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No.
120
November 2004
■
新学長に期待する
学長就任の挨拶
■学事
教務部長、学生部長就任にあたって
新任教授紹介
平成17年度医学部入学試験説明会
第18回医学教育に関するワークショップ
平成16年度天寿会総会・第32回解剖体合同追悼法要
平成16年度オープンキャンパス/進学説明会
平成16年度父兄会
■学生のページ
第4回バーモント大学医学部での夏期医学研修報告
第7回夏期語学・医学研修報告
医学部学生のメディカル・ホームステイ報告
学生の表彰
クラブ活動:写真部
学生の自主勉強会“WOMAN”の紹介
第33回内灘祭・第29回看学祭
シリーズ:私が医師になりたい理由・なった理由
学生の手による「禁煙パネル」
■学術
総合医学研究所所長 就任の挨拶
日本尿路結石症学会第14回学術集会
岩渕邦芳助教授 北國がん基金研究助成をうける
■病院
第25回関連病院会議
院内感染防止に関する教育講演会
看護部から発信:嚥下研究会
研修医の頁:臨床研修医のための臨床病理検討会
■管理・運営
副理事長に竹越 襄理事就任
副学長に鈴木孝治教授、山田裕一教授
大学管理運営評価委員会の発足
互助会:平成16年度 夏・冬のバス旅行
■同窓会
西日本私立医科大学同窓会第14回西部会
■随想・報告
第7回私立医科大学事務職員海外研修報告
金沢市立中学校敷地内全面禁煙始末記
□金沢医科大学学術振興基金 募金
金 医 大 学 報
2
理事長
小田島 粛 夫
現行の大学制度では私立医科大学を運営する上で多くの矛盾があり、そのために大学制度
の見直しが不可欠であると考えておりました。しかも、その解決策を見い出しても実行するこ
とに多くの障害があり、このままでは大学は自壊するか自滅する道しか残されていないと思う
日が続きました。皆さんもご存知のように、平成16年に国立大学法人化が現実のものとなり、
日本の大学制度が大きな転換期を迎えることになりました。この国立大学法人化と私立医科
大学の改革とは理念が異なりますが、この法人化は私どもが大学改革を進める大きな動機付
けとなり、また、法人化から学ぶことも少なくなかったと思っております。
これまで機会あるごとにご説明しておりますので、誤解されることはないと思いますが、こ
の制度改革は第一に大学の管理運営から経営への転換、第二に学長・病院長のリーダーシッ
プの確立によって、すべての教職員が本来の仕事に専念できる体制を作ることを目的としてお
ります(小冊子「金沢医科大学大学経営会議編:制度改革について」平成16年3月作成)
。そ
れによって激しい競争の中で生き残るための基盤整備、また同時に、社会の変化や本学を取
り巻く環境に的確に対応する体質を作り上げることが出来ると信じております。また、制度改
革では例えば手続き民主主義の廃止など、制度上の問題点を明確にし、その弊害を取り除き、
その再発を防ぐことにも意を尽くしました。しかし、実際の運営上、問題点も少なくないと考
えており、これらの点については漸次、見直しが必要であると思っております。
この度、新しい制度(理事・評議委員会から選ばれた5名、教職員によって構成される大学
管理運営評価委員会から選ばれた5 名の合計10 名からなる学長選考委員会〈委員長久藤豊治
理事〉
)による学長が誕生することになりました。本学の新しい歴史のはじまりであり、古い
大学制度の中で育って、また、金沢医科大学の歴史を見続けてきた私にとってはまさに感無
量のものがあります。
日本の大学制度は変革の過程であり、その将来像は必ずしも明確ではなく、なお、しばらく
は紆余曲折が続くことが予想され、大学としても、悩みは少なくないと思っております。この
ように非常に難しい時期でもあり、キーパーソンとしての学長の役割は非常に重要になると思
いますが、新学長は私どもを裏切ることなく期待に応えていただけるものと信じております。
一方、私どもすべての教職員が、新学長を中心に、よりよい大学を目指して努力しなければな
らないことは言うまでもありません。
これまで以上の皆さんのご協力を心からお願い致します。
「優秀な品種や強い品種が生き残るのではない。変化に的確に対応できる品種のみが生き
」
残る。
(チャールス・ダーウィン)
金 医 大 学 報
学 長
3
山 本 達
この度、図らずも名誉ある第9代金沢医科大学学長を拝命し、大変光栄に存じますとともにその重責に身が
引き締まる思いを感じております。
我が大学も創立以来32 年が経過し、この間には多くの新設医科大学が遭遇するいろいろな出来事を経験し
て参りましたが、これまでの教職員の皆様の非常な努力により最近ではようやく成熟期に入り、大変充実し安
定した歩みをしていると感じております。
しかしながら最近の大学を取り巻く状況は急激に変化してきており、その一つが今年4 月から始まった国立
大学の法人化の流れであります。国家公務員という、いわゆる“親方日の丸”的な体質にどっぷり安住してき
たこれまでと異なり、今後は私ども私学と競合するような戦略的な大学運営を積極的に取り入れられることが
予想されます。また一方では少子化による大学受験生の減少がますます加速しており、多くの大学では大学の
存続を賭けて必死の改革に迫られているのが現状であります。幸い我が大学ではここ数年は定員の20数倍の志
願者を確保できており喜ばしいことですが、数年先を考えますと全くその保障はありません。十数年前に経験
したあの苦い思い出を十分心に認識しながら現状で可能なあらゆる手立てを駆使して、世の中に存在感の強い
魅力ある大学に成長させ、どんな状況にも耐えられる堅実な体質を作り上げていくことが、現在の私どもに課
せられた大変重要な任務だろうと思われます。
医科大学の社会に対する使命は、良医を育てる教育、医学の発展に貢献する研究、最先端医療を提供できる
診療等いろいろあると思われますが、中でも金沢医科大学にとっては、立派な医師を育成し世に送ることが何
よりも大切なことであると考えております。このような世の中の状況を踏まえながら、今一度、金沢医科大学
の建学の精神である“良医を育てる”の原点に立って、我が大学の存在意義を強く世の中に主張し続けていく
ことが、最も大切なことではないかと思われます。
幸いなことに関係者みなさんの努力により我が大学の医学教育改革は精力的に行われてきており、日本でも
有数の先進的なカリキュラムが完成しつつあります。これからの課題はこの新しいカリキュラムを通じていか
に教育効果を高めて良い医学生を育てていくかに懸かっていると考えております。しかし一方では“医学教育
の原点はカリキュラムにあるのではなく、学生と教師にある”と言われています。私としましては今一度この
教育の原点に立ち返って、これまでの教育の実態や学生と教師のあり方“Student-Teacher Relationship”などを徹
底的に検証して改善する必要があると考えております。
学生にはみずから医師という尊い職業を選択したのだという重大な決意の下に、
“Noblesse Oblige”を常に認識
させるとともに、自学自習の学習習慣にもとづいた強い自立心を持たせるように、入学直後からの徹底的な意
識改革が必要であります。一方、教師には教育に対する熱意を倍加し学生の勉学意欲を強く刺激するととも
に、教師の人間性が直接伝わるような情熱ある指導を行うように求めていきたいと思っております。
即ち、学生の高い向学心と教師の教育に対する強い熱意が合体すれば、教育効果は自ずから倍増することは疑
う余地はなく、その結果本学の将来の繁栄のための障害はほとんど解決するのではないかと確信しております。
開学以来30 数年が経過した現在、我が大学にもいろいろな伝統が生まれつつありますが、良いものは大いに
伸ばし、悪しきものは一つずつ改善しながら一歩一歩着実に前進していかねばなりません。
我々が目的とする大学の発展を達成するためには、金沢医科大学の教職員全員の力を結集して改革に努めて
いく必要があります。
これからの皆様の絶大なご支援とご協力を心からお願い申しあげる次第であります。
金 医 大 学 報
4
学 事
教務部長、学生部長
教務部長
学生部長
大原 義朗
土田 英昭
生体感染防御学(微生物学)
教授
侵襲制御学(麻酔学)教授
鈴木前教務部長の副学長専任に伴い、平成16 年9 月1
このたび、平成16 年9 月1 日付けで学生部長を拝命い
日付けで教務部長を拝命致しました。平成13年4月から
たしました。これまでの4 年間、副部長を経験し、数多
教務副部長として、本学の教学について多くのことを学
くのことを学ばせていただきました。なかでも、学生支
ばせていただきました。今回教務部長を、とのお話があ
援センターの生活支援室長として多くの教員や学生と話
ったとき、この大役を果たせるかという躊躇の思いが強
し合いを持ったことは、私の中でかけがえのない財産と
くありました。ただ鈴木先生が教育担当の副学長として
して残っております。生活支援室立ち上げのとき、本学
バックアップしていただけると聞いて、それならば大学
のある卒業生から次のように言われたことを思い出しま
のお役に立てるかもしれないと思い、お引け受けする決
す。
「生活支援室といっても、結局は学生に勉強させた
心がつきました。
いだけなんでしょう?」この何気なく発せられた一言
現在本学では臓器別の統合型教育形態とPBL/テュー
は、私の生活支援室運営に対する認識を180度転回させ
トリアル教育方式を取り入れた新カリキュラムを導入し
るほどの重みを持つものでした。私の浅知恵がいとも簡
ています。新カリキュラムの導入は現在第三学年まで進
単に見透かされたことはともかくとして、教務部と学生
行しており、来年度で臨床実習前の新カリキュラムが完
部との違いをもっと深く考えなければ、ということを教
成します。その後さらにBSLとCCSの一元化と、大変な
えてくれた価値ある一言でした。
作業が待ち受けております。これら新カリキュラムを通
現在本学には、様々な悩みを抱える学生が少なからず
じて教務部が目標とするところは、
‘自学自習ができる
存在します。その一人ひとりに対して学生部が、手取り
学生を育てる’ことです。このためには学生を暖かく見
足取り援助していくことはないかもしれません。しかし、
守ると同時に、厳しい側面も求められます。教員の先生
真に援助を必要としている学生には、迷うことなく迅速
方と学生諸君の理解と協力を切にお願いする次第です。
に対応していくことになるでしょう。さらに、彼らの本
教務部のもう一つの仕事は、競争率20倍という難関を
当の幸せとは何かということを真摯に考え行動すること
突破してきた学生諸君を無事国家試験に合格させること
が、学生部に与えられた仕事であると理解しておりま
です。今まで教務副部長としては低学年(臨床実習前)
す。幸い、本学のキャンパスには、本学をもっと良くし
を担当してきましたので、私としては未知の分野といっ
たいと願っている学生や教員で溢れております。今後と
ても過言ではありません。しかし、国家試験の合格率は
もこれまでの経験を礎として、学生との対話を図りなが
大学としては大きな課題の一つです。鈴木副学長の指導
ら、創造的かつ魅力溢れるキャンパスを作っていきたい
のもとに、早急に取り組みたいと思っております。第六
と考えております。このような活動の成否は、偏に学生
学年主任、副主任および強化教育対策プロジェクト委員
や教員の皆さんの双肩にかかっているといって間違いあ
の先生方のご指導、ご支援をお願いしたいと思います。
りません。どうか、皆様方のご協力とご支援を切にお願
以上、教務部長としての重責を果たせ得るか大変危惧
しておりますが、教員および教学事務の方々のご協力を
得てなんとか勤めを果たしたいと考えておりますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。
いする次第です。
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
となみ
ひさお
かじなみ
こうじ
利波
久雄 教授
梶波
康二 教授
放射線診断治療学(放射線
医学)
このたび、平成16年9月1日付けで、放射線診断治療
学部門教授を拝命致しました。私は昭和53 年に信州大
学医学部を卒業後、直ちに金沢医科大学放射線医学教
室に入局し、以来宮村利雄名誉教授、興村哲郎名誉教
授、山本 達名誉教授(現金沢医科大学学長)のご指導
を受けてまいりました。この間、昭和60 年米国アイオ
ワ大 学 放 射 線 科 に留 学 する機 会 を与 えられ、J. C.
Ehrhardt 教授のもとで MRI 撮像法に関する基礎的研究
を行いました。帰国後、平成4年5月より放射線医学教
室助教授、平成11年11 月より同教授(特任)を務めて
まいりました。平成 8 年 4 月から中央放射線部副部長、
平成 16 年 4 月より同部長を併任し、中央放射線部の管
理・運営に参画しています。大学を卒業後、今日まで
終始一貫して金沢医科大学において臨床と研究に携わ
ってきたわけであり、私を医師および研究者として育
ててくださった大学関係者の方々に厚くお礼を申し上
げます。
私はこれまで主にMRI を中心とした画像診断の研究
を行ってまいりました。画像診断に関する研究は今後
も継続して行っていきたいと考えていますが、近年進
歩の著しい放射線治療、血管内治療(Interventional
Radiology, IVR)に関しても今後、主要な研究テーマと
して取り組んでいきたいと考えています。
放射線科は病院内において、他の診療科と深いかか
わりをもつ部門であり、医療サービスや臨床研究にお
いて常に密接な連携をもつ必要性があります。診断お
よび治療法の決定に際し、他の診療科から信頼され助
言を求められるような放射線科医を育成する努力を引
き続いて行っていきたいと考えています。
学生教育に関しては、現在教務部の一員として第4学
年を担当していますが、本学の建学の精神である良医
の育成に向けて、今後も全力を挙げて取り組む所存で
あります。皆様方の一層のご指導とご鞭撻を賜ります
ようお願い申し上げます。
【略歴】
1978年 3 月
1999年 11月
2004年 9月
5
循環制御学(循環器内科学)
このたび、平成16 年9 月1 日付けで、生体制御医学分
野循環制御学(循環器内科学)部門教授を拝命致しま
した。
私は昭和59年に金沢大学医学部を卒業後、同大学院
医学研究科(竹田亮祐教授)に進学し、馬渕 宏助教授
(現教授)の指導の下、脂質代謝異常症の遺伝子異常に
関する研究で学位を取得致しました。関連病院での勤務
を経て平成6年より金沢大学にて助手、講師として5年
余り勤務した後、平成11年に本学循環器内科学に転任
し今日に至っております。また、関係各位のお力添え
で、平成14年8月から1年間、アメリカ合衆国マサチュ
ーセッツ州ボストンのタフツ大学へ留学させていただき
ました。
心血管疾患は悪性腫瘍とならんで日本人の二大死因
となっており、まさに「人間は血管とともに老いる」時
代です。昨年スタートした臓器別診療ならびにハート・
センターという画期的新体制のもと、私が今日まで行
ってきた動脈硬化症の成因、診断、治療に関する臨床
ならびに研究の成果を生かし、21 世紀にふさわしい心
血管疾患の診療体制実現に向け鋭意努力する所存です。
関係の皆様のご指導ならびにご協力を、この場を借り
てお願い申し上げます。またこのような診療の充実は、
卒前教育のみならず初期および後期卒後研修にも必ず
や大きな前進をもたらすに違いありません。診療に結
びついた内容を常に意識し、卒前から卒後まで一貫し
た教育を循環器内科の立場から推進したいと思います。
大学のもう一つの使命である研究も、診療現場がスタ
ートかつゴールであるとの認識の下、部門一丸となっ
て新しい知見の集積に努める所存です。
最後になりましたが、村上暎二先生、竹越 襄先生は
じめ多くの諸先輩方が築かれた伝統ある部門の更なる
発展に加え、良医の育成・地域医療への一層の貢献・
臨床に立脚した研究を目標に、循環器病学の向上をめ
ざし、精一杯努力いたす所存です。皆様方のご指導ご
鞭撻を何卒宜しくお願い申し上げます。
信州大学医学部医学科卒業
【略歴】
金沢医科大学放射線医学教授(特任)
1984 年 3 月
金沢医科大学放射線診断治療学(放射線医 2001 年 4 月
学)教授
2004 年 9 月
2004年 9 月 教務部副部長
金沢大学医学部卒
金沢医科大学循環器内科学助教授
金沢医科大学循環制御学(循環器内科学)教授
【学事】
金 医 大 学 報
とが
ひろひさ
うめはら
ひさのり
栂
博久 教授
梅原
久範 教授
呼吸機能治療学(呼吸器
内科学)
本年 9 月 1 日付けで呼吸機能治療学(呼吸器内科学)
部門助教授から教授に昇任の辞令をいただきました。
昭和54 年に金沢大学医学部を卒業、金沢医科大学助
手(公衆衛生学)として採用されました。当時、河野
俊一教授のもとで、じん肺、金属中毒、成人病の疫学、
分析のお手伝いをさせていただきました。昭和57 年に
は呼吸器内科学に移籍し、今日まで22 年間呼吸器病学
の臨床、研究を続けてきました。研究分野は肺気道の
機能解析、肺損傷のメカニズム解明と治療法の開発、
睡眠呼吸障害の病態解析と治療法の開発などで、現在
も引き続きこのような疾患を追いかけています。
学生時代に経験した呼吸器疾患は北陸地方ではまだ
結核が多く、結核以外の呼吸器専門医というのはあま
りおられず、講義なども専門外の先生がやっておられ
るという状態であったと記憶しています。前任の大谷
教授が北陸では呼吸器科の先駆けであり、呼吸器専門
医をどのように認識してもらうのか、どのような疾患や
検査、治療を受け持つかといったことでいろいろ苦労
も多く、大変だったのを覚えています。しかしまた一方
では、呼吸器疾患を紹介していくというようなことも
あり、いくぶんの楽しさも感じていたと思います。
本学に来たころ医師になるという意識はあったもの
の教育ということにはほとんど関心がなかったため、大
学という場で当初かなり戸惑いがありました。しかし、
徐々に慣れるに従って、教育と診療、研究というのは
切っても切れないものがあると思うようになりました。
いつか、5、6 年の成績不良学生の担当になって、ほん
とに朝から夕まで学生の勉強に付き合ったり、いっし
ょに泣いたり笑ったりして、幸いその学生たちが国試
に受かって大喜びしたのは思い出に強く残っています。
大学の発展のため全力を尽くしたいと思っておりま
すので、今後ともよろしくご指導、ご鞭撻をお願い申
し上げます。
【略歴】
1979年 3月
1994年 1月
2004年 9月
2004年 9月
6
血液免疫制御学(血液免疫
内科学)
このたび、本年10 月1 日付けで、血液免疫制御学(血液
免疫内科学)教授を拝命致しました。
私は昭和57 年に慶応義塾大学医学部を卒業し、京都大学
医学部附属病院で研修を始めました。その後、昭和60年に
当時の井村裕夫教授(元京都大学総長、元科学技術会議議
員)の第二内科に入局し、熊谷俊一先生(現神戸大学臨床
免疫内科教授)のもとで膠原病の診療と研究をスタート致
しました。平成元年から平成 4 年まで、UCLA 医学部およ
び米国食品医薬品局(FDA/NIH)のEda Bloom 博士のも
とで「ナチュラルキラー細胞の抗腫瘍メカニズム」につい
て研究し、帰国後は平成4 年から13 年までの10 年間、大阪
歯科大学内科学講座の堂前尚親教授のもとで広く臨床診療
の研鑽と研究の進展に努めました。平成13 年7 月から、京
都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学(三森経世
初代教授)の助教授として、さらにリウマチ膠原病の診療
と研究に携わって参りました。
これまでの研究において、接着性ケモカインであるフラ
クタルカインの機能を解析し、膠原病はもとより動脈硬化
症、腎障害、移植臓器拒絶の際の血管傷害との関連を明ら
かにしました。これらの結果は、Trends Immunology 誌や
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology 誌の
Review articleとして取り上げられました。基礎的発見を臨
床研究に結びつけるというトランスレーショナルリサーチ
に少しなりとも貢献できたのではと思っています。現在、
免疫学で注目されているリピッドラフトと細胞活性化およ
びアポトーシスとの関連について研究していますが、その
成果が新たな抗癌剤および免疫抑制剤の開発に結びつき、
血液疾患や膠原病患者様のためになればと願っています。
リウマチ膠原病疾患も高度先進医療が導入され、
「原因
の分からない難病の時代から治療可能な病気の時代」にな
ってきましたが、西日本におけるリウマチ膠原病の診療は
基幹施設がないという理由で東日本に比べ大変遅れていま
した。平成 12 年に京都大学に、平成 14 年に神戸大学に免
疫膠原病を専門とする講座が新設されましたが、まだまだ
十分ではありません。幸い、当部門は前任の菅井 進教授が
シェーグレン症候群を中心に膠原病診療に尽力され高い評
価を受けています。また、血液悪性疾患の治療もスタッフ
の先生方のまさに骨身を惜しまない努力で高いレベルを維
持しています。この礎をもとに、当部門を北陸 3 県におけ
る血液リウマチ膠原病のメッカとなるように、教室の先生
方と力を合わせて誠心誠意努力致す所存です。何卒、皆様
方のご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。
金沢大学医学部医学科卒業
金沢医科大学呼吸器内科学助教授
【略歴】
金沢医科大学呼吸機能治療学(呼吸器内科
1982 年 3 月
学)教授
2001 年 7 月
教務部副部長
2004 年 10 月
慶応義塾大学医学部卒業
京都大学大学院医学研究科臨床免疫学助教授
金沢医科大学大学院医学研究科血液免疫制
御学(血液免疫内科学)教授
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
平成17 年度
7
等を対象として開催された。参加者は上記7 カ所で受験
生66 名、父母等127名、教員6名の延べ199名(前年179
名)であった。
全国7ヵ所で開催
説明会では入試実施委員から「本学の概要」
、
「教育方
針」
、
「学生生活」
、
「平成17 年度入試要項」等について詳
細な説明が行われた。さらに説明の中で創立 30 周年記
念事業として作成したテレビ番組のダイジェスト版「医
学教育は、いま−金沢医科大学の挑戦−」を放映した。
参加者からは「とても有意義な説明会でした。金沢医
大を希望したいというモチベーションがとても高められ
る様なビデオだったと思います。それにとても感動しま
した」
、
「教育内容が、自分が思っていたよりも充実して
いることが、ビデオを通じてよくわかった」など好評だ
った。他に、
「私が学生のころと比べてPBL や地域派遣
学習があり、大学も進化していると感じた」
、
「このよう
な地方での説明会をしていただくのはありがたいです」
などの意見も寄せられた。 (入学センター 村井幸美記)
ホテルイン金沢で行われた入学試験説明会
平成 17 年度本学入学試験の説明会が例年のように全
国7ヵ所(金沢、札幌、仙台、福岡、東京、名古屋、大
阪)において、平成 16 年 7 月 26 日(月)から 7 月 30 日
(金)にかけて受験生やその家族、高校の進路指導教諭
附属看護専門学校
平成16年8 月10 日(火)
、11 日(水)
、12 日(木)の3
日間にわたって、本校の一日体験入学を行った。3 日間
で延べ193名(うち男子10名)の参加であった。体験入
学は、看護師を目指す参加者を対象に、学校での学習内
容や病院での実際の看護を理解してもらうことを目的と
して実施している。
ビデオで学校生活を紹介の後、グループに分かれて模
血圧測定の体験
擬授業を行った。血圧測定、沐浴、手洗いなど、どれも
講義に加えて参加者全員に実際に体験してもらってい
った。
「指導を受けながら実際に患者と接し、車椅子で
る。初めてのことに緊張しながら臨んでいた参加者も、
の移送や手・足浴などの援助を行えたことで、看護の重
徐々に積極的に取り組んでいた。授業の後は、ボランテ
要性や看護することの喜びを感じ取れた」という感想が
ィアで授業を補助してくれた在校生と昼食を共にしなが
多数寄せられた。
ら、和やかに交流を深めていた。学生生活の実際を見聞
きし、有意義に時間を過ごしていたようである。
午後には、病院の協力を得て新館病棟で看護体験を行
看護の学習が、充実した内容と環境で行えることを参
加者に伝えることができる機会として、大切にしていき
たいと考えている。
(附属看護専門学校 東 雅代記)
【学事】
金 医 大 学 報
第18 回 医学教育に関するワークショップ
8
現在、第3学年以下の学年ではモデルコアカリキュラ
ムに準拠した新カリキュラムでの学部教育が進行中であ
る。モデルコアカリキュラムでは臨床実習は内科、外科
テーマ
など基幹科目を中心とした「診療参加型実習」が提唱さ
れている。本学では2年後に新カリキュラムで学習中の
学生が臨床実習に参加してくる。また、マッチングシス
おさむ
講師 福島 統 先生
(東京慈恵会医科大学医学教育研究室教授)
日時 平成16 年8 月6 日(金)9:50 ∼17:00
場所 本部棟3 階A31講義室・教養棟1 階セミナー室
テム導入による新研修医制度(義務化)も今年度より開
始された。このような状況下、本学においては、学部教
育における実効ある「診療参加型実習」の導入が急務と
なっている。以上の理由から、今回のワークショップで
は教員のFaculty Development も兼ね「診療参加型実習」
の運用の具体案を作成していただくことをテーマとした。
第18 回医学教育に関するワ
25 名の教員が参加し、まず午前9 時50 分に大学正面玄
ークショップは、平成 16 年 8
関で全員の記念撮影を行った。続いて A31 講義室に移
月 6 日(金)東京慈恵会医科
り、竹越 襄学長、鈴木孝治教務部長の挨拶の後、松井
大学医学教育研究室福島 統教
忍教務部副部長よりオリエンテーションがなされた。そ
授をお招きして、
「参加型臨床
のなかで、各グループに、実習期間(5 − 6 学年一貫方
実習」のテーマのもと開催さ
式など)の見直し、ローテート方式の見直し、学外臨床
れた。
施設との連携、臨床研修医制度をふまえた実習の内容、
臨床実習は 6 年間の学部教
育の中でもっとも重要な科目
である。この科目における学
臨床実習前のカリキュラムの見直しなどを含めた「診療
講師の福島 統教授
参加型実習」の具体案作成を依頼した。その後、福島
統教授より「参加型臨床実習のあり方」という演題で約
習目標は、実習を通して将来医師として必要な態度、技
1 時間ご講演をいただいた。先生ご自身の教育論を含め
能、思考の基本を修得することにある。したがって、目
た分かりやすい内容で、グループ討議を進める上で大変
標達成には「診療参加型実習」の導入が不可欠である。
参考となる基調講演であった。講演終了後、教養棟に場
本学では既に第6 学年における選択必修科目「CCS(ク
を移し、4 グループに別れ昼食をとりながらグループ討
リニカルクラークシップ)
」において「診療参加型実習」
議を行った。約3 時間のグループ討議の後、成果が午後
形態が導入されている。また、第 5 学年の「臨床実習」
3 時30分より全体討議という形で発表された。各グルー
においてもできる限り「見学型実習」から「診療参加型
プが作成した具体案では、実習期間は第 5 学年 1 年間の
実習」への移行を各臨床部門にお願いしているところで
み、5 − 6 年一貫、現状維持、ローテート方式は全科ロ
ある。しかし、第6 学年では、国試対策との関連から実
ーテート、選択制、現状維持など意見は様々であった。
習期間が短いこと(月∼木曜日、3 週間/クール、3 ク
実効ある「診療参加型実習」の具体案作成・実施の難し
ール)
、第5学年でもやはり全科ローテートのため実習期
さをうかがわせる内容であった。一昨年の第16回医学教
間が1科あたり1∼2週間と短いこと、ならびに、教員に
育に関するワークショップも同様のテーマで行われてい
「診療参加型実習」そのものが十分理解されていないな
るので、これら 2 回のワークショップの提案を参考に、
どの理由から、一部の部門を除き実効ある「診療参加型
臨床実習委員会で早急に具体案を作成したいと考えてい
実習」が実施されているとは言い難い現状にある。
る。
(臨床実習委員会委員長 松井 忍記)
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
9
ンを高めること。第二に、看護師さんの実際の仕事を肌
医学部第2学年
で感じることにより、チーム医療や患者中心の医療を学
ぶことである。
実習に入る前のオリエンテーションでは、はじめに第
体験報告会
2 学年主任大原義朗教授から実習の目的・内容の説明が
あり、引き続き、消化器機能治療学(消化器内科学)の
島中公志先生から感染予防の知識、横畑房枝看護副部長
より実習全般の説明を受けた。第 2 学年の学生は、第 2
平成 14 年度からEarly Clinical Exposure(早期臨床体
学期の第 1 週にあたる 8 月 30 日から 9 月 2 日までの 4 日
験)の一環として、看護体験実習が医学部第2学年に取
間、5、6 人ずつのグループで21 の各科病棟に配属され、
り入れられ、今年で3 回目となり、8 月30 日(月)から
実習に入った。
9 月3 日(金)までの5 日間実施された。
本実習が第2 学年において行われる目的は二つに集約
医師および保健師、助産師、看護師法に抵触しない範
囲で以下の10 項目の体験実習を行った。
される。第一に、医学部の低学年において早期に医療現
(1)引き継ぎカンファランスへの参加
場を体験することにより医学を学ぶためのモチベーショ
(2)入院患者の誘導、入院時のオリエンテーションの
見学
(3)患者搬送等の実習
(4)ベッドメーキングをはじめ療養環境の整備
(5)患者の訴えの聴取と記録の作成
(6)バイタルサインのチェック、三測表の作成
(7)医療介助の見学(指示受け、薬剤準備、手術前後
の準備、検査準備、創傷処置の介助、療養指導)
(8)介護業務(体位変換、食事、清潔、排泄、歩行、
寝衣交換)
(9)看護問診、入院診療計画書、看護診断、看護計
画、看護記録の作成
(10)医師および他職種との連絡および報告
実習報告会は、9 月 3 日(金)に開催し、各グループ
が実習で何を体験できたか、何を感じたかを発表したあ
と、引き続き横畑看護副部長、山下よし看護師長ならび
に相原操主任から実習全体に対する総括的なコメントを
いただいた。
看護師さんの仕事の大変さ、また、看護師さんがいか
に患者さんと密に接し、患者さんから多くの情報を得て
いるかを知り、チーム医療の重要性を体感したとの発表
が多かった。と同時に、いかに重要な役割を医師に求め
られているかが浮き彫りに
なったとの声が聞かれた。
まだ臨床の知識がない第2
学年ではあるが、医療現
場を肌で感じて、今後の
医学学習の一助となる有
意義な実習であった。
(第2 学年副主任 芝本利重
記)
【学事】
金 医 大 学 報
10
医学部第3学年
救急車同乗体験実習は、すでに平成 13 年度にトライ
アルとして、第4 ・5 学年の希望者13 名を対象に内灘町
消防本部の協力のもとに実施し、平成14 年度からEarly
Clinical Exposure(早期臨床体験)の一環として第3学年
に導入した。平成16 年度は3年目である。今年度は希望
者が70 名あったが、実習先の受入体制の都合上、抽選
で40 名に限定して参加してもらい、7 月5 日(月)から
7 月9 日(金)と8月23日(月)から8月27日(金)の間に
実施した。
実習は、かほく市消防署(本署と高松分署の2 カ所)
、
内灘町消防署および津幡町消防署の4カ所の消防署にお
いて実施する。消防署員の監督下で救急車の同乗体験を
行い、地域における救急体制の仕組みと救急処置の基礎
知識を学び、心肺蘇生法を実践できるなどの具体的な行
動目標が設定されており、臨床医学教育への積極的な学
習の動機づけを目的としている。実習を担当した消防署
員からは、学生が積極的に実習に参加しているとの感想
が多く寄せられた。実習を終えての学生のレポートから
は、実際の救急処置の見学や傷病患者の搬送に同行し
この実習を実施するにあたって、かほく市、内灘町お
て、救急現場そのものの重要性を認識したと同時に、人
よび津幡町の各消防署の方々にご尽力を賜ったことを深
の命をあずかる医師を目指すうえでの心構えを新たにす
く感謝いたします。
る有意義な実習であったことが窺えた。
旧盆の墓参が、平成 16 年 8 月 3 日(火)午後 1 時から
炎天下、本学納骨堂において分子細胞形態科学部門教
授、天寿会役員、関係教職員が参列して行われた。
最初に、分子細胞形態科学部門を代表して平井圭一教
授、篠原治道教授、天寿会を代表して作田 実会長が献
花を行った。続いて、天寿会役員、分子細胞形態科学部
門教職員など墓参に参列した職員全員が純白のバラの献
花を行い、故人のご冥福をお祈りすると共に、医学の教
育あるいは研究のために献体された1,300 有余の御霊に
感謝の誠を捧げた。
墓参終了後、納骨堂前に設営したテントで、分子細胞
形態科学部門などの関係教職員と天寿会員とが和やかに
懇談し交流を深めた。
(教学課 松本順治記)
(第3学年主任 安田幸雄記)
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平成16 年度
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第32 回
平成16 年度の天寿会総会並びに懇親会が、平成16 年
平成 16 年度 10 月 16 日(土)午後 2 時から真宗大谷派
10 月16日(土)午前11時30分から真宗大谷派金沢別院
金沢別院の本堂において、ご遺族の方々をはじめ、天寿
の別院会館において、約 80 名の会員の参加を得て開催
