問題解決能力を向上させる指導 ~問題解決的な学習の工夫

問題解決能力を向上させる指導
〜問題解決的な学習の工夫〜
1
問題解決能力の育成
学習指導要領実施の下 ,「生きる力」をはぐくむために各学校では一人一人の児童生徒に「確か
な学力」を身に付けさせることが求められています。「確かな学力」とは次のとおりです。
【確かな学力】
自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力
文部科学省「確かな学力を育むわかる授業の創意工夫例」より
つまり「生きる力」の構成要素として,児童生徒の主体的な学びの力,いわゆる「問題解決能力」
が重要視されています。児童生徒の「確かな学力」の向上を目指し,「問題解決能力」に着目した
校内研修を行うことは,非常に意義のあることと言えるでしょう。
2
児童生徒の『問題解決能力』を培うためには
日々の授業の中で「問題解決能力」を高める学習方法として,
「問題解決的な学習」があります。
問題解決的な学習の基本的な流れは下のとおりですが,各学校での実践の積み重ねから,よりよい
学習過程を工夫していく必要があります。
○ある事象や課題,問題等と出会う
○漠然とした疑問や問題意識が生じる
○かかわり合うことを通して,自分の問題としてとらえ始める (問題発見)
○疑問を解かずにはいられない意識が芽生えてくる
○既有の知識・理解,経験等を基に,解決する見通しを立てる(解決計画)
○解決に向けて調査・実験・観察等の作業を行う
(問題解決)
○情報を収集し,客観的な知識・理解を獲得する
○解決された内容について相互に発信する
(共 有 化)
○発表や話合い等を通して,新たな問題を発見する
(深
化)
また,問題解決的な学習を展開する際の配慮事項として,次のような事柄を念頭に置きましょう。
・事象や課題,問題等の提示の仕方を工夫し,児童生徒の解決しようとする意欲を喚起する
・主体的な学習を通して,思考力,判断力,表現力等の問題解決のための能力を身に付けさ
せる
・自力解決の時間を十分に保障するとともに,個に応じた支援を適切に行うようにする
3 具体的な学習活動の工夫
① 体験的活動を組み入れる(学習問題の発見,解決する過程,学習のまとめ等に位置付ける)
② 作業的学習を多様に取り入れる(ワークシート,操作活動,レポート作り,図表の制作等)
③ 選択型・複線型の学習活動を工夫する(追究課題,学習資料,学習方法,まとめの方法等の選択)
④ 意志決定,自己主張の場がある学習を工夫する(自己の考え・意見を主張する場を設ける)
⑤ グループ学習や集団学習を多様に組み込む(気軽に話し合える場,一人一人の持ち味を発揮)
⑥ 振り返りの活動を位置付ける(自己評価・相互評価で成果の確認や次の学習への見通しをもつ)
⑦ 学習環境を工夫する(オープンスペース,余裕教室,地域施設等を有効に活用する)
⑧ 地域の教育力などの導入を積極的に行う(地域素材の活用,地域の人材の活用等)
⑨ 多様な指導形態の工夫,改善を図る(TTの導入,交換授業,合同授業,コンピュータの活用等)
以上の工夫から,単元の目標や学習内容,児童生徒の実態を考慮して選択し,指導過程の中に位
置付けていきましょう。
‑ 28 ‑
4 問題解決的な学習について
(1)「問題」と「課題」
「問題」と「課題」は似たような言葉で,しばしば同じ意味合いで使用されていることが多いよう
です。しかし,学習指導上,区別する場合もあります。では,どこが違うのでしょうか。「問題」
と「課題」について,次のような考え方があります。
問題…児童生徒から提起され,児童生徒に既知の知識や法則があり,かつ未知のものが存在する
課題…教師から提起され,教師の求めるものがあって,未知のものはない
例えば,小学校社会科で教師から「宮城県内の伝統工業について調べてみましょう」というのは
「課題」であり,その課題の中で児童自身が「鳴子のこけしについてどうしても調べたいな」とい
う欲求が生まれて,その解決を自ら図ろうとするときは「問題」ということになります。
