従 っ て
いる。予防接種法によって定期接種(百日咳,ジフテリア,ポリオ,麻疹,
風 疹 )と 臨 時 接 種( イ ン フ ル エ ン ザ ,日 本 脳 炎 ,ワ イ ル 病 ,秋 や み ),結 核 ,
B型 肝 炎 な ど の 予 防 接 種 が あ る 。
(川
島康平)
V 002 vasoconstrictor reflex
血管収縮反射
V004 vasovagal syncope[reflex]( 血 管 迷 走 神 経 反 射 ) と 同 義 語 と 思 わ
れる。供血者から採血する場合に徐脈,末梢冷感,顔面蒼白,嘔吐,失禁,
高 度 低 血 圧 ,失 神 等 が 起 こ る 反 射 で あ り ,時 に は 痙 攣 さ え 引 き 起 こ す 。多 く
は 初 回 の 採 血 時 に 起 こ る 。失 神 を 起 こ す 確 率 は 、採 血 の 量 に よ る と も い わ れ ,
440mlの 採 血 で 3.8% , 540mlの 採 血 で 8.5% ( 大 人 の 症 例 ) と の 報 告 も あ る 。
[参考文献]
・P.L.Mollison:Blood transfusion in clinical medicine,ninth
Ed.Oxford Blackwell Scientific
Publications,London,Edinburgh,Boston,Melbourne,Paris,Berlin,Vienna,
1993,pp8-10.
V 003 vasospasm
(轟木元友)
血管攣縮
血管痙攣
A049 angiospasm参 照
(鷹野壽
代)
V 004 vasovagal syncope [reflex]
血管迷走神経失神[反射]
迷 走 神 経 刺 激 に よ っ て 起 き る 低 血 圧 ,除 脈 を 主 徴 と す る 副 交 感 神 経 反 射 で
あ る 。脳 貧 血 症 状 が 特 徴 的 で な 生 あ く び ,顔 面 蒼 白 か ら 始 ま り ,気 分 不 良 ・
悪 心・嘔 吐・全 身 冷 汗 な ど の 症 状 が よ く 見 ら れ る 。こ の レ ベ ル で 収 ま ら な い
場 合 は 転 倒・痙 攣・意 識 消 失 に 至 る 。採 血 時 の 穿 刺 痛 ,過 緊 張 ,不 安 感 ,脱
血 過 剰 な ど が 誘 因 と な る 。早 期 に 発 見 で き れ ば 頭 部 下 降 な ど の 体 位 変 換 ,冷
水 刺 激 な ど で 回 復 す る が ,冷 汗 が 見 ら れ る よ う に な れ ば 輸 液・昇 圧 剤・硫 酸
アトロピンなどを経静脈投与する。一般に後遺症無く短時間で回復するが,
心不全患者では後遺症を残す可能性が高い。
V 005 vector
ベクター
(稲葉頌一)
媒介動物
組 み 換 え DNA技 術 を 用 い て ,導 入 す べ き DNA断 片 を 宿 主 細 胞 に 運 ぶ 自 己 複 製
型 DNA分 子 で あ る 。 細 菌 プ ラ ス ミ ド , フ ァ ー ジ お よ び ウ イ ル ス ベ ク タ ー が あ
る 。遺 伝 子 治 療 に は ウ イ ル ス ベ ク タ ー が 汎 用 さ れ て い る 。ウ イ ル ス ベ ク タ ー
は ,野 生 型 ウ イ ル ス の ウ イ ル ス 構 成 蛋 白 合 成 に 関 与 す る 遺 伝 子 を 除 い て ,治
療 用 遺 伝 子 で 組 み 換 え て あ る の で ,細 胞 へ の 感 染 力 は 残 存 さ れ て い る が ,野
生 型 ウ イ ル ス 粒 子 を 作 れ な い 。レ ト ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー ,ア デ ノ 関 連 ウ イ ル
ス ベ ク タ ー お よ び ア デ ノ ウ イ ル ス ベ ク タ ー が よ く 研 究 さ れ て い る 。前 二 者 は
細胞の染色体に導入されるが,後者は染色体に導入されない。