会の会員および本学の教職員、医学生、看学生など約
された。
400 名が参列し、第32 回解剖体合同追悼法要が厳かに執
総会では、議事の審議に先立ち過去1年の間に成願さ
れた15 名の会員の御芳名が朗読され、参加者全員でご
冥福を祈り黙祷が捧げられた。
り行われた。
この法要は、毎年秋に行われ、前年の9 月から1 年の
間に系統解剖のために献体された方々並びに病院で病理
総会では、天寿会の今年度の事業計画(案)の議事が
解剖を受けられた方々の崇高な篤志に対して感謝の意を
承認され、今年度改選された役員の紹介および過去1年
表し、また、その方々の御霊の安らかならんことを祈念
間の会員の動向報告がなされ、総会は無事に終了した。
するために催すものである。本年は、系統解剖の19 柱、
引き続き昼食を兼ねた懇親会が開催され、参加者は相
互の再会の喜びを分かち合い、また、来年の再会を約
し、ますますの健勝を誓い合うなど懇親が深められた。
講演会では、本学の利波久雄教授(放射線診断治療
病理解剖の125 柱、合わせて144 柱の御霊のご冥福をお
祈りした。
式では、はじめに山本 達学長から「医学教育はもち
ろん、優れた医師の育成と医学の進歩・発展のために、
学)から「がんの時代を生きる−画像診断の進歩」と題
尊いご遺体を捧げられたご本人並びにご同意いただいた
した講演があり、難解とされるがんの画像診断について
ご遺族の方々の深くご理解ある志に対して、本学学生、
その進歩をお年寄りの方にも分かりやすく話していただ
教職員一同は深甚なる敬意と感謝の念を捧げるものであ
いた。また、平井圭一教授(分子細胞形態科学)からは
ります。144 柱の御霊が安らかに永久の眠りにつかれる
「常陸宮両殿下にお会いして」との演題で、本年平井教
ことをお祈りしつつ、今後更なる研鑽を重ね、患者様に
授が主宰した第8回アジア-太平洋電子顕微鏡学会議にご
やさしい医師、看護師をめざして努力するとともに、一
来臨をいただき、本学も視察された常陸宮両殿下のご様
層の医学発展のために精進します」という追悼のことば
子を写真で紹介していただいた。時間の制約上わずか1
が述べられた。続いて小田島粛夫理事長の挨拶が山下公
時間余りの講演であったが、共に会員の方々からは大変
一副理事長により代読された。
な好評を得ることができた。
最後に爽やかな秋空の下、本堂の前において会員全員
の集合写真の撮影を行い、会員の方々並びに関係者の協
その後、144 柱のご尊名が朗読され、読経の流れるな
か参列者の一人ひとりが焼香し、故人のご冥福を祈り法
要を終了した。
力により全予定行事を終了した。 (教学課 松本順治記)
平井圭一教授による講演
会場の真宗大谷派金沢別院の本堂
(教学課 松本順治記)
【学事】
金 医 大 学 報
12
昼は学生食堂で参加者と在学生、教職員が食事を取り
ながら和やかな雰囲気のなかで歓談を行った。この間も
受験生は、在学生に受験勉強のことや学生生活のことな
ど、ホームページや「大学案内」では分からない在学生
の立場からの生の声に聞き入っていた。
午後からは入試説明会や個別相談を行い、クラブハウ
スや図書館、電子カルテ室や病院新館見学も行われ好評
平成 16 年度金沢医科大学オープンキャンパスは、平
であった。短い時間ではあったが参加者は思い思いに本
成 16 年 8 月 7 日(土)、8 日(日)と 29 日(日)の 3 回、
学を理解した様子で、午後3 時には全てのプログラムを
本学キャンパスを会場に開催された。
終了した。
第1 回目の8 月7 日には59 名(受験生本人31 名、父母
本学のオープンキャンパスは受験生の視線で本学を見
等28 名)
、第2 回目の8 月8 日には104 名(受験生本人47
てもらうことに重点をおいており、参加者の案内や説明
名、父母等57 名)
、第3 回目の8 月29 日には98 名(受験
などをグループに分けて在学生が案内役となる形で実施
生本人 52 名、父母等 46 名)の合わせて過去最多の 261
している。毎回、約 30 名の在学生の協力を得て実施し
名(昨年度は254 名)の参加があった。
ており、参加者アンケートでも、
「在学生が本当に気さ
いずれも午前 10 時に始まり、山田裕一入試実施委員
くに声をかけて、自分の受験の体験に基づきアドバイス
長から開会の挨拶、続いて入試実施委員よりプログラム
をしてくれて今後の受験勉強に大いに役立つと思いま
等の説明のあと、参加者は4 つのグループに分かれ案内
す」
、
「学生さんの案内がとてもよかった。皆、目が輝い
役の在学生がツアーガイドとなりキャンパスツアーを行
ていて、生き生きとしている様子でした」
、
「私は本学卒
った。今年度は分子細胞形態科学(解剖学)の東伸明講
業生ですが、本学の変わらないところ、変わったところ
師による、
『解剖学』の模擬講義が行われ、父母、受験
がよく分かり、とにかく充実した1 日でした」などの感
生からは「楽しくわかりやすい講義だ」と大変好評であ
想もあり成功裡に終わった。
った。
(入学センター 村井幸美記)
東伸明講師による解剖学模擬講義
病院新館12F会議室にて日本海を望みながら懇談
クラブハウスでパネル展示を見学
学生食堂で昼食をとりながら在学生たちと歓談
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あさくら
けいこ
淺倉 慶子(第2 学年)
私は、今夏初めてオープン
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ふじばやし
こうすけ
藤林
幸輔(第5学年)
私は5年間で計10回、オープンキャンパスのお手伝
キャンパスのお手伝いをさせ
いをさせていただきました。実際には、我々在学生が、
ていただきました。模擬講義
ありのままの学生生活や私生活、校風、入試内容など
や施設見学など一連の日程を
についてお話することに終始します。約半日の間、参
全て本学の在学生が案内して
加者と共に行動し、校内を案内しながらお相手させて
まわるといった、ユニークな
いただくのですが、毎回時間が足りなくなるほど内容
実施方法が印象的でした。オ
の濃いものになっています。そして最後には、皆さん
ープンキャンパスの大きな目的の一つは、訪問してく
が笑顔で帰っていかれるのがとても印象的です。
ださった方々に大学の雰囲気を少しでも多くお伝えす
毎年、参加者の熱心さを見て本学学生として嬉しく
ることであると思いますが、何しろ限られた短い時間
感じています。また私自身、医師になるために懸命に
ですから、決してたやすいことではないと思います。 なっていた受験生時代を思い出して、襟を正される思
本学のように受験生や保護者の方々と在学生とが交流 いになります。そして翌年の春には、参加受験生と先
する機会を積極的に持つことは、大学の雰囲気を感じ
輩後輩の関係になって再会できると、オープンキャン
ていただくための一番の近道であり、良い方法なのだ
パスのお手伝いができて良かったなと実感するのです。
と感じました。私は低学年で、本学での学生生活を始
これからもオープンキャンパスを通じて広く、金沢
めてまだあまり月日が経っていないため、フレッシュ
医科大学を知っていただき、大切な仲間を増やしてい
な視点で学校生活についてお伝えできればと思いなが
きたいものと思います。
ら参加させていただきました。受験生やそのご家族の
中には、熱心にいろいろな質問を投げかけてくださる
方が多く、本学に大変関心を持っていただいているの
だと感じ、素朴に嬉しく思いました。今回お会いでき
た受験生の方々とは、来年度は是非キャンパスでまた
お目にかかりたいという気持ちになりました。このオ
ープンキャンパスをきっかけに今後ますます本学に関
心を持っていただき、本学での学生生活を張り切って
スタートしてくださる方がさらに多くなることを願っ
てやみません。
図書館を案内する藤林君
【学事】
金 医 大 学 報
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食堂において、父兄、学生と教員との懇親会が開催され
た。父兄の参加者は残念ながら例年になく少数であった
平成16 年度
が、その分各教員と緻密な懇親、情報交換を深める父兄
も見受けられ、内容の濃い懇親会となった。
翌日は、前日に引き続き、午前9 時から全学年を対象
に個別面談会が行われ、午後2時過ぎに無事全日程を終
平成16年度父兄会は、7
了した。
月 24 日(土)、25 日(日)
の両日、かねてからの猛
なお、本年度の父兄会参加者数は下表のとおりであっ
た。
(教学課 松本順治記)
暑 の中 、本 学 の本 部 棟 、
教養棟、学生食堂を会場
として行われた。
24 日には、全学年の個
別 面 談 会 、説 明 会 の他 、
松本忠美臨床研修管理委員長
による研修制度の説明
第6学年を対象とした説明
会が開催された。今回の
第6 学年を対象とした説明会では、今年度から実施され
ている臨床研修の義務化に関連し、松本忠美臨床研修管
理委員長から本学病院における研修制度について詳細な
説明がなされた。当日の日程終了後、午後5 時から学生
教員と懇談する父兄の方々
平成16年度父兄会参加者数(カッコ内は平成15年度参加者数)
区 分
1学年
2学年
3学年
4学年
5学年
6学年
合 計(名)
個別面談会
43(49)
45(32)
31(23)
16(26)
24(21)
43(61)
202(212)
6学年説明会
43(61)
43( 61 )
全体説明会
22(34)
25(25)
20(13)
11(12)
22( 8 )
31(52)
131(144)
懇 親 会
16(22)
12(10)
2( 4 )
2( 8 )
7( 1 )
5( 8 )
44( 53)
《本学スタッフ新刊著書》
池ノ上 克、鈴木秋悦ほか 編
NEWエッセンシャル
産科学・婦人科学 第3版
医歯薬出版
B5 判、633 頁
定価:本体9,200 円+税
20004 年6 月20 日発行
ISBN4-263-20795-5
牧野田 知、井浦俊彦、早稲田智夫 分担執筆
(妊婦の診察:A-妊娠の診断、B-妊娠時の診断、C-妊
婦健康診査、D-胎位・胎向の診断、E-頸管成熟度
303p-320)
本書は1988 年3 月30 日、
「エッセンシャル産婦人科学」
の書名で第 1 版第 1 刷が発行され、1996 年 6 月 10 日「エ
ッセンシャル産科学・婦人科学 第2 版」と改訂され重
版された。今回、第3 版が全面改訂され発行された。
内容は、年々進歩する産婦人科領域のUp to date の話
題が掲載されている。I産科学・婦人科学総論からはじま
り、II 婦人科学各論、IIIA 産科学各論(正常編)
、IIIB 産
科学各論(異常編)
、IV 治療法、V 母子保健、VI 臨床実
習の手引きなど、学生の臨床実習に効率的に利用できる
よう吟味されている。我々の担当は、IIIA 産科学各論
(正常編)における、妊婦の診察を担当、A-妊娠の診断、
B-妊娠時期の診断、C-妊婦健康診査、D-胎位・胎向の診
断、E-頚管成熟度であり、独自の図表、イラスト、超音
波画像などを利用し分かりやすく解説してある。
(生殖周産期医学 井浦俊彦記)
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かめい
ちひろ
亀井 千裕(第4 学年)
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飛行機の窓から見える景色は、緑が多く沢山の木々と
ともに広大な自然が広がっていて、美しい高原といった
感じでしょうか。眼下にはアメリカで6番目に大きい湖、
Champlain湖が広がっていました。
空港に着くと、木田先生と奥様のれいこさん、先生の
三男のJames 君が出迎えてくださいました。わざわざ全
員の荷物が運べるような車で来てくださり、その上2 週
間を過ごす大学寮(エアコンはない)が暑いと大変だか
らということで、一人に1 台ずつの扇風機を、そして室
内の電灯が少ないので電気スタンドも一人に1 つ、先生
の自宅の物をわざわざ持ってきてくださり、部屋まで荷
物とともに運んでくれました。木田先生のあまりにも細
やかな心遣いに一同深い感動を覚えた瞬間でした。
翌日、木田先生が車を運転してくださって、バーモン
ト州の観光にみんなで出かけました。初めにBen & Jerry
Dr. Mark Plants と荒井(左)、亀井
というアメリカでは有名なアイスクリーム会社の工房を
見学し、みんなで大きな(アメリカサイズはシングルコ
2 年前金沢医科大学に、バーモント大学の病理学の先
ーンでも日本のものを 3 つ固めたくらいの大きさ!!)
生である木田正俊先生がいらっしゃって、夏休みにバー
アイスクリームに舌鼓を打ち、互いのアイスを食べ比べ
モント大学の付属病院で行う研修の説明会を開いてくだ
ながら写真を撮ったりと、楽しいひと時を過ごしました。
さいました。アメリカの病院で診察や手術、カンファレ
次にTrapp Family Lodgeを訪れました。映画「サウン
ンスなどが見学でき、普通の語学留学では考えられない
ドオブミュージック」で有名なトラップ一家はアメリカ
貴重な経験ができるという内容のものでした。応募資格
に亡命後、故郷スイスの景色に良く似たこのバーモント
は4、5年生。当時まだ2 年生だった私は、この研修に憧
の地をアメリカでの住まいとしたそうです。今ではトラ
れて、4 年生の夏休みがくることを2 年間ひたすら楽し
ップ一家が暮らした家がそのままの姿を保ちつつも美し
みに待ち望んでいました。
いホテルとして改装され、多くの人が訪れているとのこ
4 年の春に募集があり、一番に参加書類を手に入れた
とでした。山の上から見える景色は確かにスイスのもつ
後、同じ学年の友人2人に「すごく貴重なチャンスだし、
自然の雰囲気に良く似ており、カメラを持ってきた人は
しかも航空券の代金は一部奨学金の補助を出してもらえ
美しい光景を少しでも写真に収めようといろいろな眺め
るんだよ」などなど甘い言葉を並べて頑張って勧誘した
から撮影を試みていました。
結果、実に快く参加を決意してくれ、結局5 年生の先輩
その後、風景を楽しみながらドライブし、秋にこの地
を含めて合計6 名のメンバーで研修に参加することが決
を訪れたら多くの木々が一斉に色づいて本当に綺麗な紅
まりました。
葉がみられるんだろうなと思いつつ、2 週間という短い
夏が近づいてくると当然のごとく、尻に「テスト勉強」
という火がついて、昼夜逆転しつつ多忙な生活ではあっ
滞在であることを少々残念に思ったのでした。
待望の病院研修は 19 日に ID を作っていただいた後、
たものの、HISへ出向いて格安チケットを探したり、つ
21日から本格的に始まりました。私は見学ということで
たない英文を駆使しつつも一生懸命に木田先生とe-mail
本当に「見せてもらえるだけ」だと、手ぬるいことを考
で予定をやりとりしているうちに、あわただしく出発の
えていたのですが実際は全く異なり、治療に参加するこ
日が来てしまいました。
「受けたテスト達よ、ギリギリで
とはできないものの、向こうの「medical student」とほぼ
もいいから何とか通っていておくれ」と願いつつ、テス
同じ扱いを受けることになったのでした。毎日5年生の
ト結果を全部見ないままバーモント州のバーリントン
BSL のように一日中ドクターの診察について回り、
(一
(バーモント大学の所在地)へ飛行機で向かいました。
日中向こうのドクターとマンツーマンの日もありました)
【学事】
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16
病状について説明してもらったり、患者さんと話したり、
くれたのでした。これは実際に内視鏡を入れるまでに、
治療の現場を見せてもらったりする生活を送りました。
患者さんとドクターの間によほどしっかりとした信頼関
当然コミュニケーションは全て英語であり、ポケットの
係が成り立っていないとできないことだと驚きました。
なかの小さな電子辞書を懸命に駆使し、辛うじて覚えて
そして私たちの身元を証明してくださっている木田先生
いる英単語を頭の中から引っ張り出して会話をつなげて
が、非常に信頼されているからこそ、このような患者さ
質問し、分からないことはメモ帳に記載して後で調べる
んにとってプライベートなはずの現場まで通してもらえ
など、自分なりに必死で奮闘を重ねる毎日でした。
るのだと思ったのでした。
このような病院研修の日々でも特に印象に残ったこと
長々といろいろなことを書いてしまいましたが、言葉
と言えば手術と内視鏡治療の見学でした。手術は、フレ
に表しきれない多くの貴重な経験をさせてもらいまし
ッチャーアレン病院(バーモント大学付属病院)の関連
た。偶然にもこの研修の説明会に参加したことから始ま
病院へ見学に行き、そこで陰嚢水瘤根治術と早期陰茎癌
り、普通ではできない貴重な経験をしただけでなく、親
の手術を見学しました。執刀医のDr.Mark Plants は非常
切にしてくださったフレッチャーアレン病院のスタッフ
に親切な先生で、手術の内容や患者さんについて丁寧に
やドクター、そして木田先生という素晴らしい人と知り
説明してくれて、執刀中ですらも「何か質問したいこと
合う機会に恵まれたことを心底嬉しく思っています。そ
はないか?」と訊いたり、手術内容を詳しく説明してく
して、現地でのプレゼンテーションの準備を休日を割い
れたり、電気メスを使うときも私たちに見えやすいよう
てまで手伝ってくださった耳鼻科の友田先生、4 年生の
に配慮してくれたりと、忙しい中あれこれと気遣ってく
メンバーに朝から医学英語の特訓をしてくださった相野
ださいました。また、局所麻酔で手術しているので、先
田先生にも本当に感謝しています。どうもありがとうご
生は幾度も患者さんに「Are you comfortable?」と聞き
ざいました。
ながら、患者さんの状態を気遣って手術していました。
最後に、今年の10 月に金沢医科大学で木田先生によ
ドクターは自らの作業に集中するのみならず、患者さん
るこのバーモント研修の説明会が企画されています。興
の状態や周囲のスタッフ、そして私たちのようなゲスト
味のある人は1 年生でも2 年生でも学年に関係なくぜひ
の様子にも絶えず気遣い、上手にタイミングを見て話し
参加していただきたいと思っています。今回はバーモン
かけつつ、時にはジョークを交えて、手術という緊張す
ト大学からも何人か先生や学生さんがいらっしゃるよう
る場を和ませながら、常に「comfortable(快適)な環
なので、英語が好きな人もぜひ参加してみてください。
境」を生み出す努力を決して惜しまない様子でした。近
年よく「医師はチーム医療におけるリーダーである」と
言われますが、彼はドクターとして患者さんやスタッフ
が「今どのような状況なのか」そして「何をしてほしい
と思っているのか」ということに常に気を配ることで、
いなお
きょうこ
稲尾 杏子(第4学年)
チーム医療のリーダーとして一番大切な「信頼」を作り
出し、それを基盤として医療を提供しているように思い
ました。この体験を通して、
「チーム医療」という大切
な言葉の意味を感じることができたように思います。
内視鏡治療見学についてまず驚いたのは、アメリカで
は 50 歳以上は皆大腸内視鏡検診を受けているという事
実でした。アメリカでは日本と比べて格段に消化器系の
癌が多いので、このような制度になっているとのことで
した。
手術場に行ったときには、内心では「肛門から大腸に
内視鏡を入れるようなプライベートな場面を、医者でも
なく病院で働く人間でもない者が、いきなりやってきて
見せてくれと言っても、患者さんは怒らないだろうか
Dr. George Philipsと荒井(左)、稲尾
(ちなみに、私なら“そんなの嫌だー!”と言って暴れ
るに違いない)
」と心配していたのですが、ドクターが
夏季休暇中の7 月17 日から2 週間、米国のバーモント
たった一言「ゲストだ」と言うと皆快く見学を承知して
大学医学部での研修に参加させていただきました。海外
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ととても驚いていました。
また、1 日丸ごと放射線科を見学する日がありました。
放射線科の先生方は私たちの訪問をとても楽しみにして
いたようで、朝食や昼食まで用意してくださり、とても
歓迎していただきました。
その日は朝からグループごとに小児、消化管、神経、
放射線治療、胸部CT、腹部CTのそれぞれの部門を約40
分間ずつ見学するというハードスケジュールだったので
すが、まず驚いたのは放射線科の広さでした。かなり広
く、部屋や廊下の構造が全く覚えられず、迷子になるの
ではないかと思いました。また、小児部門では1 人の患
者さんの撮影に4、5人のスタッフ(医師を含む)が関わ
ハーバード大学医学部を訪ねて
っていることに驚きました。食道を手術した子の造影で
はおいしい味の造影剤が用意されていたり、シールを貼
の医学部や医療の実際に興味があったことと、実際に病
ってもらっていたり、いろんな工夫がされているのを見
院での診察が見学できるということ、また、英語を学ぶ
ることができました。また、X 線写真を診断、ディクテ
モチベーションを上げたかったこと、アメリカの書店で
ーションする部屋ではX線写真を複数簡単に入れ替えて
実際に医学書を手にとって見たかったこと、米国の医療
見られる機器(何といえばいいのかわかりません)に驚
現場では実際にPDAが普及しているのかを知りたい、な
いたりしました。印象深かったのは、腹部 CT の部屋で
どが参加を決意した理由でした。1 学期期末試験なども
見せていただいた、X 線画像から3D 画像を合成し、あ
あり、準備もろくにできずにアメリカへ旅立ちました。
たかも内視鏡で消化管の内部を撮影したかのような画像
研修を終えて少したった今、思い出すのは、明るい診
をつくるソフトでした。画像がとてもリアルで、かなり
察室と先生やスタッフたちの笑顔です。プログラムは、
見入ってしまいました。この日は、昼食時に放射線科の
レッチャーアレンという付属病院やその外部にある関連
スタッフの方たちに向けて、金沢医科大学のことをプレ
施設での見学が主だったので、ほとんど病院内で過ごし
ゼンテーションするという機会も設けていただいており、
たように思います。数々のプログラムの中で、特に印象
現地で夜まで練習したかいもあって、満足の得られる発
深かった点について書きたいと思います。
表ができました。英語でプレゼンテーションするという
まず、腫瘍学と血液学を専門になさっているジョー
ことは非常によい経験だったと思います。また、プレゼ
ジ・フィリップス先生の診察の見学をしたときのことで
ンテーションのポイント(声の大きさや、ポインタの動
す。病院内は日本とは違い、患者さんが待っている診察
かし方、ギャグのいれ方など)について木田先生にご指
室に、医師が後から入るという仕組みになっています。
導いただいたことも非常に参考になりました。
さらに、医師が実際にカルテを書くことはあまりなく、
病院での見学以外にもいろんなプログラムがありまし
診察の終わった後、自分の机に戻りディクテーション
た。学校の見学ツアーやオリエンテーション、木田先生
(声で診察の内容などを録音すること)を行います。私
による病理学のレクチャー、その他に、様々なエクスカ
は4 年生なので、電子カルテについても見学したことが
ージョンが用意されていました。特に印象深かったのは
あるだけですが、日本との違いをかなり感じました。診
ボストンへの日帰り旅行で、木田先生が予約をしてくだ
察が終わった後は、医師がドアを開け、患者さんと共に
さったハーバード大学の医学部見学ツアーに参加したこ
部屋から出て行きます。この日は、前立腺癌の患者さん
とです。受験する予定の人たちと同じグループで見学し
や白血病の疑いのある患者さん、貧血の患者さんの診察
たため若干気後れしたものの、非常に興味深かったの
を見学させてもらいました。さらに、白血病の疑いのあ
は、やはりカリキュラムのことです。PBLにかなり重心
る患者さんの骨髄穿刺を見学することができました。ま
をおいているということで、PBLを行う部屋を見学した
だ講義で聞いたことがあるだけだったので、実際に見学
のですが、黒板には“fact”
、
“problem”などが書かれて
すると患者さんの緊張が伝わってきました。患者さんは
いてなぜか懐かしさを覚えました。書き残されていた内
最初、とても緊張していたのですが、終わると安心した
容も理解できるもので、とても親しみを感じました。他
のか、見学している私たちにもいろいろと話しかけてく
にも図書館に併設されている、医学博物館を見学するこ
ださって、骨髄穿刺を見るのはこれが初めてだと伝える
とができ、とても参考になりました。古い診察に使う器
【学事】
金 医 大 学 報
18
具や、骨格標本、絵画などがありました。この他にも書
ころだった思う。そして、今の段階で何か研修をやって
ききれないほどの経験をさせていただきました。当初の
みたいと思っていた矢先にその話を聞いたのであった。
目的は十分果たすことができたと思います。英語につい
そしてその話に惹かれたのは、4 年次に参加できるプロ
ては、医学英語はある程度理解できたのですが、やはり
グラムというだけでなく、そのとき理事長が話された、
会話が難しくて、勉強の必要性をひしひしと感じまし
今回、我々の研修を全面的に支援して下さった木田先生
た。というのも、患者さんたちは外国人である私達を医
の人柄でもあった。
学生として尊重してくださって、優しくいろいろ話かけ
さて、それから1年後、4年の1 学期最後の期末試験が
てくださるのですが、あまりにも会話ができずにとても
終わってから 1 週間後に米国バーモントへと出発した。
悔しい思いをしたからです。英会話さえできれば、と思
思えば試験勉強に加え英語の強化、チケットの手配など
うことが多くありました。また消極的な自分を反省する
今までにない、とても慌しい学期末であった。そしてそ
いい機会にもなりました。
の間、本学の消化器内科にお願いしてBSLを回らせても
今回の研修で得た経験はこれからの自分にとってとて
らうなど自分なりの出発前の対策をたてていった。
も有益なものだったと思います。特に木田先生のお話か
バーモントでの研修は基本的には二人一組で行動する
らは本当に多くのことを学びました。最後に、このよう
が、内容によって一人で参加するものもあり、かつ、均
なすばらしい機会を与え、ご尽力くださった木田先生、
等に回れる科が割り振られているので非常に充実した内
友田先生、相野田先生、学術交流室の古本さん、その他
容であった。それも一人で回るといっても必ずそこのス
にもたくさんのお世話になった方々に心から感謝しま
タッフにつき添われ、診察から手術まで様々なものを体
す。ありがとうございました。
験させてもらった。
私が回った科の中で、特に印象に残ったのは、
HematologyとFamily doctorであった。前者は回診と外来
あらい
としお
荒井 俊夫(第4 学年)
の見学で、つたない英語で質問する私に対し、懇切丁寧
に説明してくれたドクターたちの親切さには感銘を受け
た。そしてこの時ほど、医学うんぬんの前に英語力の必
要性を感じたことはなかった。自分ではいけると思って
いただけにこれはなかなかこたえるものであり、海外で
臨床をやっていく大変さをつくづく感じた。
後者ではアメリカスタイルの外来というものを学んだ。
施設などは日本と全く違うため比較しても仕方ないが、
外来での患者を引き付けるパフォーマンスや、問診でほ
とんどの診察をこなせるテクニックは必見である。これ
はまさに百聞は一見にしかず。医学生ならば是非一度は
米国医師の外来テクニックを見ておくべきだと思う。他
にも色々な科を回ったが、それでも医療分野のほんの一
木田先生のお宅で(先生と筆者)
部のみを垣間見ただけというのは重々承知している。し
かし、そこで多くのことを得たことには間違いない。
また、今回の研修で、本当に幸運だったのは木田先生
「君は今度4 年生か。海外研修をしたいのなら、是非、
とお会いできたことである。米国で活躍されている先生
来年バーモント大学に行ってみるといい」
。1 年前の夏、
と直に話ができたことは、今回の研修でかけがえのない
北辰同窓会神奈川支部の会席で、同席した小田島理事長
ものであった。もし、海外でチャレンジしたいと考えて
から勧められたことが今回の研修に参加するきっかけと
いる方は、是非このプログラムに参加してみることを勧
なった。
める。
元来、海外研修に興味があったため、1 年生の時には
最後になりましたが、今回の研修にあたって本当に最
ハワイ大学の語学研修、また、部活ではESSのメンバー
初から最後までお世話してくださった木田先生をはじ
として活動してきた。前述した同窓会に参加したのは3
め、本学の先生方に心から感謝します。本当にありがと
年生の時であり、丁度、臨床科目が始まったころであっ
うございました。
た。この時期は医学に対する興味と向学心に満ち始めた
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
19
全員で Tripler Army Medical Center 前で記念撮影
かたやま
ひさし
片山 恒(第1 学年)
3 週間というハワイ大学での研修は日本人と韓国人合
同で行われ、そこでの韓国人の積極性・バイタリティー
通して現地の人と知り合ったというのが大きいと思う。
もちろん英語でしか話せないというハンディはあるし、
考え方の違いもある。しかし、それがまた自分の好奇心
を満足させたのではないだろうかと感じている。
には僕は敬服してしまった。彼らが奨学金で来ているこ
「外国での3週間」
。このことを普通の人はどう思うだ
とも勿論あるだろうが、民族性というものを実感させら
ろうか。
「長い」と感じる人も多くいるのではないだろ
れた。彼らとのコミュニケーションはもちろん日本語で
うか。正直、決して短い期間ではなかった。しかし、私
もなく、韓国語でもなく、英語を用いたのである。文
にとって観光でなく、生活するという日々は、
「もっと
化・考え方の違いはあるが、それを超えて共通のものが
長くてもよい」と思わせるのに十分なほど充実して、有
あるという不思議な感覚は、僕に英語の必要性と重要性
意義な日々であった。
を強く認識させるものであった。
医学生として訪れたというのは幸運であった。なぜな
ら私立病院はもちろんだが、軍病院を見学することがで
きたからだ。一般人では入ることもあまりないこの施設
を医学生ということで特別に見学させてもらったのだ
く ぼ
ゆきみ
久保 幸美(第1学年)
が、そこで働く人たちとの会話を含め、大変貴重な経験
これが初の海外行きで、海外旅行の経験もないのに、3
をさせてもらったと感謝している。軍施設ということで
週間という長い期間を無事過ごせるかどうか、最初はと
イラク戦争のことなど非常に興味深い話がでてきたし、
ても不安だった。ハワイ大学での授業についていけるだ
そこでの医師・アメリカ軍人としての意識の高さは感心
ろうか。英語がほとんど話せないが、日常生活が送れる
させられた。
だろうかなど、様々なことが頭に浮かんできた。しかし
私にとってハワイという土地をただ単に観光だけでな
出発当日になってみて、海外経験豊富な人がいたおかげ
く、研修という形で訪れたのは初めてであった。研修と
でそれらの不安はすぐになくなってしまった。ハワイで
いえば堅苦しく聞こえるかもしれないが、結果としてハ
の生活が始まって、自分の英語力のなさを改めて実感し
ワイをより深く楽しめたと実感している。それは研修を
た。現地の人の英語は速すぎて聞きとれず、何を言って
【学事】
金 医 大 学 報
20
アリゾナ記念館の前で
ハワイ大学キャンパス内で
CAPE にて授業中の一コマ
Tripler Army Medical Centerにて軍服のスタッフと
左から久保、藤本、箕浦、林、間嶋、片山、村田
たなか
いるのか理解できず、店で物一つ買うにも一苦労だった。
授業で質問されても戸惑うことが多かったが、次第に
完璧ではないまでも相手の意図を理解できるようにな
あさこ
田中 朝子(第1学年)
私は今回の研修で様々のことを学びました。今回の主
り、英語のリスニング能力が上達したことを実感した。
な目的である語学に関しては、英語に慣れたという程度
話す能力は授業でプレゼンテーションをしたり、韓国の
でしかありませんでしたが、その他の面で多くのことを
留学生と話すことで楽しみながら英語力を身につけるこ
得ました。私が一番強い印象を受けたのは病院見学で
とができた。また、ハワイの観光地もたくさん回ること
す。日本とアメリカでは医療制度が違っていて保険がき
ができた。一番印象に残ったのはハワイ島のキラウエア
かないので医療費が高く、お金に余裕がある人しか入院
火山で、日本とは全く異なった自然の雄大さに圧倒され
できないようでした。しかし、全てが個室で患者さんが
たことだった。この3 週間で今までにない多くのことを
入院していても普通の生活(化粧をしたり、シャワーを
学び、とても充実した夏休みとなった。これらの経験を
浴びたり)ができるよう、日常+ 生活に必要な物がすべ
活かし、より英語を上達させて将来海外の病院で働くこ
て揃っていました。すべてを理解することは難しかった
とを目標にがんばっていきたい。
けれど、自分が理解できるところは理解しようと努力し
ました。やはり英語力は必要だなと痛感しました。他
に、ワイキキビーチで泳いだり、ダイヤモンドヘッドに
登ったりと楽しい思い出ができました。今回の研修は自
分を見直し自分の視野をさらに広げる機会となり、行っ
て良かったと思いました。
金 医 大 学 報
第120号/2004.11
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メディカルホームステイ参加学生の報告書から各施設につき 1 件ずつ掲載した。(編集部)
わたなべ
こうすけ
渡邊 耕介(第4 学年)
精神病慢性期移行後の社会復帰の第一歩として実施され
ており、当日の参加者は 20 人弱。同時に行われた盆踊