(2)「問題解決学習」と「課題解決学習」
問題解決をする過程が組み入れられた学習形態には,「問題解決学習」 や「課題解決学習」 と呼
ばれる学習方法があります。
問題解決学習…・学習者が直面する具体的な学習問題をとらえ,その問題の解決のための思考活
動を行って究明・解決を図っていく過程で問題解決の諸能力を育成しようとす
る学習形態
・デューイの学習理論を基礎とし,第2次大戦後,日本に普及したが,教科の基
礎的・基本的な内容の獲得が困難であるという批判を受けた
・児童生徒が自らの興味・関心に基づいてテーマを設定し追究することが基本
課題解決学習…・知識の体系を重視しながら問題解決学習の方法を取り入れた学習形態。特定の
課題を様々な角度から追究したり,問題解決の遂行,創造活動などを行う学習
・問題解決学習と系統学習の対立点を克服するものとして提起された
・教師が学習目的遂行のために設定したテーマについて学習することが基本
以上が,「問題解決学習」と「課題解決学習」の基本的な考え方です。
(3)「問題解決的な学習」とは
「問題解決学習」も「課題解決学習」も,現在はそれぞれ細分化,多様化し,厳密に分けにくくな
りました。また,現行の学習指導要領(平成12年)では,
各教科等の指導に当たっては,体験的な学習や問題解決的な学習を重視するとともに,児童
の興味・関心を生かし,自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
〔学習指導要領 総則 第5 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項 2(2)〕
と示し ,「問題解決的な学習」という名称を使って,自ら学び,自ら考える力を育成することを重
視しています。そこで,この項では,問題解決の過程を取り入れた学習を「問題解決的な学習」と
総称して呼ぶことにします。
5
評価について
下記のようなことを基に,指導過程や授業を評価してみましょう。
□ 各教科等の基礎・基本を確実に身に付けたか
□ 子供一人一人に問題解決への切実感があり,学習の対象に主体的にかかわっていたか
□ 問題を解決するための方法や能力等を具体的に身に付けたか「迅速性」「正確性」
□ どのような方法をいくつ選択して問題解決したか「多様性」「選択制」
□ 自分の学習の問題を明確にもつことができたか「問題発見力」
□ 問題を解決する見通しをもって,学習計画を作成することができたか「解決策設定力」
□ 友達と協力しながらも,自分で問題に取り組み,解決していたか「自力解決力」
□ 学習を振り返り,成果を確認し,新たな目標を見いだすことができたか「自己評価力」
‑ 29 ‑
6
問題解決的な学習の実際
○小学校第6学年社会科「明治維新をつくりあげた人々(全7時間)」における指導
(複線型課題解決学習のまとめの段階での思考活動に重点をおいた指導)
《授業の展開例
1
2
本時5/7》
目標
自分がもし新政府の中心である大久保利通の立場だったら,どの政策に特に力を入れるか
を,調べた結果や友達の発表,資料の読み取り等を通して具体的に考えることができる。
展開
学
1
習
活
動
指
ループごとに発表したことを基に確かめる
2
導
上
の
留
意
点
新政府の新しい政策について,前時にグ ○調べてきた新政府の政策を,調べたグループご
と代表児童に発表させ,全体で確認する
自分が大切だと思う新政府の政策につい ○なぜ大切なのか,という点を重視し,明治政府
て発表する
の考えに迫れるように助言する
・政府組織・版籍奉還・廃藩置県・四民
平等・地租改正・殖産興業・徴兵令
問題発見
3
等
課題について考える
もし,自分が大久保利通だったら,何に力をいれるか考えよう
明治政府の中心人物,大久保利通の立場 ○欧米諸国に負けない強い日本にするために「外
国に追いつき,追いこせ」が明治維新の合い言
どの政策に特に力を入れたかを予想し,ワ
葉だったことを想起させるよう助言する
