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2016/05/06
PDF_AX8208-00_00_ヘルスケアレポート 2016 年 5 月.docx
Healthcare note(公共・公益法人レポート・シリーズ)
(寄稿)
院内ピアカウンセリングの有効性
~
アルコール依存症治療におけるセルフヘルプグループについて ~
平成 25 年 12 月にアルコール健康障害対策基本法(以下、基本法)が成立し、
既に平成26 年6 月より施行されています。この新たな法律により、アルコール依存
症の考え方が大きく変わりました。
理由は、この基本法の中で『多量の飲酒、未成年の飲酒、妊婦の飲酒等の不適
切な飲酒の影響による心身の健康障害』を『アルコール健康障害』と定義づけてい
るからです。これは、アルコール依存症が社会に及ぼす悪影響に着目し、国や自
治体、その他関係団体等が本格的に取り組み始めたという証しと言えます。既に
米国の精神医学会の診断ガイドラインでは『アルコール使用障害』という用語が用いら
れています。
もう一つの背景として、複雑化する社会の中でアルコール依存症になるきっか
けが多様化していることも挙げられます。例えば東日本大震災により、大切な家族
や家、職を失ったことをきっかけにアルコール依存症とその予備軍が、震災以降、
増えているという実態があります。
これまでのアルコール依存症の治療は、病院での治療(通院や入院)に加え、
「AA」や「断酒会」に代表されるセルフヘルプグループ(詳しくは本文参照)の活動
の中で、仲間と励まし合いながら、アルコール依存症と向き合い、克服しようとい
う取り組みが中心でした。しかし、実際にアルコール依存症と向き合ってもらうこと
は難しく、入院治療に至らないことが多いというのが実情です。その様な中、セル
フヘルプグループの新たな取り組みとして院内ピアカウンセリングがめざましい成
果を挙げています。
本稿は、医療法人 杏野会 理事長 天野宏一先生に寄稿いただき、アルコー
ル依存症治療の動向や各務原病院で実施している院内ピアカウンセリングの取り
組みとその成果について、症例なども交えながら解説いただきました。
2016 年 05 月 16 日
Healthcare note
(No.16-05)
寄稿者名:
医療法人杏野会
各務原病院
理事長 天野 宏一
編集主幹:
野村ヘルスケア・
サポート&アドバイザリー
市川 剛志
各務原病院は、民間で唯一、依存症治療拠点機関として指定されており、院内
ピアカウンセリングの取り組みにより参加した 2 人に 1 人は依存症と向き合い、入
院治療に結びついています。アルコール依存症は、約 100 万人が未治療と言われ
ている中、今後注目されるべき取り組みの一つと言えるのではないでしょうか。
精神科に限らず日常の診療の中で、アルコール依存症の患者に接することも少
なくないと聞かれます。アルコール依存症治療の有効な手段の一つとして、ご留意
いただければ幸いです。
(市川)
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