(伊藤和彦)
V 006 venepuncture
静脈穿刺
venipuncture
献 血 や 血 液 検 査 の た め に 血 管 を 確 保 す る 手 技 で ,皮 膚 の 上 か ら 直 接 ,表 層
を 走 っ て い る 静 脈 に 針 や カ テ ー テ ル を 挿 入 す る こ と 。通 常 前 腕 の 肘 静 脈 が 使
われる。
V 007 venous bleeding
(鷹野壽代)
静脈出血
venous blood
静脈血
静 脈 性 出 血 は 動 脈 性 の 出 血 と 異 な っ て ,内 圧 が 低 い た め に 出 血 の 速 さ は 遅
い が ,末 梢 血 管 性 の よ う に 圧 迫 に よ る 止 血 は 閉 塞 を 招 き ,外 科 的 に 結 紮 あ る
いは縫合が必要となることが多い。
V 008 venous stasis
(高梨吉則)
静脈欝血
静脈性うっ滯は静脈の器質的閉塞あるいは神経反射の結果として起こる。
静 脈 性 う っ 滯 に よ り そ の 部 分 の 組 織 の 血 流 が 減 少 し ,局 所 性 低 酸 素 症 を 来 た
す 。組 織 に 浮 腫 が 起 こ る と 酸 素 が 拡 散 し て 組 織 細 胞 に 到 達 す る ま で の 距 離 を
増 加 さ せ ,更 に 局 所 性 低 酸 素 症 を 増 悪 さ せ る 。う っ 血 性 心 不 全 ,四 肢 の 静 脈
閉塞,静脈瘤などの疾患でみられる。
V 009 viral hemagglutinin
(高梨吉則)
ウイルス血球凝集素
あ る 種 の ウ イ ル ス は 特 定 の 動 物 の 血 球 を 凝 集 す る 。こ の 際 血 球 に 吸 着 す る
ウ イ ル ス 表 面 の タ ン パ ク 質 を ウ イ ル ス 赤 血 球 凝 集 素 と い う 。ウ イ ル ス に よ る
血 球 凝 集 反 応 は 1941年 Hirstら に よ り 発 見 さ れ た 現 象 で ハ ー ス ト 現 象 と も よ
ば れ る 。こ れ ら の ウ イ ル ス に 対 す る 抗 血 清 は 当 該 ウ イ ル ス の 血 球 凝 集 を 阻 止
す る の で ,こ の 阻 止 現 象 は ウ イ ル ス に 対 す る 抗 体 反 応 及 び 免 疫 の 有 無 ま た は
その程度を知るための簡便な方法として利用される。(白木
V 010 virus carrier
洋)
ウイルス保有者
C015 carrier及 び A086 asymptomatic carrierの 項 参 照 。
V 011 virus inactivation
(片山
透)
ウイルス不活性化
血 漿 分 画 製 剤 中 に 混 入 す る 可 能 性 の あ る 肝 炎 ウ イ ル ス ,ヒ ト 免 疫 不 全 ウ イ
ルス等の感染性ウイルスの不活化のため,液状加熱(パスツリゼーション,
60℃ , 10時 間 ) , 乾 燥 加 熱 ( 粉 末 を 80℃ , 72時 間 加 熱 ) , 蒸 気 加 熱 (粉 末 を
加 圧 下 蒸 気 加 熱 ), 有 機 溶 媒 /界 面 活 性 剤 処 理 ( Solvent/Detergentま た は SD
処 理 )等 を 行 う こ と 。こ れ ら の 方 法 で は 被 膜 の な い ノ ン エ ン ベ ロ ー プ ウ イ ル
ス ( A型 肝 炎 ウ イ ル ス , パ ル ボ ウ イ ル ス 等 ) を 不 活 化 出 来 な い の で , 増 感 剤
存在下での光不活化が検討されている。
V 012 von Willebrand's disease [factor]
(伴野丞計)
フ ォ ン ・ ウ イ ル ブ ラ ン ト 病 [因 子 ]
von Willebrand 因 子 (vWF)は , 血 管 内 皮 細 胞 , 骨 髄 巨 核 球 で 産 生 さ れ ,