−クシ−トに記入する
○なかなか考えがまとまらない児童には,諸政策
問題解決
解決計画
になって,強い国づくりを実現するために,
の中で,特に当時欧米諸国に劣っていたものは
何かを,予想させるよう支援する
共 有 化
4
記入したことを発表しそれについて話し
合う
○ なぜ,その政策に力を入れなければならないの
か,という点を重視し,意見を出すよう促す
・外国に追いつくためには工業を発達させ
ることが大切だ
○児童の意見をできるだけ尊重しながら,強い国
づくりを目指す大久保利通の立場に共感させる
・外国と戦っても負けないように軍隊を強
くすべきだ
よう配慮する
○意見が出にくい場合は,グル−プで相談して,
考えを発表できるようにする
深
5
化
岩倉遣欧使節団のことを,資料「岩倉使
○明治維新の大切な時期に大久保利通が2年間も
節団の見た外国・銅版画」を配布して知ら
国をあけて欧米を視察した事実を提示し,問題
せ,さらにビデオを見て感想を発表する
意識を高めるよう支援する
・欧米は建物がずいぶん立派だ
○視察した12ヵ国の中で特に感銘を受けたイギリ
・イギリスはずいぶん進んでいたんだなあ
6
スの工場群に注目するよう助言する
大久保利通が特に「殖産工業」と「軍国
主義的な政治」に力を入れたことを,作文
資料から読み取る
○イギリスの盛んな工業とドイツのビスマルク首
相に特に影響を受けたことを知らせる
○資料を配り,富国強兵を推し進めた新政府を想
起させながら,全国に工場をつくったことに触
れるようにする
7
本時の学習で分かったことをワ−クシ−
トに記入し,次時への見通しをもつ
○次時の学習は,文明開化について,ということ
を知らせる
(資料「岩倉使節団の見た外国・銅版画」「作文資料」,ワークシート:省略)
‑ 30 ‑
○小学校第5学年算数科「小数のかけ算(全10時間)」における指導
(自力解決の保障に重点をおいた指導)
《授業の展開例 本時4,5/10(2時間扱い)》
1 目標 整数のかけ算の学習を基に,
(整数)×(小数)の計算の仕方を考えることができる。
2 展開
学
1
習
活
動
指
導
上
の
留
意
点
学習問題を把握する
1mが110円のリボンを□m買うと,代金はいくらになるでしょうか
①□にいろいろな数を入れて計算してみる
・□=
2
110×
○かける数が10倍,100倍になると,答えが10倍,
2=220
100倍になること等,かけ算のきまりを確認 し
・□= 20
110× 20=2200
ながら ,「2.3mではどうなるだろう」と問いか
・□=200
110×200=22000
ける
・□=2.3
110×2.3=?
問題発見
②かける数が小数になることの意味について, ○整数のかけ算の場合を考え,それと同じように
言葉の式や数直線から考える
2.3という小数でもかけ算ができることを,整
・言葉の式
数と比べながら確認していく
(1mの値段)×(長さ)=(代金)
・数直線
解決計画
2
○数直線を使って,答えの見積もりを視覚的につ
0(円)
110
220
□
330
0(m)
1
2
2.3
3
かめるようにする
見通しをもち,自力解決する
110× 2.3の 計 算 の 仕 方 を 考 え よ う
①答えを予想する
○答えの見積りの根拠についても発表させること
・220円より多い
によって,解決への見通しをもたせるようにす
・330円より少ない
る
○どのような考えを使って解決をしているのかを
・110÷10×3+110×2=253
考えさせるようにする
1mは110円だから0.1mは11円になり,0.3
○他の方法でも考えてみるよう助言する
mは33円。2m分の220円と合わせて253円
○分からない児童への支援
・110×2.3×10÷10=253
・何を替えたら計算できそうか
110×2.3の2.3を10倍して整数にして計算し,
(2.3が23ならできそうだ 110×23=2530)
積を1/10にする
・かけ算のきまりを使えないか