り練習に大部分の患者さんが参加され、私が参加した
〈研 修 先〉ひらかわクリニック
院 長 平川 博之 先生(昭和54年卒業)
〒192-0083 東京都八王子市旭町10-13
明治生命八王子駅前ビル4F
TEL 0426-42-8973 FAX 0426-48-7423
〈研修期間〉平成16年8月3日∼6日
「会話練習」に参加した患者さんは3 名だったが、人との
関わりに真剣に取組む彼らの姿と自分の人間関係を対比
し、反省させられる部分が少なくなかった。
外来見学に参加。今回は新患が多く、症状も急性と思
われた。最も印象に残った患者さんは、
「お金を使いす
ぎる」という主訴を持ち、背景に「親友の自殺」
「幼少
期の酒乱の父親」がある方だった。
「金浪費、飲酒、異
性交渉には共通する攻撃性がある」という担当医の説明
が印象に残った。精神科病棟の患者さんは、みな温厚で
魅力的な方が多い。しかし精神科治療における「転移」
「逆転移」は悲惨な結果を生むことが多いそうだ。
「代わ
りに私がしばらくあなたの友達を演じます。ただし本当
の友達には当然なれません」という先生の最後の言葉
に、医師、患者間の間合いのお手本を見た。
その後、アルコール病棟見学。
「アルコール依存症治
療に最も必要なものはジスルフィラムでもベンゾジアゼ
ピンでもなく、ご家族の協力に他ならない」との説明が
平川クリニックにて:中央が筆者
印象に残った。担当医の先生の説明は、これが聞けただ
けでもこの実習に参加した意味があると思ってしまうほ
平成16 年8 月3 日から八王子の平川病院の見学実習に
参加した。参加者は私一人であったが、皆様のご好意で
ど分かりやすかった。講義を受けて感動したのは何年ぶ
りだろうか。
充実した内容の実習を行うことができた。
平川病院の一棟のワンフロアが完全に解放され、そこ
に芸術教室があり、多くの患者さんやもと患者の方が参
平川博之先生の外来を見学。慢性期統合失調症の患者
加されていた。芸術的なセンスもさることながら、彼ら
さんが多く、みな何らかの妄想障害を有していたので、
のやさしい人柄に魅せられると同時に、精神病の本質は
それらが統合失調症の特徴として認識することが出来
過剰に人を気遣う心にあるのではないかという気がした。
た。例えば「宇多田ひかるの曲は自分が作曲したような
患者さんの社会復帰をサポートするために、彼ら
気がする」という発明妄想、
「テレビ等で自分の名前を
のアパートまで作ってしまうような病院はそう多くな
見ると、本当に自分のことを報じている気がする」とい
い。心を強く打たれた。自分の予想に反して、精神科は
う関係妄想等を目の当たりにできた。教科書とは裏腹
最も進みたい科となった。しかし、精神科の難しさも同
に、患者さんの「病識」は部分的に形成されていること
時に学んだ。医師の言葉が患者さんの薬になり、また、
が窺えた。
毒にもなることがある。マニュアルに沿った治療が重要
な位置を占める他科と比べれば、難しい反面、この創造
統合失調症は精神病の中で大きな割合を占める。
「一
性は心底魅力的である。これを実感してほしい。このよ
番の問題は治療よりもその後の社会復帰である」という
うな意味からも、後進の諸君、諸先輩等にも是非、平川
ことは広く知られている。平川病院におけるデイケアは
病院実習参加を強くお勧めする。
金 医 大 学 報
【学事】
たかた
ゆうか
高多 佑佳(第2 学年)
22
士の方からの講義という内容です。診察を見たり、作業
療法に参加したりという医療現場もさることながら、こ
の500 床近くある大きな病院がひとつの組織として運営
〈研 修 先〉横浜相原病院
院 長 吉田 勝明 先生(昭和57年卒業)
〒939-1571 横浜市瀬谷区阿久和南2-3-12
TEL 045-362-7111 FAX 045-362-7306
〈研修期間〉平成16年8月9日∼11日
されている様子も間近で見ることができました。
メディカルホームステイは、学生という言わば「何者
でもないニュートラルな立場」から本物の医療現場に触
れられるとても良い機会です。例えば今回、病院には医
師、看護師、薬剤師、作業療法士、心理療法士、福祉の
方、デイケアの方…、そして患者さんがいらっしゃいま
したが、みなさんの活動に参加させていただくことで、
「自分がもし今○○ならどう考えるか、どうするか」と、
それぞれの立場を疑似体験することができました。ま
た、スタッフの方々のプロ意識に刺激を受けることも、
普段の授業では味わえないことです。このプログラムの
おかげで、たった3 日間とは思えない濃厚な時間を過ご
すことができました。
簡単ですが、以上が今回のホームステイの体験の概略
です。興味のある方は是非活用してみてください。そし
てもし、将来どの科を専攻するか迷う時は、興味の有無
吉田先生(中央)と左から安田、高多
に関らず、まず精神科を見学することをお勧めします。
患者さんに囲まれて過ごしたこの3 日間、無意識のうち
平成 16 年 8 月 9 日から3 日間、横浜相原病院にホーム
に自分の内面・心を見つめ直していました。
「人が人を
ステイさせていただきました。この「メディカルホーム
みる」ことはすべての医療の基本でありながら難しく、
ステイ」は、とてもおすすめです! 今回は特に、
「興味
医師にとっての大きな課題だと思います。疾患をみる前
があるけれどどんなものだろう?」という疑問を持って
に、「まずその人をみること」が最も求められる精神
いる学生に向けて、私がなぜ参加したか、どんな体験を
科・心療内科の中にいることで、そのことを繰り返し意
したか、なぜ勧めたいのかということを中心に書きたい
識したように感じます。そのような医師になるために…
と思います。
学生の間には色々な経験をして、人の痛みのわかる人間
になること、そして医師になったら心に余裕をもって相
4 月から解剖や生化学でなんとなく医学的なことに触
手の話をよくきくことが大事だと、今回の見学を通して
れてはいるものの、実際の医師あるいは医療現場を具体
教わりました。このほかにも、いろいろな方が時間を割
的には思い描けない、というもどかしさを解消したくて
いて真剣にお話してくださり、とても書ききれませんが、
ホームステイを活用することにしました。吉田先生の病
心に深く残ったことがたくさんありました。また皆様と
院を選んだのはまず実家に近かったから、そして人から
お会いできたら、と願っています。
薦められたから。私は現時点では産婦人科医になること
最後になりましたが、吉田院長、布村さん、岡部さん
を希望していますが、どんな疾患を診るにしても人相手
をはじめ、お忙しい中、快く私を受け入れてくださった
なのだから、精神科を見学するのもきっとよい経験にな
横浜相原病院の皆様に、厚くお礼申し上げます。
るだろう、くらいの気持ちでした。
前夜に入寮し、翌朝からプログラムが始まりました。
横浜相原病院ではメディカルホームステイ用に、3 日間
の詳細なプログラムが設けられていて、それは朝礼への
参加に始まり、院内で行われていること(診察、作業・
音楽療法、心理療法、理学療法、デイケア、院内見学、
薬剤、福祉相談など)への全参加、名誉院長や心理療法
金 医 大 学 報
第120号/2004.11
お ば た
あや
小 幡 綾(第5 学年)
〈研 修 先〉ナンブクリニック
理事長 小笠原 博 先生
外科医長 原田 英也 先生(平成7 年卒業)
〒039-0105 青森県三戸郡南部町大字沖田面
字千刈47-1
TEL 0179-20-6161 FAX 0179-34-2288
〈研修期間〉平成16年8月10日∼12日
前列左から 1 人おいて小笠原理事長、原田先生
後列左から 1 人おいて下崎、市川、小幡
この夏休み、大学の臨床実習では決して体験できない貴
重な研修をナンブクリニックでさせていただきました。ナ
ンブクリニックは青森県の南部に位置し、人口約 6,600 人、
園芸(果樹・食用菊)を主産業とする南部町にあって、町
内唯一の病院です。大学病院では診療科が臓器別に細分化
されており、患者さんを総合的に一人の人として診る機会
が少ないように思いますが、南部病院では診療科を問わず、
一人の患者さんが抱える多くの体調不良の訴え、それに付
随する精神的な辛さなどを聞き、診療を行っていました。
大学病院での臨床実習しか知らない私にとって、この事は
驚きでもあり、また最初に医師を目指そうと思った時の気
持ち、医療の原点に返ったような気持ちになりました。今
回私たちを受け入れてくださった野球部の先輩である原田
英也先生のもとを訪れる患者さんは、
「英也先生に肩をポン
ポンと叩かれながら大丈夫だよと言ってもらうだけで、も
うほとんど病気が治ってしまったような気持ちになるよ」と
笑いながら言っていました。
3 日間の研修内容は、眼科白内障手術の見学、外来実習、
老人保健施設の見学、院長先生の回診の同行、内視鏡やエ
コー検査の見学、病院職員全員による勉強会への参加など
盛りだくさんで、その合間にも普段は聞くことのできない
病院経営の話や地域医療での実際の臨床について、原田先
23
生がお話をしてくださいました。眼科白内障の手術の最中
にかなりの揺れを感じる地震があり、私たちは突然のこと
に驚き動揺しましたが、執刀されていた陰山先生ご夫妻は
全く動揺することなく、患者さんに「大丈夫ですからね」
と声をかけていました。その時、手術台の上の患者さんが
一番動揺して不安なはずなのに、まわりで騒ぎ慌ててしま
った自分を恥ずかしく思い、患者さんのことを一番に考え
ていた陰山先生夫妻を尊敬しました。外来実習では、一日
に虫刺症の患者さんが3 人も来られ、中には私の想像もつか
ないほど大きな茶色の蟻に刺されたという方がいました。南
部町は周りが山で囲まれており、山に入って仕事をする住
民も多いということから、一般消化器外科が専門だった原
田先生は皮膚科についても勉強しているというお話を聞き
ました。そしてこれからの地域医療においては、総括的に
一人の患者さんと向き合い診療を行っていくということの
大切さを学びました。
メディカルホームステイの名のとおり、私たちは小笠原
院長先生のご自宅、原田先生のご自宅にホームステイさせ
ていただきました。小笠原院長先生の朝は本当に早い! 外
来が始まる午前9時前に、入院患者さんの状態を把握しなく
てはいけないので、7時45分には病院に到着します。ナース
ステーションで看護師さんと申し送りをした後、患者さん
に声をかけながら処置や診察をします。大学病院の臨床実
習では教授回診はひとつの大きな行事と化し、大人数の医
師が緊張した面持ちで、教授の横で萎縮しながら患者さん
の前に並ぶという奇妙な形態をとることが多いのですが、
回診というのは何も特別なものではなく、入院している患
者さんの状態を医師が把握するために患者さんの顔を見て、
話をして、診察をすることなんだと気づかされ、今までこ
んな当たり前のことに気づかなかったのかとはっとさせら
れました。
5 学年になり将来の自分の医師像が混沌としてきた中で、
3 日間という短い期間でしたが多くのことを学ぶことがで
き、大きな目標を掲げることができました。診療科にとら
われず、幅広い医学知識を身に付け、患者さんの様々な訴
えに対応できるような医師になり、地域医療に貢献してい
きたいと考えるようになりました。そのためには、患者さ
んの立場になって考えることは当然、病院職員みんなの考
えを聞き、ディスカッションをし、より良い医療を行って
いくためにはどうしたら良いか、考えることが大事である
と思います。
「心のふれあいを大切に」をモットーにという
のは南部病院の合言葉ですが、私もこのフレーズを心に刻
みこみ、これからの臨床実習、医学研修を行っていきたい
と思います。
朝 8 時前に小笠原院長先生のご自宅から南部病院まで、
先生とりんごの木の横を歩きながらお話したこと、一生忘
れないでしょう。最後になりましたが、原田英也先生、正
智先生、小笠原院長先生、奥様、和下先生、陰山先生、美
樹先生、木村事務長、看護師の皆様、病院職員の皆様にお
礼申しあげます。お忙しい中、私たちのためにスケジュー
ルを調節してくださり、本当にありがとうございました。
原田英也先生という素晴らしい先輩にめぐり会えたこと
に、心から感謝します。
金 医 大 学 報
【学事】
わ だ く み こ
和田久美子(第3 学年)
〈研 修 先〉大牟田共立病院
院 長 緒方 盛道 先生(昭和53年卒業)
〒836-0012 福岡県大牟田市明治町3-7-5
TEL 0944-53-5461 FAX 0944-56-5949
〈研修期間〉平成16年8月18日∼20日
緒方先生(後列左から 2 人目)と前列左から和田、淺倉
西医体も終わり夏休みも後半に差し掛かったころ、私
は浅倉さんと一緒に大牟田共立病院へメディカルホーム
ステイに行きました。見学や実習が主でしたが、その他
にも楽しいことがたくさんあり、とても有意義なホーム
ステイとなりました。
1 日目は、病棟の見学、緒方院長先生の病棟回診の見学
をしました。療養型の病室が主で、大病院で行われてい
る一次的な治療ではなく二次的な治療が行われており、
神経難病や重度障害の方の特殊疾患療養病棟もありまし
た。褥瘡に対するケアや抑制の廃止など、大きな病院で
はなかなか難しいケアが行われており、大病院に3日間い
ただけで褥瘡をつくってこられた方がいたという衝撃的
なお話も伺いました。また、素敵なカーテンで病室の患
者さんのプライバシーを守るなど様々な気遣いが感じら
れ、看護課長の山下さんをはじめ皆さんが患者さんのこ
とをしっかりと考えていらっしゃることを感じました。職
員の方同士でもすれ違う時は必ず笑顔で挨拶され、なん
と雰囲気のいい病院なのだろうと感心しました。昼食に
は病院食をいただいたのですが、品数が多く味もちょう
どいい具合で、これなら入院してもいいなぁと思えるほ
どおいしい食事でした。院長先生の病棟回診では、私た
ちが分かりやすいように丁寧に説明していただいたり、実
際に触診させていただいたりしました。講義で習ったこ
ともちらほらあり、講義の重要性を再認識しました。
2 日目は、胃の内視鏡検査や透視、リハビリ室の見学、
近くにある不知火病院を見学させていただきました。中
24
村先生に付いて検査や処置を見学させていただいたので
すが、とても愉快な雰囲気づくりのうまい先生で、周り
の看護師さんや患者さんも笑っていて楽しそうでした。
さらに私は心療内科に興味があったので、無理を言って
田中先生に心療内科でのお話を聞かせてもらいました。
昼食にはおいしいとんこつラーメンを食べ、その後,ス
トレスケアで有名な“海の病棟”がある不知火病院を見
学させていただきました。とてもきれいな精神科の病院
で、特に“海の病棟”は潮の満ち引きが見える所に建っ
ており、光や風の多く入る設計でとても斬新なものでし
た。その後、
「友和」という老人ホームに院長先生の往診
を見学に行きました。
3 日目は、「なかまちの家」というグループホームと
「こもれび」という特別養護老人ホームを見学させていた
だきました。
「なかまちの家」は痴呆の方が9 人単位で入
居されているグループホームで、1 階に9 人、2 階に9 人の
方が住んでおられます。とても家庭的な雰囲気で、家具
も昔懐かしいものが揃っており、リビングにはソファーや
大型テレビが備えられ、さらにキッチンもあり、まるで自
分の家にいるようでした。昼食をご一緒させてもらった
のですが、決められたメニューはなく、その日その日で思
い付いたものを作るそうです。普段、家で食べるような
ご飯が出てきて、とてもおいしかったです。後片付けな
どを入居者の方が手伝っておられました。できることは
自分でして体を動かし、少しでもできる範囲を広げてい
こうという方針が窺えました。元気な方はご飯の準備の
手伝いもなさるそうです。
「こもれび」では、朝の離床介
助やトイレ介助、お風呂上がりの整髪などをさせていた
だきました。1 階のデイケアの方も見学させてもらったの
ですが、こちらもとても家庭的な雰囲気で、ソファーに
寝ころがってくつろいでいる方や、畳の部屋で縫い物を
している方など様々でした。私もお年寄りの方に縫い物
を教えてもらったのですが、教えてくれた方はとても手
先が器用で、私でもなかなかできない針の糸通しも普通
にやってのけていて、さすが豊富な経験のためだなぁと
感心しっぱなしでした。お年寄りの方との話では、私が
医学生だということで、こういうお医者さんにはならな
いでほしい、というようなお話も多く聞かせていただきと
てもためになりました。
このホームステイで、大牟田共立病院の地域社会との
関わりや、高齢者医療への取り組みなどを実際に見るこ
とができ、講義では学べない地域医療の重要性を学びま
した。緒方先生のように地域で活躍されている大先輩と
出会えたことで、将来良医になるという目標がはっきり
と見えてきました。また、スケジュールを組んだり、私た
ちのお世話をしてくださった事務の末吉さんには本当に
感謝しています。おかげさまでとてもよい経験ができま
した。その他、お世話になったスタッフの方々にも心か
ら感謝しています。
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
25
平成 16 年 10 月 29 日(金)学長室において、今
年度課外活動において優秀な成績を修めた団体お
よび学生の表彰が行われた。そのほか、人命救助
を行った第5学年生4 名、禁煙啓発運動に功績があ
った第3学年生2名の表彰も同時に行われた。
受賞者には、山本 達学長から金沢医科大学学生
表彰規程に基づき表彰状が手渡され、
「最近の医学
部学生は、大量の知識の修得が必要であり、皆さ
んはその忙しい中、課外活動等で優秀な成績を収
められました。大学では学問だけではなく、将来医師と
なるにあたり、体を鍛えたりチームワークを学んだりす
ることが大切です。課外活動は、先輩後輩との人間関係
が築けることに意義があり、これらは皆さんにとって大
きな財産となるものです。おめでとう」との賞讃の言葉
が述べられた。
(教学課 山本健司記)
(受賞者)
○サッカー部
2004 年度関西医科学生サッカー大会 準優勝
○空手道部
高畠 聡(第6 学年)
オープントーナメント大阪城杯夏の陣一般中量
級の部 準優勝
○スキー部
小野沙裕子(第2 学年)
第56 回西日本医科学生総合体育大会冬季大会
女子GS 新人戦 第3位
○水泳部
兼井 彩子(第3学年)
第 56 回西日本医科学生総合体育大会水泳競技
部門 女子50メートル平泳ぎ 優勝
村上 克宏(第2学年)
第 56 回西日本医科学生総合体育大会水泳競技
部門 男子 100メートル背泳ぎ 優勝
○写真部
永井 貴子(第4学年)
平成16 年度西日本医科学生写真連盟展 特別賞
○水難事故における人命救助
岩 竜一朗(第5学年)
加藤 謙典(第5学年)
金子 俊之(第5学年)
鈴木 昭博(第5学年)
○禁煙啓発運動推進に関する功績
小嶋瑛美子(第3学年)
野村 友映(第3学年)
平成16 年8 月28 日(土)
、第5 学年岩 竜一朗、加藤謙典、
金子俊之、鈴木昭博の4名が、サンセットブリッジから転落し
河北潟で溺れかかっている女性を勇気とチームワークを発揮
し無事救出した。
9 月 16 日には、管轄の津幡警察署長から代表の金子君に感
謝状が授与された。将来の医師を目指す医学生として勇気あ
る立派な行為であり、ここに讃えたい。
なお、4名の学生に対しては、学内でも学長から表彰状が授
与された。
(第5 学年主任・病理病態学 上田善道記)
津幡警察署長から代表の金子君に感謝状が授与された
【学事】
金 医 大 学 報
なかむら
写真部部長 中村
たくじ
拓路(第4 学年)
26
ながらも自分たちで考えて作業を進めていくのは楽しく、充
実した日々でした。だからこそ今、無事に西医展を終える
ことができたことに、大きな喜びと安堵感を感じているので
はないかと思います。また、毎年の内灘祭写真展では部員
同士の作品は鑑賞しあうことができますが、今回は他校の
学生の写真を間近で見ることができ、学ぶものも多くあり
ました。例えば、被写体に対して「こんな視点もあるのか」
と気付かされたり、被写体の魅力をうまく引き出す撮り方
を学んだりすることができました。さらに、審査員の本学フ
ォトセンター中谷室長、杉田主任からは、撮影や作品の仕
上げにおけるポイントについて、作品を通して教えていただ
くことができました。これらのことは今後の自分たちのスキ
ルアップにつながると思います。
最後になりましたが、今回の西医展を開催するにあたっ
てお世話になりましたフォトセンターの方々、顧問の生命
科学科目(自然科学)三由文久助教授をはじめとする多く
の皆様にご助力いただいたことを部員一同感謝いたします。
〈各部門一席者および本学写真部員の受賞作品〉
特別賞「春の香り」
永井貴子(本学第4 学年)
内灘町庁舎内町民ギャラリーにて
平成16 年8 月22 日∼24 日の3 日間、内灘町庁舎町民ギャ
ラリーにおいて本学が主管校となり、2004 年度西日本医科
学生写真連盟展(西医展)を開催しました。
西医展とは体育部における西医体にあたるもので、写真
部にとって一番大きな展示会となります。我が校が主管校
となるのは4年ぶりのことで最初は何をしたらよいのか分か
らず、手探りの状態からはじめました。各大学への開催の
お知らせの発送、会場準備、作品管理、チラシ作りなど多
くの仕事があったので、仕事を分担して進めていきました。
兼部の部員が多いことや夏休み中の開催ということで各自
が忙しく、全員が集まることもあまりできませんでしたが、
部員同士うまく連絡を取り合いながら仕事をしてくれたの
で、スムーズに進めることができました。このように全部
員が一丸となり働いてくれたおかげで、トラブルが起きる
こともなく開催初日を迎えることができました。
こうして漸く開催にこぎつけたわけですが、来場してくれ
る人はいるのだろうかなど不安はまだ残っていました。しか
し、それも杞憂に終わり、開場直後から多くの方に来場して
いただきました。来場してくださった方には感謝いたします。
そして、始まってしまうと3日間というのは早いものであっ
という間に終了しました。
これですべての仕事が終わったわけではなく、作品の各大
学への返送と受賞作品に対する賞状などの発送と共に、作品
集、品評集の作成を続けて行いました。作品集には受賞作品
の写真とコメントなどを掲載し、2004年西医展の記録とし
ました。また、品評集は今後の参考とするために、来場者の
方に書いていただいた作品の感想をもとに作成しました。
これで1学期のころから続いた西医展の仕事をすべて終え
ることになるわけですが、今振り返ってみると、悪戦苦闘し
カラー写真一席「海抜三千メートル」
岡本晃直(藤田保健衛生大)
三席「咲いた 咲いた」
大久保裕子(本学第4 学年)
佳作「おいてかないで」
大久保裕子(本学第4 学年)
佳作「一期一会」 永井貴子 (本学第4 学年)
白黒写真部門一席「バドガオン」 山下貴裕(産業医科大)
組写真一席「Reflex」
加納麻子(奈良県立医科大)
二席「蹴ル」
大久保裕子(本学第4 学年)
三席「花タチノ宴」
高橋貞佳(本学第5 学年)
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
27
学生の自主勉強会
やすだ り な こ
安田利奈子(第4 学年)
今、私は週に一度クラスメートと一緒に症例検討を中
心としたグループ学習をしています。そのきっかけは
PBLでした。
4 年になってクラスで勉強気運が高まり始め、
「皆何か
しらやっているようだし、自分も勉強したいが、どうや
って勉強すればいいのだろうか」と、モチベーションは
高いものの具体的に動けず、漠然とした不安を感じる人
が増えてきたころのことです。PBLの時間に、良い雰囲
気でディスカッションできるメンバーに恵まれました。
そして先生の後押しもあって、PBLのグループメンバー
だった柴原みいさん(4 年)
、守屋亜紀さん(4 年)と何
かやろうということになったのです。
さしあたって何をやるか、自分たちには何が足りない
かということを明確にする必要がありました。3 人それ
ぞれで自分の考えをまとめ話し合った結果、以下の3 つ
の目標を立てました。① 病態の把握とそれに必要な基
礎知識を定着させる、② 検査の目的を理解しその見方
を習得する、③ 画像を見た時にそこから適切な情報を
得られるようにする。これらはPBLの時間で、自分たち
に足りないなと感じた知識です。
勉強会ではこれらの知識を修得すること以外に、将来
的展望を持ち、学習へのモチベーションを維持すること
を掲げました。医師としての生き方を考えたり、全国の
医学生の活動や役に立つ本・サイトをお互い紹介してい
こうということになりました。
このようにだんだんと形になっていく勉強会に新しい
仲間が加わってくれました。古谷毅一郎くん(4 年)と
中嶋麻里さん(4 年)です。教養棟の一室を借りて始ま
った勉強会の9 月のテーマは、心電図でした。コーディ
ネーターを決め、はじめの2 週間は心電図の基本原理と
心電図の読み方を重点的に学び、後の2週間は心電図が
診断の手掛かりとなるような症例をPBL形式で検討して
いくというものでした。自分たちのペースで心置きなく
疑問点を挙げ、教え合うという学習形態は知識不足に悩
まされることもしばしばですが、有意義なものだと思い
ます。さらに種々の連絡と情報交換のため、メーリング
リスト woman-ML も開設しました。
“志を高く、続けていく”ことを方針として、これか
らも新しいテーマに挑んでいきたいと思います。嬉しい
ことに最近、見学に来てくれる人も出てきました。勉強
会を立ち上げたいがどうしたら良いか悩んでいる人、自
由に見学に来てください。私たちの勉強会がそんな仲間
の参考になれば、さらにやりがいが出てきます。
【学事】
金 医 大 学 報
Uchinada
Festival
28
2004
第33回 内灘祭
ENERGY
2004.10.2 ∼ 3
うしもと
内灘祭実行委員長 牛本
ともゆき
知孝(第3 学年)
トを大盛況のうちに終えることができました。
内灘祭期間中にはアルコール類も販売され、本学学生
以外にも内灘町民や多くの一般の方々が訪れることか
今回で 33 回目となる内灘祭
ら、敷地内禁煙について一抹の不安がありましたが、実
は、平成 16 年 10 月 2 日(土)3
行委員会として考えられる対策はすべて行うことにしま
日(日)の両日、事故もなく終
した。内灘祭パンフレットには敷地内禁煙に対する協力
了することができました。
依頼を掲載し、内灘祭エリアにも禁煙看板を設置、各模
今年の内灘祭は、北陸地区の
擬店内には禁煙掲示を義務付け、本部席からは頻繁に禁
大学の中で一番早く開催される
煙協力に関するアナウンス、学生による学内巡回も強化
学園祭であることから、
「他大学
しました。学生有志による禁煙運動啓発のパネル展示や
の学園祭の火付け役となりたい」
、
「学生たちの秘められ
説明もなされていたため、これといって喫煙者とのトラ
た潜在能力の新たな発見の機会としたい」
、
「来学してい
ブルもなく、内灘祭期間中における敷地内禁煙は遵守さ
ただいた一般の参加者の方々にもこのエネルギーを感じ
れていたと思います。
てもらい、学生たちと一緒に楽しんでいただきたい」と
今回、実行委員長として体験した内灘祭では、過去2
いう想いからテーマを「ENERGY」と決定し、開催に向
年間実行委員として参加した内灘祭とは全く異なる経験
けての準備を進めてきました。実行委員会設立直後に話
と感動を得ることができました。内灘祭実行委員会には
し合ったことは、例年とは違う企画に加え敷地内禁煙を
多くの学生が集まり、学年を越えて真剣に討論し、みん
厳守するための対策でした。
なで苦楽を共にしながら内灘祭を組み立てて行ったので
例年と違う企画とはいっても、毎年恒例の各クラブの
す。前年度の実行委員長や実行委員経験者の先輩方から
模擬店や、フリーマーケットは従来どおり実施し、メイ
も、多くのアドバイスをもらいました。時には意見が衝
ンイベントとして土、日の両日に、それぞれ和太鼓演奏
突したこともありましたが、その中でお互いに信頼感、
と吉本興業の若手漫才を企画しました。内灘祭の全イベ
尊敬の念、友情を育むことができました。内灘祭を通じ
ントを屋外で行うこととし、メインステージをフリーマ
て培われた人間関係は、将来の大きな財産になったと実
ーケットゾーンの中央に設置しました。これは内灘祭の
感しています。
各イベントに一人でも多くの人が参加してほしい、見て
最後に、第33回内灘祭を開催するにあたり、共にがん
ほしいとの願いから計画したものです。雨天時の対策や
ばった内灘祭実行委員会および学友会のメンバー、ま
ステージのサイズ調整、照明の位置に至るまで何度も見
た、いろいろとご支援、ご協力くださった教職員の皆様
直し苦労を重ねましたが、内灘祭実行委員が一丸となっ
方へ心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
てがんばった結果、当初のねらいどおりすべてのイベン
自作の禁煙パネル展示
和太鼓演奏
軽音ライブ
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
29
で看護者も人間として成長
第29 回 附属看護専門学校看学祭
を遂げることだと言います。
特に私たち看護学生は患者
テーマ
感謝
様に接することで日々多く
平成 16 年 10 月 2 日、3 日
ています。患者様に感謝し
のことを学ばせていただい
た分だけ私たちは成長でき
るのです。
今回、私たちは今一度感
謝について考え、感謝の心
講師の横山幹雄牧師
を言葉や行動に表現してい
けるように、今年のテーマを「感謝」としました。
講演会では内灘聖書教会の横山幹雄牧師に、
「感謝の
専門家(プロ)を目指して」というテーマで、とても心
に残るお話をしていただきました。
今年の看板やポスターは力作で、看学祭の雰囲気を大
変盛り上げてくれるものとなりました。また、E メール
や学校内に設置したBOX で集められた感謝の言葉を校
内ラジオとして読み上げたり、感謝の言葉を書いたカー
まつざわ
看学祭実行委員長 松澤さやか(第2 学年)
ドをスクラッチカードにしたりと、工夫を凝らした素晴
らしい企画を行うことができました。看護展示では「感
謝の心を育む」をテーマに、内容の展示と発表が行われ
平成 16 年 10 月 2 日(土)午前
ました。部活動では、大人気のつぼマッサージ部による
9 時から金沢医科大学附属看護
マッサージや、茶道部による茶会、手話部による手話教
専門学校にて第29 回看学祭が行
室、音楽部による軽音ライブが行われ多くの人々を集め
われました。
ていました。
「あなたの好きな言葉は?」
また、今年7月に行った宿泊研修で作成した凧もふれ
と聞かれると多くの人が「あり
あい凧と題して展示を行いました。毎年恒例の模擬店も
がとう」と答えるそうです。感
大変好評でした。献血は目標の20リットルを達成するこ
謝することは昔からとても大切にされています。表現の
とができ、多くの方々のご協力を得ることができました。
仕方や言語は違っても、世界中のどこの場所にも感謝を
あらわす言葉や気持ちはあふれているのです。
看護とは、病や障害があってもその状況の中でその人
が人間として成長することを助けること、そしてその中
「ふれあい凧」展示
短い期間の中で、綿密な企画を行い、大成功に終わる
ことができた看学祭は大変思い出深いものとなりまし
た。足を運んでくださった方々に心からお礼を申しあげ
ます。
手話部による手話教室
【学事】
金 医 大 学 報
かなざわ・まち博 2004
創作ミュージカルの
30
〈北國新聞8月29 日(日)朝刊〉
そ が べ ひとみ
曽我部仁美(第3 学年)
金沢の街自体を博覧会場にという「かなざ
わ・まち博」が今年で5年目を迎えるそうです。
都市環境マネジメント研究所におかれた「か
なざわ・まち博開催委員会」の主催で、毎年夏
の 1 カ月、いろいろの企画が催される中で、
今年は金沢に数多くある大学の学生たちに何
か任せてやらせようとの企画が4 月に始動し、
集められた実行委員がその企画を「まち博祭」
と名付けました。間もなく実行委員長の金沢
美術工芸大学 4 年の岩間達也さんを中心にミ
ーティングを重ね、市民ミュージカルはどう
かという話があがり、脚本、監督を私に指名
されました。それからの4 カ月、脚本、作詞、
キャスティング、振り付け、衣装製作、練習
とあわただしい日が続きました。そして、8 月
28 日(土)午後 2 時から、金沢市文化ホール
で本番があの舞台を存分に使って見事に演じ
られました。
題を市民創作ミュージカル「森のメロディ
ー♪」としました。ストーリーの内容は誰に
でも分かりやすく、難しい心情描写などは一
切避けるようにし、子供の理解力に配慮して言葉を選びま
した。
〔ストーリー〕舞台は金沢のとある森の中。メインキャス
トは9 人の妖精たち。その中で主役のアンリ(小学5年)は
音楽が大好きで、人間の世界には降りてはいけないという
森の掟を破って、人間界のコンサートをルイ(小学6 年)と
見に行きます。その事実が森の警察の耳に入り、アンリは
暗黒の森へ。それを気の毒に思った森の仲間たち、ピータ
ー(大学3年)
、ロン(大学2年)
、デイジー(高校3年)
、ポ
ピー(大学1年)
、ナーナ(社会人)
、ルル(中学1年)
、ダン
(社会人)は、アンリのために森の音楽会を開くことを決め
るという、愛と、友情と、勇気の物語です。
キャストは50 人強、小学生から社会人まで、あらゆるラ
イフスタイルの石川県民をオーディションをして集めまし
た。キャストには劇団の方やプロの経験者はお断りしまし
た。音楽が好きだったりダンスが好きだったり、ステージ
に一度立ってみたいと思っている、ごく普通の子供たちば
かりです。音楽や振り付け、キャストの表情等々、自分た
ちがみんなで何かを創るということの魅力が伝わればいい
なと、率直に思いました。最近の子供たちは、既製品が溢
れ、テレビをつければ容易に既成の音楽や演劇に触れるこ
とができます。しかしそんな無機質で自己の現実から離れ
たものでなく、生の声と音で、何か新しいものを発見して
もらいたいと思いました。私たちにも、やればこんなに素
敵なものができる! というキャストたちの充実感と自信が
