船内オリエンテーリング

深
江
丸
船 内 オ リ エ ン テ ーリ ン グ
プ
ロ
グ
ラ
ム
Ver.6(H.16. 3 改訂)
3N前期 学内船舶実習
実 施 年 月 日
【1組】 平成 19年 5月
8日 ∼ 10日
【2組】 平成 19年 5月15日 ∼ 17日
学籍番号
ふ
り
氏
が
な
名
神 戸 大 学
海 事 科 学 部
附 属 練 習 船 深 江 丸
深江丸 オリエンテーリング
プログラムの手引
1.目 的
学内船舶実習<3N前期>の実習期間中、このプログラムの調査・確認事項に従って船内を巡
り、船体構造や設備・属具の配置等を調査しながら確認するとともに、海上衝突予防法に規定す
る航法を確認する他、海上交通安全法や港則法について理解する。;海上交通三法
併せて指導教員のチェックを受けることにより、海事や海技に関する基礎的な知識を身につけ
るとともに、全航海を通じて船や海に親しみながら慣海性と協調性を養うことを目的する。
2.実施要領
※ 《実習初日の集合・点呼前の事前調査事項》
<事前調査1> P 7:進徳丸のストックアンカーの確認
<事前調査2> P 9:深江丸、大学ポンド係留中の係留索の配置状況のスケッチ
<事前調査3> P11:出港前の深江丸の喫水読みとりと満載喫水標のスケッチ
a.調査・確認にあたり次の物を用意する。
①筆記用具(色鉛筆・マーカー等)②深江丸一般配置図(GA;General Arrangement Plan)
b.このプログラムには3個所のチェックエリアが設けられているので、班ごとに指示された
"チェックエリア" から調査・確認を開始し、エリアごとに教員のチェックを受ける。
[開始チェックエリア]
チェックエリア A :1班
チェックエリア B :2班
チェックエリア C :3班
c.それぞれのチェックエリアでは説明や調査事項並びに確認事項が指示されている。
指示に従ってプログラムを進行し、必要事項を調査・確認した後、次の場所に進む。
d.各エリアごとの教員チェックでは、調査・確認した事項やプログラム中に説明されている
内容について教員から具体的な質問が出される。
質問に全て回答できれば教員の「確認 印」をもらって次のエリアに進む。
解答や調査の内容が十分でないと判断された場合には再調査、再チェックとなる。
プログラム中の3か所にある確認印を全てもらって本プログラムは終了する。
<チェックが遅くなるほど混みあい、難問となる。少なくとも初日に2箇所は終えること!>
e.2日目の指定された時刻までに各班の班長がとりまとめて本紙を TA に提出
チェックエリア A
1.船
橋
甲
板
2.コンパス船橋甲板
↓
チェック
↓
↑
チェック
↑
チェックエリア B
3.ジャイロルーム
5.上 甲 板 前 部
4.バッテリールーム
6.上 甲 板 後 部
↓
チェック
↓
7.主甲板・下甲板
↑
チェック
↑
チェックエリア C
8.喫 水
-1-
9.海上衝突予防法の航法
1.船橋甲板(Bridge Deck)
あやつ
そうせん
深江丸の航海船橋は航海中に船を
操 る(操船する)場所で、周囲を最もよく見渡せる場所に
だりん
そうだしつ
設けられている。舵輪のある操舵室(Wheel House)と船位を海図(Chart)に記入したり様々
な作業を行う海図室( Chart Space)、並びに機関制御監視区画(ECC:Engine Control Console)
により構成される。夜航海中は船橋内をカーテンで仕切り、当直その他の作業に必要な最小限度
さまた
の照明とすることで、操舵室からの周囲に対する見張りが 妨 げられないように配慮されている。
船を安全かつ効率よく運航すためには様々な航海情報が必要であり、操舵室で船を操船する船
長や航海士は、航行に必要なあらゆる情報を総合的に判断しながら適時、適切な操船を行ってい
る。航海情報は、周囲の状況や VHF 無線電話の通信状況などからも得ることができる。
