100号記念号 2016(平成28年)年3月31日

聖 マ リ ア ン ナ 医 大 新 聞
第 100 号
2016年(平成28年)3月31日
(1)
〈100 号記念号〉 主 な 内 容
平成 27 年度
医学部 卒業証書・学位記授与式
(第1・2面)
看護専門学校 卒業証書授与式/他
定年のごあいさつ/他
(第3面)
新任のごあいさつ/他
(第4面)
エッセイの森/教室紹介/他
(第5面)
平成 28 年度 入試結果報告/他 (第6面)
医学部海外留学体験記
(第7面)
クラブ紹介/学年暦/他
(第8面)
の卒業生は総合教育科目の必修科
目、選択科目、専門教育科目におけ
る講義・実習を合わせて総計5,380
時間を履修し、所定の課程を修了し
たことを報告。これによって卒業生
は到達目標である「生命の尊厳」を
深く認識して実践し得る基礎が確
立されたとし、医師としての今後の
活躍に期待を寄せた。
式辞に移り、三宅学長は、創立45
周年の記念すべき年に医師の道へ
卒業生を代表して宣誓する友成雅大さん
踏み出す卒業生に対し、「医師とし
て真の修行が始まる、まさにスタート台に着 会は設立39年目を迎え、卒業生を含めて会員
いたところ」と説いた。その上で卒業生の未来 は4,171名になったと伝え、
「聖マリアンナ医
について考察し、来年から新しい専門医制度 科大学病院の理念である生命の尊厳を重ん
が始まり、その後、団塊の世代が75歳以上とな じ、愛ある医療を提供していけば、必ずや素晴
る“2025年問題”や人工知能が人類の知性を超 らしい医師となり、本学の評価も高まると信
えるといわれる“2045年問題”が待ち受けるな じています」と今後の活躍を祈った。
ど未来は混沌とした状況だが、
「本学のカリキュ 宣誓では、卒業生代表の友成雅大さんが、今
ラム・ポリシーおよびディプロマ・ポリシーをマ 後も学び続ける努力を重ね、医療の実践に万
スターした皆さんは医師として勉強し、吸収し、 全を期し、近代医学の進歩・発展と地域社会へ
対応することにまったく臆することはない」と の貢献に尽くすことを誓った。
激励。
「キリスト教的人類愛に根ざした本学の建 送辞に移り、在校生代表の5年生の光延友
学の精神を宿す医師として羽ばたいてほしい」 里さんが、卒業生への感謝と、
「夢」を持って
と祝福と期待、希望を示して式辞とした。
自らの道を進むよう在校生一同の願いを伝え
続く祝辞では、明石勝也理事長が、高齢化の ると、卒業生代表の音山裕美さんが、今まで支
「諸君 えてもらった方々への感謝と後輩への激励と
書・学位記が手渡されると、ご来賓、ご父母、 急進展に伴って医療が大きく変わる中、
は新しい時代に向かって歩む世代であり、 ともに、本学で得た知識と経験を糧に日々精
教職員の大きな拍手が式場に響いた。
表彰状授与に移り、本学創立者明石嘉聞博 しっかりと将来を見据えて社会の求める医療 進することを誓って答辞とした。
士の功績を記念した「明石賞」が三井愛さん、 に貢献してほしい」と願いを語るとともに、 次に卒業生代表の奥田紘隆さんから、6年
朝 あゆさん、松村憲浩さんに、
「医学会賞」が 「どのような時代であっても、本学で学んだ建 間の指導への感謝を込め、
「教育棟に設置する
橋本隆介さんに、
「聖医会賞」が久保田隆文さ 学の理念の実践者であるかぎり、輝かしい誇 ステンドグラス」が大学に寄贈された。
んに、
「父兄会賞」が石 克樹さん、萩原義也 りある医師人生を送れることは間違いない。 そして、聖歌「神の保護いかにおそるべき」
新しい時代の新しい伝統をつくってほしい」 の合唱、列席者の心に響く小田武彦司祭(宗教
さんに、それぞれ贈られた。
続いて、学事報告が行われた。加藤智啓医学 と期待を込めてエールを贈った。
学特任教授)の祈願が行われ、列席者一同によ
部長は、医学教育改革が進められる中で103名 聖医会の岸忠宏会長は、同窓会である聖医 る校歌斉唱で式典は幕を閉じた。
第40回 平成27年度 医学部医学科
卒業証書・学位記授与式
医師として 真の修行がスタート
桜のつぼみに暖かな春の陽射しが降り注い
だ3月4日(金)午後1時から、医学部本館6
階大講堂で平成27年度卒業証書・学位記授与
式が執り行われた。第40回の節目となった式
は、本学の教職員と学生の合唱による聖歌「い
こいの港」のコーラスで始まった。
はじめに、医学部全課程を修了した103名一
人ひとりに三宅良彦学長から卒業証書・学位
記が授与された。6年間の厳しい医学の学び
を終えて晴れの日を迎えた卒業生に卒業証
第 37 回 平成 27 年度 看護専門学校 卒業証書授与式
“マリアンナ・スマイル”溢れる看護を
快晴に恵まれた3月3日(木)午前10時か
ら、第37回看護専門学校卒業証書授与式が医
学部本館6階大講堂で行われた。ご来賓、ご父
母、教職員、在校生が迎える式場に、スーツや
袴、着物姿の卒業生が揃うと、校歌斉唱で開式
となった。
はじめに、卒業証書授与が行われ、宮城領子
学校長から70名の卒業生一人ひとりに卒業証
書が手渡された。
次に、3年間の学業などを讃える表彰に移
り、明石勝也理事長から 橋亜弥さんに「理事
長賞」が、同窓会を代表して横浜市西部病院看
護部の伴真理子副部長から松田枝美里さんに
「同窓会賞」が、宮城学校長から大野理恵さん
に「皆勤賞」がそれぞれ授与された。
学事報告では、伊藤泉副校長から卒業者総
数が3,568名となったこと、合計総単位数は
100単位、3,
032時間、特別教育活動等も加え
た総学習時間は3,
647時間で、卒業生は「信頼
される看護師を目指す」という誓いのもとに
学校生活を送ったことなどが報告された。
式辞では、宮城学校長が、
「プロの看護師と
して看護人生第二章を歩み出すに当たり、
チーム医療の一員として看護師の醍醐味と強
みを認識し、新人の皆さんができる効果的な
ケアのひとつ、
“マリアンナ・スマイル”溢れ
る看護をしてください。そして仕事のできる
人の基本的な行動である“仕事の2S(整理・
整頓)”を心がけてほしい」と願いを伝えた。
続く祝辞では、明石理事長が、これからの高
度急性期医療から地域包括ケアシステムまで
の医療・介護において看護師の果たす役割は
大変重要と説き、「その役割を果たすために
しっかりと経験を積み、実力を身につけてい
くことが皆さんの社会的責任」と期待を込め
て激励した。三宅良彦学長は、
「医学・医療が
必要はありませんよ」と思う
のだが、多分、目的が違うのだ
ろう。中には、確かに運動した
歩くこと
ほうが良いと思う人も若干は
今、自分に出来ることは歩 いるが。体を鍛えているのか。
くことであると思って、夜、怪 もしかしたら、走ることが趣
しげなオヤジが歩いている。 味なのかもしれない。人は
そこで2、3、気がついたこと 様々である。そういえば町の
がある。第一に、走っている老 スポーツ店で、走るためのウ
若男女が多いことである。
「そ エアーやシューズが充実して
のスタイルだったらもう走る いるのは、ニーズがあるため
なのであろう。首が寒くてマ
フラーでもしようと思った
ら、最近はネックウオーマー
というものがあるそうな。暖
かい。第二に、謎の外国人の多
さである。耳をそばだてると、
日本語ではなく、英語、ドイツ
語、スペイン語、中国語、色々
である。謎と言っているのは
私が勝手にそう呼んでいるだ
けで、本人からすれば謎でも
いかに進化・変化して
も、生命の尊厳や愛の
ある医療の精神は不
変。本学で培った精神
を忘れずに、愛あふれ
る看護師になってくだ
さい」と語った。本舘教
子大学病院看護部長
は、新たな旅立ちを前
にした卒業生に対し、
「看護の仕事では多く
の困難に直面しストレ
スを感じることも少な
くありません。ストレ
スから逃げずに上手に付き合って、看護の本
質を追求してください」とエールを贈った。
次に、2年の諏訪なゝせさんが祝福と感謝
を込めて送辞を贈ると、卒業生代表の前川久
美子さんが感謝の気持ちを答辞に込めた。
そして、卒業生代表の齋藤真悠さんによる
卒業生一同からの記念品寄贈、卒業生の前途
を祝した小田武彦司祭による祝福の祈りと続
き、聖歌「かみともにいまして」の斉唱で閉式
となり、卒業生は看護の道へ踏み出した。
何でもない。たぶん観光目的
であろう。国際的になったも
のだ。第三に、カップルの数と
同じくらい、カップルではな
い人がいることである。
「こん
な時間になにをしてるんだろ
う?」と気になってしまうが、
人のことは言えない。自分も
その1人である。バックパッ
クを持っていなければ、いか
にも運動している地元の人で