皆さんに伝わり、私も何かやってみようかな・・・と思っても
らえることを目標に、スタッフ・キャスト一同、練習に励
みました。
キャストの精神面の管理など、心労も多かったのですが、
基本的には私の目指すものに対して、キャストの賛同と信
頼を得ることができ成功に結びつきました。このような舞
台劇は個人競技ではなく団体競技なので、現場責任者、ス
タッフ、キャストが固い結束のもと、しっかりとした三本
柱でないと成立しません。もちろん学生スタッフのほかに
社会人スタッフや、協賛企業の方にも協力をいただきまし
た。
少し飛躍しますが、基本的には医療現場もミュージカル
と似たところがあります。病院という場では、患者様がご
自身の一番大切なものを預ける所です。医師は患者様に対
して最高の演出を提供できなければならないと思います。
権威を誇示して、医療行為を半強制的に施す医師上位の時
代ははるか昔に終わっており、患者様やご家族に対して、
私達医療スタッフはそれぞれ演出家、監督、大道具、小道
具、照明・・・となって患者様に満足のいく人生を演じていた
だくように、最高のステージをプロデュースしなければな
らないのだと思います。こういった意味で、このたびの経
験は、将来の私に有益な経験であったと思っています。
今回の内容が高く評価されて、来年の「まち博祭」の開
催が決定したと伺いました。医科大生の皆さん、興味があ
る方は参加してみてはいかがでしょうか? 活動は主に夏休
み中です。大学で学べない、将来きっとプラスだったと思
える貴重な体験をたくさんできると思います。
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
31
シリーズ:
うとう
さ わ
宇藤 早和(第1 学年)
ましま
あさこ
真島 麻子(第1学年)
私の父と祖父が医師なので、
医師というのは私にとって大変
身近な職業でした。中学のころ
近くにありましたが、医師が
までは医師という職業はただ漠
何をし、どのように人々と関
然と憧れていただけでしたが、
わっていく職業であるのかを
医師になりたいと思う気持ちを
理解していませんでした。幼
一層強めたのは、一本の映画
少の私にとって両親が医師で
「パッチアダムス」という実在する医
あることは、マイナスではあっても決してプラスでは がきっかけです。
師の話で、
「笑い」によって病気を治す力を高めること
なかったのです。なぜなら医師という職業は時として、
家族よりも患者を優先しなければならないからです。 を初めて知り驚きました。映画を見て、特に子供の患
者さんや末期癌の患者さんが、心を豊かにするパッチ
それが不満を抱く原因でした。
の笑いで病気まで治るような気がしました。映画の最
しかし中学から高校にかけて、私は医師になること
後で、
「医師は患者さんと同じレベルに立って、人間の
を真剣に考え始めました。親の働く姿を客観的に捉え
Quality of Lifeをどのように高めるかを考えて努力する
られるようになったからです。医学的な知識や技術は
ことが大切」と、医学生に訴える場面から、それまで
もちろんですが、特に患者さんとの接し方にはただ感
漠然と医師になりたいとしか考えていなかった私の心
心するのみでした。医師の役目は病を治すことにあり
が強く揺り動かされ、この時に、私は少しでも患者さ
ますが、それ以上に人と人との関わり合いが大切であ
んの治療に役立つ医師になりたいと真剣に思いました。
ることを教わりました。そして私自身も父や母のよう
このことがきっかけで私は、音楽を使って病気を治
な医師になりたいと思いましたが、医師を目指すこと
す力を高めるという音楽療法に大変興味を持ちました。
が容易ではない、簡単な気持ちでなってはいけないと
人間の脳や精神活動は複雑ですが、
「笑い」や「音楽」
分かりつつも、なかなか本腰を入れられずにいたので
などを使って本来人間が持っている自然治癒力を高め
す。
る治療、難病や末期癌の患者さんのQOLを高める治療
高校を卒業し一年間の浪人時代を過ごすうちに、医 は、これからの医療として注目に値すると考えていま
師への想いはよりいっそう強くなりました。医師を志 す。
す仲間たちと、互いの意見を交換し合うことができた
人間は音楽によって勇気づけられ、癒され、心を動
からです。それまで自分が描いてきた医師像と他人が かされます。また、音楽療法が小児科、精神神経科、
描いている医師像とのギャップや、現実に起こってい 老人科、神経内科をはじめ多くの診療科で行われてい
る医療問題についてなど、同世代の人と話す機会があ ることも知りました。病気の種類や患者さんの状態を
ることはとてもよいことでした。今、金沢医科大学に 調べた上で、どのような音楽療法が適しているか、そ
入学したことで医師への道は大きく見えてきました。 れぞれの個性に合った治療法を研究したいと考えてい
合格が決まってからの時間を使いヘルパーの資格を取 ます。このことを深く学びたいという気持ちが強まり、
得し、患者さんと直に接しました。人の命に携わる医 医学の道を志そうと決めたのです。
幼い頃から、私には医師で
ある父と母二人の存在がすぐ
師の責任は重大ですが、だからこそ私が見、経験して
きたことを活かし、積極的にこの仕事と関わっていき
たいと思います。
【学事/学術】
金 医 大 学 報
大学2階連絡通路に
平成16年6月1日から、本学の「敷地内全面禁煙」がスタート
しました。この規制は一応は守られているようですが、禁煙に踏
み切れない一部の学生が校門横の公道で喫煙しているといった光
景がときに見られました。そこで8月19日の第5回禁煙実施委員
会において、病院の新館への通路に展示したような「禁煙キャン
ペーンパネル」を、学生向けに大学構内に展示することにして、
作成を学生保健室に任せられました。山本 達委員長からの「学生
に作らせたらどうかな。学生に受け入れやすいかもしれないから。
内灘祭の展示にも間に合うかな」とのアドバイスを受けてプロジ
ェクトが動き出しました。内灘祭まで7週間、学生は目下夏休み
中。急がねばならないので、ちょうど夏の後期合宿をしていたア
メリカンフットボール部の学生たちに話を持ちかけたところ、
「や
ります!」と二つ返事で2名の3年生マネージャーが名乗りを上げ
てくれ、早速保健室でパネル作成の作業が開始されたのでした。
先ず資料集めからはじまりました。病院にあるパネルも参考に
「医学部学生による、学生の、そして学生のためのオリジナルな禁
煙パネル」を作るべく、文字通り朝から晩まで毎日のように、タ
バコとがっぷり四つに取り組んだ7週間でした。印象深かったの
は、資料を読み漁っていた学生の一人がうめくように「タバコっ
てこんなに悪いんだ。知らなかった」
、
「だったら、そのことを皆
に知らせなければ」といった会話でした。そんなことが契機とな
って作業は加速度的に進みました。次第にアメフトの全部員が応
援に現れるようになり、
「この画像、インパクトがあるな」
、
「これ
はエグイぞ」
、
「これ、知らなかったなぁ」などと、パネルを見る
人の立場に立ってどんどん工夫が加えられていきました。
禁煙のキャンペーンを進めていくには、その根拠となる理論が
大切で、しっかりとした事実の上に立った理論構成が不可欠です。
学生たちはまず資料集めに奔走するうちに、タバコの大まかな実
像が見えてきたようでした。また生の資料、とくに実際の症例の
資料や画像は、呼吸器内科の石垣昌伸先生、耳鼻咽喉科の高島雅
之先生、総合医学研究所の松井 忍先生からいただき、疫学データ
ーでは公衆衛生学の三浦克之先生のご協力をいただきました。
このようにしてでき上がった医科大学生オリジナル「禁煙キャ
ンペーンパネル」はB1 判、17 枚にまとめられました。その内容
は、外国における就学前児童の喫煙風景を提示して、こんな場面
を見ることのないように私達は禁煙の輪を広げたい、とはじまり
ます。そして「あなたは禁煙指導ができますか?」
、
「タバコの煙
の有害成分」
、
「副流煙の有害性」
、
「タバコとがん」
、
「タバコと喘
息・COPD・バージャー病」
、
「女性の喫煙の害」
、
「タバコの子供
への影響」
、
「今からでも遅くない禁煙」
、
「タバコの依存性」
、
「ニ
コチンパッチ」
、
「時代は禁煙へ」
、
「タバコをやめた学生の一言、
禁煙パネル作成後の感想」と、目をそらせない内容が続きます。
皆さんも是非大学2階の渡り廊下に展示されているこの作品を鑑
賞してください。そしてタバコの害のない環境づくりに協力して
ください。
(学生保健室 中島素子記)
32
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
33
学 術
総合医学研究所所長
総合医学研究所所長
松 井 忍
このたび、山本 達前所長の学長就任に伴い、平成 16 年 9 月 1 日付けで総合医学研究所所長を拝命致しまし
た。重責を果たせ得るか大変危惧しておりますが、所員の皆様ならびに医学部の方々のご協力を得てなんとか
勤めを果たしたいと考えております。どうぞよろしくお願い致します。
さて、総合医学研究所は平成元年に設立されましたので、平成の年度と同じく今年で16 年目に入っている
わけであります。この間、西川克三元所長の発案で、2 年前には大学院の組織改組に呼応する形で、最近の研
究環境にかなった大幅な研究部門の再編成が行われました。また、研究実績に応じた研究費の傾斜配分も医学
部とほぼ同時期より取り入れられ、競争原理が働く組織に変貌しつつあります。一昨年に比べて昨年は原著論
文が倍増しており、次第にこれらの改革の効果が表れてきたものと考えております。一昨年より始まった新規
のハイテク・リサーチ・センター事業と今年度設置された2 つの寄附講座、皮膚真菌学研究部門、タキサス(紅
豆杉)研究部門も研究所の組織内で運営されることとなりました。このように研究所も近年大きく変わってお
ります。しかし、大学基準協会より「研究の活性化を図ることが望まれる」と指摘されましたように、いまだ
大学附属の医学研究所として、その役割を果たしているとは言えない状況にあります。
研究所の使命であります研究の活性化を図ることが、私に課せられた任務と考えております。研究員が高齢
化してきていること、新部門が研究員の寄せ集めで構成されており、研究形態が個人研究主体となっているこ
となど、活性化を図るには大変難しい問題がありますが、
「臨床に基づく研究、臨床に役立つ研究」をテーマ
に、医学部、特に臨床部門の先生方との共同研究、学産共同研究を推進することにより研究所の活性化を図り
たいと考えております。研究所は人材が命ですので、あらゆる機会をとらえて、若くかつ優秀な研究員ならび
に大学院生の獲得を目指すことは申すまでもありません。
平成 17 年 3 月 31 日までの大変短い間の任期でありますが、中川秀昭副所長のご協力を仰ぎながら、研究所
の将来の発展につながるような運営を心掛けたいと思っております。
【学術】
金 医 大 学 報
34
金沢医科大学総合医学研究所は「医学・医療の急速な
い研究部門の開設、ハイテク・リサーチ・センター事業の
進歩、疾病構造の変化に対応した総合的な医学研究を行
継続は研究所の活性化に有効な手段となりうるので機会
い、研究成果を臨床応用すること」を目的として、平成
を逃さず積極的に取り組んでいきたい。
元年4 月、基礎医科学研究部門、難治疾患研究部門、臓
研究所にとって人材は命である。したがって、若くか
器置換研究部門、がん研究部門、人類遺伝学研究部門、
つ優秀な研究員の獲得は研究活性化には極めて重要な課
熱帯医学研究部門、共同利用部門(動物飼育センター、
題である。その方策として、大学院生の獲得を目指すと
RIセンター)の7 部門で開設された。平成15年1月には、
ともに、中国との姉妹校プロジェクトやハイテク・リサ
総合医学研究所も開設 14 周年を迎え、時代に対応した
ーチ・センター事業を積極的に利用していきたい。また、
組織の改編が実施された。
任期制を適用した若手研究員の採用についても大学側に
すなわち、遺伝子操作をはじめとする研究方法の変化
要望していきたいと考えている。一方では、現所員の能
や共同利用機器の急速な進歩、大学院改組など教育環境
力開発・向上を図ることも疎かにはできない。研究課題
の変化ならびにハイテク・リサーチ・センター事業の施
とも関連するが定期的に医学、特に臨床医学の全般的な
設・設備の管理運営などに対応して、細胞医学研究部
勉強会をもつこと、ならびに、四半期あるいは半期毎の
門、先進医療研究部門、人類遺伝学研究部門(生化学、
研究成果報告会を計画している。いずれにしても、個人
臨床遺伝学)
、分子腫瘍研究部門、共同利用部門(動物
に対し厳正な評価を行い、評価に応じたインセンティブ
飼育センター、RIセンター、形態機器センター、ハイテ
の働く組織にすることが能力開発・向上に結びつくと考
ク・リサーチ・センター)の5 部門制で再出発した。また、
えている。
平成16年4月には新たに寄附講座が総合医学研究所の組
研究支援活動は所員自身の研究活動と並んで研究所の
織内で管理運営されることとなり、皮膚真菌学研究部門
重要な任務であり、共同利用部門を中心に管理・運営さ
ならびにタキサス(紅豆杉)研究部門が加わり大変大き
れている。動物飼育センターは現在ハイテク・リサーチ・
な組織となった。
センター事業が進行中であり、研究者の要望に十分対応
このような組織・構造改革や研究実績に応じた研究費
できているものと考えている。一方、RI センターについ
の傾斜配分の導入(平成15 年度より)にもかかわらず、
ては、近年、次第にその利用頻度が低下傾向にある。し
研究所の研究活動は低調と言わざるを得ない。部門の構
たがって、いずれ今後の研究形態の動向を見極めながら
成が研究員の寄せ集めであり、個人研究が主体となって
現状維持か? 縮小するか? を判断する必要が生じると
いること、ならびに研究員の固定化・高齢化が不振の主
考えている。共同機器管理・運営は機器管理・運営委員
たる原因と考えている。現在の研究所の構成員のみで
会に任されているが、研究推進会議で研究機器充実の方
は、研究の活性化を図ることは甚だ困難であり、その対
策(ルール作り)の策定が計画されている。実際の管理
応が急務である。
運営は研究所で行われるので、ルール作りには積極的に
総合医学研究所の設立時の基本方針は、①臨床研究に
直結した基礎的研究に主眼をおく、②プロジェクト研究
かかわっていきたいと考えている。
おりしも、以前より検討されていた総合医学研究所の
を導入する、③学産共同研究を推進する、④海外交流を
基礎棟低層2階(旧歯科口腔科)への移転計画が現実味
推進するとうたわれている。私は設立時の基本方針に立
を帯びて来つつある。今まで、スタッフルーム、事務部
ち返り“臨床にもとづく研究課題、臨床に役立つ研究課
門、研究施設が散在しており、管理運営面で大変難しい
題”を医学部(特に臨床系部門)とのプロジェクト研究
組織であったが、今回、移転が完了すれば研究所として
の形で進めて行くことにより研究の活性化を図りたいと
まとまりができ、研究活性化につながるのではないかと
考えている。このような研究形態をとることにより、新
期待している。
病院でのセンター(癌治療、生活習慣病など)構想の中
で研究所がその研究部門を担当するということも可能と
なる。もちろん、研究課題によっては研究所内での部門
横断的なプロジェクト研究も有効な手法であり、積極的
に取り入れていきたい。
組織的には、新たな寄附講座や任期制を適用した新し
(総合医学研究所所長 松井 忍記)
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金 医 大 学 報
35
金沢医科大学と中国医科大学・同済医科大学・中日友好病院との姉妹提携20周年記念事業
ドキュメンタリーTV 番組
JICA草の根技術協力事業「中日防盲治盲事業」の記録
平成16年10月9日(土)と年末に
テレビ金沢から放映
本学が中国医科大学・同済医科大学・中日友好病
院との姉妹提携 20 周年記念事業として取り組み、北
陸で初めて認可されたJICA(国際協力機構)との共
同プロジェクト「草の根技術協力事業」を紹介するド
キュメンタリー番組「瞳の架け橋」が、テレビ金沢で
10月9日(土)午後4時25分∼4時55分に放映されま
した。
番組は、眼科学の佐々木一之名誉教授を中心とする
本学白内障研究グループと中国医科大学眼科グループ
が、今年から3 年計画で行う中国における失明者の実
れました。
態把握と医療従事者に対する最新の検診技術の指導を
プロジェクトの中心である佐々木一之先生には、ご
行う協同事業について、その発足から中国・遼寧省に
多忙の中、撮影からインタビュー取材、JICA や中国
おける第1回住民検診までの関係者の苦労や現地の人
医科大学関係者との連絡調整など、大変なお骨折りを
たちとの交流を描きながら、本学が目指す新たな国際
いただき心より感謝しております。当初は、日本と中
医療協力活動を紹介したものです。
国、両国間を医療でつなぐ協力活動に思いを馳せて番
国際医療協力といえば、災害時の救援活動のように
組タイトルを「瞳の架け橋」としましたが、取材を続
医師や看護師などの医療部隊が現地を訪れて診療を行
けるうちに中国医科大学でご活躍された佐々木一之先
う、あるいは医療機器や医薬品を提供する、こうした
生のお父様から、そのお孫さんにあたる佐々木 洋先
イメージが一般的です。しかし、今回のプロジェクト
生〈感覚機能病態学(眼科学)
〉へと脈々と受け継が
は一味違ったかたちの国際医療協力を目指していま
れるご家族の眼科医としての熱意が垣間見えてきまし
す。現地で公募選抜した中国人医師たちを指導育成
た。番組は佐々木家三代にわたる「瞳の架け橋」でも
(=教育)し、集団検診や治療を行い(=診療)
、検診
データに基づき現地の疫学研究を行う(=研究)
。医
あったわけです。
昨今、日本と中国における関係悪化が取り沙汰され
科大学の使命でもある「教育」
「診療」
「研究」の三本
ていますが、このような地道な医療協力活動が文字ど
柱を駆使した国際医療協力活動です。
おり両国間の「架け橋」となり関係修復につながるも
番組の撮影は、1月20日に本学で行われたJICAとの
のと信じます。撮影にご協力いただいた中国医科大学
業務提携調印式に始まり、3月24日に行われた中国医
関係者、および JICA、本学関係者に感謝するととも
科大学における記念セレモニー、6 月初旬に行われた
に、日本と中国を医療で結ぶこの新しい取り組みが10
本学関係者の撮影やインタビュー、7月初旬の中国・
年、20 年と引き継がれていき「心の架け橋」となって
瀋陽での事前打ち合わせや検診準備、検診実施に至る
広がっていくことを願ってやみません。
までの長期にわたるものでした。幸い、一昨年放映し
なお、
「瞳の架け橋」は今年末に再放送を予定して
た本学創立30周年記念番組に携わったテレビ金沢と東
おりますので、お見逃しされた方は是非ともご視聴い
京の制作会社㈱イメージサイエンスの同じ制作スタッ
ただき、本学の国際社会に貢献する新たな取り組みに
フが担当しましたので、本学施設や関係者について熟
ついてご認識いただきたいと思っています。
知していたこともあり、撮影や取材はスムーズに行わ
(入学センター 杉原一良記)
【学術】
金 医 大 学 報
36
特別講演には尿中結晶凝集
阻止物質研究で有名であり、
かつ国際尿路結石症学会理事
長であるRosemary Ryall 教授
第14回学術集会
(Flinders Medical Centre)か
会長:泌尿生殖器治療学 鈴木孝治教授
ら「The Mystery and Magic of
日時:平成16 年8 月27日(金)・28日(土)
Macromolecules」と題した講
会場:金沢全日空ホテル
演があった。結石分野のみな
らず生物界全般における石灰
第9回学術集会を平成11年8月和倉温泉で開催してか
特別講演の Rosemary Ryall
教授
化と高分子物質の役割につい
て非常にわかりやすい英語と
ら5年経過し、研究会から学会に昇格した日本尿路結石
スライドで参加者全員が結石研究の今後に理解を深め
症学会第 14 回学術集会を金沢医科大学、橘勝会、石川
た。もう一つの特別講演として金沢医科大学腫瘍病理学
県、金沢市の補助金をいただき金沢市内で開催した。ご
の田中卓二教授から「食べ物と病気」と題した講演があ
支援いただいた皆様方に心からお礼申し上げます。
った。結石症のみと食事といった狭い視野ではなく、病
メインテーマは「いま、尿路結石研究に求められるも
の」とし、あまりにも専門領域に特化した研究の視点を
グローバルなものとしてとらえることに配慮した。
気と食べ物全般について広く理解することは今後研究を
進めるに当たって重要であることが強調された。
ランチョンセミナーでは動脈硬化の基礎的研究で有名
な金沢医科大学病理病態学の勝田省吾教授から「動脈硬
化の発生・進展とプラーク破綻の病理」と題して最先端
の研究手法や研究成果の講演があった。基礎的・臨床的
研究について全国の大学や研究施設から従来よりも多い
29 題の一般演題があった。
本学術集会の特徴はなんと言っても徹底的な討論であ
り、発表 10 分、討論 10 分は研究の本質や本音などが白
熱した雰囲気の中でやり取りされた。学術集会参加数は
約150 名で、第1 日目夜の懇親会、2 日目のバーベキュー
大会も多くの会員が参加し年に1 回の熱き論議を交わし
た。
(泌尿生殖器治療学 鈴木孝治記)
岩淵邦芳 助教授 〈ゲノム医科学(生化学)〉
北國がん基金研究助成をうける
財団法人北國がん研究振興財団は、このほど第18 回北國がん基
金助成の対象として、29件の推薦応募の中から、研究活動助成部
門5件、海外派遣等研修助成部門3件を選定した。
本学からは、研究活動部門でゲノム医科学の岩淵邦芳助教授が
選ばれた。
贈呈式は、平成16年10月20 日(水)午後2時から、金沢市の北
國新聞会館で行われ、同研究に100万円の助成金が授与された。
岩淵助教授の研究は、
「p53 結合蛋白質 1(53BP 1)のDNA 二重鎖切断修復における機能解析」であり、
代表的がん抑制タンパク質p53 と結合するタンパク質「53BP 1」を発見した実績を基に、
「53BP 1」がDNA
の修復に関与する過程を明らかにすることである。
この研究は、今後、がんの診断・治療法を確立発展するうえで、ますます期待、注目されている。
(総合医学研究所事務課 寺井明夫記)
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金 医 大 学 報
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平成16 年度科学研究費補助金に4件が追加採択される
平成 16 年 10 月に、平成 16 年度科学研究費補助金(文部科学省・日本学術振興会)の追加採択が次のとおりあっ
た。平成16 年4 月に、既に39 件(転入による追加1 件を含む)が採択されたが、今回4 件追加となった。また、平成
16 年10月1日、転入による追加が1件あり、その結果、44 件、62,700 千円の採択となっている。
なお、昨年度は最終的に43件、57,000 千円であったので1 件、5,700 千円の増となった。
(研究助成センター事務課)
〈追加採択〉
(単位:千円)
種目名
氏名
基盤研究 (C)一般
若手研究 (B)
部門・職名
研究課題等
金額
窪田 孝
精神神経科学(神経精神
医学)助教授
てんかん精神病の発現機序の研究
1,300
前田 雅代
腫瘍病理学(病理学Ⅰ)
助手
ヒト大腸癌細胞におけるD4GDIの細胞
膜局在化と悪性進展
1,400
小野田法彦
生理機能制御学(生理学) 内因性光信号を「面」として記録する
教授
嗅皮質のニオイ応答
1,700
鶴岡 直樹
ゲノム医科学(生化学)
助手
2,300
骨粗鬆症治療への応用を目的としたコラ
ーゲントリペプチドの生理活性作用の解析
〈転入による追加〉
種目名
基盤研究 (B)一般
(単位:千円)
氏名
部門・職名
梅原 久範
金額
研究課題等
血液免疫制御学(血液免疫 全身性強皮症の病態形成におけるフラクタ
内科学)教授
ルカインの関与とその治療法の開発
◇平成16年度科学研究費補助金採択状況
種 目
第1次内定
転入(4月) 第2次内定
最終
転入(10月)(H16.10.13現在)
基盤研究(B)
0
0
0
1
1
基盤研究(C)
31
0
3
0
34
萌芽研究
3
0
0
0
3
若手研究(B)
4
1
1
0
6
計
38
1
4
1
44
※特別研究員奨励費を除く。
3,600
【学術】
金 医 大 学 報
38
平成16年度 学会開催一覧(学会開催補助金申請に基づく)
学 会 名
部 門 名
規模
開催期日
第8回アジア-太平洋電子顕微鏡学会議
分子細胞形態科学 国際 H16. 6. 6∼11
(解剖学)
第8回鋤鼻研究会
生理機能制御学
(生理学) 全国 H16. 6.10∼12
日本海セトロジー研究会第15回大会
人間科学科目
(人文科学) 全国 H16. 7. 3∼4
日本尿路結石症学会第14回学術集会
参加予定
人数
900
40
会 場
石川県立音楽堂
金沢全日空ホテル いこいの村能登半島
125
石川県立生涯学習センター
泌尿生殖器治療学 全国 H16. 8.27∼28
(泌尿器科学) 150
金沢全日空ホテル
第10回医用近赤外線分光法研究会
心血管外科学
(胸部外科学) 全国 H16.10.29
100
札幌市ロイトンホテル
第6回耳鼻咽喉科ナビゲーション研究会
感覚機能病態学
全国 H16.11.13
(耳鼻咽喉科学) 100
金沢市文化ホール
第10回形成外科内視鏡・手術手技研究会
機能再建外科学
(形成外科学) 全国 H17. 3. 5
150
石川県立音楽堂
第17回日本老年麻酔学会
侵襲制御学
(麻酔学) 全国 H17. 3. 5∼6
120
金沢市アートホール
地方 H16. 5.15∼16
250
金沢医科大学
日本医学放射線学会第136回中部地方会、 放射線診断治療学 地方 H16. 6.12∼13
日本核医学会第59回中部地方会、
(放射線医学)
日本血管造影・IVR学会第17回中部地方会 200
金沢医科大学
第12回日本集中治療医学会東海北陸地方会 循環制御学
(循環器内科学)
地方 H16. 6.19
300
石川県地場産業振興センター
第1回日本褥瘡学会中部支部地方会
機能再建外科学
(形成外科学)
地方 H16.11.21
600
石川県地場産業振興センター
精神神経科学
(神経精神医学)
北陸 H16. 9.12
80
第64回日本結核病学会、
呼吸機能治療学
第53回日本呼吸器学会、
(呼吸器内科学)
第38回日本呼吸器内視鏡学会、
第23回サルコイドーシス学会合同北陸地方会 第159回北陸精神神経学会
金沢医科大学総合医学研究所年報は、研究所の活動と所員の研究
内容、成果などを紹介する目的で年刊で発行されている。第 13 巻よ
り内容を全面的に見直し、研究所の概要と研究活動・その他(海外
交流、広報活動、セミナー、学外研究資金獲得状況など)も掲載する
ことになった。今年9 月に発行された第15 巻には、①研究所概要、②
部門の活動状況、③2003年研究報告、④2003年部門別研究業績、⑤
研究活動・その他の内容が掲載されている。
この年報は、学内外の研究者との交流と共同研究の促進、研究所
の活性化に寄与することを目的として、学内はもとより、学外の大
学、研究機関、病院および図書館に配付される。
(研究所年報編纂刊行委員会委員長 松井 忍記)
金沢医科大学
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
高血圧の分子生物学
39
ミナーでも最新の知見が数多く紹介された。また、今年
のセミナーでは荻原先生自らが 1982 年に家族性 Bartter
症候群として症例報告をした症例が、その後の分子生物
学のめざましい発達により、1996 年に初めて紹介された
講 師 荻原俊男先生(大阪大学大学院医学系研
究科加齢医学教授・医学部附属病院長)
日 時 平成16 年10 月1 日(金)18:00 ∼19:30
場 所 病院4階C41 講義室
担 当 高齢医学 松本正幸教授
Gitelman症候群であったことがわかり、再び症例報告と
なったエピソードも紹介された。Gitelman症候群は第16
染色体長腕に位置するサイアザイド感受性 NaCl 共輸送
体遺伝子(TSC遺伝子)の第6エクソンに18 塩基対が挿
入されることにより引き起こされる疾患で、尿細管にお
ける NaCl 再吸収障害が原因で、臨床的には低血圧、低
カリウム性アルカローシス、高レニン血症、高アルドス
〔講師紹介〕
荻原先生のご略歴は下欄「人物
往来」に記載。
テロン血症といったBartter 症候群と同様の所見に加え、
低マグネシウム血症、低カルシウム尿症を特徴とする症
状を呈するものである。荻原先生は本来低血圧を特徴と
先生は高血圧の成因・治療に関
するこの症例を20年間にわたり追跡し、加齢とともに高
する研究を一貫として行い、特に
血圧を呈するようになったことから、高血圧症はやはり
レニン・アンジオテンシン系を中
多因子疾患であることを付け加えておられた。荻原先生
心に、分子生物学的手法を導入、
のセミナーは、このような症例を通して、個人の遺伝的
高血圧・糖尿病・老年病などの遺
資質に応じた高血圧および合併症の予防と治療について
伝子解析、循環器疾患の遺伝子治療を教室のテーマとし
の理解を深めるものとなった。 (高齢医学 中橋 毅記)
て精力的に行う他、老年者高血圧のガイドライン作成な
ど老年病の分野でも活躍中。世界初のHGF 遺伝子治療
の臨床応用も手がけられている。
〔セミナーの内容〕
今年も荻原俊男教授による高血圧の分子生物学のセミ
ナーが開催された。高血圧症は遺伝因子と環境因子が複
雑に絡み合って進行することから、荻原先生は21世紀の
高血圧治療として、個人の遺伝的背景に応じた減塩、減
量、運動などの非薬物療法や薬剤選択を行う効率のよい
治療、すなわちテーラーメード医療が求められることを
話された。そのために荻原先生の教室では数多くの高血
圧に関与する遺伝子の解明が進められており、今年のセ
人物往来
□荻原俊男先生/大阪大学医学部大学院医学系研究科加齢医学講座教授/昭和43年大阪大学医学部卒業 /昭
和45 年大阪府立成人病センター調査部/昭和48 年大阪大学医学部附属病院中央臨床検査部医員/昭和49 年
米国アリゾナ大学内科研究員/昭和 50 年大阪大学医学部附属病院中央臨床検査部医員/昭和 51 年大阪大学
老年病医学講座(第四内科)助手/昭和 56 年同講師/昭和 59 年同助教授/昭和 63 年同教授(老人科長併
任)/平成10年大阪大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授(老年・高血圧内科科長併任)/平成16年4
月より大阪大学医学部附属病院長。老年病、とりわけ高血圧の成因・治療に関する研究では、分子生物学的
手法を駆使して疾患の遺伝的負荷の機序解明に大きく貢献され、日本における老年者高血圧のガイドライン
作成など、多くの分野で活躍されている。最近では世界初のHGF遺伝子導入による閉塞性動脈硬化症の遺伝
子治療を手がけられている。/(高齢医学)
金 医 大 学 報
40
病 院
内田病院長の挨拶の
第25 回
後、特別講演として、運
動機能病態学(整形外科
学)の藤田拓也先生から
第 25 回関連病院会議が、平成 16 年 8 月 6 日(金)にホ
「脊椎疾患に対する低侵襲
テル日航金沢において開催された。この会議は、本院と
手術」と題して講演が行
各病院との連携を深めるとともに、それぞれの病院機能
われた。
に応じて患者さんの紹介・逆紹介の推進を図ることおよ
び本院が地域に密着した特定機能病院としてその使命と
引き続いて竹越 襄学長
特別講演の藤田拓也講師
責任を果たしつつ、より一層地域医療の発展・充実に貢
献することを目的として毎年開催されている。
から、挨拶を兼ね「21 世
紀医療を担う良医の育成
に向けて」について紹介がなされ、その後懇談会に入
今回は、68関連病院から76名の病院長、事務長等が出
り、本学病院の現況報告として浅野進一郎病院長室長か
席され、本学からは内田健三病院長をはじめ副院長、各
ら患者紹介・逆紹介実績について報告がなされた。ま
科診療科長、医局長等合計129名が出席して、地域にお
た、本院では、現在100 を超える専門外来が行われてい
ける医療連携の推進などについて意見交換が行われた。
るが、患者紹介の際の参考として一昨年から企画してい
る専門外来が紹介された。今回は特にその中から、毎週
火曜日に行われているリウマチ膠原病外来(血液・リウ
マチ膠原病科)
、本年 4 月から実施された美容外科外来
(形成外科)
、および月曜日から金曜日まで行われている
出生前診断外来(産科婦人科)の3 つの紹介が各診療科
の担当医からあった。さらに、今年度から義務化として
進んでいる新臨床研修制度について臨床研修センター部
長で総合診療科の神田享勉教授から経過説明があった。
懇談会終了後の懇親会では、和やかな雰囲気の中で参
加者間で活発な意見交換が行われ盛会裡に終了した。
(地域医療連携事務課 中新 茂記)
平成16 年度
理体制の確保状況、院内感染対策、管理・運営状況等に
ついて、書類審査および実地検査が行われた。また、医
療監視は、石川県係官・保健所係官計 11 名により、担
当毎に事前提出資料に基づき、管理運営に関する諸記録
および診療録(電子カルテ)
、防災・防火対策、医療安
全管理体制、医療従事者の充足状況、院内感染対策、職
員健康管理、食品・栄養・食中毒対策、給食施設、診療
平成16 年8 月27 日(金)
、午前10 時から午後4 時にか
用放射線管理、毒薬・麻薬等の薬剤管理、感染性廃棄物
けて、厚生労働省東海北陸厚生局による医療法第 25 条
管理、水質・レジオネラ対策について書類審査および実
第3項の規定に基づく立入検査(厚生労働大臣が特定機
地検査が行われた。
能病院に対して行う立入検査)と石川県健康福祉部医療
午後4 時からは、東海北陸厚生局奥田丈彦医療監視専