血 管 損 傷 時 の 一 次 止 血 に て ,血 小 板 を 内 皮 細 胞 下 組 織 に 粘 着 せ し め る 接 着 分
子として働く巨大分子糖蛋白であり,第Ⅷ因子の安定化因子としても働く。
vWDは ,vWFの 量 的・質 的 異 常 に 基 づ く 先 天 性 出 血 性 素 因 を い う 。通 常 ,常 染
色 体 性 優 性 遺 伝 形 式 を 示 す 。 血 友 病 Aと は 異 な り , 著 明 な 出 血 時 間 の 延 長 と
皮膚・粘膜出血などの浅在性出血症状を主な特徴とする。(藤村吉博)
[W]
W 001 warm antibody
温式抗体
37℃ で 反 応 性 の あ る 抗 体( 主 に IgG型 ),臨 床 輸 血 学 上 重 要 な も の が 多 く ,
赤血球型不適合による溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患の原因となる
ものが多い。
(田中明美
坂本久
浩)
W 002 washed red cells
洗浄赤血球
血漿成分を除くために全血を生理食塩水で洗浄し,生理食塩水に赤血球
を 浮 遊 し た 製 剤 を 言 う 。血 漿 蛋 白 に 対 す る 抗 体 を 有 す る 患 者( IgA単 独 欠 損 ,
無 ハ プ ト グ ロ ビ ン 血 症 等 ),あ る い は 補 体 の 投 与 を 避 け た い AIHA患 者 に 用 い
ら れ る 。洗 浄 は 必 要 に 応 じ て 1∼ 3回 行 う 。洗 浄 に よ り 一 部 白 血 球 も 除 去 さ れ
る 。生 理 食 塩 水 に 浮 遊 さ れ る の で ,作 成 後 24時 間 以 内 に 使 用 す る の が 原 則 で
ある。
W 003 Werlhof's purpura
(寮
隆吉)
ウェルホーフ紫斑病
慢 性 型 の 特 発 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 と 同 義 語 で あ る 。主 症 状 は 紫 斑 ,血 小
板 減 少 で あ る 。20∼ 40歳 代 の 女 性 に 好 発 し ,自 然 に 寛 解 す る こ と は 稀 で あ る 。
本 疾 患 の 原 因 は 自 己 免 疫 機 序 に よ る 血 小 板 の 破 壊 亢 進 と 考 え ら れ て お り ,実
際 に 血 小 板 膜 糖 蛋 白( GPⅠ b-Ⅰ Xや GPⅡ b-Ⅲ aな ど )に 対 す る 自 己 抗 体 が 証 明
さ れ て い る 。そ の た め 自 己 免 疫 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 と も 呼 ば れ る 。治 療 は
副腎皮質ホルモン,摘脾などが主である。
W 004 white blood cell
白血球
(冨山佳昭)
white blood corpuscle
白 血 球 の 基 準 値 は 4,000∼ 9,000/μ l程 度 で あ る 。白 血 球 に は 顆 粒 球 ,リ ン
パ球,単球などが含まれる。顆粒球は顆粒の染色性により好中球,好酸球,
好 塩 基 球 に 分 類 さ れ る 。好 中 球 は 細 菌 に 対 す る 防 御 ,好 酸 球 と 好 塩 基 球 は ア
レ ル ギ ー 反 応 に 関 与 す る 。 リ ン パ 球 は 細 胞 性 免 疫 を 担 当 す る T細 胞 , 液 性 免
疫 の B細 胞 , ウ イ ル ス ・ 腫 瘍 免 疫 に 関 与 す る NK細 胞 な ど が あ る 。 単 球 は 免 疫
応答に関与し,貧食機能,抗原呈示機能などをもつ。
(月本一郎)
W 005 whole blood
全 血 (液 )
全血製剤のことで,赤血球,白血球,血小板,血漿からなる。通常は日
本 赤 十 字 社 で 製 剤 化 し た 献 血 製 剤 で あ り ,採 ら れ た 血 液 は 4∼ 6℃ で 保 存 さ れ