こうかいけいき
1.航海船橋にはどのような航海計器が設置されているか。主な名称とその使用目的を調査せよ。
名
称
用
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
途
:
:
:
:
:
2.潮汐や潮流、航行する海域の情報や港湾事情などは各種の書籍等からも知ることができる。
水路図誌目録を参考にして深江丸にどのような水路図誌があるか調査せよ。<同一種不可>
(1)
:
(2)
:
(3)
:
(4)
:
(5)
:
3.海図(Chart)をよく観察して、陸上で使用する一般の道路地図(Map)との違いを調査せよ。
(1)
:
(2)
:
(3)
:
(4)
:
(5)
:
すう
4.航海船橋は船の中枢であり、適時、船内の必要な箇所に様々な命令や情報などを伝達するた
めの各種の情報連絡手段が設けられている。
次の連絡装置は、航海船橋とどこの間の連絡装置か。
(1) 船内指令装置(Public Addresser :P. A. )
航
海
船
橋
−−−→
(2) 伝声管(Voice Tube)
←−−→
(3) 船内電話(Automatic Telephone)
航
海
船
橋
←−−→
-2-
航
海
船
橋
5.火災発生や非常呼集、総員退船などの緊急非常時には直ちに非常配置のための部署が発令さ
れる。緊急事態を周知するために、非常警報装置(ジェネラル・アラーム:General Alarm)がある。
(1) 非常警報装置を作動させるボタンはどこにあるか。<絶対に作動させないこと>
(2) 次の非常配置(部署)を発令する規約信号はどのようなものか。
① 非常呼集
・・・・・・・・
② 総員退船
・・・・・・・・
③ 防 火 部 署
・・・・・・・・
こ くさ い し ん ごう き
6.国際信号旗(International Code Flag)は船舶間相互の通信や船舶と陸上施設との通信、ある
いは自船の状況などを周囲に知らせる通信手段のひとつであり、アルファベット(A∼Z)、
数字旗(0∼9)及び代表旗(3種類)並びに回答旗という合計40の旗で構成される。
個々の信号旗の単独の意味やこれらの組合せによる意味は国際的に統一され、国際信号書
(International Code of Signals)に収録されている。
次の旗を色鉛筆を用いて図示し、それぞれの意味を調査せよ。
(1) P
意
味
(2) O
意
味
(3) G
意
味
(4) H
意
味
(5) UY
意
味
-3-
(6) UW
意
味
7.緊急非常時の脱出用救命器具として、深江丸には定員分の膨脹式救命胴衣と6基の膨脹式救
命いかだ(Inflatable Liferaft)が備え付けられている。<船舶救命設備規則>
(1) 各膨張式救命いかだ(1号ラフト∼6号ラフト)の定員は それぞれ何名か。
1号(
)名
3号(
)名
5号(
)名
右舷計(
)名
2号(
)名
4号(
)名
6号(
)名
左舷計(
)名
両舷合計(
)名
(2) 深江丸の最大とう載人員は何名か。
(
最大搭載人員は、どの証書に記載されているか。 (
この証書には、他にどのような内容が具体的に記載されているか。
) 名
)証書
(3) 上記の証書の他に、深江丸ではどのような証書を保有(掲示)いるか。
1)
4)
2)
5)
3)
6)
8.次の場所を確認し、一般配置図にその名称を記入せよ。
(1) 天窓(Sky Light)
航海船橋甲板後部のファンネル(煙突)前方にあり、機関室内の大型重量機器類等の搬出入
時に取り外せる構造である。また、機関室の採光や通風・換気のための装備でもある。
<調査にあたり、付近通行の際にはつまずいたり開口部から転落しないように注意しよう!>
(2) 通風筒(Ventilator)
船内へ外気を取り入れたり、逆に船内の空気を船外に排出したりするための換気装置で、タ
イプによりいろいろな呼び名があり、自然通風により換気を行う方法と動力によりファンを回