答辞を述べる前川久美子さん
す、と言えるかもしれないの
で、背負わないことにしてい
る。おかげで傘を持てないの
で途中で何度か雨にふられ
た。ボーッとして歩くのも何
なんで、考え事の時間にして
いる。ということは、昔よりは
るかに考える時間があり、ま
た、熟慮してから結論をだせ
るということになるはずであ
る。ただ「下手の考え休むに似
たり」でもないが、考える時間
が有効に機能していない、も
しくは、考える時間があるぶ
ん、ものが逆に考えられなく
なっていく気がしている。年
なのか。ボーッとして歩く方
が良いのかもしれない。そん
なことを思いながら、今宵も
考え事をして歩いている。
生理学(細胞・器官生理)
教授 舩橋利也
(2)
2016年(平成28年)3月31日
第 100 号
医学部
受 賞 者
父
萩兄
会
原賞
義
さ也
ん
父
石兄
会
賞
克
さ樹
明
朝石
賞
あ
さゆ
ん
ん
明
三石
賞
井
さ愛
ん
明
松石
賞
村
憲
さ浩
ん
医
橋学
会
本賞
隆
さ介
ん
聖
久医
保会
田賞
隆
さ文
ん
明石賞:6年間にわたり成績優秀だった者/医学会賞:6年次の成績が
優秀だった者/聖医会賞:学業と共に課外活動にも活躍が顕著だった
者/父兄会賞:学生生活の活性化及び社会活動に貢献した者
ご卒業おめでとうござい
ます。6年間の学業を習得さ
れ、自信と希望に満ちた皆様
のお姿を拝見し、尊敬の念を
新たにしています。
皆様は常に私たちに手を
在校生代表 5年
差し伸べてくださいました。
光延 友里
私たちが壁を前に戸惑って
いると、良き理解者、良き指導者として励まし
導いてくださいました。皆様から今までに受
けた数々のご指導への御恩は決して忘れませ
ん。
皆様は4月から医師として臨床の場に立た
れるにあたり、期待と同時に不安もあるかと
思います。そこで、僭越ながら私の尊敬する吉
田松陰先生の言葉を贈らせてください。
「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画な
し、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功
なし。故に、夢なき者に成功なし。」
大切なことは将来どうなりたいのか、何を
成し遂げたいのか、原点にさかのぼって考え
てみることなのかもしれません。願望から成
功までが点ではなく線でつながるように、皆
様がご自身のロードマップを描いていかれる
ことを信じています。
それでも、多忙な職務に疲れ、希望を失いか
けたときは、大学で育まれた経験や支えてく
れたご家族、先生方、共に困難を乗り越えた仲
間を思い出し、勇気と自信、そして「夢」を持っ
て自らの道を進んで行かれますよう願ってい
ます。皆様のますますのご活躍とご健康を心
よりお祈りして送辞とします。
本日は、盛大な式典を執り
行っていただき誠にありが
とうございます。思い返すと
楽しいこと、辛いこと、嬉し
いこと、悲しいことを経験し
た6年間でした。特に印象に
卒業生代表
残ったのは5年の臨床実習
音山 裕美
で、先生方の患者さんと接す
る姿でした。どんなに忙しくても患者さんの
話に耳を傾け、患者さんを診ている先生の姿
は、本当に尊敬でき、私の憧れとする医師像そ
のものでした。医師として大切なこころを学
ぶことができた1年間だったと思います。
学生生活の中ではうまくいかないことも沢
山ありましたが、相談にのってくださったり、
背中を押してくださった先生方や教職員の
方々、先輩方や後輩、家族の支えがあったお陰
で、卒業まで全力で駆け抜けることができま
した。
私たちはこれから、自ら選択したそれぞれ
の新たな道へと進んでいきます。聖マリアン
ナ医科大学で得た知識や経験を糧に、病気だ
けでなく、患者さんを診ていくことができる
よう、そして大学の名に恥じぬよう、日々精進
していくことを誓います。
在学生の皆様、どんな些細なことでも全力
で取り組み、その時にしかできない経験を沢
山し、有意義な学生生活を送ってください。
最後に、母校の名誉ある繁栄と、本日ここに
ご臨席賜わりました皆様に、重ねて厚くお礼
申し上げますとともに、益々のご健康とご多
幸をお祈りし、答辞とします。
看護専門学校
受 賞 者
同
松窓
田会
枝賞
美
さ里
ん
理
事
長
橋賞
亜
さ弥
ん
皆
大勤
賞
野
理
さ恵
ん
理事長賞:人格温厚で、成績優秀な者/同窓会賞:人望厚く、学外ゼミ
委員として3年間活躍/皆 勤 賞:在学中に皆勤した者
70名の皆様、ご卒業おめ
でとうございます。在校生一
同、心よりお祝い申し上げま
す。
先輩方の学年は学外ゼミ
ナールや学校祭などで学校
在校生代表 2年
全体を盛り上げ、リードして
諏訪なゝせ
くださいました。一致団結し
ている先輩方の姿がとても印象に残っていま
す。お忙しい中でも私たち後輩を気にかけ、い
つも声をかけてくださったことにとても感謝
しています。
本校での学校生活を振り返ると、さまざま
な場面で先輩方のサポートがありました。入
学式では笑顔で優しく迎え入れてくれた先輩
方の姿が、私たちの緊張を和らげてくれたこ
とを今でも覚えています。学校祭では放課後
遅くまで残り準備に励んでいる先輩方を見
て、何事にも真剣に取り組むことの大切さを
学びました。さらに、実習を堂々とこなす先輩
方の姿がとても頼もしく、私たちの憧れでし
た。テストや実習・課題に追われる日々の中で
も、いつも明るい先輩方の姿に励まされ、私た
ちも精一杯努力しようと奮い立たされるよう
な思いになりました。
私たち在校生は、先輩方から学んだ団結力
や目標に向かい努力していく姿勢を大切に
し、理想とする看護師に近づけるよう、日々の
努力を怠らず、勉学・実習に励んでいきたいと
思います。本当にありがとうございました。
最後に先輩方の健康と、より一層のご活躍
をお祈りして、送辞とさせていただきます。
本日は、卒業生のためにこ
のような式典を執り行って
いただき、ありがとうござい
ます。
入学してから3年間、私た
ちは学生生活を通して、幅広
卒業生代表
い年齢層で、さまざまな価値
前川久美子
観を持った仲間たちと数多
くの経験を積むことができました。3年次の
領域別実習では、患者さんに寄り添い、必要と
している看護を提供できているのか悩み、自
分の未熟さを痛感しました。心身ともに辛い
状況にいる中、受け入れてくださった患者さ
んとそのご家族の温かいお言葉や笑顔には何
度も励まされました。約半年間の実習を共に
乗り越えてきたグループメンバーはかけがえ
のない宝物です。グループメンバーとの実習
を通してお互いを思いやる気持ちを学ぶこと
ができました。
在校生の皆様、学生生活では嬉しいことや
辛いことを経験しますが、将来看護師になる
とき、その経験や一緒に乗り越えてきた仲間
はかけがえのない宝物になります。充実した
学生生活が笑顔で送れるようお祈りします。
看護職は高度な技術、知識が求められる専
門職です。卒業してからも、日々学び続け、そ
れぞれの目指す看護師像に向かって努力を惜
しまず進んでいきます。
今日まで私たちを支えてくださった教職
員、ご来賓、保護者の皆様に改めてお礼申し上
げます。伝統ある本校のより一層の発展をお
祈りし、答辞とさせていただきます。
聖 マ リ ア ン ナ 医 大 新 聞
第 100 号
振り返れば天職
2016年(平成28年)3月31日
定年退任に際して
皆様へお礼のひとこと
生理学(統合生理)教授
アケ
マ
タツ
小児科学 教授
タキ
オ
話は学生時代に遡ります。生理学で消化器
の課題学習があり、私たちの班の課題は「口腔
∼食道」でした。なぜか私が一人でやるはめに
なりました。咀嚼・嚥下・唾液といった内容を
一通り説明すれば十分なのに、私は範囲外の
味覚の機序まで徹底的に調べてまとめまし
た。発表は予定時間を大幅に超えましたが、同
級生の拍手で終わる楽しい経験でした。
次は大学院生時代です。ある日教授から、大
学附属の看護専門学校で生理学の授業を担当
するように言われました。他にも人がいたの
になぜか私が指名されました。教科書の表面
的な解説だけでは自分自身が面白くないし、
学生の感性はそんな教師の心を必ず見抜いて
しまいます。学生にとって何が必要か、どうし
たら理解しやすい授業ができるか、学習内容
や説明の仕方に工夫を凝らしました。本学赴
任時に最後のクラスが寄せ書きしてくれた色
紙は、見るたびに初心を思い起こさせてくれ
る私の宝物です。
医学部で授業するようになると、ある時数
人の学生が英語の輪読会をしてほしいと言っ
てきました。この時もなぜ私にだったのかわ
