抄録①

抄録①
「今日は何すんだい?」
∼全員参加を目指した集団レクリエーションの効果∼
プライムケア桃花林
佐藤一二美
当施設の入所定員は、150 名で、3 つの部署に
分かれています。私の部署は、47名で要介護度 1∼3 の方が入所されています。
集団レクリエーションは、他者との交流、
身体機能維持・向上のため、毎日午前に1回、30∼45 分程度行う時間を設けています。
ご利用者の中には、レクリエーションを楽しみにしている方もおり、
「今日は何するの?」
と、職員に声をかけてくれます。
しかし、日常の業務に流されてしまい、いつも同じような、変化の乏しいレクリエーショ
ンとなっていました。
そこで、ご利用者の全員参加を目指し、満足出来る集団レクリエーションを提供出来るよ
うになりたいと考え、平成 17 年 10 月より「集団レクリエーションの見直し」を行い、ご
利用者の参加人数や満足度を得られたので報告します。
【従来の集団レクリエーション】は、「風船バレー」「ベンチサッカー」
「缶釣り」など、い
つも同じ内容の物ばかりで、マンネリ化がありました。
レクリエーション担当職員人数は、ふたり程度で
行うため、司会進行も間々ならず、職
員やご利用者に不安感を与えていました。
また、同じレクリエーション内容のものを行っても、各職員の提供にばらつきがありまし
た。
そこで、
「集団レクリエーション見直し①」として、職員の知識・技術の向上を目指し、
「全
国レクリエーション大会」への出張参加を実施しました。その結果をカンファレンス時に
発表し、職員間で共有しました。
また、「サークルサッカー」「テーブルホッケー」
「物送りゲーム」など新しいレクリエーシ
ョン内容もファイルし、誰もが同じものを提供出来るようにしました。
次に「集団レクリエーション見直し②」として、担当職員の人数を、ふたり程度から、3
人に増員しました。
必ず 1 人は司会進行を行い、その他は、補助役とし、メリハリのある、安全なレクリエー
ションを行うようにしました。
次に、「集団レクリエーション見直し③」として、実施状況の共有化を図りました。
業務上、担当職員が入れ替わるため、「実施記録表」を作成し、記録することで、全職員が
レクリエーションの内容と、参加人数を把握出来るよう、検討しました。
その後、3ヶ月ほど、①から③の内容で、集団レクリエーションを行い、「ご利用者のレク
リエーションに対するアンケート調査」を 42 名の方に実施しました。
調査によると、<週にどの程度参加しているか>どうかの質問に対して
ほぼ毎日参加している方が…8 名
週 2∼3 回参加している方が…25 名
見ているだけの方が…1 名
参加しない方が…8 名
と、33 名の方が、週に2・3回以上は、
参加しているという、回答になりました。
出来るだけ参加し、身体を動かして楽しく過ごしたいと考えるご利用者が多いようでした。
また、参加しないと回答した内容には、ご高齢で体力的に困難な方や、その時間帯に、リ
ハビリを行っているため参加できない方もいました。
次に、
<満足しているか>どうかの質問に対して
満足していると答えた方が…25名
どちらともいえないと答えた方が…9 名
満足していないと答えた方は、いなく
ほとんどのご利用者が満足しているということがわかりました。
今後どのようなレクリエーションを望んでいるかに対し、手作業をしたいとの意見があり
ました。
現在、貼り絵の提供も行っています。
その他にも、月の行事として、全員参加の集団レクリエーションを企画し、実行していま
す。
行事とすることで、入所者全員が参加して頂けると考えたからです。
普段は参加されない方も、一生懸命にやられる姿がみられました。
【結果】「全国レクリエーション大会」への職員の参加、報告により、レクリエーションの
種類が増え、また、内容を共有化し、どの職員でも提供出来るようになりました。
対応する職員の人数も増え余裕ができ、ご利用者との関わりを多く持てるようになりまし
た。
「実施記録表」を作成することにより、類似した
レクリエーションを実施することが
無くなりました。
また、アンケートの結果、参加意欲や満足度を得られているということがわかりました。
そのことにより、集団レクリエーションに参加する、ご利用者の人数に変化がありました。
平成 18 年 1 月から 3 月にかけて、参加人数 10 名未満だった日が、1 月の7日間から、3
月の5日間に減っており、また、参加人数 10 名∼19 名の日が、1 月の 18 日間から、
3
月の 20 日間に少しずつ増えて来ています。
毎日のレクリエーションがご利用者の日課となってきているのだと思います。
【考察・まとめ】
「集団レクリエーション」の見直しを行い、ご利用者のレクリエーションに参加したい、
という意欲効果を得ることが出来ました。少しの工夫で、大変だった集団レクリエーショ
ンも、ご利用者の意欲向上に繋がりました。
アンケート調査では、マンネリ化が心配された「風船バレー」などの以前から行われてい
た、レクリエーション内容も、楽しみにされていることが分かりました。
ご利用者側から考えれば、慣れ親しんだゲームと言うことだと思います。これからも、新
しい内容と、ともに行い、マンネリ化を防いでいきたいです。
今後の課題は、参加しない方への対応を、どのようにして行くかです。積極的な声かけや
個別の関わりなども考慮しながら、
「参加しない・見ているだけの方」が、出来るだけ参加
の方へ移行できるようにアプローチしていきたいです。
また、今回の見直しの経過で、ご利用者の ADL の向上までは確認出来ませんでした。今後
は、ご利用者の ADL 維持・向上を目指せるような集団レクリエーションを、他職種との連
携を図りながら、提供していきたいと思います。