転させて強制的に換気を行う方法とがある。
ばくろ
通風筒は航海船橋甲板に限らず暴露甲板上や側壁等に様々な形のものが設置されている。
どのような場所に、どのような形の通風装置があるか GA を用いて調査せよ。
(1)
:
(2)
:
(3)
:
→ →
次はコンパス船橋甲板へ
-4-
2.コンパス船橋甲板(Compass Bridge Deck)
航海船橋の上の甲板をコンパス・ブリッジ・デッキといい、このデッキにはマグネティック・
じ き
コンパス(Magnetic Compass;磁気コンパス)が設置されている。このコンパスをスタンダード
・コンパス(Standard Compass)という。コンパス・ブリッジと呼ばれるのはこのコンパスに
由来するが、別名をフライング・ブリッジ(デッキ)ともいう。この甲板にはレーダの走査アン
テナ他、種々のアンテナや航海灯などを備えたレーダマスト(Radar Mast)、探照灯や拡声器な
どがある。
1.走査アンテナ(Scanner Antenna)
走査アンテナはレーダ専用のアンテナで、深江丸にはレーダマスト上に上下に2基搭載され
ている。このアンテナは回転しながら船の全周にわたり指向性の強い電波(マイクロ波)をパ
ルスにして発射すると同時に周囲の船舶その他の物標から反射して戻ってきた電波を受信し、
操舵室にあるそれぞれのレーダ表示機に探知物標として陸地や船の映像を表示する。
<電波や光などの電磁波は、1秒間に30万㎞(地球7周半)伝搬する。>
また、深江丸のレーダ表示器には衝突予防援助装置としての ARPA 機能があり、衝突予防
のために必要な様々な情報を操船者に提供する。(ARPA:Automatic Radar Protting Aids)
(1) 上部アンテナと下部アンテナは、航海船橋の右舷・左舷のどちらのレーダ表示機のものか
調査せよ。<Xバンド・Sバンド>
上部(10 ㎝波):
下部(3 ㎝波):
2.ループアンテナ(枠型空中線:Loop Antenna)
ループアンテナは無線方位測定機( R a d i o D i r ec t i o n F i nd e r : D . F. )の専用アンテナで、
電波の到来方向をできるだけ正確に探知するために、船体(鉄;鋼)の影響が最も少ない船の
上部の船首尾線上に設置される。深江丸ではレーダマストの前方にあり、2つの輪(ループ)
を 90 度の交角で交差させ、交差部に付属した垂直アンテナとともに電波を受信し、D.F.によ
り電波の到来方向を大圏方位で探知する。
次の事項を調査せよ。
(1) ループアンテナの設置場所 ・・・・・
(2) 無線方位測定機の場所
・・・・・
(3) D. F. を操作して、もよりのラジオ放送局の電波を受信してみよう。
KHz
受信周波数
放送局名
※ P2 からここまでの調査・確認事項のチェックを受けよ!
□ ウーン残念!
もう一度調査・確認を行おう。
□ 良くできました。
教 員 確 認 印
→ → チェックに合格し確認「印」を取得したならば、次はジャイロルームへ
-5-
3.ジャイロルーム(Gyro room)
らしんばん
方位を知る道具・装置を一般にコンパス(羅針盤:Compass)という。コンパスには方位の基
じほく
じしゃく
準となる磁北を求めるために磁石を利用するマグネティック・コンパス
(Magnetic Compass)と、
しんほく
真北を求めるためにジャイロ(コマ)を高速で回転させて、コンパスの方位盤の南北方向と地球
しほく
の自転軸の方向を一致させる(指北させる)ジャイロ・コンパス(Gyro Compass)がある。
船舶用のジャイロコンパスはその構造により " アンシューツ式 " と " スペリー式 "の2つの
タイプがあり、深江丸のものは " アンシューツ式 " である。
ジャイロルームにはジャイロ・コンパスの本体であるマスター・コンパスが設置されている。