かりません。専門の神経内分泌学の入門書を
テキストにしましたが、いざ始めると、学生た
ちの素朴な疑問に対して自分が如何に無知で
あるか思い知らされることの連続でした。
28年前に本学に赴任してからは、豊田順一
名誉教授の基礎から応用まで一貫する教育か
ら多くのことを学びました。それを自分なり
に磨き上げて、
「日本一の生理学教育」を目指
しましたが、途半ばの感は否めません。それで
も、生理学をしっかり学んで良かったと卒業
生から言われることもあり、そんな時は教師
冥利に尽きる思いがします。
振り返れば、私はいつも周りの人々に生理
学教育へと導かれてきました。天職というべ
きでしょうか。その実践の場がマリアンナで
した。研究との両立は全て教室員の努力の結
果です。困難な仕事を全うできたのは多くの
方々のお蔭であり、心から感謝しています。
定年退任の挨拶
1987年から2006年までの約20年間を大学
で、2006年からの10年間は西部病院で皆様と
ご一緒に勤務させて頂き、この度、無事定年退
任となりました。これもひとえに皆様のご支
援、そしてご指導の賜物と心より感謝申し上
げます。
改めて振り返ってみますと、故山田兼雄教
授に勧誘されて本学に赴任して約30年が経過
し、医師としての大半を本学で過ごしたことに
なります。私は小児科医ですが、subspec
i
a
l
ty
が止血・血栓領域です。多くの先天性および後
天性の患者さんを診療する機会に恵まれ、遺
伝性の凝固異常症の患者さんに関しては、小
児のみならず成人・老人も含めて診療させて
頂き大変勉強になりました。特に血友病患者
さんは、止血管理だけでなく、関節障害、そし
て1980年代に薬害のHIV感染症や肝炎との
闘いの歴史でした。その闘いの中で掴んだ光
明と成果は、乳幼児の重症型血友病患者への
一次定期補充療法をわが国で先駆けて開始
し、スタッフとともに十分な臨床的な手ごた
えを感じながら本治療法を看板にして血友病
麻酔学 教授
ダ
タケ
ツジ モト
あったのですが、今では手術室運営には欠か
せないものになっています。
本院の中央手術部では多彩な手術が行われ
ること、多くの職種がかかわることから医療
事故の頻度の高い職場でもあります。そのた
め本院の手術室では、患者誤認事故防止ガイ
ドライン、手術体内異物残留防止ガイドライ
ン、周術期肺血栓塞栓予防ガイドラインなど
のガイドラインを作成してきました。また、
WHOのタイムアウトや手術室バリアンス報
告なども導入されました。これら全ては、多く
の手術室で標準的に実施されるようになって
います。周術期医療はチーム医療の典型であ
り、また、病院経営にも医学教育にも重要な部
門であり、この分野で仕事してきたことに誇
りを感じると同時に手術室の運営にご協力い
ただいた皆様に感謝いたします。これから新
病院建設に向かって皆さんが一致協力して、
安全な周術期医療に邁進し、本学が益々発展
することを祈念いたしております。
職位・役職
生理学(統合生理)
教授
脳神経外科学(脳神経外科一般)教授(西部病院)
麻酔学
教授
小児科学(小児科)
教授(西部病院)
臨床検査医学
病院教授
内科学(リウマチ・膠原病・アレ 病院教授
ルギー内科)[選択定年 H27.12.31 付]
外科学(消化器・一般外科)
准教授
医学部 保健管理センター
課長
皮膚科学
主任
大学病院 臨床研修センター
参事
放射線管理室
室長
医療安全管理室
副部長
画像センター
技術課長
フミ
オ
辻本 文雄
平成 27 年度
教 員
治療の質的向上を患者さんとともに勝ち得た
ことです。当時、わが国の血友病専門施設にお
いても本治療法を実施している施設は皆無で
したが、最近では、標準的治療として認識さ
れ、全国の患者さんのQOL向上に貢献できて
いることに密かな喜びを感じております。
また、医療情報学の立浪忍先生の協力を得
て2000年度から血液凝固異常症全国調査を
毎年行い、本領域の唯一の貴重な疫学資料を
作成してきたことも誇りの一つです。血友病
治療を通じて、患者さんのQOLを高めるに
は、各職種による包括医療の重要さを痛感し
ました。
整形外科、消化器・肝臓内科、消化器・一般
外科、脳神経外科、小児外科、腎臓・高血圧内
科、循環器内科等の診療各科の先生方はもち
ろんのこと臨床検査技師、看護師、薬剤師、P
T、カウンセラーなどの各部門の方々へ改め
て感謝するとともに今後も末永きお付き合い
をお願い申し上げ、お礼の言葉に代えさせて
頂きます。
臨床検査医学 病院教授(大学病院)
シ
舘田 武志
所 属
シ
定年退職にあたり
タテ
私は昭和53年に聖マリアンナ医科大学を卒
業し、研修医を含めて37年間聖マリアンナ医
科大学に勤務しました。約35年間は聖マリア
ンナ医科大学病院の中央手術室で麻酔科医と
して中央手術部の看護師さんや外科の先生た
ちと一緒に働いてきました。
研修医として麻酔科に入局した当時は本院
もまだ新しく手術室も11室(手術台は11で、
1室は倉庫代りで稼働していませんでした)
で、年間手術件数は3,
000件に満たなく、かな
り余裕のある勤務体制でした。その後、救命救
急センターの開設に伴い緊急手術が著明に増
加し手術室の体制が一変することになりまし
た。緊急手術に対応するため、手術室が2室増
加されました。また近年では、術前診断の進歩
や低侵襲手術の発展により、手術件数はさら
に増加し、現在では14室で年間総手術件数は
8,
000件を超えるまでになりました。昨年度は
ハイブリッド手術室も完成し、さらに効率的
な手術室運営が必要となっています。中央手
術部運営委員会を設立するときに反対意見も
マサ
瀧 正志
明間 立雄
区分
(3)
氏 名
明間 立雄
田口 芳雄
舘田 武志
瀧 正志
辻本 文雄
山田 秀裕
月川 賢
関根 正則
馬場タカ子
砂塚 善道
福井 厚
竜 トシ子
長野 広
平成15年4月に聖マリアンナ医科大学病院 して行われる超音波カンファランスでは、院
超音波センターに赴任し13年が経ちました 外の医師、技師も集まり、一生に一度遭遇する
が、未だ退任するという実感がありません。ス 程の極めて稀な症例を経験しつつ、活発な討
タッフ一同とともに超音波センターの業務が 議が行われてきました。本学を中核として超
変わりなく続いているからでしょうか。
音波診断に関する情報を発信し続けていくも
日本有数の規模である当院超音波センター のと思います。
で多数の症例を経験し、臨床・研究・教育に役 最後に、本学学生諸君の「国語力」に苦言を
立てることができました。超音波診断を題材 呈します。入学試験に「国語」を課さないこと
として大学院研究生8人の研究論文を完成さ と無関係では無いと思います。では、入学後に
せることができました。教育では、国内外の医 「国語」を教えればよいかといえば、長年の初・
師、技師を超音波センターに招き、臨床実習を 中等教育で培われてくるものですので、 困難
行いました。現在も門戸が自由に開けた超音 と言わざるを得ません。医学論文の作成、ある
波研修施設として機能し、NPOプロジェク いは生涯教育に際し、
「国語」の能力は極めて
ト・ホープ・ジャパンと共に海外医療支援活動 重要であり、何らかの善処・対処が必要です。
を行っています。医学部5回生の臨床画像解 私でお役に立てることがありましたらお申し
剖学実習として、検査者自らが超音波プロー 付けください。
ブを体に当てる腹部超音波検査は、労力を要 在任の間、院内の皆様方と共に生き生きと
しましたが、非常に教育的効果があったもの 仕事をさせていただいたこと、深く感謝致し
と自負しています。今後も継続されることを ております。本学のさらなる発展をお祈りし
願います。月1回、
「難治研」の1室をお借り ます。
定年退職者一覧
区分
所 属
職位・役職
大学病院 臨床検査部
主査
臨床検査部
主幹
看護部[選択定年 H28.3.31 付]
師長
西部病院 治験管理室
主査
看護部
部長
画像診断部
参与
リハビリテーション部[選択定年 H28.3.31 付] 技術課長
多摩病院 治験管理室
師長
看護部
副部長
看護部[選択定年 H28.3.31 付]
師長
ブレスト ブレスト&イメージング先端
技術課長
医療センター附属クリニック
課長補佐
医学部 施設環境課[選択定年 H27.7.31 付]
担当課長
氏 名
栗原 恵子
渡会 義弘
枡田三枝子
石井 克弘
岩渕 泰子
中山 兼二
畠山 真弓
柏熊留里子
菊地フキ子
小黒美恵子
佐藤 光也
池田 悦子
諸戸 忠晴
以上 26 名
(4)
2016年(平成28年)3月31日