対策課、石川県石川中央保健福祉センター・河北地域セ
門官、河北地域センター小林勝義所長により検査結果の
ンターによる医療法第25条第1項の規定に基づく医療監
講評が行われた。奥田医療監視専門官からは、職員への
視(石川県知事が病院に対して行う立入検査)がそれぞ
安全管理体制の周知徹底などについて、小林勝義所長か
れ行われた。
らは、食中毒・感染症の発生報告ルートおよびその届出
東海北陸厚生局による立入検査は、医療監視員2 名に
より、事前提出資料に基づき特定機能病院の医療安全管
内容の診療録への記載等について指導がなされた。
(管理課 疋田 勉記)
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
院内感染防止に関する教育講演会
41
(感染対策担当)から、感染対策は医療安全対策と同様
に病院全体として取り組まなければならない重要な課題
であり、毎年一回、厚生労働省および所轄保健所による
テーマ
「医療法第25 条の規定に基づく立入検査」でも、感染防
止に関する基本的な事項が適切に守られているかなど関
係者に対する聞き取り調査と実地調査が重点的に行わ
れ、指導・評価されているので、今回の講演会で得られ
講師 高橋昌克講師(呼吸器内科)
た知識を是非臨床の場で活用してほしいとの要請がなさ
れた。
院内感染防止に関する教育
講演会は、早瀬副部長が座長を務め、呼吸機能治療学
講演会が、平成 16 年 7 月 30
(呼吸器内科学)高橋昌克先生を講師に迎え、
「石川県に
日(金)午後5 時30 分から病
おける結核の現状と課題について」と題して行われた。
院本館 C41、C42 講義室にお
全国と石川県の結核患者の現状、集団感染と院内感染の
いて、本学病院の医師、看護
危険性、治療方法とその効果、医療従事者における結核
師、医療技術者等の職員およ
の脅威などについて詳しく説明され、特に、医師や技師
び関連病院の医療関係者計
の医療側は、3 回連続の喀痰検査や胸部X線の的確な診
236 名の出席のなかで開催さ
高橋昌克講師
断が重要であること、患者側へは、より詳細で具体的な
れた。この教育講演会は、院
患者症候の問診(咳・痰・発熱)や結核の基礎知識の具
内感染防止に関する職員教育の一環として病院職員等を
体的な説明が非常に重要であることが強調された。講演
対象に、院内感染対策委員会が主催して、毎年定期的に
後は、活発な質疑応答がなされ、講演会は盛況裡に終了
開催されている。
した。
(管理課 米田正明記)
講演会に先立ち、医療安全対策部の早瀬 満副部長
第4回金沢医科大学病院クリニカルパス大会
テーマパス
パス大会も4回目となるが、過去3回のテーマは外来か
ら入院、退院までを含めた完全型パスであった。非ホジ
キンリンパ腫に対するCHOP療法/R-CHOP療法のパス
は入院中の部分パスである。血液・リウマチ膠原病科では
適応基準および除外基準をできるだけ緩くして、パスに
乗れるものにはできるだけ使用している。バリアンスも
できるだけ許容している。これらは、パスの大きな目的
である医療を統一化/標準化し医療費を削減し収益を上
げるという点からみれば、望ましいことではないかもし
れない。しかし、癌化学療法において、医療費の削減も
重要であるが、最も重要なのは医療ミスを防ぐことであ
る。すなわち100人の患者の医療費を削減して収益が上
がっても、1人の抗癌剤投与ミスが起こり事故や訴訟が起
これば負けである。リスクマネジメント用ツールに目的
を絞ったパスの運用を始めてから、当治療における投与
ミスは発生していない。不完全な部分パスでも使い方次
第で有用である。否定的な意見もあるだろうが、現状で
はこのようにパスを作成し運用している。
各関連部門の発表者
今回は「内科系パス/部分パス」に焦点をあて発表し
今回のパス大会でも関連部門の方々に発表をお願いし
た。当該パスの外に相当する部門の方々にも、期待以上
の素晴らしい発表をしていただいた。パス大会を通し
た。内科系疾患は、パスを作成しづらくパスに適さない
て、チーム医療の促進という副次的ではあるが重要な効
と言われている。本当にそうであろうか、というのが今
果も得られた。
回の論点である。
(血液免疫制御学/血液・リウマチ膠原病科 正木康史記)
【病院】
金 医 大 学 報
リハビリテーション医学 講演会
42
は、「運動療法の目的は運動の認知過程への適切な介入
である」という強固な理念に基づき、従来から通常よく
用いられる筋力増強運動、関節可動域運動を行わず、認
知課題と呼ばれる問題を作成、提示して、患者がそれに
応えることを基本としている。
講師 沖田一彦先生(広島県立保健福祉大学理学療法
学科教授)
我々の脳は常に身体と環境との相互作用に関する情報
を処理し、その経験を重ねて新しくアップデートしてい
日時 平成16年9月17日(金)17:30∼19:00
る。感覚と運動は一体であり、通常の運動は、感覚器官
場所 病院本館4 階C42講義室
から情報を得て(知る)外界に意味付けし認知するとい
担当 リハビリテーションセンター 山口昌夫教授
う、一連の過程を経て行われている。この過程を経て無
意識に運動を予測することが可能となり、この予測によ
って運動が適切に遂行される。認知運動療法は、この認
〔講師紹介〕
知過程の障害に対し直接的に介入するものである。
沖田一彦教授は、高知医療学院
沖田先生は,以上の講演とともに、治療の実際をスラ
を卒業後、広島県立保健福祉短期
イドやビデオにより分かりやすく紹介され、今日の脳科
大学の専任講師、助教授を経て広
学の知見を踏まえた治療の有用性を強調された。しか
島県立保健福祉大学の教授に就任
し、大規模な統計学的手法による治療効果についての科
された。その間、イギリス、ドイ
学的根拠は依然として乏しく、また、個人間の効果のば
ツ、イタリアなどヨーロッパ諸国
らつきも大きいため、仮説の検証は各症例に対する治療
の理学療法と教育を視察、研修さ
介入を通じて行われるべきことも付け加えられた。
れ、日本での認知運動療法の普及、発展に努めて来られ
たこの分野の第一人者である。
〔講演内容〕
本治療は中枢神経疾患に限らず、整形外科疾患や術後
の患者にも適応が及ぶ。今後さらなる研究による、治療
効果の科学的根拠の確立が待たれるところである。
最近、リハビリテーション医学の一つである理学療法
(リハビリテーションセンター 神戸晃男記)
の分野にも多くの治療アプローチが紹介されるようにな
り、科学的根拠に基づいた、効果のある治療手技の選択
が求められている。
認知運動療法(cognitive therapeutic exercise)とは、
イタリアの神経科医Carlo Perfettiによって開発された運
動機能回復のための新しい治療アプローチである。それ
病院新館側入口看板
第17 回 いしかわ広告景観賞 受賞
昨年完成した病院新館の駐車場入り口に設置した「金沢
医科大学病院」の看板が、第17回いしかわ広告景観賞にお
いて、
(社)全日本屋外広告業団体連合会賞を受賞した。
この賞は、石川県内の都市景観の向上と屋外広告物に対
する県民の関心を高めることを目的とし、石川県内に設置
された屋外広告物が募集対象となるものである。
シンプルな形状でありながら、台座と盤面とのバランス、
盤面における明瞭なゴシック文字の配置が「存在感」と「重厚感」を創造していることが受賞理由であった。
表彰式は平成16 年9月10日(金)
、谷本石川県知事出席のもと、石川厚生年金会館で行われた。
(施設整備推進室 佐々木幸雄記)
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
発生発達医学(小児科学)
ドリーミングキッズ主催
第18回
今年も喘息サマースクールを平成16 年7 月31 日(土)
から8 月2 日(月)の2 泊3 日の日程で、石川県立鹿島少
年自然の家で開催しました。
多くの皆様のおかげをもちまして、本行事も18 回目を
迎えることができました。
この行事は、小児喘息を患う児童・生徒が、親元を離
れて、同じ疾患を抱える同年代の仲間と共同生活を行う
ことで、小児喘息の知識を深めることを目的とし、同時
に多彩な行事を医療スタッフが同伴することで安心して
楽しめるようにと企画されたものです。
本年は、昨年と同じく20 名の児童・生徒の参加があ
りました。
スタッフとしては、総責任者の本学小児科の中村利美
医師を筆頭に小児科医3名をはじめ、本学病院小児病棟
看護師、薬剤師、羽咋病院理学療法士ら、医療スタッフ
8 名が参加しました。
また、キャンプファイア指導員として本学職員の濱中
豊さんが参加して下さり、これに本学医学部学生と看護
学生を中心とした学生ボランティアスタッフ20名、事務
担当員として発生発達医学(小児科学)実験補助員の布
浦康子さんらが参加、総勢50名での開催となりました。
昨年に引き続いて、当院小児病棟担当薬剤師の政氏藤
玄先生から、子供たちを対象にした「喘息のお薬のお
話」と題した講義がありました。政氏先生には、実際に
子供たちの服薬の場面にも立ち会っていただき、参加患
児への直接の服薬指導をお願いしました。
また、公立羽咋病院で理学療法士をされておられる山
崎先生らより、腹式呼吸の講義と実技を2 回に分けて指
導していただき、いずれも子供たちは真面目に話を聴い
43
ていたのが印象的でした。
このような医療面の活動以外では、例年にない酷暑の
中、子供たちは元気いっぱいにレクリエーション活動を
楽しみ、鹿島町の豊かな自然の中で、キャンプファイア
や魚釣り、肝試し、クラフト作製を行い、交流を深める
よい機会となりました。
近年の薬物治療や呼吸機能検査等の進歩に伴い、小児
気管支喘息の治療は多彩かつ複雑となっています。サマ
ースクールでは、参加患児への正しい服薬指導やピーク
フロー測定指導を直接行うことが重要な項目の一つとな
っています。それにより、日ごろの外来診療だけでは難
しい、正しい服薬方法や正しい呼吸法などの知識を子供
たちに直接提供することができるからです。このため、
今年もサマースクールでは1日3回の小児科医による診察
やピークフロー測定を行うと同時に、医師・薬剤師・看
護師による患児への服薬指導を実施しました。また、深
夜には、医師・看護師による回診を2回行うなど、医療
スタッフのサマースクール開催中の業務は多岐にわたり
ます。 そのため、看護師や薬剤師のサマースクールでの
存在意義は大きく、多くの患児が安心して参加できるた
めにも、その存在の重要性が年々大きくなっております。
また、昨年同様にボランティアスタッフとして、元喘
息児だった人が参加してくれました。このことは子供た
ちにとっても、新鮮な体験だったようです。
今年、喘息サマースクールに参加してくれた子供が、
将来はスタッフとして参加してくれるようになれば、大
変に喜ばしいことと思っております。今後ともこの行事
が長く継続されることを希望して止みません。
最後になりましたが、この度のサマースクール開催に
先立ち、本学はもとより、関連病院・地域病院の諸先生
方をはじめ、本学病院看護部・薬剤部・管理課をはじめ
関係部署の皆様、さらには本学医学部・附属看護専門学
校をはじめとした関係部署の皆様の多大なご協力をいた
だきましたことを、心より篤くお礼申し上げ、今後とも
更なるご指導とご協力のほどをお願い申し上げます。
(元小児科学研究医 山蔭仁嘉記)
【病院】
金 医 大 学 報
**
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* 看護部から発信 * * *
―摂食・嚥下障害の看護―
平成10年、当院に療養型病棟が開
設された。開設目的は、自宅周辺に
転院できる適切な病院が少ない等の
地域特性を考慮し、一般病棟の在院
日数を短縮することにあった。当時
は、療養型病棟入院患者の9 割が障
害に合わせたリハビリテーションを
受けており、股関節疾患や脳血管障
害の患者に運動機能回復訓練が施さ
れていたが、摂食・嚥下機能障害を
有する患者の訓練は、セラピストが
少数で十分実施されているとはいえ
ない状況であった。
嚥下機能訓練は、広義の“脱チューブ”を目指
そうした折り、平成12 年に河崎寛孝先生がリハ
している。
“口から食べる”ことを半ば諦めていた
ビリテーション科の常勤医としてこられ、摂食・
患者が、嚥下食の導入で飲食の楽しみを取りもど
嚥下機能障害患者の訓練が積極的に始まった。河
し闘病意欲が高まったという症例は少なくない。
崎先生の呼びかけにより、看護師、栄養士、調理
嚥下障害のチームアプローチの基礎は、多職種に
士、歯科衛生士、作業療法士、理学療法士ら二十
よる協働作業を通じ、各自が専門技術への理解を
数名のメンバーで「嚥下研究会」が立ち上がった
深めることによって形成されるのである。
のである。
当院の摂食・嚥下外来では、病棟から紹介され
当初は栄養課と調理課で“嚥下食を作る”こと
た患者の嚥下造影検査を言語聴覚士(ST)と共に
を手がけた。種々の食材を使って飲み込みやすい
施行し、回復状況を客観的に評価しながら訓練す
食物形態に調理し、それを研究会メンバーが試食
る。こうした活動の必要性は、脳血管障害患者の
し意見交換して食材を選び、研究会で適切と判断
増加に伴う医療ニーズや社会動向を反映したもの
された嚥下食3 種類を治療食の一部として患者に提
であり、日本看護協会は今年7月にリハビリテーシ
供した。給食時の食材に関する意見や患者状態の
ョン看護の認定看護師として資格教育の開始を決
調査票を検討し、改良を加えながら嚥下食を確立
めた。認定理由は、摂食・嚥下障害が生命の安全
していった。
を脅かすと同時に食べる楽しみを奪う障害であり、
人間としての機能を回復するためには、嚥下食
急性期から誤嚥性肺炎の予防、患者の機能回復援
の整えだけでなく日常的なリハビリが不可欠であ
助まで、高度で熟練した知識と技術が必要とされ
る。その第一歩として、専門職が各々の領域を分
るためである。摂食・嚥下障害の専門家は、病院
担し、簡便な訓練マニュアルを作成した。マニュ
のみならず高齢化社会の在宅医療領域からも求め
アルは、食べる訓練が常に誤嚥性肺炎の危険と隣
られている。
り合わせであること、毎食後の口腔ケアに関する
現在、研究会は嚥下・障害患者のクリニカルパ
こと、誤嚥性肺炎の予防に関すること、食べるの
スやアセスメントシートを作成し、その試行段階
は人間の尊厳を満たす行為であることなどを丁寧
にある。今後も研究会の一員として努力していき
に解説している。
たいと思う。
(看護部副部長 荒木きみ枝記)
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金 医 大 学 報
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ら隔月の第3 水曜日に定期開催される運びとなった。当
日は病理医や各科の指導医、研修医、主治医の協力を得
(CPC)
定期開催スタート
て、密度の濃い質疑応答が行われた。各分野のエキスパ
ートが一堂に集まるため、予想外の質問も飛び交い、研
修医がタジタジになる場面もあったが、有意義な時間と
なった。
CPC を通じて患者の病気の全容が明らかになるにつ
れ、研修医たちは、患者を総合的に診ることの重要性
と、専門分野にとらわれない柔軟な思考過程を身に付け
ることの重要性を感じ取ってくれたのではないだろうか。
第1回CPC 平成16 年7月21 日(水)
症例1 肝細胞癌の1例
86歳 男
臨床提示 松本俊彦、松田 誠 消化器機能治療学(消
化器内科学)
病理提示 田中卓二 腫瘍病理学(病理学Ⅰ)
司 会 者 望月 隆 環境皮膚科学(皮膚科学)
症例2 髄膜脳炎の1例
68歳 女
臨床提示 斉木三鈴 脳脊髄神経治療学(神経内科学)
病理提示 上田善道 病理病態学(病理学Ⅱ)
司 会 者 神田享勉 総合内科学(総合診療科)
第2回 CPC 平成16 年9月21 日(水)
症例1 動脈瘤によるクモ膜下出血・脳梗塞 20 年後に
発生した肝腫瘤の一例 64歳 男
臨床提示 松江悠紀子 消化器外科治療学(消化器外科学)
病理提示 上田善道 病理病態学(病理学Ⅱ)
司 会 者 大黒正志 高齢医学(老年病学)
症例2 原発不明癌の1例
52歳 女
臨床提示 林 圭 消化器外科治療学(消化器外科学)
病理提示 黒瀬 望 病態診断医学(臨床病理学)
司 会 者 太田清隆 放射線診断治療学(放射線医学)
なお、第 3 回 CPC は 11 月 17 日(水)午後 3 時 30 分よ
り、同カンファレンスルームで行われます。研修医には
出席が義務付けられていますが、それ以外の先生方、学
生諸君にも広く開かれていますので、ふるってご出席く
ださい。
平成16年7 月21日(水)と9月15日(水)の午後3時
30分より、病院本館4階の臨床研修センターカンファレ
ンスルームで第 1 回・第 2 回臨床病理検討会(CPC)が
行われた。CPC の定期的な開催と CPC レポートの提出
は、平成 16 年度より義務付けられた新臨床研修システ
ムの必須項目である。今までCPCは院内で不定期に行わ
れていたが、本学の臨床研修教育の一貫として、7 月か
(病態診断医学 黒瀬 望記)
【病院】
金 医 大 学 報
46
平成16 年度
第2回
平成 16 年 9 月 3 日(金)、4 日(土)の両日、
いこいの村能登半島で各診療科の臨床研修指導
医等50名が出席して開催された。
この講習会は、厚生労働省の「医師の臨床研
修に係る指導医講習会の開催指針」に基づき、
臨床研修指導医が研修の質を高めるために、望
ましい研修プログラムを立案し推進する能力お
よび基本的な臨床能力を備えた研修医を育成す
る能力を身につけることを目標に開催された。
指導医講習会の形式は、いわゆるワークショッ
石川 澄教授(広島大)
野村英樹助教授(金大) 北川元二審査官(厚労省)
プ(参加者主体の体験型研修)形式で実施され、①指導
医講習会の目標があらかじめ明示されていること、②1
回あたりの参加者数が 50 名以内であること、③参加者
が6 名から10名までのグループに分かれて行う討議およ
び発表を重視した内容であること、④グループ討議の成
果およびグループ発表の結果が記録されるとともに、そ
の記録が盛り込まれた講習会報告書が作成されること、
⑤参加者の緊張を解く工夫(アイスブレーキング)が実
施され、参加者間のコミュニケーションの確保について
配慮されていること、⑥参加者が能動的・主体的に参加
するプログラムであることなどの要件が満たされていな
ければならない。今回は、今年4 月に行われたワークシ
ョップに参加できなかった指導医が招集され、延べ20時
間におよぶ講習が行われ、参加した指導医全員に厚生労
働省医政局長名の修了証書が交付された。
(職員課 井上善博記)
グループに分かれての討議
主催責任者
内田健三 病院長
松本忠美 臨床研修管理委員会委員長
企画責任者
石川 澄 広島大学医学部附属病院医療情報部教授
世話人
野村英樹 金沢大学医学部附属病院総合診療部助教授
安田幸雄 医学教育・情報学教授
神田享勉 臨床研修センター部長
森本茂人 臨床研修センター副部長
望月 隆 臨床研修センター副部長
栂 博久 臨床研修センタープログラム責任者
大久保信司 臨床研修センタープログラム責任者
ランチョンセミナー講師
北川元二 厚生労働省東海北陸厚生局臨床研修審査官
アイスブレーキング講師
清水克美 中央手術部看護師
各グループの発表
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新しい卒後臨床初期研修制度は目下試行錯誤の第1 年目である。若さと可能性に満ちた貴重な時期に
行う「初期臨床研修」をより成果のあるものにしてもらいたい。この欄では本学病院の研修についての
研修医自身の建設的な提言を受け付けている。
(編集部)
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
安井 綾子 研修医
新研修プログラムが始動してか
らもう半年が経過します。毎日が
飛ぶように過ぎるのを感じていま
す。私たち研修医はそれぞれ特色
ある科に分かれ、プログラムの目的
であるプライマリーケアを会得しようと日々奮闘してお
ります。その私たちのバックアップは学生のころより目
をかけていただいてきた先生方と研修センターに関わる
職員の方々です。いつも本当にありがとうございます。
新研修プログラムは私たちが医師となるずっと前から
準備されてきていました。病院の特色を生かすことだけ
でなく、良き後輩医師の育成と私たちの研修期間をより
良いものにすることが考ええられたのだと痛いほど伝わ
ってきます。そして現在もなお、もっとプログラムを良
くしようという動きがあることが嬉しくてなりません。
もちろん、全く新しいプログラムとして始まったために
指導医、副指導医の先生方だけでなく、たくさんの先生
方やコメディカルの方々、私を含めた研修医は、要望や
意見、時には苦情を述べ合っていることは事実です。例
えば「新しいシステムが各科において今だ完全に浸透せ
ず、研修医カンファレンス等の出席義務を果たすことが
難しい」
、
「レポート提出が多すぎる、必要なのか? 患
者IDの記入は個人情報の流出では?」
、
「研修医4 名が一
度にいなくなり、次の月から1 名もこないのは病棟業務
に差し障る」
、
「本年6 月、ある内科では5 年生6 名、6 年
生3 名、研修医1 年目4 名、研修医2 年目1 名といった過
密が生じ、回診時は総勢 30 名を超え患者さんが困惑し
ていた」などと聞こえてきました。
そこに改善点があるにせよ、全国で一斉に始まったこ
とを考えると、完全なるプログラムはおそらくどこにも
見当たらないことでしょう。そのような中で金沢医科大
学病院新研修プログラムは改善しようと日々努力を重
ね、成長し続けるシステムとして全国に誇れることと思
います。
これからも私たち研修医は金沢医科大学病院で研修し
たことが糧となるように、フォローしてして下さるたく
さんの方々とともにさらに良きシステムを構築していけ
るように、一生懸命頑張りたいと思います。
町田雄一郎 研修医
現在、僕は研修医になって半年
過ぎようとしています。この半年間
様々な出来事がありました。その
うちの1つを話したいと思います。
研修医として働き始めて1 カ月半
過ぎたころ、事件が起きました。それは、僕に重症患者
があたったのです。最初はどんな感じなのかなぁと安易
な気持ちで対応していました。しかし、かなりの重症で
すぐにICU に入ることになり、ICU に入ってからという
もの、ほとんど僕は何もできませんでした。何が起きて
るのかさえ分かっていませんでした。しかし、この患者
さんのためにあらゆる科の先生が次々に診に来てくださ
り、ある時は、この患者さんの周りに15 ∼20 人(7 ∼8
科の先生)が集まって、いろいろとアドバイスをくださ
いました。僕は科の枠を越えて集まって対応を検討する
姿勢にすごく感動しました。また、医療に対して(医学
に対しても)知識のないレジ町田に対してあらゆる科の
先生が毎日来てくださり、相談にのり指導してくださっ
たことに強い感銘を受けました。
そして、僕の最初のオーベンである三年目の先生、各
科の先生を紹介してくださった三年目の先生、医療の面
でサポートして下さった三年目の先生、精神面で僕をサ
ポートして下さった二年目の先生、計四人の先生にはと
ても感謝しています。
もし、自分が外の病院で研修していたらこのようなこ
とはできたのでしょうか? 現在、僕は呼吸器外科のレ
ジをしていますが、この時のことを忘れずにこれからも
やっていこうと思います。この金沢医科大学での研修が
僕の将来の医療への取り組みの原点となると思います。
【病院】
金 医 大 学 報
48
このところ国民の医療に対する信頼の低下が話題になって久しい。医療に携わるものにとって医療不
信は少しでも早く一掃していかねばならない課題である。ここにMEDICAL QOLという雑誌のあるコラム
に掲載された記事が目にとまったので、発行元の許しを得て一部を掲載させていただいた。病院に勤務
する者にとって医療のあり方を考えるきっかけになれば幸いである。
(理事長室)
〔MEDICAL QOL 2004 年9月号8∼9頁「岩田めい達の医
事放談」より抜粋〕
には再び私の診察をする。その間、レジデントとの
国民の医療不信というものがある。その最大の
りのため日常業務に支障なしという。ざっとこう
理由は度重なる医療事故の発生であり、さらに突
症例検討会は連日である。国内の学会出席も日帰
いう仕事ぶりである。
き詰めると若いドクターを中心とした医療の質の
次にレジデントだが、これは一般的にいう研修
低下がある。医療に取り組む姿勢を含めての質の
医とは全く違う。各大学病院で最低3 年以上のトレ
低下といってもいいが、この問題は特に民間病院
ーニングを受けた選抜者で、がんセンターに応募
にとって深刻なものとなっている。
(中略)
論文を提出し、厳しい資質審査とゲートキーパー
何とか即戦力のドクターを確保できても、民間
のレビューにより選ばれた人たち。大体、20 代後
病院に来ると医者特有のわがままが出てきたり、 半から40 代前半までのレジデントが、100 人くらい
病院側が期待したほど働かない。結果として、病
いる。驚いたのは、彼らは年中無休体制で、しか
院が希望する良質の医療を提供できない構造にな
も朝7時半から夜の9時ころまで働いていることだ。
っている。
大半のレジデントは、病院の裏にあるシャワーのみ
そのようななか、今回、国立ガンセンターに1 カ
の小さな個室に住んでいて、給料は時給で1,700円
月ほど入院するという経験を得た。
「日経ビジネス」 ほど。多い月で 26 万円程度の月給とのことだが、
と「日経メディカル」の共同調査で、総合ランキ
身分保障はほとんどなく、非常勤の国家公務員と
ング一位、医師の評価では二位以下に大差をつけ
いう扱いだから、拘束はあり、アルバイトも禁止さ
ての一位に選ばれた病院である。せっかくの機会
れている。まるで徒弟制度そのものである。大学
なので自分の耳でチェックしたのだが、前段に示
から派遣される形で民間病院に常勤しているドク
した民間病院の医療実態とのあまりの格差の大き
ターが、高給をもらっているにもかかわらず、必ず
さに愕然とし、また別の意味では「ホッとした」と
週1回は大学の研究日として称してアルバイトをし
いうのが率直な感想である。
ているのと比較すると、まったくの別世界だ。
まず、医局にはスタッフとレジデントという2 種
それでいて患者に対する対応は、その責任感、
類のドクターがいるのだが、とにかくよく働く。ス
マインドプレーともに素晴らしい。40 年間、医療
タッフは、各大学から高いハードルを超えてセレク
の世界にいる私だが、これほど心打たれる医者に
ションされたスペシャリストで、一般病院ならばバ
出会ったのは、本当に久しぶり。
「輝いて眩しく見
リバリの病院長であろう。ところが、私を担当し
える」といえば大袈裟かもしれないが、日本にまだ
た大腸の専門スタッフは、私が入院中、土日を含
こんな若者がいたのかと思えるほどだ。一人ひとり
め1日たりとも休まなかった。朝7 時半には出勤し、 のレジデントの目は一点の曇りもなく輝いている
7時40 分には私の診察をし、それから午前中は外来
し、行動の一つひとつがキビキビしていて、しかも
を診て、午後は手術と病棟の回診、夜の7 時半ころ
やるべきことは誠心誠意そのものである。18 階建
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ての病院なのに、時にはエレベーターにも乗らず階 (中略)
段を駆け上がってくる。その真剣な診療姿勢には
頭が下がるほどだ。
彼らの医師としての崇高なプロフェッションを
実感した立場からすれば、日本の医療はやり方さ
ある日、彼らと話す機会をもった。
「どういう理
え考えれば、患者の求めている満足、納得、安心
由でがんセンターに来ているのか」を尋ねたとこ
の医療などというのは医師自ら提供するようにな
ろ、即座に返ってきたのは「本当にここでの医療
るという期待がもてる。しかし、それが医師や看護
が好きだから」という言葉であった。楽をしたいの
師たちの情熱や向学心、使命感、そして犠牲的精
なら大学に残ったほうがいいし、お金を稼ぎたいの
神といったものに依存した形で提供されるもので
なら民間病院に勤務したほうが、はるかに待遇は
いいのかという疑問は残ったままだ。
いい。だけど、
「がんセンターにいたほうが、研究
ただ、はっきりしているのは、ここで提供されて
もできるし、人助けもできるし、がんという最先端
いるような医療を日本中で提供するようになれば、
の医療に携わっている仲間たちと共通のテーマで
医療不信は払拭されるであろうことと、そのため
毎晩論じ合っていることが楽しい」と話してくれ
には医療供給制度を経済的視点を含み、抜本的に
た。また、レジデントの任期は3 年間。彼らはそれ
改革しなければならないということだ。そして、も
以降もこの病院に残りたいと思っているのだが、 う一つは民間病院でバランスパワーのうえに乗っ
これほど頑張っていてもハードルが高くて残ること
てあぐらをかいている若い医師諸君に、一度ここ
ができないという。
(中略)
の医者の姿を見てもらいたいということだ。同じ医
日本医師会の坪井栄孝前会長によると、国立が
師同士として、何かを感じとってほしいし、またそ
んセンターというのは「理想の病院を作ろう」とい
れは医師として歩むなかで大いに参考になると思
う意気込みのもと、全国から優秀なスタッフを集
う。そして、それによってがんセンターにある「理
めて創設されたという。坪井先生自身も、創設時
想の病院」というシーズ(Seeds)が全国の病院に
から10 年間勤務されたとのことだが、その時は一
広まり、花開いた時に国民の医療不信はなくなる。
歩も病院から出られなかったと振り返っていた。 そういう日が訪れることを願って止まない。
患者サマリーを貯めずに書く習慣を
〈編集部註〉
「隗(カイ)より始めよ」:「大きな計
画も手近なところから始めよ」という意味。中国
故事より一般に使われる。
金 医 大 学 報
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管理・運営
副理事長に 竹越 襄 理事就任
平成16 年8 月26 日開催の第175 回理事会において、8 月31 日付けで学長の任期が満了する竹越 襄理事が副理事長
に選任された。これにより副理事長は山下公一副理事長と二人の体制となる。
任期は、平成16年9月1日から平成17年3月31日まで。
1974 年 9 月
1992 年 7 月
1994 年 4 月
1996 年 4 月
1998 年 4 月
副理事長
竹越 襄 理事
1999 年 9 月
2004 年 9 月
金沢医科大学循環器内科学助教授
金沢医科大学循環器内科学教授(2004 年3 月
まで)
金沢医科大学病院副院長
金沢医科大学循環器内科学講座主任
金沢医科大学病院病院長・副学長(1999 年8
月まで)
金沢医科大学学長(2004年8月まで)
学校法人金沢医科大学副理事長
【主な学会活動】
【略歴】
1963年 3月
1969年 6月
1973年 10月
日本内科学会理事・評議員・認定医制度審議会委員、日本循
環器学会理事・評議員、日本臨床生理学会理事・評議員、日
本心電学会運営委員・評議員、日本エム・イー学会顧問、日
本心不全学会理事・評議員
金沢大学医学部卒業
金沢大学医学部附属病院第二内科助手
金沢医科大学内科学講師
総合医学研究所所長に 松井 忍教授(新任)
平成16年8 月26日(木)開催された理事会において、山本 達総合医学研究所所長の後任所長候補者として推薦さ
れた松井 忍教授(副所長)が、新所長として選任された。
任期は前任者の残任期間、平成16年9月1日から平成17年3月31日までである。副所長は中川秀昭副所長が留任す
ることとなった。
(33頁に関連記事)
【略歴】
1970年 3月
1974年 4月
1977年 4月
1982年 1月
1985年 5月
1986年 11月
1992年 1月
1992年
1999年
2002年
2003年
1月
4月
4月
1月
2004年 9月
【主な学会活動】
金沢大学医学部卒業
金沢医科大学循環器内科学助手
金沢医科大学循環器内科学講師
医学博士(金沢大学)
金沢医科大学循環器内科学助教授
金沢医科大学循環器データ解析センター部長
金沢医科大学総合医学研究所難治疾患研究
部門教授
金沢医科大学循環器内科学教授併任 金沢医科大学教務部副部長
金沢医科大学総合医学研究所副所長
金沢医科大学総合医学研究所先進医療研究
部門部門長
金沢医科大学総合医学研究所所長
日本臨床生理学会評議員、日本集中治療医学会評議員、日
本体力医学会北陸地方会理事、日本超音波医学会評議員、
日本体力医学会北陸地方会学会長、日本心不全学会評議員、
日本集中治療医学会専門医試験委員など
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
51
副学長に 鈴木孝治教授(再任)、山田裕一教授(新任)
金沢医科大学副学長に関する規程(平成16 年6 月1 日施行)に基づき、学長が本学教授の中から選考した鈴木孝治
教授〈泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)
〉
、山田裕一教授〈社会環境保健医学(衛生学)
〉の2 名が平成 16 年 9 月 1 日
付けで副学長に就任した(平成16 年7 月30 日開催の第173 回理事会で承認)
。任期は平成16 年9 月1 日から平成19 年
8 月31 日までの3年間である。
副学長
副学長
鈴木 孝治
山田 裕一
泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)
教授
社会環境保健医学(衛生学)
教授
【略歴】
1973年 3月
1981年 11月
1973年 5月
1973年 6月
1974年 4月
1980年 4月
1983年 4月
1990 年 4月
1997年 4月
2000年 5月
2000年 11月
2004年 4月
【略歴】
金沢大学医学部卒業
