バンク・ローン - Neuberger Berman

バンク・ローン
魅力的な利回りの獲得
債券の利回りは未だ過去最低水準で推移していますが、米連邦準備制度理事会
(FRB)は経済活性化に向け低金利政策を維持しています。この低金利環境下に
おいて、高い利回りを求める債券投資家は頭を悩ます一方、金利上昇による自身
の債券ポートフォリオに対する潜在的リスクを意識しています。
ジョセフ・リンチ
(Joseph Lynch)
ポートフォリオ・マネージャー
バンク・ローン運用チーム
この低利回り環境及び金利上昇リスクの問題は、バンク・ローンへの投資によっ
て解決ができると考えられます。バンク・ローンは、魅力的な利回りに加え、金
利上昇局面におけるヘッジ機能を提供します。一般的にバンク・ローンとは、銀
行が非投資適格企業向けに貸し付けを行う短期ローンを指します。安定的な利回
り、ダウンサイド・リスクの低減及びインフレに対するヘッジといった利点を有
することから、バンク・ローンは優れた分散ポートフォリオ構築に貢献すること
ができると考えられます。
スティーヴン・ケーシー
(Stephen Casey)
ポートフォリオ・マネージャー
バンク・ローン運用チーム
2012 年 6 月
バンク・ローン:投資入門
一般的に、銀行及びその他金融機関は投資適格未満の大企業向けにバンク・ロー
ンのアレンジを行います。同債権は M&A、レバレッジド・バイアウト(LBO)、
資本再構成、設備投資等、様々な企業活動に対して融資されます。
これらのローンは、一般的にアレンジャーと呼ばれる銀行が発行し、その後、複
数の債権者の集団が保有することによって組成されます。ローン発行後、債権者
はローンを償還まで保有、あるいはセカンダリー市場において他者に売却するこ
とができます。
ローンの金利は、基準となる変動金利に発行体の信用リスクを反映したスプレッ
ドが加算され設定されます。基準となる変動金利は通常 LIBOR(ロンドン銀行間
取引金利”London Interbank Offered Rate”の略称であり、機関投資家のマネーマーケ
ットにおける銀行間貸借金利を指す)となります。変動金利型住宅ローンと類似
し、基準となる変動金利は通常 30 日から 90 日毎と定期的にリセットされ、
「変動
金利ローン」とも呼ばれています。低金利環境及び困難な市場環境において、ア
レンジャーである銀行は債権者にインセンティブとして LIBOR フロアを提供する
場合があります。例えば、ローンが 1.5%の LIBOR フロアを有している場合、3 ヶ
月 LIBOR が同水準を下回った場合でも、基準となる金利水準は 1.5%に設定され
ます。
クレジット・スプレッドは、利払い分及び額面からの割引分から構成され、発行
体の信用力及び流動性やテクニカル要因等、市場における特定のファクターを反
映しています。投資家は低い信用力及び流動性といったリスクを負う対価として、
通常高い利回りを得ることができます。
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バンク・ローン:魅力的な利回りの獲得
バンク・ローンは、一般的に企業の資本構造の中でも優先順位の高い有担保債務
とされ、企業の債務不履行や破綻の際、ローン保有者はハイ・イールド債及び優
先株・普通株式の保有者等の他の債権者よりも優先的に弁済を受けられる権利を
有し、最大限の債権回収が可能となっています。バンク・ローンは、通常、機械
設備、売掛金、在庫、不動産、株式、商標権及び特許権を担保とすることで保証
されています。
図 1:資本構造におけるバンク・ローンの位置づけ(例)
優先担保付バンク・ローン)
ハイ・イールド債(無担保または劣後)
高
支払い
優先順位
優先株式
普通株式
低
バンク・ローン投資のメリット
バンク・ローンは分散されたポートフォリオにおいて、以下複数のメリットを有
します。各メリットの詳細は後述します。
 魅力的な利回り:現在の低金利環境下における、魅力的な利回りの獲得
 金利上昇に対するプロテクション:ベースとなる金利が変動するため、金利上
昇局面において高い利回り及び安定した価格をもたらす
 元本確保:通常、シニア担保債として発行されるバンク・ローンは、企業の債
務不履行や破綻の際、最優先的に弁済を受けられる権利を有し、最大限の債権
回収が可能
 効率的な分散:過去、他の資産クラスとの相関性が低い傾向
 魅力的なリスク・リターン特性:過去、他の資産クラスに対して、より魅力的
なリスク・リターン水準
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バンク・ローン:魅力的な利回りの獲得
魅力的な利回り
バンク・ローンの年間リターンは、過去、ベースの変動金利を含むクーポン全体