第 100 号
男女共同参画
キャリア支援センターの役割
新任のあいさつ
純粋精神医学の旗手を目指して
神経精神科学 教授
こ
ちゃ
ひろ
き
古 茶 大 樹
平成28年1月1日付で、神経精神科学教授
を拝命いたしました。
経歴を見てもおわかりのように、私は臨床・
教育一筋の人間です。大学院も留学歴もあり
ませんが、臨床精神科医と教育経験の豊富さ
では誰にも負けないと自負しています。精神
病理学という私の専門領域は、精神医学の本
道であるにもかかわらず、インパクト・ファク
ターや科研費とは無縁です。50年前なら精神
科の教授の大半は精神病理学の専門家でした
が、生物学的精神医学の台頭とともに、大学講
座の場から精神病理学者は次々と姿を消して
しまいました。しかし、患者と相対し、その対
話から、あるいはその表情や行動から、患者の
心を描き出すという日常診療の地道な作業
は、精神病理学の営みそのものであり、それな
くして成し遂げることはできません。新生マ
リアンナ神経精神科の未来像は、まさに(精神
病理学的な素養を備えた)優れた臨床医の育
成にあります。
「臨床・研究・教育をバランス
良く」というようなお決まりのスローガンは
ここでは掲げません。本学卒業生の多くは、ご
くシンプルに良き臨床医になりたいはずで
す。彼らのその期待にしっかりと応えたいと
思います。
現代の精神医学はまさに混乱の時代に突入
し、私見では、将来は二分される可能性もある
のではないかと考えております。エビデンス
至上主義を貫き、心を脳という臓器の機能・作
用としてのみ認識する生物学的精神医学と、
人の心は千差万別で自然科学の法則には支配
されないことを前提とする、いわば純粋精神
医学とでも呼ぶべき二つの大きな流れです。
多くの大学講座が生物学的精神医学に傾倒す
る中、われわれが純粋精神医学の旗手として
認知されることで、非常にユニークな講座の
カラーとなるでしょう。本学卒業生だけでな
く、他大学からもわれわれの主張に共鳴する
若者が集う教室にしたいと思います。
略 歴
昭和61年 3月 慶應義塾大学 医学部卒業
昭和61年 4月 同大学病院 精神・神経科 研修医
昭和62年 5月 横浜市立市民病院 神経科 レジデント
昭和63年 5月 桜ヶ丘記念病院 精神科 平成 5年 5月 慶應義塾大学医学部 精神・
神経科 助手
平成 8年 8月 桜ヶ丘記念病院 精神科 平成11年 4月 同 医長
平成11年 6月 医学博士取得(慶應義塾大学)
平成12年 1月 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 精神科 医員
平成13年 4月 同 医長
平成20年 4月 慶應義塾大学医学部 精神・
神経科 専任講師
平成28年 1月 聖マリアンナ医科大学 神経
精神科学 教授
平成 27 年度
医学会海外留学奨学金の授与
聖マリアンナ医科大学医学会海外留学奨
学生選考委員会において、応募のあった会
員の中から奨学生(2名)を選考し、平成28
年1月13日(水)、学長室にて三宅良彦会長
より海外留学奨学金(給付額20万円/人)
を授与した。
帰国後、留学成果を公表するため、
「聖マ
リアンナ医科大学雑誌」または「Journal
ofSt.
Mar
i
annaUnivers
i
ty」
(共に電子版)
に海外留学体験記事を投稿、あるいは、学術
集会で発表を行っていただく予定です。
医学情報センター図書情報課
課長 南 泰樹
所属
小児科学
[講師]
氏名
勝田 友博
(カツタ トモヒロ)
内科学(循環器内科) 田 真吾
[診療助手]
(クワタ シンゴ)
写真左より、勝田友博氏、
三宅良彦会長、 田真吾氏
男女雇用機会均等法と一般的に呼ばれてい
ますが、それは通称であり、正式名称は「雇用
の分野における男女の均等な機会及び待遇の
確保等に関する法律」です。歴史的には、昭和
47年(1972年)に「勤労婦人福祉法」が制定、
1979年に国連総会で女子差別撤廃条約が採
択され、1985年に勤労婦人福祉法は「雇用の
分野における男女の均等な機会及び待遇の確
保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」
に改正されました。1999年(平成11年)には、
「雇用の分野における男女の均等な機会及び
待遇の確保等に関する法律」に変わり、2007
年(平成19年)に法改正が行われ、かねてより
問題視されていた男性への差別も禁止される
ようになりました。そして新しくは、平成27年
8月「女性の職業生活における活躍の推進に
関する法律」が成立しました。
これにより、常時雇用(*)する労働者の数が
301人以上の事業主に対して、1自社の女性の
活躍状況の把握、課題分析、2 行動計画の策
定、都道府県労働局への届出、社内周知、公表、
3 自社の女性の活躍に関する情報公表、が義
務付けられます。
ある講演で日本医師会理事の山本 子先生
が、女性医師が子育てをしながら仕事を続け
るためには、「自助、互助、共助、公助」が必
要だと話されました。女性のみならず、仕事と
家庭の両立は、自助(職業意識、就労意識、自
らの健康)、互助(家庭や地域などの協力)に
より大きく変わると思います。それら個々の
状況に対応すべく、共助(組織的な職場環境整
備、上司・同僚の理解)が重要であり、公助(行
政や公的サービス)が無くては成立しません。
男女共同参画キャリア支援センターは数字
の公表をするだけでなく、数字の裏にある現
実やニーズの把握に努め、子育てや介護で離
職することなく安心して働き続けられること
を名実ともに強固にするため、関係委員会に
係る50名が一丸となって啓発、広報、体制整備
に努めます。
多くの大学に「男女共同参画室」などの名称
が多い中、本学がこだわったのは“キャリア支
援センター”としたことです。大学、附属病院、
附属施設には多くの職種が働いています。ご
意見、ご要望など、皆さんの声をお届けいただ
ければ幸いです。
総合教育センター 主事 阿部征子
*正社員だけでなくパート、契約社員、アルバイトなどの名称にかかわらず、以下の要件に該当する労働者も含む。
1 期間の定めなく雇用されている者
2 一定の期間を定めて雇用されている者であって、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇
入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者
男女共同参画キャリア支援センター事務局
Tel:044-977-8111(内 5840) Mail:[email protected]
◆キリスト教文化センター◆
「アットホームな日常」と「新しい活動」
非常勤講師 土居 由美
教育棟への移転以来、アットホームな雰囲 きたさまざまな慣習を、できるだけ当セン
気で学生をはじめ皆さまに親しまれてきたキ ターの日常活動に取り入れようと励んでいる
リスト教文化センターですが、昨年度から少 (!)ことです。イースターエッグ作り、クリ
しずつ活動の幅を広げています。そのいくつ スマスの飾りつけ、お菓子の家やツリーの制
作などが挙げられます。医師の次になりたい
かをご紹介させていただきます。
一つめは、
「信仰ではなく教養としてのキリ 職業はパティシエという医学生もいて、皆で
スト教」に触れながら「学内の異業種交流」も 一緒にお菓子の家やツリーを完成させまし
できる場となることを願って平成26年に始め た。ただし、翌日には解体され始め、彼らの胃
た会、「CC倶楽部」(Chi
rs
t
i
anCul
tureClub の中へと消えて行ったのですが……。
の略称)です。
「ワインとキリスト教」と題し 最後に真面目な活動をご紹介いたします。
て三宅学長にお話し頂き、ワインと共に交流 平成27年度より、学内規程によってスピリ
を深めた記念すべき第1回から数えて既に8 チュアルケアに関する事柄も扱うこととなり
回開催してきました。第8回では、本学建学の精 ました。その一環として、本学における上智大
神に深く関わるアルベルト・シュヴァイツァー博 学グリーフケア研究所の春・夏集中実習受け
士の生涯を辿りながら、医学部2年生の手計 入れを担当しています。学際的研究や患者ケ
順君によるバッハのピアノ演奏を聴きまし アにおいて、緩和医療学(愛和病院)寄附講座
た。バッハ研究家にして名演奏家でもあった や大学病院看護部などさまざまな部署と連携
シュヴァイツァー博士のような医師が本学か できる当センターへ発展できることを目指し