操舵室その他にあるレピーター・コンパスや方位信号を必要とする各種の航海計器にはこのマス
ター・コンパスからの方位信号に種々の修正を加えた正確な方位信号が伝達される。
てんりんきゅう
(1) 学生ホールにマスター・コンパスの転 輪 球 と EMログ(電磁ログ)の受感部の実物カ
ットモデルをその構造がわかるように展示している。
転輪球の中にコマ(ジャイロ)はいくつあるか。
個
EMログ受感部の中のコイルの役割は何か。
→ → 次はバッテリールームへ
ちくでんちしつ
4.バッテリールーム
(蓄電池室:Battery Room)
じく
深江丸の電力は通常、機関室内の発電機やプロペラシャフトに連結した軸発電機から船内各所
に給電されている。主機関(メイン・エンジン)の両側に1台ずつ、計2基の発電機と主機関の
船尾側に軸発電機があり、運転中の発電機が突然停止した場合にはもう一方の発電機が直ちに自
動起動する。さらに機関室への浸水や機関室火災などで3基の発電機が全て使用不能になった場
合には非常用発電機 (Emergency Generator) が直ちに自動起動する。
万一、全ての発電機による電気の供給が完全に停止し、ブラックアウト(B l a c k o u t:停電)
した場合には、脱出経路の照明などの必要最小限の電源を確保する蓄電池(バッテリー:Battery)
が用意されてる。この蓄電池を格納してある場所を蓄電池室という。なお、この区画は引火性ガ
スが発生していることがあるので立ち入りを禁止する。
(1) 入口の扉の表示を調査せよ。
→
→
→
この区画にはなぜ、このような表示が必要か。
(2) 蓄電池の電圧は何ボルトか。
・・・・・・・・ (
)ボルト
(3) 蓄電池により点灯する " 非常灯 " は、船内のどのような場所にあるか。
また、どのような 印 が付されているか。
→ → 次は上甲板前部へ
じ ょ う こ う は ん
5.上甲板前部
(UPPER DECK FORE)
せんそくがいはん
上甲板から船側外板が上に延び、上甲板以下の船体部分とほぼ同じ強度で船体を構成している
ろ う
部分を 楼 という。船首部分にある楼を「船 首 楼(フォクスル:Forecastle)
」、船尾部分にあ
せんしゅろうこうはん
るものを「船尾楼(プープ:Poop)」と呼ぶ。また、上甲板より一層上の船首楼甲板をフォクス
ぜんつうこうはんせん
Deck)という。深江丸は全通甲板船であり船楼部分はない。
ルデッキ(Forecastle
ようびょう
けいせん
いかり
船首部分には揚
錨機(ウインドラス)や係船(ムアリング)ウインチその他の
錨 作業や船を
けいりゅう
岸壁に係 留するのに必要な諸設備がある。
-6-
せんしゅりょうげん
いかり
たいびょう
1.船首両 舷には 錨 (船首大 錨 :バウアンカー:Bow Anchor)が一つずつあり、さらに予備
の錨が船首エントランス(Entrance:出入口)の右舷側側壁に搭載されている。
" KS−8 改良型
"と呼ばれるストックレスアン
深江丸の錨は神戸商船大学の開発による
かん
はちゅうりょく
びょうさ
カー:Stockless Anchor:無桿錨)で、把 駐 力と呼ばれる、錨鎖とともに船を海底に係止する
性能に優れた錨である。
しょうびょう
2.小 錨(Kedge Anchor)
離着岸時の操船の補助や荷役時の船体移動や動揺の防止、あるいは座礁した場合の船固めな
かん
どに用いる錨をいう。深江丸には搭載されていないが、船首の錨(無桿錨)とは形状が異なり、
"ス
海底での錨の状態を安定させることで錨の反転を防ぎ、あわせて把駐力を確保するための
かん
トック"と呼ばれる棒状の金具がついていることが多い。このために(StockAnchor:有桿錨)
と呼ばれる。深江丸係留岸壁東側の進徳丸記念館前にはかって同船が保有していた錨が展示さ
れている。
※ <事前調査1> ストックアンカー の確認は実習初日の集合・点呼前に行っておくこと!