(かける数を10倍にすると積は10倍,かける数を
1/10にすると答えも1/10になる)
共 有 化
3
発表し合い,考えを深める
○これまで学習したことを使っているかどうか,
①自分の考えを発表する
かける数を10倍して計算して積を1/10にしてい
②いろいろな計算の仕方で,似ているところ
るか,等に注目させる
や違うところを考え発表する
深
4
自分の言葉でまとめてみる
○自分の解決過程を振り返るようにしてまとめる
・110×2.3の計算では,2.3を整数にして計算
よう助言する
化
し,後で小数点を付ける
‑ 31 ‑
問題解決
②自分なりに計算の仕方を考える
○小学校第6学年理科「電流の働き(全13時間)」における指導
(体験的な活動における思考に重点をおいた指導)
《授業の展開例
1
2
本時5/13》
目標
電磁石を使った力比べゲームを行う中で,電磁石の強さは導線の巻き数や電流の強さに関
係しているのではないかということに気付き,追究することができる。
展開
学
1
習
活
動
指 導 上 の 留 意 点
前時に行った,電磁石の作り方について ○鉄芯に導線を巻き,電流を流すと磁石になると
確認する
2
いう電磁石の仕組みについて,想起させる
本時の活動を知る
電磁石を使って,みんなで「力比べゲーム」をしよう
問題発見
3
電磁石で「力比べゲーム」を行うことを ○ゲームについての活動意欲を高めた後に,ルー
知る
ルを知らせる
【ゲーム1】
○主なルール
・紐の両端にクリップを付け,電磁石で
・ゲーム1,ゲーム2のどちらをやってもよい
引き合う
ことや,最初は隣同士2人で行い,その後,
【ゲーム2】
グループの中で,相手を変えてもよいことを
・ホチキスの針をできるだけたくさん電
磁石に付け,付いた針を上皿天秤に乗
せて重さを比べる。
伝える
・改造工場(電磁石を作り替えるコーナー)を
設け,いつでも作り替えてよいこととする
〔改造工場に準備しておくもの〕
(エナメル線)(乾電池〔一人2個まで〕)
(強さを確かめるためのクリップ)
(セロテープ)(紙ヤスリ)
・乾電池は2個までとして,条件を揃えておき,
児童の主体的な活動を促すように支援する
ルールを確認して ,「力比べゲーム」をす
る
○改造工場には置かないが,導線の太さや鉄芯の
大きさに着目する児童に対応できるように,太
さの違うエナメル線や大きさの違うくぎを準備
しておく
5
ゲームをして気付いたこと,分かったこ ○電磁石を強くする方法についての意見が主なも
と,工夫したこと等をノートに記入する
のになることが予想されるが,なぜそうなるの
か,ということを自分なりに考えるよう声掛け
する
共 有 化
6
記入したことを発表し合う
○ 自分なりの表現で意見を出させるとともに,友
達の意見も参考にしながら,電磁石を強くする
方法を考えられるように助言する
深
7
次時の活動を確認する
○ それぞれの考えを更に出し合う時間にすること
を伝える
化
‑ 32 ‑
問題解決
解決計画
4
○小学校第2学年生活科「秋を楽しもう(全18時間)」における指導
(作業的な活動における思考に重点をおいた指導)
《授業の展開例
1
2
本時10・11/18(2時間扱い)》
目標
成長したサツマイモの様子に関心を持ち,サツマイモのでき方や大きさ,数,根や葉の
様子等を進んで調べようとする。
展開
学
習
活
動
指 導 上 の 留 意 点
1 これまでのサツマイモの生長過程や世話の ○苗植えの写真や,除草作業の写真を見せ,サツ マ
様子を思い浮かべる
イモの苗がどのように育ってきたかを思い出せる
2 本時の学習活動の内容を知る
ようにする
今,畑のサツマイモはどうなっているでしょうか
問題発見
解決計画
目するように支援する
○サツマイモ以外のこと(虫や土そのもの)に注目
する児童のつぶやきについては,その後の発展性
共 有 化
を考え,教師側で受け止めるよう配慮する
② 分かったことや気付いたことを発表する
○自分の予想と比べてみて,相違点を中心に発表さ