医学博士(金沢大学)
金沢大学医学部泌尿器科
高岡市民病院
金沢医科大学泌尿器科学助手
〃 講師
金沢医科大学泌尿器科学助教授
Australia Flinders Medical Centre 留学(1991
年6月まで)
金沢医科大学泌尿器科学教授(講座主任)
金沢医科大学教務部副部長
金沢医科大学教務部長
金沢医科大学副学長
【主な学会活動】
日本泌尿器学会会員、日本腎臓学会会員、腎移植臨床研究
会会員、日本移植学会会員、国際泌尿器学会会員、国際尿
路結石症シンポジウム会員、日本Endourology・ESWL 学会
会員・評議員、腎移植・血管外科研究会会員、日本尿路結
石症研究会会員・常任理事、泌尿器細胞解析研究会会員、
国際移植学会会員、米国泌尿器科学会会員、国際尿路結石
症学会運営委員、Urological Research Associated Editor、日
本医学教育学会会員・評議員
1975 年 3 月
1982 年 3 月
1975 年 4 月
1980 年 9 月
1982 年 4 月
1984 年 4 月
1990 年 7 月
1996 年 11 月
1998 年 4 月
1999 年 7 月
2004 年 4 月
2004 年 9 月
金沢大学医学部卒業
金沢大学大学院医学研究科(博士課程)修了
医学博士取得(金沢大学)
城北病院内科(1977年3月まで)
米国ニューヨーク市立大学マウント・サイナイ・メ
ディカル・スクール環境科学研究所にリサーチ・フ
ェローとして留学(1982 年3 月まで)
金沢医科大学衛生学講師
〃 助教授
〃 教授(講座主任)
金沢医科大学学生部長(2000 年10 月まで)
入試センター副センター長(2000 年3 月まで)
入試センター長代行
入学センター長
金沢医科大学副学長
【主な学会活動】
日本産業衛生学会会員・評議員、日本衛生学会会員・評議
員、社会医学研究会(日本社会医学会)会員、北陸公衆衛
生学会会員・理事、日本公衆衛生学会 会員、日本肥満学
会会員、日本疫学会会員、日本更年期学会会員、日本産業
ストレス学会会員、日本産業精神保健学会会員・評議員、
日本社会医学会理事
【管理・運営】
金 医 大 学 報
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教務部長に 大原義朗教授(新任)
副部長に飯塚秀明教授(再任)、栂 博久教授(新任)、利波久雄教授(新任)
学生部長に 土田英昭教授(新任)
副部長に上田善道教授(再任)、芝本利重教授(新任)、森本茂人教授(新任)
平成16 年9 月9 日(木)に開催された第702 回医学部教授会において、教務部長に大原義朗教授〈生体感染防御学
(微生物学・医動物学)
〉
、学生部長に土田英昭教授〈侵襲制御学(麻酔学)
〉が選ばれ、9 月1 日付けで就任した。大
原教務部長および土田学生部長の任期は、平成19年8月31 日までとなっている。
(4頁に関連記事)
また、教務部副部長には、飯塚秀明教授〈脳脊髄神経治療学(脳神経外科学)
〉
、栂 博久教授〈呼吸機能治療学(呼
吸器内科学)
〉
、利波久雄教授〈放射線診断治療学(放射線医学)
〉が就任し、学生部副部長には、上田善道教授〈病理
病態学(病理学Ⅱ)
〉
、芝本利重教授〈生理機能制御学(生理学)
〉
、森本茂人教授〈高齢医学(老年病学)
〉が就任し
た。
【大原義朗教務部長略歴】
1975年
1975年
1977年
1978年
1984年
1986年
3月
4月
4月
4月
7月
7月
1988年 2 月
1990年 8 月
1994年 9 月
2001年 4 月
2004年 9 月
福島県立医科大学卒業
東北大学医学部神経内科研修医
東北大学医学部神経内科医員
山形大学医学部細菌学講座研究生
シカゴ大学神経内科Research Associate
シカゴ大学神経内科Research Associate
(Instructor)
東北大学医学部病態神経学講座助手
東北大学医学部病態神経学講座助教授
金沢医科大学微生物学教授
(講座主任)
金沢医科大学教務部副部長
金沢医科大学教務部部長
【主な学会活動】
日本神経学会会員・評議委員、日本ウイルス学会会員・評議
委員、アメリカ神経学会会員、国際神経免疫学会会員、ニ
ューヨーク科学アカデミー会員、アメリカ微生物学会会員、
日本細菌学会会員・評議委員、英国王立内科学会神経内科部
門会員、日本神経病理学会会員、日本神経免疫研究会会員、
日本神経感染症学会会員・評議委員、日本神経免疫学会評議
委員、日本分子生物学会会員、国際神経ウイルス学会会員、
日本内科学会会員、日本医学教育学会会員、日本医学英語
教育学会会員
【土田英昭学生部長略歴】
1979 年 3月
1979 年 4 月
1980 年 4月
1981 年 6月
1982 年 5月
1983 年 4月
1984 年 3月
1984 年 7月
1985 年 4月
1987 年 1 月
1987 年 10 月
1991 年 10 月
1993 年 6 月
1994 年 10 月
1999 年 4 月
2000 年 11 月
2004 年 9月
札幌医科大学医学部卒業
札幌医科大学研究生(1982年4月まで)
旭川赤十字病院
帯広厚生病院
札幌医科大学麻酔学講座助手
小樽市立病院
旭川赤十字病院
札幌医科大学麻酔学講座助手
旭川医科大学手術部助手
医学博士(札幌医科大学)
札幌医科大学麻酔学講座助手
札幌医科大学麻酔学講座講師
米国オハイオ州クリーブランドクリニック麻
酔科リサーチフェロー
札幌医科大学麻酔学講座講師
金沢医科大学麻酔学教授(講座主任)
金沢医科大学学生部副部長
金沢医科大学学生部部長
【主な学会活動】
日本麻酔科学会評議員、日本臨床麻酔学会会員、日本循環
制御学会評議員、日本麻酔・薬理学会理事、日本心臓血管
麻酔学会理事、日本脈管学会会員、日本集中治療学会会員、
日本ペインクリニック学会会員、日本救急医学会会員、ア
メリカ麻酔学会会員
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平成16 年3 月に金沢医科大学大学経営会議によって配布された「制度改革について」に示されたとおり、金沢医科
大学の経営、教育、研究および診療に関する管理運営状況を評価し、今後のあり方を討議し、大学経営会議に具申
することを目的として、大学管理運営評価委員会が平成16 年4 月1 日付けで発足した。委員会は理事長が教育職員、
看護職員、技術職員および事務職員の中から各若干名委嘱した委員をもって構成されるもので、委員長として地引逸
亀(精神神経科学教授)
、委員として中川秀昭(健康増進予防医学教授)
、牧野田 知(生殖周産期医学教授)
、利波久
雄(放射線診断治療学教授)
、伊達孝保(ゲノム医科学教授)
、神田享勉(総合内科学教授)
、大瀧祥子(人間科学科
目〈外国語〉教授)
、堀 有行(医学教育・情報学講師)
、高田昌美(看護部看護師長)
、百成富男(中央臨床検査部技師
長)
、疋田 勉(病院管理課課長)
、國府克己(広報監理室室長)が発令された。
現在までほぼ月1 回開催され、下記のような課題が検討された。
第1回(平成16年5月17 日)
本学の第98回医師国家試験結果について
第2回(平成16年6月14 日)
(1) 本年の医師国家試験合格率低下の原因について
(2) 電子カルテの改善について
平成15 年度
平成16年8 月11 日(水)
、平成15年度教員評価におけ
る教育活動部門、研究活動部門ならびに診療活動部門の
部門別に優良教員賞が竹越 襄学長から授与された。
優良教員の選考は、学生の授業評価、自己評価、上司
評価、コメディカル評価、業績評価等で構成される平成
15 年度教員評価の集計結果に基づき、教員評価委員会
から教育、研究、診療の各活動部門で評価結果の高かっ
た教授を除く助教授 10 名、講師 13 名、助手 6 名の計 29
名が推薦され、7 月22 日(木)第700 回医学部教授会で
了承された。
このような形式での教員評価は、教員評価委員会が平
成12 年4月に発足して平成13年度から実施してきた。本
年で3 年目となり、評価制度も全学的に浸透した今回、
初めて優良教員の表彰が行われることになった。
(学長室 今村吉克記)
第3 回(平成16 年7 月12 日)
大学管理運営評価委員会規定について
第4 回(平成16 年9 月13 日)
病院経営情報システムについて
(大学管理運営評価委員会委員長 地引逸亀記)
受賞された教員は次のとおり。
■ 教育活動部門 10 名
山科 忠彦 生命科学科目(体育学)助教授
池田 照明 生体感染防御学(微生物学・医動物学)助教授
大久保信司 循環制御学(循環器内科学)助教授
坂本 滋 心血管外科学(胸部外科学)助教授
東 伸明 分子細胞形態科学(解剖学)講師
田邉 洋 環境皮膚科学(皮膚科学)講師
宮澤 克人 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)講師
島村英理子 分子細胞形態科学(解剖学)講師
門田 和気 侵襲制御学(麻酔学)講師
島中 公志 消化器機能治療学(消化器内科学)助手
■ 研究活動部門 10 名
三浦 克之 健康増進予防医学(公衆衛生学)助教授
酒井宏一郎 脳脊髄神経治療学(神経内科学)助教授
吉村 弘 顎口腔機能病態学(口腔科学)助教授
西条 旨子 健康増進予防医学(公衆衛生学)講師
高橋 孝 総合内科学(総合診療科)講師
佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)講師
佐藤 淳 顎口腔機能病態学(口腔科学)講師
金山 景錫 顎口腔機能病態学(口腔科学)講師
橋本 光正 ゲノム医科学(生化学)助手
斉木 臣二 脳脊髄神経治療学(神経内科学)助手
■ 診療活動部門 9 名
坂本 滋 心血管外科学(胸部外科学)助教授
堤 幹宏 医学教育・情報学助教授
大久保信司 循環制御学(循環器内科学)助教授
兼氏 歩 運動機能病態学(整形外科学)講師
宮澤 克人 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)講師
堀 有行 医学教育・情報学講師
土島 睦 消化器機能治療学(消化器内科学)助手
島中 公志 消化器機能治療学(消化器内科学)助手
福田 昭宏 循環制御学(循環器内科学)助手
以上29名
【管理・運営/同窓会】
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平成16年度 互助会
◇立山室堂旅行
平成16 年8 月1 日(日)恒例の立山室堂バス
旅行が実施された。
今年はバス2 台 80 名で計画し、80 名の定員
いっぱいの盛況のもと実施された。バスは予
定どおり午前 6 時 30 分に大学を出発し一路立
山室堂に向かった。立山室堂は下界の暑さと
打って変わって清々しい晴天で、参加者それ
ぞれが、思い思いに山の散策を楽しんだ一日
であった。大学には午後 6 時 30 分ごろ予定ど
おり帰着した。当企画は根強い人気のもと例
年2 回、160 名の定員で実施されていたが、今
年は他の企画を実施するため1回となった。
◇ユニバーサル・スタジオ・ジャパン旅行
平成16 年8月29日(日)ユニバーサル・スタジオ・ジ
立山室堂散策
◇信州旅行
平成16 年10 月17 日(日)夏・秋のバス旅行の締めく
ャパンへのバス旅行が昨年に引き続き今年もバス 2 台、
くりとして、信州へのバス旅行が実施された。参加者30
70 名の参加により実施された。定刻どおり午前6 時30 分
名を乗せたバスは定刻の8時より10分ほど早く大学を出
に出発、途中台風接近による悪天候も懸念されたが終日
発、旅行日和の快晴のなか、目的地の信州を目指した。
好天に恵まれ、参加者一同USJでの一日を楽しみ、予定
より30 分ほど遅れて無事大学に帰着した。
途中、新雪を冠した北アルプスの絶景を車窓に見ながら
「食欲の秋」・「芸術の秋」の旅情を満たしてくれる旅に
期待を膨らませた。大町温泉では、種々のきのこを使っ
◇京都旅行
た料理やりんごのてんぷらなどご当地ならではの料理を
平成16年9月26日(日)今年の新企画として大河ドラ
味わった後、温泉に入浴し大いにくつろいだ。
マで放映中の「新選組!」ゆかりの地をめぐる京都旅行
「安曇野いわさきちひろ美術館」ではどこか郷愁を感
が実施された。参加者は26名で、新選組屯所であった八
ずるいわさきちひろの作品にふれた。また、参加した子
木邸・壬生寺などを散策し、幕末期に思いを馳せた。ま
どもたちの楽しみであったりんご狩りもあり、参加者が
た、昼食には名物の湯どうふなどで京都の味を堪能した
十分に満足できた旅行であった。
が、古寺めぐりを連想しがちな京都旅行とは一風変わっ
今年企画された4 回の夏・秋のバス旅行は、記録的な
たバス旅行であった。今回のバスガイドさんはかなりの
頻度の台風の本土襲来にもかかわらず全て好天に恵ま
ベテランの方で、われわれが忘れていたような地元の方
れ、また事故もなく終えることができた。今年度の最後
言を織り交ぜながらガイドし、笑っているうちに京都に
の企画である冬のバス旅行についても多数の会員の参加
着いた感じであった。帰途も事故もなく順調に高速を走
をお願いしたい。
り、定刻より30分ほど早く大学に帰着した。
USJ での一日
南禅寺の湯豆腐
安曇野いわさきちひろ美術館
(人事厚生課 大戸和雄記)
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金 医 大 学 報
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同窓会
会議は午後5 時から始まり、出席大学の参加者19 名に
よる自己紹介の後、議題に沿って、各大学の現状および
将来の構想などが熱心に討議された。
なお、次回開催は福岡大学が主管し、今回の討論では
語りきれなかった各大学の教育システムについて、再度
平成16 年9 月11 日(土)
、金沢市郊外の湯涌温泉「か
なや」において、西日本の私立医科大学同窓会で組織す
る第14 回西部会が開催された。
討議することになった。
会議終了後、会場を移して午後7時から懇親会が開催
された。懇親会には、本学から山本 達学長と北辰同窓
今年は金沢医科大学北辰同窓会が主管し、10 大学の
会の役員 9 名が出席し、約 2 時間半にわたり和やかな雰
同窓会役員が出席して開催された。同会は、毎年持ち回
囲気の中、各大学の垣根を越えた連帯感が盛り上がり話
りで開催されており、本学の担当は、平成9 年9 月27 日
が弾んでいた。
(教育研究事業推進室 堂前正秀記)
(土)の第7回西部会に引き続いて2回目となる。
湯涌温泉「かなや」にて
《本学スタッフ新刊著書》
小柳 仁 監修 松野正紀、北島政樹、加藤治文 編集
標準外科学 第10版
医学書院
B5 判、852 頁
定価:本体8,500 円+ 税
2004 年4 月1 日発行
ISBN4-260-12258-4
分担執筆:高島茂樹
(老人外科:人口動態と老人の定義、老化、老人患者
の特徴、術前評価と対策、手術適応、術後管理、術後
合併症と処置 747p-753)
「標準外科学」は医学生に対する教科書として1976 年
に初版が上梓されてから、3 年毎の改訂を重ねながら今
回で10 版になる。本書は国家試験や卒前教育における外
科学の「バイブル」として多くの医学生諸君に親しまれ、
利用されているが、今回は最近の医学教育の改革にも対
応できるよう、執筆者の入れ替えとともに、内容的にも
専門的事項を要領よく整理し、卒後研修終了までの手引
書となるよう大幅な改訂がなされている。
(消化器外科治療学 高島茂樹記)
金 医 大 学 報
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随想・報告
報 告
医療安全対策課課長
坂 尾 光 一
今回、日本私立医科大学協会企画の第7 回私立医科大
学事務職員海外研修(アメリカコースまたはヨーロッパ
コース)について、大学当局から参加希望の有無の打診
があったので、アメリカコースへの参加を希望した。内
容は平成16 年9月9 ∼21日までの13日間にわたるアメリ
カ各地の病院および大学の先進事情を見学研修すること
で、これに参加することができた。以下、訪問した9 施
設の情況を私の体験を中心に報告したい。
各私立医科大学からの参加者16名に添乗員1名の計17
名が、9 月 9 日(木)
、成田空港 17:55 発のアメリカン航
空 168 便で出発、日付変更線を越えて 12 時間 40 分のフ
ライトで、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港に現
地時間で9月9日(木)17:35に到着した。着後、専用バ
スで一路宿泊先のホテルに向かう。この日は長旅の疲れ
もあり、ホテルの近辺のレストランで簡単な食事を済ま
せた後、翌日からの視察の準備を済ませて早々に就寝し
た。
1. St. Luke's-Roosevelt Hospital Center
9 月 10 日(金)視察の第 1 日目である。8:30 にホテル
を出発し、St. Luke's-Roosevelt Hospital Center へ。この
セントルークス・ルーズベルト病院前にて。後列左が筆者。
病院は、St.Luke's Hospital とRoosevelt Hospital が合併し
てできた病院で、1,076 床を有する。病院のリスクマネ
たが、その中でユニークと思ったものが「予備病棟」で
ージャーであるJ. Donegan氏と院内弁護士のL. Schenkei
あった。
「予備病棟」とは20 床程度の単位で、患者が多
氏により、主にリスクマネジメントに関する概要説明が
くなる時だけスタッフを配置し稼動する。普段は無人で
行われた。本学におけるやり方と大差はないように思え
ある。使用は大体週に2 日程度とのこと。さすがに平均
たが、特徴的なものは院内弁護士の存在である。院内弁
在院日数が1 桁台の米国ならではだと感心した。
護士は弁護士資格を有する病院職員で、医療訴訟になる
TV ドラマでもおなじみのER(救急センター)の充実
以前に患者側と和解することを目指し、その和解金の決
ぶりにも感心した。米国は日本のように「国民皆保険」
定権もある程度有している。訴訟になった場合は外部の
ではないため、国民の3 割程度が無保険状態であり、医
弁護士に委託する。ただ、裁判になってしまうと、医学
療費が高いことおよび一般診療は完全予約制で時間がか
的に全く誤りのない事案でも患者側が陪審員の同情を集
かることもあって、ぎりぎりまで我慢して担ぎ込まれる
めて勝訴してしまうケースもあり、敗訴の際のダメージ
ケースが多い。特に非営利型病院においてはこれを拒否
の大きさを考えると、和解に持っていくほうが得策であ
することができないため、必然的にER が混み合い充実
るということであった。
している。全員が専任のスタッフであり、器材や設備が
引き続き病院内の見学を行った。外来や病棟を見学し
充実していることが印象的であった。
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金 医 大 学 報
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視察を終了して昼食後、NY市内の自由視察となった。
るCenter for Medicare & Medicaid Services(CMS)へ向
病院訪問の服装(ダークスーツ姿)のまま皆で揃って、
かう。ここは日本で言う社会保険庁に相当する、米国に
グッチ、エルメス、カルティエ、ティファニー等有名ブ
おける公的保険であるMedicare(現役時代に税金を支払
ランド店が林立する5 番街を歩く。とても暑い日(摂氏
っていた65 歳以上の者、公的年金の支給開始より24 カ
32 ℃)で、道行く人たちは皆思い思いのカジュアルな姿
月経過した特定障害者および腎不全者が対象者となる)
をしているのに、さぞ私達16名の集団は浮いていただろ
およびMedicaid(全米的な基準および州単位で決められ
うと思うと、今でも冷や汗ものだった。
た基準以下の低所得者が対象となる)の事務的処理をし
早々にホテルに帰って休息し、夜はオプショナルツア
ている政府機関である。また、The State Children's Health
ーとして地下鉄に乗ってフラッシングメドウの近くの市
Insurance Program(SCHIP)(Medicaid で保障されない
営球場まで行き、大リーグのメッツとツインズのカード
19 歳までの子供が対象となる)も担当しており、それに
を観戦した。松井稼頭夫は怪我で出場できず、メッツも
ついての説明が各担当者よりなされた。しかし、その制
敗戦と散々な結果ではあったが、結構楽しい観戦だっ
度は複雑(保険の種類や収入等によってケアの内容が違
た。帰りの地下鉄では反対方向に乗ってしまい、皆で大
う)かつ各州によって運営には微妙な差異(資格認定の
騒ぎしたのも懐かしい思い出である。
基準やケアの内容)があり、また、20 ∼ 65 歳未満の国
9 月11 日(土)は土曜日でオフの1 日で、NY の市内観
民に対しては一部の障害者やMedicaidの対象者以外には
光ということであった。専用バスに乗り、エンパイアス
公的保険はなく、会社組織が従業員の福祉として給付し
テートビル、ロックフェラーセンターなどを見て、中華
ている保険や個人で保険会社と契約する方法しかないた
街(リトル・チャイナタウン)で飲茶の昼食をとった。
め、結果として3 割にも上る国民が無保険状態であるこ
NYの中華街は20万人もの中国人が生活しており、世界
とを考え合わせると、日本における国民皆保険制度(社
でも最大級とのこと。
保〈政府管掌、船員、日雇〉
、国保、生保)のほうが制
飲茶の味は、決して日本人向きとは言えず、また1 皿
度としては優れていると思われる。しかし、一方で国庫
の量も多いため少々苦戦を強いられたが、何とかクリア
による医療費負担の増大を招いていることも確かな現実
した。午後は、貿易センタービル跡地と国連ビルを見学
であり、米国のようにある種の「切捨て」によるドライ
した。2 年前の9 月 11 日に貿易センタービルがテロで破
なやり方にも一理あるとは思われる。いずれにせよ、米
壊され、多くの人が死傷した。アメリカにとっても、ま
国と日本では医療保険の基本的な制度が違いすぎて、単
た、我々にとっても忘れることができない日である。貿
純に比較はできないと感じた。
易センタービル跡地は「グラウンド・ゼロ」として整理
大な穴や周辺ビルの外壁の損傷などが未だに当時の凄惨
3. The George Washington University Medical
Center
さをしのばせ、また記念日とあって多くの人が集会を行
9 月13 日(月)午後は引き続いて、ホテルで用意して
が進んでいるとはいえ、ビル群の中にぽっかり空いた巨
ったり、祈りを捧げている姿が印象的だった。
9 月12 日(日)は移動日で、ニューヨークのラ・ガー
ディア空港11:00 発アメリカン航空4772 便でワシントン
くれた弁当をバス内で食べながら次の訪問先に向かう。
午 後 1 番 で The George Washington University Medical
Center を訪問した。
D.C.まで移動。午後は市内観光をした。NY と違い、高
ここは、医学教育で特徴のある大学である。全米に先
層建築は少なく、のんびりした印象である。学生が多く
駆けて医学生を最初から臨床の場に配置する方法を採用
NY のような「どこか危ない感じ」はなかった。
している。特徴的なのは、入学直後から医学の授業と平
リンカーン記念堂やホワイトハウスの外観等を見学し
行してこのメディカルセンターにおいて標準的患者(模
た。日本のTVによく映っているホワイトハウスの姿が、
擬患者)や標準的病態モデル(マネキン)を使って徹底
実は裏口からの眺めであることを今回はじめて知った。
的に診断学の実習を積ませるところにある。
スミソニアン博物館に展示されているかつての日本の戦
臨床研修センターを見学したが、全部で12室ある模擬
闘機零戦(ゼロ・ファイター)の実物や、ポトマック河
診察室にはビデオカメラや録音装置が備え付けられてお
畔の日本から贈られたソメイヨシノ2000本のうちの生き
り、そこにおける標準的患者とのやり取りは総てセンタ
残りの約80本の風雪に耐えた木肌が印象深かった。
ーにあるサーバーに蓄積されて、フィードバックや評価
に使われる。また、標準的病態モデル(マネキン)のお
2. Center for Medicare
Medicaid Services
いてある部屋は本格的な集中治療室仕様であり、そこで
の成績もサーバーに記憶されて同じ目的に使用される。
9 月13 日(月)は朝から晩まで訪問予定がびっしり詰
膨大なコストのかかったシステムであり、日本ではなか
まった忙しい1 日だった。専用バスで最初の訪問先であ
なか実現できないものと感じられたが、臨床医師の質の
【随想・報告】
金 医 大 学 報
ジョージワシントン大学医療センター。集中治療室仕様の臨床研
修センターの一室。
向上のためには、こういったシステムこそ有用であり、
国も補助金をもっと出すべきと感じた。
見学の後、Jim Scott医学部長により、主に大学や病院
の経営につき下記のような興味深い説明を受けた。
医学部は基礎と臨床で構成され、それに病院が付属し
58
ジョージワシントン大学医療センターの臨床研修センターのコン
トロールルーム
4. Inova Fairfax Hospital
The George Washington University Medical Center を辞
し、9 月 13 日(月)最後の訪問先である Inova Fairfax
Hospital に向かう。そろそろ全員の顔に疲労の色が出て
きつつあった。
ているという図式が標準的なものであるが、これは既に
この病院は非営利団体であるInova Health System が経
過去のモデルであり、15年程前から、病院経営において
営する病院の1 つであり、病床数は753 である。施設見
は意思決定の迅速さがものをいうようになってきた。特
学を行いながら以下の説明をうけた。
に、病院においては人事を迅速に行わなければならない
この病院はInova Health System が所有す5 つの病院と
が、大学における意思決定は何かにつけ遅すぎるため、
その他の施設(介護、血液センター、メンタルヘルス、
大学の出資率80%の民間会社に病院運営の一部を任せる
ウェルネスセンター等)からなる非営利団体である。日
こととし、そのため素早い意思決定や厳しい運営方針の
本で言ういわゆる開放型病院であり、医師のほとんどは
設定が可能となった。それで経営もうまくいったため、
職員ではなく、診察室を借用している。そのため医療事
新病院を建設することができた。また、医師に関しては、
故等の対応も医師の個人保険で行っている。
大学とは別の法人を設立させ、その法人を通じて病院診
また、経費等削減のために、近隣の病院等と共同購入
療および大学教育を依頼し、その経費を支払うというシ
グループを形成し、機器や器材等を共同購入することで
ステムをとっている。すなわち、従来分かち難かった診
スケールメリットによる経費削減を図っている。
療と教育について医師の属する法人組織に病院と大学が
お互いに経費を按分して支払うという体制をとっている。
施設見学は、ER(救急センター)を中心に行ったが、
患者があふれており、しかもその充実ぶりには正直言っ
このおかげで、医師は大学の職員では無くなり、大学
て驚かされた。非予約の一般外来も扱っており、受付や
は医師の人事等から開放され、教育のことだけを考えれ
入口も違う。いわば、病院の敷地内にもう一つの病院が
ばよくなり、運営に対する負担も軽減された。この方法
あるといった感じである。しかも現在手狭なため増築中
を採ってまだ3年目であり、大学に対する医師の帰属意
でもうすぐ完成するという。ヘリコプター発着施設まで
識の低下や教育に対する熱意の低下、病院職員のモラル
備えており、日に5 回程度はヘリコプターによる患者搬
の低下等の不安材料に対し、良かったか悪かったかの結
入や搬出があるという。ちなみにER 全体での年間の延
論はまだ出てはいない。しかし、施設を良くしたら良い
べ患者数は24万人に上るという。これは1つには非営利
学生が来るようになった。マーケティングポイントとし
団体であるため患者を拒むことができないことにもよる
ては有効な手段だったと思っている。
という。また、一般診療が完全予約制のため急な症状に
現在の日本において付属病院や勤務医師を別組織にす
るなどということは未だ考え難いことではあるが、グロ
ーバルな視点でみると、それぞれの経営形態の違いやそ
対応できないことも一因と思われる。いわばER の方が
日本の病院形態に近いと考えられた。
以上で、やっとこの日の訪問スケジュールを終了し、
れぞれの目指す専門性に特化していく限り、日本でもこ
翌日は早朝からの移動があるため、夕食の後早々に就寝
ういったことが当たり前となる時代が来るかもしれない
した。
という思いがした。
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
59
の経過が細々と述べられた。
この賞の主旨は日本でいえば病院の機
能評価にあたるとも言えるが、それよりも
ずっとハードルは高い。何せ、大統領が直
接訪問して直接手渡される賞である。ロ
ビーにその賞と受賞風景の写真が大きく
飾られていた。
日本の機能評価は実地視察がせいぜい2
日ほどであるが、こちらは 3 回にわたり、
各2 週間ずつ色々な分野での視察を受けな
ければならない。そして指摘事項をクリア
しているかどうか再度視察するという念の
入れようである。本学においても機能評
価を受けるべく準備しているところではあ
るが、この病院が賞を受けるまでに行った
色々の施策は参考となるケースであると
イノーバ フェアフアックス病院の見学を終えて
思われた。
5. Saint Luke's Hospital of Kansas City
マルコムボルドリッジ賞(Malcolm Baldrige National
Quality Award)とは、1987 年に不況の米国経済を立て
9 月14 日(火)はワシントンからダラス経由でカンサ
直すために創設された賞であり、世界中の優良企業を分
スシティへ移動し、午後に1件訪問スケジュールがある。
析した結果、良い会社に共通のポイントを整理して評価
7:43 発のアメリカン航空521 便に搭乗するため、朝4:50
基準とし「国家経営品質賞」として制定したものであ
にホテルを出発、ホテルで作ってくれた弁当を食べる。
り、この評価基準に基づいて色々な企業が経営改善に取
この弁当は前日の昼食にもバスの中で食べたが、ハムや
り組んだことも米国経済が現在好況である一因であると
チーズ、野菜を挟んだ大きなベーグルサンド(巨大・・・)
、
言われている。本来、企業を対象としていたが「学校等
クッキー2枚(巨大、激甘)
、オレンジジュース(Lサイ
教育機関」にも適用され、さらに2002 年からは「病院部
ズ、激甘)および大きなリンゴ1 個という堂々とした内
門(Health Care Category)
」も設立された。
容で、ボリュームだけならけちをつけられることは絶対
以上で、カンサスシティの視察は終了した。翌日は、
無い。しかし、早朝からこれはちょっと・・・という代物。
この日の午前中に経由してきたダラスに向かう。旅もそ
ダラス着9:54、ダラス発11:30 のアメリカン航空1276
ろそろ真ん中辺で、何か疲れてきた感じがして、夕食後
便に乗継、カンサスシティ着 13:00。着後、訪問先への
移動中に最寄りのレストランで簡単な昼食を摂った後、
訪問先であるSaint Luke's Hospital of Kansas City.に到着
した。
Saint Luke's Hospital of Kansas City は非営利組織で、
早々に就寝した。
9 月 15 日(水)は移動日である。カンサスシティ発
9:46のアメリカン航空2427 便でダラスに向かう。
先にダラス空港で搭乗便待ちをしていたときに、ちょ
っとした事件が起こったことを述べておきたい。同行者
看護婦学校なども併設している。24 時間体制で稼動して
の一人がビデオカメラで発着する飛行機を撮影していた
おり、2003 年にマルコムボルドリッジ賞を受賞してい
ら、いきなり空港の警備員に同行を求められ、危うくビ
る。
デオカメラおよび中のテープを没収されそうになったの
A. Stanton 氏(Senior Director Marketing & Business
である。添乗員が駆けつけて30分近く説明をして、やっ
Dept.)よりこの賞を取得するまでの取り組みを中心とし
と無罪放免となった。聞いてみると、カメラなどで静止
た説明があった。
写真を撮るのは構わないが、動画を撮る事はセキュリテ
内容は、この賞を受けるための準備をしてから、受賞
ィ上禁止されているとのこと。ちょっと我々には判りか
までに約1 年かかったこと、この賞を受けるためにトラ
ねる基準であり、それまでにも訪問先や観光場所、空港
イしたことで一番良かったことは、全職員が一丸となっ
等随所で経験させられた過剰なまでのボディチェックや
て病院全体のシステム等を徹底的に見直し、改善できた
持ち物検査など、テロ以降のやや神経過敏とも思えるア
ことだと思われる。この賞を受けるまでの細かなタイム
メリカのもう1 つの姿が浮き彫りとなるような事件では
スケジュールや前後3 回の実地視察により指摘されたウ
あった。
ィークポイントと、それをどのように改善していったか
11:25 ダラス着、昼食後、ダラスの市内観光をした。
【随想・報告】
金 医 大 学 報
60
本社ビルを訪問視察した。
B.W. Whitman 氏 ( Chief Financial
Officer)および Laura C. Baldwin さん
(Director of Finance and Investor Relations)