(1) 深江丸の予備錨の重量はいくらか。
kg
(2) 深江丸の予備錨(ストックレスアンカー)をスケッチしよう。
***** ストック・アンカーのスケッチ*****
***** 深江丸の錨のスケッチ*****
Stock Anchor
くさり
Stockless Anchor
びょうさ
3.錨と船体は 鎖 でつながれている。この鎖を錨鎖(アンカーチェーン又はアンカーケール:
せつ
Anchor Chain or Anchor Cable)という。錨鎖の長さの単位は節(シャックル:Shackle)と呼ば
れ、標準的な長さは 25 m 又は 27.5 mである。深江丸の錨鎖は1節 25 m、両舷にそれぞれ
7節(175 m)ずつあり、合計 14 節搭載している。また、深江丸の錨接続部にはスイベル(Swivel)
部分として 6.25 m、錨鎖庫(チ
ェ ー ン ロ ッ カ ー:Chain Locker)内のケーブルエンド側(船
たんさ
体取付部には 6.25 m の短鎖がさらに接続されている。
錨鎖と錨鎖の接続部分にはシャックルマーク(Shackle Marks)という目印が付いているの
で、当該マークから錨までの錨鎖の節数(長さ)は、このつなぎ目の目印により容易に判読で
きるようになっている。
<参考>
深江丸の錨鎖1節の重量:583 ㎏ (× 7 節× 2 組;両舷)
コモン・リンク:2.9 ㎏ ,エンラージド・リンク:4.2 ㎏ ,エンド・リンク:4.6 ㎏ ,スイベル:10.0 ㎏
アンカー・シャックル:13.0 ㎏ ,ジョイニング・シャックル:8.2 ㎏
ようびょうき
4.揚錨機(ウインドラス:Windlass)
揚錨機は上甲板船首部にあり、錨鎖を介して錨を投下したり揚げたりする甲板機械である。
錨鎖は揚錨機のジプシーホイール(Gypsy Wheel)及びチェーンパイプ(Chain Pipe)を経由し
て錨鎖庫(チェーンロッカー:Chain Locker)と呼ばれる錨鎖の格納庫に納められている。
また、錨側へはコントローラー( C h a i n C a b l e C o n t r o l l e r )を介し、ホースパイプ
(Hawse Pipe)を通じて錨上端に取り付けられたアンカーシャックルに連結されている。
◎ 錨鎖と錨鎖の接続部分はウインドラスのコントローラ部で確認できる。
-7-
(1) 錨鎖と錨鎖の接続部をスケッチせよ。
錨鎖庫(船体) ←←
使用錨:
ジョイニング・シャックル
舷錨
節 on Windlass
→→ 錨(海側)
Ball)
5.黒球(黒色球形形象物:Black
びょうはく
船が錨を使用して停泊(錨 泊)している場合、日出から日没までの間、黒球1個を船の前
部または付近の、周囲から最も見えやすい所に掲揚しなければならない。また、日没から日出
びょうはくとう
までの間、長さ 50 m未満の船舶は最も見えやすい場所に錨 泊 灯(Anchor light;白色全周灯)
を1個表示しなければならない。<海上衝突予防法>
(1) 錨泊中を示す「黒球」 または 「錨泊灯」は、深江丸ではどこに表示してるか。
黒球:
錨泊灯:
《参考:深江丸の全長は、49.95 m;50 m未満》
→ → 次は上甲板後部へ
6.上甲板後部(UPPER DECK AFT)
こくせき
せんせきこう
船舶は、船尾に船の国籍を示す国旗を掲揚しなければならない。
深江丸の船籍港は神戸(日本)
にっしょうき
であるので「日章旗」を掲揚する。船が船籍国以外の外国の領海内あるいは港にいる場合でも、
船の中は"当該船舶が国籍を有する国"であり、従って船籍国の法律が適用される。外国の官憲(軍
隊や警察など)が船長の許可なく船内に無断で立ち入った場合は、状況によっては侵略行為とみ
なされる場合がある。国旗は特に政情不安な国や海域などでは船員の命を守るための最終手段で
あり、船では外国の国旗や所属旗同様に大切に取り扱わなければならない。さらに、外国の沿岸
(領海)を航行するときや外国の港に停泊しているときは寄港国に最大の敬意を表すためにその
国の国旗を船の一番高いマストに掲揚しなければならない。マストには所属を示す社旗なども掲
揚する。深江丸は通常「学章旗」(海事科学部の旗)を掲揚している。また、船首両舷には船名
を、船尾には船名と船籍港を国字を用いて表示することが「船舶法」という法律で義務付けられ
ている。
"敬礼または礼"により船籍
外国船を訪船したときはまず、船尾の国旗または船尾に向かって
げんもん
国に対して敬意を表し、その後、舷門の当直者に対して表敬するのが国際儀礼(慣習)である。