ら巣立つ将来を期待しつつ、楽しい時間を過 ています。
当センターのさまざまな活動にご参加・ご
ごしました。
二つめは、キリスト教文化の中で育まれて 協力下さいますようお願いいたします。
留学先 : 留学期間
The Children's Hospital of
Philadelphia(米国):
2016.4 ∼ 2018.3
University of Zurich(スイス):
2016.4 ∼ 2018.3
私たちは知的財産の総合プロデューサーです。
パートナー
聖マリアンナ医科大学
みなさんのアイディアを実用化。
ライフサイエンスに特化した
本学指定技術移転機関
大学の知財
(企業等)
株式会社
助成金
共同研究
製品化 NPO 実用化 ベンチャー
設立支援
(内線4031)
聖 マ リ ア ン ナ 医 大 新 聞
第 100 号
眼 科 学
2016年(平成28年)3月31日
(5)
教室・施設紹介
逆転の発想
最先端の眼科治療のための取り組み
内科学(循環器内科)
教授 明石
嘉浩
眼科学 教授 高木 均
皆様は、横浜みなとみらいにある「カッ
プヌードル・ミュージアム」へ出かけたこ
とがあるだろうか。このミュージアムの正
式な名称は「安藤百福発明記念館」である。
カップヌードルやインスタントラーメン
の開発秘話や歴史が様々な方法で記され、
大人も子供も楽しめるアミューズメント
パークとなっている。ちなみに、筆者は既
に2回出かけている。カップヌードルが自
分と同じ年に生まれたということもあり、
大変親しみやすい場所である。皆が一度は
食べたことがあり、時として無性に食べた
くなるのがカップヌードルであるが、私は
その開発された商品数に驚いた。壁一面
に、過去に開発されたインスタントラーメ
ンが商品パッケージのまま飾られている。
懐かしいもの、食べたことの無いもの、そ
の歴史に驚かされた。安藤百福こそ、世界
で初めてインスタントラーメンを開発し
た人物であり、日清食品の創業者である。
このミュージアムを訪れて驚かされた
ことが2つある。1つは製法特許の公開で
ある。1958年に世界初のインスタント
ラーメンである“チキンラーメン”が開発
され、その3年後に商標登録が確定した。
ところが他社が模倣する製品の質があま
りに低く、安藤百福は特許を公開すること
を決め、他社製品の品質向上に大きく貢献
した。最近ニュースでよく目にする“製造
年月日”の標記は実はこの時から始まっ
た。この時、彼は「自分の会社が特許を独占
して野中の一本杉として栄えるより、大き
現在、わが国の中途失明原因のトッ 黄斑変性症の治療においては、光線力
プ3でcurabl
eなものが緑内障、糖尿病 学療法と抗VEGF療法を併用もしくは
網膜症、黄斑変性症であり、本教室では 単独で行っており、世界的な標準治療を
特にこれら疾患の治療に努力していま 施行できています。
す。緑内障治療においては、標準的な手 また、最近では先端医療である角膜
術である線維柱帯切除術に加え、最近で パーツ移植をスタートし、今後の発展
はバルベルトインプラントやアーメドイ が期待できる分野となっています。
ンプラントを導入しており、良好な結果 研究面では、月に1回ラボミーティン
を得ています。また、最近の世界的流れ グをしており、アカデミックな討論の場
であるminimal
lyinvas
ive gl
aucoma が用意されております。ローテーターの
surgery(MIGS)を鑑みても、当科で 先生や大学院生の先生には刺激になる
従来行っている線維柱帯切開術も点眼 と期待しております。2016年のARVO
iat
ionfor Researchin
数を減少できる点では再評価できると (The Assos
s
i
onandOphthalmo
思います。特に白内障手術併用時にお Vi
l
ogy)はシアト
いては積極的に施行しています。
ルで開催され、当教室からも5題演題を
糖尿病網膜症の治療においては、黄 発表する予定です。今後ともOBの先生
斑浮腫に対する抗VEGF療法のみなら 方や他科の先生方のご協力に感謝しつ
ず、症例に応じて硝子体手術を積極的 つ、我々は若い先生の力を大きく伸ばす
に行っています。特に最近はより低侵 ことで、教室の発展と眼科学会での地位
襲である27Gシステムを導入し、患者 向上に切磋琢磨していく所存でござい
のQOL向上に貢献しています。
ます。
な森となって発展した方が良い」という有
名な言葉を残している。己の一人勝ちでは
なく、常に世の中に還元する意識が根底に
あることを知り、驚かされた。
もう1つ驚いたことは、その製造工程で
ある。大量の空のカップが生産ラインに
のっていて、その中に円錐台様に揚げられ
た麺を上から入れていくものを想像して
いた。ところが、これでは綺麗に収まらな
いことが多く、カップの底に出来るはずの
隙間が一定にならなかった。そこで安藤百
福が考えたのは、生産ラインにのっている
揚げ麺の上からカップを被せ、途中でライ
ンを回転させ、最終的に蓋をする、という
工程である。寝ていて目が覚めたときに天
井が回転している錯覚に陥り、ひらめいた
そうである。まさに「逆転の発想」である。
たまたま訪れたミュージアムで大いに
勉強する機会を得た。医療機関の中でも自
施設のみが発展するのでは無く、地域ぐる
みで発展出来るような情報の共有と教育
の場が必要であることを改めて感じた。来
年から始まる新専門医制度における地域
医療連携は、まさにこのことを意識した改
革と受け止めた。また、当たり前と考えて
いる医学の中に、「逆転の発想」から新しい
研究題材が掘り起こせるとも思った。次回
ここを訪れるときにはチキンラーメンの
手作り工房に挑戦してみたいと考えてい
るが、これは新たな治療法への挑戦につな
がるのか?ここでも単なる自己満足で終
わらないように注意したい。
∼受け継がれるマリアンナスピリット∼
「聖マリアンナ医大新聞」は、本号で 100 号を迎えました。
そこで本学の象徴である「校旗」と「校歌」にまつわる由来を改めて振り返り、
エピソードを紹介します。
年代別に展示されているインスタントラーメン(安藤百福発明記念館)
建学の理念が織り込まれた
「新校旗」
創立の理想をうたい継ぐ「校歌」
式典に斉唱する「校歌」がどのように創り上げられたか、ご存知で
すか?
『創立35周年記念誌』に記された第三代理事長前田徳尚先生の「創
立者を偲びつつ−校歌が出来るまでを−」によると、1973年、東洋医
科大学から聖マリアンナ医科大学への改名を機に「校歌を作ってほし
い」との声があがりました。
そこで、作詞を藤浦洸先生に、作曲を古関裕而先生(故染谷一彦名
誉教授の岳父)に依頼することになりました。本学設立の趣旨ととも
に、パウロ六世ローマ教皇(当時)から贈られたカリスとパテナ、建
学の理念である生命の尊厳についてのメッセージをいかに織り込む
か、両先生を交えた討議は長時間にわたって続けられました。
その結果、理想の医師像が込められ、医師としてあるべき姿が簡潔
にうたいあげられた現在の校歌が誕生しました。
校 歌
(1) 光の歴史
悠遠の
関東平野
見はるかす
多摩丘陵に
風薫り
みしるし
愛の聖旨
かかげたる
医学の扉
世に開く
見よ 見よ われら誇りあり
聖マリアンナ医科大学
(2) 波浪を超えて
われにある
カリスとパテナ いと貴き
めぐみ
聖なる恩寵
身にうけて
熱き心の
学の徒が
究めてなさむ
その使命
見よ 見よ われら誇りあり
聖マリアンナ医科大学
とも
ローマ教皇パウロ六世
より贈られた
カリスとパテナ
作詞 藤浦 洸
作曲 古関裕而
(3) 世界の朋友と
手を組みて
正しく願望
地に平和
とおとさ
人の生命の
尊厳を
きわ
わざ
科学を研め
技術をねり
きわみ
なすべき極致
なしとげむ
見よ 見よ われら誇りあり
聖マリアンナ医科大学
ねがい
入学式など式典の際に、壇上から学生たちの姿を温かく見
守り続けてきた聖マリアンナ医科大学の校旗。長年の使用の
ため劣化が進み、このたび新調されました。デザインの基本
は校章をメインに、これを中央に配し、金や銀など刺繍部分
の色を一部刷新しています。
校章の由来はというと、円は「和」を表し大学名を金色に
あしらって「輝き」をもたせ、内側はブルー、弓状の6本の
線は世界の大陸を象徴しています。建学の理念である世界に
通じる医師の養成と、その人間形成の念願を示しています。
新校旗の正式のお披露目は4月の入学式になる予定です。
(6)
2016年(平成28年)3月31日
第 100 号
平成 26 年度・27 年度
スポーツ中の脳振盪に赤信号!