採 血 後 3日 ま で を 新 鮮 血 ,4∼ 21日 ま で を 保 存 血 と よ ぶ 。保 存 血 で は 第 Ⅴ ,第
Ⅷ 因 子 が 低 下 し て い る 。他 に 院 内 全 血 採 取 が あ る が ,特 殊 状 況 下 で の 適 応 で
あ る 。た だ し 院 内 採 血 の う ち 自 己 全 血 貯 血 に つ い て は ,輸 血 の 際 ,同 種 免 疫 ,
GVHD, 感 染 症 等 を 除 外 し 得 る の で 推 奨 さ れ て い る 。
W 006 whole blood transfusion
(正宗良知)
全血輸血
全 血 を 輸 血 す る こ と あ り ,そ の 適 応 は 他 の 代 替 手 段 が な い 場 合 に 限 ら れ る 。
全 血 輸 血 が 必 要 と な る の は ,急 速 な 大 量 出 血 で 出 血 性 シ ョ ッ ク が 発 現 し た と
き ,シ ョ ッ ク が 予 想 さ れ る 状 況 に あ る と き ,あ る い は 外 科 手 術 時 の 大 量 出 血
で 一 般 的 に は 輸 血 量 が 2000ml以 上 に な る と き で あ る 。全 血 輸 血 の 意 義 は ,ア
ル ブ ミ ン の 喪 失 に よ る 膠 原 浸 透 圧 の 低 下 を 防 ぎ ,有 効 循 環 血 液 量 を 急 速 に 修
復し,酸素運搬能を改善する点にある。
(正宗良知)
[X]
001
X ray irradiation
X 線照射
I039 irradiation
放 射 ( X) 線 照 射 の 項 参 照 。
[Y]
Y 001 Yersinia enterocolitica
エルシニアエンテロコリチカ菌
腸 内 細 菌 の 1 種 で 野 生 動 物 や 家 畜 に 分 布 し 飲 料 水 や 食 品 を 汚 染 す る 。嫌 気
性 ,グ ラ ム 陰 性 桿 菌 で 至 適 増 殖 温 度 は 27-30℃ で あ る が ,4℃ 近 い 低 温 で も 増
殖 可 能 で あ る 。ま た 鉄 イ オ ン を 外 部 か ら 取 り 込 む 必 要 が あ る 。こ れ ら の こ と
よ り 赤 血 球 製 剤 で の 菌 の 増 殖 が 可 能 で あ る 。稀 で は あ る が ,こ の 菌 で 汚 染 さ
れ た 赤 血 球 製 剤 を 輸 血 す る と 菌 血 症 ,エ ン ド ト キ シ ン シ ョ ッ ク を お こ す 。汚
染 さ れ た 赤 血 球 製 剤 は 外 観 上 ,暗 赤 色 を 呈 す る と さ れ る 。 [ 参 考 文 献 ]T.
L.Cover,et al.:Medical Progress;Yersinia enterocolitica. N Engl J Med.
1989,p.16-24.
(水野伸一)
[Z]
Z 001 zeta potential
ゼータ電位
赤 血 球 は ,そ の 表 面 に 主 に シ ア ル 酸 に 由 来 す る 大 き な 陰 性 荷 電 を も っ て お
り , 電 解 質 溶 液 中 で は 液 中 の 陽 イ オ ン を 赤 血 球 表 面 に 引 き 寄 せ る 。 こ の 2重
イ オ ン 層 に よ る 有 効 荷 電 を zeta電 位 と 呼 び ,赤 血 球 間 の 静 電 気 的 反 発 を 荷 っ
て い る 。 こ の zeta電 位 は , IgG抗 体 が 赤 血 球 を 凝 集 す る 能 力 に 影 響 を 与 え る
最 も 重 要 な 因 子 で あ る と 考 え ら れ て い る 。例 え ば ,ア ル ブ ミ ン 溶 液 中 で の 凝
集 反 応 や 赤 血 球 の 蛋 白 分 解 酵 素 に よ る 処 理 は ,と も に zeta電 位 を 下 げ る こ と
により,抗体の凝集力を増強するとされている。
村 上 省 三 他 , AABB Technical Manual( 第 8版 ・ 日 本 語 版 )
(前田平生)
[参考文献]