栽培・加工・販売 もちで周年農業確立 もち工房「たわらゆき」 3組の夫妻

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2008/1/23更新
栽培・加工・販売 もちで周年農業確立
もち工房「たわらゆき」
【鶴岡市】
仲の良い3組の夫妻が、本格的にもち加工・販売に取り組み、周年農業を確立。有機農業で育てた自家産
のもち米を使い、防腐剤、合成保存料など添加物は一切使わず作った自慢のもちは、きめ細やかでしなや
かな食感と甘味が特徴で、地元のみならず都内のデパートでも販売されるなど評判も上々だ。
3組の夫妻が楽しみながら
もち加工・販売を行っているのは、鶴岡市下山添のもち工房「たわらゆき」(佐藤伸和代表=57歳)佐藤代
表が農協青年部に所属していた1984年、旧櫛引町の呼びかけで、首都圏に住む同町出身者へ地元で採
れた農産物を宅配する「くしびきうまいもの宅配便」で、もちを担当したことがきっかけだ。
佐藤代表は85年に、庄内経済連(現全農庄内本部)が主催する、後継者育成を目的にした「庄内農業あ
すなろ塾」に参加。研修先の大分県で、「一村一品運動」や行政と農家が一体となった農産物産直所の経営
や加工品の開発、果樹のオーナー制などを視察した。「農業者が活気に満ち、生き生きと頑張っている姿を
目の当たりにした。自分もそんな農業をしたいと強く思った」と当時を振り返る佐藤代表。
「たわらゆき」のメンバー。(左から成田新一さん・久美子さん夫妻、佐藤伸和さん・寿子さん
夫妻、丸山成章さん・スミ子さん夫妻)
89年、農協青年部で活動を共にした有志と農産物販売協議会「アルファ」を設立し、もちやサクランボなど
の農産物等の販売を始めた。その後、上京したときに知り合ったフリーラーターの紹介で、都内の郵便局の
簡易保険加入者への粗品に、佐藤代表のもちを採用。このことが話題となり、都内デパートのギフト商品や
郵便局の「ゆうパック」商品ともちの販路はさらに拡大していった。
佐藤代表は、消費者に安全で安心なものを提供したいとの思いから、福島県の農家が開発した微生物と
有機肥料を組み合わせた独自の有機農法でもち米を栽培。生産したもちは、食味が良いと購入者の評判が
口コミで広がり、注文が増えていった。「農産物を作る土を健康にすれば、体に良いものができる。手数をか
けることが大切」と佐藤代表は話す。
手作業によるもち作りに限界を感じた佐藤代表は93年12月「アルファ」のメンバーだった成田新一さんと
丸山成章さんの3人で国庫補助事業を活用し、佐藤代表が所有する土地にもち加工施設を建設。3組の夫
妻6人で「もち工房たわらゆき」を立ち上げた。
もちを製造するメンバー。食味が良いと好評だ。
安全・安心へ土作りに力
丸もち、切りもち、玄米もちなど様々な製品を製造している。
年間通じ全国から注文
95年2月、市内の郵便局でゆうパックによる試験販売を開始。その後、取り扱う郵便局は東北一円にまで
広がった。99年に加工施設を増築し、空気清浄機やカビの発生を防止するオゾン殺菌装置、異物の混入を
防止する金属探知機などを導入。ゆうパックでの販売実績が認められ、01年のお年玉付き年賀はがきの賞
品にも採用されるようになった。
もちの注文が集中するのは正月向けで、11月と12月だが、現在は年間を通じて注文があり、北海道から
沖縄県まで全国各地から注文があるという。佐藤代表は「若いときは目標を持ち農業をやってきたが、これ
からはゆとりのある農業をしたい。農家はただ働くだけではなく、仲間と楽しみながら農業をすることが大切」
と話している。
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