∼本学学生に緊急講演∼
スポーツ医学講座 准教授 藤谷
2015年12月、
「スポーツにおける頭部外傷対
策の新基準」とのタイトルで本学運動部の学
生を対象に講演を行いました。実はここ数年、
スポーツ医学の分野では脳振盪(concuss
i
on)
が大きなトピックスになっています。以前か
ら明確でなかった受傷後の競技復帰基準につ
いて最近、世界レベルでの新しい判断基準が
提唱され、冬季東医体を控えた本学学生にも
徹底周知しました。
脳振盪というと、一時的な意識消失、頭痛、
めまい等があるものの結局は短時間に「治っ
てしまう」ものと軽く考えがちですが、決して
そうではなく脳外科的には未だその医学的病
態、そして受傷後の影響についても不明とさ
れています。米国では10数年前より、多くの元
プロ選手たち(アメリカンフットボール、アイ
スホッケー他)が現役時に繰り返された脳振
盪の影響であろうさまざまな後遺障害に苦し
んでいる事実が明らかとなりました。認知機
能障害、うつ、
人格変化等で
38
公益社団法人日本臓器移植ネットワーク
助成金交付について
移植医療支援室 室長 力石 辰也
(文責 小野 元)
博人
中には自殺する選手もみられ、現在深刻な社
会問題になっています。この影響からか昨年、
米国サッカー連盟は11歳未満の選手のヘディ
ングを禁止し、また大リーグではキャッ
チャーのホームべース上でのランナーに対す
るブロックが禁止されました(このルールは
日本のプロ野球でも今年から適用されます)。
現時点で、Internat
ional Conferenceon
Concuss
i
on in Spor
tsという国際学会にて、
脳振盪に関する最新の諸研究より下記の基準
が提唱されており、国際オリンピック委員会、
FIFA、国際ラグビー評議会等もこれに賛同す
る立場を取っています。
⇒「脳振盪と診断された選手は、その日の競技
へは復帰してはならない。」
⇒「脳振盪後の競技復帰には段階的プロセス
(6段階)を必要とする(現段階が無症状なら
ば次のレベルに進める。各段階には24時間必
要で復帰までには最低約1週間かかる)。」
これらの新基準は現在、各種スポーツ界に
浸透しつつあり、本学運動部においても遵守
すべき重要な内
容ですが、本学
学生が安全に部
活動を行えるよ
う今後も適時、
安全指導を実施
していくつもり
です。
平素は皆さまから移植医療に関しまして多
くのご協力を頂いております。また法人内、院
外の関係機関の方々にも日頃からご指導ご鞭
撻を頂き深く感謝申し上げます。
さて、昨年度から移植医療支援室では尾崎
病院長の許可を頂き、平成26年度・平成27年
度に「あっせん事業体制整備事業 特別地域
支援事業」
(交付額2,
200,
000円)と「あっせ
ん事業体制整備事業 院内体制整備事業」
(交
付額1,
200,
000円)の2事業を、日本臓器移植
ネットワークからの助成金を受け実施してお
ります。特別地域支援事業については、神奈川
県行政、かながわ健康財団、県内4医科大学が
中心となって臓器提供に関する意思を確実に
活かすための地域的な枠組みを神奈川県にお
いて構築することを目的としています。また、
移植医療支援室が事務局となって一般啓発お
よび病院啓発活動に取り組んでおります。院
内体制整備事業についても同様に、臓器提供
に関する意思を確実に活かすための院内体制
整備を目的としております。
現在、当院での臓器提供数はそれほど多く
はありませんが、今後も移植医療支援室では
医療現場での臓器提供支援を中心にさまざま
な活動や事業を行ってまいります。今後とも
ご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願い
申し上げます。
町田の丘学園から
本学に感謝状
町田の丘学園が高等部進路指導として
実施している施設見学・インターンシップ
計画に対して本学は、これまで生徒の受け
入れなど協力を続けてきましたが、2月
25日に同学園から感謝状が贈られ、人事
部人事課障害者担当の圓山勝久さんが本
学を代表して受け取りました(写真左)。
施設見学やインターンシップは、生徒た
ちにとって実際の職場での体験学習を通
じ、学校では得られない貴重な経験ができ
たことが評価されました。
人事部 人事課
聖マリアンナ医科大学公開講座
最新医学講義−アカデミックを楽しむ
志願者、過去最高の 3,648 名
「医学・医療の専門的知識を深めたい方、
全回出席できる意欲のある方」を対象にス
タートした「最新医学講義」は3年目を迎
え、39名が受講した。
会場は向ヶ丘遊園駅近くの多摩市民館
で、平成27年12月2日から28年2月17日
までの水曜日午後7時から8時まで、計10
回の講義を開催した。
初日は三宅良彦学長による開講の辞に
続き講義が始まり、本学教授陣から毎回1
名の講師が講義を行った。
受講者には医療従事者や医療に高い関
心を持っている方が多く、高い出席率と熱
心な受講態度がこの講座の大きな特徴と
いえる。
受講者の男女比率は男性26%、女性74%、
年齢層は30代以下15%、40∼50代49%、60
代以上36%と仕事帰りの中年層が目立った。
最終日には、加藤智啓医学部長による閉
講の辞の後、各人に受講証明書を手渡し無
事終了した。
医学情報センター図書情報課
課長 南 泰樹
◆講義内容◆
平成28年度一般入学試験の第1次試験を
1月26日(火)に、東京五反田のTOCビル及
びTOC五反田メッセの2会場にて実施した。
志願者数は昨年度を大きく上回る過去最高の
3,
648名であった。このため、TOCビル13階の
1会場のみでは受験生の受け入れが困難であ
ると判断し、急遽、今年の1月にTOCビルの
向かいに竣工したばかりのTOC五反田メッ
セ内にも受験会場を設置し、2会場に分けて
試験を実施することとなった。
試験当日はTOCビル13階に入試本部、同フ
ロア並びにTOC五反田メッセ内にも予備室
と医務室を設置し、万全の態勢で臨んだ。幸い
天候にも恵まれ、交通機関等の遅れもなく、ま
たTOC五反田メッセ内の会場との連携にも
問題は生じず、試験は予定通り進行した。試験
中、体調不良者が3名いたことから予備室で
の別室受験の対応をとることとなったが、そ
の他は特に問題もなく、第1次試験を終える
ことができた。
第1次試験を突破した492名の合格者を対
象に、本学菅生キャンパスで2月6日(土)
・7
日(日)両日に第2次試験を実施した。昨年度
同様、適性検査並びに小論文を体育館、面接
(個人面接)を教育棟3階、4階で実施し、第
2次試験は滞りなく終了した。
2月12日(金)、一般入学試験2次試験合格
者150名と補欠者219名を、補欠順位を付して
発表した。4月には、昨年11月21日(土)に
実施した推薦入試合格者16名と合わせて115
名の新入生を迎えることとなる。
本年度も無事入学試験を実施することがで
きたのは教職員の皆様のご協力の賜物です。
この場を借りまして、御礼申し上げます。
教学部 教育課 課長 阿部和彦
12 月 2 日∼ 2 月 17 日 全 10 講義
●肺癌の分子標的治療
…中村治彦 教授[外科学(呼吸器外科)]
●東京オリンピック 1964 の残したもの
…武者春樹 教授 (スポーツ医学)
●関節炎の病態と治療−最前線ー
…山田秀裕 病院教授[内科学(リウマチ・膠原病・アレルギー内科)]
●帯状疱疹
…相馬良直 教授 (皮膚科学)
●乳房再建−美しい乳房を取り戻す−
…梶川明義 教授 (形成外科学)
●高血圧の非薬物療法
…柴垣有吾 教授[内科学(腎臓・高血圧内科)]
●知っておきたいお薬の基礎知識
…松本直樹 教授 (薬理学)
●かすみ目、ゆがみ目の診療
…高木 均 教授 (眼科学)
●より高い QOL をめざした関節リウマチに対する整形外科的治療
…仁木久照 教授 (整形外科学)
●感染性が高い感染症の対策について
…竹村 弘 病院教授 (微生物学)
入試結果報告
平成28年度看護専門学校入学試験を以下の
とおり実施した。例年通り募集人員は80名で、
内訳は推薦入試枠20名程度、特別選抜入試枠
20名程度、一般入試(I期)枠40名程度、一
般入試(I
I期)枠若干名とした。
まず、推薦(指定校・一般)、特別選抜入試
は昨年11月1日(日)、昨年同様に一般常識・
小論文・面接を本校にて実施した。推薦入試
のうち指定校枠から14名、一般枠から11名の
志願者があり、合格者24名を発表した。さら
に特別選抜枠から32名の志願者があり、
12名
の合格者を選出し、最終的に推薦、特別選抜
合計36名(すべて女子)の合格者を11月5日
(木)に発表した。推薦及び特別選抜の受験者
数の昨年比は、ともに減少し合計44名減で
あった。
次に、一般入学試験(I期)は1月9日(土)、
午前に本校にて国語(現代文)、英語(I・I
I)、
選択科目(数学I、生物基礎、化学基礎のうち
1科目選択)の筆記試験、午後は教育棟にて面
接をそれぞれ実施した。志願者数は116名、受
験者は114名で、1月14日(木)に合格者67名
(男子:4名,女子:63名)を発表し、さらに
補欠者3名を選出した。一般I期の受験者数
の昨年比は36名減で、合格者最終学歴は8割
が高校新卒であった。一般入試(I
I期)は3月
18日(金)に実施した。
今年度より、神奈川県内では3大学が看護
学部を新規開設し、その影響を受けた結果と