せ,みんなで認め合うようにする
5 後始末をして,教室に戻る
○友達と協力しながら後始末をし,素早く教室に戻
るよう声掛けする
深
6
今日の学習を振り返って,気付いたことを ○今日の学習を通しての感想を書くよう話す
中心に感想を書き,発表する
化
7 次時の予定を聞く
○数名に発表させ,みんなで認め合う
○収穫作業に取りかかることを伝える
‑ 33 ‑
問題解決
3 現在のサツマイモの様子を予想する
○学習プリントを配り,土の外の様子(茎,葉)の
① サツマイモの茎や葉の様子を予想し,絵
絵を描くことで予想させる
を描く
○予想しやすいように,あらかじめ茎と葉の一部分
をプリントに印刷しておき,そこから続きを描く
ように配慮する
② 実際にサツマイモの茎や葉と自分の絵と ○掘り起こしたサツマイモの茎と,葉の部分を見せ
を比べて,相違点を発表する
(土の部分は袋で覆って見せない),自分の予想
・葉の数が多い(少ない)
と比較させる
・葉の大きさがだんだん小さくなっていく
・茎が長く伸びている
③ サツマイモの土の中の様子を予想し,絵 ○サツマイモの数や大きさ,でき方,根の生え方等
を描く
を考えるよう助言しながら,土の中(袋の中)の
様子を絵で予想させる
④ 友達の絵と自分の絵を比べながら,自分 ○児童の絵を数点掲示し,自分の絵との相違点を考
が予想したことを発表し合う
えるよう助言する
○意見が少ない場合は,教師側からポイントを示 し,
自分はどう考えたかを発表させるようにする
・サツマイモの大きさ,数,つき方
・根の生え方,数
4 実際に調べて分かったことをまとめる
○校庭に出て,土ごと掘り起こしたサツマイモを調
① 校庭に移動し,土の中の様子を丁寧に調
べることを知らせる
べる
○グループごとに,1つずつサツマイモを渡し,イ
モや根ができるだけ折れないように,友達と協力
しながらゆっくり丁寧に土を取り除くよう声掛け
する
○途中で各自ルーペを用意させ,細かい部分にも注
○中学校第1学年社会科「様々な面から見た日本(全24時間)」における指導
(作業的な活動における思考に重点をおいた指導)
《授業の展開例 本時2/24》
1 目標
日本列島は,どのような地形的特色が見られ,どのようにして複雑な地形を作っているの
かを,白地図作業を通して気付き,その特色を考察することができる。
2 展開
学
習
活
動
指
1 日本の地形の特色について発表する
導
上
の
留
意
点
○掛け図を見せて,全体的な様子をつかむよう支
・既知知識や前時までの学習,掛け図を基
に発表する
援する
○既得知識で知っていることを発表させながら前
・山地・山脈の多さや平地の少なさ,川の
多さ等について,自分の言葉で話す
時の「変化に富む世界の地形」での学習内容の
確認も併せて行う
○イメージとしてもっているものでも構わないこ
とを助言する
日本の地形の特色は何か考えよう
2
本時の学習課題を把握する
○板書カードを使って,視覚に訴えながら学習課
題を把握させる
○学習カードの指示についての説明を行い,作業
内容や資料等を確認させる
問題発見
3
学習カードに取り組む
○資料を表面的に読み取ったり,着色やイラスト
・日本の山脈や平野,河川の名称,分布等
化等の作業そのものにだけとらわれるのではな
を,地図帳にある地図や降水量のグラフ
く,作業を通して日本の地形の特色に気付かせ
等の資料を使って白地図に記入する
るよう声掛けする
解決計画
・着色やイラスト化等,自分なりに工夫し
て白地図の作業を行い,山地,山脈,河
川,平野の関係について把握する
4
課題について考察する
○学習カードに表現したことや資料から見えてき
地形の特色についての考察を,学習カー
ドに記入する
たこと等を基に,考察するよう指示する
○なかなか進まない生徒には,地図帳の資料を再
度確認させ,山地・山脈の多さや降水量の多さ
・山がちな国土で山地,山脈の連なる向き
等のポイントを示し,記入し易いよう支援する
問題解決
・白地図の作業を通して気付いた,日本の