1.上甲板の最後部は船尾の係船・離岸作業を行う場所で、係留用ウインチがある。船では安全
けいりゅうさく
かつ迅速に船を係留するためにホーサー(係 留 索:Hawser)と呼ばれる丈夫なロープを用い
38 ㎜のポリエチ
る。両舷にあるウインチのドラムに巻かれているのがそれであり、深江丸は
さく
レン製の合成繊維索を使用している。通常の着岸時には船首部に3本、船尾部に3本の、計6
本で船を岸壁に係留している。
また、大学のポンド係留時に台風の接近や直撃などにより暴風が予想される場合には "増しも
やい"と呼ばれる係留索の増し取り(係留索を増やす)と、係船錨鎖2本(通常は1本)によ
ふながた
り船固めを行う。一般商船の場合は港長からの「避難勧告」の発動により港内から港外に移動
させられることがある。
(1) 岸壁係留時にはホーサーの先端に接続したヒービング・ラインと呼ばれる、先に球状のお
もりの付いた先取りロープを岸壁の綱取り人に送る。岸壁ではこれを手繰ることによりホー
サーエンドを引きよせ、岸壁のビットかけて船を接舷する。
船尾旗竿付近に置いてあるヒービング・ラインの先端部をスケッチせよ。
-8-
**** ヒービング・ラインのスケッチ ****
さきぶね
けいちゅう
あと
(2) 岸壁において、先船があり岸壁のビット(繋
柱)を共有するような場合、後から着岸す
あとぶね
る船(後船)の係留ラインの先端部は上からかけると先船の係留索がはずせなくなるので、
ビットに取った先船の係留索エンドの輪の内側から同じビットにかけなければならない。
(3) 離岸前のシングルアップ時や、岸壁ビットとの関係で係留索の長さが短すぎるような場合、
係留索のエンドを岸壁のビットに取らずに、船 → 岸壁ビット(回し) → 船とホーサーを
○
取り、ホーサーのエンドを船側に係止することがある。
このようなラインの取り方を”バイトに取る”という。船
● 岸壁ビット
○
※ <事前調査2> 下記(4)は実習初日の集合・点呼前に済ませ、記録しておくこと。
(4) ポンド係留中における岸壁ビットと深江丸の係留索の状態を図示し、それぞれの名称を
次に示す番号を用いて記せ。
① HEAD LINE
② FORWARD BREAST LINE
③ FORWARD SPRING
④ AFT SPRING
⑤ AFT BREAST LINE
⑥ STERN LINE
深 江 丸<左舷>
グ
ラ
ン
ド
ポンド 深江丸係留岸壁
防 潮 堤
N
2.下記の調査と確認を行い、一般配置図にその個所と名称を記入せよ。
(1) ハンドレール(手すり:Handrail)
げんそく
主甲板から上の甲板の舷側には、人や物の海中落下を防ぐためにハンドレールが設けられ
ている。これは非常の場合につかむもので、これにもたれたり体重をかけたりしてはいけな
い。《各甲板間の階段にもハンドレールが設けられている。階段昇降時には必ずこれを手で
つかみ、静かに昇降しよう!》
(2) ウォーターウェイ(排水路:Waterway)
ばくろ
暴露甲板の舷側付近は排水路になっており、所々にスカッパー(排水口:Scupper)とい
うパイプ穴が設けられている。船の甲板は強度上中央部が少し盛り上がっているが、これを
し け
キャンバーという。大量の雨水や時化などで甲板に打ち込んだ海水は船の左右に集まり、こ
のパイプを通じて船外の水線部付近に自然排出される。船の内部に入り込んだ海水などは排
水ポンプで船外に排出する。
(3) 注入管(Filling Pipe)・空気管(Air Pipe)
主甲板舷側付近の各所には大小のパイプが立ち上がっている。これらは清水や燃料油を船
内に積み込むときの取り入れパイプ(注入管)で、同時にタンク内の空気を抜くためのパイ
プでもある。さらに換気用の蓋付き空気管もある。
のっと
船員労働安全衛生規則に 則 り、水や燃料油の搭載箇所や通じるラインを識別するために
これらのパイプには色テープ等を使って識別表示がなされ、間違わないようになっている。
-9-
1)
3)
次のパイプの識別表示は何色で表示されているか。
2) 飲用水
雑用清水
燃料油
4)
海水
3.陸電接続箱(Shore Connection Box)
上甲板の右舷中央部にあり、大学ポンドの深江丸専用岸壁への係留時や船体整備工事などで
にゅうきょ
造船所に入 渠したときなどに陸上電源(AC220V , 60Hz)を船内に取り入れる場所である。
また、大学内の構内電話回線と深江丸の船内電話線もここで接続する。
→ → ※ P6 からここまでの調査・確認事項のチェックを受けよ。
□ ウーン残念!