なった。来年度以降、受験生確保のため学校説
明会への参加、指定校等での模擬授業、オープ
ンキャンパスの定期開催、学校見学への対応、
情報誌掲載等に積極的に取り組み、本校の魅
力をアピールして行く所存である。
看護専門学校 事務長 菅野淳子
聖 マ リ ア ン ナ 医 大 新 聞
第 100 号
2016年(平成28年)3月31日
(7)
医学部海外留学体験記
【高神大学】
韓国の医療現場を体験して
私は2015年3月30日∼4月24日の1カ月
間、韓国の高神大学で臨床実習をさせていた
だきました。高神大学は韓国南部の釜山にあ
り、少し歩けば繁華街やビーチがあり活気の
釜山のビーチにて
ある都市です。晴れていれば対馬も見え、船で
九州へ観光に行く人も多いそうです。
今回、海外臨床実習の地として高神大学を希
望した理由は、隣国でありアジアの一国である
韓国の医療現場を体験したかったか
らです。
高神大学の臨床実習は、BSLと似
ています。実習班のうち一つの班の
学生と共に行動しました。マリアン
ナでは実際の医療現場を見ること
に力を入れている一方で、高神大学
は症例発表、OSCEにより力を入れ
ていました。韓国では国試にもOSCE
があるほどで、休憩時間によく練習
第6学年 小俣 智子
をしていました。
(腰椎穿刺の人形など初めて
見たのですが、実は日本製でした)。症例発表
や論文の抄読会では私も発表の場を与えてい
ただき、英文でまとめるのは初めてで大変で
したがとても良い経験になりました。
韓国の学生は医学単語を英語で学んでいま
す。最新の情報は英語で理解する必要があり、
その情報をいち早くキャッチできる素晴らし
い環境にあると思いました。その一方で自国
の言語で学べる日本は恵まれている、とも感
じました。
放課後は学生と食事やチムジルバン(韓国
版のお風呂)に行き、楽しい時間を過ごしまし
た。韓国の学生はみんなとても親切で1カ月
実習生の仲間たちと
の実習がより充実したものとなりました。韓
国料理が大好きだったので、毎日の食事も楽
しみでした。
限られた時間ではありましたが、海外の医
療現場を垣間見たことは、とても大切な財産
となりました。またいつかこの1カ月で知り
合った友たちと今度はお互い医師の立場で会
うことができるよう、精進したいと思います。
今回このような貴重な機会を与えてくださ
り、どうもありがとうございました。
【ハワイ大学クアキニ病院】
ハワイ大学臨床実習
私は6年次の1カ月間、ハワイ大学クアキ
ニ病院にて実習を行いました。海外での臨床
実習は入学当初からの夢であり、学内とハワ
イ大学の選抜試験を通過するために上級英語
のクラスを取り、医学英語の力を磨いて臨み
ました。実習にあたっては日米の医療制度の
違いや、英語での身体診察・問診を学ぶという
2つの目標を持っていました。
初めの1週間は日本人でアメリカの医師で
ある渡慶次先生の熱血指導のもと、家庭医実
習を行いました。毎朝4時から始まる渡慶次
先生の実習はハワイ大学の学生の間でもハー
ドなことで有名であり、英語での回診やカル
テの記入、採血や救急対応など、非常に密度の
濃い充実したものとなりました。また、自分に
第6学年 織原 梓
厳しく他者への思いやりにあふれる先生の医
師としての姿勢には非常に感銘を受け、医学
英語だけでなく様々な大切なことを教えて頂
きました。
病棟の内科チームと(右から 2 人目が筆者)
残りの3週間は病棟の内科チームに移って
実習を行いました。クアキニ病院ではレジデ
ントとハワイ大学の学生で構成されたチーム
が、重症度や疾患にかかわらずに患者さんを
担当し、それぞれのチームが上級医に治療方
針を確認する形で医療を行っています。学生
が積極的に治療方針について発言し、チーム
の一員という意識を持って患者さんのために
働いている様子が印象的でした。一方で保険
の関係で高額な医療を受けることができない
患者さんがいることなど、アメリカ医療の問
題点を目にすることもありました。
慣れない環境で英語を使っての実習であ
り、初めは辛い事ばかりでした。しかし、尊敬
する先生に出会えたことや、アメリカの医療
Kuakini Medical Center
を実際に経験できたことなど、この場では書
ききれない程に多くのことを吸収できまし
た。先生方、事務の方々、家族に支えられ、父
兄会からのご支援により、このような貴重な
機会を頂けた事に感謝しています。この経験
を生かして、患者さんの役に立てる一人前の
医師になれるよう、さらに研鑽を積んでいき
たいです。
【ハワイ大学クアキニ病院】
真の『医師』との出会い
6年生になり、学生最後の1年のスタート
に心を躍らせていた5月、私はハワイ州オア
フ島ホノルルにあるクアキニ病院のヤシの木
の下に立っていました。太陽に照らされキラ
キラ輝く“KuakiniMedi
calCenter”の文字
を前に、緊張と不安が複雑に入り混じった思
いで胸がいっぱいだったのを今でも鮮明に覚
えています。
私はハワイ研修において、1カ月間とは思
Kuakini Medical Center
えないほどに密な経験をし、数多くの忘れら
れない学びをいただきました。渡慶次先生の
もとでの実習がまさにその一つです。朝は3
時起き、患者さんの問診から身体診察、採血ま
でも任され、緊急入院が入れば夜中でも呼び
出されるという、今考えてもどう乗り越えた
のかわからないくらい、目まぐるしくハード
な毎日でした。毎日泣きながら夜中の1時ま
でカルテを書き、目を真っ赤にして3時に起
きる生活です。先生のモットーは「Eat
i
ngand
s
l
eeping are opt
i
onal −食事と睡眠は二の
次。医者たるもの、患者さんの為に睡眠を削
り、食事を省くことは当たり前のことである」
という先生でした。3時起きも2時間睡眠も
当たり前、弱音を吐くことすら許されません
でした。
渡慶次先生を一言で表すならば「侍」。いつ
も武道と医学を重ね合わせて医師としてある
べき姿を教えてくださいました。今日はその
ひとつを紹介したいと思います。
「守破離」
:まずは師の教えを忠実に守り、基本
を植え付けること。そしてその教えをとこ
第6学年 石垣 摩衣
とん研究し、完全に自分のものにすること
で、徐々に基本を破り発展すること。師の教
えと自分の研究が絶対的基盤となり、初め
て流儀を離れ自己を存分に表現できるよう
になる様。
渡慶次先生は医者になろうとしている私
に、初心の心構えとして、この「守破離」とい
う言葉を授けてくださいました。必ず上級医
の教えを忠実に守ること。上級医に教わった
基本を研究し尽くし、改良を重ね、完全に自分
のものにして初めて自己流の技法が生まれ、
それを実施する権利を得る。私たちの先を生
きてきた医師たちが自らの経験を元に築き上
げた「基本」こそが、最良の選択であることが
多いと教えてくださいました。武道と医学が
これほどにも巧みに重なり合い、医師として、
人として大切なことを教えてくれることに驚
きをおぼえ、改めて日本の素晴らしさを遠く
離れたハワイで感じることができたことこそ
が、とても貴重な経験となりました。
ハワイでの1カ月で、何よりの収穫は渡慶
次先生との出会いです。ハードな毎日で鍛え
渡慶次先生と共に
られた精神力ももちろんですが、「医師の師」
とも呼べる真の医師、渡慶次先生に出会い、教
えを乞うことができたことが私の一生の宝物
です。
最後に、私がこの研修に参加できたのも、ハ
ワイ大学への実習参加を可能にし、さまざま
な面で最後までサポートし続けてくださった
先生方や教育課の方々、お告げのように「絶対
ハワイに行きなさい」と言い続けてくれた母、
優しく背中を押してくれた父、そしていつも
味方でいてくれた兄妹のお陰です。
自分の力ではなく、たくさんの人の助け、協
力があったからこそ、このような素晴らしい
経験ができたことを忘れず、これから何らか
の形で還元できるよう、心がけていきたいと
思います。
(8)
2016年(平成28年)3月31日
第 100 号
クラブ紹介
医学部第 3 学年 石井大太 君
日本解剖学会で肉眼解剖学トラベルアワード
(献体協会賞)を受賞
解剖学 准教授 長岡
陸上競技部
第2学年 河名 紗季
朋人
医学部第3学年に在籍する石井大太君が平
成28年3月29日にビックパレットふくしま
で開催された第121回日本解剖学会全国学術
集会において、平成27年度肉眼解剖学トラベ
ルアワード(献体協会賞)を受賞しました。肉
眼解剖学トラベルアワード(献体協会賞)は、
日本篤志献体協会と篤志解剖全国連合会から
の援助を財源として、日本解剖学会が肉眼解
剖学の若手研究者の育成・奨励を目的として
授与します。対象は、
37歳以下の教員、研究員、
学生で、石井君はもっとも若い受賞者の一人
です。
受賞研究は「Retro-esophagealright
subc
l
av
i
anar
teryの分岐パターンと多様な発
生機序に関する考察−椎骨動脈に注目して
−」で、大動脈弓最終枝から右鎖骨下動脈が
分枝する稀な症例を複数例比較することに
よって、その破格の多様な発生機序を考究し
ました。
石井君は放課後を利用して解剖学講座で研
究を続け、今回の受賞へつなげました。破格の
集成と解釈は、時間がかかるテーマであるに
こんにちは。みなさん、走るのは好きです
か?跳んだり、投げたりするのは好きです
か?
