競馬連合ニュース366号(2011.7.25発行)

競馬連合NEWS
2011年(平成 23 年)7月26日(火) №366発行
発行責任者/明貫宣博 編集/田村隆光
全国競馬産業労働組合連合会
福山競馬 関東本部 〒300-0493 TEL/0298-85-0402 茨城県稲敷郡美浦村美駒 2500-2 関東 TC 労内 関西本部 〒520-3005 TEL/077-558-0457 滋賀県栗東市御園 1028 全馬労内 カバキチ、救世主なるか? 2011年7月26日 朝日新聞 窮地に追い込まれた競馬場の救世主となるか――。 広島県福山市営競馬場(千代田町)の最高齢競走馬モナ
クカバキチ(オス12歳)が24日、地方競 馬の史上最多
勝タイ記録(54勝)を達成した。競馬関係者は、記録更
新の期待がかかる「中年の星」のレースを盛り上げ、廃止
寸前に追い込まれた市営競馬の失地回復に、と意気込んで
いる。 24日昼、同競馬場であった第3レース。栗毛の馬体が、
人間なら50歳近い年齢を感じさせない豪快な走りで、他の4歳馬たちを一気に引き離した。スタ
ンドは歓声に包まれた。 競馬場で知り合った友人たちと一緒に応援を続ける市内の女性ファン(41)は「昨年から廃止
の話を聞くようになったが、思い出の詰まった競馬場で、カバキチの活躍を少しでも長く見たい」。 ◀
市営競馬事務局によると、同レースのオッズ(概算の払戻率)で、カバキチは単勝で2番人気に。
最多勝記録更新の可能性が高まるに連れて、ファンの期待もふくらんできた。 24日のレースで騎乗した松井伸也騎手(26)は「スタンドからカバキチの写真を撮るファン
が、以前より増えた」と話す。ネット上に、出走レースの模様を伝える応援ブログを設けているフ
ァンもいる。 市営競馬の累積赤字は約20億円。ファンの減少や不況による売り上げ低迷で、厳しい経営が続
く。存廃を検討する市の専門家委員会は昨年、 単年度で実質赤字に転落した場合の廃止を市に答
申。60年余り続いた競馬場の歴史に終止符が打たれる可能性もある「最大の危機」を迎えている。 それゆえ、賞金などの収入を減らしながらレースを続ける競馬場関係者に、カバキチの活躍は起
死回生の望みをつなぐ光明に映る。 前例がある。2003年夏、市営競馬と同様に、赤字転落で廃止が懸念された高知競馬(高知市)
を救ったのがハルウララだった。113連敗を記録しながら、ひたむきに走り続ける姿が感動を呼
び、全国にファンを広げて、高知競馬の収支の黒字化に貢献した。 福山市営競馬で働く関係者団体の代表として競馬場存続を訴えてきた渡辺貞夫・調教師(63)
は「カバキチは、久々に登場した話題馬。スタンドに見に来てくれるお客さんが増え、経営にもプ
ラスになってくれれば」と期待する。 福山市営競馬も出走レースを盛り上げようと、PRに力を入れ始めている。 事務局は今年初め、競馬場のホームページに出走予定や元気に走る姿の写真などを載せたコーナ
ーを開設。約1年ぶりの勝利となった今月16 日や、最多勝タイ記録を飾った同24日には、速
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報や動画も掲載した。25日には競馬場の入り口などに「日本一 絶対に見逃せないその日」と題
したカバキチ を応援するポスターを張り出すなど、その日に向けた準備を着々と進めている。 市営競馬の杉原郁充事務局長は「厳しい状況が続く中で、大記録が生まれようとしている。馬主
をはじめ関係者にも協力を求め、レースをさらに盛り上げる方法を考えていきたい」と意気込んで
いる。 ◆モナクカバキチ◆ 競馬で主流のサラブレッドに比べ、体が丈夫とされるアラブ馬。気性が激し
く、強い闘争心を発揮する。2001年10月に福山でデビュー。途中、名古屋競馬(名古屋市)
などを経て、08年に再び福山へ。通算194レースに出場している。 大井競馬 地方競馬初、大井競馬に手術室などの設備を設置 2011年7月9日 Net-keiba.com 東京シティ競馬(TCK)は、大井競馬場装鞍所内に地方競馬では初めてとなる二次診療施設を設置
しました。 国際交流競走を実施している国内外 の競馬場では、競走馬の骨折や急性腹症などの緊急性な処
置を必要とする場合に、24 時間体制で応急処置や各種手術が迅速に行われる診療体制が整備されて
います。現在、大井競馬場内には競走馬に全身麻酔下での応急処置や治療を行える施設がなく、高
度医療が行える診療環境の整備は必要不可欠でした。 今回の二次診療施設の設置により、競走馬に外科的な処置や手術が実施できるようになります。
また、各種血液検査機器を導入することで、競走馬の状態を短時 間で客観的に把握することが可
能となり、科学的な根拠に基づいた有効な治療や、調教進度のデータ採取など診療および調教環境
の改善が期待できます。 なお、本施設は当面の間、大井競馬開催時の故障馬の処置等に使用し、本格的な施設の運用につい
ては、本年 9 月 1 日からになります。 【施設詳細】 (1) 麻酔前処置および回復室 倒馬用スイングドア、ホイスト式チェーンブロック(2 連式)、デマンドバルブ、床面及び壁面は
クッション素材を採用 (2)手術室 大動物用吸入麻酔器、人工呼吸機器、生体情報モニター、競走馬手術台、処置用マット、輸液ポ
ンプ、血液ガス分析装置、移動式無影灯、大型吸引機、結腸台、余剰ガス排出装置、ホイスト式チ
ェーンブロック(単式)など (3)検査・準備室、薬品消耗品庫 血液生化学測定機器、自動血球分析器、乳酸測定器、高圧蒸気滅菌器、医療用手洗器など ―2― 競馬連合 №366(2011/7/26)