の利回りが奏功し、魅力的な水準となっており、同資産で構成される S&P/LSTA
インデックスは過去 11 年で 5.95%の利回りを記録しています 1。
図 2:金利リターンの推移
出所:S&P LCD。
金利上昇に対するプロテクション
バンク・ローンは、金利上昇局面でのリターンを安定化させる機能として債券ポ
ートフォリオに貢献することができます。固定金利債券と相違し、バンク・ロー
ンの利回りは金利上昇局面で上昇します(図 3 参照)
。
図 3:金利上昇局面でのバンク・ローンのパフォーマンス
米連邦準備制度理事会が利上げを 3 回以上行った年の債権の利回り
(1992 年~2011 年)
利上げ
8回
利上げ
6回
利上げ
5回
利上げ
4回
利上げ
3回
利上げ
3回
バンク・ローン
ハイ・イールド債
社債
国債
出所:Morningstar(1992 年 1 月 1 日~2011 年 12 月 31 日)。単に例示を目的とします。バンク・ロー
ンは、取引可能な優先順位の高い債務、米ドル建て非投資適格ローンの代表的指標、クレディ・スイ
ス・レバレッジド・ローン・インデックスで表されています。ハイ・イールド債は、非投資適格のす
べての固定金利債券を含めたバークレイズ・キャピタル・米国ハイ・イールド 2%イシュアー・キャッ
プ・インデックスで表されています。社債は、公募・固定金利・変換不能・投資適格・ドル建ての SEC
登録企業のすべての債券を含めたバークレイズ・キャピタル・米国クレジット・インデックスで表さ
れています。国債は、バークレイズ・キャピタル・米国国債インデックス(フラワーボンドおよび外
国向債券を除くすべての米国長期国債を含めたバークレイズ・キャピタル・米国長期国債インデック
スと、米国政府機関および準連邦法人が発行するすべての公募債ならびに米国政府が保証する社債を
含めたバークレイズ・キャピタル・エージェンシー・インデックスで構成される)で表されています。
指標は、管理不能であり、直接投資に利用することはできません。投資は、リスク(元本割れの可能
性を含む)を伴うものです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。本
資料末にある、重要な追加ディスクロージャー事項をご参照下さい。
1
出所:S&P LCD。
3
バンク・ローン:魅力的な利回りの獲得
金利下落局面においては、バンク・ローンの価格は固定金利債券よりも安定的に
推移しています。
バンク・ローンは、ベースとなる金利(例 LIBOR)が変動するため、金利上昇局
面において利回りが上昇する可能性があります。更に、30 日から 90 日毎と比較的
短期間でリセットされることから、ポートフォリオのデュレーション・リスクを
緩和することもできます。
元本確保
信用力は非投資適格である一方、バンク・ローンは過去の景気サイクルを通して、
その他劣後証券よりも安定的に推移し、価値を保全しています(図 4 参照)2。バ
ンク・ローンは、一般的に優先順位の高い有担保債務とされ、最優先的に弁済を
受けられる権利を有する為、企業の債務不履行や破綻の際にハイ・イールド債よ
りも低いデフォルト率及び高い回収率を記録しています。
図 4:過去 12 年間のバンク・ローン市場の資本保全率は平均 98.6%
バンク・ローン市場の資本保全率(1998 年~2011 年)
出所:Moody’s 投資サービス部門。単に例示を目的とします。指標は、管理不能であり、直接投資に利
用することはできません。投資は、リスク(元本割れの可能性を含む)を伴うものです。過去のパフ
ォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。本資料末にある、重要な追加ディスクロー
ジャー事項をご参照下さい。
2
出所:Moody’s Investor Service。
4
バンク・ローン:魅力的な利回りの獲得
効率的な分散
債券ポートフォリオへのバンク・ローンの追加は分散効果を高めることとなりま
す。図 5 の相関データが示す通り、S&P/LSTA レバレッジド・ローン・インデッ
クスの価格変動と株式及び高い信用力と長期デュレーションを有する債券の価格
変動との相関性は限定的であり、金利上昇局面での損失を抑制することができま
す。
図 5:各資産との相関性(過去 10 年間)
バンク・ローン
ハイ・
イールド債
米国債
株式
メリルリンチ
高格付社債
インデックス
バンク・ローン
ハイ・イールド債
米国債
株式
メリルリンチ高格付
社債インデックス
出所:S&P/LSTA レバレッジド・ローン・インデックス(2012 年 3 月レビュー)
。
魅力的なリスク・リターン特性
バンク・ローンは過去、他の資産クラスに対して、より魅力的なリスク・リター