が東西によって違う
・短く流れが急な河川が土砂を運び,平地
共 有 化
を作っている
5
○一人一人の意見を大切にし,板書等を行いなが
考察を発表する
ら,日本の地形の特色についてまとめる
・学習カードに記入した考察を基に発表し
合う
○日本の平野の多くは,河川の運ぶ土砂が形作っ
た地形であることを知らせる
○学習カードを机上に置かせ,他の学習カードを
深
6
学習カードの相互評価欄に,他の人の意
見て回った後に,相互評価欄に記入させる
見や学習カードの,どのようなところが参 ○誰のどんなところが参考になったか,具体的に
化
考になったかを記入し発表する
発表させる
○世界と日本の気候について学習することを知ら
7
次時の活動を知る
せる
〔準備物:地図帳,学習カード(白地図,相互評価欄付き):省略〕
‑ 34 ‑
○中学校第1学年数学科「空間図形(全13時間)」における指導
(体験的な活動における思考,指導と評価の一体化に重点をおいた指導)
《授業の展開例
1
本時1/13》
目標
・立体の中から多面体を指摘することができる(知識・理解)。
・操作活動を通して多面体を発見し,正多面体の特徴を見いだすことができる(数学的な考え方)。
・グループ活動において,進んで考えたり発表したりすることができる(関心・意欲・態度)。
2
展開
学
習
活
動
1 多面体の定義を知り,立体
の中から多面体を指摘する
【多面体の定義】
・多面体とは,平面だけで囲
まれた立体である
指
導
上
の
留
意
点
と
評
価
知識・理解
数学的な考え方
多面体を指摘できたか (一斉挙手・反応)
多面体ではない理由を指摘できたか
(挙手・発言)
(A)多面体を指摘でき,その理由を言うことができる
(B)多面体を指摘でき,ほかの生徒の発言によって理由を理解
することができる
【手だて】
(C)模型を用いて,確認する
問題発見
2
共 有 化
深
化
3 2つのグループに分けられ
た多面体を見て,どんな違い
があるかを探る
・見た感じ
・面の数 等
・全体で確認する
4
○個人で考える時間を保障してから,グループで話し合うように指示
する
○見付けたことをプリントに書くよう,指示する
数学的な考え方
グループの違いを,様々な観点で考え見いだ
すことができたか (観察・机間指導)
(A)違いを自力で見いだすことができる
(B)教師が示した観点をもとに見いだすことができる
【手だて】
(A・B)分かりやすい言葉でまとめるよう助言する
(C)模型を用いて個別指導を行う
正多面体の定義と種類を知 ○できるだけ生徒の言葉を用いて説明するようにする
る
○正方形の場合と,正五角形の場合は口答で説明する
○時間があれば,正六角形以上ではできないことにもふれる
【正多面体の定義】 ①すべての面が合同な正多角形である
②どの頂点にも同じ数の面が集まっている
③へこみがない
【正多面体の種類】 正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体,正二十面体
5 正多面体の逸話を聞く
‑ 35 ‑
問題解決
解決計画
正三角形のみでできる多面 ○模型の作り方だけ確認する
体を考える
○作成の過程で生徒から出される質問は,重要なもののみ全体で確認す
・ 模型を用い,グループで協
る
力しながら実際に作ってみ
関心・意欲・態度
課題に興味をもって取り組んでいるか
る
(観察・机間指導)
・できるだけ多くの種類を考
(A)1つの多面体を見付けたら,別な多面体を探そうとする
える
(B)1つの多面体に集中して取り組む
数学的な考え方
できるだけ多くの多面体を見付けることがで
きたか
(観察・机間指導)
(A)3つ以上の多面体を見付けることができる
・できたものを,全体の場で
(B)1つ〜2つの多面体を見付けることができる
発表する
【手だて】
(A・B)他にも探すよう助言する
・できた多面体が2つのグル
(C)教師が一緒に組み立ててみる
ープに分けられることを知 ○立体のグループ分けは教師が行う
る