もう一度調査・確認を行おう。
□ 良くできました。
教 員 確 認 印
→ → チェックに合格し確認「印」を取得したならば
次は主甲板・下甲板へ
7.主甲板(Main Deck)・下甲板(2nd Deck)
そ う だ き
1.操舵機室(Steering Engine Room)
かじ
操舵機室は主甲板の最後部、深江丸の舵の直上にある。同室の中央部にある装置が操舵装置
かじ
であり、この直下の水中に船の進行方向を変えるための”舵”がある。深江丸では舵を動かす
でんどうゆあつ
ための動力として油圧を用いている。(電動油圧式操舵装置)
(1) 操舵装置(Steering Gears)
だへい
ボートなどの小艇は人間の力でティラー(舵柄)を操作し舵を動かすことができるが、大
きな船になると舵も大型となり、さらに遠隔操作の必要性から人間の力で直接舵を動かすこ
とはできない。このため動力を用いることになる。この舵を動かす信号を送り動力を発生さ
せる一連のシステムを操舵装置という。深江丸では操舵室の舵輪からの電気信号により、操
だりん
舵機室の油圧ポンプを制御し、発生した油圧により舵を作動させる。船橋の操舵室で舵輪
(Steering Wheel)を回すと、電気信号が2系統あるうちの使用している系統のケーブルを
伝わって船尾の操舵装置に伝達される。実際に舵がどれだけ回転したかを船橋前面上部中央
にある舵角指示器に表示する。操舵者は舵輪についている舵角指示目盛りの他に、この指示
器が示す実際の舵角を見ながら操舵号令通りに舵を操作しなければならない。
舵は船にとって重要な装備のひとつであり、航海船橋での通常の操舵が不能となったとき
は緊急用として操舵機室において油圧系統の直接制御による非常操舵を行うことができる。
最終的には人力により油圧を発生させ舵を操作する人力操舵も可能となっている。
おすいしょりそうち
2.汚水処理装置 (Sewage Treatment Unit)
ばっき
下甲板の機関室左舷前部には汚水処理装置室がある。深江丸は曝気式の汚水処理装置を備え、
トイレからの汚水はこの装置を介してバクテリアにより処理した後船外へ排出される。
トイレの流水は海水を使用しているので使用上の注意を守り海水を十分に流そう!