ン水準となっています。2008 年及び 2009 年の市場混乱時を除いて、極めて安定し
たリターンを他の資産クラスよりも低いリスク(月次リターンの標準偏差)で残
しています。
(標準偏差とはボラティリティの算出に用いられる数値で、統計値の
平均からのばらつきを表します。データのばらつきが大きい程、標準偏差は高く、
よってリターンの予想ボラティリティも高くなります。)
図 6:各資産クラスの代表的インデックスのリスク/リターン
1997 年 1 月~2011 年 12 月
平均年率リターン
月次リターンの標準偏差
S&P/LSTA
インデックス
メリルリンチ・ハイ・イ
ールド・インデックス
メリルリンチ・高格付
社債インデックス
10 年長期国債
インデックス
S&P500
インデックス
出所:S&P/LSTA レバレッジド・ローン・インデックス(2012 年 3 月レビュー)
。
図 6 が表す通り、バンク・ローンの平均年率リターン 5.4%である一方、月次標準
偏差はわずか 1.9%に過ぎません。この数値は、20 年間の債券市場の上げ相場(今
日の米国債 10 年物の利回りが 2%なのに対して、1992 年は 8%でした。)の恩恵を
受けた他の債券資産クラスと比較しても大変魅力的な水準です。
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バンク・ローン:魅力的な利回りの獲得
バンク・ローン投資におけるリスク
バンク・ローンの投資家にとっての最大のリスクは各発行体のクレジット・リス
クです。
バンク・ローンは投資適格未満の企業向けに発行されており、一般的に投資適格
企業よりも高いデフォルト率となっています。債務不履行の際には、投資家は額
面を毀損するリスクがあります。このリスクを回避する為に、ポートフォリオ・
マネージャーは発行体を調査し、低リスクかつ魅力的なリターンが見込める企業
を発掘します。
弊社ニューバーガー・バーマンのバンク・ローンのポートフォリオは、レバレッ
ジド・ファイナンス市場で長年培った経験を基に作成した「クレジット・ベスト・
プラクティス」に規定された投資プロセスに則して運用されます。我々は、魅力
的で安定的なキャッシュ・フローを生み、市況産業に属さず、柔軟なコスト構造
を有し、デフォルト時でも最大限の債権を回収できるような価値の高い有形資産
を有する企業にフォーカスして投資を行います。更に、様々な業界及び発行体に
またがって、十分に分散されたポートフォリオを構築することで、単一の発行体
のクレジット・イベントによるリスクの最小化を図ります。
バンク・ローン市場の 2012 年の展望 3
バンク・ローン市場における発行体の良好な業績及び今日のテクニカル要因を受
け、B~BB 格へ投資を行い、経済成長も低水準で推移した場合でも、2012 年の市
場は、大半を占めるクーポン収入と一定程度の価格上昇によって、6~8%のリタ
ーンが見込まれると考えています。
ファンダメンタル分析の観点では、デフォルト率が低く、緩やかな経済成長が見
込まれる経済環境においては、ローンは過去に魅力的なリターンを残しています。
我々は、発行体が業績及びバランスシート改善時のみリターンを得られるローン
ではなく、魅力的なバリュエーション、十分な流動性及び潤沢なキャッシュ・フ
ローを有する企業のローンを選好します。また、現在のデフォルト率の水準はバ
ンク・ローン市場におけるポジティブなカタリストとなると考えています。我々
は 2011 年のデフォルト率が 1%未満であったことを受け、2012 年~2013 年のデフ
ォルト率を、2009 年ピーク時の 11%より遥かに低い 2%と予想しています。
テクニカル分析の観点からは、今年は安定的な新規発行が予想され、需給バラン
スは保たれると考えます。今年は、既存発行体による満期を迎えるローンの長期
ローンへのリファイナンス(借り換え)
、プライベート・エクイティ・ファンドに
よる新規案件へのファイナンス及び過去の投資先企業の資本再構成(リキャップ)
が多く見られるでしょう。過去の水準から見ると、現在の 4~7%の新規発行債の
利回りは魅力的です。この利回り水準は LIBOR フロアの 1.0~1.5%、クレジット・
スプレッドの 300~550 ベーシス・ポイント及び信用力及び格付けに基づく 100~
150 ベーシス・ポイントの割引で構成されています。
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上記は予想であり、実際の結果とは異なる可能性があります。
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バンク・ローン:魅力的な利回りの獲得
図 7:2011 年 バンク・ローン予想利回りの内訳
合計