が出迎えてくれ、会議室で説明を聞い
た。
それによると、1999 年創立され、
36,000 人の従業員を擁し、規模として
は全米に8 社ある同種企業の中では3 番
目であり、全米トップ 500 社の中にラ
ンクされている。経営バランスを最も
重視し、経済的および病院のクォリテ
ィ、また、人的な面では医師と患者双
方における関係を上下とせず環状関係
カンサスシティ・セントルークス病院にて。病院の玄関ホールには病院機能評価を示
す No.1 の賞のトロフィーが誇らしげに設置されている。
とすることなどについて長期間の達成
目標を掲げているとともに、物品など
はグループ全体の共同購入によりコス
ダラスの観光スポットはジョン・F ・ケネディが暗殺さ
れた場所以外、何もないと言っても過言ではない。オズ
ト削減を図っている。
米国におけるナースの人手不足に起因する人件費の高
ワルドが潜んでいたビルはThe 6th Floor Museum という
騰に対処するために、準看護師や看護助手にナースの仕
名前の博物館になっており、なかなか充実した内容であ
事の一部分を分担させて総数抑制を図るとともに、フィ
った。また、ケネディが狙撃された道路上の地点には大
リピンやインドからの看護婦を雇用しているが、それで
きく×印がペイントされていた。
も、会社全体の経費のうち人件費が占める割合は約
ダラスの街は車がたくさん走っているが、殆ど歩行者
がいない。ガイドの話では、ダラスでは、100 mぐらい
しか離れていないところに買い物に行くにも車に乗って
いくそうであり、典型的な車社会を見る思いがした。
42 %であり、その殆どがナースの人件費で占められてい
るのが現状であるという。医師は雇用していない。
病院を建設又は買収する際は、でき得る限り、その地
域のコミュニティと摩擦を起こさないよう配慮している
が、病院運営の指針(マニュアル)については、全社一
6. Triad Hospitals, Inc.
律の基準を採用しており、各病院ごとの地域性を考慮し
9 月16 日(木)は訪問先が午前と午後に各1 件ずつあ
たものは採用していない。月に1 度、全部の施設の長を
り、まずはホテルを出て、専用バスで、午前中の訪問先
集めて会議を行って運営マニュアルから逸脱している施
であるTriad Hospitals, Inc.に向かう。市内移動といって
設に対して事情を聞いて新たな指示を出す等の調整を図
も、ダラス市は東京都と神奈川県を合わせたくらいの面
っている。しかし、どうしても調整がつかない場合には、
積があり、どこへ向かうにも相当に時間がかかる。道行
経営体から外してしまう(身売りする)などの処置を講
く車の運転は皆相当に高速で荒い。しかもダッジやフォ
じて強力に統制している。
ードなどの大きなW ピックアップトラックやSUV など
今の日本においては未だ病院の株式会社化は現実では
が相当数我が物顔で走行している。ガイドの話では、皆
ないが、将来的には必ず浮上してくる案件であり、考慮
大きな車を選ぶ傾向が強く、たとえば日本車は人気があ
しておく意味はあると思われた。ただ、この会社にして
るが、カムリとカローラのどちらかを選ぶ場合、車体の
も医師は雇用していないという点など、このような経営
大きさでカムリを選ぶ傾向が強いのだという。理由はた
形態がそのまま日本で通用するとは思われないというの
だ1 つ「当たり負けしないため。
」だという。我々のバス
が実感であった。
が「当たり負け」しないことを祈りながら目的地に向か
った。
Triad Hospitals, Inc.は、主に米国南部、中西部、西部
の小都市や都市部で所有又は直接経営している病院およ
7. Cooper Clinic
昼食の後、9 月 16 日(木)2 番目の訪問先である
Cooper Clinicに向かう。
び外来診療センターをとおしてヘルスケアサービスを提
ここは、約 120,000 ㎡の敷地面積内にエアロビクスセ
供している会社である。現在、49 の一般救急病院と 14
ンターがあり、クリニック、研究所、スポーツクラブ、
の外来診療センターを持っている。今回は、郊外にある
ホテルの4 つの建物で構成されているスポーツ医学を中
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金 医 大 学 報
心とした予防医学に特化した施設である。
広い敷地内の建物に入ると会議室に通され、K.H.
61
である。例によって、空港での上着は勿論、ズボンのベ
ルトや靴まで脱がなければならないボディチェックをク
Cooper 医師、T.L. Mitchell 医師、L.W. Gibbons 医師の
リアし、11:40 ダラス発アメリカン航空1395 便でラスベ
方々から説明を受けた。専門医は7 名いるが、病人に対
ガスへ向かう。ネバダ砂漠のど真ん中に作ったカジノや
する診察は来院者がエアロビクスメニューの消化中など
グランドキャニオン観光など非日常的な遊びに特化した
に起こした不測の疾病の時以外行わず、近くの医療機関
街で、気分は高まるはずなのだが、到着して直ぐに2 件
を紹介するという方法をとっており、あくまで来院者の
の訪問視察をこなさねばならず、やや気分は重い。
エアロビクスメニューの決定や期間中の健康管理を主と
している。
飛行機の窓から見る、岩と砂だけの荒涼としたネバダ
砂漠の真ん中に突如としてこの街が出現する。この瞬間
来院者は、まず専門医による色々な検査を受け、それ
はやや感動的でさえあった。空港に降り立つと、この日
を基にしたエアロビクスメニューが専門医と相談のうえ
は摂氏37℃でとにかく暑い。こんな日にダークスーツを
決定される。専門医は来院者1 人をメニューが決定され
着込んでいる我々一行が浮いて見える。しかし、砂漠性
るまでの間付ききりでフォローする。これは一見非効率
の気候で極端に湿度が低いため、湧き出た汗は直ぐに乾
的ではあるが、患者と医者の間の信頼関係を深めるのに
燥してしまい、流れ落ちるまでには至らない。
とても有効な手段であるとのこと。
いま、米国においては、高騰する医療費に金を出すよ
りも予防医学に金を出したほうがコストパフォーマンス
が高いという認識が企業などに静かに浸透しつつあり、
予防医学は今後期待のもてる分野である。しかし、現在
8. Sun City Anthem
専用バスで、9 月 17 日(金)第 1 の訪問先である Sun
City Anthemに向かう。
Sun City は、民間のディベロップメント会社により、
のところは金持ちの個人レベルの来院者が殆どであると
全米で展開されている高齢者専用の高級住宅開発であ
いう。来院者は、毎日通院するか、当院のホテルに滞在
り、現在、全米内8カ所で開発が進められている。
してエアロビクスメニューをこなしていく。基本メニュ
訪問したSun City Anthemは、完全な1 つのコミュニテ
ーの他にカラテ、太極拳等のオプションメニューも別料
ィを形成しており、基本的に住民による自治の形式で運
金ではあるが充実している。本院にはリピーターの来院
営されている。モデルハウスやレクリエーションセンタ
者が非常に多いのが特徴であり、それを分析してみると
ーなどを見学しながら説明をうけたところによると、病
やはり充実した設備と高い専門性を誇る職員がそうさせ
院、教会、ショッピングセンターなど生活に必要な施設
るのであろうと思われる。
は一通り揃っており、またレクリエーションセンターで
以上のような説明を受けた後、施設見学を行ったが、
は色々なスポーツや娯楽(訪問したときは麻雀が流行っ
広い敷地に余裕を持って建てられた各エアロビクス施設
ていた)ができる。また、ゴルフ場も整備されている。
やスポーツ施設、ホテル、レストランなど、日本におい
生活に潤いを持たせるために、色々なクラブ活動も充実
ては考えられない規模をもち、料金設定もかなり高い。
しており、絵画、陶芸、レザークラフト、テニス、ゴル
しかし、これがちゃんと経営できていくところがさすが
フ、水泳、コンピュータ、麻雀、園芸等多種多様の活動
米国であると感じた。
が住民達により運営されている。
総じて、予防医学は未だ米国においても企業の福祉対
健康管理に関しても月々50 ドルの費用(クラブ形式)
策を除く個人レベルにおいては金持ちしか対象となりえ
でレクリエーションセンター内に事務所(ウェルネスセ
ない。しかしながら、日本においては予防医学といえば
ンター)を持つSt. Rose Hospital のスポーツインストラ
検査主体の人間ドックしか殆ど思い浮かばないのに対
クターがアドバイスを行う。各家庭と中核病院とを繋ぐ
し、こういった施設を建設して取り組んでいくといった
緊急ホットラインのような施設は設置されていず、あく
姿勢には、日本でも学ぶところが多いと思われる。た
まで住民の自主判断に委ねている。
だ、逆に言えば、米国の医療費は予防にかなりの額を投
ここへの入居条件は、55歳以上の者が家族の中に1人
資しても有利だと思わせるほどに高価であり、リーズナ
以上いることであり、その条件を満たさなくなった場合
ブルな価格で医療が受けられる日本とは大分事情が違う
は退去しなければならない。ただし、購入した住宅は希
と実感させられる。
望者に売却するなり、再度条件を満たして入居できるよ
以上で、本日の視察を終了し、また、長時間バスに揺
られながらホテルへと向かった。
うになるまで他にレンタルするなどの方法が選択できる。
ここでの生活にかかる費用は、住宅購入に400,000 ∼
9 月17 日(金)は旅行も9 日目であり、いよいよ終盤
900,000 ドル(約 4,000 万∼ 1 億円)、月々の経費が約
に入った感じがする。この日はダラスからラスベガスに
5,000ドル(約550,000 円)である。かなり資産的に余裕
移動し、午後から2件の訪問予定がある。結構忙しいの
のあるものが対象となる。
【随想・報告】
金 医 大 学 報
モデルハウス内部を見学したが、とても豪華であり、
日本の一般的な老人ホームやグループホームとは違うと
62
大であり、まるで異世界の風景のようでもあり、十分に
堪能した。
考えられた。また、同居している若者もたくさんいるた
9:40 頃ホテルに帰着。この日は午後2 時ごろにホテル
め、いわゆる「年寄りくさい」感じの施設になってしま
を出発してロサンゼルスへ移動しなければならない。
っていないところも印象的であり、これもいわゆる予防
「もう余り時間も無い!」悲壮(?)な決意を胸に、朝食も
医学と高齢者対策の1 つの形ではあるが、学ぶべきとこ
そこそこにまたカジノへ。そういえば美川憲一やハマコ
ろが多いと思われる。
ーも大負けしたんだったな。後悔先に立たず・・・?。
しかしながら、土地や家の価格が高い今の日本では実
ラスベガス発 17:10 アメリカン航空 1913 便でLA には
現不可能な施設とも思われ、将来的な研究課題の1 つで
18:08 着。その後、ホテルに直行し、夕食の後、翌日に
あると考えられる。
備えて就寝。
9. St. Rose Hospital
翌日には日本に出発しなければならない。午前中はLA
9 月 19 日(日)はいよいよアメリカ滞在も最後の日。
続いて、9 月 17 日(金)2 番目であり、最後の訪問先
でもあるSt. Rose Hospital へと向かった。
この病院はSun City Anthem における中核病院として、
市内の観光で午後はオプショナルツアーでユニバーサル
スタジオ見学である。バスでホテルを出発し、最初の目
的地であるサンタモニカ海岸に向かう。LA はダラスに
共同でウェルネスセンターを運営したり住民の診療にあ
負けず劣らず大きな都市であり、ご多聞に漏れず車社会
たっている非営利型病院であり、見学して、小児病棟の
である。サンタモニカ海岸を観光した後、チャイナ・シ
施設が充実しているのには驚かされた。特徴的であった
アターの方へ移動する。路面の敷石にハリウッドスター
のは、母が患児に対して食事を作るのが一般的であり、
の手形や足型、サインなどが書かれた「かの有名な場
そのための施設が充実していることである。日本の一般
所」で、思わず敷石に見入ってしまい興味は尽きなかっ
的な小児病棟を考えると、たしかにこのほうが患児や家
た。午後からはユニバーサルスタジオに入園してハムナ
族の精神衛生上良いような気がして、一考すべき価値は
プトラやウォーターワールド、バックトゥザフューチャ
あると思われた。
ーなどのアトラクションを楽しんだ。日本のUSJには行
引 き 続 い て 会 議 室 で P.K. Garg 氏 ( Chief Financial
ったことは無いが、スケールの大きさに感心した。帰り
Officer & Facility Compliance Liaison)から病院の経営に
はホテルまで地下鉄に乗り、夕食は皆で乾杯して締めく
ついての以下の簡単な説明があった。それによると、本
くった。
院の経営原資で多くを占めているのは寄付金であり、病
9 月20 日(月)はいよいよ帰国の日である。9:30 ホテ
院の役員の多くが寄付金を担当しており、その収入を運
ルを出発してLA 空港に向かう。空港について無事通関
用にまわし、果実(利子・配当)により運営がなされて
手続きを済ませる。スーツケースも最初のころに比べて
いる。その他に米国では、非営利法人であっても利付き
ずっしりと重くなっている。思い出すと長かったような
債権の発行が可能であるため、償還期間を30年とした債
短かったようなあいまいな感じで、感慨を味わうのは、
券を発行し、施設拡大に当てている。年利は2.5 %であ
帰国後、時差ボケが治ったころになりそうである。
る。
12:30 発アメリカン航空169便で一路日本に向かう。出
以上で、施設訪問は総て終了し、急に開放的な気分と
発が1 時間ほど遅れたのはご愛嬌であったが、日付変更
なり「ラスベガスへ来たからには、元を取らねば」とい
線を再びまたいで 11 時間 30 分のフライトの後、9 月 21
う訳の分からない決意を胸にしてホテルへと直行・・・。
日(火)17:00 に無事成田空港に到着することができた。
夕食後のことはここに報告するべきでもないので割愛!
着いてから最初にしたことは、成田エキスプレスのホー
「ドルを摩ってしまって、お土産どうしよう。あっカー
ムにある売店でおにぎり2 個とペットボトルに入った緑
ドがあるから大丈夫か!」
茶1 本を購入しベンチで食べたことだった。
9 月18 日(土)はオプショナルツアーのグランドキャ
ニオン観光のため午前3:00 起床、4:00 ホテル出発という
以上、今回の旅行については、やや強行軍の感じはあ
強行スケジュール。スロットマシンがまだ頭の中でグル
りましたが、文化の違いや、医療情勢の違いなどを肌身
グル回っているような状態で、こんな時間だというのに
で感じ取ることができ、有意義であったと思います。こ
まだ盛況を極めているカジノを後目にバスに乗り込む。
の出張で得た貴重な体験を糧として、今後の業務遂行に
空港で15 ∼ 16 人乗りのセスナ機に乗り込み、5:00 に離
生かしていきたいと考えております。
陸。気流が悪いので結構揺れる。40 分ぐらい飛んでグラ
ンドキャニオンに到着。
上空から見るグランドキャニオンのスケールは実に雄
この研修出張のために色々と骨を折っていただきまし
た関係各位に深く感謝し、報告を終わりたいと思いま
す。
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金 医 大 学 報
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随 想
金沢市立小中学校
名誉教授・泌尿器科学
タバコは江戸初期、貝原益軒によって「含まざるにし
かず」と既に害を指摘され、当時から何だかウサン臭い
と思われていたが、時は流れ、成分のニコチンに依存性
津 川 龍 三
一方、教科書では、小学校で 5 年、中学校で 3 年で、
いずれも、2 ページにわたり、カラーイラスト入りの図
(64 頁)でタバコの害について詳しく書かれている。
があることがわかり、ヘビースモーカーになってしまう
それを教える当事者の教諭が喫煙しているのでは言行
機序も解明された。
「危ない危ない」と言ってるうちに、
不一致も甚だしく、教育自体が成立しないではないか。
我が日本の男性は喫煙率54%と世界一となった。2位フ
金沢市教育委員会の委員長をしている私は、声もあがら
ランスで40%、アメリカは7位で28%。何とも変な数字
ない現場の状況に業を煮やし、ここは一つ私の出番かな
だ。タバコの害の研究も続けられ、表にあるようなター
と、教育長と共に金沢市立小中学校敷地内全面禁煙を提
ルが悪役、数々のリスクが解ってきた。
唱した。
タールについては、ドイツで昔から、煙突掃除人に陰
2003 年 9 月、金沢市議会が開かれた。質問議員は問
嚢皮膚癌が有意に多いという事実が知られていたが、こ
う。「マヤ文明の昔から、タバコは恍惚感をもたらし、
れは煙突の煤が掃除人の陰嚢皮膚にへばりつき、ながい
その後ヤル気を起こす作用があり、今も嗜好品として好
間それを職としていれば、常に煤のタールに接している
まれている。喫煙マナーを守れば嗜んでも良いではない
ことになるわけで、何となく説明がつく。
か」と問う。私は答えた。
「タバコの煙には一酸化炭素
タール悪役説を、はじめて実証したのが日本人の研究
があり、赤血球に早々に取り付き酸素が取り付けなくな
者、市川、山極の両氏(東大病理)である。彼等はウサ
る。また、脳へ行く血管も攣縮する。これでは本来酸素
ギの耳に大正 2 年から4 年にかけ毎日タールを塗りつけ
ボンベを積んで脳へ行くべきトラックがガタガタ道をノ
たのである。そしてある日、タール塗布部に見事に癌が
発生した。
「癌できつ昂然として二歩三歩」とはその時
●タバコの煙に含まれる有害物質
の句である。ノーベル賞ものだったのに何故か受賞して
いない。
さて、タバコの害の疫学的研究は多い。発癌、循環器
障害、呼吸器障害、胎児への影響、受動喫煙では一つ屋
根の下で、ダンナのタバコ1日20本の煙を吸わされてい
る妻の肺癌は、吸わない家の 2 倍という統計が有名で、
日本以外の各国も同様である。近ごろは幼少年期の身体
発育にも害ありとの報告もある。野球肘もヘビースモー
カーの家庭からという報告もある。
宴会などで隣に喫煙者がいたら大変だ。煙が私の方へ
流れる時、もし、刺し身を食べようとしていたらどうだ。
何を食べているのかわからない。横道にそれるが、世の
中には珍妙な人がいる。タバコを吸いつつ、刺し身や天
ぷらを食べ、酒、ビール、焼酎のお湯割りを注文し、最
後にはご飯に漬物、デザートまで食べ、バンザイ三唱ま
タバコの煙に含まれる主要有害化学物質とその作用
ニコチン 一酸化炭素 タール(ベンゾピレン、ナフタレン、
アントラセン等の混合物) 砒素 カドミウム 窒素酸化物
アセトアルデヒド ホルムアルデヒド 青酸化合物 ダイオ
キシン
1)発がん作用(全てのがんの1/3はタバコで発生)
2)動脈硬化促進作用(喫煙・高血圧・高脂血症を死の三重
奏という)
3)血管収縮作用、血流量の低下(肌の老化、脱毛、運動能
力の低下)
4)気管支収縮作用、赤血球の酸素運搬能力の低下
5)インポテンツ、生殖能力の低下。新生児への影響(流早
産・発育遅延・知能低下・成長後の犯罪率の増大)
6)治療薬の効果を減弱(降圧剤・喘息薬・抗潰瘍剤・神経
精神科薬の一部・モルヒネ・解熱鎮痛薬の一部・インス
リン・麻酔薬・ビタミン)
でやってのける。横に坐っていたがあきれてしまう。
さて、本題を教育の場に転ずると、学校の職員室は、
つい先頃まで女性教諭をはじめ全面禁煙という気持が横
●喫煙のリスク
急性リスク
息切れ、咳、痰、動悸、食欲低下など
溢しているのに、分煙という中途半端な装置で紛らわせ
てきたのが現状であったようである。
長期にわたるリスク 心臓発作、脳卒中、慢性気管支炎、がんなど
【随想・報告】
金 医 大 学 報
64
ロノロと走るようなもので、到着地の脳細胞は、酸素が
自分の勝手でタバコを吸って病気になるのは自己責任で
来ないパニック状態になる。アタマはボーツとなる、す
致し方なしとしても、お気の毒なのはご遺族や、関係者
なわち恍惚感とは世にいう一過性の脳貧血ですよ」
。次
である」と言うことにしている。この1カ月、3回お通夜
は、
「学校でタバコを吸ってはいけないという法律はあ
に出たが、いずれも、ヘビースモーカーとあって同情の
るのか」
。これは法律以前の倫理の問題だ。 次に「吸い
ささやきはゼロで「しかたがないな」のみが聞こえた。
殻入れを持って静かにマナー良く吸ったらどうか」
。私
結局、重要なのは、少年時代からの禁煙教育、子は親
は、
「児童生徒は必ず先生を見つける。その時、先生へ
の背中をみて育つなど、すべては「躾」の延長線上にあ
の信頼関係は一挙に崩れる。これが教育の場でいいの
ることを強調したい。
か、これで先生か」と思う。
さて、2003 年 11 月地元北国新聞夕刊の「舞台」とい
要するに質問議員の頭の中には喫煙教諭がどうすれば
うコラムに金沢市教育委員会委員長としての私の小文が
校内で喫えるかだけで、大勢の学童の目、さらにいえば
掲載された。特急サンダーバード車内の実録で、本文と
「学校は児童生徒が主役」という教育への認識がゼロで
あった事である。情けない思いだ。かくして金沢市立小
中学校では2004 年1 月4 日から、敷地内全面禁煙となっ
た。市立工業高校も同様。
重複するところもあるがお読み下さればありがたい。
〔北國新聞夕刊コラム「舞台」より〕
富山−大阪間の特急サンダーバードに乗った方は多いだろ
う。この列車の編成では6号車が喫煙可能の車輌で、筆者は禁
各種タバコ病患者に接するのは病院であるが、まず禁
煙の5号車。高岡を過ぎて約10分、ふと6号車へ目をやると、
煙を強く説く医師はもとより、職員すべて敷地内禁煙の
ぼんやり人影が見える。だんだんこちらへ近づく。ようやく検
病院が増えている。当然の事だ。その後禁煙セミナーな
札の車掌さんであることが判明する。これをタバコサイドから
どの演者になると、「自由には責任が伴う。すなわち、
解釈すると、彼は、まず乗客が吸って吐きだした主流煙、火
図
学研「保健体育」中 3 より引用
●非喫煙者と比べた喫煙者のがん死亡率(男性)
●受動喫煙の影響
◇主流煙と副流煙
主流煙
こう頭がん 32.5倍
食道がん 2.2倍
副流煙
タール
34.5mg
一酸化炭素
酸化炭
31.4mg
ニコチン
0.46mg
肺がん 4.5倍
一酸化炭素
148mg
ニコチン
1.27mg
タール
10.2mg
肝臓がん 1.5倍
胃がん 1.5倍
すい臓がん 1.6倍
(平山 雄による)
(アメリカ合衆国保健教育福祉省の資料による)
●喫煙開始年齢と心臓病死亡率(男性)
3.0
倍
2.5
◇夫の喫煙と妻の肺がん死亡率
吸わない人と比べると
2.9
2
倍
死 2.0
亡
率 1.5
の
比 1.0
1.9
1.7
死
亡
率
の
比
0.5
0
∼14歳
15歳∼
20歳∼
夫が吸わない場合と比べると
1.8
30歳∼
1.4
1.9
1.5
1
0
1∼14本
15∼19本
20本以上
夫の喫煙本数
喫煙開始年齢
(平山 雄による)
(平山 雄による)
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
のついた先端から立ち昇った副流煙、これらの混合煙を受動
喫煙しながら、5号車まできたのだ。
筆者の印象に深い俳句に、「しんしんと肺碧きまで海を旅」
65
関西で、
「学校敷地内にとめた車の中ではどうか」という質
問。答はもちろん「ノー」
。好奇心旺盛な児童生徒は必ず車を
見つける。先生への評価はその瞬間どうなるか。
というのがあり、源実朝が伊豆の海を詠んだ和歌を連想し、感
筆者は医を職としているが、米国では喫煙する医者は患者
動したものである。だが今は違う。
「しんしんと肺黒きまで検
から敬遠される。教育者であれ何であれ、問題の本質は、当
札し」となる。タバコの発癌性、心臓に及ぼす悪影響は今や
事者のプロ意識にある。
社会常識である。
その害は義務教育である小学5年生、中学3年生で教えてい
る。その担当の先生らがタバコを吸っているのでは、言行不一
致、全く教育にならない。金沢市では2004年1月から学校敷
地内全面禁煙となる。
周囲の人に「在学中、職員室に入った時の印象は」と訊く
と「タバコ臭かった」との答が複数あった。妊娠中の先生はさ
*追記:本文執筆後、時の流れは速く、小松市立小中学
校など全面禁煙の学校が増え、もちろん本学病院および
大学全敷地内、金大病院など石川県内で禁煙が普及して
いる。最近ではレストランも禁煙、喫煙の分別がはっき
りしてきた。また日本人の喫煙率も最近の新聞では50%
を大きく下回ってきたと報じている。
ぞ心配だったろう。
《本学スタッフ新刊著書》
吉田一郎、大西弘高 編集
実践
PBL
テュートリアルガイド
分担執筆:堀 有行
(日本でのPBL テュートリアル
の実例 金沢医科大学、p164181)
南山堂
A4 判、294 頁
定価:本体3,900 円+ 税
2004 年8 月発行
ISBN4-525-04111-0
PBLテュートリアルは、30年以上前にカナダで始まり、
世界に広まりつつあります。従来の医学教育は、解剖、
生理、臨床科目などの講義を順序よく受け、仕上げに臨
床実習を行うというものでした。しかし、いざ、臨床現
場に出ると、横のつながりのない知識しか身についてい
ないことは医師になった者自身が気付いていました。
PBL テュートリアルは、外来を訪れたあるいは救急車で
搬入された患者さんの問題抽出から始まり、それを解決
するために、自分は何を学ばなければならないのかを判
断しながら、学習を進めるものです。医学教育の主体と
なりつつあるPBL テュートリアルについて総論各論に分
けまとめられています。
(医学教育・情報学 堀 有行記)
Gerard J. Tortora, Sandra Reynolds Grabowski 著
佐伯由香、黒澤美恵子、細谷安彦、高橋研一ら 編訳
トートラ 人体解剖生理学(原著第6版)
分担翻訳:石橋隆治 (第 15 章、心臓血管系: 心臓、
p370-390)
丸善
B5 判、670 頁
定価:7,245 円(総額表示)
2004 年9 月30 日発行
ISBN4-621-07464-4
組織学・発生学から臨床応用まで、新しい時代のスタ
ンダードな教科書として好評を得た解剖生理学テキスト
の最新改訂版。本年春に翻訳出版されている「トートラ
人体の構造と機能」
(原著第 10 版)のコンサイス版でも
ある。
簡潔なテキストとエレガントなイラストにより、学習
ポイントがわかりやすく、実践的Q&A 問題は基礎医学
試験に適応している。ホメオタシス(恒常性)に重点を
置きながら構造と機能の基本を理解できるように工夫さ
れ、身体の正常な機能と、その異常に伴って出現する症
状や疾患との関連性および臨床応用を主眼に、基礎医学
知識である解剖と生理学の知識を統合。美しく役に立つ
イラストレーションを多用してわかりやすく解説する。
本来は看護学生などのコメディカル向けにかかれたも
のだが、最新で豊富な内容は医学生がCBT の前に知識の
まとめとして読むのにも適している。
(生体情報薬理学 石橋隆治記)
金 医 大 学 報
66
資 料
理事会
第 173回 平成16年7月30日(金)
1 次期学長の選任について
2 次期副学長の選任について
〈報告事項〉
1 竹越現学長の処遇について
2 大学制度改革に伴う管理運営機構の見直しについて
第 174回 平成16年8月26日(木)
1 評議員の選任について
2 総合医学研究所所長の選任について
〈報告事項〉
1 副学長の選任について
第 175回 平成16年8月26日(木)
1 副理事長の選任について
〈報告事項〉
1 常任役員の業務分担について
評議員会
第90回 平成16年8月26 日(木)
1 理事の選任について
〈報告事項〉
1 次期学長、次期副学長、次期総合医学研究所所長の選任
について
医学部教授会
第 699回 平成16年7月8日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第698回)議事録確認について
2 外国出張について
3 その他
議題(教学関連)
1 平成16年度一般聴講生の受入について
2 その他
〈報告事項〉
1 入学試験出願時における健康診断書提出の廃止について
2 教務部からの報告について
3 平成16年度研究費の傾斜配分について
4 平成16年度金沢医科大学共同研究及び奨励研究について
5 平成 16 年度「特色ある大学教育支援プログラム」の申請
取組に関するヒヤリングについて
6 その他
第 700回 平成16年7月22日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第699回)議事録確認について
2 循環制御学教授候補者の選考について
3 呼吸機能治療学教授候補者の選考について
4 血液免疫制御学教授候補者の選考について
5 放射線診断治療学教授候補者の選考について
6 出向について
7 外国出張について
8 外国留学について
9 その他
議題(教学関連)
1 その他
〈報告事項〉
1 入試説明会及びオープンキャンパスの開催について
2 平成15 年度教員評価における優良教員の表彰について
3 平成 16 年度金沢医科大学・中国姉妹校とのプロジェクト
研究課題及び外国人短期研究員の募集について
4 その他
第 701回 平成16年8月26日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第700回)議事録確認について
2 循環制御学教授(特任)候補者の選考について
3 教員採用について
4 医学部学内講師委嘱について
5 辞職について
6 外国出張について
7 休職について
8 併任解について
9 非常勤講師派遣について
10
その他
議題(教学関連)
1 平成 17 年度入学試験(推薦・一般・編入学・特別推薦入
学(AO入試)
)の各委員について
2 平成 17 年度特別推薦入試(AO 入試)の受験資格及び出
願要件について
3 平成 17 年度入学試験(推薦・一般・編入学・特別推薦入
学(A0入試)
)入試科目の配点について
4 その他
〈報告事項〉
1 平成17年度入学試験説明会実施報告について
2 教務部からの報告について
3 金沢医科大学科学研究費補助金取扱規程の制定について
4 有害薬品及び廃液等保管状況調査について
5 医師の名義貸し等に関する調査結果の報告について
6 北陸先端医学・医療連携推進事業について
7 その他
第 702回 平成16年9月9日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第701回)議事録確認について
2 教務部長及び学生部長について
3 教員採用について
4 出向について
5 外国出張について
6 外国出張期間短縮について
7 客員教授委嘱について
8 非常勤講師派遣について
9 その他
議題(教学関連)
1 その他
〈報告事項〉
1 平成17年度入試実施委員会委員の一部変更について
2 平成 16 年度金沢医科大学オープンキャンパス実施報告に
ついて
3 平成17年度特別推薦入試(AO入試)出願状況について
4 その他
〈協議事項〉
1 学長所信表明について
第 703回 平成16年9月22日(水)
議題(人事関連等)
1 前回(第702回)議事録確認について
2 侵襲制御学(麻酔学)助教授候補者の選考について
3 臨床教授に関する規程の制定及び教授(特任)に関する
規程の一部改正について
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
4
臨床教授等の委嘱に関する規程及び臨床教授等の選考基
準に関する内規の一部改正について
5 各委員会委員について
6 外国出張について
7 外国出張期間変更について
8 併任について
9 短期研究員の受入れについて
10 その他
議題(教学関連)
1 平成16年度卒業判定委員について
2 平成17年度教務日程(案)について
3 平成 16 年度第 5 学年実技試験(OSCE)実施要領(案)
について
4 平成17年度入学試験実施に係る授業の取り扱いについて
5 その他
〈報告事項〉
1 教務部・学生部関係役職教員について
2 教務部からの報告について
3 その他
第 704回 平成16年9月28日(火)
議題(教学関連)
1 平成 17 年度特別推薦入学試験(AO 入試)第 1 次選考合
格者の決定について
2 その他
大学院医学研究科教授会
第 315回 平成16年7月22日(木)
議題
1 前回(第314回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
〈報告事項〉
1 平成17年度大学院医学研究科学生募集対策について
2 第32回論文博士外国語試験の実施について
第 316回 平成16年8月26日(木)
議題
1 前回(第315回)議事録確認について
2 外国留学願提出学生の取扱いについて
3 学位授与の可否決定について
〈報告事項〉
1 平成17年度大学院医学研究科学生募集について
67
第 317回 平成16年9月9日(木)
議題
1 前回(第316回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 学位授与の可否決定について
〈報告事項〉
1 平成17年度大学院医学研究科学生募集について
第 318回 平成16年9月22日(木)
議題
1 前回(第317回)議事録確認について
2 平成17年度大学院第2次募集選抜試験の日程等について
〈報告事項〉
1 生命医科学専攻担当教員の追加申請について
2 第32回論文博士外国語試験の実施報告について
3 平成17年度大学院第1次募集選抜試験について
総合医学研究所教授会
第 175回 平成16年8月25日(水)(臨時)
議題
1 前回(第174回)議事録確認について
2 外国出張について
3 客員教授の委嘱について
4 総合医学研究所所長及び同副所長について
5 平成 16 年度金沢医科大学・中国姉妹校プロジェクト研究
の研究課題について
6 追加人事(併任解く)
〈報告事項〉
1 平成 16 年度市民公開セミナーのポスター&プログラムに
ついて
2 次回開催日について
第 176回 平成16年9月16日(木)
議題
1 前回(第175回)議事録確認について
2 平成16年度実験動物慰霊祭について
3 所長の所信表明について
〈報告事項〉
1 総合医学研究所関連委員会委員について
2 移転計画のその後について
3 次回開催日について
4 一般市民公開セミナーへの参加要請について
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69
平成16年度 教育職員外国出張一覧(上半期)
氏名、所属職名、開催国、期間、学会名等、発表演題名等の順で記載した。
芝本 利重 生理機能制御学(生理学)教授 アメリカ合衆国 H16.4.16 ∼22 Experimental Biology 2004, Anaphylactic
hepatic venoconstriction is attenuated by nitric oxide through shear-stress dependent and independent mechanisms in quinea pig.