- 10 -
3.エスケープ・トランク(Escape trunk)
機関室浸水時などに機関区画の中に残された人が脱出するための逃げ口である。この脱出口
は機関室の船尾側に設けられている。ここを通じて機関室から逃げた場合、深江丸のどの場所
に脱出できるか確認しよう。
くうちょうき
Unit)
4.空調機(Airさ Conditioner
げん
学生ホール左舷船首側の扉の奥に空調機室のひとつがある。この空調機は学生ホールと学生
きょじゅうく
居住区用となっている。船内は船体強度の確保や防火及び区画防水上、隔壁や防火壁などで小
区画に仕切られいて構造が複雑である。さらには高温の機関区画などもあり、船内全域を快適
な温度で均等に空調することは容易ではなく、船内生活においては各自がそれなりの工夫をす
ることが必要である。
※ <事前調査3> 喫水の読み取りは実習初日の集合・点呼前に済ませ、記録しておくこと。
き つ
8.喫
す
い
水(Draught)
りょうげん
船首部、船体中央部、船尾部のそれぞれ両 舷の水面付近には、船体が水面下にどれくらい沈
んでいるかを知るための喫水標(ドラフトマーク:D r a u g h t M a r k s )が表示されている。
この数値を読み取ることにより貨物の積載量や船の排水量(重量)を知ることができる。
てんぷく
さらに両舷の船体中央部には貨物の積み過ぎによる転覆などの危険を防止するために、”満載喫
水線標識”(Load Line Mark)を表示している。
(1) 岸壁係留中に、船首部・船尾部・船体中央部の喫水(水面の位置)を読み取り、満載喫水
線標識とともにスケッチすること。ただし、数字一文字の鉛直方向の高さは " 10 ㎝ "、
文字の幅は " 2 ㎝ "で、文字の下端が該当する喫水を示す。
※ 注意:調査時、岸壁から誤って転落しないように気をつけること!
[船尾喫水:da] [船体中央部喫水:d ƒ] 【満載喫水線標識】
[船首喫水:df]
水上
水面
水中
喫水読み取り値
df :
d ƒ:
m
m
da:
㎝ ,
㎝ ,Trim:
m
m
m
㎝ , dm:
㎝
㎝ B/S(バイ・ザ・スターン;船尾トリム)
[dm は船首船尾の平均喫水を、d ƒは船体中央部の喫水を表す。]
[Trim;トリムとは船の前後の傾き”沈み具合”のことで、船では一般に B/S である。]
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9.海上衝突予防法の航法
じゅんしゅ
船舶の航行の安全を確保するための基本事項のひとつに『海上交通法規の遵 守』が挙げられ
る。船が海上を安全に航行するには、国際的な海上交通ルールである「海上衝突予防法」や日本
の特定の海域で適用される「海上交通安全法」、「港則法」などを十分に理解する必要がある。
ここでは海上衝突予防法に規定されている各種の航法のうち、船舶が互いに他の船舶の視野の
内にある場合に適用される、次の3つの航法を理解・暗記し、避航方法を図示してみよう。
おいこ
せん
お
こ
【第 13 条 追越し船
の航法】 (他の船を後方から追い越す場合の航法)
ゆきあ
せん
【第 14 条 行会い船
の航法】 (前方から来る船と行き会う場合の航法)
よこぎ
せん
【第 15 条 横切り船 の航法】 (船どうしが前方で横切る場合の航法)
おいこ
①
せん
追越し船
の航法
お
こ
追越し船は、この法律の他の規定に関わらず、追い越される船舶を確実に追い越し、かつ、その船舶から十分
に遠ざかるまでその船舶の針路を避けなければならない。[ 第 2、3項省略]
A 追越し船(早い船)
B 被追越し船(遅い船)
→
ゆきあ
②
→
×
せん
行会い船
せき
の航法
2隻の動力船が真向かいまたはほとんど真向かいに行き会う場合において衝突するおそれがあるときは、
しんろ
各動力船は、互いに他の動力船の左げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければなら
ない。[ ただし書き 及び 第 2、3項省略]
A船
B船
衝突のおそれ
→
よこぎ
③
×
←
せん
横切り船
の航法
よこぎ
しょうとつ
2隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝 突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見
る動力船は、当該他の動力船の進路をさけなければならない。この場合において、他の動力船の進路を避けなけ
ればならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切ってはならない。
[ 第 2項省略]
×
A船
衝突のおそれ
B船
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→ → ※ P10 からここまでの調査・確認事項のチェックを受けよ。
□ ウーン残念!
もう一度調査・確認を行おう。
□ 良くできました。
教 員 確 認 印
→ → チェックに合格し確認「印」を取得したならば、次は船橋甲板へ
深江丸オリエンテーリング
合格記念スタンプ
<3箇所の教官確認「印」を全て獲得したらもらえるよ!!>
やったー!!
このオリエンテーリング プログラム の感想と意見
/// THE END
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