私は好きです。だから陸上競技部(以下、陸
上部)に入りました。私は、大学に入って初め
て陸上部に入りました。はじめは慣れないこ
ともありましたが、同じ学年の仲間や経験豊
かな厳しくも優しい先輩方の支えがあり、部
活に慣れることができました。そんな素敵な
部活、陸上部についての紹介をしていきたい
も拘わらず、発見した複数症例を遺漏なく記 と思います。
載する能力、また1世紀以上にわたる国内外 私たち陸上部は、月、水、土の週3回活動し
の文献を渉猟し問題点を浮き彫りにする情報 ています。練習場所は、横浜日産スタジアム、
収集力、そして時間をかけて努力を継続する 川崎市中原区等々力競技場(川崎フロンター
姿勢等の、きわめて高い研究能力を発揮した レの本拠地)などです。競技場で多くの競技者
成果であると考えます。
から刺激を受けながら、私たち陸上部は、大会
さらに特筆すべきことに、石井君は学生間 や記録会で自分のベストパフォーマンスがで
の解剖学の学習を深めるために、本学に解剖 きるように、日々練習に励んでいます。
学研究会を立ち上げ、課外活動として解剖学 陸上の大会は一年に大きなものが5つあ
の学習や研究を進めています。今回の受賞が り、その中でも夏に行われる東医体(東日本
一人でも多くの本学学生にとって基礎医学研 医科学生総合体育大会)は一番大きな大会で
究に興味を持つ機会になればと願っています。 す。大会前の練習では、己の身体を極限まで
追い込みます。7月ということもあり、暑く、
練習は苦しいですが、部員同士で声をかけ合
い、水分・休憩もしっかりと摂り、練習を積
医師国家試験
みます。大会では、東日本の国公私立の多く
合格祈願祭を開催
の大学生が集い、各々の種目で競い合いま
医学部の国試合格祈願祭が2月3日(水)午前10時
から特別教育施設「聖堂」で行われました。初めての
開催とあって、103人の国試受験生が参加し、合格を
附属病院 施設だより
願って一様に真剣なまなざしで祈願祭に臨みました。
祈願祭は、小田武彦司祭の先導で始まり、三宅良彦
学長のあいさつの後、マタイによる福音(7章7節∼
東 横 病 院
12節)を全員で朗読、主の祈りと平和を願う祈りを捧
◆ リウマチ内科の再開
げました。次いで司祭が「この鉛筆を使う受験生を祝
福してください、受験生の願いがかなえられますよ
平成20年6月のリニューアルオープン時
うに」と祈願し、受験票と鉛筆が授与されました。最
に、一旦閉診となったリウマチ内科が、平成
後に明石勝也理事長、鈴木直国試委員会委員長の激
27年9月14日より診療を再開しました。現在
励を受け、無事終了しました。
は毎週月曜日の外来のみですが、閉診に伴い
余儀なく転医された患者さんも徐々に戻られ
ています。
平成 28 年度 医学部 学年暦
また、女性検診のレディースドックには、基
行 事 日 程
本検査にリウマチ検査が含まれており、早期
10/ 4(火)
創立者等追悼ミサ
発見と早期治療に繋がる可能性が期待されま
4/ 1(金)
スチューデントドクター 10/ 5(水)
解剖ご遺体慰霊法要
す。
並びに学内追悼ミサ
宣誓式(第5学年)
医事課長 小林優子
10/ 8(土)
開学記念日(振替休日)
4/ 9(土)
入学式
5/12(木)
実験動物感謝祭
11/ 2(水)
・3(木)聖医祭
8/1(月)∼15(月)東医体
3/ 3(金)
卒業証書・学位記授与式
講 義 日 程
第5学年
第1学年
4/ 4(月)∼ 7/30(土)臨床実習(5/2∼6
4/18(月)∼ 7/23(土)
前期(5/2∼6臨時休業)
臨時休業)
8/22(月)∼ 9/ 3(土)
8/ 1(月)∼ 8/18(木)夏季休業
7/25(月)∼ 8/20(土)夏季休業
8/22(月)∼12/24(土)臨床実習
9/12(月)∼12/24(土)
後期(11/1臨時休業)
12/26(月)∼ 1/ 7(土)冬季休業
1/10(火)∼ 1/21(土)
1/10(火)∼ 2/18(土)臨床実習
12/26(月)∼ 1/ 7(土)冬季休業
3/ 5(日)∼
春季休業
3/ 2(木)∼
春季休業
第6学年
第2学年∼4学年
3/28(月)∼ 4/23(土)選択コース
4/ 4(月)∼ 7/16(土)前期(5/2∼6臨時休業)
4/25(月)∼ 5/28(土)選択コースII
7/18(月)∼ 8/20(土)夏季休業
(5/2∼6臨時休業)
9/12(月)∼12/19(月)後期(11/1・4
5/30(月)∼ 7/30(土)コース別集中講義
午前臨時休業)
8/ 1(月)∼ 8/23(火)夏季休業
12/20(火)∼ 1/ 7(土)冬季休業
8/29(月)∼10/22(土)コース別集中講義
2/27(月)∼
春季休業(2・3年)
3/ 8(水)∼
春季休業(4年)
平成 28 年度 看護専門学校
4/ 7(木)
始業式
4/ 8(金)
入学式
4/14(木)
健康診断
4/28(木)
・29(金) 学外ゼミナール
5/ 12(木)
実験動物感謝祭
6/17(金)
・18(土) 学校祭
7/15(金)∼8/18(木)夏季休業(3年)
7/20(水)∼8/22(月) 〃 (1年)
8/29(月)∼10/1(土) 〃 (2年)
10/ 4(火)
創立者等追悼ミサ
◆ おもちつき大会
新年早々の1月14日、西部病院地下1階職
員食堂にて小児病棟の患者さんと職員による
おもちつき大会を開催しました。今年も「あん
こ」
「きなこ」
「納豆」の3つの味があり、みん
な笑顔で何度もおかわりをしていました。
「おもちつき」が院内で出来る事を楽しみに
している患者さんも多いと聞きます。不安な
入院生活の中で、少しでも安らいで頂けるよ
う、今後も継続して開催していきたいと思い
ます。
事務部 部長 清水宏泰
スタッフより ひとこと
ブレスト&イメージング
先端医療センター附属クリニック
多 摩 病 院
◆ ヘリコプター
夜間離着陸訓練
このたび、多摩病院と川崎市消防局航空隊
が合同でヘリコプターによる夜間離着陸訓練
を3回にわたって実施しました。今回はじめ
てヘリコプターに搭乗する職員もおり、緊張
している雰囲気でした。
今後はいつ何時、地震や災害が起こるかも
しれず、参加した職員や多摩消防署消防士な
どは寒空の中で真剣な眼差しで訓練に取り組
みました。
総務課 課長補佐 平野佳久
西 部 病 院
◆ 本院からブレストセンターへ
当初は業務範囲の広さや患者さんとの近さ
など、大学病院とクリニックの違いに戸惑う
ことが多々ありました。
100名からなる臨床検
査部でのルーチンから、ひとりきりの検査室
へ。不安でいっぱいでしたが、今までは交流の
なかった他職種の方々が声をかけてくださ
り、ひとりじゃないんだと心強く思いました。
これからは少人数のクリニックだからこそ
できる密な連携や機動力を、活かしていきた
いと思います。
臨床検査 主任 大極明子
聖マリアンナ医大新聞編集委員会 委員名簿
学年暦
行 事 日 程
す。医学生だからと甘く思われそうですが、
なかなかレベルが高く、入賞するのは大変で
す。その中でも、本学陸上部は表彰者、入賞
者を多数輩出しています。東医体後は、他大
学との合同レセプションが開かれ、同じ競技
や学年を超え、多くの友人や知り合いを作る
ことができます。他の大会でもレセプション
が開かれるので、定期的に友人と会うことが
できます。この他大学とのつながりは陸上部
最大の魅力です。また、東医体は毎年開催地
が変わるので、大会後は部員同士で観光して
思い出を作ることができます。これも魅力の
1つです。
他にもまだまだ魅力はあるので、中高で陸
上部に所属していた方、走ったり跳んだり投
げたりするのが好きな方、陸上競技を見るの
が好きな方、大歓迎です。お待ちしています。
10/ 5(水)
解剖ご遺体慰霊法要
並びに学内追悼ミサ
10/ 8(土)
開学記念日(振替休日)
10/ 21(金)
戴帽式
12/ 20(火)
クリスマスの集い
キャンドルサービス
12/22(木)∼1/10(火)冬季休業
2/27(月)
・ 2/28(火) 研究発表会
3/ 2(木)
卒業証書授与式
3/15(水)
終業式
3/16(木)∼
春季休業
●委員長 松田隆秀[総合診療内科]
●委 員 向井敏二[法医学]/力石辰也[腎泌尿器外科学]/松本
直樹[薬理学]/小池淳樹[病理学〈診断病理〉
(多摩)]/
櫻田 勉[腎臓・高血圧内科]/川島由起子[栄養部]/
加藤さとみ[看護部]/内海正昭[総務部]/田辺幸男 [教学部]/清水宏泰[事務部(西部)]/森下弘之[総務
課(東横)]/中村孝史[総務課]
※聖マリアンナ医大新聞は、年3回以上各10,000部を発行し各部署、附属病院、附属施設、
名誉教授、聖医会、父兄会、出身高校、教育関連病院、官公庁に配布しております。
お詫び
松田編集委員長と編集委員
聖マリアンナ医大新聞99号におきまして記載文字に誤りがありました。
お詫びして訂正をいたします。
・5面 教室紹介 スポーツ医学 教教 → 教授 武者春樹
・8面 戴帽式 看護専門学校38回生 → 39回生