佐久間 勉 呼吸機能治療学(呼吸器外科)助教授 アメリカ合衆国 H16.4.17∼22 Experimental Biology 2004, Uridine
5'-triphosphate enhances the effect of isoproterenol to stimulate alveolar fluid clearance in the isolated rat lungs.
瀬上 夏樹 顎口腔機能病態学(口腔科学)教授 韓国 H16.4.21 ∼24 The Korean Association of Oral and Maxillofacial
Surgeons, New approach techniques in eminectomy for habitual dislocation of the temporomandibular joint.
福田 正道 感覚機能病態学(眼科学)講師 アメリカ合衆国 H16.4.23∼30 ARVO2004, Cytotoxic effect of povidoneiodine(PVP-I) and polyvinyl alcohol iodine(PVA-I2) on cultured rabbit corneal cell lines(SIRC).
藤澤 綾 感覚機能病態学(眼科学)助手 アメリカ合衆国 H16.4.23 ∼5.1 The Association for Reseach and Vision in
Ophthalmology Annual Meeting, The progression of cataract and the rate of cataract surgery over five years in the corneal endothelium cell and corneal thickness in pseudoexfoliation syndrome -The Reykjavik eye study-.
佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)講師 アメリカ合衆国 H16.4.23 ∼5.1 The Association for Reseach and Vision in
Ophthalmology Annual Meeting, The progression of cataract and the rate of cataract surgery over five years in the Icelandic population -Reykjavik eye study-.
永井 康太 感覚機能病態学(眼科学)助手 アメリカ合衆国 H16.4.24 ∼5.1 The Association for Reseach and Vision in
Ophthalmology Annual Meeting, Change of light scattering intensities in crystalline lens layers with pseudoexfoliation syndrome
over five years in the Icela dic population -Reykijavik eye stydy-.
幡
育穂 感覚機能病態学(眼科学)研究員 アメリカ合衆国 H16.4.24∼5.4 The Association for Research in Vision and
Ophthalmology Annual Meeting, The relationship between corneal changes and 2.45 GHz microwave exposure near safety limits.
北川 和子 感覚機能病態学(眼科学)助教授 アメリカ合衆国 H16.4.24∼5.1 The Association for Research in Vision and
Ophthalmology Annual Meeting, Tear protein profiles in Sjögren's syndrome by protein chip analysis.
小島 正美 感覚機能病態学(眼科学)講師 アメリカ合衆国 H16.4.24∼5.4 The Association for Research in Vision and
Ophthalmology Annual Meeting, The relationship between corneal changes and 2.45 GHz microwave exposure near safety limits.
福田 昭宏 循環制御学(循環器内科学)助手 韓国 H16.4.29∼5.3 Angioplasty Summit 2004, Prognosis and outcome in
patients in whom percutaneous coronary intervention was performed for three vessels disease.
梶波 康二 循環制御学(循環器内科学)助教授 アメリカ合衆国 H16.5.2∼9 5th Annual Conference on Arteriosclerosis,
Thrombosis and Vascular Biology, American Heart Association, Differential effects of B vitamins on plasma homocysteine levels
in Japanese male patients with and without coronary artery disease.
赤尾 浩慶 循環制御学(循環器内科学)研究医 アメリカ合衆国 H16.5.3∼9 5th Annual Conference on Arteriosclerosis,
Thrombosis, and Vascular Biology, American Heat Association, Plasma ostepontin levels before and after coronary rotational
atherectomy are associated with vascular inflammation.
田中 卓二 腫瘍病理学(病理学Ⅰ)教授 アメリカ合衆国 H16.5.7 ∼ 13 95th AOCS/JOCS Joint Symposium, Dietary
pomegranate seed oil rich in conjugated linoleic acid inhibits azoxymethan-induced carcinogenesis in rats.
【資料】
金 医 大 学 報
70
友杉 直久 腎機能治療学(腎臓内科学)助教授 ポルトガル H16.5.14∼22 The 41st ERA-EDTA Congress, Biomarker
discovery in glomerulonephritis.
山谷 秀喜 腎機能治療学(腎臓内科学) 助手 ポルトガル H16.5.14 ∼ 22 The 41st ERA-EDTA Congress, Urinary
biomarker discovery in ischemia-reperfusion rat.
小島 正美 感覚機能病態学(眼科学) 講師 1:スペイン 2:ブルガリア H16.5.18 ∼ 30 1: Intrenational NIR
Workshop & Symposium, 2: 7th National Meeting of the Union of Bulgaria, 1:Variation of blood flow in rabbit eyes exposed to
microwaves experimental results and computational verification. 2:Differences of intraocular temperature rising patterns and ocular injury by near- and far-infrared exposure.
杉田 真 呼吸機能治療学(呼吸器外科) 講師 アメリカ合衆国 H16.5.21 ∼ 27 ATS2004 100th International
Conference, Diagnostic accuracy and positive histologic correlation using FDG-PET imaging for small-sized peripheral lung cancer.
土原 千春 呼吸機能治療学(呼吸器内科学) 研究員 アメリカ合衆国 H16.5.22 ∼ 28 ATS2004 100th International
Conference, Anti-tumor effect of J103 (2-methylnaphtho[2,3-b] furan 4,9-dione) on lung cancer cell via Fas/Fas ligand system.
中川 研 呼吸機能治療学(呼吸器内科学) 助手 アメリカ合衆国 H16.5.22 ∼ 28 ATS2004 100th International
Conference, Explanation of interstitial lung disease in non-small cell lung cancer(NSCLC) patients, Effect of gefitinib
(Iressa,ZD1839) on cytokine release from type Ⅱ pneumocytes.
石垣 昌伸 呼吸機能治療学(呼吸器内科学) 学内講師 アメリカ合衆国 H16.5.22 ∼29 ATS2004 100th International
Conference, Keratinocyte growth factor reduces apotosis on the edge of alveolar epithelial wound healing under oxidant.
富沢 英樹 生殖周産期医学(産科婦人科学)助手 カナダ H16.5.22 ∼ 28 International Federation of Fertility Societies
18th World Congress, Ovarian blood flow analysis as a method to predict ovulation after hCG injection.
牧野田 知 生殖周産期医学(産科婦人科学)教授 カナダ H16.5.22 ∼ 28 International Federation of Fertility Societies
18th World Congress, Ovarian blood flow analysis as a method to predict ovulation after hCG injection.
望月 隆 環境皮膚科学(皮膚科学)助教授 イギリス H16.5.22∼28 Lamisil Global Advisory Board Meeting, Label
changes: Current situation in Japan.
堀口 章子 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)学内講師 韓国 H16.5.22 ∼ 26 耳鳴に対する新治療法(TRT)の共同研
究打ち合わせ。
森山 学 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)講師 香港 H16.5.24 ∼ 29 10th International Symposium on Urolithiasis,
1:The influence of alcohol consumption on the risk of kidney stones. 2:Global analysis of expressed genes in renal epithelial cells
exposed to calcium oxalate crystals.
鈴木 孝治 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)教授 香港 H16.5.24∼29 10th International Symposium on Urolithiasis, 1:
Prospective study of alcohol and the risk of kidney stones in rat. 2: cDNA microarray analysis of genes in renal epitherial cells
exposed to calcium oxalate crystals. 3:Molecular technology in the studies of inhibitors and promoters.
山口 宣夫 代替基礎医学(血清学)教授 韓国 H16.5.24 ∼ 6.4 W.H.O. Western Pacific Region Informal Consultation
Meeting on Development of Treatment Guideline for Traditional Medicine Therapy. 座長
藤田 拓也 運動機能病態学(整形外科学)講師 ポルトガル H16.5.29∼6.5 1: International Society for the Study of the
Lumber spine 31th Annual Meeting, 2: Spine Society of Europe Annual Meeting, Expression of ADMTS-4 in human lumbar disc
herniation.
奥田 鉄人 運動機能病態学(整形外科学)助手 ポルトガル H16.5.29∼6.5 1: International Society For The Study of The
Lumber spine 31st Annual Meeting, 2: Spine Society of Europe Annual Meeting, Expression of ADMTS-4 in human lumbar disc
herniation.
吉谷新一郎 消化器外科治療学(消化器外科学)助手 ハンガリー H16.6.4∼13 20th Biennial Congress of the International
Sciety of University Colon and Rectal Surgeons, Clinicopathological analysis of patients with pulmonary metastases from colorectal cancer.
高島 茂樹 消化器外科治療学(消化器外科学)教授 ハンガリー H16.6.4∼13 20th Biennial Congress of the International
Sciety of University Colon and Rectal Surgeons, A study on the lymph node metastasets of the right side colon cancer.
福永 壽晴 病態診断医学(臨床病理学)講師 ドイツ H16.6.8 ∼18 20th International Symposium on Critical Care and
Point-of-Care Testing, Standardization of blood gas analysis - Usefulness of the certified reference materials.
石川 勲 腎機能治療学(腎臓内科学)教授 ベルギー H16.6.9 ∼ 14 Japan-France Nephrology Exchange Association
Symposium. 座長
多田 典弘 循環制御学(循環器内科学)研究医 フランス H16.6.12 ∼ 18 14th European Meeting on Hypertension,
Relationship of insulin resistance to carotid arteriosclerosis, cardiac hypertrophy/cardiac function, and coaqulation/fibrinolysis factors in hypertensive patients.
小島 正美 感覚機能病態学(眼科学)講師 中国 H16.6.15 ∼18 JICA 草の根技術協力事業「低所得農民層の失明実態
究明と対策のための人材育成」の調査打ち合わせ。
池田 照明 生体感染防御学(微生物学・医動物学)助教授 インドネシア H16.6.15 ∼25 インドネシア僻村における腸
管原虫症の疫学調査。
第120号/2004.11
金 医 大 学 報
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小島 正美 感覚機能病態学(眼科学)講師 アメリカ合衆国 H16.6.18∼22 26th Bioelectromagnetics. 出席及び研究打
ち合わせ
堀口 章子 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)学内講師 スペイン H16.6.19 ∼27 13th World Congress for Bronchology,
Experience of provox2 for TE and TJ shunt.
東 光太郎 放射線診断治療学(放射線医学)特任教授 アメリカ合衆国 H16.6.19∼23 Society of Nuclear Medicine 51st
Annual Meeting, Diagnosis of lung cancer and the mediastinal lymph node metastasis with F-18 FDG PET.
幡
育穂 感 覚 機 能 病 態 学 ( 眼 科 学 ) 研 究 員 韓 国 H16.6.22 ∼ 27 5th Asian Cataract Reserch Conference,
Characteristics of ocular temperature rising patterns from different infrared wavelength.
片岡 敏 脳脊髄神経治療学(神経内科学)講師 カナダ H16.6.22 ∼ 27 5th World Stroke Congress, Rostral lateral
pontine infarction:Neurological/Topographical correlations.
佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)講師 韓国 H16.6.23∼27 5th Asian Cataract Reserch Conference, The influence of
age on the progression of nuclear cataract -Reykjavik eye study-.
小島 正美 感覚機能病態学(眼科学)講師 韓国 H16.6.23 ∼ 27 5th Asian Cataract Reserch Conference, The relation
ship between ocular temperature and ocular blood flow during 2.45 GHz microwave exposure.
菅井 進 血液免疫制御学(血液免疫内科学)嘱託教授 ギリシャ H16.6.23 ∼ 28 Autoimmune Rheumatic Diseases
Days, Lymphoproliferative disorders in patients with Sjögren's syndrome.
望月 隆 環境皮膚科学(皮膚科学)助教授 韓国 H16.6.25∼28 11th Annual meeting of the Korean Society for Medical
Mycology, Trichophyton tonsurans infection in Japan.
富沢 英樹 生殖周産期医学(産科婦人科学)助手 ドイツH16.6.26 ∼7.1 European Society of Human Reproduction and
Embryology, Ovarian blood flow analysis as a method to predict ovulation after hCG injection.
牧野田 知 生殖周産期医学(産科婦人科学)教授 ドイツ H16.6.27∼7.5 European Society of Human Reproduction and
Embryology, 1:Ovarian blood flow analysis as a method to predict ovulation after hCG injection. 2:A fomula to predict number
of ovulations by hemodynamics.
早稲田智夫 生殖周産期医学(産科婦人科学)助手 ドイツ H16.6.28∼7.6 European Society of Human Reproduction and
Embryology, A fomula to predict number of ovulations by hemodynamics.
本多 隆文 社会環境保健医学(衛生学)講師 中国 H16.6.30 ∼7.8 JICAプロジェクト「低所得農民層の失明実態究明
と対策のための人材育成」調査。
幡
育穂 感覚機能病態学(眼科学)研究員 中国 H16.6.30 ∼7.11 JICA 草の根技術協力事業「低所得農民層の失明
実態究明と対策のための人材育成」眼科検診参加。
小島 正美 感覚機能病態学(眼科学)講師 中国 H16.6.30 ∼7.11 JICA 草の根技術協力事業「低所得農民層の失明実
態究明と対策のための人材育成」調査。
佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)講師 中国 H16.7.2 ∼11 JICAプロジェクト「低所得農民層の失明実態究明と対
策のための人材育成」調査。
長内 和弘 呼吸機能治療学(呼吸器内科学)講師 アメリカ合衆国 H16.7.23 ∼ 31 2004 FASEB Summer Conference,
Chocolate mice, a phenotype of Rab38 mutation, develop emphysema-like lung disease.
柿崎 謙一 人間科学科目(外国語)講師 アメリカ合衆国 H16.8.2 ∼10 第7回金沢医科大学夏期国際語学・医学研修
引率。
石橋 隆治 生体情報薬理学(薬理学)助教授 オーストラリア H16.8.5 ∼ 11 18th World Congress of the International
Society for Heart Research, Practical and fundamental considerations in quantification of nitrite as an index of nitric oxide formation in vivo.
神田 享勉 総合内科学(総合診療科)特任教授 アメリカ合衆国 H16.8.7 ∼ 12 2004 FASEB Summer Conference,
Integrative approaches to understanding obesity and its metabolic and clinical consequences.
鈴鹿 有子 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)助教授 アメリカ合衆国 H16.8.8 ∼13 BIOMAG 2004, Classification of
N100m responses in auditory evoked magnetic field on hemispheric difference.
上田 善道 病理病態学(病理学Ⅱ)特任教授 中国 H16.8.14 ∼ 19 3rd International Molecular Pathology Symposium,
Expressions of aquaporin-1, -3, -5 and alfa-epithelial sodium channel in human lung carcinomas.
榎戸芙佐子 精 神 神 経 科 学 ( 神 経 精 神 医 学 ) 助 教 授 ド イ ツ H16.8.20 ∼ 28 16th World Congress of IACAPAP,
Psychopathology and comorbibity of psychiatric disorders in patients with wrist-cutting.
杉江 茂幸 腫瘍病理学(病理学Ⅰ)助教授 アメリカ合衆国 H16.8.21 ∼27 The American Chemical Society 288th Fall
National meeting, Citrus nobiletin inhibits azoxymethane-induced rat colon carcinogenesis.
地引 逸亀 精神神経科学(神経精神医学)教授 タイ H16.8.27∼9.2 5th Asian and Oceanian Epilepsy Congress, Study
on memory lateralization with functional MRI in patients of temporal lobe epilepsies.
井浦 俊彦 生殖周産期医学(産科婦人科学)講師 スウェーデンH16.8.30 ∼ 9.6 14th World Congress on Ultrasound in
Obstetrics & Gynecology, Hemodynamic analysis of the fetal renal artery of oligohydramnions using color Doppler ultrasound Comparison with normal fetuses by a longitudinal study.
小島 正美 感覚機能病態学(眼科学)講師 中国 H16.8.31 ∼9.11 JICA 草の根技術協力事業「低所得農民層の失明実
【資料】
金 医 大 学 報
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態究明と対策のための人材育成」調査。
佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)講師 中国 H16.9.1 ∼11 JICA 草の根技術協力事業「低所得農民層の失明実態究
明と対策のための人材育成」調査。
幡
育穂 感覚機能病態学(眼科学)研究員 中国 H16.9.1 ∼11 JICA 草の根技術協力事業「低所得農民層の失明実態
究明と対策のための人材育成」調査。
菅井 進 血液免疫制御学(血液免疫内科学)嘱託教授 韓国 H16.9.10 ∼ 16 Asia Pacific League of Associations for
Rheumatology Congress, Sjögren's syndrome and Mikulicz's disease.
吉田 純 機能再建外科学(形成外科学)学内講師 中国 H16.9.10∼15 The 14th China-Japan Joint Meeting on Plastic
Surgery, Correction of severe facial bone fracture utilized hallo type distraction device.
山下 昌信 機能再建外科学(形成外科学)助手 中国 H16.9.10 ∼ 15 The 14th China-Japan Joint Meeting on Plastic
Surgery, Sagittal splitting osteotomy of the mandibular ramus without bone fixation.
岸邊 美幸 機能再建外科学(形成外科学) 学内講師 中国 H16.9.10∼15 The 14th China-Japan Joint Meeting on Plastic
Surgery, Immunolocalization of epidermal stem cells in the burn wound healing process.
瀬上 夏樹 顎 口 腔 機 能 病 態 学 ( 口 腔 科 学 ) 教 授 フ ラ ン ス H16.9.14 ∼ 23 17th European Congress for CranioMaxillofacial Surgery, Low invasive options in eminectomy for habitual dislocation of the temporomandibular joint.
伊達 孝保 ゲノム医科学(生化学)教授 チェコ H16.9.18 ∼ 27 46th Symposium of the Society for Histochemistry,
TLK1(Protein kinase ubiquitins; Pkus) controls the initiation of centrosome-positioning.
横山 光輝 運動機能病態学(整形外科学)助手 フランス、ドイツ H16.9.19 ∼26 フランス、ドイツ外傷センター視察
技術研修。
小島 正美 感覚機能病態学(眼科学)講師 1:ポルトガル 2:ドイツ H16.9.21 ∼10.1 1:European Association for
Vision and Eye Research, 2:6th Scheimpflug Club Meeting, 1:Is the corneal endothelial change that seen after 2.45 GHz
microwave exposure (near ICNIRP safety limits) microwave exposure specific? 発表、主催準備。
橋本 光正 ゲノム医科学(生化学)助手 アメリカ合衆国 H16.9.23 ∼10.4 Cold Spring Harbor Laboratory Meeting on
Dynamic Organization of Nuclear Function, PKU-b(TLK-1) is involved in alignment of chromosomes and positioning of centrosomes during mitosis.
兼氏 歩 運動機能病態学(整形外科学)講師 イタリア H16.9.23 ∼ 30 International Society for Technology in
Arthroplasty, Stem subsidence and decrease in the initial radiolucency of the bone-cement interface in polished tapered stem.
杉森 端三 運動機能病態学(整形外科学)助手 イタリア H16.9.23 ∼ 30 International Society for Technology in
Arthroplasty, Comparison of bone ingrowth in non-HA cup, HA/TCP sprayed cup, and alkali- and heat-treated cup.
朝倉 邦彦 生体感染防御学(微生物学・医動物学)助教授 イタリア H16.9.25 ∼ 10.1 7th International Congress of
Neuroimmunology, Zinc-binding motif in leader peptide of Theiler's murine encephalomyelitis virus is critical for viral persistence
and demyelination.
大原 義朗 生体感染防御学(微生物学・医動物学)教授 イタリア H16.9.25 ∼ 10.3 7th International Congress of
Neuroimmunology, A lentiviral expression system demonstrates that L* protein of Theiler's virus has an anti-apoptotic effect in a
macrophage cell line.
佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)講師 ドイツH16.9.27∼10.5 Cataract and alcohol -Reykjavik eye study-.
廣瀬源二郎 脳脊髄神経治療学(神経内科学)教授 1:イタリア 2:カナダ H16.9.27 ∼ 10.8 1:7th International
Congress of Neuroimmunology, 2:American Neurological Association 129th Annual Meeting, 1:Lack of apolipoprotein E exacerbates experimental autoimmune encephalomyelitis.
中西 恵美 脳 脊 髄 神 経 治 療 学 ( 神 経 内 科 学 ) 助 手 イ タ リ ア H16.9.27 ∼ 10.4 7th International Congress of
Neuroimmunology, Lack of apolipoprotein E exacerbates experimental autoimmune encephalomyelitis.
牧野田 知 生殖周産期医学(産科婦人科学)教授 イギリス H16.9.30 ∼ 10.11 10th Biennial Meeting Internationl
Gynecologic Cancer Society, Side effect of docetaxel and cisplatin chemotherapy in the treatment of gynecological cancers.
藤川孝三郎 細胞医学研究部門教授 フランス H16.5.23 ∼30 ISAC 22th International Congress. Trensition to 6-, 12-, 16and 18-ploid in Meth-A cells treated with staurosporine.
竹上 勉 分子腫瘍学研究門教授 アメリカ合衆国 H16.5.27∼6.2 7th International Symposium on Positive Strand RNA
Viruses.
高林 晴夫 人類遺伝学研究部門臨床遺伝学助教授 ハンガリー H16.6.19∼29 12th International Conference on Prenatal
Diagnosis and Therapy.
山本 達 総合医学研究所所長 アメリカ合衆国 H16.7.23 ∼29 大学、病院視察
信川 高寛 タキサス研究部門教授 中国 H16.7.27 ∼ 8.4 International Academic Symposium on Clinical Research of
Modern Traditional Chinese Medicine.
信川 高寛 タキサス研究部門教授 インドネシア H16.8.5 ∼11 インドネシアの伝統的な熱帯薬用植物の現地調査
信川 高寛 タキサス研究部門教授 中国 H16.9.3 ∼7 5th International Congress on Natural Medicine(5th ICNM).
高林 晴夫 人類遺伝学研究部門臨床遺伝学助教授 米国 H16.9.25∼10.5 26th Annual Meeting the International Fetoscopy
Group. The Development of fetal cell collection system from maternal blood for fetal DNA diagnosis.
第120号/2004.11
73
金 医 大 学 報
金沢医科大学学術振興基金募金について
金沢医科大学学術振興基金募集趣意書
本学は、日本海側では初めての私立医科大学として、昭和 47 年に設立され、倫理に徹した人間性豊かな良医を育成する
こと、医学の深奥をきわめ優れた医療技術を開拓すること、人類社会の医療と福祉に貢献することを建学の精神として掲げ
て着実に歩み続けてまいりました。
大学、特に医科大学は国の内外を問わず日進月歩の医学・医療をリードする大切な役割を担っていることは皆様充分にご
承知のことであります。本学でも最高の教育・研究設備に加えて、先進医療機器の充実に意を尽くすとともに、基礎・臨床
医学講座並びに総合医学研究所の各部門において、医学の進歩に貢献できる人材の育成と研究の推進に日夜努力いたしてお
ります。
教育面では、教育スタッフとしてすぐれた人材を配し、学生の教育に専念しており、昭和 53 年に第 1 回の卒業生が誕生し
て以来、数多くの医師を世に送り出し、それぞれ国内国外の医学・医療の最先端で活躍しております。
研究面では、平成元年に従来の人類遺伝学研究所、熱帯医学研究所及び共同研究室を母体とし、難病治療など医療の先端
的な分野の開拓を目的とした総合医学研究所を設置し、臓器置換・難治疾患・癌・人類遺伝学・熱帯医学・基礎医学・共同
研究の各部門を中心にプロジェクト研究の推進を図っております。また、国際舞台においても躍進を続けており、欧米の一
流大学や研究所との研究員の交流、海外からの研究員・留学生の受け入れなどを通じて国際レベルの学術環境の整備にも意
を尽くしております。
診療面では、金沢医科大学病院は日本海側随一の規模を誇るまでに成長し、最新の医療機器を整備し、医学教育のみなら
ず、文字どおり地域医療の基幹病院として順調に発展し、地域社会の要請に応えるべく最新レベルの医療サービスを提供す
ることにも十分な配慮をしてまいりました。
また、国際医療協力隊の派遣、世界各地域の種々の難病に対する国際医療協力に早くから取り組み、わが国の医科大学の中
ではトップクラスの実績を持っております。
しかしながら、この様な積極的な教育、学術及び医療活動を維持継続していくためには巨額の資金が必要で、学納金、国
庫補助金、附属病院の医療収入などの収入だけでは健全な経営は不可能であり、教育、研究、診療活動を萎縮させる恐れが
あります。
このために、本学では文部科学省の許可を得て学術振興基金の募集を行っており、広く本学教職員、卒業生、学生の父兄
をはじめ、民間企業、篤志家の多くの皆様のご支援をお願い申し上げる次第であります。
日進月歩の医学の進歩に即応した最新の教育、研究及び診療環境を維持するにとどまらず、未来に向けてさらなる貢献と
飛躍を目指して、全学を挙げて努力いたし、社会的使命を果たし得たいと念願しております。
本趣旨にご理解、ご賛同を頂き、ご協力を賜りますれば誠に幸甚に存じます。
学校法人金沢医科大学 理事長
小田島 粛夫
募集要項 学術振興基金は次の要領で広く一般の方々からご協力をお願いしております。
1. 目的: 金沢医科大学の教育・研究の振興と医療の充
実のため活用させていただきます。
2. 目標額: 10億円
3. 募集先: 在学生、同窓生及びその父兄、教職員、一
般有志者並びに医学研究機関及び医療関係企業・団体等
4. 学術振興基金へのご寄付は、
「特定公益増進法人寄付
金(個人のご寄付)
」及び「受配者指定寄付金(法人
のご寄付)
」による所得税、法人税の優遇措置を受け
ることが出来ます。
5. 応募方法: 寄付申込書等を本学教育研究事業推進室
あてにご請求ください。(TEL 076-286-2211 内線
2720 ∼ 2724 FAX 076-286-8214)折り返し、手続方
法、税務に関することなどについてご説明いたします。
金沢医科大学学術振興基金への寄付者ご芳名(過去1年間の分、敬称略)
山田 真樹(富山県)
仲里 博彦(沖縄県)
板垣 和夫(東京都)
角田 弘一(石川県)
斎藤 茂(埼玉県)
山田 真樹(富山県)
東本 幸次(兵庫県)
平林 良登(北海道)
藪野 芳子(大阪府)
辻 外幸(富山県)
医療法人社団 奥医院(神奈川県)
小嶋昭次郎(岐阜県)
横井 幸男(東京都)
中山 治樹(京都府)
池田 正(富山県)
田邊 嶽之(富山県)
田邊すみ子(富山県)
医療法人社団 達洋会(東京都)小田 政行(岐阜県)
鈴木 昌和(長野県)
森瀬 雅典(愛知県)
鈴鹿 正剛(奈良県)
医療法人 聖俊会(愛知県)
創立 30 周年記念事業募金寄付者ご芳名(敬称略)
〈個人〉小島 好司(岐阜県)
南部 澄(石川県)
三治 秀哉(石川県)
坂井 明紀(長崎県)
柴原 義博(宮城県)
由木 邦夫(栃木県)
稲尾 次郎(富山県)
鈴木 桂子(長野県)
医療法人 裕雅会(奈良県)
No.12(H16.6.30 ∼ )
個人寄付金累計 1,281 件 654,557,452 円
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金 医 大 学 報
本学では、多くの分野でインターネットが利用されています。Web、Mail、ライブや VOD(ビデ
オ・オン・デマンド)はもとより、文献検索、地域の医療機関や全国の同窓生との連携、各種事業の
公示に利用されているほか、学内イントラネットも拡充されています。教育・研究・医療の分野で
大いに活用されることを期待します。
(広報委員会)
金沢医科大学報 第 120号
平成 16 年 11 月 1 日発行
金沢21世紀美術館開館 発行者 金沢医科大学理事長 小田島 粛 夫
金沢市の中心地に金沢 21 世紀美術館が開館した。
正円形のガラス張りのユニークな建築とすぐれた
数々の内容、そして金沢城、兼六園、県庁跡地公園、
中央公園などが一体となった一大回遊庭園を形成す
る立地とがあいまって、金沢が世界に誇れる魅力の
一つとなるに違いない。
(いとうけいこ、昭和 10 年愛知県生まれ。山口誓子、加藤かけ
いに師事。俳人協会評議員。日本詩歌文学館評議員。日本文藝
家協会会員。日本ペンクラブ会員。栄中日文化センター、NHK
文化センター、NHK 総合テレビ「東海文芸サロン」俳句講師。
東海俳句懇話会「笹」主宰。
)
編 集 金沢医科大学概要・学報編集委員会
山下公一
土田英昭
原 亮
太田隆英
大石勝昭
小平俊行
寺井明夫
丸谷 良
中川美枝子
廣瀬源二郎
芝本利重
谷口 豊
辻口徹子
坂井輝夫
今村吉克
野沢幸雄
中嶋秀夫
平井圭一
木越俊和
相野田紀子
國府克己
木村晴夫
中谷 渉
森 茂樹
坂田慎一
発行所 金沢医科大学出版局
〒 920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1
TEL 0 7 6 (2 8 6 ) 2 2 1 1
印刷 能登印刷株式会社