vol.1 軽自動車スローバー編

取材レポート

QOL Style
マーケティングレポート
 1BOX 軽は、アトレー,エブリィ, Mini Cab です。
商品使いこなし術
客室広く、介助者用の補助シートが装着されています。
トールワゴンタイプとの大きな違いです。
≪軽自動車スローパー編≫
1BOX 系 3 車種の比較をすると、アトレーはスロー
プ乗降傾斜が最も大きく、電動ウィンチの巻き上げに
団塊の世代が75歳以上となる 2025 年を目途に、厚
頼るところが大きい、エブリィも同様です。電動ウィン
生労働省は、地域包括ケアシステムの構築を標榜し
チが必需となり、壊れた時の修理が一大事です。修理
ています。重点施策は、在宅介護の限界点の引き上
の販売店の対応が鈍いようです。これ要注意。独自に
げです。30 分圏内で駆けつけられる医療と介護、生
対応可能な架装メーカー等を調べておく必要がありま
活支援サービスの連携が課題です。その移動のツー
す。日常のメンテナンス、修理時の対応~代車確保等、
ルとして車が必要となります。
販売店のサービス対応をチェックしておくことをおす
安全で使いやすく、運転がしやすい車はどれか?街
すめします。
中を機敏に移動するには軽自動車がおすすめです。
Mini Cab は、リヤバンパーを開くと自動で後部車高
その車椅子移動車について、車をどう使いこなすか?
が下がり、スロープをより緩やかにするニールダウン方
という視点でその違いを分析しました。現在販売され
式です。スロープの固定は手動で可能です。親切設
ている5車種について試みました。
計のニールダウン式ですが、日常の乗降動作におい
てタイムロスを感じます。より迅速な乗降を求める送迎
には適さないようです。Mini Cab は、唯一車いすの後
 1BOX 軽とトールワゴン軽に大別されます。どちら
方部位に補助席を持ち、介助者にとって支える安堵
も車体後部のフロアをスロープ状に下げ乗り込む方式
感を与えます。他車に比べシート足元の広さを持ちま
です。
す。
1BOX 軽とは商用車(貨物)を素地に持つ車です。ト
ールワゴン軽は元から乗用車として設計された車です。
1BOX 軽の場合、ほぼ全て商用を祖に乗用化したも
のであり、シャーシー・機関部・足回りに商用貨物との
共有が基本にあるため快適性にやや劣があります。
特に室内への遮音や振動などの面では不利です。そ
の分、荷室が広く、商用と共通部品が多く、丈夫という
のがひとつの評価です。
1
取材レポート

軽 ス ロ ー パ ー ≪使 い こ な し の 機 能 ≫比 較 表
※写真はh19登録車
2枚スライド
※写真はカタログ情報
3枚スライド
※写真はh18登録車
※写真はh23登録車
※写真はh23登録車
2つ折り・横開閉
2つ折り・縦開閉
2つ折り・縦開閉
→ →
→ →
→ →
スロープ形状
→ →
乗降時開口高
→
乗車定員
1,375
1,190
1,335
1,210
625
9.5度
1,040
前席(2)+車いす(1)=3名
1,290
1,070
1,310
1,395
640
13度
220
前席(2)+車いす(1)=3名
1,340
1,475
1,790
1,350
710
14.5度
1,150
前席(2)+車いす(1)+補助席(1)=4名
1,340
1,310
1,570
1,345
705
14度
1,240
前席(2)+車いす(1)+補助席(1)=4名
1,400
―
1,600
1,375
760
11度
1,230
前席(2)+車いす(1)+補助席(1)=4名
価格
1,534~1,569千円
1,430~1,570千円
1,845~1,980千円
1,510~1,835千円
1,636~1,756千円
1,534~1,569千円
1,430~1,570千円
1,845~1,980千円
1,510~1,835千円
1,636~1,756千円
車いす乗車
スペース長
リヤシート付き
リヤシートレス
スロープ突出長
スロープ幅
スロープ角度
スロープ折畳み時高さ
価格
2
取 材 協 力 : フ ジ カ ー ズ ジ ャ パ ン
2013. 04. 30
取材レポート
アトレーは唯一ターボ付 64PS エンジンを搭載しており、
に快適性を提供しなければいけない。安全運行、簡単
4速 AT との組合せで走行性能に余裕があり、送迎時、
な操作性が優先します。NBox+が備える安全装備(3
早く迎えに向いたい等の機動力を求める介護タクシー
方向ミラー・横滑り防止機能・エマージェンシーストップ
事業者に高い支持があります。
シグナル)、機能的で視やすいインパネ類などに、運転
を快適に楽しくする配慮があります。商用ではなく、大
切な人を乗せる乗用車としての風合いそして、運転する
 トールワゴンタイプは、タントとNBox+です。乗用
楽しさを叶える装備をNBox+は備えています。
車として使える快適性を備えています。
トールワゴン系は、乗用車として設計されていますので
 移送の効率を稼ぐ1Box系に対して、乗用の快適
内装の造りやシートなど、商用ベースの1Box 系よりも1
ランク上の装備となっています。車いすの乗降スペー
性を優先するのであれば、トールワゴンタイプ。どちらを
ス・客室空間の広さは、1Box 系に及びませんが、内装
求めるか?使いこなす選択の判断です。
の触感は優り、サスペンションも柔らかく、振動の吸収を
さらに、どの車種か?どの機能を優先するかです。添
和らげます。車いすの方も乗用車らしく、移動のストレス
付の「軽スローパー≪使いこなしの機能≫比較表」をご
が軽減されます。重度の要介護者の移動に適していま
参照ください。
す。
移動の頻度・人数など、効率移送より移動中の身体へ
のダメージを軽減したいVIP移送に適します。重度の要
(取材;介護総研/堀内仁)
介護者を抱え、少人数移送が主な小規模多機能居宅、
2013.10.28
グループホーム事業者などです。あるいは、重度要介
護者を抱えるディサービスの補完的送迎に適します。
タントとNBox+を比較すると、乗降時開口高・乗車ス
ペース長の広さ、スロープ角度傾斜の低さは、タントが
優ります。使い手重視の配慮が伺われます。対して、内
装のデザイン性、質感は、NBox+に高い支持がありま
す。ベース車からの変更や後付部位が少ないため内装
の完成度は高く、高品位です。
介護施設の事業運営にとって重要な要件は、従業員
満足です。ケアを専門とするスタッフが運転も兼務しま
す。決して運転に堪能な方々ばかりではなく、未熟なド
ライバーも多いと思われます。負担をかけずに、乗降者
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