LIBOR フロア
クレジット・スプレッド
割引
現在の基準金利
単に例示を目的とします。現行市場の利回りを裏付ける要素について例示したものに過ぎません。投
資は、リスク(元本割れの可能性を含む)を伴うものです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保
証するものではありません。本資料末にある、重要な追加ディスクロージャー事項をご参照下さい。
バンク・ローン市場へのアクセス
セパレート・アカウント(個別勘定口座)に付随する高い最低投資金額を背景に、
バンク・ローンにおける個人投資家は投資信託を通じて市場に参加する傾向があ
ります。投資信託は低い最低投資額、日次の流動性及び高い分散性といった利点
を提供します。ニューバーガー・バーマン・フローティング・レート・インカム・
ファンドは厳格なリスク管理を実行し、最大限の利回りを追求するとともに、単
一の発行体のクレジット・イベントによるインパクトの最小化を図ります。我々
は独自の分析ツールを駆使して、リスク及び投資を管理し、市場活動、イベント、
投資ポジション及び投資機会に注視した定期的なモニタリングを行います。
我々はバンク・ローンを、低利回り環境及び金利上昇局面だけでなく、いかなる
市場環境においても魅力的な資産クラスと考えています。魅力的な利回り及びト
ータル・リターンを高める機会だけでなく、資本構造上における高い支払い優先
順位を背景に、ダウンサイド・リスクに対するプロテクションも提供する資産ク
ラスであると考えています。
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バンク・ローン:魅力的な利回りの獲得
当資料は、作成時点において信頼できると思われる情報に基づき作成されていますが、その正確性
並びに完全性を保証するものではなく、また、当資料の受領者又は最終投資家が当資料に含まれるい
かなる情報に基づきとった行動にも、当社グループは責任を負いません。当資料に含まれる意見や見
通しについては作成時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。当資料は、情報提
供を目的として作成されたものであり、法的、税・会計上または投資のご提案のためのものではなく、
また個別の有価証券等の勧誘等を目的とするものでもありません。当資料に記載する特定の経済又は
市場に関する情報は第三者の公開情報を元にしており、当資料の交付時点で更新されていない場合が
あります。当資料中の見通しや意見については、必ずしも当社グループとしての統一見解ではない場
合があることにご注意ください。当資料に記載される特定の商品やサービスに関してはすべての法域
やすべての顧客層に対して提供することができないものが含まれている可能性があります。インデッ
クスは運用されるものではなく、また直接投資はできません。投資はリスクを伴い、元本の毀損を伴
います。過去のパフォーマンスは将来の実績を何ら示唆するものではありません。
債券市場への投資は、金利、発行者、市場環境、信用状況その他の要因に関するリスクを伴う場合
があり、投資元本を割り込む可能性もあります。
当資料は、ニューバーガー・バーマン・グループが作成した資料をもとに当社が翻訳・作成した資料
であり、必ずしも原文の内容と一致するものではなく、また、その正確性、完全性及び信頼性を保証
するものではありません。当資料と英文資料の内容に相違がある場合は、原文が優先します。
「ニューバーガー・バーマン」(“Neuberger Berman”)の名称及びロゴはニューバーガー・バーマ
ン・グループ LLC によりサービスマーク(“Service Mark”)として登録されています。
費用について:
投資運用商品については、運用報酬及び成功報酬(ない場合もあります)等の費用がかかります。当
資料は、投資一任契約を通じて投資をする商品となりますので、別途投資運用報酬がかかります。
運用報酬料率:運用報酬率は、運用戦略、運用資産額、投資スキーム等に基づく商品の内容及び成功
報酬率の徴収の有無等により、商品毎又は契約毎に異なりますが、一般的な基本運用報酬率の上限は、
運用資産の時価評価額に対して 2.0%となります。ただし、その他の諸条件を踏まえ、個別案件毎に異
なりますので、詳細を表示することはできません。
成功報酬率:成功報酬の適用の有無は、運用戦略、運用資産額、投資スキーム等に基づく商品の内容
等により、商品毎又は契約毎に異なりますが、一般的な基本運用報酬率の上限は、運用資産の時価評
価額に対して 20%となります。ただし、その他の諸条件を踏まえ、個別案件毎に異なりますので、詳細
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